JP2009089662A - セルロース系バイオマスの物質変換方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、セルロース系バイオマスから、エタノールなど有用な物質を酵素反応と微生物による発酵により、容易かつ収率良く得るための変換方法の開発を課題とする。
【解決手段】セルロース系バイオマスを酵素で糖さらには微生物でエタノール等有用物質に変換する際に、硬質のボール等を用いることにより、変換の効率が上昇することを見出した。
【選択図】なし
【解決手段】セルロース系バイオマスを酵素で糖さらには微生物でエタノール等有用物質に変換する際に、硬質のボール等を用いることにより、変換の効率が上昇することを見出した。
【選択図】なし
Description
本発明は、セルロース系バイオマスから、エタノールなど有用な物質を酵素反応と微生物による発酵により、容易かつ収率良く得るための変換方法に関するものである。
現在、地球温暖化防止のために、世界的に二酸化炭素削減が必要であると言われている。その中で注目を集めているのは、未利用のバイオマス、特にセルロース系バイオマスからエネルギーを取り出して利用することである。バイオマスが注目を集めている理由の一つに、バイオマス中に含まれている炭素は元をたどれば植物が吸収・固定した空気中の二酸化炭素であり、エネルギーを取り出す際に生じる二酸化炭素量相当分の二酸化炭素を吸収する分の植物を再生することで±0となる、いわゆるカーボンニュートラルになることが挙げられる。又、バイオマスからエタノールやメタンガスなど燃料となる物質を取り出すことができるので、将来枯渇する化石燃料の代替が期待されている(非特許文献1)。
現在ブラジルでサトウキビからの糖、アメリカではトウモロコシの可食部を利用したバイオマス由来エタノール(バイオエタノール)が盛んに製造され、それぞれの国においてガソリン代替として実用化されている。これらバイオエタノールは人間や家畜の食糧としても利用可能な部分から製造しているため、燃料原料としての利用が多くなると、食糧の高騰などが引き起こされることが懸念される。
そこでバイオエタノールの原料として注目されているのは、食糧とはならない草や木など、セルロース系バイオマスである。しかし、セルロース系バイオマスを燃料物質へ変換することは困難である。それは、燃料物質の元となるセルロース自体の結晶度が高いことと、分解の困難なリグニンに囲まれているために利用し難いからである。そのため、セルロース系バイオマスのセルロースを利用するためには、結晶度を低くしたり、リグニンなどを除去するなどしてセルロースを利用しやすい形態にする必要がある(非特許文献2、3、4)。
セルロース系バイオマスを糖やエタノールに変換することだけを考えた場合、その方法には大きく分けて二種類存在する。一つは酸などを用いてセルロース系バイオマス中のセルロースをグルコースまで加水分解してから発酵によってエタノールへ変換する酸加水分解法である。この方法は古くから考えられて研究がされてきたが、強酸性かつ高温高圧な条件下で反応を行うためにそれに耐え得る装置のコストやメンテナンス費用がかかるなど大きな問題がある (非特許文献2、3)。
一方、セルロース分解酵素(セルラーゼ)を用いてセルロースをグルコースまで分解する、酵素糖化法は酸加水分解法と比較して、穏和な条件で反応が可能であるために、装置上の利点がある。しかしながら、分解が進むにはセルラーゼと木質バイオマス中のセルロースが接触する必要があるが、前述したリグニンの存在、更にはセルロースの結晶化がそれを邪魔する。そのために酵素反応の前に何らかの前処理を行う必要がある。セルロース系バイオマスの酵素糖化法のための前処理として、希硫酸法、アルカリ処理法、微粉砕法など様々な方法が考えられているが、まだ決定的な方法は確立されていない(非特許文献3、5)。
微粉砕法はバイオマスをボールミル等の粉砕器で細かな粒子にすることで、含まれるセルロース表面積を大きくしてセルロースを分解しやすくする方法で、できるだけバイオマス粒子の大きさを小さくすると良いと言われている。しかしながら、バイオマス粒子の大きさを小さくすればするほど、それにかかるエネルギーやコストが大きくなってしまう欠点がある(非特許文献6)。また、微粉砕法を改良した方法として、湿式粉砕と同時にバイオマスの糖化を行う方法も提案されているが、これは糖化までしか行われておらず、エタノール変換については実施されていない(非特許文献7)。
微粉砕法の1種として、遷移金属の存在下でバイオマスをメカニカルミリング処理してバイオマスから水素を製造する方法が開発されている(特許文献1)。しかしながら、この方法ではエタノール等の製造は不可能である。
本発明は、セルロース系バイオマスから、エタノールなど有用な物質を酵素反応と微生物による発酵により、容易かつ収率良く得るための変換方法の開発を課題とする。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、セルロース系バイオマスを酵素で糖さらには微生物でエタノール等有用物質に変換する際に、硬質ボール等を用いることにより、変換の効率が上昇することを知見して本発明を完成した。
すなわち、本発明はセルロース系バイオマス、硬質ボール、酵素と微生物からなる反応液を一つの反応容器内に投入し、反応容器全体を振動させることにより、ボールとセルロース系バイオマスを激しく接触させ、酵素反応及び発酵を促進させることにより生成物を高収率で得る方法であり、以下詳述する。
本発明は、
(1)セルロース系バイオマスを酵素反応単独又は発酵併用によって物質変換を行う際に、同一反応容器内でセルロース系バイオマスと硬質の物質を反応液に共存させ、反応容器を振盪しながら物質変換を行う方法。
(2)セルロース系バイオマスを変換する酵素としてセルラーゼ主体の酵素を用いて変換し、さらにそれらの全て又は一部を発酵にてエタノールに変換することを特徴とする(1)記載の物質変換を行う方法。
(1)セルロース系バイオマスを酵素反応単独又は発酵併用によって物質変換を行う際に、同一反応容器内でセルロース系バイオマスと硬質の物質を反応液に共存させ、反応容器を振盪しながら物質変換を行う方法。
(2)セルロース系バイオマスを変換する酵素としてセルラーゼ主体の酵素を用いて変換し、さらにそれらの全て又は一部を発酵にてエタノールに変換することを特徴とする(1)記載の物質変換を行う方法。
(3)セルロース系バイオマスを変換する際に、セルラーゼ主体の酵素反応とエタノール発酵を同一の反応容器内で行うことによりエタノールに変換することを特徴とする(1)又は(2)記載の物質変換を行う方法。
(4)硬質の物質がジルコニア、アルミナ、ステンレス、鉄、フッ素樹脂又はナイロン製のボールであることを特徴とする(1)から(3)のいずれかに記載の物質変換を行う方法。
(4)硬質の物質がジルコニア、アルミナ、ステンレス、鉄、フッ素樹脂又はナイロン製のボールであることを特徴とする(1)から(3)のいずれかに記載の物質変換を行う方法。
(5)セルロース系バイオマスを変換する際に、反応容器を激しく振盪した後に、それよりも穏やかに振盪するか、静置することを1又は2回以上交互に繰り返すことを特徴とした(1)から(4)のいずれかに記載の物質変換を行う方法。
(6)セルロース系バイオマスを変換する際に、反応容器に温度センサーと反応容器の周囲に温水を循環させることのできるジャケットが付加されており、温度を制御しながら変換することを特徴とする(1)から(5)のいずれかに記載の物質変換を行う方法。
(6)セルロース系バイオマスを変換する際に、反応容器に温度センサーと反応容器の周囲に温水を循環させることのできるジャケットが付加されており、温度を制御しながら変換することを特徴とする(1)から(5)のいずれかに記載の物質変換を行う方法。
(7)セルロース系バイオマスを変換する際に、反応液温度と振盪を連動させ、設定温度になると振盪が止まり、設定温度以下になると振盪が再開されることが繰り返されることを特徴とする(6)に記載の物質変換を行う方法。
(8)セルロース系バイオマスを変換する際に、反応容器にpHセンサーとpH調整が可能な装置一式が付加されており、反応液のpHを制御しながら変換することを特徴とする(1)から(7)に記載の物質変換を行う方法。
に関する。
(8)セルロース系バイオマスを変換する際に、反応容器にpHセンサーとpH調整が可能な装置一式が付加されており、反応液のpHを制御しながら変換することを特徴とする(1)から(7)に記載の物質変換を行う方法。
に関する。
本変換方法に用いるセルロース系バイオマスは乾燥状態であっても、湿潤状態であっても良く、水分状態は問わない。バイオマスの大きさは反応に用いる容器に投入できる大きさであれば大きさは問わないが、小さくすることにより反応を早く進めることが可能となる。また、使用するセルロース系バイオマスに特別な前処理をしなくても、本変換方法の効果はあるが、セルロース系バイオマスに対して酸処理、アルカリ処理、微粉砕、オゾン処理、爆砕処理、菌処理など考えられる前処理を行っても良い。
上記セルロース系バイオマスを反応容器の中に投入し、硬質ボールを適量、変換用の酵素液、発酵も同時に行うために発酵に用いる微生物と、必要ならばその栄養源を加える。封をした反応容器をできるだけ激しく振盪させることにより、硬質ボール同士の衝突により酵素反応が硬質ボールの無い状態よりも効率良く行われ、さらに混在する微生物により酵素反応生成物がすぐに消費されるため、生成物による酵素反応阻害も生じにくい。結果として通常の併行複発酵よりも多くのエタノール等発酵生成物を得ることができる。
セルロース系バイオマスとしては、稲わら、籾殻、麦わら、バガス、トウモロコシの各部位及びスイッチグラスなど各種草類などあらゆる草本系または、針葉樹又は広葉樹チップ、間伐材、建築廃材及びキノコ廃菌床などあらゆる木質系バイオマスさらには古紙や綿などが利用可能である。
硬質ボールとしては、例えばジルコニア、アルミナ、フッ素樹脂又はナイロンなどから成るボールを用いると良い。ボールは同種のボールのみを用いても、異なる材質や大きさからなるボールを混合させて使用しても良く、バイオマスの性状に合わせて適宜使用すると良い。
反応容器は液漏れや酸素が入らないように閉じることができ、投入したボール等で破損する恐れが無い容器であれば、プラスチック、ステンレス、鉄、その他金属等どんな素材からできている容器でも使用可能である。
酵素反応や発酵を行う場合、容器に温度センサーやpHセンサーなどを備え付け、反応液の温度、pHのモニタリングや制御を行うと効果的な反応が可能である。例えば温度制御については、反応容器の外側にジャケットを付け、温水を循環させることで温度を一定に保つなどが可能となる。また、本発明では硬質物質と共に振盪することで熱が発生するため、その熱を反応熱に利用すると良い。そのためには、振盪装置に温度センサーと連動して振盪する仕組みを備え、振盪により設定上限温度まで上昇したら振盪を停止し、停止により設定加減温度まで温度が下がると再び振盪を開始するようにすると良い。これにより加温に必要なエネルギーの無駄をなくすことができ、石油代替が期待されるエタノールを製造する場合、特に有利となる。
振盪方法については、反応容器内のセルロース系バイオマスと硬質ボールが動くほど激しく振盪できるものであれば何を用いて振盪しても構わない。反応容器が小さい場合は振盪培養器が適当であるが、大型の場合はドラム缶などを混合できる混合器のようなものを用いると良い。振盪方法は単純な往復振盪でも効果はあるが、より複雑に、速く振盪させることでより良い効果を望むことができる。
変換に用いる酵素は市販品であっても、糸状菌を培養した培養液やそれから精製したものであっても目的に適うものであれば良い。例えばセルラーゼによる糖化の場合、市販の酵素や粗精製の酵素にはセルラーゼとヘミセルラーゼが混在していることが多い。使用する酵素の量は適宜で良いが、ヘミセルラーゼを含むセルラーゼを廃菌床当り12.5−50FPU(Filter Paper Unit、ろ紙分解活性)となるように加えると有効である。水に懸濁して酵素液を作成しても良いが、酢酸やクエン酸のバッファーを用いてpHを4〜5に保つのも有効である。酵素液は0.45μm以下のフィルターを通して雑菌を除いておくと雑菌のコンタミネーションを防ぐことができる。微生物による発酵を行わず、セルラーゼ糖化で止めることによりセルロースからグルコースなどの糖を得ることができる。キシラナーゼなどのヘミセルラーゼを用いることにより、セルロース系バイオマス内ヘミセルロース由来のキシロース、マンノース、アラビノースやガラクトースなどの糖を得ることができる。また、ヘミセルラーゼを含むセルラーゼを用いることにより、これらセルロース由来のグルコースとヘミセルロース由来のキシロースなどの糖を同時に得ることができる。こうして得られた糖をさらに発酵によりエタノールや乳酸などの物質に変換することが可能である。
糖を発酵によりさらに別な物質に変換するときは微生物を共に加えるが、例えばエタノール発酵の場合、使用する微生物については、酵母ではSaccharomyces cereviciaeを用いるのが簡便であるので有効であるが、ヘミセルロース由来のキシロースなどのペントースをエタノール発酵させる場合はPichia stipitisを、また条件によっては耐塩性のShizosaccharomyces pombeなどを用いることができ、また酵母以外ではエタノール発酵が可能な細菌であるZymomonas mobilisなどエタノール発酵が可能である生物ならば、遺伝子組み換えをされたものも含めて何でも使用できる。S. cereviciaeを用いる場合、スラントや凍結などで保存されているものを使用して良いが、市販のパン酵母を用いても良い。パン酵母を用いる場合はその形態が乾燥であれ、生であれ、そのまま発酵系に投入することにより、発酵初期から酵母が高濃度で存在することとなるため効率が良い。スラントなどで保存してある状態の酵母を用いる場合は、併行複発酵に用いる前に液体培地を用いて前培養を行い、酵母の量や活性を上げることが望ましい。
微生物による発酵を行う場合、使用する微生物によっては、硬質ボールと振盪により発酵が起こらない場合もある。その場合、一定時間激しい振盪した後にそれよりも穏やかな振盪又は完全に静置させて発酵を促すか、激しい振盪と穏やかな振盪又は静置状態を交互に何度も繰り返すことを行うと発酵が起こらない問題を解決することができる。
本発明によれば、セルロース系バイオマスの物質変換、特に酵素を用いた糖やさらに微生物を用いたエタノールへの変換の際に、硬質ボールを投入して振盪することで、変換物質の収率を大幅に上げることができる。
本発明をより具体的に説明するために、以下に実施例を示すが本発明はこれに限定されるものではない。
マイタケ廃菌床のエタノール変換での効果
セルロース系バイオマスとして木質系バイオマスであるマイタケ廃菌床を用いて、実施した場合を記す。マイタケ廃菌床はほとんどが広葉樹オガからできており、含水率が60%以上である。この廃菌床(熱乾燥したもの)を乾燥重量で1.0kgだけ、反応容器として用いるジャケット付きステンレス製の円柱状容器に入れ、そこに10Lのセルラーゼ-酵母溶液を注いだ。セルラーゼ-酵母溶液の組成は、イオン交換水中にセルラーゼとして0.6FPU/mlのGODO-TCD((株)合同酒精)、1g/Lのカメリア酵母(日清製粉)とした。さらにその容器に直径10mmのジルコニアボールを10kg投入した。対照としてジルコニアボールを入れない試験も行った。pH計、温度センサー、ガス抜き用のチューブと共に蓋をして、ロッキングシェーカー(RS-100、(株)セイワ技研)にセットした。ガス抜き用のチューブの先は水中に置くことで外気が入らないようにした。ジャケットに温水を通すことで容器内を37℃とし、シェーカーの振盪設定を50Hzとして振盪運転を開始した。変換反応中に適宜サンプリングし、上清中のエタノール濃度をガスクロマトグラフィー(GB-14、島津製作所)にて測定した。その結果を図1に示した。エタノール収率は廃菌床中のセルロース量から計算される理想エタノール量に対する得られたエタノール量の100分率である。結果、本方法で変換した場合に対照方法と比較して2.9倍高いエタノール収率となった。
セルロース系バイオマスとして木質系バイオマスであるマイタケ廃菌床を用いて、実施した場合を記す。マイタケ廃菌床はほとんどが広葉樹オガからできており、含水率が60%以上である。この廃菌床(熱乾燥したもの)を乾燥重量で1.0kgだけ、反応容器として用いるジャケット付きステンレス製の円柱状容器に入れ、そこに10Lのセルラーゼ-酵母溶液を注いだ。セルラーゼ-酵母溶液の組成は、イオン交換水中にセルラーゼとして0.6FPU/mlのGODO-TCD((株)合同酒精)、1g/Lのカメリア酵母(日清製粉)とした。さらにその容器に直径10mmのジルコニアボールを10kg投入した。対照としてジルコニアボールを入れない試験も行った。pH計、温度センサー、ガス抜き用のチューブと共に蓋をして、ロッキングシェーカー(RS-100、(株)セイワ技研)にセットした。ガス抜き用のチューブの先は水中に置くことで外気が入らないようにした。ジャケットに温水を通すことで容器内を37℃とし、シェーカーの振盪設定を50Hzとして振盪運転を開始した。変換反応中に適宜サンプリングし、上清中のエタノール濃度をガスクロマトグラフィー(GB-14、島津製作所)にて測定した。その結果を図1に示した。エタノール収率は廃菌床中のセルロース量から計算される理想エタノール量に対する得られたエタノール量の100分率である。結果、本方法で変換した場合に対照方法と比較して2.9倍高いエタノール収率となった。
振盪中の振盪スピードを変えることの効果
条件によっては実施例1と似た条件で変換を行ってもエタノールへの変換が起こらない場合がある。それを解決するために、変換中の振盪スピードを変化させた。詳しくは、変換反応最初の24時間は振盪し、その後振盪を停止してさらに3〜4日間放置した。基質は乾燥重量にして1.0kgの生廃菌床、セルラーゼ-酵母溶液を5Lとした以外の条件は実施例1と同様である。適宜サンプリングして上清中のエタノール濃度を測定した結果を表1に示す。結果、本方法で変換した場合に硬質ボール未投入の従来方法と比較して1.6倍高いエタノール収率となった。なお、振盪スピードを変化させない場合、エタノール収率は0という条件を前提とする。
条件によっては実施例1と似た条件で変換を行ってもエタノールへの変換が起こらない場合がある。それを解決するために、変換中の振盪スピードを変化させた。詳しくは、変換反応最初の24時間は振盪し、その後振盪を停止してさらに3〜4日間放置した。基質は乾燥重量にして1.0kgの生廃菌床、セルラーゼ-酵母溶液を5Lとした以外の条件は実施例1と同様である。適宜サンプリングして上清中のエタノール濃度を測定した結果を表1に示す。結果、本方法で変換した場合に硬質ボール未投入の従来方法と比較して1.6倍高いエタノール収率となった。なお、振盪スピードを変化させない場合、エタノール収率は0という条件を前提とする。
振盪中の振盪スピードを変えることの効果
実施例2の変法として細かく振盪スピードを変える方法を試みた。詳しくは、変換反応最初の1時間は振盪を行わず、その後1時間振盪、再び1時間振盪を停止ということを繰り返した。基質を0.5kgの乾燥廃菌床、セルラーゼ-酵母溶液を5Lとした以外の条件は実施例1,2と同様である。適宜サンプリングして上清中のエタノール濃度を測定した結果を図2に示す。この条件では連続振盪で発酵が見られなかったが、静置と振盪を交互に切り替えることにより、発酵するようになった。連続振盪の場合でも、振盪を止めることにより発酵するようになった。
実施例2の変法として細かく振盪スピードを変える方法を試みた。詳しくは、変換反応最初の1時間は振盪を行わず、その後1時間振盪、再び1時間振盪を停止ということを繰り返した。基質を0.5kgの乾燥廃菌床、セルラーゼ-酵母溶液を5Lとした以外の条件は実施例1,2と同様である。適宜サンプリングして上清中のエタノール濃度を測定した結果を図2に示す。この条件では連続振盪で発酵が見られなかったが、静置と振盪を交互に切り替えることにより、発酵するようになった。連続振盪の場合でも、振盪を止めることにより発酵するようになった。
振盪により生じる熱の利用
硬質ボールと共に振盪することにより熱が生じるので、この熱を利用すると別に熱源を必要とせずにコスト的にも、エネルギー収支的にも効果的である。実施例1、2、3の装置を用いて、反応容器内にイオン交換水5Lとφ10mmのジルコニアボールを20kg入れ、ジャケットの温水を抜き、50Hzで振盪したときのイオン交換水の水温上昇度合いを図3に示した。振盪と共に温度が上昇し、常に室温よりも高い温度となることが分かった。振盪だけで併行複発酵に最適な37℃を達成できるため、別の熱源が無くても37℃での併行複発酵が可能である。
硬質ボールと共に振盪することにより熱が生じるので、この熱を利用すると別に熱源を必要とせずにコスト的にも、エネルギー収支的にも効果的である。実施例1、2、3の装置を用いて、反応容器内にイオン交換水5Lとφ10mmのジルコニアボールを20kg入れ、ジャケットの温水を抜き、50Hzで振盪したときのイオン交換水の水温上昇度合いを図3に示した。振盪と共に温度が上昇し、常に室温よりも高い温度となることが分かった。振盪だけで併行複発酵に最適な37℃を達成できるため、別の熱源が無くても37℃での併行複発酵が可能である。
Claims (8)
- セルロース系バイオマスを酵素反応単独又は発酵併用によって物質変換を行う際に、同一反応容器内でセルロース系バイオマスと硬質の物質を反応液に共存させ、反応容器を振盪しながら物質変換を行う方法。
- セルロース系バイオマスを変換する酵素としてセルラーゼ主体の酵素を用いて変換し、さらにそれらの全て又は一部を発酵にてエタノールに変換することを特徴とする請求項1記載の物質変換を行う方法。
- セルロース系バイオマスを変換する際に、セルラーゼ主体の酵素反応とエタノール発酵を同一の反応容器内で行うことによりエタノールに変換することを特徴とする請求項1又は2記載の物質変換を行う方法。
- 硬質の物質がジルコニア、アルミナ、ステンレス、鉄、フッ素樹脂又はナイロン製のボールであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の物質変換を行う方法。
- セルロース系バイオマスを変換する際に、反応容器を激しく振盪した後に、それよりも穏やかに振盪するか、静置することを1又は2回以上交互に繰り返すことを特徴とした請求項1から請求項4のいずれかに記載の物質変換を行う方法。
- セルロース系バイオマスを変換する際に、反応容器に温度センサーと反応容器の周囲に温水を循環させることのできるジャケットが付加されており、温度を制御しながら変換することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の物質変換を行う方法。
- セルロース系バイオマスを変換する際に、反応液温度と振盪を連動させ、設定温度になると振盪が止まり、設定温度以下になると振盪が再開されることが繰り返されることを特徴とする請求項6に記載の物質変換を行う方法。
- セルロース系バイオマスを変換する際に、反応容器にpHセンサーとpH調整が可能な装置一式が付加されており、反応液のpHを制御しながら変換することを特徴とする請求項1から請求項7に記載の物質変換を行う方法。
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