JP2009021231A - 触媒インク、触媒インクの製造方法、膜−電極接合体の製造方法及びこれにより得られる膜−電極接合体、並びに、燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】 燃料電池の耐久性を十分に向上させ得る触媒層を形成することができる触媒インクを提供すること。
【解決手段】 本発明の触媒インクは、燃料電池の触媒層を形成するための触媒インクであって、触媒物質と、溶媒と、燐原子を含む官能基を有する芳香族高分子化合物とを含有しており、この芳香族高分子化合物の少なくとも一部が、溶媒に溶解せずに分散した状態で含まれている。
【選択図】 なし

Description

本発明は、触媒インク、触媒インクの製造方法、膜−電極接合体の製造方法及びこれにより得られる膜−電極接合体、並びに、燃料電池に関する。
燃料電池、特に、電解質に高分子電解質を用いた固体高分子形燃料電池は、排出する物質が水のみであることから、環境負荷の少ないエネルギー源として自動車等への応用が期待されている。固体高分子形燃料電池は、一般に、プロトン伝導性を有する高分子からなる高分子電解質膜の両側に、電極として機能する触媒層、ガス拡散層、セパレータ等が順に配置された構成を有している。
従来、燃料電池には、長時間駆動させると高分子電解質膜の劣化が生じ易いという問題があった。これは、高分子電解質膜に隣接する触媒層は、通常、白金等の触媒物質のほか、高分子電解質膜と同じ高分子電解質を含む構成を有しているが、このような触媒層では、電池反応によって過酸化物が生成し易く、この過酸化物が拡散しながら過酸化物ラジカル等を形成し、これが高分子電解質膜の劣化を引き起こしていることが要因の一つであると考えられている。
そこで、このような高分子電解質膜の劣化を防止して固体高分子形燃料電池の耐久性を向上させるために、燐を含む官能基を有する化合物を触媒層に含有させる技術が検討されている。このような技術としては、電極(触媒層)に対し、燐を含む官能基を導入した高分子電解質の添加が提案されている。例えば、特許文献1には、ポリビニルホスホン酸をフッ素系高分子電解質と組み合わせた燃料電池電極が、また、特許文献2には、ホスホン酸化−ポリ(4−フェノキシベンゾイル1,4−フェニレン)を含む燃料電池電極がそれぞれ提案されている。
特開2004−134269号公報 特開2004−175997号公報
しかしながら、上記従来の方法によっても、燃料電池の実用的な発電性能を維持しつつ、耐久性を十分に向上させることは未だ困難な傾向にあった。
そこで、本発明は、燃料電池の実用的な発電性能を維持しながら、耐久性を十分に向上させ得る触媒層を形成することができる触媒インク及びその製造方法を提供することを目的とする。本発明はまた、この触媒インクを用いた膜−電極接合体の製造方法、これにより得られる膜−電極接合体、並びに、燃料電池を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の触媒インクは、燃料電池の触媒層を形成するための触媒インクであって、触媒物質と、溶媒と、燐原子を含む官能基を有する芳香族高分子化合物とを含有しており、芳香族高分子化合物の少なくとも一部が、溶媒に分散した状態で含まれていることを特徴とする。ここで、触媒インクとは、燃料電池における触媒層を形成するための液状の組成物を示す一般的な用語である。
本発明の触媒インクにおいては、燐原子を含む官能基(以下、場合により「燐官能基」と略す)を有する芳香族高分子化合物が、主鎖が主に芳香環から形成されるとともに、この主鎖や主鎖に結合した側鎖に燐官能基が結合した構造を有しており、この芳香族高分子化合物の少なくとも一部が溶媒に溶解せず、溶媒に分散した状態、いわゆるエマルションの状態で含まれている点で特徴的である。本発明者等は、このような触媒インクを用いて得られる触媒層は、固体高分子形燃料電池を組み立てると、実用的な発電性能を維持しつつ、高分子電解質膜の劣化を十分抑制できる固体高分子形燃料電池が得られることを見出した。
また、本発明の触媒インクに含まれる燐官能基を有する芳香族高分子化合物は、触媒層を形成した場合に、燐官能基によって過酸化物ラジカルの発生を抑制又は過酸化物ラジカルを捕捉することができると考えられる。したがって、本発明の触媒インクを用いて形成された触媒層は、過酸化物ラジカルによる電解質膜の劣化を引き起こし難く、この触媒層を備える燃料電池は、十分な耐久性を有するものとなり得る。さらに、上記芳香族高分子化合物は、優れた耐熱性を有するものでもあるので、これを含む触媒層は、燃料電池の動作温度付近でも熱変形等も極めて生じ難いものとなる。
上記本発明の触媒インクは、強酸性基を有する高分子電解質を更に含むと好ましい。かかる触媒インクを用いて得られる触媒層は、強酸性基を有する高分子電解質を含むこととなるため、優れたイオン伝導性を有し、燃料電池等の動作効率を一層向上させることができる。
また、本発明の触媒インクにおいて、溶媒は水を含有することが好ましい。溶媒として水を含有することで、燐官能基を有する芳香族高分子化合物の触媒インクにおける分散安定性が高められる。これに加え、触媒層の形成後に排出されるのが水であるため、この触媒インクを用いて触媒層を形成することによる環境への負荷を軽減することもできる。
また、燐官能基を有する芳香族高分子化合物は、燐官能基としてホスホン酸基又はホスホン酸エステル基を有することが好ましい。ホスホン酸基又はホスホン酸エステル基は、触媒層で発生する過酸化物ラジカルによる電解質膜の劣化を特に良好に低減することができる。
このような芳香族高分子化合物としては、具体的には、下記一般式(1)で表される繰り返し構造を含む化合物が好ましい。
Figure 2009021231
[式中、Arは、置換基を有していてもよい芳香族基を表す。x及びyは、各構造単位の共重合モル比(x+y=1)を示し、それぞれ0.01〜0.99であり、nは、1からArに置換可能な部位の数までの整数であり、Rは、水素原子又はアルキル基である。]
また、本発明の触媒インクの製造方法は、上述した本発明の触媒インクを好適に製造する方法であって、燐原子を含む官能基を有する芳香族高分子化合物の少なくとも一部が溶媒に分散した分散液と、触媒物質とを混合する工程を有することを特徴とする。
このような製造方法によれば、燐官能基を有する芳香族高分子化合物が溶媒に安定に分散した状態で含まれる触媒インクが良好に得られるようになる。
また、本発明の膜−電極接合体の製造方法は、高分子電解質膜の表面上に、上記本発明の触媒インクを塗布して触媒層を形成する工程を有することを特徴とする。かかる製造方法により、高分子電解質膜上に本発明の触媒インクからなる触媒層が形成された膜−電極接合体が良好に得られる。
上記本発明の膜−電極接合体の製造方法においては、高分子電解質膜が炭化水素系高分子電解質膜であると好ましい。炭化水素系高分子電解質膜は、従来のフッ素系高分子電解質膜よりも安価に得られ、しかも、耐熱性にも優れるという特徴を有している。しかしながら、炭化水素系高分子電解質膜は、通常、その炭化水素骨格のラジカル耐性が低いため、燃料電池において劣化し易いものであった。これに対し、本発明の製造方法により得られる膜−電極接合体は、上記本発明の触媒インクからなる触媒層を備えることから、炭化水素系高分子電解質膜を用いた場合であっても、過酸化物ラジカルによる電解質膜の劣化を十分に抑制することができる。
本発明はまた、上記本発明の膜−電極接合体を備える燃料電池を提供する。かかる本発明の燃料電池は、上記本発明の触媒インクにより形成された触媒層を備えることから、過酸化物ラジカルによる高分子電解質膜の劣化を生じ難く、優れた耐久性を有するものとなる。特に、高分子電解質膜に炭化水素系高分子電解質膜を用いた場合は、電解質膜自体の耐熱性が高く、しかも電解質膜の過酸化物ラジカルによる劣化も生じ難くなるため、極めて優れた耐久性を有する燃料電池が得られる。
本発明によれば、燃料電池の耐久性を十分に向上させ得る触媒層を形成することができる触媒インク及びその製造方法を提供することが可能となる。また、本発明の触媒インクを用いた膜−電極接合体の製造方法、これにより得られ、優れた耐久性を有する膜−電極接合体及び燃料電池を提供することが可能となる。
以下、必要に応じて図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について説明する。
[触媒インク]
まず、本発明の触媒インクの好適な実施形態について説明する。
好適な実施形態の触媒インクは、触媒物質、燐原子を含む官能基(燐官能基)を有する芳香族高分子化合物、及び、溶媒を含有する。以下、触媒インクの各含有成分について説明する。
(触媒物質)
触媒物質としては、燃料電池の触媒層に触媒として用いられる成分を適用することができる。例えば、白金、白金を含む合金(白金−ルテニウム合金、白金−コバルト合金等)、錯体系電極触媒(例えば、高分子学会燃料電池材料研究会編、「燃料電池と高分子」、103〜112頁、共立出版、2005年11月10日発行に記載のもの)等が挙げられる。また、触媒物質としては、触媒層における電子の輸送を容易にするため、上記の物質等の触媒として機能する成分を、所定の担持体の表面に担持させたものも好適である。この担持体としては、導電性材料を主として含むものが好適であり、カーボンブラックやカーボンナノチューブ等の導電性カーボン材料、酸化チタン等のセラミック材料等が挙げられる。
(燐官能基を有する芳香族高分子化合物)
燐官能基を有する芳香族高分子化合物は、上述の如く、主に芳香環から形成される主鎖やこの主鎖に結合している側鎖に、燐官能基が結合した構造を有する化合物である。
また、燐官能基とは、3価又は5価の燐原子を含有する官能基であり、3価の燐原子を含有する官能基としてはホスフィン基が挙げられ、5価の燐原子を含有する官能基としては、下記一般式(3)で表されるホスホン酸基又はホスホン酸エステル基、下記一般式(4)で表されるリン酸基又はリン酸エステル基が挙げられる。
Figure 2009021231
Figure 2009021231
[式(3)及び(4)中、R31、R32、R41及びR42は、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を示す。]
式(3)及び(4)におけるアルキル基は、低級アルキル基であると好ましく、具体的には炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。燐官能基としては、上述したなかでも、ホスホン酸基及び/又はホスホン酸エステル基が好適である。また、燐官能基がホスホン酸エステル基又はリン酸エステル基である場合、式(3)におけるR31及びR32の一方が水素原子であるホスホン酸エステル基、あるいは式(4)におけるR41及びR42の一方が水素原子であるリン酸エステル基が好ましい。なお、燐官能基を有する芳香族高分子化合物は、分子中に単一の燐官能基を有していてもよく、複数種の燐官能基を有していてもよい。
燐官能基を有する芳香族高分子化合物としては、具体的には、下記一般式(5)で表される構造単位を有するものが好適である。
Figure 2009021231
[式(5)中、Tは上記一般式(3)又は(4)で表される官能基を示し、Ar51は、T以外の置換基を有していてもよい2価の芳香族基を示し、R51は、直接結合、酸素原子、硫黄原子、スルホニル基又はカルボニル基を示す。また、式中のnは、1〜Ar51に置換可能な部位の数までの整数であり、nが2以上である場合、複数のTは同一でも異なっていてもよい。]
また、燐官能基を有する芳香族高分子化合物としては、上記一般式(5)で表される構造単位に加えて、燐官能基を有しない構造単位を更に有するものも好適である。この場合、上記一般式(5)で表される構造単位と燐官能基を有しない構造単位との共重合様式は、ランダム共重合、交互共重合、ブロック共重合、グラフト共重合のいずれであってもよい。燐官能基を有しない構造単位としては、芳香族高分子化合物に熱安定性を付与できるような構造単位が好ましい。芳香族高分子化合物が熱安定性に優れた構造単位を有する場合、これを含む触媒インクにより得られる触媒層も優れた熱安定性を有することとなり、燃料電池の作動温度が高温化した場合に過酸化物ラジカルの発生を抑制したり、過酸化物ラジカルを補足したりするのに有利となる。
さらに、燐官能基を有する芳香族高分子化合物は、イオン伝導性を有する官能基(イオン伝導性基)を更に有していてもよい。このような芳香族高分子化合物を含む触媒インクによれば、イオン伝導性に優れる触媒層を形成することができ、より高効率で動作可能な燃料電池を製造することが可能となる。
このような燐官能基を有する芳香族高分子化合物としては、本出願人による特開2003−282096号公報に開示された芳香族ホスホン酸類が好適であり、より具体的には、下記一般式(1)で表される芳香族高分子化合物が特に好ましい。
Figure 2009021231
式(1)中、Arは、置換基を有していてもよい芳香族基である。x及びyは、共重合体全体における各括弧内の構造単位の共重合モル比(x+y=1)を示しており、それぞれ0.01〜0.99である。ここで、かかる共重合モル比において、xは0.60〜0.90であると好ましく、0.70〜0.90であるとより好ましい。nは、1からArに置換可能な部位の数までの整数であり、1〜3であると好ましい。Rは、水素原子又はアルキル基であり、水素原子であるとより好ましい。上記一般式(1)で表される芳香族高分子化合物の共重合様式は特に限定されないが、製造の容易さの観点からは、ランダム共重合体又は交互共重合体が好ましい。
上記一般式(1)で表される燐官能基を有する芳香族高分子化合物としては、より好ましくは、下記一般式(2)で表される共重合体が挙げられる。
Figure 2009021231
式中、Rは上記と同義である。r及びsは、それぞれ0以上の整数であってベンゼン環に置換可能な部位の数以下の整数であり、r+sが少なくとも1である。また、x’及びy’は、各括弧内の構造単位の共重合モル比(x’+y’=1)を表し、y’は0.50〜0.95であると好ましい。
(溶媒)
触媒インクに含まれる溶媒としては、上述した燐官能基を有する芳香族高分子化合物を不溶又は難溶なものであり、且つ、この芳香族高分子化合物をナノメーターからマイクロメーターのレベルで凝集体を形成させてその凝集体を分散させることできるものであって、触媒インクにおける他の成分を溶解又は分散させ得る性質を有するものが好ましい。このような溶媒は単一成分であっても、複数の溶媒が混合したものであってもよい。
より具体的には、例えば、触媒インクに、後述する高分子電解質としてナフィオンのようなフッ素系高分子電解質を添加する場合は、少なくとも水を含有する水性分散媒であると好ましく、水と有機溶媒とからなる混合溶媒がより好ましく、水とアルコールの混合溶媒であると更に好ましい。
(高分子電解質)
触媒インクは、上述した触媒物質、燐官能基を有する芳香族高分子化合物及び溶媒に加え、更に高分子電解質を含有すると好ましい。高分子電解質を含む触媒インクを用いて得られる触媒層は、イオン伝導成分である高分子電解質を有することから、当該層における電気反応をより効率よく進行させることができる。そのため、このような触媒層を有する燃料電池の発電性能は一層向上するようになる。また、高分子電解質は、触媒物質を結着させ得るバインダーとして機能するものであるとより好ましい。
上述した燐官能基を有する芳香族高分子化合物も、燐官能基がホスホン酸基等のイオン伝導性基であったり、燐官能基のほかにイオン伝導性基を有していたりする場合は高分子電解質となり得るが、この場合、添加成分としての高分子電解質は、燐官能基を有していない点で燐官能基を有する芳香族高分子化合物とは区別される。そして、本実施形態においては、燐官能基を有する芳香族高分子化合物が高分子電解質を兼ねる場合よりも、添加成分として別途高分子電解質を触媒インクに含有させる方が、触媒層のイオン伝導性がより高められ、ひいては燃料電池の発電性能も一層向上するようになることから、より好ましい。
高分子電解質としては、強酸性基を有する高分子電解質が好ましい。触媒インクが強酸性基を有する高分子電解質を含有することで、触媒層のイオン伝導性をより高めることが可能となる。ここで、強酸性基とは、酸解離定数pKaで表して2以下の酸性基であることをいうものとする。このような強酸性基としては、具体的には、スルホン酸基(−SOH)、スルホニルイミド基(−SONHSO−)が挙げられる。また、強酸性基としては、これらの強酸性基についてフッ素原子等の電子求引性効果により酸性度を更に向上させた超強酸性基も好ましい。この超強酸性基としては、例えば、−Rf−SOH(ただし、Rfは水素原子の一部又は全部をフッ素原子に置き換えたアルキレン基、又は、水素原子の一部又は全部をフッ素原子に置き換えたアリーレン基を表す。)、−SONHSO−Rf(ただし、Rfは水素原子の一部又は全部をフッ素原子に置き換えたアルキル基、又は、水素原子の一部又は全部をフッ素原子に置き換えたアリール基を表す。)が挙げられる。強酸性基としては、なかでも、スルホン酸基が好ましい。
上述した高分子電解質の具体例としては、例えば、下記の(A)〜(F)で表される高分子電解質が挙げられる。すなわち、まず、(A)主鎖が脂肪族炭化水素からなる炭化水素系高分子に、スルホン酸基を導入した高分子電解質、(B)主鎖が脂肪族炭化水素からなり、主鎖の少なくとも一部の水素原子がフッ素原子で置換された高分子に、スルホン酸基を導入した高分子電解質、(C)主鎖が芳香環を有する高分子に、スルホン酸基を導入した高分子電解質が挙げられる。
また、(D)主鎖が、脂肪族炭化水素と、シロキサン基やフォスファゼン基等の無機の単位構造とからなる重合体にスルホン酸基を導入した高分子電解質、(E)(A)〜(D)の高分子電解質の主鎖を構成する繰り返し単位の2種以上を組み合わせた共重合体に、スルホン酸基を導入した高分子電解質、(F)主鎖や側鎖に窒素原子を含む炭化水素系高分子に、硫酸やリン酸等の酸性化合物をイオン結合により導入した高分子電解質等が挙げられる。
より具体的には、上記(A)の高分子電解質としては、例えば、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリ(α−メチルスチレン)スルホン酸等が挙げられる。
上記(B)の高分子電解質としては、Nafion(デュポン社製、登録商標)、Aciplex(旭化成社製、登録商標)、Flemion(旭硝子社製、登録商標)等がある。また、特開平9−102322号公報に記載された炭化フッ素系ビニルモノマと炭化水素系ビニルモノマとの共重合によって作られた主鎖と、スルホン酸基を有する炭化水素系側鎖とから構成されるスルホン酸型ポリスチレン−グラフト−エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)や、米国特許第4,012,303号公報又は米国特許第4,605,685号公報に記載された、炭化フッ素系ビニルモノマと炭化水素系ビニルモノマとの共重合によって作られた膜に、α,β,β−トリフルオロスチレンをグラフト重合させ、これにスルホン酸基を導入して固体高分子電解質膜としたスルホン酸型ポリ(トリフルオロスチレン)−グラフト−ETFE膜等も挙げられる。
上記(C)の高分子電解質は、主鎖に酸素原子等のヘテロ原子を含むものであってもよい。このような高分子電解質としては、例えば、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリイミド、ポリ((4−フェノキシベンゾイル)−1,4−フェニレン)、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニルキノキサレン等の単独重合体のそれぞれにスルホン酸基が導入されたものが挙げられる。具体的には、スルホアリール化ポリベンズイミダゾール、スルホアルキル化ポリベンズイミダゾール等が挙げられる。
上記(D)の高分子電解質としては、例えば、ポリフォスファゼンにスルホン酸基が導入されたもの等が挙げられる。このような化合物は、Polymer Prep.,41,No.1,70(2000)に準じて容易に製造することができる。
上記(E)の高分子電解質は、ランダム共重合体にスルホン酸基が導入されたもの、交互共重合体にスルホン酸基が導入されたもの、ブロック共重合体にスルホン酸基が導入されたもののいずれであってもよい。例えば、ランダム共重合体にスルホン酸基が導入されたものとしては、特開平11−116679号公報に記載されたようなスルホン化ポリエーテルスルホン重合体が挙げられる。また、ブロック共重合体にスルホン酸基が導入されたものとしては、特開2001−250567号公報に記載されたようなスルホン酸基を含むブロックを有するものが挙げられる。
上記(F)の高分子電解質としては、例えば、特表平11−503262号公報に記載されたようなリン酸を含有させたポリベンズイミダゾール等が挙げられる。
高分子電解質としては、なかでも、フッ素系高分子電解質や炭化水素系高分子電解質が好ましい。フッ素系高分子電解質としては、Nafion(登録商標)、Flemion(登録商標)等が好適である。また、炭化水素系高分子電解質としては、脂肪族高分子電解質及び芳香族高分子電解質のどちらも適用できる。触媒インクに用いる高分子電解質としては、なかでも、高い耐熱性が得られ、リサイクルが容易であり、しかも、燃料電池において優れた発電性能と耐久性が得られることから、芳香族高分子電解質が好ましい。
高分子電解質の含有量は、触媒層においてイオンの伝導が可能となる範囲で選択される。例えば、触媒物質として上述した担持体に触媒成分を担持させたものを用いる場合、高分子電解質の含有量は、この担持体の質量に対して、好ましくは0.05〜1.4、より好ましくは0.10〜1.2、更に好ましくは0.15〜1.0の質量となるようにすることが好ましい。
(その他成分)
触媒インクは、触媒層を形成した場合に触媒の被毒をしない範囲で、所望の特性に応じ、上述した各成分以外の成分を含有していてもよい。このような他の成分としては、通常の高分子に使用される可塑剤、安定剤、密着助剤、離型剤、保水剤、無機又は有機の粒子、増感剤、レベリング剤、着色剤等の添加剤が挙げられる。なお、これらの成分の触媒を被毒する特性の有無は、例えば、サイクリックボルタンメトリー法による公知の方法によって調べることができる。
[触媒インクの製造方法]
次に、上述した各成分を含む触媒インクの製造方法について説明する。ここでは、触媒物質、溶媒、燐官能基を有する芳香族高分子化合物及び高分子電解質を少なくとも含む触媒インクの製造方法について説明する。かかる触媒インクの製造においては、まず、触媒物質及び高分子電解質とともに、燐官能基を含む芳香族高分子化合物が溶媒に分散したエマルション(以下、「芳香族高分子エマルション」という)を準備する。
芳香族高分子エマルションは、上述した燐官能基を有する芳香族高分子化合物(以下の説明では、「芳香族高分子化合物」と略す)を、これを溶解しない溶媒(分散媒)に分散させることによって得ることができる。このエマルションに用いる分散媒としては、水や、メタノール、エタノール等の低級アルコール、ヘキサン、トルエン等の非極性有機溶媒や、これらの混合物を用いることができる。なかでも、環境負荷低減の観点から、水又は水を主成分とした溶媒が好ましい。
このような芳香族高分子エマルションの製造方法としては、例えば、以下に示す方法が好ましい。すなわち、まず、芳香族高分子化合物を溶媒(この芳香族高分子化合物を溶解し得る良溶媒)に溶解させた溶液を調製した後、これを別の分散媒(芳香族高分子化合物を溶解しない貧溶媒)で大きく希釈する。次いで、得られた芳香族高分子化合物の分散液中に含まれる上記良溶媒を、透析膜を用いて貧溶媒に置換する。その後、この芳香族高分子化合物の分散液を、エバポレーター等を用いて濃縮する。これにより、芳香族高分子化合物が良好に分散された所望の濃度の芳香族高分子エマルションが得られる。なお、良溶媒及び貧溶媒とは、ここでは以下のように定義される溶媒である。すなわち、溶媒100gに対して、芳香族高分子化合物を0.1g以上溶解させ得るものが良溶媒に該当し、0.05g以下しか溶解し得ないものが貧溶媒に該当する。
上述した芳香族高分子エマルションの製造方法においては、芳香族高分子化合物の溶液を、分散媒(貧溶媒)で大きく希釈する工程を行うことが特に重要である。かかる工程を行うことによって、芳香族高分子化合物が良好に分散された芳香族高分子エマルションが得られる。この工程を行わないと、芳香族高分子化合物が溶解したり、芳香族高分子化合物がゲル化により析出したりして、良好な芳香族高分子エマルションを製造することが困難となる傾向にある。
芳香族高分子化合物の溶液を分散媒(貧溶媒)で希釈する方法は特に制限されないが、ビュレット等を用いて芳香族高分子化合物の溶液を分散媒に滴下する方法や、ビュレット等を用いて分散媒を芳香族高分子化合物の溶液に滴下する方法等が挙げられる。なかでも、前者の方法が簡便であり、しかも良好な芳香族高分子エマルションを形成できることからより好ましい。
芳香族高分子エマルションにおいては、芳香族高分子化合物の濃度が0.1〜10質量%であると好ましく、0.5〜5質量%であるとより好ましく、1〜2質量%であると更に好ましい。これよりも濃度が小さいと、触媒層を形成するのに多量の溶媒が必要となり、触媒層等の製造効率が低下する傾向にある。一方、これよりも濃度が大きいと、触媒層の形成が困難となるおそれがある。
触媒インクの製造においては、触媒物質と、高分子電解質と、上記の芳香族高分子エマルションとを混合する。この混合においては、例えば、まず、高分子電解質を溶媒に溶解又は分散させ、得られた溶液に触媒物質を加えた後、これに芳香族高分子エマルションを更に添加する方法が挙げられる。さらに、必要に応じて、触媒を追加し、高分子電解質等の濃度を調整したり、分散性を更に向上させたりしてもよい。また、高分子電解質が、芳香族高分子化合物の良溶媒に溶解可能である場合は、上述した芳香族高分子エマルションの製造において、芳香族高分子化合物を良溶媒に溶解させると同時に高分子電解質も溶解させ、得られた溶液を貧溶媒で希釈することによって、芳香族高分子エマルションと高分子電解質との混合物を一度に製造する。そして、このようにして得られた混合物に触媒物質を添加することによって、触媒インクを得ることができる。これらの触媒インクの製造においては、超音波分散装置、ホモジナイザー、ボールミル、遊星ボールミル、サンドミル等を用いることで、芳香族高分子化合物の分散安定性を良好に維持することが可能となる。
触媒インクにおける芳香族高分子化合物の含有量は、触媒層を形成した際に十分なイオン伝導性が得られるように、高分子電解質に対して、芳香族高分子化合物が1〜50質量%となるようにすることが好ましく、2〜30質量%となるようにすることがより好ましい。そして、上述した製造方法では、このような芳香族高分子化合物の含有量が満たされるように、芳香族高分子エマルションの添加量を調整することが好ましい。
上述のような方法によって、触媒物質、高分子電解質、芳香族高分子化合物及び溶媒を含み、芳香族高分子化合物の少なくとも一部が溶媒に分散した状態で含まれる触媒インクが得られる。
[燃料電池]
次に、好適な実施形態に係る燃料電池及びその製造方法について説明する。
図1は、好適な実施形態の燃料電池の断面構成を模式的に示す図である。図示されるように、燃料電池10は、高分子電解質膜からなる高分子電解質膜12(プロトン伝導膜)の両側に、これを挟むように触媒層14a,14b、ガス拡散層16a,16b及びセパレータ18a,18bが順に形成されている。高分子電解質膜12と、これを挟む一対の触媒層14a,14bとにより、膜−電極接合体(以下、「MEA」と略す)20が構成される。
まず、燃料電池10における高分子電解質膜12について詳細に説明する。
高分子電解質膜12は、高分子電解質が膜状に形成されたものであり、この高分子電解質としては、酸性基を有する高分子電解質、塩基性基を有する高分子電解質のいずれも適用することができる。このうち、酸性基を有する高分子電解質を用いると、発電性能に優れた燃料電池が得られる傾向にあるため好ましい。酸性基としては、例えば、スルホン酸基、カルボキシル基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、スルホニルイミド基(−SONHSO−)、フェノール性水酸基や上述した超強酸基等が挙げられる。なかでも、酸性基としては、スルホン酸基またはホスホン酸基が好ましく、スルホン酸基が特に好ましい。
かかる高分子電解質の具体例としては、上述した(A)〜(F)の高分子電解質が挙げられる。なかでも、リサイクル性やコストの面から、炭化水素系高分子電解質が好ましい。なお、「炭化水素系高分子電解質」とは、主として炭化水素から構成される主鎖を有しており、例えば、元素重量組成比で、フッ素原子等のハロゲン原子含有量が15重量%以下であるものをいう。高い発電性能と耐久性を両立させる観点からは、上記(C)又は(E)の高分子電解質が好ましい。
特に、高分子電解質としては、上述したもののなかでも、耐熱性やリサイクルの容易さの観点から、芳香族系高分子電解質が好ましい。芳香族系高分子電解質とは、主鎖に芳香環を有し、分子内に酸性基を含む構造を有する高分子化合物である。芳香族系高分子電解質としては、溶媒に可溶なものが好適であり、これらは公知の溶液キャスト法により、容易に所望の膜厚の高分子電解質膜を形成することができる。芳香族系高分子電解質の酸性基は、その主鎖を構成している芳香環に直接置換していてもよく、主鎖を構成している芳香環に所定の連結基を介して結合していてもよく、それらを組み合わせて有していてもよい。
ここで、「主鎖に芳香環を有する高分子」とは、例えば、ポリアリーレンのように2価の芳香族基同士が連結して主鎖を構成しているものや、2価の芳香族基が他の2価の基を介して連結して主鎖を構成している化合物が例示できる。後者の場合、芳香族基を結合する2価の基としては、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、スルフィニル基、スルホニル基、アミド基、エステル基、炭酸エステル基、炭素数1〜4程度のアルキレン基、炭素数1〜4程度のフッ素置換アルキレン基、炭素数2〜4程度のアルケニレン基、炭素数2〜4程度のアルキニレン基が挙げられる。
主鎖に含まれる2価の芳香族基としては、フェニレン基、ナフタレン基、アントラセニレン基、フルオレンジイル基等の炭化水素芳香族基や、ピリジンジイル基、フランジイル基、チオフェンジイル基、イミダゾリル基、インドールジイル基、キノキサリンジイル基等の芳香族複素環基が挙げられる。また、2価の芳香族基は、上記の酸性基以外の置換基を有していてもよい。置換基としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子等が挙げられる。なお、置換基としてハロゲン原子を有する場合や、芳香族基を連結する2価の基としてフッ素置換アルキレン基を有している場合は、芳香族系高分子電解質は、元素重量組成比で、ハロゲン原子の含有量が15重量%以下であることが好ましい。
好適な芳香族系高分子電解質としては、高分子電解質膜として、酸性基を有するドメインと、イオン交換基を実質的に有しないドメインとを併せ持つ、相分離、好ましくはミクロ相分離したものが得られるものが好ましい。前者のドメインは、プロトン伝導性に寄与し、後者のドメインは、機械的強度に寄与する。ここでいうミクロ相分離構造とは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したときに、酸性基を有するブロックの密度が、イオン交換基を実質的に有さないブロックの密度よりも高い微細な相(ミクロドメイン)と、イオン交換基を実質的に有さないブロックの密度が、酸性基を有するブロックの密度よりも高い微細な相(ミクロドメイン)とが混在しており、各ミクロドメイン構造のドメイン幅(恒等周期)が数nm〜数100nmであるような構造を指す。芳香族系高分子電解質としては、5nm〜100nmのドメイン幅を有するミクロドメイン構造を有する膜を形成し得るものが好ましい。
なお、上述したミクロ相分離構造の膜を形成し易い芳香族系高分子電解質としては、酸性基(イオン交換基)を有するブロックと、実質的にイオン交換基を有しないブロックを有するブロック共重合体やグラフト共重合体が挙げられる。これらは、異種のポリマーブロック同士が化学結合で結合されていることによって、分子鎖サイズのオーダーでの微視的相分離が生じ易いことから、ミクロ相分離構造の膜を良好に形成することができる。なかでも、ブロック共重合体が好適である。
ここで、ブロック共重合体において、「イオン交換基を有するブロック」とは、かかるブロックを構成している繰り返し単位1個あたりに、イオン交換基が平均0.5個以上含まれているブロックであることを意味し、繰り返し単位1個あたりで平均1.0個以上含まれているブロックであるとより好ましい。一方、「イオン交換基を実質的に有しないブロック」とは、かかるブロックを構成している繰り返し単位1個あたり、イオン交換基が平均0.5個未満であるセグメントであり、繰り返し単位1個あたり平均0.1個以下であるとより好ましく、平均0.05個以下であるとさらに好ましい。
高分子電解質膜12に好適なブロック共重合体の例としては、例えば、特開2005−126684号公報や特開2005−139432号公報に記載された芳香族ポリエーテル構造を有し、イオン交換基を有するブロックとイオン交換基を実質的に有しないブロックとからなるブロック共重合体が挙げられる。特に、酸性基を有するポリアリーレンブロックを有するブロック共重合体(本出願人による国際公開2006/95919号パンフレット参照)は、イオン伝導性と耐水性を高水準で達成する電解質膜を形成できるため、好ましい。
高分子電解質膜12を構成する高分子電解質の分子量は、その構造に応じて最適範囲を適宜設定することが好ましいが、例えば、GPC(ゲルパーミエイションクロマトグラフィー)法によるポリスチレン換算の数平均分子量で、1000〜1000000であると好ましい。この数平均分子量の下限は、より好ましくは5000以上、更に好ましくは10000以上である。一方、上限は、より好ましくは500000以下、更に好ましくは300000以下である。
さらに、高分子電解質膜12は、上記の高分子電解質に加え、所望の特性に応じて、プロトン伝導性を著しく低下させない範囲で他の成分を含んでいてもよい。このような他の成分としては、通常の高分子に添加される可塑剤、安定剤、離型剤、保水剤等の添加剤が挙げられる。また、高分子電解質膜12としては、その機械的強度を向上させる目的で、高分子電解質と所定の支持体とを複合化した複合膜を用いることもできる。支持体としては、フィブリル形状や多孔膜形状等の基材が挙げられる。
以下、再び図1を参照して好適な実施形態の燃料電池について説明する。
上記の高分子電解質膜12に隣接する触媒層14a,14bは、実質的に燃料電池における電極層として機能する層であり、これらのいずれか一方がアノード電極層となり、他方がカソード電極層となる。かかる触媒層14a,14bは、上述した実施形態の触媒インクを用いて形成された層であり、触媒物質、高分子電解質及び燐官能基を有する芳香族高分子化合物を少なくとも含む。より具体的には、触媒物質が、高分子電解質及び燐官能基を有する芳香族高分子化合物によって結着された構造を有する。
ガス拡散層16a,16bは、MEA20の両側を挟むように設けられており、触媒層14a,14bへの原料ガスの拡散を促進するものである。このガス拡散層16a,16bは、電子伝導性を有する多孔質材料により構成されるものが好ましい。例えば、多孔質性のカーボン不織布やカーボンペーパーが、原料ガスを触媒層14a,14bへ効率的に輸送することができるため、好ましい。これらの高分子電解質膜12、触媒層14a,14b及びガス拡散層16a,16bから膜−電極−ガス拡散層接合体(MEGA)が構成される。
セパレータ18a,18bは、電子伝導性を有する材料で形成されており、かかる材料としては、例えば、カーボン、樹脂モールドカーボン、チタン、ステンレス等が挙げられる。このセパレータ18a,18bは、図示しないが、触媒層14a,14b側に、燃料ガス等の流路となる溝が形成されていると好ましい。
なお、燃料電池10は、上述した構造を有するものを、ガスシール体等で封止したものであってもよい(図示せず)。さらに、上記構造の燃料電池10は、直列に複数個接続して、燃料電池スタックとして実用に供することもできる。これらの構成を有する燃料電池は、燃料が水素である場合は固体高分子形燃料電池として、また燃料がメタノール水溶液である場合は直接メタノール型燃料電池として動作することができる。
[燃料電池の製造方法]
次に、上述した構成を有する燃料電池10を製造する方法の一例を説明する。
燃料電池10の製造方法においては、触媒インクを用いて各種の方法で触媒層14a,14bを形成する。この触媒層14a,14bの形成方法としては、以下の(a)〜(c)の方法が挙げられる。まず、(a)の方法では、触媒インクを高分子電解質膜12に塗布した後、これを乾燥することにより溶媒を除去して触媒層14a,14bを形成する。かかる方法によれば、高分子電解質膜12の両側に触媒層14a,14bが形成されたMEA20が得られる。
また、(b)の方法では、触媒インクをポリ(テトラフルオロエチレン)フィルムやポリイミドフィルムなどの支持基材上に塗布した後、これを乾燥させることにより溶媒を除去して、支持基材上に触媒層が形成された積層体を得る。これを、触媒層14a,14b用にそれぞれ準備した後、これらの触媒層側が高分子電解質膜12に接するようにこの高分子電解質膜12の両側に配置し、更にこれをプレス等の方法で接合する。その後、支持基材のみを剥離することによって、高分子電解質膜12の両側に触媒層14a,14bが形成されたMEA20が得られる。
さらに、(c)の方法では、(b)の方法における支持基材として、カーボンペーパー等のガス拡散層16a,16bを形成するための基材を用いる。そして、上記と同様にして支持基材(ガス拡散層)上に触媒層が形成された積層体を形成した後、これらを、それぞれの触媒層側が高分子電解質膜12に接するように配置してプレス等により接合する。その後、(b)の方法とは異なり、支持基材をそのまま残すことで、高分子電解質膜12の両側に、触媒層14a,14b、ガス拡散層16a,16bが順に配置されたMEGAが得られる。
上述した(a)〜(c)の方法において、触媒インクの塗布方法としては、ダイコーター、スクリーン印刷、スプレー法、インクジェット法等の公知の塗布方法を適用することができる。そして、上記のいずれの方法によっても、触媒インクから溶媒が除去されることにより、触媒物質、高分子電解質及び燐官能基を有する芳香族高分子化合物を含む触媒層14a,14bが形成される。
(a)〜(c)の方法のなかでも、特に(a)の方法は、得られるMEA20において、高分子電解質膜12と触媒層14a,14bとの接着性が強固となる傾向にあるため、好ましい。したがって、この方法を用いることで、特に優れた発電性能を有する燃料電池10が得られ易い傾向にある。
そして、燃料電池10の製造においては、上述した方法により得られたMEA20又はMEGAの両側に、ガス拡散層16a,16bやセパレータ18a,18bを形成するための材料を適宜配置した後、各層間を接合することによって、上述した構成を有する燃料電池10を得ることができる。
なお、上述したように触媒インクを用いて製造した触媒層14a,14bは、燃料電池10において所望の特性を得るために、単位面積あたりに適切な量の触媒物質(特に、触媒物質中の実質的に触媒として機能する成分)を含む必要がある。そこで、触媒層14a,14bにおける、単位面積あたりに含まれる触媒(触媒として実質的に機能する成分)の含有量を求めることは、燃料電池10の製造において重要である。以下、触媒層中の触媒物質の量を求める方法を、触媒物質として白金を用いた場合の例に基づいて説明する。
まず、触媒層中の白金量は、触媒インクに含まれる白金の量をあらかじめ求めておき、塗布した触媒インクの量から白金量を算出する。そして、この白金量の値を、形成された触媒層の面積で割ることにより、単位面積あたりの白金量が求められる。
これ以外の方法においては、まず、触媒インクに含まれる固形分(例えば、白金、高分子電解質及び燐官能基を有する芳香族高分子化合物)中の白金量をあらかじめ求める。また、触媒インクが塗布される基材(高分子電解質膜12や触媒インクが塗布される支持基材)の質量をあらかじめ求める。そして、基材上に触媒インクを用いて触媒層を形成した後、得られた積層体の質量を測定する。この積層体の質量から基材の質量を減じることで、触媒層の質量が得られる。得られた触媒層の質量と、上記で求めた触媒インクにおける固形分中の白金量とから、触媒層中の白金の質量を算出する。そして、この質量を、触媒層の面積で割ることで、単位面積あたりの白金量が求められる。
なお、触媒物質が、例えば白金を含む合金等、触媒として実質的に機能する成分以外の成分を含む場合は、触媒物質中の白金の割合をあらかじめ求めておくことで、触媒層中の白金量を求めることができる。
さらに、形成後の触媒層14a,14bから白金量を求める場合は、例えば、以下のような方法が適用できる。すなわち、触媒層14a,14bを、カッター等で剥離し、これにより剥離した触媒層14a,14bを、ICP(高周波誘導プラズマ)−MS等の分析手段によって分析することで、触媒層中の白金量を求めることができる。なお、ICP−MSを用いて分析する場合は、剥離した触媒層を濃硫酸中で80〜150℃程度で加熱し、白金を酸化してから分析を行い、その結果から白金のみの量を換算して得てもよい。
上述した構成を有する燃料電池10においては、触媒層14a,14bが、上述した実施形態の触媒インクによって形成される。かかる触媒層14a,14bは、燐官能基を有する芳香族高分子化合物を含むことから、燃料電池の動作によって触媒層に生じ易い過酸化物ラジカルを良好に安定化することができる。したがって、このような触媒層14a,14bを有する燃料電池は、この過酸化物ラジカルによる高分子電解質膜12の劣化が極めて生じ難く、耐久性に優れるものとなる。
また、触媒インクは、芳香族高分子エマルションを用いて形成され、燐官能基を有する芳香族高分子化合物の少なくとも一部が溶解せずに分散した状態で含まれるため、触媒インク中に、上記芳香族高分子化合物が分散したまま、触媒物質の触媒活性が低下することなく触媒層14a,14bを形成することができる。かかる効果が奏される理由は必ずしも定かではないが、本発明者等は次のように推定している。すなわち、上述した特許文献1〜2に示された触媒層(燃料電池電極)は、その製造過程において、燐を含む官能基を導入した高分子電解質が溶媒に溶解した形態の触媒インクを用いて得られたものである。このような触媒インクを用いて製造された触媒層は、触媒物質の触媒活性が低下し易くなっているため、実用的な発電性能を有する燃料電池を形成することが困難であった。これに対し、本発明の触媒インクを用いて製造された触媒層14a,14bは、優れた触媒活性(発電性能)を維持しながら、燐官能基を有する芳香族高分子化合物によるラジカルの安定化が良好になされており、これにより優れた耐久性を有する燃料電池を形成することができる。さらに、本発明の触媒インクは、燐官能基を有する芳香族高分子化合物を分散状態で含むことから、この芳香族高分子化合物として溶媒に難溶性であるもの等、広範な化合物を適用でき、化合物選択の自由度が高い。
なお、本発明の触媒インクやその製造方法、膜−電極接合体及び燃料電池は、上述した実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、まず、上記の実施形態では、燃料電池10として、2つの触媒層14a,14bの両方が本発明の触媒インクによって形成されたものを用いたが、これに限定されず、一方のみが本発明の触媒インクによって形成されてもよい。また、燃料電池10は、本発明の触媒インクを用いて得られた触媒層を有する限り、燃料電池として機能する範囲で構成が省略されてもよく、また上記以外の構成を更に具備していてもよい。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[分子量の測定方法]
以下の実施例等で製造したポリマーの分子量は、いずれも以下の方法によって重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を測定した。すなわち、対象のポリマーを用いて、下記条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定を行い、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を算出した。
GPC条件
・カラム: TOSOH社製 TSKgel GMHHHR−M 1本
・カラム温度 :40℃
・移動相溶媒 :N,N−ジメチルホルムアミド(10mmol/dmのLiBrを含む)
・溶媒流量: 0.5mL/min
[平均粒径の測定方法]
以下の実験において、エマルション中に存在する分散体の平均粒径は、いずれも動的光散乱法(濃厚系粒径アナライザーFPAR−1000、大塚電子社製)により測定した。かかる測定における測定温度は30℃、積算時間は30分、測定に用いたレーザーの波長は660nmとした。得られたデータを、上記の装置に付属した解析ソフトウェア(FPARシステム VERSION5.1.7.2)を用い、CONTIN法で解析することにより散乱強度分布を求め、その最も頻度の高い粒径を平均粒径とした。
[燐官能基を有する芳香族高分子化合物の製造]
(ポリマーaの合成)
減圧共沸蒸留装置を備えた2Lのセパラブルフラスコを窒素置換し、これに4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン63.40g(0.2533mol)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル70.81g(0.3803mol)、N−メチル−2−ピロリドン(以下、「NMP」という)955gを加えて均一な溶液とした。その後、炭酸カリウム92.80g(0.6714mol)を添加し、NMPを留去しながら135℃〜150℃で4.5時間減圧脱水した。その後、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン200.10gを添加し、180℃で21時間反応を行った。
反応終了後、反応溶液をメタノールに滴下し、これにより析出した固体をろ過、回収した。回収した固体は、更にメタノール洗浄及び水洗浄を行った後、熱メタノール洗浄を経て乾燥させ、これにより275.55gのポリマーaを得た。ポリマーaは、下記化学式(6)で表される構造を有する。
このポリマーaは、GPC測定によるポリスチレン換算の重量平均分子量が18000であり、NMR測定の積分値から求めたqとpの比がq:p=7:3であった。なお、下記式(6)中の「random」の表記は、ポリマーaを形成する構成単位が、ランダムに共重合されていることを示す。
Figure 2009021231
(ポリマーbの合成)
2Lのセパラブルフラスコを窒素置換し、上記のポリマーaの80.00g及びニトロベンゼンの1014.12gを加え、均一な溶液とした。その後、N−ブロモスクシンイミドを50.25g添加し、15℃まで冷却した。続いて、95%濃硫酸106.42gを40分かけて滴下し、15℃で6時間反応させた。6時間後、15℃に冷却しながら10重量%水酸化ナトリウム水溶液450.63g及びチオ硫酸ナトリウム18.36gを添加した。その後、この溶液をメタノールに滴下し、これにより析出した固体をろ過、回収した。回収した固体はメタノール洗浄及び水洗浄を行った後、再度メタノール洗浄を経て乾燥させて、86.38gのポリマーbを得た。得られたポリマーbにおいては、オキシビフェニリレン構造1個当たり、平均1.8個のブロモ基が置換されていた。また、ポリマーbの分子量及び臭素含有量を分析したところ、以下のとおりであった。
・臭素含有率 : 19.5重量%
・Mn : 7.7×10
・Mw : 1.1×10
(ポリマーcの合成)
減圧共沸蒸留装置を備えた2Lのセパラブルフラスコを窒素置換し、ポリマーbの80.07g、及び、N,N−ジメチルホルムアミド2200gを加えて均一な溶液とした。その後、N,N−ジメチルホルムアミドを留去しながら5時間減圧脱水をおこなった。5時間後、50℃まで冷却し、塩化ニッケルを41.87g(0.323mol)添加して130℃まで昇温し、更に亜リン酸トリエチルを69.67g(0.419mol)滴下して、140℃〜145℃で2時間反応をおこなった。2時間後、亜リン酸トリエチルを更に17.30g(0.1041mol)添加し、145℃〜150℃で3時間反応をおこなった。3時間後、室温まで冷却し、水1161gとエタノール929gの混合溶液を滴下して、これにより析出した固体をろ過、回収した。回収した固体に水を添加して十分に粉砕し、これを5重量%塩酸水溶液による洗浄及び水洗浄を経て乾燥させ、86.83gのポリマーcを得た。
(ポリマーd(燐官能基を有する芳香族高分子化合物)の合成)
5Lのセパラブルフラスコを窒素置換し、ポリマーcの75.00g、35重量%塩酸1200g、及び、水550gを加え、105℃〜110℃で15時間攪拌した。15時間後、室温まで冷却し、水1500gを滴下した。その後、系中の固体をろ過、回収し、得られた固体を水洗浄及び熱水洗浄した。乾燥後、目的とする下記式(7)で表されるポリマーd(燐官能基を有する芳香族高分子化合物)を72.51g得た。得られたポリマーdの元素分析から求めたリンの含有率は5.91%であり、元素分析値から計算した下記式(7)中のx(ビフェニレンオキシ基1個あたりのホスホン酸基の数)の値は1.6であった。なお、式中、「random」の表記は、各括弧内の構造単位がランダム共重合していることを表す。また、得られたポリマーdの燐含有量、臭素含有量及び分子量を測定した結果は以下のとおりであった。
・燐含有率 : 5.1重量%
・臭素含有率 : 0.1重量%
・Mn : 1.4×10
・Mw : 2.2×10
Figure 2009021231
(ポリマーe(燐官能基を有する芳香族高分子化合物)の合成)
メカニカルスターラーを取り付けた500mlフラスコに、下記式(9)で表わされる交互共重合体(アルドリッチ社製、分子量(ポリスチレン換算):Mn=3.0×10、Mw=6.8×10)を15.0g(4,4’−ビフェノール由来のユニット37.5mmol)、N−ブロモコハク酸イミドを35.0g(197mmol) 、塩化メチレンを202gそれぞれ入れ、窒素雰囲気下で攪拌した。氷冷しながら、この懸濁液に濃硫酸99.6gを75分間かけて滴下したところ、途中から海苔状の生成物が析出した。
Figure 2009021231
滴下終了後、氷冷下で1時間半攪拌した後、反応混合物を氷中に注ぎ、これに亜硫酸ナトリウムを少量加えて攪拌した。反応混合物をエバポレーターで減圧濃縮し、これにより得られた水性スラリーを濾過した後、中和操作を行いながら繰り返し水洗し、さらに減圧乾燥してブロモ化ポリマーを得た。
このようにして得られたブロモ化ポリマー7g(含有ブロモ基:26.0mol)を183gのN,N−ジメチルホルムアミドに溶解し、これに塩化ニッケル(II)5.11g(39.4mmol)を加えて窒素雰囲気下で攪拌した。この混合物を加熱し、油浴温度130℃にて亜リン酸トリエチル 7.71g(46.4mmol)を10分間かけて滴下した。その後、反応混合物を20分間かけて還流温度まで昇温させ、1時間半後、還流下で亜リン酸トリエチル 2.66g(16.0mmol)を追加で滴下した。さらに2時間還流下攪拌した後、反応混合物を氷水に注ぎ、濾過、希塩酸洗浄、繰り返し水洗、希炭酸水素ナトリウム水溶液で中和洗浄を順に行い、最後に水洗を行った。そして、反応混合物を減圧乾燥して、ポリマーホスホン酸ジエチル5.63gを得た。
上記の方法で製造したポリマーホスホン酸ジエチル10.2gを、21%塩酸水溶液200mlに加えて、窒素雰囲気下で加熱還流しながら8時間攪拌した。この懸濁液を放冷した後、濾過、水洗、真空乾燥を行い粗生成物を得た。次いで、得られた粗生成物を、N,N−ジメチルホルムアミドに溶解して得た溶液に、大過剰の5%塩酸を加えることにより生成物を再沈殿させ、濾過、繰り返し水洗の後、減圧乾燥して、9.1gのポリマーeを得た。
分析の結果、このポリマーeは、下記(10)で表わされる組成(4,4’−ビフェノール由来のユニット1つに対してBrが約0.1個、ホスホン酸基が約1.3個置換)の単位構造を有するものであることが判明した。
Figure 2009021231
[芳香族高分子エマルションの製造]
(芳香族高分子エマルションA)
上記のようにして得られた燐官能基を有する芳香族高分子化合物(ポリマーd)を、NMPに1.0重量%となるように溶解させ、この芳香族高分子化合物の溶液100gを作製した。次いで、この溶液100gを、ビュレットを用いて、蒸留水900gに、滴下速度3〜5g/分で滴下することにより、この溶液を希釈した。希釈された燐官能基を有する芳香族高分子化合物の溶液を、透析膜透析用セルロースチューブ(三光純薬(株)製UC36−32−100:分画分子量14,000)を用い、72時間流水で処理して、溶媒の置換を行った。この溶媒置換を行った溶液を、エバポレーターを用いて、1.4重量%の濃度となるまで濃縮し、これにより燐官能基を有する芳香族高分子化合物のエマルション(芳香族高分子エマルションA)を作製した。得られた芳香族高分子エマルション中の分散体の平均粒径は269nmであり、燐官能基を有する芳香族高分子化合物は、溶媒中に分散していることが確認された。
(芳香族高分子エマルションB)
ポリマーdに代えて、上記のようにして得られた燐官能基を有する芳香族高分子化合物(ポリマーe)を用いたこと、NMPに代えてジメチルスルホキシドを用いたこと、及び、溶媒置換を行った溶液を1.0重量%の濃度となるまで濃縮したこと以外は、上記と同様にして燐官能基を有する芳香族高分子化合物のエマルション(芳香族高分子エマルションB)を作製した。得られた芳香族高分子エマルション中の分散体の平均粒径は209nmであり、燐官能基を有する芳香族高分子化合物は、溶媒中に分散していることが確認された。
[高分子電解質膜の製造]
(4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウムの合成)
攪拌機を備えた反応器に、4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン467gと、30%発煙硫酸3500gとを加え、これらを100℃で5時間反応させた。得られた反応混合物を冷却した後、大量の氷水中に加え、これに更に50%水酸化カリウム水溶液470mLを滴下した。
次いで、析出した固体を濾過して集め、これをエタノールで洗浄した後、乾燥させた。こうして得られた固体を、脱イオン水6.0Lに溶解させた後、50%水酸化カリウム水溶液を加え、pH7.5に調整した後、塩化カリウム460gを更に加えた。これにより析出した固体を濾過して集め、エタノールで洗浄した後、乾燥させた。
その後、得られた固体を、ジメチルスルホキシド(以下、「DMSO」という)2.9Lに溶解させ、これに不溶の無機塩を濾過で除いた後、この残渣をDMSO300mLでさらに洗浄した。得られた濾液に、酢酸エチル/エタノール=24/1の溶液6.0Lを滴下し、これにより析出した固体をメタノールで洗浄し、更に100℃で乾燥させて、4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウムの固体482gを得た。
(ポリマーf:スルホン酸基を有する高分子化合物の合成)
共沸蒸留装置を備えたフラスコに、アルゴン雰囲気下、上記のようにして得られた4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム9.32重量部、2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸カリウム4.20重量部、DMSO59.6重量部、及び、トルエン9.00重量部を加えて、これらを室温にて撹拌しながらアルゴンガスを1時間バブリングした。
その後、得られた混合物に、炭酸カリウムを2.67重量部加え、140℃にて加熱撹拌して共沸脱水した。その後トルエンを留去しながら加熱を続け、スルホン酸基を有する高分子化合物(ポリマーf)のDMSO溶液を得た。総加熱時間は14時間とした。得られた溶液は室温にて放冷した。
(ポリマーg:イオン交換基を実質的に有しない高分子化合物の合成)
共沸蒸留装置を備えたフラスコに、アルゴン雰囲気下、4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン8.32重量部、2,6−ジヒドロキシナフタレン5.36重量部、DMSO30.2重量部、NMP30.2重量部、及び、トルエン9.81重量部を加え、室温にて撹拌しながらアルゴンガスを1時間バブリングした。
その後、得られた混合物に、炭酸カリウムを5.09重量部加え、140℃にて加熱撹拌して共沸脱水した。その後トルエンを留去しながら加熱を続けた。総加熱時間は5時間とした。得られた溶液を室温にて放冷し、これによりポリマーg(イオン交換基を実質的に有しない高分子化合物)のNMP/DMSO混合溶液を得た。
(ブロック共重合体の合成)
上記の方法で得られたポリマーgのNMP/DMSO混合溶液を攪拌しながら、これに、上記ポリマーfのDMSO溶液の全量と、NMP80.4重量部及びDMSO45.3重量部を加え、150℃にて40時間反応させてブロック共重合を得た。
得られた反応液を大量の2N塩酸に滴下し、1時間浸漬させた。その後、生成した沈殿物を濾別した後、これを再度2N塩酸に1時間浸漬した。得られた沈殿物を濾別、水洗した後、95℃の大量の熱水に1時間浸漬した。そして、この溶液を80℃で12時間乾燥させることにより、高分子電解質膜を形成するための高分子電解質である下記式(8)で表されるブロック共重合体を得た。このブロック共重合体のイオン交換容量は、1.9meq/gであった。
Figure 2009021231
(ポリマーh)
国際公開2007/043274号パンフレットの実施例7、実施例21記載の方法を参考にして下記化学式(11)で表されるポリマーhを得た。得られたポリマーhのMwは3.7×10、Mnは1.7×10、IECは2.5meq/gであった。
Figure 2009021231
(高分子電解質膜1の製造)
上記で得られた式(8)で表される高分子電解質を、NMPに13.5重量%の濃度となるように溶解させて、高分子電解質の溶液を調製した。次いで、この高分子電解質の溶液をガラス板上に滴下した。それから、ワイヤーコーターを用いて高分子電解質溶液をガラス板上に均一に塗り広げた。この際、0.25mmクリアランスのワイヤーコーターを用いることで、塗工厚みをコントロールした。塗布後、高分子電解質の溶液を80℃で常圧乾燥した。それから、得られた膜を1mol/Lの塩酸に浸漬した後、これをイオン交換水で洗浄し、さらに常温で乾燥することによって、厚さ30μmの高分子電解質膜1を得た。
(高分子電解質膜2の製造)
上記で得られたポリマーh及びポリマーdの混合物(ポリマーh:ポリマーd=90:10、質量比)を、DMSOに約10質量%の濃度となるように溶解させて、高分子電解質溶液を調製した。次いで、この高分子電解質溶液をガラス板上に滴下した。それから、ワイヤーコーターを用いて高分子電解質溶液をガラス板上に均一に塗り広げた。この際、0.5mmクリアランスのワイヤーコーターを用いて塗工厚みをコントロールした。塗布後、高分子電解質溶液を80℃で常圧乾燥した。それから、得られた膜を1mol/Lの塩酸に浸漬した後、イオン交換水で洗浄し、さらに常温で乾燥することによって厚さ30μmの高分子電解質膜2を得た。
[実施例1:燃料電池の製造及びその評価]
(触媒インクAの製造)
まず、膜−電極接合体を製造するために必要な触媒インクを作製した。すなわち、市販の5重量%ナフィオン溶液(高分子電解質の溶液、溶媒:水と低級アルコールの混合物)6mLに、51重量%白金が担持された白金担持カーボンを1.00g投入した後、さらにエタノールを13.2mL、上記で得られた芳香族高分子エマルションAを3.77g加えた。これにより得られた混合物を1時間超音波処理した後、スターラーで5時間攪拌して触媒インクAを得た。
(膜−電極接合体の製造)
次に、上述した製造方法で得られた高分子電解質膜1の片面の中央部における5.2cm角の領域に、スプレー法により上記の触媒インクAを塗布した。この際、吐出口から膜までの距離は6cmとし、ステージ温度は75℃に設定した。同様の方法で8回の重ね塗りを行った後、塗布物をステージ上に15分間放置し、これにより溶媒を除去してアノード触媒層を形成させた。得られたアノード触媒層は、その組成と塗布重量から算出して0.6mg/cmの白金を含有する。続いて、高分子電解質膜のアノード触媒層と反対側の面にも同様に触媒インクAを塗布して、0.6mg/cmの白金を含むカソード触媒層を形成した。これにより、膜−電極接合体1を得た。
(燃料電池セルの製造)
市販のJARI標準セルを用いて燃料電池セルを製造した。すなわち、上記の膜−電極接合体1の両外側に、ガス拡散層としてカーボンクロスと、ガス通路用の溝を切削加工したカーボン製セパレータとをこの順で配置し、さらにその外側に集電体及びエンドプレートを順に配置し、これらをボルトで締め付けることによって、有効膜面積25cmの燃料電池セルを組み立てた。
(燃料電池セルの特性評価)
得られた燃料電池セルを80℃に保ちながら、低加湿状態の水素(70mL/分、背圧0.1MPaG)と空気(174mL/分、背圧0.05MPaG)をセルに導入し、開回路と一定電流での負荷変動試験を行った。この条件で燃料電池セルを230時間作動させた後、膜−電極接合体を取り出してエタノール/水の混合溶液に投入し、さらに超音波処理することで触媒層を取り除いた。そして、残った高分子電解質膜の分子量をゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した。負荷変動試験前と試験後の高分子電解質膜の分子量、及び、負荷変動試験前後の高分子電解質膜の分子量の維持率を表1に示す。この維持率が高いほど、高分子電解質膜の劣化が小さいことを意味する。なお、GPCの測定条件は下記の通りとした。
・カラム:TOSOH社製 TSK gel GMHHHR−M1本
・カラム温度:40℃
・移動相溶媒:N,N−ジメチルホルムアミド(LiBrを10mmol/dmになるように添加)
・溶媒流量:0.5mL/分
[実施例2]
(触媒インクBの製造)
5重量%ナフィオン溶液(高分子電解質の溶液、溶媒:水と低級アルコールの混合物)6mLに、51重量%白金が担持された白金担持カーボンを1.00g投入した後、さらにエタノールを13.2mL、上記で得られた芳香族高分子エマルションBを5.00g加えた。これにより得られた混合物を1時間超音波処理した後、スターラーで5時間攪拌して触媒インクBを得た。
(膜−電極接合体の製造)
触媒インクAに代えて触媒インクBを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で膜−電極接合体2を作製した。この膜−電極接合体2におけるアノード触媒層およびカソード触媒層は、その組成と塗布重量から算出して0.6mg/cmの白金を含む層であった。
(燃料電池セルの製造)
膜−電極接合体2を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により燃料電池セルを作製した。そして、得られた燃料電池について、実施例1と同様に負荷変動試験を実施し、燃料電池セルの特性評価を行った。
[実施例3]
(膜−電極接合体の製造)
高分子電解質膜1に代えて高分子電解質膜2を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により膜−電極接合体3を作製した。この膜−電極接合体3におけるアノード触媒層およびカソード触媒層は、その組成と塗布重量から算出して0.6mg/cm2の白金を含む層であった。
(燃料電池セルの製造)
膜−電極接合体3を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により燃料電池セルを作製した。そして、得られた燃料電池について、実施例1と同様に負荷変動試験を実施し、燃料電池セルの特性評価を行った。
[比較例1]
触媒インクAの製造において、芳香族高分子エマルションAを加えなかったこと以外は、実施例1と同様にして燃料電池を製造した。得られた燃料電池について、実施例1と同様に負荷変動試験を実施した。
[比較例2]
触媒インクAの製造において、芳香族高分子エマルションAに代え、ポリマーdを粉体の状態で0.05gを水に分散させた分散液を用いたこと以外は、実施例1と同様に燃料電池セルを製造しようとしたが、このポリマーdは触媒インク中に分散せずに沈降してしまい、膜−電極接合体及び燃料電池を得ることは出来なかった。
[比較例3]
触媒インクAの製造において、芳香族高分子エマルションに代え、ポリマーdのNMP溶液(1.4重量%)を用いたこと以外は、実施例1と同様に燃料電池セルを製造しようとしたが、高分子電解質膜の片面に触媒インクを塗布したところ、この高分子電解質膜が著しく変形してしまい、もう一方の面に触媒インクを塗布することが出来ず、膜−電極接合体及び燃料電池を得ることは出来なかった。
[比較例4]
(触媒インクCの製造)
5重量%ナフィオン溶液(高分子電解質の溶液、溶媒:水と低級アルコールの混合物)6mLに、51重量%白金が担持された白金担持カーボンを1.00g投入した後、さらにエタノールを13.2mL、30重量%ポリビニルホスホン酸水溶液(PolyScience社製)を0.16g加えた。これにより得られた混合物を1時間超音波処理した後、スターラーで5時間攪拌して触媒インクCを得た。
(膜−電極接合体の製造)
触媒インクAに代えて触媒インクCを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で膜−電極接合体4を作製した。得られたアノード触媒層およびカソード触媒層は、その組成と塗布重量から算出して0.6mg/cmの白金を含む層であった。
(燃料電池セルの製造)
膜−電極接合体4を用いたこと以外は実施例1と同様の方法により燃料電池セルを作製した。得られた燃料電池について、実施例1と同様に負荷変動試験を実施したが、一定電流を流した際の電圧が低かったため負荷変動試験を継続することが困難であった。
[比較例5]
触媒インクBの製造において、芳香族高分子エマルションBを加えずに触媒インクを調製し、この触媒インクを用いたこと以外は、実施例2と同様にして膜−電極接合体及び燃料電池を製造した。得られた燃料電池について、実施例1と同様に負荷変動試験を実施した。得られた結果を表1に示す。
Figure 2009021231
表1より、燐官能基を有する芳香族高分子化合物を含む芳香族高分子エマルションを用いて得られた触媒インクにより触媒層を形成した実施例1〜3では、芳香族高分子エマルションを用いなかった比較例1及び5と比較して、負荷変動試験による高分子電解質膜の劣化が大幅に抑制されることが判明した。この結果から、実施例1〜3で得られた燃料電池は、高い耐久性を有することが確認された。
好適な実施形態に係る燃料電池の断面構成を模式的に示す図である。
符号の説明
10…燃料電池、12…高分子電解質膜、14a,14b…触媒層、16a,16b…ガス拡散層、18a,18b…セパレータ、20…MEA。

Claims (11)

  1. 燃料電池の触媒層を形成するための触媒インクであって、
    触媒物質と、溶媒と、燐原子を含む官能基を有する芳香族高分子化合物と、を含有しており、
    前記芳香族高分子化合物の少なくとも一部が、前記溶媒に分散した状態で含まれている、ことを特徴とする触媒インク。
  2. 強酸性基を有する高分子電解質を更に含む、ことを特徴とする請求項1記載の触媒インク。
  3. 前記溶媒が、水を含有する、ことを特徴とする請求項1又は2記載の触媒インク。
  4. 前記触媒物質が、白金及び/又は白金を含む合金である、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の触媒インク。
  5. 前記芳香族高分子化合物は、前記燐原子を含む官能基としてホスホン酸基又はホスホン酸エステル基を有する、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の触媒インク。
  6. 前記芳香族高分子化合物は、下記一般式(1)で表される繰り返し構造を含む共重合体である、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の触媒インク。
    Figure 2009021231
    [式中、Arは、置換基を有していてもよい芳香族基を示す。x及びyは、各構造単位の共重合モル比(x+y=1)を示し、それぞれ0.01〜0.99であり、nは、1からArにおける置換可能な部位の数までの整数であり、Rは、水素原子又はアルキル基である。]
  7. 燐原子を含む官能基を有する芳香族高分子化合物の少なくとも一部が溶媒に分散した分散液と、触媒物質と、を混合する工程を有する、ことを特徴とする触媒インクの製造方法。
  8. 高分子電解質膜の表面上に、請求項1〜6のいずれか一項に記載の触媒インクを塗布して触媒層を形成する工程を有する、ことを特徴とする膜−電極接合体の製造方法。
  9. 前記高分子電解質膜が、炭化水素系高分子電解質膜である、ことを特徴とする請求項8記載の膜−電極接合体の製造方法。
  10. 請求項8又は9記載の製造方法により得ることのできる膜−電極接合体。
  11. 請求項10記載の膜−電極接合体を備える燃料電池。
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