JP2009033487A - 通信装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 電力線搬送波通信と無線通信とを、通信回路の大型化および通信制御の複雑化を防止して融合できる通信装置を提供する。
【解決手段】 電力線搬送波通信と無線通信との両方の通信機能を有する通信装置(例えば8)において、無線通信時は、第1のシンボル長に対応して送受信系信号処理を行い、他方、電力線搬送波通信時は、第1のシンボル長の2n(n:整数)倍の長さを持つ第2のシンボル長に対応して送受信系信号処理を行うものである。
【選択図】図1
【解決手段】 電力線搬送波通信と無線通信との両方の通信機能を有する通信装置(例えば8)において、無線通信時は、第1のシンボル長に対応して送受信系信号処理を行い、他方、電力線搬送波通信時は、第1のシンボル長の2n(n:整数)倍の長さを持つ第2のシンボル長に対応して送受信系信号処理を行うものである。
【選択図】図1
Description
この発明は、電力線搬送波通信と無線通信とを含む通信装置に関する。
電力線搬送波通信は、電力線に、データ信号により変調された搬送波を重畳して、データ通信を行うものであり、コンセントを介して電力線に接続する事が可能であり、電力線に接続された各通信装置間の通信に利用する事ができる。
無線通信は、電波を用いてデータ通信を行うものであり、例えば無線LANの様に、携帯機器を通信ネットワークに接続するのに利用されている。
これらの通信では、個々に通信規格やサービスの規格が異なっており、互いに通信方式の長所短所を補完したり容易に併用できるように、通信方式や通信機器の回路設計において十分な工夫がなされていない。
例えば、無線は、周波数帯域や通信規格によって差はあるが、壁等の遮蔽物があると電波が到達し難いという短所がある。他方、電力線は、建物内であれば壁内に配線されているにで壁等の遮蔽物に遮られることは無いが、接続される電気機器による影響を受けて通信状態が悪くなるという短所がある。
これらの通信の短所を補完するために、例えば特許文献1には、電力線搬送波通信と無線通信とを共用して、それらの通信のうち、良好な通信状態の方を選択する技術が開示されている。またこの特許文献1では、通信装置として、様々な無線規格に対応するために複数のアナログ部を持ち、各無線規格に対応した信号処理は、ソフトウェアにより処理するソフトウェア無線について様々な検討がされている。
また特許文献2には、ソフトウェアによる切り換えに伴なう時間を吸収するために、信号を遅延させるための工夫が開示されている。
しかしながら、特許文献1では、2つの通信装置間の通信を想定しており、一つの通信装置(マスタ)に、電力線に接続された通信装置(スレーブ)と無線に接続された通信装置(スレーブ)とが混在して通信接続する場合の通信ネットワークの構成や通信方法などについては説明されていない。従って、特許文献1を、1つの通信装置(マスタ)に、電力線に接続された通信装置(スレーブ)と無線に接続された通信装置(スレーブ)とが混在して通信接続する場合に適用した場合、物理チャンネルが効率的に使用できない可能性がある。
また電力線搬送波通信と無線通信との各長所を生かし、それら各通信を併用することで、互いの通信の特性を補完できるが、特許文献2では、様々な通信規格の無線通信に関して説明されているが、電力線搬送波通信に関しては考慮されていない。従って、無線通信と電力線搬送波通信とを融合しようすると、通信回路の大型化および通信制御の複雑化を招いてしまう。
この発明は、上述のような課題を解消するためになされたもので、第1に、電力線搬送波通信と無線通信とを、通信回路の大型化および通信制御の複雑化を防止して融合できる通信装置を提供すること、第2に、電力線搬送波通信と無線通信とを融合した通信装置において、物理チャンネルを効率的に使用できる通信装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決する為に、本発明の第1の形態は、電力線搬送波通信と無線通信との両方の通信機能を有する通信装置において、無線通信時は、第1のシンボル長に対応して送受信系信号処理を行い、他方、電力線搬送波通信時は、第1のシンボル長の2n(n:整数)倍の長さを持つ第2のシンボル長に対応して送受信系信号処理を行うものである。
本発明の第1の形態によれば、無線通信時は、第1のシンボル長に対応して送受信系信号処理を行い、他方、電力線搬送波通信時は、第1のシンボル長の2n(n:整数)倍の長さを持つ第2のシンボル長に対応して送受信系信号処理を行うので、無線通信の通信規格に準拠しつつ、無線通信と電力線搬送波通信の各送受信系信号処理の同期設計を容易にでき(従って回路の大型化を防止でき)、且つフレーム構成を容易にできる(従って通信制御の複雑化を防止できる)。
実施の形態1.
この実施の形態に係る通信装置は、電力線搬送波通信(PLC:Power Line Comunication)と無線通信(例えば近距離無線通信)とを融合したものである。
この実施の形態に係る通信装置は、電力線搬送波通信(PLC:Power Line Comunication)と無線通信(例えば近距離無線通信)とを融合したものである。
非特許文献1(ARIB STD−T70第四章 物理レイヤに関する規定)に記載されている様に、広帯域移動アクセスシステム(HiSWANa)に無線LANの標準規格が定められているが、電力線搬送波通信の標準規格は一般に定められていない。故に、電力線搬送波通信の通信規格を上記の無線LANの標準規格に準拠させることで、電力線搬送波通信と無線通信とを融合した通信ネットワークの汎用性を高める事ができる。故に、この実施の形態の通信装置では、その基本構成には、無線LANの基本構成を用いる様にした。以下、この実施の形態の通信装置について詳説する。
図1は、この実施の形態の通信装置を含む通信ネットワークの一例を示したものである。
この通信ネットワーク1は、図1の様に、建物3の宅内のコンセント5を介して電力線7に接続された1つ以上(図1では2つ)のPLCモデム8,9と、PLCモデム8に無線接続された無線端末機(例えばノートPC)11とを備えている。コンセント3に繋がる電力線7は、例えば宅外のPLCモデム13を介してインターネット15に接続されている。各PLCモデム8,9には、例えば端末機17,18が有線接続されている。
この通信ネットワーク1の通信網のトポロジーは、図2の様にツリー状になっている。即ち、通信路Lの途中に中継器(これがマスタ・スレーブ方式のマスタとして機能する。)Mが設置され、その中継器Mの下流に複数の中継器や端末機(これらがマスタ・スレーブ方式のスレーブとして機能する。)Sが接続されている。マスタMの下流の全スレーブSは、そのマスタMにより集中制御される。図1では、PLCモデム8がマスタMに設定され、他のPLCモデム9およびノートPC11がそれぞれスレーブSに設定されている。
上記の集中制御の方式としては、使用する周波数帯域を時分割して複数の通信相手と通信を行う時分割多元接続方式(TDMA:Time Division Multiple Access)が用いられる。
また、電力線搬送波通信(PLC)では、その変復調方式は無線LANと共通化をするために直交周波数分割多重(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調方式を用いる。
OFDMでは、伝送される信号はシンボル長と呼ばれる一区切りの信号(シンボル)を送信する区間Tsが設けられる。また、図17に示すように、シンボルTs間にガードインターバルという区間TGが設けられる。
受信信号には、直接波に加えて遅延波が含まれるが、遅延波は、信号を劣化させて誤った信号として復調される原因となる。この遅延波の影響を防ぐためにガードインターバルTGは設けられる。
遅延波の直接波からの遅延量は電力線搬送波通信と無線通信とで異なるので、ガードインターバルの長さは伝送路により異なる。電力線搬送波通信では、長距離伝送も考慮すると、近距離の無線通信に比べて遅延波の遅延量が長くなるため、ガードインターバルを長くする必要がある。
このような場合(ガードインターバルTGを長くする場合)には、図18のように、シンボル長の区間Tsも長くすることで、伝送路の利用効率を同じにすることができる。
このような場合は、無線通信のシンボル長は無線通信規格に準拠し、電力線搬送波通信のシンボル長を長くすることになる。その際、図6のように、電力線搬送波通信のシンボル長Tpを、無線通信のシンボル長Tmの2n倍(n:整数)の長さにすれば、送受信回路の増大を抑え、フレーム構成が複雑になることも抑えることができる。
また、無線通信の周波数帯域は、例えば20MHzである。ここで、無線通信のシンボル長を3.2μ秒として、64ポイントのFFTを用いると、サブキャリア間隔は312.5KHzとなる。端のサブキャリアを除き、例えば53本のサブキャリアを用いるとすると、16.6MHzの周波数帯域を使用することになる。電力線搬送波通信においても、同様の構成を取ることで回路構成を共通化でき、回路規模の増大を防ぐことができる。FFTはサンプル数2n(n:整数)の変換であるため、図6の様に、電力線搬送は通信のシンボル長Tpを無線通信のシンボル長Tmの2n(n:整数)とすることで、回路の共有化が容易になる。
また、周波数帯域を拡げて通信容量を上げることで、大容量の送受信が容易になる。ここで、FFTサイズとしては、通常2n倍(n:整数)のポイント数が取られる。例えばシンボル長が同じで、FFTのポイント数を64ポイントから128ポイントに変更することで、倍の通信容量が可能となる。無線通信の周波数帯域は、通信規格により定められているため20MHzとなるが、電力線通信に関しては、倍の周波数帯域を用いても特に問題はない(この場合、無線通信の周波数帯域幅と電力線搬送波通信の周波数帯域幅とは異なることになる)。更に、FFTサイズを上げることで周波数帯域を上げることができる。逆に、電力線搬送波通信の周波数帯域を10MHzと狭くすることも可能である。図5(a)(b)は、OFDMのサブキャリアが周波数軸上に配置した状態を模式的に示したものである。(b)は(a)に比べて倍のポイント数のFFTを使用している。ここで、周波数帯域を広げる場合には、標本化定理を満足するように信号処理回路の周波数を選択する必要がある。無線通信の送受信信号の標本化周波数fsはナイキスト周波数の2倍以上である必要がある。標本化周波数fsの2倍、4倍のオーバーサンプリングを行うことも可能である。電力線搬送波通信においてfsの2n(n:正の整数)の周波数で信号を標本化すると、無線通信回路との構成の共通化が容易になる。
PLCモデム8(通信装置)は、電力線7を介しての電力線搬送波通信とアンテナ23を介しての無線通信との両方の通信機能を有し、それら各通信とPLCモデム8に有線接続された端末機17とを通信接続するものである。PLCモデム9は、例えば、電力線7を介しての電力線搬送波通信を行う通信機能を有し、その電力線搬送波通信とPLCモデム9に有線接続された端末機18とを通信接続するものである。
より詳細には、PLCモデム8は、例えば図3の様に、電力線7に接続されて電力線搬送波通信を行うPLCアナログフロントエンド部21と、アンテナ23に接続されて無線通信を行う無線アナログフロントエンド部25と、端末機18が有線接続されるブリッジ部27と、各部21,25,27からの送受信を制御するモデムLSI29と、各アナログフロントエンド部21,25とモデムLSI29との間の接続を接続制御する接続制御部31とを備えている。
PLCアナログフロントエンド部21は、図示省略されるが、電力線7とのインターフェイス部と、送受信信号を増幅する増幅器と、特定の周波数帯域の信号を抽出するバンドパスフィルタとを備えており、受信時は、電力線7から特定の周波数帯域の信号を抽出して最適なゲインに調整してモデムLSI29に送出し、送信時は、モデムLSI29からの信号を増幅して電力線7から送信する。
無線アナログフロントエンド部25は、図示省略されるが、アンテナ23とのインターフェイス部と、送受信信号を増幅する増幅器と、特定の周波数帯域の信号を抽出するバンドパスフィルタとを備えており、受信時は、アンテナ23から特定の周波数帯域の信号を抽出して最適なゲインに調整してモデムLSI29に送出し、送信時は、モデムLSI29からの信号を増幅してアンテナ23から送信する。
モデムLSI29は、A/D変換部41(図4)と、D/A変換部43(図4)と、変復調、伝送帯域設定、誤り訂正および復号などを行う物理層33と、リソース管理、装置管理、暗号化および通信制御などを行うMAC(Media Access Control)層(通信制御部)35とを備えている。
物理層33は、図4の様に、A/D変換部41を介して接続制御部31から入力される受信信号に対して受信系信号処理を行ってMAC層35に出力する受信系信号処理部37と、MAC層35からの送信信号に対して送信系信号処理を行って接続制御部31に出力する送信系信号処理部39とを備えている。受信系信号処理部37および送信系信号処理部39によりデジタル変復調回路が構成されている。
ここでは、受信系信号処理部37(送信系信号処理部39)は、無線通信時は、無線通信のシンボル長(第1のシンボル長)に対応して受信系信号処理(送信系信号処理)を行い、他方、電力線搬送波通信時は、電力線搬送波通信のシンボル長として無線通信のシンボル長の2n (n:整数)のシンボル長(第2のシンボル長)に対応して受信系信号処理(送信系信号処理)を行う。
接続制御部31は、図4の様に、切換回路部31aと、切換回路部31aを制御する制御部31bとを備えている。
切換回路部31aは、複数の開閉スイッチSW1〜SW4を備えている。開閉スイッチSW1は、無線アナログフロントエンド部25の出力部とモデムLSI29の入力部との間に介装接続されている。開閉スイッチSW2は、無線アナログフロントエンド部25の入力部とモデムLSI29の出力部との間に介装接続されている。開閉スイッチSW3は、PLCアナログフロントエンド部21の出力部とモデムLSI29の入力部との間に介装接続されている。開閉スイッチSW4は、PLCアナログフロントエンド部21の入力部とモデムLSI29の出力部との間に介装されている。
制御部31bは、MAC層35から通知される送受信タイミングおよび各アナログフロントエンド部21,25の切換情報に基づいて、切換回路部31aの各開閉スイッチSW1〜SW4の開閉制御を行う。
この構成により、このPLCモデム8では、送信時は、制御部31bにより開閉スイッチSW2,SW4が閉じられ、これに併行して、MAC層35からの信号は、送信系信号処理部39で変調等の送信系信号処理が行われ、D/A変換部43でアナログ信号に変換され、開閉スイッチSW2,SW4を介して各アナログフロントエンド部21,25に出力され、無線アナログフロントエンド部25からアンテナ23を介して無線送信されると共に、PLCアナログフロントエンド部25から電力線7を介して電力線搬送波通信される。無線通信のみを行う場合は開閉スイッチSW2を閉じ、また電力線搬送波通信のみを行う場合は開閉スイッチSW4を閉じるように制御する。
他方、受信時は、例えば先ず、制御部31bにより開閉スイッチSW1が閉じられ(その間、開閉スイッチSW3は開かれる。)、これによりアンテナ23を介して無線アナログフロントエンド部25で受信された受信信号は、開閉スイッチSW1を介してA/D変換部41に入力されてデジタル信号に変換され、受信系信号処理部37で復調等の受信系信号処理が行われ、MAC層35で上記の処理が行われる。そして次に、制御部31bにより開閉スイッチSW3が閉じられ(その間、開閉スイッチSW1は開かれる。)、これによりPLCアナログフロントエンド部21で受信された受信信号は、開閉スイッチSW3を介してA/D変換部41に入力されてデジタル信号に変換され、受信系信号処理部37で復調等の受信系信号処理が行われ、MAC層35で上記の処理が行われる。この様に受信時は、無線通信での受信と電力線搬送波通信での受信とが時分割的に行われる。
ここで、受信系信号処理部37について詳説すると、受信系信号処理部37は、図7の様に、ゲイン検出部37aと、キャリア周波数同期部37bと、FFT(Fast Fourier Transform)部37cと、チャネル路推定部37dと、等化部37eと、サブキャリア復調37fと、誤り訂正部37gとを備えている。
この構成により、この受信系信号処理部37では、A/D変換部41からの信号(受信信号)は、ゲイン検出部37aおよびキャリア周波数同期部37bに出力される。そしてゲイン検出部37aで、A/D変換部41からの当該受信信号の信号強度が検出されて、その検出結果が当該アナログフロントエンド部(当該受信信号が無線アナログフロントエンド部21で受信された場合は無線アナログフロントエンド部21、他方、当該受信信号がPLCアナログフロントエンド部21で受信された場合はPLCアナログフロントエンド部21)にフィードバックされて、当該アナログフロントエンド部21または23で受信信号のゲインが調節される。
これに併行して、キャリア周波数同期部37bに出力された受信信号は、キャリア周波数同期部37bでシンボルタイミング同期が取られ、FFT部37で時間軸信号から周波数軸信号に変換されて、チャネル推定部37dおよび等化部37eに出力される。そしてチャネル路推定部37eで当該受信信号(各サブキャリア)の伝送路歪みが推定され、等化部37eで、その推定された伝送路歪みに基づいてFFT部37eからの信号(各サブキャリア)に等化が行われ、サブキャリア復調部37eで各サブキャリア毎に復調され、誤り訂正部37eでデインターリーブおよびビタビ復号され、MAC層35に出力される。
また、送信系信号処理部39について詳説すると、送信系信号処理部39は、図7の様に、誤り訂正部39aと、サブキャリア変調部39bと、逆FFT部39cとを備えている。
この構成により、この送信系信号処理部39では、MAC部35からの信号(送信信号)は、誤り訂正部39aで畳み込み符号およびインターリーブ処理が行われ、サブキャリア変調部39bでサブキャリア毎に変調され、逆FFT部39cで周波数軸信号から時間軸信号に変換されて、D/A変換部43に出力される。
また、MAC層35について詳説すると、MAC層35は、図8の様に、品質管理部35aと、トレーニング部35bと、スケジューリング部35cと、制御部35dとを備えている。
品質管理部35aは、サブキャリアのS/N比、CRC(Cyclic Redundancy Check)および誤り訂正数等を検出し、その検出結果と物理層33のゲイン検出部37aで検出される信号強度とに基づいて伝送路の変化を検出する。また品質管理部35aは、通信品質の劣化や過剰を検出すると、トレーニング部35bにトレーニングを行うように命令する。
トレーニング部35bは、品質管理部35aの命令を受けると、定められたトレーニングを実施して通信品質の劣化や過剰を是正する。
スケジューリング部35cは、トレーニング部35cのトレーニング結果に基づいて各スレーブへの送信電力や変調情報の割り当てを行う。
制御部35dは、予め設定された所定のフレームF(図9)に従って、マスタ・スレーブ方式の通信接続を行ってマスタM・スレーブS間でデータ通信を行う。ここでは、制御部35dは、モデムLSI29がマスタMに設定されているので、上記のフレームFに従ってマスタMに割り振られた処理を行う。
上記のフレームFのフレーム構成は、例えば図9の様に、時分割多元接続方式のフレームとして構成されている。このフレームFは、マスタM・スレーブS間の通信の確立を行うための制御情報を送受する区間BCH,FCH,ACH(物理チャネル)と、データを送受する区間DL,UL(物理チャネル)とから構成されている。
各区間BCH,FCH,ACH,DL,UL,RCHはそれぞれ、図11の様に、プリアンブルPAとペイロードPLとから形成されている。ブリアンブルPAは、既知信号で、信号検出、受信機の自動利得制御(AGC:Automatic Gain Control)、周波数同期およびタイミング同期などに用いられる。ペイロードPLには、データ情報が乗せられる。
尚、区間BCHの終点および各区間FCH,ACH,RCHの始点終点はそれぞれ、区間BCHの始点から定められた時間間隔に設定されている。
尚、フレームFのフレーム構成については、例えば非特許文献1の広帯域移動アクセスシステム(HiSWANa)の標準規格ARIB STD−T70を参考にすることができる。HiSWANaは、無線通信システム用に定められた規格であるが、接続方式として参考にすることができる。
フレームFの各区間BCH,FCH,ACH,DL,UL,RCHは、下記の処理が行われる区間である。即ち、区間BCH(Broadcast Channel)は、マスタMから全スレーブSに報知情報が発信される区間である。例えば、マスタMは、この報知情報の発信時点を区間BCHの始点としてフレームFを実行し、スレーブSは、この報知情報の受信時点を区間BCHの始点としてフレームFを実行する。区間FCH(Frame Channel)は、マスタMからスレーブSにフレームFのフレーム構成に関する情報が送信される区間である。区間DL(ダウンリンク)は、マスタMからスレーブSにデータが送信される区間である。区間UL(アップリンク)は、スレーブSからマスタMにデータが送信される区間である。区間RCH(Random access Channel)は、スレーブSからマスタMに通信接続要求(リソース要求)などが送信される区間である。区間ACH(Access feedback Channel)は、マスタMからスレーブSに上記の通信接続要求の結果(即ち通信接続の許可または不許可)が送信される区間である。
より詳細には、図9の各区間DL,ULの構造は、i(i=1,2,…)番目のスレーブSiに関する区間DL,ULを区間DL Si,UL Siとすると、図10aの様に、スレーブSi(i=1,2,…)毎に各スレーブSiに関する各区間DL Si,UL Siを隣同士に配置した構造でも良く、または図10bの様に、先ず各スレーブSi(i=1,2,…)に関する区間DL Siを順に配置し、その後に各スレーブSi(i=1,2,…)に関する区間UL Siを順に配置した構造でも良い。
またより詳細には、受信時には電力線搬送波通信と無線通信とを時分割的に切り換える必要がある事を考慮して、図9の区間RCH(即ちスレーブSからマスタMに通信接続要求などが送信される区間)は、図12の様に、電力線に接続されたスレーブSからマスタMに通信接続要求が送信される区間RCH_Pと、無線に接続されたスレーブSからマスタMに通信接続要求が送信される区間RCH_Mとに区分されている。尚、区間RCH_Pおよび区間RCH_Mは、図12の様に同一フレーム内で連続して配置されても良く、または図13の様にそれぞれ別のフレームF内に分けて配置されても良い(この実施の形態では、図12の場合で説明する)。
同様に、図9のフレームFの区間UL(スレーブSからマスタMにデータが送信される区間)も、図12の様に、電力線に接続されたスレーブSからマスタMにデータが送信される区間UL_Pと、無線に接続されたスレーブSからマスタMにデータが送信される区間UL_Mとに区分されている。
マスタMからスレーブSに信号が送信される各区間BCH、FCH、ACHでは、電力線搬送波通信と無線通信とを時分割的に切り換える必要が無いので、電力線搬送波通信と無線通信との両方で同時に送信される。ここで、BCH、FCH、ACHは、無線通信に準拠したシンボル長および周波数帯域で送信される。
ただし、スレーブSが電力線に接続されたスレーブ(例えばPLCモデム9)のみの場合は、電力線搬送波通信のみで送信し、スレーブSが無線に接続されたスレーブ(例えばノートPC11)のみの場合は、無線通信のみで送信する。これにより消費電力を低減できる。
ただし、区間BCH(マスタMから全スレーブSに報知情報が発信される区間)では、電力線に接続されたスレーブSのみと通信している場合でも、無線に新たなスレーブSが接続してそのスレーブSから通信接続要求が送信される可能性がある場合は、または、無線に接続されたレーブSのみと通信を行っている場合でも、電力線に新たなスレーブSが接続してそのスレーブSから通信接続要求が送信される可能性がある場合は、電力線搬送波通信と無線通信との両方で、当該報知情報は発信される。
尚ここでは、マスタMからスレーブSに情報を送信する区間DLは、マスタMから電力線に接続されたスレーブSに情報が送信される区間DL_Pと、マスタMから無線に接続されたスレーブSに情報が送信される区間DL_Mとに区分されている。区間DLでは、電力線搬送波通信と無線通信との両方で送信しても動作上は問題はないが、両方のアナログフロントエンド部21,25を同時に動作させると、消費電力が増加するので、区間DLを各区間DL_P,DL_Mに区分して、各アナログフロントエンド部21,25を時分割的に動作させる方が消費電力を低減できる。
次にPLCモデム9(他の通信装置)の構成について詳説する。PLCモデム9は、ここでは電力線搬送波通信のみを行うので(即ち無線通信を行わないので)、上述のPLCモデム8の構成(例えば図3および図4)と比べて、アンテナ23,無線アナログフロントエンド部25および接続制御部31を省略した点、および、PLCモデム9のMAC層35では、上記のフレームFに従ってスレーブの処理が行われる点が異なる以外は、同様に構成されている。
またノートPC11(他の通信装置)は、ここでは無線通信のみを行うので(即ち電力線搬送波通信を行わないので)、ノートPC11の通信モジュール部分の構成は、上述のPLCモデム8の構成(例えば図3および図4)と比べて、PLCアナログフロントエンド部21、接続制御部31およびブリッジ部27を省略した点、および、ノートPC11のMAC層35では、上記のフレームFに従ってスレーブの処理が行われる点が異なる以外は、同様に構成されている。
尚、PLCモデム9およびノートPC11の各構成部分のうち、PLCモデム8と同じ構成部分については同一符号を付して説明を省略する。またPLCモデム9およびノートPC11の各構成概略図として、便宜上、PLCモデム8の構成概略図(例えば図3および図4)を使用する。
次に、図1,図10および図12に基づきこの通信ネットワーク1の動作を説明する。
マスタM(ここではPLCモデム8)は、上記のフレームFで定められた処理を周期的に行う。以下、説明の便宜上、1週目,2週目,3週目,…の各フレームFを順に第1フレーム,第2フレーム,第3フレーム,…と呼ぶ。
まずマスタMは、第1フレームの区間BCHで、例えば電力線搬送波通信と無線通信との両方で例えば同時に、報知情報を発信(ブロードキャスト)する。
このブロードキャストを受信したスレーブS(ここではPLCモデム9およびノートPC11)のうち、電力線に接続されたスレーブS(ここではPLCモデム9)は、第1フレームの区間RCH_Pで、マスタMに対して電力線搬送波通信で通信接続要求を送信し、他方、無線に接続されたスレーブS(ここではノートPC11)は、第1フレームの区間RCH_Mで、マスタMに対して通信接続要求を送信する。その際、マスタMは、当該区間RCH_Pでは、接続制御部31でPLCアナログフロントエンド部21を選択して電力線搬送波通信で、電力線に接続されたスレーブからの通信接続要求を受信し、他方、当該区間RCH_Mでは、接続制御部31で無線アナログフロントエンド部25を選択して無線通信で、無線に接続されたスレーブSからの通信接続要求を受信する。
そしてマスタMは、上記の通信接続要求を送信したスレーブSに対し、第2フレームの区間ACHで、通信接続が可能であれば、通信接続許可を送信する。
その際、マスタMは、例えば、接続制御部31で各アナログフロントエンド部21,25の両方を選択して、電力線搬送波通信で電力線に接続されたスレーブ(即ちPLCモデム9)に通信接続許可を送信すると同時に、無線通信で無線に接続されたスレーブ(即ちPLCモデム9)に通信接続許可を送信する。尚、マスタMは、スレーブSが電力線に接続されたスレーブのみの場合は、電力線搬送波通信のみで通信接続許可を送信し、他方、スレーブSが無線に接続されたスレーブのみの場合は、無線送信のみで通信接続許可を送信する。
そしてマスタMは、その通信接続を許可したスレーブSiに対し、例えば図10aまたは図10bの様に、各区間DL Si,UL Siの配置を割り当てる。
そしてマスタMは、第3フレームの区間FCHで、上記の通信接続を許可したスレーブSiに対し、そのスレーブSiに割り当てた各区間DL Si,UL Siの配置に関する情報を送信する。ここで、シンボル長や周波数帯域の情報も送信される。
そしてマスタMは、第3フレームの区間DL Siで、通信接続を許可したスレーブSiに対してデータを送信する。その際、マスタMは、電力線に接続されたスレーブSiに送信する際は、接続制御部31でPLCアナログフロントエンド部21を選択して電力線搬送波通信で送信し、無線に接続されたスレーブに送信する際は、接続制御部31で無線アナログフロントエンド部25を選択して無線通信で送信する。ここで、電力線搬送波通信で送信する場合には、電力線搬送波通信に適したシンボル長及び周波数帯域を用い、無線通信で送信する場合には、無線通信に適したシンボル長及び周波数帯域を用いることで、それぞれの性能に合った送信が可能である。
またマスタMは、第3フレームの区間UL Siで、通信接続を許可したスレーブSiからデータを受信する。その際、マスタMは、電力線に接続されたスレーブSiから受信する際は、接続制御部31でPLCアナログフロントエンド部21を選択して電力線搬送波通信で受信し、無線に接続されたスレーブから受信する際は、接続制御部31で無線アナログフロントエンド部25を選択して無線通信で受信する。
上記の処理が周期的に繰り返されることで、マスタM・スレーブS間で通信が行われる。
以上の様に構成された通信ネットワーク1によれば、PLCモデム9(通信装置)の信号処理部37,39は、無線通信時は、無線通信のシンボル長(第1のシンボル長)に対応して送受信系信号処理を行い、他方、電力線搬送波通信時は、電力線搬送波通信のシンボル長として無線通信のシンボル長の2n(n:整数)のシンボル長(第2のシンボル長)に対応して送受信系信号処理を行うので、無線通信の通信規格に準拠しつつ、無線通信と電力線搬送波通信の各送受信系信号処理の同期設計を容易にでき(従って回路の大型化を防止でき)、且つフレーム構成を容易にできる(従って通信制御の複雑化を防止できる)。
また、PLCモデム9(通信装置)がマスタに設定され、PLCモデム9およびノートPC11(他の通信装置)がスレーブに設定され、互いにマスタ・スレーブ方式で通信を行うので、新たな他の通信装置を容易に追加できる。
また、PLCモデム9の信号処理部37,39は、無線通信の信号の標本化周波数の2n(n:正の整数)の周波数で標本化した信号を用いることで、無線通信の通信規格に準拠しつつ、電力線搬送波通信の処理が行える。
また、PLCモデム9(通信装置)は、PLCモデム9およびノートPC11(他の通信装置)との間で時分割多元接続により通信を行うので、PLCモデム9の通信相手9,11が複数有る場合でも、PLCモデム9はそれら通信相手9,11との間で適切に通信が行える。
尚、この実施の形態では、フレーム内のBCH,FCH,ACHを無線通信と共通になる例を説明したが、BCH,FCH,ACHに関しても、電力線搬送波通信と無線通信のそれぞれに適した方式で送信しても良い。この場合、電力線搬送波通信用のBCH,FCH,ACHと無線通信用のBCH,FCH,ACHをそれぞれ送信する必要がある。
また、アクセス方式として時分割多元接続を例にとって説明したが、ポーリング(マスタMが、各スレーブSに対して、通信をしたいかどうかの問い合わせ順番に送り、返答があれば送信接続許可を与えて送信させる通信方式)によるアクセスを行う場合であっても、時分割多元接続の場合と同様の効果が得られる。尚、ポーリングによりアクセスを行う場合は、例えば、電力線に接続されたスレーブSに対してポーリングを行い、続いて、無線に接続されたスレーブSに対してポーリングを行うことで、電力線に接続されたスレーブSと無線に接続されたスレーブSとを同様に通信接続が行える。
実施の形態2.
通信機器の設置場所や通信機器の使用状況により、電力線に接続されるスレーブSの数や無線に接続されるスレーブSの数は異なる。これは、設置場所や各通信機器の使用状況により、電力線に接続されたスレーブSからの通信接続要求の頻度(回数)と無線に接続されたスレーブSからの通信接続要求の頻度(回数)は異なることを意味する。よって、上記の実施の形態1のフレームFの区間RCHを効率的に用いるために、以下のようにフレームFの区間RCH_Pおよび区間RCH_Mの割合を調整することが効果的である。
通信機器の設置場所や通信機器の使用状況により、電力線に接続されるスレーブSの数や無線に接続されるスレーブSの数は異なる。これは、設置場所や各通信機器の使用状況により、電力線に接続されたスレーブSからの通信接続要求の頻度(回数)と無線に接続されたスレーブSからの通信接続要求の頻度(回数)は異なることを意味する。よって、上記の実施の形態1のフレームFの区間RCHを効率的に用いるために、以下のようにフレームFの区間RCH_Pおよび区間RCH_Mの割合を調整することが効果的である。
即ち、連続するフレームFを第1フレーム,第2フレーム,…,第Nフレームとし、これらをまとめて一つの単位とする。例えば、無線で接続されたスレーブSが少ない場合は、第1フレームの区間RCHには、区間RCH_Pと区間RCH_Mの両方を配置し、第2フレームから第Nフレームの各区間RCHには、区間RCH_Pのみを配置する。または第1フレームの区間RCHには、区間RCH_Mのみを配置し、第2フレームから第Nフレームの各区間RCHには、区間RCH_Pのみを配置してもよい。
逆に、電力線で接続されるスレーブSが少ない場合は、第1フレームの区間RCHには、区間RCH_PとRCH_Mの両方を配置し、第2フレームから第Nフレームの各区間RCHには、区間RCH_Mのみを配置する。または第1フレームの区間RCHには、区間RCH_Pのみを配置し、第2フレームから第Nフレームの各区間RCHには、区間RCH_Mのみを配置してもよい。
尚、区間RCH_Pと区間RCH_Mの割合は、マスタM(ここではPLCモデム8)に設定入力部を設け、その設定入力部に設定入力する設定値に応じて設定される様にしても良い。即ちその様にする場合のマスタM(通信装置)は、設定入力部と、前記設定入力部に設定入力された設定値に基づき、スレーブS(他の通信装置)からの通信接続要求を受ける区間RCH(物理チャンネル)において、電力線搬送波通信用の区間RCH_Pと無線通信用の区間RCH_Mとの割合を制御する通信制御部(この通信制御部は、例えばMAC層27が担当する)とを備えることになる。この様にすれば、ユーザまたは管理者による設定入力部への設置値に応じて前記割合を自由に調整でき、これによりスレーブSからの通信接続要求を受ける物理チャンネルを効率的に用いる事ができる。
または、上記の様に設定入力部を設ける以外に、区間RCH_Pと区間RCH_Mの割合は、マスタMが電力線搬送波通信でスレーブSからの通信接続要求を受信した回数と、マスタMが無線通信でスレーブSからの通信接続要求を受信した回数との割合に応じて自動的に設定される様にしても良い。その様にする場合のマスタM(通信装置)は、電力線搬送波通信でスレーブS(他の通信装置)からの通信接続要求を受信した回数と、無線通信でスレーブS(他の通信装置)からの通信接続要求を受信した回数との割合を検出し、その割合に基づき、スレーブSからの通信接続要求を受ける区間RCH(物理チャンネル)において、電力線搬送波通信用の区間RCH_Pと無線通信用の区間RCH_Mとの割合を制御する通信制御部(この通信制御部は、例えばMAC層27が担当する)とを備えることになる。この様にすれば、電力線搬送波通信でスレーブSからの通信接続要求を受信した回数と、無線通信でスレーブSからの通信接続要求を受信した回数とに応じて自動的に電力線搬送波通信用の区間RCH_Pと無線通信用の区間RCH_Mとの割合を調整でき、これによりスレーブSからの通信接続要求を受ける物理チャンネルを効率的に用いる事ができる。
上記の例以外でも、電力線に接続されるスレーブSと無線に接続されるスレーブSとの割合や通信の重要度に応じて、N個の連続するフレームで、区間RCH_Pと区間RCH_Mとの割合を変えることで、通信ネットワークの物理チャネルや周波数帯域を有効に使うことができる。
実施の形態3.
この実施の形態では、スレーブSが、電力線搬送波通信と無線通信との両方の通信機能を有する場合について説明する。この場合のスレーブSは、電力線搬送波通信と無線通信のうち通信状態の良い方を選択してマスタMと通信を行う事ができる。
この実施の形態では、スレーブSが、電力線搬送波通信と無線通信との両方の通信機能を有する場合について説明する。この場合のスレーブSは、電力線搬送波通信と無線通信のうち通信状態の良い方を選択してマスタMと通信を行う事ができる。
この場合のスレーブSは、上記の実施の形態1のPLCモデム8の構成(例えば図3および図4)と比べて、ブリッジ部27が省略される点、および、当該スレーブSのMAC層35では、上記のフレームFに従ってスレーブの処理が行われる点が異なる以外は、同様に構成される。
尚、この場合のスレーブSの構成部分のうち、上記の実施の形態1のPLCモデム8と同じ構成部分については同一符号を付して説明を省略する。またこの場合のスレーブSの構成概略図として、便宜上、上記の実施の形態1のPLCモデム8の構成概略図(例えば図3および図4)を使用する。
次に図14に基づき、この場合のスレーブSの動作(特にマスタMと通信接続する際の動作)を説明する。
ステップS1で、スレーブSは、第1フレームの区間BCHで、マスタMから発信される報知情報を電力線搬送波通信のみで受信する。そしてステップS2で、スレーブSは、その受信した報知情報に含まれるトレーニング信号に基づき電力線搬送波通信の伝送路状況を解析する。
そしてS3で、スレーブSは、第2フレームの区間BCHで、マスタMから発信される報知情報を無線通信のみで受信する。そしてステップS4で、スレーブSは、その受信した報知情報に含まれるトレーニング信号に基づき無線通信の伝送路状況を解析する。
そしてステップS5で、スレーブSは、上記の解析結果に基づき電力線搬送波通信の伝送路状況と無線通信の伝送路状況とを比較し、それら2つの通信のうち、より良好な方を選択する(即ち、より良好な方の通信を使用する)。
そしてスレーブSは、ステップS5で、電力線搬送波通信を選択した場合は、第2フレームの区間RCH_Pで、マスタMに対して電力線搬送波通信で通信接続要求を送信し、他方、無線通信を選択した場合は、第2フレームの区間RCH_Pで、マスタMに対して無線通信で通信接続要求を送信する。
これに対し、マスタMは、第2フレームの区間RCH_PでスレーブSからの上記の通信接続要求を受信すると、そのスレーブSに割り当てるべき区間DL,ULとして、電力線搬送波通信を用いる区間DL_P,UL_Pを割り当て、他方、第2フレームの区間RCH_MでスレーブSからの上記の通信接続要求を受信すると、そのスレーブSに割り当てるべき区間DL,ULとして、無線通信を用いる区間DL_M,UL_Mを割り当てる。以後は、マスタMは、上記の実施の形態1の場合と同様の動作をする。
そしてステップ6で、スレーブSは、引き続き、各フレームの区間BCHで、マスタMから発信される報知情報を上記と同様に電力線搬送波通信のみと無線通信のみとで交互に受信し、それら2つの通信の伝送路状況を解析し、その結果を比較して、それら2つの通信のうちのより良好な方を選択する。そしてスレーブSは、その選択した通信が現在使用している通信と同じ場合は、現在使用している通信の伝送路状況に変化は無いと判断して、現在使用している通信を引き続き用いる(そしてステップS6を繰り返す)。他方、スレーブSは、その選択した通信が現在使用している通信と異なる場合は、現在使用している通信の伝送路状態が悪化したと判断して、ステップS7で、現在使用している通信をその選択した通信に切り換える。そしてスレーブSは、その切り換えた通信でマスタMに対して通信で通信接続要求を送信する。そしてステップS6に戻る。
以上の様に構成された通信ネットワーク1によれば、電力線搬送波通信機能と無線通信機能との両方の通信機能を有するスレーブS(通信装置)は、それら各通信機能を接続制御する接続制御部31と、電力線搬送波通信と無線通信との両方でマスタM(他の通信装置)からの伝送路状況に関する情報を取得し、それら各情報に基づきそれら各通信の伝送路状況を比較し、伝送路状況のより良好な方の通信を選択し、接続制御部31を介してその選択した通信で第マスタMに対して通信接続要求を行うMAC層27(通信制御部)とを備えるので、マスタMとの間でより良好な通信を行う事ができる。
尚、この実施の形態では、スレーブSにおいて、電力線搬送波通信と無線通信との各伝送路状況の解析は、異なるフレームの区間BCHで発信された報知情報に基づいて行われたが、それは、スレーブSでは、電力線搬送波通信と無線通信との両方で同時に当該報知情報を受信できないからである。従って、同じフレームの異なる区間(例えばBCH,FCH,ACH,DLの何れか2つの区間)で発信される情報に基づいてそれら2つの通信の伝送路状況を解析する様にすれば、同じフレーム内で発信される情報に基づいてそれら2つの通信の伝送路状況を解析できる。
尚、この実施の形態では、トレーニング信号に基づいて伝送路状況の解析を行ったが、トレーニング信号の他に、スレーブSまたはマスタMのMAC層26の品質管理部の通信品質検査で用いている伝送路状況に関する情報(受信信号強度、チャネル推定結果、CRC(Cyclic Redundancy Check)、誤り訂正数等)を用いても構わない。この様にしても同様の効果を得る。
実施の形態4.
上記の実施の形態1では、電力線搬送波通信と無線通信とを同一の通信方式で行う必要がある。しかし、無線通信では様々な規格が実用化されており、様々な通信機器とアクセスを行うことが求められている。このような要求に対処するために、この実施の形態では、マスタMおよびスレーブSでの送受信系信号処理をソフトウェアで処理することで、ソフトウェアに応じて様々な通信規格に対応できる様にした。
上記の実施の形態1では、電力線搬送波通信と無線通信とを同一の通信方式で行う必要がある。しかし、無線通信では様々な規格が実用化されており、様々な通信機器とアクセスを行うことが求められている。このような要求に対処するために、この実施の形態では、マスタMおよびスレーブSでの送受信系信号処理をソフトウェアで処理することで、ソフトウェアに応じて様々な通信規格に対応できる様にした。
この実施の形態のマスタM(PLCモデム8)は、図15の様に構成される。即ちこのマスタMは、上記の実施の形態1のPLCモデム8の構成(例えば図4)と比べて、受信系信号処理部37および送信系信号処理部39がそれぞれ、ソフトウエアによりデジタル信号処理を行う様になっており、ソフトウエアに応じて異なる通信規格に対応可能になっている点、および、MAC層35の制御に応じて、受信系信号処理部37および送信系信号処理部39の各デジタル信号処理で用いられるソフトウエアを切り換えるデジタル信号処理切換部45を更に備える点が相異する以外は、同様に構成される。この実施の形態のマスタM(PLCモデム8)の構成部分のうち、上記の実施の形態1のマスタM(PLCモデム8)と同じ構成部分については同一符号を付して説明を省略する。
次にこのマスタMの動作を説明する。このマスタM(PLCモデム8)では、送信時は、MAC層35の制御の下、制御部31bにより開閉スイッチSW2,SW4が閉じられると共に、デジタル信号処理切換部45により複数の信号処理ソフトウエアの中から所定の通信規格に対応したものが選択される。そして、MAC層35からの信号は、送信系信号処理部38で上記の選択されたソフトウエアに基づいて送信系信号処理され、D/A変換部43でアナログ信号に変換され、開閉スイッチSW2,SW4を介して各アナログフロントエンド部21,25に出力され、無線アナログフロントエンド部25からアンテナ23を介して無線送信されると共に、PLCアナログフロントエンド部25から電力線7を介して電力線搬送波通信される。
他方、受信時は、MAC層35の制御の下、デジタル信号処理切換部45により複数の信処理ソフトウエアの中から所定の通信規格に対応したものが選択される。そしてMAC層35の制御の下、例えば先ず、制御部31bにより開閉スイッチSW1が閉じられ(その間、開閉スイッチSW3は開かれる。)、これによりアンテナ23を介して無線アナログフロントエンド部25で受信された受信信号は、開閉スイッチSW1を介してA/D変換部41に入力されてデジタル信号に変換され、受信系信号処理部37で上記の選択されたソフトウエアに基づいて受信系信号処理されてMAC層35に出力される。そして次に、MAC層35の制御の下、制御部31bにより開閉スイッチSW3が閉じられ(その間、開閉スイッチSW1は開かれる。)、これによりPLCアナログフロントエンド部21で受信された受信信号は、開閉スイッチSW3を介してA/D変換部41に入力されてデジタル信号に変換され、受信系信号処理部37で上記の選択されたソフトウエアに基づいて受信系信号処理されてMAC層35に出力される。この様に受信時は、無線通信での受信と電力線搬送波通信での受信とが時分割的に行われる。
尚、上記の受信時の説明では、電力線搬送波通信時と無線通信時とで同じ信号処理ソフトウエアを用いたが、それら2つの通信時で異なる信号処理ソフトウエアを用いても良い。
尚、上記の送信時の説明では、電力線搬送波通信時と無線通信時とで同じ信号処理ソフトウエアを用いたが、それら2つの通信時で異なる信号処理ソフトウエアを用いても良い。この場合は、受信時と同様、無線通信での送信と電力線搬送波通信での送信とを時分割的に行う必要がある。
次にこの実施の形態のスレーブSの構成について説明する。まずスレーブSが、上記の実施の形態3の様に、電力線搬送波通信と無線通信との両方の通信機能を有する場合について説明する。この場合のスレーブSは、上記のマスタM(例えば図3および図15)と比べて、ブリッジ部27を省略した点、および、スレーブSのMAC層35では、フレームFに従ってスレーブの処理が行われる点が異なる以外は、同様に構成されている。尚、この場合のスレーブSの構成部分のうち、上記のマスタMと同じ構成部分については同一符号を付して説明を省略する。またこの場合のスレーブSの構成概略図として、便宜上、上記のマスタMの構成概略図(例えば図15)を使用する。
この場合のスレーブSの動作(特にマスタMとの通信接続の際の動作)を図15および図16に基づいて説明する。このスレーブSでは、送信系信号処理部39では、電力線搬送波通信時と無線通信時とで異なる信号処理ソフトウエアが用いられ、受信系信号処理部37でも、電力線搬送波通信時と無線通信時とで異なる信号処理ソフトウエアが用いられる場合で説明する。
このスレーブSでは、ステップT1で、デジタル信号処理切換部45により複数の信号処理ソフトウエアの中から電力線搬送波通信の所定の通信規格に対応したものが選択される。
そしてステップT2で、スレーブSでは、第1フレームの区間BCHで、接続制御部31により開閉スイッチSW3が閉じられると共に開閉スイッチSW1が開かれて、マスタMから発信される報知情報が電力線搬送波通信のみで受信される。
そしてステップT3で、スレーブSでは、その受信信号が、受信系信号処理部37により、ステップT1で選択された上記の信号処理ソフトウエアに基づいて受信系信号処理される。そしてスレーブSのMAC層35により、その信号処理された受信信号に含まれる伝送路状況に関する情報に基づいて電力線搬送波通信の伝送路状況が解析される。
そしてステップT4で、スレーブSでは、デジタル信号処理切換部45により複数の信号処理ソフトウエアの中から無線通信の所定の通信規格に対応したものが選択される。
そしてステップT5で、スレーブSでは、第2フレームの区間BCHで、接続制御部31により開閉スイッチSW1が閉じられると共に開閉スイッチSW3が開かれて、マスタMから発信される報知情報が無線通信のみで受信される。
そしてステップT6で、スレーブSでは、その受信信号が、受信系信号処理部37により、ステップT4で選択された上記の信号処理ソフトウエアに基づいて受信系信号処理される。そしてスレーブSのMAC層35により、その信号処理された受信信号に含まれる伝送路状況に関する情報に基づいて無線通信の伝送路状況が解析される。
そしてステップT7で、スレーブSでは、MAC層35により、上記の解析結果に基づき電力線搬送波通信の伝送路状況と無線通信の伝送路状況とが比較され、それら2つの通信のうち、より良好な方が選択される(即ち、より良好な方の通信が使用される)。
そしてその選択の結果、電力線搬送波通信が選択された場合は、スレーブSは、デジタル信号処理切換部45により、ステップT1で選択された電力線搬送波通信の所定の通信規格に対応した信号処理ソフトウエアを選択する。そしてスレーブSでは、第2フレームの区間RCH_Pで、接続制御部31により開閉スイッチSW4が閉じられると共に開閉スイッチSW2が開けられて、MAC層35からの通信接続要求の信号が、送信系信号処理部39により上記の選択された信号処理ソフトウエアに基づいて送信系信号処理され、D/A変換部43によりアナログ信号に変換され、PLCアナログフロントエンド部21から電力線搬送波通信でマスタMに送信される。
他方その選択の結果、無線通信が選択された場合は、スレーブSは、デジタル信号処理切換部45により、ステップT4で選択された無線通信の所定の通信規格に対応した信号処理ソフトウエアを選択する。そしてスレーブSでは、第2フレームの区間RCH_Pで、接続制御部31により開閉スイッチSW2が閉じられると共に開閉スイッチSW4が開けられて、MAC層35からの通信接続要求の信号が、送信系信号処理部39により上記の選択された信号処理ソフトウエアに基づいて送信系信号処理され、D/A変換部43によりアナログ信号に変換され、無線アナログフロントエンド部25から無線通信でマスタMに送信される。
これに対し、マスタMは、第2フレームの区間RCH_PでスレーブSからの上記の通信接続要求を受信すると、そのスレーブSに割り当てるべき区間DL,ULとして、電力線搬送波通信を用いる区間DL_P,UL_Pを割り当て、他方、第2フレームの区間RCH_MでスレーブSからの上記の通信接続要求を受信すると、そのスレーブSに割り当てるべき区間DL,ULとして、無線通信を用いる区間DL_M,UL_Mを割り当てる。
そしてステップT8で、スレーブSは、引き続き、各フレームの区間BCHで、マスタMから発信される報知情報を上記と同様に電力線搬送波通信のみと無線通信のみとで交互に受信し、それら2つの通信の伝送路状況を解析し、その結果を比較して、それら2つの通信のうちのより良好な方を選択する。そしてスレーブSは、その選択した通信が現在使用している通信と同じ場合は、現在使用している通信の伝送路状況に変化は無いと判断して、現在使用している通信を引き続き使用する(そしてステップT8を繰り返す)。他方、スレーブSは、その選択した通信が現在使用している通信と異なる場合は、現在使用している通信の伝送路状態が悪化したと判断して、ステップT9で、現在使用している通信をその選択した通信に切り換えて、上述と同様にしてマスタMに通信接続要求を送信する。そしてステップT8に戻る。
以上の様に構成された通信ネットワーク1によれば、マスタM(通信装置)および/またはスレーブS(通信装置)は、ソフトウエアにより送受信系の信号処理を行い、ソフトウエアに応じて通信規格が変更可能な送受信系信号処理部37,39を備えるので、ソフトウエアを変更するだけで様々な通信規格に対応できる。
尚、スレーブSが電力線搬送波通信の通信機能のみを有する場合は、上記のスレーブ(電力線搬送波通信と無線通信との両方の通信機能を有するスレーブ)Sの構成と比べて、アンテナ23,無線アナログフロントエンド部25および接続制御部31を省略した点が異なる以外は、同様に構成されている。またスレーブSが無線通信の通信機能のみを有する場合は、上記のスレーブ(電力線搬送波通信と無線通信との両方の通信機能を有するスレーブ)Sの構成と比べて、PLCアナログフロントエンド部21および接続制御部31を省略した点が異なる以外は、同様に構成されている。なので、これらのスレーブSの動作の説明は省略する。
1 通信装置、3 建物、5 コンセント、7 電力線、8,9,13 PLCモデム、11 無線端末機、15 インターネット、17,18 有線端末機、21 PLCアナログフロントエンド部、23 アンテナ、25 無線アナログフロントエンド部、27 ブリッジ部、29 モデムLSI、31 接続制御部、33 物理層、35 MAC層、35a 品質管理部、35b トレーニング部、35c スケジューリング部、35d 制御部、37 受信系信号処理部、37a ゲイン検出部、37b キャリア周波数同期部、37c FFT部、37d チャネル路推定部、37e 等化部、37f サブキャリア復調部、37g 誤り訂正部、39 送信系信号処理部、39a 誤り訂正部、39b サブキャリア変調部、39c 逆FFT部、41 A/D変換部、43 D/A変換部、45 デジタル信号処理切換部、M マスタ、S1,S2,S3 スレーブ、Tsシンボル長の区間、Tg ガードインターバル。
Claims (11)
- 電力線搬送波通信と無線通信との両方の通信機能を有する通信装置において、無線通信時は、第1のシンボル長に対応して送受信系信号処理を行い、他方、電力線搬送波通信時は、第1のシンボル長の2n(n:整数)倍の長さを持つ第2のシンボル長に対応して送受信系信号処理を行うことを特徴とする通信装置。
- 電力線搬送波通信と無線通信との両方の通信機能を有する通信装置において、無線通信によって送受信される信号の標本化周波数の2n(n:正の整数)倍の周波数で標本化された信号を電力線搬送波通信に用いることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
- 電力線搬送波通信と無線通信との両方の通信機能を有する通信装置において、通信方式としてOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)を用いて、共通のデジタル変復調回路によって電力線搬送波通信の変復調処理と無線通信の変復調処理とを行うことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
- 前記通信装置は、電力線搬送波通信と無線通信との少なくとも一方の通信機能を有する1つ以上の他の通信装置との間でマスター・スレーブ方式で通信を行うことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
- 電力線搬送波通信と無線通信との各通信の接続を制御する接続制御部と、
電力線搬送波通信と無線通信との両方の通信機能を有する他の通信装置との間で通信を行う際に、電力線搬送波通信と無線通信との両方で前記他の通信装置からの伝送路状況に関する情報を取得し、それら各情報に基づきそれら各通信の伝送路状況を比較し、伝送路状況のより良好な方の通信を選択し、前記接続制御部を介してその選択した通信で前記他の通信装置との間で通信を行う通信制御部と
を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。 - 設定入力部と、
前記設定入力部に設定入力された設定値に基づき、他の通信装置からの通信接続要求を受ける物理チャンネルにおいて、電力線搬送波通信用の物理チャンネルと無線通信用の物理チャンネルとの割合を制御する通信制御部と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。 - 電力線搬送波通信で他の通信装置からの通信接続要求を受信した回数と、無線通信で他の通信装置からの通信接続要求を受信した回数との割合を検出し、その割合に基づき、他の通信装置からの通信接続要求を受ける物理チャンネルにおいて、電力線搬送波通信用の物理チャンネルと無線通信用の物理チャンネルとの割合を制御する通信制御部と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。 - 前記通信装置は、他の通信装置との間で時分割多元接続により通信を行うことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
- 無線通信の規格としては、ARIBSTD−T70に記載されている規格を使用することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
- 前記通信装置は、他の通信装置との間でポーリングによる多元接続により通信を行うことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
- 前記通信装置は、ソフトウエアにより送受信系信号処理を行い、ソフトウエアに応じて通信規格が変更可能な送受信系信号処理部を備えることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
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