JP2009060467A - 音場再現システム及び音場再現方法 - Google Patents

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Satoya Ito
怜也 伊藤
Mikio Higashiyama
三樹夫 東山
Yoshinori Takahashi
義典 高橋
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Abstract

【課題】音源を特定することのできない原音場を、原音場とは異なる別の空間に極めて忠実に再現する。
【解決手段】原音場10の目標音場点T1、T2に設置されたマイクM4、M5で収音された音響信号の共分散行列R1を算出し、原音場10とは異なる別の空間である再生音場20において、目標音場点T1、T2同士の幾何的な位置関係を反映させた再生点P1、P2に設置されたマイクM6、M7で収音された音響信号の共分散行列R2を算出し、共分散行列R2が、共分散行列R1にほぼ等しくなるような係数Kを推定し、推定された係数Kを、原音場10に設置されたマイクM1〜M3で収音された音響信号に乗算して再生音場20に設置されたスピーカS1〜S3から出力させるように制御することで実現する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ある環境の音場を別の環境にて再現する音場再現システム及び音場再現方法に関する。
従来より、ある環境の音場を別の環境にて再現するための様々な手法が考案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載されているように、ホールなどの測定環境下におかれた音源である測定用スピーカから出力される音響信号を測定用マイクにて収音し、その音響測定結果に基づき求めた伝達関数を用いて、測定環境とは別の空間にて音響再生をすることにより、その測定環境に特有の残響感や仮想音像の定位感などを再現することができる。
特開2007−124023号公報
しかしながら、特許文献1に記載されているような伝達関数を用いるには、測定環境(原音場)において音源が特定されていることが前提となっているため、音源を特定することができない原音場を別な空間に再現することができないといった問題がある。
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、音源を特定することのできない原音場を、原音場とは異なる別の空間に極めて忠実に再現することができる音場再現システム及び音場再現方法を提供することを目的とする。
本発明は、原音場の目標音場点で収音された音響信号の共分散行列(以下、第一の共分散行列とする。)を算出し、原音場とは異なる別の空間である再生音場において、目標音場点同士の幾何的な位置関係を反映させた再生点で収音された音響信号の共分散行列(以下、第二の共分散行列とする。)を算出し、第二の共分散行列が、第一の共分散行列にほぼ等しくなるような係数Kを推定し、原音場で収音された音響信号に、推定された係数Kを乗算した音響信号を再生音場に出力する。
本発明によれば、原音場の目標音場点で収音された音響信号の第一の共分散行列と原音場とは異なる別の空間である再生音場において目標音場点同士の幾何的な位置関係を反映させた再生点で収音された音響信号の第二の共分散行列とが等しくなるようにして、再生音場に出力するので、音源を特定することのできない原音場を、原音場とは異なる別の空間に極めて忠実に再現することを可能とする。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。まず、図1を用いて、本発明の実施の形態として示す音場再現システムについて説明をする。図1は、音場再現システムの概念的な構成を示した図である。
図1に示すように、原音場10内には、再生音場20で再現したい目標音場点T1、T2を設定し、この目標音場点T1、T2に、当該目標音場点T1、T2における原音場10の音響信号を収音するためのマイクM4、M5を設置する。マイクM4、M5で収音された音響信号は、演算部11に入力される。
ここでは、目標音場点として目標音場点T1、T2のみを設定しているが、相互の空間的音響特徴を抽出することができるように2つ以上、つまり複数の目標音場点を設定可能である。目標音場点を増やすと音響信号を収音するために設置するマイクの増加によるコストアップに繋がるが、目標音場点の空間的音響特徴をより忠実に再現することができるようになる。
また、原音場10内には、目標音場点T1、T2以外の任意の位置に、原音場10の音響信号を収音するマイクM1〜M3を設置する。原音場10内の目標音場点以外の任意の位置に設置するマイクは、少なくとも2つ以上であればよい。マイクM1〜M3で収音された音響信号は、演算部12に入力される。
続いて、再生音場20について説明をする。図2に示すように、再生音場20内には、目標音場点T1、T2同士の幾何的な位置関係を反映させ、目標音場点T1、T2の空間的音響特徴を再現させる再生点P1、P2を設定し、この再生点P1、P2に当該再生点P1、P2における再生音場20の音響信号を収音するためのマイクM6、M7を設置する。マイクM6、M7で収音された音響信号は、演算部11に入力される。
目標音場点T1、T2同士の幾何的な位置関係を反映するとは、目標音場点T1、T2相互の位置関係を、再生点P1、P2でも保持することを意味しており、例えば、目標音場点T1、T2間の距離を50cmとしたならば、再生点P1、P2間の距離も50cmとする。目標音場点が2点以上ある場合、例えば3点設けた場合も同様に、3点の目標音場点によって形成される目標音場点同士の幾何的な位置関係を、再生点において反映させる必要がある。したがって、原音場10に設ける目標音場点の数と再生音場20に設ける再生点の数は、必然的に同数となる。
再生音場20に設定する再生点P1、P2は、このように目標音場点T1、T2同士の幾何的な位置関係を反映しさえすれば、再生音場20の任意の位置に設定することができる。
また、再生音場20内には、原音場10内に設置されたマイクM1〜M3それぞれに対応するとともに、演算部12の出力制御によって原音場10の目標音場点T1、T2の空間的音響特徴を再生音場20の再生点P1、P2に再現するような音響信号を出力することができるスピーカS1〜S3を設置する。スピーカS1〜S3は、それぞれ、再現する音響信号の最低周波数の波長の半分以上となるような間隔を設けることで互いに独立となるように設置される。また、スピーカS1〜S3は、再生点P1、P2に対しても、それぞれ再現する音響信号の最低周波数の波長の半分以上となるような間隔を設けて設置される。
演算部11は、原音場10の目標音場点T1、T2に設置されたマイクM4、M5で収音された音響信号の相互の共分散と周波数特性を表す共分散行列(以下、この共分散行列を共分散行列R1とする。)を算出する。また、演算部11は、同じように、再生音場20の再生点P1、P2に設置されたマイクM6、M7で収音された音響信号の相互の共分散と周波数特性を表す共分散行列(以下、この共分散行列を共分散行列R2とする。)を算出する。演算部11は、算出した2つの共分散行列R1、R2を演算部12に入力する。
また、演算部11は、マイクM4、M5で収音された音響信号を所定の周波数帯域毎(オクターブ毎)、例えば、1/3oct(オクターブ)、1/4oct(オクターブ)毎に共分散行列R1を算出することもできる。この場合、演算部11は、マイクM6、M7で収音された音響信号も同じ所定の周波数帯域毎に共分散行列R2を算出する。
演算部12は、演算部11から受け取った原音場10の目標音場点T1、T2で収音された音響信号の共分散行列R1と、再生音場20の再生点P1、P2で収音された音響信号の共分散行列R2とを比較し、共分散行列R2が、共分散行列R1にほぼ等しくなる(R1=R2)ような係数を推定する。さらに、演算部12は、推定された係数を原音場10に設置されたマイクM1〜M3で収音された音響信号に乗算して出力させるように制御をする。
また、演算部12は、演算部11により所定の周波数帯域毎の共分散行列R1、R2が算出された場合には、所定の周波数帯域毎に算出された共分散行列R2が、共分散行列R1にほぼ等しくなるような係数を推定する。
続いて、図2に示すフローチャートを用いて、図1の音場再現システムの処理動作について説明をする。
まず、ステップST1において、原音場10の目標音場点T1、T2に設置されたマイクM4、M5、目標音場点T1、T2以外の任意の位置に設置されたマイクM1〜M3にて同時に音響信号を収音する。マイクM1〜M5で収音された音響信号は、それぞれ演算部11に入力され記録される。
ステップST2において、演算部11は、原音場10に設置されたマイクM4、M5で収音された音響信号の共分散行列R1を算出する。目標音場点T1、T2で収音された音響信号相互の共分散と周波数特性を示す共分散行列R1は、p={1,2}、q={1,2}として、以下に示す(1)式のように表すことができる。演算部11で算出された共分散行列R1は、演算部12に入力される。
Figure 2009060467
ステップST3において、演算部12は、原音場10に設置されたマイクM1〜M3で収音された音響信号を、再生音場20に設置されたスピーカS1〜S3より出力させる。
ステップST4において、再生音場20の再生点P1、P2に設置されたマイクM6、M7は、スピーカS1〜S3より出力される音響信号を収音する。マイクM6、M7で収音された音響信号は、それぞれ演算部11に入力され記録される。
ステップST5において、演算部11は、再生音場20に設置されたマイクM6、M7で収音された音響信号の共分散行列R2を算出する。再生点P1、P2で収音された音響信号相互の共分散と周波数特性を示す共分散行列R2は、p={1,2}、q={1,2}として、以下に示す(2)式のように表すことができる。演算部11で算出された共分散行列R2は、演算部12に入力される。
Figure 2009060467
ステップST6において、演算部12は、演算部11から受け取った原音場10の目標音場点T1、T2で収音された音響信号の共分散行列R1と、再生音場20の再生点P1、P2で収音された音響信号の共分散行列R2とを比較し、共分散行列R2が、共分散行列R1にほぼ等しくなる(R1=R2)ような係数Kを推定する。
演算部12は、例えば、共分散行列R1と共分散行列R2との類似度が最小になるように最急降下法を用いて係数Kを推定する。
ここで、最急降下法について簡単に説明をする。まず、変数をn次元ベクトルx=(x,x,…,x)で表した関数f(x)を考える。最急降下法は、この関数f(x)を誤差関数と考え、この関数値を最小に導く計算手続きの一つである。
図3は、誤差関数の曲面を模試的に表した図である。ここで、変数の初期値をx(0)とおくと、この点から関数の勾配の逆方向に変数を変化させることで誤差曲面を下ることができる。この手続きを誤差が収束するまで実行する。なお、図3中の矢印Y1は、勾配と逆方向に動かす様子を示しており、矢印Y2は、ステップ幅を最適化する様子を示している。
Figure 2009060467
(3)式において、α(>0)では、ステップ幅である。ステップ幅は、一定の値ではなく、変数の更新毎に適当な値を設定する必要がある。αの決定も最初に初期値を与え、以下に示す(4)式を満足するようにα(m)を更新する。
Figure 2009060467
この操作自体も一変数の最小化問題であるが、例えば、m=0での初期値を適当に大きく設定し、誤差が減少している間、1/2し続けるとすれば、容易にステップ幅を決定することができる。
このような最急降下法を適用することにより、以下に示す(5)式をほぼ満たせば、共分散行列R2が、共分散行列R1にほぼ等しくなる(R1=R2)ような係数Kを推定することができる。なお、Nは共分散行列R1又はR2の“行”、“列”の長さを表す。
Figure 2009060467
ステップST7において、演算部12は、推定された係数Kを原音場10に設置されたマイクM1〜M3で収音された音響信号に乗算して出力させるように制御をする。
このように、演算部12によって推定された係数を用いた音響信号の出力制御により、スピーカS1〜S3から出力された音響信号は、再生音場20の再生点P1、P2において、原音場10の目標音場点T1、T2の空間的音響特徴を忠実に再現することができる。
また、所定の周波数帯域毎に共分散行列R1、R2を算出して、係数Kを推定する場合には、図2に示すフローチャートのステップST2、ST5にて所定の周波数帯域に分割してから共分散行列R1、R2を算出し、ステップST6で、この共分散行列R2が、共分散行列R1にほぼ等しくなるような係数Kを推定する処理ステップを、所定の周波数帯域毎に繰り返せばよい。
このように、演算部12によって推定された所定の周波数帯域毎の係数を用いた音響信号の出力制御により、スピーカS1〜S3から出力された音響信号は、再生音場20の再生点P1、P2において、原音場10の目標音場点T1、T2の空間的音響特徴を、さらに忠実に再現することができ、再現性を向上させることができる。
次に、上述した音場再現システムを実際に実施した実施例について説明をする。具体的には、人の往来が激しく環境騒音の多い大型施設の吹き抜けのあるロビーを原音場10として設定し、無響室を再生音場20として設定して、上述したような音場再現システムを構築することで再生音場20の再生点において、原音場10の目標音場点の空間的音響特徴を再現する。
このように構築した音場再現システムにより、収音した環境騒音を含む音場再生を実施するとともに、実施結果を評価した一連の処理手順について、図4に示すフローチャートを用いて説明する。
まず、ステップST11において、共分散行列の準備と環境騒音の収音を行う。
具体的には、原音場10である上述した人の往来が激しく環境騒音の多い大型施設の吹き抜けのあるロビーにおいて、図5に示す中央位置C1から2mの間隔を設け、互いに60度の間隔を隔てた位置に6本の全指指向性測定用のマイクロホンM〜M(以下、単にマイクM〜Mと呼ぶ。)を設置する。
また、図5に示すように、原音場10内には、マイクM〜Mで囲まれる領域内に、再生音場20で再現したい目標音場点T3〜T6を、図5に示す中央位置C1を原点とするxy軸上に互いに0.15m間隔で設定する。そして、この目標音場点T3〜T6に、当該目標音場点T3〜T6における原音場10の音響信号を収音するためのマイクM〜M10を設置する。マイクM〜M10は、マイクM〜Mと全く同じものを使用するものとする。
また、図示しないが、マイクM〜Mは、当該マイクM〜Mで収音された環境騒音である音響信号m〜mを録音するMTR(Multi Track Recorder)とそれぞれ接続されている。このMTRは、上述した図1に示す演算部12に組み込まれているものとする。マイクM〜Mで収音された音響信号m〜mは、MTRで同期録音される。
また、図示しないが、マイクM〜M10は、当該マイクM〜M10で収音された環境騒音である音響信号m〜m10を録音するMTRとそれぞれ接続されている。このMTRは、上述した図1に示す演算部11に組み込まれているものとする。
演算部11は、このMTRで録音された音響信号m〜m10から共分散行列R1を算出する。目標音場点T3〜T6で収音され、MTRに記録された音響信号m〜m10の共分散と周波数特性を示す共分散行列R1は、p={7,8,9,10}、q={7,8,9,10}として、以下に示す(6)式のように表すことができる。演算部11で算出された共分散行列R1は、演算部12に入力される。
Figure 2009060467
続いて、ステップST12において、再生環境の設定とクロストークの測定を行う。
具体的には、再生音場20である上述した無響室において、図6に示す中央位置C2から1.5mの間隔を設け、互いに60度の間隔を隔てた位置に6チャンネルの再生スピーカS〜S(以下、単にスピーカS〜Sと呼ぶ。)を設置する。
また、図7に示すように、再生音場20内には、スピーカS〜Sで囲まれる領域内に、目標音場点T3〜T6同士の幾何的な位置関係を反映させ、中央位置C2を原点とするxy軸上に互いに0.15m間隔で、目標音場点T3〜T6の空間的音響特徴を再現させる再生点P3〜P6を設定する。そして、この再生点P3〜P6に当該再生点P3〜P6における再生音場20の音響信号を収音するためのマイクM11〜M14を設置する。マイクM11〜M14で収音された音響信号は、演算部11に入力される。
そして、演算部11は、各スピーカS〜Sから出力された音響信号の再生点P3〜P6までの応答を測定する。具体的には、図6に示す各スピーカS〜Sから、図7に示す再生点P3〜P6に設置された各マイクM11〜M14までの伝達関数を測定するようにしてもよいが、本実施例のように再生音場20を無響室としている場合には、単純な時間差と距離減衰のみを考慮して、幾何学的な距離計算により各スピーカS〜Sから出力された音響信号の再生点P3〜P6までの応答を算出することができる。
演算部11は、図6に示す6チャンネルのスピーカS〜Sから出力された音響信号である再生信号s〜sを4チャンネルのマイクM11〜M14で収音した音響信号を再収音信号r〜rとしたときのクロストーク(時間差Tk,pと距離減衰gk,p)を、以下に示す(7)式を用いて予め算出する。
Figure 2009060467
次に、ステップST13において、環境騒音の再生時のミキシング比の最適化を行う。図8に示すフローチャートを用いて、この処理動作について説明をする。
ステップST21において、演算部12は、マイクM〜Mで収音されMTRで録音された音響信号m〜mを入力値とし、スピーカS〜Sから出力される再生信号s〜sを出力値とした場合に、以下に示す(8)式のような関係を満たすミキシングの割合を決めるミキシング行列を構成するミキシング係数aに対して適当な初期値を与える。
Figure 2009060467
ステップST22において、演算部12は、ミキシング行列によりミックス比を算出し、再生信号s〜sを生成してスピーカS〜Sから出力させる。
ステップST23において、演算部12は、上述したステップST12の(7)式を用いてクロストークを算出し、再生点P3〜P6に設置された4チャンネルのマイクM11〜M14で収音した音響信号である再収音信号r〜rを合成する。
ステップST24において、演算部11は、再生点P3〜P6に設置された4チャンネルのマイクM11〜M14で収音した音響信号の共分散行列R2を算出する。共分散行列R2は、(9)式のように表すことができる。演算部11で算出された共分散行列R2は、演算部12に入力される。
Figure 2009060467
ステップST25において、演算部12は、共分散行列R1と共分散行列R2との誤差Dを算出する。演算部12は、以下に示す(10)式によって誤差Dを算出する。誤差Dは、必ず正の値となり、共分散行列R1と共分散行列R2とが等しいとき最小値として“誤差D=N”を示す。なお、Nは共分散行列R1又はR2の“行”、“列”の長さを表す。
Figure 2009060467
ステップST26において、演算部12は、誤差Dがあるかどうかを判断する。演算部12は、誤差Dをほぼないと判断した場合、ステップST28へと処理を進める一方、誤差Dがまだあると判断した場合、ステップST27へと処理を進める。
ステップST27において、演算部12は、上述した最急降下法アルゴリズムによって、誤差Dが減少するように(8)式に示したミキシング行列を更新する。ステップST27の処理が終了すると、ステップST22への処理へと戻る。
ステップST28において、演算部12は、共分散行列R1と共分散行列R2との誤差Dがほぼないと判断したことに応じて、ミキシング係数を決定する。
再び、図4に示すフローチャートに戻り、説明を続ける。
ステップST14において、収音した環境騒音の音場再生と、その音場評価を実行する。演算部12は、マイクM〜Mで収音されMTRで録音された6チャンネルの音響信号m〜mに対して、最適化されたミキシング係数を乗算することで6チャンネルの再生信号s〜sにミキシングを施しスピーカS〜Sから出力させる。
そして、スピーカS〜Sから出力された環境騒音である再生信号s〜sを、再生点P3〜P6に設置された4チャンネルのマイクM11〜M14で再収音し、原音場10の共分散行列R1と再生音場20の共分散行列R2の誤差Dを比較することで音場評価を実行する。
図9に、一例として、上述した実施例に基づき実行した計算機シミュレーションによる誤差評価結果を示す。図9の“×”印は、ミキシングを実行せずにそのまま再生をした結果を示しており、“○”印は、上述した手法により求めたミキシング係数によりミキシングを施して再生した結果を示している。図9からも分かるように、本発明の実施の形態として示す音場再現システムを適用した場合には、原音場10の目標音場点の環境騒音を、再生音場20の再生点にほぼ忠実に再現することができる。
このように、演算部12によって求めたミキシング係数を用いた音響信号の出力制御により、再生音場20で出力された音響信号は、再生音場20の再生点において、原音場10の目標音場点の空間的音響特徴を極めて忠実に再現することができる。
したがって、例えば、図1に示すように、音源を特定することができないため伝達関数を用いた音場再生ができない環境下にある原音場10の目標音場点T1、T2を含む点線で囲まれる領域Aの音場を、再生音場20の再生点P1、P2を含む領域Bの音場に忠実に再現させることができる。
また、このような音場再現システムは、車両の運転を仮想的に体感することができる遊技装置(ゲーム装置)や、映画館などに適用することで、音源を特定することができないため伝達関数を用いた音場再現ができない環境下にある原音場10の目標音場点を含む領域の音場を、ゲーム装置の擬似的な運転席や映画館の座席などに設けた再生音場20の再生点を含む領域の音場に忠実に再現することができる。
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
本発明の実施の形態として示す音場再現システムの概念的な構成について説明するための図である。 前記音場再現システムの処理動作について説明するためのフローチャートである。 誤差関数の曲面を模試的に表した図である。 前記音場再現システムを実際に実施した実施例の実施手法、ならびに実施結果の評価を行うための一連の処理手順について説明するためのフローチャートである。 前記音場再現システムを適用した実施例における原音場の収音環境について説明するための図である。 前記音場再現システムを適用した実施例における再生音場の再生環境について説明するための図である。 前記音場再現システムを適用した実施例における再生音場の収音環境について説明するための図である。 環境騒音の再生時のミキシング比の最適化を行う処理手法について説明するためのフローチャートである。 計算機シミュレーションによる誤差評価結果を示した図である。
符号の説明
M1 マイク
M2 マイク
M3 マイク
M4 マイク
M5 マイク
M6 マイク
M7 マイク
S1 スピーカ
S2 スピーカ
S3 スピーカ
10 原音場
11 演算部
12 演算部
20 再生音場

Claims (3)

  1. 原音場内の複数の目標音場点にそれぞれ設置され、音響信号を収音する複数の第1収音手段と、
    前記原音場の目標音場点以外の任意の位置に設置され、音響信号を収音する第2収音手段と、
    前記複数の第1収音手段で収音された音響信号の共分散行列を算出する第1演算手段と、
    前記原音場とは異なる別の空間内において、前記複数の目標音場点同士の幾何的な位置関係を反映させた複数の再生点に設置され、音響信号を収音する複数の第3収音手段と、
    前記複数の第3収音手段で収音された音響信号の共分散行列を算出する第2演算手段と、
    前記第2演算手段で算出された共分散行列が、前記第1演算手段で算出された共分散行列にほぼ等しくなるような係数を推定する係数推定手段と、
    前記原音場とは異なる別の空間の前記複数の再生点以外の任意の位置に、前記第2収音手段に対応付けて設置される出力手段と、
    前記係数推定手段によって推定された係数を、前記第2収音手段で収音された音響信号に乗算して前記出力手段から出力させるように制御する出力制御手段とを備えること
    を特徴とする音場再現システム。
  2. 前記第1演算手段は、前記複数の第1収音手段で収音された音響信号の所定の周波数帯域毎の共分散行列を算出し、
    前記第2演算手段は、前記複数の第3収音手段で収音された音響信号の前記所定の周波数帯域毎の共分散行列を算出し、
    前記係数推定手段は、前記係数を前記所定の周波数帯域毎に推定すること
    を特徴とする請求項1記載の音場再現システム。
  3. 原音場の目標音場点で収音された音響信号の共分散行列(以下、第一の共分散行列)を算出し、
    原音場とは異なる別の空間である再生音場において目標音場点同士の幾何的な位置関係を反映させた再生点で収音された音響信号の共分散行列(以下、第二の共分散行列)を算出し、
    第二の共分散行列が、第一の共分散行列にほぼ等しくなるような係数Kを推定し、
    原音場で収音された音響信号に、推定された係数Kを乗算した音響信号を再生音場に出力すること
    を特徴とする音場再現方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011250049A (ja) * 2010-05-26 2011-12-08 Nippon Hoso Kyokai <Nhk> 臨場感推定装置およびそのプログラム

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