JP2009051695A - 炭素含有化合物の分解方法及びカーボン微小構造体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 従来より低温でナノ粒子等のカーボン微小構造体を得られる炭素含有化合物の分解方法及びカーボン微小構造体の製造方法を提供する。
【解決手段】 有機化合物である炭素含有化合物を亜臨界流体、臨界領域流体又は超臨界流体に調整し、光照射して分解する。この炭素含有化合物の分解方法に従って炭素含有化合物からカーボン微小構造体を生成する。照射光として紫外光を用い、グラファイト層で形成される中空粒子や、アモルファス炭素によるカーボンナノコイル等が生成する。金属の共存下で分解すると形成核として働く。
【選択図】 図1

Description

本発明は、炭素含有化合物の分解方法及びこれによってカーボンナノ粒子やカーボンナノコイル等のカーボン微小構造体を得るカーボン微小構造体の製造方法に関し、特に、芳香族化合物等の炭素含有有機化合物に光照射して分解することによってカーボン微小構造体を生成する炭素含有化合物の分解方法及びカーボン微小構造体の製造方法に関する。
エレクトロニクスや医療、複合材料、エネルギーなどの幅広い分野で機能性材料としての利用可能性に注目を集めている炭素素材として、フラーレンやカーボンナノチューブ(CNT)等のカーボン微小構造体がある。サッカーボール形状のC60を代表とするフラーレンは、1985年にH.W. Kroto、F.E. Smalleyらによって発見され、炭素の新しい同素体として定着している(下記非特許文献1参照)。CNTは、グラファイト構造の炭素が管状に巻いた形態の炭素材料であり、概して、単層構造のもの(SWCNT)と多層構造のもの(MWCNT)とに分類される。CNTの層構造における層間距離は約3.4オングストロームであり、黒鉛における層間距離である3.354オングストロームに近い。CNTの炭素間結合はspである上に3次元で構成されているので、その機械特性は材料として極めて強固である(下記非特許文献2参照)。
フラーレンやCNTの代表的な合成方法として、アーク放電法やレーザーアブレーション法、化学気相成長法(CVD)等があり、レーザーアブレーション法はSWCNTやナノホーンを製造するのに適し、アーク放電法は表面欠陥が少ないナノチューブが得られ、CVD法は生産性が高いといった長所が挙げられる。しかし、何れの方法も、生成温度が600〜1000℃以上と非常に高温である。
又、フラーレンやCNT以外にも、ナノグラファイト構造体、ナノカプセル、カーボンナノオニオン等と称されるグラファイト層で構成された中空構造の炭素材料があり、これらは、緩衝材、潤滑剤、研磨剤や電池電極材料、電子放出素子、ガス貯蔵装置等への応用が期待されている。これらの炭素材料は、アーク放電やレーザーアブレーションによって生じるアモルファス構造のカーボンナノ粒子を、不活性ガス雰囲気中で2000〜3000℃という超高温に加熱することによって生成する(下記特許文献1参照)。あるいは、5〜10気圧の不活性ガス雰囲気中で炭素ターゲットにCOレーザーを照射して1000℃以上の原子又はクラスター状炭素を発生させることによっても生成することができる(下記特許文献2参照)。
他方、超臨界状態における分子の運動エネルギーの高さに注目し、超臨界流体をキャリア流体として、炭化水素誘導体を金属触媒に作用させて分解することにより炭素固体膜を形成する方法等が提案されている(例えば、下記特許文献3参照)。この方法においては、金属触媒を1600〜1800℃に加熱して活性種とし、これを反応に用いている。
H.W. Kroto, J.R. Heath, S.C. O'Brien, R.F. Curl, and R.E. Smalley, "C60: Buckminsterfullerene", Nature, 318, 162-163(1985) S. Iijima, "Helical microtubeles of graphitic carbon", Nature, 354, 56-58(1991) 特開2005−281065号公報 特開2003−206120号公報 特開2006−144084号公報
上述したような炭素素材を生成する従来の製造方法では、炭素ターゲットを蒸散させて一旦炭素単原子状態とした後に再度グラファイト構造に構成するか、あるいは、アモルファスカーボンナノ粒子に構造変化を生じさせて目的の構造に変換しており、高温度での処理によって炭素間の結合を緩和・解離させている。炭化水素誘導体を用いる方法においても、高温度での処理が用いられている。
しかし、この様な特有の機能が期待される高機能炭素素材の実用化を進めるには、より安全且つ容易な製造方法の開発が必要であり、より低い温度での製造を実現することが望まれる。
又、製造原料を炭素ターゲットに限定することなく、廃棄物等から回収される物質を直接利用して高機能炭素素材の製造が可能であれば、供給が高まって利用し易くなり、用途開発も様々な分野に拡げることが可能となると共に、資源の再利用の促進が可能である。
本発明は、構造に起因する機能を様々な用途において発揮することが期待されるカーボン微小構造体を、より安全で消費エネルギーが少ない条件で容易に得られるカーボン微小構造体の製造方法を提供することを課題とする。
又、本発明は、カーボン微小構造体の製造原料として炭素含有化合物を直接使用することを可能とし、廃棄物等から回収される物質を機能性物質の製造原料として利用して従来より低温でカーボン微小構造体を製造できる炭素含有化合物の分解方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、炭素化合物の分解条件を検討したところ、亜臨界〜超臨界の性質を利用することにより、従来より極めて低い温度で炭素含有化合物の分解及びカーボン微小構造体の製造が可能となることを見出した。
本発明の一態様によれば、炭素含有化合物の分解方法は、炭素含有化合物に光照射して分解する炭素含有化合物の分解方法であって、前記炭素含有化合物は有機化合物であり、前記光照射は、前記炭素含有化合物を、亜臨界流体、臨界領域流体又は超臨界流体に調整して行うことを要旨とする。
又、本発明の一態様によれば、カーボン微小構造体の製造方法は、上記記載の炭素含有化合物の分解方法に従って上記炭素含有化合物からカーボン微小構造体を生成することを要旨とする。
上記炭素含有化合物は、上記カーボン微小構造体の形成核となる金属の共存下で分解することができる。
本発明によれば、従来に比べて非常に低い温度でカーボン微小構造体を製造することが可能となり、カーボンナノ粒子やカーボンナノコイル等の供給の安全性を高めることができる。又、原料を炭素素材に限定することなく、幅広く有機炭素化合物を直接原料として分解してカーボン微小構造体を製造することができるので、廃棄物等から回収される炭素化合物を機能性材料の製造原料として有効利用することが促進される。
気−液間の相平衡において、ある温度以上では気体を圧縮しても液体にならず、気体と液体との区別が無くなる臨界点があることが知られており、臨界点における温度及び圧力を臨界温度T及び臨界圧力Pと称し、この時の流体の密度を臨界密度と言う。臨界点及び超臨界(温度及び/又は圧力が臨界点を超える)の状態では、物質は、気体と液体との中間的な性質を示す高密度の流体となり、臨界圧力前後でその溶解能力が著しく変化することから、通常の抽出では困難とされる特定物質の選択的抽出が可能となったり、分子の運動エネルギーが大きいことから、酸化分解や高分子物質のモノマー化などの化学反応の場として有効であることなどが知られている。又、臨界点より温度が低い範囲において液相と気相とが共存する亜臨界状態も、臨界及び超臨界に準じて分子の運動エネルギーが大きく、界面付近の密度揺らぎが非常に大きい。
通常の状態において、有機化合物に光(電磁波)を照射すると、化合物の吸収帯波長の光によって化合物分子が励起されて結合が解離し、解離した原子がより高い結合エネルギーを有する新たな原子と結合しなければ、光照射の停止によって再結合し元に戻る。芳香族化合物は紫外線波長域に吸収帯を有するので、液相状態の芳香族化合物に紫外線を照射すると、分解してアモルファス炭素やグラファイトが生成する。この時、照射強度を高くすると、グラファイト層状炭素で形成された入れ籠状の微小構造体(カーボンナノ粒子)が僅かに生成することが判った。更に、芳香族化合物を亜臨界〜超臨界流体に調整した場合には、紫外線の照射強度を低下させても同様のカーボンナノ粒子が生成することが判明した。これらの結果は、通常状態では生成の可能性が極めて低いカーボン微小構造体を、亜臨界〜超臨界状態で反応させることによって生成し易くすることが可能であることを示している。
この理由は定かではないが、一因として、亜臨界〜超臨界状態の流体では分子密度及び運動エネルギーが非常に高いことが挙げられる。つまり、亜臨界〜超臨界状態において分子結合が解離すると、運動エネルギーが高いために、解離した元素が他の様々な成分と出合う可能性が高まり、通常の反応状態では得られ難い分子が生成する可能性や、生じ得る生成物の多様性・特殊性が高まるものと考えられる。実際に、臨界流体中に置かれたフラーレン結晶では、流体中へ溶解・分散しないにも拘わらず、網状、シート状、螺旋状等の様々な微小構造体の生成、つまり、形態変化が観察され、このことは、亜臨界〜超臨界領域では運動エネルギーの高さによって原子・分子が運動規制から解放されて移動・再配列の自由度が高まり、通常では得られ難い原子・分子配列の発生の可能性を高め得ることを示している。従って、亜臨界〜超臨界流体の状態は、結合が解離した原子と他の原子とによる新たな結合を形成する際に規則性の高い特定の構造体を生成する確率を高めるには好都合の反応場であると言える。
また、亜臨界〜超臨界状態では、分子密度が高いために、反応中に分子間で相互に影響を及ぼし易くなり、解離した原子の配置に何等かの配向性をもたらすことが考えられる。ベンゼン環等の芳香族環の炭素配置及び電子状態は、グラファイト層構造と近似しており、芳香族化合物が存在する反応場では、解離した炭素が芳香族環の炭素配置及び電子状態の影響を受けて、グラファイト構造の配置に配向し易くなり得る。グラファイト層で構成されるCNT等の生成機構は、結合が解離した炭素がC状態を介して形成されると考えられているが、Cを介する反応機構でも芳香族化合物の影響によるグラファイト構造への配向は要因となり得る。又、グラファイト層が平板状ではなく入れ籠状に湾曲して粒子を形成し得る点から、他分子の影響による配向であることが考えられる。
他方、脂肪族化合物は、臨界〜超臨界状態の高温において分解が進行し得るが、ベンゼン環のような配向素因とはなり難いので、脂肪族化合物の分解の場合には、グラファイト層構造への配向性は低く、生成物はアモルファス炭素になる。従って、脂肪族化合物からカーボン微小構造体の生成を容易にするには、配向性を付与する素因となるものを反応場に供給する必要があり、このような素因には、芳香族化合物の共存、電離・分極や励起等による電磁的な偏向などが挙げられるが、臨界状態への光照射によるエネルギー供給が配向性を生じる素因となっていると考えられる。
本発明は、上記を鑑み、分子・原子の運動エネルギーが高い亜臨界〜超臨界を利用してカーボン微小構造体の製造を行うもので、反応基質とする炭素含有化合物は芳香族化合物や脂肪族化合物を含む有機炭素化合物であり、これを亜臨界〜超臨界状態の流体に調整して光(電磁波)照射することによって分解反応を進行させ、解離した炭素からカーボン微小構造体を製造する。これにより、従来より低い温度でカーボン微小構造体の生成が可能となる。
以下に、本発明に係る炭素含有化合物の分解方法及びこれによるカーボン微小構造体の製造方法について詳細に説明する。
反応基質とする芳香族化合物は、置換又は非置換の芳香族環を有する化合物であり、芳香族炭化水素に限定されず、酸素、窒素、硫黄、リン、ハロゲン元素等の置換元素を含んでいても良く、水酸基やカルボニル基、カルボキシル基、エーテル結合、アミノ基、イミノ基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、チオール基、チオエーテル結合、スルフォ基等の各種官能基や脂肪族炭化水素基を置換基として有していても使用可能である。芳香族環としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クメン、スチレン、フェニルエタン等の単環の六員環炭化水素や、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、ビフェニル、インデン、ビフェニレン、トリフェニレン等の多環の六員環炭化水素及びこれらの部分水素化物等が挙げられ、このような環状炭化水素に上記置換基や置換元素が導入されたものが置換芳香族環として挙げられる。このような環構造を有する芳香族化合物から1種以上を適宜選択して反応基質として使用でき、単独である必要はなく、複数種の芳香族化合物の混合でもよい。複数種の芳香族化合物を同時に分解するには、供給する照射光が各化合物の吸収帯波長の光を含んでいる必要がある。芳香族化合物と脂肪族化合物との混合であってもよい。低い温度で亜臨界〜超臨界状態に調整できる点では、常温で液状の化合物が好ましい。又、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等でハロゲン置換された芳香族化合物は、ハロゲンの脱離によって炭素化が進行し易いので、反応基質として好ましい。非芳香族系の基質としては、飽和又は不飽和炭化水素、アルコール、エーテル、ケトン、アルデヒド、脂肪酸等の酸素含有炭化水素、アミン、イミン等の窒素含有炭化水素などの脂肪族化合物があり、例えば、アセチレン、エチレン、ジエチルエーテル、アセトン等が挙げられ、1種以上を適宜選択して使用できる。1つの反応基質に他の反応基質や二酸化炭素等のキャリア物質を混合して臨界温度を低下させることが可能であり、これを利用して臨界温度の高い反応基質に対して低めの臨界温度を適用することが可能である。但し、キャリアや非芳香族化合物を用いると解離炭素がアモルファス化し易くなるので、これらの割合は分解条件を勘案して適宜設定する。
反応基質は、光照射用の反応容器に収容して臨界圧及び臨界温度まで圧力及び温度を上昇することにより臨界領域となる。臨界温度より5〜10℃程度低い温度で液相と気相とが共存する状態とすれば亜臨界状態に、温度及び/又は圧力を臨界点より高く設定すれば超臨界状態になる。実施上では、反応容器の容積に基づいて反応容器中の反応基質が臨界密度となる反応基質の質量を決定し、この質量の反応基質を反応容器に収容して封止した後に臨界点温度に加熱すれば、容器内の反応基質は臨界密度及び臨界圧となる。収容する反応基質の質量及び/又は加熱温度を低下すれば亜臨界状態に、増加すれば超臨界状態となる。例えば、ベンゼンの臨界点は、Tc=289.0℃、Pc=4.90MPaであり、温度200〜289℃において気相と液相とが共存する亜臨界状態の流体に調整できる。他の化合物についても同様であり、複数種の化合物の混合状態の場合は、その組成に応じた臨界点が存在するので、これに基づいて調整される。
使用する反応容器は、内部へ光照射が供給可能で、加圧及び温度調節が可能な容器であり、具体的には、耐熱耐圧素材で製造された透光セルや、照射窓を有するオートクレーブ等のような耐熱耐圧容器が挙げられる。尚、耐熱耐圧素材は、実質的に反応基質と作用しないように溶剤耐性を有する必要がある。
反応容器中で亜臨界〜超臨界状態の流体に調整された反応基質は、光照射装置を用いて照射光を供給することによって分解反応を進行させる。使用する照射光は、反応基質の吸収帯波長の光を含むもので、エネルギー効率の点からレーザー光が好ましいが、集光しない放射光によっても反応の進行は可能であり、太陽光やランプ光等も利用可能である。芳香族化合物は紫外光波長域に吸収帯を有するので、紫外光を含む光を照射することによって好適に分解が進行する。赤外線等の長波長の放射は温度上昇を招くので、反応系の温度制御の容易さから、照射光の波長域は、可視光以下の短波長、つまり、可視〜紫外域の波長域が好ましく、可視光(波長700〜400nm程度)から紫外光(400nm〜100nm程度)以下の波長域に制限した照射光を利用すると好適である。特に200nm〜400nm程度の波長域の光が好ましく、紫外光用として提供されている光源は、反応系の温度制御の点でも好都合である。紫外光の代表的な光源及び光学系として、例えば、Nd:YAGレーザー、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー等のレーザーシステムが挙げられ、YAG−THG(3次高調波:波長355nm)、YAG−FHG(4次高調波:波長266nm)、KrFエキシマ(波長:248nm)、ArFエキシマ(波長:193nm)等が挙げられる。可視光としては、例えば、YAG−SHG(2次高調波:波長535nm)等がある。赤外光以上の長波長の放射は、反応系の温度上昇により温度制御を難しくするので実用的に扱い難いが、光照射による反応系の温度上昇を水冷やペルチェ素子を用いた冷却によって実質的に抑制可能であれば赤外域近辺の波長を含んでも良く、パルスレーザー等の断続的照射によって温度調節が可能である場合に限り反応系の状態を保持して反応を進行させることが可能となる。
紫外光の照射によって、芳香族化合物及び不飽和炭化水素は分解し、臨界〜超臨界状態の加熱は、脂肪族化合物を熱反応によって分解するので、亜臨界〜超臨界状態、特に臨界〜超臨界状態での紫外線照射は、様々な有機炭素化合物の分解が可能である。有機炭素化合物は、水素や官能基の脱離、遊離残基の他分子との結合/反応、再分解などを経てグラファイト又はアモルファスカーボンに至る。光照射を受けた反応基質からカーボン微小構造体が生成する反応において、芳香族環状の炭素配列の存在は、その電子状態によって、遊離炭素がグラファイト状に配列する配向性を場に生じさせ、化合物の崩壊及び炭素の再配置が進行してグラファイト層が積層され、1つの傾向として、入れ籠状等の規則的構造が形成される。亜臨界〜超臨界状態の高密度状態は、炭素の配列に影響を与える点で重要であり、キャリアや媒体を含まない反応基質単独の亜臨界〜超臨界流体である方がカーボン微小構造体を生じ易いことからも、反応系中の芳香族環の濃度が高い方が好ましい。従って、反応基質が芳香族化合物のみで構成される形態や、非芳香族系置換基が少ない/無い芳香族化合物で構成される形態は好適である。又、反応基質の炭素以外の元素から生じる生成物による影響の点から、炭素以外の構成元素が少ない化合物、つまり、分子構造に占める炭素の割合が高い芳香族化合物を反応基質とすることが好ましい。他方、非芳香族化合物の場合は、臨界点近傍における光照射によるエネルギー供給が、無秩序な遊離炭素に配向性を与える何等かの素因となり、特に、臨界点近傍において高強度の光照射(例えば出力300mW程度以上)を行うことが好ましい。
光照射によって生じる炭素は、反応系の状態によって、容器壁面上に積層して特定構造の薄膜を形成したり、微細に凝集して数十nm〜数十μm程度の粒子状やコイル状等のカーボン微小構造体を形成し、単粒子又は粒子集合体などの状態で堆積する。このような薄膜状や粒子状等のカーボン微小構造体は、基板を用いて効率よく積層・凝集させることができ、基板の素材として、例えば、アルミナ、グラファイト、窒化ホウ素、炭化珪素等の無機質材が挙げられる。カーボン微小構造体の大きさは、照射光の波長又は照射エネルギー量の制御によってある程度調整可能であり、供給されるエネルギーの増加によってカーボン微小構造体の生成量及び大きさは増大する。
光照射の際、水素の受容体として作用する物質が反応系に共存すると、反応基質からの水素遊離を容易にするので反応進行上好ましい。この点に関して、金属酸化物は還元により水素を消費するので、反応容器内に存在すると、炭素化を促してカーボン微小構造体の生成促進に有利に作用する。
カーボン微小構造体には様々な形態があり、例えば、カーボンナノ粒子やカーボンナノチューブ等のグラファイト層で構成されるものや、カーボンナノコイル等のようなアモルファスカーボンが一定形状を成した構造体などがあり、半球又は部分球状のものや、表面に凹部を有するもの、籠状等の中空構造を有するものなども生成する。
カーボンナノコイルやカーボンナノチューブに関しては、核となる物質を反応系に共存させることによって生成・伸長を促進することが可能であり、使用可能な成長核物質として、アルミニウム、ニッケル、鉄、コバルト、タングステン、モリブデン、マグネシウム、金、銀、錫、チタン、タンタル、シリコン等の金属単体や、ステンレス、ニッケル基合金、マグネシウム合金等の上記金属の合金、Fe/ITO[酸化インジウム錫]等の金属と金属酸化物との複合体が挙げられ、特にステンレス鋼等のFeNiCr系合金の使用はカーボンナノコイルの形成に好適である。このような核物質は、基板、ロッド等の形態で反応系に導入すると、その表面からチューブ等の成長が開始されたり、光照射された臨界流体中に微量拡散してコイル末端を形成する核として作用する。
アモルファス炭素で形成されるカーボンナノコイルは、炭素がグラファイト構造に配置する必要がない点において、CNTやナノ粒子等の他のカーボン微小構造体とは異なる。反応系を臨界〜超臨界状態に設定するか、照射強度を高くして、コイル構造を成長させる核物質の共存下で反応を進行させると、好適にコイル状微小構造体を生成できるので、発生する遊離炭素量が多い状況において前述の金属を成長核物質として存在すると、コイル状微小構造体が生じ易い。コイル構造の形成速度(成長速度)は相対的に速く、密度及び均質性が高い流体であることが重要であると考えられる。これに関連して、FeNiCr合金から流体中に拡散する金属核は有用で、金属核の拡散においては運動エネルギーが高い臨界〜超臨界状態での紫外線照射が肝要であると考えられる。
光照射によって得られる生成物は、概して、上述のような微小構造体を含む煤様の混合物となる。従って、用途に適した特定構造のカーボン微小構造体を得るには、必要に応じて、生成物から無定形炭素を除去したり、従来公知の精製方法から目的とする微小構造体に適した方法を適宜選択して施すことにより、使用に供することができる。例えば、アモルファス炭素とグラファイトとの構造差や粒子寸法差に起因する耐熱温度(耐焼失温度)の相違を利用した熱処理等を利用して精製できる。
炭素含有有機化合物には、臨界温度が500℃以下であるものが数多くあり、特に炭素数が12以下の脂肪族炭化水素化合物や芳香族化合物の多くは、500℃以下の加熱によって亜臨界〜臨界領域に調整できる。ベンゼンの臨界温度(289℃)はベンゼン型化合物の中でも低く、300℃程度の低い温度でカーボン微小構造体を生成するための反応基質として極めて好ましい。この点に関しては、フルオロベンゼン(臨界温度:288℃)等も好適である。ベンゼンやモノ又はポリハロゲン化ベンゼン等のベンゼン型化合物は、グラファイト構造の粒子を生成し易く、芳香環の脱水素又は脱ハロゲンと結合多環化とによるグラファイト構造の形成及び伸長が進行し易いと解される。
有機炭素化合物を反応基質として生成する入れ籠状中空粒子のカーボン微小構造体は、グラファイト層で形成された壁部が3次元的に閉じた形状であるので、機械的強度が高く、化学的にも安定である。又、カーボンナノチューブと同様に、金属やガス物質、化学的に不安定な物質等を中空部に貯蔵して酸化及びその他の反応から保護する機能性材料として有望である。
上述のようにして炭素含有化合物の分解によって得られるカーボン微小構造体は、その構造に応じて、エネルギーコンバータ、電子エミッタ、ナノインダクタ等の電気・電子デバイス用材料、生体トレーサ等の医療素材、水素吸蔵体等の吸収・吸着材、緻密フィルタ等のろ過材、触媒、潤滑剤、プラスチック成形品や構造材にフィラー又は補強剤として配合される複合材料などとして使用が可能であり、ドラッグデリバリーやナノスプリング、ナノサイズベアリング等のマイクロオペレーションデバイスへの応用など、諸分野における機能性材料として有望である。
芳香族化合物の分解には紫外波長域の照射が必要であるが、本発明に関して、吸収帯波長ではない可視光によっても芳香族化合物の分解反応が進行し得る状態が臨界点近傍、概してTc±3°K程度の温度範囲内に存在する。つまり、反応基質の吸収帯に含まれない波長の照射光によって分解する。勿論、基質の吸収帯波長である紫外光を使用する方が反応効率が高く好ましいが、反応基質と照射光波長との対応が必須でないことにより実用的な自由度が高まる。つまり、吸収帯が紫外光域にある化合物を紫外光以外の照射によって反応させることが許容され、複数化合物の混合物を反応基質とした場合に、照射光が各化合物の吸収帯波長の光を全て含む必要がない。
臨界点近傍において基質の吸収帯波長域以外の波長の光照射によって分解反応が進行する理由は定かではないが、臨界点近傍で見られる特異な性質に起因すると考えられる。臨界点近傍においては、分子の運動エネルギーと分子間の引力とが釣り合って大きな分子クラスターが生じ易くなり、又、分子密度の揺らぎが異常に大きくなり、揺らぎの増大に対応して熱力学的性質(圧縮率、磁化率、熱容量など)が特異性を示すと共に、生じた揺らぎの減衰にも時間を要することが判っている。この様な性質を示す領域は、臨界領域と称される。臨界領域における特異現象の1つに、密度揺らぎによる入射光の散乱強度が異常に増大する現象(臨界蛋白光)があり、この際に流体が暗黒色化する(透過光及び散乱光が極度に減少する)現象も観察され、照射エネルギーによる揺らぎの影響が内部エネルギー(電子状態)にも及ぶと考えられる。可視光による分解及びカーボン微小構造体の生成と流体の暗黒色化現象との符合から、臨界領域においては照射光のエネルギーが流体の電子状態やエネルギー準位に影響を及ぼし、これにより、吸収帯波長以外の照射光で分解が進行すると考えられる。つまり、臨界領域においては、1)分子密度の高さ、特に分子クラスターの生成によって、分子結合と光子との衝突頻度が高く、反応の連鎖・受け渡し等による継続性が高くなり、結合の解離が起こり易くなる、2)運動エネルギー及び密度ゆらぎの高い状態への光照射によって分子結合の分極又は励起傾向が極度に高まって反応し易くなる、等によって分解反応の進行確率が高まると考えられる。
図1は、本発明に係る炭素含有化合物の分解方法及びカーボン微小構造体の製造方法を実施可能な装置の一例を示す。この装置は、流体を保持し亜臨界〜超臨界に調整するための耐熱耐圧セル1と、レーザー照射装置3とを有し、耐熱耐圧セル1には、耐熱耐圧セル1を包接するヒーター5と、耐熱耐圧セル1の温度を検出する温度センサー7と、温度センサー7の検出温度に従ってヒーター5を制御する温度コントローラ9とが装備されており、耐熱耐圧セル1内の温度が所望の温度に制御される。この実施形態における耐熱耐圧セル1は、耐熱耐圧ガラスや透明石英等のような透光性で溶剤耐性を備えた耐熱耐圧素材で構成され、耐圧耐熱セル1に投入された基質Sに臨界圧以上の圧力を加えて保持し、温度コントローラ9によって制御されたヒーター5によって臨界温度前後に耐圧耐熱セル1を加熱することによって基質Sは亜臨界〜超臨界状態となる。所望の状態を維持して、レーザー照射装置3から所定波長のレーザー光を照射すると、照射光は全反射ミラー11を介して耐圧耐熱セル1内に供給される。
上記の装置は、小規模のバッチ式処理に適しているが、断続的なフロー処理が可能なようにセル構造及び基質供給に関する構成を変更しても良い。又、耐熱耐圧セル1は、レーザー照射を受ける部分のみを透光性の窓に構成してもよい。
以下、実施例にて本発明をさらに説明することとするが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
図1に示す装置において、耐熱耐圧セル1として、石英製透光窓を有するステンレス製セルを用いて、以下の操作を行った。
(試料1)
容積3mlの耐熱耐圧セル1中にベンゼン1.5ml(1.32g)を投入して封止し、ヒーター5によって加熱して温度を289℃程度に維持してベンゼンを臨界領域とし(圧力4.90MPaに相当)、レーザー照射装置3からNd−YAG第4高調波(波長266nm)の紫外光を出力100mW、繰り返し数10Hzで50000発照射した。この後、耐熱耐圧セル1の温度を室温に戻して圧力を常圧に下げ、セル中に残留するベンゼンを乾枯させたところ、煤状残留物が得られた。これを走査型電子顕微鏡で観察すると、直径が40nm前後の粒子状であり、透過型電子顕微鏡で観察すると、図2のように多層状の壁部によって中空の入れ籠形を構成する粒子構造であった。又、透過型電子顕微鏡による電子線回折像を測定すると、図3のように多結晶の回折像であるリング状の回折象が得られ、グラファイト層構造を有していた。更に、ラマンスペクトルを測定したところ、図4のように1600cm−1近辺のピーク強度が1370cm−1近辺のピーク強度より強かった。
(試料2)
耐熱耐圧セル1中にベンゼン1.5mlを投入し、液体状のベンゼンにレーザー照射装置3からNd−YAG第4高調波(波長266nm)の紫外光を出力100mW、繰り返し数10Hzで50000発照射した。この後、セル中に残留するベンゼンを乾枯させて、煤状残留物を得た。これを走査型電子顕微鏡で観察すると、直径が20〜100nm前後の粒子状であるが、透過型電子顕微鏡で観察すると、図5のような層構造は見られず、アモルファスカーボン粒子であった。
(試料3)
紫外光の出力を300mWに変更したこと以外は試料2と同様の操作を繰り返し、セル中に残留するベンゼンを乾枯させて、煤状残留物を得た。これを走査型電子顕微鏡で観察すると、直径が40nm前後の粒子状のものがあり、透過型電子顕微鏡での観察において図2と同様の多層状の壁部によって中空の入れ籠形を構成する粒子構造であった。
(試料4)
耐熱耐圧セル1中にステンレス鋼製ロッド(Φ6mm×15mm)を据え、紫外光の出力を300mWに変更したこと以外は試料1と同様の条件で、セル中のベンゼンに紫外光を照射した。セルの温度及び圧力を室温及び常圧に下げてセル中のロッドを取り出し、ロッド上に生成した煤状残留物を得た。これを走査型電子顕微鏡で観察したところ、図6のような直径50〜300nm程度の条状カーボンが捲回したコイル状であり、コイルの直径は100nm〜3μm程度、長さは約50μm以下であった。又、透過型電子顕微鏡で観察すると、図7のようにアモスファスカーボンによってコイル構造が形成されていることが解った。このカーボンコイルをエネルギー分散型X線分光(EDS)によって観察したところ、コイル末端にニッケル粒の存在を検出し、ニッケルがコイル形成の核となっていることを確認した。
(試料5)
耐熱耐圧セル1中にベンゼン1.5mlを投入して封止し、ヒーター5によって加熱して温度を289℃程度に維持してベンゼンを臨界状態とし、レーザー照射装置3からNd−YAG第2高調波(波長532nm)の可視光を出力300mW、繰り返し数10Hzで50000発照射した。この後、耐熱耐圧セル1の温度を下げて圧力を常圧に戻し、セル中に残留するベンゼンを乾枯させて、煤状残留物を得た。これを走査型電子顕微鏡で観察すると、直径が10〜30nm前後の粒子状であり、透過型電子顕微鏡で観察したところ、試料1と同様に、グラファイトによる多層状の壁部によって中空の入れ籠形を構成する粒子構造であることが確認された。
(試料6)
耐熱耐圧セル1中にベンゼン1.5mlを投入して封止し、ヒーター5によって加熱して温度を200℃に維持してベンゼンを亜臨界状態とし、レーザー照射装置3からNd−YAG第4高調波(波長266nm)の紫外光を出力100mW、繰り返し数10Hzで50000発照射した。この後、耐熱耐圧セル1の温度を下げて圧力を常圧に戻し、セル中に残留するベンゼンを乾枯させて、煤状残留物を得た。これを走査型電子顕微鏡で観察すると、直径が10〜30nm前後の粒子状であり、透過型電子顕微鏡で観察したところ、試料1と同様に、グラファイトによる多層状の壁部によって中空の入れ籠形を構成する粒子構造であることが確認された。
(試料7)
耐熱耐圧セル1中にベンゼン1.5mlを投入して封止し、ヒーター5によって加熱して温度を290℃に維持してベンゼンを超臨界状態とし、レーザー照射装置3からNd−YAG第4高調波(波長266nm)の紫外光を出力100mW、繰り返し数10Hzで50000発照射した。この後、耐熱耐圧セル1の温度を下げて圧力を常圧に戻し、セル中に残留するベンゼンを乾枯させて、煤状残留物を得た。これを走査型電子顕微鏡で観察すると、直径が10〜30nm前後の粒子状であり、透過型電子顕微鏡で観察したところ、試料1と同様に、グラファイトによる多層状の壁部によって中空の入れ籠形を構成する粒子構造であることが確認された。
(試料8)
レーザー照射装置3から照射する紫外光の出力を300mWに変更し、耐熱耐圧セル中にステンレス鋼製ロッド(Φ6mm×15mm)を据えたこと以外は試料7と同様にして、超臨界状態のベンゼンへの照射を行ったところ、セル中に残留するベンゼンを乾枯させた後のロッド上に、図6,7と同様のコイル状カーボンが生成していた。
(試料9)
耐熱耐圧セル1中にジエチルエーテル1.5mlを投入して封止し、ヒーター5によって加熱して温度を194℃に維持してジエチルエーテルを臨界状態とし、レーザー照射装置3からNd−YAG第4高調波(波長266nm)の紫外光を出力300mW、繰り返し数10Hzで50000発照射した。この後、耐熱耐圧セル1の温度を下げて圧力を常圧に戻し、セル中に残留するジエチエルエーテルを乾枯させて、煤状残留物を得た。これを走査型電子顕微鏡で観察すると、直径が10〜30nm前後の粒子状であり、透過型電子顕微鏡で観察したところ、試料1と同様に、グラファイトによる多層状の壁部によって中空の入れ籠形を構成する粒子構造であることが確認された。
(試料10)
耐熱耐圧セル1中にアセトン1.5mlを投入して封止し、ヒーター5によって加熱して温度を235℃に維持してアセトンを臨界状態とし、レーザー照射装置3からNd−YAG第4高調波(波長266nm)の紫外光を出力300mW、繰り返し数10Hzで50000発照射した。この後、耐熱耐圧セル1の温度を下げて圧力を常圧に戻し、セル中に残留するアセトンを乾枯させて、煤状残留物を得た。これを走査型電子顕微鏡で観察すると、直径が10〜30nm前後の粒子状であり、透過型電子顕微鏡で観察したところ、試料1と同様に、グラファイトによる多層状の壁部によって中空の入れ籠形を構成する粒子構造であることが確認された。
本発明を実施する装置の一例を示す概略構成図。 試料1で得られた生成物の透過型電子顕微鏡による写真画像。 試料1で得られた生成物の透過型電子顕微鏡による電子線回折図。 試料1で得られた生成物のラマンスペクトル。 試料2で得られた生成物の透過型電子顕微鏡による写真画像。 試料4で得られた生成物の走査型電子顕微鏡による写真画像。 試料4で得られた生成物の透過型電子顕微鏡による写真画像。
符号の説明
1 耐熱耐圧セル、 3 レーザー照射装置、 5 ヒーター、
7 温度センサー、 9 温度コントローラ、 11 全反射ミラー

Claims (7)

  1. 炭素含有化合物に光照射して分解する炭素含有化合物の分解方法であって、前記炭素含有化合物は有機化合物であり、前記光照射は、前記炭素含有化合物を、亜臨界流体、臨界領域流体又は超臨界流体に調整して行うことを特徴とする炭素含有化合物の分解方法。
  2. 前記光照射において照射される光は、前記炭素含有化合物の吸収帯波長の光を含む請求項1記載の炭素含有化合物の分解方法。
  3. 前記炭素含有化合物は、芳香族化合物を含み、前記光照射において照射される光は、紫外線波長域の光を含む請求項2記載の炭素含有化合物の分解方法。
  4. 前記光照射において照射される光は、レーザー光を含む請求項1〜3の何れかに記載の炭素含有化合物の分解方法。
  5. 前記炭素含有化合物は、ベンゼン又はハロゲン化ベンゼンを含む請求項1〜4の何れかに記載の炭素含有化合物の分解方法。
  6. 請求項1〜5の何れかに記載の炭素含有化合物の分解方法に従って前記炭素含有化合物からカーボン微小構造体を生成するカーボン微小構造体の製造方法。
  7. 前記炭素含有化合物は、前記カーボン微小構造体の形成核となる金属の共存下で分解される請求項6記載のカーボン微小構造体の製造方法。
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