JP2009070576A - 燃料電池システム及び劣化検出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料電池の停止処理における触媒層の劣化の部分的な進行を抑えて、燃料電池の劣化を抑制する。
【解決手段】この燃料電池システムは、燃料電池に供給する反応ガスを、加湿して湿潤状態とする湿潤処理手段と、燃料電池に供給する反応ガスを、湿潤状態よりも湿度の低い乾燥状態とする乾燥処理手段と有する。燃料電池システムが、燃料電池の運転を停止する際は、燃料電池に反応ガスを供給する停止処理を行なう。この燃料電池システムでは、停止処理が実行される際、反応ガスを湿潤状態とする湿潤処理モード、及び反応ガスを乾燥状態とする乾燥処理モードのうち、いずれかのモードとすることができる。
【選択図】図2

Description

この発明は燃料電池システム及び燃料電池の劣化検出装置に関する。更に具体的には、電解質膜とその両側に配置された一対の電極とからなる発電体を備える燃料電池システムに関するものである。
水素と酸素との電気化学反応を用いた燃料電池のように、電気化学反応において生成水が生成される燃料電池では、反応ガス(燃料及び空気)の通路内(アノード流路及びカソード流路)に多くの水分が存在している。従って、燃料電池の運転が停止され、その停止中に低温状態(氷点下)となる場合、反応ガスの通路内で滞留する水分が凍結することが考えられる。このような燃料電池内での水分凍結は、発電部の破損や劣化の原因となったり、次回の燃料電池起動時に反応ガスの流れを阻害して燃料不足を引起す原因となったりすることが考えられる。
このような問題に対して、例えば燃料電池の運転を停止する際に、燃料電池内の反応ガス通路内に乾燥したガスを流すことで滞留する水分を除去し、次回氷点下における起動に備えることが考えられている。
しかし、燃料電池の電解質膜は過度な乾燥により劣化する恐れがあると共に、一度乾燥した電解質膜を再び湿潤させることは困難である。電解質膜の水分が不足した状態となると、電解質膜の電気伝導性が低下するため、特に燃料電池の起動時には電気化学反応を進行させることができず燃料電池を起動できない事態を生じ得る。
電解質膜の乾燥を防止するため、燃料電池の停止時に反応ガス通路内を乾燥ガスで掃気する処理を行なう場合に、乾燥ガスの流量を抑えることが考えられる。しかし、特開2004−199988号公報には、このように乾燥ガスの流量を抑えると適当な湿潤状態となるまでに時間がかかり、燃料電池の停止処理に多大な時間がかかることが指摘されている。このような問題に対して、この従来技術の燃料電池システムでは、停止処理時にアノード流路及びカソード流路のそれぞれに湿度を調整した湿潤ガスを供給することが開示されている。
具体的には、この従来技術の燃料電池システムでは、アノード極及びカソード極に供給される反応ガスの供給経路それぞれに、反応ガスの相対湿度を15〜95%の間で調整することができる加湿器が配置されている。燃料電池の停止処理時には、この加湿器によってアノード極、カソード極のそれぞれに供給する反応ガスの湿度を所定の湿度に加湿して、電解質膜内の水が平衡状態となるようにする。
例えば、高温、高抵抗の領域では、電解質膜が乾燥しすぎていると判断される。この場合、反応ガスの湿度を高く設定して電解質膜を適度な湿潤状態とする。一方、低温、低抵抗の場合には、ガス拡散層にまで水分が残っている状態であると判断される。この場合、反応ガスの湿度を低く設定して、拡散層等に滞留する過剰な水分を除去して電解質膜を適度な湿潤状態としている。
特開2004−199988号公報 特開2005−251441号公報 特開2005−317211号公報
上記従来技術のよれば、燃料電池の温度や抵抗等に応じて、停止時の掃気処理において用いる反応ガスを乾燥状態、あるいは湿潤状態とすることで、反応ガス通路内の水分を除去すると共に、電解質膜を適度な湿潤状態とすることができる。これにより、次回起動時における発電性能の低下や、凍結による電解質膜の劣化をある程度防止することはできると考えられる。
ところで、燃料電池の停止時に反応ガス通路を乾燥したガスにより掃気した場合であっても、触媒層や電解質膜中にはある程度の水分が存在する。燃料電池が氷点下に晒される場合には、この水分の存在により触媒層にも劣化が生じるものと考えられる。触媒層の劣化が進行すると、燃料電池の発電性能を低下させることとなることが考えられるため、氷点下における停止時には、触媒層の劣化を抑える処理が採られることが望まれる。この点、上記従来技術の処理は、燃料電池の停止時の反応ガス通路内での水分凍結による起動性の低下防止や、電解質膜の劣化防止に効果的なものであるが、燃料電池が氷点下の環境に晒されることによる触媒層の劣化の防止に関するものではない。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、燃料電池の停止時における凍結等を抑えて電解質膜や拡散層の劣化防止を図るとともに、触媒層で生じる劣化を検出し、その劣化を抑えることができるように改良した燃料電池システムを提供することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、燃料電池システムであって、
燃料電池に供給する反応ガスを、加湿して湿潤状態とする湿潤処理手段と、
前記燃料電池に供給する反応ガスを、前記湿潤状態よりも湿度の低い乾燥状態とする乾燥処理手段と、
前記燃料電池の運転を停止する際に、前記燃料電池に反応ガスを供給する停止処理を行なう停止制御手段と、
前記反応ガスを前記湿潤状態とする湿潤処理モードと、前記反応ガスを前記乾燥状態とする乾燥処理モードとに制御する機能を備え、前記燃料電池の運転を停止する際に、前記湿潤処理モード又は前記乾燥処理モードを選択して切り替えることができるモード制御手段と、
を備えることを特徴とする。
第2の発明は、第1の発明において、前記燃料電池の停止中に、燃料電池内の水分が凍結し得る凍結状態となるか否かを予測する凍結予測手段、を更に備え、
前記モード制御手段は、次回起動時が前記凍結状態での起動となることが予測される場合には、前記乾燥処理モード及び前記湿潤処理モードのうち、いずれかのモードで前記停止処理が実行されるように制御することを特徴とする。
第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記モード制御手段は、前記乾燥モードでの停止処理と、前記湿潤モードでの停止処理が、規定回数ずつ交互に行なわれるように、前記乾燥モードと前記湿潤モードとを切り替えることを特徴とする。
第4の発明は、第1又は第2の発明において、前記燃料電池の運転状態に応じて、前記乾燥モード、または、前記湿潤モードでの停止処理に切り替える切替状態となっていることを検出する切替状態検出手段を、更に備え、
前記モード制御手段は、前記切替状態が検出された場合に、次回の停止処理が、前回の停止処理におけるモードとは異なるモードでの停止処理となるように、前記モードを切り替えることを特徴とする。
第5の発明は、第4の発明において、前記モード制御手段は、前記燃料電池の初期状態において前記停止処理が実行される場合には、前記湿潤モードとし、前記切替状態が検出された後の停止処理から、前記乾燥モードでの停止処理となるように、前記モードを切り替えることを特徴とする。
第6の発明は、第4の発明において、前記モード制御手段は、前記燃料電池の初期状態において前記停止処理が実行される場合には、前記乾燥モードとし、前記切替状態が検出された後の停止処理から、前記湿潤モードでの停止処理となるように、前記モードを切り替えることを特徴とする。
第7の発明は、第4の発明において、前記切替状態検出手段は、燃料電池の劣化を検出することにより前記切替状態を検出することを。
第8の発明は、第4から第7のいずれか1の発明において、前記燃料電池の電圧を検出する電圧検出手段を更に備え、
前記切替状態検出手段は、検出された前記電圧が基準電圧より小さい場合に、前記切替状態を検出することを特徴とする。
第9の発明は、第1又は第2の発明において、前記燃料電池は、電解質膜と前記電解質膜の両側に配置された一対の電極とからなる発電部と、前記発電部の両側に配置されたセパレータを備え、
前記一対の電極のうち一方の電極に接する接面を有するセパレータは、該接面において、該一方の電極に反応ガスを供給するための反応ガス流路を備え、
前記燃料電池システムは、
前記燃料電池の運転中に、前記反応ガス流路の入口側の発電性能を検出する入口性能検出手段と、
前記燃料電池の運転中に、前記反応ガス流路の出口側の発電性能を検出する出口性能検出手段と、
前記入口側の発電性能と出口側の発電性能との差に基づいて、前記燃料電池の劣化を検出することにより、前記モードを、前記乾燥モード、または、前記湿潤モードに切り替える切替状態となっていることを検出する切替状態検出手段と、を備え、
前記モード制御手段は、前記切替状態が検出された場合に、次回の停止処理が、前回の停止処理におけるモードとは異なるモードでの停止処理となるように、前記モードを切り替えることを特徴とする。
第10の発明は、第1又は第2の発明において、前記燃料電池は、電解質膜と前記電解質膜の両側に配置された一対の電極とからなる発電部と、前記発電部の両側に配置されたセパレータを備え、
前記一対の電極のうち一方の電極に接する接面を有するセパレータは、該接面において、該一方の電極に反応ガスを供給するための反応ガス流路を備え、
前記燃料電池システムは、
前記燃料電池の運転中に、前記反応ガス流路の入口側の電圧である入口電圧を検出する入口電圧検出手段と、
前記燃料電池の運転中に、前記反応ガス流路の出口側の電圧である出口電圧を検出する出口電圧検出手段と、
前記入口電圧から前記出口電圧を減算した値である出入口電圧差を演算する出入口電圧差演算手段と、
前記出入口電圧差の絶対値が、基準電圧差より大きくなっている場合に、前記モードを、前記乾燥モード、または、前記湿潤モードに切り替える切替状態となっていることを検出する切替状態検出手段と、を備え
前記モード制御手段は、前記切替状態が検出された場合に、次回の停止処理が、前回の停止処理におけるモードとは異なるモードでの停止処理となるように、前記モードを切り替えることを特徴とする。
第11の発明は、第10の発明において、前記切替状態検出手段は、
前記出入口電圧差が、第1出入口電圧差より大きくなっている場合に、前記モードを前記乾燥モードに切り替える乾燥切替状態を検出し、
前記出入口電圧差が、第2出入口電圧差より小さくなっている場合に、前記モードを前記湿潤モードに切り替える湿潤切替状態を検出し、
前記モード制御手段は、
前記湿潤切替状態が検出された場合に、次回の停止処理におけるモードが、湿潤モードとなるように前記モードを切り替え、
前記乾燥切替状態が検出された場合に、次回の停止処理におけるモードが、乾燥モードとなるように前記モードを切り替えることを特徴とする。
第12の発明は、第1又は第2の発明において、前記燃料電池の運転中に、前記燃料電池の第1電流における第1電圧と、前記第1電流より大きい第2電流における第2電圧とを検出する電圧検出手段と、
前記第1電圧から第2電圧を減算した値である電圧差を演算する電圧差演算手段と、を更に備え、
前記モード制御手段が、前記湿潤モードを選択している場合であって、かつ、前記電圧差が、第1基準電圧差より大きい場合に、前記モードを、前記乾燥モードに制御する乾燥切替状態となっていること検出する切替状態検出手段と、を備え、
前記モード制御手段は、前記乾燥切替状態が検出された場合に、次回の停止処理におけるモードが、前記乾燥モードとなるように制御することを特徴とする。
第13の発明は、第1又は第2の発明において、前記燃料電池の運転中に、前記燃料電池の、第1電流における第1電圧と、前記第1電流より大きい第2電流における第2電圧とを検出する電圧検出手段と、
前記第1電圧から第2電圧を減算した値である電圧差を演算する電圧差演算手段と、
前記モード制御手段が前記乾燥モードを選択している場合であって、かつ、前記電圧差が、第2基準電圧差より小さい場合に、前記モードを、前記湿潤モードとなるように制御する湿潤切替状態となっていること検出する切替状態検出手段と、を備え、
前記モード制御手段は、前記湿潤切替状態が検出された場合に、次回の停止処理におけるモードが、前記湿潤モードとなるように制御することを特徴とする。
第14の発明は、第1又は第2の発明において、前記燃料電池の運転中に、前記燃料電池の、第1電流における第1電圧と、前記第1電流より大きい第2電流における第2電圧とを検出する電圧検出手段と、
前記第1電圧から前記第2電圧を減算した値である電圧差を演算する電圧差演算手段と、
前記電圧差が、第1基準電圧差より大きい場合に、前記モードを前記乾燥モードに切り替える乾燥切替状態を検出する切替状態検出手段と、を更に備え、
前記電圧差が、第2基準電圧差より小さい場合に、前記モードを前記湿潤モードに切り替える湿潤切替状態を検出し、
前記モード制御手段は、
前記湿潤切替状態が検出された場合に、次回の停止処理におけるモードが、湿潤モードとなるように前記モードを制御し、
前記乾燥切替状態が検出された場合に、次回の停止処理におけるモードが、乾燥モードとなるように前記モードを制御することを特徴とする。
第15の発明は、第1又は第2の発明において、燃料電池の第1電流における第1電圧と、前記第1電流より大きい第2電流における第2電圧とを検出する電圧検出手段と、
前記第1電圧から前記第2電圧を減算した値である電圧差を検出する電圧差検出手段と、
前記電圧差が、前記第2基準電圧差以上かつ、前記第1基準電圧差以下の正常状態であるか否かを判定する判定手段と、
前記電圧差が、前記正常状態であることが認められない場合に、前記燃料電池の劣化を検出する劣化検出手段と、
を備えることを特徴とする。
第1の発明によれば、燃料電池の停止時に、燃料電池に反応ガスを供給して停止処理を行なう場合に、燃料電池に供給する反応ガスを加湿して湿潤状態とする湿潤モード、あるいは、湿潤状態よりも乾燥した乾燥状態とする乾燥処理モードに設定することができる。ところで、燃料電池の停止時または起動後に触媒層に劣化が生じる場合、その劣化が生じる部分は、その停止処理が湿潤モードで行なわれるか、あるいは乾燥モードで行なわれるかによって異なるものと考えられる。従って、燃料電池停止処理のモードを湿潤モードか、乾燥モードに切り替えることにより、乾燥状態又は湿潤状態に起因して生じる部分的な劣化が、その部分においてのみ急速に進行することを防止することができる。従って、燃料電池全体としての性能低下を抑制し、耐久性を向上させることができる。
例えば、燃料電池の停止中における触媒層の劣化は、触媒層に残る液滴や、触媒層周囲の水分の凍結による膨張、あるいは周囲の水分を取り込んで氷が成長することに起因すると考えられる。従って、第2の発明のように、特に、燃料電池の停止中に凍結状態となることが予想される場合には、乾燥モードと、湿潤モードのいずれかのモードにおいて停止処理が実行されるように制御する。これにより、停止処理におけるモードが、乾燥モード及び湿潤モードのいずれか一方に集中しないように、モードを制御することができる。従って、燃料電池の部分的な劣化進行を抑えて、燃料電池の性能低下を図り、耐久性を向上させることができる。
第3の発明によれば、乾燥モードでの停止処理と湿潤モードでの停止処理とが、規定回数ずつに交互に行なわれるように、モードが切り替えられる。これにより乾燥状態または湿潤状態が続くことによる、触媒の部分的な劣化の集中的な進行を抑えることができ、燃料電池の耐久性を向上させることができる。
第4〜第6のいずれかの発明の発明によれば、燃料電池の運転状態に応じて切替状態が検出された場合に、停止処理におけるモードが、前回のモードとは異なるモードに切り替えられる。これにより、乾燥モードまたは湿潤モードでの停止処理による触媒劣化が部分的に集中するのを抑えることができ、燃料電池の耐久性を向上させることができる。
ところで、乾燥モードにおける停止処理または湿潤モードにおける停止処理が連続して行なわれた場合、そのモードにおける劣化が起こりやすい部分での劣化が集中的に進行する。従って、第7の発明によれば、燃料電池の劣化状態を検出することにより切替状態となっていることを検出することで、適切なタイミングでモードの切り替えを実行することができる。
また、劣化が進行すると、燃料電池の全体においても電圧低下が起きることが考えられる。従って、第8の発明によれば、電圧が基準電圧より小さいか否かに基づいて切替状態を検出することで、適切なタイミングで乾燥モードまたは湿潤モードへの切り替えを実行することができる。
ところで、乾燥モードにおける停止処理による劣化は、特に乾燥を起こしやすい場所、即ち、反応ガス流路の入口側で起こりやすい。一方、湿潤モードにおける停止処理による劣化は、水分が滞留しやすい出口側で起こりやすい。このため停止処理が乾燥モードで行なわれている環境下で劣化が生じた場合には入口側での発電性能の低下が大きく、湿潤モードでの劣化が生じた場合には、出口側での発電性能の低下が大きい。従って、第11の発明によれば、入口側と出口側とにおける発電性能の差に基づいて、切替状態を検出することで、いずれかのモードにおける劣化が進行していることを検出することができ、適切なタイミングでモードを切り替えることができる。従って、部分的な劣化の進行を抑制することができ、燃料電池の耐久性を向上させることができる。
また、乾燥モードでの劣化が進行している場合には入口電圧の低下が大きく、湿潤モードでの劣化が生じた場合には出口電圧低下が大きい。つまり、いずれの場合であっても、入口電圧と出口電圧との差が大きくなる。従って、第10の発明によれば、電圧差の絶対値が大きくなった場合に切替状態を検出することで、いずれかのモードにおける劣化が進行していることを検出することができ、適切なタイミングでモードを切り替えることができる。従って、部分的な劣化の進行を抑制することができ、燃料電池の耐久性を向上させることができる。
また、上記のように乾燥モードでの劣化が進行している場合入口電圧が小さくなり、湿潤状態での劣化が進行している場合には、出口電圧が小さくなる。従って、第11の発明によれば、入口電圧から出口電圧を減算した出入口電圧差が、所定の値より小さくなっている場合に、乾燥モードによる劣化の進行を抑制するため湿潤モードに切り替え、一方、この出入口電圧差が所定の値より大きくなっている場合には、湿潤モードによる劣化を抑えるため、乾燥モードに切り替える。これにより、燃料電池の部分的な劣化の進行を抑えて、燃料電池の耐久性を向上させることができる。
また、乾燥モードでの劣化は、より低電流域で進行しやすく、湿潤モードでの劣化はより高電流域で進行しやすい。このため、ある第1電流における第1電圧と、第1電流より大きい第2電流における第2電圧を検出し、第1電圧から第2電圧を引いた電圧差を求めて、電圧差が、基準となる第1電圧差より大きい場合に、湿潤モードによる劣化が進行していると判断できる。また、電圧差が、基準となる第2基準電圧差より小さい場合には、乾燥モードにおける劣化が進行していると判断できる。このため、第12の発明によれば、電圧差が第1基準電圧差より大きい場合に切替状態を検出することで、適切なタイミングで、湿潤モードから乾燥モードへの切り替えを実行することができる。また、第13の発明では、電圧差が第2基準電圧差より小さい場合に切替状態を検出することで、適切なタイミングで乾燥モードから湿潤モードへの切り替えを実行することができる。
また、第14の発明によれば、電圧差が第1基準電圧より大きい場合に、次回の停止処理におけるモードが乾燥モードとされ、電圧差が第2基準電圧差より小さい場合に、次回の停止処理におけるモードが湿潤モードとされる。つまり、上記のように電圧差を検出することで、現在、乾燥モードによる劣化、及び湿潤モードのいずれのモードによる劣化が進んでいるかを検出することができる。従って、現在のモードに拘わらず、劣化状態を切り替えることで、より効果的に劣化の進行を抑えることができる。
第15の発明によれば、電圧差が、第2基準電圧差以上、第1基準電圧差以下の範囲外であることが認められた場合に、燃料電池の劣化を検出する。このように異なる電流値における電圧の差に基づいて劣化を検出することで、劣化の検出と共に、その劣化が乾燥による劣化か、湿潤による劣化かを判別することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において、同一または相当する部分には同一符号を付してその説明を簡略化ないし省略する。
実施の形態1.
[実施の形態のシステムの構成について]
図1はこの発明の実施の形態1における燃料電池システムの全体構成について説明するための模式図である。実施の形態1においては、燃料電池システムは車両に搭載される。図1に示すシステムは燃料電池2を有している。燃料電池2は、セパレータを介して複数積層された、電解質膜とその両側に配置された一対の電極であるカソード極とアノード極とからなる膜−電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)を有している。
燃料電池システムは、燃料電池2に空気を供給するための空気供給用ポンプ10を有している。空気供給用ポンプ10には、空気供給管12が接続している。空気供給管12にはバイパス切替弁14が設置されている。バイパス切替弁14を介して空気供給管12は空気供給管16と連結している。空気供給管16は加湿器18に接続している。加湿器18には空気供給管20が連結している。空気供給管20には逆止弁22が取り付けられている。逆止弁22は加湿器18から空気供給管20側への流れが逆流するのを防止する機能を有している。空気供給管20は、逆止弁22より下流側(燃料電池2側)において、空気供給管24に連結している。空気供給管24は、空気供給管20との連結部とは反対側の端部において、燃料電池2の空気導入口に接続している。
一方、空気供給管12は、バイパス切替弁14を介してバイパス管26の一端に接続している。バイパス管26は他端において空気供給管24に接続している。つまり、バイパス管26は、空気供給管12と空気供給管24とを連通するように設置されており、バイパス管26により加湿器18がバイパスされている。
バイパス切替弁14の切り替えによって、空気供給用ポンプによって空気供給管12内へ導入された空気が、空気供給管16、加湿器18及び空気供給管20を通過するようにするか、あるいは、加湿器18をバイパス管26によってバイパスするようにするかを切り替えることができる。つまり、燃料電池2に供給する空気を加湿器18において加湿した湿潤状態とするか、バイパス管26により加湿器18をバイパスした乾燥状態とするかが切り替えられる。
図示を省略するが、燃料電池2の空気排出口には、燃料電池2から排出される空気オフガスを排出するための配管が設置されている。燃料電池2の水素導入口には、燃料電池2に燃料としての水素を供給するための水素供給管が接続され、水素排出口には燃料電池2から排出される水素オフガスを排出するための水素排出管が接続されている。
この燃料電池システムは燃料電池の運転を制御する制御ユニット30を有している。制御ユニット30には、燃料電池2の各セルの電流、電圧等を検出するセルモニタ(図示せず)が接続されている。制御ユニット30は、セルモニタの出力を受けて、燃料電池2のセルの電流、電圧、インピーダンス等を検出することができる。一方、制御ユニット30にはバイパス切替弁14が接続されている。制御ユニット30は、所定の制御信号を発することでバイパス切替弁14を制御して、空気供給管12との接続を空気供給管16側とするか、あるいはバイパス管26側とするかを制御することができる。
[停止処理に関して]
ところで燃料電池2の各セルの空気流路(反応ガス流路)には、電気化学反応によって生じた多くの水分が存在する。燃料電池2の発電中は、反応熱によってある程度高い温度に保たれるため、空気流路内の水分は凍結することなく空気と共に下流側に移動して排出される。しかし、外気温が低い場合、燃料電池2の発電が停止すると、燃料電池2内の温度が低下して水分が凍結しうる状態(凍結状態)となる場合がある。このような凍結状態において実際に空気流路内で水分が凍結すると、燃料電池2の起動時には凍結した水分によって空気の流れが阻害されて燃料電池2の起動性が低下したり、電解質膜の劣化が生じたりすることが考えられる。
このような事態を防止するため、実施の形態1の燃料電池システムでは、次回起動が凍結状態での起動になる場合に備えて、燃料電池2の停止時に空気流路を掃気して滞留する水分を除去する停止処理を実行する。
[停止処理によるの触媒層の劣化について]
ところで燃料電池2の停止処理を行なわれた場合にも、電解質膜及びこれに塗布された触媒層の部分は、ある程度の水分を保持した状態に維持される。ここで燃料電池2の停止中に凍結状態となると、この触媒層や電解質膜に存在する水分によって触媒層が劣化する場合があるが、その劣化は、下記のように、水分が多い場合と少ない場合によって異なる状態で進行すると考えられる。
図2及び図3は、停止処理後に燃料電池が凍結状態となった場合の触媒層の劣化について説明するための図である。図2(a)及び図3(a)は正常時の状態を表し、図2(b)及び図3(b)は、劣化の状態を表している。
図2は、停止処理を乾燥状態の空気を用いて行なった場合(乾燥モード)における劣化の進行を表している。乾燥モードで停止処理が行なわれると、乾燥した空気によって多くの水分が除去されるため電解質膜40及び触媒層42もある程度乾燥した状態となる。この状態で燃料電池2が停止して温度が低下すると触媒層42内に水滴が存在する状態となり、更に燃料電池2が凍結状態に達すると、触媒層42内の水滴が凍結して図2(a)のように、氷核44aが生じる。
触媒層42内に氷核44aが発生すると、拡散層等から水分を引き寄せて次第に大きな氷晶44bを成長させる。これによって、触媒層内の局所的に大きな氷晶44bが存在する状態となり、図2(b)に示すように触媒層42の剥離が発生し、触媒層42が劣化することとなる。以下、このような乾燥モードによる劣化を「乾燥劣化」と称することとする。
一方、図3は、停止処理を湿潤状態の空気を用いて行なった場合(湿潤モード)における劣化の進行を表している。湿潤モードで停止処理が行なわれると、触媒層42付近には多くの水分46aが残っている状態となる。この状態で燃料電池2が停止して温度が低下すると、図3(a)に示すように触媒層42内には多くの水分46aが存在した状態となる。燃料電池2が凍結状態となると、この水分46aが凍結して氷46bとなって膨張する。その結果図3(b)に示すように、触媒層42が破壊されて劣化することとなる。以下、このような湿潤モードでの劣化を「湿潤劣化」と称することとする。
図4は、凍結状態で燃料電池2の停止処理を繰り返し行なった場合の電圧維持率の変化を説明するための図であり、図4(a)は乾燥モードでの停止処理を繰り返した場合、図4(b)は湿潤モードの停止処理を繰り返した場合を表している。また図4(a)、(b)のそれぞれにおいて、横軸は冷熱サイクル数[回]、即ち、低温環境下(氷点下)で、燃料電池の停止処理を行なって停止した後、再び起動して運転する処理を1サイクルとした場合のサイクル数を表している。また、縦軸は電圧維持率[%]、即ち、同じ電流域において初期の運転で発電する電圧に対する、現在発電している電圧の割合を表している。
図4(a)は乾燥モードでの停止処理を繰り返し行なった場合であり、実線Aは高電流域で運転した場合の空気流路の出口付近の電圧維持率[%]を表し、点線Bは低電流域で運転した場合の空気流路入口付近の電圧維持率[%]を表している。
乾燥モードで停止処理が行なわれる場合、特に空気流路の入口側では乾燥状態の空気によって水分が除去されるため、触媒層42の乾燥が顕著になる。一方、空気は、下流側に流れるに従って空気流路内の水分を含み次第に加湿されていくため、空気流路下流側では触媒層42は比較的高い湿潤状態で維持される。このため、燃料電池2の停止時には特に上流側で触媒層42が乾燥状態となっているため、図2に説明したような乾燥劣化は、空気流路入口側の触媒層42で起こると考えられる。
また、燃料電池2が高電流域で運転される場合、発電反応によって多くの水が生成されるため、電解質膜40や触媒層42も高い湿潤状態で維持されている。一方、低い電流域で運転される場合、生成される水分は少ないため、電解質膜40や触媒層42も乾燥した状態となる。従って、乾燥劣化は、低電流域で運転される場合の方が起こりやすいと考えられる。
従って、図4(a)の実線Aで示されるように、氷点下において乾燥モードでの停止処理を繰り返した場合であっても、高電流域で運転された場合の空気流路の出口付近では電圧維持率[%]には大きな変化は見られず、燃料電池2の性能が維持されている。一方、点線Bに示されるように、低電流域で運転された場合の空気流路入口付近では、ある程度冷熱サイクルが繰り返されると、電圧維持率[%]が顕著に低下する。
また、図4(b)は、湿潤モードでの停止処理を繰り返し行なった場合であり、実線Aは低電流域で運転した場合の空気流路の出口付近の電圧維持率[%]を表し、点線Bは高電流域で運転した場合の空気流路入口付近の電圧維持率[%]を表している。
湿潤モードで停止処理を行なった場合、電解質膜40及び触媒層42はある程度高い湿潤状態に保たれる。特に、供給された空気が、空気流路入口側から下流側への流れによって生成水が下流側に多く移動して滞留することとなるため、空気流路出口側では、電解質膜40及び触媒層42内は多量の水分を含む状態となる。従って、図3に説明したような湿潤劣化は、特に、空気流路出口側付近の触媒層42において起こりやすいと考えられる。
また、燃料電池2が低電流域で運転される場合に比べて、高電流域で運転される場合に生成される水分は多くなる。このため、電解質膜40や触媒層42は、多量の水分を含み、高い湿潤状態に維持されることとなる。このため、湿潤劣化は、燃料電池2が高電流域で運転された場合の方が起こりやすいと考えられる。
従って、図4(b)の点線Bで示されるように、氷点下において湿潤モードでの停止処理を繰り返した場合であっても、低電流域で運転された場合の空気流路の入口付近では電圧維持率[%]には大きな変化は見られず、燃料電池2の性能が維持されている。一方、実線Aに示されるように、高電流域で運転された場合の空気流路出口付近では、ある程度冷熱サイクルが繰り返されると、電圧維持率[%]が顕著に低下する。
[停止処理のモードの制御について]
以上のように、乾燥モードと湿潤モードでのそれぞれの停止処理において起こる乾燥劣化及び湿潤劣化は、その発生のメカニズムが異なっているため、その劣化が進行しやすい部分が異なっていると考えられる。従って、実施の形態1では、乾燥モードでの停止処理と湿潤モードでの停止処理とを切り替えて行なうことで、劣化の進行する部分を分散させる。これにより、燃料電池2全体として、劣化の部分的な進行を遅らせ、燃料電池2の耐久性を向上させることができる。
具体的に、この実施の形態1では、燃料電池2の初期の段階では、湿潤モードでの停止処理を行なうように設定する。ここでは、停止処理時に、バイパス切替弁14を、空気供給管16側にすることで、空気が加湿器18を通過するようにする。これにより、停止処理時には、湿潤状態となった空気によって空気流路内が掃気されることとなり、湿潤モードでの処理が実行される。
その後、所定の電流域において検出されるセル電圧が、許容範囲を越えて低下し、基準電圧V0よりも低くなった場合に、湿潤劣化がある程度進行したものと判断して、乾燥モードでの停止処理に切り替える。ここでは、停止処理時に、バイパス切替弁14をバイパス管26側にすることで、空気が加湿器18をバイパスするようにする。これにより、停止処理時には、乾燥状態の空気によって空気流路内が掃気されることとなり、乾燥モードでの処理が実行される。
ここで、湿潤モードでの停止処理を先に行なうように設定するのは、発電を継続すると、次第にMEA(電解質膜40や触媒層42)が水分を含みやすい状態となってくるためである。つまり、このようにMEAが水分を含みやすい状態なった後には、乾燥状態の空気が供給されるようにすることで、より効果的に湿潤劣化の進行を抑制することができるためである。
[停止処理の具体的な制御について]
図5は、この発明の実施の形態1において、制御ユニット30が、燃料電池2の停止処理において実行する制御のルーチンについて説明するためのフローチャートである。図5のルーチンは、燃料電池2を停止する際に毎回実行されるルーチンである。
図5のルーチンでは、まず、燃料電池2の発電終了の指示が出されているか否かが判別される(S10)。具体的には制御ユニット30が、発電終了の指示を示す停止指示の信号を検出したか否かに基づいて判別される。発電終了の指示が認められない場合には、今回の処理が終了する。一方、ステップS10において、発電終了指示が出されたことが認められると、次に現在、フラグがONとなっているか否かが判断される(S12)。このフラグは、初期の状態においてONとされており、後述するルーチンにおいて、停止処理を乾燥モードで行なうこととなった場合にOFFとされるフラグである。
ステップS12においてフラグ=ONであることが認められると、次に、バイパス切替弁14が、空気供給管16側、即ち、空気が加湿器18を通過する側に切り替えられる(S14)。ここでは、制御ユニット30からの制御信号によってバイパス切替弁14の切り替えが行なわれる。その結果、空気供給管12と空気供給管16とが連通し、供給される空気は、加湿器18を通過して加湿された湿潤状態となって、空気供給管20、24を通って燃料電池2内に供給される。これにより、湿潤状態の空気による空気流路内の掃気が開始する。
次に、セル抵抗Rが検出される(S16)。セル抵抗Rはセルモニタ(図示せず)の出力を取り込むことで制御ユニット30において検出される。次に、検出されたセル抵抗Rが、基準抵抗R1より小さくなっているか否かが判別される(S18)。電解質膜40は乾燥した状態では抵抗が高く、一方、湿潤状態となると低い抵抗値を示す。従って、セル抵抗Rがある基準抵抗R1より小さくなっている場合に、電解質膜40が十分に湿潤し、空気流路の掃気が十分に行なわれたものと判断できる。なお、このような判断の基準となる基準抵抗R1は予め実験等によって求められて制御ユニット30に記憶されている。
なお、この実施の形態のように燃料電池2は複数のセルが積層された構造となっている場合において、セル抵抗やセル電圧を判断基準として説明しているものについては、例えば、複数のセルのうち劣化が顕著に現れやすいセルの抵抗や電圧を代表して検出して判断の基準とするもの、または、積層されたセルのうち複数のセルごとに検出していずれか1又は規定数のセルがその条件を満たす場合に成立を認めるもの、複数またはすべてのセルについて検出した値の平均値を判断の基準とするもの等、適切な方法を選択することができる。
従って、ステップS18において、セル抵抗R<基準抵抗R1の成立が認められない場合には、その成立が認められるまで湿潤状態の空気による掃気を継続して行なう。一方、ステップS18においてセル抵抗R<基準抵抗R1の成立が認められた場合には、空気流路の掃気、即ち停止処理が完了したものと判断される。従って、燃料電池2の発電が終了され(S20)、これより今回の処理が終了する。
一方、ステップS12において、フラグ=ONであることが認められない場合、即ち、フラグがOFFとなっている場合には、乾燥モードでの停止処理が行なわれる。具体的に、まず、バイパス切替弁14がバイパス管26側に切り替えられる(S22)。これにより、加湿器18がバイパスされることとなり、乾燥状態の空気が、空気供給管12、バイパス管26及び空気供給管24を通って、燃料電池2に供給されることとなる。これにより、乾燥状態の空気による空気流路の掃気が開始する。
次に、セル抵抗Rが検出される(S24)。セル抵抗Rは、セルモニタの出力を取り込むことで制御ユニット30において検出される。次に、検出されたセル抵抗Rが基準抵抗R2より大きいか否かが判別される(S26)。上記のように電解質膜40が乾燥した場合にはセル抵抗が大きくなることから、乾燥モードにおいて停止処理を行なう場合には、セル抵抗がある程度高くなったところで、その掃気が完了しているものと判断することができる。このような判断の基準となる基準抵抗R2は予め実験等によって求められて制御ユニット30に記憶されている。従って、ステップS26の判別を行なうことで、空気流路の掃気が完了したか否かを判別することができる。
ステップS26において、セル抵抗R>基準抵抗R2の成立が認められない場合、乾燥モードにおける停止処理が継続される。一方、セル抵抗R>基準抵抗R2の成立が認められると掃気が完了したものと認められるため、燃料電池の発電が終了され(S20)、今回の処理が終了する。
[停止処理におけるモード切替の具体的な制御について]
図6は、この発明の実施の形態1において制御ユニットが、停止処理におけるモードの切り替えにおいて実行する制御のルーチンについて説明するためのフローチャートである。図6のルーチンは、燃料電池2の運転中に定期的に実行されるルーチンである。
図6のルーチンでは、まず、燃料電池2が発電中であるか否かが判断される(S100)。ここで発電中であることが認められない場合には、今回の処理が終了する。一方、燃料電池2の発電中であることが確認されると、次に、所定の電流域におけるセル電圧Vが検出される(S102)。セル電圧Vは、セルモニタの出力を取り込むことで制御ユニット30において検出される。
次に、検出されたセル電圧Vが、基準電圧V0より小さいか否かが判別される(S104)。ここで、セル電圧V<基準電圧V0の成立が認められた場合、湿潤モードでの停止処理を行なうフラグをOFFとする(S106)。即ち、セル電圧Vが基準電圧V0より小さくなっている場合、当初、湿潤モードでの停止処理が繰り返された結果、すでに湿潤劣化の進行が進んでいるものと判断できる。従って、次回の燃料電池2の停止時から、乾燥モードでの停止処理に切り替えるようにフラグをOFFとする。その後、今回の処理が終了する。
一方、ステップS104において、セル電圧V<基準電圧V0の成立が認められない場合、湿潤劣化がまだ起きていないものと判断できる。従って、次回の燃料電池2の停止時においても湿潤モードでの停止処理が実行されるように、フラグがON状態で維持される(S108)。その後、今回の処理が終了する。
以上説明したように、凍結状態となる環境下での燃料電池2の劣化は、乾燥モードにおける劣化であるか、湿潤モードにおける劣化であるかによって、その発生のメカニズムが異なっており、それによって劣化が進行しやすい部分が異なっていると考えられる。従って、実施の形態1では、乾燥モードでの停止処理と湿潤モードでの停止処理とを切り替えて行なうよう停止処理時のモードを制御する。これにより、劣化の進行する部分を分散させることができ、燃料電池2全体として、劣化の進行を遅らせ、燃料電池2の耐久性を向上させることができる。
ところで、実施の形態1では、燃料電池2を停止させる場合に、毎回、この実施の形態1に説明したモード切り替えの判断に基づくモードでの停止処理を行なう場合について説明した。しかし、この発明はこれに限るものではなく、例えば、天気予報、外気温等の情報に基づいて、燃料電池2の停止中に凍結状態となるか否かを予測し、凍結状態となることが予想される場合にのみ実施の形態1の処理を実行することしてもよい。これは、以下の実施の形態においても同様である。
また、実施の形態1では、初期の段階で湿潤モードに設定し、その後、電圧の低下が認められた場合に、乾燥モードに切り替える場合について説明した。しかし、この発明は必ずしもこれに限るものではなく、初期の段階では乾燥モードによる停止処理を行い、その後、セル電圧が低下した後で、湿潤モードに切り替えるようにしてもよい。このような場合にも、劣化の進行が部分的に集中するのを抑えることができ、燃料電池2の耐久性を向上させることができる。
また、実施の形態1では、一度、乾燥モードに切り替えられた後には、その後乾燥モードでの停止処理が継続される場合について説明した。しかし、この発明はこれに限るものではなく、セル電圧の低下がある程度大きくなったことが確認される度に、現在のモードとは異なるモードに切り替えるようにしてもよい。この場合、例えば、図6のステップS104における燃料電池2の劣化判断の基準となる基準電圧V0を、セル電圧の低下が検出される度に小さな値に段階的に変更するようにすれば、劣化の進行に伴って、モードの切り替えを繰り返し実行することができる。
また、セル電圧が基準電圧以下に低下した場合に劣化と判定して、モードの切り替えを行なう場合について説明した。しかし、この発明はこれに限るものではなく、セル電圧以外の他の手段により燃料電池の性能劣化を検出することによりモードの切り替えを行なうものであってもよい。
また、セル電圧に基づく劣化判断を行なわず、燃料電池2の停止処理におけるモードを、所定回数ごとに切り替え、乾燥モードでの停止処理と、湿潤モードでの停止処理とが、所定回数ずつ交互に行なわれるように設定することもできる。この場合にも、部分的な劣化の進行を分散させることができ、燃料電池2の耐久性を向上させることができる。なお、この場合における所定回数は、乾燥モードと湿潤モードとが同じ回数である場合に限らず、異なる回数であってもよい。また、各モードにおける停止処理の回数が、何らかの条件に基づいて変化するものであってもよい。
また、実施の形態1では、モードの切り替えのタイミング(切替状態)を所定の電流域における電圧低下によって判断する場合について説明した。しかし、この発明はこれに限るものではなく、他のパラメータによってその判断を行なうこととしてもよい。
また、実施の形態1では、停止処理においてカソード極側の空気流路側に供給する空気を湿潤状態、または乾燥状態に切り替えることで、湿潤モードでの停止処理と乾燥モードでの停止処理を実現する場合について説明した。しかし、この発明においては、実施の形態1に説明した停止処理をカソード極側の処理に適用するものに限らず、アノード極側に適用したものであってもよく、あるいは、両極に適用するものでもよい。この場合、アノード極側では空気に代えて、燃料を停止処理時の掃気ガスとして用いて、燃料を乾燥状態又は湿潤状態に切り替えて供給するものであってもよい。また、停止時にはアノード極側にも空気を供給できる構造として、カソード極側と同じように、乾燥状態又は湿潤状態の空気を供給するものであってもよい。これは、以下の実施の形態についても同様である。
また、実施の形態1では、加湿器18を通過させることで空気を湿潤状態とし、加湿器18をバイパスさせることで空気を乾燥状態とする場合について説明した。しかし、この発明はこれに限るものではない。例えば、この発明において、空気を湿潤状態とする湿潤処理手段は、空気が供給されることにより電解質膜40や触媒層42を湿潤状態とできる程度に空気を加湿できるような他の加湿器を用いてもよく、例えば、空気の湿度を調整できるような加湿器を用いることもできる。また、例えば、乾燥状態の空気を供給する乾燥処理手段についても、単に加湿器18をバイパスさせるものに限らず、電解質膜40や触媒層42を乾燥した状態とする程度に空気を乾燥させるような乾燥器等を用いることもできる。これは、以下の実施の形態においても同様である。
なお、実施の形態1において、図5のステップS10〜S26の処理が実行されることで、この発明の「停止制御手段」が実現し、図6のステップS106又はS108が実行されることで「モード制御手段」が実現する。また、図5のステップS104が実行されることで「切替状態検出手段」が実現し、ステップS102が実行されることで、「電圧検出手段」が実現する。
実施の形態2.
実施の形態2のシステムは、乾燥モードと湿潤モードとの切り替えの判断手法が異なる点を除き、実施の形態1のシステムと同様の制御を行なう。また、この制御のため、実施の形態2の燃料電池システムは、各セルの空気流路の入口側と出口側との電圧とがそれぞれ絶縁された状態で検出できる構造となっている点を除いて、実施の形態1の燃料電池システムと同じ構造を有している。
図7は、実施の形態2の燃料電池システムの各セルのMEAのカソード極の触媒層側を模式的に表した図である。図7に示すように、MEA50の一方の面には、カソード極の触媒層52が形成されている。カソード極触媒層52の空気流路の入口付近の入口部52a及び空気流路の出口付近の出口部52bは、他の部分のカソード極触媒層52と電気的に絶縁されている。また図示を省略するがアノード極触媒層も同様に、空気流路の入口部52aに相対する部分と、出口部52bに相対する部分とが絶縁された状態となっている。
このカソード極の入口部と、出口部、及びアノード極のこれらに対向する部分にはそれぞれに端子が設けられている。両極の入口部とこれに対向する部分との端子及び、及び出口部とそれに対向する部分との端子同士をそれぞれに接続して電圧を検出することで、MEA50のカソード極入口部52a付近の電圧(入口電圧Vin)と、出口部52b付近の電圧(出口電圧Vout)とをそれぞれ、絶縁された状態で検出することができる。
なお、カソード極触媒層52に接するセパレータの面に形成された空気流路は、及びアノード極触媒層に接するセパレータの面に形成された燃料流路は、それぞれ、カソード極触媒層52又はアノード極触媒層全体で共通するものであり、入口部、出口部を含めて、各セル面内全体で連続している構造となっている。
ところで、実施の形態1のシステムは劣化が進行した場合の切替状態の検出を、単にある電流域のセル電圧Vと基準電圧V0とを比較することにより行なう。しかし、セル電圧には、実際には他の様々な原因による変化が現れる。このため、セル電圧の低下だけで、停止処理の各モードに起因する劣化を判定するものとすると、その劣化判定には誤りが生じる場合がある。このため、実施の形態2のシステムでは、以下の方法で切替状態を検出する。
図4に説明したように、乾燥劣化と湿潤劣化とは、それぞれ異なる場所で顕著に進行する。具体的に、乾燥劣化は空気流路入口近傍で進む。従って、図7に示す構造によって、入口部52aと出口部52bとの電圧をそれぞれ絶縁して検出した場合、乾燥劣化による電圧の低下は、入口部52aに顕著に現れる。
一方、湿潤モードでの停止処理を連続して湿潤劣化が進行した場合、その劣化は、カソード出口近傍で進行する。従って、入口部52aと出口部52bとの電圧をそれぞれ検出すると、湿潤劣化の場合の電圧低下は、出口部52b側に顕著に表れることとなる。
つまり、乾燥劣化の場合には、入口部52a付近の電圧である入口電圧Vinが顕著に低下し、湿潤劣化の場合には、出口部52b付近の電圧である出口電圧Voutが顕著に低下する。従って、入口電圧Vinと出口電圧Voutをそれぞれ検出した場合、両者の差が大きくなっているものと考えられる。
従って、実施の形態2のシステムでは、入口部52aと出口部52bとの電圧差である出入口電圧差(Vin−Vout)を求めて、この電圧差の値(絶対値)が大きくなっている場合に、乾燥劣化または湿潤劣化が進行しているものと判断することができる。実施の形態2のシステムは、これを利用して出入口電圧差(Vin−Vout)が基準となる基準電圧差ΔVよりも大きい場合に、湿潤モードから乾燥モードへの切り替えのタイミングを判断する。
図8は、この発明の実施の形態2において制御ユニット30が実行する制御のルーチンについて説明するためのフローチャートである。図8のルーチンは、図6のルーチンに替えて実行されるルーチンである。また、図8のルーチンは、図6のルーチンのステップS102〜S104に替えて、ステップS202〜S206の処理を有する点を除き、図6のルーチンと同じものである。
具体的に、図8のルーチンでは、ステップS100において燃料電池の発電中であることが認められると、次に、所定の電流域において、入口電圧Vinと出口電圧Voutがそれぞれ検出される(S202)。ここでは、上記のように入口部52a、出口部52bが、それぞれ絶縁されて端子が取り付けられ、この端子にセルモニタが接続されており、それぞれの電圧が検出できるようになっている。制御ユニット30がセルモニタの出力を取り込むことで、入口電圧Vinと出口電圧Voutが検出される。
次に、入口電圧Vinと出口電圧Voutの出入口電圧差(Vin−Vout)が演算される(S204)。具体的には、入口電圧Vinから出口電圧Voutを減算することで出入口電圧差(Vin−Vout)が演算される。
次に、ステップS204で求められた電圧差(Vin−Vout)が、基準電圧差ΔVより大きいか否かが判別される(S206)。実施の形態2では、燃料電池2の運転初期の状態において、湿潤モードでの停止処理が実行されるように、フラグがONに設定されている。従って、このステップでは、湿潤モードでの停止処理が繰り返し行なわれた結果湿潤劣化が起きているか否かが判断される。なお、このような判断の基準となる基準電圧差ΔVは、予め実験等によって求められて、制御ユニット30に記憶されている。
ステップS206において、出入口電圧差(Vin−Vout)>基準電圧差ΔVの成立が認められる場合には、出口部52b付近での電圧低下が大きく、湿潤劣化が進行していると判断される。この場合、フラグがOFFとされる(S106)。これにより、次回停止時から停止処理のモードが切り替えられて、乾燥モードでの停止処理が実行される。
一方、出入口電圧差(Vin−Vout)>基準電圧差ΔVの成立が認められない場合には、入口電圧Vinと出口電圧Voutとの差が小さく、湿潤劣化の進行が認められない。この場合、フラグがONの現状維持とされ(S108)、今回の処理が終了する。
以上説明したように、実施の形態2においては、湿潤モードから乾燥モードへ切り替える切替状態を、出入口電圧差に基づいて検出する。従って、各モードでの停止処理に起因して起こる劣化を的確に検出することができ、他の原因に起因する電圧変化によって、停止処理のモードが切り替えられる事態となることを防止することができる。
なお、実施の形態2では、入口電圧Vinと出口電圧Voutを検出することで、乾燥劣化又は湿潤劣化が進行していることを検出する場合について説明した。しかし、この発明はこれに限るものではなく、セルの入口側の発電性能と、出口側の発電性能とを検出し、その性能に基準以上の差が生じている場合に湿潤劣化又は乾燥劣化を検出して、モードを切り替えるようにすることもできる。
また、実施の形態2では、実施の形態1と同様に湿潤モードから運転が開始され、その後、湿潤劣化の進行が認められた場合に乾燥モードに切り替える場合について説明した。しかし、この発明において、モードの切り替えや選択は実施の形態2に説明したものに限るものではない。具体的には例えば、乾燥モードから湿潤モードに切り替えるようにしてもよい。但し、乾燥モードでは入口部52aでの劣化が進行する。従って、出口電圧Voutに比べて入口電圧Vinの低下が大きくなる。従って、電圧差(Vin−Vout)の絶対値が所定の基準電圧差ΔVより大きくなった場合、つまり、出入口電圧差(Vin−Vout)が所定の基準値(例えば、−ΔV)より小さくなった場合に、乾燥劣化が進行を検出することができる。
また、実施の形態2では、湿潤モードから乾燥モードに切り替え、その後は、乾燥モードが繰り返される場合について説明した。しかし、実施の形態2では、MEAの入口部52aと出口部52bとの電圧を検出しその低下の状態を見れば、現在、乾燥劣化が進行しているか、湿潤劣化が進行しているかを判断することができる。
より具体的に、出入口電圧差(Vin−Vout)を演算した場合に、その値がプラス側であり、所定の第1基準電圧差(例えば、基準電圧差ΔV)より大きければ湿潤劣化であると判断できる。また、その値がマイナス側であり、第2基準電圧差(例えば、−ΔV)よりも小さければ乾燥劣化であると判断できる。従って、この判断に基づいて、乾燥劣化と判断された場合には、湿潤モードに切り替える状態(湿潤切替状態)、湿潤劣化と判断された場合には、乾燥モードに切り替える状態(乾燥切替状態)であることを検出し、これらの状態が検出された場合に、それに応じたモードに切り替えられるように制御することもできる。このとき、例えば、各切替状態が検出されるたびに、判断の基準電圧差の大きさ(絶対値)を大きくしていくように設定してもよい。これにより、いずれかの劣化によりセル電圧低下が発生した後でも、一方のモードに固定されずに、各モードを切り替えることができ、更に燃料電池2の耐久性をより向上させることができる。
ここで、加湿器18に替えて湿度の調整できる加湿器を設置して、出入口電圧差が小さいうちに劣化を検出し、その劣化状態に応じて、湿度を調節した空気を供給することもできる。例えば、実施の形態2での乾燥状態と湿潤状態との間の、中間湿度の空気を供給できるようにして、劣化が検出されない通常の場合には、中間湿度の空気で停止処理を行なうようにしてもよい。この場合、いずれの劣化も検出されない場合には、中間湿度での停止処理が行なわれるように制御し、出入口電圧差(Vin−Vout)に応じて、乾燥劣化及び湿潤劣化が検出された場合には、それに応じたモードに切り替えて制御することで、劣化の発生をより確実に抑えることができる。
また、基準電圧差ΔVの大きさ(絶対値)を小さくし、劣化進行が小さいうちにモードを切り替えながら制御することで、劣化の進行をより確実に抑えた停止処理を実行することができる。
また、実施の形態2では、出入口電圧差(Vin−Vout)による劣化の判定を、停止処理における乾燥モードあるいは湿潤モードへの切替状態の検出にのみ用いる場合について説明した。しかし、この劣化判定の方法によれば、乾燥劣化の進行、湿潤劣化の進行をそれぞれ特定して検出することができるため、各セルの劣化部分や劣化状態をある程度特定することができる。従って、このような劣化判定の結果を利用する他の制御にも適用することができる。
なお、実施の形態2において、ステップS202の処理が実行されることにより、この発明の「入口電圧検出手段」及び「出口電圧検出手段」が実現し、ステップS204の処理が実行されることにより「出入口電圧差演算手段」が実現し、ステップS206の処理が実行されることにより「切替状態検出手段」が実現する。
実施の形態3.
実施の形態3の燃料電池システムは、図1の燃料電池システムと同一の構成を有している。また、実施の形態3のシステムは、乾燥モードと湿潤モードとの切替状態の検出方法が異なる点を除いて、実施の形態1のシステムと同一の制御を行なう。
図9は、乾燥モード、湿潤モードのそれぞれで停止処理を繰り返した場合の、燃料電池のI−V特性について説明するための図であり、図9(a)は、乾燥モードでの停止処理、図9(b)は、湿潤モードでの停止処理の場合を示す。また図9(a)、(b)のそれぞれにおいて、横軸は電流[I]、縦軸は電圧[V]を表し、点線Aは正常な状態のI−V特性、実線Bは劣化後のI−V特性を表している。
上述したように、乾燥劣化はより乾燥した状態での運転となる低電流域側で起こりやすい。つまり劣化による電圧の低下は低電流域に現れやすい。このため、図9(a)に示すように、正常なI−V特性(点線A)と比較した場合、乾燥劣化した場合のI−V特性(実線B)は、特に低電流域側の電圧低下が大きなものとなる。
一方、湿潤劣化はより高い湿潤状態となる高電流域側で起こりやすい。このため、図9(b)に示すように、湿潤劣化した場合のI−V特性(実線B)は、劣化発生前のI−V特性(点線A)と比較すると、特に高電流域側の電圧が低下した特性を示す。
以上から、低電流域の第1電流I1における第1電圧V1と、高電流域の第2電流I2における第2電圧V2との差に基づいて、乾燥劣化が進んでいるか、湿潤劣化が進行しているかを判断することができる。
具体的には、湿潤劣化は、高電流域側での電圧低下に現れるため、第2電圧V2が正常値に比べて小さくなると考えられる。従って、第1電圧V1−第2電圧V2の値(電圧差)は、正常の場合の差に比べて大きくなる。従って、正常の場合の第1電圧と第2電圧との差に基づいて基準値(第1基準電圧差ΔV1)を設定すれば、この第1基準電圧差と電圧差(V1−V2)を比較することで湿潤劣化を検出することができる。
一方、乾燥劣化は低電流域側に現れるため、第1電圧V1−第2電圧V2の値(電圧差)が、正常の場合の差に比べて小さくなる。従って、正常の場合の第1電圧と第2電圧との差に基づいて基準値(第2基準電圧差ΔV2)を設定すれば、この第2基準電圧差と電圧差(V1−V2)を比較することで、乾燥劣化を検出することができる。
実施の形態3では、実施の形態1、2と同様に、初期の状態では湿潤モードでの停止処理が行なわれるように設定されている。従って、ここでは湿潤劣化を検出して乾燥モードへの切り替えが行われるよう制御すればよく、従って、制御ユニット30は、第1基準電圧差ΔV1を予め記憶しており、電圧差(Vin−Vout)が第1基準電圧差ΔV1より大きい場合に切替状態を検出する。
図10は、この発明の実施の形態3において制御ユニット30が実行する制御のルーチンである。図10のルーチンは、図6のルーチンに替えて実行されるルーチンである。図10のルーチンは、図6のルーチンのステップS102、S104に替えて、S302〜S306の処理を有する点を除き、図6のルーチンと同じものである。
具体的に、図10のルーチンでは、燃料電池の運転中であることが確認された後(S100)、第1電流I1における第1電圧V1と、第2電流I2における第2電圧V2とが、それぞれの電流値のタイミングで検出される(S302)。ここでは、セルモニタの出力を取り込むことで、制御ユニット30において、第1電圧V1と第2電圧V2とが検出される。
次に、第1電圧V1と第2電圧V2との差である電圧差(V1−V2)が演算される(S304)。次に、電圧差(V1−V2)が、第1基準電圧差ΔV1よりも大きいか否かが判別される(S306)。実施の形態3のルーチンでは、当初湿潤モードでの停止処理が行なわていることから、劣化の進行は、高電流域側の電圧V2の低下として現れるため、湿潤劣化の進行に伴って電圧差(V1−V2)は正常の場合に比べて大きくなると考えられる。従ってここでは、電圧差(V1−V2)が第1基準電圧差ΔV1よりも大きくなったか否かに基づいて、切替状態の判断が行なわれる。
ステップS306において、電圧差(V1−V2)>第1基準電圧差ΔV1の成立が認められた場合、湿潤劣化が進行しているものと判断され、フラグがOFFとされる(S106)。これにより、次回の停止時から、乾燥モードでの停止処理が行なわれる。
一方、ステップS306において、電圧差(V1−V2)>第1基準電圧差ΔV1の成立が認められない場合には、湿潤劣化が進行していないと考えられるため、フラグがONに維持される(S108)。これにより、次回の停止時においても、湿潤モードでの停止処理が実行される。
以上説明したように、実施の形態3のシステムによれば、2つの異なる電流域での電圧を検出して比較することで劣化判定を行なうと共に、乾燥劣化か湿潤劣化かを判定することができる。従って、乾燥劣化及び湿潤劣化をより確実に検出することができると共に、停止処理におけるモードを適切に選択することができる。従って、燃料電池2の劣化の進行を抑え、燃料電池2の耐久性を向上させることができる。
なお、実施の形態3において、ステップS302の処理が実行されることにより、この発明の「電圧検出手段」が実現し、ステップS304の処理が実行されることにより「電圧差演算手段」が実現し、ステップS306の処理が実行されることにより「切替状態検出手段」が実現する。
なお、実施の形態3では、湿潤モードから運転が開始され、湿潤劣化の進行が認められた場合に乾燥モードに切り替える場合について説明した。しかし、この発明において、モードの切り替えや選択は実施の形態3に説明したものに限るものではない。具体的には例えば、乾燥モードから湿潤モードに切り替えるようにしてもよい。乾燥モードでは、低電流域側に劣化の進行が強く現れるため、第1電圧V1での電圧低下が大きくなる。従って、乾燥劣化の進行は、電圧差(V1−V2)が第2基準電圧差より小さくなったかを判別し、この条件の成立が認められた場合に劣化を検出することができる。
また、実施の形態3の劣化判定の方法によれば、現在、どちらのモードでの劣化が進行しているかを特定することができる。従って、湿潤モードから乾燥モードに切り替え、その後は、乾燥モードが繰り返される場合に限らず、その劣化モードの進行に応じて、逆のモードにモードを切り替えることもできる。
具体的に、電圧差(V1−V2)を算出した場合に、その値が、所定の第1基準電圧差ΔV1より大きければ、湿潤劣化であると判断でき、所定の第2基準電圧差ΔV2より小さければ乾燥劣化であると判断できる。従ってこの判断に基づいて、乾燥劣化と判断された場合には湿潤モードに切り替え、湿潤劣化と判断された場合には乾燥モードに切り替えるように制御することもできる。
また、実施の形態3の他の制御として、第2基準電圧差ΔV2以上、第1基準電圧差ΔV2以下の範囲を正常な範囲として設定し、電圧差(V1−V2)がこの正常な範囲からズレた場合に、そのズレを修正するように、湿潤モードと乾燥モードの切り替えを行なうこともできる。この場合の制御について以下に説明する。
図11は、実施の形態3のシステムが実行する他の制御のルーチンについて説明するためのフローチャートである。図11のルーチンでは、ステップS402〜S406の処理を有し、ステップS106、S108の処理を有していない点を除いて、図10のルーチンと同じでものある。
また、この例では、燃料電池システムは、加湿器18側の空気供給の経路と、それをバイパスするバイパス管26のほかに、空気を、加湿器による湿潤状態と、バイパス管での供給による乾燥状態との間の中間湿度に調整する装置を有している。燃料電池2の運転初期の段階では、この装置によって供給される中間湿度の空気によって掃気を行なう通常モードでの停止処理に設定されている。
ここで、ステップS304において電圧差(V1−V2)が検出され、電圧差が、湿潤劣化判定の基準となる第1基準電圧差ΔV1より大きいか否かが判別される。ステップS306において電圧差(V1−V2)>第1基準電圧差ΔV1の成立が認められた場合、湿潤劣化が進んでいるものと判断される。従って、次に、乾燥モードへの切り替えが設定される(S402)。これにより、次回の停止時に、乾燥モードでの停止処理が実行される。
一方、ステップS306において、電圧差(V1−V2)>第1基準電圧差ΔV1の成立が認められない場合には、次に、電圧差(V1−V2)が、乾燥劣化判定の基準となる第2基準電圧差ΔV2より大きいか否かが判別される(S404)。ステップS404において、電圧差(V1−V2)<第2基準電圧差ΔV2であることが認められた場合、乾燥劣化が進んでいるものと判断される。この場合、次に、ステップS406において、湿潤モードへの切り替えが設定される(S408)。これにより、次回の停止時において、湿潤モードでの処理が実行される。
一方、ステップS404において、電圧差(V1−V2)<第2基準電圧差ΔV2の成立が認められない場合、現在、乾燥劣化も、湿潤劣化も進行していないものと判断される。この状態では、次回停止処理が、中間湿度に調整された通常モードでの停止処理が実行されるように設定される(S410)。これにより、次回停止時には、通常モードでの停止処理が実行される。
以上のように、乾燥モードと湿潤モードとの停止処理を、正常時の状態の電圧差から外れた場合にのみ行なうようにする。ここで、正常時の電圧差(第2基準電圧差ΔV2以上、第1基準電圧差ΔV1以下)の範囲を狭く設定しておけば、劣化が進行する前に、湿潤モードでの処理、乾燥モードでの処理に切り替えることができ、劣化の進行をより確実に抑えることができる。
なお、この制御の他の例において、ステップS306の処理が実行されることにより、この発明における「乾燥切替状態」が検出され、ステップS404の処理が実行されることにより「湿潤切替状態」が検出され、これらのステップにより「切替状態検出手段」が実現する。また、ステップS402、S406の処理が実行されることにより、この発明の「モード切替手段」が実現する。
なお、実施の形態3では、電圧差による劣化の判定を、停止処理における乾燥モードあるいは湿潤モードへの切替状態の検出にのみ用いる場合について説明した。しかし、この劣化判定の方法によれば、乾燥劣化の進行、湿潤劣化の進行をそれぞれ特定して検出することができるため、各セルの劣化部分や劣化状態をある程度特定することができる。従って、このような劣化判定の結果を利用する他の制御にも適用することができる。
なお、以上の実施の形態において各要素の個数、数量、量、範囲等の数に言及した場合、特に明示した場合や原理的に明らかにその数に特定される場合を除いて、その言及した数に限定されるものではない。また、実施の形態において説明する構造や、方法におけるステップ等は、特に明示した場合や明らかに原理的にそれに特定される場合を除いて、この発明に必ずしも必須のものではない。
この発明の実施の形態1における燃料電池システムの構成について説明するための模式図である。 燃料電池の劣化の状態について説明するための模式図である。 燃料電池の劣化の状態について説明するための模式図である。 燃料電池の停止処理の回数と電圧維持率との関係を説明するための図である。 この発明の実施の形態1において、燃料電池システムの制御ユニットが実行する制御のルーチンについて説明するためのフローチャートである。 この発明の実施の形態1において、燃料電池システムの制御ユニットが実行する制御のルーチンについて説明するためのフローチャートである。 この発明の実施の形態2における燃料電池について説明するための図である。 この発明の実施の形態2において、燃料電池システムの制御ユニットが実行する制御のルーチンについて説明するためのフローチャートである。 この発明の実施の形態3における燃料電池の電圧と電流との関係を説明するための図である。 この発明の実施の形態3において、燃料電池システムの制御ユニットが実行する制御のルーチンについて説明するためのフローチャートである。 この発明の実施の形態3において、燃料電池システムの制御ユニットが実行する他の制御のルーチンについて説明するためのフローチャートである。
符号の説明
2 燃料電池
10 空気供給用ポンプ
12、16、20、24 空気供給管
14 バイパス切替弁
18 加湿器
22 逆止弁
26 バイパス管
30 制御ユニット
40 電解質膜
42 触媒層
50 MEA
52 触媒層

Claims (15)

  1. 燃料電池に供給する反応ガスを、加湿して湿潤状態とする湿潤処理手段と、
    前記燃料電池に供給する反応ガスを、前記湿潤状態よりも湿度の低い乾燥状態とする乾燥処理手段と、
    前記燃料電池の運転を停止する際に、前記燃料電池に反応ガスを供給する停止処理を行なう停止制御手段と、
    前記反応ガスを前記湿潤状態とする湿潤処理モードと、前記反応ガスを前記乾燥状態とする乾燥処理モードとに制御する機能を備え、前記燃料電池の運転を停止する際に、前記湿潤処理モード又は前記乾燥処理モードを選択して切り替えることができるモード制御手段と、
    を備えることを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記燃料電池の停止中に、燃料電池内の水分が凍結し得る凍結状態となるか否かを予測する凍結予測手段、を更に備え、
    前記モード制御手段は、次回起動時が前記凍結状態での起動となることが予測される場合には、前記乾燥処理モード及び前記湿潤処理モードのうち、いずれかのモードで前記停止処理が実行されるように制御することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記モード制御手段は、前記乾燥モードでの停止処理と、前記湿潤モードでの停止処理が、規定回数ずつ交互に行なわれるように、前記乾燥モードと前記湿潤モードとを切り替えることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池システム。
  4. 前記燃料電池の運転状態に応じて、前記乾燥モード、または、前記湿潤モードでの停止処理に切り替える切替状態となっていることを検出する切替状態検出手段を、更に備え、
    前記モード制御手段は、前記切替状態が検出された場合に、次回の停止処理が、前回の停止処理におけるモードとは異なるモードでの停止処理となるように、前記モードを切り替えることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池システム。
  5. 前記モード制御手段は、前記燃料電池の初期状態において前記停止処理が実行される場合には、前記湿潤モードとし、前記切替状態が検出された後の停止処理から、前記乾燥モードでの停止処理となるように、前記モードを切り替えることを特徴とする請求項4に記載の燃料電池システム。
  6. 前記モード制御手段は、前記燃料電池の初期状態において前記停止処理が実行される場合には、前記乾燥モードとし、前記切替状態が検出された後の停止処理から、前記湿潤モードでの停止処理となるように、前記モードを切り替えることを特徴とする請求項4に記載の燃料電池システム。
  7. 前記切替状態検出手段は、燃料電池の劣化を検出することにより前記切替状態を検出することを特徴とする請求項4から6のいずれか1項記載の燃料電池システム。
  8. 前記燃料電池の電圧を検出する電圧検出手段を更に備え、
    前記切替状態検出手段は、検出された前記電圧が基準電圧より小さい場合に、前記切替状態を検出することを特徴とする請求項4から7のいずれか1項記載の燃料電池システム。
  9. 前記燃料電池は、電解質膜と前記電解質膜の両側に配置された一対の電極とからなる発電部と、前記発電部の両側に配置されたセパレータを備え、
    前記一対の電極のうち一方の電極に接する接面を有するセパレータは、該接面において、該一方の電極に反応ガスを供給するための反応ガス流路を備え、
    前記燃料電池システムは、
    前記燃料電池の運転中に、前記反応ガス流路の入口側の発電性能を検出する入口性能検出手段と、
    前記燃料電池の運転中に、前記反応ガス流路の出口側の発電性能を検出する出口性能検出手段と、
    前記入口側の発電性能と出口側の発電性能との差に基づいて、前記燃料電池の劣化を検出することにより、前記モードを、前記乾燥モード、または、前記湿潤モードに切り替える切替状態となっていることを検出する切替状態検出手段と、を備え、
    前記モード制御手段は、前記切替状態が検出された場合に、次回の停止処理が、前回の停止処理におけるモードとは異なるモードでの停止処理となるように、前記モードを切り替えることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池システム。
  10. 前記燃料電池は、電解質膜と前記電解質膜の両側に配置された一対の電極とからなる発電部と、前記発電部の両側に配置されたセパレータを備え、
    前記一対の電極のうち一方の電極に接する接面を有するセパレータは、該接面において、該一方の電極に反応ガスを供給するための反応ガス流路を備え、
    前記燃料電池システムは、
    前記燃料電池の運転中に、前記反応ガス流路の入口側の電圧である入口電圧を検出する入口電圧検出手段と、
    前記燃料電池の運転中に、前記反応ガス流路の出口側の電圧である出口電圧を検出する出口電圧検出手段と、
    前記入口電圧から前記出口電圧を減算した値である出入口電圧差を演算する出入口電圧差演算手段と、
    前記出入口電圧差の絶対値が、基準電圧差より大きくなっている場合に、前記モードを、前記乾燥モード、または、前記湿潤モードに切り替える切替状態となっていることを検出する切替状態検出手段と、を備え
    前記モード制御手段は、前記切替状態が検出された場合に、次回の停止処理が、前回の停止処理におけるモードとは異なるモードでの停止処理となるように、前記モードを切り替えることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池システム。
  11. 前記切替状態検出手段は、
    前記出入口電圧差が、第1出入口電圧差より大きくなっている場合に、前記モードを前記乾燥モードに切り替える乾燥切替状態を検出し、
    前記出入口電圧差が、第2出入口電圧差より小さくなっている場合に、前記モードを前記湿潤モードに切り替える湿潤切替状態を検出し、
    前記モード制御手段は、
    前記湿潤切替状態が検出された場合に、次回の停止処理におけるモードが、湿潤モードとなるように前記モードを切り替え、
    前記乾燥切替状態が検出された場合に、次回の停止処理におけるモードが、乾燥モードとなるように前記モードを切り替えることを特徴とする請求項10に記載の燃料電池システム。
  12. 前記燃料電池の運転中に、前記燃料電池の第1電流における第1電圧と、前記第1電流より大きい第2電流における第2電圧とを検出する電圧検出手段と、
    前記第1電圧から第2電圧を減算した値である電圧差を演算する電圧差演算手段と、を更に備え、
    前記モード制御手段が、前記湿潤モードを選択している場合であって、かつ、前記電圧差が、第1基準電圧差より大きい場合に、前記モードを、前記乾燥モードに制御する乾燥切替状態となっていること検出する切替状態検出手段と、を備え、
    前記モード制御手段は、前記乾燥切替状態が検出された場合に、次回の停止処理におけるモードが、前記乾燥モードとなるように制御することを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池システム。
  13. 前記燃料電池の運転中に、前記燃料電池の、第1電流における第1電圧と、前記第1電流より大きい第2電流における第2電圧とを検出する電圧検出手段と、
    前記第1電圧から第2電圧を減算した値である電圧差を演算する電圧差演算手段と、
    前記モード制御手段が前記乾燥モードを選択している場合であって、かつ、前記電圧差が、第2基準電圧差より小さい場合に、前記モードを、前記湿潤モードとなるように制御する湿潤切替状態となっていること検出する切替状態検出手段と、を備え、
    前記モード制御手段は、前記湿潤切替状態が検出された場合に、次回の停止処理におけるモードが、前記湿潤モードとなるように制御することを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池システム。
  14. 前記燃料電池の運転中に、前記燃料電池の、第1電流における第1電圧と、前記第1電流より大きい第2電流における第2電圧とを検出する電圧検出手段と、
    前記第1電圧から前記第2電圧を減算した値である電圧差を演算する電圧差演算手段と、
    前記電圧差が、第1基準電圧差より大きい場合に、前記モードを前記乾燥モードに切り替える乾燥切替状態を検出する切替状態検出手段と、を更に備え、
    前記電圧差が、第2基準電圧差より小さい場合に、前記モードを前記湿潤モードに切り替える湿潤切替状態を検出し、
    前記モード制御手段は、
    前記湿潤切替状態が検出された場合に、次回の停止処理におけるモードが、湿潤モードとなるように前記モードを制御し、
    前記乾燥切替状態が検出された場合に、次回の停止処理におけるモードが、乾燥モードとなるように前記モードを制御することを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池システム。
  15. 燃料電池の第1電流における第1電圧と、前記第1電流より大きい第2電流における第2電圧とを検出する電圧検出手段と、
    前記第1電圧から前記第2電圧を減算した値である電圧差を検出する電圧差検出手段と、
    前記電圧差が、前記第2基準電圧差以上かつ、前記第1基準電圧差以下の正常状態であるか否かを判定する判定手段と、
    前記電圧差が、前記正常状態であることが認められない場合に、前記燃料電池の劣化を検出する劣化検出手段と、
    を備えることを特徴とする燃料電池の劣化検出装置。
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