JP2009015026A - 結像光学系及び光学機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】諸収差を良好に補正でき、製造が容易で耐環境性に優れた光学系を提供する。
【解決手段】結像光学系は、正、負、正、正又は負の第1〜第4レンズユニットを有し、第2レンズユニットを像面側に移動させて無限遠側から至近側へのフォーカシングを行う。第1〜第3レンズユニットのいずれかに第1の屈折光学素子を含み、第1の屈折光学素子を構成する固体材料は、θgF-(-1.665×10-7・νd3+5.213×10-5・νd2 -5.656×10-3・νd+0.755)>0及びθgF-(-1.665×10-7・νd3+5.213×10-5・νd2 -5.656×10-3・νd+1.011)< 0を満足する。結像光学系は、最至近物体への合焦状態において第1の屈折光学素子の光学面に入射する軸上光線の最大高さがh1、無限遠物体への合焦状態において第1の屈折光学素子の光学面に入射する軸上光線の最大高さがh2のとき、0.4<|h1|/|h2|<
2.5を満たす。
【選択図】図1

Description

本発明は、スチルカメラ、ビデオカメラ、交換レンズ等の光学機器に好適な結像光学系に関する。
近距離物体の撮影を主たる目的とした撮影光学系(結像光学系)として、いわゆるマクロレンズやマイクロレンズと称されるもの(以下、マクロレンズという)がある。
マクロレンズは、標準レンズや望遠レンズといった一般的な撮影レンズに比べて、特に近距離物体の撮影において高い光学性能が得られるように設計される。また、マクロレンズは、近距離物体に限らず、無限遠から近距離に至る広範囲の距離の物体の撮影にも使用されることが多い。
一般に、マクロレンズにおいて物体距離(撮影倍率)の範囲を拡大しようとするとフォーカスに伴う収差変動が増大する。例えば、撮影倍率が高くなると、球面収差が補正不足となったり、色収差が増大したりする。
特許文献1には、フォーカシングの際に少なくとも2つのレンズユニットを互いに独立に移動させる、いわゆるフローティングを利用して、フォーカシングに伴う収差変動を少なくした光学系が開示されている。
ただし、特許文献1にて開示された光学系は、光学系全体を繰り出す方法を採用している。このため、モータ等のアクチュエータでレンズユニットを駆動するオートフォーカスカメラでは、アクチュエータの駆動負荷が大きくなり過ぎて、高速でのフォーカシングが難しくなる。
一方、特許文献2には、第1レンズユニットに比べて重量の軽い第2又は第3レンズユニットを移動させることで、オートフォーカスに有利な構成でありながらも球面収差等の諸収差が良好に補正できる光学系が開示されている。
ただし、無限遠物体から等倍程度の近距離に至るフォーカシング全域において、良好な結像性能を得るためには、さらなる収差補正、特に色収差補正が求められる。
色収差の発生を低減する方法として、光学材料に異常部分分散材料を用いる方法や光路中に回折光学素子を用いる方法が一般的によく知られている。
また、広帯域の波長に対して色収差を補正する方法の1つとして、低屈折及び低分散で異常部分分散を持つ蛍石等の光学材料を使用して、残存色収差を比較的良好に補正できるマクロレンズが特許文献3にて開示されている。このマクロレンズでは、蛍石等の異常部分分散材料を色収差補正、特に軸上色収差を補正するために物体側において用いることで大きな効果を得ることができる。
ただし、光学材料として用いられる蛍石等の異常部分分散材料は、屈折率が1.5程度と低い。このため、所望のレンズ屈折力を得るためには、レンズ形状を大きくする必要がある。したがって、フォーカシング全域においての諸収差のバランスがとりにくくなる上に、コストが上昇する。
一方、回折光学素子は、アッベ数に相当する数値の絶対値が3.45と小さく、回折によるパワー(焦点距離の逆数)を僅かに変化させるだけで、球面収差、コマ収差、非点収差にほとんど影響を与えることなく、色収差を大きく変化させることができる。また、回折光学素子により扱われる光は回折光であるため、入射光の波長の変化に対してパワーが線形変化し、色収差係数の波長特性が完全な直線となる。
したがって、レンズ全長を短縮する場合には、主に球面収差、コマ収差、非点収差の補正に特化して収差補正を行えばよい。
色収差に関しては、悪化した色収差の絶対量を気にせずに、色収差係数の波長特性の線形性が得られるように、構成レンズの硝材と屈折力を最適化することで、色収差が比較的良好に補正された光学系が得られる。
また、回折光学素子に似た色収差補正作用を持つ光学素子として、比較的高分散で、かつ異常部分分散特性を持つ液体材料が知られており、これを用いた色消し光学系が特許文献4及び特許文献5にて開示されている。
特開昭63−179308号公報 特開平9−211319号公報 特開2003−161877号公報 米国特許第5731907号明細書 米国特許第5638215号明細書
前述したように、マクロレンズは広範囲の物体距離での撮影に用いられることが多い。しかも、オートフォーカスに際してのアクチュエータの駆動負荷が大きくならないように、比較的軽量な第2又は第3レンズユニットを移動させる構成を採用しつつ、フォーカス全域におけるより良好な収差補正が求められている。
このような要求に対して、蛍石等の光学材料をマクロレンズに使用した場合、残存色収差を比較的良好に補正することができるものの、撮影倍率の変化に伴う諸収差を補正するためにはレンズ面の屈折力を大きく変化させないと色収差の補正が不足する。
つまり、色収差の補正と、球面収差、コマ収差、非点収差等の諸収差の補正の双方を良好に行うことが従来は難しかった。
一方、回折光学素子は、十分な色収差の補正作用があるが、実際に用いると、設計回折次数の回折光以外の不要な回折次数の回折光が発生し、この不要な回折光が色を有したフレア光となって結像性能を悪化させる。
不要な回折光を減ずる方法の1つとして、複数のブレーズ型の回折格子を光軸方向に積層した、いわゆる積層型回折光学素子を用いる方法がある。積層型回折光学素子を用いることで、設計回折次数へエネルギーを集中させ、不要な回折光を減らすことが可能である。しかしながら、積層型回折光学素子を用いても、高輝度な被写体を撮影する場合に、不要な回折光によるフレアが現れる場合がある。
また、回折光学素子は、紫外線硬化樹脂を金型で成型する方法によって製造される場合が多い。しかし、回折光学素子の回折効率の敏感度が、製造誤差に対して極めて高いため、非常に高い金型精度や成型精度が要求され、製造が難しい。
さらに、特許文献3,4に開示された材料は液体材料であるため、それを封止する構造が必要となる。また、この材料は、温度変化に応じて屈折率や分散等の特性が大きく変化し、耐環境性が十分ではない。さらに、この材料を用いると、空気との界面が得られないため、十分な色収差補正作用を得ることが難しい。
本発明は、色収差等の諸収差を良好に補正することができ、製造が容易で、耐環境性に優れた結像光学系及び光学機器を提供する。
本発明の一側面としての結像光学系は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズユニット、負の屈折力を有する第2レンズユニット、正の屈折力を有する第3レンズユニット、及び正又は負の屈折力を有する第4レンズユニットを有し、第1レンズユニットを固定して、少なくとも第2レンズユニットを像面側に移動させて無限遠側から至近側へのフォーカシングを行う。
第1レンズユニットから第3レンズユニットのうちいずれかに、物体側及び像面側の光学面がともに屈折面である第1の屈折光学素子を含み、第1の屈折光学素子を構成する固体材料のアッベ数をνd、部分分散比をθgFとするとき、該固体材料は、
θgF-(-1.665×10-7・νd3+5.213×10-5・νd2 -5.656×10-3・νd+0.755)>0
θgF-(-1.665×10-7・νd3+5.213×10-5・νd2 -5.656×10-3・νd+1.011)< 0
なる条件の両方を満足する。
また、該結像光学系は、最至近物体への合焦状態において第1の屈折光学素子の光学面に入射する軸上光線の最大高さをh1、無限遠物体への合焦状態において第1の屈折光学素子の光学面に入射する軸上光線の最大高さをh2とするとき、以下の条件を満足することを特徴とする。
0.4<|h1|/|h2|<2.5
なお、上記結像光学系を備えた光学機器も本発明の他の側面を構成する。
本発明によれば、色収差等の諸収差を良好に補正することができ、製造が容易で、耐環境性に優れ、無限遠から近距離までの広範囲において高い光学性能を有する結像光学系及び光学機器を実現することができる。
以下、本発明の好ましい実施例について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施例1である結像光学系の断面を示している。図1において、上から順に、無限遠物体への合焦状態、撮影倍率β=0.5である近距離物体への合焦状態、及び撮影倍率が等倍(β=1)である近距離物体(最至近物体)への合焦状態をそれぞれ示している。なお、無限遠物体とは無限遠距離に位置する物体を、最至近物体とは最至近距離(MOD)に位置する物体をそれぞれ意味する。
図2A,図2B及び図2Cは、実施例1の結像光学系の収差図を示している。図2Aは無限遠物体への合焦状態での収差を、図2Bは撮影倍率β=0.5である近距離物体への合焦状態での収差を、図2Cは撮影倍率が等倍(β=1)である近距離物体(最至近物体)への合焦状態での収差をそれぞれ示している。
図3は、本発明の実施例2である結像光学系の断面を示している。図3において、上から順に、無限遠物体への合焦状態、撮影倍率β=0.5である近距離物体への合焦状態、及び撮影倍率が等倍(β=1)である近距離物体(最至近物体)への合焦状態をそれぞれ示している。
図4A,図4B及び図4Cは、実施例2の結像光学系の収差図を示している。図4Aは無限遠物体への合焦状態での収差を、図4Bは撮影倍率β=0.5である近距離物体への合焦状態での収差を、図4Cは撮影倍率が等倍(β=1)である近距離物体(最至近物体)への合焦状態での収差をそれぞれ示している。
図5は、本発明の実施例3である結像光学系の断面を示している。図5において、上から順に、無限遠物体への合焦状態、撮影倍率β=0.5である近距離物体への合焦状態、及び撮影倍率が等倍(β=1)である近距離物体(最至近物体)への合焦状態をそれぞれ示している。
図6A,図6B及び図6Cは、実施例3の結像光学系の収差図を示している。図6Aは無限遠物体への合焦状態での収差を、図6Bは撮影倍率β=0.5である近距離物体への合焦状態での収差を、図6Cは撮影倍率が等倍(β=1)である近距離物体(最至近物体)への合焦状態での収差をそれぞれ示している。
図7は、本発明の実施例4である結像光学系の断面を示している。図7において、上から順に、無限遠物体への合焦状態、撮影倍率β=0.5である近距離物体への合焦状態、及び撮影倍率が等倍(β=1)である近距離物体(最至近物体)への合焦状態をそれぞれ示している。
図8A,図8B及び図8Cは、実施例4の結像光学系の収差図を示している。図8Aは無限遠物体への合焦状態での収差を、図8Bは撮影倍率β=0.5である近距離物体への合焦状態での収差を、図8Cは撮影倍率が等倍(β=1)である近距離物体(最至近物体)への合焦状態での収差をそれぞれ示している。
図9は、本発明の実施例5である結像光学系の断面を示している。図9において、上から順に、無限遠物体への合焦状態、撮影倍率β=0.5である近距離物体への合焦状態、及び撮影倍率が等倍(β=1)である近距離物体(最至近物体)への合焦状態をそれぞれ示している。
図10A,図10B及び図10Cは、実施例5の結像光学系の収差図を示している。図10Aは無限遠物体への合焦状態での収差を、図10Bは撮影倍率β=0.5である近距離物体への合焦状態での収差を、図10Cは撮影倍率が等倍(β=1)である近距離物体(最至近物体)への合焦状態での収差をそれぞれ示している。
各実施例の断面図において、左方が物体側又は被写体側(前方)であり、右方が像面側又は像側(後方)である。
OBは結像光学系である。物体側から順に、L1は正の屈折力を有する第1レンズユニット、L2は負の屈折力を有する第2レンズユニット、L3は正の屈折力を有する第3レンズユニット、L4は正又は負の屈折力を有する第4レンズユニットである。なお、各実施例では4つのレンズユニットにより構成される結像光学系を示すが、5つ以上のレンズユニットにより構成される結像光学系も、本発明の実施例に含まれる。
SPは開口絞りであり(以下、単に絞りという)、第2レンズユニットL2と第3レンズユニットL3との間に配置されている。
IPは像面である。結像光学系OBをビデオカメラやスチルカメラ等の撮像装置(光学機器)における撮影光学系として使用する場合には、この像面IPの位置に、撮像面(CCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子(光電変換素子)の受光面又はフィルムの感光面)が配置される。
また、各収差図において、d,g,Cはそれぞれ、d線,g線及びC線を、ΔM,ΔSはそれぞれメリディオナル像面、サジタル像面を示す。倍率色収差はg線によって表す。
FnoはFナンバーである。
以下の説明では、各実施例の結像光学系OBを、撮像装置又は交換レンズ装置(光学機器)に搭載される撮影光学系として用いることを前提として説明する。ただし、各実施例の結像光学系OBの用途は、撮影光学系に限られない。
撮影光学系としての各実施例の結像光学系OBは、無限遠から等倍程度の最至近距離(MOD)までの広い物体距離の範囲で収差補正を良好に行えるマクロレンズである。
各実施例においては、無限遠側から至近側へのフォーカシングに際して、第2レンズユニットL2を像面側へ移動させる。この際、重量の重い第1レンズユニットL1を固定(不動)とすることで、オートフォーカスに有利な構成としている。
また、第2及び第3群レンズユニットL2,L3は、主に変倍作用に寄与し、第4レンズユニットL4は、主に変倍に伴う像面変動の補正に寄与する。
なお、第3レンズユニットL3は、無限遠側から至近側へのフォーカシングに際して物体側へ移動するのが好ましい、ただし、第3レンズユニットL3は、物体側に向かって凸の軌跡を描くように移動してもよい。
また、第4レンズユニットL4は、必要に応じて、物体側に向かって凸の軌跡を描くように移動するが、これを固定(不動)としてもよい。第4レンズユニットL4を固定とした場合、像面変動の補正を第3レンズユニットL3のみで行う必要があり、設計上の自由度が減少するが、フォーカシングのための移動量が減るため、高速でのフォーカシングを可能とする。
また、絞りSPをフォーカシング中において像面IPに対して固定(不動)とすることで、メカ構造が簡単になる。また、絞りSPの位置を、第2レンズユニットL2と第3レンズユニットL3の間とすることで、近距離物体への合焦時においても十分な光量を確保でき、かつコンパクトな結像光学系を実現できる。
さらに、第2及び第3レンズユニットL2,L3に接合レンズを含ませることによって、各レンズユニット自体が持つ色収差量(絶対値)を小さく抑えることができ、フォーカシングに伴う収差変動を良好に補正できる。
各実施例の特徴の1つとして、第1、第2及び第3レンズユニットL1,L2,L3のうち少なくとも1つに、部分分散比が大きい(高い)固体材料より形成された屈折光学素子(GNL,Ga,Gb)を配置している。
屈折光学素子とは、屈折作用によって光学パワーが生じる、屈折レンズ等の光学素子を意味し、回折作用によって光学パワーが生じる回折光学素子は含まない。
また、固体材料とは、結像光学系OBを使用する状態で固体である材料を意味し、製造時等の結像光学系OBを使用する前の状態ではどのような状態であってもよい。例えば、製造時には液体材料であっても、それを硬化させて固体材料としたものも、ここでいう固体材料に含まれる。また、固体材料は、常温常圧で固体である材料を意味する。
各実施例の結像光学系OB中に用いられる屈折光学素子は、光入射側(物体側又は拡大側)と光射出側(像面側又は縮小側)の光学面がともに屈折面であり、このうち少なくとも一方の屈折面は屈折力を有する。固体材料は、そのアッベ数をνd、部分分散比をθgFとするとき、以下の条件(1a)及び(1b)の両方を満足する。
θgF-(-1.665×10-7・νd3+5.213×10-5・νd2 -5.656×10-3・νd+0.755) > 0
…(1a)
θgF-(-1.665×10-7・νd3+5.213×10-5・νd2 -5.656×10-3・νd+1.011) < 0
…(1b)
これらの条件式(1a),(1b)を満足する固体材料により形成された屈折光学素子を光学系中に用いることによって、g線からC線の広い波長帯域にわたって色収差の補正を良好に行う。
さらに、固体材料は、以下の条件(2a),(2b)の両方を満足してもよい。
θgd-(-1.687×10-7・νd3+5.702×10-5・νd2 -6.603×10-3・νd+1.500) > 0
…(2a)
θgd-(-1.687×10-7・νd3+5.702×10-5・νd2 -6.603×10-3・νd+1.809) < 0
…(2b)
条件(1a),(1b)に加えて、又は条件(1a),(1b)とは別に条件(2a),(2b)を満足することによって、g線とd線間の色収差補正を行うことが容易になる。これにより、g線からC線の広い波長帯域でより緻密な色収差の補正が容易となる。
また、固体材料は、色収差の補正の観点から、
νd<60 …(3)
を満足することが好ましい。
条件(1a),(1b)を満足する固体材料(以下、光学材料ともいう。)の具体例としては、例えば、樹脂がある。特にUV硬化樹脂(Nd=1.635,νd=22.7,θgF=0.69)やN−ポリビニルカルバゾール(Nd=1.696,νd=17.7,θgF=0.69)は条件(1a),(1b)を満足する光学材料である。ただし、条件(1a),(1b)を満足する樹脂であれば、固体材料はこれらに限定されない。
また、一般の硝材とは異なる特性を持つ光学材料として、以下の無機酸化物ナノ微粒子を合成樹脂中に分散させた混合体がある。
TiO(Nd=2.304,νd=13.8)
Nb(Nd=2.367,νd=14.0)
ITO(Nd=1.8581,νd=5.53)
Cr(Nd=2.2178,νd=13.4)
BaTiO(Nd=2.4362,νd=11.3)
これらの無機酸化物の中では、TiO(Nd=2.304,νd=13.8,θgF=0.87)の微粒子を合成樹脂中に適切な体積比で分散させた場合、上記条件(1a),(1b)を満足する光学材料が得られる。
TiOは様々な用途で使われる材料であり、光学分野では反射防止膜等の光学薄膜を構成する蒸着用材料として用いられている。他にも光触媒、白色顔料等として用いられる。また、TiO微粒子は化粧品材料としても用いられる。
各実施例において樹脂に分散させるTiO微粒子の平均径は、散乱等の影響を考えると、2nmから50nm程度が好ましい。また、凝集を抑えるために、分散剤等を添加してもよい。
TiOを分散させる媒体材料としては、ポリマーが好ましい。ポリマーを用いる場合、例えば、成形型を用いて光重合成形又は熱重合成形することにより、高い量産性を得ることができる。
また、ポリマーとしては、部分分散比が比較的大きいポリマー、アッベ数が比較的小さいポリマー、又は部分分散比が比較的大きく、かつアッベ数が比較的小さいポリマーが好ましい。例えば、N−ポリビニルカルバゾール、スチレン、ポリメタクリル酸メチル(アクリル)等が使用できる。
各実施例では、TiO微粒子を分散させるホストポリマーとして、UV硬化樹脂を用いている。ただし、本発明の実施例をこれに限定する意味ではない。
ナノ微粒子を分散させた混合体の分散特性、すなわち波長λにおける屈折率N(λ)は、よく知られたDrudeの式から導き出された次式(a)によって簡単に計算することができる。
N(λ)
=[1+V{NTiO(λ)−1}+(1−V){NP2(λ)−1}]・1/2
…(a)
ただし、λは任意の波長、NTiOはTiOの屈折率、NPはポリマーの屈折率、Vはポリマー体積に対するTiO微粒子の総体積の分率である。
各実施例では、条件(1a),(1b)を満足する光学材料を光学系中のレンズやレンズ表面に設けられた屈折力のある層(面)に適用している。
そして、この光学材料で構成された屈折面を非球面形状とすれば、色の球面収差等の色収差フレアを良好に補正することができる。
また、この光学部材と空気等の雰囲気とで界面を形成したり、比較的屈折率の低い光学材料とで界面を形成したりすれば、界面の僅かな曲率変化で色収差を比較的大きく変化させることができるため好ましい。
次に、各実施例のマクロレンズの収差補正における特徴を説明する。各実施例のマクロレンズでは、広範囲の物体距離でフォーカスが可能であるが、このときのフォーカスに伴う諸収差の変動について説明する。
マクロレンズにおいては、無限遠側から至近側へのフォーカスに際し、軸上光束の変化が発生する。このため、球面収差や軸上色収差の変動が起こり、広範囲の物体距離で諸収差のバランスをとることが困難となる。
諸収差の中でも、特に軸上色収差の変動が大きく、例えば、等倍程度の撮影倍率での合焦時における軸上色収差はかなり増大する。
よって、コマ収差、非点収差、像面湾曲等の収差に影響を与えず、色収差のみを補正することができれば、設計の自由度が大幅に増し、広範囲の物体距離において良好な収差補正がなされた光学系を得ることができる。
次に、部分分散比が大きい光学材料で形成されたパワーのある光学部材を光学系中に用いたときの光学系の収差補正に及ぼす作用について説明する。
光学材料の屈折率の波長依存特性(分散特性)において、アッベ数は分散特性曲線の全体の傾きを表し、部分分散比は分散特性曲線の曲がり具合を表す。
一般に、光学材料は、短波長側の屈折率が長波長側の屈折率よりも高く(アッベ数が正の値)、分散特性曲線は下側に向かって凸(部分分散比が正の値)の軌跡を描き、短波長側になるほど波長の変化に対する屈折率の変化は大きくなる。
そして、アッベ数の小さい分散の大きな光学材料ほど部分分散比が大きくなり、分散特性曲線は下側に向かって凸の傾向が強まる。
部分分散比が大きな光学材料では、その光学材料を用いたレンズ面の色収差係数の波長依存特性曲線は、部分分散比が小さな光学材料を用いた場合に比べて短波長側でより大きな曲がりを示す。
一方、部分分散比が小さな光学材料では、その光学材料を用いたレンズ面の色収差係数の波長依存特性曲線は、波長域全体でより直線に近い形状を示す。
硝材等の一般的な光学材料の部分分散比は、アッベ数に対してほとんど直線的に変化する。この直線的な変化から外れた特性を持つ光学材料が、異常部分分散性を示す光学材料である。異常部分分散を持つ光学材料として、一般的には分散の小さな蛍石等がある。
しかし、分散が小さく異常部分分散を持つ光学材料でも、部分分散比のアッベ数に対する変化はほとんど一様である。
異常部分分散を持つ光学材料をパワーを持つレンズの材料に用いた場合、レンズ面の色収差係数の波長依存特性曲線は、一般硝材を用いた場合と比べて、より線形性が高くなる(部分分散比が小さい場合)又はより曲がりが大きくなる(部分分散比が大きい場合)。
色収差係数の波長依存特性曲線の線形性が高いという点で、回折光学素子は部分分散比が極めて小さい。回折光学素子を用いた光学系では、全波長域にわたって色収差を良好に補正できる。しかし、回折と屈折では光への影響が全く異なる。
一般の光学材料は、上述したようにアッベ数は常に正の値であり、また分散特性曲線は程度の差はあるが下側に向かって凸の形状を有する。
これに対して、回折光学素子では、逆に長波長側の屈折率の方が短波長側の屈折率よりも高くなり、また屈折率の波長に対する変化も一様となる。したがって、回折光学素子のアッベ数は、−3.45と負の値となり、またその分散特性は直線状となる。
このような一般の屈折光学材料とは全く異なる特性を持つ回折光学素子を用いた光学系では、回折光学素子以外の部分で発生した比較的大きな色収差を回折光学素子部分でキャンセルすることにより、全波長域にわたって色収差を良好に補正することができる。
このように、部分分散比が極めて小さな光学材料を用いることで、光学系全体で全波長域にわたって色収差を良好に補正できる。
各実施例では、異常部分分散材料のうち、一般の硝材と比べて部分分散比が高い光学材料を用いることで光学系全体で全波長域にわたって色収差を良好に補正する。
一般の硝材と比べて、部分分散比の小さな光学材料と部分分散比の高い光学材料とをレンズに用いた場合の違いは、そのレンズ面における色収差係数の波長依存特性曲線の短波長側の曲がりが少なくなるか大きくなるかということである。また、この短波長側の曲がりは光学材料の分散特性の曲がりによるものである。ここで、単純化のために、d線の屈折率とアッベ数が等しい光学材料について説明する。
部分分散比が大きい材料と、部分分散比が普通の材料(一般の光学材料)と、部分分散比が小さな材料で同じパワーを持つレンズを形成した場合における短波長側と長波長側の色収差係数の差をそれぞれ、ΔN高、ΔN中、ΔN低とする。これらの関係は、以下の式(b)で表される。
ΔN高 > ΔN中 > ΔN低 > 0 …(b)
片方のレンズを異常部分分散の材料で構成した2枚のレンズを組み合わせた光学系について説明する。
まず、部分分散比が普通の材料と部分分散比が小さな材料で構成される同じパワーのレンズが2枚並んでいるとすると、この光学系の短波長側と長波長側の色収差係数の差は、
ΔN中+ΔN低
となる。
これは部分分散比が普通の材料で構成されたレンズを2枚用いた場合と比べると、色収差係数が、
ΔN中−ΔN低
だけ減っていることになる。つまり、部分分散比が普通の材料で構成されたレンズを2枚用いたときに比べて色収差を減らすことができる。
次に、部分分散比が普通の材料と部分分散比が大きな材料との組み合わせについて説明する。この組み合わせを持つ光学系の短波長側と長波長側の色収差係数の差は、
ΔN中+ΔN高
となる。これは部分分散比が普通の材料により構成されたレンズを2枚用いた場合と比べると、色収差係数が、
ΔN高−ΔN中
だけ増えていることになる。
したがって、色収差係数の波長依存特性曲線の曲がりが少ない部分分散比が小さい材料を用いた場合に、短波長側の色収差を減らすことができるとすれば、該曲線の曲がりが大きい部分分散比が大きな材料を用いた場合は、逆に短波長側の色収差が増えてしまう。
しかし、これは部分分散比が大きな材料と部分分散比が小さな材料を、同じパワーを持つレンズの材料として用いた場合である。
この場合において、部分分散比が大きな材料を用いたレンズのパワーを、部分分散比が小さな材料を用いたレンズのパワーに対して正負を逆にする。つまり、2枚並んだレンズのうち一方のレンズのパワーを、他方のレンズのパワーに対して正負を逆にして、該一方のレンズに部分分散比が大きな材料を用いる。これにより、部分分散比が普通の材料により構成されたレンズを2枚用いたときと比べると、逆に、
ΔN高−ΔN中
だけ短波長側の収差を減らすことができる。
部分分散比が普通の材料を組み合わせても、色収差係数の波長依存特性曲線の曲がり成分と傾き成分とを同時に波長域全体で減らして色収差を良好に補正することは困難である。
そこで、部分分散比が普通の硝材に比べて、色収差係数の波長依存特性曲線の短波長側での曲がり成分を減らすことのできる部分分散比が小さな材料を適切に用いることで、色収差を補正することができる。
しかし、短波長側の色収差を減らすという観点では、部分分散比が大きな材料を部分分散比が小さな材料とは逆のパワーで用いれば、同様の作用を得ることが可能である。
なお、パワーの正負が異なる(逆)ということは、部分分散比が大きな材料と部分分散比が小さな材料では短波長側以外でも逆の作用をする。したがって、それとバランスをとるための光学系中での他の硝材レンズの動かし方も逆になる。
このことを、部分分散比が大きいある材料を用いた少なくとも1つの屈折光学素子(第1の屈折光学素子)GNLと、それ以外の材料を用いた少なくとも1つの屈折光学素子(第2又は第3の屈折光学素子)Gを含むマクロレンズでの色消しを例に説明する。
一般にマクロレンズにおいては、絞りに対して凹形状の面を持ち、かつ高分散材料により構成された屈折光学素子Gが配置されていて、この屈折光学素子Gの色収差係数、特に軸上色収差係数は光学系全体に対して高い割合を占めている。この屈折光学素子Gは、他の比較的レンズ枚数が多い正のパワーを持つレンズユニットに対して色収差を相殺する関係にあることから、屈折光学素子Gの色収差を減らすか、他の光学部材で色収差をキャンセルすることで、光学系全体の色収差を減らすことができる。
ここで一般的に部分分散比が大きい材料は、同時に高分散材料でもある。このため、屈折光学素子Gの色収差係数の波長依存特性曲線は、本来の曲線よりも大きく曲がりながら全体の傾きが変化し、屈折光学素子Gは他の正レンズユニットで生じる収差をキャンセルしている状態となる。
この状態で、屈折光学素子GNLに適当なパワーを与える。
ただし、屈折光学素子GNLをアッベ数に対して一様な部分分散比を持つ一般の光学材料で構成すると、屈折光学素子GNLは、屈折光学素子Gの色収差係数の波長依存特性曲線の曲がり成分と傾き成分に対して同時に一定の割合で寄与する。このため、そのどちらの成分も同時にキャンセルすることができない。
これに対し、屈折光学素子GNLを一般の光学材料に比べて部分分散比が大きい材料で構成すると、屈折光学素子GNLは、主に屈折光学素子Gの色収差係数の波長依存特性曲線全体の曲がり成分に寄与する。このため、主に波長依存特性曲線の曲がり成分をキャンセルさせることができる。
その結果、色収差係数の波長依存特性曲線全体の曲がり成分を屈折光学素子GNLに、傾き成分を屈折光学素子Gの他のレンズへと分配することができ、それぞれ独立にかつ同時にキャンセルすることができる。このため、設計の自由度が増し、収差補正が容易になる。
また、屈折光学素子GNLの材料のアッベ数の絶対値が小さい、すなわち該材料が高分散であれば、色収差を独立に補正することが容易となるので、好ましい。
次に、このことをレンズ面の軸上色収差係数及び倍率色収差係数を用いて説明する。
屈折レンズのレンズ面のパワー変化をΔψとすると、該レンズ面での軸上色収差係数の変化ΔLと倍率色収差係数の変化△Tは、次のように表される。
ΔL ∝ Δψ/ν …(c)
ΔT ∝ Δψ/ν …(d)
式(c)及び式(d)から明らかなように、レンズ面のパワー変化に対する各収差係数の変化は、アッベ数の絶対値が小さい(すなわち、分散が大きい)ほど大きくなる。したがって、アッベ数の絶対値が小さい高分散材料を用いれば、必要な色収差を得るためのパワー変化量は小さくて済むことになる。
このことは、収差論上、球面収差、コマ収差、非点収差等の色収差以外の諸収差に大きな影響を及ぼすことなく色収差をコントロールできるという、色収差補正の独立性が高まることを意味する。
逆に、低分散材料を用いると、必要な色収差を得るためのパワー変化量は大きくなり、それに伴って球面収差等の諸収差が大きく変化し、色収差補正の独立性が弱まる。
したがって、マクロレンズでは、曲率が小さく高分散材料で形成されたレンズ面を用いると、そのレンズ面で軸上色収差係数を発生させることができる。この結果、屈折光学素子GNLにより色収差係数の波長依存特性曲線の曲がり成分のみをキャンセルし易くすることができる。
特に、以下の条件を満足する屈折光学素子(第2の屈折光学素子)Gaを絞りSPよりも物体側に、又は屈折光学素子(第3の屈折光学素子)Gbを絞りSPよりも像面側に配置することで、良好な収差補正がなされたマクロレンズが得られる。
屈折光学素子Gaの物体側のレンズ面の曲率半径をRa1、像面側のレンズ面の曲率半径をRa2、最大像高をYとしたとき、
Ra1/Y<2.0 …(4a)
又は、
Ra2/Y<2.0 …(4b)
屈折光学素子Gbの物体側のレンズ面の曲率半径をRb1、像側のレンズ面の曲率半径をRb2、最大像高をYとしたとき、
Rb1/Y>−2.0 …(4c)
又は、
Rb2/Y>−2.0 …(4d)
さらに、屈折光学素子Gaのd線でのアッベ数をνaとし、屈折光学素子Gbのd線でのアッベ数をνbとするとき、以下の条件を満足するとさらに良好な色収差補正効果が期待できる。
νa<40 …(5a)
又は、
νb<40 …(5b)。
なお、マクロレンズにおいては、物体距離の変化による軸上光束の変化が大きいので、フォーカス全域において色収差補正を行うためには、軸上光束が変化しにくい箇所に屈折光学素子GNLを配置する必要がある。
以下の条件は、上述の原理に基づいて、屈折光学素子GNLへの軸上光束の入射光線を最適化するために特定したものである。
最大撮影倍率時(最至近物体への合焦状態)において、屈折光学素子GNLの光学面に入射する軸上光線の最大高さをh1とする。また、最小撮影倍率時(無限遠物体への合焦状態)において、屈折光学素子GNLの光学面に入射する軸上光線の最大高さをh2とする。このとき、結像光学系OBは、
0.4<|h1|/|h2|<2.5 …(6a)
を満足する。
条件(6a)の数値範囲を以下の範囲とすることで、さらに良好な色収差補正効果が期待できる。
0.5<|h1|/|h2|<2.0 …(6b)
さらに、条件(6a)の数値範囲を以下に示す範囲とするのがより好ましい。
0.55<|h1|/|h2|<1.5 …(6c)
また、軸上色収差の補正のためには、軸上光線の高さが高い方が望ましい。このため、各実施例のマクロレンズにおいては、屈折光学素子GNLを第1レンズユニットL1、第2レンズユニットL2及び第3レンズユニットL3のうち少なくとも1つのレンズユニット内に配置する。これにより、より良好な色収差補正が期待できる。
さらに、屈折光学素子GNLの屈折力φGNLを以下に示す範囲とすると、より良好な光学性能が得られる。
φGNL > 0 …(7)
また、屈折光学素子GNLは一般の光学材料と組み合わせて使用されるため、屈折光学素子GNLに用いられる材料の部分分散比は、一般の光学材料とは異なることが必要ではあるものの、あまりかけ離れすぎては良くない。あまりに一般の光学材料とかけ離れた部分分散比を有する材料を用いた場合、屈折光学素子GNLのレンズ面の色収差係数の波長依存特性曲線の短波長側の曲がりが特に大きくなる。そして、そのような大きな曲がりを打ち消すためには、他のレンズのパワーも強くしなければならず、結局、球面収差、コマ収差、非点収差等の諸収差に大きな影響を及ぼし、収差補正が困難になる。
したがって、屈折光学素子GNLの材料としては、一般の光学材料に比べて部分分散比が大きな光学材料であり、かつ一般の光学材料と比べて部分分散比がかけ離れすぎないことも重要である。
各実施例で特定する条件(1a),(1b)及び(2a),(2b)は、上で説明した原理に基づいて、色収差を良好に補正するためのアッベ数と部分分散比の関係を表したものである。
なお、条件(1a)の数値範囲を以下の範囲とすることで、さらに良好な色収差補正効果が期待できる。
θgF-(-1.665×10-7・νd3+5.213×10-5・νd2 -5.656×10-3・νd+0.662) > 0
…(1aa)
また、条件(1b)の数値範囲を、条件(1a)又は(1aa)を満足した上で、以下の範囲とすると、さらに良好な色収差補正効果が期待できる。
θgF-(-1.665×10-7・νd3+5.213×10-5・νd2 -5.656×10-3・νd+0.870) < 0
…(1bb)
さらに好ましくは、条件(1b)の数値範囲を以下に示す範囲とすると良い。
θgF-(-1.665×10-7・νd3+5.213×10-5・νd2 -5.656×10-3・νd+0.825) < 0
…(1bbb)
また、条件(2a)の数値範囲を、以下の範囲とすることで、さらに良好な色収差補正効果が期待できる。
θgd-(-1.687×10-7・νd3+5.702×10-5・νd2 -6.603×10-3・νd+1.513) > 0
…(2aa)
また、条件(2b)の数値範囲を、条件式(2a)又は(2aa)を満足した上で、以下の範囲とすると、さらに良好な色収差補正効果が期待できる。
θgd-(-1.687×10-7・νd3+5.702×10-5・νd2 -6.603×10-3・νd+1.620) < 0
…(2bb)
さらに好ましくは、条件(2b)の数値範囲を以下に示す範囲とするのが良い。
θgd-(-1.687×10-7・νd3+5.702×10-5・νd2 -6.603×10-3・νd+1.580) < 0
…(2bbb)
また、条件(3)の数値範囲を、以下の範囲とすることで、さらに良好な色収差補正効果が期待できる。
νd < 45 …(3a)
さらに好ましくは、以下に示す範囲とするのが良い。
νd < 30 …(3b)
より好ましくは、以下に示す範囲とするのが良い。
νd < 25 …(3c)
条件(1)〜条件(3)(3a〜3cのいずれか)を満足する光学材料としては、0℃から40℃におけるd線の屈折率の温度変化の絶対値を|dn/dT|とするとき、以下の条件を満足することが好ましい。ここで、条件(1)とは、括弧内に「1」が含まれる条件(1a,1aaや1b,1bb,1bbb)のうちいずれかの意味であり、他の条件についても同様である。
|dn/dT| < 2.5×10−4(1/℃) …(8)
条件(8)の範囲を外れると、0℃から40℃の温度範囲で良好な光学性能を維持することが困難になる可能性が生じる。
以下、条件式(1)から(8)を満足する結像光学系OBの実施例(数値例)について説明する。条件(1)から(3)及び(8)を満足する材料としては、UV硬化樹脂1を、またTiO微粒子をホストポリマーであるUV硬化樹脂2に分散させたTiO微粒子分散材料を用いている。
なお、条件(1a),(1b)及び(6a)以外の条件は、あくまで満足することが好ましい条件であり、必ずしも満足すべき条件ではない。
図1に示す実施例1は、焦点距離62mm、Fナンバー2.9の結像光学系OBに、UV硬化樹脂1により形成された屈折光学素子(第1の屈折光学素子)GNL1を用いた例である。本実施例の結像光学系OBの諸収差は、図2A〜図2Cに示す通りである。
本実施例では、第2レンズユニットL2に含まれる接合レンズの貼り合わせ面間にUV硬化樹脂1からなる屈折光学素子GNL1を配置している。また、第3レンズユニットL3内に、条件(4),(5)を満足する屈折光学素子(第3の屈折光学素子)Gbを配置している。これにより、主に軸上色収差が良好に補正されつつ、耐環境性にも優れた結像光学系OBを得ている。
表1には、本実施例の具体的な数値データを示している。各数値の意味については後述する。
図3に示す実施例2は、焦点距離180mm、Fナンバー3.6の結像光学系OBに、UV硬化樹脂1により形成された屈折光学素子(第1の屈折光学素子)GNL1を用いた例である。なお、第4レンズユニットL4は、フォーカシングの際に固定としている。本実施例の結像光学系OBの諸収差は、図4A〜図4Cに示す通りである。
本実施例では、第1レンズユニットL1内にUV硬化樹脂1により形成された屈折光学素子(層)GNL1を配置している。また、第1レンズユニットL1内に屈折光学素子(第2の屈折光学素子)Gaを配置している。これにより、無限遠物体から撮影倍率が等倍(β=1)付近の近距離物体まで、球面収差その他の諸収差がバランス良く補正された結像光学系OBを得ている。
表2には、本実施例の具体的な数値データを示している。
図5に示す実施例3は、焦点距離180mm、Fナンバー3.6の結像光学系OBに、TiO微粒子をUV硬化樹脂2に分散させた混合体により形成された屈折光学素子(第1の屈折光学素子)GNL1を用いた例である。なお、第4レンズユニットL4は、フォーカシングの際に固定としている。本実施例の結像光学系OBの諸収差は、図6A〜図6Cに示す通りである。
本実施例では、第2レンズユニットL2内の接合レンズの貼り合せ面間に、屈折光学素子(層)GNL1を配置している。また、第4レンズユニットL4内に屈折光学素子(第3の屈折光学素子)Gbを配置している。これにより、無限遠物体から撮影倍率が等倍(β=1)付近の近距離物体まで、球面収差その他の諸収差がバランス良く補正された結像光学系OBを得ている。
表3には、本実施例の具体的な数値データを示している。
図7に示す実施例4は、焦点距離180mm、Fナンバー3.6の結像光学系OBに、N−ポリビニルカルバゾールにより形成された屈折光学素子(第1の屈折光学素子)GNL1を用いた例である。屈折光学素子GNL1の空気と接する面は、非球面形状を有する。また、無限遠側から至近側へのフォーカスに際して、第3レンズユニットL3は、物体側に向かって凸の軌跡を描くように移動し、第4レンズユニットL4は固定である。
本実施例の結像光学系OBの諸収差は、図8A〜図8Cに示す通りである。
本実施例では、第1レンズユニットL1内に屈折光学素子(層)GNL1を配置している。また、第1レンズユニットL1内に屈折光学素子(第2の屈折光学素子)Gaを、第4レンズユニットL4内に屈折光学素子(第3の屈折光学素子)Gbをそれぞれ配置している。これにより、無限遠物体から撮影倍率が等倍(β=1)付近の近距離物体まで、球面収差その他の諸収差がバランス良く補正された結像光学系OBを得ている。
表4には、本実施例の具体的な数値データを示している。
図9に示す実施例1は、焦点距離57.6mm、Fナンバー2.9の結像光学系OBに、UV硬化樹脂1により形成された屈折光学素子(第1の屈折光学素子)GNL1を用いた例である。本実施例の結像光学系OBの諸収差は、図10A〜図10Cに示す通りである。
本実施例では、第3レンズユニットL3内に屈折光学素子(層)GNL1を配置している。また、第3レンズユニットL3内に屈折光学素子(第3の屈折光学素子)Gbを配置している。これにより、無限遠物体から撮影倍率が等倍(β=1)付近の近距離物体まで、球面収差その他の諸収差がバランス良く補正された結像光学系OBを得ている。
表5には、本実施例の具体的な数値データを示している。
(数値データ)
表1〜表5において、iは物体側から数えたレンズ面の順序(番号)を示し、Riはi番目の光学面(第i面)の曲率半径を、Diは第i面と第(i+1)面との間の軸上間隔を占めている。また、Ni,νiはそれぞれ、d線に対するi番目の光学部材(樹脂やTiO微粒子分散材料で形成されたレンズ(層)は除く)の材料の屈折率及びアッベ数を示す。
樹脂やTiO微粒子分散材料で形成されたレンズGNL1のd線に対する屈折率及びアッベ数は、NGNL1,νGNL1で示している。fは焦点距離(mm)、FnoはFナンバー、ωは半画角である。
また、非球面形状は、xを光軸方向の面頂点からの変位量、hを光軸に直交する方向での光軸からの高さ、rを近軸曲率半径、kを円錐定数、B,C,D,E…を各次数の非球面係数として、以下の式で表される。
なお、各非球面係数における「E±XX」は「×10±XX」を意味する。
実施例1,2及び5では、UV硬化樹脂1を単体で用いている。
実施例3では、TiO微粒子をホストポリマーであるUV硬化樹脂2に体積分率3%で分散させて用いている。このTiO微粒子分散材料の屈折率は、前述した式(a)を用いて計算した値を用いて算出した。
実施例4では、N−ポリビニルカルバゾールを単体で用いている。
表6は、実施例1〜5で使用したUV硬化樹脂1,TiO微粒子分散材料及びN−ポリビニルカルバゾールのd線、g線、C線及びF線に対する屈折率、アッベ数及び部分分散比を示す。
表7は、UV硬化樹脂2及びTiO単体のd線、g線、C線及びF線に対する屈折率、アッベ数及び部分分散比を示している。
条件(4a)〜(4d),(5a),(5b),(6a)〜(6c),(7)及び第1〜第4レンズユニットL1〜L4の屈折力と各実施例との関係を表8に示す。第1〜第4レンズユニットL1〜L4の屈折力はf1〜f4として、結像光学系全系の焦点距離fで規格化した値(f1/f〜f4/f)を表8に示している。
また、図12には、アッベ数と部分分散比θgFについて、条件(1a),(1b)の範囲と、表6,7の物質及び一般の光学ガラスとの関係を示している。さらに、図13はアッベ数と部分分散比θgdについて、条件(2a),(2b)の範囲と、表6,7の物質及び一般の光学ガラスとの関係を示している。




図11には、上記実施例1〜5の結像光学系OBを撮影光学系として用いたデジタルスチルカメラ(撮像装置)を示している。
図11において、20はカメラ本体、21は撮影光学系(結像光学系OB)、22はカメラ本体20に内蔵され、撮影光学系21によって形成された被写体像を受光するCCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子(光電変換素子)である。
23は撮像素子22によって光電変換された被写体像に対応する情報を記録するメモリ、24は液晶ディスプレイパネル等によって構成され、固体撮像素子22上に形成された被写体像を観察するためのファインダである。
このように各実施例の結像光学系OBを撮像装置に適用することにより、高い光学性能を有する撮像装置を実現することができる。
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
本発明の実施例1である結像光学系の光学断面図。 実施例1の結像光学系(無限遠)の収差図。 実施例1の結像光学系(近距離)の収差図。 実施例1の結像光学系(最至近)の収差図。 本発明の実施例2である結像光学系の光学断面図。 実施例2の結像光学系(無限遠)の収差図。 実施例2の結像光学系(近距離)の収差図。 実施例2の結像光学系(最至近)の収差図。 本発明の実施例3である結像光学系の光学断面図。 実施例3の結像光学系(無限遠)の収差図。 実施例3の結像光学系(近距離)の収差図。 実施例3の結像光学系(最至近)の収差図。 本発明の実施例4である結像光学系の光学断面図。 実施例4の結像光学系(無限遠)の収差図。 実施例4の結像光学系(近距離)の収差図。 実施例4の結像光学系(最至近)の収差図。 本発明の実施例5である結像光学系の光学断面図。 実施例5の結像光学系(無限遠)の収差図。 実施例5の結像光学系(近距離)の収差図。 実施例5の結像光学系(最至近)の収差図。 本発明の実施例6である撮像装置の要部概略図。 実施例の条件(1a),(1b)の範囲を説明する図。 実施例の条件(2a),(2b)の範囲を説明する図。
符号の説明
L1〜L4 レンズユニット
GNL 第1の屈折光学素子
Ga 第2の屈折光学素子
Gb 第3の屈折光学素子
SP 絞り
IP 像面

Claims (6)

  1. 物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズユニット、負の屈折力を有する第2レンズユニット、正の屈折力を有する第3レンズユニット、及び正又は負の屈折力を有する第4レンズユニットを有し、
    前記第1レンズユニットを固定して、少なくとも前記第2レンズユニットを像面側に移動させて無限遠側から至近側へのフォーカシングを行う結像光学系であって、
    前記第1レンズユニットから前記第3レンズユニットのうちいずれかに、物体側及び像面側の光学面がともに屈折面である第1の屈折光学素子を含み、
    前記第1の屈折光学素子を構成する固体材料のアッベ数をνd、部分分散比をθgFとするとき、該固体材料は、
    θgF-(-1.665×10-7・νd3+5.213×10-5・νd2 -5.656×10-3・νd+0.755)>0
    θgF-(-1.665×10-7・νd3+5.213×10-5・νd2 -5.656×10-3・νd+1.011)< 0
    なる条件の両方を満足し、
    該結像光学系は、最至近物体への合焦状態において前記第1の屈折光学素子の前記光学面に入射する軸上光線の最大高さをh1、無限遠物体への合焦状態において前記第1の屈折光学素子の前記光学面に入射する軸上光線の最大高さをh2とするとき、以下の条件を満足することを特徴とする結像光学系。
    0.4<|h1|/|h2|<2.5
  2. 前記第2レンズユニットと前記第3レンズユニットとの間に開口絞りを有し、
    前記第1及び第2レンズユニットのうち少なくとも一方に、以下の条件を満足する第2の屈折光学素子を含むことを特徴とする請求項1に記載の結像光学系。
    Ra1/Y<2.0
    又は、
    Ra2/Y<2.0
    ただし、Ra1は前記第2の屈折光学素子の物体側の光学面の曲率半径、Ra2は前記第2の屈折光学素子の像面側の光学面の曲率半径、Yは最大像高である。
  3. 前記第2の屈折光学素子のアッベ数をνaとするとき、以下の条件を満たすことを特徴とする請求項2に記載の結像光学系。
    νa<40
  4. 前記第2レンズユニットと前記第3レンズユニットとの間に開口絞りを有し、
    前記開口絞りよりも像面側のレンズユニットのうち少なくとも1つに、以下の条件を満足する第3の屈折光学素子を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の結像光学系。
    Rb1/Y<−2.0
    又は、
    Rb2/Y<−2.0
    ただし、Rb1は前記第3の屈折光学素子の物体側の光学面の曲率半径、Rb2は前記第3の屈折光学素子の像面側の光学面の曲率半径、Yは最大像高である。
  5. 前記第3の屈折光学素子のアッベ数をνbとするとき、以下の条件を満たすことを特徴とする請求項4に記載の結像光学系。
    νb<40
  6. 請求項1から5のいずれか1つに記載の結像光学系を有することを特徴とする光学機器。
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