JP2009121841A - 電子分光分析複合装置、及び電子分光分析方法 - Google Patents

電子分光分析複合装置、及び電子分光分析方法 Download PDF

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Abstract

【課題】単層又は多層の固体試料の表面又界面を形成する化学種の電子構造および局所構造等の高精度な情報を容易に得ることができる電子分光分析装置及び電子分光分析方法を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、真空容器11と、真空容器11内で試料12を保持するための試料保持部13aと、真空容器11における、試料12の測定点12bを臨む位置に配置され、この測定点12bにX線を照射するX線源31、紫外線を照射する紫外線源32及び電子線を照射する複数の電子線源33と、前記X線、紫外線又は電子線が照射されることで試料12から放出される光電子又は試料12によって散乱される電子を検出する電子エネルギー分析器40と、を備え、複数の電子線源33,33,…は、試料表面12aに対する電子線の入射角がそれぞれ異なるように配置されることを特徴とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、単層又は多層の固体試料の表面又は界面を形成する化学種の電子構造及び局所構造の情報を高精度に得るための電子分光分析複合装置及び電子分光分析方法に関する。
従来から、単層又は多層の固体試料(以下、単に「試料」という。)の表面又は界面を分析する方法としては、電子エネルギー損失分光法(EELS)、X線光電子分光法(XPS)及び紫外線光電子分光法(UPS)等による分光法を用いた分析方法が知られている。これらの分光法から得られた各データが分析されることで、試料の表面又は界面における後述の電子構造や局所構造等の情報が得られる。
前記EELS、XPS及びUPSによっては、原子若しくは分子における異なる殻の電子の状態がそれぞれ得られる。具体的には、EELSとは、単色化した電子線が試料表面の測定点に照射され、この試料を透過した電子、又は試料表面で非弾性散乱した電子が検出され、その電子のエネルギーが分光分析される。このようにして、ある元素の化学結合状態に特徴的なエネルギーの損失が検出されることで、試料表面の情報が得られる方法である。特に、前記散乱した電子(以下、「散乱電子」とも称する。)のエネルギーが分光分析される方法は、REELSと呼ばれている。
このEELSから得られるスペクトルは、X線吸収微細構造(XAFS)と同様に原子、分子スケールの構造情報を含んでいる。そのため、試料表面を構成するある分析対象元素に対して配位した原子種、配位数、配位原子との距離などの局所構造、および立体構造、伝導帯の電子状態等に関する情報が得られる。尚、上記EELSにはREELSが含まれる。
また、EELSから得られるスペクトル中に現れるプラズモン・ロスピークからは、バンドギャップや膜の電子密度の情報が得られる。このプラズモン・ロスピークは、価電子帯レベルで起こる電子の集団運動(プラズマ振動)によりエネルギーを損失することによって現れる。
XPSとUPSとは、共に光電子分光法の一種である。光電子分光法とは、試料表面の測定点に励起源から電磁波が照射されると、光電効果によってある元素の化学状態又は結合状態に相応する特有の運動エネルギーを有する光電子が試料表面から放出される。このようにして放出された光電子が検出されて、分光分析されることで試料表面の情報が得られる方法である。このような光電子分光法において、X線を励起源とするものがXPSであり、紫外線を励起源とするものがUPSである。これらXPS、UPSからは、試料表面を構成する各元素の化学結合種、価数、試料の表面状態を反映した価電子帯の電子状態、仕事関数等に関する情報が得られる。
このEELS、XPS及びUPSのような各分光法による試料表面の分析は、同一の試料に対してそれぞれ行われる場合もある(非特許文献1参照)。
さらに、試料表面の情報だけでなく、試料内部の情報、例えば、多層で構成される試料における界面の情報を得るために、試料表面に対する電子線の入射角を変えることができるREELSによる分析装置(以下、単に「REELS分析装置」とも称する。)が開発されている(特許文献1参照)。この分析装置のように、電子線の試料表面に対する入射角が変わることで、この入射角に対応して試料表面から内部に入射する電子線の入射深さが変わる。そのため、この分析装置によれば、電子線の前記入射深さに応じた試料内部の電子構造又は局所構造等の情報が得られる。
また、試料表面の電子線照射位置である測定点を変えることなく試料表面に対する電子線の入射角を変更可能な電子銃と、試料表面で散乱される散乱電子の検出角を変更可能とした電子エネルギー分析器と、を備えるREELS分析装置も開発されている(特許文献2参照)。この分析装置によれば、非弾性散乱原子の周囲に存在する原子のうち一方向の構造情報だけなく、全方向の構造情報が得られる。
JOURNAL OF APPLIED PHYSICS 99、044911 (2006) 特開昭63−190239号公報 特開平5−332959号公報
ところで、単層又は多層の試料の表面又は界面を形成する化学種の電子構造及び局所構造等の高精度な情報を得るためには、単一の分光法による試料の分析だけでなく複数の分光法による分析が必要となる。例えば、NbN薄膜やNbN薄膜の表面の電子構造を調べるためには、一般にXPSによって測定される。その際、上記非特許文献1に示されるように、さらにUPSやEELS等の分光法による測定が行われ、これら複数の分光法により得られた各情報が解析されることで、試料表面の電子構造等の情報がより高精度に得られる。
しかし、従来の分析装置は、XPSによる分析はX線光電子分光分析装置、UPSによる分析は紫外線光電子分光分析装置、界面の情報を得るためには上記特許文献1に記載されたREELS分析装置等のように、各分光法や測定目的毎に個別の装置しかなかった。従って、試料の表面等における電子構造等の高精度な情報を得ためには、各分光法等による測定・分析が各分析装置によって個別に行われる必要があった。
この場合、各分析装置間で試料の移動が必要となる。そのため、作業時間、例えば、一つの分析装置からの試料の取り出しや移動、他の分析装置への導入、調整等の合計時間の増加が生じるほか、各分析装置にセットした際の測定点のずれ、分析装置間の移動中の大気による試料表面の汚染等が生じる。その結果、得られた分析装置毎のデータは、それぞれの環境、条件及び装置関数を持った個別のデータとして得られる(図5の各スペクトルの形状を参照)。しかし、上記のような測定点のずれや試料表面の汚染等のため、各データを一つにして、即ち、図5における各スペクトルを結合して一つの連続したスペクトルにして、試料の表面又は界面の特定した測定点の電子構造等の情報を総合的には評価できない、若しくは極めて困難且つ煩雑になるという問題が生じていた。
また、上記に示すような文献1及び2に記載された分析装置では、試料における目的の電子構造や局所構造等の情報を得るために、電子ビームの入射角や電子の検出角が可動される必要がある。そのため、電子銃等が所定位置まで動かされるのに所定の時間が必要とされる。また、再度、同じ入射角で電子ビームを試料に入射させる際に、前記入射角の再現性の確保が非常に困難となる。そのため、分析装置の操作上及び測定上、非常に煩雑且つ困難になると共に効率的でないといった問題が生じる可能性がある。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、単層又は多層の固体試料の表面又は界面を形成する化学種の電子構造および局所構造等の高精度な情報を容易に得ることができる電子分光分析装置及び電子分光分析方法を提供することを課題とする。
そこで、上記課題を解消すべく、本発明に係る電子分光分析複合装置は、真空容器と、該真空容器内で試料を保持するための試料保持部と、前記真空容器における、前記試料保持部で保持される試料の測定点を臨む位置に配置され、この測定点にX線を照射するX線源、紫外線を照射する紫外線源及び電子線を照射する複数の電子線源と、前記X線、紫外線又は電子線が照射されることで前記試料から放出される光電子又は前記試料によって散乱される電子を検出する電子エネルギー分析器と、を備え、前記複数の電子線源は、前記試料の表面に対する電子線の入射角がそれぞれ異なるように配置されることを特徴とする。
かかる構成によれば、試料が試料保持部に保持された状態で、XPS、UPS及びEELS(REELSを含む。)による各測定及び分析が行われるため、試料を分析装置間で移動させる際の作業時間の増加や、各測定における測定点のずれが生じない。さらに、同一真空容器内で前記各測定が行われることから試料が大気に曝されることがない。そのため、試料の大気による汚染も生じない。従って、前記各測定法によって得られたデータが総合的に評価でき、試料の表面又は界面の電子構造や局所構造、電子状態、仕事関数、バンドギャップ等の高精度な各種情報が得られる。
また、電子線源を動かすことなく、試料表面の測定点に対して異なる入射角で複数の電子線が順に照射できる。そのため、電子線の入射角に対応した入射深さでの試料の構造情報を得る際に、電子線源を所定の位置まで移動させる時間が必要ない。さらに、再度、同じ入射角で電子線を入射させる際に、電子線源が動かないように構成されていることから、前記入射角の再現性の確保が極めて容易である。
また、一つの電子エネルギー分析器によって光電子や散乱電子を検出することができるため、装置の小型化及びコストの削減が図られる。
また、前記複数の電子線源は、前記試料の表面に対し、垂直方向から電子線を照射する垂直電子線源と、低角度から電子線を照射する低角度電子線源との2つの電子線源であり、前記電子エネルギー分析器は、前記低角度電子線源と前記試料を挟んで対向し、且つ検出角が前記試料の表面に対する前記低角度電子線源からの電子線の入射角に対応する角度となるような位置に配置される構成であってもよい。
かかる構成によれば、2つの電子線源で試料表面とこの試料内部との電子構造等の情報が得られる。即ち、試料表面から内部に向かって大きく異なる深さ位置での電子構造等の情報が得られる。その結果、電子線源の数が少なくて済み、分析装置の構造の簡素化と共に省コスト化が図られる。尚、本発明において、前記低角度とは、照射した電子線を構成する電子が試料内部に殆ど入り込むことなく、試料表面の数原子層において散乱されるような角度をいう。
また、低角度から試料表面に電子線が照射された場合、該電子線による散乱電子、即ち、試料表面によって非弾性散乱される電子の収量は非常に少ない。そのため、電子エネルギー分析器は、試料表面に対して前記低角度電子線源の照射角と対応する角度、即ち、前記照射された電子線が前記試料の測定点で正反射(例えば、入射角と反射角とが同一となる反射)した場合の軌道近傍において前記散乱電子を検出することで、該散乱電子を効率良く検出できる。
また、前記電子線源は、走査型電子銃である構成であってもよい。
かかる構成によれば、試料表面の前記測定点を含む所定の領域が所定の加速電圧による電子線で走査される。その際、走査された領域において目的のエネルギーに特性を持つ原子や結合状態等によって電子エネルギーの損失が起こる。前記領域における、原子や結合状態等によって前記電子エネルギーの損失が起きた測定点とそのエネルギー損失を含む散乱電子の収量変化とを電子エネルギー分析器が検出して走査と収量とを同期させて画像化することで、前記領域における化学状態別の分布マップが得られる。
また、前記試料の表面に対する電子線の入射角が10°〜15°となるように、前記低角度電子線源が配置される構成であってもよい。
かかる構成によれば、試料表面で散乱した散乱電子が効率よく放出される。そのため、前記試料表面の数原子層における電子構造等の情報が得易い。
また、前記垂直電子線源から照射される電子線によって前記試料から放出される二次電子を検出する二次電子検出器が前記試料の測定点を臨む位置にさらに備えられる構成であってもよい。
かかる構成によれば、二次電子検出器によって検出された二次電子に基づいて、前記試料の測定点における試料表面の像を得ることができ、前記試料表面の状態が視覚的情報として得られる。
また、前記X線源、紫外線源及び電子線源の各励起源から前記試料へ照射することによって前記電子エネルギー分析器で検出された前記光電子又は散乱された電子に基づく各スペクトルをエネルギーにおいて結合し、一つの連続したスペクトルを作ることができるスペクトル測定手段を備え、前記スペクトル測定手段は、検出された前記光電子又は散乱された電子に基づいて各スペクトルを得るための共通の補正関数(装置関数)を有する構成とすることができる。
かかる構成によれば、前記各励起源による試料への照射によって個別に得られた各スペクトルがエネルギーにおいて結合でき、一つの連続したスペクトルが得られる。即ち、各励起源での測定によって得られた各スペクトルは、エネルギーに関する共通の補正関数(装置関数)を用いてスペクトル測定手段によってそれぞれ形成される。そのため、前記各スペクトルは、エネルギーに関する補正関数(装置関数)の違いを考慮する必要なく、容易に一つのスペクトルとして結合される。
さらに、このようにして得られた前記一つの連続したスペクトルに基づき、前記各光源での測定によって得られたデータが総合的に評価可能となる。即ち、同一の真空容器内で、試料保持部に保持された状態で試料の測定点が移動することなく各励起源による測定が行われる。そのため、上記同様、各励起源での測定における測定点のずれや大気による試料表面の汚染が生じない。従って、上記ずれや汚染等の問題を考慮することなく、得られた前記一つの連続したスペクトルに基づき各励起源での測定を総合的に評価できる。
また、前記試料保持部の姿勢を制御する姿勢制御手段をさらに備え、該姿勢制御手段は、前記試料保持部に保持された試料の測定点と前記真空容器との相対位置を変えることなく試料保持部の姿勢を変更可能に構成され、前記X線源及び紫外線源は、前記試料の測定点よりも、前記電子エネルギー分析器と低角度電子線源とを結ぶ方向における電子エネルギー分析器側に配置される構成であってもよい。
かかる構成によれば、前記試料表面が該試料表面の測定点と電子エネルギー分析器とを結ぶ方向に直交するような姿勢となるよう、前記姿勢制御手段によって試料保持部の姿勢が変更されても、X線源(又は紫外線源)は、試料の測定点にX線(又は紫外線)を照射することができる。そのため、試料表面から放出される光電子が電子エネルギー分析器によって効率良く検出され、試料表面の電子構造等の情報がより詳細に得られる。
また、前記試料の測定点に対してスパッタエッチングを行うためにイオンビームを照射するイオン銃が前記試料の測定点を臨み、且つ前記電子エネルギー分析器と低角度電子線源とを結ぶ方向における電子エネルギー分析器側にさらに備えられる構成であってもよい。
かかる構成によれば、X線又は紫外線が照射される際に前記試料保持部が上記のように姿勢を変更しても、試料の測定点付近のスパッタエッチングが可能となる。そのため、試料の深さ方向での組成分布に加え、深さ方向での電子構造等の情報が高精度に得られる。
さらに、前記試料保持部が上記のように姿勢を変更しても試料表面の汚染物や酸化皮膜を除去することも可能となるため、前記情報がより高精度且つ詳細に得られる。
また、前記試料保持部には、試料を加熱又は冷却するための加熱手段又は冷却手段の少なくとも一方が具備される構成であってもよい。
かかる構成によれば、試料の加熱又は冷却処理が可能となるため、真空容器内で加熱又は冷却処理された後の試料についても、表面等における電子構造等の情報が得られる。
また、上記課題を解消すべく、本発明に係る複合電子分光分析方法は、真空容器内に試料を導入してこの試料の測定点が前記真空容器内の所定位置となるように配置し、前記試料の測定点に対してX線及び紫外線を個別に照射した後、同一の測定点に対して複数の方向から順に電子線を照射し、前記照射されたX線、紫外線又は電子線によって試料から放出される光電子又は試料によって散乱される電子を同一の電子エネルギー分析器によってそれぞれ検出することを特徴とする。
かかる構成によれば、同一真空容器内の所定位置から試料の測定点を移動させることなく各励起源によって前記試料の同一の測定点が順に照射されるため、上記同様、分析装置間を移動させるための作業時間の増加や、測定点のずれが生じない。さらに、試料が大気に触れることがないため、前記試料の大気による汚染も生じない。そのため、各励起源の照射によって検出された(得られた)各データが総合的に評価され、試料の表面等における電子構造等の各種データが得られる。
このとき、原子との相互作用の大きい電子線がX線及び紫外線の照射よりも後から照射されるため、得られたデータに関し、電子線による試料表面の損傷を考慮する必要がない。従って、容易に高精度且つ詳細な前記試料の表面等における電子構造等の情報が得られる。
また、電子線の入射角に対応した入射深さの試料の構造情報を得るために、電子線の照射方向を動かすことなく試料表面の測定点に対して異なる入射角で電子線を照射できる。そのため、電子線の照射方向を動かすための時間が必要ない。さらに、再度、同じ入射角で電子線を入射させる際に、前記入射角の再現性の確保が極めて容易である。
また、同一の電子エネルギー分析器で前記光電子又は散乱電子が検出されることから、測定(分析)が容易に行われると共にコスト削減が図られる。
また、前記複数の方向から照射する電子線は、前記試料の表面に対し、垂直方向から照射する垂直電子線又は低角度から照射する低角度電子線のどちらか一方から順に照射する2方向からの電子線であり、前記低角度電子線の照射位置と前記試料を挟んで対向し、且つ前記試料の表面に対する前記低角度電子線の入射角に対応する角度となるような位置で、前記電子エネルギー分析器によって前記試料によって散乱される電子をそれぞれ検出する構成であってもよい。
かかる構成によれば、2回の電子線の照射で、試料表面とこの試料内部との電子構造等の情報が得られる。即ち、試料表面から内部に向かって大きく異なる深さ位置での電子構造等の情報が得られる。その結果、電子線を照射する回数が少なくて済み、手順の簡素化と共に省コスト化が図られる。
また、低角度から試料表面に電子線が照射された場合、該電子線による非弾性散乱電子の収量は非常に少ない。そのため、上記同様に、前記照射された電子線が測定点で正反射(例えば、入射角と反射角とが同一となる反射)した場合の軌道近傍に散乱電子を放出するため、前記電子エネルギー分析器が該散乱電子を効率良く検出できる。
また、紫外線、X線を順に照射した後、低角度電子線又は垂直電子線をどちらか一方から順に照射する構成であってもよい。
かかる構成によれば、試料表面が紫外線で測定された後、X線によって紫外線よりも深いエネルギー準位の電子構造等の情報が測定される。その後、粒子線である電子線でさらに電子構造等の情報が測定される。このような順で照射されることで、前に照射された各励起線による試料の損傷が十分抑えられる。従って、各励起線を上記の順に照射することで試料の損傷が抑えられて高精度且つ詳細な前記試料の表面等における電子構造等の情報が得られる。
以上より、本発明によれば、単層又は多層の固体試料の表面又界面を形成する化学種の電子構造および局所構造等の高精度な情報を容易に得ることができる電子分光分析複合装置及び電子分光分析方法を提供することができるようになる。
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1乃至3に示されるように、電子分光分析複合装置(以下、単に「分析装置」とも称する。)10は、真空容器11内に、単層又は多層の固体試料(以下、単に「試料」と称する。)12を保持するための試料保持部(ステージ)13aと、保持された試料12に電磁波又は電子線を照射するための複数の励起源30と、励起源30からの前記照射によって試料12から放出される電子(光電子)又は試料12によって散乱される電子(散乱電子)を検出するための電子エネルギー分析器40と、を備える。このように構成される分析装置10は、電子エネルギー分析器40で検出した前記光電子又は散乱電子に基づき、試料12の表面又は界面を形成する化学種の電子構造及び局所構造等の高精度な情報を得ることができる。
以下、分析装置10について詳細に説明する。真空容器11は、中空の球状に形成された、いわゆる真空チャンバーであり、真空容器11内を排気して超高真空にするための真空排気装置系(図示せず)を備えている。
ステージ(試料保持部)13aは、試料12を載置・保持するためのものであり、真空容器11の中央に配置されている。また、ステージ13aは、このステージ13aの姿勢を制御する姿勢制御手段13bと共に、マニピュレータ13を構成している。
より詳細には、ステージ13aは、試料12を保持した際、試料12の測定点12bが真空容器11の中央に位置するように配置されている。このステージ13aに接続され、その姿勢を制御する姿勢制御手段13bは、試料12の測定点12bと真空容器11との相対位置を変えることなくステージ13aの姿勢を変更可能に構成されている。即ち、姿勢制御手段13bは、ステージ13aに保持された試料12の測定点12bが常に真空容器11の中央に位置した状態で、ステージ13aの姿勢を変更することができる。ステージ13aは、さらに試料12を加熱又は冷却するための加熱手段又は冷却手段の少なくとも一方を具備する。本実施形態において、ステージ13aは、保持した試料12に対して加熱及び冷却が可能な加熱・冷却器13cを具備する。
複数の励起源30は、ステージ13aに保持された試料表面12aの測定点12bに電磁波又は電子線を照射するためのものである。この複数の励起源30は、X線を照射するX線源31と、紫外線を照射する紫外線源32と、電子線を照射する複数の電子線源33,33,…とで構成されている。これら各励起源31,32,33は、試料12の測定点12bに電磁波(X線又は紫外線)又は電子線を照射できるよう、真空容器11の前記測定点12bを臨む位置に配置されている。また、複数の電子線源33,33,…は、各電子線源から照射される電子線の試料表面12aに対する入射角がそれぞれ異なるような位置に配置されている。
複数の電子線源33は、本実施形態においては、2つの電子線源33,33で構成されている。試料表面12aが水平方向に沿うようにステージ13aの姿勢が設定されている場合において(図2又は図3参照)、一方の電子線源33aは、試料表面12aに対し、低角度(水平に近い角度)から電子線を照射するように真空容器11へ配置された低角度電子線源33aである。本実施形態において、前記低角度とは、照射した電子線を構成する電子が試料12の内部に殆ど入射することなく、試料表面12aにおいて散乱されるような角度をいう。具体的には、試料12の表面に対して約0°〜30°である。本実施形態においては、低角度電子線源33aは、当該低角度電子線源33aの立体的構造を考慮し、より測定点に近づけるために前記試料表面12aに対する電子線の入射角が10°〜15°となるよう(図3中のα参照)、真空容器11に配置されている。また、他方の電子線源33は、試料表面12aに対し、垂直方向から電子線を照射するように真空容器11へ配置された垂直電子線源33bである。これら2つの電子線源33a,33bは、共に走査型電子銃で構成されている。
電子エネルギー分析器40は、本実施形態においては、光電子又は散乱電子を検出するだけでなく、この検出した光電子又は散乱電子に基づいて分析を行い、スペクトルの波形等の各種データを出力可能に構成されている。この電子エネルギー分析器40は、真空容器11において、低角度電子線源33aと試料12(測定点12b)を挟んで対向し、且つ検出角が試料表面12aに対する低角度電子線源33aからの電子線の入射角に対応する角度となるような位置に配置される。
即ち、装置10を平面方向から見た場合、電子エネルギー分析器40と試料12と低角度電子線源33aとが同一直線上に位置するように配置されている。また、前記同一直線を通る垂直断面において、電子エネルギー分析器40は、低角度電子線源33aから照射される電子線が試料12の測定点12bにおいて正反射された場合の電子線の軌道から僅かにずれた位置に配置される。これは、電子エネルギー分析器40(より詳しくは電子エネルギー分析器40の検出部)が前記電子線の正反射した軌道上に位置する場合、即ち、前記電子線の入射角と同じ検出角の場合、電子エネルギー分析器40に到達する測定点からの散乱電子の放出量が多すぎて検出不能になる可能性があるからである。
X線源31及び紫外線源32は、真空容器11において、他の構成の配置を阻害しない位置であって、試料12の測定点12bを臨む位置であれば、特に位置を限定されずに配置される。即ち、本実施形態の場合、X線源31及び紫外線源32は、真空容器11において、マニピュレータ13、低角電子線源33a、垂直電子線源33b及び電子エネルギー分析器40、並びに後述する試料導入機14の配置及び動作を阻害せず、測定点12bにX線又は紫外線を照射できる位置に配置される。
好ましくは、X線又は紫外線の照射によって試料12から放出される光電子が効率良く電子エネルギー分析器40に到達するような位置である。具体的には、X線源31及び紫外線源32の配置位置は、試料12の測定点12bよりも、電子エネルギー分析器40と低角度電子線源33aとを結ぶ方向における電子エネルギー分析器40側となる位置である。即ち、試料表面12aがこの試料表面12aの測定点12bと電子エネルギー分析器40とを結ぶ方向に直交するような姿勢となるよう、姿勢制御手段13bによってステージ13aの姿勢が変更された際に、X線源31(又は紫外線源32)が試料12の測定点12bにX線(又は紫外線)を照射することができるような位置である。
本実施形態において、X線源31(又は紫外線源32)から試料12の測定点12bを結ぶ線と、試料12の測定点12bから電子エネルギー分析器40とを結ぶ線とのなす角は、放出される光電子を多く検出することを考慮して50°〜60°であり、より好ましくは55°である。これは、50°よりも小さいと、X線源31(又は紫外線源32)の先端部が試料表面12aに接触する可能性があり、この接触を避けるためにX線(又は紫外線)の出射口と試料表面12aまでの距離(作動距離)を長くするとX線(又は紫外線)の強度が不足するという問題が生じる。また、60°よりも大きいと、X線源31(又は紫外線源32)が電子エネルギー分析器40と接触する可能性があり、この接触を避けるために作動距離を長くすると、上記同様、X線(又は紫外)の強度が不足するという問題が生じるからである。
また、本実施形態において、分析装置10は、さらに、試料導入機14と、イオン銃15と、中和銃16と、二次電子検出器17と、を備える。
試料導入機14は、真空容器11の外部からステージ13aに試料12を導入するためのものである。この試料導入機14は、排気可能な気密室からなる前室14aと、真空容器11内部と前記前室14aとの気密を保つことができるゲートバルブ14bと、を備えている。このゲートバルブ14bは、前室14aよりも真空容器11側に配置されている。また、前室14aには、内部を排気するための真空排気装置系(図示せず)が接続されている。この試料導入機14は、真空容器11において、ステージ13aに試料12を載置できる位置であれば、特に位置を限定されずに配置される。本実施形態において、試料導入機14は、傾けると不都合が生じる試料12であってもステージ13aに容易に載置できるよう、ステージ13aと同一水平面上に位置するように配置されている。
イオン銃15は、試料12の測定点12b及びその付近に対してスパッタエッチングを行うためのイオンビームを照射するものである。また、中和銃16は、試料12の測定点12b及びその付近における帯電を中和させるためのイオンビームを照射するものである。これら、イオン銃15及び中和銃16は、真空容器11において、各励起源(X線源31、紫外線源32及び電子線源33)30、電子エネルギー分析器40、マニピュレータ13及び試料導入機14の配置及び動作を阻害せず、測定点12bにイオンビームを照射できる位置に配置される。
尚、本実施形態のイオン銃15においては、試料表面12aがこの試料表面12aの測定点12bと電子エネルギー分析器40とを結ぶ方向に直交するような姿勢となるよう、姿勢制御手段13bによってステージ13aの姿勢が変更された際に、試料の測定点12bにイオン銃15のイオンビームを照射可能な位置である。また、試料表面12aに対する前記イオン銃15のイオンビームの照射角度が高角となる(直交する方向により近くなる)位置がより好ましい。これは、同じイオンビームであれば照射角が高角になるほど、試料表面12aにおいて、イオンビームの照射面積が抑えられるためである。
二次電子検出器17は、垂直電子線源33bから照射された電子線によって試料12から放出される二次電子を検出するためのものである。この二次電子検出器17は、真空容器11における、各励起源30、電子エネルギー分析器40、マニピュレータ13、試料導入機14、イオン銃15及び中和銃16の配置及び動作を阻害せず、試料12から放出される二次電子を効率良く検出できる位置に配置される。尚、二次電子検出器17は、ステージ13aの姿勢を変えることで検出効率を変えることができるため、どこに配置しても良いが、本実施形態では、試料12を水平面に対して45°傾けた際に効率よく強度が得られるよう、水平面に対して低角度(0°)に配置されている。
また、分析装置10には、スペクトル測定手段(図示せず。)が備えられている。各励起源31,32,33からの試料12への照射によって電子エネルギー分析器40で検出された前記光電子又は散乱された電子に基づいて前記スペクトル測定手段によって得られる各スペクトルは、エネルギー上で結合することができるスペクトルになる。これは、前記スペクトル測定手段が固有の補正関数(装置関数)を有しているため、前記電子エネルギー分析器40で検出された前記光電子又は散乱された電子に基づく各スペクトルは、同じ補正関数の影響を受けたスペクトルとなるからである。そのため、前記スペクトル測定手段によって得られた前記各励起源31,32,33に対応する各スペクトルから連続したスペクトルを形成することができる(図4参照)。このようにして作成されたスペクトルは、モニターやプリンタ等の出力手段(図示せず)によって出力される。尚、連続したスペクトルに結合することなく、従来の個別の分析装置で分析したように、各スペクトルが個別に出力されても良い(図5参照)。
本実施形態に係る電子分光分析複合装置10は、以上の構成からなり、次に、この電子分光分析複合装置10の測定(分析)方法について説明する。
まず、真空容器11内が接続されている真空排気装置系によって排気、いわゆる真空引きされ、超高真空状態にされる。この状態で、試料12が試料導入機14によって真空容器11の外部からステージ13a上に導入される。このとき、試料導入機14では、試料12が前室14a内に搬入され、前室14a内が高真空程度になるまで、接続されている真空排気装置系によって真空引きされる。その後、前室14aと真空容器11内とを仕切っているゲートバルブ14bが開放され、前室14aと真空容器11内とが連通する。この状態で、試料導入機14によって、前室14a内の試料12がステージ13a上に載置される。
次に、必要に応じて、イオン銃15を作動してイオンビームが試料表面12aに照射される。これによって、試料表面12aの汚染物や酸化皮膜が均一にエッチング処理され、除去される。
そして、各励起源30から電磁波又は電子線が試料12に照射される。具体的には、まず、紫外線源32を作動して紫外線が試料12(測定点12b)に照射される。この紫外線の照射によって試料12から放出される光電子を電子エネルギー分析器40が検出し、分析する。このようにして電子エネルギー分析器40からUPSスペクトルデータが得られる。また、紫外線が試料12に照射される際に、マニピュレータ13を作動させ、電子エネルギー分析器40が効率良く光電子を検出できるよう、ステージ13aの姿勢が変更される。即ち、試料表面12aがこの試料表面12aの測定点12bと電子エネルギー分析器40とを結ぶ方向に直交するような姿勢(方向)となるよう、姿勢制御手段13bによってステージ13aの姿勢が変更される。
紫外線の照射により所望のデータが得られた後、紫外線源32が停止され、若しくは紫外線の照射が止められる。その後、X線源31を作動してX線が試料12(測定点12b)に照射される。このX線の照射によって試料12から放出される光電子を電子エネルギー分析器40が検出し、分析する。このようにして電子エネルギー分析器40からXPSスペクトルデータが得られる。尚、紫外線の照射後、ステージ13aは、電子エネルギー分析器40が効率良くX線の照射により放出される光電子を検出できるよう、X線照射用の姿勢に変更されるのが好ましい。
X線の照射により所望のデータが得られた後、X線源31が停止され、若しくはX線の照射が止められる。そして、マニピュレータ13を作動させ、試料表面12aを水平にすべくステージ13aの姿勢が変更される。その後、低角電子線源33a又は垂直電子線源33bを作動させて電子線が試料12(測定点12b)に照射され、試料によって散乱された電子(散乱電子)を電子エネルギー分析器40が検出し、分析する。このようにして電子エネルギー分析器40から、試料表面12a及び入射深さに応じた位置のREELS及びプラズモン・ロスピークのデータが得られる。
試料表面12aに対し、低角からの電子線照射及び垂直方向からの電子線照射により、それぞれ所望のデータが得られた後、低角電子線源33a及び垂直電子線源33bが停止され、若しくは電子線の照射が止められる。尚、本実施形態においては、紫外線、X線、照射角度のことなる電子線が順に照射され、各スペクトルが連続して測定されているが、個々のスペクトルのみが測定されてもよい。
また、イオン銃15は、上記のように、測定する試料表面12aの汚染物や酸化皮膜の除去だけでなく、試料12の深さ方向の分析を行う際にも使用される。即ち、イオン銃15を作動させてイオンビームが試料表面12aに照射されることで、試料表面12aの所定の領域が均一に一定の深さでエッチングされる。この状態で、各励起源30から電磁波又は電子線が照射されることにより、前記一定の深さにおける試料12の電子構造等の情報が得られる。その後、上記手順を繰り返すことで、試料12の深さ方向の電子構造等の情報が得られる。
また、加熱処理(又は冷却処理)の後の試料12の表面等における電子構造等の情報が必要な場合には、上記手順において、ステージ13a上に試料12が載置された後、ステージ13aが具備する加熱・冷却器13cによって、試料12の加熱(又は冷却)処理を行う。その後、上記手順に従い各励起源30が照射されて、測定(分析)が行われる。
次に、分析装置10の作用・効果について説明する。
分析装置10は、一の真空容器11と、この真空容器11内で試料12を保持するためのステージ13aと、真空容器11における、試料12の測定点12bを臨む位置に配置され、この測定点12bにX線を照射するX線源31、紫外線を照射する紫外線源32及び電子線を照射する複数の電子線源33,33,…と、前記各励起源31,32,33から照射されることで試料12から放出される光電子又は試料12によって散乱される散乱電子を検出する電子エネルギー分析器40と、を備える。そして、複数の電子線源33,33,…は、試料表面12aに対する電子線の入射角がそれぞれ異なるように配置されている。そのため、試料12がステージ13aに保持された状態で、XPS、UPS及びREELSによる各測定(分析)が行われ、従来のように試料12を分析装置間で移動させる際の作業時間の増加や、各測定における測定点のずれが生じない。さらに、同一真空容器11内で前記各測定が行われることから試料12が大気に曝されることがない。そのため、試料12の大気による汚染も生じない。従って、前記各測定法によって得られたデータが総合的に評価でき、試料12の表面又は界面の電子構造や局所構造、電子状態、仕事関数、バンドギャップ等の高精度な各種データ(情報)が得られる。また、得られたデータ(スペクトル)は、試料12の同一測定点12bでの結果であるため、測定点誤差によるスペクトル間での評価の分かれといった問題も解消される。
また、電子線源33を動かすことなく、試料表面12aの測定点12bに対して異なる入射角で複数の電子線33,33,…が順に照射できる。そのため、電子線の入射角に対応した入射深さでの試料12の構造情報を得る際に、電子線源33を所定の位置まで移動させる時間が必要ない。さらに、再度、同じ入射角で電子線を入射させる際に、電子線源33を動かす必要がないことから、前記入射角の再現性の確保が極めて容易である。
また、一つの電子エネルギー分析器40によって光電子や散乱電子を検出することができるため、装置10の小型化及びコストの削減が図られる。
本実施形態の場合、複数の電子線源33,33,…は、試料表面12aに対し、垂直方向から電子線を照射する垂直電子線源33bと、低角度から電子線を照射する低角度電子線源33aとの2つの電子線源である。そして、電子エネルギー分析器40は、低角度電子線源33aと試料12を挟んで対向し、且つ検出角が試料表面12aに対する低角度電子線源33aからの電子線の入射角に対応する角度となるような位置に配置される。そのため、2つの電子線源33,33で試料表面12aとこの試料内部との電子構造等の情報が得られる。即ち、試料表面12aから内部に向かって大きく異なる深さ位置での電子構造等の情報が得られる。その結果、電子線源33の数が少なくて済み、分析装置10の構造の簡素化と共に省コスト化が図られる。
尚、本実施形態の場合、低角度電子線源33aは、試料表面12aに対する電子線の入射角が10°〜15°となるような位置に配置されている。そのため、試料表面12aの数原子層での電子構造等の情報を得るのに適した散乱電子が効率よく放出され、試料表面12aの電子構造等の情報が得易い。
ところで、低角度から試料表面12aに電子線が照射された場合、該電子線による非弾性散乱電子の収量は非常に少ない。そのため、上記のように、照射された電子線が測定点12bで正反射した場合の軌道近傍位置において散乱電子を検出することで、即ち、低角電子線源33aの照射角に対応した低角度の検出角とすることで、電子エネルギー分析器40は、前記散乱電子を効率良く検出することが可能となる。
また、本実施形態においては、紫外線、X線が順に照射された後、低角度電子線又は垂直電子線が順に照射される。そのため、試料表面12aが紫外線で測定された後、X線によって紫外線よりも深い位置の電子構造等の情報が測定される。その後、原子との相互作用のより大きな電子線でさらに電子構造等の情報が測定される。このような順で照射されることで、前に照射された電磁波又は電子線による試料12の損傷を考慮する必要がない。従って、より高精度且つ詳細な前記試料12の表面等における電子構造等の情報が得られる。
また、低角及び垂直電子線源33a,33bは、共に走査型電子銃で構成されているため、試料表面12aにおける測定点12bを含む所定の領域が所定の加速電圧による電子線で走査される。その際、走査された領域において着目するエネルギーと相互作用する原子や結合状態等によって電子エネルギーの損失が起こる。そして、前記領域における、原子や結合状態等によって電子エネルギーの損失が起きる測定点と、そのエネルギー損失を含む散乱電子の強度変化と、を電子エネルギー分析器が検出し、走査と収量とを同期させて画像化することで、前記領域における化学状態別の分布マップが得られる。
また、垂直電子線源33bから照射される電子線によって試料12から放出される二次電子を検出する二次電子検出器17が試料12の測定点12bを臨む位置にさらに備えられている。そのため、二次電子検出器17によって検出された二次電子に基づいて、試料12の測定点12bにおける試料表面12aの像を得ることができ、試料表面12aの状態が視覚的情報として得られる。
また、各励起源31,32,33から試料12へ照射することによって電子エネルギー分析器40で検出された光電子又は散乱電子に基づいてスペクトル測定手段によって各励起源31,32,33に対応するスペクトルを得ることができる。これらのスペクトルは、前記スペクトル測定手段固有の補正関数(装置関数)の影響を受けている。そのため、各励起源31,32,33による試料12への照射によって個別に得られたスペクトルが結合でき、1つの連続したスペクトルが得られる。より詳細には、各励起源31,32,33による試料12への照射によって電子エネルギー分析器40で得られたデータの中の1つのデータを使い、表示したスペクトル中の既知のピーク位置をもってエネルギー較正を行う。そのときのズレ幅を他のデータにも適用することで、1つのスペクトルに結合するために用いる全てのデータのエネルギー較正ができる。さらにそれぞれのデータ間をエネルギー上で重なるようにそれぞれのデータのエネルギー値を補正することで、図4に示すようなエネルギー上連続した1つのスペクトルとして出力することができる。この連続したスペクトルにより、これまで電子分光スペクトルでは直接的に評価できなかった価電子帯と伝導帯とのエネルギー差(バンドキャップ)が直接的なエネルギー値で評価される。
また、マニピュレータ13の姿勢制御手段13bは、ステージ13aに保持された試料12の測定点12bと真空容器11との相対位置を変えることなくステージ13aの姿勢を変更可能に構成されている。そして、X線源31及び紫外線源32は、試料12の測定点12bよりも、電子エネルギー分析器40と低角度電子線源33aとを結ぶ方向における電子エネルギー分析器40側に配置されている。そのため、試料表面12aがこの試料表面12aの測定点12bと電子エネルギー分析器40とを結ぶ方向に直交するような姿勢となるよう、姿勢制御手段13bによってステージ13aの姿勢が変更されても、X線源31(又は紫外線源32)は、試料12の測定点12bにX線(又は紫外線)を照射することができる。このようにステージ13aの姿勢を変更することで、試料表面12aから放出される光電子が電子エネルギー分析器40によって効率良く検出され、試料表面12aの電子構造等の情報がより詳細に得られる。
また、試料12の測定点12bに対してスパッタエッチングを行うためにイオンビームを照射するイオン銃15が試料12の測定点12bを臨み、且つ電子エネルギー分析器40と低角度電子線源33aとを結ぶ方向における電子エネルギー分析器40側にさらに備えられている。そのため、X線又は紫外線が照射される際にステージ13aが上記のように姿勢を変更しても、試料12の測定点12b付近のスパッタエッチングが可能となり、試料12の深さ方向での組成分布に加え、深さ方向での電子構造等の情報が高精度に得られる。さらに、ステージ13aが上記のように姿勢を変更しても試料表面12aの汚染物や酸化皮膜を除去することも可能となるため、前記情報がより高精度且つ詳細に得られる。
また、ステージ13aには、試料を加熱又は冷却するための加熱手段又は冷却手段の少なくとも一方が具備されている(本実施形態においては、加熱・冷却器13cが具備されている)。そのため、試料12の加熱又は冷却処理が可能となり、加熱又は冷却処理の前後に亘って試料12の表面等における電子構造等の情報が得られる。
尚、本発明の電子分光分析複合装置10は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
本実施形態に係る電子分光分析複合装置の平面方向の概略構成図を示す。 図1のA−A断面図を示す。 図1のB−B断面図を示す。 本実施形態に係る電子分光分析複合装置によって得られるスペクトルの波形の一例を示す。 従来の各分光法による分析装置でえられたスペクトルの波形の一例を示す。
符号の説明
10 複合電子分光分析装置(分析装置)
11 真空容器
12 試料
12a 試料表面
12b 測定点
13a 試料保持部(ステージ)
31 X線源
32 紫外線源
33 電子線源
40 電子エネルギー分析器

Claims (12)

  1. 真空容器と、
    該真空容器内で試料を保持するための試料保持部と、
    前記真空容器における、前記試料保持部で保持される試料の測定点を臨む位置に配置され、この測定点にX線を照射するX線源、紫外線を照射する紫外線源及び電子線を照射する複数の電子線源と、
    前記X線、紫外線又は電子線が照射されることで前記試料から放出される光電子又は前記試料によって散乱される電子を検出する電子エネルギー分析器と、を備え、
    前記複数の電子線源は、前記試料の表面に対する電子線の入射角がそれぞれ異なるように配置されることを特徴とする電子分光分析複合装置。
  2. 請求項1に記載の電子分光分析複合装置において、
    前記複数の電子線源は、前記試料の表面に対し、垂直方向から電子線を照射する垂直電子線源と、低角度から電子線を照射する低角度電子線源との2つの電子線源であり、
    前記電子エネルギー分析器は、前記低角度電子線源と前記試料を挟んで対向し、且つ検出角が前記試料の表面に対する前記低角度電子線源からの電子線の入射角に対応する角度となるような位置に配置されることを特徴とする電子分光分析複合装置。
  3. 請求項2に記載の電子分光分析複合装置において、
    前記電子線源は、走査型電子銃であることを特徴とする電子分光分析複合装置。
  4. 請求項2又は3に記載の電子分光分析複合装置において、
    前記試料の表面に対する電子線の入射角が10°〜15°となるように、前記低角度電子線源が配置されることを特徴とする電子分光分析複合装置。
  5. 請求項2乃至4のいずれかに記載の電子分光分析複合装置において、
    前記垂直電子線源から照射される電子線によって前記試料から放出される二次電子を検出する二次電子検出器が前記試料の測定点を臨む位置にさらに備えられることを特徴とする電子分光分析複合装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の電子分光分析複合装置において、
    前記X線源、紫外線源及び電子線源の各励起源から前記試料へ照射することによって前記電子エネルギー分析器で検出された前記光電子又は散乱された電子に基づく各スペクトルをエネルギーにおいて結合し、一つの連続したスペクトルを作ることができるスペクトル測定手段を備え、
    前記スペクトル測定手段は、検出された前記光電子又は散乱された電子に基づいて各スペクトルを得るための共通の補正関数を有することを特徴とする電子分光分析複合装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載の電子分光分析複合装置において、
    前記試料保持部の姿勢を制御する姿勢制御手段をさらに備え、
    該姿勢制御手段は、前記試料保持部に保持された試料の測定点と前記真空容器との相対位置を変えることなく試料保持部の姿勢を変更可能に構成され、
    前記X線源及び紫外線源は、前記試料の測定点よりも、前記電子エネルギー分析器と低角度電子線源とを結ぶ方向における電子エネルギー分析器側に配置されることを特徴とする電子分光分析複合装置。
  8. 請求項7に記載の電子分光分析複合装置において、
    前記試料の測定点に対してスパッタエッチングを行うためにイオンビームを照射するイオン銃が前記試料の測定点を臨み、且つ前記電子エネルギー分析器と低角度電子線源とを結ぶ方向における電子エネルギー分析器側にさらに備えられることを特徴とする電子分光分析複合装置。
  9. 請求項1乃至8のいずれかに記載の電子分光分析複合装置において、
    前記試料保持部には、試料を加熱又は冷却するための加熱手段又は冷却手段の少なくとも一方が具備されることを特徴とする電子分光分析複合装置。
  10. 真空容器内に試料を導入してこの試料の測定点が前記真空容器内の所定位置となるように配置し、
    前記試料の測定点に対してX線及び紫外線を個別に照射した後、同一の測定点に対して複数の方向から順に電子線を照射し、
    前記照射されたX線、紫外線又は電子線によって試料から放出される光電子又は試料によって散乱される電子を同一の電子エネルギー分析器によってそれぞれ検出することを特徴とする電子分光分析方法。
  11. 請求項10に記載の電子分光分析方法において、
    前記複数の方向から照射する電子線は、前記試料の表面に対し、垂直方向から照射する垂直電子線又は低角度から照射する低角度電子線のどちらか一方から順に照射する2方向からの電子線であり、
    前記低角度電子線の照射位置と前記試料を挟んで対向し、且つ前記試料の表面に対する前記低角度電子線の入射角に対応する角度となるような位置で、前記電子エネルギー分析器によって前記試料によって散乱される電子をそれぞれ検出することを特徴とする電子分光分析方法。
  12. 請求項11に記載の電子分光分析方法において、
    紫外線、X線を順に照射した後、低角度電子線又は垂直電子線をどちらか一方から順に照射することを特徴とする電子分光分析方法。
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