JP2009012187A - 積層フィルム及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
多層膜を有する積層フィルムにおいて、多層の積層構造に乱れの生じにくい製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
屈折率が異なる樹脂を交互に積層した多層膜が、2つの樹脂保護層の間に設けられた積層フィルムの製造方法であって、
屈折率が異なる樹脂を交互に積層した多層膜前駆体の両側に樹脂保護層を積層した積層フィルム前駆体を所定の温度に加熱する予熱工程と、
前記積層フィルム前駆体を前記所定の温度以上で圧延する工程を有することを特徴とする。
【選択図】図1
多層膜を有する積層フィルムにおいて、多層の積層構造に乱れの生じにくい製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
屈折率が異なる樹脂を交互に積層した多層膜が、2つの樹脂保護層の間に設けられた積層フィルムの製造方法であって、
屈折率が異なる樹脂を交互に積層した多層膜前駆体の両側に樹脂保護層を積層した積層フィルム前駆体を所定の温度に加熱する予熱工程と、
前記積層フィルム前駆体を前記所定の温度以上で圧延する工程を有することを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、屈折率が異なる樹脂を交互に積層した構成によって光学的特性を有する樹脂積層フィルムに関し、特に交互積層された多層膜の層構造が良好な樹脂積層フィルムに関する。
紫外線あるいは赤外線といった特定波長の光を反射し光による影響を防ぐための樹脂フィルムや、あるいは画像表示スクリーン用の光反射樹脂フィルム、液晶表示の背面反射板、特定の光を透過又は反射によって色純度を高める樹脂フィルム等、種々の光学的特性を有する樹脂フィルムが開発され使用されている。これらの光学樹脂フィルムは一般に2種類以上の樹脂を積層し延伸等によって薄層化し製造されており、積層された樹脂の屈折率の差によって樹脂層間で生じる光干渉を利用して光学特性を提供するものである(例えば、特許文献1、2)。
このような構成の光学樹脂フィルムは積層する樹脂層が多いほど光を高反射する特性が得られるが、積層する層数が多いほど高度な製造技術を必要とする。
また、それらの多層積層する樹脂層の厚さが均一であるほど特定波長を選択的に反射する特性が得られるが、各樹脂層を所定の厚さかつ均一に延伸するには非常に高度な技術を必要とする。
一方、光学樹脂フィルムでは、例えば、紫外線防止フィルム、画像表示スクリーン等、ある程度波長域の広い反射特性を要求される用途も多く、特定波長域でかつ波長域の広い高反射特性を有する光学樹脂フィルムが望まれている。
また、それらの多層積層する樹脂層の厚さが均一であるほど特定波長を選択的に反射する特性が得られるが、各樹脂層を所定の厚さかつ均一に延伸するには非常に高度な技術を必要とする。
一方、光学樹脂フィルムでは、例えば、紫外線防止フィルム、画像表示スクリーン等、ある程度波長域の広い反射特性を要求される用途も多く、特定波長域でかつ波長域の広い高反射特性を有する光学樹脂フィルムが望まれている。
本発明は上記に鑑み、異なる樹脂が多層に積層された積層フィルムにおいて多層膜の積層状態に乱れが少なく任意の波長帯の光を反射する樹脂積層フィルムを提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、
屈折率が異なる樹脂を交互に積層した多層膜が、2つの樹脂保護層の間に設けられた積層フィルムの製造方法であって、
屈折率が異なる樹脂を交互に積層した多層膜前駆体の両側に樹脂保護層を積層した積層フィルム前駆体を所定の温度に加熱する予熱工程と、
前記積層フィルム前駆体を前記所定の温度以上で圧延する工程を有することを特徴とするものである。
そして、前記樹脂保護層は、前記多層膜を構成する樹脂の1つから選ばれる材料であることを特徴とする。
さらには、圧延前の前記積層フィルムの多層膜の厚さを厚さtとし、両側に設けられた前記保護層の片側の厚さをTとしたとき、t/T<8の関係が成り立つことを特徴とする。
前記圧延工程での温度は、前記予熱工程での温度よりも0〜30℃高い温度であることを特徴とする。
前記予熱工程での前記積層フィルム前駆体の温度は、120℃以上150℃以下であることを特徴とする。
前記多層膜は、主にポリスチレンを含む樹脂と主にポリメチルメタクリレートを含む樹脂が交互に積層して構成されていることを特徴とする。
また、屈折率が異なる樹脂を交互に積層した多層膜前駆体の両側に樹脂保護層を積層した積層フィルム前駆体を、予備圧着する工程と、
前記積層フィルム前駆体を熱圧着可能な温度で圧着し一体化する熱圧着工程と、
前記圧延工程とを有することを特徴とする。
また、本願発明の積層フィルムは、屈折率が異なる樹脂を交互に積層した多層膜前駆体の両側に樹脂保護層を積層した積層フィルム前駆体を所定の温度に加熱した後、前記所定の温度以上で圧延されたこと特徴をとする多層膜の両側に樹脂保護層を有する積層フィルムであることを特徴とする。
なお、ここで、積層フィルム前駆体とは、予熱工程および圧延工程の前に積層フィルムを構成する各樹脂層を重ねた状態のものを言い、圧延工程後に本発明の積層フィルムとなる樹脂積層体を言うものである。
屈折率が異なる樹脂を交互に積層した多層膜が、2つの樹脂保護層の間に設けられた積層フィルムの製造方法であって、
屈折率が異なる樹脂を交互に積層した多層膜前駆体の両側に樹脂保護層を積層した積層フィルム前駆体を所定の温度に加熱する予熱工程と、
前記積層フィルム前駆体を前記所定の温度以上で圧延する工程を有することを特徴とするものである。
そして、前記樹脂保護層は、前記多層膜を構成する樹脂の1つから選ばれる材料であることを特徴とする。
さらには、圧延前の前記積層フィルムの多層膜の厚さを厚さtとし、両側に設けられた前記保護層の片側の厚さをTとしたとき、t/T<8の関係が成り立つことを特徴とする。
前記圧延工程での温度は、前記予熱工程での温度よりも0〜30℃高い温度であることを特徴とする。
前記予熱工程での前記積層フィルム前駆体の温度は、120℃以上150℃以下であることを特徴とする。
前記多層膜は、主にポリスチレンを含む樹脂と主にポリメチルメタクリレートを含む樹脂が交互に積層して構成されていることを特徴とする。
また、屈折率が異なる樹脂を交互に積層した多層膜前駆体の両側に樹脂保護層を積層した積層フィルム前駆体を、予備圧着する工程と、
前記積層フィルム前駆体を熱圧着可能な温度で圧着し一体化する熱圧着工程と、
前記圧延工程とを有することを特徴とする。
また、本願発明の積層フィルムは、屈折率が異なる樹脂を交互に積層した多層膜前駆体の両側に樹脂保護層を積層した積層フィルム前駆体を所定の温度に加熱した後、前記所定の温度以上で圧延されたこと特徴をとする多層膜の両側に樹脂保護層を有する積層フィルムであることを特徴とする。
なお、ここで、積層フィルム前駆体とは、予熱工程および圧延工程の前に積層フィルムを構成する各樹脂層を重ねた状態のものを言い、圧延工程後に本発明の積層フィルムとなる樹脂積層体を言うものである。
本発明の樹脂フィルムは多層膜の積層状態に乱れが少ないことにより、所定の波長域での反射率を向上させ安価で光学特性に優れた樹脂積層フィルムを提供することができる。
本発明の積層フィルムの断面構成の模式図を図1に示す。
本発明の積層フィルムは屈折率の異なる樹脂が交互に多層積層された多層膜と樹脂保護層がその両側に設けられた構成となっている。 多層膜を構成する交互積層膜の各1層の厚さによって、所定の波長の光を反射する積層フィルムを提供することができる。
本発明の積層フィルムは屈折率の異なる樹脂が交互に多層積層された多層膜と樹脂保護層がその両側に設けられた構成となっている。 多層膜を構成する交互積層膜の各1層の厚さによって、所定の波長の光を反射する積層フィルムを提供することができる。
次に本発明の積層フィルムを構成する樹脂について説明する。
(多層膜)
本発明で交互に積層された多層膜に使用する2種類の樹脂フィルムは要求される性能に応じて熱可塑性樹脂が適宜選択されるが、非晶性の樹脂及び結晶性の樹脂のいずれも使用することができる。好ましい組み合わせは、非晶性樹脂同士又は結晶性樹脂同士の組み合わせであり、屈折率の差、及び相溶性等を考慮すると非晶性樹脂の組み合わせがより好ましい。
例示すると下記のものが挙げられるが、本発明においてはこれらの樹脂に限定されるものではない。
(i)非晶性樹脂として、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂、AS樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテリイミド、ポリイミド等が挙げられる。
(多層膜)
本発明で交互に積層された多層膜に使用する2種類の樹脂フィルムは要求される性能に応じて熱可塑性樹脂が適宜選択されるが、非晶性の樹脂及び結晶性の樹脂のいずれも使用することができる。好ましい組み合わせは、非晶性樹脂同士又は結晶性樹脂同士の組み合わせであり、屈折率の差、及び相溶性等を考慮すると非晶性樹脂の組み合わせがより好ましい。
例示すると下記のものが挙げられるが、本発明においてはこれらの樹脂に限定されるものではない。
(i)非晶性樹脂として、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂、AS樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテリイミド、ポリイミド等が挙げられる。
また、非晶性であるアクリレート系樹脂として下記のものが挙げられるが、カッコ内の数値は最初の数値は屈折率を示し、最後の数字はガラス転移温度(Tg)(℃)を示す。
ポリ(t〜ブチルメタクリレート)[ 1.464, 60 ]、ポリイソプロピルメタクリレート[ 1.473, 81 ]、ポリイソブチルメタクリレート[ 1.477, 60 ]、ポリビニルブチラール[ 1.485, 49 ]、ポリメチルメタクリレート[ 1.489, 105 ]、ポリビニルアルコール[ 1.51, 85 ]、ポリシクロヘキシルメタクリレート[ 1.507, 83 ]、ポリ(2〜ヒドロキシエチルメタクリレート) [1.512, 55 ]、ポリイソプロピルメタクリレート[ 1.552, 81 ]、ポリ(p−イソプロピルスチレン)[ 1.554, 87 ]、ポリベンジルメタクリレート[ 1.568, 54 ]、ポリフェニルメタクリレート[ 1.571, 110 ]、ポリスチレン[ 1.591, 100 ]
(ii)結晶性樹脂として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン等が挙げられる。
(iii)上記した熱可塑性樹脂の中で、屈折率差、融点、ガラス転移温度、溶融粘度比等を考慮すると、種々の組合せが考えられるが、好ましい例として、ポリスチレンとポリメチルメタクリル系樹脂等が挙げられる。
また、光学特性上、多層膜は少なくとも20層以上交互積層した構成とすることが好ましい。
ポリ(t〜ブチルメタクリレート)[ 1.464, 60 ]、ポリイソプロピルメタクリレート[ 1.473, 81 ]、ポリイソブチルメタクリレート[ 1.477, 60 ]、ポリビニルブチラール[ 1.485, 49 ]、ポリメチルメタクリレート[ 1.489, 105 ]、ポリビニルアルコール[ 1.51, 85 ]、ポリシクロヘキシルメタクリレート[ 1.507, 83 ]、ポリ(2〜ヒドロキシエチルメタクリレート) [1.512, 55 ]、ポリイソプロピルメタクリレート[ 1.552, 81 ]、ポリ(p−イソプロピルスチレン)[ 1.554, 87 ]、ポリベンジルメタクリレート[ 1.568, 54 ]、ポリフェニルメタクリレート[ 1.571, 110 ]、ポリスチレン[ 1.591, 100 ]
(ii)結晶性樹脂として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン等が挙げられる。
(iii)上記した熱可塑性樹脂の中で、屈折率差、融点、ガラス転移温度、溶融粘度比等を考慮すると、種々の組合せが考えられるが、好ましい例として、ポリスチレンとポリメチルメタクリル系樹脂等が挙げられる。
また、光学特性上、多層膜は少なくとも20層以上交互積層した構成とすることが好ましい。
(保護層)
保護層は、多層膜の両外側面に配置されて、圧延の際に、多層膜の積層構造を保護する層として機能する。保護層を設けることにより、圧延により薄膜化する際の多層膜の層の乱れを少なくでき、薄膜化加工においてより薄くすることが可能になる。
圧延前の積層フィルム前駆体は、多層膜の厚さをt、保護層の片側の厚さをTとしたとき、t/T<8の比率となるような厚さのものを使用することが好ましい。このような厚さとすることによって、多層膜の積層状態を良好に維持することができる。
保護層に使用する樹脂は多層膜同様に、上記に挙げた熱可塑性樹脂を適宜選択することができる。多層膜にポリスチレンとポリメチルメタクリル系樹脂を使用した場合には、保護層としては ポリスチレンを使用することが好ましい。
保護層は、多層膜の両外側面に配置されて、圧延の際に、多層膜の積層構造を保護する層として機能する。保護層を設けることにより、圧延により薄膜化する際の多層膜の層の乱れを少なくでき、薄膜化加工においてより薄くすることが可能になる。
圧延前の積層フィルム前駆体は、多層膜の厚さをt、保護層の片側の厚さをTとしたとき、t/T<8の比率となるような厚さのものを使用することが好ましい。このような厚さとすることによって、多層膜の積層状態を良好に維持することができる。
保護層に使用する樹脂は多層膜同様に、上記に挙げた熱可塑性樹脂を適宜選択することができる。多層膜にポリスチレンとポリメチルメタクリル系樹脂を使用した場合には、保護層としては ポリスチレンを使用することが好ましい。
次に本発明の積層フィルムの製造方法について説明する。まず積層フィルム前駆体を形成する。積層フィルム前駆体は、主に各樹脂フィルムを積層する積層工程と、各層間の気体を除去する予備圧着工程と、積層された樹脂フィルムを熱と圧力により一体化する熱圧着工程と、からなっている。このような積層フィルム前駆体を形成した後、積層フィルム前駆体を圧延によって薄膜化し、積層された個々の樹脂層も薄くされ、多くの樹脂層が薄く積層された多層膜を構成し光特性を有する積層フィルムを製造する。
次に積層フィルム前駆体の製造方法を説明する。
(積層工程)
2種類の屈折率の異なる樹脂フィルムを交互に積層し、多層膜前駆体とする。2つの保護層の間に多層膜前駆体に配置されるように積層し、本発明の積層フィルム前駆体を形成する。
次に積層フィルム前駆体の製造方法を説明する。
(積層工程)
2種類の屈折率の異なる樹脂フィルムを交互に積層し、多層膜前駆体とする。2つの保護層の間に多層膜前駆体に配置されるように積層し、本発明の積層フィルム前駆体を形成する。
(予備圧着工程)
積層フィルム前駆体を各層が熱圧着しない程度の温度および圧力で、厚み方向に圧力をかけることにより、各層間の気体を除去する。
予備圧着の条件は、実用的には厚み方向に2500Pa以上でかつ薄膜化工程でのプレス又は延伸の圧力の2分の1以下で、好ましくは2500〜10000Pa、より好ましくは2500〜8000Pa、特に好ましくは3000〜6000Paである。
尚、予備圧着における積層フィルム前駆体の温度は、熱圧着が進行しない程度の温度であればよく、室温(25℃)程度で行うのが効率的である。また、予備圧着において積層フィルム前駆体の温度は、変形を防止する意味からも使用する2種類の樹脂のそれぞれのガラス転移温度Tg以下に維持するのが好ましい。
積層フィルム前駆体を各層が熱圧着しない程度の温度および圧力で、厚み方向に圧力をかけることにより、各層間の気体を除去する。
予備圧着の条件は、実用的には厚み方向に2500Pa以上でかつ薄膜化工程でのプレス又は延伸の圧力の2分の1以下で、好ましくは2500〜10000Pa、より好ましくは2500〜8000Pa、特に好ましくは3000〜6000Paである。
尚、予備圧着における積層フィルム前駆体の温度は、熱圧着が進行しない程度の温度であればよく、室温(25℃)程度で行うのが効率的である。また、予備圧着において積層フィルム前駆体の温度は、変形を防止する意味からも使用する2種類の樹脂のそれぞれのガラス転移温度Tg以下に維持するのが好ましい。
(熱圧着工程)
予備圧着された積層フィルム前駆体を熱圧着可能な温度および圧力で、厚み方向に圧力をかけ一体化する。なお、熱圧着工程では、プレス又は圧延等により一体化と、一体化された積層フィルムを薄膜化する薄膜化工程を連続的に行うようにしてもよい。
熱圧着する際の積層フィルム前駆体の温度は、多層膜を構成する2種類の熱可塑性樹脂フィルムに応じて、下記(i)〜(iii)とすることが好ましい。
(i)2種類の熱可塑性樹脂フィルムが共に非晶性樹脂である場合には前記2種類の熱可塑性樹脂の双方のガラス転移温度(Tg)よりも40〜80℃高い温度
(ii)2種類の熱可塑性樹脂フィルムの一方が非晶性樹脂で他方が結晶性樹脂である場合には前記2種類の熱可塑性樹脂のうちの低い方のガラス転移温度(Tg)よりも50℃高い温度から前記結晶性樹脂の融点(Tm)より30℃低い温度
(iii)2種類の透明な熱可塑性樹脂フィルムが結晶性樹脂の場合には前記2種類の熱可塑性樹脂の双方の融点(Tm)より30〜50℃低い温度
上記(i)〜(iii)の条件において、それぞれの温度範囲の前記下限以上の温度で加工性を維持でき、一方、前記上限以下の温度であれば熱圧着時に変形することなく、層構造を維持することができる。
予備圧着された積層フィルム前駆体を熱圧着可能な温度および圧力で、厚み方向に圧力をかけ一体化する。なお、熱圧着工程では、プレス又は圧延等により一体化と、一体化された積層フィルムを薄膜化する薄膜化工程を連続的に行うようにしてもよい。
熱圧着する際の積層フィルム前駆体の温度は、多層膜を構成する2種類の熱可塑性樹脂フィルムに応じて、下記(i)〜(iii)とすることが好ましい。
(i)2種類の熱可塑性樹脂フィルムが共に非晶性樹脂である場合には前記2種類の熱可塑性樹脂の双方のガラス転移温度(Tg)よりも40〜80℃高い温度
(ii)2種類の熱可塑性樹脂フィルムの一方が非晶性樹脂で他方が結晶性樹脂である場合には前記2種類の熱可塑性樹脂のうちの低い方のガラス転移温度(Tg)よりも50℃高い温度から前記結晶性樹脂の融点(Tm)より30℃低い温度
(iii)2種類の透明な熱可塑性樹脂フィルムが結晶性樹脂の場合には前記2種類の熱可塑性樹脂の双方の融点(Tm)より30〜50℃低い温度
上記(i)〜(iii)の条件において、それぞれの温度範囲の前記下限以上の温度で加工性を維持でき、一方、前記上限以下の温度であれば熱圧着時に変形することなく、層構造を維持することができる。
(予熱工程および圧延工程)
積層フィルム前駆体を圧力をかけてローラーで挟み、ローラーを回転させて通過させることによって、圧延する。積層フィルム前駆体はローラーを通過する前に所定の温度となるように、ヒーターで加熱されている。予熱温度の好ましい範囲は、120℃以上150℃以下である。これよりも予熱温度が低いと、積層フィルム前駆体を構成する樹脂が硬すぎ、圧力が均質にかからず、多層膜の積層構造が乱れやすい。また、これよりも予熱温度が高い場合には、積層フィルム前駆体を構成する樹脂の粘性が低すぎるために、積層構造が乱れやすくなる。
さらには、ローラーは予熱温度よりも0〜30℃程度高い温度に保たれていることが好ましい。
また、圧延時の圧力は、3〜200MPa程度が好ましい。
積層フィルム前駆体を圧力をかけてローラーで挟み、ローラーを回転させて通過させることによって、圧延する。積層フィルム前駆体はローラーを通過する前に所定の温度となるように、ヒーターで加熱されている。予熱温度の好ましい範囲は、120℃以上150℃以下である。これよりも予熱温度が低いと、積層フィルム前駆体を構成する樹脂が硬すぎ、圧力が均質にかからず、多層膜の積層構造が乱れやすい。また、これよりも予熱温度が高い場合には、積層フィルム前駆体を構成する樹脂の粘性が低すぎるために、積層構造が乱れやすくなる。
さらには、ローラーは予熱温度よりも0〜30℃程度高い温度に保たれていることが好ましい。
また、圧延時の圧力は、3〜200MPa程度が好ましい。
上記圧延は、複数回繰り返して行うことができ、更にチャッキング手段等の引張力による延伸を行うことができる。
例えば、多段の圧延を複数のローラー手段を用いて行い、更に(iv) チャッキング手段等の引張力による延伸を行うことにより、連続的に行ってもよい。特に、連続して延伸薄膜化を行う工程においては多層膜の薄膜化による反射波長の変化を確認しながら延伸倍率をインラインでコントロールできるという利点がある。
また、引張力による延伸は、連続工程でなくバッチ式工程で行うこともできる。バッチ式工程での延伸は、1回でも良いし、複数回行って良く、その際の延伸方向と延伸回数の選定は必要に応じて自由に選択できる。また、バッチ式工程での延伸は、同時2軸延伸を行ってもよい。
延伸倍率として1度の延伸でそれぞれの方向に2〜4倍の範囲で行うことができる。
例えば、多段の圧延を複数のローラー手段を用いて行い、更に(iv) チャッキング手段等の引張力による延伸を行うことにより、連続的に行ってもよい。特に、連続して延伸薄膜化を行う工程においては多層膜の薄膜化による反射波長の変化を確認しながら延伸倍率をインラインでコントロールできるという利点がある。
また、引張力による延伸は、連続工程でなくバッチ式工程で行うこともできる。バッチ式工程での延伸は、1回でも良いし、複数回行って良く、その際の延伸方向と延伸回数の選定は必要に応じて自由に選択できる。また、バッチ式工程での延伸は、同時2軸延伸を行ってもよい。
延伸倍率として1度の延伸でそれぞれの方向に2〜4倍の範囲で行うことができる。
以下に本発明を実施例によって説明する。
尚、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(1)使用した材料
(i)ポリスチレン
PSジャパン(株)製、商品名:PSJ-ポリスチレン、屈折率:1.59、Tg:100℃
(ii)ポリメチルメタクリレート樹脂
三菱レイヨン(株)製、商品名:アクリペット、屈折率:1.49、Tg:105℃
尚、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(1)使用した材料
(i)ポリスチレン
PSジャパン(株)製、商品名:PSJ-ポリスチレン、屈折率:1.59、Tg:100℃
(ii)ポリメチルメタクリレート樹脂
三菱レイヨン(株)製、商品名:アクリペット、屈折率:1.49、Tg:105℃
(2)膜厚比
製造された積層フィルムを走査電子顕微鏡(SEM)による断面撮影を行い.、多層膜部分全体の厚さをt、保護層1層の厚さをTとし、t/Tを求めた。
(3)圧下率
圧下率は、圧延の前後の厚みから下記式より求められる。
圧下率の定義:[(加工前の厚み−加工後の厚み)/加工前の厚み]×100
(4)圧延後の積層構造の評価方法
走査電子顕微鏡(SEM)による断面撮影を行い、観察し、多層積層の各層がほぼ均一な厚さで連続しているものを○、やや厚さに不均一が生じているものを△厚さに不均一な部分があったり、層が蛇行しているものを×とした。
製造された積層フィルムを走査電子顕微鏡(SEM)による断面撮影を行い.、多層膜部分全体の厚さをt、保護層1層の厚さをTとし、t/Tを求めた。
(3)圧下率
圧下率は、圧延の前後の厚みから下記式より求められる。
圧下率の定義:[(加工前の厚み−加工後の厚み)/加工前の厚み]×100
(4)圧延後の積層構造の評価方法
走査電子顕微鏡(SEM)による断面撮影を行い、観察し、多層積層の各層がほぼ均一な厚さで連続しているものを○、やや厚さに不均一が生じているものを△厚さに不均一な部分があったり、層が蛇行しているものを×とした。
(1)積層フィルムの製造
(i)積層フィルム前駆体の多層膜部分の形成
熱可塑性樹脂フィルムの材料として、ポリスチレン及びポリメチルメタクリレート樹脂を使用した。共押出機を使用して、これらの熱可塑性樹脂から各層の厚みがそれぞれ約38μmの2層フィルムを得た。得られた2層フィルムを50層又は70層になるように交互に積層した積層フィルムに、更に両外層側に厚みがそれぞれ表1に示すようなポリスチレン(熱可塑性樹脂フィルムに使用したポリスチレンと同じ樹脂)を保護層として配置して積層体を得た。
(ii)予備圧着
前記積層体にバッチ式プレス機で温度25℃、5600Paの荷重をかけて30秒間維持することにより予備圧着して、積層体の層間に残存する空気を除去した。
(iii)熱圧着
予備圧着での5600Paの荷重を維持して、電気ヒータにより両面側から積層体を予熱して積層体中心部が160℃に到達してから20分間維持し、積層体の各樹脂層の界面を熱圧着させて一体化した。
(i)積層フィルム前駆体の多層膜部分の形成
熱可塑性樹脂フィルムの材料として、ポリスチレン及びポリメチルメタクリレート樹脂を使用した。共押出機を使用して、これらの熱可塑性樹脂から各層の厚みがそれぞれ約38μmの2層フィルムを得た。得られた2層フィルムを50層又は70層になるように交互に積層した積層フィルムに、更に両外層側に厚みがそれぞれ表1に示すようなポリスチレン(熱可塑性樹脂フィルムに使用したポリスチレンと同じ樹脂)を保護層として配置して積層体を得た。
(ii)予備圧着
前記積層体にバッチ式プレス機で温度25℃、5600Paの荷重をかけて30秒間維持することにより予備圧着して、積層体の層間に残存する空気を除去した。
(iii)熱圧着
予備圧着での5600Paの荷重を維持して、電気ヒータにより両面側から積層体を予熱して積層体中心部が160℃に到達してから20分間維持し、積層体の各樹脂層の界面を熱圧着させて一体化した。
(iv)圧延
圧延ローラー(ロール径:55mm、ロールスピード:5.8mmmm/sec)を、表1に示す温度に加熱し、熱風炉内で積層フィルム前駆体が表1に示す温度となるようにし、圧延した。
前記圧延により、積層フィルム前駆体の全体の厚みはほぼ1/10の厚みに薄膜化された。さらに、得られた積層フィルム前駆体をさらに、圧延を繰り返し、予備圧着後の積層フィルム前駆体の全体の厚みに対し、1/50程度となった積層フィルムを得た。
表1、表2に実施例、比較例および得られた積層フィルムを評価した結果を示す。
圧延ローラー(ロール径:55mm、ロールスピード:5.8mmmm/sec)を、表1に示す温度に加熱し、熱風炉内で積層フィルム前駆体が表1に示す温度となるようにし、圧延した。
前記圧延により、積層フィルム前駆体の全体の厚みはほぼ1/10の厚みに薄膜化された。さらに、得られた積層フィルム前駆体をさらに、圧延を繰り返し、予備圧着後の積層フィルム前駆体の全体の厚みに対し、1/50程度となった積層フィルムを得た。
表1、表2に実施例、比較例および得られた積層フィルムを評価した結果を示す。
図2に実施例1により得られた積層フィルム断面のSEM写真を示す。
多層膜を構成する各層が、ほぼ平行に均一に積層構造を成しており、乱れた部分は見当たらない。図3に、比較例1により得られた積層フィルム断面のSEM写真を示す。 多層膜を構成する層の厚さが不均一な部分や、積層が蛇行した部分が見られている。このような積層フィルムでは良好な光学特性を得ることは困難である。
多層膜を構成する各層が、ほぼ平行に均一に積層構造を成しており、乱れた部分は見当たらない。図3に、比較例1により得られた積層フィルム断面のSEM写真を示す。 多層膜を構成する層の厚さが不均一な部分や、積層が蛇行した部分が見られている。このような積層フィルムでは良好な光学特性を得ることは困難である。
以上のように、本発明の積層フィルムによれば、多層に樹脂を積層した積層フィルムにおいて良好な積層フィルムを得ることができる。
Claims (8)
- 屈折率が異なる樹脂を交互に積層した多層膜が、2つの樹脂保護層の間に設けられた積層フィルムの製造方法であって、
屈折率が異なる樹脂を交互に積層した多層膜前駆体の両側に樹脂保護層を積層した積層フィルム前駆体を所定の温度に加熱する予熱工程と、
前記積層フィルム前駆体を前記所定の温度以上で圧延する工程を有することを特徴とする積層フィルムの製造方法。 - 前記樹脂保護層は、前記多層膜を構成する樹脂の1つから選ばれる材料であることを特徴とする請求項1に記載の積層フィルムの製造方法。
- 圧延前の前記積層フィルムの多層膜の厚さを厚さtとし、両側に設けられた前記保護層の片側の厚さをTとしたとき、t/T<8の関係が成り立つことを特徴とする請求項1又は2のいずれか1に記載の積層フィルムの製造方法。
- 前記圧延工程での温度は、前記予熱工程での温度よりも0〜30℃高い温度であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載の積層フィルム製造方法。
- 前記予熱工程での前記積層フィルム前駆体の温度は、120℃以上150℃以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載の積層フィルムの製造方法。
- 前記多層膜は、主にポリスチレンを含む樹脂と主にポリメチルメタクリレートを含む樹脂が交互に積層して構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1に記載の積層フィルムの製造方法。
- 屈折率が異なる樹脂を交互に積層した多層膜前駆体の両側に樹脂保護層を積層した積層フィルム前駆体を、予備圧着する工程と、
前記積層フィルム前駆体を熱圧着可能な温度で圧着し一体化する熱圧着工程と、
前記圧延工程とを有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1に記載の積層フィルムの製造方法。
- 屈折率が異なる樹脂を交互に積層した多層膜前駆体の両側に樹脂保護層を積層した積層フィルム前駆体を所定の温度に加熱した後、前記所定の温度以上で圧延されたこと特徴をとする多層膜の両側に樹脂保護層を有する積層フィルム。
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2007
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