JP2009029921A - 成形材料及び成形品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】不飽和ポリエステル樹脂組成物をガラスファイバーに含浸させてなる成形材料であって、上記不飽和ポリエステル樹脂組成物は、不飽和ポリエステル樹脂、低収縮化剤、無機充填材、ガラスマイクロバルーン、多官能イソシアネート化合物及び有機ベントナイトを含有し、該有機ベントナイトが脂肪族系化合物で処理されたものであり、不飽和ポリエステル樹脂及び低収縮化剤の総量を100質量部とすると、ガラスマイクロバルーンが5〜50質量部、多官能イソシアネート化合物が0.3〜5質量部、有機ベントナイトが0.5〜10質量部である成形材料。
【選択図】 なし
Description
しかしながら、これらの材料から形成される成形品においても、各種物性を維持しながら自動車外板用プラスチック素材等の様々な用途において高外観化及び低密度化を両立させることはできず、そのため種々の用途において従来よりも高い性能を発揮することができる成形材料が求められるところであった。
本明細書中、低密度成形品とは、密度1.15〜1.65(g/cm3)の成形品をいう。
以下に本発明を詳述する。
中でも、有機ベントナイトは、成形品の表面平滑性を向上させるという本発明の重要な特徴を発揮し、これに起因して本発明の成形品が低密度と高外観とを両立することを可能とする。このような有機ベントナイトについて先ず説明し、次に、本発明の成形材料に必須となる他の成分、用いることができるその他添加物について説明する。
0.5質量部未満では表面平滑性向上効果が得られず、10質量部を超えると粘度が高くなり過ぎるため含浸性が悪くなる。好ましい下限は1質量部、上限は6質量部であり、より好ましい下限は2質量部、上限は3質量部である。
上記有機ベントナイトの調製方法等は、例えば、鬼形正伸、「有機ベントナイトの特性及び今後の展開」、スクメタイト研究会 会報、2003年5月、第13巻第1号、p.2−15に記載されている。
ベントナイトは、モンモリロナイトを主成分として、珪酸鉱物等を副成分として含有する弱アルカリ性粘土岩である。モンモリロナイトは、粘土鉱物の一種である。本明細書中、ベントナイトは、一般的に入手することができるものすべてを対象とすることができる。
上記有機カチオンとは、脂肪族系化合物であって、分子内にカチオンを少なくとも1つ有するものである。
上記有機カチオンは、ベントナイトに有機基を付与する有機化剤として働き、例えば、第4級アンモニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。中でも、第4級アンモニウム塩が好ましい。
上記第4級アンモニウム塩とは、窒素原子に4つの脂肪族基が結合したカチオンである。
上記第4級アンモニウム塩としては、例えば、トリメチルオクチルアンモニウム、トリメチルドデシルアンモニウム、トリメチルオクタデシルアンモニウム、トリメチルステアリルアンモニウム(TMS)等のアルキルトリメチルアンモニウムイオン;ジメチルジオクチルアンモニウム、ジメチルジドデシルアンモニウム、ジメチルジオクタデシルアンモニウム(DMDO)等のジメチルジアルキルアンモニウムイオン;トリオクチルメチルアンモニウム、トリドデシルメチルアンモニウム等のトリアルキルメチルアンモニウムイオン;オレイルビス(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニウム(OHEM)等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
すなわち、本発明において、上記脂肪族系化合物は、水酸基を有する第4級アンモニウム塩を含有することが特に好ましい。このようなものとすることにより、成形品の種々の物性を維持しながら、表面平滑性を更に優れたものとすることができる。
本発明の成形材料は、芳香族系化合物で処理された有機ベントナイトを含まないものであることが好ましい。すなわち、下記表1中に例示されるような、脂肪族系化合物で処理された有機ベントナイトのみを含むものが好ましい。芳香族系化合物で処理された有機ベントナイトを成形材料に配合すると、熟成中に成形材料がゲル化するおそれがある。ゲル化の理由は明らかではないが、芳香族基の存在により有機ベントナイトにおける活性原子(例えば、窒素原子)の活性が異なることに起因するものと推察される。芳香族系化合物で処理された有機ベントナイトとは、ベントナイトを芳香族系化合物で反応させたものであり、例えば、エスベンC、エスベン、オルガナイトD、エスベンNZ、エスベンNZ70、エスベンNEZ、エスベンWX(商品名、ホージュン社製)が挙げられる。芳香族系化合物とは、芳香族基を有する有機化合物を意味し、例えばジメチルステアリルベンジルアンモニウム(DMSB)が挙げられる。ジメチルステアリルベンジルアンモニウムは一般的には第4級アンモニウム塩に含まれるとされる場合があるが、芳香族基を有するものであるので、上述した脂肪族化合物である第4級アンモニウム塩とは異なるものである。
上記有機化剤(脂肪族系化合物、脂肪族系化合物及び芳香族系化合物、又は、芳香族系化合物)で処理された有機ベントナイトの商品名を下記表1に例示する。
上記不飽和ポリエステルは、不飽和ポリエステル樹脂及び低収縮化剤の総量を100質量部とすると、20〜60質量部であることが好ましい。より好ましくは、20〜40質量部である。
上記不飽和ポリエステルは、α,β−オレフィン系不飽和ジカルボン酸又はその無水物とグリコールの付加反応又は脱水縮合反応によって合成されるものである。また飽和ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸若しくはその無水物又はカルボン酸と反応するジシクロペンタジエン等も併用することができる。ジシクロペンタジエンを併用することは、耐水性、透明性、着色性の点で好ましい。α,β−オレフィン系不飽和ジカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸及びこれらジカルボン酸の無水物が挙げられる。これらの中でマレイン酸、フマル酸が反応性の点で好ましい。これらα,β−オレフィン系不飽和ジカルボン酸と併用されるジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、フタル酸無水物、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラクロロフタル酸等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの中で、イソフタル酸及び/又はテレフタル酸が耐水性、耐食性の点で好ましい。
この重合性不飽和単量体は、不飽和ポリエステル樹脂の架橋性モノマーとして一括で処方中へ投入されるが、希釈剤として本発明の成形材料処方中に加えることもできる。
上記低収縮化剤は、不飽和ポリエステル樹脂及び低収縮化剤の総量を100質量部とすると、10〜40質量部であることが好ましい。
無機充填材の平均粒径は、0.5〜50μmのものが好ましい。更にシランカップリング剤、チタンカップリング剤等の表面改質剤で表面処理したものも用いることができる。上記平均粒径は、1〜10μmのものがより好ましい。
本発明の成形材料において、上記不飽和ポリエステル樹脂組成物は、不飽和ポリエステル樹脂及び低収縮化剤の総量を100質量部とすると、無機充填材20〜150質量部を含有するものであることが好ましい。20質量部未満とすると、成形時に外観が悪くなるおそれがある。150質量部を超えると、樹脂組成物の粘度が高くなり含浸不良が生じやすくなるおそれがある。
上記範囲とすることにより、成形材料から得られる成形品を低密度化するとともに、その強度を高めることができる。
5質量部未満では軽量、補強効果が不充分であり、50質量部を超えると分散相の容積が増大するため流動性が大幅に低下する。
好ましい下限は10質量部、上限は40質量部である。
上記ガラスマイクロバルーンは、ガラス中空体であり、本明細書中では上記無機充填材とは異なるものであり、密度が1.2(g/cm3)以下のものを意味する。例えば、スコッチライト(登録商標) グラスバブルズ(商品名、住友スリーエム社製)、セルスター(商品名、旭硝子社製)、ガラスマイクロバルーン(商品名、富士デヴィソン化学社製)等を用いることができる。
これらガラスマイクロバルーンはアミノシラン系、グリシドシラン系、アクリルシラン系等のカップリング剤の1種又は2種以上で処理されたものを使用してもよい。処理されたマイクロバルーンは、密着性が改良されることになる。
上記多官能イソシアネート化合物としては、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソプロピリデンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4(又は2,4,4)−トリメチル−1,6−ジイソシアネートヘキサン、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,5−及び/又は2,6−ジイソシアネートメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン、α,α′−テトラメチル−m−キシリレンジイソシアネート、α,α′−テトラメチル−p−キシリレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、α−(3−イソシアネートフェニル)エチルイソシアネート、α−(3−イソシアネートフェニル)メチルイソシアネート、α−(4−イソシアネートフェニル)メチルイソシアネート等、並びに、これらジイソシアネートより誘導されるイソシアヌレート型ポリイソシアネート、ビュレット型ポリイソシアネート及びウレタン型ポリイソシアネート等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記ガラスファイバーは、成形材料の総量を100質量部とすると、5〜50質量部含まれるものであることが好ましい。上記範囲とすることにより、成形品が優れた外観や機械的特性、耐水性、耐食性、電気絶縁性等を呈することになる。5質量部未満であれば、上述した効果を充分に発揮することができないおそれがある。50質量部を超えると、不飽和ポリエステル樹脂組成物のガラスファイバーへの含浸が悪くなり、成形品に膨れが発生する等外観が著しく低下するおそれがある。上記ガラスファイバーは、20〜40質量部含まれるものであることがより好ましい。
繊維長が2mmより短いと、成形材料を成形した場合、成形品の強度物性が低下するおそれがある。50mmより長いと、外観が悪くなるおそれがある。
繊維長は、より好ましくは10〜35mmである。
上記硬化剤については、目標とする成形サイクルに応じて公知の有機過酸化物の中から選択することができる。樹脂組成物に配合される硬化剤としては、t−ブチルパーオキシベンゾエート(TBPB)、t−ブチルパーオキシオクトエート(TBPO)、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート(THPB)、t−ヘキシルパーオキシオクトエート(THPO)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)シクロヘキサン(DDBPH)、t−アミルパーオキシオク卜エート(TAPO)、t−ブチルイソプロピルパーオキシカーボネート(TBIPC)等の有機過酸化物の中から所望の硬化速度に応じて少なくとも1種を選ぶことができ、不飽和ポリエステル樹脂及び低収縮化剤の総量を100質量部とすると、0.1〜4質量部配合されることが好ましい。
上記内部離型剤は、不飽和ポリエステル樹脂及び低収縮化剤の総量を100質量部とすると、1〜10質量部配合されることが好ましい。
上記増粘剤としては公知のものを使用することができる。例えば、マグネシウム、カルシウム等の酸化物又は水酸化物、トリレンイソシアネート(TDI)等のイソシアネート類が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。中でも、酸化マグネシウムが好ましい。
上記増粘剤は、多官能イソシアネート化合物1質量部に対して0.2〜4.0質量部配合されることが好ましい。
本発明の成形品は、公知の圧縮成形法、射出成形法などを用いて、上記成形材料を、加熱した金型で、適切に加圧しながら硬化させることにより成形品を製造することができる。
型締め速度、真空条件などは、従来公知の条件を採用することができる。
加熱成形時に加圧する場合は、成形品にかかる圧力は、好ましくは0.3〜20MPa、さらに好ましくは2〜15MPa程度にすることが望ましい。
外観材としては、Long term wave:25以下(単位無し)、Short term wave:45以下(単位無し)が好ましい。ただし、外観材でもグレードはあり、自動車外板用としては、long term wave:10以下、short term wave:20以下が好ましい。
温度計、窒素ガス導入管、還流冷却器、及び攪拌機を備えたフラスコを反応器とした。この反応器に、無水マレイン酸100モル、プロピレングリコール100モルを仕込んだ。次に上記の内容物を窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら、180〜200℃の温度範囲で8時間反応させ、不飽和ポリエステル(A)を得た。この不飽和ポリエステル(A)の酸価は27.0mgKOH/gであった。
不飽和ポリエステル(A) 40質量部、SBS(シェル化学社製、商品名:クレイトンD1300X)15質量部、スチレンモノマー 45質量部、炭酸カルシウム(日東粉化社製、商品名:NS#200)120質量部、ガラスマイクロバルーン(住友スリーエム社製、商品名:スコッチライト(登録商標)グラスバブルズK37)10質量部、有機化ベントナイト(ホージュン社製、商品名:エスベンNO12S)2質量部、内部離型剤(ステアリン酸亜鉛、日本油脂社製)5質量部、硬化剤(日本油脂社製、TBPB)1質量部、重合禁止剤(パラベンゾキノン:PBQ)0.04質量部、各原料を充分に均一分散させた。このペーストにMDI(三井化学ポリウレタン社製、コスモネートPH) 1質量部を加えて1分攪拌し、次いで酸化マグネシウム(協和化学工業社製、商品名:キョウマグ#20)1質量部を加えて2分攪拌後、直ちに公知のSMC含浸機に供給し、1インチカットされたガラス繊維(日本電気硝子社製 S235)が成形材料の33%になるように添加し、充分に含浸させて、SMCを調製した。このSMCを40℃で48時間熟成させた。
300mm角平板金型を用いて、金型温度は、製品面が145℃、裏面が130℃で、面圧3MPaで加熱圧縮成形し、板厚3mmの平板を得た。これを用いて、各種物性を測定した。
(実施例2〜9、比較例1〜5)
下記表2に記載した成形材料の配合を変更した以外は、実施例1と同様にSMCを調製し、成形を行い、各種物性を測定した。
[フィルム剥離性]
SMC増粘後にポリプロピレンフィルムからの剥離性を確認し、以下の4段階で評価した。
◎:べたつきがなく、至極簡単にフィルムから剥がし易い。
○:べたつきがなく、簡単にフィルムから剥がし易い。
△:べたつきがあり、一部フィルムから剥がすときに付着物が残る。
×:フィルムに密着する。
[硬化収縮率]
硬化収縮率は、JIS K6911に準拠して測定した。
[曲げ特性]
曲げ特性は、JIS K7055に準拠して測定した。
[外観]
成形品の外観は、目視にて評価するとともに、表面平滑性の評価をBYK−Gardner社製、Wave Scan DOIを使用して行った。測定はLong term wave及びShort term waveで行った。比較例5が通常の高外観SMC成形品(密度1.88)となる。
結果を下記表3に示す。
Claims (3)
- 不飽和ポリエステル樹脂組成物をガラスファイバーに含浸させてなる成形材料であって、
該不飽和ポリエステル樹脂組成物は、不飽和ポリエステル樹脂、低収縮化剤、無機充填材、ガラスマイクロバルーン、多官能イソシアネート化合物及び有機ベントナイトを含有し、
不飽和ポリエステル樹脂及び低収縮化剤の総量を100質量部とすると、ガラスマイクロバルーンが5〜50質量部、多官能イソシアネート化合物が0.3〜5質量部、有機ベントナイトが0.5〜10質量部であることを特徴とする成形材料。 - 前記不飽和ポリエステル樹脂組成物は、不飽和ポリエステル樹脂及び低収縮化剤の総量を100質量部とすると、無機充填材20〜150質量部を含有するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の成形材料。
- 請求項1〜3の何れかに記載の成形材料を成形することにより得られることを特徴とする成形品。
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