JP2009028656A - 排ガス処理方法及び排ガス処理装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】石炭Cなどの化石燃料を石炭焚きボイラBで燃焼させる際にこの石炭焚きボイラBから排出される排ガス中に含まれる水銀を除去する排ガス処理方法であって、粉砕した石炭C及び塩素化合物Clを石炭焚きボイラBに供給して燃焼させ、石炭焚きボイラBからの煙道Rに配置した脱塵部5の上流側近傍に塩化水素吸着剤を供給して過剰な塩化水素を吸着させ、塩化水素を吸着した塩化水素吸着剤を脱塵部5で煤塵とともに捕集する。
【選択図】図1
Description
上記水銀などの有害物質を排ガスから除去する排ガス処理装置としては、例えば、石炭焚きボイラから煙突に至るまでの煙道に、脱硝部、脱塵部及び脱硫部を順次配置して成るものがある。
この現状を踏まえて、米国環境保護局では、石炭焚き火力発電所からの水銀排出量を規制することを決定していて、水銀排出量を2010年までに現行の30%削減し、さらに、2018年までに現行の70%削減することを義務付けており、これと同様に、カナダでも石炭焚き火力発電所からの水銀排出量の規制を決定している。
Hg0+2HCl+1/2O2 → HgCl2+H2O 反応式(1)
但し、2価水銀Hg2+はHgCl2である。
脱硝触媒上での水銀酸化効率は、HCl濃度が高い程高くなる。つまり、HCl濃度が高い程HgCl2の生成割合が増加することとなり、その結果、脱塵部や脱硫部で捕集される水銀の割合も増加する。
HgCl2は、Hg0に比べて吸着性が強いことから、脱塵部において灰の表面に吸着して粒子状水銀HgPとして捕集される。この際、脱塵部で捕集される水銀の割合は、灰中の未燃分炭素の量に依存するので、未燃分炭素が少ない場合は、脱塵部において灰により捕集される割合は少なくなる。
ここで、脱塵部で捕集された灰は、セメントやコンクリート材料として有効に利用されるが、水銀を従来よりも多く含むため、水銀溶出等の対策に一層の配慮が必要である。
したがって、脱硝触媒上で酸化された水銀は、脱塵部で捕集するよりも脱硫部で捕集した方がより望ましいと考えられる。
従来において、燃焼装置から排出される排ガス中の水銀を除去する技術として、煤塵を除去する電気集じん器やバグハウスなどの脱塵部の上流に、活性炭などの水銀吸着剤を吹き込み、この吸着剤表面に水銀を吸着させて除去する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この排ガス中のHCl濃度に関して言えば、元来、石炭中に含まれる塩素の量が、数ppmから数100ppmと少ないのに加えて、石炭の種類によって含有量に大きなバラツキがあり、これを燃焼排ガス中のHCl濃度に換算すると、1ppm未満から数10ppmとなってしまい、このように排ガス中のHCl濃度が低い場合には、排ガスの性状にもよるが、脱硝触媒や未燃分炭素上での水銀酸化効率が低下し、これに伴って脱塵部及び脱硫部での水銀捕集効率も低下する。
つまり、排ガス中に過剰な量のHClが含まれる可能性があり、この場合には、排ガス中のHClが煙道中の結露水や脱硫部のスプレー液と反応することで塩酸が生じてしまい、腐食を引き起こしたり、脱硫部の性能低下を招いたりすることがないとは言えない。
本発明は、上記した課題を解決するためになされたもので、化石燃料、例えば、石炭をボイラなどの燃焼装置によって燃焼させる際に、石炭の種類や燃焼装置から排出される排ガスの性状にかかわりなく、有害物質を除去することができるのは勿論のこと、例えば、水銀除去用のHClが排ガス中に過剰に含まれる場合であったとしても、煙道が腐食するなどといった不具合が生じるのを阻止することができる排ガス処理方法及び排ガス処理装置を提供することを目的としている。
本発明の請求項4に係る発明は、前記化石燃料及び塩素化合物を一緒に粉砕混合して成る混合物を前記燃焼装置に供給して燃焼させる構成としている。
この場合、塩素化合物としては、CaCl2やNaClやNH4Clなどの化合物が挙げられる。一般的に販売されているCaCl2では、純度が高いほど粉末状になり、純度が低いほど大きな累状やフレーク状になるが、純度の低いフレーク状のものも粉砕が可能である。なお、NH4Clでは、粉末状の試薬だけでなく、安価な鉱物(塩化アンモン石)を直接利用することができる。
さらに、粉砕して得られる塩素化合物の粒子の大きさは、分解効果を促進するために、200メッシュ(75μm)の通過割合を70〜80%とすることが望ましく、100メッシュ(150μm)の通過割合を90%前後とすることが望ましい。
さらにまた、燃焼装置に供給する塩素化合物の量は、Hg0の酸化効率を上昇させるべく、化石燃料、例えば、石炭に含有される塩素濃度に基づいて決定する。この際、例えば、脱硝触媒上でのHg0の転換反応は、NH3の共存により強い阻害を受けることがわかっている。これは、触媒表面の活性金属(V)に、NH3が優先的に吸着してしまい、Hg0の転換に必要なHClの吸着を阻害するからである。したがって、燃焼装置に供給する塩素化合物の量は、塩素濃度に加えて、脱硝部に供給するNH3の量も考慮する。
本発明の請求項9に係る発明において、前記供給部は、前記化石燃料及び塩素化合物を一緒に粉砕混合して前記燃焼装置に供給するミルを具備している構成としている。
本発明の排ガス処理方法及び排ガス処理装置において、燃焼装置から湿式脱硫部に至るまでの煙道には、通常、脱硝部や脱塵部が順次配置され、脱硝部内(及び煙道中)に存在する未燃炭素分や灰分の表面などで、Hg0とHClとを反応させてHgCl2に酸化させる。
さらに、本発明の請求項3に係る排ガス処理方法及び請求項8に係る排ガス処理装置では、上記した構成としているので、低コスト化に貢献することができるという非常に優れた効果がもたらされる。
さらにまた、本発明の請求項5に係る排ガス処理方法及び請求項10に係る排ガス処理装置では、塩素化合物の固体をミルで粉砕し、燃焼装置に用いる二段燃焼用空気を用いて微粉状の塩素化合物を燃焼装置に導入するようにしているので、塩素化合物を供給するための機構の追加が少なくて済むという効果が得られる。
図1及び図2は、本発明の一実施形態による排ガス処理装置を示しており、この実施形態では、本発明の排ガス処理方法及び排ガス処理装置を石炭焚きボイラ(燃焼装置)から排出される排ガスの処理に適用した場合を例に挙げて説明する。
図1に示すように、この排ガス処理装置1は、石炭焚きボイラBから煙突2に至るまでの煙道Rに順次配置した脱硝部3、エアヒータ4、脱塵部5、熱交換器6、脱硫部7及び熱交換器8を備えているほか、化石燃料としての石炭C及び塩素化合物Clを石炭焚きボイラBに供給する供給部を備えており、この供給部は、図2に示すように、石炭C及び塩素化合物Clを一緒に粉砕混合して石炭焚きボイラBに供給するミル9としている。
この場合、煙道Rにおける脱硝部3の上流側にアンモニアを添加して、排ガスに含まれるNOXを還元して窒素と水に変換するようにしている。
さらに、脱硝部3内及び煙道R中において、存在する未燃炭素分や灰分の表面などで、金属水銀Hg0とHClとを反応させて水溶性の2価水銀Hg2+(HgCl2)に酸化させるようにしている。
この排ガス処理装置1では、予めミル9によって石炭C及び塩素化合物Clを一緒に粉砕混合し、その混合物を石炭焚きボイラBに供給して燃焼を開始させる。そして、石炭焚きボイラBから排出される排ガスの処理を行う場合には、まず、煙道Rにおける脱硝部3の上流側にアンモニアを添加して、排ガスに含まれるNOXを還元して窒素と水に変換する。
ここで、排ガス中に過剰な量の塩化水素HClが含まれる場合には、脱硝部3の下流に位置する塩化水素吸着剤供給部10から煙道Rに対して塩化水素吸着剤を供給して、過剰な塩化水素HClを吸着する。
湿式脱硫部7では、上記脱塵部5を通過した2価水銀Hg2+(HgCl2)を液相で吸収して汚泥中に取り込んで捕集し、この後、水銀を含んだ汚泥を産業廃棄物として廃棄処理するようにしている。
したがって、石炭Cの種類や排ガスの性状にかかわりなく、水銀を高効率且つ低コストで除去し得ることとなり、水銀を含んだ汚泥を産業廃棄物として廃棄処理するので、除去した水銀の管理が容易なものになる。
さらに、この実施形態の排ガス処理方法及び排ガス処理装置1では、石炭C及び塩素化合物Clの微粉末状の混合物を石炭焚きボイラBのバーナノズルに供給するようにしているので、高温下で一気に気化分解させることができ、ガス状の塩化水素HClを効率よく生成させることが可能である。
また、この排ガス処理装置11では、石炭焚きボイラBに用いる二段燃焼用空気Aを用いて微粉状の塩素化合物Clを石炭焚きボイラBに導入するようにしているので、塩素化合物Clを供給するための機構の追加が少なくて済む。
3 脱硝部
5 脱塵部
5a 返還路
7 脱硫部
9 ミル(供給部)
10 塩化水素吸着剤供給部
19A 燃料用ミル(供給部)
19B 化合物用ミル(供給部)
20 導入路(供給部)
A 二段燃焼用空気
B 石炭焚きボイラ(燃焼装置)
C 石炭(化石燃料)
Cl 塩素化合物
R 煙道
Claims (10)
- 石炭などの化石燃料をボイラなどの燃焼装置で燃焼させる際に当該燃焼装置から排出される排ガス中に含まれる有害物質を除去する排ガス処理方法であって、
化石燃料を前記燃焼装置に供給して燃焼させ、前記燃焼装置からの煙道に配置した脱塵部の上流側近傍に塩化水素吸着剤を供給して過剰な塩化水素を吸着させ、前記塩化水素を吸着した塩化水素吸着剤を前記脱塵部で煤塵とともに捕集することを特徴とする排ガス処理方法。 - 石炭などの化石燃料をボイラなどの燃焼装置で燃焼させる際に当該燃焼装置から排出される排ガス中に含まれる水銀を除去する排ガス処理方法であって、
粉砕した化石燃料及び塩素化合物を前記燃焼装置に供給して燃焼させ、前記燃焼装置からの煙道に配置した脱塵部の上流側近傍に塩化水素吸着剤を供給して過剰な塩化水素を吸着させ、前記塩化水素を吸着した塩化水素吸着剤を前記脱塵部で煤塵とともに捕集することを特徴とする排ガス処理方法。 - 前記脱塵部で煤塵とともに捕集された前記塩化水素を吸着した塩化水素吸着剤を煤塵積層灰とともに前記燃焼装置に戻して燃焼させる請求項1又は2に記載の排ガス処理方法。
- 前記化石燃料及び塩素化合物を一緒に粉砕混合して成る混合物を前記燃焼装置に供給して燃焼させる請求項1から3のいずれかに記載の排ガス処理方法。
- 前記化石燃料及び塩素化合物を個々に粉砕し、粉砕した化石燃料を前記燃焼装置に供給すると共に、前記燃焼装置に用いる二次燃焼用空気をキャリヤとして粉砕した塩素化合物を前記燃焼装置に供給して燃焼させる請求項1から3のいずれかに記載の排ガス処理方法。
- 石炭などの化石燃料をボイラなどの燃焼装置で燃焼させる際に当該燃焼装置から排出される排ガス中に含まれる有害物質を除去する排ガス処理装置であって、
前記燃焼装置からの煙道に配置された脱塵部と、
前記脱塵部の上流側近傍に配置されて、過剰な塩化水素を吸着させるべく塩化水素吸着剤を前記燃焼装置から排出される排ガスに供給する塩化水素吸着剤供給部を備えている
ことを特徴とする排ガス処理装置。 - 石炭などの化石燃料をボイラなどの燃焼装置で燃焼させる際に当該燃焼装置から排出される排ガス中に含まれる水銀を除去する排ガス処理装置であって、
粉砕した化石燃料及び塩素化合物を前記燃焼装置に供給する供給部と、
前記燃焼装置からの煙道に配置された脱塵部と、
前記脱塵部の上流側近傍に配置されて、過剰な塩化水素を吸着させるべく塩化水素吸着剤を前記燃焼装置から排出される排ガスに供給する塩化水素吸着剤供給部を備えている
ことを特徴とする排ガス処理装置。 - 前記脱塵部で煤塵とともに捕集された前記塩化水素を吸着した塩化水素吸着剤を煤塵積層灰とともに前記燃焼装置に戻す返還路を備えている請求項6又は7に記載の排ガス処理装置。
- 前記供給部は、前記化石燃料及び塩素化合物を一緒に粉砕混合して前記燃焼装置に供給するミルを具備している請求項6〜8のいずれかに記載の排ガス処理装置。
- 前記供給部は、前記化石燃料を粉砕して前記燃焼装置に供給する燃料用ミルと、塩素化合物を粉砕する化合物用ミルと、粉砕した塩素化合物を前記化合物用ミルから前記燃焼装置に用いる二次燃焼用空気の流路に導く導入路を具備している請求項6〜8のいずれかに記載の排ガス処理装置。
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