JP2009125457A - ハイパーサーミアシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】患者にかかる負担が少ない状態で正確に深部の温度を測定し、効果的に患部を加熱するハイパーサーミアシステムを提供する。
【解決手段】生体B内部の加熱対象Tに電磁発熱体を配置し、電磁発熱体に電磁波を照射することで電磁発熱体を発熱させ、生体内部の加熱対象を加熱するハイパーサーミアシステム10であって、加熱対象Tに配置された電磁発熱体に向けて電磁波を照射する電磁波発生手段12と、生体に非侵襲で前記生体の深部の温度を検出する温度検出手段14と、温度検出手段14の検出結果に基づき電磁波発生手段が照射する電磁波の出力を制御する制御手段16とを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、生体の患部を加熱するハイパーサーミアシステムに関するものである。
癌の治療法として、ハイパーサーミア法という温熱療法がある。
このハイパーサーミア法とは、癌細胞が、正常細胞よりも酸性度が高く正常細胞に比べて熱に弱いこと、また、癌細胞で形成された癌組織にある血管が正常な血管とは異なり温度が上昇しても広がらならないため加熱されても放熱が充分にできず高温になりやすいことを利用し、患部を加熱することで癌細胞を死滅させる方法である。
このようなハイパーサーミア法に用いる装置としては、例えば、特許文献1に記載されている温熱治療装置がある。
特許文献1には、先端にアンテナが内蔵され生体の体腔内に挿入が可能なアプリケータを生体と接触させ、先端のアンテナから加温波を放射して生体を加温する温熱治療装置が記載されている。
この特許文献1に記載されている装置は、表面から加熱されるため、アプリケータの接触部を含む患部の周辺部全体も加熱され、がんと正常組織の温度差をつけることが困難である。そのため、がん細胞を死滅させる温度に加温すると、表皮から患部までの多くの正常細胞も死滅する可能性があるという問題、表皮が火傷するという問題がある。また、アプリケーション近傍が最も温度が高くなるため、表皮の正常細胞が死滅しない加熱では、生体の深層部の癌細胞を死滅させることが困難であるという問題がある。
これに対して、特許文献2に記載されているような、局所的に患部を温める方法が検討されている。
特許文献2には、生体内の患部に感磁発熱体を配置し、生体内部まで達する磁束を形成することのできる交番磁界発生装置により生体内部まで達する磁界を発生させることで、感磁発熱体の周辺部の温度を上昇させ、患部を加熱する生体内局部加熱装置が記載されている。
具体的には、マグネタイト、Fe等の磁気微粒子をリポソーム等で包み分散させた輸液を癌細胞に注射して、癌細胞に沈着させる。その後、交番磁界をかけ、磁性体である磁気微粒子に熱を発生させることにより、癌細胞を局所的に温度を上げることができる。また、特異的に癌細胞に吸着する抗体を磁気微粒子につけ、癌細胞に沈着させることも記載されている。
また、磁気微粒子に替えて、微小なコイルとコンデンサからなる共振回路をインプラントとして生体内に配置し、この共振回路を共振周波数で励磁させることで発熱させる方法もある。
特開平07−185018号公報 特開平11−57031号公報
引用文献2に記載されているように、患部に電磁発熱体を配置し、電磁発熱体を通過する磁界を発生させることで癌細胞のみを加熱することができる。これにより、正常細胞とがん組織との温度差を大きくすることができ、正常組織に与える影響を少なくしつつ効果的にがん細胞を死滅させることができる。また、加熱源から患部の間の正常細胞の温度を上昇させることなく、生体の表皮(表面)から一定距離以上の生体の深部の癌細胞も加熱することができるため、生体の深部にある場合、癌細胞も死滅させることが可能となる。
ここで、癌細胞を加熱し死滅させるハイパーサーミア法では、癌細胞を死滅させるために、所定時間の間、所定の温度とする必要がある。また、正常細胞を死滅させないためには、正常細胞を一定温度以下に維持する必要がある。
そのため、ハイパーサーミア法では、効果的に癌細胞を死滅させるために、生体の温度を測定する必要がある。
これに対し、引用文献2は、磁気微粒子に交番磁界をかけ、磁気微粒子の周辺部の温度を上げることは記載されているが、実験例では、生体を模した液体で実験し、熱電対で温度を測定しているのみであり、がん組織や周辺組織の温度を測る方法は、なんら記載されていない。
また、引用文献1に記載されているような表皮から患部までを全体的に加熱するハイパーサーミア法では、サーミスタ温度計などのプローブを加温部位に穿刺して患部温度を測定する方法がある。
しかしながら、プローブを穿刺すると患者に負担をかけることになり、さらに、1つのプローブで一点の温度を測定することになるため、患部が複数ある場合は、その患部の数だけ穿刺をする必要があるという問題がある。
このように、プローブを穿刺し患部の温度を検出すると、患部の加温を非侵襲で行っても、患者にかかる負担は大きくなる。
また、体表温度を測定するために体温センサーを装着して、体表温度より患部温度を推定する方法もある。
表皮から患部までを全体的に加熱する方法は、癌細胞と正常細胞との温度差が少なく、また加熱源から徐々に温度が低下するため、上記のように生体の表皮の温度を測定することで患部の温度を算出することができるが、患部を選択的に加熱する場合は、生体の表皮の温度と患部の温度とが比例関係にならず、また、癌細胞と正常細胞との温度差が大きくなるため、正確に温度を測定することはできない。特に、患部が生体の深部にある場合はこの問題が顕著になる。
このように、患部に磁気微粒子を配置し、磁気微粒子の周辺部を加熱することで患部を加熱する方法では、効果を確実にするために生体の深部にある患部の温度を正確に測る必要があり、さらに、患部周辺の正常細胞への影響を少なくするために周辺組織の温度をモニタリングすることが必要である場合もあるが、表皮から熱を伝達させて患部を加熱するハイパーサーミア法を用いる装置と同様の温度検出では、患者への負担が少ない状態で患部または患部の周辺部の温度を正確に検出することができないという問題がある。
本発明の目的は、上記従来技術に基づく問題点を解消し、患者にかかる負担が少ない状態で正確に深部の温度を測定し、効果的に患部を加熱するハイパーサーミアシステムを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明、生体内部の加熱対象に電磁発熱体を配置し、前記電磁発熱体に電磁波を照射することで前記電磁発熱体を発熱させ、前記生体内部の加熱対象を加熱するハイパーサーミアシステムであって、前記加熱対象に配置された前記電磁発熱体に向けて電磁波を照射する電磁波発生手段と、前記生体に非侵襲で前記生体の深部の温度を検出する温度検出手段と、前記温度検出手段の検出結果に基づき前記電磁波発生手段が照射する電磁波の出力を制御する制御手段とを有することを特徴とするハイパーサーミアシステムを提供するものである。
ここで、前記加熱対象は、がん組織であることが好ましい。
また、前記温度検出手段は、前記生体の深部の前記加熱対象の温度を検出することが好ましい。
また、前記制御手段は、前記加熱対象の温度が設定温度以上となる時間が設定時間を越えると前記電磁波発生手段による電磁波の照射を停止させることが好ましい。
また、前記制御手段は、前記温度検出手段で検出された前記加熱対象の温度と基準温度との差と電磁波を照射する時間との積が規定値を超えた場合は、前記電磁波発生手段による電磁波の照射を停止させることも好ましい。
さらに、前記温度検出手段は、前記加熱対象の周辺の温度を検出することも好ましい。
また、前記制御手段は、前記温度検出手段で検出した前記加熱対象の周囲の温度が規定温度以上である場合は、前記電磁波発生手段により発生させる電磁波の出力を低減また停止させることが好ましい。
また、前記制御手段は、前記温度検出手段により検出された前記生体の深部の温度を表示する表示手段と、前記電磁波発生手段から照射する電磁波の出力条件を入力する入力手段とを有することが好ましい。
また、前記電磁波発生手段は、前記電磁発熱体を通過する磁束を形成する磁界発生機構であることが好ましい。
さらに、前記温度検出手段は、チャープパルスのマイクロ波を用いて、前記生体の深部の比誘電率分布を取得する誘電特性取得部と、前記誘電特性取得部により取得した比誘電率分布に基づいて前記生体の深部を算出する温度算出手段を有することが好ましい。
さらに温度検出手段は、チャープパルスのマイクロ波を発生するチャープパルス発生器と、加熱対象を有する生体に向けてマイクロ波を放射する複数の送信アンテナ、および生体を透過したマイクロ波を受信する複数の受信アンテナがアレイ状に配列されてなるアレイアンテナと、マイクロ波を生体に走査するために、マイクロ波を送信する送信アンテナを選択的に切り替える送信側マルチプレクサおよびマイクロ波を受信する受信アンテナを選択的に切り替える受信側マルチプレクサと、送信したマイクロ波と受信したマイクロ波とのビート信号を取り出す帯域通過フィルタと、ビート信号のうち、マイクロ波を送受信した送信アンテナおよび受信アンテナ間を直進するマイクロ波に相当する周波数成分を選択的に取り出す周波数選択部と、取り出された周波数成分から、生体内の三次元の比誘電率分布を表す三次元画像データを生成する三次元画像データ生成回路と、生成された三次元データを解析し、誘電率の変化より温度に換算する温度検出回路をと有することが好ましい。
本発明によれば、患部の加熱及び生体の深部の温度検出を非侵襲で行うことができ、患者への負荷を少なくしつつ、深部の温度を検出し、かつ、加熱対象のみを加熱することができる。これにより、加熱対象の状態を検出しつつ、加熱することができ、効果的に癌細胞を死滅させることができる。
また、加熱対象もしくは加熱対象及びその周辺部のプロトコル(温度パターン)を決め、温度検出手段による測定結果に基づいて加熱状況を制御し、加熱対象もしくは加熱対象及びその周辺部の温度を制御することで、上記効果をより確実に得ることができる。また、正常細胞にも安全なシステムを構築できる。
本発明に係るにハイパーサーミアシステムについて、添付の図面に示す実施形態を基に詳細に説明する。
図1(A)は、本発明のハイパーサーミアシステムの一実施形態であるハイパーサーミアシステム10の概略構成を示すブロック図であり、図1(B)は、図1(A)に示すハイパーサーミアシステム10の生体Bの周辺部を拡大して示す拡大側面図であり、図2は、生体の癌部の周辺を模式的に示した断面図であり、図3は、図1に示したハイパーサーミアシステム10の磁界発生手段12の概略構成を示す正面図であり、図4は、図1に示したハイパーサーミアシステム10の温度検出手段14のアレイアンテナ24aの概略構成を示す斜視図であり、図5は、図1に示したハイパーサーミアシステム10の温度検出手段14の概略構成を示すブロック図である。
図1に示すハイパーサーミアシステム10は、生体(つまり被検体、患者)Bの患部Tに配置された磁気微粒子Sに磁界を与え、磁気微粒子Sを発熱させることで、患部Tを選択的に加熱するものであり、磁気微粒子Sに与える磁界を発生させる磁界発生手段12と、生体B内の深部にある患部Tの温度を検出する温度検出手段14と、温度検出手段14の検出結果に基づいて磁気発生手段12の出力を調整する制御手段16と、検出結果を表示し、各種条件を入力する入力表示手段18を有する。
ここで、図1および図2に示すように、生体Bには、癌細胞を含有する患部Tがあり、この生体Bの患部Tには、磁気微粒子Sが配置されている。また、患部Tの周辺部Aは、癌細胞を含有しない正常細胞のみの領域である。
磁気微粒子Sは、10〜20nmのマグネタイトを脂質(リポソーム)で包み、その周囲に癌細胞に特異的に吸着する抗体をつけた粒子である。この磁気微粒子Sは、平均粒径が50〜200nmの粒子とすることが好ましい。
ここで、磁気微粒子は、上述の微粒子に限定されず種々の微粒子を用いることができ、例えば、MRI造影剤として用いられている生体安全性のデキストランマグネタイトや、特開平11−57031に記載の感磁発熱体も用いることができる。また、磁気微粒子にも限定されず、金属微粒子も用いることができる。ここで、生体への負荷をより小さくすることができるため、磁気微粒子または金属微粒子は、生体への影響の少ないまたは影響のない微粒子とすることが好ましい。
また、磁気微粒子Sを患部Tに配置する方法としては、例えば、磁気微粒子Sを分散させた液体を局部注射により生体Bの患部Tに注入する方法や、本実施形態のように磁気微粒子Sを癌細胞に特異的に吸着する粒子とし静脈注射により血管内注入し体内を循環させ癌細胞と吸着させる、いわゆるDDS方式(ドラックデリバリーシステム)を用いる方法がある。なお、生体Bの患部Tに配置する磁気微粒子Sの量は、癌の大きさなどに基づいて適宜決定すればよい。
以下、ハイパーサーミアシステム10の各部について詳細に説明する。
まず、磁界発生手段12は、生体Bの患部Tに磁束を照射しやすい配置された出力端子20と、磁界を形成する電源部22を有する。
出力端子20は、電源部22に接続されており、電源部22と電気的に接続されたコイル34と、コイル34が巻きつけられているコア36が内蔵されている。
電源部22は、高周波電源30と、共振ユニット32と、コイル34と、コア36とを有する。
高周波電源30は、高周波の交流電流を出力する電源であり、例えば、周波数が50〜500KHzの交流電流を、1〜2Kwの電力で出力する電源である。
高周波電源30は、共振ユニット32を介してコイル34と通電している。
コイル34は、共振ユニット32を介して高周波電源30から高周波の交流電流が供給されることで、交番磁界を発生させる。
コア36は、コイル34の内部(つまり、コイル34の巻線の軸)を挿通して配置されている。また、コア36は、鋼材、フェライトを材料として作製されている。
コア36は、コイル34の内部を挿通しているため、コイル34で発生する交番磁界により励磁される。
このように磁界発生手段12は、コイル34に交番磁界を形成し、コア36を励磁することにより、これらを内蔵した出力端子20で磁界を形成する。
このように、磁界発生手段12は、患部Tに磁束を照射しやすい位置に配置した出力端子20で交番磁界を形成することで、患部Tに配置された磁気微粒子Sを通過する磁束を形成する。ここで、磁界発生手段12が、発生する磁界の強さは1mT〜5mTとすることが好ましい。
磁界発生手段12により、患部Tに配置された磁気微粒子Sに達する磁束を形成する交番磁界が形成されると、交番磁界(以下単に「磁界」ともいう。)がかけられた磁気微粒子Sは発熱する。ここで、磁気微粒子Sの発熱メカニズムは、交番磁界がかけられることにより磁気微粒子に生じるヒシテリシス損やネール緩和により発熱すると考えられている。
磁界発生手段12により磁気微粒子Sに磁界をかけ、磁気微粒子Sを発熱させることで、磁気微粒子Sが配置された患部T以外の領域は、殆どまたは全く加熱することなく、患部Tを加熱することができる。なお、磁気微粒子Sを発熱させる程度の強さの磁界を生体にかけても、生体の細胞はほとんどまたは全く発熱しない。
また、磁気微粒子Sの発熱量は、c(粒子密度)、f(周波数)、磁界の2乗に比例し、磁界は、コイルに流れる電流量に比例するため、コイルに流す電流量を制御することにより、磁気微粒子の発熱量を制御することができる。
温度検出手段14は、生体Bの外周に患部Tを挟み込むように配置され、マイクロ波を送受信するアレイアンテナ24a、24bと、アレイアンテナ24a、24bが送信するマイクロ波を生成し、アレイアンテナ24a,24bが受信したマイクロ波を解析するマイクロ波制御解析部26とを有し、減衰定数(誘電率)の変化により電波の反射・透過特性が変化するという特性に基づいて、患部Tを含む生体Bを透過、反射したマイクロ波を測定し、測定結果から誘電率を算出し、さらにその結果から生体内の温度分布を算出することで、非侵襲で患部Tの温度を測定する。
アレイアンテナ24aとアレイアンテナ24bとは、生体Bを挟んで互いに対抗する位置に配置されている。ここで、アレイアンテナ24aとアレイアンテナ24bとは、同様の形状、構成であるので、以下、代表してアレイアンテナ24aについて説明する。
アレイアンテナ24aは、図3に示すように、断面が円弧となり、温度を測定する領域の断面よりも大きい表面積を有する板状の基材40と、基材40にアレイ状に配置された複数(本実施形態では、m×n個)のアンテナエレメント42とを有する。
また、複数のアンテナエレメント42は、少なくとも送信するマイクロ波の波長の半分以上の距離離間させ、等間隔で基材40に配置されている。
アンテナエレメント42は、生体Bに向けてマイクロ波を放射するマイクロ波用送信アンテナ44(以下単に「送信アンテナ44」ともいう。)、および、生体Bを透過したマイクロ波を受信するマイクロ波用受信アンテナ46(以下単に「受信アンテナ46」ともいう。)とをそれぞれ1つずつ有する。
次に、マイクロ波制御解析部26は、図5に示すように、基本的に、チャープパルスのマイクロ波を発生するチャープパルス発生器48と、マイクロ波を生体(被検体)に走査するために、マイクロ波を送信する送信アンテナ44を選択的に切り替える送信側マルチプレクサ54およびマイクロ波を受信する受信アンテナ46を選択的に切り替える受信側マルチプレクサ56と、送信したマイクロ波と受信したマイクロ波とのビート信号を取り出す帯域通過フィルタ62と、ビート信号のうち、マイクロ波を送受信した送信アンテナ44および受信アンテナ46間を直進するマイクロ波に相当する周波数成分を選択的に取り出すFFTアナライザ64と、取り出された周波数成分から、生体B内の三次元の比誘電率分布を表す三次元画像データを生成する三次元画像データ生成回路66と、生成された三次元データを解析し、誘電率の変化より温度に換算する温度検出回路68とを有する。
チャープパルス発生器48は、数GHzの周波数帯域のマイクロ波を規定の掃引周波数で時間に応じて掃引し、チャープパルスのマイクロ波(以下単に「マイクロ波」という。)を発生させる。チャープパルス発生器48で発生されたマイクロ波は、分配器50によって、増幅器52およびミキサー60に分配される。すなわち、増幅器52、およびミキサー60には、分配器50から同一のマイクロ波が入力される。
増幅器52は、分配器50から入力されたマイクロ波を所定の増幅率で増幅し、送信側マルチプレクサ54に出力する。
送信側マルチプレクサ54は、m×n個の送信アンテナ44のうち、マイクロ波を放射する一個の送信アンテナ44を選択的に切り替える。具体的には、送信側マルチプレクサ54は、アレイアンテナ24aの基材40の曲面の軸方向の一番上(つまり、頭部に最も近い位置)の任意のアンテナエレメント42の送信アンテナ44からマイクロ波を放射し、次に、そのアンテナエレメント42に隣接したアンテナエレメント42の送信アンテナ44からマイクロ波を放射する。このように、送信側マルチプレクサ54は、アレイアンテナ24a及びアレイアンテナ24bの周方向にわたってそれぞれ配置されたm個の送信アンテナ44を順次一個ずつ選択し切り替え、選択した送信アンテナ44からマイクロ波を放射する。その後、アレイアンテナ24aの基材40の曲面の軸方向の上から2段目のアンテナエレメント42についても同様に各送信アンテナ44から順次マイクロ波を放射させ、全周終了したら、さらに一段下のアンテナエレメントについても行い、これを軸方向にn回繰り返す。
次に、受信アンテナ33には、送信側マルチプレクサ54と同様の機能を有する受信側マルチプレクサ56が接続されている。受信側マルチプレクサ56は、m×n個の受信アンテナ46のうち、送信側マルチプレクサ54で選択され、マイクロ波を放射する送信アンテナ44と対向する位置に配された受信アンテナ46が選択されるように切り替える。つまり、送信アンテナ44から放射されたマイクロ波は、点線矢印で示すように生体Bの体内を一部透過して、マイクロ波を放射した送信アンテナ44と対向する位置に配された受信アンテナ46で受信される。
増幅器58は、受信側マルチプレクサ56で選択された受信アンテナ46で受信したマイクロ波を所定の増幅率で増幅し、ミキサー60に出力する。
ミキサー60は、分配器50から入力(送信)されたマイクロ波と、増幅器58から入力(送信)されたマイクロ波とを掛け合わせ、帯域通過フィルタ62に出力する。
帯域通過フィルタ62は、分配器50から入力されたマイクロ波と、増幅器62から入力されたマイクロ波とのビート信号を選択的に取り出す。
FFTアナライザ64は、帯域通過フィルタ62で取り出されたビート信号に対して、高速フーリエ変換を用いたスペクトル分析を行う。FFTアナライザ64は、ビート信号のうち、マイクロ波を送受信した送信アンテナ44および受信アンテナ46間を直進するマイクロ波に相当する時間遅れをもつ周波数成分のみを選択的に取り出す。これにより、時間遅れと所定時間異なる時間遅れをもった回折波や反射波がビート信号から除去され、略直進波成分のみを取り出すことができる。すなわち、マイクロ波をあたかもX線のような直線伝搬するビームとして扱うことができる。
FFTアナライザ64で取り出したデータ(以下「一次元画像データ」ともいう。)は、マイクロ波を送受信した送信アンテナ44および受信アンテナ46間における一次元的なマイクロ波の減衰量を積分した値となっている。マイクロ波の減衰量は、対象物(この場合は生体Bの体内)の導電率と比誘電率によって決まる。このため、マイクロ波の減衰量を解析すれば、対象物の比誘電率分布を知ることができ、比誘電率の変化分を色の階調値に変換して表せば、温度変化分布を画像化することができる。
三次元画像生成回路66は、X線CTなどで用いられる周知の画像再構成法、ボリュームレンダリング法に基づいて、比誘電率分布の一次元画像データから比誘電率分布の三次元画像データを生成する。具体的には、三次元画像生成回路66は、まず、画像再構成法を適用して、アレイアンテナ24a、24bの周方向にわたるm個分の一次元画像データを元に、アレイアンテナ24a、24bの軸方向に直交する面における二次元誘電率分布を表す二次元画像データを求める。
二次元画像データは、アンテナエレメント42が軸方向にn個並んでいるので、n個分求められる。二次元画像データは、送信アンテナ44および受信アンテナ46間にある生体を、アレイアンテナ24a、24bの軸方向に直交する面で輪切りした断層像を表している。
三次元画像生成回路66は、ボリュームレンダリング法により、適当な方法で隣り合う二次元画像データ間の画素補間などを行いつつ、n個分の二次元画像データから三次元画像データを算出する。つまり、二次元画像データで表される断層像を、アレイアンテナ24a、24bの軸方向にn個分積み重ねることで比誘電率分布の三次元画像データを算出する。
温度検出回路68は、三次元画像生成回路66で求めた比誘電率分布の三次元画像データを解析して、生体Bの各部、特に患部Tの温度を取得する。温度検出回路68は、取得した生体の患部T、及び必要な各部の温度のデータを制御手段16に出力する。
このように、温度検出手段14は、チャープパルスのマイクロ波を生体Bに照射して、生体B内の比誘電率分布を取得し、比誘電率の差から生体内の各位置の温度を検出する。
ここで、チャープパルスのマイクロ波による比誘電率の空間分解能は数mmであるため、本実施形態のように測定することで、高い精度で患部の温度を検出することができる。
制御手段16は、設定されている加熱条件、温度検出手段14により検出された患部Tの温度、つまり癌細胞の温度に基づいて、磁界発生手段12の出力、例えばコイル34に流れる電流量、電流を流す時間等を調整し、患部Tの温度を調整する。
例えば、制御手段16は、1回の治療(つまり生体を加熱する時間)を30分程度とすると、約10分程度で患部Tの温度を設定温度まで上昇させ、その後20分間は、設定温度に維持する。ここで、制御手段16は、温度検出手段14により検出した患部Tの温度に基づいてPID制御(例えばフィードバック制御)により磁気発生手段14の出力を制御し、磁気微粒子の発熱量を制御することで患部Tの温度を制御する。なお、設定温度は、1℃から数℃の範囲(幅)を持つ温度範囲としてもよい。
制御手段16による患部の加熱の終了タイミング(具体的には、磁界の発生の終了のタイミング)は、種々の方法で決定すればよく、例えば、全体の加熱時間(つまり、患部Tを加熱するために、磁界発生手段12から磁界を発生させ始めてからの時間、治療時間)や設定温度に達してからの時間が設定された時間を経過したら磁界発生手段による磁界の発生を停止(終了)する方法、患部が設定温度(たとえば45℃)となっていた時間が一定時間(例えば20分)に達したら磁界発生手段による磁界の発生を停止する方法、基準温度(設定温度の一種であり、例えば定常体温)から温度上昇した温度と時間の積が規定値を超えたら磁界発生手段12による磁界の発生を終了する方法等がある。
ここで、患部Tの癌細胞を効果的に壊死(死滅)させることができるため、患部Tが一定の温度となっていた時間が一定時間、もしくは、基準温度から温度上昇した温度と時間の積が規定値以上となるまで患部を加熱することが好ましい。
表示入力部18は、画面を表示する表示部とオペレータが条件を入力することができる入力部とを有するPC(パーソナルコンピュータ)等であり、制御手段16と接続されている。
表示入力部18は、温度検出手段14で検出した生体の各部、具体的には患部とその周辺部の温度分布や、各種条件を表示する。また、表示入力部18は、入力部から入力された加熱時間(治療時間)や、患部の温度の上限値、下限値、設定温度や、患部の場所(加熱する領域)を制御手段16に送信する。
本実施形態のハイパーサーミアシステム10は基本的に以上のような構成である。
次に、ハイパーサーミアシステム10の動作を説明することで、本発明についてより詳細に説明する。
図6は、本発明のハイパーサーミアシステム10を用いた生体の患部の加熱方法の一例を示すフロー図であり、図7は、ハイパーサーミアシステム10の動作の一例を示すフロー図でり、図8は、制御手段16による磁界発生手段12の出力の決定方法の一例を示すフロー図である。
以下、図6を用いて、ハイパーサーミアシステム10を用いた生体の患部の加熱方法を説明する。
まず、生体B内の患部Tを検出する(ステップS10)。
例えば、MRI(Magnetic Resonance Imaging)検査等の精密検査で癌細胞を含有する患部Tを検出する。また、患部Tの検出時に生体B内での患部Tの位置も検出する。
次に、検出した患部Tに磁気微粒子Sを配置する(ステップS12)。
具体的には、上述したように、患部Tに局部注射、またはDDS法を用いた静脈注射で、患部に磁気微粒子Sを配置する。
患部に磁気微粒子Sを配置した後、ハイパーサーミアシステム10により患部Tに配置した磁気微粒子Sに磁界をかけて患部Tを加熱する(ステップS14)。
このように、癌細胞を検出したら、癌細胞を含有する患部に磁気微粒子Sを配置し、ハイパーサーミアシステム10を用いて磁気微粒子Sに時間をかけて患部Tを加熱することで癌細胞を死滅させることができる。
以下、図7を用いて、ハイパーサーミアシステム10の動作、つまり患部Tの加熱方法の一例を説明し、上記のステップ14をより詳細に説明する。
まず、生体B内における患部Tの位置を特定する(ステップS20)。
具体的には、患部Tを検出する際に検出した位置データに基づいて、生体B内における患部Tの位置を特定する。さらに、患部Tの位置から、患部Tの磁気微粒子Sに磁界がかけられ、かつ、患部Tの温度が検出できるように、出力端子20の配置位置、アレイアンテナ24a、24bの配置位置及び生体Bの位置を決定し、各部材及び生体を配置する。
次に、加熱条件を決定する(ステップS22)。
入力表示手段18により入力された各種条件、予め制御手段16に設定されている条件から患部の位置、大きさ、状態等から、磁界発生手段12により患部を加熱する時間、患部の温度の上限値、下限値、設定温度、また、初期時にコイルに印加する電圧及び電流、磁界発生手段で発生させる磁界の強度等の加熱条件を決定する。
次に、患部Tの温度を検出する(ステップS24)。
ステップS20で特定した位置情報に基づいて、患部Tの温度を温度検出手段14で検出する。ここで、温度検出手段14は、上述したように生体を通るようにマイクロ波を送受信し、その検出結果から生体の各部の誘電率を算出し、各部の誘電率から生体の各部の温度を検出する。検出した生体の各部の温度から患部Tに相当する位置の温度を抽出し、患部Tの温度として検出する。
次に、ステップS22で決定された加熱条件、およびステップS24で検出された患部Tの温度に基づいて磁界発生手段12の出力(例えば、発生させる磁界の強度、電源部の電力等)を決定し、決定した出力に基づいて、磁界発生手段12を駆動し、患部Tに配置された磁気微粒子Sに磁界をかける(ステップS26)。
ここで、図8を用いて、ステップS26での磁界発生手段12の出力の決定方法の一例ついて説明する。
まず、ステップS24で検出された患部Tの温度が上限値(つまり、設定した上限温度)を超えているかを判定する(ステップS32)。
患部Tの温度が上限値を超えている場合は、磁界発生手段12の電源部22の出力をOFFにする(ステップS34)。つまり、磁界発生手段12が磁界を発生させていない状態とし、磁気微粒子Sに磁界をかけていない状態とする。
その後ステップS28に進む。
また、患部Tの温度が上限値を超えていない場合は、患部Tの温度が下限値(つまり、設定した下限温度)以下であるかを判定する(ステップS36)。
患部Tの温度が下限値以下である場合は、磁界発生手段12の電源部22の出力がONであるかを判定する(ステップS38)。つまり、磁界発生手段12が磁界を発生させているか否かを判定する。
磁界発生手段12の電源部22の出力がONである場合は、そのままステップS28に進む。
磁界発生手段12の電源部22の出力がONではない、つまり出力がOFFである場合は、磁界発生手段12の電源部22の出力をONにする(ステップS40)。このように、磁界発生手段12の電源部22の出力をONにし、磁界発生手段12から磁界を発生させるようにした後、ステップS28に進む。
また、ステップS36において、患部Tの温度が下限値以下ではない場合は、そのままステップS28に進む。
磁界発生手段12の出力は以上のようにして決定される。
次に、加熱時間(つまり、治療時間)が設定時間を経過したかを判定する(ステップS28)。
加熱時間が設定時間を経過していない場合は、ステップS24に進み、再び患部の温度検出する。
また、加熱時間が設定時間を経過している場合は、処理(治療)を終了する。
このように、非侵襲で生体の深部の温度を検出しつつ、生体の患部に配置した電磁発熱体に生体の深部の温度の検出結果に基づいて出力を調整しつつ、非侵襲で電磁波(磁束)を照射し患部を選択的に加熱することで、生体への負担を少なくしつつ、効率よく、生体の深部の癌細胞も死滅させることができる。また、患部を選択的に加熱できるため、正常細胞に影響を少なくすることができる。
なお、上記実施形態では、ステップS26及び図8のステップS32〜S40において、磁気発生手段12のON/OFF、つまり、磁気発生手段12から磁界を発生させるか発生させないかのみを切り替える場合として説明したが、本発明はこれに限定されず、患部の温度に応じて磁界の強度を決定するようにしてもよい。
また、患部の温度の上限値と下限値とで調整したが、患部の温度を設定温度(例えば、癌細胞を好適に死滅させることができる温度)に近づけるように出力を決定するようにしてもよい。例えば、患部の温度が設定温度よりも高い場合は、磁気発生手段12で発生させる磁界を弱くまたは0とし、患部の温度が設定温度よりも低い場合は、磁気発生手段12で発生させる磁界を強くまたは現状維持とする方法がある。
また、上記実施形態では、ステップS28で、加熱時間が設定時間以上経過している場合に、処理を終了つまり患部Tの加熱を終了したが、本発明はこれに限定されず、上述したように、設定温度に達してからの時間が設定された時間を経過したら処理を終了するようにしても、患部が設定温度となっていた時間が一定時間に達したら処理を終了するようにしても、基準温度から温度上昇した温度と時間の積が規定値を超えたら処理を終了するようにしてもよい。
ここで、ハイパーサーミアシステムは、患部Tを44℃以上46℃以下に加熱することが好ましい。
癌細胞は、43℃以上に加熱されると短時間で壊死するため、患部Tを、45℃程度、具体的には44℃以上46℃以下まで加熱することで、短時間で効果的に癌細胞を壊死させることができる。
また、本発明のハイパーサーミアシステム10は、温度検出手段12で、生体Bの患部Tの温度に替えて、または、生体Bの患部Tの温度とともに、生体Bの患部Tの周辺部(より正確には、生体の患部の周辺部の正常細胞)Aの温度を検出してもよい。なお、上記実施形態の温度検出手段12は、患部Tの周辺部Aの温度を、患部Tの温度の検出と同様の方法で、さらに、患部Tの温度の検出と同時に検出することができる。
本実施形態のように、患部の温度と患部の周辺の温度とを同一の手段で同時に検出することで、装置構成を簡単にすることができる。
また、制御手段16は、温度検出手段12が検出した生体Bの患部Tの温度に替えて、または、生体Bの患部Tの温度とともに、温度検出手段12が検出した患部Tの周辺部Aの温度に基づいて磁気発生手段14の出力を調整してもよい。
例えば、制御手段16で、温度検出手段12の検出結果から、患部Tの周辺の正常細胞の温度が規定温度(たとえば40℃)以上であることを検出した場合は、磁界発生手段14の高周波電源14から出力する電力を弱め、または停止させ、磁界発生手段12が発生させる磁界を弱く、または磁界発生手段12による磁界の発生を停止させる。
このように、温度検出手段14により患部Tの周辺部Aの正常細胞の温度を検出し、その検出結果に基づいて制御手段16により磁気発生手段14の出力を調整し、正常細胞を規定温度(つまりオペレータ等により設定された温度、たとえば40℃)より低い温度に保持することで、正常細胞を高温にすることなく、患部Tの癌細胞だけを高温(例えば45℃程度)にすることができる。これにより、正常細胞を死滅させるまたは正常細胞に負担をかけることなく、患部の癌細胞を死滅させることができる。
なお、より確実に患部の温度と周辺部の温度を調整でき、正常細胞を死滅させるまたは正常細胞に負担をかけることなく、患部の癌細胞を死滅させることができるため、温度検出手段16は、患部と周辺部の両方の温度を検出し、制御手段16は、両方の温度の検出結果に基づいて磁界発生手段16の出力を調整することが好ましい。
また、上記実施形態では、温度検出手段12の検出結果と設定された条件に基づいて、制御手段16が磁界発生手段14の出力、つまり、磁界発生手段14で発生させる磁界の強度を自動的に調整したが、本発明はこれに限定されず、温度検出手段12の検出結果に基づいてオペレータが調整してもよい。
具体的には、まず、温度検出手段12の検出結果を入力表示手段18の表示部に表示する。次に、オペレータは、表示部にされた検出結果に基づいて、磁界発生手段14が発生させる磁界の強度を判断し、所望の強度の数値や、磁界を発生させるか、磁界の発生を停止するか等を入力表示手段18の入力部に入力する。
そして、制御手段16は、入力された情報に基づいて磁界発生手段14を制御する。
このように、表示入力手段18からの入力に基づいて制御部16で磁界発生手段14の出力を調整しても、非侵襲で正確に測定した生体の深部の温度に基づいて決定した磁界発生手段14の出力により患部Tを選択的に加熱することができるため、生体に負担をかけることなく患部Tの癌細胞を死滅させることができる等の上記効果を得ることができる。
以上、本発明に係るハイパーサーミアシステムについて詳細に説明したが、本発明は、以上の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよい。
例えば、本実施形態では、好適に発熱され、また、生体に対する負荷も少ないため、磁気微粒子または金属微粒子を患部に配置したが、本発明はこれに限定されず、磁界をかけられることで発熱する発熱体であればよく、埋め込み型のインプラント(例えば、微小なコイルとコンデンサとで構成された共振回路のユニット)等も用いることができる。インプラントもカテーテル等により挿入することで、生体への負荷を少なくすることができる。
また、生体の正常細胞を全くあるいはほとんど発熱させることなく、発熱体(電磁発熱体)を発熱させることができるため、発熱体を発熱させる電磁波として磁界を形成し、磁束を照射したが、本発明はこれに限定されず、生体の正常細胞を全くあるいは殆ど発熱させることなく発熱体を発熱させることができる種々の電磁波、例えば、マイクロ波帯等も用いることができる。
さらに、本実施形態では、高い測定精度で各位置の温度を検出することができるため、チャープパルスのマイクロ波を照射し、検出した誘電率から各部の温度を検出する温度検出手段を用いたが、本発明はこれに限定されず、生体に非侵襲で、生体の深部の温度を測定することができればよく、例えば、MRIを用いた方式、超音波方式、インピーダンス方式等種々の温度検出手段を用いることが出来る。
また、上記実施形態では、加熱対象を癌細胞とし、癌細胞を死滅させる装置としたが、本発明はこれに限定されず、生体内で選択的に加熱し、一定温度に維持する必要のある加熱対象の加熱にも用いることができる。
(A)は、本発明のハイパーサーミアシステムの一実施形態のハイパーサーミアシステム10の概略構成を示すブロック図であり、(B)は、(A)に示すハイパーサーミアシステムの生体の周辺部を拡大して示す拡大側面図である。 生体の癌部の周辺を模式的に示した拡大断面図である。 図1に示したハイパーサーミアシステムの磁界発生手段の概略構成を示す正面図である。 図1に示したハイパーサーミアシステムの温度検出手段のアレイアンテナの概略構成を示す斜視図である。 図1に示したハイパーサーミアシステムの温度検出手段の概略構成を示すブロック図である。 ハイパーサーミアシステムを用いた生体の加熱方法の一例を示すフロー図である。 ハイパーサーミアシステムの動作の一例を示すフロー図である。 制御手段による磁界発生手段の出力の決定方法の一例を示すフロー図である。
符号の説明
10 ハイパーサーミアシステム
12 磁界発生手段
14 温度検出手段
16 制御手段
18 入力表示手段
20 出力端子
22 電源部
24a、24b アレイアンテナ
26 マイクロ波制御解析部
30 高周波電源
32 共振ユニット
34 コイル
36 コア
40 基材
42 アンテナエレメント
44 マイクロ波用送信アンテナ
46 マイクロ波用受信アンテナ
48 チャープパルス発生器
50 分配器
52、58 増幅器
54 送信側マルチプレクサ
56 受信側マルチプレクサ
60 ミキサー
62 帯域通過フィルタ
64 FFTアナライザ
66 三次元データ画像生成回路
68 温度検出回路
B 被検体(生体)
T 患部
S 磁気微粒子

Claims (10)

  1. 生体内部の加熱対象に電磁発熱体を配置し、前記電磁発熱体に電磁波を照射することで前記電磁発熱体を発熱させ、前記生体内部の加熱対象を加熱するハイパーサーミアシステムであって、
    前記加熱対象に配置された前記電磁発熱体に向けて電磁波を照射する電磁波発生手段と、
    前記生体に非侵襲で前記生体の深部の温度を検出する温度検出手段と、
    前記温度検出手段の検出結果に基づき前記電磁波発生手段が照射する電磁波の出力を制御する制御手段とを有することを特徴とするハイパーサーミアシステム。
  2. 前記加熱対象は、がん組織である請求項1に記載のハイパーサーミアシステム。
  3. 前記温度検出手段は、前記生体の深部の前記加熱対象の温度を検出する請求項1または2に記載のハイパーサーミアシステム。
  4. 前記制御手段は、前記加熱対象の温度が設定温度以上となる時間が設定時間を越えると前記電磁波発生手段による電磁波の照射を停止させる請求項3に記載のハイパーサーミアシステム。
  5. 前記制御手段は、前記温度検出手段で検出された前記加熱対象の温度と基準温度との差と電磁波を照射する時間との積が規定値を超えた場合は、前記電磁波発生手段による電磁波の照射を停止させる請求項3または4に記載のハイパーサーミアシステム。
  6. 前記温度検出手段は、前記加熱対象の周辺の温度を検出する請求項1〜5のいずれかに記載のハイパーサーミアシステム。
  7. 前記制御手段は、前記温度検出手段で検出した前記加熱対象の周囲の温度が規定温度以上である場合は、前記電磁波発生手段により発生させる電磁波の出力を低減また停止させる請求項6に記載のハイパーサーミアシステム。
  8. 前記制御手段は、
    前記温度検出手段により検出された前記生体の深部の温度を表示する表示手段と、
    前記電磁波発生手段から照射する電磁波の出力条件を入力する入力手段とを有する請求項1〜7のいずれかに記載のハイパーサーミアシステム。
  9. 前記電磁波発生手段は、前記電磁発熱体を通過する磁束を形成する磁界発生機構である請求項1〜8のいずれかに記載のハイパーサーミアシステム。
  10. 前記温度検出手段は、チャープパルスのマイクロ波を用いて、前記生体の深部の比誘電率分布を取得する誘電特性取得部と、
    前記誘電特性取得部により取得した比誘電率分布に基づいて前記生体の深部を算出する温度算出手段を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のハイパーサーミアシステム。
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