JP2009013035A - バイモダルな細孔構造を有する球状シリカ系メソ多孔体及びその製造方法 - Google Patents

バイモダルな細孔構造を有する球状シリカ系メソ多孔体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】十分に均一な細孔径を有する第一のメソ細孔と、第一のメソ細孔とは大きさの異なる十分に均一な細孔径を有する第二のメソ細孔とを備えるバイモダルな細孔構造を有する球状シリカ系メソ多孔体を製造することを可能とするバイモダルな細孔構造を有する球状シリカ系メソ多孔体の製造方法を提供する。
【解決手段】溶媒中において、シリカ原料と界面活性剤とアルキルアミンとを混合し、前記シリカ原料中に前記界面活性剤及び前記アルキルアミンが導入されてなる多孔体前駆体粒子を得る第1の工程と、前記多孔体前駆体粒子に含まれる前記界面活性剤及び前記アルキルアミンを除去し、バイモダルな細孔構造を有する球状シリカ系メソ多孔体を得る第2の工程とを含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、バイモダルな細孔構造を有する球状シリカ系メソ多孔体並びにその製造方法に関する。
近年、様々な物質を吸着、貯蔵等するための材料として、孔径1〜50nm程度のメソサイズの細孔(メソ孔)を有するシリカ系メソ多孔体が注目されており、このようなシリカ系メソ多孔体の合成および機能開発の研究が積極的に行われてきた。
例えば、このようなシリカ系メソ多孔体の製造方法としては、噴霧法を利用した製造方法が知られている(Y.Lu,H.Fan,A.Stump,T.L.Ward,T.Rieker,C.J.Brinker著,Nature,1999年発行,vol.398,223頁(非特許文献1))。また、カチオン系界面活性剤を鋳型としてテトラエトキシシランをシリカ源として用いたシリカ系メソ多孔体の製造方法も知られている(N,Shimaura,M.Ogawa著,Bull.Chem.Soc.Japan,2005年発行,vol.78,1154頁(非特許文献2))。
また、特開2001−335312号公報(特許文献1)においては、ケイ酸塩に界面活性剤を導入して多孔体前駆体を得る工程と、前記多孔体前駆体とアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物とを有機溶媒中で接触せしめる工程と、前記多孔体前駆体に含まれる前記界面活性剤及び/又は前記界面活性剤由来の成分を除去する工程とを含む球状シリカ系メソ多孔体の製造方法が開示されている。更に、特開2005−89218号公報(特許文献2)においては、特定の条件下、溶媒中でシリカ原料と特定のアルキルトリメチルアンモニウムハライドからなる界面活性剤とを混合し、前記シリカ原料中に前記界面活性剤が導入されてなる多孔体前駆体粒子を得る工程と、前記多孔体前駆体粒子に含まれる前記界面活性剤を除去して球状シリカ系メソ多孔体を得る工程とを含む球状シリカ系メソ多孔体の製造方法が開示されている。
特開2001−335312号公報 特開2005−89218号公報 Y.Lu,H.Fan,A.Stump,T.L.Ward,T.Rieker,C.J.Brinker著,Nature,1999年発行,vol.398,223頁 N,Shimaura,M.Ogawa著,Bull.Chem.Soc.Japan,2005年発行,vol.78,1154頁
しかしながら、上記特許文献1〜2及び非特許文献1〜2に記載のような従来の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法により得られる多孔体は、十分に均一な細孔径のメソ細孔(1種類の均一なメソ細孔)を有するものとなり、そのメソ細孔内に2種類のサイズの異なる物質を吸着させることが困難であった。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、十分に均一な細孔径を有する第一のメソ細孔と、第一のメソ細孔とは大きさの異なる十分に均一な細孔径を有する第二のメソ細孔とを備えるバイモダルな細孔構造を有する球状シリカ系メソ多孔体を製造することを可能とするバイモダルな細孔構造を有する球状シリカ系メソ多孔体の製造方法、及び、その方法により得られ、2種類のサイズの異なる物質を細孔内に吸着させることが可能なバイモダルな細孔構造を有する球状シリカ系メソ多孔体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、界面活性剤としての長鎖アルキル基を有する特定のアルキルトリメチルアンモニウムハライドと、特定のアルキルアミンと、アルコール含有量の高い水/アルコール混合溶媒とを用い、更には、シリカ原料と前記界面活性剤と前記アルキルアミンの濃度を緻密に制御することにより、上記目的が達成可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のバイモダルな細孔構造を有する球状シリカ系メソ多孔体の製造方法は、溶媒中において、シリカ原料と界面活性剤とアルキルアミンとを混合し、前記シリカ原料中に前記界面活性剤及び前記アルキルアミンが導入されてなる多孔体前駆体粒子を得る第1の工程と、
前記多孔体前駆体粒子に含まれる前記界面活性剤及び前記アルキルアミンを除去し、バイモダルな細孔構造を有する球状シリカ系メソ多孔体を得る第2の工程とを含み、且つ、前記界面活性剤として下記一般式(1):
CH(CH(CH (1)
[式中、nは13〜25の整数を示し、Xはハロゲン原子を示す。]
で表されるアルキルトリメチルアンモニウムハライドを用い、前記アルキルアミンとして下記一般式(2):
CH(CHNH (2)
[式中、mは13〜17の整数を示す。]
で表されるアルキルアミンを用い、前記溶媒としてアルコール含有量が35〜80容量%である水とアルコールとの混合溶媒を用い、前記溶媒中における前記界面活性剤の濃度を0.003〜0.03mol/Lとし、前記溶媒中における前記シリカ原料の濃度をSi濃度換算で0.005〜0.03mol/Lとし、前記アルキルアミンの含有比率を前記界面活性剤100質量部に対して8〜15質量部とすることを特徴とする方法である。
上記本発明のバイモダルな細孔構造を有する球状シリカ系メソ多孔体の製造方法においては、前記シリカ原料がアルコキシシランであり、前記溶媒中において塩基性条件下で前記シリカ原料と前記界面活性剤と前記アルキルアミンとを混合することが好ましい。
また、本発明のバイモダルな細孔構造を有する球状シリカ系メソ多孔体は、液体窒素温度における窒素の吸脱着等温線のうちの吸着曲線において、相対圧(P/P)が0.9以下の範囲の前記曲線上の最大変曲点における窒素の吸着量と、相対圧(P/P)が0.9のときの窒素の吸着量との差が、液体窒素換算で0.1ml/g以上であることを特徴とするものである。
さらに、上記本発明のバイモダルな細孔構造を有する球状シリカ系メソ多孔体においては、前記吸脱着等温線のうちの脱離曲線をBJH法により解析して得られる細孔分布曲線において、細孔径が10Å以上30Å以下の範囲に第一のピークが存在し、且つ、細孔径が30Å超の範囲に第二のピークが存在することが好ましい。
本発明によれば、十分に均一な細孔径を有する第一のメソ細孔と、第一のメソ細孔とは大きさの異なる十分に均一な細孔径を有する第二のメソ細孔とを備えるバイモダルな細孔構造を有する球状シリカ系メソ多孔体を製造することを可能とするバイモダルな細孔構造を有する球状シリカ系メソ多孔体の製造方法、及び、その方法により得られ、2種類のサイズの異なる物質を細孔内に吸着させることが可能なバイモダルな細孔構造を有する球状シリカ系メソ多孔体を提供することが可能となる。
そして、本発明のバイモダルな細孔構造を有する球状シリカ系メソ多孔体によれば、例えば、単一の粒子内に2種類の薬物を十分な濃度で吸着させることも可能となる。そのため、本発明のバイモダルな細孔構造を有する球状シリカ系メソ多孔体は、2種のドラックに対するデリバリーシステム(担体)等の用途に好適に応用できる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
先ず、本発明のバイモダルな細孔構造を有する球状シリカ系メソ多孔体の製造方法について説明する。すなわち、本発明のバイモダルな細孔構造を有する球状シリカ系メソ多孔体の製造方法は、溶媒中において、シリカ原料と界面活性剤とアルキルアミンとを混合し、前記シリカ原料中に前記界面活性剤及び前記アルキルアミンが導入されてなる多孔体前駆体粒子を得る第1の工程と、
前記多孔体前駆体粒子に含まれる前記界面活性剤及び前記アルキルアミンを除去し、バイモダルな細孔構造を有する球状シリカ系メソ多孔体を得る第2の工程とを含み、且つ、前記界面活性剤として下記一般式(1):
CH(CH(CH (1)
[式中、nは13〜25の整数を示し、Xはハロゲン原子を示す。]
で表されるアルキルトリメチルアンモニウムハライドを用い、前記アルキルアミンとして下記一般式(2):
CH(CHNH (2)
[式中、mは13〜17の整数を示す。]
で表されるアルキルアミンを用い、前記溶媒としてアルコール含有量が35〜80容量%である水とアルコールとの混合溶媒を用い、前記溶媒中における前記界面活性剤の濃度を0.003〜0.03mol/Lとし、前記溶媒中における前記シリカ原料の濃度をSi濃度換算で0.005〜0.03mol/Lとし、前記アルキルアミンの含有比率を前記界面活性剤100質量部に対して8〜15質量部とすることを特徴とする方法である。以下、工程ごとに分けて説明する。
(第1の工程)
第1の工程においては、シリカ原料と界面活性剤とアルキルアミンとを混合し、前記シリカ原料中に前記界面活性剤及び前記アルキルアミンが導入されてなる多孔体前駆体粒子を得る。
本発明において用いられるシリカ原料は、反応によりケイ素酸化物(ケイ素複合酸化物を含む)を形成可能なものであればよく特に制限されないが、反応効率や得られるケイ素酸化物の物性の観点から、アルコキシシラン、ケイ酸ナトリウム、層状シリケート、シリカ、またはこれらの任意の混合物を用いることが好ましく、中でもアルコキシシランを用いることがより好ましい。
このようなアルコキシシランとしては、アルコキシ基を4個有するテトラアルコキシシラン、アルコキシ基を3個有するトリアルコキシシラン、アルコキシ基を2個有するジアルコキシシランを用いることができる。アルコキシ基の種類は特に制限されないが、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のようにアルコキシ基中の炭素原子の数が比較的少ないもの(炭素数として1〜4程度のもの)が反応性の点から有利である。また、アルコキシシランが有するアルコキシ基が3または2個である場合は、アルコキシシラン中のケイ素原子には有機基、水酸基等が結合していてもよく、当該有機基はアミノ基やメルカプト基等の官能基をさらに有していてもよい。
前記テトラアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン等が挙げられ、トリアルコキシシランとしては、トリメトキシシラノール、トリエトキシシラノール、トリメトキシメチルシラン、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等が挙げられる。また、ジアルコキシシランとしては、ジメトキシジメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジエトキシ−3−グリシドキシプロピルメチルシラン、ジメトキシジフェニルシラン、ジメトキシメチルフェニルシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、3−シアノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
また、前記アルコキシシランは、単独で用いることもできるが2種類以上を組み合わせて用いることも可能である。また、上記のアルコキシ基を2〜4個有するアルコキシシランは、アルコキシ基を1個有するモノアルコキシシランと組み合わせて使用することも可能である。このようにして用いることのできるモノアルコキシシランとしては、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、3−クロロプロピルジメチルメトキシシラン等が挙げられる。
このようなアルコキシシランは、加水分解によりシラノール基を生じ、生じたシラノール基同士が縮合することによりケイ素酸化物が形成される。この場合において、分子中のアルコキシ基の数が多いアルコキシシランは、加水分解および縮合で生じる結合が多くなる。したがって、本発明においては、前記アルコキシシランとしてアルコキシ基の多いテトラアルコキシシランを用いることが好ましい。このようなテトラアルコキシシランとしては、反応速度の観点からテトラメトキシシラン又はテトラエトキシシランを用いることが特に好ましい。
本発明においてシリカ原料として用いられるケイ酸ナトリウムとしては、メタケイ酸ナトリウム(Na2SiO3)、オルトケイ酸ナトリウム(Na4SiO4)、二ケイ酸ナトリウム(Na2Si25)、四ケイ酸ナトリウム(Na2Si49)等が挙げられる。このようなケイ酸ナトリウムとしては、前述のような単一物質の他、水ガラス(Na2O・nSiO2、n=2〜4)等のように組成が場合により異なるものを使用することもできる。
また、前記層状シリケートとしては、カネマイト(NaHSi25・3H2O)、二ケイ酸ナトリウム結晶(α、β、γ、δ−Na2Si25)、マカタイト(Na2Si49・5H2O)、アイアライト(Na2Si817・xH2O)、マガディアイト(Na2Si1417・xH2O)、ケニヤイト(Na2Si2041・xH2O)等が挙げられる。また、セピオライト、モンモリロナイト、バーミキュライト、雲母、カオリナイト、スメクタイト等の粘土鉱物を酸性水溶液で処理してシリカ以外の元素を除去したものも層状シリケートとして使用可能である。
本発明においてシリカ原料として用いられるシリカとしては、Ultrasil(Ultrasil社)、Cab-O-Sil(Cabot社)、HiSil(Pittsburgh Plate Glass社)等の沈降性シリカ;コロイダルシリカ;Aerosil(Degussa-Huls社)等のフュームドシリカを挙げることができる。
また、このようなシリカ原料は、単独で用いることもできるが2種類以上を組み合わせて用いることも可能である。但し、2種類以上のシリカ原料を用いる場合は、製造時の反応条件が複雑化することがあるため、本発明においては、シリカ原料は単独のものを使用することが好ましい。
本発明において用いられる界面活性剤は、下記一般式(1):
CH(CH(CH (1)
[式中、nは13〜25の整数を示し、Xはハロゲン原子を示す。]
で表されるアルキルトリメチルアンモニウムハライドである。
このようなアルキルトリメチルアンモニウムハライドは、界面活性剤分子の対称性に優れるものである。そのため、前記アルキルトリメチルアンモニウムハライドを用いた場合には、容易に界面活性剤同士を凝集(ミセルの形成等)させることができる。
また、上記一般式(1)におけるnは13〜25の整数を示し、13〜17の整数であることがより好ましい。前記nが12以下であるアルキルトリメチルアンモニウムハライドでは、球状の多孔体は得られるものの、中心細孔直径が1.0nmより小さくなってしまい、メソ細孔ではなく、ミクロ細孔が形成されてしまう。他方、前記nが26以上のアルキルトリメチルアンモニウムハライドでは、界面活性剤の疎水性相互作用が強すぎるため、層状の化合物が生成してしまい、球状の多孔体を得ることができなくなる。
さらに、上記一般式(1)におけるXはハロゲン原子を示し、このようなハロゲン原子の種類は特に制限されないが、入手の容易さの観点からXは塩素原子または臭素原子であることが好ましい。
また、上記一般式(1)で表される界面活性剤は、具体的には、炭素数14〜26の長鎖アルキル基を有するアルキルトリメチルアンモニウムハライドであり、例えば、テトラデシルトリメチルアンモニウムハライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムハライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムハライド、エイコシルトリメチルアンモニウムハライド、ドコシルトリメチルアンモニウムハライド等が挙げられる。
本発明において用いられるアルキルアミンは、下記一般式(2):
CH(CHNH (2)
[式中、mは13〜17の整数を示す。]
で表されるアルキルアミンである。
上記一般式(2)におけるmは13〜17の整数を示し、13〜15の整数であることがより好ましい。前記nが12以下であるアルキルアミンでは、親水性が高いため凝集体を形成することができない。他方、前記nが18以上であるアルキルアミンでは、疎水性相互作用が強すぎるため、層状の化合物が生成されてしまう。
このようなアルキルアミンは、具体的には、炭素数14〜18の長鎖アルキル基を有するアルキルアミンであり、例えば、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン等が挙げられる。
また、前記界面活性剤及び前記アルキルアミンは、シリカ原料と共に溶媒中で複合体を形成する。複合体中のシリカ原料は反応によりケイ素酸化物へと変化するが、界面活性剤及びアルキルアミンが存在している部分ではケイ素酸化物が生成されないため、界面活性剤及びアルキルアミンが存在している部分に孔が形成されることになる。すなわち、界面活性剤及びアルキルアミンはシリカ原料中に導入されて孔形成のためのテンプレートとして機能する。そして、このような界面活性剤とアルキルアミンとを特定の濃度で用いることで、十分に均一な細孔径を有する第一のメソ細孔と、第一のメソ細孔とは異なる大きさの細孔径を有する十分に均一な第二のメソ細孔とを形成させることが可能となり、バイモダルな細孔構造を有する球状シリカ系メソ多孔体を得ることが可能となる。
また、本発明においては、前記シリカ原料、前記界面活性剤及び前記アルキルアミンを混合するための溶媒として、水とアルコールとの混合溶媒を用いる。このようなアルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、エチレングリコール、グリセリンが挙げられ、シリカ原料の溶解性の観点からメタノールまたはエタノールが好ましい。
そして、本発明においては、前記シリカ原料中に前記界面活性剤及び前記アルキルアミンが導入されてなる多孔体前駆体粒子を合成する際に、アルコールの含有量が35〜80容量%の水/アルコール混合溶媒を用いることが重要であり、アルコールの含有量が40〜70容量%のものを用いることがより好ましい。このように比較的多量のアルコールを含有する混合溶媒を使用することにより、十分に均一な球状体の発生及び成長が実現され、得られる球状シリカ系メソ多孔体の粒径が高度に均一に制御されることとなる。また、アルコールの含有量が35容量%未満の場合は、粒径及び粒径分布の制御が困難となり、得られる球状シリカ系メソ多孔体の粒径の均一性が低くなる。他方、アルコールの含有量が80容量%を超える場合も、粒径及び粒径分布の制御が困難となり、得られる球状シリカ系メソ多孔体の粒径の均一性が低くなる。
また、本発明においては、前記の水とアルコールとの比率を変化させることにより、粒径の均一性は高水準に保持しつつ、得られる球状シリカ系メソ多孔体の粒径を容易に制御することができる。すなわち、水の比率が高い場合は多孔体が析出し易くなるために粒径が小さくなり、逆にアルコールの比率が高い場合は大きい粒径の多孔体を得ることができる。
更に、本発明においては、前記シリカ原料、前記界面活性剤及び前記アルキルアミンを前記混合溶媒中で混合して多孔体前駆体粒子を得る際に、上述した界面活性剤の濃度を溶液の全容量を基準として0.003〜0.03mol/L(好ましくは、0.01〜0.02mol/L)とし、上述したシリカ原料の濃度をSi濃度換算で溶液の全容量を基準として0.005〜0.03mol/L(好ましくは、0.008〜0.015mol/L)とし、前記アルキルアミンの含有比率を前記界面活性剤100質量部に対して8〜15質量部(好ましくは、10〜13質量部)とする必要がある。このように界面活性剤、アルキルアミン及びシリカ原料の濃度を厳密に制御することによって、得られる多孔体中に十分に均一な細孔径を有する第一のメソ細孔を形成することが可能となるとともに、第一のメソ細孔とは異なる大きさの十分に均一な細孔径を有する第二のメソ細孔を形成することが可能となり、バイモダルな細孔構造が形成された球状シリカ系メソ多孔体を得ることが可能となる。更に、このように界面活性剤、アルキルアミン及びシリカ原料の濃度を厳密に制御することによって、前述の混合溶媒を使用することと相俟って均一な球状体の発生及び成長が実現され、得られる球状シリカ系メソ多孔体の粒径が高度に均一に制御されることとなる。
このような界面活性剤の濃度が0.003mol/L未満の場合は、テンプレートとなるべき界面活性剤の量が不足することから良好な多孔体を得ることができず、更に粒径及び粒径分布の制御が困難となって得られる球状シリカ系メソ多孔体の粒径の均一性が低くなる。他方、前記界面活性剤の濃度が0.03mol/Lを超える場合は、形状が球状である多孔体を高比率で得ることができず、更に粒径及び粒径分布の制御が困難となって得られる球状シリカ系メソ多孔体の粒径の均一性が低くなる。
また、前記シリカ原料の濃度が0.005mol/L未満の場合は、形状が球状である多孔体を高比率で得ることができず、更に粒径及び粒径分布の制御が困難となって得られる球状シリカ系メソ多孔体の粒径の均一性が低くなる。他方、シリカ原料の濃度が0.03mol/Lを超える場合は、テンプレートとなるべき界面活性剤の比率が不足するために良好な多孔体を得ることができず、更に粒径及び粒径分布の制御が困難となって得られる球状シリカ系メソ多孔体の粒径の均一性が低くなる。
さらに、前記アルキルアミンの含有比率が、前記界面活性剤100質量部に対して8質量部未満の場合は、バイモダルな細孔構造が形成されない。他方、前記アルキルアミンの含有比率が、前記界面活性剤100質量部に対して15質量部を超える場合は、ミクロ孔が形成され、メソ孔領域にバイモダルな細孔構造が形成されない。
また、本発明においては、前記シリカ原料、前記界面活性剤及びアルキルアミンを混合する際に、塩基性条件下で混合することが好ましい。シリカ原料は一般に塩基性条件下においても酸性条件下においても反応が生じケイ素酸化物へと変化する。しかしながら、本発明においては、シリカ原料と界面活性剤の濃度が従来技術の方法に比較してかなり低いものとなっているため、酸性条件下では反応がほとんど進行しない。したがって、本発明においては、塩基性条件下でシリカ原料を反応させることが好ましい。なお、シリカ原料は、酸性条件で反応させる場合よりも塩基性条件で反応させる場合の方がケイ素原子の反応点が増加し、耐湿性や耐熱性等の物性に優れたケイ素酸化物を得ることができるため、塩基性条件下で混合することはこの点においても有利である。
上記混合溶媒を塩基性にするためには、通常、水酸化ナトリウム水溶液等の塩基性物質を添加する。反応時の塩基性条件に関しては特に制限されないが、添加する塩基性物質のアルカリ当量を全シリカ原料中のケイ素原子モル数で除した値が0.1〜0.9となるようにすることが好ましく、0.2〜0.5となるようにすることがより好ましい。添加する塩基性物質のアルカリ当量を全シリカ原料中のケイ素原子モル数で除した値が0.1未満である場合は、収率が低下してしまう傾向があり、他方、0.9を超える場合は、多孔体の形成が困難となる傾向がある。
また、第1の工程における反応条件(反応温度、反応時間等)は特に制限されず、反応温度としては、例えば−20℃〜100℃(好ましくは0℃〜80℃、より好ましくは10℃〜40℃)とすることができる。また、反応は攪拌状態で進行させることが好ましい。具体的な反応条件は、用いるシリカ原料の種類等に基づいて決定することが好ましい。
すなわち、シリカ原料としてアルコキシシランを用いる場合は、例えば、以下のようにして多孔体前駆体粒子を得ることができる。先ず、水とアルコールの混合溶媒に対して、前記界面活性剤、前記アルキルアミン及び塩基性物質を添加して前記界面活性剤及び前記アルキルアミンを含有する塩基性溶液を調製し、得られた塩基性溶液にアルコキシシランを添加する。このようにして添加されたアルコキシシランは前記溶液中で加水分解(または、加水分解および縮合)するため、添加後数秒〜数十分で白色粉末が析出する。この場合において、反応温度は0℃〜80℃とすることが好ましく、10℃〜40℃とすることがより好ましい。また、溶液は攪拌することが好ましい。
また、このようにして沈殿物が析出した後においては、0℃〜80℃(好ましくは10℃〜40℃)で1時間〜10日、前記溶液をさらに攪拌してシリカ原料の反応を進行させる。そして、攪拌終了後、必要に応じて室温で一晩放置して系を安定化させ、得られた沈殿物を必要に応じてろ過および洗浄することによって本発明にかかる多孔体前駆体粒子が得られる。
また、シリカ原料として、アルコキシシラン以外のシリカ原料(ケイ酸ナトリウム、層状シリケートまたはシリカ)を用いる場合は、先ず、シリカ原料を、前記界面活性剤と前記アルキルアミンとを含有する水とアルコールの混合溶媒に添加し、シリカ原料中のケイ素原子と等モル程度になるように、水酸化ナトリウム水溶液等の塩基性物質をさらに添加して均一な溶液を調製した後、希薄酸溶液をシリカ原料中のケイ素原子に対して1/2〜3/4倍モル添加するという方法により本発明にかかる多孔体前駆体粒子を作製することができる。前記塩基性物質は、シリカ原料中に既に形成されているSi−(O−Si)4結合の一部を切断する目的のために過剰分必要となるが、その過剰分を酸により中和する必要がある。このような酸としては、塩酸、硫酸等の無機酸、酢酸等の有機酸のいずれを用いてもよい。
(第2の工程)
第2の工程においては、上記第1の工程で得られた多孔体前駆体粒子に含まれる前記界面活性剤及び前記アルキルアミンを除去し、バイモダルな細孔構造を有する球状シリカ系メソ多孔体を得る。
このように界面活性剤やアルキルアミンを除去する方法としては、例えば、焼成による方法、有機溶媒で処理する方法、イオン交換法等を挙げることができる。このような焼成による方法においては、多孔体前駆体粒子を300〜1000℃、好ましくは400〜700℃で加熱することが好ましい。また、このような焼成の際の加熱時間は30分程度でもよいが、完全に界面活性剤とアルキルアミンとを除去するという観点から1時間以上とすることが好ましい。また、このような焼成は、空気中で行うことが可能であるが、多量の燃焼ガスが発生するため、窒素等の不活性ガスを導入して行ってもよい。また、前記有機溶媒で処理する方法を採用する場合は、用いた界面活性剤に対する溶解度が高い良溶媒中に多孔体前駆体粒子を浸漬して界面活性剤を抽出する方法を採用することができる。更に、前記イオン交換法を採用する場合においては、前記多孔体前駆体粒子を酸性溶液(少量の塩酸を含むエタノール等)に浸漬し、例えば50〜70℃で加熱しながら攪拌を行う方法を採用することができる。これにより、前記多孔体前駆体粒子の孔中に存在する界面活性剤及びアルキルアミンが水素イオンでイオン交換される。なお、イオン交換により孔中には水素イオンが残存することになるが、水素イオンのイオン半径は十分小さいため孔の閉塞の問題は生じない。
このような本発明の製造方法によれば、得られる球状シリカ系メソ多孔体にバイモダルな細孔構造が形成することが可能となり、後述する本発明のバイモダルな細孔構造が形成された球状シリカ系メソ多孔体を得ることが可能となる。以下、このような本発明のバイモダルな細孔構造が形成された球状シリカ系メソ多孔体の製造方法を採用することにより得ることが可能な本発明のバイモダルな細孔構造が形成された球状シリカ系メソ多孔体について説明する。
本発明のバイモダルな細孔構造を有する球状シリカ系メソ多孔体は、液体窒素温度における窒素の吸脱着等温線のうちの吸着曲線において、相対圧(P/P)が0.9以下の範囲の前記吸着曲線上の最大変曲点における窒素の吸着量と、相対圧(P/P)が0.9のときの窒素の吸着量との差が、液体窒素換算で0.1ml/g以上であることを特徴とするものである。
本発明にいう「メソ多孔体」とは、細孔のサイズがメソ孔である多孔体をいう。また、本発明にいう「メソ孔」とは、中心細孔直径が1〜50nmのものをいい、好ましくは中心細孔直径が2〜20nmのものである。中心細孔直径が前記下限未満の場合は、細孔内に導入可能な物質が限定され、且つ、それらの放出が困難になる。他方、中心細孔直径が前記上限を超える場合は、細孔内に物質を導入した際に、導入された物質の安定性が低くなる。なお、中心細孔直径とは、細孔径分布曲線の最大ピークにおける細孔直径を意味する。さらに、本発明にいう「球状」とは、真の球体に限定されるものではなく、最小直径が最大直径の80%以上(好ましくは90%以上)である略球体も包含するものである。また、略球体の場合、その粒径は原則として最小直径と最大直径との平均値をいう。
また、本発明において、窒素の吸脱着等温線は以下のようにして求める。すなわち、球状シリカ系メソ多孔体粒子を容器に入れて、液体窒素温度(−196℃)に冷却した後、前記容器内に窒素ガスを導入し、定容量法によりその吸着量を求め、次いで、導入する窒素ガスの圧力を徐々に増加させ、各平衡圧に対する窒素ガスの吸着量をプロットすることにより求める。なお、このような窒素の吸脱着等温線は、ユアサアイオニクス社製の商品名「Autosorb−1」を用いて測定することができる。また、本発明において、細孔分布曲線とは、前記吸脱着等温線のうちの脱離曲線をBJH法により解析して得られる曲線であって、メソ多孔体の細孔容積(V)を細孔直径(D)で微分した値(dV/dD)を細孔直径(D)に対してプロットした曲線をいう。
また、本発明にいう「最大変曲点」とは、液体窒素温度における窒素の吸脱着等温線のうちの吸着曲線上の相対圧(P/P)が0.9以下の範囲にある点であって且つ第一のメソ細孔による吸着が終了した点をいう。なお、メソ孔に由来する変曲点は、通常は、前記吸着曲線上の相対圧(P/P)が0.1〜0.4の範囲に存在し、ミクロ孔に由来する変曲点は、相対圧(P/P)が0.05以下の範囲に存在する。また、前記相対圧を示すP/Pにおいて、Pは吸着平衡状態であるときの吸着平衡圧を示し、Pは吸着温度における飽和蒸気圧を示す。
また、本発明のバイモダルな細孔構造を有する球状シリカ系メソ多孔体は、液体窒素温度における窒素の吸脱着等温線のうちの吸着曲線において、前記最大変曲点における窒素の吸着量と、相対圧(P/P)が0.9のときの窒素の吸着量との差が、液体窒素換算で0.1ml/g以上(より好ましくは0.12〜0.3ml/gの範囲)となる。このような窒素の吸着量の差が前記下限未満となるメソ多孔体は、均一な細孔径を有する1種類の細孔が形成されたものであって、バイモダルな細孔構造が形成されたものではない。そのため、前記窒素の吸着量の差が前記下限未満となる球状シリカ系メソ多孔体においては、2種類のサイズの異なる物質を細孔内に吸着させることが困難となる。
ここで、本発明にいうバイモダルな細孔構造とは、液体窒素温度における窒素吸脱着等温線の脱離曲線をBJH法により解析して得られる細孔分布曲線において、2つのピークを有する細孔構造をいう。そのため、バイモダルな細孔構造を有する球状シリカ系メソ多孔体には、細孔分布曲線上の2つのピークにそれぞれ対応した2種類の細孔(第一の細孔及び第二の細孔)が形成されていることとなる。そして、本発明の球状シリカ系メソ多孔体においては、前記細孔分布曲線上の2つのピークに関して、細孔径が10Å以上30Å以下の範囲(より好ましくは15Å〜25Åの範囲)に第一のピークが存在し、且つ、細孔径が30Å超の範囲(より好ましくは30Å〜50Åの範囲)に第二のピークが存在することが好ましい。このような第一のピークが存在する細孔径が前記下限未満では、導入可能な物質が限定され、且つ、それらの放出が困難になる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、第二の細孔に細孔径が近くなるため、第一の細孔と第二の細孔とにそれぞれ別々の物質を導入することが困難になる傾向にある。また、第二のピークが存在する細孔径が前記下限未満では、第一の細孔に細孔径が近くなるため、第一の細孔と第二の細孔とにそれぞれ別々の物質を導入することが困難になる傾向にある。なお、ここにいう「細孔分布曲線上のピーク」とは、明確な凸型の曲線であって、半値巾が2Å以上10Å以下のものをいう。
また、本発明のバイモダルな細孔構造を有する球状シリカ系メソ多孔体においては、細孔径分布曲線における第一のピークの細孔径の±30%の範囲にある細孔の細孔容積と第二のピークの細孔径の±30%の範囲の細孔容積との総量が、全細孔容積に対して50%以上となることが好ましい。このような条件を満たす場合には、第一のメソ細孔と第二のメソ細孔とが十分に均一な細孔径を有するものとなる。また、本発明の球状シリカ系メソ多孔体の比表面積については特に制限はないが、700m2/g以上であることが好ましい。比表面積は、前記吸脱着等温線の吸着曲線からBET等温吸着式を用いてBET比表面積として算出することができる。
また、本発明の球状シリカ系メソ多孔体としては、平均粒径が0.01〜3μm(より好ましくは0.05〜1μm)であることが好ましい。前記平均粒径が前記下限未満では、1次粒子が凝集して巨大粒子となり、溶液中で沈降してしまう傾向にあり、他方、前記上限を超えると、粒子自体の重みで溶液中において粒子が沈降してしまう傾向にある。また、本発明の球状シリカ系メソ多孔体としては、全粒子の90重量%以上(好ましくは95重量%以上)が平均粒径の±10%の範囲内の粒径を有するものが好ましい。このような条件を満たす球状シリカ系メソ多孔体は極めて均一な粒径を有するものとなる。なお、このような平均粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察を行い、任意の100個の粒子の粒径分布をとることにより求めることができる。
さらに、本発明の球状シリカ系メソ多孔体は、そのX線回折パターンにおいて1nm以上のd値に相当する回折角度に1本以上のピークを有することが好ましい。X線回折ピークはそのピーク角度に相当するd値の周期構造が試料中にあることを意味する。したがって、1nm以上のd値に相当する回折角度に1本以上のピークがあることは、細孔が1nm以上の間隔で規則的に配列していることを意味する。
また、本発明の球状シリカ系メソ多孔体が有する細孔は、多孔体の表面のみならず内部にも形成される。かかる多孔体における細孔の配列状態(細孔配列構造又は構造)は特に制限されないが、2d−ヘキサゴナル構造、3d−ヘキサゴナル構造又はキュービック構造であることが好ましい。また、このような細孔配列構造は、ディスオーダの細孔配列構造を有するものであってもよい。
ここで、多孔体がヘキサゴナルの細孔配列構造を有するとは、細孔の配置が六方構造であることを意味する(S.Inagaki,et al.,J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,680,1993;S.Inagaki,et al.,Bull.Chem.Soc.Jpn.,69,1449,1996、Q.Huo,et al.,Science,268,1324,1995参照)。また、多孔体がキュービックの細孔配列構造を有するとは、細孔の配置が立方構造であることを意味する(J.C.Vartuli,et al.,Chem.Mater.,6,2317,1994;Q.Huo,et al.,Nature,368,317,1994参照)。また、多孔体がディスオーダの細孔配列構造を有するとは、細孔の配置が不規則であることを意味する(P.T.Tanev,et al.,Science,267,865,1995;S.A.Bagshaw,et al.,Science,269,1242,1995;R.Ryoo,et al.,J.Phys.Chem.,100,17718,1996参照)。また、前記キュービック構造は、Pm−3n、Im−3m又はFm−3m対称性であることが好ましい。前記対称性とは、空間群の表記法に基づいて決定されるものである。
また、本発明の球状シリカ系メソ多孔体は、前記界面活性剤と前記アルキルアミンとを鋳型として前記シリカ源を原料として作製されるものであり、ケイ素原子が酸素原子を介して結合した骨格−Si−O−を基本とし、高度に架橋した網目構造を有している。このような球状シリカ系メソ多孔体は、ケイ素原子及び酸素原子を主成分とするものであればよく、ケイ素原子の少なくとも一部が有機基の2箇所以上で炭素−ケイ素結合を形成しているものでもよい。このような有機基としては、例えば、アルカン、アルケン、アルキン、ベンゼン、シクロアルカン等の炭化水素から2以上の水素がとれて生じる2価以上の有機基が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、有機基は、アミド基、アミノ基、イミノ基、メルカプト基、スルフォン基、カルボキシル基、エーテル基、アシル基、ビニル基等を有するものであってもよい。
また、本発明の球状シリカ系メソ多孔体は、粉末のまま使用してもよいが、必要に応じて成形して使用してもよい。成形する手段はどのようなものでも良いが、押出成形、打錠成形、転動造粒、圧縮成形、CIPなどが好ましい。その形状は使用箇所、方法に応じて決めることができ、たとえば円柱状、破砕状、球状、ハニカム状、凹凸状、波板状等が挙げられる。
さらに、本発明の球状シリカ系メソ多孔体は、十分に均一な細孔径を有する第一のメソ細孔と、第一のメソ細孔とは異なる大きさの十分に均一な細孔径を有する第二のメソ細孔とを備えるバイモダルな細孔構造を有するものであるため、2種類のサイズの異なる物質を細孔内に吸着させることが可能である。そして、本発明のバイモダルな細孔構造を有する球状シリカ系メソ多孔体においては、異なるサイズの2種類の物質を第一のメソ細孔と第二のメソ細孔とにそれぞれ分けて吸着させることも可能であるため、例えば、異なるサイズの2種類の薬物を単一の粒子中に十分な濃度で吸着させることが可能となる。そのため、本発明のバイモダルな細孔構造を有する球状シリカ系メソ多孔体は、2種のドラックに対するデリバリーシステム(担体)等の用途に好適に応用できる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
先ず、水397.7g及びメタノール400gからなる混合溶媒に、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド(界面活性剤)3.52gと、テトラデシルアミン0.352gと、1規定の水酸化ナトリウム2.28mlとを添加し、塩基性溶液を得た。次に、前記塩基性溶液にテトラメトキシシラン(シリカ原料)1.32gを添加し、得られた反応溶液中に前記シリカ原料を完全に溶解させたところ、約115秒後に白色粉末が析出してきた。次いで、前記反応溶液を室温で8時間攪拌した後、一晩(15時間)放置した。その後、前記反応溶液に対して、ろ過・洗浄を3回繰り返して白色粉末を得た。そして、得られた白色粉末を熱風乾燥機で3日間乾燥した後、550℃の温度条件で焼成することにより有機成分を除去し、球状シリカ系メソ多孔体を得た。
実施例1で得られた球状シリカ系メソ多孔体の走査型電子顕微鏡(SEM)による観察を行った。得られたSEM写真を図1に示す。図1に示す結果からも明らかなように、実施例1で得られた球状シリカ系メソ多孔体は、いずれも球状粒子であることが確認された。また、任意の100個の粒子の粒径分布は0.2〜0.38μmであった。また、平均粒径は0.28μmであり、平均粒径の±10%の範囲内の粒径を有する粒子の割合は全粒子の90重量%以上であった。
次に、実施例1で得られた球状シリカ系メソ多孔体のX線回折パターンを図2に示す。図2に示す結果からも明らかなように、実施例1で得られた球状シリカ系メソ多孔体においては、2θ=2.5°近辺にメソ細孔の規則性に基づくピークがあることから、得られた多孔体がメソ多孔体であることが確認され、更には、この多孔体が規則性の高いハニカム多孔体であることが分かった。
実施例1で得られた球状シリカ系メソ多孔体の液体窒素温度における窒素ガスの吸脱着等温線を図3に示す。図3示す窒素吸脱着等温線からも明らかなように、実施例1で得られた球状シリカ系メソ多孔体においては、吸着曲線の相対圧(P/P)が0.2〜0.3の範囲において、メソ細孔(第一のメソ細孔)に基づく窒素吸着量の増加が観測され、最大変曲点はP/Pが0.3の位置にあることが分かった。また、前記窒素吸脱着等温線の吸着曲線において最大変曲点からP/Pが0.9となるまでの間で窒素の吸着量が増加しており、更に、脱離曲線においてP/Pが0.5の近辺で吸着量の急激な低下が見られることから、実施例1で得られた球状シリカ系メソ多孔体においては、第一のメソ細孔とともに、第一のメソ細孔よりも大きな細孔径のメソ細孔(第二のメソ細孔)が形成されていることが分かった。更に、図3に示す窒素吸脱着等温線から、実施例1で得られた球状シリカ系メソ多孔体においては、最大変曲点における窒素の吸着量は液体窒素換算で0.71ml/gであり、相対圧が0.9のときの窒素の吸着量が液体窒素換算で0.96ml/gであることから、最大変曲点における窒素の吸着量と相対圧が0.9のときの窒素の吸着量との差が0.1ml/g以上であることが確認され、メソ孔領域にバイモダルな細孔構造が形成されていることが分かった。
次に、前記窒素吸脱着等温線の脱離曲線をBJH法により解析して細孔分布曲線を求めた。得られた細孔分布曲線を図4に示す。図4に示す結果からも明らかなように、実施例1で得られた球状シリカ系メソ多孔体においては2つのピークが確認され、第一のピークが細孔径25Å(2.5nm)の付近にあり、第二のピークが細孔径40Å(4.0nm)の付近にあることが分かった。このような結果から、実施例1で得られた球状シリカ系メソ多孔体においては、バイモダルな細孔構造が形成されていることが確認された。また、このような細孔分布曲線から、実施例1で得られた球状シリカ系メソ多孔体においては、第一のメソ孔が十分に均一な細孔径を有するものであること、並びに、第二のメソ孔が第一のメソ孔よりも大きく十分に均一な細孔径を有するものであることが分かった。
(実施例2)
テトラデシルアミンの含有量を0.352gから0.317gに変更した以外は実施例1と同様にして球状シリカ系メソ多孔体を得た。
実施例2で得られた球状シリカ系メソ多孔体のX線回折パターンを図2に示す。図2に示す結果からも明らかなように、実施例2で得られた球状シリカ系メソ多孔体においては、2θ=2.5°近辺にメソ細孔の規則性に基づくピークがあることから、得られた多孔体がメソ多孔体であることが確認されるとともに、この多孔体が規則性の高いハニカム多孔体であることが分かった。
また、実施例2で得られた球状シリカ系メソ多孔体の液体窒素温度における窒素の吸脱着等温線を図3に示す。図3に示す結果から、吸着曲線の相対圧(P/P)が0.2〜0.3の範囲において、メソ細孔(第一のメソ孔)に基づく窒素吸着量の増加が観測され、最大変曲点がP/Pが0.3の位置にあることが分かった。また、前記吸脱着等温線の吸着曲線において最大変曲点からP/Pが0.9となるまでの間で窒素の吸着量が増加しており、更に、脱離曲線においてP/Pが0.5の近辺で吸着量の急激な低下が見られることから、実施例2で得られた球状シリカ系メソ多孔体においては、第一のメソ孔とともに、第一のメソ孔よりも大きな細孔径のメソ細孔(第二のメソ孔)が形成されていることが分かった。更に、図3に示す窒素吸脱着等温線から、実施例2で得られた球状シリカ系メソ多孔体においては、最大変曲点における窒素の吸着量は液体窒素換算で0.73ml/gであり、相対圧が0.9のときの窒素の吸着量が液体窒素換算で0.92ml/gであることから、最大変曲点における窒素の吸着量と相対圧が0.9のときの窒素の吸着量との差が0.1ml/g以上であることが確認され、メソ孔領域にバイモダルな細孔構造が形成されていることが分かった。
次に、前記窒素吸脱着等温線の脱離曲線をBJH法により解析して求めた細孔分布曲線を図4に示す。図4に示す結果からも明らかなように、実施例2で得られた球状シリカ系メソ多孔体においては2つのピークが確認され、第一のピークが細孔径25Å(2.5nm)の付近にあり、第二のピークが細孔径37Å(3.7nm)の付近にあることが分かった。このような結果から、実施例2で得られた球状シリカ系メソ多孔体においては、バイモダルな細孔構造が形成されていることが確認された。また、このような細孔分布曲線から、実施例2で得られた球状シリカ系メソ多孔体においては、第一のメソ孔が十分に均一な細孔径を有するものであること、並びに、第二のメソ孔が第一のメソ孔よりも大きく十分に均一な細孔径を有するものであることが分かった。
(実施例3)
テトラデシルアミンの含有量を0.352gから0.282gに変更した以外は実施例1と同様にして球状シリカ系メソ多孔体を得た。
実施例3で得られた球状シリカ系メソ多孔体のX線回折パターンを図2に示す。図2に示す結果からも明らかなように、実施例3で得られた球状シリカ系メソ多孔体においては、2θ=2.5°近辺にメソ細孔の規則性に基づくピークがあることから、得られた多孔体がメソ多孔体であることが確認されるとともに、この多孔体が規則性の高いハニカム多孔体であることが分かった。
また、実施例3で得られた球状シリカ系メソ多孔体の液体窒素温度における窒素の吸脱着等温線を図3に示す。図3に示す結果から、吸着曲線の相対圧(P/P)が0.2〜0.31の範囲において、メソ細孔(第一のメソ孔)に基づく窒素吸着量の増加が観測され、最大変曲点がP/Pが0.31の位置にあることが分かった。また、前記吸脱着等温線の吸着曲線において最大変曲点からP/Pが0.9となるまでの間で窒素の吸着量が増加しており、更に、脱離曲線においてP/Pが0.5の近辺で吸着量の急激な低下が見られることから、実施例3で得られた球状シリカ系メソ多孔体においては、第一のメソ孔とともに、第一のメソ孔よりも大きな細孔径のメソ細孔(第二のメソ孔)が形成されていることが分かった。更に、図3に示す窒素吸脱着等温線から、実施例3で得られた球状シリカ系メソ多孔体においては、最大変曲点における窒素の吸着量は液体窒素換算で0.79ml/gであり、相対圧が0.9のときの窒素の吸着量が液体窒素換算で0.95ml/gであることから、最大変曲点における窒素の吸着量と相対圧が0.9のときの窒素の吸着量との差が0.1ml/g以上であることが確認され、メソ孔領域にバイモダルな細孔構造が形成されていることが分かった。
次に、前記窒素吸脱着等温線の脱離曲線をBJH法により解析して求めた細孔分布曲線を図4に示す。図4に示す結果からも明らかなように、実施例3で得られた球状シリカ系メソ多孔体においては2つのピークが確認され、第一のピークが細孔径25Å(2.5nm)の付近にあり、第二のピークが細孔径36.5Å(3.65nm)の付近にあることが分かった。このような結果から、実施例3で得られた球状シリカ系メソ多孔体においては、バイモダルな細孔構造が形成されていることが確認された。また、このような細孔分布曲線から、実施例3で得られた球状シリカ系メソ多孔体においては、第一のメソ孔が十分に均一な細孔径を有するものであること、並びに、第二のメソ孔が第一のメソ孔よりも大きく十分に均一な細孔径を有するものであることが分かった。
(比較例1)
テトラデシルアミンの含有量を0.352gから0.176gに変更した以外は実施例1と同様にして比較のための多孔体を得た。
また、比較例1で得られた多孔体の液体窒素温度における窒素の吸脱着等温線を図3に示す。図3に示す結果から、吸着曲線の相対圧(P/P)が0.12〜0.26の範囲において、メソ細孔に基づく窒素吸着量の増加が観測され、最大変曲点がP/Pが0.26の位置にあることが分かった。また、比較例1で得られた多孔体においては、最大変曲点における窒素の吸着量は液体窒素換算で0.71ml/gであり、相対圧が0.9のときの窒素の吸着量が液体窒素換算で0.80ml/gであることから、最大変曲点における窒素の吸着量と相対圧が0.9のときの窒素の吸着量との差が0.1ml/g未満であることが分かった。このように最大変曲点からP/P0が0.9までの間に窒素の吸着量はほとんど増加していないことから、比較例1で得られた多孔体には、第一のメソ細孔以外には大きな細孔が生成されていないことが分かった。また、前記窒素吸脱着等温線の脱離曲線をBJH法により解析して細孔分布曲線を求めたところ、その曲線にピークは1つしか確認されず、得られた多孔体にはバイモダルな細孔構造が形成されていないことが分かった。なお、得られた多孔体の中心細孔直径は2.2nmであった。
(比較例2)
テトラデシルアミンの含有量を0.352gから0.704gに変更した以外は実施例1と同様にして比較のための多孔体を得た。
比較例2で得られた多孔体のX線回折パターンを図2に示す。図2に示す結果からも明らかなように、比較例2で得られた多孔体においては、メソ細孔の規則性に基づくピークは観察されなかった。また、比較例2で得られた多孔体の液体窒素温度における窒素の吸脱着等温線を図3に示す。図3に示す結果からも明らかなように、比較例2で得られた多孔体においては、吸着曲線の相対圧(P/P)が0.05以下の範囲において、ミクロ孔に基づく窒素の吸着量の増加が観測されたものの、均一なメソ孔に由来する窒素の吸着量の増加は確認されなかった。このような結果から、比較例2で得られた多孔体は、均一なメソ細孔が形成されておらず、メソ多孔体ではないことが分かった。
(比較例3)
テトラデシルアミン0.352gの代わりにジメチルテトラデシルアミン0.352gを用いた以外は実施例1と同様にして比較のための多孔体を得た。
比較例3で得られた多孔体の液体窒素温度における窒素の吸脱着等温線を図3に示す。図3に示す結果からも明らかなように、比較例3で得られた多孔体においては、吸着曲線の相対圧(P/P)が0.05以下の範囲において、ミクロ孔に基づく窒素の吸着量の増加が観測されたものの、均一なメソ孔に由来する窒素の吸着量の増加は確認されなかった。このような結果から、比較例3で得られた多孔体は、均一なメソ細孔が形成されておらず、メソ多孔体ではないことが分かった。
上述のような結果から、本発明のバイモダルな細孔構造を有する球状シリカ系メソ多孔体の製造方法を採用した場合(実施例1〜3)においては、十分に均一な第一のメソ細孔と、第一のメソ細孔とは異なる大きさの十分に均一な細孔径を有する第二のメソ細孔とを備えるバイモダルな細孔構造を有する球状シリカ系メソ多孔体が得られることが確認された。また、実施例1〜3で得られた本発明のバイモダルな細孔構造を有する球状シリカ系メソ多孔体においては、細孔径の異なる2種類のメソ細孔が形成されていることから、2種類のサイズの異なる物質を細孔内に十分に吸着させることが可能となることが分かる。
なお、上記各実施例及び比較例で得られた多孔体のX線回折パターンは、X線回折装置としてリガク社製の商品名「RINT−2200」を用いて測定して得られたものである。また、液体窒素温度における窒素ガスの吸脱着等温線は、ユアサアイオニクス社製の商品名「Autosorb−1」を用いて測定して得られたものである。
以上説明したように、本発明によれば、十分に均一な細孔径を有する第一のメソ細孔と、第一のメソ細孔とは大きさの異なる十分に均一な細孔径を有する第二のメソ細孔とを備えるバイモダルな細孔構造を有する球状シリカ系メソ多孔体を製造することを可能とするバイモダルな細孔構造を有する球状シリカ系メソ多孔体の製造方法、及び、その方法により得られ、2種類のサイズの異なる物質を細孔内に吸着させることが可能なバイモダルな細孔構造を有する球状シリカ系メソ多孔体を提供することが可能となる。したがって、本発明のバイモダルな細孔構造を有する球状シリカ系メソ多孔体は、2種のドラックに対するデリバリーシステム(担体)等として特に有用である。
実施例1で得られた球状シリカ系メソ多孔体の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 実施例1〜3で得られた球状シリカ系メソ多孔体及び比較例2で得られた多孔体のX線回折パターンを示すグラフである。 実施例1〜3で得られた球状シリカ系メソ多孔体及び比較例1〜3で得られた多孔体の液体窒素温度における窒素ガスの吸脱着等温線を示すグラフである。 実施例1〜3で得られた球状シリカ系メソ多孔体の細孔分布曲線を示すグラフである。

Claims (4)

  1. 溶媒中において、シリカ原料と界面活性剤とアルキルアミンとを混合し、前記シリカ原料中に前記界面活性剤及び前記アルキルアミンが導入されてなる多孔体前駆体粒子を得る第1の工程と、
    前記多孔体前駆体粒子に含まれる前記界面活性剤及び前記アルキルアミンを除去し、バイモダルな細孔構造を有する球状シリカ系メソ多孔体を得る第2の工程とを含み、且つ、前記界面活性剤として下記一般式(1):
    CH(CH(CH (1)
    [式中、nは13〜25の整数を示し、Xはハロゲン原子を示す。]
    で表されるアルキルトリメチルアンモニウムハライドを用い、前記アルキルアミンとして下記一般式(2):
    CH(CHNH (2)
    [式中、mは13〜17の整数を示す。]
    で表されるアルキルアミンを用い、前記溶媒としてアルコール含有量が35〜80容量%である水とアルコールとの混合溶媒を用い、前記溶媒中における前記界面活性剤の濃度を0.003〜0.03mol/Lとし、前記溶媒中における前記シリカ原料の濃度をSi濃度換算で0.005〜0.03mol/Lとし、前記アルキルアミンの含有比率を前記界面活性剤100質量部に対して8〜15質量部とすることを特徴とするバイモダルな細孔構造を有する球状シリカ系メソ多孔体の製造方法。
  2. 前記シリカ原料がアルコキシシランであり、前記溶媒中において塩基性条件下で前記シリカ原料と前記界面活性剤と前記アルキルアミンとを混合することを特徴とする請求項1記載のバイモダルな細孔構造を有する球状シリカ系メソ多孔体の製造方法。
  3. 液体窒素温度における窒素の吸脱着等温線のうちの吸着曲線において、相対圧(P/P)が0.9以下の範囲の前記曲線上の最大変曲点における窒素の吸着量と、相対圧(P/P)が0.9のときの窒素の吸着量との差が、液体窒素換算で0.1ml/g以上であることを特徴とするバイモダルな細孔構造を有する球状シリカ系メソ多孔体。
  4. 前記吸脱着等温線のうちの脱離曲線をBJH法により解析して得られる細孔分布曲線において、細孔径が10Å以上30Å以下の範囲に第一のピークが存在し、且つ、細孔径が30Å超の範囲に第二のピークが存在することを特徴とする請求項3に記載のバイモダルな細孔構造を有する球状シリカ系メソ多孔体。
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