JP2009027822A - 吊架式ジャンパ装置 - Google Patents

Abstract

【課題】ジャンパ線に発生する歪を低減し、素線の断線を防止することが可能な吊架式ジャンパ装置を提供する。
【解決手段】耐張碍子連４を介して鉄塔アーム６に引き留められた水平角を有する送電線１間をジャンパ線９によって電気的に接続している吊架式ジャンパ装置７において、鉄塔アーム６にジャンパ吊装置を介して長尺の剛性パイプ８を吊設すると共に剛性パイプ８の両端部を鉄塔アーム側に向けて湾曲させ、ジャンパ線９をこの剛性パイプ８に沿って固定する。剛性パイプ８は、一本のパイプ部材によって構成しても、水平パイプ１２とこの水平パイプ１２の両端部に設けられた曲がりパイプ１３とを組み合わせて構成してもよい。
【選択図】 図１

Description

本発明は、架空送電線におけるジャンパ装置に関し、特に、耐張碍子連を介して鉄塔アームに引き留められた水平角を有する送電線間をジャンパ線によって電気的に接続する吊架式ジャンパ装置に関する。

送電線路において、送電線の水平角度が大きい箇所の鉄塔においては、外カーブ側のジャンパ線が鉄塔本体に接近するため、ジャンパ線と送電線鉄塔との間に十分なクリアランスを確保する必要がある。このようなクリアランスを確保するジャンパ装置としては、例えば、下記する特許文献１及び２で示される構成が公知となっている。

このうち、特許文献１で示されるジャンパ装置は、鉄塔アームの左右側でそれぞれ耐張碍子連を介して張設された送電線と電気的に接続されているジャンパ線を鉄塔アームの左右側でジャンパ吊装置を用いて支持し、両ジャンパ吊装置間に長尺な剛性材を設け、この剛性材にジャンパ線を沿わせて固定するようにしたものである。このような構成を採用することにより、ジャンパ線の弛みを防止することが可能となる。

また、特許文献２で示されるジャンパ装置は、耐張碍子連と送電線との間のヨーク等の金具に吊り杆を介して剛性の水平材を吊設すると共に、この水平材にジャンパ線を添設するようにしたものである。

本出願人も、送電線の水平角度が大きい箇所に設けられる送電線鉄塔には、図６に示されるようなジャンパ装置７を利用しているもので、このジャンパ装置７は、鉄塔本体５の側方に突設された鉄塔アーム６の下方に、該鉄塔アーム６から垂下している片吊装置１０によって中間部が支持されると共に耐張碍子連４と送電線１との間に設けられたヨーク３から吊り下げられた支持装置１１によって両端側が支持された長尺の剛性パイプ８を吊設し、送電線１に接続されるジャンパ線９を各ジャンパ線どうしが所定の間隔を保持するようにスペーサ２１を介して前記剛性パイプ８に添設するようにしたものである。
特開２００４−３２８７４号公報 実開昭６０−５１７２５号公報

しかしながら、上述した剛性材は、直線状のＨ型鋼または鉄製パイプ等によって構成されるが、いずれのジャンパ装置においても、送電線の水平角が大きくなる鉄塔（例えば、水平角が６０度を超える鉄塔）に利用する場合には、図７に示されるように、剛性材（剛性パイプ８）に沿って支持されたジャンパ線の剛性材端部付近での曲げ角度が大きくなるため、ジャンパ線９の各部に発生する歪が大きくなり、ジャンパ線９の素線が切断する恐れがある。

本発明は係る事情に鑑みてなされたものであり、ジャンパ線に発生する歪を低減し、素線の断線を防止することが可能な吊架式ジャンパ装置を提供することを主たる課題としている。

本出願人は、剛性材に添設したジャンパ線が剛性材の端部付近で大きく曲げられると、ジャンパ線の歪が大きくなることから、剛性材の端部に鉄塔側へ向かう曲線部分を設けることで応力歪を低減することが可能になるとの知見を得るに至り、本発明を完成させるに至った。

即ち、本発明に係る吊架式ジャンパ装置は、耐張碍子連を介して鉄塔アームに引き留められた水平角を有する送電線間をジャンパ線によって電気的に接続している構成において、前記鉄塔アームにジャンパ吊装置を介して長尺の剛性材を吊設すると共に前記剛性材の両端部を前記鉄塔アーム側に向けて湾曲させ、前記ジャンパ線を前記剛性材に沿って固定するようにしたことを特徴としている。

したがって、剛性材の端部が鉄塔アーム側へ向けて湾曲されているので、この湾曲された端部付近において、ジャンパ線の急激な角度変化がなくなり、ジャンパ線に応力歪を低減させることが可能となる。

ここで、剛性材の湾曲させた両端部は、一体的に形成されるものであっても、着脱可能な別部材によって構成されるものであってもよい。特に、着脱可能な別部材によって構成される場合には、既設の直線状の剛性材に対して後付けすることが可能となり、汎用性を持たせることが可能となる。
また、ジャンパ線の耐久性を高めるために、前記剛性材の湾曲させた両端部に沿わせたジャンパ線の部分に、アーマロッドを付設するようにしてもよい。

上述のような剛性材としては、例えば、軽量化を図るためにパイプ状の部材によって構成し、水平パイプとこの水平パイプの両端部に設けられた曲がりパイプとを組み合わせて構成するようにしてもよい。
また、剛性材をパイプ状の部材によって構成する場合には、鳥や異物の進入等を防ぐために両端部を蓋体によって閉塞するようにしてもよい。このような蓋体を設ける場合には、パイプ内部に浸入した水を抜くための水抜用開口部を形成するとよい。

以上述べたように、本発明によれば、鉄塔アームにジャンパ吊装置を介して吊設された剛性材の両端部を鉄塔アーム側に向けて湾曲させ、この剛性材に沿ってジャンパ線を固定するようにしたので、剛性材の湾曲された端部付近においてジャンパ線の曲げ角度を小さくしてジャンパ線に発生する歪を低減することが可能となり、素線の断線を防止することが可能となる。

また、ジャンパ線又はジャンパ支持装置の静止時のみならず、ギャロッピングや風による横ぶれ時などのようにジャンパ線又はジャンパ支持装置が動揺する場合においても、ジャンパ線に発生する歪を低減し、素線断線を抑えることが可能となる。

以下、本発明の最良の実施形態を添付図面を参照しながら説明する。

図１において、吊架式ジャンパ装置の正面図が示され、水平角を有する送電線１は、引留クランプ２、ヨーク３、及び耐張碍子連４を介して鉄塔本体５から伸びる鉄塔アーム６に張設されている。吊架式ジャンパ装置７は、長尺な剛性パイプ８と前記引留クランプ２を介して送電線１に電気的に接続された可撓性のジャンパ線９とを有して構成され、剛性パイプ８は、鉄塔アーム６から垂下した片吊装置１０によって中間部が支持されると共に両端側が耐張碍子連４と送電線１との間にあるヨーク３によって支持装置１１を介して吊持され、鉄塔アーム６の下方に取り付けられている。

剛性パイプ８は、図２にも示されるように、水平パイプ１２とこの水平パイプ１２の両端部に設けられた曲がりパイプ１３とを組み合わせて構成されているもので、この例では、水平パイプ１２と曲がりパイプ１３とのそれぞれの両端にフランジ部１２ａ,１３ａを形成し、水平パイプ１２のフランジ部１２ａと曲がりパイプ１３のフランジ部１３ａとを突き合わせ、互いのフランジ部１２ａ,１３ａをボルト止めすることによって固定されている。曲がりパイプ１３は、水平パイプ１２に対して鉄塔側へ湾曲するように固定されており、水平パイプ１２と接続されない自由端は、平板状の蓋体１４を曲がりパイプ１３のフランジ部１３ｂにボルト止めすることにより閉塞されている。
尚、１５は片吊装置１０を連結する片吊装置連結金具であり、１６は支持装置１１を連結する支持装置連結金具である。

蓋体１４は、図３に示されるように、剛性パイプ８（曲がりパイプ１３）の開口端のほぼ全体を閉塞するように設けられているもので、この例においては、開口端の下部が開放された状態となるよう、剛性パイプ８（曲がりパイプ１３）の内縁下端より幾分上側の位置から上方の部分を閉塞し、剛性パイプ８（曲がりパイプ１３）の自由端下部に水抜用開口部１７を形成している。この水抜用開口部１７の大きさは、鳥や異物の進入を防ぐと共に浸入した水を排出するために十分な大きさに形成されている。

ジャンパ線９は、左右の送電線１を接続するもので、各ジャンパ線９は、ジャンパ線どうしを所定の間隔に保持するように、送電線１と剛性パイプ８との間の架設部分がジャンパスペーサ２０を介して並設されると共に、剛性パイプ８にパイプ用ジャンパスペーサ２１を介して添設されている。この例においては、水平パイプ１２の両端近傍を含む数箇所に略等間隔にパイプ用ジャンパスペーサ２１が取り付けられると共に、それぞれの曲がりパイプ１３の先端近傍にジャンパスペーサ２１が取り付けられている。

したがって、ジャンパ線９は、図１（ｂ）に示されるように、剛性パイプ８に沿って固定されるので、水平パイプ１２に沿った部分は直線状に固定されると共に曲がりパイプ１３に沿った部分はパイプの形状に合わせて湾曲して固定されることになる。このため、剛性パイプ８の湾曲された端部付近（曲がりパイプ１３の端部付近）において、ジャンパ線９の曲げ角度を小さくすることが可能となり、ジャンパ線９に発生する歪を低減できると共に素線の断線を防止することが可能となる。

また、ジャンパ線９又はジャンパ装置の静止時のみならず、ギャロッピングや風による横ぶれ時などのようにジャンパ線９又はジャンパ装置が動揺する場合においても、ジャンパ線９に発生する歪を低減し、素線断線を抑えることが可能となる。

さらに、曲がりパイプ１３の先端開口部を蓋体１４によって閉塞するようにしたので、鳥や異物の進入を防ぐことが可能となり、例えば、鳥がパイプ内部に巣を作ってパイプ内部が腐食してしまう恐れがなくなる。また曲がりパイプ１３の自由端の下部には水抜用開口部１７が形成されているので、水がパイプ内に浸入する場合においても、確実に排出させることが可能となり、内部に水が滞留することがなくなる。特に、剛性パイプ８が傾斜するような場合や曲がりパイプ１３の自重によって曲がりパイプ１３の先端が水平パイプ１２より幾分下方となるような場合においても、パイプ内の水を効果的に排出させることが可能となる。

尚、上述の構成例においては、曲がりパイプ１３を水平パイプ１２と別体としてボルト止めする構成を示したが、図４に示されるように、水平パイプ１２と曲がりパイプ１３とを一体的に形成し、一本の剛性パイプで構成するようにしても、また、蓋体１４を除去して曲がりパイプ１３の先端部を開放させた状態で用いるようにしてもよい。さらに、水平パイプ１２は、分割されたパイプ部材を連結させて構成するようにしてもよい。

また、上述の構成例においては、軽量化を図るために長尺の剛性材を剛性パイプ８によって構成する例を示したが、中実状の円柱材やＨ型鋼等の長尺の剛性材を用い、その両端部を鉄塔側に湾曲させるようにしてもよい。このような構成においても、鉄塔側へ湾曲させる湾曲部分は、一体に形成しても別体に形成してもよい。

さらに、図５に示されるように、剛性パイプ８の湾曲させた両端部に沿わせたジャンパ線の部分、即ち、ジャンパ線９の曲がりパイプ１３に沿わせた部分に、アーマロッド２２を付設し、この部分での応力軽減や損傷を防止し、ジャンパ線９の耐久性を高めるようにしてもよい。

図１は、本発明に係る吊架式ジャンパ装置を示す図であり、（ａ）はその正面図であり、（ｂ）は（ａ）を上方から見たときの曲がりパイプ周辺を示す一部拡大の平面図である。 図２は、本発明の吊架式ジャンパ装置に用いられる剛性パイプの例を示す図であり、（ａ）はその全体を示す正面図、（ｂ）は（ａ）を上方から見たときの曲がりパイプの付近を示す拡大平面図である。 図３は、曲がりパイプ先端に取り付けられる蓋体を示す正面図である。 図４は、曲がりパイプに沿わすジャンパ線にアーマロッドを付設した例を示す図である。 図５は、本発明の吊架式ジャンパ装置に用いられる剛性パイプの他の例を示す図であり、（ａ）はその全体を示す正面図、（ｂ）は（ａ）を上方から見たときの先端部分の付近を示す拡大平面図である。 図６は、従来のジャンパ装置を示す図であり、（ａ）はその平面図、（ｂ）はその正面図である。 図７は、図６（ａ）の剛性パイプの先端部分付近を示す拡大平面図である。

符号の説明

１ 送電線
４ 耐張碍子連
６ 鉄塔アーム
７ 吊架式ジャンパ装置
８ 剛性パイプ
９ ジャンパ線
１０ 片吊装置
１２ 水平パイプ
１３ 曲がりパイプ
１４ 蓋体
２２ アーマロッド

Claims (5)

1. 耐張碍子連を介して鉄塔アームに引き留められた水平角を有する送電線間をジャンパ線によって電気的に接続している吊架式ジャンパ装置において、
   前記鉄塔アームにジャンパ吊装置を介して長尺の剛性材を吊設すると共に前記剛性材の両端部を前記鉄塔アーム側に向けて湾曲させ、前記ジャンパ線を前記剛性材に沿って固定するようにしたことを特徴とする吊架式ジャンパ装置。
2. 前記剛性材の湾曲させた両端部は、着脱可能な別部材によって構成されていることを特徴とする請求項１記載の吊架式ジャンパ装置。
3. 前記剛性材の湾曲させた両端部に沿わせた前記ジャンパ線の部分には、アーマロッドが付設されていることを特徴とする請求項１又は２記載の吊架式ジャンパ装置。
4. 前記剛性材は、パイプ状の部材によって構成され、水平パイプとこの水平パイプの両端部に設けられた曲がりパイプとを組み合わせて構成されていることを特徴とする請求項１記載の吊架式ジャンパ装置。
5. 前記剛性材は、パイプ状の部材によって構成され、両端部が蓋体によって閉塞されていることを特徴とする請求項１記載の吊架式ジャンパ装置。

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