JP2009011161A - L−アラビノースをα−ケトグルタル酸に変換する方法、この方法に使用する酵素、該酵素をコードする遺伝子、該遺伝子を含む組換え微生物 - Google Patents

L−アラビノースをα−ケトグルタル酸に変換する方法、この方法に使用する酵素、該酵素をコードする遺伝子、該遺伝子を含む組換え微生物 Download PDF

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Abstract

【課題】L-アラビノースをα−ケトグルタル酸に変換する方法、使用する酵素、該酵素をコードする遺伝子、該遺伝子により形質転換した組換え微生物を提供する。
【解決手段】以下の工程を含むL-アラビノースをα−ケトグルタル酸に変換する方法。
(A)L-アラビノースをL-アラビノ−γ−ラクトンに変換し、(B)これをL-アラボネートに変換し、(C)これをL-2−ケト−3−デオキシアラボネートに変換し、(D)これをα−ケトグルタル酸セミアルデヒドに変換し、及び(E)これをα−ケトグルタル酸に変換する工程;L-アラビノース−1−脱水素酵素、L-アラビノラクトナーゼ、L-アラボネート脱水酵素、L-2−ケト−3−デオキシアラボネート脱水酵素、及びα−ケトグルタル酸セミアルデヒド脱水素酵素;上記酵素コードする遺伝子、該遺伝子を含むベクター、該ベクターにより形質転換された酵母。
【選択図】なし

Description

本発明は、L-アラビノースをα−ケトグルタル酸に変換する方法、この方法に使用する酵素、該酵素をコードする遺伝子、該遺伝子を含む組換え微生物に関する。植物構成成分のうちD-キシロースとともに五単糖の大部分を占めるL-アラビノースの新規代謝経路の発見に基づくものである。さらに詳細には、新規代謝経路に関与する新規酵素、これをコードする遺伝子、該遺伝子を含むベクター、該ベクターを含む微生物、該微生物を用いてL-アラビノースをα−ケトグルタル酸に酵素的に変換させる方法に関するものである。
1998年の資料によると、全世界で生産されたエタノールの総量は3.12×109リットルにおよぶ。このうち、合成エタノールの占める割合はわずか7%であり、残りは生物発酵によって作られたものである。また、全体の2/3は燃料エタノールとして使われている。エタノール生物発酵の原料として主要なものとしては、サトウキビ、テンサイなどの製糖植物あるいはトウモロコシ、コメなどである。こうしたバイオマス原料は、主に六単糖(D-グルコース、D-ガラクトース、フルクトース)によって構成されており、エタノール発酵の生物種(微生物)として主に用いられる大腸菌や酵母はいずれもエタノールまで変換することが可能である。しかし、我が国の耕地面積、食糧生産の観点から見るとこうした作物を単にエタノール生産の原料のためだけに作ることは極めて難しい。
我が国が生物発酵によるエタノール生産を促進しなければならないことは間違いないが、その原料としてこれら食用作物以外に注目する必要がある。
地球上のバイオマスの大部分を占めるのはこうした食用作物ではなく木質系バイオマスである。特に、我が国においては豊富な森林資源やその維持に伴って生じる間伐材などによって木質系バイオマスの供給は極めて容易かつ豊富である。木質系バイオマスは、リグノセルロースから構成されており、リグノセルロースはセルロース(約45%)とヘミセルロース(約30%)、リグニン(約25%)に分類される。このうち、セルロースやヘミセルロースは超臨界水や酸加水分解あるいは酵素分解によって単糖まで分解することが出来る。セルロースは直鎖状D-グルコースから構成されているのに対して、ヘミセルロースは六単糖に加えて五単糖(主にD-キシロース、L-アラビノース)も含んだ鎖状構造を取っている。微生物において五単糖は六単糖と比較して代謝効率が低いため、五単糖からエタノールへの効率的変換法の確立は木質系バイオマスの利用において極めて重要な命題の1つである。特に、酵母は本来の高いエタノール発酵能とエタノール耐性能から本命題解決において魅力的な生物種であるが、五単糖を全く代謝できないという大きな問題があり実用化に向けた取り組みにおいては大腸菌などに先を越されてきた。
酵母によるD-キシロースからのエタノール変換は1990年代初期には既にその基本的戦略が確立しており、具体的には異なる2つの経路(細菌由来あるいは真菌由来)の酵素遺伝子(群)を酵母に導入した組換え酵母を用いる。前者ではD-キシロースはキシロース異性化酵素によって一段階でキシルロースに変換されるが、後者ではキシロース還元酵素とキシリトール脱水素酵素によってD-キシリトールを介してキシルロースになる。キシルロースはキシルロキナーゼによってD-キシルロース5リン酸に変換されペントース・リン酸回路を介して代謝される。どちらの経路を酵母に導入した場合も変換効率は極めて悪いもののエタノール発酵が確認でき、さらに実用化に向けた改良がなされている(非特許文献1)。
一方、もう1つの五単糖であるL-アラビノースについてはこれまでほとんどこうした試みはなされてこなかった。D-キシロース同様、L-アラビノースの代謝経路は細菌と真菌で異なっている。細菌由来の経路では、L-アラビノースはL-アラビノースイソメラーゼによって異性化されL-リブロースとなり、続いてリブロキナーゼによってリン酸化されL-リブロース5リン酸に変換された後、最終的にL-リブロースリン酸4-エピメラーゼによる異性化によってD-キシルロース5リン酸に変換され、D-キシロース同様ペントース・リン酸回路に入る(図1A)。大腸菌ではこれら3つの酵素をコードする遺伝子はタンデムに並んだオペロンをなしており(AraBCDオペロン)、最近大腸菌由来のそれぞれの遺伝子を真核生物のためのプロモーター、ターミネーターにつないで野生型サッカロミセス酵母に導入した組換え酵母が作出された。しかしながら、この酵母はL-アラビノースを炭素源として生育できたもののエタノール発酵は全く確認できなかった(非特許文献2)。
真菌由来のL-アラビノース代謝経路は長い間仮想的であったが、子嚢菌(しのうきん)の一種であるハイポクレアジェコリナ(Hypocrea jecorina)からこの経路に含まれる全ての遺伝子が最近単離された(非特許文献3〜5)。これによると、L-アラビノースは4つの酸化還元酵素(アルドース還元酵素、L-アラビニトール脱水素酵素、L-キシルロース還元酵素)によって、L-アラビニトール、L-キシルロース、D-キシリトールを介してD-キシルロースに変換され、最終的にはリン酸化されD-キシルロース5リン酸となる(図1B)。実は、このアルドース還元酵素はD-キシロースも還元してD-キシリトールに変換できるため(L-アラビノース/D-キシロース還元酵素)、真菌のD-キシロース代謝経路とL-アラビノース代謝経路を比較すると後者に特異的に必要な遺伝子はL-アラビニトール脱水素酵素とL-キシルロース還元酵素だけである。そこで、キシロース還元酵素とキシリトール脱水素酵素を導入した酵母にさらに両酵素遺伝子を組み込みエタノール発酵の有無が検討された。この組換え酵母はL-アラビノースで生育できたがそのエタノール変換効率はD-キシロースの場合と同様極めて低かった(非特許文献6)。
細菌のL-アラビノース代謝経路の研究の中で、主に植物根粒菌の中のいくつかの細菌において大腸菌などの既知の経路とは全く異なるL-アラビノース代謝がなされている可能性が古くから指摘されてきた(図1C)。これらの細菌の細胞抽出液中にはL-アラビノースイソメラーゼ、リブロキナーゼ、L-リブロースリン酸エピメラーゼ活性が見られない。それに替わって見出された酵素活性をもとに構築された仮想的経路によると、L-アラビノースはまずNAD(P)+依存的にL-アラビノース 1-脱水素酵素によって酸化されL-アラビノ-γ-ラクトンになる。L-アラビノ-γ-ラクトンはL-アラビノラクトナーゼによって加水開環されL-アラボネートとなり、さらにL-アラボネート脱水酵素による脱水反応によってL-2-ケト-3-デオキシアラボネート(L-KDA)となる。L-KDAのその後の代謝様式は細菌によって異なる。
まず、シュードモナスサッカロフィラ(Pseudomonas saccharophila)、アゾスピリルムブラシリエンス(Azospirillum brasiliense)、ヘルバスピリルムセロペディカエ(Herbaspirillum seropedicae)、リゾビウムメリロチ(Rhizobium meliloti)などでは、L-KDA 脱水酵素による脱水反応によってα−ケトグルタル酸セミアルデヒド(αKGSA)になり、さらにαKGSA 脱水素酵素のNAD(P)+依存的酸化によって最終的にα−ケトグルタル酸に変換される(経路1)。
一方、リゾビウムジャポニカム(Rhizobium japonicum)やシュードモナス株(Pseudomonas strain)MSU-1ではL-KDAはL-KDA アルドラーゼによってアルドール開裂されピルビン酸とグリコールアルデヒドが生じる(経路2)。
これまで、経路1および2に関与するどの(仮想的)遺伝子も単離されていなかった(非特許文献7〜15)。
木質などのバイオマス資源のうち、30%以上を占めるヘミセルロースを加水分解することによって容易に得ることが出来る単糖を、高効率でエタノールへと変換し、エネルギー問題を解決するための1つの手段を提供することは重要な課題である。そのためには、セルロースなどの構成成分である六単糖を高効率でエタノールへと変換でき、エタノール耐性に優れた酵母に、L-アラビノースなどの五単糖を原料として高効率でエタノールへと変換できる能力を与えるのが最も理想的である。
最近報告された細菌由来、真菌由来のL-アラビノース代謝経路を用いたこの命題への試みは失敗に終わっている。この明確な理由については不明であるが、1つの特徴として(これはD-キシロース代謝経路についても言えることであるが)L-アラビノースの最終代謝産物がいずれの経路においてもペントース・リン酸回路の中間産物であるキシルロース5リン酸であることが挙げられる。そこで、例えば、L-アラビノースを別の形で変換して異なる代謝系に送り込むことは1つの突破口になりうる。この意味において、上に示した細菌由来の仮想的L-アラビノース代謝経路は極めて魅力的である。経路1で生じるα−ケトグルタル酸はクエン酸サイクルに入りピルビン酸を介してエタノールに変換されるし、経路2ではピルビン酸が最終産物の1つとして直接生成される。
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本発明の目的は、L-アラビノースをα−ケトグルタル酸に変換する方法を提供することである。
本発明の他の目的は、L-アラビノースをピルビン酸に変換する方法を提供することである。
本発明の他の目的は、上記方法に使用する酵素、該酵素をコードする遺伝子、該遺伝子を含むベクター、該ベクターにより形質転換した組換え微生物を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、上記組換え微生物を用いてL-アラビノースをα−ケトグルタル酸又はピルビン酸に変換する方法を提供することである。
本発明は、植物構成成分のうちD-キシロースとともに五単糖の大部分を占めるL-アラビノースの新規代謝経路の発見に基づくものである。さらに詳細には、以下に示す新規代謝経路に関与する新規酵素、これをコードする遺伝子、該遺伝子を含むベクター、該ベクターを含む微生物、該微生物を用いてL-アラビノースをα−ケトグルタル酸又はピルビン酸に酵素的に変換させる方法を提供するものである。
1.以下の工程を含むL-アラビノースをα−ケトグルタル酸に変換する方法。
(A)L-アラビノースをL-アラビノ−γ−ラクトンに変換する工程、
(B)L-アラビノ−γ−ラクトンをL-アラボネートに変換する工程、
(C)L-アラボネートをL-2−ケト−3−デオキシアラボネートに変換する工程、
(D)L-2−ケト−3−デオキシアラボネートをα−ケトグルタル酸セミアルデヒドに変換する工程、及び
(E)α−ケトグルタル酸セミアルデヒドをα−ケトグルタル酸に変換する工程。
2.以下の工程を含むL-アラビノースをピルビン酸に変換する方法。
(A)L-アラビノースをL-アラビノ−γ−ラクトンに変換する工程、
(B)L-アラビノ−γ−ラクトンをL-アラボネートに変換する工程、
(C)L-アラボネートをL-2−ケト−3−デオキシアラボネートに変換する工程、
(F)L-2−ケト−3−デオキシアラボネートをピルビン酸に変換する工程。
3.L-アラビノースをL-アラビノ−γ−ラクトンに変換する工程を触媒する、L-アラビノース−1−脱水素酵素。
4.L-アラビノ−γ−ラクトンをL-アラボネートに変換する工程を触媒する、L-アラビノラクトナーゼ。
5.L-アラボネートをL-2−ケト−3−デオキシアラボネートに変換する工程を触媒する、L-アラボネート脱水酵素。
6.L-2−ケト−3−デオキシアラボネートをα−ケトグルタル酸セミアルデヒドに変換する工程を触媒する、L-2−ケト−3−デオキシアラボネート脱水酵素。
7.α−ケトグルタル酸セミアルデヒドをα−ケトグルタル酸に変換する工程を触媒する、α−ケトグルタル酸セミアルデヒド脱水素酵素。
8.上記3記載の酵素をコードする遺伝子。
9.上記4記載の酵素をコードする遺伝子。
10.上記5記載の酵素をコードする遺伝子。
11.上記6記載の酵素をコードする遺伝子。
12.上記7記載の酵素をコードする遺伝子。
13.上記8〜12記載の遺伝子のすべてを含むオペロン。
14.上記8〜12記載の遺伝子の少なくとも1種を含むベクター。
15.上記13記載のオペロンを含むベクター。
16.上記14又は15記載のベクターにより形質転換された微生物。
17.微生物が酵母又は大腸菌である上記18記載の微生物。
18.上記16又は17記載の微生物を培養することを特徴とする上記3〜7のいずれか1項記載の酵素の製造方法。
19.上記18記載の方法により製造された酵素を使用することを特徴とする上記1又は2記載の方法。
20.上記15記載のベクターにより形質転換された微生物を使用することを特徴とする上記1記載の方法。
本発明は、植物構成成分のうちD-キシロースとともに五単糖の大部分を占めるL-アラビノースの新規代謝経路を提供するものである。この代謝経路により、L-アラビノースをα−ケトグルタル酸又はピルビン酸に酵素的に変換させることが可能となり、生じたα−ケトグルタル酸はクエン酸サイクルに入りピルビン酸を介してエタノールに変換されるため、D-キシロースからエタノールを酵素的に変換することが可能となる。酵母は、セルロースなどの構成成分である六単糖を高効率でエタノールへと変換でき、エタノール耐性に優れているため、本発明の遺伝子を酵母に導入した組換え酵母は、L-アラビノースなどの五単糖を原料として高効率でエタノールへと変換できる能力をも有することとなり、木質系バイオマスの利用率を格段に向上させることができる。
新規L-アラビノース代謝経路1を持つ細菌として好適なものは、アゾスピリルムブラシリエンス(Azospirillum brasiliense)(以下、A. brasilienseと称することもある)である。この経路に含まれる5つの遺伝子およびそのアミノ酸配列に関する情報は従来全く知られていないので、基本的には培養した本菌の無細胞抽出液中から酵素学的活性を指標にそれぞれの酵素の精製を行い、精製酵素の部分的アミノ酸配列を元にDNAプライマーを設計し、本菌のゲノムDNAを鋳型としてPCRを行い遺伝子の一部を増幅する。増幅したDNA断片をプローブとして、本菌のゲノムライブラリーから遺伝子全長を単離しヌクレオチド配列を決定すれば良い。
新規L-アラビノース代謝経路1を持つ本発明で使用する細菌としては、アゾスピリルムブラシリエンス以外に、これまで経路1の存在が示唆されているものであれば使用することができ、例えば、シュードモナスサッカロフィラ(Pseudomonas saccharophila)、ヘルバスピリルムセロペディカエ(Herbaspirillum seropedicae)、リゾビウムメリロチ(Rhizobium meliloti)等が挙げられる。
L-アラビノースをL-アラビノ−γ−ラクトンに変換する工程を触媒する、L-アラビノース−1−脱水素酵素としては、本発明のAraAタンパク質(配列番号8)、及びその類似体が挙げられる。この明細書において「タンパク質の類似体」とは、当該タンパク質を構成するアミノ酸の一部が欠失し、及び/又は他のアミノ酸に置換され、及び/又は他のアミノ酸が挿入されたアミノ酸配列を有するタンパク質であって、元のタンパク質と実質的に同一の酵素活性を有するタンパク質を意味するものとする。
L-アラビノ−γ−ラクトンをL-アラボネートに変換する工程を触媒する、L-アラビノラクトナーゼとしては、本発明のAraBタンパク質(配列番号12)、及びその類似体が挙げられる。
L-アラボネートをL-2−ケト−3−デオキシアラボネートに変換する工程を触媒する、L-アラボネート脱水酵素としては、本発明のAraCタンパク質(配列番号6)、及びその類似体が挙げられる。
L-2−ケト−3−デオキシアラボネートをα−ケトグルタル酸セミアルデヒドに変換する工程を触媒する、L-2−ケト−3−デオキシアラボネート脱水酵素としては、本発明のAraDタンパク質(配列番号7)、及びその類似体が挙げられる。
α−ケトグルタル酸セミアルデヒドをα−ケトグルタル酸に変換する工程を触媒する、α−ケトグルタル酸セミアルデヒド脱水素酵素としては、本発明のAraEタンパク質(配列番号14)、及びその類似体が挙げられる。
本発明のL-アラビノース−1−脱水素酵素をコードする遺伝子としては、本発明のAraA遺伝子(配列番号1の3073〜4002)、及びその類似体が挙げられる。この明細書において「遺伝子の類似体」とは、当該遺伝子を構成するヌクレオチドの一部が欠失し、及び/又は他のヌクレオチドに置換され、及び/又は他のヌクレオチドが挿入された塩基配列を有するDNAであって、ストリンジェント条件(例えば、42〜45℃)において元のDNAとハイブリダイズすることができ、実質的に同一の酵素活性を有するタンパク質をコードする遺伝子を意味するものとする。
本発明のL-アラビノラクトナーゼをコードする遺伝子としては、本発明のAraB遺伝子(配列番号1の7777〜8679)、及びその類似体が挙げられる。
本発明のL-アラボネート脱水酵素をコードする遺伝子としては、本発明のAraC遺伝子(配列番号1の252〜2003)、及びその類似体が挙げられる。
本発明のL-2−ケト−3−デオキシアラボネート脱水酵素をコードする遺伝子としては、本発明のAraD遺伝子(配列番号1の2107〜3036)、及びその類似体が挙げられる。
本発明のα−ケトグルタル酸セミアルデヒド脱水素酵素をコードする遺伝子としては、本発明のAraE遺伝子(配列番号13)、及びその類似体が挙げられる。
本発明のL-アラビノースオペロンとしては、図7に示す塩基配列(配列番号5)を有するものが挙げられる。
本発明は、上記の遺伝子の少なくとも1種を含むベクターを提供するものである。本発明に使用できるベクターとしては、プラスミド、ファージ等が挙げられ、具体的にはpGEM-T(プロメガ社)、pBluescript SK(-)(ストラタジーン社)、pQE-80L(キアゲン社)、酵母用プラスミドベクター等が挙げられる。
本発明はさらに、上記ベクターにより形質転換された微生物を提供するものである。本発明に使用できる宿主微生物としては、大腸菌、酵母等が挙げられる。これらのうち酵母が最も好ましい。用いる酵母としては特に制限はないが、特に好ましいものはサッカロミセス(Saccharomyces)属酵母であり、サッカロミセスセレビジア(Saccharomyces cerevisiae)が最も好ましい。
本発明は、上記微生物を培養することを特徴とする上記酵素の製造方法を提供するものである。微生物の培養は宿主微生物の培養と同様の条件で行えばよい。
本発明は、上記酵素を使用してアラビノースを最終的にα−ケトグルタル酸又はピルビン酸に変換する方法を提供するものである。アラビノースをα−ケトグルタル酸に変換する方法は、好ましくは、工程(A)〜(E)を触媒する酵素を使用して行うことが望ましい。また、アラビノースをピルビン酸に変換する方法は、好ましくは、工程(A)〜(D)及び(F)を触媒する酵素を使用して行うことが望ましい。
上記反応の各工程は、工程毎に順次行っても良いし、2種以上の酵素を含む反応系、又はすべての酵素を含む反応系で行うこともできる。
本発明は、上記ベクターにより形質転換された微生物を使用してアラビノースを最終的にα−ケトグルタル酸又はピルビン酸に変換する方法を提供するものである。宿主微生物としてエタノール耐性に優れた酵母を使用すると、L-アラビノースをα−ケトグルタル酸又はピルビン酸に変換した後、これをさらにエタノールに変換することができる。
次に、実施例により本発明を説明するが、本発明の範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1 L-アラビノース 1-脱水素酵素の精製
(1)アゾスピリルムブラシリエンスの無細胞抽出液の調整
アゾスピリルムブラシリエンス ATCC29145は、理化学研究所バイオリソースセンターから購入した。37mMのL-アラビノースを唯一の炭素源とする合成培地(培地1リットルあたり、4g KH2PO4、6g K2HPO4, 0.2g MgSO4・H2O、0.1g NaCl, 0.026g CaSO4・2H2O, 1g NH4Cl、0.01g FeCl3・6H2O、0.002g NaMoO4・2H2O、0.0001g ビオチン、pH 6.8)で、本菌を30℃で24時間培養した。遠心で回収した菌体は、バッファーA (2 mM MgCl2、10mM 2-メルカプトエタノールを含む20mMリン酸カリウムバッファー、pH7.0)に懸濁した。超音波処理により破砕した後、4℃で20分間、105000×gで遠心し無細胞抽出液を得た(分画1)。
(2)酵素活性測定
L-アラビノース 1-脱水素酵素の活性測定は、反応によって生成されるNAD(P)Hの特異的な340nmの吸収度の増加を30℃でモニターすることによって行った。適量のL-アラビノース1-脱水素酵素は、10mM L-アラビノースと1mM NAD(P)+を含む100mM Tris-HClバッファー(pH9.0) に加えられた。酵素反応は、NAD(P)+を加えることで開始した。この酵素の1ユニットは、1μmolのNAD(P)Hを1分間に生成するために必要な量と定義した。Kmおよびkcatは、種々の濃度の基質、補酵素を用いたLineweaver-Burkプロットから算出した。タンパク質濃度は、ウシ血清アルブミンを標準物質としてLowry法によって決定した。
(3)L-アラビノース 1-脱水素酵素の精製
・硫酸アンモニウム分画
粉末状の(NH4)2SO4を無細胞抽出液に加えることで、飽和度50%から60%で沈殿するタンパク質を遠心で回収した。分画したタンパク質は、少量のバッファーAに溶解させた後で1.3M (NH4)2SO4を含むバッファーAに対して4℃で一晩透析した。透析後、遠心して不溶性物質を除去しその上清を次のステップに用いた(分画2)。
・疎水性クロマトグラフィー分画
以下に行う全てのクロマトグラフィーは、AKTA purifier system (Amersham Pharmacia Biotech社)を用いて4℃で行った。分画2は、1.3M (NH4)2SO4を含むバッファーAで平衡化されたHiPrep 16/10 Butyl FFカラム(Amersham Biosciences)に添加され、同じバッファーで洗浄した。その後、バッファーAの中の1.3-0M (NH4)2SO4逆勾配によってタンパク質を溶出した。高いL-アラビノース 1-脱水素酵素活性を含むフラクションを集め、バッファーAに対して4℃で一晩透析した(分画3)。
・陽イオン交換クロマトグラフィー分画
分画3を、バッファーAで平衡化されたHiPrep 16/10 Q FFカラム(Amersham Biosciences)に添加し、同じバッファーで洗浄した。その後、バッファーAの中の0-1M NaCl勾配によってタンパク質を溶出した。高いL-アラビノース 1-脱水素酵素活性を含むフラクションを集め、バッファーB (10mM 2-メルカプトエタノールを含む5mMリン酸カリウムバッファー、pH7.0)に対して4℃で一晩透析した(分画4)。
・ヒドロキシアパタイト・クロマトグラフィー
分画4は、バッファーBで平衡化されたCHT Ceramic ヒドロキシアパタイト Type I カラム(Bio-Rad)に添加され、同じバッファーで洗浄した。その後、バッファーBの中の0.005-0.5M PO4 2-勾配によってタンパク質を溶出した。高いL-アラビノース 1-脱水素酵素活性を含むフラクションを集め、Centriplus YM-30 (Millipore社)を用いて 18,000 × g で約2時間限外濾過した(分画5)。
・ゲル濾過クロマトグラフィー
分画5をバッファーAで平衡化されたHiLoad 16/60 Superdex 200 pgカラム(Amersham Biosciences)に添加し、高いL-アラビノース 1-脱水素酵素活性を含むフラクションのみを集め(分画6)、限外濾過で濃縮した後同じカラムに添加した。高いL-アラビノース 1-脱水素酵素活性を含むフラクションをSDS-PAGEで解析し単一の酵素のみを含むフラクションを集め濃縮し精製酵素とした(分画7)。
(4)酵素反応生成物の同定
精製酵素10μgを10mM L-アラビノースと10mM NAD(P)+を含む100mM Tris-HClバッファー(1ml)中で30℃で30分間インキュベートし、そのうち100μlをAminex HPX-87H Organic Analysis column (Bio-Rad社)に添加した。バッファーは5mM H2SO4を用い、流速0.6ml/minで行った。生成物の同定は、化学合成したL-アラビノラクトンに対して行った。L-アラビノラクトンは、L-アラボネート K+ 塩を0.2M HCl中で5分間ボイルすることで得た。L-アラボネート K+ 塩は、Moore, S., and Link, K.P. (1940) J. Biol. Chem. 133, 293-311の方法に従いL-アラビノースから合成した。
<結果と考察>
A. brasilienseをL-アラビノースを炭素源として培養したとき、無細胞抽出液中にL-アラビノースをNAD(P)+依存的に酸化する酵素活性が見られた。この活性に相当する酵素は、硫酸アンモニウム分画と5回のクロマトグラフィーによって電気泳動的に単一に精製された(図2A)。収率は12%、最終的な比活性は44ユニット/mg タンパク質であった(表1)。精製の過程で活性におけるNADP+/NAD+の比はほぼ一定であり、本酵素以外に主要なアイソザイムはないことが示された。本酵素は、分子量は約36kDaの単量体であった。精製酵素を用いた酵素反応の分析の結果、主要反応生成物はL-アラビノラクトンと同定され(図3)、本酵素が新規L-アラビノース代謝経路の最初の反応を触媒するL-アラビノース 1-脱水素酵素と結論付けた。本酵素のNADP+を補酵素として用いたときのL-アラビノースに対する比活性は44.9 ユニット/mg タンパク質、カイネテック・パラメーターはKm = 0.255mM、kcat = 2000min-1であった。
実施例2 L-アラビノース 1-脱水素酵素遺伝子の同定
(1)N-末端および内部アミノ酸配列の決定
精製酵素をSDS-PAGEで分離後、PVDF膜にエレクトロブロットした。染色した後、バンドを切り出しプロテイン・シークエンサーによって25残基分のN-末端アミノ酸配列を決定した。内部配列を決定するために、精製酵素100μgを0.1%(w/v)のシアン化臭素(BrCN)を含む70%(v/v)の蟻酸中で化学的に切断した。凍結乾燥したサンプルをSDS-PAGEで分離後PVDF膜にブロッティングし、未切断のものを除く2つのバンド(図2BのFragment IとII)の25残基分のアミノ酸配列を決定した。
(2)L-アラビノース 1-脱水素酵素遺伝子の部分的DNA断片の増幅
決定したN-末端アミノ酸配列である(M)SDQVSLGVと内部配列である(M)LEKPPGATをもとに、8種類のU1U8プライマー
5'-ATGTCNGAYCARGTNTCNCTNGGNGT-3' (26量体)(配列番号15)
5'-ATGTCNGAYCARGTNTCNTTRGGNGT-3' (26量体)(配列番号16)
5'-ATGTCNGAYCARGTNAGYCTNGGNGT-3' (26量体)(配列番号17)
5'-ATGTCNGAYCARGTNAGYTTRGGNGT-3' (26量体)(配列番号18)
5'-ATGAGYGAYCARGTNTCNCTNGGNGT-3' (26量体)(配列番号19)
5'-ATGAGYGAYCARGTNTCNTTRGGNGT-3' (26量体)(配列番号20)
5'-ATGAGYGAYCARGTNAGYCTNGGNGT-3' (26量体)(配列番号21)
5'-ATGAGYGAYCARGTNAGYTTRGGNGT-3' (26量体)(配列番号22)
と、2種類のD1、D2プライマー
5'-GTNGCNCCNGGNGGYTTYTCNAGCAT-3' (26量体)(配列番号23)
5'-GTNGCNCCNGGNGGYTTYTCYAACAT-3' (26量体)(配列番号24)
を設計した。PCRは、EX-taq DNAポリメラーゼ(TaKaRa社)を用いて行われた。10pmolの各プライマーと100ngのA. brasilienseゲノムDNAを使い、変性を98℃で10秒間、アニーリングを50℃で30秒間、伸長反応を72℃で30秒間を30サイクル行った。得られた約300bpのDNA断片をプラスミドpGEM-Tに導入し、これをpGEM1と名付けた。
(3)L-アラビノース 1-脱水素酵素遺伝子の全長の単離
pGEM1に導入したDNA断片をプローブとして用いたサザンハイブリダイゼーションの結果、L-アラビノース 1-脱水素酵素遺伝子は約2kbpの長さを持つ制限酵素NotIのゲノム断片上にあることが示された。そこで、NotIで切断したA. brasilienseゲノムDNAをアガロース・ゲルで分離したあと、約2kbpの断片のみを精製しプラスミドpBluescript KS(-)のNotI制限酵素切断部位に導入し大腸菌に形質転換して、部分的なゲノムライブラリーを作製した。コロニー・ハイブリダイゼーションによってL-アラビノース 1-脱水素酵素遺伝子を含むゲノム断片の入ったpBluescript KS(-)を単離し(pBS1)、シーケンスによって本遺伝子全長とその近傍のヌクレオチド配列(1805bp)(配列番号1)を決定した(図4)。
<結果と考察>
BrCNで切断して得られた2つのペプチド断片(図2B)のうち、Fragment Iの配列はN-末端の配列と同じであった。一方、Fragment IIの配列はそれとは全く異なっておりこれが内部配列に相当することが分かった。これをもとに遺伝子の上流(U1-U8)と下流(D1、D2)に対するプライマーを設計し、ゲノミックPCRを行い単一の増幅断片を得た。シーケンスの結果、推定されるアミノ酸配列は数種類の既知の糖脱水素酵素の一部と相同性を示したので、本断片はL-アラビノース 1-脱水素酵素遺伝子の一部であろうと推定された。サザン・バイブリダイゼーションは本遺伝子がゲノム上に1つしか存在しないことを示唆したので、プラスミドベクターを用いた部分的ゲノムライブラリーの中からL-アラビノース 1-脱水素酵素遺伝子の全長を含むゲノム断片を単離し、遺伝子配列を決定した(図4)(配列番号1)。推定されるアミノ酸配列は、精製酵素から決定したN-末端および内部配列と全く同一の配列を含んでおり(図4の下線を付したアミノ酸配列)、本遺伝子が精製酵素をコードしていることが強く示唆された。
実施例3 大腸菌を用いた組換え酵素の発現
(1)プラスミドの構築
L-アラビノース 1-脱水素酵素遺伝子の5'末端にBglII切断部位、3'末端にPstI切断部位を導入するために、図3に示したように2つのプライマー、
5'-caccatagatctGATCAGGTTTCGCTGGGTG-3' (31量体)(配列番号25)
5'-gcttggctgcagTCAGCGGCCGAACGCGTCG-3' (31量体)(配列番号26)
を準備し、pBS1プラスミドを用いてPCRを行った。ここで、上記プライマーの小文字の部位は付加的した塩基配列、下線部はそれぞれBglIIとPstIの切断部位を示す。増幅したDNA断片は、BglIIとPstIで切断した後、BamHIとPstIで処理したプラスミドpQE80-L (Qiagen)に導入した。このプラスミドは、アミノ酸末端に6個のヒスチジンタグを付けてタンパク質を発現させることができる。
(2)ヒスチジンタグのついたL-アラビノース 1-脱水素酵素の発現と精製
L-アラビノース 1-脱水素酵素遺伝子を含むプラスミドを導入した大腸菌DH5αを、50mg/lのアンピシリンを含むSuper broth (1リットル当たり12g ペプトン、24g イースト・エクストラクト、5ml グリセロール、3.81g KH2PO4、12.5g K2HPO4、pH7.0)を用いて、37℃で600nmの吸光度0.6まで培養した。その後、L-アラビノース 1-脱水素酵素を発現誘導するために、最終濃度1mMになるようにイソプロピル-β-D-チオガラクトピラノシド (IPTG)を添加しさらに6時間培養を続けた。培養終了後に遠心分離で集菌し、少量のバッファーC (2mM MgCl2、0.3M NaCl、1mM L-アラビノース、10mM 2-メルカプトエタノール、10mM イミダゾールを含む50mM リン酸ナトリウムバッファー、pH8.0) に懸濁した。超音波処理により破砕したのち遠心し、その上澄みをバッファーCで平衡化したNi-NTA spin column (Qiagen)に添加した。バッファーD (10% (v/v) グリセロールを含み、10mM イミダゾールの代わりに50mM イミダゾールを含むバッファーC) で3回洗浄したのち、酵素はバッファーE (50mM イミダゾールの代わりに250mM イミダゾールを含むバッファーD)で溶出させた。
(3)ウエスタン・ブロッティング
精製組換え酵素は、SDS-PAGEで分画した後ニトロセルロース膜にエレクトロブロットされた。ウエスタン・ブロッティングは、ECLTM Western Blotting Analysis System (Amersham Biosciences)と RGS・His HRP 抗体 (組換え酵素のN-末端に付加されたArg-Gly-Ser-(His)6配列に対するモノクローナル抗体、Qiagen)を用いた。
<結果と考察>
単離した遺伝子から実際にL-アラビノース 1-脱水素酵素が作られるかを確かめるために、組換え酵素発現用のプラスミドの構築を行った。組換え酵素は、N-末端に6つのヒスチジン・タグのついた形で大腸菌で発現させ、ニッケル・アフィニティーカラムで電気泳動的に単一に精製された(図2C)。ウエスタン・ブロッティングは、実際にL-アラビノース 1-脱水素酵素のN-末端にヒスチジンタグが付加されていることを示した(図2C)。これによって、組換え酵素の分子量は天然精製酵素に比べて若干大きくなった。この組換え酵素は、天然精製酵素と同様にNADP+に対してより高い活性を示し、L-アラビノースに対する比活性(32 ユニット/mg タンパク質)とKm (0.26mM)、kcat (989min-1)の値も類似していた。これらの結果は、単離した遺伝子が間違いなくL-アラビノース 1-脱水素酵素をコードしていることを示した。この遺伝子をAraAと名付けた。
実施例4 細菌のL-アラビノース代謝に関わる新規オペロンの同定
(1)AraA遺伝子周辺のヌクレオチド配列の解析
実施例2-(3)で単離した1,805bpのA. brasilienseゲノムDNAのNotI-NotI断片のヌクレオチド配列を、ジーン・バンクに登録されている塩基配列に対して相同性検索を行った。その結果、ブルクホルデリアセパシア株(Burkholderia cepacia strain)R18149のゲノムDNA配列の一部と高い相同性(91%)を示した。この菌は既にゲノム・プロジェクトが終了しており、推定される遺伝子の機能の同定も行われている。そこで、B. cepaciaのゲノムDNAにおけるAraA遺伝子近傍を見てみると、AraA遺伝子のホモログを含め計8個の遺伝子クラスターが存在することが分かった(図5)。本菌のL-アラビノース代謝に関しては報告がないが、おそらくA. brasilienseと同様の新規経路1(あるいは2)を持つことが予想される。また、これらの遺伝子はAraA遺伝子同様にL-アラビノースの新規経路に含まれる酵素をコードしている可能性が示唆された。
(2)A. brasilienseのL-アラビノース・オペロン全長の単離
A. brasilienseとB. cepaciaのL-アラビノース・オペロンのヌクレオチド配列はよく似ていることが予想されるので、A. brasilienseゲノムDNAのNotI-NotI断片の上流と下流の塩基配列を決定するためにB. cepaciaの配列を参考に4つのプライマーを設計した。上流についてはUP-SとUP-AS、下流についてはDOWN-SとDOWN-ASをプライマーとして用い、A. brasilienseゲノムDNAを鋳型としてPCRを行いそれぞれ約3.5kbpと4.3kbpの増幅産物を得た。それぞれをpGEM-Tベクターに組み込み、pGEM2、pGEM3と名付けた(図5)。導入したDNA断片のシーケンスを行い、実施例2-(3)でpBS1に導入されたNotI-NotI断片の配列と組み合わせてA. brasilienseのL-アラビノース・オペロンのほぼ全長のヌクレオチド配列とした(8679bp、図5と図7)(配列番号5)。この中にはB. cepacia同様8個の遺伝子が含まれており、それぞれの遺伝子をそれぞれ便宜的に図5のように名付けた。以下にこの実験に用いたプライマーの塩基配列を示す。
UP-S: 5'-TTCGACGCGGCCGGCTGCGTCATGTTCAGCGCGGCCGCCGCGCG-3' (44量体)(配列番号27)
UP-AS: 5'-CGCGCGTGTCCGGATGCAGTTCCGGCATCGGATGCCGCGGCCGC-3' (44量体)(配列番号28)
DOWN-S: 5'-CGGATCACGAACTACGAGCTGCCGACCGCG-3' (30量体)(配列番号29)
DOWN-AS:5'-TCAGCCGCGCGGCGTCCCCGCAAACCGCGCCGTCGCCATCCCCGC-3' (45量体)(配列番号30)
(3)AraB、AraC、AraD遺伝子の機能の推定
・AraB遺伝子 (図5)
推定されるアミノ酸配列は、チモモナスモビリス(Zymomonas mobilis)由来のグルコノラクトナーゼと弱い相同性を示す(25%)。グルコノラクトナーゼはD-グルコノラクトン→D-グルコネートの加水開環反応を触媒するが、これはL-アラビノラクトナーゼと相同な反応である。そこで、AraB遺伝子はL-アラビノラクトナーゼとして機能すると推定した。
・AraC遺伝子 (図5)
推定されるアミノ酸配列は、ジヒドロキシ酸脱水酵素と6-ホスホグルコネート脱水酵素からなるILVD/EDD脱水酵素プロテイン・ファミリーの酵素と相同性がある(例えば、大腸菌の6-ホスホグルコネート脱水酵素と28%の相同性)。6-ホスホグルコネート脱水酵素は、Entner-Doudoroff経路の中で6-ホスホグルコネート→2-デヒドロ-3-デオキシ-6-ホスホ-D-グルコネートの脱水反応を触媒するが、これはL-アラボネート脱水酵素と相同な反応である。そこで、AraC遺伝子はL-アラボネート 脱水酵素として機能すると推定した。
・AraD遺伝子 (図5)
推定されるアミノ酸配列は、本酵素がDHDPS/NALプロテイン・ファミリーに属することを示唆した。このファミリーに含まれる酵素の反応の特徴はアルドール開裂によってピルビン酸とアルデヒドが生ずることであるが、この反応は新規L-アラビノース経路2に含まれるL-KDA アルドラーゼと相同である(図1C)。このことから、本遺伝子はL-KDA 脱水酵素の第一候補であるにも関わらずアミノ酸配列からはむしろL-KDA アルドラーゼである可能性を示唆される、という興味深い結果が得られた。
実施例5 A. brasilienseのαKGSA 脱水素酵素の同定
(1)初期的な解析
Burkholderia cepacia strain R18149と近縁な関係にあるブルクホルデリアチアイラデンシス(Burkholderia thiailandensis)のゲノムDNAのドラフト配列が最近公開された。これによると、この菌もL-アラビノース・オペロンを持つが、それを構成する遺伝子の中にB. cepaciaにはない付加的な遺伝子が1つ含まれている(図5)。推定されるアミノ酸配列はアルデヒド脱水素酵素と相同性を示すので、この遺伝子がαKGSA 脱水素酵素に対応すると考えられる。この遺伝子をAraEと名付けた。A. brasilienseのL-アラビノース・オペロンにもまたAraE遺伝子に相当する遺伝子はないので、本酵素はL-アラビノース 1-脱水素酵素同様に、独立に精製して遺伝子を単離する必要があった。
(2)αKGSA 脱水素酵素の精製
・無細胞抽出液の調整
A. brasilienseの菌体は、実施例1-(1)と同様に得た。遠心で回収した菌体は、バッファーA' (1 mM EDTA、10mM 2-メルカプトエタノールを含む20mMリン酸カリウムバッファー、pH7.5)に懸濁した。超音波処理により破砕した後、4℃で20分間、105000×gで遠心し無細胞抽出液を得た(分画1)。
・酵素活性測定
αKGSA 脱水素酵素の活性測定は、反応溶液として10mM 2-メルカプトエタノールと1mM EDTA、1.5mM NAD(P)+を含む66.7mM リン酸カリウムバッファー(pH7.2)を用い、25℃で行うこと以外は実施例1-(2)に準じた。基質としては、精製過程では10mM グルタルアルデヒド、最終的には100μM αKGSAを用いた。
・陽イオン交換クロマトグラフィー
以下に行う全てのクロマトグラフィーは、AKTA purifier systemを用いて4℃で行った。分画1は、バッファーA'で平衡化されたHiPrep 16/10 Q FFカラムに添加され、同じバッファーで洗浄した。その後、バッファーAの中の0-1M NaCl勾配によってタンパク質を溶出した。高いαKGSA 脱水素酵素活性を含むフラクションを集め、バッファーB' (10mM 2-メルカプトエタノールと1mM EDTAを含む5mMリン酸カリウムバッファー、pH7.5)に対して4℃で一晩透析した(分画2)。
・ヒドロキシアパタイト・クロマトグラフィー
分画2は、バッファーB'で平衡化されたCHT Ceramic ヒドロキシアパタイト Type I カラムに添加され、同じバッファーで洗浄した。その後、バッファーB'の中の0.005-0.2M PO4 2-勾配によってタンパク質を溶出した。高いαKGSA 脱水素酵素活性を含むフラクションを集め、Centriplus YM-30を用いて 18,000 × g で約2時間限外濾過した(分画3)。
・ゲル濾過クロマトグラフィー
分画3をバッファーA'で平衡化されたHiLoad 16/60 Superdex 200 pgカラムに添加し、高いαKGSA 脱水素酵素活性を含むフラクションを集め、1.3M (NH4)2SO4を含むバッファーA'に4℃で一晩透析した(分画4)。
・疎水性クロマトグラフィー
分画4は、1.3M (NH4)2SO4を含むバッファーA'で平衡化されたHiPrep 16/10 Butyl FFカラムに添加され、同じバッファーで洗浄した。その後、バッファーA'の中の1.3-0M (NH4)2SO4逆勾配によってタンパク質を溶出した。高いαKGSA 脱水素酵素活性を含むフラクションを集め濃縮し、バッファーA'に4℃で一晩透析した(分画5)。
・ネイティブ-PAGE
分画5の酵素100μgをネイティブ-PAGEで分離後、Zymogram染色液 (10mM 2-メルカプトエタノール、1mM EDTA、10mM グルタルアルデヒド、1.5mM NAD(P)+、0.25mM ニトロブルー テトラゾリウム、0.06mM フェナジンメトスルフェートを含む66.7mMリン酸カリウムバッファー、pH7.2) に浸し、室温で15分間放置した。αKGSA 脱水素酵素活性に相当する染色されたゲルバンドを切り出し、ゲル内からペプチドを精製して分画5としSDS-PAGEで分析した。
(3)αKGSA 脱水素酵素遺伝子の同定
・N-末端および内部アミノ酸配列の決定
分画5に含まれるペプチドのN-末端および内部アミノ酸配列の決定は、実施例2-(1)に準じて行った。内部配列は、BrCN切断で生じた主な4種類のペプチドについて決定した。
・遺伝子の単離
AraE-UP、AraE-DOWNプライマーを用いてA. brasilienseゲノムDNAを鋳型としてPCRを行い、約1450bpの増幅産物を得た(図5)。これをプラスミドpGEM-Tに導入しpGEM4と名付けた。以下にこの実験に用いたプライマーの塩基配列を示す。
AraE-UP1: 5'-ATGGCTAACGTGACTTATACGGATACGCAACTGCTGATCGACGG-3' (44量体)(配列番号31)
AraE-DOWN1: 5'-TCAGACGGCCATCACCGTCACCGACTTCGTGACGAGGTACGG-3' (42量体)(配列番号32)
<結果と考察>
A. brasilienseからのαKGSA脱水素酵素の精製の結果を表2に示す。
αKGSAの化学合成法はいくつか報告されているが、いずれの方法も複雑で再現することは難しい。精製の報告があるαKGSA 脱水素酵素はグルタルアルデヒドに対して中程度の活性を示すことが知られているので、A. brasilienseからのαKGSA 脱水素酵素の精製にはグルタルアルデヒドを基質として用いた。A. brasilienseをL-アラビノースを炭素源として培養したとき、無細胞抽出液中にグルタルアルデヒドをNAD(P)+依存的に酸化する酵素活性が見られた。NAD+依存的活性はNADP+に比べて3倍程度高かったので、以下精製には補酵素としてNAD+を用いた。この活性に相当する酵素は、4回のクロマトグラフィーによって比活性7.24 ユニット/mg タンパク質まで精製された(表2の分画5)。しかしこの中にはいくつかのタンパク質が共存していたので(図6の分画5)、ゲル内染色によって脱水素活性を持つ酵素を探索したところ、分画4の主要な50kDaの分子量を持つ酵素がこれに当たることが分かった(図6の分画5の▲のバンド)。
本酵素のN-末端アミノ酸配列は(M)ANVTYTDTQLLIDGEWVDAASXKXI (Xは未同定)(配列番号33)であり、ジーン・バンクに登録されているタンパク質のうちB. cepaciaのアルデヒド脱水素酵素(登録番号ZP_00215432)のN-末端アミノ酸配列と完全に一致した。また、決定した4種類の内部アミノ酸配列は以下のようである。
Fragment I : (Met)-Ala-Asn-VaL-Thr-Tyr (N-末端配列と同一)(配列番号34)
Fragment II : (Met)-Thr-Gln-Glu-Gln-Gly(配列番号35)
Fragment III : (Met)-Glu-Leu-Gly-Gly-His(配列番号36)
Fragment IV : (Met)-Ala-Ser-VaL-Ile-Asp(配列番号37)
このうち、Fragment II、III、IVと極めてよく似た内部配列をB. cepaciaのアルデヒド脱水素酵素も含んでいた。これらのことは、A. brasilienseのαKGSA 脱水素酵素はこの酵素と極めて相同な配列を持つことが強く示唆された。そこで、B. cepaciaのアルデヒド脱水素酵素遺伝子の5'-および3'-末端の塩基配列からプライマーを設計し、A. brasilienseのゲノムDNAを鋳型にゲノミックPCRを行ったところ、B. cepaciaのアルデヒド脱水素酵素遺伝子とほぼ同じ長さをもつ単一のDNA断片の増幅をみた。シーケンスの結果(図8)(配列番号13、14)、このDNA断片は単一のオープン・リーディング・フレームをコードしており、推定されるアミノ酸配列(配列番号14)はB. cepaciaのアルデヒド脱水素酵素と極めて高い相同性を示した(97%)。また、精製酵素から決定した3つの内部配列と完全に同一な配列を含んでいた(図8の下線部の配列)。この遺伝子をAraE(配列番号13)と名付けた。
(4)AraR、AraX、AraY、AraZ遺伝子について
本発明ではこの4つの遺伝子に関する実験例は含まないが、それぞれのアミノ酸配列の解析から以下のような推測をすることが可能である。まず、AraRは典型的なDNA結合モチーフ(ヘリックス・ターン・へリックス)を持ち、LysRタイプの転写因子と相同性を示す。この遺伝子がL-アラビノース・オペロンの最も上流にあることも考えると、AraRはオペロンの転写制御因子である可能性が高い。
AraX、AraY、AraZは、既知のABCタイプの糖トランスポータータンパク質、特にL-アラビノース・トランスポーターと高い相同性がある。一般にこのタイプのトランスポーターは、細胞質内基質結合タンパク質(periplasmic substrate-binding protein)、ATP分解酵素(ATPase)、膜貫通タンパク質(permease)からなっており、AraX、AraY、AraZはそれぞれこれら3つに対応していると思われる。
実施例6 AraB、AraC、AraD、AraE遺伝子の大腸菌内での発現と組換え酵素の精製
(1)プラスミドの構築
AraB、AraC、AraD、AraE遺伝子の5'末端、3'末端に、それぞれBamHI-PstI、BamHI-KpnI、BglII-PstI、BamHI-PstIの制限酵素部位を導入するために、プライマーの設計を行った。小文字の部位は付加的した塩基配列、下線部は制限酵素の切断部位を示す。
AraB-UP: 5'-caccatggatccCAACAGATTCATCCGGCCGGGCAGGCGACGCTGCTGGC-3'(配列番号38)
AraB-DOWN: 5'-gcttggctgcagTCAGCCGCGCGGCGTCCCCGCAAACCGCGCCGTCGCC-3'(配列番号39)
AraC-UP: 5'-caccatggatccTCGGCAACGAAACCCAGGCTGCGCTCTACCCAATGG-3'(配列番号40)
AraC-DOWN: 5'-acccggggtacctcaatgcgaatggctcggcacttcagcgccgcgcgtgccg-3'(配列番号41)
AraD-UP: 5'-caccatagatctACATCGAGCAGCACGCCGCGCCATCGC-3'(配列番号42)
AraD-DOWN: 5'-gcttggctgcagTCAGTGCGCCCAGCGCAGCACGAGCGG-3'(配列番号43)
AraE-UP2: 5'-caccatggatccGCTAACGTGACTTATACGGATACGCAACTGCTGATCGACGG-3'(配列番号44)
AraE-DOWN2:5'-gcttggctgcagTCAGACGGCCATCACCGTCACCGACTTCGTGACGAGGTACGG-3'(配列番号45)
全ての遺伝子はA. brasilienseのゲノムDNAを鋳型にゲノミックPCRで増幅、制限酵素処理されたあとで、pQE80-Lの適切な制限酵素部位(AraB、AraD、AraEはBamHI-PstI部位、AraCはBamHI-KpnI部位)に導入された。
(2)ヒスチジンタグのついたAraB、AraC、AraD、AraEの発現と精製
形質転換した大腸菌の培養および組換え酵素の発現、精製は、基本的には実施例3-(2)に従った。ただし、精製の際に用いるバッファーのpHと添加物は各タンパク質によって多少異なっている。
<結果と考察>
AraB、AraC、AraD、AraEタンパク質は、AraAと同様にN-末端にヒスチジン・タグの付いた形で大腸菌で発現させ電気泳動的に単一に精製された(図9A)。それぞれのサブユニットの分子量は、アミノ酸配列から計算された理論値とほぼ一致した(AraB: 41300Da/33555.0Da、AraC: 610000Da/62228.53Da、AraD: 370000Da/35022.47Da、AraE: 520000Da/52097.7Da) (前者はSDS-PAGEの分子量マーカーから計算した分子量、後者は理論値)。実施例3-(3)と同じウエスタン・ブロッティングの結果、各タンパク質にヒスチジン・タグが付加されていることが確認された(図9B)。
実施例7 L-アラビノラクトナーゼとしてのAraBタンパク質の同定
以下、全ての酵素反応生成物の分析は、実施例1-(4)に準じたHPLCによって行った。 実施例1-(2)で精製した組換えAraAタンパク質(0.3μM)を1mM MgCl2、10mM L-アラビノース、10mM NADP+を含む 20mMリン酸カリウムバッファー(pH7.2)で30oC、1.5時間インキュベートしてもL-アラボネート形成はほとんど観察できない(図10A)。一方、同じ条件でAraBタンパク質(0.3μM)を共存させると、有意なL-アラボネート形成が見られた(図10B)。このことは、AraBタンパク質がL-アラビノラクトン→L-アラボネートの加水開環反応を触媒するL-アラビノラクトナーゼであることを示している。
実施例8 L-アラボネート脱水酵素としてのAraCタンパク質の同定
出発物質であるL-アラボネートは、カリウム塩として実施例1-(4)の方法で化学合成した。AraCタンパク質(1.3μM)を、10mM L-アラボネート、10mM MgCl2を含む50mM HEPESバッファー(pH7.2)の中で30℃でインキュベートすると、反応時間の経過に従って酵素反応生成物に対応すると思われる新たなピークが現れた(図10C)。便宜的にこの生成物をProduct Iとするが、以降に示す実験結果から見てこれがL-KDAであることはほぼ間違いない。
L-アラボネート脱水酵素の活性は、生成されるα-ケト酸を190nmの波長で30℃で分光学的に検出した。反応溶液として10mM L-アラボネート、10mM MgCl2を含む50mM HEPESバッファー(pH7.2)を用いた。AraCタンパク質は、L-アラボネートに対して比活性126 ユニット/mg タンパク質、Km = 34.5mM、kcat = 213 s-1 の値を示した。
実施例9 L-KDA 脱水酵素としてのAraDタンパク質の同定
実施例4-(3)で示したように、AraDタンパク質のアミノ酸配列からは本酵素がL-KDA 脱水酵素よりむしろL-KDA アルドラーゼではないかと推測された。もし前者であれば酵素反応によってαKGSAのみができるし、後者であればピルビン酸とグリコールアルデヒドの2つが生じる。そこで、実施例8で完全に反応が終了した溶液に対してAraDタンパク質(3.2μM)を加え、さらに30℃でインキュベートした。その結果、時間経過に伴って溶出時間約10分の位置に単一の生成物に由来すると思われる新たなピークが生じた(図10D)。一方、ピルビン酸とグリコールアルデヒドの溶出時間はそれぞれ10.2分と12.4分であり、このことはAraDタンパク質が少なくともL-KDA アルドラーゼ活性は持たないことを示す。酵素反応生成物を便宜的にProduct IIとするが、以降に示す実験結果から見てこれがαKGSAであることはほぼ間違いない。
L-KDA 脱水酵素の活性は、生成されたαKGSAをαKGSA 脱水素酵素による酸化に伴うNAD(P)Hの特異的な340nmの吸収度の増加を分光学的にモニターすることによって行った。ここで用いるαKGSA 脱水素酵素はA. brasilienseからグルタルアルデヒド脱水素酵素として精製したAraEタンパク質であるが、次の実施例10で示すようにこの酵素はαKGSA 脱水素酵素であることが証明された。反応溶液として10mM 2-メルカプトエタノール、1mM EDTA、100μM L-KDA、1.5mM NAD+、0.0083ユニットの精製した組換えAraEタンパク質を含む66.7mM リン酸カリウムバッファー(pH7.2)を用いた。反応温度は25℃、酵素反応はL-KDAを加えることで開始した。AraDタンパク質は、L-KDAに対して比活性33.3 ユニット/mg タンパク質、Km = 54.7μM、kcat = 22.1 s-1 の値を示した。
実施例10 αKGSA 脱水素酵素としてのAraEタンパク質の同定
実施例8、9で示したように、化学合成されたL-アラボネートからAraC、AraDを用いた酵素学的変換によってαKGSAを得ることが出来た。そこで、これを用いて実施例5-(2)の酵素活性測定の項で用いたグルタルアルデヒドの替わりに、精製したαKGSA (100μM)を基質として用いて組換えAraEタンパク質の脱水素酵素活性を測定した。αKGSAに対する比活性は42.5 ユニット/mg タンパク質であり、これはグルタルアルデヒドに比べて3倍以上高かった。次に、それぞれの基質に対する代謝効率(kcat/Km)を測定した。αKGSAのkcat/Kmは4660 s-1・mM-1であり、グルタルアルデヒド(755 s-1・mM-1)に比べて6倍高かった。さらに、AraEタンパク質(0.2μM)を10mM 2-メルカプトエタノール、1mM EDTA、10mM αKGSA、10mM NAD+を含む66.7mM リン酸カリウムバッファー(pH7.2)中で30℃でインキュベートすると、酵素反応生成物に由来する新たなピークがHPLC分析で見られた(図10Eの上段)。この物質の溶出様式はα−ケトグルタル酸と一致した(図10Eの下段)。これらの結果は、AraEタンパク質がαKGSAをNAD+依存的に酸化してα−ケトグルタル酸を生成するαKGSA 脱水素酵素であることを示している。
既知の細菌によるL-アラビノース代謝経路を示す。 既知の真菌によるL-アラビノース代謝経路を示す。 新規な細菌によるL-アラビノース代謝経路を示す。 L-アラビノース 1-脱水素酵素精製のSDS-PAGEを示す。分画1、2は50μg、分画3〜7は10μgのタンパク質を12%ゲルを用いて泳動した。Mは分子量マーカーである。 BrCNで切断したL-アラビノース 1-脱水素酵素のSDS-PAGEを示す。5μgのタンパク質を、18%ゲルを用いて泳動した。Mは分子量マーカーである。Fragment I、IIのN-末端アミノ酸配列を決定した。 L-アラビノース 1-脱水素酵素及びヒスチジン・タグがN-末端に付加されたL-アラビノース 1-脱水素酵素の組換え体のSDS-PAGEとウエスタン・ブロッティングを示す。SDS-PAGEでは5μg、ウエスタン・ブロッティングでは1μgのタンパク質を12%ゲルで泳動した。Mは分子量マーカーである。 L-アラビノース 1-脱水素酵素の反応生成物のHPLCによる分析結果を示す。各ピークの数字は溶出時間を示す。A. 10mM L-アラビノース(100μl)の溶出カーブ。B. 10mM L-アラビノラクトン (100μl)の溶出カーブ。C. 10mM L-アラボネート (100μl)の溶出カーブ。D. L-アラビノース 1-脱水素酵素による反応後の溶液(100μl)の溶出カーブ。 L-アラビノース 1-脱水素酵素遺伝子を含む1805bpのA. brasilienseゲノムDNA断片の塩基配列を示す。下線部はNotI制限酵素切断部位、推定されるL-アラビノース 1-脱水素酵素のアミノ酸配列は塩基配列の下に示した。下線を付した部分は、精製酵素から直接決定したアミノ酸配列である。 A. brasiliense、B. cepacia R18149 (上段)とB. thiailandensis (下段)のL-アラビノース・オペロンの模式図である。同じ符号の遺伝子は互いに相同である。 αKGSA 脱水素酵素精製のSDS-PAGEを示す。分画1は50μg、分画2〜5は10μgのタンパク質を10%ゲルを用いて泳動した。Mは分子量マーカーである。▲のついたペプチド・バンドがαKGSA 脱水素酵素に相当する。 A. brasilienseのL-アラビノースオペロンの塩基配列を示す。この配列は、図5のpGEM2、pBS1 (図4)、pGEM3の塩基配列を連結して決定した。各遺伝子の推定されるアミノ酸配列は塩基配列の下に示した。下線を付した部分は以下のアミノ酸配列を示す。実線:AraR、短波線:AraC、一点鎖線:AraD、長波線:AraA、長二点鎖線:AraX、点線:AraY、長一点鎖線:AraZ、二点鎖線:AraB αKGSA 脱水素酵素遺伝子の塩基配列を示す。下線を付した部分は、精製酵素から直接決定したアミノ酸配列である。 ヒスチジン・タグがN-末端に付加された組換え(AraA)、AraB、AraC、AraD、AraEタンパク質のSDS-PAGE(A)とウエスタン・ブロッティング(B)を示す。SDS-PAGEでは5μg、ウエスタン・ブロッティングでは1μgのタンパク質を10%ゲルで泳動した。Mは分子量マーカーである。 AraAタンパク質の酵素反応生成物のHPLC分析結果、すなわち、AraAタンパク質によるL-アラビノース→L-アラビノラクトンの変換反応生成物の溶出カーブを示す。 AraBタンパク質の酵素反応生成物のHPLC分析結果、すなわち、AraBタンパク質によるL-アラビノラクトン→L-アラボネートの変換反応生成物の溶出カーブを示す。 AraCタンパク質の酵素反応生成物のHPLC分析結果、すなわち、AraCタンパク質によるL-アラボネート→L-KDAの変換反応生成物の溶出カーブを示す。 AraDタンパク質の酵素反応生成物のHPLC分析結果、すなわち、AraDタンパク質によるL-KDA→αKGSAの変換反応生成物の溶出カーブを示す。 AraEタンパク質の酵素反応生成物のHPLC分析結果、すなわち、上段は、AraEタンパク質によるαKGSA→α−ケトグルタル酸への変換反応生成物の溶出カーブ、下段はα−ケトグルタル酸の溶出カーブを示す。

Claims (20)

  1. 以下の工程を含むL-アラビノースをα−ケトグルタル酸に変換する方法。
    (A)L-アラビノースをL-アラビノ−γ−ラクトンに変換する工程、
    (B)L-アラビノ−γ−ラクトンをL-アラボネートに変換する工程、
    (C)L-アラボネートをL-2−ケト−3−デオキシアラボネートに変換する工程、
    (D)L-2−ケト−3−デオキシアラボネートをα−ケトグルタル酸セミアルデヒドに変換する工程、及び
    (E)α−ケトグルタル酸セミアルデヒドをα−ケトグルタル酸に変換する工程。
  2. 以下の工程を含むL-アラビノースをグリコールアルデヒドに変換する方法。
    (A)L-アラビノースをL-アラビノ−γ−ラクトンに変換する工程、
    (B)L-アラビノ−γ−ラクトンをL-アラボネートに変換する工程、
    (C)L-アラボネートをL-2−ケト−3−デオキシアラボネートに変換する工程、
    (F)L-2−ケト−3−デオキシアラボネートをピルビン酸に変換する工程。
  3. L-アラビノースをL-アラビノ−γ−ラクトンに変換する工程を触媒する、L-アラビノース−1−脱水素酵素。
  4. L-アラビノ−γ−ラクトンをL-アラボネートに変換する工程を触媒する、L-アラビノラクトナーゼ。
  5. L-アラボネートをL-2−ケト−3−デオキシアラボネートに変換する工程を触媒する、L-アラボネート脱水酵素。
  6. L-2−ケト−3−デオキシアラボネートをα−ケトグルタル酸セミアルデヒドに変換する工程を触媒する、L-2−ケト−3−デオキシアラボネート脱水酵素。
  7. α−ケトグルタル酸セミアルデヒドをα−ケトグルタル酸に変換する工程を触媒する、α−ケトグルタル酸セミアルデヒド脱水素酵素。
  8. 請求項3記載の酵素をコードする遺伝子。
  9. 請求項4記載の酵素をコードする遺伝子。
  10. 請求項5記載の酵素をコードする遺伝子。
  11. 請求項6記載の酵素をコードする遺伝子。
  12. 請求項7記載の酵素をコードする遺伝子。
  13. 請求項8〜12記載の遺伝子のすべてを含むオペロン。
  14. 請求項8〜12記載の遺伝子の少なくとも1種を含むベクター。
  15. 請求項13記載のオペロンを含むベクター。
  16. 請求項14又は15記載のベクターにより形質転換された微生物。
  17. 微生物が酵母又は大腸菌である請求項18記載の微生物。
  18. 請求項16又は17記載の微生物を培養することを特徴とする請求項3〜7のいずれか1項記載の酵素の製造方法。
  19. 請求項18記載の方法により製造された酵素を使用することを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
  20. 請求項15記載のベクターにより形質転換された微生物を使用することを特徴とする請求項1記載の方法。
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