JP2009066650A - 連続鋳造開始時の断気方法 - Google Patents

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博喜 高橋
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照彰 石井
Yoshiyuki Shimizu
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秀和 轟
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Atsuya Hongo
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Abstract

【課題】溶融合金に接触する大気をパージして、蓋をせずともシールを保つことを可能とする連続鋳造の鋳造開始時の断気方法を提案する。
【解決手段】連続鋳造の開始に際して溶融合金を断気する方法であって、溶融合金を保持するモールドの開口部に還元性ガスを供給し、溶融合金を大気から断気することを特徴とする連続鋳造開始時の断気方法。
【選択図】図4

Description

本発明は、溶融合金を大気と断気するためのシール技術に係り、シールガスを用いて溶融合金の酸化および窒化を抑制する技術に関する。特に、溶融合金の連続鋳造において鋳造開始時の断気方法に関する。
溶融合金はその金属の種類によっては、非常に大気と反応しやすい場合がある。具体的には、溶融状態の鋼、ステンレス鋼、Fe−Ni合金、Ni基合金などは、溶融状態で1400℃以上の高温を保つために、溶融合金の表面が大気に暴露された状態では、酸化しやすい状態にある。また合金中にSi、Mn、Al、Tiなどの活性元素が添加されていると、これらが優先して大気中の酸素や窒素と反応して、それぞれ酸化物や窒化物を形成する。これらの酸化物や窒化物は大型の非金属介在物となり、溶融合金中に巻き込まれると、鋳造工程を経た鋳造品にて疵となってしまう場合がある。
そのため、上記問題を解決するため、連続鋳造鋳型を不活性ガスでシールする技術が幾つか示されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特許文献1に記載の技術は、鉄鋼製の箱をダミーバーの上に設置し、そこに不活性ガスを導入することで断気し、鋳造を開始する技術である。鋳造後、非定常部である箱を除去し、欠陥部を製品にもたらさないことを特徴としている。しかしながら、鉄鋼製の箱を鋳造に合わせて毎回作製することが必要となり、また、その鉄鋼製箱をセットする段取り作業をも要し、コストや工程数が増大して非現実的と言える。
特許文献2に記載の技術は、タンディッシュ下面と鋳型を遮蔽板で覆い、そこに活性ガスを導入することで断気し、鋳造を開始する技術である。この技術も、遮蔽板の設置に手間取るという問題があり、さらに、遮蔽板によって溶鋼上部を覆ってしまうため鋳造開始時に直接溶鋼が監視できず、ダミーバー(スラブ)の引き抜きスタートの号令のタイミングを見定めるのが困難であったり、非常時に対応できないなど問題が多く、非現実的であった。
特許文献3に記載の技術は、鋳型上面を蓋で覆い、その上で、不活性ガスを鋳型に導入し断気しながら、鋳造を開始する技術である。この技術によれば溶鋼上部が不活性ガスで置換されて好ましいものの、やはり、鋳造開始時に直接溶鋼が監視できないため、特許文献6に記載の技術と同様、非現実的であった。
特開昭59−45064号公報 特開昭60−6253号公報 特開平10−314901号公報
以上説明したとおり、大気の接触による溶融合金の酸化、窒化の抑制はかねてからの課題であり、不活性ガスによるシール方法が採用されてきた。特に、蓋をしやすく、容器を密閉しやすい場合には、蓋と不活性ガスの組み合わせの効果によって、ある程度シールが保たれていた。
しかしながら、蓋の設置が構造上難しい連続鋳造機の鋳型は、鋳造開始時に溶融合金を注ぎ込む工程があるため、上部に蓋をすると作業性を悪化させていた。
したがって、本発明は、上記状況に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、溶融合金に接触する大気を、大気より密度の高い還元性ガスでパージして、蓋をせずともシールを保つことを可能とする、連続鋳造の鋳造開始時の断気方法を提案することである。
本発明は、連続鋳造の開始に際して溶融合金を断気する方法であって、溶融合金を保持するモールドの開口部に還元性ガスを供給し、溶融合金を大気から断気することを特徴としている。
本発明のシール装置を合金の連続鋳造の鋳造開始時に用いることで、溶融合金の酸化や窒化にともなう非金属介在物性欠陥を防止できるため、鋳造初期の非定常部の歩留まりを改善でき、品質の向上と製造コストの低減に貢献する。
本願発明の好ましい実施形態について図面を用いて以下に説明する。
1.連続鋳造工程
本願発明のシール装置を適用することができるCCM(Continuous Casting Machine、連続鋳造機)の模式図を図1に示す。図1に示す鋳造機は、溶融合金が上方から供給されてスラブが下方へ送出される垂直型の鋳造機である。本発明は、鋳造開始時のスタートのシール技術であるので、連続鋳造機の型、すなわち垂直型、湾曲型、垂直曲げ型など型式は限定されるものではない。
まず、図示しない電気炉等で、原料を溶解する。その後、精錬工程として、脱炭、脱酸、脱硫を行い、取鍋精錬にて温度調整を行う。次に、図1に示すCCMで溶融合金を鋳造し、スラブを製造する。図1において符号10は取鍋であり、取鍋10に、上記溶解工程と精錬工程を経た溶融合金20を出鋼する。続いて溶融合金20は、取鍋10の下流側に設けられたタンディッシュ11を経て、モールド15に供給されて型入れされる。型に注湯された溶融合金20は、モールド下側に設けられたスプレー冷却帯17を通過することによって凝固させられつつ、ピンチロール18によって引き抜かれて所定の厚さを有するスラブ21が得られる。スラブ21は、所定の位置にてトーチ19によって切断される。以上は、鋳造開始後一定時間が経過した、鋳造の定常状態である。
続いて、連続鋳造のスタートについて説明する。図2は、上記連続鋳造機のスタートのセッティング状態であり、タンディッシュ11とモールド15部分をより詳細に示した拡大図である。タンディッシュ11に保持された溶融合金20は、ストッパー14を制御することによって浸漬ノズル12を経由して吐出孔13から、モールド15内に供給される。符号16はシール材で、溶融合金が漏れ出さないようにシールする部材である。モールド15内に所定量の溶融合金20が注湯された後、ダミーバー22(ピンチロール18までセットされている)を鋳造方向(図において鉛直下方向)に引き抜いて鋳造を開始し、ダミーバー22の引き抜きと共に溶融合金20を供給し続けることで、連続的にスラブを鋳造する。
スタート前は、モールド15内は大気で満たされており、溶融合金20をモールド15内に注湯する際、溶融合金20が酸素や窒素を巻き込む。また、注湯開始からダミーバー22を引き抜き始め、モールドパウダーを投入するまでの間に溶融合金20の液面が大気に曝され続けることによって酸化物や窒化物が生成し、製造後のスラブの品質を悪化させることは既に述べたとおりである。本発明は、鋳造スタート時にモールド15の上部にシール装置を設けることによって、溶融合金と大気の接触を抑制する断気方法である。以下、本発明の断気方法に用いるシール装置について詳細に説明する。
2.シール装置
図3は、本発明のシール装置、すなわち還元性ガス噴出ノズル31を示す模式図であり、図4は、この還元性ガス噴出ノズル31を連続鋳造機のモールド15に設けた状態を示す模式断面図、図5は、この還元性ガス噴出ノズル31を連続鋳造機のモールド15に設けた状態を示す平面図である。なお、図4は、図2において方向Aから見た図であり、図5は、図2において方向Bから見た図である。モールド15の上端開口部の片側には、配管に接続され還元性ガス噴出孔32を有する還元性ガス噴出ノズル31が設けられている。図4および5に矢印で示すように、還元性ガスは、還元性ガス噴出孔32から噴き出された後、モールド15内部まで入り込む。モールド15内の還元性ガスは、溶融金属により熱せられ、モールド15内に存在する酸素と燃焼反応を起こし、酸素を消費する。これにより、モールド15の内部の酸素をパージすることができる。
続いて、上述した溶融金属と大気の接触による問題を解決するために、本発明者らが鋭意行った実験、およびその実験と併せて行った計算シミュレーションについて、以下に説明する。
まず、実験室において20kgの高周波誘導炉を用いてSUS304(Fe−18mass%Cr−8mass%Ni)を溶解した。るつぼにはマグネシアを用い、Alを0.1%添加して脱酸した。フリーボード(溶鋼上面)にArガスを吹き付けて、連続的に酸素濃度計で酸素濃度を測るというシール実験を行った。ここでは、るつぼ上面に蓋をして機密性を維持した。そうしたところ、酸素を10%以下に低下させると、溶鋼表面に形成するスカム(溶鋼が酸化した滓)が無くなることがわかった。ただし、実験後の鋼塊を調査したところ、100μmを超えるような大型の非金属介在物は存在していた。
さらに、酸素を5%以下まで低下させると、100μmを超えるような大型の非金属介在物も無くなることが明らかとなった。この予備実験から、シール技術の目標を酸素濃度で10%以下必須、最終的ターゲットを5%以下と定めた。もちろん前提条件は、上記したとおり、作業性を阻害しないために「蓋なし」である。
続いて、実機的なレベルでの実験に移行した。まず、溶融合金を介さない冷間実験を実施した。連続鋳造用鋳型を想定して 開口した上面150mm×800mm、深さ300mmの容器に 内径3.17mm(1分)のストレート型ノズルを用いてArガスを吹き込み、 吹き込み中の酸素濃度を連続的に測定したところ、18%〜20%で、大気中濃度とほとんど変化なかった。
この理由を、計算シミュレーションにより鋭意解析したところ、Arで直線的な強い流れを作ると、その流れにつられて大気も引き込まれてしまうことがわかった。そこで、引き込まれた大気中酸素を燃焼させようと シールガスとして還元性ガスをテストに供した。さらに、容器開口部のガス吹き込み領域を広範囲に取るため、図3に示すようなノズル31を用いた。内径9.5mm(3分)のパイプT字型に施工しT字の横棒部に3mmの穴(符号32:還元性ガス噴出孔)を多数開け、その還元性ガス噴出ノズル31から容器にシールガスを吹き込んだ。
使用した還元性ガスはプロパンで、ガス流量は10〜300L/minの間で吹き込んだ。吹き込みと同時に点火させた。その結果、酸素濃度は狙いとする最少4%まで低下した。このテスト結果では、ガス流量が10L/min以下ではフレームが小さすぎ、容器開口部全体を覆うことができないため、酸素濃度は増大することが分かった。また、200L/min以上になると周囲から巻き込む大気の量が増大し プロパンガスが大気中酸素を消費しきれなくなり この条件でも酸素濃度が増大する。
続いて、実機レベルに最も近い状態の溶融合金を介する実験を実施した。ここでは、溶融合金を注ぐ時の還元性ガスによる断気の状態を、60トン規模の溶融合金を鋳込む連続鋳造機のモールドを用いて実験した。原料を電気炉で溶解し、AODおよびVODで精錬した60トン規模のNH840(INCOLOY840相当、UNSS33400相当;Fe−20mass%Cr−20mass%Ni−0.4mass%Ti−0.4mass%Al)の溶融合金とした。シールのためのノズルは冷間実験のものと同じT字型を使用した。還元性ガスはプロパンを使用した。タンディシュのストッパーを開け、ノズルを介してモールドに注がれた時点からプロパンガスを吹き入れた。すると、溶融合金の熱により、プロパンガスに点火した。その後、モールドに溶融合金が満たされ、モールドパウダーを投入し、溶融合金面が覆われるまで連続して燃焼した。
一連の実験では プロパンガス濃度を10〜300L/minの間で変化させ、その時の酸素濃度の測定を実施した。このような方法で3チャージ繰り返し実験した。
その結果、50L/min以上のプロパンガスを流し続ければ酸素濃度10%以下を達成できることが分かった。最終ターゲットの酸素濃度5%以下を達成するには100〜200L/minの流量が必要だった。このように冷間実験に比べ 多くの流量が必要としたのは大気が膨張して上部の室温の大気と入れ替わる流れが発生するからである。
以上説明したように、本発明は、実験、解析、計算シミュレーションを通じて完成されたものであり、具体的には次のとおりである。
すなわち、連続鋳造の開始時、モールドの溶融合金表面を断気する方法として シールガスに還元性ガスを使用する方法である。還元性ガスの流量は50〜200L/minに制御すべきである。そして還元性ガスはプロパンガスまたはブタンガスがよい。
以下に本発明を実施するために最良の形態を、数値限定の理由を示しながら説明する。本発明は連続鋳造の開始時、鋳型の溶鉅表面を断気する方法として シールガスに還元性ガスを使用する方法である。シールガス50〜200L/minの流量を必要とした。50L/min未満では、高温の溶融金属をモールドに注いだ時に気体が膨張して上部の室温の大気と入れ替わる流れが発生し 断気状態が維持できなくなり酸素濃度が10%を超えてしまう。また、200L/minを超えてガスを流すと、周囲から巻き込む大気の量が増大し、大気中酸素をプロパンガスが消費しきれなくなり酸素濃度が10%を超えてしまう。そのためガス流量は50〜200L/minと定めた。好ましくは 雰囲気の酸素濃度を5%以下に低下させることのできる100〜200L/minとする。
還元性ガスは、水素、メタン、エタン、プロパン、ブタン等が挙げられるが、大気より密度があり、上部が開放されているモールド中に滞留できる、プロパンまたはブタンがより好ましい。
なお、この方法が適用できる合金は、普通鋼、ステンレス鋼、鋳鋼はもちろんのこと、Fe−Ni合金、Ni基合金、Ni基超合金など多岐に亘り適用可能である。具体的には、NW2201(99mass%Ni)、UNS S33400(INCOLOY840相当、NH840相当;Fe−20mass%Cr−20mass%Ni−0.4mass%Ti−0.4mass%Al)、SUS321(Fe−18mass%Cr−8mass%Ni−0.3mass%Ti)、NCF825(Fe−42 mass%Ni− 21.5 mass%Cr−3mass%Mo−2mass%Cu−1mass%Ti)、NCF625(Ni−21.5mass%Cr−9mass%Mo−3.5mass%Fe−3.6mass%(Nb+Ta))、NCF690(Ni‐30.0 mass%Cr‐9.5 mass%Fe)、NW6022(Hastelloy C−22:Ni−21.3mass%Cr−13.5mass%Mo−4mass%Fe−3mass%W)、NW0276(Hastelloy C−276:Ni−15.5mass%Cr−16mass%Mo−5.5mass%Fe−3.8mass%W)、NW4400(Monel400:Ni−31.5 mass%Cu)、NCF601(INCONEL 601: Ni−23mass%Cr−14.4 mass%Fe −1.4 mass%Al)、NCF600(INCONEL 600:Ni−15.5 mass%Cr−7mass%Fe)、SUH660(Fe−25mass%Ni−15mass%Cr−1.2mass%Mo−2mass%Ti−0.2mass%Al)、NCF718(Ni−18.0mass%Cr−3.0mass%Mo−18.5mass%Fe−0.9mass%Ti−0.5mass%Al−5.1mass%(Nb+Ta))、NCF750(Ni−15.5 mass%Cr−7 mass%Fe−2.5 mass%Ti−0.9 mass%Al−1.0 mass%(Nb+Ta))、NCF800(30〜35 mass%Ni−21 mass%Cr−Fe)、NCF800H(30〜35mass%Ni−21 mass%Cr−Fe)、NCF80A(Ni−19.5 mass%Cr−2.4 mass%Ti−1.5 mass%Al)、NW6002(Ni−21.5mass%Cr−9mass%Mo−18.5mass%Fe−1.2mass%Co)、NW5500(MonelK500: Ni−29.5 mass%Cu−3mass%Al−0.5mass%Ti)、Fe−36%Ni、Fe−42%Ni、PB(パーマロイB)、PC(パーマロイC)、Fe−50.5%Ni、Fe−42%Ni−6%Cr、Fe−47%Ni−6%Cr等を挙げることができる。
以上説明した本発明の断気方法を合金の連続鋳造の鋳造開始時に用いることで、溶融合金の酸化や窒化にともなう非金属介在物性欠陥を防止できるため、鋳造初期の非定常部の歩留まりを改善でき、品質の向上と製造コストの低減に貢献する。
以下に実施例を示して本発明の効果を明確にする。
A.シール装置
図3〜5に実施例で使用した還元性ガス噴出ノズル31を示す。連続鋳造装置のモールド15の開口部の一端に、この還元性ガス噴出ノズル31を設置した。モールド15内側には、還元性ガスが流れ込んで酸素を燃焼して、モールド15内部を無酸化雰囲気に保つ。なお、比較のために、ストレートパイプをモールド内に差し込み、不活性ガスを噴き出させた形態のシールも行った。そのストレートパイプの内径は3.17mmであった。
B.連続鋳造
鉄屑、ステンレス屑、Fe−Cr、Fe−Niなどの原料を、60トン電気炉で溶解し、AODおよびVODの両方または一つを用いて精錬した。取鍋に保持された溶融合金を連続鋳造機にて鋳造した。連続鋳造機は垂直型であり、モールドは銅板製で表面にNiメッキを施したものである。モールドのサイズは、154×700〜1250mmおよび200×1060〜1460mmである。スタートセッティング時のモールドの高さは、ダミーバーのセッティングを除いて500mmである。
表1に示す鋼種でモールドシールを実施した。手順は、ノズルを介してモールドに注がれた時点からプロパンガスを吹き入れた。すると溶融金属の熱により、プロパンガスに点火した。その後 モールドに溶融金属が満たされ、モールドパウダーを投入し、溶融合金面が覆われるまで連続して燃焼した。連続鋳造機のモールドは幅広のため、図3〜5に示すように、ノズルはT字型を採用した。
各項目を以下のように評価し、その評価結果を表1に同時に示した。
・酸素濃度:ジルコニア式酸素濃度計にて測定した。
・ガス流量:流量計にて測定した。
・#1スラブ研削および切断歩留まり:連続鋳造の鋳造開始時のスラブである#1スラブを研削した後、浸透探傷試験を行った。異物欠陥によるインジケーションが消え去るまで研削し、歩留りを重量変化から計算した。研削でも除去しきれない場合は、切断するがそれも考慮に入れた。
表1に示すように、本発明の範囲内である発明例1〜8は、いずれも酸素濃度が10vol%以下となり、#1スラブの歩留まりが90%以上と良好であった。この理由は、大気との反応により形成される酸化物、窒化物などの非金属介在物が、断気することによって形成しにくくなったためである。
一方、ガスでシールを行わなかった比較例4および不活性ガスのArでシールした比較例1〜3はいずれも、酸素濃度が下がらなかった。そのため、これらの比較例は#1スラブの歩留まりが90%未満と低くなってしまった。比較例5〜9は、プロパンでシールを行ったが、流量が50〜200L/minを外れたため、歩留まりが90%未満と低くなった。
連続鋳造の鋳造開始時のスラブである#1スラブを、鋳造方向に垂直な断面で切断し、浸透探傷試験を行った時のスラブ断面の画像を図6および7に示す。鋳造鋼種はSUS321であり、スラブの採取位置は、ダミーバーと接している面から450mmの部分に位置しており、まさしく鋳造開始地点である。図6は本シール装置を用いずに鋳造した比較例4の#1スラブ断面である。図7は本シール装置を用いて鋳造した発明例3の#1スラブ断面である。鋼種はともにNCF825である。
図6では、外縁部の染色部分、すなわち非金属介在物が多く見られるのに対し、図7のスラブでは、これが大幅に低減されていることが分かる。なお、各写真中央部の染色については、製品に無害な大きさのセンターポロシティーであるので、比較は外縁部の染色部についてのみ行えばよい。
また、発明例6において、シール開始からの時間経過と、モールド内の酸素濃度との関係を表すグラフを図8に示す。このグラフから明らかなように、本発明のシール装置を用いれば、酸素濃度は速やかに低減し、注湯開始前に4%を実現することができた。さらに、注湯開始後もその低濃度を維持することができて好適である。
Figure 2009066650
非金属介在物性欠陥を防止し、鋳造合金の歩留まりおよび品質を向上させ、さらに製造コストの低減に寄与する。
本願発明における連続鋳造機を示す模式図である。 タンディッシュ部分とモールド部分の拡大図である。 本発明のシール装置を示す模式図である。 本発明のシール装置の設置状態を示す断面図であって、図2を方向Aから見た図である。 本発明のシール装置の設置状態を示す平面図であって、図4を方向Bから見た図である。 従来の方法で作製したスラブ断面の浸透探傷試験結果を示す写真である。 本発明の方法で作製したスラブ断面の浸透探傷試験結果を示す写真である。 本発明におけるシール開始からの経過時間とモールド内酸素濃度の関係を示すグラフである。
符号の説明
C 連続鋳造機
10 取鍋
11 タンディッシュ
12 浸漬ノズル
13 吐出孔
14 ストッパー
15 モールド
16 シール材
17 スプレー冷却帯
18 ピンチロール
19 トーチ
20 溶融合金
21 スラブ
22 ダミーバー
31 還元性ガス噴出ノズル
32 還元性ガス噴出孔

Claims (4)

  1. 連続鋳造の開始に際して溶融合金を断気する方法であって、上記溶融合金を保持するモールドの開口部に還元性ガスを供給し、上記溶融合金を大気から断気することを特徴とする連続鋳造開始時の断気方法。
  2. 前記還元性ガスの流量が、50〜200L/minであることを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造開始時の断気方法。
  3. 前記還元性ガスが、大気と比較して密度が高いガスであることを特徴とする請求項1または2に記載の連続鋳造開始時の断気方法。
  4. 前記還元性ガスが、プロパンまたはブタンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の連続鋳造開始時の断気方法。
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