JP2009027539A - 無線受信装置、および、空間多重化通信のアンテナ選択方法 - Google Patents

無線受信装置、および、空間多重化通信のアンテナ選択方法 Download PDF

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Abstract

【課題】空間多重化通信の受信アンテナの配置方向を最適化して伝送特性の向上を図る。
【解決手段】基準アンテナT0と、各アンテナの配置位置から基準アンテナT0の配置位置を通る直線の方向が、アンテナごとに異なる複数のアンテナT1〜T8と、複数のアンテナT1〜T8から、1つ以上のアンテナを選択するアンテナスイッチ31A,31Bと、選択された1つ以上のアンテナと基準アンテナT0がそれぞれ複数の信号を受信したときに得られる複数の受信信号を入力し、当該複数の受信信号に対し空間多重化の復調処理を行う受信処理部(本例ではカメラ装置2に内蔵)とを有する。
【選択図】図9

Description

本発明は、複数のアンテナを用いて高速な空間多重化通信を行なう無線受信装置に関する。
また、本発明は、空間多重化通信のアンテナ選択方法に関する。
現在、家庭用の無線LAN(Local Area Network)で主に使用されている方式は、キャリア周波数に5.2[GHz]帯を用いるIEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11a、あるいは、2.4 [GHz]帯を用いるIEEE802.11bおよび802.11gである。
IEEE802.11aおよび802.11gでは、無線LANの標準規格として、マルチキャリア方式の1つであるOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)変調方式が採用されている。OFDM変調方式は、相互に直交する周波数が設定された複数のキャリアに送信データを分配して伝送するので、各キャリアの帯域が狭帯域となり、周波数利用効率が非常に高く、周波数選択性フェージング妨害に強い。
これらIEEE802.11aやIEEE802.11gは、データの伝送速度が物理層で最大54[Mbps]、MAC(Media Access Control)層で最大30[Mbps]弱、TCP(Transport Control Protocol)伝送での実行的な速度は最大20[Mbps]程度である。最近では、世の中において扱われるデータ情報量の増加に伴い、さらに速い伝送速度を実現するための無線通信方式の研究・開発が盛んになっている。
例えば、IEEE802.11aと802.11gの拡張規格であるIEEE802.11nでは、100[Mbps]を超える伝送速度を提唱しており、タスクグループn(TGn)において、1次変調にOFDMを用いたOFDM_MIMO方式に関して標準化作業が行なわれている。
MIMO(Multi-Input Multi-Output)通信とは、空間多重化通信の一種であり、送信機側と受信機側の双方において複数のアンテナ素子を備え、空間多重したストリームを実現する通信方式である。送信側では、複数の送信データに、例えば空間時間符号化(STC:Space Time Coding)を施して多重化し、符号化後の送信データをN本の送信アンテナに分配してチャネル(大気の伝送路)に送信する。これに対し、受信側では、チャネル経由でM本の受信アンテナにより受信した受信信号をチャネル特性に基づいて空間時間復号する(例えば特許文献1参照)。このとき、既知の信号(例えばパイロット信号)を受信して、その受信信号からチャネル特性を推定でき、推定したチャネル特性に基づいて、ストリーム間のクロストークなしに受信データを得ることができる。
理想的には、送受信アンテナのうち少ない方の数(min[n,m])だけの空間ストリームが形成され、当該数(min[n,m])に単純比例して伝送容量が決まる。MIMO通信方式によれば、周波数帯域を増大させることになく、アンテナ本数に応じて伝送容量の拡大を図り、通信速度向上を達成することができる。
特開平10−84324号公報
空間多重化通信、例えばMIMO通信では、伝送速度が、送受信アンテナの向きとアンテナ間の距離に大きく依存する。その一つの理由は、MIMO通信では複数のアンテナ素子間の相関性が受信性能に大きく関係するからである。とくに、複数のアンテナを用いる場合、マルチパス環境下ではアンテナの向き(複数のアンテナが形成する面の、主な電波の飛来方向に対する角度等)によって受信性能が決まるが、MIMO通信では、特にアンテナの向きが数度変わるだけで、無線伝送特性(例えば通信速度)が大きく変化することが観測される。
本発明が解決しようとする課題は、空間多重化通信における複数のアンテナの向き(配置方向)、または、アンテナ間距離が、最適になっていない場合でも最適に近いアンテナの向きまたはアンテナ間距離を整えることが容易にでき、それによって、より良い無線伝送特性を得ることができるように構成された空間多重化通信方式の無線通信装置、または、空間多重化通信のアンテナ選択方法を提供することである。
なお、本願の発明者は、特願2006−202398号において、小型の携帯機器とクレードルとの双方にアンテナを配置して、小型の携帯機器をクレードルに装着時におけるMIMO通信の通信速度等を向上させる技術を提案している。
本発明の一形態に関わる無線通信装置は、基準アンテナと、複数のアンテナと、アンテナスイッチと、受信処理部とを備える。
前記複数のアンテナは、前記基準アンテナと組み合わせて空間多重化通信の送受信アンテナを形成するアンテナである。
そして、当該無線通信装置では、前記複数のアンテナは、各アンテナの配置位置から前記基準アンテナの配置位置を通る直線の方向が、アンテナごとに異なる。言い換えると、前記基準アンテナと共に一のアンテナが選択されて当該選択された2つのアンテナの配置位置を通る直線を想定したとき、当該直線を通る方向が、前記複数のアンテナ内でどのアンテナが選択されても異なるように、前記複数のアンテナの、前記基準アンテナに対する位置が決められている。
前記アンテナスイッチは、前記複数のアンテナから、1つ以上のアンテナを選択する。
前記受信処理部は、前記選択された1つ以上のアンテナと前記基準アンテナがそれぞれ複数の信号を受信したときに得られる複数の受信信号を入力し、当該複数の受信信号に対し空間多重化の復調処理を行う。
本発明では好適に、制御部をさらに有する。
前記制御部は、前記基準アンテナと前記選択された1つ以上のアンテナを含むアンテナの組について、アンテナの組み合わせごとに空間多重化通信のチャネル容量、伝送レートまたはエラーレートを計算により求め、当該計算により求めた値を比較し、前記チャネル容量あるいは前記伝送レートが最大となる、または、前記エラーレートが最小となる前記アンテナの組を選択し、選択した組のアンテナが前記受信処理部に接続されるように前記アンテナスイッチを制御する。
また、本発明では好適に、通信機能付きの携帯機器と、前記携帯機器が着脱可能なクレードルと、を有し、前記基準アンテナが前記携帯機器に設けられ、前記複数のアンテナが前記クレードルに設けられている。
本発明の他の形態に関わる無線通信装置は、基準アンテナと、各アンテナの配置位置から前記基準アンテナの配置位置を通る直線の方向と、各アンテナの配置位置から前記基準アンテナまでの距離との少なくとも一方が、アンテナごとに異なる複数のアンテナと、前記複数のアンテナから、1つ以上のアンテナを選択するアンテナスイッチと、前記選択された1つ以上のアンテナと前記基準アンテナがそれぞれ複数の信号を受信したときに得られる複数の受信信号を入力し、当該複数の受信信号に対し空間多重化の復調処理を行う受信処理部と、を有する。
本発明の他の形態に関わる無線通信装置は、直径方向に配置されているアンテナ対を複数含んで円状に配置されている複数のアンテナと、前記複数のアンテナから、前記アンテナ対を単位としてアンテナを選択するアンテナスイッチと、前記選択された各アンテナがそれぞれ複数の信号を受信したときに得られる複数の受信信号を入力し、当該複数の受信信号に対し空間多重化の復調処理を行う受信処理部と、を有する。
本発明の他の形態に関わる無線通信装置は、基準アンテナと、半円以下の円弧状に配置されている複数のアンテナと、前記複数のアンテナから、1つ以上のアンテナを選択するアンテナスイッチと、前記選択された1つ以上のアンテナと前記基準アンテナがそれぞれ複数の信号を受信したときに得られる複数の受信信号を入力し、当該複数の受信信号に対し空間多重化の復調処理を行う受信処理部と、を有する。
以上に述べた構成の本発明に関わる無線通信装置によれば、空間多重化通信の受信アンテナの向き(配置方向)のバリエーション数を豊富にするようにアンテナ配置が決められているため、空間多重化通信の、より良い伝送特性(例えば、最大のチャネル容量)が得られやすいアンテナ選択が可能である。
本発明の一形態に関わる空間多重化通信のアンテナ選択方法は、複数の送信アンテナから送られる複数の信号を複数のアンテナそれぞれで受信する空間多重化通信のアンテナ選択方法であって、任意の2つのアンテナが選択されて当該選択された2つのアンテナの配置位置を通る直線を想定したとき、当該直線を通る方向とアンテナ間距離の少なくとも一方が、どのような組み合わせで2つのアンテナが選択されても互いに異なるように、複数のアンテナを配置し、前記複数のアンテナから2以上のアンテナを任意の組み合わせで選択し、アンテナの組み合わせごとにチャネル容量、伝送レートあるいはエラーレートを計算により求め、前記チャネル容量あるいは前記伝送レートが最大となる、または、前記エラーレートが最小となるアンテナの組を、前記求めたチャネル容量の値から決定する。
上記構成のアンテナ選択方法によれば、チャネル容量等が最大となるアンテナの組を、チャネル容量等を計算により求めて、その計算値から決定する。そのアンテナの組は、空間多重化通信の受信アンテナの向きのバリエーション数を豊富にするようにアンテナ配置が決められているため、組み合わせ数も豊富である。したがって、空間多重化通信の、より良い伝送特性(例えば、最大のチャネル容量)が得られやすいアンテナ選択が可能である。
本発明によれば、空間多重化通信における複数のアンテナの向き(配置方向)、または、アンテナ間距離が、最適になっていない場合でも最適に近いアンテナの向きまたはアンテナ間距離を整えることが容易にでき、それによって、より良い無線伝送特性を得ることができるように構成された空間多重化通信方式の無線受信装置、または、空間多重化通信のアンテナ選択方法を提供することできる。
以下、本発明の「無線受信装置」の実施形態を、受信とともに送信も可能な無線通信装置を例として、図面を参照して説明する。
本発明は、無線LAN若しくはPAN(Personal Area Network)などのように他の無線局との間で無線によりデータの送受信を行なう無線通信に広く適用できる。また、無線通信の変調方式はOFDMに限定されないが、以下、例えば無線LANのIEEE802.11nに準拠するOFDM_MIMO方式を例にとって、本発明の実施形態を説明する。
一般に、無線通信機能は、パーソナル・コンピュータなどの情報処理機器や、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistance)などの多くの通信端末機器に搭載される。最近では、各種の民生用電子機器、例えばオーディオ製品、ビデオ機器、カメラ装置、プリンタ又はエンタテイメント・ロボットなどさまざまな機器に無線通信機能が搭載されるようになってきている。さらに、無線通信機能は、電子機器だけでなく、例えば無線LAN用のアクセスポイント、PCMCIA仕様(Personal Computer Memory Card International Association)カード、コンパクトフラッシュ(登録商標)カード、ミニPCI(Peripheral Component Interconnection)カードなどのいわゆる小型のアクセサリ・カードにも搭載されている。例えば、ストレージ機能と無線通信機能とを備えた無線カードモジュールが市販されている。
本実施形態に関わる無線通信装置は、上述したパーソナル・コンピュータなどの情報処理機器、携帯電話機やPDAなどの通信端末機器であってよい。また、本実施形態に関わる無線通信装置は、オーディオ製品、ビデオ機器、カメラ装置、プリンタ又はエンタテイメント・ロボットなどの電子機器に無線通信機能を搭載したものであってよい。
なお、本実施形態においては、携帯機器とクレードルの2装置により構成される「無線通信装置」を例示して説明を行うこととするが、本発明にかかる無線通信装置が携帯機器とクレードルとからなる場合に限定される訳ではない。本発明が適用可能であるがクレードルを持たない無線通信装置としては、例えば、無線アクセスポイント、無線通信機能を持ったカード型などの電子部品や無線カードモジュール等を挙げることができる。
以下、本実施形態では、MIMO通信におけるアンテナの角度依存性について最初に述べ、その後、アンテナ角度のバリエーションを豊富にする、無線通信装置の構成と動作(空間多重化通信のアンテナ選択方法の実施例を含む)を説明する。
《伝送特性のアンテナ角度依存性》
前述したように、OFDM_MIMO方式はIEEE802.11n規格に準拠し、この規格はIEEE802.11aやIEEE802.11gの拡張規格である。
これらの規格の無線システムではいずれも、OFDM変調方式が採用されており、各サブキャリアでの伝送はほぼフラット・フェージングであるとみなすことができる。したがって、IEEE802.11n規格のような比較的広帯域な通信方式においても、MIMO伝送路をある程度簡易なモデルで表現することができる。
例えば図1(A)に示すように、MIMO伝送路は、2×2(2つの送信アンテナ、2つの受信アンテナ)のMIMO通信モデルとして表現できる。図1において、送信側と受信側にそれぞれ2つのアンテナ、すなわち、2つの送信アンテナTs1,Ts2と、2つの受信アンテナTr1,Tr2とを想定している。アンテナ間相互の伝送特性要素を、符号h11、h12、h21、h22により示す。
図1(B)に、MIMO通信の伝送式を示す。送信信号sは送信アンテナTs1における送信信号sと、送信アンテナTs2における送信信号sとの行列式で表される。同様に、受信信号rも受信アンテナTr1における受信信号rと、受信アンテナTr2における受信信号rとの行列式で表される。
図1(B)において符号Hは、送信アンテナ対と受信アンテナ対間の空間(伝送路)の伝送特性を表す行列を示す。この行列は伝送行列Hと称され、送信信号sと受信信号rとを関係付ける複素行列(信号の振幅変動と位相回転を与える行列)である。伝送路の状態によって、伝送行列Hは様々な値を取りうる。
一方、伝送路のチャネル容量C[bps/Hz]は、シャノンの通信容量定理に基づく図1(C)に示す式により表現できる。この式で、記号γはS/N比を、記号Mは、MIMOシステムにおけるストリーム数(min[n,m]、但し、nを送信アンテナ本数、mを受信アンテナ本数とする)を、記号λiは固有値を、それぞれ表している。
伝送行列Hの要素が、図1(D)の(1)に示すようにh11=h22=1、h12=h21=jとなる理想状態では、チャネル容量Cの値が2×2MIMO通信での最大値(=2.00)となる。一方、伝送行列Hの要素が、図1(D)の(2)に示すようにh11=h22=h12=h21=1となる状態では、チャネル容量Cの値が2×2MIMO通信での最低値(=1.59)となる。
実際のMIMO通信では、チャネル容量Cの値は、上記最大値以下、最小値以上の範囲で受信環境に応じた値をとる。言い換えると、伝送行列Hの値を任意に変化するパラメータとしたときに、チャネル容量Cはある分布を持つことになる。
図2は、伝送行列Hの各要素h11、h12、h21、h22の値をランダムに1000通り発生させ、その際のチャネル容量値の分布をCDF(Cumulative Distribution Function)で表したものである。この図から、チャネル容量Cの値は広く分布し、10[%](CDF=0.1)強の確率で最低値(=1.59)に近いチャネル容量Cの状態が存在することがわかる。
次に、実在の環境下で、チャネル容量を実測により求めた例を示す。
図3は、チャネル容量の実測に用いたセットアップを示す。
テーブル101の上に送信アンテナTs1,Ts2をセットし、そこから2.4[m]の距離を置いて受信アンテナTr1,Tr2をセットする。ここでは受信アンテナTr1,Tr2を持つラップトップ型PC(Personal Computer)100を受信局として用いている。ラップトップ型PC100は、受信アンテナTr1,Tr2間のほぼ中央の点を軸に回転可能な台の上に置いている。また、直接波の到達を妨害するための金属の箱103を伝送経路途中に障壁として置き、また、伝送経路に沿って反射壁102を設けることによって、少しでも実際のマルチパス環境に近くなるように工夫がされている。
送信信号の出力ケーブル(同軸ケーブル)の一方側を送信アンテナTs1,Ts2に接続し、他方側をシールドルーム104内に設置したVNA(Vector Network Analyzer)105の信号出力端子に接続している。また、受信信号の入力ケーブル(同軸ケーブル)の一方側をラップトップ型PC100の受信アンテナTr1,Tr2に接続し、他方側をVNA105の信号入力端子(測定端子)に接続している。なお、符号106はスイッチボックスを表し、当該ボックス内に、同じ送信信号の送り先を送信アンテナTs1,Ts2間で切り替える高周波アンテナスイッチが内蔵されている。一方、受信アンテナTr1からの受信信号と、受信アンテナTr2からの受信信号は、特に図示していないが、同様な高周波アンテナスイッチで切り替えてVNA105に入力されるようになっている。
このセットアップを用いて、受信側のラップトップ型PC100を自転させて、12通りの向きにおける伝送特性を測定した。
図4は、測定結果を示すレーダーチャートである。
レーダーチャートの半径方向の目盛りはチャネル容量Cの値を1.5〜2の範囲で示すものであり、周回方向の目盛りは、ラップトップ型PC100が回転した方向を角度により表す。この角度の原点(0度)に対応するのが、図3に示す状態、すなわちラップトップ型PC100が、送信アンテナTs1,Ts2の設置位置を通る仮想鉛直平面と向き合っている状態である。
図4に示すグラフから、受信アンテナ対の回転角度によって伝送特性が変化し、2×2MIMO通信のチャネル容量Cが変化することがわかる。そして、こういった状況をランダムに作り出して測定すれば、蓄積された測定結果は、図2に示す分布に近い分布を示すと考えられる。
とくにMIMO通信では、図4に示す角度が、例えば60度→90度→120度の推移箇所で明らかなように、ちょっとした角度の変化でチャネル容量Cが大きく違ってくる。
MIMO通信では、直線偏波のアンテナについて水平偏波及び垂直偏波が直交するように配置し、また、円旋偏のアンテナについて右旋偏波及び左旋偏波が直交するように配置して、それぞれの偏波を直交させるようにすることにより、アンテナ間の相関を低減させることができ、これによりMIMO伝送の品質が向上する。また、マルチパス環境下ではアンテナ配置方向によって受信状態は大きく変化する。そのためMIMO通信は、アンテナの角度依存性、即ちアンテナ配置方向依存性が通信性能に与える影響が、非MIMO通信より強い。
図3で実験的に作り出した通信環境は、実際の通信環境より簡素なため、実際には30度といわず、僅か数度でMIMO通信のチャネル容量Cが大きく変化する。
以上は、角度をパラメータとする、伝送特性の受信アンテナの配置方向依存性についての実験についてであるが、MIMO通信ではアンテナ間の相関が、送受信アンテナの配置方向のみならず、送信側と受信側の双方におけるアンテナ間距離に応じても変化する。
したがって、送受信アンテナの配置方向、ならびに、送信側と受信側それぞれにおけるアンテナ間距離について、通信環境ごとに最適値が存在する。つまり、MIMO通信においては、送受信する双方の機器(アンテナ)の位置・方向関係によって、得られる最大のチャネル容量が変化する。
このため、仮にパフォーマンスが良くない状態のアンテナ配置方向及び/又は位置でMIMO通信アンテナを使用していた場合、ユーザが必要とするデータレートが得られない可能性がある。
これを解決するには、例えば、送受信アンテナの偏波を変えることで伝送特性を変化させて最適化していく必要がある。
この最適化を受信側で行う場合、送信側アンテナの偏波との関係、さらには複雑なマルチパス環境の影響もあって、アンテナ対の偏波面を直交させた状態が最適な状態とは限らず、そのため当該最適化は実際の通信環境でしか行うことができない。
しかし、コンシューマ製品において、アンテナ対の一方の向きを微妙に変える調整をユーザに要求することはできない。また、MIMO通信アンテナが3つ以上となると、どの向きが最適かの予想すら困難である。
《第1実施形態》
<本実施形態における特徴の概略>
上述した「特にコンシューマ製品では、アンテナの配置方向を調整することをユーザに強要できない」という不都合を回避するために、本実施形態に関わるMIMO無線通信装置は、複数のアンテナ間でMIMO通信の送受信アンテナの組み合わせを切り替えることにより、最適なパフォーマンスを発揮することが可能な構成としている。
つまり、本実施形態に関わるMIMO無線通信装置の第1の特徴は、複数のアンテナが設けられているが、その中から任意の組み合わせで2つのアンテナが選択され、当該選択された2つのアンテナの配置位置を通る直線を想定したとき、当該直線を通る方向とアンテナ間距離の少なくとも一方(より望ましくは、方向、または、当該方向とアンテナ間距離の両方)が、複数のアンテナ内でどのような組み合わせでアンテナが選択されても異なるように、複数のアンテナの位置が決められていることである。
本実施形態で追加可能な第2の特徴は、アンテナスイッチと制御部とを有し、当該制御部は、アンテナの組み合わせごとに前記空間多重化通信(ここではMIMO通信)のチャネル容量、伝送レートまたはエラーレートを計算により求め、当該計算により求めた値を比較し、チャネル容量あるいは伝送レートが最大となる(あるいは必要な値以上となる)、または、エラーレートが最小となる(あるいは所定の値以下となる)アンテナの組を選択し、選択した組のアンテナが通信処理部に接続されるようにアンテナスイッチを制御することである。
ところで、MIMO通信システムを、デジタルスチルカメラ、ヘッドホンステレオ、ウルトラモバイルPC、PDAなどの小型の携帯機器に搭載しようとした場合、多数のアンテナを配置するスペースを携帯機器において十分に確保することは困難である。MIMO通信ではアンテナ間スペースを大きく確保すればする程、その特性は向上する。これは、大きいスペースを確保すればそれぞれのアンテナの相関が低下することに起因している。アンテナの相関が低いほど、さきに述べた到来する電波の伝送特性が独立となる確率が高くなり、逆にアンテナの相関が高いと、伝送特性としての相関も高くなってMIMO通信のパフォーマンスを十分に発揮できない可能性がある。
この不都合を回避するために、本実施形態に関わるMIMO無線通信装置で、上記第1の特徴を有する構成、あるいは、第1と第2の特徴を有する構成に追加可能な第3の特徴は、クレードルと携帯機器とから構成されることによって、特にクレードル側に多くのアンテナを配置可能になっていることである。
小型の携帯機器は、「持ち歩いて使用する、いわゆるモバイルに使用する(例えば、屋外での静止画や動画の撮影、ホットスポットに接続してのE−mailやWebの閲覧、ヘッドホンステレオで音楽を聴く等々)」という第1の使用形態と、「自宅のパソコンやビデオサーバ等に接続してデータを伝送する」という第2の使用形態に大別される。
そして、特に高速な無線通信機能が望まれるのは、おそらく第2の使用形態においてであると考えられる。それは、携帯機器は年々性能が向上しているものの、バッテリ駆動であり処理能力も限られているため、大量のデータを扱うには制限が多いことからも明らかである。よって、MIMO通信を利用して、撮影した動画像等を高速に伝送したい、無線LAN機能付のハイビジョンTVからの画像を高速に伝送して別の部屋で視聴したい等の要求が、主に、携帯機器をクレードルに装着している状態で満たされれば、実用上支障はない場合が殆どであると考えられる。
このような理由から、携帯機器によるMIMO通信の場合、第3の特徴が極めて有効である。よって、アンテナの配置スペースが小さく限定された小型の携帯機器においても、その限定された配置状態において極力、無線伝送特性を向上させることが可能となる。
以下、クレードルが製品として付属しているカメラ装置を例に、より詳細な実施形態(構成と動作)を説明する。
<装置構成>
図5は、第1実施形態に関わる無線通信装置の概略的なブロック図である。図5は、クレードルに携帯機器(カメラ装置)が装着された状態のカメラ装置側の構成を主に示している。
図解する無線通信装置1は、カメラ装置2とクレードル3とから構成され、クレードル3に設けられているクレードル・ソケット33にカメラ装置2の下部が収容されて両者が合体している。このときカメラ装置2の底面に設けられているクレードル・コネクタ(CL.CN)23によって、当該カメラ装置2はクレードル3と電気的に接続されている。
クレードル3は、携帯機器の未使用時に休む場所を提供するとともに、外部からの商用AC電源の供給を受けて、カメラ装置2内のバッテリ(BT)22を充電する機能があり、AC電源供給がクレードル・コネクタ23を介して行われる。また、クレードル・コネクタ23は、後述するRF(Radio Frequency)信号の入出力を行うRF端子を含む。RF端子は、RF信号用の整合インピーダンスを有する端子(50Ω同軸コネクタ等)であり、例えば、Aliner社製SMCX小型コネクタ(商標名)などを利用できる。
カメラ装置2は、レンズ、ストロボ、ファインダー等などの光学部品、さらには、電源ボタンやシャッター等のUI(User Interface)のためのスイッチ類、ならびに、音声や画像の出力部等がボディ外面に設けられる。図5では、これらのボディ外面に設けられる部品を符号21(LENS etc.と表記)により示している。
また、カメラ装置2には、ボディ外面または内部にアンテナT0が設けられている。
アンテナに関し、様々な小型の携帯機器の、アンテナ間隔を十分に大きくして配置することは工業デザイン設計上困難であり、図5に示すように、カメラ装置2には単一のアンテナT0しか設けることができない場合がある。
あるいは、本実施形態に関わるカメラ装置2の他の形態を例示する図6(A)および図6(B)に示すように、アンテナT0a,T0b(およびT0c)を複数設ける場合でも狭い間隔での配置を強いられることが常である。これは、例えばカメラ装置を想定すれば、アンテナの配置される装置表面には、カメラのレンズ等21が配置され、さらには内部にはバッテリ22や実装基板20が高密度に配置されるため、アンテナはこれらの他の部品とのクリヤランスを確保して配置しなければ、その放射特性を他の部品への悪影響なしに発揮することができないからである。
結果として、アンテナが配置されるエリヤは小さく限定されることとなり、図5に示すように単一のアンテナ配置とするか、図6のような狭い間隔でのアンテナ配置となるのが実情である。
図5および図6に示すカメラ装置2に設けられているアンテナは、MIMO通信時以外の非MIMO通信時に兼用されるアンテナを含んで構成される。MIMO通信と非MIMO通信を兼用するアンテナは、図5ではアンテナT0が該当する。また、図6では図示しているアンテナの1本、または、ダイバーシチの場合に複数のアンテナが、MIMO通信と非MIMO通信を兼用するアンテナに該当する。
なお、図6の場合、カメラ装置2がMIMO通信用に複数のアンテナを備えることを、本実施形態では排除しない。ただし、その場合でも、さらに多くのMIMO通信用アンテナが必要な場合に、クレードル3側のアンテナ(後述)を追加利用することにより、MIMO通信アンテナ配置の自由度を拡張して、MIMO通信能力を高める意図が、本実施形態にはある。
実装基板20には、CPU(不図示)をコアとして多数の電子部品が実装されるが、ここで図5には「受信処理部」としてのRFモジュール(802.11nと表記)4のみ示す。RFモジュール4は、IEEE802.11n規格に準拠したMIMO通信に関する処理を行う部分であり、通常、1つ以上のICを中心としてモジュール化されている。なお、RFモジュール4は、採用されている無線通信規格に特有な処理の部分という意味であり、この意味では、かならずしもモジュール化されていなくても、同じ機能の実現は可能である。
RFモジュール4に採用されているMIMO通信の変復調方式は、ゼロフォーシング(Zero Forcing)、V−BLAST(Vertical Bell Labs Layered Space-Time)といった、送信側ではチャネル情報が未知で受信側のみの線形演算で復調する方式、MLD(Maximum Likelihood Detection:最尤推定法)と呼ばれる非線形演算で復調する方式、送信側でも予めチャネル情報を取得して、それに応じた適正な電力配分及び位相のベクトル合成を行なって送受信する固有モード(Eigen-mode)MIMOなどの各種方式のうち、どの方式であってもよい。MIMO通信の変復調方式に限定はなく、上記に挙げた方式以外でもよい。
<RFモジュール構成>
図7は、図5の構成に対応した、RFモジュール4の基本構成を示す概略的なブロック図である。また、図8は、図7の、特に受信処理内容をさらに詳細な機能ブロックにより示す図である。なお、図7および図8は、上述したMIMO通信の様々な変復調方式に共通な構成を示すものである。
図7に図解されているRFモジュール4は、内蔵の、または、カメラ装置2全体を制御する制御部(例えばCPU)5により制御される回路ブロックとして、3つのデュプレクサ(Duplex.)41_1〜41_3と、3つのRF受信処理部(RE.C)42_1〜42_3と、3つのRF送信処理部(TX.C)43_1〜43_3と、1つのベースバンド及びマック処理部(図ではBB&MACと表記、以下、BB・MAC処理部という)44とを有する。
デュプレクサ41_1〜41_3の各入力に不図示のアンテナが1本ずつ接続可能であり、当該デュプレクサは、アンテナへの接続を、RFモジュール4に至る2つの経路(受信経路と送信経路)で切り替える共用スイッチである。デュプレクサ41_1の受信経路にRF受信処理部42_1が接続され、送信経路にRF送信処理部43_1が接続されている。デュプレクサ41_2の受信経路にRF受信処理部42_2が接続され、送信経路にRF送信処理部43_2が接続されている。さらに、デュプレクサ41_3の受信経路にRF受信処理部42_3が接続され、送信経路にRF送信処理部43_3が接続されている。
最初に送信処理のための構成と、その動作について、簡単に説明する。
BB・MAC処理部44内に、送信処理に関する構成として、特に図示しないが、送信データに誤り訂正符号化を施す誤り訂正符号部、S/P(Serial to Parallel)変換部、マッピング処理部、高速逆フーリエ変換(IFFT:Inverse Fast Fourier Transform)、P/S(Parallel to Serial)変換部、マルチプレックス部、ガードインターバル挿入およびD/A(Digital to Analog)変換を行う後処理部を含む。
また、RF送信処理部43_1〜43_3の各々は、特に詳細を図示しないが、符号化部(例えば、直交変調回路(Quad. Demodulator))、アップコンバート部、電力増幅回路、および、バンドパス・フィルタ等を含んで構成されている。
BB・MAC処理部44内のS/P変換部は、インターフェース経由で上位層プロトコルから送信情報を受け取り、送信情報をキャリアごとのデータストリームにパラレル−シリアル変換する。S/P変換部からは、各キャリアの変調に必要となるデータ分のデータストリームが並列に出力され、そのストリームごとにマッピング処理部において各サブキャリアに変調が施される。また、マッピング処理部において、例えば、ストリームごとの送信データ系列からなる送信ベクトルにアンテナ送信重み行列を乗算することによって、アンテナ送信経路ごとの空間多重された送信信号を発生する。アンテナ送信重み行列を計算するには、通信相手からフィードバックされた情報に基づいて算出する方法や、自ら推定したチャネル行列から算出する方法など、公知の方法を適用することができる。
その後、IFFT部で、周波数領域のデータ信号が時間領域のデータ信号(OFDMシンボル)に変換される。TFFT後にP/S変換部で、時間領域のデータ信号がシリアルデータに変換され、変換後のデータに対し、マルチプレクス部にて制御用のプリアンブルが時間多重され、次いで、後処理部で、受信時のシンボル間干渉を低減するためガードインターバル(GI)が挿入されることによって、送信パケット信号が発生する。発生した送信パケット信号は、アナログ信号に変換された後、後段のRF送信処理部に送られる。
RF送信処理部43_1〜43_3の各々において、符号化部(または直交変調回路)が、送信すべきアナログのパケット信号(ベースバンド信号)をBB・MAC処理部44から入力し、複素IQ空間上の信号点に符号化する(直交変調)。次いで、直交変調後の信号が、アップコンバート部でRF帯にアップコンバートされてRF送信信号が発生する。RF送信信号は、電力増幅回路で電力増幅された後、所望帯域の成分のみを通過させるバンドパス・フィルタに通される。各RF送信処理部からの送信信号(所望帯域の成分)は、対応するデュプレクサを介してアンテナに接続され、アンテナからRF無線信号として空中に放出される。
つぎに、受信処理のための構成と、その動作について説明する。
RF受信処理部42_1〜42_3の各々は、特に詳細を図示しないが、バンドパス・フィルタ、受信したRF信号を増幅する低雑音増幅回路(LNA)、RF信号をダウンコンバートするダウンコンバート部、および、ダウンコンバート後の受信信号を複素IQ空間上の信号点に復号する復号部(例えば、直交復調回路:Quad. Demodulator)等を含んで構成されている。
図8には、RF受信処理部からのベースバンド信号を入力して処理するBB・MAC処理部44内の概略的なブロック構成を示している。なお、この図では、受信経路をN系統として回路ブロックを一般化しているが、図7との対応ではN=3となる。
BB・MAC処理部44は、受信経路ごとに、図8に示すように、FFTの前処理としてシンボル同期、GI除去(GI Remove)、GI除去後の隙間を除去する周期的(時間)伸張 (Cyclic (Time) Extension)、および、S/P変換を行う前処理部(PRE.)441と、FFT部442と、マッピング処理部(MAPUi(i=1〜N))443と、デマッピング(Demapping)、デインターリービング(Deinterleaveing;誤り訂正復号)およびデコーディング(Decoding:復号)を行う後処理部(POST.)444と、を含んで構成されている。
アンテナで受信されRF信号は、対応するデュプレクサ41_1〜41_N(41_3)を通して、対応するRF受信処理部42_1〜42_N(42_3)に送られる。
RF受信処理部42_1〜42_N(42_3)内のバンドパス・フィルタは、デュプレクサからのアンテナ受信信号(RF信号)のうち所望帯域の信号成分のみを通過させる。バンドパス・フィルタからのRF信号はLNAで増幅された後、信号の扱いが容易な、より低い同一周波数帯域にダウンコンバートされる。そして、ダウンコンバート後の受信信号が、直交復調(または直交復号)されて、実数部および虚数部のベースバンド信号に変換される。変換後のベースバンド信号は、後段のBB・MAC処理部44に送られる。
なお、直交復調回路は、とくに図示しないが、動作クロック等を生成する回路部からのクロックにより動作し、位相が90度異なる2つの発振信号を生成し、このふたつの位相差を変化させながらサブキャリア信号に重畳された信号を直交復調する。
BB・MAC処理部44では、まず前処理部441にて、パケット内のプリアンブルを参照したOFDMシンボル同期が取られ、ガードインターバル(GI)が除去される。GI除去後の隙間を埋めるために周期的(時間)伸張がパケットごとに行われる。そして、シリアルのパケットが、パイロット信号を参照することにより、OFDMサブキャリアに対応する数のシリアルデータに変換される。前処理後の受信パケットは、FFT部442に送られる。
FFT部442では、入力後のシリアルデータ(時間領域のデータ)をFFTにより周波数流域のデータに変換し、複数のサブキャリアにOFDM復調する。複数のOFDM復調データは、マッピング処理部443に送られるが、このとき、相互に他の受信経路のマッピング処理部443にも同じデータが入力される。
マッピング処理は、一般に、複数のデータを相互に切り替えながら、データを相互に用いる必要がある様々な処理を行う。マッピング処理部443が行う、この処理はMIMO受信処理を含み、このとき既知のトレーニング系列がMIMO受信処理のために入力されている。
MIMO受信処理では、例えば、1つのやり方としては、伝送チャネルの特性に応じて振幅変動と位相回転を受けて変化したプリアンブル信号から、既知の(元の)プリアンブル信号を除算してチャネル情報(チャネル行列)を推定する(チャネル推定)。同じ様なことは既知の信号、パイロット信号を用いても可能である。
また、MIMO通信受信では、推定したチャネル行列を基にアンテナ受信重み行列を計算し、アンテナの受信経路ごとの受信信号からなる受信ベクトルに、このアンテナ受信重み行列を乗算することで、空間多重された受信信号を元のストリームごとのサブキャリア信号に空間分離する。さらにMIMO受信処理では、周波数軸上の各サブキャリアからデータ系列を復号する。
復号したデータ系列は、N個の後処理部444に相互に入力され、デマッピングにより、ストリーム(受信経路)ごとの送信信号に復元される。その後、後処理部444内で、シリアル変換された後、当該シリアルデータが、誤り訂正復号(デインターリービング)やデコーディングを経て、送信データに復号される。
復号された送信データは、インターフェース経由で上位層プロトコルが行う処理部へ渡される。
図5に戻ると、図示を省略しているが、クレードル3側に複数のアンテナが配置されている。
ここで、アンテナ配置例と、アンテナ選択の仕方について説明する。
<アンテナ配置例1>
図9(A)は、アンテナ配置例1を示す内部の平面図(上面からの透視図)、図9(B)は、その斜視図である。
図9に示す配置例1では、クレードル3にアンテナが8個設けられている。これらの8個のアンテナT1〜T8は、図解するように8面体の周壁に設けられているかの如き、互いの位置と向きで配置されている。ここで8面体の周壁は、あくまでアンテナ配置関係の理解を容易化するための仮想面であり、クレードル3の形状とは必ずしも関係しない。つまり、クレードル3の外形が、このような8面体であってもよいし、また、他の外形であってもよい。クレードル3がどのような形状であれ、それとは無関係に、あるいは、当該クレードル3の外形や内部構造を利用して、図示のように8個のアンテナT1〜T8の位置関係が定められている。
クレードル3は、クレードル・ソケット33が固定されているクレードル基板30を有し、クレードル基板30に、本例では、第2の特徴で述べた「アンテナスイッチ」としての2つのスイッチIC31A,31Bと、制御部(例えばCPU)34が実装されている。
スイッチIC31A,31Bは、SP4T(Single Pole Four Throw)構成の高周波アンテナスイッチをIC化したものである。スイッチIC31A,31Bは、それぞれ、4つの操作端の何れかを、別々に作動させて任意の1つの操作端を単一のポールに高周波的なロスを極力抑制しつつ高周波接続することができる。
スイッチIC31Aの4つの操作端に、それぞれアンテナT1〜T4の何れかが接続され、スイッチIC31Aのポールがクレードル・ソケット33のRF端子に接続されている。同様に、スイッチIC31Bの4つの操作端に、それぞれアンテナT5〜T8の何れかが接続され、スイッチIC31Bのポールがクレードル・ソケット33の他のRF端子に接続されている。
この接続におけるクレードル基板30上の配線は、マイクロストリップライン(内層型のストリップ線路、あるいは、コプレーナラインでも可)構成となっており、アンテナ接続のためのマイクロストリップライン端から、それぞれのアンテナまではフレキシブルなケーブル(例えばRF同軸ケーブル)により接続されている。このケーブルとクレードル基板30のマイクロストリップライン端との接続は、コネクタ(例えばヒロセ製U.FL(商標名)など)を使ってもよいし、直接はんだで接続してもよい。
なお、クレードル基板30は、電源回路等の通常の機能に必要な素子等も搭載されるが、ここでは図示を省略している。また、図示した制御部34は、前述した第2の特徴で述べた「制御部」として、スイッチIC31A,31Bを切り替える制御を行ってよい。あるいは、この「制御部」の役目を、図7に示す制御部5が担ってもよい。
<アンテナ配置例2>
図10(A)は、アンテナ配置例2を示す内部の平面図(上面からの透視図)、図10(B)は、その斜視図である。
図10に示す配置例2では、クレードル3にアンテナが4個設けられている。これらの4個のアンテナT1〜T4は、配置例1と同様、8面体の周壁(仮想面)に設けられているかの如き、互いの位置と向きで配置されている。クレードル3がどのような形状であれ、それとは無関係に、あるいは、当該クレードル3の外形や内部構造を利用して、図示のように4個のアンテナT1〜T4の位置関係が定められている。
アンテナT1〜T4は、図では8面体の連続する4面に設けられているが、どの面にアンテナを設けるかは任意である。連続する面に設けた場合は、「円弧状の配置」となる。
クレードル基板30、制御部34、スイッチIC31A、および、これらとクレードル・ソケット33との接続態様は配置例1と基本的に同じである。ただし、アンテナが4個なので、ここではSP4T構成のスイッチIC31Aが1つで足りる。なお、SP2T(Single Pole Two Throw)構成のスイッチIC(アンテナスイッチ)を2個設け、それぞれが2個のアンテナを切り替えるようにしてよい。その他、アンテナスイッチの構成は任意である。
<アンテナ配置例3>
図11(A)は、アンテナ配置例3を示す内部の平面図(上面からの透視図)、図11(B)は、その斜視図である。
図11に示す配置例3では、クレードルにアンテナが4個設けられている。これらの4個のアンテナT1〜T4は、「円状配置」の一種として、略正方形のクレードル基板30の4隅に1つずつ設けられている。例えば、クレードル基板30の4隅には、それぞれ、マイクロストリップライン端が接続された同軸コネクタの受け部が設けられ、一方、アンテナT1〜T4の各端部に同軸コネクタが設けられている。この場合、当該同軸コネクタ対(コネクタと受け部)によりアンテナの接続と固定が可能である。
配置例3では、配置例1と同様なスイッチIC31Aにより、アンテナT1〜T4の切り替えを行う。
<アンテナ配置例4>
図12(A)は、アンテナ配置例4を示す内部の平面図(上面からの透視図)、図12(B)は、その斜視図である。
図12に示す配置例4では、配置例3と同様な配置および接続の仕方で、4個のアンテナT1〜T4が、略正方形のクレードル基板30の4隅に1つずつ設けられている。
ただし、配置例4では、SP2T構成の高周波アンテナスイッチをIC化したスイッチIC32A,32Bが用いられている。スイッチIC32AはアンテナT1とT2の切り替えを行い、スイッチIC32BはアンテナT3とT4の切り替えを行う。スイッチIC32A,32Bのそれぞれが有する2つの操作端は、例えばマイクロストリップラインとコネクタにより、対応する2つのアンテナに接続され、単一のポールは、例えばマイクロストリップラインによりクレードル・ソケット33に接続されている。この場合のコネクタは、配置例3と同様、アンテナの接続と固定を同時に行う役目がある。当該コネクタ、スイッチIC32A,32B、制御部34、および、マイクロストリップラインはクレードル基板30に実装または形成されている。
つぎに、2つのアンテナ選択手法について述べる。
<アンテナ選択手法1>
アンテナ選択手法1は、非MIMO通信アンテナを兼用する基準アンテナ(カメラ装置2に設けたアンテナT0)を、MIMO通信時にも必ず用いる手法である。
この手法は図5に示す構成で行うことができる。なお、図5ではクレードル3側のアンテナを2本まで選択でき、MIMO通信用のアンテナは2本または3本となる。ただし、クレードル3側に設けられているアンテナ数より1本少ない追加アンテナが選択できるため、合計のアンテナ数は3本より多くすることもできる。
<アンテナ選択手法2>
アンテナ選択手法2は、基準アンテナ(アンテナT0)をMIMO通信時には用いないで、MOMO通信アンテナを、クレードル3に設けたアンテナ群の中から選択する手法である。
この手法は、例えば図13に示す構成で行うことができる。
図13に示すカメラ装置2内の、アンテナT0とRFモジュール4との間にアンテナスイッチ(SW)24が挿入されている。アンテナスイッチ24はSP2T構成のスイッチICから構成でき、2つの操作端の一方にアンテナT0が接続され、他方がクレードル・コネクタ23に接続されている。アンテナスイッチ24の単一のポールがRFモジュール4の、例えばデュプレクサ41_1(図7参照)に接続されている。
図13に示す構成では、アンテナ選択手法1への変更もでき、そのときは、アンテナスイッチ24が、RFモジュール4に接続される操作端をアンテナT0側にし、アンテナ選択手法2を取るときは、当該操作端をクレードル・コネクタ23側に切り替える。
本実施形態におけるアンテナ配置は、前述した第1の特徴を満たすことを条件に任意である。前述したアンテナ配置例1〜4は、そのより望ましい配置の、ほんの数例に過ぎない。
これらの配置例は、以下の共通概念に基づくものであり、本実施形態の望ましい配置は、当該共通概念を満たせばアンテナ配置例1〜4にのみ限定されるものではない。
<配置例1〜4の共通概念>
図9〜図12において、カメラ装置2のほぼ中心に記している「×」印は、アンテナT1〜T8(またはT1〜T4)の配置中心を示す。図9、図11および図12に示すアンテナ配置では、「×」位置を中心とする円状にアンテナT1〜T8(またはT1〜T4)が配置されている。また、図10に示すアンテナ配置では、「×」位置を軸とする円弧状にアンテナT1〜T4が配置されている。
この配置の共通概念は、前述した第1の特徴を実現するための好ましいアンテナ配置の方法を提供するものである。
つまり、アンテナT0(基準アンテナ)がMIMO通信アンテナとして必ず選択されるアンテナ選択手法1では、アンテナT1〜T8(またはT1〜T4)の何れか1つが選択されて、アンテナT0と共にアンテナ対を構成すると想定する。このとき、当該選択された2つのアンテナの配置位置を通る直線を想定したとき、当該直線を通る方向(図4に示すアンテナ対の回転角度に対応するアンテナ配置方向のこと)とアンテナ間距離の少なくとも一方(図9、図11および図12の場合、アンテナ配置方向と距離の両方)が、アンテナT1〜T8(またはT1〜T4)内でどのアンテナが選択されても異なるようになっている。これは、アンテナT0と「×」印の位置が一致していないことに起因する。
図9、図11および図12において、アンテナT0の位置が「×」印の位置と一致するようにしてよい。つまり、カメラ装置2の中心にアンテナT0を設けるか、カメラ装置2のクレードル3に対する相対位置が、アンテナT0の位置が「×」印の位置と一致するように決められてよい。その場合、アンテナT0と他のアンテナを選択するとき、アンテナ間距離は円の半径で同じなので、アンテナ配置方向のみ、どのアンテナが選択されても異なることになる。
一方、図9、図11および図12において、アンテナ選択手法2が採られるときは、クレードル3に設けたアンテナT1〜T8(またはアンテナT1〜T4)のうち、円の中心を通る直径方向で2つのアンテナ対が選択されることを想定し、このときアンテナ間距離は円の直径で同じなので、アンテナ配置方向のみ、どのアンテナ対が選択されても異なることになる。
円弧状にアンテナ配置がされている図10の場合、アンテナT0(基準アンテナ)が選択されるアンテナ選択手法1が採られるときは、円状配置と同様、アンテナT0が「×」印と一致していなければ、基準アンテナとペアとなるアンテナを、アンテナT1〜T4のどれに選んでも、アンテナ配置方向とアンテナ距離の両方が異なることになるし、アンテナT0が「×」印と一致していれば、アンテナ配置方向のみ異なることになる。
一方、円弧状配置を示す図10の場合に、アンテナ選択手法2が採られるときは、上記円状配置と事情が少し異なる。
つまり、この場合のアンテナ選択手法2では、図10のアンテナ配置では円の直径方向での選択ができないので、アンテナ対は任意に選択される。このとき円弧が半円以下の場合は、任意のアンテナ対の組み合わせをどのように行っても、アンテナ配置方向とアンテナ間距離が同じになることはなく、必ず、アンテナ配置方向とアンテナ間距離の一方または両方、つまり、アンテナ配置方向とアンテナ間距離の少なくとも一方が異なってくる。
前述した第1の特徴で「方向とアンテナ間距離の少なくとも一方(より望ましくは、方向、または、当該方向とアンテナ間距離の両方)」としたのは、以上の様々な場合を全て含む意味である。
念のために繰り返しになるが、本実施形態では、第1の特徴を満たすアンテナ配置であれば、上記共通概念、ましてや、具体的なアンテナ配置例1〜4に限定されない。
また、アンテナスイッチや制御部による自動切り替えに関する第2の特徴にも限定されない。例えば、設けられているアンテナの数だけ、図7に示すデュプレクサ、RF受信処理部、RF送信処理部からなる送受信経路を設け、BB・MAC処理部44が、チャネル容量等のMIMO通信性能が最大化となる、つまり、チャネル容量あるいは伝送レートが最大となる、または、エラーレートが最小となる幾つかの送受信経路を有効化することができるように構成されている。このようにすると、アンテナスイッチ切替を実際に行わなくても、行う場合と同様な効果が得られる。
さらに、クレードル3を有する第3の特徴にも限定されない。ただし、小型の携帯機器では、クレードルにアンテナを配置する第3の特徴を有することが望ましい。
なお、第1の特徴でアンテナ対を想定しているが、このことは、MIMO通信アンテナが2つであるという限定を与えるものではない。つまり、MIMO通信アンテナ数は2以上、幾つでもよい。このとき2以上のMIMO通信アンテナで、基準アンテナ(上記例ではアンテナT0)と任意の1つのアンテナとの関係、あるいは、任意の2アンテナ間の関係を第1の特徴によって規定している。よって、例えば、基準アンテナ以外にアンテナが2つある場合は、基準アンテナと一のアンテナとの組み合わせ、基準アンテナと残りの他のアンテナとの組み合わせにおいて第1の特徴を満たすことが要求される。
配置例1〜4の共通概念(円状または円弧状配置)は、八角形や四角形などの正多角形配置とセットではない。つまり、円状または円弧状配置であれば、第1の特徴を満たす限り、正多角形配置とする必要はない。
さらに、第1の特徴を満たす限り、円状または円弧状の配置でなくてもよい。
<アンテナ選択手順>
つぎに、アンテナ選択方法の手順について、説明する。
本実施形態のアンテナ選択方法は、
(0)ステップ0:上述したアンテナ配置手法で複数のアンテナを配置する、
(1)ステップ1:複数のアンテナから2以上のアンテナを任意の組み合わせで選択する、
(2)ステップ2:アンテナの組み合わせごとにチャネル容量、伝送レートあるいはエラーレートを計算により求める、
(3)ステップ3:チャネル容量あるいは伝送レートが最大となる(あるいは必要な値以上となる)、または、エラーレートが最小となる(あるいは所定の値以下となる)アンテナの組を、前記求めたチャネル容量の値から決定する、
という4つのステップを少なくとも含む。
さらに、望ましくは、上記アンテナの組をMIMO通信に利用する、例えばアンテナ切り替えにより、MIMO通信アンテナをRFモジュール4等の処理部に接続するステップ4を含む。
図14は、図9(A)に示すアンテナT1〜T8から、円の直径方向(八角形の対面方向)のアンテナ対をMIMO通信アンテナとして選択する場合を例として示す、アンテナ選択例の詳細なフロー図である。
ここで示すアンテナ選択例では、チャネル容量Cを判断の基準とする。この基準は、伝送レートやエラーレートで代替可能である。
フロー図内の方向(I)が、図9(A)でアンテナT1とT5が選択された場合を表す。同様に、方向(II)はアンテナT2とT6が、方向(III)はアンテナT3とT7が、方向(IV)はアンテナT4とT8が、それぞれ選択された場合を表す。
ステップST10では、変数をX=xiとおいて、i=1と初期設定する。ここで、変数xiはチャネル容量Cの判定に用いる閾値を与え、段階的に順次小さくなる変数である。iが小さいほど変数xiの値が大きい。i=1のときの変数xi(閾値x1)は、例えば、極めて良好な通信環境でしか得られないような十分大きなチャネル容量に対応して設定される。i=nのときの変数xi(閾値xn)は、例えば、これ以上チャネル容量が小さいとMIMO通信が不可能な値に設定される。
ステップST11では、方向(I)が選択されるようにスイッチIC31A,31Bが、制御部34により切り替えられて、MIMO受信処理がRFモジュール4により実行される(図7および図8参照)。
続いて、例えば図7に示す制御部5が、例えば、マッピング処理部443(図8)で推定されたチャネル行列の情報を取得し、図1(C)の式からチャネル容量Cを計算する(ステップST21)。そして、制御部5は、計算したチャネル容量Cを変数xi(閾値x1)と比較し(ステップST211)、チャネル容量Cが閾値x1より大きければ当該チャネル容量Cを、制御部5内部のレジスタ、その他の不図示の記憶部に保存する(ステップST212)。チャネル容量Cが閾値x1以下なら、次のステップST12に処理を進める。
方向(II)にアンテナ選択方向を変更して(ステップST12)、同様な処理、即ち、チャネル容量Cの計算(ステップST22)、比較(ステップST221)および保存(ステップST222)を繰り返す。
方向(III)へのアンテナ選択変更(ステップST13)の後に続く3つのステップ(ステップST23とST231とST232)と、方向(IV)へのアンテナ選択変更(ステップST14)の後に続く3つのステップ(ステップST24とST241とST242)とは、同様な処理の繰り返しとなる。
ステップST31では、保存されているチャネル容量Cが存在するかを、制御部5が判断する。通常の通信状態では、最初の1サイクル目のフローでは、この判断は大抵「ノー(N)」となるので、次のステップST33で、制御部5は、変数iがnに達したかを判断する。最初のサイクルではi=1なので、この判断は「N」であり、処理フローがステップST12を経て、ステップST11の前に戻される。ステップST12では、制御部5が、変数iをインクリメントする。
2サイクル目に入ると、同様にして、ステップST11からステップST33が実行され、同じようなサイクルが繰り返される。このとき、変数xiが閾値x1から初めて、サイクル数が増えるごとにx2,x3,…と値が小さくなっていく。
閾値が下げられると、ある閾値で、保存されるチャネル容量Cが存在するようになり、ステップST31の判断が「イエス(Y)」となる。すると、ルーチンから処理フローが抜けて、ステップST32で、チャネル容量Cが得られたときのアンテナ選択方向についての情報が制御部5から、アンテナ切り替えのための制御部34に送られる。そして、スイッチIC31A等のアンテナスイッチが、当該制御部34により切替制御され、入力される情報に応じた方向に、アンテナ対が切り替えられ、当該アンテナ選択処理が終了する。以後、最適なアンテナの向きでMIMO通信が可能な状態が整うことになる。
なお、保存されたチャネル容量Cが複数ある場合、選択されるアンテナ対は、そのどちらの方向に対応するものでもよい。同じサイクルで保存されるチャネル容量Cが複数となる確率を下げるために、最大のチャネル容量Cが得られる可能性が高い閾値付近の閾値ステップを、より細かくしてよい。
ステップST33で変数i=nとなる場合は、MIMO通信が不可能であるため、その場合も処理を終了する。
本実施形態では、本体(カメラ装置2)そのものに設置するアンテナの数は削減し、配置設計上の負担を軽減できる。そして、高い伝送レートの特性が要求されると想定されるクレードル装着使用時において、多数のアンテナから最もチャネル容量Cの得られるアンテナ配置を自由に選択することによって、実使用に適応的にMIMO通信の伝送特性を向上させることができる。
《第2実施形態》
第1実施形態でMIMO通信の伝送特性が、アンテナ配置方向に主として支配される場合、例えば図9のように8個のアンテナを配置しても、対でアンテナ選択する限り、採りうるアンテナ配置方向は4つであり、アンテナが多い割に配置方向のバリエーションが少ない。
本第2実施形態は、この不都合を解消可能な構造を提案するものである。具体的に、本実施形態では、アンテナの回動機構を設けることにより、選択可能な向きを多様にする。
図15に、本実施形態に関わる無線通信装置1Aのクレードル3Aの分解図を示す。なお、携帯器機がカメラ装置2であるとすると、この分解図に表れていないカメラ装置2側の構成は、第1実施形態で用いた図5〜図8並びに図13が、そのまま適用可能である。したがって、第1実施形態で行ったカメラ装置2の構造説明も、本実施形態で同様に適用される。
図15に図解するクレードル3Aは、上部プレート35と、下部プレート36とを有する。上部プレート35と下部プレート36は、十分な重なり面積を持つ円形の2枚の板部材であり、クレードル3Aの2重底板やボディを構成するものであってもいいし、底板に装着される部品であってもよい。
上部プレート35の上面(表)には、カメラ装置2のクレードル・コネクタ23(図5参照)と結合するコネクタ37が配置されている。なお、図15は、上部プレート35がクレードル3Aの上部ボディを構成する場合の構成を示す。上部プレート35がクレードル3Aの底板や底面に固定される別部品である場合、コネクタ37は、上部プレート35にではなく、それより上方のクレードル・ソケット33内部に設けられる。いずれにしても、コネクタ37は、クレードル・コネクタ23と直接、電気的および機械的に結合するか、または、不図示のフレキシブル基板等を介して電気的に結合する。図15は、コネクタ37の端子と、後述するレール(線路)との対応関係を見やすくするためにコネクタ37を模式的に示したものである。
コネクタ37は、番号が付された8つの端子“1”〜“8”を有している。そのうち端子“1”と“8”が本体(カメラ装置2)(充電)用電源端子、端子“2”と“7”がGND端子、端子“3”と“6”がモーターユニット制御端子、そして、端子“4”と“5”がクレードルアンテナ端子である。
なお、クレードルアンテナ端子“4”と“5”は、第1実施形態におけるクレードル・コネクタ23のRF端子に電気的に接続される端子であるため、それぞれが50Ω同軸コネクタとなっている。このようなコネクタとしては、例えば、Aliner社製SMCX小型コネクタ(商標名)などを利用できる。コネクタ37のように単一のコネクタではなく、RF用コネクタと、それ以外の低周波またはDC用コネクタとを分けてよい。
一方、下部プレート36の上面(表)には、機械的磨耗に強い金属材料によってレール(線路)38A,38B,38Cが、3重の環状に配置されている。本例で、最も外側のレール38Aは電源供給用のレールであり、レール38BはGND電位供給用のレールであり、最も内側のレール38Cはモーターユニット制御信号用のレールである。
レール38Cのさらに内側の下部プレート36の中央には、ボールベアリング等によりスムーズな回転が可能な軸受け39が設けられている。
上部プレート35の下面(裏)には、レール38A,38B,38Cに対応するピッチで、機械的磨耗に強い金属材料によって、レールの摺動接点部材40A(1),40B(2),40C(3),40C(6),40B(7),40A(8)が、上部プレート35の直径方向に6個並んで設けられている。これらの摺動接点部材40A(1)〜40A(8)は、それぞれ、レール38A〜38Cの上面および両側面に当接可能な凹部を備え、これにより対応するレールに対し電気的な摺動接点をとることが可能に形成されている。
摺動接点部材40A(1)が、下部プレート36を厚さ方向に貫くスルーホール、また、必要ならフレキシブル基板等を介してコネクタ37の端子“1”に電気的に接続されている。以下同様にして、摺動接点部材40B(2)が端子“2”に電気的に接続され、摺動接点部材40C(3)が端子“3”に電気的に接続され、摺動接点部材40C(6)が端子“6”に電気的に接続され、摺動接点部材40B(7)が端子“7”に電気的に接続され、摺動接点部材40A(8)が端子“8”に電気的に接続されている。
上部プレート35の下面(裏)の中央に、軸受け39内に回転可能に挿入される回転軸41が設けられている。
下部プレート36の下面(裏)にはモーターユニット42が固定されている。モーターユニット42のモータ軸42Aは、下部プレート36に固定された軸受け39を通して、上部プレート35の裏面に固定された回転軸41と結合可能になっている。
モーターユニット42は、モータ電源線42Bと、図には表れていない回転コントロールの信号線とを有する。この信号線(モータ制御線)は、モーターユニット42の対向する2つの側面に設けられている耳部42Cから、下部プレート36に設けられているスルーホールを介してレール38Cの裏面に電気的に接続する配線または導電部材である。
下部プレート36の裏面からは、同じようにスルーホールを介してレール38Aの裏面と、レール38Bの裏面に電気的に接続する本体(充電)用の電源供給線ペア43が外部に伸びている。この本体(充電)用の電源供給線ペア43は、例えば不図示のACアダプタ端子に接続されるか、内蔵トランス等を介して商用電源のACコードに接続される。
このような構成のクレードル3Aを組み立てた状態では、モーターユニット42によって、上部プレート35に対し回転動力を付与する。
このときの回転速度や回転と停止のステップ角の制御は、端子“3”と“6”に印加される信号によって制御される。この信号は、摺動接点部材40C(3)と40C(6)から、これと摺動接続されるレール38Cに伝わり、さらに耳部42C内の配線を通ってモーターユニット42に入力される。
また、本体(充電)用の電源供給線ペア43のうち、GND線の電位(GND電位)が、レール38Bから、これと摺動接続される摺動接点部材40B(2)と40B(7)に伝わり、さらに摺動接点部材40B(2)から端子“2”に、摺動接点部材40B(7)から端子“7”に、それぞれ入力される。同様に、充電用の電源電圧が、レール38Aから、これと摺動接続される摺動接点部材40A(1)と40A(8)に伝わり、さらに摺動接点部材40A(1)から端子“1”に、摺動接点部材40A(8)から端子“8”に、それぞれ入力される。
なお、モータの回転コントロールのための信号は、カメラ装置2内の制御部(例えば図7に示す制御部5で発生し、図5等のクレードル・コネクタ23から、コネクタ37の端子“3”と“6”に与えられる。端子“3”と“6”に与える信号を別々の信号とする場合、レール38Cを電気的に分離された2重のレールとする。
上部プレート35の上面(表)には、例えば、直径方向の両端にアンテナT1とT2が配置されている。アンテナT1は、RF信号がコネクタ37の端子“4”に対し入出力可能に、マイクロストリップラインMSL1に接続されている。同様に、アンテナT2は、RF信号がコネクタ37の端子“5”に対し入出力可能に、マイクロストリップラインMSL2に接続されている。
アンテナをスイッチにより切り替えるか、アンテナ自体を回転させるかの違いがあるが、第1実施形態のアンテナ選択方法の基本は、第2実施形態でもそのまま適用できる。
具体的に、第2実施形態のアンテナ選択方法は、
(0)ステップ0:最低で1本または2本のアンテナを、例えば図15のように回動機構を有するクレードル3Aに配置する、
(1)ステップ1:複数のアンテナから2以上のアンテナの向きを回転角の制御により任意に選択する、
(2)ステップ2:制御すべき回転角ごとにチャネル容量、伝送レートあるいはエラーレートを計算により求める、
(3)ステップ3:チャネル容量あるいは伝送レートが最大となる(あるいは必要な値以上となる)、または、エラーレートが最小となる(あるいは所定の値以下となる)アンテナの回転角を、前記求めたチャネル容量の値から決定する、
という4つのステップを少なくとも含む。
そして、決定したアンテナの回転角で、MIMO通信を行う。
また、図14に示すフロー図も、その基本は、第2実施形態で適用可能なものである。
ただし図14では、ステップST11(方向(I)選択)、ステップST12(方向方向(II))、ステップST13(方向(III))、および、ステップST14(方向(IV))と、アンテナ配置に従ったアンテナ対の選択しかできない。この4ステップのアンテナ選択は、本実施形態では45度ずつの回転ステップ制御に相当するが、本実施形態では、アンテナ配置に何ら制限を受けることなく、アンテナ対の向きを自由に変えられる。つまり、45度ずつの回転ステップ制御に限らず、もっと細かく、例えば30度、10度、5度といった任意のステップでの制御が可能である。
そのようにアンテナ対の向きを変えるごとに、ステップST211等に示す「チャネル容量Cと変数xi(閾値)との比較」、ステップST212等に示す「チャネル容量Cの保存」の処理を実行する。
他のステップは、ステップST4を除くと、図14と、その説明に用いたものと同じである。本実施形態では、ステップST4の「アンテナ切替」のステップが省略され、その代わりに、必要ならモーターユニット42を制御して、ステップST32で出力された方向(アンテナの向き)に対応する回転角を再現するステップが必要である。
また、第1実施形態と述べた「アンテナ選択手法1」と「アンテナ選択手法2」は、本実施形態でも適用可能である。よって、カメラ装置2側のアンテナ(例えばアンテナT0)をMIMO通信用に用いることができる(アンテナ選択手法1参照)。その場合、クレードル3Aに設けるべきアンテナは、最低1本であり(勿論、2本以上でも可)、その場合、例えばアンテナT1のみがクレードル3Aに設けられるようにしてよい。
カメラ装置2側のアンテナをMIMO通信用に用いない場合(アンテナ選択手法2参照)、クレードル3AはMIMO通信用アンテナを最低でも2本備える必要がある。ただし、本実施形態では、アンテナ対の角度のバリエーションが、モーターユニット42からの回転動力により360度自由に変えられる。よって、MIMO通信用アンテナが2本の2×2または2×3の通信の場合、アンテナ対の配置方向のバリエーションを豊富にする目的で、第1実施形態のようにアンテナを追加することは不要である。
当該クレードル3Aは、さらに多くのアンテナ数を必要とするMIMO通信にも使え、その場合、クレードル3Aに設けるアンテナは1本や2本に限定されず、2本以上でよい。その場合、例えば、図15に示すアンテナT1とT2の間に、アンテナ間隔がより小さいアンテナ対を設けるなどして、アンテナ距離のバリエーションを豊富にしてよい。また、クレードル3A上でアンテナ間の相対的な位置関係は変えられないが、例えばカメラ装置2のアンテナT0を通信用アンテナの1つに用いる場合に、回転という手順を踏まないでも、アンテナT0(基準アンテナ)に対し向きや距離のバリエーションを豊富にすることができ、その意味では2本以上のアンテナ配置も効果がある。
いずれにしても、本実施形態によれば、クレードルのボディ構造は第1実施形態より複雑になるが、回転という要素が加わる分、アンテナ配置の自由度が高く、その分、アンテナの総数を削減できるメリットがある。高価なアンテナを多数配置するより、コストが安くできる場合があり、その点も利点となり得る。
また、何より、回転では角度の設定が任意に行えるため、最適なアンテナの向きを整えて、最大限にMIMO通信による伝送能力の増大といる利点を享受できる。
《第3実施形態》
本実施形態は、一言でいうと、第1実施形態で示すアンテナ配置手法と、第2実施形態で示すアンテナの向きの回転制御とを重複適用する実施形態である。
第1実施形態の手法でアンテナの組み合わせを決定し、さらに、よりチャネル容量を最大とする(あるいはチャネル容量あるいは伝送レートが最大となる(あるいは必要な値以上となる)、または、エラーレートが最小となる(あるいは所定の値以下となる)ようにアンテナの回転角を調整する。
言い換えると、第1実施形態の手法によるアンテナ配置で大まかな最適ポイントに近いアンテナの組み合わせを決定し、その付近で、さらにアンテナの回転角度を細かく制御して最適ポイントを探すという、粗調整と微調整を組み合わせた方法である。
前述した第2実施形態でも、粗調整と微調整は可能である。つまり、アンテナの回転角度のステップを細かくすれば、それだけ最適ポイントが得られやすいが、計算負担が増え、そのことを回避したいなら、アンテナの回転角度を例えば45度ステップで行い、次に、最適ポイントに近い2つの角度間を細かいステップで調査するという手法が採用できる。
しかし、この場合も、モータの回転制御を360度の範囲で行う必要があり、クレードルの摺動接点の範囲が全周にわたり構造が複雑化し、計算負担は少なくなるが回転制御を頻繁に行う必要があるという点では不利である。
そこで本実施形態では、例えば図9の構成で45度の範囲といった限られた範囲で回転できる構造を付加する。その場合、クレードル基板30は固定とし、アンテナT1〜T8が設けた枠体のみが、固定のクレードル基板30に対し45度の範囲で回転できるようにする。この構成では、第2実施形態のような摺動接点は不要であり、フレキシブルなRFケーブルが45度の範囲の回転を許すような長さで設けられている。
他方、アンテナとともにクレードル基板30も回転するようにしてもよい。しかし、回転範囲を最大45度と限れば、クレードル基板30の裏面から取り出す電源電圧やGND電位のケーブルも、摺動接点を持たないケーブルで済ませられる。
このようにして、第1実施形態と第2実施形態を組み合わせれば、クレードルの構造自体を簡素化しつつ、第2実施形態と同様な効果が得られる。なお、クレードル基板30を固定とするほうが、アンテナT0をMIMO通信用に用いる場合に、固定のアンテナT0と、回転するアンテナとの角度や距離のバリエーションが豊富化する点で望ましい。
以上述べてきた第1〜第3実施形態では、上記説明で述べた以外でも、以下の種々の変形が可能である。
本発明は、無線LAN(IEEE802.11準拠、Wi−Fi準拠等)、IEEE802.16で標準化が進められているWiMAX(World Interoperability for Microwave Access)、IEEE802.20で標準化が進められているMBWA(Mobile Broadband Wireless Access)、次世代ケータイシステム(いわゆる4Gシステム)、複数アンテナを使用したUWB(Ultra Wide Band)など、さまざまな無線通信システムに適用することができる。
本発明は、複数の伝送ストリームを空間多重するMIMO通信システムに対して好適に適用することができるが、その次数は2×2に限定されず、3×3や、IEEE802.11nで最大数と見込まれる4×4、あるいはそれ以上の次数で構成される通信システムにも同様に適用することができる。
また、本発明の適用範囲は空間多重を行なう特定の無線通信システムに限定されるものではない。例えば、選択ダイバーシチや合成ダイバーシチ、STBC(Space Time Block Coding)といった複数のアンテナを用いた他の通信システムに対しても、同様に本発明を適用することができる。
無線通信装置に設けるアンテナとして、1/4波長モノポール、モノポールの変形であるヘリカル、ミアンダ、容量装荷、逆Fなど、また、マイクロストリップアンテナ、誘電体を用いた小型アンテナ等々、様々なアンテナが適用できる。
2×2のMIMO通信モデルやチャネル容量の式を示す図である。 伝送行例の分布図である。 本発明の実施形態でチャネル容量の実測に用いたセットアップを示す。 本実施形態でチャネル容量の角度依存性を示すレーダーチャートである。 第1〜第3実施形態に関わる無線通信装置の概略的なブロック図である。 第1〜第3実施形態に関わる無線通信装置の他の構成図である。 第1〜第3実施形態に関わるRFモジュールの概略的なブロック図である。 第1〜第3実施形態に関わるBB・MAC処理部内の概略的なブロック図である。 第1および第3実施形態に関わり、(A)はアンテナ配置例1を示す内部の平面図、(B)はその斜視図である。 第1および第3実施形態に関わり、(A)はアンテナ配置例2を示す内部の平面図、(B)はその斜視図である。 第1および第3実施形態に関わり、(A)はアンテナ配置例3を示す内部の平面図、(B)はその斜視図である。 第1および第3実施形態に関わり、(A)はアンテナ配置例4を示す内部の平面図、(B)はその斜視図である。 第1〜第3実施形態に関わるカメラ装置の他の構成を示す概略的なブロック図である。 第1実施形態に関わり、第2および第3実施形態に適用可能なアンテナ選択方法の手順を示すフロー図である。 第2実施形態に関わるクレードルの分解図である。
符号の説明
1,1A…無線通信装置、2…カメラ装置、3,3A…クレードル、4…RFモジュール、5…制御部、23…クレードル・コネクタ、24…アンテナスイッチ、30…クレードル基板、31A等…スイッチIC、33…クレードル・ソケット、34…制御部、35…上部プレート、36…下部プレート、37…コネクタ、38A等…レール、40A(1)等…摺動接点部材、41_1等…デュプレクサ、42…モーターユニット、42_1等…RF受信処理部、43_1等…RF送信処理部、44…BB・MAC処理部、441…前処理部、442…FFT部、443…マッピング処理部、444…後処理部、T0,T1〜T8…アンテナ

Claims (12)

  1. 基準アンテナと、
    各アンテナの配置位置から前記基準アンテナの配置位置を通る直線の方向が、アンテナごとに異なる複数のアンテナと、
    前記複数のアンテナから、1つ以上のアンテナを選択するアンテナスイッチと、
    前記選択された1つ以上のアンテナと前記基準アンテナがそれぞれ複数の信号を受信したときに得られる複数の受信信号を入力し、当該複数の受信信号に対し空間多重化の復調処理を行う受信処理部と、
    を有する無線受信装置。
  2. 前記複数のアンテナは、各アンテナの配置位置から前記基準アンテナまでの距離が、アンテナごとに異なる
    請求項1に記載の無線受信装置。
  3. 前記複数のアンテナが、前記基準アンテナから離れた周囲で円または円弧を描く並びに配置されている
    請求項1に記載の無線受信装置。
  4. 前記円または前記円弧の軸を中心に、前記複数のアンテナを回転移動可能なアンテナ回動機構を、
    さらに有する請求項3に記載の無線受信装置。
  5. 前記基準アンテナと前記選択された1つ以上のアンテナを含むアンテナの組について、アンテナの組み合わせごとに空間多重化通信のチャネル容量、伝送レートまたはエラーレートを計算により求め、当該計算により求めた値を比較し、前記チャネル容量あるいは前記伝送レートが最大となる、または、前記エラーレートが最小となる前記アンテナの組を選択し、選択した組のアンテナが前記受信処理部に接続されるように前記アンテナスイッチを制御する制御部を、
    をさらに有する
    請求項1に記載の無線受信装置。
  6. 前記複数のアンテナが、前記基準アンテナから離れた周囲で円または円弧を描く並びに配置され、
    前記複数のアンテナ、または、前記複数のアンテナと前記基準アンテナを、前記円または前記円弧の軸を中心に回転移動させるアンテナ回動機構をさらに有し、
    前記制御部は、前記アンテナ回動機構によりアンテナの位置を変え、当該位置を変えるごとに前記チャネル容量の計算を行い、前記チャネル容量が最大となるアンテナの組み合わせと位置を決定し、決定した組み合わせでアンテナが前記受信処理部に接続されるように前記アンテナスイッチを制御するとともに、前記アンテナ回動機構を制御して、前記最大のチャネル容量が得られたときの前記位置に、決定した組のアンテナを移動させる
    請求項5に記載の無線受信装置。
  7. 通信機能付きの携帯機器と、
    前記携帯機器が着脱可能なクレードルと、を有し、
    前記基準アンテナが前記携帯機器に設けられ、
    前記複数のアンテナが前記クレードルに設けられている
    請求項1に記載の無線受信装置。
  8. 前記携帯機器が前記受信処理部を有し、
    前記クレードルが前記アンテナスイッチを有し、
    前記携帯機器または前記クレードルが有する制御部によって、空間多重化通信時に前記基準アンテナと前記選択された1つ以上のアンテナを含むアンテナの組を、当該アンテナの組で空間多重化通信を行うときの前記チャネル容量を計算により求めて比較することにより選択し、当該選択した組のアンテナが前記受信処理部に接続されるように前記アンテナスイッチを制御する
    請求項7に記載の無線受信装置。
  9. 基準アンテナと、
    各アンテナの配置位置から前記基準アンテナの配置位置を通る直線の方向と、各アンテナの配置位置から前記基準アンテナまでの距離との少なくとも一方が、アンテナごとに異なる複数のアンテナと、
    前記複数のアンテナから、1つ以上のアンテナを選択するアンテナスイッチと、
    前記選択された1つ以上のアンテナと前記基準アンテナがそれぞれ複数の信号を受信したときに得られる複数の受信信号を入力し、当該複数の受信信号に対し空間多重化の復調処理を行う受信処理部と、
    を有する無線受信装置。
  10. 直径方向に配置されているアンテナ対を複数含んで円状に配置されている複数のアンテナと、
    前記複数のアンテナから、前記アンテナ対を単位としてアンテナを選択するアンテナスイッチと、
    前記選択された各アンテナがそれぞれ複数の信号を受信したときに得られる複数の受信信号を入力し、当該複数の受信信号に対し空間多重化の復調処理を行う受信処理部と、
    を有する無線受信装置。
  11. 基準アンテナと、
    半円以下の円弧状に配置されている複数のアンテナと、
    前記複数のアンテナから、1つ以上のアンテナを選択するアンテナスイッチと、
    前記選択された1つ以上のアンテナと前記基準アンテナがそれぞれ複数の信号を受信したときに得られる複数の受信信号を入力し、当該複数の受信信号に対し空間多重化の復調処理を行う受信処理部と、
    を有する無線受信装置。
  12. 複数の送信アンテナから送られる複数の信号を複数のアンテナそれぞれで受信する空間多重化通信のアンテナ選択方法であって、
    任意の2つのアンテナが選択されて当該選択された2つのアンテナの配置位置を通る直線を想定したとき、当該直線を通る方向とアンテナ間距離の少なくとも一方が、どのような組み合わせで2つのアンテナが選択されても互いに異なるように、複数のアンテナを配置し、
    前記複数のアンテナから2以上のアンテナを任意の組み合わせで選択し、
    アンテナの組み合わせごとにチャネル容量、伝送レートあるいはエラーレートを計算により求め、
    前記チャネル容量あるいは前記伝送レートが最大となる、または、前記エラーレートが最小となるアンテナの組を、前記求めたチャネル容量の値から決定する
    空間多重化通信のアンテナ選択方法。
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