JP2009006336A - 超硬合金ワークロールを用いた熱間圧延方法 - Google Patents

超硬合金ワークロールを用いた熱間圧延方法 Download PDF

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Abstract

【要 約】
【課 題】圧延が進行しても板クラウン・形状制御能力を維持しつつ、被圧延材の板クラウン・形状に応じて被圧延材を圧延することが可能な超硬合金製のワークロールを用いた熱間圧延方法を提供する。
【解決手段】ロールバレルの外形が軸方向位置にて上下で互いに補完し合うイニシャルロールカーブで形成されている上下一対のワークロールに、超硬合金製スリーブ外層を有する複合ロールを用いる。
【選択図】図1

Description

本発明は、超硬合金製のワークロールを用いた熱間圧延方法に関する。
帯鋼などの被圧延材を圧延する際、板クラウン・形状を制御するため、次のような方法が採用されている。(1)イニシャルクラウンを上下一対のワークロールに予め付与しておく方法、(2)上下一対のワークロールを水平面内で互いにクロスさせる方法、(3)ワークロールをベンディング装置により曲げる方法、(4)上下一対のワークロールを互いに逆向きにロール軸方向に移動させる方法。
なかでも、上記(1)と(4)を組み合わせた方法、すなわちロールバレルの外形が軸方向位置にて上下で互いに補完し合うイニシャルロールカーブで形成されている上下一対のロールを用い、被圧延材を圧延する方法はCVCロール法と一般に称され、公知である(特許文献1,2,3)。
図1には、S字形状のイニシャルロールカーブ3、4が付与された上下一対のワークロール1、2を、ロールシフト装置により互いに逆向きにロール軸方向に移動させた場合のロールギャップgの形状修正作用を示した。なお、図1(a)には、ワークロール1、2の軸方向の移動距離、すなわちシフト量δ=0の場合のロールギャップgを、図1(b)には、シフト量δ>0の場合のロールギャップgを示した。図中、Bはロールバレル長、Lは圧下スクリュウ間距離、Wは被圧延材の幅を示す。
この場合、S字形状のイニシャルロールカーブ3、4が付与されたロールを4段圧延機の上下一対のワークロール1、2として用いたが、CVCロール法はワークロールに限らず、4段圧延機のバックアップロールあるいは6段圧延機の中間ロールにも適用できることが示されている(特許文献1)。また、軸方向位置にて上下で互いに補完し合うイニシャルロールカーブが、2次以下の項を含む3次関数曲線からなるものが特許文献2に、4次式以下の項を含む5次関数曲線からなるものが特許文献3に開示されている。
特許文献2に記載のCVCロール法によれば、シフト量δに応じてロールギャップgの形状を、負の2次曲線(左右対称な凹形状)から正の2次曲線(左右対称な凸形状)にまで修正可能である。また、特許文献3に記載のCVCロール法によれば、シフト量δに応じてロールギャップgの形状を、負の2次曲線から正の2次曲線にまで修正可能であるばかりでなく、左右対称な負の4次曲線から正の4次曲線まで修正可能である。
したがって、ロールバレルの外形が3次関数曲線よりも高次の5次関数曲線からなるイニシャルロールカーブで形成されたCVCロール法では、2次曲線的に変化するロールのたわみを補償できることに加えて、縁波形状や四半分波形状の2次曲線では補償できない形状不良も補償できる利点がある。
なお、上下一対のワークロール1、2を、互いに逆向きにロール軸方向に移動させるロールシフト設備は比較的簡易な設備である。また、ロールバレルの外形が軸方向位置にて上下で互いに補完し合うイニシャルロールカーブで形成されている上下一対のワークロールを用いたCVCロール法は、ロール凸部と凹部との直径差が大きいほど、シフト量δに対する被圧延材の板クラウン・形状能力が高いということが知られている。
ここで、熱間圧延の場合、さまざまな鋼種、板厚、板幅のサイクル構成に対応して被圧延材のクラウン・形状制御を行う必要がある。
特開昭57−091807号公報 特公平05−071322号公報 特公平07−102377号公報
しかし、熱間圧延では、圧延サイクル内で圧延の進行に伴いサーマルクラウンや異常磨耗が生じやすく、さまざまな鋼種、板厚、板幅に対応して被圧延材のクラウン・形状制御を行うことがなかなか難しい。すなわち、ロールバレルの外形が軸方向位置にて上下で互いに補完し合うイニシャルロールカーブで形成されている上下一対のワークロールに、ハイスロールを適用した場合、ロール軸方向に大きい直径差があると、ワークロールとバックアップロールとの間の接触圧力及びロール周速度の差も大きくなることから、ワークロールの直径が最大となる凸部頂上近傍で摩耗が大きくなるという、形態の異常摩耗が生じやすいという問題がある。このようにロールバレルの外形が2次以下の項を含む3次関数曲線からなるロールカーブに代表されるS字形状のイニシャルロールカーブで形成されている場合、圧延が進行して、ワークロールの直径が最大となる凸部頂上近傍の摩耗量が大きくなると、ワークロールのシフト量に対してロールギャップ形状の修正効果が小さくなり、被圧延材のクラウン・形状の制御能力が低下することにつながる。
本発明は、上記に鑑み、圧延が進行しても板クラウン・形状制御能力を維持しつつ、被圧延材の板クラウン・形状に応じて被圧延材を圧延することが可能な超硬合金製のワークロールを用いた熱間圧延方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、仕上圧延機を想定して分割モデルと呼ばれる一般的な手法により板クラウン・形状制御能力について鋭意検討した結果、ロールバレルの外形が2次以下の項を含む3次関数曲線からなるロールカーブに代表されるS字形状のイニシャルロールカーブで形成されている上下一対のワークロールに、超硬合金製スリーブ外層を有する複合ロールを用いれば、ハイスロールを適用した場合に比べて、圧延が進行しても板クラウン・形状制御能力を維持しつつ、被圧延材を圧延することができることを知見してなした。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
1.上下一対のワークロールを4重式の圧延スタンドに組み込み、互いに逆向きに軸方向に移動させ、ロールギャップの形状修正を行いつつ被圧延材を圧延する熱間圧延方法において、ロールバレルの外形が軸方向位置にて上下で互いに補完し合うイニシャルロールカーブで形成されている上下一対のワークロールに、超硬合金製スリーブ外層を有する複合ロールを用いることを特徴とする超硬合金製のワークロールを用いた熱間圧延方法。
2.前記超硬合金製スリーブ外層を有する複合ロールの最大直径と最小直径の差が0.2mm以上2mm以内であることを特徴とする請求項1に記載の熱間圧延方法。
3.前記超硬合金製スリーブ外層の厚みが複合ロールの最大直径の3%以上10%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の超硬合金製のワークロールを用いた熱間圧延方法。
4.前記超硬合金製スリーブ外層に、タングステンカーバイトにCoを20質量%、5質量%以下のNiを添加した超硬合金を用いた請求項1〜3のいずれかに記載の超硬合金製のワークロールを用いた熱間圧延方法。
ただし、ロールバレルの外形が軸方向位置にて上下で互いに補完し合うイニシャルロールカーブは、2次以下の項を含む3次関数曲線からなるもの(特許文献2に記載のもの)に限定されず、4次式以下の項を含む5次関数曲線からなるもの(特許文献3に記載のもの)も含むものとする。
本発明によれば、ロールバレルの外形が2次以下の項を含む3次関数曲線からなるロールカーブに代表されるS字形状のイニシャルロールカーブ、もしくはロールバレルの外形が4次式以下の項を含む5次の高次奇関数のイニシャルロールカーブで形成されている上下一対のワークロールに、硬合金製スリーブ外層を有する複合ロールを用いたので、圧延が進行してもクラウン・形状制御能力を維持しつつ、被圧延材を圧延することが可能な熱間圧延方法を実現することができる。
以下、圧延が進行しても板クラウン・形状制御能力を維持しつつ圧延することが可能な超硬合金製のワークロールを用いた熱間圧延方法について説明する。
まず、仕上圧延機を想定して分割モデルと呼ばれる一般的な手法により、上下一対のワークロールに、超硬合金製スリーブ外層を有する複合ロール及びハイスロールを用いた場合の板幅方向板厚偏差(板クラウン)を、以下の条件で計算した。
(解析条件)
圧延機:4段圧延機、
圧下スクリュウ間距離L=3400mm、
ワークロールの寸法:直径=680mm、ロールバレル長=2200mm、ワークロールのシフト量δ=±200mm。
バックアップロール寸法:直径=1500mm、ロールバレル長=2000mm、イニシャルロールカーブ=0mm。
ただし、ロールバレルの外形が軸方向位置にて上下で互いに補完し合うCVCロールのイニシャルロールカーブは、図2に示したように、2次以下の項を含む3次関数曲線からなるS字形状のロールカーブとした。また、ロールバレルの外形がS字形状のイニシャルロールカーブで形成されている超硬合金製スリーブ外層を有する複合ロール及びハイスロールの最大直径と最小直径の差は0.35mmとした。
その他の超硬合金製スリーブ外層を有する複合ロールの条件:超硬合金製スリーブ外層の肉厚=50mm、超硬合金製スリーブ外層を除いた部分、すなわち軸部材の材質(ヤング率、ポアソン比)はハイスロールと同じとした。
(被圧延材の条件)
板幅W=1200mm、入側板厚=3.1mm、出側板厚=2.1mm、単位長さあたりの圧延荷重=700kg/mm、ただし仕上圧延機における最終スタンドの条件である。
(板幅方向板厚偏差の計算結果)
図3(a)および(b)に、シフト量δ=−200mm、0mm、+200mmと変えたときの結果をそれぞれ示す。
(板クラウンの計算結果)
上下一対のワークロールを互いに逆向きに軸方向に移動させたときのシフト位置と、品質保証上の板クラウン(=板中央部の板厚−板端部25mm位置の板厚)の関係を図4に示す。この結果から、ハイスロールの最大直径と最小直径の差が0.35mmである従来例の場合、シフト量δに対する板クラウンの変更量は131μmとなり、超硬合金製スリーブ外層を有する複合ロールの最大直径と最小直径の差が同じである発明例の場合、それは170μmとなる。
(クラウン・形状制御能力の比較検討)
上下一対のワークロールに、超硬合金製スリーブ外層を有する複合ロールを用いた発明例の場合、ハイスロールの1.3倍の板クラウン・形状制御能力を有することが判明した。これは、超硬合金製スリーブ外層のヤング率がハイスロールのヤング率に比べて高いため、被圧延材及びバックアップロールとの接触にともなうワークロールの偏平変形が、ハイスロールに比べて小さく、ワークロールの凹凸が被圧延材に転写しやすいからである。また、ロールバレルの外形がS字形状のイニシャルロールカーブで形成されている上下一対のワークロールに、超硬合金製スリーブ外層を有する複合ロールを用いた場合、バックアップロールを有効に撓ますことも、板クラウン・形状制御能力を高める効果がある。
ここで、超硬合金製スリーブ外層を有する複合ロールの最大直径と最小直径の差が0.2mm以上2mm以内である超硬合金製のワークロールを用いた熱間圧延方法とすることが被圧延材の板クラウン・形状制御能力を確保する点で好ましく、より好ましくは、0.2mm以上1.5mm以下とする。
この理由は、複合ロールの最大直径と最小直径の差が0.2mm未満ではシフト量δに対する板クラウンの変化量が小さく、実用上の板クラウン・形状制御能力が不十分となる。一方、複合ロールの最大直径と最小直径の差が2mmを超えるようになると、ワークロールとバックアップロール間で非接触部が発生し、蛇行や幅方向の板厚差(ウェッジ)が発生しやすくなるためである。
なお、超硬合金製のワークロールを用いた熱間圧延方法において、超硬合金製スリーブ外層を有する複合ロールの最大直径と最小直径の差が0.2mm以上1.5mm以下とするのがより好ましい。この理由は次のとおりである。特許文献3の第3頁右欄、第12〜14行には、「例えばロールの直径が300乃至700mmの平均的な値の場合、半径差は通常1mm以下であり、特殊な場合だけ1mmをわずかに越える。」と記載されている一方、前記したクラウン・形状制御能力を比較した検討結果から、ロールバレルの外形がS字形状のイニシャルロールカーブで形成されている上下一対のワークロールに、超硬合金製スリーブ外層を有する複合ロールを用いた場合、板クラウン・形状制御能力はハイスロールの1.3倍である、ということが導かれたことに基づく。
つまり、従来のワークロールの場合、特殊な場合だけ最大直径と最小直径の差が2mmを越えるのに対し、超硬合金製スリーブ外層を有する複合ロールの場合には、板クラウン・形状制御能力がハイスロールの1.3倍であることを勘案すれば、2mm/1.3≒1.5倍の直径の差を、超硬合金製スリーブ外層を有する複合ロールのロールバレルに形成することによって、被圧延材の板クラウン・形状制御能力が十分となるからである。
(摩耗抑止効果の比較検討)
WC合金のようにワークロールによく使用されている超硬合金は、耐摩耗性に優れ、圧延の進行にともなう摩耗抑止効果が期待される。そこで、圧延スタンドが7スタンドである仕上圧延機の第3、第4スタンドにテストロールを組み込んで、実際に被圧延材250本を圧延した後の摩耗量分布を調べた。その結果を図5に示した。
なお、第3スタンドの上下一対のワークロールには、ハイスロールを用い、第4スタンドの上下一対のワークロールには、超硬合金製スリーブ外層を有する複合ロールを用いた。その際、超硬合金製スリーブ外層を有する複合ロール及びハイスロールのロールバレルには、その最大直径と最小直径の差が同じ0.35mmであるS字形状のイニシャルロールカーブを形成した。
上記のテスト結果から次のことが判明した。
(1)上下一対のワークロールに、超硬合金製スリーブ外層を有する複合ロールを用いた発明例の場合、ロール軸方向に0.35mmという直径差があり、ワークロールとバックアップロールとの間の接触圧力及びロール周速度の差も生じているものの、耐摩耗性に優れているため、圧延が進行した場合でも、ワークロールの直径が最大となる凸部頂上近傍で摩耗が大きくなるという、形態の異常摩耗が生じない。
(2)これに対して、ロールバレルの外形が同じS字形状のイニシャルロールカーブで形成されている上下一対のワークロールに、ハイスロールを用いた従来例の場合、ワークロールの直径が最大となる凸部頂上近傍で摩耗が大きくなるという、形態の異常摩耗が生じるため、ロール軸方向の摩耗分布に片摩耗が発生する。
これは、ワークロールの直径が最大となる凸部頂上近傍でバックアップロールとの接触圧力が最大となり、また、バックアップロールとワークロールとの周方向速度の差も最大となるためである。
(3)また、被圧延材250本を圧延した程度では、最大直径と最小直径の差が0.2mm以上2mm以内、より好ましくは0.2mm以上1.5mm以下である超硬合金製スリーブ外層に割損が生じないこともわかった。
(圧延の進行に伴う板クラウン制御範囲の比較検討)
実際に被圧延材250本を圧延した後の摩耗量分布に基づき、圧延の進行に伴う板クラウン制御範囲を、分割モデルにより計算した結果を図6に示す。
なお、圧延スタンドが7スタンドである仕上圧延機の各スタンド摩耗量分布は、各スタンドで予測圧延荷重および圧延距離を考慮するとともに、圧延の進行に伴うサーマルクラウンの変化も各スタンドで考慮した。その際、超硬合金製スリーブ外層を有する複合ロール及びハイスロールは、仕上圧延機の第7スタンドに組み込むものとし、その最大直径と最小直径の差は同じ0.35mmとした。
(1)上下一対のワークロールに、ハイスロールを用いた従来例の場合、圧延の進行に伴い板クラウン制御範囲が半分に低下する。
(2)これに対して、上下一対のワークロールに、超硬合金製スリーブ外層を有する複合ロールを用いた発明例の場合、圧延の進行に伴う影響を受けす、当初の板クラウン制御範囲が維持される。これは、圧延が進行した場合でもワークロールの直径が最大となる凸部頂上近傍で摩耗が大きくなるという、形態の異常摩耗が生じず、圧延の進行に伴うサーマルクラウンの変化も小さいからである。
ここで、ロール寿命の点から、超硬合金製スリーブ外層の厚みが複合ロールの最大直径の3%以上10%以下である超硬合金製のワークロールを用いた熱間圧延方法とするのが好ましい。
この理由は、超硬合金製スリーブ外層の厚みが複合ロールの最大直径の3%未満であると、バックアップロールとのヘルツ接触下で、せん断応力の影響により超硬合金製スリーブ外層と、後述する5質量%Cr鍛鋼製の軸部材間でクラックが発生し、さらにそのまま使用するとロール破損が生じる。一方、超硬合金製スリーブ外層の厚みが複合ロールの最大直径の10%を超えるようになると、高価な超硬合金が多く必要になり、ロールコストの増大につながるばかりか、後述するCIP成形でのハンドリングが難しくなるからである。
以下に、超硬合金製スリーブ外層を有する複合ロールの製造方法について説明する。
この複合ロールの製造方法は、CIP(冷間等方加圧)に次いでHIP(熱間等方加圧)を用いる方法であり、公知技術である。まず、図7(a)に示すように、リング状のスリーブ部材5(内径と外径との差であるリング厚さが150mm、軸方向長さであるリング幅が400mm)をCIPにより成形する。リング状のスリーブ部材5は、WCにCoを20質量%添加した粉末を素材としてラバー成形し、その後CIPにより成形して得る。
次いで、図7(b)に示す要領で、リング状のスリーブ部材5を軸方向に6個重ね、1260℃、10気圧の条件でHIPして接合面で接合する。HIPして接合したものを所望の寸法に機械加工して超硬合金製スリーブ外層6を得る。更にそれを、図7(c)に示す要領で、5質量%Cr鍛鋼の軸部材7に焼嵌め、冷やし嵌め等の方法により一体化させ、機械加工を経て超硬合金製スリーブ外層6を有する複合ロールを製造する。
このような方法によれば、直径が650mm、ロールバレル長が2200mmに及ぶ超硬合金製の複合ロールを製造することが可能である。WCにCoを20質量%添加したが、最大で5質量%のNiの添加により耐摩耗性が向上するので、5質量%以下のNiを更に添加した超硬合金とするのも好ましい。この超硬合金製スリーブ外層6を有する複合ロールの製造方法では、超硬合金製スリーブ外層6と5質量%Cr鍛鋼等の軸部材7の間にヤング率が両者の中間にあたる緩衝リング状の間挿材を入れて焼嵌め、冷やし嵌めしロールが割損し難くなるようにすることも、従来技術である。
(発明例)圧延スタンドにロールシフト機構を有する7スタンドからなる仕上げ圧延機の第3、第4スタンドの上下一対のワークロールに本発明を適用し、互いに逆向きに軸方向に移動させ、ロールギャップの形状修正を行いつつ被圧延材を197本圧延した。
その際、第3、第4スタンドには、ロールバレルの外形がS字形状のイニシャルロールカーブで形成されている上下一対のワークロールに、最大直径と最小直径の差が0.35mmである超硬合金製スリーブ外層を有する複合ロールを用いた。なお、第3、第4スタンドのワークロールのシフト量δは±200mmとした。
発明例に用いた圧延サイクルの板幅、板厚構成を図8に、また目標板クラウン及び実績板クラウンを図9に示す。発明例の場合には、圧延が進行してもクラウン・形状制御能力を維持しつつ、被圧延材を圧延することができるため、圧延サイクルの終盤でも目標板クラウンに対してほぼ目標通りの実績板クラウンが得られていることがわかる。
(従来例)同じ仕上げ圧延機の第3、第4スタンドの上下一対のワークロールに、ロールバレルの外形が同じS字形状のイニシャルロールカーブで形成されているハイスロールを組み込んで、被圧延材を同じ本数圧延した。
従来例に用いた圧延サイクルの板幅、板厚構成を図10に、また目標板クラウン及び実績板クラウンを図11に示す。従来例の場合には、圧延サイクルの中盤から終盤にかけてワークロールの異常摩耗により板クラウン・形状制御能力が低下し、実績板クラウンが大きくなっていることがわかる。
(発明例と従来例の板クラウン・形状制御能力の比較)
図12(a)、(b)には、目標板クラウンに対し、目標通りの実績板クラウンが得られているか否かを示した。ここで、それを板クラウン誤差(実績−目標)の平均値と、誤差の標準偏差で定量化し評価した。
発明例の場合:板クラウン誤差の平均値=-2.8μm、誤差の標準偏差=8.9μm。
従来例の場合:板クラウン誤差の平均値=12.4μm、誤差の標準偏差=11.8μm。
発明例と従来例の板クラウン・形状制御能力の比較結果から、上下一対のワークロールに、超硬合金製スリーブ外層を有する複合ロールを用いた発明例の場合、圧延が進行してもクラウン・形状制御能力を維持しつつ圧延することが可能であり、目標板クラウンに対し、目標通りの実績板クラウンが得られることがわかる。この圧延サイクルの実験中、蛇行によるトラブルや超硬合金製スリーブ外層の割損事故は生じなかった。
なお、本発明を適用する4段圧延機のスタンド数、適用スタンドは実施例に限定されない。また、ロールバレルの外形が軸方向位置にて上下で互いに補完し合うイニシャルロールカーブは、2次以下の項を含む3次関数曲線からなるものに限定されず、4次式以下の項を含む5次関数曲線からなるものも含むものとする。
ロールバレルの外形がS字形状のイニシャルロールカーブで形成されている上下一対のワークロール(以下CVCロールという)によるロールギャップの形状修正作用を示す正面図である。 ロールバレルの外形がS字形状であるイニシャルロールカーブを例示した特性図である。 CVCロールに、超硬合金製スリーブ外層を有する複合ロール及びハイスロールを用いた場合の板厚偏差を示す特性図である。 CVCロールに、超硬合金製スリーブ外層を有する複合ロール及びハイスロールを用いた場合の板クラウン制御能力を示す特性図である。 CVCロールに、超硬合金製スリーブ外層を有する複合ロール及びハイスロールを用いた場合の圧延の進行に伴う摩耗形状を示す特性図である。 CVCロールに、超硬合金製スリーブ外層を有する複合ロール及びハイスロールを用いた場合の圧延の進行に伴う板クラウンの制御範囲を示す特性図である。 超硬合金製スリーブ外層を有する複合ロールの製造方法を示す斜視図である。 発明例の圧延サイクルの構成を示す特性図である。 発明例の圧延サイクル内での実績板クラウンの変化を示す特性図である。 従来例の圧延サイクルの構成を示す特性図である。 従来例の圧延サイクル内での実績板クラウンの変化を示す特性図である。 発明例と従来例の板クラウン・形状制御能力を比較した特性図である。
符号の説明
δ ワークロールのシフト量(軸方向の移動距離)
g ロールギャップ
B ロールバレル長
L 圧下スクリュウ間距離
W 被圧延材の幅
1、2 ワークロール
3、4 イニシャルロールカーブ
5 リング状のスリーブ部材
6 超硬合金製スリーブ外層
7 軸部材

Claims (4)

  1. 上下一対のワークロールを4重式の圧延スタンドに組み込み、互いに逆向きに軸方向に移動させ、ロールギャップの形状修正を行いつつ被圧延材を圧延する熱間圧延方法において、ロールバレルの外形が軸方向位置にて上下で互いに補完し合うイニシャルロールカーブで形成されている上下一対のワークロールに、超硬合金製スリーブ外層を有する複合ロールを用いることを特徴とする超硬合金製のワークロールを用いた熱間圧延方法。
  2. 前記超硬合金製スリーブ外層を有する複合ロールの最大直径と最小直径の差が0.2mm以上2mm以内であることを特徴とする請求項1に記載の超硬合金製のワークロールを用いた熱間圧延方法。
  3. 前記超硬合金製スリーブ外層の厚みが複合ロールの最大直径の3%以上10%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の超硬合金製のワークロールを用いた熱間圧延方法。
  4. 前記超硬合金製スリーブ外層に、タングステンカーバイトにCoを20質量%、5質量%以下のNiを添加した超硬合金を用いた請求項1〜3のいずれかに記載の超硬合金製のワークロールを用いた熱間圧延方法。
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