以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施の形態に係る撮像装置1の正面図である。図2は、本実施の形態に係る撮像装置1の背面図である。図3は、本実施の形態に係る撮像装置1の平面図である。図4は、本実施の形態に係る撮像装置1のシャッタスイッチ10周辺の平面拡大図である。図5は、本実施の形態に係る撮像装置1の構成例を説明するブロック図である。
本実施の形態における撮像装置1は、動画像または静止画像を撮影して符号化し、その結果得られる画像データ(デジタル信号)をこの撮像装置1に着脱可能な記録媒体に記録するものである。また、この撮像装置1は、オートフォーカス機能(ノーマルAF・マクロAF)、マニュアルフォーカス機能を有するものである。
この撮像装置1の構成を説明すると、フォーカスレンズ2aを備えるレンズ部2と、レンズ部2を介して取り込んだ光を受光して電気信号に変換する撮像素子3と、撮像素子3によって変換された電気信号をデジタル信号に変換する画像処理部4と、画像処理部4によって変換されたデジタル信号を可視画像にして表示する表示部5と、画像処理部4によって変換されたデジタル信号を画像データとして、着脱可能な記録媒体に記録する記録媒体I/F6と、画像処理部4によって変換されたデジタル信号を解析して、AFを実行するAF制御部7と、MFモードにおいてユーザの操作によって焦点距離の変更を指示するMF操作部8と、フォーカスレンズ2aを駆動させるフォーカスレンズ駆動部9と、ユーザの操作によって撮影開始、終了、またはAF実行のタイミングを指示するシャッタスイッチ10と、ユーザの操作によってAFモードとMFモードとを切り換える第一の切換操作部11と、ユーザの操作によって、AFモードとMFモードに応じた各々の機能を実行する第二の切換操作部12と、撮像装置1の各部を制御する制御部13とを備えて構成される。
そして第二の切換操作部12が、AFモードの場合、ノーマルAFとマクロAFとを切り換えるノーマルAF/マクロAF切換スイッチとして機能し、MFモードの場合、押下されることによって、マクロAFを実行するワンプッシュAFスイッチとして機能するようにしたものである。以下、撮像装置1の具体的構成について説明する。
レンズ部2は、一枚又は複数枚の固定レンズ2bと、一枚又は複数枚のフォーカスレンズ2aから構成され、フォーカスレンズ2aを調整することによって、被写体に対して合焦を可能にするものである。ここでフォーカスレンズ2aは、フォーカスレンズ駆動部9にその動きを制御される。なお、このレンズ部2は、レンズ部2の一部(フォーカスレンズ)を動かし被写体とのピントを合わせるインナーフォーカス方式であり、レンズ部2の長さを変更せずに焦点を調整する。
撮像素子3は、CCD又はCMOS等で構成され、AF制御部7又は制御部13からの制御に基づいて蓄積した電気信号を画像処理部4に出力するものである。
画像処理部4は、ICチップ等によって構成されるものであり、撮像素子3から入力される電気信号をデジタル信号に変換し、AF制御部7、表示部5、および/または画像記録部に出力するようにしたものである。
表示部5は、液晶ディスプレイ等からなり、撮影時にユーザが画像の構図を確認するためのモニタを用いたビューファインダである。また、撮像装置1に着脱可能な記憶媒体に保存した画像を、再生して確認するためのモニタ用ディスプレイである。例えばこの表示部5には、画像処理部4から入力されたデジタル信号が可視画像として表示される。
記録媒体I/F6は、制御部13を介したシャッタスイッチ10の操作信号にしたがって、着脱可能な記録媒体に、画像処理部4から受信したデジタル信号(画像データ)を記憶する。また、記憶媒体から画像データを読み出して表示部5に表示するものである。なお、着脱可能な記録媒体は、磁気テープ、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等である。
AF制御部7は、ICチップ等によって構成されるものであり、AF処理を実行するものである。具体的には、AFモードのシャッタスイッチ10またはMFモードの第二の切換操作部12に制御されて、フォーカスレンズ2aと画像処理部4を制御する。
AF制御部7は、AFを実行するため以下の処理を行う。まず、フォーカスレンズ2aの稼動範囲を設定する。ここでフォーカスレンズ2aの稼動範囲は、ノーマルAFの場合、ノーマル至近端から無限遠の範囲である。一方、マクロAFの場合、マクロ至近端から無限遠の範囲である。そして、フォーカスレンズ2aを稼動させて、被写体を含む画像データを、画像処理部4から連続的に取得する。
また、AF制御部7は、画像処理部4から連続的に入力される被写体を含む画像データを解析する。この際、画像の境界の明瞭さや微細な部分の描写能力を表す度合いである鮮鋭度を算出し、連続的に入力される画像の中から、最も鮮鋭度が最大となる画像を選択する。次に、選択された画像が取得できるフォーカスレンズ2aの位置を検出し、フォーカスレンズ2aの現在位置に基づいて、フォーカスレンズ2aの移動量を決定する。移動量が決定されると、フォーカスレンズ2aを移動するため、フォーカスレンズ駆動部9に移動量を含む信号を出力する。なお、フォーカスレンズ2aの現在位置の検出方法は、どのような方法であってもよいが、好ましくは、フォーカスレンズ2aに位置センサを設け、レンズ部2における現在位置を検出し、この現在位置の情報をAF制御部7に出力するようにするとよい。
MF操作部8は、フォーカスボタン又はフォーカスリングなどによって構成されるもので、このMF操作部8をユーザが操作することによって、フォーカスレンズ2aの調整をできるようにしたものである。ここでMF操作部がユーザから操作された場合、MF操作部8は、ユーザの操作にしたがって、操作信号を制御部13に出力する。これによって、制御部13を介してフォーカスレンズ駆動部9を操作し、フォーカスレンズ2aを移動できるようにしている。また、図2では、撮像装置1の背面にフォーカスボタンを設け、フォーカスレンズ2aの調整をできるようにしている。また、このMF操作部8を上に押し上げることによって、望遠側へのピント合わせを行い、一方、下に押し下げることによって、広角側へのピント合わせを行うことができるようにしている。なお、本実施の形態における図2のように、フォーカスリングではなく、フォーカスボタンで構成する場合、表示部5にピントが合っている距離を確認できるバー5aを設け、表示するようにしてもよい。この際、MF操作部8の操作信号に対応して、制御部13が表示部5を制御する。また、MF操作部8は、図13に示すように、シャッタスイッチ10の周辺を囲むリングで構成するようにしてもよい。これによって、ピント合わせの機能をシャッタスイッチの周辺で行うことができ、ファインダ(撮像装置の覗き窓)を利用するユーザにとっては、人差し指だけでMFの操作ができるため、容易に操作ができるようになる。
フォーカスレンズ駆動部9は、フォーカスレンズドライバ9aとフォーカスレンズモータ9bで構成され、AF制御部7又は制御部13の信号によってフォーカスレンズ2aを駆動できるようにしたものである。フォーカスレンズドライバ9aは、AF制御部7又は制御部13から入力された移動量を含む信号によって、フォーカスレンズモータ9bに駆動信号を出力するものである。また、フォーカスレンズモータ9bは、フォーカスレンズドライバ9aによって入力された駆動信号に基づいて、フォーカスレンズ2aの移動を制御する。
シャッタスイッチ10は、ユーザからの操作に基づいて、撮影を開始し、または、AFを実行する等のタイミングを制御するものである。このシャッタスイッチ10は、好ましくは、図4に示すように撮像装置1の上面に設けられる。そしてこのシャッタスイッチ10は、ユーザによって押下された場合、撮影を開始又は終了する操作信号を制御部13に出力する。また、AFモードにおいてユーザにより半押しされた場合、AFを実行するための操作信号を制御部13に出力する。
第一の切換操作部11は、ユーザの操作に基づいて、AFモードとMFモードの切り換えを制御するものである。第一の切換操作部11は、図4に示すように、指で操作可能な突起物により構成され、さらに、突起物の上面に小さな突起を設けるようにしている。これによって、第二の切換操作部12との違いを視覚および触覚で確認できるようにしている。また、第一の切換操作部11は、シャッタスイッチ10と同様に撮像装置1の上面に設けられ、シャッタスイッチ10の近傍に設けられている。これによって、例えば、人差し指のみによって、フォーカスに関する操作を可能にしている。なお、ユーザによって第一の切換操作部11が押下された場合、AFモードとMFモードとを切り換えるための操作信号を制御部13に出力する。ここで操作信号を出力するタイミングは、第一の切換操作部11が押下されたことを検知したときが好ましいが、これに限られず、第一の切換操作部11が押下された後の離されたことを検知して操作信号を出力するようにしてもよい。また、第一の切換操作部11を、シャッタスイッチ10から人差し指を動かして届く範囲に設けるようにしてもよい。
第二の切換操作部12は、ユーザの操作に基づいて、AFモードとMFモードで各々の機能を実行するものである。この第二の切換操作部12は、AFモードである場合、押下によってノーマルAFとマクロAFの切り換えを制御するものである。また、MFモードである場合、押下によってマクロAF、すなわち、ワンプッシュAFを実行するものである。なお、ユーザによって第二の切換操作部12が押下された場合、機能を実行するための操作信号を制御部13に出力する。
また、この第二の切換操作部12は、図4にしめすように、指で操作可能な突起物により構成されるもので、好ましくは、撮像装置1の上面でシャッタスイッチ10の近傍に設けるようにする。これによって、ユーザは、MFモードにおけるワンプッシュAF機能を容易に実行できる。また、人差し指のみでAFに関する操作が可能になる。なお、操作信号を出力するタイミングは、第二の切換操作部12が押下されたことを検知したときが好ましいが、これに限られず、第二の切換操作部12が押下された後の離されたことを検知して操作信号を出力するようにしてもよい。また、ワンプッシュAFでは、マクロAFを実行するようにしているが、ノーマルAFを実行するようにしてもよい。また、第二の切換操作部12を、シャッタスイッチ10から人差し指を動かして届く範囲に設けるようにしてもよい。
制御部13は、撮像装置1の各部を制御するものである。この制御部13は、CPUと内蔵メモリによって構成されるものであり、内蔵メモリに記憶されている制御プログラムにしたがって、動作を行うものである。この制御部13の動作は、MF操作部8からの操作信号に基づいて、フォーカスレンズ駆動部9を制御する。この際、MF操作部8の操作信号をフォーカスレンズ2aの移動量を含む信号に変換する。また、シャッタスイッチ10の操作信号に基づいて、撮像素子3、AF制御部7、及び/又は記憶媒体I/Fを制御する。さらに、第一の切換操作部11(AF/MF切換スイッチ)の操作信号に基づいて、内蔵メモリにAFモードとMFモードの切り換えを記憶する。加えて、AFモードにおける第二の切換操作部12(AFモード:ノーマルAF/マクロAF切換スイッチ)の操作信号に基づいて、内蔵メモリにノーマルAFとマクロAFの切り換えを記憶すると共に、AF制御部7を制御する。また、MFモードにおける第二の切換操作部12(ワンプッシュAFスイッチ)の操作信号に基づいて、AF制御部7を制御する。なお、制御部13の内蔵メモリにAFモードとMFモードの切り換え及びノーマルAFとマクロAFの切り換えを設定するのは、撮像装置1における機能の設定がどのようになっているかを判断できるようにするためである。
この撮像装置1の基本的な動作について説明する。この撮像装置1の電源がオンされると、制御部13は機能の設定をAFモードとノーマルAFに設定する。そして、レンズ部2は、被写体を含む画像の光を撮像素子3に集光する。光を集光した撮像素子3は、光を電気信号に変換して、画像処理部4に出力する。電気信号が入力された画像処理部4は、電気信号をデジタル信号に変換して、可視画像として表示部5に表示する。
また、AFモードにおいて、ユーザがシャッタスイッチ10を半押しすると、AF(ノーマルAF)を実行し、被写体に対して合焦するようにフォーカスレンズ2aを駆動する。なお、第二の切換操作部12でマクロAFに切り換えることによって、マクロAFの動作を実行することができる。そして、ユーザがシャッタスイッチ10を押下すると、制御部13がシャッタスイッチ10からの操作信号に応じて、撮像素子3及び記録媒体I/F6を制御して、記録媒体I/F6が画像処理部4からデジタル信号(画像データ)を受け取り、着脱可能な記録媒体に記録する。
一方、第一の切換操作部11を押下することによってMFモードに切り換えた場合、MFが可能になる。この撮像装置1では、写したい被写体に対してピントが大きく外れている場合、必要ならば、第二の切換操作部12を押下する。これによって、写したい被写体まで、AFを実行することができる。そして、ユーザはMF操作部8を操作することによって、自分の好みにあったピントにフォーカスレンズ2aを移動する。その後、シャッタスイッチ10を押下することによって、AFモードと同様に、画像データを記録媒体に記録する。これによって、ユーザはMFモードにおいて、容易にピント合わせができるようになる。
次に、このように構成された撮像装置1を用いて被写体に対し合焦する際の動作フローを図6〜11によって説明する。
電源がオンされると、フォーカスレンズ2aの位置を決定して、ピント合わせを行うため、まず以下の処理が実行される。
(AF/MF切り換え処理)
ステップ1では、制御部13が機能の設定をAFモードに設定し、AFモードの処理を実行する。AFモードの設定は、制御部13の内蔵メモリで記憶する。AFモードは図7の処理が実行される。
ステップ2では、制御部13はユーザから第一の切換操作部11(AF/MF切換スイッチ)が押下されるまで設定をAFモードで固定する。一方、第一の切換操作部11(AF/MF切換スイッチ)が押下されると、ステップ3の処理に移行する。
ステップ3では、制御部13が機能の設定をMFモードに設定し、MFモードの処理を実行する。MFモードの設定は、制御部13の内蔵メモリに記憶する。MFモードは図10の処理が実行される。
ステップ4では、制御部13はユーザから第一の切換操作部11(AF/MF切換スイッチ)が押下されるまで設定をMFモードで固定する。一方、第一の切換操作部11(AF/MF切換スイッチ)が押下されると、ステップ1の処理に移行する。
これらの処理を繰り返すことによって、AFモードとMFモードの切り換えを行う。
(AFモード)
AFモードに設定されると以下の処理を行う(図7)。
ステップ11では、制御部13がユーザからのシャッタスイッチ10の半押しを受け付ける。半押しを受け付けた場合、ステップ12の処理に移行する。受け付けない場合、ステップ13の処理に移行する。
ステップ12では、制御部13が機能の設定をノーマルAFに設定する。そして、AF制御部7に対してノーマルAFの処理を実行する制御信号を送信する。AF制御部7は、この制御信号にしたがってノーマルAFの処理を実行する。なお、ノーマルAFの設定は、制御部13の内部メモリに記憶する。また、ノーマルAFは図8の処理が実行される。このノーマルAFの処理によって、ノーマル撮影の撮影可能範囲において被写体に対し合焦をすることができる。
ステップ13では、制御部13が、第二の切換操作部12(ノーマルAF/マクロAF切換スイッチ)の押下を判断する。押下された場合、ステップ14の処理に移行する。一方、押下されない場合、ステップ11の処理に移行する。
ステップ14では、制御部13がユーザからのシャッタスイッチ10の半押しを受け付ける。半押しを受け付けた場合、ステップ15の処理に移行する。受け付けない場合、ステップ16の処理に移行する。
ステップ15では、制御部13が機能の設定をマクロAFに設定する。そして、AF制御部7に対してマクロAFの処理を実行する制御信号を送信する。AF制御部7は、この制御信号にしたがってマクロAFの処理を実行する。なお、マクロAFの設定は、制御部13の内蔵メモリに記憶する。マクロAFは図9の処理が実行される。このマクロAFの処理によって、マクロ撮影の範囲において被写体に対し合焦をすることができる。
ステップ16では、制御部13が第二の切換操作部12(ノーマルAF/マクロAF切換スイッチ)の押下を判断する。押下された場合、ステップ11の処理に移行する。一方、押下されない場合、ステップ14の処理に移行する。
これによって、ステップ11〜13でノーマルAFを、ステップ14〜16でマクロAFを可能にすることで、ノーマルAFとマクロAFの切り換えを可能にしている。なお、これらAFモードの処理は、制御部13の機能の設定がAFモードであること、つまり、内蔵メモリにAFモードが設定してあることを判断して処理を行っている。
(ノーマルAF)
ノーマルAFの処理として以下の処理を実行する(図8)。
ステップ121では、AF制御部7が制御部13からの制御信号にしたがって、フォーカスレンズ2aの稼動範囲(ノーマル)をフォーカスレンズドライバ9aに設定し、ステップ123に移行する。フォーカスレンズ2aの稼動範囲(ノーマル)は、ノーマル至近端から無限遠までの範囲である。これによって、ノーマル(通常)の撮影範囲でのピント合わせを行うことができるようになる。
ステップ123では、AF制御部7がフォーカス駆動部と稼動範囲(ノーマル)においてフォーカスレンズ2aを駆動させ、被写体を含む画像を連続的に取得することによって、フォーカスレンズ2aの位置に応じた鮮鋭度を算出する。そして、ステップ124に移行する。具体的には、フォーカスレンズドライバ9aが、設定された稼動範囲(ノーマル)において、フォーカスレンズモータ9aを介しフォーカスレンズ2aを駆動する。この際、連続的な画像を取得し、取得した画像を解析することによって、鮮鋭度を求める。なお、フォーカスレンズ2aの駆動は、好ましくは、初期位置(シャッタスイッチ10が半押しされた時のフォーカスレンズ2aの現在位置)から稼動を開始して、稼動範囲(ノーマル至近端と無限遠)を所定の回数、往復移動する。この際、初期位置からの稼動方向は、初期位置の周辺における鮮鋭度を求めることによって、鮮鋭度の大きい方向へ稼動するようにするとよい。初期位置の周辺における鮮鋭度の求め方は、フォーカスレンズを初期位置から一定距離の範囲で駆動されることによって、ステップ123のように鮮鋭度を求める。これによって、短時間で鮮鋭度が最大又は極大となるフォーカスレンズ2aの位置を取得できるため、短時間で合焦できる。
ステップ124では、AF制御部7が、算出された鮮鋭度に基づいて、被写体と合焦したか否かを判断する。合焦したか否かの判断は、所定の閾値を設けて、この閾値以上の鮮鋭度を有する画像が存在するか否かで判断する。存在しない場合、合焦しないと判断し、ステップ129の警告表示を行う。そして、警告表示をした後、ノーマルAFの処理を終了する。この警告表示は、好ましくは、表示部5を介して表示するようにするとよい。また、警告表示を表示するようにしているが、表示しなくてもよい。一方、存在した場合、ステップ125に移行する。
ステップ125では、AF制御部7が、算出した鮮鋭度に基づいて、最も鮮鋭度が最大又は極大となる画像をピントが合う画像と判断する。したがって、この画像を取得できるフォーカスレンズ2aの位置を算出し、フォーカスレンズ2aの現在位置と比較して、フォーカスレンズ2aの移動量を決定する。そして、移動量を含む信号をフォーカスレンズ駆動部9に出力し、ステップ126に移行する。
ステップ126では、フォーカスレンズ駆動部9が、入力された移動量を含む信号に基づいて、フォーカスレンズ2aを移動する。
これによって、ノーマル撮影の撮影可能範囲でAFを可能にしている。
(マクロAF)
マクロAFの処理として以下の処理を行う(図9)。なお、ノーマルAFの処理と同様の処理は省略する。
ステップ151では、AF制御部7が制御部13からの制御信号にしたがって、フォーカスレンズ2aの稼動範囲(マクロ)をフォーカスレンズドライバ9aに設定し、ステップ152に移行する。フォーカスレンズ2aの稼動範囲(マクロ)は、マクロ至近端から無限遠までの範囲である。これによって、マクロ撮影の撮影可能範囲におけるピント合わせを行うことができるようになる。
ステップ152では、AF制御部7がフォーカスレンズ駆動部9を制御してフォーカスレンズ2aをマクロ至近端に移動する。そして、ステップ153に移行する。
ステップ153では、AF制御部7がフォーカスレンズ駆動部9と稼動範囲(マクロ)においてフォーカスレンズ2aを駆動させ、被写体を含む画像を連続的に取得することによって、フォーカスレンズ2aの位置に応じた鮮鋭度を算出する。そして、ステップ154に移行する。具体的には、フォーカスレンズドライバ9aが、設定された稼動範囲(マクロ)において、フォーカスレンズモータ9aを介しフォーカスレンズ2aを駆動する。この際、連続的な画像を取得し、取得した画像を解析することによって、鮮鋭度を求める。なお、フォーカスレンズ2aの駆動は、マクロ至近端から稼動を開始し、稼動範囲(マクロ至近端と無限遠)を所定の回数、往復移動する。
ステップ154〜156及び159は、ステップ124〜126及び129と同様の処理を行う。
これによって、マクロ撮影の撮影可能範囲でAFを可能にしている。
(MFモード)
MFモードに設定されると以下の処理を行う(図10)。
ステップ31では、制御部13が撮像装置1をユーザからのMF操作を受け付けるMF操作受付状態に変更する。そして、ステップ32に移行する。なお、MF操作受付状態は、図11の処理が実行される。
ステップ32では、制御部13が第二の切換操作部12(ワンプッシュAFスイッチ)の押下を検知する。押下が検知された場合、ステップ33に移行する。一方、押下が検知されない場合、MF操作受付状態の処理を継続する。
ステップ33では、マクロAFの処理を実行し、ステップ31に移行する。なお、本実施の形態では、第二の切換操作部12の押下によって、マクロAFを実行するようにしているが、図12に示すように、ステップ32の後に、所定時間以上、押下された場合、ノーマルAFを実行し(ステップ33a)、一方、所定時間未満で、押下された場合、マクロAFを実行するようにしてもよい(ステップ33b)。このようにすれば、被写体がノーマル撮影の撮影可能範囲に存在する場合、短時間で被写体のピントに近づけることができる。また、押下された時間で機能を分ける理由は、一つの操作方法で二つの機能を実行することにより、ボタンのようにオンとオフしかない切換操作部において、複数の機能を実行できるようにするためである。なお、押下された時間は、第二の切換操作部12が押下されてから、離されるまでの時間で判断するようにしている。
これによって、ワンプッシュAF、すなわち、MFモードにおけるAFを実行可能にしている。
(MF操作受付状態)
MF操作受付状態としては以下の処理を行う(図11)。
ステップ311では、制御部13がユーザからのMF操作部8の操作を受け付けるまで動作を待機する。このMF操作部8からの操作信号を受け付けた場合、すなわち、MF操作部8から受け付ける操作信号に変更があった場合、ステップ312に移行する。
ステップ312では、制御部13がMF操作部8の操作信号にしたがって、フォーカスレンズ2aの移動量を決定する。そして、移動量を含む信号をフォーカスレンズ駆動部9に出力し、ステップ313に移行する。
ステップ313では、フォーカスレンズ駆動部9が、入力された移動量を含む信号に基づいて、フォーカスレンズ2aを移動する。
これによって、MF操作部8によるMFの実行を可能にしている。
上述のように本実施の形態では、オートフォーカス機能と、マニュアルフォーカス機能と、ノーマルAFと、マクロAFとを有する撮像装置1において、AFモードとMFモードとを切り換える第一の切換操作部11と、ユーザの操作によってAFモードとMFモードに応じた各々の機能を実行する第二の切換操作部12とを備え、前記第二の切換操作部12が、AFモードの場合、操作に応じてノーマルAFとマクロAFとを切り換えるノーマルAF/マクロAF切換スイッチと、MFモードの場合、操作に応じてマクロAFを実行するワンプッシュAFスイッチとの兼用であるように構成したので、ユーザはAF・MFの両モードにおいて、この切換操作部を有効に利用することができる。また、ノーマルAF/マクロAF切換スイッチとワンプッシュAFスイッチが独立して設けられていた場合、一つの切換操作部でスイッチを兼用でき、撮像装置1をコンパクトに構成できる。さらに、フォーカスに関するスイッチによって兼用したので、この第二の切換操作部をフォーカスに関連するものであると印象付けることができ、実行できる機能を覚えやすくなる。また、ユーザは第二の切換操作部の使用に関して、関連をもたない機能を一つの切換操作部で兼用する場合と比べて、混乱なく使用できる。
また、第二の切換操作部12を、指で操作可能な突起物で構成したので、シャッタスイッチ10のように押下することでワンプッシュAFを実行でき、ユーザは容易にAFを行うことができるようになる。
さらに、第一の切換操作部11を、第二の切換操作部12と同様の形状で構成し、第一の切換操作部11の上部に、第二の切換操作部12と区別する区別部11aを設けたので、ユーザの見分けが容易になる。また、視覚に頼らなくても、触覚に頼れば、第一の切換操作部11と第二の切換操作部12を区別できるようになる。
加えて、第二の切換操作部12を、シャッタスイッチ10から人差し指を動かして届く範囲に設けるようにする。
近くに設けたので、MFモードにおいてワンショットAFを用いた撮影が容易にできるようになる。また、一つの指(例えば、人差し指)で処理を行うことができる。
さらに、前記マニュアルフォーカスモードにおける第二の切換操作部12が、所定時間以上、押下された場合、ノーマルAFを実行し、一方、所定時間未満で押下された場合、マクロAFを実行するようにしたので、マニュアルフォーカスモードにおいて、被写体に応じたワンプッシュAF(ノーマルAFとマクロAF)を実行でき、短時間でワンプッシュAFを実行することができるようになる。
加えて、撮像装置1にマニュアルリングなどのMF操作部8を備え、前記MF操作部8と前記第一の切換操作部11と前記第二の切換操作部12をシャッタスイッチ10の周辺に設けるように構成したので、AFとMFに関する操作部をシャッタスイッチの周辺に集めることができ、一つの指、例えば、人差し指のみで複数のフォーカス機能を実行することができる。これによって、例えば、ファインダ(カメラに取り付けられた覗き窓)を頻繁に利用するユーザにとっては、撮影の際、人差し指のみで複数のフォーカス機能を実行できるため、撮影が容易にできるようになる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、種々の態様で実施できる。
例えば、上記実施の形態では、レンズ部2は、一枚又は複数枚の固定レンズ2bと、一枚又は複数枚のフォーカスレンズ2aで構成するようにしているが、ズーム機能を可能にするズームレンズを設けるようにしてもよい。また本実施の形態では、インナーフォーカス方式のレンズ部2で構成しているが、これに限られず、フォーカスレンズ2aを動かして焦点を調整するレンズであれば、どのような構成でも構わない。
また、上記実施の形態では、オートフォーカス機能の方法として、フォーカスレンズ2aを駆動して、被写体を含む画像を連続的に取得し、この画像を解析して、フォーカスレンズ2aの移動量を決定するように構成したが、これに限られず、パッシブ式の方法であればなんでもよい。なお、パッシブ式とは、被写体の画像の黒い部分から白い部分までの幅(差)を測定して、どの位置にピントを合わせると良いか検出する方法である。
さらに、上記実施の形態では、第一の切換操作部11は、小さな突起物で構成するようにしているが、これに限られず、AFモードとMFモードを切り換えできる機能を実現できれば、どんな手段であってもよい。例えば、ボタンを上下または左右に移動することによって、ONとOFFを判断できるスイッチである。
加えて、第二の切換操作部12は、指で操作可能な突起物で構成するようにしているが、これに限られず、オン/オフが判断できるスイッチの構成を有していればどのような構成であってもよい。例えば、ボタンを上下又は左右に移動させることによって、オンとオフを判断できるスイッチである。
また、上記実施の形態では、撮像装置1の電源がオンにされた場合、機能の設定を、AFモードとノーマルAFから開始するように設定していたが、これに限られず、AFモードとマクロAF、または、MFモードから開始するようにしてもよい。
さらに、上記実施の形態では、フォーカスレンズ2aの駆動は、初期位置から稼動範囲を所定回数、往復移動するように構成しているが、これに限られず、合焦ができた時点でフォーカスレンズ2aの稼動を停止してもよい。
加えて、上記実施の形態では、ノーマルAFの際におけるフォーカスレンズ2aの初期位置は、シャッタスイッチ10が半押しされた時のフォーカスレンズ2aの現在位置であるが、これに限られず、ノーマル至近端であってもよいし、無限遠であってもよい。
また、上記実施の形態では、マクロAFの際、ステップ153でフォーカスレンズ2aをマクロ至近端から駆動するようにしているが、これに限られず、例えば、無限遠からであってもよいし、初期位置(シャッタスイッチ10が半押し又はワンプッシュAFスイッチが押下された時点のフォーカスレンズ2aの現在位置)からであってもよい。
さらに、上記実施の形態では、マクロAFにおけるフォーカスレンズ2aの稼動範囲を、マクロ至近端から無限遠と設定しているが、これに限られず、例えば、マクロ至近端からノーマル至近端までに設定してもよい。