JP2009091436A - ポリフッ化ビニリデン−窒化ホウ素フィラー系組成物およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】機械的強度に優れる成形体を得ることができるPVdFおよび窒化ホウ素フィラーを含む組成物を提供する。
【解決手段】ポリフッ化ビニリデンおよび窒化ホウ素フィラーを含む組成物であって、当該組成物を、当該組成物の100倍の質量のN−メチル−2−ピロリドンに25℃で1週間浸漬した際の、下記式で表される組成物分の不溶解残渣率が、1%以上である組成物とする。当該組成物は、例えば、ポリフッ化ビニリデンおよび窒化ホウ素フィラーを、ポリフッ化ビニリデンの融点以上分解温度未満で混練する工程を含む製造方法によって製造することができる。
不溶解残渣率(%)=(組成物のまま溶け残った残渣の質量/組成物の初期の質量)×100
【選択図】なし
【解決手段】ポリフッ化ビニリデンおよび窒化ホウ素フィラーを含む組成物であって、当該組成物を、当該組成物の100倍の質量のN−メチル−2−ピロリドンに25℃で1週間浸漬した際の、下記式で表される組成物分の不溶解残渣率が、1%以上である組成物とする。当該組成物は、例えば、ポリフッ化ビニリデンおよび窒化ホウ素フィラーを、ポリフッ化ビニリデンの融点以上分解温度未満で混練する工程を含む製造方法によって製造することができる。
不溶解残渣率(%)=(組成物のまま溶け残った残渣の質量/組成物の初期の質量)×100
【選択図】なし
Description
本発明は、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)および窒化ホウ素フィラーを含む組成物およびその製造方法に関し、詳しくは、成形体とした際に機械的強度が良好なポリフッ化ビニリデンおよび窒化ホウ素フィラーを含む組成物およびその製造方法に関する。
PVdFおよび窒化ホウ素フィラーを含む組成物は、PVdF由来の優れた滑り性、耐溶剤性、汚れ防止性等、および窒化ホウ素フィラー由来の優れた熱伝導性、耐アークエネルギー性等を有している。このため、当該組成物は、熱現像装置の熱ドラム(例えば、特許文献1参照)、電線の絶縁被覆材料(例えば、特許文献2参照)、パッファ形ガス遮断機のノズル(例えば、特許文献3参照)、PTC素子(例えば、特許文献4参照)、支持体表面等の滑り部材(例えば、特許文献5参照)等に使用されている。
特開2004−29408号公報
特開平4−206405号公報
特開平6−251667号公報
特開2004−47792号公報
特開2000−505527号公報
一般にフィラーは、機械的強度の向上を目的として組成物に添加されるが、PVdFおよび窒化ホウ素フィラーを含む組成物においては、PVdFに対する窒化ホウ素フィラーの含有量が20質量%を超えると、機械的強度が減少してしまう。このため、主にPVdFおよび窒化ホウ素フィラーからなる組成物においては、その機械的強度には限界があった。特に、引張弾性率および引張伸びを両立させることが困難であった。
そこで、本発明は、機械的強度に優れる成形体を得ることができるPVdFおよび窒化ホウ素フィラーを含む組成物を提供することを目的とする。
本発明は、PVdFおよび窒化ホウ素フィラーを含む組成物であって、
当該組成物を、当該組成物の100倍の質量のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に25℃で1週間浸漬した際の、下記式で表される組成物分の不溶解残渣率が、1%以上である組成物である。
不溶解残渣率(%)=(組成物のまま溶け残った残渣の質量/組成物の初期の質量)×100
当該組成物を、当該組成物の100倍の質量のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に25℃で1週間浸漬した際の、下記式で表される組成物分の不溶解残渣率が、1%以上である組成物である。
不溶解残渣率(%)=(組成物のまま溶け残った残渣の質量/組成物の初期の質量)×100
本発明はまた、PVdFおよび窒化ホウ素フィラーを、PVdFの融点以上分解温度未満で混練する工程を含む、PVdFおよび窒化ホウ素を含む組成物の製造方法である。
本発明によれば、機械的強度に優れる成形体を得ることができるPVdFおよび窒化ホウ素フィラーを含む組成物が提供される。特に、引張弾性率および引張伸び率が共に高い成形体を得ることができる組成物が提供される。
従来、PVdFおよび窒化ホウ素フィラーを含む組成物は、溶剤混合、塗布および乾燥して薄膜化されるか、またはガラス転移点以上融点未満の温度で混練および押出して成形されていた。それに対して本発明は、本発明者等がPVdFと窒化ホウ素フィラーを、PVdFの融点以上分解温度以下で混練すれば、PVdFが架橋を起こすことを見出し、また、PVdFの架橋の程度として、PVdFのNMP溶媒に対する不溶解残渣がある基準値以上であれば、PVdFおよび窒化ホウ素フィラーを含む組成物の機械的強度が高くなることを見出し、完成されたものである。
本発明において、機械的強度に優れるとは、JIS K 6251(2004年)(旧JIS K 6301)に準拠して評価して、引張弾性率および伸び率が大きいことを特にいう。
本発明に用いられるPVdFとしては、特に制限がなく、組成物の用途に応じて好適な溶融粘度を有するものを選択すればよい。例えば、耐溶剤性が要求される場合には、溶融粘度の高いもの(高分子量のもの)を選択し、加工性が要求される場合には、溶融粘度の低いもの(低分子量のもの)を選択するとよい。PVdFの溶融粘度(ASTM D3835)は、通常、1000〜5000Pa・s(ASTM D3835)が好適である。溶融粘度の異なる2種以上のPVdFを混合して用いてもよい。
本発明で用いられる窒化ホウ素フィラーは、六方晶窒化ホウ素(h−BN)より構成されるフィラーである。フィラーの形状および粒径は、特に限定は無く、組成物の用途に応じて適宜選択すればよい。組成物を薄膜化して用いる場合には、粒径は、外観の観点から小さいものを選択することが好ましく、例えば、5μm以下であることが好ましい。
窒化ホウ素フィラーの配合量としては、PVdFに対して0.1〜50質量%が好ましく、0.5〜25質量%がより好ましい。本発明においては、NMPに浸漬した際の不溶解残渣率が1%以上となるようなPVdFが使用されており、これにより、20質量%を超えるような量での窒化ホウ素フィラーの添加も可能である。窒化ホウ素フィラーの配合量が0.1質量%より少ないと、組成物の成形体の十分な耐溶剤性および機械的強度が得られなくなるおそれがあり、50質量%を超えると、組成物の成形体が脆くなるおそれがある。また、溶融粘度の高いPVdFを用いる場合には、加工性の観点から、フィラーの配合量は、少ない方がよい。
本発明においては、PVdFおよび窒化ホウ素フィラーを含む組成物を、当該組成物の100倍の質量のNMPに25℃で1週間浸漬した際の、下記式で表される組成物分の不溶解残渣率が、1%以上であり、好ましくは、2〜20%である。
不溶解残渣率(%)=(組成物のまま溶け残った残渣の質量/組成物の初期の質量)×100
PVdFは、NMPに溶解性を示すが、架橋PVdFが組成物中に存在すると、組成物は、NMPに浸漬しても組成物のまま溶け残ることができる。従って、PVdFは、少なくともその一部が、架橋PVdFである。この架橋PVdFによって、組成物を成形体とした際の機械的強度が向上する。
不溶解残渣率(%)=(組成物のまま溶け残った残渣の質量/組成物の初期の質量)×100
PVdFは、NMPに溶解性を示すが、架橋PVdFが組成物中に存在すると、組成物は、NMPに浸漬しても組成物のまま溶け残ることができる。従って、PVdFは、少なくともその一部が、架橋PVdFである。この架橋PVdFによって、組成物を成形体とした際の機械的強度が向上する。
不溶解残渣率の測定にあたり、NMPに浸漬する際の組成物は、フィルム状、円筒状等に成形されたものであってよい。浸漬後、NMP中において、組成物のまま溶け残った残渣と、組成物中のPVdFの一部がNMPに溶解することによって組成物から分離してきた窒化ホウ素フィラー(およびその他のNMP不溶の成分)とが不溶解残渣となり得る。本発明においては、組成物のまま溶け残った残渣のみを最終的に回収し、この残渣を不溶解残渣率の計算に用いる。
PVdFの不溶解残渣率が1%以上である組成物は、機械的強度に優れ、JIS K 6251に準拠して評価して、弾性率が1500MPa以上かつ伸び率が10%以上ともなるものである。
本発明の組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲内で、さらに機能性フィラー、繊維等を含んでいてもよい。
本発明の組成物は、例えば、PVdFと窒化ホウ素フィラーを、PVdFの融点以上分解温度未満で混練する工程を行うことにより製造することができる。
混練は、公知の混練機を用いて行うことができ、窒化ホウ素フィラーの分散効率を考慮すると、二軸混練機が好ましく、また、混練軸の回転速度を大きくすることが好ましい。混練軸の回転速度としては、例えば、1〜150rpmである。
PVdFおよび窒化ホウ素フィラーは、混練機に投入する前に、公知の混合装置(例、ミキサー、ヘンシェル、ボールミル等)を用いて混合しておくとよい。
混練温度は、PVdFの融点以上分解温度未満である。かかる混練温度で、窒化ホウ素フィラーと混練することによって、PVdFの架橋が起こる。このPVdFの架橋は、層状構造を有する窒化ホウ素フィラーが、当該温度範囲内での混練によってPVdFの分子をメカニカルに切断し、それにより発生したラジカルがPVdF分子と反応することにより起こるものと考えられる。混練温度として好ましくは、200〜250℃である。
この混練工程の後、押出機、プレス機、射出成形機等を用いて組成物を成形することができる。例えば、フィルム状に成形する場合には、プレス機を用いて成形すれば、面方向の物性が安定したフィルムを得ることができる。また、押出機により押出した後に、ローラー、延伸機等により薄膜化すれば、厚さおよび面粗さを調整できると同時に、フィルムの物性を高めることもできる。円筒状に成形する場合には、押出機、射出成形機等を用いることができるが、冷却時の成形体の収縮が大きいため、高温の金型に注入後、温度が下降するまでそのまま保持することが好ましい。
本発明の組成物は、PVdFおよび窒化ホウ素フィラーを含む組成物としての優れた滑り性、耐溶剤性、汚れ防止性、熱伝導性、耐アークエネルギー性等に加えて、優れた機械強度(特に、高い引張り弾性率と引張伸び率)を有している。
本発明の組成物は、公知方法に従い、熱現像装置の熱ドラム、電線の絶縁被覆材料、パッファ形ガス遮断機のノズル、PTC素子、滑り部材などに用いることができる。また、本発明の組成物は、PVdF樹脂の一般的な用途である、パイプ、継手等の成形品、燃料電池用セパレータ、ガスバリアフィルム、衝撃吸収剤、屋外テントのコート材、化学物質の担持体などにも用いることができる。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
<材料>
PVdFは、呉羽化学工業製の#850、#1000、#1100を使用した。窒化ホウ素フィラーとしては、三井化学製の窒化ホウ素MBN−010Tを使用し、比較例用のフィラーとして石原産業製の酸化チタンFTL−110を使用した。これらの諸特性を、表1および表2に示す。
PVdFは、呉羽化学工業製の#850、#1000、#1100を使用した。窒化ホウ素フィラーとしては、三井化学製の窒化ホウ素MBN−010Tを使用し、比較例用のフィラーとして石原産業製の酸化チタンFTL−110を使用した。これらの諸特性を、表1および表2に示す。
<実施例1>
PVdF(#850)に窒化ホウ素フィラーを5質量%加え、スパチュラで攪拌して混合した。次に、得られた混合物を混練機(東洋精機製100C100(二軸)、設定温度220℃、ミキサー羽根:R60、ミキサー回転数:50rpm)を用いて30分間混練した。混練の前後で、トルクは0.4N・m上昇し、樹脂温度は2℃上昇した。得られた混練物を、ガラスクロスシートと鋼板で挟み込み、プレス機に挿入して5分間プレス(30tプレス機、設定温度210℃、圧力15kg/mm)した。冷却後、厚さ350μmのフィルムを得た。後述の評価方法により評価した結果、PVdFの不溶解残存率は4%、引張弾性率は1554MPa、引張伸び率は13%であった。
PVdF(#850)に窒化ホウ素フィラーを5質量%加え、スパチュラで攪拌して混合した。次に、得られた混合物を混練機(東洋精機製100C100(二軸)、設定温度220℃、ミキサー羽根:R60、ミキサー回転数:50rpm)を用いて30分間混練した。混練の前後で、トルクは0.4N・m上昇し、樹脂温度は2℃上昇した。得られた混練物を、ガラスクロスシートと鋼板で挟み込み、プレス機に挿入して5分間プレス(30tプレス機、設定温度210℃、圧力15kg/mm)した。冷却後、厚さ350μmのフィルムを得た。後述の評価方法により評価した結果、PVdFの不溶解残存率は4%、引張弾性率は1554MPa、引張伸び率は13%であった。
<実施例2>
PVdF(#1000)を用いた以外は実施例1と同様にして、厚さ370μmフィルムを得た。混練の前後で、トルクは1.3N・m上昇し、樹脂温度は3℃上昇した。評価結果は、PVdFの不溶解残存率が14%、引張弾性率が1619MPa、引張伸び率が11%であった。
PVdF(#1000)を用いた以外は実施例1と同様にして、厚さ370μmフィルムを得た。混練の前後で、トルクは1.3N・m上昇し、樹脂温度は3℃上昇した。評価結果は、PVdFの不溶解残存率が14%、引張弾性率が1619MPa、引張伸び率が11%であった。
<実施例3>
PVdF(#1100)に窒化ホウ素フィラーを1.6質量%添加した以外は実施例1と同様にして、厚さ550μmフィルムを得た。混練の前後で、トルクは1.9N・m上昇し、樹脂温度は4℃上昇した。評価結果は、PVdFの不溶解残存率が96%、引張弾性率が1638MPa、引張伸び率が16%であった。
PVdF(#1100)に窒化ホウ素フィラーを1.6質量%添加した以外は実施例1と同様にして、厚さ550μmフィルムを得た。混練の前後で、トルクは1.9N・m上昇し、樹脂温度は4℃上昇した。評価結果は、PVdFの不溶解残存率が96%、引張弾性率が1638MPa、引張伸び率が16%であった。
<比較例1>
窒化ホウ素フィラーを配合しなかった以外は実施例1と同様にして厚さ220μmのフィルムを得た。混練の前後で、トルクおよび樹脂温度に変化はなかった。評価結果は、PVdFの不溶解残存率が0%、引張弾性率が1342MPa、引張伸び率が7%であった。
窒化ホウ素フィラーを配合しなかった以外は実施例1と同様にして厚さ220μmのフィルムを得た。混練の前後で、トルクおよび樹脂温度に変化はなかった。評価結果は、PVdFの不溶解残存率が0%、引張弾性率が1342MPa、引張伸び率が7%であった。
<比較例2>
窒化ホウ素フィラーを配合せず、PVdF(#1000)を用いた以外は実施例1と同様にして厚さ250μmのフィルムを得た。混練の前後で、トルクおよび樹脂温度に変化はなかった。評価結果は、PVdFの不溶解残存率が0%、引張弾性率が1290MPa、引張伸び率が11%であった。
窒化ホウ素フィラーを配合せず、PVdF(#1000)を用いた以外は実施例1と同様にして厚さ250μmのフィルムを得た。混練の前後で、トルクおよび樹脂温度に変化はなかった。評価結果は、PVdFの不溶解残存率が0%、引張弾性率が1290MPa、引張伸び率が11%であった。
<比較例3>
窒化ホウ素フィラーを配合せず、PVdF(#1100)を用いた以外は実施例1と同様にして厚さ500μmのフィルムを得た。混練の前後で、トルクおよび樹脂温度に変化はなかった。評価結果は、PVdFの不溶解残存率が0%、引張弾性率が1405MPa、引張伸び率が15%であった。
窒化ホウ素フィラーを配合せず、PVdF(#1100)を用いた以外は実施例1と同様にして厚さ500μmのフィルムを得た。混練の前後で、トルクおよび樹脂温度に変化はなかった。評価結果は、PVdFの不溶解残存率が0%、引張弾性率が1405MPa、引張伸び率が15%であった。
<比較例4>
PVdF(#1100)に酸化チタンフィラーを5質量%添加した以外は実施例1と同様にして、厚さ320μmフィルムを得た。混練の前後で、トルクは0.4N・m低下し、樹脂温度に変化はなかった。評価結果は、PVdFの不溶解残存率が0%、引張弾性率が1406MPa、引張伸び率が12%であった。
PVdF(#1100)に酸化チタンフィラーを5質量%添加した以外は実施例1と同様にして、厚さ320μmフィルムを得た。混練の前後で、トルクは0.4N・m低下し、樹脂温度に変化はなかった。評価結果は、PVdFの不溶解残存率が0%、引張弾性率が1406MPa、引張伸び率が12%であった。
<比較例5>
NMPに窒化ホウ素フィラーを添加し、超音波を1時間照射した後、PVdF(#1000)を徐々に加えて溶解させ、分散液(固形分20質量%)を調製した。このとき、フィラーの配合量が、PVdFに対して5質量%となるようにした。この分散液を、ガラス板上にアプリケーターを用いてキャストし、乾燥機にて220℃で30分間乾燥した。乾燥機から取り出して徐冷した後、水中に浸漬してフィルムを剥離させ、厚さ110μmのフィルムを得た。評価結果は、PVdFの不溶解残存率が0%、引張弾性率が1413MPa、引張伸び率が16%であった。
NMPに窒化ホウ素フィラーを添加し、超音波を1時間照射した後、PVdF(#1000)を徐々に加えて溶解させ、分散液(固形分20質量%)を調製した。このとき、フィラーの配合量が、PVdFに対して5質量%となるようにした。この分散液を、ガラス板上にアプリケーターを用いてキャストし、乾燥機にて220℃で30分間乾燥した。乾燥機から取り出して徐冷した後、水中に浸漬してフィルムを剥離させ、厚さ110μmのフィルムを得た。評価結果は、PVdFの不溶解残存率が0%、引張弾性率が1413MPa、引張伸び率が16%であった。
<評価方法>
引張弾性率および引張り伸び率を、JIS K 6251(2004年)に準拠して測定した。以下具体的な測定条件と算出方法を示す。
測定機:オリエンテックUTM1000テンシロン
試験片:ダンベル状3号形
チャック間隔:30mm
引張速度:100mm/分
引張弾性率:応力−歪み曲線の最大接線の傾きより算出
引張伸び率:(破断した時の長さ/初期長さ)×100より算出
引張弾性率および引張り伸び率を、JIS K 6251(2004年)に準拠して測定した。以下具体的な測定条件と算出方法を示す。
測定機:オリエンテックUTM1000テンシロン
試験片:ダンベル状3号形
チャック間隔:30mm
引張速度:100mm/分
引張弾性率:応力−歪み曲線の最大接線の傾きより算出
引張伸び率:(破断した時の長さ/初期長さ)×100より算出
また、組成物のNMPに対する不溶解残渣率は、次の手順で評価した。実施例および比較例で得られたフィルムを、当該フィルムの100倍の質量のNMPに液温を25℃に保ちつつ1週間浸漬した。その後、フィルムのNMP不溶分(フィルム中のPVdFが溶けてフィルムから分離して沈降した窒化ホウ素フィラーは含まない)を回収し、その質量を計量し、下記式より、不溶解残渣率を求めた。
不溶解残渣率(%)=(フィルム(組成物)のまま溶け残った残渣の質量/フィルム(組成物)の初期の質量)×100
不溶解残渣率(%)=(フィルム(組成物)のまま溶け残った残渣の質量/フィルム(組成物)の初期の質量)×100
以上の結果を表3にまとめる。表3より明らかなように、本発明の組成物である実施例1〜3の組成物からなるフィルムは、引張弾性率が1500MPa以上であり、引張り伸び率も10%以上と、引張り弾性率と引張伸び率の両方が高くなっている。一方、比較例の組成物からなるフィルムは、引張り弾性率が1500MPa未満となった。
本発明の組成物は、熱現像装置の熱ドラム、電線の絶縁被覆材料、パッファ形ガス遮断機のノズル、PTC素子、滑り部材などのPVdFおよび窒化ホウ素フィラーを含む組成物が用いられている用途において利用でき、また、PVdF樹脂の一般的な用途である、パイプ、継手等の成形品、燃料電池用セパレータ、ガスバリアフィルム、衝撃吸収剤、屋外テントのコート材、化学物質の担持体などにも利用することができる。
Claims (5)
- ポリフッ化ビニリデンおよび窒化ホウ素フィラーを含む組成物であって、
当該組成物を、当該組成物の100倍の質量のN−メチル−2−ピロリドンに25℃で1週間浸漬した際の、下記式で表される組成物分の不溶解残渣率が、1%以上である組成物。
不溶解残渣率(%)=(組成物のまま溶け残った残渣の質量/組成物の初期の質量)×100 - ポリフッ化ビニリデンの少なくとも一部が、架橋ポリフッ化ビニリデンである請求項1に記載の組成物。
- 窒化ホウ素フィラーの配合量が、ポリフッ化ビニリデンに対して0.5〜50質量%である請求項1または2に記載の組成物。
- JIS K 6251(2004年)に準拠して評価して、引張弾性率が1500MPa以上かつ引張伸び率が10%以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
- ポリフッ化ビニリデンおよび窒化ホウ素フィラーを、ポリフッ化ビニリデンの融点以上分解温度未満で混練する工程を含む、ポリフッ化ビニリデンおよび窒化ホウ素を含む組成物の製造方法。
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