JP2009057463A - 成形加工用フッ素系ゴム組成物およびそれを用いた燃料用ホース - Google Patents
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Abstract
【課題】練りや押出といった加工特性に優れ、特に薄肉に押出加工するのに優れる、成形加工用フッ素系ゴム組成物およびそれを用いた燃料用ホースを提供する。
【解決手段】フッ素ゴム100重量部に対し、融点が85〜135℃のフッ化ビニリデン・6フッ化プロピレン(PVDF−HFP)を3〜25重量部の範囲で含有する成形加工用フッ素系ゴム組成物とする。そして、ホース最内層が、上記フッ素系ゴム組成物からなる燃料用ホースとする。
【選択図】なし
【解決手段】フッ素ゴム100重量部に対し、融点が85〜135℃のフッ化ビニリデン・6フッ化プロピレン(PVDF−HFP)を3〜25重量部の範囲で含有する成形加工用フッ素系ゴム組成物とする。そして、ホース最内層が、上記フッ素系ゴム組成物からなる燃料用ホースとする。
【選択図】なし
Description
本発明は、成形加工用フッ素系ゴム組成物およびそれを用いた燃料用ホースに関するものである。
近年、自動車等を取り巻く燃料ガスの蒸散規制は厳しくなってきており、これに対応する低透過な燃料用ホース(燃料輸送用ホース)が要求されている。そして、このような環境規制強化に伴い、特にフューエルホースやベーパーホースに関しては、一般的に、そのホースの最内層材料として、ガソリンの低透過性に優れるフッ素ゴム(FKM)が用いられる(例えば、特許文献1参照)。
特許第2982788号公報
しかしながら、フッ素ゴムは、練りや押出といった、特にホースを製造する上で重要な加工特性に、非常に乏しい。すなわち、フッ素ゴム組成物の混練り時には、カーボンや白色フィラーといった充填材がフッ素ゴムポリマー中に入り難く、そのため、練り時間が長くなる傾向がある。加えて、上記の理由等によりフッ素ゴムポリマーに対する充填材の添加量を増やし難いことから、押出成形時のスウェルが増加し、押出チューブの外径寸法の膨張や、押出機のダイス寸法に対する押出チューブの寸法変化が生じやすい。さらに、上記フッ素ゴム組成物は、加硫時およびその後の冷却時の収縮性が高く、このことも寸法変化の要因となるおそれがある。
また、フッ素ゴムは非常に材料コストが高いため、一般的に、薄肉状態での押出が要求されることが多い。特に、前記のようにホースの最内層材料としてフッ素ゴムを用いる場合は、薄く押出形成することが多い。しかしながら、フッ素ゴム自体の性質として、押出加工性(流れ性)が悪いことから、そのままでは、薄肉状態で押出成形するのは、様々なハード面での工夫を必要とすることから、大変難しい技術である。
ところで、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR),エピクロロヒドリンゴム(ECO)等の場合、可塑剤や加工助剤等を添加するとともに、充填材として最適なものを比較的多量に用いることができ、練りや押出といった加工性のバランスを容易に調整することが可能であるが、フッ素ゴムの場合、上記のような充填材の添加による加工性のバランス調整は、フッ素ゴムの特性である低温脆化性を悪化させるおそれがある。さらに、ガソリン燃料の輸送等に用いられる燃料用ホースの最内層材料としてフッ素ゴムを用いる場合、上記のような可塑剤や加工助剤の添加により、フッ素ゴムの特性であるガソリン低透過性が悪化するおそれがある。そのため、このような手法によらずに加工性に優れる成形加工用フッ素ゴム組成物が望まれる。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、練りや押出といった加工特性に優れ、特に薄肉に押出加工するのに優れる、成形加工用フッ素系ゴム組成物およびそれを用いた燃料用ホースの提供をその目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は、フッ素ゴム100重量部に対し、融点が85〜135℃のフッ化ビニリデン・6フッ化プロピレン(PVDF−HFP)を3〜25重量部の範囲で含有する成形加工用フッ素系ゴム組成物を第1の要旨とする。
また、本発明は、少なくとも1つの構成層を備えた燃料用ホースであって、その最内層が、フッ素ゴム100重量部に対し、融点が85〜135℃のフッ化ビニリデン・6フッ化プロピレン(PVDF−HFP)を3〜25重量部の範囲で含有するフッ素系ゴム組成物からなる燃料用ホースを第2の要旨とする。
すなわち、本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意研究を重ねた。その研究の過程で、まず、フッ素ゴムの重要な特性、すなわち低温脆化性や燃料低透過性については、フッ素ゴム本来の特性を悪化させずに、フッ素ゴムの練りや押出加工性(流動性)等を改善するような添加剤について各種研究を重ねた。その結果、フッ素ゴムの練りや押出加工における温度領域(120℃〜140℃前後)において溶融状態となって流動性を示し、この温度領域において可塑剤的な役割を果たす添加剤として、融点が85〜135℃のフッ化ビニリデン・6フッ化プロピレン(低融点PVDF−HFP)を特定量(少量)添加したところ、フッ素ゴムマトリックス中で上記低融点PVDF−HFPが分散相となり、低温脆化性や燃料低透過性といったフッ素ゴム本来の特性を悪化させることなく、フッ素ゴムの練りや押出加工性等を改善することができることを見いだし、本発明に到達した。
詳しく説明すると、フッ素ゴムの混練りでは、通常、ニーダーやインターミックスが用いられるが、その練り時において、140℃程度を超える高温の熱がかかり、また、押出時においても、フッ素ゴムが非常に高価であることに起因し、ホース最内層の材料等として用いる場合、薄肉状態(およそ0.2〜0.5mm)で押出をするため、通常のゴムの押出温度に比べヘッド圧も掛かることから、130℃を超える熱負荷のコントロールが可能である。これらの熱挙動を上手く利用し、この温度領域で上手く流動性を発揮し、フッ素ゴムに相溶する材料として、本発明では、上記の低融点PVDF−HFPを選定したものである。
以上のように、本発明の成形加工用フッ素系ゴム組成物は、フッ素ゴムを主成分とし、融点が85〜135℃のフッ化ビニリデン・6フッ化プロピレンを特定量(少量)含有するものである。そのため、練りや押出といった加工特性に優れ、特に、フッ素ゴムでは難しい薄肉押出加工性を改善することができる。また、フッ素ゴムの特性により、低温脆化性や燃料低透過性等にも優れるようになる。さらに、混練り時の時間短縮や、混練りによる充填材等の分散性向上も図ることができる。また、押出時の吐出がスムーズになり、押出ヘッド圧の低減とそれに伴う押出温度の低下が図られ、温度調節の幅が広がり、ゴム焼け防止にも有利となる。
そして、このゴム組成物で燃料用ホースの最内層を形成した場合、フッ素ゴムの特性により、燃料低透過性や低温脆化性等に優れるとともに、このフッ素ゴム層を薄肉に形成することができるため、ホースのコストを抑えることができる。そして、ガソリン等の自動車燃料の輸送用途等において優れた機能を発揮することができる。
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明の成形加工用フッ素系ゴム組成物は、フッ素ゴムを主成分とし、融点が85〜135℃のフッ化ビニリデン・6フッ化プロピレン(PVDF−HFP)を特定量(少量)含有するものである。
上記フッ素ゴムとしては、特に限定されるものではなく、例えば、フッ化ビニリデン−6フッ化プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−6フッ化プロピレン−4フッ化エチレン共重合体、4フッ化エチレン−プロピレン共重合体、4フッ化エチレン−パーフルオロビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン−4フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体等があげられる。これらは単独であるいは2種以上併せて用いられる。なかでも、フッ化ビニリデン−6フッ化プロピレン−4フッ化エチレン共重合体が、燃料低透過性や低温脆化性に優れるため、好ましい。
上記フッ素ゴムとともに用いられるPVDF−HFPとしては、先に述べたように融点が85〜135℃のもの(低融点PVDF−HFP)が用いられる。すなわち、これよりも融点の高い、通常のPVDF−HFPでは、フッ素ゴム組成物の練りや押出の際に、所望の加工性改善効果が認められないからである。なお、フッ素ゴム組成物調製時の温度領域を、通常のPVDF−HFPが溶融する温度まで上げた場合、押出成形時にゴム焼け現象が起きるおそれがある。しかしながら、本発明では、上記のような低融点PVDF−HFPを使用していることから、ゴム焼け防止にも有利となる。そして、このような低融点PVDF−HFPは、具体的には、アルケマ社製のKYNAR2750、KYNAR7201、KYNAR9301等があげられる。
そして、上記低融点PVDF−HFPの含有割合は、フッ素ゴム100重量部(以下「部」と略す)に対して、3〜25部の範囲内に設定されている。好ましくは5〜20部の範囲内である。すなわち、上記低融点PVDF−HFPの含有割合が3部未満であると、フッ素ゴム組成物への流動性付与が充分でないために、押出加工性の改善効果に乏しく、逆に25部を超えると、練り時の樹脂パウダー(低融点PVDF−HFP)の添加時間が長くなり、更には、練り後の保管(常温付近での保管)の際にコンパウンド硬さが相当高くなるため、押出加工時の際に扱いにくくなるからである。
なお、上記の成形加工用フッ素系ゴム組成物には、通常、架橋剤(加硫剤)が配合される。このような架橋剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、硫黄系架橋剤、過酸化物架橋剤、ポリオール架橋剤、ポリアミン架橋剤等があげられる。
また、本発明の成形加工用フッ素系ゴム組成物は、上記各成分とともに、必要に応じ、カーボンブラック,白色フィラー等の充填剤、加硫促進剤、共架橋剤、可塑剤、加工助剤、老化防止剤、難燃剤等を含有しても差し支えない。
本発明の成形加工用フッ素系ゴム組成物は、例えば、上記各材料を準備し、フッ素ゴムと、低融点PVDF−HFPと、必要に応じ、カーボンブラック,白色フィラー等の充填剤とを、ニーダー等の混練機を用いて混練し、その後、架橋剤、共架橋剤等を添加し、さらに、ロール、バンバリーミキサー、二軸混練押出機等の混練機を用いて混練することにより、調製することができる。
そして、本発明の燃料用ホースは、押出成形機を用いて上記成形加工用フッ素系ゴム組成物をホース状に押出成形することにより、製造することができる。また、上記ホースは、必要に応じ、他のゴム材〔アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR),アクリロニトリル−ブタジエンゴムと塩化ビニルとのブレンド材(NBR・PVC),ブチルゴム(IIR),エピクロロヒドリンゴム(ECO)等〕等との積層により、積層ホースとすることもできる。特に、上記成形加工用フッ素系ゴム組成物で燃料用ホースの最内層を形成した場合、フッ素ゴムの特性により、燃料低透過性や低温脆化性等に優れるとともに、このフッ素ゴム層を薄肉に形成することができるため、ホースのコストを抑えることができる。そして、ガソリン等の自動車燃料の輸送用途等において優れた機能を発揮することができる。
なお、本発明の成形加工用フッ素系ゴム組成物は、上記のような燃料用ホースに用いる以外にも、任意のゴム成形品に用いることができる。具体的には、燃料用の、O−リング、ダイヤフラム、パッキン、ガスケットといったもの等があげられる。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
まず、実施例および比較例に先立ち、下記に示す材料を準備した。
〔フッ素ゴム〕
ダイエルG901、ダイキン社製
ダイエルG901、ダイキン社製
〔PVDF−HFP(i)〕
KYNAR2750(融点:135℃)、アルケマ社製
KYNAR2750(融点:135℃)、アルケマ社製
〔PVDF−HFP(ii)〕
KYNAR7201(融点:126℃)、アルケマ社製
KYNAR7201(融点:126℃)、アルケマ社製
〔PVDF−HFP(iii )〕
KYNAR9301(融点:90℃)、アルケマ社製
KYNAR9301(融点:90℃)、アルケマ社製
〔PVDF−HFP(iv)〕
KYNAR2850(融点:160℃)、アルケマ社製
KYNAR2850(融点:160℃)、アルケマ社製
〔SRFカーボン〕
シーストGS、東海カーボン社製
シーストGS、東海カーボン社製
〔過酸化物架橋剤〕
パーヘキサ25B−40、日本油脂社製
パーヘキサ25B−40、日本油脂社製
〔共架橋剤(i)〕
ハイクロスED−P、精工化学社製
ハイクロスED−P、精工化学社製
〔共架橋剤(ii)〕
TAIC−M60、日本化成社製
TAIC−M60、日本化成社製
〔加硫剤〕
ノクセラーTRA、大内新興化学社製
ノクセラーTRA、大内新興化学社製
〔実施例1〜5、比較例1〜4〕
下記の表1に示す各材料を準備し、同表に示す割合で、フッ素ゴムと、PVDF−HFPと、カーボンブラックとを、ニーダーを用いて混練し、その後、このものに、同表に示す割合で、架橋剤、共架橋剤を添加し、さらに、ロールを用いて混練することにより、成形加工用ゴム組成物を調製した。
下記の表1に示す各材料を準備し、同表に示す割合で、フッ素ゴムと、PVDF−HFPと、カーボンブラックとを、ニーダーを用いて混練し、その後、このものに、同表に示す割合で、架橋剤、共架橋剤を添加し、さらに、ロールを用いて混練することにより、成形加工用ゴム組成物を調製した。
また、上記のようにして調製されたゴム組成物を用いて、マンドレル上に押出成形し、160℃×45分加熱し、単層構造の燃料用ホースを作製した(層の厚み1.5mm、ホース内径7.5mm)。
このようにして得られた実施例品および比較例品の成形加工用ゴム組成物および燃料用ホースに関し、下記の基準に従って各特性の評価を行った。これらの結果を、後記の表2に併せて示した。
〔ニーダー加工性〕
モリヤマ社製3Lニーダーを用い、ポリマーを素練りした後、架橋剤、共架橋剤を除くその他の材料を一括投入し、135℃排出温度設定にて練りを実施した。その際、まとまり感の良い順に、○、△、×と評価した。なお、×と評価したものは、粘着性等により練りにくいものであったため、本発明では、○または△の評価が要求される。
モリヤマ社製3Lニーダーを用い、ポリマーを素練りした後、架橋剤、共架橋剤を除くその他の材料を一括投入し、135℃排出温度設定にて練りを実施した。その際、まとまり感の良い順に、○、△、×と評価した。なお、×と評価したものは、粘着性等により練りにくいものであったため、本発明では、○または△の評価が要求される。
〔押出加工性〕
三葉製作所社製φ50mm押出機を用い、温調100℃,スピンドル/ダイス=7.5mm/10.5mm,回転数45rpmの設定において、吐出量とスウェルを測定した。そして、吐出量に優れ(35g/10s以上)、外径スウェルの小さなもの(25%未満)を○、吐出量が少なく(20g/10s未満)、外径スウェルが大きいもの(45%以上)を×と評価し、吐出量が20g/10s以上35g/10s未満で、外径スウェルが25%以上45%未満のものを△と評価した。なお、本発明では、○または△の評価が要求される。
三葉製作所社製φ50mm押出機を用い、温調100℃,スピンドル/ダイス=7.5mm/10.5mm,回転数45rpmの設定において、吐出量とスウェルを測定した。そして、吐出量に優れ(35g/10s以上)、外径スウェルの小さなもの(25%未満)を○、吐出量が少なく(20g/10s未満)、外径スウェルが大きいもの(45%以上)を×と評価し、吐出量が20g/10s以上35g/10s未満で、外径スウェルが25%以上45%未満のものを△と評価した。なお、本発明では、○または△の評価が要求される。
〔常態時物性〕
成形加工用ゴム組成物を用い、ミキシングロールにより厚み2mmの未加硫ゴムシートを作製し、これに160℃×45分間のプレス加硫を施してゴムシートを作製した。ついで、上記ゴムシートを、JIS5号ダンベルで打ち抜き、加硫ゴムテストピースを作製した。そして、JIS K 6251に準拠して、その破断点強度(TS)、破断伸び(EB)、および硬度(HA)を測定した。なお、この試験において本発明に要求される破断点強度(TS)は10MPa以上であり、破断伸び(EB)は250%以上であり、硬度(HA)は65〜85HAの範囲である。
成形加工用ゴム組成物を用い、ミキシングロールにより厚み2mmの未加硫ゴムシートを作製し、これに160℃×45分間のプレス加硫を施してゴムシートを作製した。ついで、上記ゴムシートを、JIS5号ダンベルで打ち抜き、加硫ゴムテストピースを作製した。そして、JIS K 6251に準拠して、その破断点強度(TS)、破断伸び(EB)、および硬度(HA)を測定した。なお、この試験において本発明に要求される破断点強度(TS)は10MPa以上であり、破断伸び(EB)は250%以上であり、硬度(HA)は65〜85HAの範囲である。
〔圧縮永久歪み〕
上記常態時物性試験において作製のゴムシートを、JIS K 6262に準拠した形状とサイズに成形して加硫ゴムテストピースを作製し、JIS K 6262に準拠して、温度100℃×試験時間72時間の測定条件にて圧縮永久歪みを測定した。なお、本発明では、圧縮永久歪みが40%以下であることが要件される。
上記常態時物性試験において作製のゴムシートを、JIS K 6262に準拠した形状とサイズに成形して加硫ゴムテストピースを作製し、JIS K 6262に準拠して、温度100℃×試験時間72時間の測定条件にて圧縮永久歪みを測定した。なお、本発明では、圧縮永久歪みが40%以下であることが要件される。
〔低温脆化〕
JIS K 6261に準じて、脆化温度(℃)を測定し、低温脆化性を評価した。なお、脆化温度は−20℃以下であることが好ましいと考える。
JIS K 6261に準じて、脆化温度(℃)を測定し、低温脆化性を評価した。なお、脆化温度は−20℃以下であることが好ましいと考える。
〔ガソリン透過性(カップ法)〕
図1に示すように、まず、外周に雄ネジを備えたフランジ付きのSUS製カップ(内径Φ:66mm、カップ内高さD:40mm)20を準備し、この中に、エタノール10重量%含有レギュラーガソリンを100mlを入れた。その後、上記カップ20のフランジ部21に、先の評価で作製したゴムシート(試料)10を載せ、金属リング11を介して金網(16メッシュ)12を乗せ、ついで、内周に雌ネジを備えた締付け用キャップ30を、上記カップ20のフランジ部21に形成された雄ネジに螺合した。このようにして組立てられたものを逆さまにし、40℃オーブンに投入した。そのまま7日間放置し、その後、一旦新しいガソリン(エタノール10重量%含有)に入替えて、入替え直後のカップ全体の重量W0(mg)を測定した。そして、上記カップを再度逆さまにし、40℃オーブンに3日間投入した後、カップ全体の重量W1(mg)を測定した。これらの値(W0,W1)をもとに、下記の式(1)に従い、透過係数(mg・mm/cm2 /day)を算出した。なお、式(1)中、tはゴムシート(試料)の厚み(mm)であり、Aはガソリンに対する上記ゴムシートの接触面積(ガソリン透過面の面積)(cm2 )である。
図1に示すように、まず、外周に雄ネジを備えたフランジ付きのSUS製カップ(内径Φ:66mm、カップ内高さD:40mm)20を準備し、この中に、エタノール10重量%含有レギュラーガソリンを100mlを入れた。その後、上記カップ20のフランジ部21に、先の評価で作製したゴムシート(試料)10を載せ、金属リング11を介して金網(16メッシュ)12を乗せ、ついで、内周に雌ネジを備えた締付け用キャップ30を、上記カップ20のフランジ部21に形成された雄ネジに螺合した。このようにして組立てられたものを逆さまにし、40℃オーブンに投入した。そのまま7日間放置し、その後、一旦新しいガソリン(エタノール10重量%含有)に入替えて、入替え直後のカップ全体の重量W0(mg)を測定した。そして、上記カップを再度逆さまにし、40℃オーブンに3日間投入した後、カップ全体の重量W1(mg)を測定した。これらの値(W0,W1)をもとに、下記の式(1)に従い、透過係数(mg・mm/cm2 /day)を算出した。なお、式(1)中、tはゴムシート(試料)の厚み(mm)であり、Aはガソリンに対する上記ゴムシートの接触面積(ガソリン透過面の面積)(cm2 )である。
上記結果より、実施例の成形加工用ゴム組成物は、低融点PVDF−HFPが特定量配合されているため、その配合がない比較例4に比べ、いずれも、その調製時のニーダー加工性に優れることから、練り易く、また、押出加工性に優れることから、薄肉押出加工性も改善される。さらに、低温脆化性、圧縮永久歪み性の性能は維持しつつ、ガソリン低透過性にも優れることから、燃料用ホースの最内層材料として優れた性能を発揮することができる。
これに対して、比較例1に配合されているPVDF−HFPは、融点の高い通常のPVDF−HFPであるため、比較例1では、実施例にみられるような加工性の改善が認められない。比較例2では、低融点PVDF−HFPの配合割合が少ないため、押出加工性の改善効果に乏しく、比較例3では、低融点PVDF−HFPの配合割合が多過ぎるため、練り時間を長く要し、低温脆化性も悪化する。
本発明の成形加工用ゴム組成物は、自動車等の燃料〔ガソリン、アルコール混合ガソリン、ディーゼル燃料、RME(脂肪酸メチルエステル)およびその混合ディーゼル燃料、GTL(Gas to Liquid) およびその混合ディーゼル燃料、CNG、LPG〕の輸送等に用いられる、燃料用ホースの形成材料、特に、その最内層材料として好適に用いることができる。また、それ以外にも、任意のゴム成形品に用いることができる。なかでも、燃料用の、O−リング、ダイヤフラム、パッキン、ガスケットといったものの材料として好適に用いることができる。
Claims (2)
- フッ素ゴム100重量部に対し、融点が85〜135℃のフッ化ビニリデン・6フッ化プロピレン(PVDF−HFP)を3〜25重量部の範囲で含有することを特徴とする成形加工用フッ素系ゴム組成物。
- 少なくとも1つの構成層を備えた燃料用ホースであって、その最内層が、フッ素ゴム100重量部に対し、融点が85〜135℃のフッ化ビニリデン・6フッ化プロピレン(PVDF−HFP)を3〜25重量部の範囲で含有するフッ素系ゴム組成物からなることを特徴とする燃料用ホース。
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