JP2009048839A - 燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】耐久性が向上した燃料電池システムを提供する。
【解決手段】イオン液体を電解質として用いる燃料電池と、燃料電池のカソード極に空気を供給する空気供給手段と、燃料電池を構成する燃料電池セルの温度を検知する温度検知手段と、空気供給手段の吐出空気と燃料電池セルの温度を調整する温度調整手段と、燃料電池から出力される電力と燃料電池に対し要求される電力との差を充放電により補償するとともに補器類を駆動する、燃料電池と並列に接続される2次電池と、燃料電池の起動から燃料電池の温度が水の沸点に達するまでの間に燃料電池内において生成した凝縮水の発生を検知または予測する手段S220と、凝縮水の発生を検知または予測する手段により凝縮水の発生を検知または予測したときに凝縮水をドライアウトさせる手段S240と、を有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、燃料電池システムに関し、より詳細には、凝縮水の生成を防ぐことにより燃料電池の耐久性を向上させた燃料電池システムに関する。
近年、燃料電池は、発電効率が高く、環境有害物質の放出もほとんどない理想的な発電装置として注目されており、車両駆動用電源や定置用電源など幅広い用途に向けて実用化が期待されている。
現在、開発が進められている燃料電池としては、固体高分子型燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell。以下PEFCと称する。)がある。一般に、PEFCの高分子電解質にはパーフルオロスルホン酸系の高分子電解質が使用されている。しかし、優れた化学的安定性とイオン伝導性を兼ね備えるパーフルオロスルホン酸系電解質膜の製造は困難で、非常にコストがかかるという問題がある。さらに、現状のPEFCは、実質的に使用できる温度が100℃以下に制限されるという問題がある。すなわち、用いられるフッ素系膜が120℃〜130℃付近にガラス転移点を有し、これよりも高温にするとプロトン伝導に寄与するイオンチャネル構造の維持が困難となる。また、水をプロトン伝導媒体として使用するため、水の沸点である100℃を超えると加圧が必要となり装置が大がかりとなる。一方、使用時の温度が低いと、燃料電池の発電効率を低下させるとともに触媒のCOによる被毒が顕著となるという問題がある。
コスト削減と高耐熱性を兼ねる固体高分子電解質として、フッ素膜の代わりに芳香族単価水素系高分子材料の適用が検討されているが、水をプロトン伝導媒体として使用するため、フッ素膜を用いる場合と同様に、水の沸点である100℃を超えると加圧が必要となり、装置が大がかりとなるという問題は解消されない。
そこで、高耐熱性を有し、水をプロトン伝導媒体として使用しない電解質としてイオン液体が検討されている。イオン液体は、イオン性物質でありながら融点が低く、常温で液体であるという性質を有する。したがって、プロトン伝導媒体として水を使用する必要がない。
しかし、イオン液体を用いて電解質膜を作成した場合であっても、起動時など燃料電池が100℃以下の温度のときにおいて、燃料電池反応に伴って生成する凝縮水に同伴して、イオン液体がイオン液体を閉じ込めた高分子網目から漏れ出るという現象がある。この結果、高分子網目内のイオン液体濃度が水によって序々に薄められ、燃料電池の温度を使用温度である100℃以上に上げたときに高分子網目内の水が蒸発し、水素クロスリークや電解質膜のイオン伝導度を低下させるという燃料電池の劣化を引き起こすという問題がある。
特許文献1には、従来のPEFCシステムにおいて燃料電池内部の生成水量と排出水量をコントロールしてフラッディングを防止する構成が記載されているが、プロトン伝導に水を介するパーフルオン酸を電解質に用いているため、電極触媒層内部や電解質膜にある程度の割合で水を残しておく必要があり、燃料電池内部の水を全てドライアウトすることはできない。
特開2004−342473号公報 特開平6−93114号公報 特開平9−245818号公報 特開平11−116679号公報 特開平11−672244号公報 特開平11−510198号公報 特開平9−110982号公報 特開2003−123791号公報 大野弘幸監修、「イオン性液体」、シーエムシー出版、2003年2月、p.172-201
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、100℃以下の状態において燃料電池反応に伴って発生する凝縮水をドライアウトすることにより、燃料電池の温度を使用温度である100℃以上に上げたときに高分子網目内の水が蒸発し、水素クロスリークや電解質膜のイオン伝導度を低下させるといった燃料電池の劣化を防止し、燃料電池の耐久性を向上させようとするものである。
上記課題を解決するために、本発明に係る燃料電池システムは、イオン液体を電解質として用いる燃料電池と、燃料電池のカソード極に空気を供給する空気供給手段と、燃料電池を構成する燃料電池セルの温度を検知する温度検知手段と、空気供給手段の吐出空気と燃料電池セルの温度を調整する温度調整手段と、燃料電池から出力される電力と燃料電池に対し要求される電力との差を充放電により補償するとともに補器類を駆動する、燃料電池と並列に接続される2次電池と、燃料電池の起動から燃料電池の温度が水の沸点に達するまでの間に燃料電池内において生成した凝縮水の発生を検知または予測する手段と、凝縮水の発生を検知または予測する手段により凝縮水の発生を検知または予測したときに凝縮水をドライアウトさせる手段と、を有することを特徴とする。
本発明に係る燃料電池システムによれば、100℃以下における燃料電池運転時に燃料電池反応によって発生する凝縮水によってイオン液体が薄められることを防止することができるため、燃料電池の耐久性が向上する。
以下、添付した図面を用いて、本発明に係る燃料電池システムについて説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る燃料電池システムを示したものである。第1実施形態に係る燃料電池システムは、燃料電池110、燃料電池セルの温度を計測する熱電対111、燃料電池のカソード極の圧力を計測する圧力計112、燃料電池のアノード極に供給する水素を蓄える水素タンク170、水素タンク170と燃料電池110の間に設けられ、水素タンク170から供給される高圧の水素を燃料電池110に供給する圧力まで低下させるプレッシャレギュレータ160、プレッシャレギュレータ160と燃料電池110の間に設けられ、水素タンク170から供給される氷点下の温度の水素ガスを昇温する熱交換器141、燃料電池のカソード極に外部の空気を供給するコンプレッサ130、燃料電池とコンプレッサの間に設けられコンプレッサからの吐出空気の温度を制御する熱交換器140、熱交換器140、141内および燃料電池内に液体熱媒体を循環させる熱媒ポンプ150、2次電池120、燃料電池および2次電池から得た直流電力を用途に応じた交流電力に変換するインバータ190、システム全体の構成要素を制御するコントロールユニット195からなりうる。
燃料電池110は燃料電池セルが複数積層された構造を有する。燃料電池セルは、ガス拡散層、カソード触媒層、電界質膜、アノード触媒層およびガス拡散層が積層した膜電極接合体(以下、「MEA」と称する。)をセパレータで狭持した構造を有する。電界質層はイオン液体を膜化することによってなる。イオン液体の膜化は、イオン液体中にアクリル系のモノマーを溶解し、網目構造の高分子をその場で重合することにより高分子網目の中にイオン液体を閉じ込めることによって実現される。
コンプレッサ130は、燃料電池のカソード極に外部の空気を供給する。燃料電池に供給する空気の流量は、コントロールユニット195がコンプレッサを制御することにより調整する。コンプレッサは、燃料電池に供給するために出力する空気の流量を自身で計測しうる。
熱交換器140は、コンプレッサ130から供給される空気の温度を調節する。空気の温度は、熱媒タンク180から熱交換器140に供給する熱媒の量を熱媒ポンプ150により調整することにより調整する。コントロールユニット195は、熱媒ポンプ150を制御する。また、燃料電池セルの温度は、熱媒タンク180から燃料電池に供給する熱媒の量を熱媒ポンプ150により調整することにより調整しうる。また、燃料電池セルの温度は、燃料電池の外部に設けたヒーター142によっても上昇させうる。
2次電池120は、燃料電池と並列に接続され、システムから要求される電力と燃料電池が出力する電力に差がある場合に、燃料電池が出力する電力の方が大きいときは充電され、燃料電池が出力する電力の方が小さいときは放電する。すなわち、燃料電池の補助電源としての機能を有する。また、2次電池120は補器類の電源としての機能も兼ねる。補器類とは、コンプレッサ130、プレッシャレギュレータ160、インバータ190、コントロールユニット195を含みうる。2次電池の種類は限定されないが、リチウムイオン双極型2次電池でありうる。
インバータ190は、燃料電池110および2次電池120から供給される電力を交流電圧に変換する機能を有する。インバータの種類は限定されないが、3相交流モータを駆動する3相交流インバータでありうる。
コントロールユニット195は、システム全体の構成要素を制御する機能を有する。コントロールユニット195は、演算・制御装置、記憶装置、入出力装置を有する半導体チップからなってもよい。
図2は、本発明の第1実施形態に係る燃料電池システムの動作を示すフローチャートを示すものである。以下、ステップ番号ごとに、本発明の第1実施形態に係る燃料電池システムの動作を現すフローチャートについて詳細に説明する。
〔ステップS200〕
2次電池に充電された電力によりコンプレッサを起動する。コンプレッサは約180℃の高温の空気を熱交換器に対し排出する。
〔ステップS210〕
燃料電池を昇温する。燃料電池は、120℃を定常時の運転温度とするため、コンプレッサから吐出された空気は、その温度を熱交換器により120℃にまで低下させた後、燃料電池に供給される。運転開始時の燃料電池の温度は、通常、定常時の運転温度を下回っている。燃料電池の温度は、熱交換器を通過した高温の空気の熱によって上昇させるが、定常時の運転温度に達した後は、定常時の運転温度に暖機する。
〔ステップS220〕
凝縮水生成予想サブルーチンにより、燃料電池の内部において凝縮水が発生しているかどうかを予想する。
図3は、凝縮水生成予想サブルーチンを示したものである。以下、ステップごとに凝縮水生成予想サブルーチンについて詳細に説明する。
〔ステップS300〕
システムに対する要求出力Wdemと、燃料電池セルの温度TFCを検知する。要求出力Wdemは、例えば、燃料電池が自動車に搭載されている場合であれば、アクセル開度から算出される値である。燃料電池セルの温度TFCは、燃料電池セル内部に設置された熱電対により検知しうる。熱電対は、燃料電池セルごとに設置してもよいし、燃料電池セル一つに複数設置してもよい。後者の場合は、TFCの値は、複数の熱電対から得られる値の平均値としてもよいし、代表として設置した一つの熱電対から得られる値としてもよい。
〔ステップS310〕
燃料電池セルの温度TFCにおける燃料電池の最大出力WFCmaxを算出する。燃料電池の最大出力WFCmaxの算出は、あらかじめ計測し、変換テーブルを作成し、保存しておいた(以下、このような作業を「マップ化」と称する。)燃料電池セルの温度TFCごとの燃料電池の電流値IFCと燃料電池の出力WFCとの関係のデータを用いて行う。マップ化における保存は、コントロールユニットの構成要素である記憶装置に記憶させることにより行ってもよい。
図4は、燃料電池のある温度TFCにおける燃料電池の電流値IFCと燃料電池の出力WFCとの関係(以下、「I−Wカーブ」と称する)を示したものである。一般に、I−Wカーブは燃料電池セルの温度TFCよって変わる。したがって、ステップ番号S300において検知した燃料電池セルの温度TFCにおけるI−Wカーブを使用して燃料電池の最大出力WFCmaxを算出する。
I−Wカーブを使用する際は、I−Wカーブのデータを保存した記憶装置からデータを読み出し、コントロールユニットの演算・制御装置によって燃料電池の最大出力WFCmaxを算出してもよい。
〔ステップS320〕
燃料電池システムに対する要求出力Wdemと最大出力WFCmaxの値を比較する。
〔ステップS330〕
要求出力Wdemの方が最大出力WFCmaxよりも大きい場合は、システムに対する要求出力に対してその時点における燃料電池セルの温度TFCでは応えられないと判断し、最大出力WFCmaxを燃料電池の出力WFCoutとする。そして、燃料電池に最大出力WFCmaxを出力させ、電力の不足分を補償する2次電池の負担を可能な限り小さくする。
〔ステップS340〕
最大出力WFCmax方が要求出力Wdemよりも大きい場合は、システムに対する要求出力に対して、燃料電池の出力のみで応えることができると判断し、要求出力Wdemを燃料電池の出力WFCoutとする。
ここで、ステップ番号S330またはS340で求めた燃料電池の出力をWFCoutと定義する。
〔ステップS350〕
燃料電池出力がWFCoutであるときの燃料電池カソード極における予想生成水量M、および必要な空気流量Qairdemを算出する。予想生成水量Mは、次のように算出する。まず、燃料電池出力がWFCoutであるときの、燃料電池の電流値IFCoutをあらかじめマップ化しておいたI−Wカーブ(図3参照)のデータから読み込む。生成水量Mと燃料電池の電流値IFCoutの関係は、式(1)で表される。予想生成水量Mは、燃料電池の電流値IFCoutを式(1)に代入することにより算出できる。
Figure 2009048839
ここで、Fはファラデー定数である。
必要な空気流量Qairdemは、電気化学反応に必要な酸素を供給するために必要な空気量である。必要な空気流量Qairdemは、電気化学反応に使われる酸素を含有する空気流量にストイキレシオ(以下、「SR」と称する。)を乗じた値として求める。通常、理論上電気化学反応に必要な酸素を含む空気流量に対して、過剰の空気を燃料電池に供給する。SRとは、理論上電気化学反応に必要な酸素を含む空気流量と実際に供給する空気流量の比である。必要な空気流量Qairdemは、式(2)で表される。必要な空気流量Qairdemは、燃料電池の電流値IFCoutを式(2)に代入することにより算出できる。
Figure 2009048839
ここで、0.21は空気中における酸素のモル濃度である。
〔ステップS360〕
予想される燃料電池のカソード極内部の平均圧力Ptotalを算出する。Ptotalは燃料電池の構造が決まれば、カソード極を流れる空気流量Qairにのみ依存する値であるので、空気流量Qairとカソード極の内部平均圧力Ptotalの関係をあらかじめマップ化しておく。このマップ化されたデータから、カソード極を流れる空気流量Qairが必要な空気流量Qairdemであるときのカソード極の内部平均圧力Ptotalを算出する。
〔ステップS370〕
燃料電池セルの温度がTFCであるときのカソード内部における飽和蒸気圧Pvapを算出する。
図5は、表面自由水の飽和蒸気圧曲線1と、メソポア領域の細孔径(1〜100μm)内部の飽和蒸気圧曲線2を比較して示したものである。一般に、メソポア領域は、毛管凝縮理論が適用される領域であり、表面自由水の飽和蒸気圧以下の圧力で水の凝縮が起こる。後述するように、カソード触媒層にはメソポア領域が存在する。したがって、飽和蒸気圧Pvapは、メソポア領域の細孔径内部の飽和蒸気圧曲線2を用いて算出する。そうすることにより、カソード極からドライアウトする水量の予測の精度を向上させることができる。
図6は、燃料電池セルの構造を示す断面図である。燃料電池の構造は、一般的には、ガス拡散層620a、カソード触媒層610a、電解質層600、アノード触媒層610b、ガス拡散層620bが積層してなるMEAをセパレータ650a、650bで狭持した構造を有する。セパレータ650aには空気流路630aが設けられる。カソード触媒層610a、アノード触媒層610bは、白金担持カーボン上にアイオノマーと呼ばれる電解質を固定化した層であり、白金−アイオノマー−反応ガスの三相界面を形成させるためのメソポアが存在する。この領域においては、前述したように、飽和蒸気圧以下の圧力で水の凝縮が起こる。第1実施形態においては、カソードにおける温度と飽和蒸気圧の関係(図5の飽和蒸気圧曲線2)をあらかじめマップ化しておく。このマップ化したデータから、燃料電池セルの温度がTFCであるときのカソード内部における飽和蒸気圧Pvapを算出する。
〔ステップS380〕
凝縮水を発生させない空気流量Qairvapを算出する。ドルトンの法則から、カソード内部における空気流量Qairと水蒸気流量Qvapの関係は、それぞれの分圧を用いて式(3)により表すことができる。
Figure 2009048839
ここで、空気圧Pairはカソード極内部の圧力Ptotalから飽和水蒸気圧Pvapを差し引いた値である。また、PvapはステップS370で求めた細孔中における飽和蒸気圧である。
式(3)において、Qvapを生成水量Mとすると、カソードの内部から水を全て除去する(ドライアウトする)ために必要な空気流量、すなわち、凝縮水を発生させない空気流量Qairvapを求めることができる。出力をWFCoutとして燃料電池を運転する場合に凝縮水を発生させない空気流量Qairvapは、式(3)を変形した式(4)により算出することができる。
Figure 2009048839
第1実施形態においては、水蒸気の分圧が常に飽和蒸気圧Pvap以下となるように空気流量を調節する。すなわち、カソードに供給する空気流量を、Qairvap以上とすることにより、凝縮水は全て水蒸気となり、水蒸気の分圧が飽和蒸気圧Pvap以下に維持されることとなるため、細孔中における水の凝縮を防ぐことができる。したがって、イオン液体への凝縮水の混入を防ぐことができるため、燃料電池の耐久性を向上させることができる。
ここで、凝縮水生成予想サブルーチンは終了となる。以下、図2に示すメインフローに戻り、ステップごとにフローを詳細に説明する。
〔ステップS230〕
凝縮水生成予想サブルーチンで求めた凝縮水を発生させない空気流量Qairvapと必要な空気流量Qairdemとを比較する。すなわち、通常のSRで運転した場合に凝縮水が発生するかどうかを判断する。
〔ステップS240〕
凝縮水を発生させない空気流量Qairvapの方が必要な空気流量Qairdemよりも大きい場合は、通常のSRで運転したときにカソード極内部に凝縮水が生成すると予想し、後述する凝縮水調整サブルーチンに移る。
〔ステップS250〕
必要な空気流量Qairdemの方が凝縮水を発生させない空気流量Qairvapよりも大きい場合は、通常のSRで運転しても凝縮水を発生させないと予想し、空気流量QairをQairdem、燃料電池出力をWFCoutとして運転する。
ここで、図7を用いて凝縮水量調整サブルーチンについて説明する。図7は凝縮水サブルーチンのフローチャートを示した図である。凝縮水量調整サブルーチンは、通常のSRで運転すると凝縮水が発生する場合において、空気流量および燃料電池出力の制御を行い、凝縮水を発生させない範囲で、燃料電池システムのエネルギー効率が最も高くなる運転条件を見出すために実行される。以下、ステップごとに凝縮水量調整サブルーチンについて詳細に説明する。
〔ステップS700〕
燃料電池セルの温度がTFCであるときの、コンプレッサの消費電力WCompとコンプレッサから吐出される空気流量Qairとの関係を読み込む。コンプレッサの消費電力WCompとコンプレッサから吐出される空気流量Qairとの関係はあらかじめマップ化しておく。図8は、燃料電池セルの温度がTFCであるときの、コンプレッサの消費電力WCompとコンプレッサから吐出される空気流量Qairとの関係を示したものである。
〔ステップS710〕
燃料電池セルの温度がTFCであるときの、燃料電池の出力WFCと燃料電池の電流量IFCとの関係を読み込む。燃料電池の出力WFCと燃料電池の電流量IFCとの関係、すなわちI−Wカーブは、あらかじめマップ化しておく。
〔ステップS720〕
空気流量Qairとカソード極から除去可能な水量Mの関係を、式(4)により算出する。すなわち、式(4)において、生成水量Mを除去可能な水量Mと置くことにより、凝縮水が発生しない状態における、空気流量Qairとカソード極から除去可能な水量Mの関係が算出できる。ここで、生成水量Mを除去可能な水量Mと置くことは、生成水量が全てドライアウトされることを意味する。温度がTFCのときの飽和蒸気圧Pvapは、あらかじめマップ化した、温度と飽和蒸気圧の関係(図5参照)から求めることができる。また、カソード極内部の平均圧力Ptotalは、上述したように、燃料電池の構造が決まれば、空気流量Qairの関数である。したがって、除去可能な水量Mの値はQairのみの関数となる。図9は、燃料電池セルの温度がTFCのときの空気流量Qairと、除去可能な水量Mを燃料電池が生成するときの燃料電池の電流量IFCの関係を示した図である。空気流量Qairと除去可能な水量Mを燃料電池が生成するときの燃料電池の電流量IFCの関係は、あらかじめ、燃料電池セルの温度ごとにマップ化しておく。
ここで、上述したように、温度がTFCのときのカソード極内部の平均圧力Ptotalは、空気流量Qairの関数として求めることができるが、燃料電池セルのカソード極の内部に設けた圧力計を用いて計測してもよい。こうすることにより、カソード極内部の圧力を直接計測できるため、凝縮水の調整を高精度に行うことができる。
また、平均極圧力Ptotalは、カソード極に供給される空気の供給口とカソード極から空気を排出する排出口にそれぞれ圧力計を設け、それぞれの圧力計から計測された値の平均値として求めてもよい。こうすることにより、圧力計の数を減らすことができ、カソード極内部の圧力を正確に計測できるため凝縮水の調整を高精度に行うことができる。
〔ステップS730〕
2次電池が消費する電力WBatと空気流量Qairの関係を算出する。ここで、2次電池が消費する電力WBatは、2次電池が燃料電池の出力を補填する電力ΔWBatと2次電池が電源となるコンプレッサの消費電力WCompの和である。ここで、本ステップS730と次ステップS740は、コンプレッサの消費電力WCompとコンプレッサから吐出される空気流量Qairとの関係、燃料電池の出力WFCと燃料電池の電流量IFCとの関係、空気流量Qairと除去可能な水量Mの関係から、凝縮水を発生させない範囲で燃料電池システムのエネルギーの効率が最も高くなる運転条件を算出するために行う。
まず、ステップS720で求めた、燃料電池セルの温度がTFCのときの、空気流量Qairと除去可能な水量Mの関係と、式(1)(すなわち、燃料電池の電流量IFCと除去可能な水量Mの関係)と、から凝縮水を発生させない状態の空気流量Qairと燃料電池の電流値IFCとの関係を算出する。
次に、I−Wカーブから、燃料電池の電流値IFCと燃料電池の出力WFCとの関係を求める。そして、燃料電池の電流値IFCと、システムに対する要求出力Wdemと燃料電池の出力WFCとの差ΔWBatと、の関係を求める。ΔWBatは要求出力Wdemを供給するために2次電池が燃料電池の出力を補填する電力を意味する。図10は、燃料電池セルの温度がTFCのときの燃料電池の電流値IFCと、2次電池から補填する電力ΔWBatとの関係を示した図である。
上述した、空気流量Qairと燃料電池の電流値IFCとの関係と、燃料電池の電流値IFCと2次電池から補填する電力ΔWBatとの関係から、凝縮水を発生させない状態で運転するときの空気流量Qairと2次電池から補填する電力ΔWBatとの関係を求めることができる。
ここで、2次電池が消費する電力WBatは、ΔWBat+WCompである。従って、前述した、空気流量Qairと2次電池から補填する電力ΔWBatとの関係から、空気流量Qairと2次電池消費電力WBatとの関係を求めることができる。図11は、空気流量QAirと2次電池消費電力WBatとの関係を示したものである。
〔ステップS740〕
空気流量Qairと2次電池消費電力WBatとの関係から、2次電池の消費する電力が最も小さい空気流量Qairを選択し、凝縮水を発生させない範囲で燃料電池システムのエネルギーの効率が最も高くなる運転条件における空気流量Qairoptを算出する。
〔ステップS750〕
空気流量Qairopt、燃料電池出力WFCoptの運転条件で燃料電池を運転する。ここで、燃料電池出力WFCoptは、燃料電池セルの温度がTFCで、燃料電池の生成水量が除去可能な生成水量Mであるときの燃料電池の出力である。燃料電池出力WFCoptは、ステップ番号720においてマップ化した、空気流量Qairと、除去可能な水量Mを燃料電池が生成するときの燃料電池の電流量IFCと、の関係を用いて算出することができる。
ここで、凝縮水量調整サブルーチンは終了となる。以下、図2に示すメインフローに戻り、フローについて詳細に説明する。
〔ステップS260〕
燃料電池セルの温度TFCが定常運転の温度Tに達しているかどうかを判断する。燃料電池セルの温度TFCが定常運転の温度Tに達している場合は、燃料電池システムの起動運転は終了したとしてメインフローの動作は終了する。一方、燃料電池セルの温度TFCが定常運転の温度Tに達していない場合は、再度ステップS210に戻り、メインフローを実行する。
以上より、本第1実施形態は、請求項1、2、10〜19に係る燃料電池システムの発明を実施化したものである。すなわち、図1におけるコンプレッサ130は本発明の空気供給手段に相当し、熱電対111は本発明の温度検知手段に相当し、熱交換器140、141は本発明の温度調整手段に相当する。また、図2におけるステップS220は本発明の凝縮水を予想する手段に相当し、ステップ240は本発明の凝縮水をドライアウトさせる手段に相当する。
以下に、本発明の第1実施形態に係る燃料電池システムの効果を示す。
・水の沸点(100℃)以下における燃料電池の運転時(特に起動時)に、凝縮水をドライアウトすることによって、イオン液体の濃度が凝縮水によって薄められることを防ぐことができる。従って、燃料電池セルの温度を使用温度である100℃以上に上げたときに高分子網目内の水が蒸発し、水素クロスリークや電解質膜のイオン伝導度を低下させることがなく、燃料電池の耐久性を向上させることができる。
・コンプレッサの空気流量の調整により、凝縮水をドライアウトさせるため、燃料電池システムの構成が簡便となる。
・凝縮水の発生を検知するための新たなシステム要素を追加する必要がないため、システム構成が簡便となる。
・多孔体内部の飽和蒸気圧を考慮して予測を行うため、凝縮水検知の精度、凝縮水調整の精度を向上させることができ、燃料電池の劣化を防止し、燃料電池の耐久性を向上させることができる。
・あらかじめ空気流量とカソード内部の圧力の関係を算出、もしくは計測してマップ化しておき、これを用いてカソード極内部の圧力を算出するため、新たにカソード極内部の圧力を検知するシステム要素を加える必要がなく、システム構成が簡便となる。
・凝縮水を発生させない範囲で、燃料電池システムのエネルギー変換効率を上げることができる。
・凝縮水をドライアウトさせる手段が燃料電池の出力を低下させることである場合は、空気流量増加や、カソード極内圧力を上昇させることによるコンプレッサの消費電力増大を避けることができる。
・カソード極の内部に圧力計を設けて直接カソード極内部の圧力を計測する場合は、カソード極内部の圧力を直接計測でき、凝縮水の調整を高精度に行うことができるため、燃料電池の劣化を防止し、燃料電池の耐久性を向上させることができる。
・カソード極に供給する空気の供給口とカソード極から空気を排出する排出口にそれぞれ圧力計を設け、それぞれの圧力計から計測された値の平均値としてカソード極内部の圧力を計測する場合は、圧力計の数を減らすことができるとともに、カソード極内部の圧力を正確に計測でき、凝縮水の調整を高精度に行うことができるため、燃料電池の劣化を防止し、燃料電池の耐久性を向上させることができる。
〔第2実施形態〕
本発明の第2実施形態に係る燃料電池システムについて説明する。図12は、本発明の第2実施形態に係る燃料電池システムを構成要素である燃料電池を示す図面である。第2実施形態が第1実施形態と異なる点は、各燃料電池セル1210に電解質膜のイオン伝導度が計測可能な交流抵抗計1200を設置していることと、凝縮水の生成を予想するのではなく検知することである。交流抵抗計1200はアノード極1230とカソード極1220の間に並列に接続される。
本発明の第2実施形態に係る燃料電池システムの動作についてフローチャートを用いて詳細に説明する。図13は、本発明の第2実施形態に係る燃料電池システムのフローチャートを示した図である。以下、ステップごとに第2実施形態に係る燃料電池システムのフローチャートについて詳細に説明する。ここで、ステップS1300、S1310、S1350は第1実施形態と同様であるため説明は省略する。
〔ステップS1320〕
凝縮水生成検知サブルーチンS1320により、凝縮水の生成を検出する。図14は、凝縮水生成検知サブルーチンを示した図である。以下、凝縮水生成検知サブルーチンについて、ステップ番号ごとに詳細に説明する。
〔ステップS1400〕
システムに対する要求出力Wdemと、燃料電池セル内部に設置された熱電対から燃料電池セルの温度TFCを検知する。要求出力Wdemは、例えば、自動車に搭載された燃料電池であれば、アクセル開度から算出される値である。
〔ステップS1410〕
燃料電池の出力WFCをWFCdem、空気流量QairをQairdemとして燃料電池の運転を開始する。Qairdemは、WFCdemを出力するために必要な空気流量である。すなわち、Qairdemは、WFCdemを出力するための電気化学反応に必要な酸素を供給するために必要な空気量である。
〔ステップS1420〕
イオン伝導度RΩを測定する。イオン 伝導度[S/m]は、アノード極とカソード極の間の抵抗値を測定することにより求めることができる。燃料電池に水が全く入っていない状態における、燃料電池セルの温度TFCとイオン伝導度RΩの関係は、あらかじめマップ化しておく。図15は燃料電池に水が全く入っていない状態(図5の実線)と、実際の燃料電池の運転時のイオン伝導度の変化の例(図5の太い点線)を示したものである。一般に、イオン液体のイオン伝導度は水溶液系よりも小さいため、イオン液体に凝縮水が混入するとイオン伝導度が大きくなる。本発明の第2実施形態は、この現象を利用して凝縮水の発生を検知する。
ここで、凝縮水生成検知サブルーチンは終了となる。以下、図13に示すメインフローに戻り、ステップごとに詳細に説明する。
〔ステップS1330〕
凝縮水が発生しているかどうかを判断する。あらかじめマップ化しておいた、燃料電池に水が全く存在しない状態における燃料電池セルの温度TFCとイオン伝導度RΩの関係を用いて、水が全く存在しない状態と、凝縮水生成検知サブルーチンで測定した実際のイオン伝導度RΩの値を比較することによって、凝縮水が発生しているかどうかを判断する。具体的には、水が全く入っていない状態におけるイオン伝導度RΩよりも高いイオン伝導度の閾値を設け、その閾値を超えた場合には凝縮水が生成していると判断する。ここで、イオン伝導度の閾値と水が全く入っていない状態におけるイオン伝導度の差を、イオン伝導度差の閾値ΔRΩ0と定義する。また、実測したイオン伝導度と水が全く入っていない状態におけるイオン伝導度の差を、イオン伝導度差ΔRΩと定義する。
凝縮水が生成していないと判断した場合は、ステップ番号S1350に移行し、燃料電池出力をWFCdemとして運転する。
凝縮水が生成していると判断した場合は、凝縮水量調整サブルーチンに移行する。図16は、第2実施形態に係る燃料電池システムにおける凝縮水量調整サブルーチンのフローチャートを示した図である。以下、ステップごとに凝縮水量調整サブルーチンのフローチャートを詳細に説明する。
〔ステップS1600〕
コンプレッサの空気流量Qairを適当な流量ΔQairだけ増加する。この操作により、燃料電池のカソード極においてドライアウトされる凝縮水の量が増加する。
〔ステップS1610〕
イオン伝導度差ΔRΩと、閾値ΔRΩ0を比較する。イオン伝導度差ΔRΩが閾値ΔRΩ0以下となったときは、凝縮水量は所定値以下であると判断し、凝縮水量調整サブルーチンを終了する。
イオン伝導度差ΔRΩが閾値ΔRΩ0以下とならない場合は、ステップ1620に移行する。
〔ステップS1620〕
コンプレッサの消費電力WCompと燃料電池システムに対し要求される出力Wdemを比較する。コンプレッサの消費電力WCompが燃料電池システムに対し要求される出力Wdemよりも小さい場合は、さらに空気流量Qairを適当な流量ΔQair増加する。
コンプレッサの消費電力WCompが燃料電池システムに対し要求される出力Wdem以上の場合は、ステップS1630に移行する。
〔ステップS1630〕
燃料電池の出力WFCを適当な値ΔWFC低下させる。すなわち、コンプレッサの消費電力WCompが燃料電池システムに対し要求される出力Wdemより大きい場合は、燃料電池の出力WFCを低下させた方が、エネルギー効率が有利であると判断し、燃料電池の出力WFCを適当な値ΔWFC低下させる。この操作により、凝縮水の生成量が小さくなるため、イオン伝導度は低下する。
〔ステップS1640〕
イオン伝導度差ΔRΩと閾値ΔRΩ0を比較する。イオン伝導度差ΔRΩが閾値ΔRΩ0以下となったときは、凝縮水量調整サブルーチンを終了する。
イオン伝導度差ΔRΩが閾値ΔRΩ0以下とならない場合は、ステップ番号1630の段階に移行し、さらに燃料電池の出力WFCを適当な値ΔWFC低下させる。すなわち、イオン伝導度差ΔRΩが閾値ΔRΩ0以下となるまで、燃料電池の出力WFCを適当な値ΔWFCずつ低下させる。
ここで、凝縮水量調整サブルーチンは終了となる。以下、図13に示すメインフローに戻り、フローについて詳細に説明する。
〔ステップS1360〕
燃料電池セルの温度TFCが定常運転の温度Tに達しているかどうかを判断する。燃料電池セルの温度TFCが定常運転の温度Tに達している場合は、燃料電池システムの起動運転は終了したとしてメインフローによる動作は終了する。一方、燃料電池セルの温度TFCが定常運転の温度Tに達していない場合は、再度メインフローを実行する。
以上より、本第2実施形態は、請求項1、2、8、9、18に係る燃料電池システムの発明を実施化したものである。すなわち、図1におけるコンプレッサ130は本発明の空気供給手段に相当し、熱交換器140、141は本発明の温度調整手段に相当する。また、図12における交流抵抗計1200は、図13のステップS1320とともに凝縮水の発生を検知する手段に相当する。図13におけるステップS1340は本発明の本発明の凝縮水をドライアウトさせる手段に相当する。
本発明の第2実施形態に係る燃料電池システムは、以下の第1実施形態と同様の効果を有する。
・燃料電池セルの温度が100℃以下における運転時においても、燃料電池内において生成される凝縮水をドライアウトすることができるため、凝縮水によってイオン液体が希釈されることを防ぐことができ、燃料電池の劣化を防止し、燃料電池の耐久性を向上させることができる。
・コンプレッサの空気流量の調整により、カソード極における空気流量を増加させることによって凝縮水をドライアウトさせるため、燃料電池システムの構成が簡便となる。
・凝縮水をドライアウトさせる手段が燃料電池の出力を低下させることである場合は、空気流量増加や、カソード極内圧力を上昇させることによるコンプレッサの消費電力増大を避けることができる。
さらに、本発明の第2実施形態に係る燃料電池システムは、以下の効果を有する。
・燃料電池内部に発生した凝縮水を直接的に計測するため、凝縮水のドライアウトを効率よく行うことができる。
〔第3実施形態〕
本発明の第3実施形態に係る燃料電池システムについて説明する。図17は第3実施形態に係る燃料電池の構成図を簡略的に示した図である。第1実施形態と異なる点は、燃料電池のカソード極の空気流路の下部にカソード極の内部圧力を調整するためのバルブを設け、凝縮水をドライアウトする手段としてカソード極の圧力を低下させる手段を用いていることである。図17に示すように、アノード極とカソード極の圧力のバランスを保つためには、燃料電池のアノード極の水素流路の下流にもアノード極の内部圧力を調整するためのバルブを設けることが望ましい。
本発明の第3実施形態に係る燃料電池システムの動作についてフローチャートを用いて詳細に説明する。図18は、本発明の第3実施形態に係る燃料電池システムのフローチャートを示した図である。以下、ステップ番号ごとに第3実施形態に係る燃料電池システムのフローチャートについて説明する。ここで、ステップS1800、S1810は第1実施形態のステップS200、S210と同様であるため説明は省略する。
〔ステップS1820〕
凝縮水生成予想サブルーチンS1820により、凝縮水の生成を予想する。図19は、凝縮水生成予想サブルーチンを示した図である。以下、凝縮水生成検知サブルーチンについて、ステップ番号ごとに詳細に説明する。
〔ステップS1900〕
システムに対する要求出力Wdemと、燃料電池セルの温度TFCを検知する。本ステップは、本発明の第1実施形態に係る燃料電池システムのフローチャート(図3参照)のステップS300と同様であるため、説明は省略する。
〔ステップS1910〕
燃料電池セルの温度TFCにおける燃料電池の最大出力WFCmaxを算出する。本ステップは、本発明の第1実施形態に係る燃料電池システムのフローチャート(図3参照)のステップS310と同様であるため、説明は省略する。
〔ステップS1920〕
燃料電池システムに対する要求出力Wdemと最大出力WFCmaxの値を比較する。
〔ステップS1930〕
要求出力Wdemの方が最大出力WFCmaxよりも大きい場合は、最大出力WFCmaxを燃料電池の出力WFCとする。本ステップは、本発明の第1実施形態に係る燃料電池システムのフローチャート(図3参照)のステップS330と同様であるため、説明は省略する。
〔ステップS1940〕
最大出力WFCmaxの方が要求出力Wdemよりも大きい場合は、要求出力Wdemを燃料電池の出力WFCoutとする。本ステップは、本発明の第1実施形態に係る燃料電池システムのフローチャート(図3参照)のステップS340と同様であるため、説明は省略する。
ここで、ステップ番号S1930またはS1940で求めた燃料電池の出力WFCをWFCoutと定義する。
〔ステップS1950〕
燃料電池出力がWFCoutであるときの燃料電池カソード極における予想生成水量M、および必要な空気流量Qairdemを算出する。本ステップは、本発明の第1実施形態に係る燃料電池システムのフローチャート(図3参照)のステップS350と同様であるため、説明は省略する。
〔ステップS1960〕
燃料電池セルの温度TFCにおける飽和蒸気圧Pvapを算出する。第3実施形態においては、カソードにおける温度と飽和蒸気圧の関係(図5の飽和蒸気圧曲線2参照)をあらかじめマップ化しておく。このマップ化したデータから、燃料電池セルの温度がTFCであるときのカソード内部における飽和蒸気圧Pvapを算出する。
〔ステップS1970〕
凝縮水を発生させないカソード極内部の圧力Ptotalを算出する。式(3)において、空気圧Pairはカソード極内部の圧力Ptotalから飽和水蒸気圧Pvapを差し引いた値であるので、Pairは、Ptotal−Pvapと置ける。また、凝縮水を発生させないという条件を満たすために、水蒸気流量Qvapを予想生成水量Mと置き、カソード内部における空気流量Qairを必要な空気流量Qairdemと置く。そうすると、式(5)が得られる。ここで、空気流量Qairを必要な空気流量Qairdemと置いたが、空気流量Qairは必ずしも必要な空気流量Qairdemである必要はない。空気流量Qairを必要な空気流量Qairdemとしない場合は、その空気流量の値に応じたカソード極内部の圧力Ptotalとすることよって凝縮水を発生させないという条件を満たすことができうるからである。
Figure 2009048839
式(5)を変型すると、空気流量Qairが必要な空気流量Qairdemであり、かつ、凝縮水を発生させないために必要なカソード極内部の圧力Ptotalは、式(6)によって算出できる。
Figure 2009048839
〔ステップS1980〕
圧力バルブを全開にしたときの、空気流量Qairdemにおけるカソード極圧力Pminを算出する。ここで、前述したように、カソード極内部の圧力は燃料電池の構造が決まれば、カソード極を流れる空気流量にのみ依存する値である。したがって、圧力バルブを全開にしたときの燃料電池の構造によって決まる空気流量とカソード極の内部平均圧力の関係をあらかじめマップ化しておく。そして、このマップ化されたデータから、空気流量Qairdemにおけるカソード極圧力Pminを算出してもよい。また、カソード極圧力Pminは、図17に示すように、燃料電池セル1710のカソード極の内部に設けた圧力計1760〜1763を用いて計測してもよい。こうすることにより、カソード極内部の圧力を直接計測できるため、凝縮水の調整を高精度に行うことができる。
また、同図に示すように、カソード極圧力Pminは、カソード極に供給される空気の供給口とカソード極から空気を排出する排出口にそれぞれ圧力計1740、1750を設け、それぞれの圧力計から計測された値の平均値として求めてもよい。こうすることにより、圧力計の数を減らすことができ、カソード極内部の圧力を正確に計測できるため凝縮水の調整を高精度に行うことができる。
ここで、凝縮水生成予想サブルーチンは終了となる。以下、図18に示すメインフローに戻り、ステップごとにフローを詳細に説明する。
〔ステップS1830〕
凝縮水を発生させないカソード極内部の圧力Ptotalと圧力バルブを全開にしたときの、空気流量Qairdemにおけるカソード極圧力Pminとを比較する。
〔ステップS1840〕
凝縮水を発生させないカソード極内部の圧力Ptotalの方が、圧力バルブを全開にしたときの、空気流量Qairdemにおけるカソード極内部の圧力Pminよりも大きいときは、圧力調整バルブを全開にし、燃料電池出力をWFCout、空気流量をQairdemとして燃料電池を運転する。すなわち、圧力バルブを全開にすることによるカソード極内部の圧力の低下による効果により、生成した凝縮水をドライアウトすることができる。
〔ステップS1850〕
凝縮水を発生させないカソード極内部の圧力Ptotalが、圧力バルブを全開にしたときの、空気流量Qairdemにおけるカソード極内部の圧力Pmin以下のときは、カソード極内部の圧力がPminであるときの、凝縮水が発生しない燃料電池出力WFCoptと空気流量Qairoptを算出する。凝縮水が発生しない燃料電池出力WFCoptと空気流量Qairoptは、本発明の第1実施形態に係る燃料電池システムの動作を示すフローチャートの凝縮水生成予想サブルーチンを利用することにより算出できる。
〔ステップS1860〕
燃料電池出力をWFCopt、空気流量をQairoptとして燃料電池を運転する。
〔ステップS1870〕
燃料電池セルの温度TFCが定常運転の温度Tに達しているかどうかを判断する。燃料電池セルの温度TFCが定常運転の温度Tに達している場合は、燃料電池システムの起動運転は終了したとしてメインフローの動作は終了する。一方、燃料電池セルの温度TFCが定常運転の温度Tに達していない場合は、再度ステップS1810に戻り、メインフローを実行する。
以上より、本第3実施形態は、請求項3、4、10〜19に係る燃料電池システムの発明を実施化したものである。すなわち、図1におけるコンプレッサ130は本発明の空気供給手段に相当し、熱電対111は本発明の温度検知手段に相当し、熱交換器140、141は本発明の温度調整手段に相当する。また、図18におけるステップS1820は本発明の凝縮水を予想する手段に相当し、ステップS1840〜S1860は本発明の凝縮水をドライアウトさせる手段に相当する。
本発明の第3実施形態に係る燃料電池システムは第1実施形態に係る燃料電池システムが有する効果を有する他、以下の効果を有する。
・正確にカソード極内部の圧力を制御するため、カソード極からドライアウトできる凝縮水量の予測の精度を向上することができ、燃料電池の劣化を防止し、燃料電池の耐久性を向上させることができる。
・圧力調整バルブの開閉により簡易にカソード極内部の圧力を調整することができる。
〔第4実施形態〕
本発明の第4実施形態に係る燃料電池システムについて説明する。第1実施形態、第3実施形態と異なる点は、凝縮水をドライアウトする手段として、空気流量またはカソード極内部の圧力を調整する手段を用いず、燃料電池セルの温度を調整する手段と燃料電池の出力電力を調整する手段を用いている点である。
本発明の第4実施形態に係る燃料電池システムの動作についてフローチャートを用いて詳細に説明する。図20は、本発明の第4実施形態に係る燃料電池システムのフローチャートを示した図である。以下、ステップ番号ごとに第4実施形態に係る燃料電池システムのフローチャートについて説明する。ここで、ステップS2000は第1実施形態のステップS200と同様であるため説明は省略する。
〔ステップS2010〕
燃料電池を昇温する。運転開始時の燃料電池セルの温度は、通常、定常時の運転温度を下回っている。燃料電池セルの温度は、図1に示すように、熱媒タンク180から燃料電池110に供給する熱媒の量を熱媒ポンプ150により調整することにより上昇させる。また、図1に示すように、燃料電池にヒーター142を設けることによって、燃料電池セルの温度を上昇させてもよい。空気の温度は、熱交換器に供給する熱媒の量を熱媒ポンプ150により調整することにより調整する。コントロールユニットは、熱媒ポンプを制御する。
〔ステップS2020〕
燃料電池出力設定サブルーチンS2020により、燃料電池の出力を設定する。図21は、燃料電池出力設定サブルーチンを示した図である。以下、燃料電池出力設定サブルーチンについて、ステップごとに詳細に説明する。
〔ステップS2100〕
システムに対する要求出力Wdemと、燃料電池セルの温度TFCを検知する。本ステップは、本発明の第1実施形態に係る燃料電池システムのフローチャート(図3参照)のステップS300と同様であるため、説明は省略する。
〔ステップS2110〕
燃料電池セルの温度TFCにおける燃料電池の最大出力WFCmaxを算出する。本ステップは、本発明の第1実施形態に係る燃料電池システムのフローチャート(図3参照)のステップS310と同様であるため、説明は省略する。
〔ステップS2120〕
燃料電池セルの温度TFCにおける必要空気流量Qairdemにおいて、凝縮水が発生しない燃料電池最大出力WFCmax´を算出する。ここで、凝縮水が発生しない燃料電池最大出力WFCmax´は、以下の方法により算出できる。
すなわち、式(4)において空気流量Qairvapを必要空気流量Qairdemと置いて変形し、Mを求めると、式(7)のようになる。
Figure 2009048839
式(7)を式(1)に代入し、求まるIFCoutをあらかじめマップ化されたI−Wカーブを用いることによって凝縮水が発生しない燃料電池最大出力WFCmax´を算出することができる。
〔ステップS2130〕
燃料電池の最大出力WFCmax、凝縮水が発生しない燃料電池最大出力WFCmax´、システムに対する要求出力Wdemのうち最小の出力をWFCoptとして設定する。すなわち、WFCmax、WFCmax´、Wdemのうち最小の出力が燃料電池の出力となるように燃料電池を制御する。このように燃料電池を制御することにより、凝縮水が発生しない条件において燃料電池を運転させることができる。
ここで、燃料電池出力設定サブルーチンは終了となる。以下、図20に示すメインフローに戻り、ステップごとにフローを詳細に説明する。
〔ステップS2030〕
燃料電池出力をWFCoptとして燃料電池を運転させる。すなわち、ステップS2020において算出した、燃料電池セルの温度TFCにおいて凝縮水が発生しない条件において燃料電池を運転させる。
〔ステップS2040〕
燃料電池セルの温度TFCが定常運転の温度Tに達しているかどうかを判断する。燃料電池セルの温度TFCが定常運転の温度Tに達している場合は、燃料電池システムの起動運転は終了したとしてメインフローの動作は終了する。一方、燃料電池セルの温度TFCが定常運転の温度Tに達していない場合は、再度ステップS2010に戻り、メインフローを実行する。すなわち、燃料電池の出力電力の調整により凝縮水が発生しない条件を維持させながら、燃料電池セルの温度を定常運転の温度Tまで昇温させることができる。
以上より、本第4実施形態は、請求項5〜7、10〜19に係る燃料電池システムの発明を実施化したものである。すなわち、図1におけるコンプレッサ130は本発明の空気供給手段に相当し、熱電対111は本発明の温度検知手段に相当し、熱交換器140、141は本発明の温度調整手段に相当する。また、図20におけるステップS2020は、本発明の凝縮水を予想する手段および凝縮水をドライアウトさせる手段に相当する。
本発明の第4実施形態に係る燃料電池システムは第1実施形態に係る燃料電池システムが有する効果を有する他、以下の効果を有する。
・燃料電池セルの温度を正確に制御できるため、カソード極からドライアウトできる凝縮水量の予測の精度を向上することができ、燃料電池の劣化を防止し、燃料電池の耐久性を向上させることができる。
以上、本願発明に係る燃料電池システムを実施形態に基づき説明してきたが、本発明の範囲はこれらの実施形態に限定されるものではない。
例えば、第1実施形態においては、凝縮水の生成を予想する段階においてカソード極内に存在する水の量を化学反応による凝縮水の量のみに着目して説明している。しかし、外部の露点を計測する手段を有することにより、コンプレッサによって取り込まれる外気にもともと含まれている水の量を求め、これにより、凝縮水の量を補正してもよい。すなわち、図17に示すように露点計を設置して、これにより空気の水蒸気圧を計測し、外気にもともと含まれている水の量を求めてもよい。このような補正は、カソード極に流入させる外部の空気に含まれる水分量を補正するものであるため、外部環境にかかわらずカソード極からドライアウトされる水量を正確に予測できる。したがって、燃料電池の劣化を防止し、燃料電池の耐久性をさらに向上させることができる。
また、第1実施形態においては、燃料電池のカソード極内部の圧力を求める段階において、あらかじめ、空気流量とカソード極の内部の圧力の関係を実測し、マップ化しておき、空気流量からカソード極内部の圧力を求めるとしている。しかし、実際に、カソード内部の圧力を計測してもよい。また、カソード極の上流部と下流部にそれぞれ圧力計を設けて、それぞれの圧力差を計測してもよい。
また、各実施形態における燃料電池セルの温度を上昇させる手段は、燃料電池にヒーターを設けて、燃料電池セルの温度を上昇させる手段を含んでもよい。また、燃料電池が、アノード極から排出される余剰水素を燃料電池の入口に循環させて再利用する構成となっている場合は、アノード極の下流部に気液分離相を設け、余剰水素の露点を下げた後に、再度アノード極にこの水素を供給することにより、凝縮水量を下げる手段を用いてもよい。
本発明に係る燃料電池システムは、主として自動車に搭載される燃料電池に利用することができる。
本発明に係る燃料電池システムを含むシステム構成を示した図面である。 本発明の第1実施形態の動作を示すフローチャートである。 あらかじめ測定しておいた、ある燃料電池温度における燃料電池の電流値と燃料電池の出力との関係を示した図である。 本発明の第1実施形態の動作の一部である凝縮水生成予想サブルーチンを示すフローチャートである。 自由水とメソポア領域の飽和蒸気圧曲線を示した図面である。 一般的な燃料電池セルを示す断面図である。 本発明の第1実施形態の動作の一部である凝縮水量調整サブルーチンを示すフローチャートである。 あらかじめ測定しておいたコンプレッサ吐出空気流量とコンプレッサ消費電力との関係を示した図面である。 コンプレッサ吐出空気流量とカソード極から除去可能な水量との関係を示した図面である。 燃料電池電流値と、要求出力と燃料電池との差の関係を示す図である。 コンプレッサ吐出空気流量と2次電池消費電力との関係を示す図面である。 本発明の第2実施形態に係る燃料電池システムを構成要素である燃料電池を示す図面である。 本発明の第2実施形態の動作を示すフローチャートである。 本発明の第2実施形態の動作の一部である凝縮水検知サブルーチンを示すフローチャートである。 あらかじめ測定しておいた、水がない状態と凝縮水が発生した状態とにおけるイオン伝導度の温度依存性を示す図面である。 本発明の第2実施形態の動作の一部である凝縮水量調整サブルーチンを示すフローチャートである。 本発明の第3実施形態に係る燃料電池の構成図を簡略的に示したものである。 本発明の第3実施形態に係る燃料電池システムの動作を示すフローチャートである。 本発明の第3実施形態に係る燃料電池システムの動作の一部である凝縮水生成予想サブルーチンを示すフローチャートである。 本発明の第4実施形態に係る燃料電池システムの動作を示すフローチャートである。 本発明の第3実施形態に係る燃料電池システムの動作の一部である燃料電池出力設定サブルーチンを示すフローチャートである。
符号の説明
10 燃料電池システム、
110 燃料電池、
111 熱電対(温度検知手段)、
112 圧力計、
120 2次電池、
130 コンプレッサ(空気供給手段、補器類)、
140、141 熱交換器(温度調整手段)、
142 ヒーター(燃料電池セルの温度を上昇させる手段)、
150 熱媒ポンプ(空気と燃料電池セルの温度調整手段)、
160 プレッシャレギュレータ(補器類)、
170 水素タンク、
180 熱媒タンク(燃料電池セルの温度調整手段)、
190 インバータ(補器類)、
195 コントロールユニット(補器類)、
600 電解質層、
610a カソード触媒層、
610b アノード触媒層、
620a、620b ガス拡散層、
630a 空気流路、
640 MEA、
650a、650b セパレータ、
1200 交流抵抗計(凝縮水の発生を検知する手段)、
1210、1710 燃料電池セル、
1220 カソード極、
1230 アノード極、
1720 バルブ(カソード極の圧力を低下させる手段)、
1740、1750、1760、1761、1762、1763 圧力計、
1770 露点計(空気の水蒸気圧を計測する手段)。

Claims (19)

  1. イオン液体を電解質として用いる燃料電池と、
    前記燃料電池のカソード極に空気を供給する空気供給手段と、
    前記燃料電池を構成する燃料電池セルの温度を検知する温度検知手段と、
    前記空気供給手段の吐出空気と前記燃料電池セルの温度を調整する温度調整手段と、
    前記燃料電池から出力される電力と燃料電池に対し要求される電力との差を充放電により補償するとともに補器類を駆動する、前記燃料電池と並列に接続される2次電池と、
    前記燃料電池の起動から前記燃料電池の温度が水の沸点に達するまでの間に前記燃料電池内において生成した凝縮水の発生を検知または予測する手段と、
    前記凝縮水の発生を検知または予測する手段により前記凝縮水の発生を検知または予測したときに前記凝縮水をドライアウトさせる手段と、
    を有することを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記凝縮水をドライアウトさせる手段は、前記燃料電池のカソード極の空気流量を増加させる手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記凝縮水をドライアウトさせる手段は、カソード極の圧力を低下させる手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
  4. 前記カソード極の圧力を低下させる手段は、燃料電池のカソード極に空気を供給する流路の前記カソード極下流部に設けられたバルブによって圧力を調整する手段を含むことを特徴とする請求項3に記載の燃料電池システム。
  5. 前記凝縮水をドライアウトさせる手段は、燃料電池を構成する燃料電池セルの温度を上昇させる手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
  6. 前記燃料電池セルの温度を上昇させる手段は、燃料電池セルの外部から燃料電池セルを加熱する手段を含むことを特徴とする請求項5に記載の燃料電池システム。
  7. 前記燃料電池セルの外部から燃料電池セルを加熱する手段は、燃料電池の外部に設けられたヒーターによって燃料電池セルを加熱する手段を含むことを特徴とする請求項6に記載の燃料電池システム。
  8. 前記凝縮水の発生を検知または予測する手段は、前記燃料電池の電解質のイオン伝導度を検知する手段を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の燃料電池システム。
  9. 前記燃料電池の電解質のイオン伝導度を検知する手段は、燃料電池を構成する燃料電池セルの全てのセル、もしくは一部のセルのアノード極とカソード極の間に交流抵抗計を設けることにより電解質のイオン伝導度を検知する手段を含むことを特徴とする請求項8に記載の燃料電池システム。
  10. 前記凝縮水の発生を検知または予測する手段は、カソード極に供給される空気流量から予測されるカソード極から除去される水の量と、カソード極において生成される水の量の差により前記凝縮水の発生を予測する手段を含むことを特徴とする請求項1〜9に記載の燃料電池システム。
  11. 前記カソード極から除去される水の量は、前記燃料電池を構成する触媒層における飽和蒸気圧と前記燃料電池の内部の温度との関係と、カソード極の内部の圧力と、から求めることを特徴とする請求項10に記載の燃料電池システム。
  12. 前記カソード極の内部の圧力は、前記燃料電池を構成する燃料電池セルの全部もしくは一部のカソード極の内部に設けられた1つもしくは2以上の圧力計を用いて計測された値もしくは前記値の平均値であることを特徴とする請求項11に記載の燃料電池システム。
  13. 前記カソード極の内部の圧力は、前記カソード極に供給される空気の供給口と、前記カソード極から排出される空気の排出口と、の圧力の平均値であることを特徴とする請求項11に記載の燃料電池システム。
  14. 前記カソード極の内部の圧力は、前記カソード極に供給される空気の供給口と、前記カソード極から排出される空気の排出口と、に設けられた圧力計を用いて計測された値もしくは前記値の平均値であることを特徴とする請求項11に記載の燃料電池システム。
  15. 前記カソード極の内部の圧力は、あらかじめ前記カソード極に供給される空気流量と燃料電池のカソード極の内部の圧力の関係をマップ化したデータから算出した値であることを特徴とする請求項11に記載の燃料電池システム。
  16. さらに前記カソード極に供給される空気の水蒸気圧を計測する手段を有し、前記空気流量から予測されるカソード極から除去される水の量は、前記水蒸気圧により補正された値であることを特徴とする請求項11に記載の燃料電池システム。
  17. 前記水蒸気圧を計測する手段は、システムの外部に設けた露点計を用いて前記水蒸気圧を計測する手段であることを特徴とする請求項16に記載の燃料電池システム。
  18. 前記凝縮水をドライアウトする手段は、燃料電池の出力を低下させることにより前記凝縮水をドライアウトする手段を含むことを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載の燃料電池システム。
  19. さらに、前記カソード極における空気流量を増加させることによる前記コンプレッサの消費電力の増加量と、前記燃料電池の出力を低下させ、システムの要求電力と前記燃料電池の出力との差を補償することによる前記2次電池の消費電力の増加量と、の和が最少となるように前記空気流量と前記燃料電池の出力を制御する手段を有することを特徴とする請求項1〜18のいずれかに記載の燃料電池システム。
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JP2014186859A (ja) * 2013-03-22 2014-10-02 Honda Motor Co Ltd 燃料電池スタック及びその運転方法

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