JP2009103804A - 光導波路及びその製造方法 - Google Patents

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茂実 大津
Toshihiko Suzuki
俊彦 鈴木
Takashi Shimizu
敬司 清水
Toru Fujii
徹 藤居
Kazutoshi Tanida
和敏 谷田
Hidekazu Akutsu
英一 圷
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Abstract


【課題】製造が簡便であり、反射性能に優れた光路変換のための反射面を備える光導波路及びその製造方法を提供することである。
【解決手段】光が伝播する導波路コアと、該導波路コアを包囲し、該導波路コアより屈折率の小さいクラッド部と、を有し、前記クラッド部が光進行方向の端部に切断面を有し、該切断面に、前記クラッド部とは異なる材質からなる基材上に金属膜を着膜したミラー部材を、該金属膜が光を屈曲させる反射面となるように貼付してなる光導波路である。
【選択図】図1

Description

本発明は、光導波路及びその製造方法に関する。
光導波路フィルムの製造方法としては、(1)フィルムにモノマーを含浸させてコア部を選択的に露光して屈折率を変化させフィルムを張り合わせる方法(選択重合法)、(2)コア層及びクラッド層を塗布後、反応性イオンエチングを用いてクラッド部を形成する方法(RIE法)、(3)高分子材料中に感光性の材料を添加した紫外線硬化樹脂を用いて、露光・現像するフォトリソグラフィー法を用いる方法(直接露光法)、(4)射出成形を利用する方法、(5)コア層及びクラッド層を塗布後、コア部を露光してコア部の屈折率を変化させる方法(フォトブリーチング法)等が提案されている。さらに直線の導波路に限定すれば、(6)屈折率が異なる樹脂を2層積層させて屈折率が高くコアとなる層をダイシングソー等によって部分的に切削除去ことで光導波路のコア部を形成した後、クラッド層と同じ高分子樹脂でコア部を覆うことで光導波路を製造する方法がある(例えば、特許文献1参照)。
ところで、近年、IC技術やLSI技術において、動作速度や集積度向上のために、高密度に電気配線を行なう代わりに、機器装置間、機器装置内のボード間、チップ間において光配線を行なうことが注目されている。そしてこの光配線を実現させるために、フレキシブルな光導波路フィルムが提案されている。
また、近年の携帯電話に代表される携帯機器では、操作性を向上させつつ持ち運びを容易にするため、表示部及び操作部など分離した複数の基板をヒンジ機構やスライド機構により連結しているものが一般的になっている。携帯機器の高性能化に伴い、付属の撮像素子などで発生する膨大なデジタルデータや高精細な表示部に必要なデータなどを別基板に高速に双方向伝送する必要がある。このため、前記ヒンジ機構やスライド機構を通してでも可能な高分子光導波路を用いた双方向データ伝送技術が待望されている。
上記携帯機器向けの高分子光導波路では、ヒンジ機構やスライド機構に対応した高い屈曲性が要求される。例えばスライド機構によって連結された携帯電話の基板間間隔Dを想定すると、少なくともDは4mm以下であることが要求され、携帯電話の薄型化により近年ではDが2mm程度まで要求されている。ここに用いられる高分子光導波路は、上記D値に対応した曲げ状態および長期使用を想定した繰り返し曲げ伸ばしを行っても、その挿入損失および損失変動を小さく抑えることが必要になる。
このようなフレキシブルな光導波路の製造に関しては、例えば、ベース基材に補強部材を形成した後、光導波路フィルムを形成し、補強したい部分を残して選択的にベース基材の除去を行い、補強部付きのフレキシブル光導波路を形成する提案がある(例えば、特許文献2参照)。
また、電子素子と光素子とを集積化した光電融合回路基板の上に、高分子光導波路回路が直接組み立てられた光電子集積回路の提案されている(例えば、特許文献3参照)。
このような光配線において、面発光型レーザ素子(VCSEL)等の面型発光素子と受光素子とを実装して、装置内に組み込む場合には、導波路に光路変換機能が必要となる。上記導波路に光路変換機能を付与するための方法としては、一般的には、外部にミラーを設ける方法や導波路に45°反射面を作り、空気界面での全反射を利用した方法が数多く提案されている。
特開平8−286064公報 特開平4−281406号公報 特開2000−235127号公報
しかしながら、光導波路回路の実用性を考えると光配線の封止が不可欠であり、反射面として空気の全反射を使った場合には、実用的な封止剤が使えないためコスト高になるという問題がある。
また、高分子光導波路を安価で高性能な平面受発光素子に実装する場合、導波路端部にダイシングブレード加工により45°反射機能を付加させて、導波路を伝搬する光の伝搬方向を変換する方法を用いると、高い屈曲性を要求される高分子材料は軟らかくなるため、特に加工精度の維持が難しい先端角度が45°のダイシングブレードによる高精度切削が困難になる懸念がある。
これに対して、金属ミラー(金属膜)を反射面に着膜する方法があるが、十分な反射性能を持つには、着膜する面の研磨が必要でこの方法もコスト高となるだけでなく、十分な反射を得るためには着膜する面をかなり平滑にしなければならないという問題がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、製造が簡便であり、反射性能に優れた光路変換のための反射面を備える光導波路及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題は、以下の本発明により達成される。
すなわち、本発明の請求項1に係る発明は、光が伝播する導波路コアと、該導波路コアを包囲し、該導波路コアより屈折率の小さいクラッド部と、を有し、
前記クラッド部が光進行方向の端部に切断面を有し、該切断面に、前記クラッド部とは異なる材質からなる基材上に金属膜を着膜したミラー部材を、該金属膜が光を屈曲させる反射面となるように貼付してなる光導波路である。
請求項2に係る発明は、前記ミラー部材の基材における、前記金属膜を着膜する面の算術平均粗さRaが、1nm以上50nm以下である請求項1に記載の光導波路である。
請求項3に係る発明は、前記ミラー部材の基材における、前記反射面と垂直方向の厚さが、10μm以上100μm以下である特徴とする請求項1または2に記載の光導波路である。
請求項4に係る発明は、前記ミラー部材の基材が、少なくとも前記金属膜を着膜する面が研磨されたシリコン基板、ガラス基板、あるいは算術平均粗さRaが10nm以上50nm以下のプラスチックフィルムであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光導波路である。
請求項5に記載の発明は、前記ミラー部材の金属膜が、銀、金及び銅のうちの少なくとも1種を含む金属で構成される請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光導波路である。
請求項6に係る発明は、前記ミラー部材の形状が、前記反射面と垂直な方向で切断した断面の形状が直角三角形の三角柱状であり、前記ミラー部材が該直角三角形の底辺側の面を反射面として貼付されることにより、前記クラッド部の外面とミラー部材部分の面とが一体面となって構成される請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光導波路である。
請求項7に係る発明は、前記ミラー部材の形状が、前記反射面と垂直な方向で切断した断面の形状が台形の6面体状であり、前記ミラー部材が該台形の下底側の面を反射面として貼付されることにより、前記クラッド部の外面とミラー部材部分の面とが一体面となって構成される請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光導波路である。
請求項8に係る発明は、前記クラッド部の切断面と前記ミラー部材とが透明な接着剤により貼付されており、該接着剤の屈折率が、導波路コアの屈折率以下である請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光導波路である。
請求項9に係る発明は、前記クラッド部及び導波路コアの少なくとも一方を構成する樹脂が、紫外線硬化型あるいは熱硬化型のエポキシ系樹脂である請求項1乃至8のいずれか1項に記載の光導波路である。
請求項10に係る発明は、前記クラッド部及び導波路コアの少なくとも一方を構成する樹脂が、紫外線硬化型あるいは熱硬化型のアクリル系樹脂である請求項1乃至8のいずれか1項に記載の光導波路である。
請求項11に係る発明は、光が伝播する導波路コアと、該導波路コアを包囲し、該導波路コアより屈折率の小さいクラッド部とを有する光導波路フィルムを作製する光導波路フィルム作製工程と、
前記光導波路フィルムの光進行方向の端部に切断面を形成する切断面形成工程と、
前記切断面に、前記クラッド部とは異なる材質からなる基材上に金属膜を着膜したミラー部材を、該金属膜が光を屈曲させる反射面となるように貼付するミラー部材貼付工程と、を有する光導波路の製造方法である。
請求項12に係る発明は、前記光導波路フィルムが複数の導波路パターンを有しており、
前記切断面形成工程が、該切断面に前記複数の導波路パターンの各導波路コア端部を露出させる溝加工であり、
前記ミラー部材貼付工程が、表面に前記金属膜を着膜した短冊状の高分子フィルムを各導波路コア端部すべてを覆うように固定する工程であり、
さらに、前記工程を経た光導波路フィルムを、前記複数の導波路パターンごとに切断して分離する切断分離工程を有する請求項11に記載の光導波路の製造方法である。
請求項13に係る発明は、光が伝播する導波路コアにより構成される複数の導波路パターンと、該導波路コアを包囲し、該導波路コアより屈折率の小さいクラッド部とを有する光導波路フィルムを作製する光導波路フィルム作製工程と、
前記光導波路フィルムをミラー部材固定槽に配置し、該光導波路フィルムの光進行方向端部に、短冊状の高分子フィルム表面に金属膜を着膜したミラー部材を該金属膜が光を屈曲させる反射面となるように固定するミラー部材固定工程と、
前記各工程を経た光導波路フィルムを、前記複数の導波路パターンごとに切断して分離する切断分離工程と、を有する光導波路の製造方法である。
本発明の請求項1に係る発明によれば、製造が簡便であり、反射性能に優れた光路変換のための反射面を備える光導波路が得られる。
請求項2に係る発明によれば、より反射性能に優れた反射面を備える光導波路が得られる。
請求項3に係る発明によれば、反射損失を大きくすることなく、取り扱いや生産性に優れた光導波路が得られる。
請求項4に係る発明によれば、より反射性能に優れた反射面を備える光導波路が得られる。
請求項5に係る発明によれば、レーザなどの発光素子を光源とする光に対して反射効率を大きい光導波路が得られる。
請求項6に係る発明によれば、さらに取り扱いや生産性に優れた光導波路が得られる。
請求項7に係る発明によれば、さらに取り扱いや生産性に優れた光導波路が得られる。
請求項8に係る発明によれば、反射性能に優れ、製造も容易な光導波路が得られる。
請求項9に係る発明によれば、コア、クラッド間の屈折率差の制御が容易で生産性に優れた光導波路が得られる。
請求項10に係る発明によれば、コア、クラッド間の屈折率差の制御が容易で生産性に優れた光導波路が得られる。
請求項11に係る発明によれば、反射性能に優れた光路変換のための反射面を備える光導波路を、精度よく効率的に製造することができる。
請求項12に係る発明によれば、さらに複数の光導波路を、反射性能にばらつきを生じることなく効率的に製造することができる。
請求項13に係る発明によれば、反射性能に優れる複数の光導波路を、反射性能にばらつきを生じることなく効率的に製造することができる。
以下、本発明を実施形態により詳細に説明する。
本実施形態の光導波路は、光が伝播する導波路コアと、該導波路コアを包囲し、該導波路コアより屈折率の小さいクラッド部と、を有し、前記クラッド部が光進行方向の端部に切断面を有し、該切断面に、前記クラッド部とは異なる材質からなる基材上に金属膜を着膜したミラー部材を、該金属膜が光を屈曲させる反射面となるように貼付してなることを特徴とする。
本実施形態の光導波路は、光路変換機能として、光進行方向の端部に反射面を有するものであるが、従来この反射面はダイシングソーなどで端部に切断面を形成し、その切断面に金属膜をスパッタリング等により着膜して形成されていた。このため、切断面の表面の粗さが金属膜表面にも反映し、荒れた反射面となるため、高い反射効率を得ることができなかった。
これに対し本実施形態では、前記切断面上に金属膜を着膜するのではなく、表面が平滑な基材上に金属膜を着膜させたミラー部材を別途作製し、これを金属膜が反射面となるように前記切断面に貼付する。これにより、表面が平滑な金属膜が反射面となるため、高い反射効率を得ることができ、高効率の光路変換機能を備えた光導波路を得ることができる。
また、従来の切断面形成後に該切断面に金属膜を着膜した場合では、上記構成による反射面と同等の反射性能を得るために、切断面を相当に平滑にしなければならず、工程速度が極端に落ちてしまい生産性が低下するのに対して、前記本実施形態の光導波路は、簡便な工程により作製することができるため、コスト低減や製造歩留まり向上の点からも優位性を有する。
以下、図面を用いて本実施形態の光導波路を説明する。
図1は、本実施形態の光導波路の一例を示す斜視図である。図示した通り、光導波路30は、導波路の長さ方向(図における左右方向)に延在する断面が口型のコア部(導波路コア)12と、このコア部12を包囲するクラッド部10とで構成され、光導波路30の光進行方向端部(図における左側)には、光路変換機能を有するミラー部材20が接着層14を介してクラッド部10の切断面Aに貼付されている。
光導波路30内には、複数のコア部12が導波路の幅方向(図における奥行き方向)に並列に配置され、クラッド部10内に複数の導波路が形成されている。この例ではクラッド部10内に4本の導波路が形成されている。このコア部12とクラッド部10とからなる導波路部は、後述する方法により作製される光導波路フィルムあるいは該光導波路フィルムを加工したものであるが、一般的にコア部12は屈折率が高く、コア部12を包囲するクラッド部10はコア部12よりも屈折率が低くなるように構成されている。コア部12とクラッド部10との屈折率差は、大きいほど屈曲時の損失を発生させることなく曲線部の曲げ半径を小さくすることができる。一方、屈折率差が大きいと、光ファイバーと接続する場合には光出力の広がり角が大きくなり、接続ロスが大きくなる。そこで、コア部12とクラッド部10との屈折率差は、0.3%以上5%以下程度とすることが好ましい。
一例として、屈折率差が3%である場合を考える。このとき、屈曲させたとき曲率半径が1.5mmまで曲げ損失がほとんどない光導波路を得ることができる。屈折率差は大きいほど、屈曲時の損失がなく曲率半径を小さくできるが、光導波路フィルムの機械的な屈曲性、受光・発光素子との接続損などを考慮すると、屈折率差を1%以上5%以下程度とすることが最も好ましい。また、屈折率差を3%以上4%以下とすると、曲率半径が1mmで屈曲させても、実用的な屈曲時の光損失が非常に小さくなり、後述する受光・発光素子との接続も容易となり実用的である。
前記クラッド部10、コア部14を構成する材料は、前記屈折率差を達成できるものであれば特に制限されないが、クラッド部10及びコア部14の少なくとも一方を構成する材料として、紫外線硬化型あるいは熱硬化型のエポキシ系樹脂や紫外線硬化型あるいは熱硬化型のアクリル系樹脂を用いることが、前記屈折率差の制御性だけでなく、種々の形状のコアやクラッドに対する加工性や接着性及び材料コストの観点から望ましい。
なお、後述する高分子光導波路の場合には、クラッドフィルム(下部クラッド)として特定の樹脂フィルムを用いることから、上記樹脂をクラッド部に用いるのは上部クラッドとして及びコア側面の充填剤としてである。
本実施形態では導波路部の端部に、導波路の光軸と45°の角度をなす切断面Aが形成されている。切断面Aは、コア部12を導波する光の光路を変換する、あるいは、外部からの光の光路を変換してコア部12に光を導入する反射面を有するミラー部材20を接合するために設けられる。すなわち、例えばコア部12を導波してきた光がミラー部材20の反射面でその光路が90°折り曲げられ、光導波路30から射出され、逆に、外部の発光素子からの光がミラー部材20の反射面でその光路が90°折り曲げられ、コア部12に導入される。
本実施形態においては、ミラー部材20は基材22及び金属膜24で構成される。前記のように、本実施形態ではクラッド部10の切断面Aに直接反射面として金属膜を形成した場合の、反射面の荒れによる反射効率低下を回避するため、別途平滑な金属膜(反射面)24を有するミラー部材20を用いる。したがって、金属膜24の下地となる基材22の着膜面には一定以上の平滑性が要求される。
具体的には、前記金属膜24の着膜する面の算術平均粗さRaは1nm以上50nm以下であることが望ましく、1nm以上30nm以下であることがより好適である。表面の算術平均粗さRaが50nmを超えると、着膜する金属膜表面にもその荒れが反映し反射効率が低下する。一方、Raが1nmに満たない程度の表面を得ることは困難である。
なお、上記算術平均粗さRaは、JIS B0601に定義されるものであり、表面粗さ測定器αステップ500(KLAテンコール社製)を用い、触針先端5μmR、測定速度0.1mm/s、測定長さ1mmの測定条件にて測定した。
基材22としては、研磨等により上記平滑性が得られるものであれば特に制限されないが、当然にクラッド部10の切断面より平滑な面が必要となるため、樹脂などで構成されるクラッド部10とは異なる材質から構成される。特に、表面が研磨されたシリコン基板あるいはガラス基板を用いることが、前記平滑な面が比較的容易に得られダイシングにより容易に加工できる点で望ましい。
また、基材22の厚さ(金属膜面と垂直方向の厚さ)としては、コア部12の幅と同等程度とすることが望ましく、具体的には10μm以上100μm以下とすることが望ましく、20μm以上50μm以下とすることがより好適である。厚さが10μmに満たないと研磨が難しくなることから、研磨済み基材の入手が困難であり、100μmを超えると厚さが薄い導波路への対応が困難となる場合がある。
基材22の表面に着膜する金属膜24としては、コア部材12内を導波する光を反射させる(当該光の波長域での吸収がほとんどない)材料を用いることが望ましい。具体的に用いる光としては、半導体レーザ光が好ましく、特に本実施形態においては、後述するように発光素子として面発光型レーザ素子(VCSEL)を好適に使用するため、このレーザ素子の発信波長(約850nm付近)の光を反射する材料であることが望ましい。
上記観点から、金属膜24を構成する材料としては、金、銀及び銅のうちの少なくとも1種を用いることが望ましく、特にコストと反射効率との点で銀及びその合金が望ましい。
金属膜24は、スパッタリング、蒸着など、公知の堆積方法で形成することができ、金属膜24の厚さは50nm以上300nm以下とすることが望ましく、70nm以上200nm以下とすることがより好適である。
図2は、本実施形態の光導波路の他の一例を示す斜視図である。図2に示す光導波路40においては、クラッド部10の切断面Aに貼付されるミラー部材20’が、図1に示したミラー部材20とは基材22及び金属膜24の位置が逆となっており、基材面が切断面Aに貼付され金属膜24が切断面Aに対して外側(最表面)に配置されている。図2に示す光導波路は、上記ミラー部材が異なるのみで、その他の構成、用いる材料等は図1に示した光導波路と同様である。
この光導波路においても、反射面である金属膜24が若干切断面Aから離間しているものの、金属膜面の平滑性は図1に示した場合と同様であり、この構成の光導波路によっても光路変換機能において同等の反射効率を得ることができる。
以下に、本実施形態の各構成をその製造方法と共により詳細に説明する。
(光導波路フィルム)
本実施形態の光導波路における導波路部となる光導波路フィルムとしては、前記特性を満たすものであれば特に制限されるものではないが、柔軟性を有する高分子光導波路フィルムであることが望ましい。
高分子光導波路フィルムは、可とう性を有する透明樹脂フィルムからなり、「折り曲げ」や「ねじれ」等の変形に対して追従性を有している。本実施形態では、高分子光導波路フィルムは、曲率半径3mm以下の可とう性を備えていることが好ましい。曲率半径は、フィルムを折り曲げたときにフィルムの内側に形成される曲線の微小な部分を円と近似したとき、その円の半径の長さを表す値であり、ASTM D―2176に従いその許容値が測定される。なお、高分子光導波路フィルムに用いるフィルム用樹脂材料については後述する。
高分子光導波路フィルムは、変形に対する追従性を高めるために、フィルムの厚さを50μm以上300μm以下の範囲とすることが好ましく、70μm以上200μm以下の範囲とすることがより好ましい。また、同様の理由から、フィルムの幅を0.25mm以上10mm以下の範囲とすることが好ましく、0.5mm以上3mm以下の範囲とすることがより好ましい。
上記の高分子光導波路フィルムは、例えば、以下の(1)〜(6)の工程により作製することができる(光導波路作製工程)。(1)鋳型形成用硬化性樹脂の硬化層から形成され、かつ、導波路コア部に対応する凹部と、該凹部の一端及び他端にそれぞれ連通する貫通孔が2以上設けられた鋳型を準備する工程、(2)前記鋳型に該鋳型との密着性が良好なクラッド用可撓性フィルム基材(クラッド用フィルム)を密着させる工程、(3)クラッド用可撓性フィルム基材を密着させた鋳型の凹部の一端にある貫通孔に、コア形成用硬化性樹脂を充填し、鋳型の凹部の他端にある貫通孔から減圧吸引してコア形成用硬化性樹脂を前記鋳型の凹部に充填する工程、(4)充填したコア形成用硬化性樹脂を硬化させ、鋳型をクラッド用可撓性フィルム基材から剥離する工程、(5)コアが形成されたクラッド用可撓性フィルム基材の上にクラッド層を形成する工程、(6)得られた高分子光導波路フィルムの端面に45°反射面を形成する工程。
まず、説明を簡単にするため、高分子光導波路フィルムの製造工程を、図5(A)〜(H)を参照して、導波路コアを1本設けたものについて説明する。
図5(A)は原盤100を示し、120は導波路コアに対応する凸部である。まず、この原盤100の凸部形成面に鋳型形成用硬化性樹脂を塗布又は注型した後硬化させる(図5(B)参照)。図5(B)中、200aは硬化樹脂層である。その後硬化樹脂層200aを剥離すると、凹部が形成された硬化樹脂層200aが得られる(図示せず)。凹部220が形成された硬化樹脂層200aに、凹部220に連通する貫通孔260及び280を凹部両端に打ち抜き等により形成して鋳型200(図5(C)参照)を得る。
次に、図5(D)が示すように、鋳型にクラッド用可撓性フィルム基材300を密着させる。その後、鋳型に形成されている貫通孔260にコア形成用硬化性樹脂を入れ、他端の貫通孔280から減圧吸引して鋳型凹部220にコア形成用硬化性樹脂を充填する。その後、該樹脂を硬化させ鋳型を剥離すると、図5(E)に示されるように、クラッド用可撓性フィルム基材300の上にコア部320が形成される。次に、クラッド部(上部クラッド層)400を形成し(図4(F)参照)、貫通孔260及び280内で硬化した樹脂部分をダイシングソー等で切り落として、高分子光導波路フィルム130とする(図5(G)参照)。
最後に、45°傾斜付きダイシングブレードを備えたダイシングソーを用いて高分子光導波路フィルム130の端部をダイシングし、高分子光導波路フィルム130の端面に45°切断面130bを形成する(図5(H)参照)(切断面形成工程)。これにミラー部材を貼付することより、90°光路変換機能をもたせることができる。
前記45°傾斜付きダイシングブレードとして、例えば、(株)ディスコ製45°角度付きブレードなどが用いられる。
形成される導波路コアに対応する凸部の大きさは光導波路の用途等に応じて適宜決められる。例えばシングルモード用の光導波路の場合には、10μm角程度のコアを、マルチモード用の光導波路の場合には、30μm乃至100μm角程度のコアが一般的に用いられる。
また、前記鋳型形成用硬化性樹脂としては、前記のごとき剥離性、機械強度・寸法安定性、硬度、クラッド用基材との密着性の点から、硬化後、シリコーンゴム(シリコーンエラストマー)又はシリコーン樹脂となる硬化性オルガノポリシロキサンが好ましく用いられる。前記硬化性オルガノポリシロキサンは、分子中にメチルシロキサン基、エチルシロキサン基、フェニルシロキサン基を含むものが好ましい。また、前記硬化性オルガノポリシロキサンは、一液型のものでもまた硬化剤と組み合わせて用いる二液型のものでもよく、また、熱硬化型のものでもまた室温硬化型(例えば空気中の水分で硬化するもの)のものでもよく、更に他の硬化(紫外線硬化等)を利用するものであってもよい。
硬化性オルガノポリシロキサンとしては、硬化後シリコーンゴムとなるものが好ましく、これには通常液状シリコーンゴム(「液状」の中にはペースト状のように粘度の高いものも含まれる)と称されているものが用いられ、硬化剤と組み合わせて用いる二液型のものが好ましく、中でも付加型の液状シリコーンゴムは、表面と内部が均一にかつ短時間に硬化し、またその際副生成物が無く又は少なく、かつ離型性に優れ収縮率も小さいので好ましい。
前記液状シリコーンゴムの中でも特に液状ジメチルシロキサンゴムが密着性、剥離性、強度及び硬度の点から好ましい。また、液状ジメチルシロキサンゴムの硬化物は、一般に屈折率が1.43程度と低いために、これから作った鋳型は、クラッド用基材から剥離させずに、そのままクラッド層として好ましく利用することができる。この場合には、鋳型と、充填したコア形成用樹脂及びクラッド用基材とが剥がれないような工夫が必要になる。
さらに、前記クラッド用可撓性フィルム基材の材料は光学素子の用途に応じ、屈折率、光透過性等の光学的特性、機械的強度、耐熱性、鋳型との密着性、フレキシビリティー等を考慮して選択される。前記フィルムとしては脂環式アクリル樹脂フィルム、脂環式オレフィン樹脂フィルム、三酢酸セルロースフイルム、含フッ素樹脂フィルム等が挙げられる。フィルム基材の屈折率は、コアとの屈折率差を確保するため、1.55より小さく、好ましくは1.53より小さくすることが望ましい。
前記脂環式アクリル樹脂フィルムとしてはトリシクロデカン等の脂肪族環状炭化水素をエステル置換基に導入した、OZ−1000、OZ−1100(日立化成(株)製)等が用いられる。
また、脂環式オレフィン樹脂フィルムとしては主鎖にノルボルネン構造を有するもの、及び主鎖にノルボルネン構造を有しかつ側鎖にアルキルオキシカルボニル基(アルキル基としては炭素数1から6のものやシクロアルキル基)等の極性基をもつものが挙げられる。中でも前記のごとき主鎖にノルボルネン構造を有しかつ側鎖にアルキルオキシカルボニル基等の極性基をもつ脂環式オレフィン樹脂は、低屈折率(屈折率が1.50近辺であり、コア・クラッドの屈折率の差を確保できる)及び高い光透過性等の優れた光学的特性を有し、鋳型との密着性に優れ、さらに耐熱性に優れているので特に本実施形態の光導波路の作製に適している。
なお、前記フィルム基材の厚さはフレキシビリティーと剛性や取り扱いの容易さ等を考慮して適切に選ばれ、一般的には0.02mm乃至0.2mm程度が好ましい。
次に、本実施形態における光導波路フィルムの製造方法の他の具体的一例を、図6を用いて工程順に説明する。この光導波路は複数のコア部(導波路コア)を有するものである。
まず、図6(A)に示すように、コア13aと、該コア13aを挟み込むように積層されている下部クラッド11aおよび上部クラッド11bと、を有する積層体32aを用意する。例えば、ガラス、シリコンなどの平坦な基板(図示ぜず)上に、下部クラッド11a、コア13a、上部クラッド11bを順次積層する。各層を積層する方法は、各層の間で剥離が生じないように一体的に積層されれば特に限定されず、例えば、ラミネート法、スピンコート等の公知の方法が採用される。
下部クラッド11a及び上部クラッド11bを構成する材料は、コア13との間で所定の屈折率差が設定され得る材質であれば特に制限されず、用途に応じて、材料の屈折率、光透過性等の光学的特性、機械的強度、耐熱性、フレキシビリティー(可撓性)等を考慮して選択される。例えば、放射線硬化性、電子線硬化性、熱硬化性等の樹脂、望ましくは紫外線硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂を選択し、紫外線硬化性又は熱硬化性のモノマー、オリゴマーあるいはモノマーとオリゴマーの混合物が望ましく用いられる。より望ましくはエポキシ系、アクリル系の紫外線硬化性樹脂を選択する。
コア13としては、例えば紫外線硬化性樹脂が用いられ、紫外線硬化性のモノマー、オリゴマー、若しくはモノマーとオリゴマーの混合物が望ましく用いられる。コア用の具体的な材料として、エポキシ系、アクリル系紫外線硬化性樹脂などが望ましく用いられる。
また、積層体32aのサイズや総厚は特に限定されず、材質、用途等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、フレキシブルな光導波路フィルムとするためには、積層体32aの厚さは50μm以上500μm以下であることが望ましく、より望ましくは70μm以上300μm以下である。一方、積層体32aの幅は、0.5mm以上10mm以下であることが望ましく、より望ましくは、1mm以上5mm以下である。積層体32aの厚さ及び幅を上記範囲とすることで、光導波路としての柔軟性及び強度を確保し易い。
次に、図6(B)に示すように。ダイシングブレード51を使って切削により積層体32aの除去した部分(切削溝14)を作製した後、コア13よりも屈折率が低いクラッド用樹脂で埋める。例えば、図6(C)に示すように、積層体32aに形成した各切削溝14にクラッド用硬化性樹脂を流し込み、これを硬化させることにより埋込クラッド11cを形成する。埋込クラッド11cも、導波路コア13との間で所定の屈折率差が設定され得る材質であれば特に制限されないが、下部クラッド11aと同じ材料が望ましく用いられる。例えば、主面側に、クラッド用硬化性樹脂を滴下するとともに、スピンコート法による遠心力により広げることで、各切削溝14にクラッド用硬化性樹脂によって満たされる。なお、このクラッド用硬化性樹脂を塗布する方法としては、スピンコート法に限ることではなく、例えばスペーサーにより膜厚を制御しながら、ガラス基板などによりクラッド用硬化性樹脂を押し付けて露光硬化する方法を採用してもよい(光導波路フィルム作製工程)。
その後、図示しないが、45°の角度付きブレードを備えたダイシングソーを用いてフィルムの端部をダイシングし、高分子光導波路フィルム32の端面に45°切断面を形成することで、光導波路の光路変換部が得られる(切断面形成工程)。
(ミラー部材)
本実施形態におけるミラー部材の形状は、該ミラー部材がクラッド部10の切断面Aに貼付されたときに、金属膜によりなる反射面が切断面Aに対して平行となるように配置される形状であれば特に制限されない。ここではまず、本実施形態において好ましい形状である、図1、2に示す光導波路に用いられる断面形状が台形のミラー部材の製造方法について説明する。
図3は、図1に示す光導波路に用いられるミラー部材20に関するものであり、(A)はミラー部材20の斜視図、(B)はミラー部材20の製造工程を示す模式断面図である。
ミラー部材20においては、図3(A)に示すように断面形状が台形の6面体の底面側に金属膜24が形成される。ミラー部材20としては、クラッド部10の切断面Aの角度が45°の場合には、前記台形の2つの低角がともに45°であることが望ましい。そして、このようなミラー部材20を製造する方法としては、金属膜24の均一性を維持でき、精度及び効率よく製造が可能である点で、以下に述べるダイシングブレードを用いる方法が好適である。
具体的には、まず、所望の厚さ、表面平滑性を有する基材ベースを用意し、この表面にスパッタリング等により所定の厚さの金属膜を形成する。そして、この金属膜を有する基材ベース26に対し、図3(B)の断面図に示すように、所望の先端角度を有するダイシングブレード50を着膜面の裏側から押し当て、ダイシングソーによりダイシングすることにより領域B、Cで示される部分が切り取られ、図3(A)に示すミラー部材20が得られる。
このとき、断面の台形の低角の角度は、ダイシングブレード50の先端角度により自由に選択することができ、例えば両低角を45°とする場合には、先端角度が90°のダイシングブレード50を基材ベース26の直上から押し当てる。
図4は、同様に図2に示す光導波路に用いられるミラー部材20’に関するものであり、(A)はミラー部材20’の斜視図、(B)はミラー部材20’の製造工程を示す模式断面図である。
ミラー部材20’においては、図4(A)に示すように断面形状が台形の6面体の上面側に金属膜24が形成される。ミラー部材20’としても、クラッド部10の切断面Aの角度が45°の場合には、前記台形の2つの低角がともに45°であることが望ましい。
ミラー部材20’をダイシングブレードを用いて製造する方法は、前記図3(B)で示した方法において、金属膜24を形成した基材ベース26に対し、着膜面側からダイシングブレード50を押し当てる以外は同様である(図4(B))。そして、ダイシング後に領域D、Eで示される部分が切り取られ、図4(A)に示すミラー部材20’が得られる。
(ミラー部材の貼付)
次に、前記のように作製した光導波路フィルムの切断面に、金属膜を有するミラー部材を該金属膜が反射面となるように貼付する(ミラー部材貼付工程)。具体的には、前記切断面と金属膜面とが平行になるように貼付することが望ましく、これは例えば、図3、4に示したミラー部材20、20’を精度良く作製すれば、ミラー部材20、20’を前記切断面Aに貼付するだけで容易に達成できる。
貼付に用いる接着剤としては、導波路コアの屈折率と同じか、あるいはより小さい屈折率を持った透明な材料を使用することが望ましい。これにより、図1、2中の接着層14における光損失を低減でき反射面での反射効率を高めることができる。なお、前記「透明」とは、少なくとも導波路コアを導波する光の波長に対して透過率が90%以上であることを意味する。
具体的に、接着剤としては紫外線硬化型のエポキシ樹脂やアクリル樹脂などを用いることが望ましい。
さらに、上記ミラー部材を光導波路フィルム(導波路部)に貼付した状態の態様について、作製された光導波路と発光素子とを接合した導波路型光モジュールを例に挙げて説明する。
図7は、光導波路30A、30B、30Cと面型の発光素子60とを接合した導波路型光モジュールの模式断面図である。図において、各光導波路は図1に示した光導波路30と同様に導波路部の端部の切断面に対し、金属膜24側を対向させて貼付したミラー部材20A、20B、20Cを有する。また、発光素子60において、62は発光点を、64は電極をそれぞれ示す。この発光素子60は、反射面が形成されたミラー部材が光導波路30A、30B、30Cの端部側面に接着剤で結合されている。また、点線は発光点62からの光路を示す。
前発光点62から出射された光を光路変換する金属膜24において、90°光路変換を行うためには、切断面Aを45°傾斜面とすればよく、図7においてはこのような構成となっている。
発光点62から出射する光は45°反射面たる金属膜24により光路変換された後、コア部(導波路コア)12中を導波し、大部分がコア部12の他端部から出射する。
図7(A)においては、ミラー部材20Aの形状は金属膜24の着膜面が平滑である以外は特定されておらず、図に示すように貼付後のミラー部材20Aの基材22の一部は光導波路30Aの外面から突出している。このような形状は、光路変換における反射効率には優れるものの、光モジュールとしての取り扱いや生産性の面で好ましくない。
図7(B)においては、ミラー部材20Bの形状は、金属膜24(反射面)と垂直な方向で切断した断面の形状が直角三角形の三角柱状であり、ミラー部材20Bが該直角三角形の底辺側の面を反射面として切断面Aに貼付されることにより、光導波路30Bにおけるクラッド部10の外面とミラー部材部分の面とが一体面となって構成されている。
ここで「一体面となる」とは、図に示すように光導波路30Bの外面の高さとミラー部材20Bの基材22部分の高さとが一致していることを意味する。以下も同様である。ミラー部材がこのような形状であれば、光モジュールの取り扱い性が格段によくなり、光モジュールの製造に際しても積層性等の点で有利である。
前記断面形状が直角三角形のミラー部材20Bを製造は、図3、4で示したようなダイシングブレードを使用したダイシングにより容易に行うことができる。
具体的には、図8に模式的断面図で示すように、図3等で用いた先端角度が90°のダイシングブレード50を基材22上に金属膜24を形成した基材ベース26に押し当て、ダイシングソーによりダイシングする。このとき、ダイシング間のダイシングブレード50の間隔を図3の場合より狭くし、ブレードが重なるような位置として連続してダイシングを行うことにより、領域F、Gで示される部分が切り取られ、図7(B)に示すミラー部材20Bが得られる。
図7(C)においては、ミラー部材20Bの形状は、金属膜24(反射面)と垂直な方向で切断した断面の形状が台形の6面体状であり、ミラー部材20Bが該台形の下底側の面を反射面として切断面Aに貼付されることにより、光導波路30Cにおけるクラッド部10の外面とミラー部材部分の面とが一体面となって構成されている。この光モジュールにおける光導波路の構成は、図1に示すものと同様である。
ミラー部材がこのような形状であれば、図7(B)に示す場合と同様に、光モジュールの取り扱い性が格段によくなり、光モジュールの製造に際しても積層性等の点で有利である。
次に、前述の光導波路の製造方法に関し、前記光導波路フィルムが複数の導波路パターンを有し、該光導波路フィルムを用いて効率的に前記導波路パターンごとの複数の光導波路を作製する方法について説明する。
高い屈曲性を狙った高分子材料は、ダイシングソーによる加工性が悪化する。したがって、高分子フィルムをベースとした光導波路フィルムにおける切断面、特に45°面加工は、高い面精度を要求されるために難易度が高い。本実施形態ではこれを回避するために、45°度加工面とは別に金属膜を有するミラー部材を作製し、これを45°反射面として機能するように導波路部に接着するものである。光導波路は生産性を考慮して複数の製品パターンを1つの導波路フィルムに形成して、これを切り離すのが通例であるが、本実施形態ではミラー部材の材質を工夫することにより、ミラー部材自体も切り離し工程で同時に切断できるため、個々の製品ごとにミラー部材を後付けするよりも生産性が向上する。
第1の製造方法は、前記製造方法における切断面形成工程が、該切断面に前記複数の導波路パターンの各導波路コア端部を露出させる溝加工であり、前記ミラー部材貼付工程が、表面に前記金属膜を着膜した短冊状の高分子フィルムを各導波路コア端部すべてを覆うように固定する工程であり、さらに、前記工程を経た光導波路フィルムを、前記複数の導波路パターンごとに切断して分離する切断分離工程を有するものである。
図9は、上記製造工程の一例のプロセスを示す概念図である。
図9(A)は、複数の導波路パターンを有する光導波路フィルム32の模式断面図であり、例えば、図6に示すプロセスにより作製されたものである。コア部13はクラッド部11に包摂されてなるが、図における奥行き方向にさらに複数のコア部(導波路コア)が存在する。以下に説明する各製造プロセスは、すべてこの光導波路フィルムをベースにした製造方法である。
まず、この光導波路フィルム32に対し、図9(B)のように光導波路の端部の光路変換部分に相当する箇所にV字型の溝H1を形成する。溝H1の傾斜角度は、45°とすることが望ましいが、金属反射面介して光路変換を行うため導波路の臨界角以下のずれであれば十分に機能する。例えば、導波路のコアとクラッドの屈折率差が3%である場合には、臨界角が23.6°となり45°との差である、21.4°〜68.6°まで90°光路変換機能を有する反射面として機能する。
また、溝H1の深さは少なくともV字の先端がコア部13までの深さを超えている必要がある。さらに、傾斜面の粗さは、後工程で平滑な金属膜(反射面)を密着させるため、特に平滑化を考慮する必要はない。
溝H1の形成方法に制限はなく、切れ込み部の形成箇所、大きさ、形状等により適宜選択可能である。図9(B)に示す溝H1の場合には、例えば、先端断面が所望角度と同様の傾斜をもつダイシングブレードを備えたダイシングソーでダイシングする方法が可能であり、また簡便な方法である。
ダイシングソーとして、例えば、(株)ディスコ製DAD321などが用いられる。ダイシングソーを用いることにより、例えば実質的なブレード位置誤差を3μm程度に抑えることが可能である。従って、例えば50μm×50μm角の導波路コアに対して、図におけるコア部13の下面から10μm程度の深さまで切れ込みを形成する制御が可能になる。また複数の導波路パターンを有する光導波路フィルムに対して、均等に切れ込みを形成するため、導波路パターン間のバラツキが生じない。
次に、図9(C)に示すように、光導波路フィルム32の溝H1の傾斜面に、基材22表面に金属膜24を着膜したミラー部材20Dを金属膜24が傾斜面と対向するように密着させる。ここに用いるミラー部材20Dは、前記表面が平滑な着膜面に金属膜を形成したものであるが、この工程において導波路パターンごとに傾斜面に露出しているコア部をすべて覆い、一度に金属膜の反射面を形成するため、基材を短冊状の高分子フィルムとしたものを用いる。したがって、図では明らかでないが、ミラー部材20Dは図面における奥行き方向に伸びて傾斜面のほぼ全体を覆っている。また、図では直方体状のミラー部材20Dを用いているが、前述の断面が台形形状のミラー部材等も勿論使用可能である。
前記ミラー部材は光を透過するわけではないので必ずしも透過性は要求されず、表面が平滑であり、かつ金属反射膜の着膜時の温度上昇に耐えられるものが望ましい。例えば、ポリオレフィンフィルム(JSR社製アートンフィルム、日本ゼオン社製ゼオネックスなど)、ポリイミドフィルム、PESフィルム等のフィルムだけではなく、研磨済みの薄いSi基板やガラス基板等を使うことも可能である。また、金属膜としては、金、銀、銅、またはこれらの合金が好適に用いられるが、これらの金属膜はスパッタ装置で着膜すればフィルムの温度上昇は80℃程度のため、前記の高分子フィルムならばまったく変形などを考慮することなく良好な着膜を実施できる。
ミラー部材20Dを傾斜面に密着させた後これを固定するため、図9(C)に示すように、溝H1の隙間部分に液状の接着剤16を流し込み固化させることにより、ミラー部材20Dを固定する。接着剤16としては、紫外線硬化型のエポキシ系樹脂やアクリル系樹脂などを用いることが望ましい。
続いて、最後にミラー部材20Dが固定された光導波路フィルム32を導波路パターンごとに切断・分離して、各々端部に45°反射面を備えた複数の光導波路を得る(切断分離工程)。
図9(D)に、(C)で作製されたミラー部材20Dが固定された状態の光導波路フィルム32をフィルムの上側から見た図を示すが、この光導波路フィルム32には図に示すように複数の平行な直線状のコア部13が形成されており、これを図の点線で示す位置で切断することにより、直線状の2本の導波路コアを有し両端部に90°光路変換機能を備えた光導波路を複数得ることができる。
この場合、前記切断により光導波路フィルム32と共にミラー部材20Dも一緒に切断されるため、この切断により、後工程で反射面を形成する工程を設けることなく、一度に複数の光導波路を得ることができる。
なお、前記切断は、ダイシングソー等により行うことができる。
図10は、図9に示した製造工程を一部変更したプロセスを示す概念図である。
図10においては、光導波路フィルムに形成する溝を、図10(B)に示すように矩形状の溝H2とし、ミラー部材における反射面の角度設定を傾斜面によらず別の方法により行っている以外は、図9に示す製造工程と同様である。すなわち、本実施形態の製造方法では、ミラー部材の反射面の角度を決める位置決めは、必ずしも図9に示すような光導波路フィルムに傾斜面を形成することにより設定する必要はなく、別途位置決め手段が設けられていれば、溝の形状は特に制限されず図10(B)に示すような矩形状のものでもよい。
図10(B)に示す溝H2の幅は、特に制限されないが、図10(C)のようにミラー部材20Dを溝H2に配置したときに、そのまま反射面の角度が設定されるように位置決めされる場合には、ミラー部材20Dの大きさ等により所定の幅とすることが望ましい。また溝H2の深さについても同様である。
溝H2は、前記同様のダイシングソーのほか、高速ルータ等により形成される。
図10(C)においては、溝H2に短冊状のミラー部材20Dを配置し、反射面となる金属膜24の角度を設定後、同様に接着剤16によりミラー部材20Dが固定される。
このときのミラー部材20Dの位置決めは、前記のように溝H2に配置されたときにそのまま反射面の角度が設定されるように溝の大きさ等を制御する方法以外に、必要に応じてミラー部材を両端から角度を設定する治具で保持する方法が挙げられる。
一方、他の位置決め方法としては、図10(C’)に示すように、断面の形状が直角二等辺三角形の三角柱状のミラー部材20Eを作製し、溝H2の底部の角を直角になるように形成しておけば、ミラー部材20Eの基材の直角部分を溝の直角部分と合わせるように配置することにより、金属膜24を45°反射面とすることができる。
なお、本実施形態では、上記三角柱状のミラー部材20Eの基材をも含めて「短冊状の高分子フィルム」とする。このミラー部材20Eは、図8に示したダイシングブレードを用いたダイシングにより容易に得ることができる。
図10(D)は、図9(D)と同様に各光導波路ごとに切断、分離する工程を示すが、この場合には、図に示すように(C)の工程でミラー部材20Dの位置決めに用いた位置決め治具70により、ミラー部材20Dを固定したまま切断を行ってもよい。このようにすることで、切断時の加圧等による固定位置変動を避けることができる。
次に、第2の製造方法について説明する。
第2の製造方法は、前記複数の導波路パターンを有する光導波路フィルムをミラー部材固定槽に配置し、該光導波路フィルムの光進行方向端部に、表面に金属膜を着膜した短冊状の高分子フィルムを該金属膜が光を屈曲させる反射面となるように固定するフィルム固定工程と、前記各工程を経た光導波路フィルムを、前記複数の導波路パターンごとに切断して分離する切断分離工程とを有するものである。
この製造方法は、作製した光導波路フィルムに対して、図9,10に示すような溝形成を行うことなく、そのまま、あるいは端面処理(コアを露出させる処理等)のみを行って、ミラー部材の固定等を行うものである。
図11は、上記製造工程の一例のプロセスを示す概念図である。
まず、前記と同様にして作製した光導波路フィルム32(コアの端部は露出しているもの)を、図11(B)のようにミラー部材固定槽80の所定位置に配置する。この状態は、ちょうどミラー部材を配置する前の図10(B)に示した矩形状の溝を形成した状態に対応する。したがって、光導波路フィルム32を配置する位置は、図10(B)の溝と同様に、図における光導波路フィルム32の左右の空間の大きさが同等となるように配置することが望ましい。また、槽内の大きさ(面積)と光導波路フィルム32の大きさとの関係も、図10のプロセスの場合と同様、ミラー部材の大きさや該ミラー部材の固定をどのように行うかによって決定される。
次いで、図11(C)に示すように、短冊状の高分子フィルムを用いたミラー部材20Dを、図10(C)の場合と同様に光導波路フィルム32の両端に配置する(ミラー部材固定工程)。このときのミラー部材20Dにおける金属膜24の角度設定の方法も、前記図10の場合と同様であり、ミラー部材固定槽80の外壁と光導波路フィルム32の両端との距離で固定されるか、別途位置決め治具を用いてミラー部材20Dを位置決めしても良い。
またこの場合、図11(C’)に示すように、断面形状が直角二等辺三角形の三角柱状のミラー部材20Eを用いて、直角に成形された光導波路フィルム32の端部にミラー部材20Eの直角部分を合わせて位置決めしても良い。この点は、図10(C’)において説明した内容と同様である。
ミラー部材の位置決め後、ミラー部材固定槽80との空間に接着剤16を流し込み固化し、その後、これをミラー部材固定槽80から剥離すれば、図11(D)に示すような光導波路フィルム32とミラー部材20Dとが一体となった成形物が得られる。
その後、この成形物を導波路パターンごとに切断し分離する工程は、図11(E)に示すように、図10(D)で説明した内容と同様である。
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
<実施例1>
(光導波路フィルムの作製)
−原盤の作製−
Si基板に厚膜レジスト(マイクロケミカル(株)製、SU−8)をスピンコート法で塗布した後、80℃でプリベークし、フォトマスクを通して露光し、現像して、断面が正方形をなす2本の凸部(幅:50μm、高さ:50μm、長さ:80mm)を形成した。また、凸部と凸部との間隔は250μmとした。次に、これを120℃でポストベークして、光導波路フィルム作製用の原盤を作製した。
−鋳型の作製−
次に、この原盤に離型剤を塗布した後、熱硬化性液状ジメチルシロキサンゴム(ダウ・コウニングアジア社製:SYLGARD184、粘度5000mPa.s)及びその硬化剤を混合したものを流し込み、120℃で30分間加熱して硬化させた後、剥離して、断面が矩形である凸部に対応する凹部を持った型(型の厚さ:5mm)を作製した。
更に、平面形状が円形である鋳型における厚さ方向の断面形状がテーパー状である貫通孔を、凹部の一端及び他端において、凹部と連通するように、打ち抜きにより形成して鋳型を作製した。
この鋳型と、鋳型より一回り大きい膜厚20μmのクラッド用フィルム基材(アートンフィルム、JSR(株)製、屈折率1.510)を密着させた。次に、鋳型の進入側貫通孔に、粘度が500mPa.sの紫外線硬化性樹脂を数滴落とし、排出側(減圧吸引側)貫通孔から減圧吸引したところ、10分で凹部内に紫外線硬化性樹脂が充填された。次いで、50mW/cmのUV光を鋳型の上部から5分間照射して紫外線硬化させた。鋳型をアートンフィルムから剥離したところ、アートンフィルム上に原盤凸部と同じ形状のコアが形成された。
次に、アートンフィルムのコア形成面に、硬化後の屈折率がアートンフィルムと同じ1.510である紫外線硬化性樹脂を塗布した後、厚さ20μmのクラッド用フィルム基材を張り合わせ、50mW/cmのUV光を5分間照射して紫外線硬化させることで、2枚のフィルムを接着させ、幅1.5mm、膜厚100μmのベルト状の光導波路フィルムとした。
次に、45°の角度付きダイシングブレードを備えたダイシングソーを用いて、光導波路フィルムの両端を光軸に対して45°の角度で切断し、両端部に傾斜角45°の切断面を有する光導波路フィルムを得た。
(ミラー部材の作製)
厚さ50μmで表面の算術平均粗さRaが1nmのSiウェハーに、スパッタリング装置を用いて、表面に膜厚100nmのAg合金膜を着膜し、基材ベースを作製した。
次に、90°の角度付きダイシングブレードを用いて、前記基材ベースのAg膜形成面を下側にしてダイシングテープで固定し、切削面をAg合金膜のない面(上面)としてダイシングソーで切り出した。切断は、図3(B)に示したように、厚さ50μmで底辺の長さが282μm、上辺の長さが141μmの台形状に切り出し、前記光導波路フィルムの切断面に貼り付けるミラー部材を作製した。
(光導波路の作製)
次に、前記断面が台形のミラー部材を、光導波路フィルムの切断面(45°面)にAg合金膜と対向するように貼り付けることで、90°光路変換機能を有する金属膜付き光導波路を作製した。このとき、光導波路のクラッドの外面とミラー部材の基材端面とは一体面となった。なお、前記貼り付ける接着剤としては、導波路コアの形成に用いたエポキシ系紫外線硬化樹脂を用いた。
(光導波路の評価)
波長850nmのLED光源の光を、コア径50μmのマルチモードファイバーを介して得られた光導波路に入射し、受光側にはコア径200μmのポリマークラッドファイバーを介してフォトダイオードで光の挿入損失を測定し、反射面の性能を評価した結果、反射損失は0.25dBと高性能であった。
<実施例2>
(光導波路フィルムの作製)
実施例1の光導波路フィルムの作製と同じようにして、厚さが100μm、幅が1.5mmで、両端部に45°傾斜面を有する光導波路フィルムを得た。
(ミラー部材の作製)
厚さ50μmで表面の算術平均粗さRaが10nmのガラス基板に、スパッタリング装置を用いて、表面に膜厚100nmのAg合金膜を着膜し、基材ベースを作製した
次に、90°の角度付きダイシングブレードを用いて、前記基材ベースのAg合金膜のない面を下側にしてダイシングテープで固定し、切削面をAg膜形成面(上面)としてダイシングソーで切り出した。切断は、図4(B)に示したように、厚さ50μmで底辺の長さが282μm、上辺の長さが141μmの台形状に切り出し、前記光導波路フィルムの切断面に貼り付けるミラー部材を作製した。
(光導波路の作製)
次に、前記断面が台形のミラー部材を、光導波路フィルムの切断面(45°面)にガラス基板と対向するように貼り付けることで、90°光路変換機能を有する金属膜付き光導波路を作製した。この光導波路ではAg合金膜面は最表面となっており、光導波路のクラッドの外面とミラー部材の基材端面とは一体面となった。なお、前記貼り付ける接着剤としては、屈折率がガラス基板に近いクラッドの形成に用いたエポキシ系紫外線硬化樹脂を用いた。
(光導波路の評価)
得られた光導波路を用い、実施例1と同様にして反射面の性能を評価した結果、反射損失は0.3dBと高性能であった。
<実施例3>
(光導波路フィルムの作製)
実施例1の光導波路フィルムの作製と同じようにして、厚さが100μm、幅が1.5mmで、両端部に45°傾斜面を有する光導波路フィルムを得た。
(ミラー部材の作製)
厚さ70μmで表面の算術平均粗さRaが1nmのSiウェハーに、スパッタリング装置を用いて、表面に膜厚100nmのAg合金膜を着膜し、基材ベースを作製した。
次に、90°の角度付きダイシングブレードを用いて、前記基材ベースのAg膜形成面を下側にしてダイシングテープで固定し、切削面をAg合金膜のない面(上面)としてダイシングソーで切り出した。切断は、図8に示したようにして、底辺の長さが141μmで断面が直角二等辺三角形状に切り出し、前記光導波路フィルムの切断面に貼り付けるミラー部材を作製した。
(光導波路の作製)
次に、前記断面が直角三角形のミラー部材を、光導波路フィルムの切断面(45°面)にAg合金膜と対向するように貼り付けることで、90°光路変換機能を有する金属膜付き光導波路を作製した。このとき、光導波路のクラッドの外面とミラー部材の基材面とは一体面となった。なお、前記貼り付ける接着剤としては、コアの形成に用いた紫外線硬化型のエポキシ樹脂を用いた。
(光導波路の評価)
得られた光導波路を用い、実施例1と同様にして反射面の性能を評価した結果、反射損失は0.25dBと高性能であった。
<実施例4>
(光導波路の作製)
まず、材料は実施例1で使用したものを用い、図6に示した製造工程に従って作製した、250μmピッチで50μm径の直線コアパターンが連続して形成された、厚みが100μm、大きさが105mm×100mmのフレキシブルな光導波路フィルムを用意する。このフィルムの長手方向の両端から2.5mmの位置に、先端角が90°のV字ブレードを用いて、コアと垂直方向に深さ90μmのV字溝形状に加工する。このときの加工面の精度はRaで200nmであった。
一方、厚みが50μmのJSR社製アートンフィルムを用意し、スパッタ装置でAg合金膜を厚み100nmに着膜した。この着膜フィルムをダイシングソーによって100μm幅の短冊状に切断した。なお、使用したアートンフィルムの面精度は、Raで20nm程度であった。
短冊状に切断した着膜フィルムを、前記V字溝形状部分の導波路側傾斜面にエポキシ系紫外線硬化樹脂で接着し、接着完了後に500μmピッチで製品形状に切断し、導波路長が100mmで両端に45°反射面を備えた双方向用フレキシブル導波路フィルム(光導波路)を完成させた。
(光導波路の評価)
得られた光導波路を用い、実施例1と同様にして反射面の性能を評価した結果、反射損失は0.3dB程度であった。
<実施例5>
(光導波路の作製)
実施例4と同様にして、250μmピッチで50μm径の直線コアパターンが連続して形成された、厚み100μm、大きさが105mm×100mmのフレキシブルな光導波路フィルムを用意する。このフィルムの長手方向の両端から2.5mmの位置に、高速ルータを用いて、コアと垂直方向に深さ90μmの溝形状を加工する。このときの加工面の精度はRaで500nmであった。
一方、厚みが50μmのJSR社製アートンフィルムを用意し、スパッタ装置でAg合金膜を厚み100nmに着膜した。この着膜フィルムをダイシングソーによって100μm幅の短冊状に切断した。なお、使用したアートンフィルムの面精度は、Raで20nm程度であった。
短冊状に切断した着膜フィルムを、前記溝形状部分に45°位置決め治具で支えて位置決めした後に、エポキシ系紫外線硬化樹脂で接着し、接着完了後に500μmピッチで製品形状に切断し、導波路長が100mmで両端に45°反射面を備えた双方向用フレキシブル導波路フィルム(光導波路)を完成させた。
(光導波路の評価)
得られた光導波路を用い、実施例1と同様にして反射面の性能を評価した結果、反射損失は0.3dB程度であった。
<実施例6>
実施例4と同様にして、250μmピッチで50μm径の直線コアパターンが連続して形成された、厚み100μm、大きさが100mm×100mmのフレキシブルな光導波路フィルムを用意する。ポリジメチルシロキサン(PDMS)製で前記光導波路フィルムの大きさに対応したくぼみをもつ作業台(ミラー部材固定槽)を用意して、前記光導波路フィルムをくぼみの中央に設置した。このとき、固定槽の底面(PDMS面)と光導波路フィルムの底面とは密着した。
一方、厚みが50μmのJSR社製アートンフィルムを用意し、スパッタ装置でAg合金膜を厚み100nmに着膜した。この着膜フィルムをダイシングソーによって100μm幅の短冊状に切断した。なお、使用したアートンフィルムの面精度は、Raで20nm程度であった。
短冊状に切断した着膜フィルムを、前記固定槽の外壁と光導波路フィルムとの隙間で形成される溝形状部分に45°位置決め治具で支えて位置決めした後に、エポキシ系紫外線硬化樹脂で接着し、接着完了後に前記作業台から光導波路フィルムを剥離した。その後、500μmピッチで製品形状に切断し、導波路長が100mmで両端に45°反射面を有する双方向用フレキシブル導波路フィルム(光導波路)を完成させた。
(光導波路の評価)
得られた光導波路を用い、実施例1と同様にして反射面の性能を評価した結果、反射損失は0.3dB程度であった。
<比較例1>
実施例1の光導波路フィルムの作製と同じようにして、厚さが100μm、幅が1.5mmで、両端部に45°傾斜面を有する光導波路フィルムを得た。このときの傾斜面の表面粗さはRaで100nmであった。
この光導波路フィルムの傾斜面のみに、スパッタリング装置を用いて、表面に膜厚100nmのAg合金膜を着膜した。こうして、90°光路変換機能を有する金属膜付き光導波路を作製した。
得られた光導波路を用い、実施例1と同様にして反射面の性能を評価した結果、反射損失は4.0dB程度であり、損失はかなり大きなものであった。
上記のように、実施例1乃至6では、金属膜で90°光路変換機能を有する光導波路を作製しても、従来に比べて反射損失の小さいものが簡便な製造工程で得られることがわかった。
本実施形態の光導波路の一例を示す斜視図である。 本実施形態の光導波路の他の一例を示す斜視図である。 ミラー部材の構成及び製造工程の一例を示す図である。 ミラー部材の構成及び製造工程の他の一例を示す図である。 光導波路フィルムの製造工程の一例を示す図である。 光導波路フィルムの製造工程の他の一例を示す図である。 本実施形態の光導波路を用いた導波路型光モジュールの構成一例を示す模式断面図である。 ミラー部材の製造工程の他の一例を示す図である。 本実施形態の光導波路の製造工程の一例を示す図である。 本実施形態の光導波路の製造工程の他の一例を示す図である。 本実施形態の光導波路の製造工程の他の一例を示す図である。
符号の説明
10、11、11a、11b クラッド部
12、13、13a コア部
14 接着層
16 接着剤
20 ミラー部材
22 基材
24 金属膜
30、32、40、130 光導波路
50、51 ダイシングブレード
60 発光素子
70 位置決め治具
80 ミラー部材固定槽
100 原盤
200 鋳型
220 凹部
260、280 貫通孔
300 クラッド用可撓性フィルム基材
320 コア部(凸部)
400 クラッド部(クラッド層)

Claims (13)

  1. 光が伝播する導波路コアと、該導波路コアを包囲し、該導波路コアより屈折率の小さいクラッド部と、を有し、
    前記クラッド部が光進行方向の端部に切断面を有し、該切断面に、前記クラッド部とは異なる材質からなる基材上に金属膜を着膜したミラー部材を、該金属膜が光を屈曲させる反射面となるように貼付してなることを特徴とする光導波路。
  2. 前記ミラー部材の基材における、前記金属膜を着膜する面の算術平均粗さRaが、1nm以上50nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の光導波路。
  3. 前記ミラー部材の基材における、前記反射面と垂直方向の厚さが、10μm以上100μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の光導波路。
  4. 前記ミラー部材の基材が、少なくとも前記金属膜を着膜する面が研磨されたシリコン基板、ガラス基板、あるいは算術平均粗さRaが10nm以上50nm以下のプラスチックフィルムであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光導波路。
  5. 前記ミラー部材の金属膜が、銀、金及び銅のうちの少なくとも1種を含む金属で構成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光導波路。
  6. 前記ミラー部材の形状が、前記反射面と垂直な方向で切断した断面の形状が直角三角形の三角柱状であり、前記ミラー部材が該直角三角形の底辺側の面を反射面として貼付されることにより、前記クラッド部の外面とミラー部材部分の面とが一体面となって構成されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光導波路。
  7. 前記ミラー部材の形状が、前記反射面と垂直な方向で切断した断面の形状が台形の6面体状であり、前記ミラー部材が該台形の下底側の面を反射面として貼付されることにより、前記クラッド部の外面とミラー部材部分の面とが一体面となって構成されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光導波路。
  8. 前記クラッド部の切断面と前記ミラー部材とが透明な接着剤により貼付されており、該接着剤の屈折率が、導波路コアの屈折率以下であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光導波路。
  9. 前記クラッド部及び導波路コアの少なくとも一方を構成する樹脂が、紫外線硬化型あるいは熱硬化型のエポキシ系樹脂であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の光導波路。
  10. 前記クラッド部及び導波路コアの少なくとも一方を構成する樹脂が、紫外線硬化型あるいは熱硬化型のアクリル系樹脂であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の光導波路。
  11. 光が伝播する導波路コアと、該導波路コアを包囲し、該導波路コアより屈折率の小さいクラッド部とを有する光導波路フィルムを作製する光導波路フィルム作製工程と、
    前記光導波路フィルムの光進行方向の端部に切断面を形成する切断面形成工程と、
    前記切断面に、前記クラッド部とは異なる材質からなる基材上に金属膜を着膜したミラー部材を、該金属膜が光を屈曲させる反射面となるように貼付するミラー部材貼付工程と、を有することを特徴とする光導波路の製造方法。
  12. 前記光導波路フィルムが複数の導波路パターンを有しており、
    前記切断面形成工程が、該切断面に前記複数の導波路パターンの各導波路コア端部を露出させる溝加工であり、
    前記ミラー部材貼付工程が、表面に前記金属膜を着膜した短冊状の高分子フィルムを各導波路コア端部すべてを覆うように固定する工程であり、
    さらに、前記工程を経た光導波路フィルムを、前記複数の導波路パターンごとに切断して分離する切断分離工程を有することを特徴とする請求項11に記載の光導波路の製造方法。
  13. 光が伝播する導波路コアにより構成される複数の導波路パターンと、該導波路コアを包囲し、該導波路コアより屈折率の小さいクラッド部とを有する光導波路フィルムを作製する光導波路フィルム作製工程と、
    前記光導波路フィルムをミラー部材固定槽に配置し、該光導波路フィルムの光進行方向端部に、短冊状の高分子フィルム表面に金属膜を着膜したミラー部材を該金属膜が光を屈曲させる反射面となるように固定するミラー部材固定工程と、
    前記各工程を経た光導波路フィルムを、前記複数の導波路パターンごとに切断して分離する切断分離工程と、を有することを特徴とする光導波路の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009258563A (ja) * 2008-04-21 2009-11-05 Panasonic Electric Works Co Ltd 傾斜端面を有する光導波路の製造方法
JP2012098672A (ja) * 2010-11-05 2012-05-24 Panasonic Corp 光導波路の製造方法及び光導波路

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