JP2009108126A - 発光媒体形成用組成物、発光媒体、有機el素子、表示装置、および、発光媒体膜成膜方法 - Google Patents

発光媒体形成用組成物、発光媒体、有機el素子、表示装置、および、発光媒体膜成膜方法 Download PDF

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Abstract

【課題】発光性半導体ナノクリスタルの表面劣化を抑制しつつ、この発光性半導体ナノクリスタルを透明樹脂組成物中に高濃度で容易に分散可能な発光媒体形成用組成物の提供。
【解決手段】発光媒体形成用組成物に含有する保護化合物として、α末端に反応性シリコーン基を有するとともにω末端に環状エーテル基を有し、反応性シリコーン基と環状エーテル基との間をエーテル結合で接合してなるものを適用した。反応性シリコーン基を発光性半導体ナノクリスタルの表面中に吸着させることで、発光性半導体ナノクリスタルの表面に欠陥が発生することを抑制でき、量子収率を維持することができる。表面修飾が不要となるので、取り扱いを容易にできるとともに、製造工程の煩雑化を防止できる。環状エーテル基およびエーテル結合により、透明樹脂組成物に対する発光性半導体ナノクリスタルの溶融性を高めることができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、発光媒体形成用組成物、発光媒体、有機EL素子、表示装置、および、発光媒体膜成膜方法に関する。
発光性半導体ナノクリスタルは、半導体を超微粒子化(〜10nm径)して、電子の閉じ込め効果(量子サイズ効果)により、特異な吸発光特性を発現するものである。
この発光性半導体ナノクリスタルは、通常の蛍光染料のような濃度消光が生じないため、高い蛍光量子収率を実現でき、デバイスの高効率化を期待できる。また、通常の蛍光顔料または蛍光体粒子(マイクロサイズ)よりも一層超微粒子化されている(ナノサイズ)ため、光散乱が抑制されて透明性を高くすることができ、デバイスの高コントラスト化を実現できる。さらに、同一材料で粒子サイズを変えて、任意の波長のシャープな発光を作り出せるため、豊富な色揃え、高効率化などを実現できる。
発光性半導体ナノクリスタルは、これらのような特徴を有するため、発光性半導体ナノクリスタルを透明樹脂等に分散し、発光媒体を作製し、表示装置、ディスプレイ、TV、照明等の光電子デバイスに応用することが期待されている。
ところで、発光性半導体ナノクリスタルは、ナノサイズの超微粒子であり、単位あたりの粒子の表面積が非常に大きく活性である。たとえ、他の半導体やコーティング剤により発光性半導体ナノクリスタルの被覆を試みたとしても、完全に被覆することは困難であり、欠陥が生じたり、酸素の影響によって容易に酸化されたりして、発光(蛍光)量子収率が著しく低下する。
その結果、発光性半導体ナノクリスタルが前記のような優れた特徴を有するにもかかわらず、発光媒体形成用組成物や形成された発光媒体は、安定性が悪く、発光媒体の発光性能も低下してしまうという問題があった。
このような問題の解決手段として、発光性半導体ナノクリスタル表面を不活性素材でコーティングすることで、表面劣化を抑制できることが知られている。例えば特許文献1には、発光性半導体ナノクリスタル表面をガラスコーティングする技術が開示されている。
また、他の解決手段として、特許文献2には、発光性半導体ナノクリスタルを透明樹脂内に分散した発光媒体が開示されている。
特開2000−275180号公報 特表2002−510866号公報
しかしながら、特許文献1のような構成では、発光性半導体ナノクリスタルの表面を強固な素材で被覆することで発光性半導体ナノクリスタルの安定性は向上するものの、分散対象である透明樹脂組成物に分散しにくくなってしまう。したがって、発光性半導体ナノクリスタルを透明樹脂組成物に均質に分散させるためには、さらに強固な素材の外殻に分散性能を向上させるための表面修飾を施す必要があり、製造工程が煩雑になってしまうという問題点がある。また、発光性半導体ナノクリスタルの他の媒体への分散性制御が煩雑になるという問題点がある。
特許文献2のような構成では、透明樹脂組成物中に均一分散できる発光性半導体ナノクリスタル濃度が低く、薄膜発光媒体において、十分な発光強度を得ることは不可能である。つまり、薄膜発光媒体において十分な発光強度を得るためには、透明樹脂組成物中に発光性半導体ナノクリスタルを高濃度で分散させることが必要である。
以上のことから、発光性半導体ナノクリスタルの表面劣化を抑制しつつ、この発光性半導体ナノクリスタルを透明樹脂組成物中に高濃度で容易に分散させる技術の開発が望まれている。
本発明の目的は、かかる問題を解決するためになされたものであり、発光性半導体ナノクリスタルの表面劣化を抑制しつつ、この発光性半導体ナノクリスタルを透明樹脂組成物中に高濃度で容易に分散可能な発光媒体形成用組成物、発光媒体、有機EL素子、表示装置、および、発光媒体膜成膜方法を提供することである。
本発明の発光媒体形成用組成物は、発光性半導体ナノクリスタルにより構成された発光媒体を形成するための発光媒体形成用組成物であって、透明樹脂組成物と、前記発光性半導体ナノクリスタルと、α末端に反応性シリコーン基を有するとともにω末端に環状エーテル基を有し、前記反応性シリコーン基と前記環状エーテル基との間をエーテル結合で接合してなる保護化合物と、を含有することを特徴とする。
この発明によれば、保護化合物として、α末端に反応性シリコーン基を有するものを適用している。
反応性シリコーン基は、種々の有機化合物との脱アルキルシリル化等による置換体・付加体の合成、あるいはゾル・ゲル反応によるシロキサン合成等が可能である。特にシロキサン化合物は、有機−無機ハイブリッドに適用が試みられるなど、官能基の選択によって、有機化合物、無機化合物双方に対する相溶性、親和性が制御可能である。
したがって、反応性シリコーン基が、発光性半導体ナノクリスタルの表面上に反応することにより、保護化合物がナノクリスタル表面に固定化されることとなり、酸化などによる表面欠陥の発生から発光性半導体ナノクリスタルを保護することができる。
すなわち、反応性シリコーン基は、保護化合物の発光性半導体ナノクリスタルへの強い配位を実現させるために作用しているものである。
さらに、保護化合物としては、ω末端に環状エーテル基を有するものを適用している。
環状エーテル基は、様々な樹脂、あるいは種々の溶剤に対して、比較的高い相溶性があり、熱的、光的にも安定である。また、環状エーテル基は、熱重合開始剤共存下で加熱することにより、開環重合が進行することが知られている。
つまり、環状エーテル基を導入することにより、熱硬化性樹脂中においては、マトリックス樹脂モノマーとの共重合が進行し、発光媒体膜中において、マトリックス樹脂と発光性半導体ナノクリスタルとの架橋構造が形成されることが期待できる。本架橋構造形成によって、膜均質性の向上、膜強度の向上が期待できる。
すなわち、環状エーテル基は、発光性半導体ナノクリスタルと、樹脂組成物との相溶性へ寄与すると共に、特に熱硬化性樹脂においては、発光媒体膜の均質性向上、強度向上に作用しているものである。
保護化合物においては、さらに、α末端基とω末端基とを連結する連結基として、エーテル結合を用いたものを適用している。
従来、表面修飾としてPEG(ポリエチレングリコール)などが用いられるが、このような表面修飾だけでは、用いる溶剤や樹脂等への相溶性は向上するものの、表面被覆の観点からは不十分であり、インク組成物の塗布後に、乾燥、膜化することにより量子効率が落ちていた。本発明ではエーテル結合を有する保護化合物を用いることにより、溶剤や樹脂への相溶性が向上する点に加えて、反応性シリコーン基、環状エーテル基の効果によって、量子効率の低下を抑制することができる。
すなわち、連結基としてのエーテル結合は、発光性半導体ナノクリスタルへの配位性機能を果たす反応性シリコーン基と、樹脂組成物への可溶化機能を果たす環状エーテル基とを、連結する機能のみではなく、樹脂組成物への相溶性へ寄与することを目的としている。
このため、これら反応性シリコーン基、環状エーテル基およびエーテル結合を有する保護化合物が発光性半導体ナノクリスタルの表面に配位することにより、発光性半導体ナノクリスタルの表面劣化を抑制しつつ、この発光性半導体ナノクリスタルを透明樹脂組成物中に高濃度で分散させた発光媒体形成用組成物を提供できる。
また、本発明の発光媒体形成用組成物では、前記保護化合物は、下記一般式(1)で表される構造を有することが好ましい。
(R(R3−xSi−L−R … (1)
(Rは炭素数1〜3のアルコキシ基、Rは炭素数1〜3のアルキル基または水素原子、Lは炭素数1〜4のオキシアルキレン基、Rは炭素数2〜10の環状オキシアルキル基であり、x=0〜3、y=1〜2000)
さらに、本発明の発光媒体形成用組成物では、前記保護化合物の前記発光性半導体ナノクリスタルに対する割合は、1質量%以上50質量%以下であることが好ましい。
この発明によれば、保護化合物の発光性半導体ナノクリスタルに対する割合を、1質量%以上50質量%以下に設定している。
ここで、保護化合物の発光性半導体ナノクリスタルに対する割合を1質量%未満とした場合、保護化合物の割合が小さすぎるため、発光性半導体ナノクリスタルの表面欠陥を抑制する効果や、透明樹脂組成物に対する溶融性を高める効果が小さくなってしまうおそれがある。一方、50質量%よりも大きい場合、発光媒体形成用組成物で製造した発光媒体の透明度や強度が低下してしまうおそれがある。
以上のことから、発光性半導体ナノクリスタルの表面劣化を抑制できる効果や、発光性半導体ナノクリスタルを高濃度で分散させる効果を有する発光媒体形成用組成物を提供できる。さらに、この発光媒体形成用組成物を用いることにより、適切な透明度や強度を有する発光媒体を製造できる。
また、本発明の発光媒体形成用組成物では、前記透明樹脂組成物は、熱硬化性樹脂を含有することが好ましい。
この発明によれば、透明樹脂組成物に熱硬化性樹脂を含有している。
このため、保護化合物の環状エーテル基を重合性基として作用させることができ、熱硬化後の膜の透明度や強度を高めることができる。
本発明の発光媒体は、上述した発光媒体形成用組成物を用いて形成されたことを特徴とする。
この発明によれば、発光媒体が上述の発光媒体形成用組成物を含むので、発光性半導体ナノクリスタルが透明樹脂中に高濃度で均質に分散され、蛍光収率が高く維持された発光媒体を形成することができる。
また、本発明の発光媒体では、発光体からの発光を吸収して可視光を再発光することが好ましい。
この発明によれば、発光媒体により、発光体からの発光を可視光の光に変換することができるので、所望の色の発光を作り出すことができる。
本発明の有機EL素子は、一対の電極と、この一対の電極との間において複数の有機薄膜を有し、電荷の再結合エネルギーにより発光する発光層と、この発光層からの光を吸収するとともに再発光する上述した発光媒体と、を備えたことを特徴とする。
この発明によれば、発光体が有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)であるので、上述の効果により、薄膜の面状のディスプレイおよび照明に有効に利用することができる。
本発明の表示装置は、上述した有機EL素子を用いたことを特徴とする。
ここで、表示装置の発光体としては、例えば、EL(エレクトロルミネッセンス)、LED(発光ダイオード)、VFD(蛍光表示管)、PDP(プラズマディスプレイパネル)、蛍光灯、冷陰極管が挙げられる。
この発明によれば、発光媒体により、発光体にない発光色を付与したり、発光体の光と発光媒体の発光とを混合した発光色、例えば、白色などを得ることができる。
したがって、上述と同様の効果を奏する表示装置を提供することができる。
本発明の発光媒体膜成膜方法は、上述した発光媒体形成用組成物を分散させた溶液を用いて発光媒体の膜を形成することを特徴とする。
この発明によれば、発光媒体形成用組成物を分散させた溶液を塗布するので、例えば、キャスト法、スピンコート法、バーコート法のほか、パターンが必要な場合には、フォトリソグラフィー法、スクリーン印刷法、インクジェット法などの公知の方法によって容易に成膜することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
〔発光媒体形成用組成物の構成〕
まず、発光媒体形成用組成物の構成について説明する。
発光媒体形成用組成物は、発光媒体を形成するために用いられる。この発光媒体形成用組成物は、透明樹脂組成物と、発光性半導体ナノクリスタルと、保護化合物と、その他各種溶剤と、を含有して構成されている。これらの各材料について、以下に詳述する。
(発光性半導体ナノクリスタル)
発光性半導体ナノクリスタルとしては、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、CdS、CdMnS、CdSe、CdMnSe、CdTe、CdMnTe、HgS、HgSe、HgTe、InP、InAs、InSb、InN、GaN、GaP、GaAs、GaSb、TiO、WO、PbS、PbSe、MgTe、AlAs、AlP、AlSb、AlS、Ge、Si、CuInS、CuInSe、InGaP等が挙げられる。
さらに、以下の遷移金属イオンをドープした半導体ナノクリスタルも挙げられる。
すなわち、ZnS、ZnSe、CdS、CdSe等の金属カルコゲナイド化物に、Eu2+、Eu3+、Ce3+、Tb3+、Cu2+等の遷移金属イオンをドープしたものも挙げられる。
本発明の発光性半導体ナノクリスタルのコアとして好ましくは、InP等のIII−V族化合物半導体ナノクリスタル、CuInS、CuInSe等のカルコパイライト型半導体ナノクリスタルを適用することが有効である。
発光性半導体ナノクリスタルは、半導体結晶をナノメートルオーダーまで超微粒子化したものであり、好ましくは粒径が20nm以下、より好ましくは10nm以下である。
発光性半導体ナノクリスタルにおいては、ナノクリスタル表面が酸化されたり、SやSe等が引き抜かれたりすることを防止するため、シリカ等の金属酸化物や長鎖アルキル基や燐酸等の有機物等で表面修飾してもよい。
さらに、上記ナノ粒子表面をシェルと呼ばれる別の半導体で覆ったナノ粒子が、安定性、および蛍光性の点でより好ましい。シェルの表面をさらにシリカ、チタニア等の金属酸化物で被覆してもよい。
上記の発光性半導体ナノクリスタルは、一種単独で使用してもよく、また、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
(保護化合物)
保護化合物は、α末端に反応性シリコーン基、ω末端に環状エーテル基を有し、その間をエーテル結合で接合してなる事を特徴とする有機化合物である。
具体的には、以下の一般式(2)で表される構造を有する有機化合物である。
(R(R3−xSi−L−R … (2)
ここで、一般式(2)において、Rは炭素数1〜3のアルコキシ基、Rは炭素数1〜3のアルキル基または水素原子、Lは炭素数1〜4のオキシアルキレン基、Rは炭素数2〜10の環状オキシアルキル基であり、x=0〜3、y=1〜2000である。
保護化合物の発光性半導体ナノクリスタルに対する割合は、1質量%以上50質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、1質量%以上40質量%以下、さらに好ましくは1質量%以上30質量%以下である。
本保護化合物は、鎖状構造の有機化合物であり、α末端に反応性シリコーン基を有する。
反応性シリコーン基は、ナノクリスタル表面に反応し、ナノクリスタル表面に欠陥が発生することを抑制する効果を有する。
また、さらに好ましくは、反応性シリコーン基の反応度を向上させる目的で、本保護化合物で処理した後に、熱処理、あるいは化学反応等を行えば、保護化合物がナノクリスタル表面に対して強固に配位し、その保護能力が向上すると期待される。
反応性シリコーン基としては、例えば以下が挙げられる。
トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリ(n−プロポキシ)シリル基、トリ(i−プロポキシ)シリル基、ジメトキシシリル基、ジエトキシシリル基、ジ(n−プロポキシ)シリル基、ジ(i−プロポキシ)シリル基、メトキシシリル基、エトキシシリル基、n−プロポキシシリル基、i−プロポキシシリル基。
ジメトキシメチルシリル基、ジメトキシエチルシリル基、ジメトキシ(n−プロピル)シリル基、ジメトキシ(i−プロピル)シリル基、ジエトキシメチルシリル基、ジエトキシエチルシリル基、ジエトキシ(n−プロピル)シリル基、ジエトキシ(i−プロピル)シリル基、ジ(n−プロポキシ)メチルシリル基、ジ(n−プロポキシ)エチルシリル基、ジ(n−プロポキシ)(n−プロピル)シリル基、ジ(n−プロポキシ)(i−プロピル)シリル基、ジ(i−プロポキシ)メチルシリル基、ジ(i−プロポキシ)エチルシリル基、ジ(i−プロポキシ)(n−プロピル)シリル基、ジ(i−プロポキシ)(i−プロピル)シリル基。
メトキシジメチルシリル基、メトキシジエチルシリル基、メトキシジ(n−プロピル)シリル基、メトキシジ(i−プロピル)シリル基、エトキシジメチルシリル基、エトキシジエチルシリル基、エトキシジ(n−プロピル)シリル基、エトキシジ(i−プロピル)シリル基、n−プロポキシジメチルシリル基、n−プロポキシジエチルシリル基、n−プロポキシジ(n−プロピル)シリル基、n−プロポキシジ(i−プロピル)シリル基、i−プロポキシジメチルシリル基、i−プロポキシジエチルシリル基、i−プロポキシジ(n−プロピル)シリル基、i−プロポキシジ(i−プロピル)シリル基。
メトキシメチルエチルシリル基、メトキシメチル(n−プロピル)シリル基、メトキシメチル(i−プロピル)シリル基、メトキシエチル(n−プロピル)シリル基、メトキシエチル(i−プロピル)シリル基、メトキシ(i−プロピル)(n−プロピル)シリル基、エトキシメチルエチルシリル基、エトキシメチル(n−プロピル)シリル基、エトキシメチル(i−プロピル)シリル基、エトキシエチル(n−プロピル)シリル基、エトキシエチル(i−プロピル)シリル基、エトキシ(i−プロピル)(n−プロピル)シリル基、(n−プロポキシ)メチルエチルシリル基、(n−プロポキシ)メチル(n−プロピル)シリル基、(n−プロポキシ)メチル(i−プロピル)シリル基、(n−プロポキシ)エチル(n−プロピル)シリル基、(n−プロポキシ)エチル(i−プロピル)シリル基、(n−プロポキシ)(i−プロピル)(n−プロピル)シリル基、(i−プロポキシ)メチルエチルシリル基、(i−プロポキシ)メチル(n−プロピル)シリル基、(i−プロポキシ)メチル(i−プロピル)シリル基、(i−プロポキシ)エチル(n−プロピル)シリル基、(i−プロポキシ)エチル(i−プロピル)シリル基、(i−プロポキシ)(i−プロピル)(n−プロピル)シリル基。
メトキシメチルシリル基、メトキシエチルシリル基、メトキシ(n−プロピル)シリル基、メトキシ(i−プロピル)シリル基、エトキシメチルシリル基、エトキシエチルシリル基、エトキシ(n−プロピル)シリル基、エトキシ(i−プロピル)シリル基、n−プロポキシメチルシリル基、n−プロポキシエチルシリル基、n−プロポキシ(n−プロピル)シリル基、n−プロポキシ(i−プロピル)シリル基、i−プロポキシメチルシリル基、i−プロポキシエチルシリル基、i−プロポキシ(n−プロピル)シリル基、i−プロポキシ(i−プロピル)シリル基。
メトキシシリル基、エトキシシリル基、n−プロポキシリル基、i−プロポキシシリル基。
トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ(n−プロピル)シリル基、トリ(i−プロピル)シリル基、ジメチルシリル基、ジエチルシリル基、ジ(n−プロピル)シリル基、ジ(i−プロピル)シリル基、メチルシリル基、エチルシリル基、n−プロピルシリル基、i−プロピルシリル基。
一方、本保護化合物は、ω末端に環状エーテル基を有する。
環状エーテル基は、発光媒体形成用組成物を形成する透明樹脂組成物、および溶剤などに対して相溶性を高める役割を果たしている。この環状エーテル基の作用によって、発光性半導体ナノクリスタルが高濃度、かつ、均質に透明樹脂組成物中に分散することが可能となっている。
また、さらに好ましくは、透明樹脂組成物に熱硬化性樹脂を用いた場合、環状エーテル基が重合性基としても作用しうる。
この場合には、熱重合開始剤、樹脂モノマー、架橋性モノマー等の共存下、熱硬化させることにより、熱硬化後に発光性半導体ナノクリスタルと、樹脂マトリックスが架橋構造を形成し、組成物膜における透明性、強度の向上が期待できる。
環状エーテル基として好ましくは、炭素数2〜10の環状オキシアルキル基であり、具体的には、オキサシクロプロピル基、オキサシクロブチル基、オキサシクロペンチル基、オキサシクロヘキシル基、オキサシクロヘプチル基、オキサシクロオクチル基、オキサシクロノニル基、オキサシクロデシル基、1,2−エポキシシクロペンチル基、1,2−エポキシシクロヘキシル基、1,4−エポキシシクロヘキシル基、1,2−エポキシシクロヘプチル基、1,2−エポキシシクロオクチル基、1,2−エポキシシクロノニル基、1,2−エポキシシクロデシル基、1,8−エポキシ−p−メンチル基、α−ピネンオキシド基、1,2-エポキシエチルベンジル基、1,3−ジヒドロイソベンゾフラニル基、2,3−ジヒドロベンゾフラニル基、3,4−ジヒドロ−1H−2−ベンゾピラニル基、3,4−ジヒドロ−2H−ピラニル基、ジベンゾフラニル基等が挙げられる。
さらに本保護化合物は、α末端である反応性シリコーン基と、ω末端である環状エーテル基とを連結する基として、エーテル結合を有する。
エーテル結合は、発光媒体形成用組成物を形成する透明樹脂組成物に対するナノクリスタルの相溶性を高める役割を果たしており、環状エーテル基との相乗効果による相溶化能の向上を目的としている。
エーテル結合を有する連結基として好ましくは、PEGに代表されるようなオキシエチレン基などの2価の直鎖状オキシアルキレン基である。オキシエチレン基以外には例えば、オキシメチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基が挙げられる。
ナノクリスタルを含む組成物の性能(量子収率,膜の透明性等)が低下しない限りにおいては、反応性シリコーン基、環状エーテル基、連結基の全て、または何れかが異なる2種以上の保護化合物を混合して用いてもよい。また、反応性シリコーン基と環状エーテル基の両方、あるいは一方に関して、異なる2種以上の官能基を同一分子内に含む保護化合物を用いても良い。
たとえば、連結基の長さと環状エーテル基が異なる2種の保護化合物を混合して使用する事により、厚さ方向に傾斜組成を持った組成物膜を形成する事が可能である。このような傾斜組成膜を形成する事により,積層膜形成による多機能化が期待できる。
(透明樹脂組成物)
透明樹脂組成物は、発光性半導体ナノクリスタルを分散させる樹脂であり、熱可塑性樹脂、熱硬化型樹脂または光硬化型樹脂を用いることができる。具体的には、オリゴマー又はポリマー形態のメラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド系樹脂、またはポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロール等、これらを形成するモノマーを構成成分とする共重合体が挙げられる。
また、透明性樹脂組成物に、組成物膜の強度向上、基板への密着性向上等の目的で、架橋性モノマーを含んでも良い。
光硬化型樹脂としては、通常、感光剤を含む反応性ビニル基を有するアクリル酸、メタクリル酸系の光重合型や、ポリケイ皮酸ビニル等の光架橋型等が用いられる。なお、感光剤を含まない場合は、熱硬化型のものを用いてもよい。
これらのマトリクス樹脂は、一種類の樹脂を単独で用いてもよいし、複数種類を混合して用いてもよい。
ここで、特に、熱硬化型樹脂が好ましく、ブロックカルボン酸を含むこと、さらには、ブロックカルボン酸とエポキシ化合物を含むことがより好ましい。
具体的には、特開平4−218561号公報に、多塩基カルボン酸のカルボキシル基をビニル型二重結合含有化合物によりブロックしてなるカルボン酸ブロック体と、このカルボン酸ブロック体から再生されるカルボン酸と化学結合し得る反応性官能基を2個以上含有する化合物とを含有する一液型の熱硬化性樹脂が記載されている。この熱硬化性組成物は、多塩基カルボン酸をブロック体にしてエポキシ基などの反応性官能基と反応しない形で熱硬化反応系に共存させているので、貯蔵安定性が良好である。なお、特開平4−218561号公報においては、この熱硬化性樹脂を塗料、インク、接着剤、成形品などに利用できると記載されており、半導体ナノクリスタル発光体の保護化合物として利用するための検討は行われていない。
(溶剤その他)
発光媒体形成用組成物には、上記材料のほかにも溶剤を配合することができる。溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテルのようなグリコールエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)のようなグリコールエーテルエステル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルのようなグリコールオリゴマーエーテル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなグリコールオリゴマーエーテルエステル類;酢酸、2−エチルヘキサン酸、無水酢酸のような脂肪族カルボン酸類又はその酸無水物;酢酸エチル、安息香酸プロピルのような脂肪族又は芳香族エステル類;炭酸ジエチルのようなジカルボン酸ジエステル類;3−メトキシプロピオン酸メチルのようなアルコキシカルボン酸エステル類;アセト酢酸エチルのようなケトカルボン酸エステル類;クロロ酢酸、ジクロロ酢酸のようなハロゲン化カルボン酸類;エタノール、イソプロパノール、フェノールのようなアルコール類又はフェノール類;ジエチルエーテル、アニソールのような脂肪族又は芳香族エーテル類;2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノールのようなアルコキシアルコール類;ジエチレングリコール、トリプロピレングリコールのようなグリコールオリゴマー類;2−ジエチルアミノエタノール、トリエタノールアミンのようなアミノアルコール類;2−エトキシエチルアセテートのようなアルコキシアルコールエステル類;アセトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類;N−エチルモルホリン、フェニルモルホリンのようなモルホリン類;ペンチルアミン、トリペンチルアミン、アニリンのような脂肪族又は芳香族アミン類が挙げられる。
その他、必要に応じて、フィラー、界面活性剤、消泡剤、レベリング剤、酸化防止剤、帯電防止剤等を添加してもよい。
〔発光媒体形成用組成物の製造方法〕
次に、発光媒体形成用組成物の製造方法について説明する。
発光媒体形成用組成物は、発光性半導体ナノクリスタルと透明樹脂組成物、および前記酸化防止剤と適当な溶媒とを、ミル法や超音波分散法等の公知の方法を用いて、混合、分散して得ることができる。
〔発光媒体の製造方法〕
次に、発光媒体の製造方法について説明する。
上述した発光媒体形成用組成物を、公知の製膜方法、例えば、キャスト法、スピンコート法、バーコート法、パターンが必要な場合には、フォトリソグラフィー法、スクリーン印刷法、インクジェット法等によって、支持基板上に塗布、印刷して発光媒体を作製する。
発光媒体の厚さは、0.1μm〜1mm、好ましくは、0.5μm〜500μm、より好ましくは、1μm〜100μm、である。
発光性半導体ナノクリスタルの材質、粒径および透明樹脂組成物との配合比は、発光媒体を励起する光源(発光体)または、表示装置、ディスプレイ、TV、照明等の光電子デバイスの種類によって、最適化される。
〔発光体〕
本発明における発光体としては、特に制限はなく、例えばEL、LED、VFD、PDP、蛍光灯、冷陰極管等などの各発光体を挙げることができるが、これらの素子の中で、有機EL素子が好適である。
有機EL素子の場合には、先に記載したように、高効率で高輝度の青色発光が実現されており、また、有機物で構成されるため、あらゆる色の発光が有機物の設計により達成される期待が大きいためである。
なお、発光体の種類が異なっても、ある一色の発光体の発光を吸収できる位置に本発明の発光媒体を重ね併せれば、容易に発光体の光を可視光の光に変換可能である。
〔実施形態の作用効果〕
(1)発光媒体形成用組成物に含有されている保護化合物として、α末端に反応性シリコーン基を有するとともにω末端に環状エーテル基を有し、反応性シリコーン基と環状エーテル基との間をエーテル結合で接合してなるものを適用している。
このため、反応性シリコーン基を発光性半導体ナノクリスタルの表面中に吸着などさせることで、発光性半導体ナノクリスタルの表面に欠陥が発生することを抑制でき、量子収率を維持することができる。また、表面修飾が不要となるので、取り扱いを容易にできるとともに、製造工程の煩雑化を防止できる。さらに、環状エーテル基およびエーテル結合により、透明樹脂組成物に対する発光性半導体ナノクリスタルの溶融性を高めることができる。
したがって、発光媒体形成用組成物を製造する際に、発光性半導体ナノクリスタルの表面劣化を抑制しつつ、この発光性半導体ナノクリスタルを透明樹脂組成物中に高濃度で分散させることができる。
(2)保護化合物の発光性半導体ナノクリスタルに対する割合を、1質量%以上50質量%以下に設定している。
このため、発光性半導体ナノクリスタルの表面劣化を抑制できる効果や、発光性半導体ナノクリスタルを高濃度で分散させる効果を有する発光媒体形成用組成物を提供できる。さらに、この発光媒体形成用組成物を用いることにより、適切な透明度や強度を有する発光媒体を製造できる。
(3)透明樹脂組成物に熱硬化性樹脂を含有すれば、保護化合物の環状エーテル基を重合性基として作用させることができ、熱硬化後の膜の透明度や強度を高めることができる。
次に、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例の記載内容に何ら制限されるものではない。
〔合成例1〕
(InP/ZnSナノクリスタルの合成)
J.Am.Chem.Soc.,2005,127,11364を参考にして、InP/ZnSナノクリスタルを合成した。以下に概要を記す。
{1.InPコアの合成}
200mlの4つ口フラスコに酢酸インジウム0.29g、ミリスチン酸0.69g、オクタデセン40mlを量り取り、フラスコをマントルヒータにセットした。フラスコの主管には、ガラス製撹拌軸とテフロン(登録商標)製撹拌羽根を取り付けたメカニカルスターラをセットした。枝管の1つに3方コックを取り付け、窒素ラインおよび真空ラインに接続した。別の枝管には、ゴム製のセプタムキャップを取り付けた。残りの枝管には、熱電対をセットした。
そして、フラスコ内を真空に減圧し、120℃で2時間撹拌した。その後、窒素ガスで大気圧に戻し、280℃まで温度を上げた。
窒素置換したグローブボックス内で、サンプルビンにトリストリメチルシリルホスフィンの10%ヘキサン溶液1.4g、オクタデセン1mlを量り取り、ガスタイトシリンジで吸い取った。
4つ口フラスコのセプタムキャップ部分から、ホスフィン化合物の溶液を一気に注入した。5秒後にオクタデセン40mlを加え、反応温度を180℃まで急激に低下させた。そして、180℃にて2時間撹拌を続けた。
この撹拌の後、50℃に温度を下げ、1時間真空ポンプにより減圧にした。
窒素ガスにより大気圧に戻し室温まで温度を下げて反応溶液を取り出し、遠心分離(3000rpm、10分)により沈殿物を除いた。上澄みを一旦グローブボックス内に保管した。
{2.InP/ZnSコアシェルナノクリスタルの合成}
200mlの4つ口フラスコにラウリン酸亜鉛1.48g、硫黄0.11g、オクタデセン10mlを量り取った。フラスコには、上述したInPコアの合成時と同様の器具を取り付けた。
フラスコ内を真空に減圧し、80℃で30分間撹拌した。その後、窒素ガスで大気圧に戻し、グローブボックスに保管しておいたInPナノ粒子の溶液を加えた後、さらに80℃で1.5時間減圧下、撹拌を続けた。
この撹拌の後、窒素ガスにより大気圧に戻し、140℃まで温度を上げた。そして、1.5時間撹拌を続けた。
室温まで温度を下げて反応溶液を取り出し、遠心分離(3000rpm、15分)により粗大な粒子および未反応の原料を除いた。
得られたナノ粒子は、蛍光ピーク波長615nm、蛍光量子収率20%であった。これらは浜松ホトニクス社製の量子収率測定装置(C9920−02型)を用いて測定した。
{3.発光性半導体ナノクリスタルの表面修飾と溶媒分散}
上述の合成で得られたInP/ZnSナノ粒子のオクタデセン溶液の一部をエタノールに注ぎ、ナノ粒子を再沈殿させた。溶媒をデカンテーションにより除いた後、真空乾燥し、ナノ粒子(51mg)を得た。
次に、このナノ粒子をキシレン10mlに分散した後、3−グリシジルオキシプロピル(ジメトキシ)シラン(分子量220.34,東京化成社製)を160mg加え、窒素雰囲気下で2時間加熱還流を行った。
加熱還流後、室温まで冷却した後、アセトニトリルに投入する事により、ナノ粒子を再沈澱させた。その後、トルエン60mgを追加して、発光性半導体ナノクリスタルのトルエン分散液を調製した。
得られたナノ粒子は、蛍光ピーク波長610nm、蛍光量子収率19%であった。
〔合成例2〕
(透明樹脂として、ブロックカルボン酸−エポキシ化合物組成物の合成)
特開2001−350010号公報、特開2003−66223号公報に基づいて、ブロックカルボン酸−エポキシ化合物組成物を製造した。
{1.メインポリマー(A)の合成)
温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、特開2001−350010号公報の第1表に配合割合に従って、水酸基を含有しない溶剤PGMEA(プロピレングリコール メチルエーテル アセテート)を40重量部仕込み、攪拌しながら加熱して80℃に昇温した。次いで、80℃の温度でGMA(グリシジルメタクリレート)28重量部、CHMA(シクロへキシルメタクリレート)22重量部、AIBN(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル)3.5重量部、PGMEA6.5重量部の混合物(滴下成分)60重量部を、2時間かけて滴下ロートより等速滴下した。滴下終了後、80℃の温度を5時間保ったところで反応を終了することにより、透明な加熱残分54重量%、溶液のエポキシ等量460(g/mol)、重量平均分子量12,000のメインポリマー(A)が得られた。
{2.ブロック化カルボン酸化合物(B)の合成}
温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、特開2003−66223号公報の第3表に示す配合割合に従って、メチルエチルケトン11重量部、1,2,4−トリメリット酸(多塩基カルボン酸)36重量部、ブロック化剤(n−プロピルビニルエーテル)53重量部を仕込み、攪拌しながら加熱し70℃に昇温した。次いで、70℃の温度を保ちながら攪拌し続け、混合物の酸価が5以下になったところで反応を終了し、溶剤及び過剰のビニルエーテルを真空ポンプで留居することによりブロック化カルボン酸化合物(B)が得られた。
次に、サンプル瓶(容量200ml)にテフロン(登録商標)被覆した回転子を入れ、マグネチックスターラーに設置した。このサンプル瓶の中に、前記のメインポリマー(A)57重量部、ブロック化カルボン酸化合物(B)26重量部、多官能エポキシ樹脂(jER157S70:ジャパンエポキシレジン社製)15重量部、及び、ハロゲンフリーの酸性触媒(ノフキュアーLC−1:日本油脂製)を加え、十分に攪拌溶解した後、粘度調整のために希釈溶剤を加えた。そして、攪拌、溶解後、これを濾過してブロックカルボン酸−エポキシ化合物組成物を得た。
〔合成例3〕
(グリシジル(ポリエチレンオキシ)トリメチルシランの合成)
J.Org.Chem.,1996,61,8310を参考にして,O−アリルオキシ(ポリエチレンオキシ)トリメチルシラン(Gelest社製)から,グリシジル(ポリエチレンオキシ)トリメチルシランを合成した。
〔評価〕
実施例1〜4、比較例1〜2に示す手順で発光媒体形成用組成物を調製し、さらに、この発光媒体形成用組成物を用いて発光媒体を製造した。そして、発光媒体形成用組成物および発光媒体の保存安定性を評価した。
(発光媒体形成用組成物および発光媒体の製造方法)
{実施例1}
合成例1の発光性半導体ナノクリスタル分散液100mgと、透明樹脂としてメタクリル酸メチル・メタクリル酸共重合体(Mw=13,000)131mgとを混合分散して、実施例1の発光媒体形成用組成物を調製した。
また、調製直後の実施例1の発光媒体形成用組成物を、空気中スピンコート法により基板の全面に塗布し、120℃で溶媒を乾燥させることで実施例1の発光媒体を形成した。
{実施例2}
実施例1において、3−グリシジルオキシプロピル(ジメトキシ)メチルシランをグリシジル(ポリエチレンオキシ)トリメチルシランに変更したこと以外は同一の条件で、実施例2の発光媒体形成用組成物を調製した。
また、調製直後の実施例2の発光媒体形成用組成物を、空気中スピンコート法により基板の全面に塗布し、120℃で溶媒を乾燥させることで実施例2の発光媒体を形成した。
{実施例3}
実施例1において、透明樹脂を、ブロックカルボン酸とエポキシ化合物からなる組成物260mg(固形分50重量%)と、したこと以外は同一の条件で、実施例3の発光媒体形成用組成物を調製した。
また、調製直後の実施例3の発光媒体形成用組成物を、空気中スピンコート法により基板の全面に塗布し、120℃で溶媒を乾燥させ、さらに透明樹脂を熱硬化させることで、実施例3の発光媒体を形成した。
{実施例4}
実施例2において、透明樹脂を、メタクリル酸メチル・メタクリル酸共重合体(Mw=13,000)77mg、ペンタエリスリトールトリアクリレート54mg、イルガキュア907(チバスペシャリチィーケミカルズ製)1.1mgからなる組成物と、したこと以外は同一の条件で、実施例4の発光媒体形成用組成物を調製した。
また、調製直後の実施例3の発光媒体形成用組成物を、空気中スピンコート法により基板の全面に塗布した。そして、120℃で溶媒を乾燥させ、さらに、波長365nmの紫外線を300mJ照射して透明樹脂を硬化させることで、実施例4の発光媒体を形成した。
{比較例1}
実施例1において、保護化合物を使用しなかったこと以外は同一の条件で、比較例1の発光媒体形成用組成物を調製した。
また、調製直後の比較例1の発光媒体形成用組成物を、空気中スピンコート法により基板の全面に塗布し、120℃で溶媒を乾燥させることで、比較例1の発光媒体を形成した。
{比較例2}
実施例1において、3−グリシジルオキシプロピル(ジメトキシ)メチルシランをトリエチルシラノールに変更したこと以外は同一の条件で、比較例2の発光媒体形成用組成物を調製した。
また、調製直後の比較例2の発光媒体形成用組成物を、空気中スピンコート法により基板の全面に塗布し、120℃で溶媒を乾燥させることで、比較例2の発光媒体を形成した。
(評価方法)
まず、調製直後の発光媒体形成用組成物の蛍光量子収率を、浜松ホトニクス社製量子収率測定装置(C9920−02型)で測定した。さらに、この発光媒体形成用組成物に空気を封入して密栓し、室温で1週間、暗所で保存し、再度蛍光量子収率を測定した。
また、形成直後の発光媒体の蛍光量子収率を測定した。さらに、この発光媒体を空気中で1週間、暗所で保存し、再度蛍光量子収率を測定した。
これらの測定結果を以下の表1に示す。
また、実施例3,4の発光媒体をアセトン溶媒にさらして、劣化状態を評価した。
Figure 2009108126
(評価結果)
表1に示すように、実施例1,3の発光媒体形成用組成物では、蛍光量子収率の変化が無く、全く劣化が見られなかった。また、実施例2,4の発光媒体形成用組成物では、蛍光量子収率の減少が2%であり、ほとんど劣化していない。
これに対して、比較例1,2の発光媒体形成用組成物では、蛍光量子収率の減少が19%,15%であり、大きく劣化している。
また、実施例1,3の発光媒体では、蛍光量子収率の減少が1%、実施例2,4の発光媒体では、蛍光量子収率の増加が1%であり、ほとんど劣化していない。
これに対して、比較例1,2の発光媒体では、蛍光量子収率の減少が7%,6%であり、大きく劣化している。
以上のことから、本発明の保護化合物を適用することにより、発光性半導体ナノクリスタルが酸素などの影響により容易に酸化されることが無く、発光媒体形成用組成物および発光媒体の発光量子効率を高く維持できることが確認できた。
また、調製直後の実施例1〜4、比較例1〜2の発光媒体形成用組成物の蛍光量子収率に大きな差が無いが、形成直後の実施例1〜4の発光媒体と、比較例1〜2の発光媒体とでは、蛍光量子収率に大きな差がある。
以上のことから、本発明の保護化合物を適用することにより、透明樹脂中に均一分散できる発光性半導体ナノクリスタルの濃度を高くすることができ、発光媒体の発光強度を十分に得ることができることが確認できた。
さらに、実施例3,4の発光媒体は、アセトン溶媒にさらしても全く溶解しなかった。
以上のことから、透明樹脂として熱硬化性あるいは光硬化性のものを適用することにより、発光媒体の耐薬品性を向上できることが確認できた。
本発明は、表示装置、ディスプレイ、テレビ、照明等の光電子デバイスに有効に利用できる。

Claims (9)

  1. 発光性半導体ナノクリスタルにより構成された発光媒体を形成するための発光媒体形成用組成物であって、
    透明樹脂組成物と、
    前記発光性半導体ナノクリスタルと、
    α末端に反応性シリコーン基を有するとともにω末端に環状エーテル基を有し、前記反応性シリコーン基と前記環状エーテル基との間をエーテル結合で接合してなる保護化合物と、
    を含有することを特徴とする発光媒体形成用組成物。
  2. 請求項1に記載の発光媒体形成用組成物において、
    前記保護化合物は、下記一般式(1)で表される構造を有する
    (R(R3−xSi−L−R … (1)
    (Rは炭素数1〜3のアルコキシ基、Rは炭素数1〜3のアルキル基または水素原子、Lは炭素数1〜4のオキシアルキレン基、Rは炭素数2〜10の環状オキシアルキル基であり、x=0〜3、y=1〜2000)
    ことを特徴とする発光媒体形成用組成物。
  3. 請求項1または請求項2に記載の発光媒体形成用組成物において、
    前記保護化合物の前記発光性半導体ナノクリスタルに対する割合は、1質量%以上50質量%以下である
    ことを特徴とする発光媒体形成用組成物。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載の発光媒体形成用組成物において、
    前記透明樹脂組成物は、熱硬化性樹脂を含有する
    ことを特徴とする発光媒体形成用組成物。
  5. 請求項1から請求項4のいずれかに記載の発光媒体形成用組成物を用いて形成された
    ことを特徴とする発光媒体。
  6. 請求項5に記載の発光媒体において、
    発光体からの発光を吸収して可視光を再発光する
    ことを特徴とする発光媒体。
  7. 一対の電極と、
    この一対の電極との間において複数の有機薄膜を有し、電荷の再結合エネルギーにより発光する発光層と、
    この発光層からの光を吸収するとともに再発光する請求項5または請求項6に記載の発光媒体と、
    を備えたことを特徴とする有機EL素子。
  8. 請求項7に記載の有機EL素子を用いた
    ことを特徴とする表示装置。
  9. 請求項1から請求項4のいずれかに記載の発光媒体形成用組成物を分散させた溶液を用いて発光媒体の膜を形成する
    ことを特徴とする発光媒体膜成膜方法。
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