JP2009005594A - 遺伝子診断機能性蛍光色素の製造方法 - Google Patents

遺伝子診断機能性蛍光色素の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、特定配列及び/又は構造を有する特定生体分子と、該特定生体分子に特異的親和性及び応答性を示す環境応答性分子とのペアーを汎用可能な方法でスクリーニングする手法を提供することである。
【解決手段】生体分子に対し親和性を示す環境応答性モチーフ分子を改変し、当該生体分子に対する親和性を低減させた環境応答性分子を取得し、続いて当該環境応答性分子に対して特異的親和性及び環境応答性を有する特定配列及び/又は構造を有する特定生体分子を取得することにより、特定配列及び/又は構造を有する特定生体分子と、当該特定生体分子に対して特異的親和性を示す環境応答性分子とのペアーを創製する。
【選択図】なし

Description

本発明は、特定配列及び/又は構造を有する特定生体分子と、当該特定生体分子に対して特異的親和性を示す環境応答性分子とのペアーをスクリーニングする方法に関する。更に、本発明は、該スクリーニング方法により得られたヘキスト33258の誘導体及びアプタマーを利用した環境応答性試薬、遺伝子検出用試薬キット、標的遺伝子の検出方法、及び目的遺伝子の発現判定方法に関する。
標識プローブ技術は、主として、遺伝子・核酸の検出に利用される「核酸プローブ」と、遺伝子産物を同定するための「抗体プローブ」に関するものが中心となっている。
ある種の生体分子は、特定の分子と特異的に相互作用するが、この特異的相互作用を利用し、生体分子の同定や定量を行うことができる。「標識プローブ」は、生体分子(Target)への特異的相互作用を利用した解析に用いられる分子であって、検出を容易にするために、標識(放射性核種、発色性基質をもつ酵素、蛍光剤)を結合させる等の化学的修飾を施されたものが一般的である。これまでの遺伝子診断等は、上記のような標識プローブを用い、粉砕した細胞から抽出されたDNA/RNAを用いて実施することを前提としたものであった。
一方で、細胞の高次機能を解明するには、生体組織の構築、機能発現の基礎になる細胞内生体分子の時間的・空間的動的変化を「生きた細胞内」で効率的に観察し、機能解析を可能にする技術が求められている。ところが、化学修飾された核酸プローブ等は標識プローブ作製の煩雑さに加え、容易に生細胞内に導入することができず、また、非特異的切断・結合に伴う擬陽性シグナル等、非常に大きな問題があった。
上記の如き問題を回避するために、近年、蛍光分子や消光分子を組み込んだ標識プローブに代わって、細胞の機能を利用して内在性核酸を検出しようとするアプローチが盛んに試みられている。その一つとして、非修飾RNAアプタマーと蛍光分子とを組合せた手法が提案されている(非特許文献1参照)。非特許文献1に記載の手法は、細胞染色剤の「マラカイトグリーン」が、RNAの特異的配列に結合した場合に強い蛍光を発するという特性を見つけ、RNA検出に利用しようとする手法である。また、非特許文献2に記載の手法は、ターゲットを認識するarm部を備えるbinary RNA aptamerをプローブとして用いること考案し、ターゲットが存在した場合、このbinary RNA aptamerが特異構造を形成し、マラカイトグリーンとの複合体を形成することにより、強い蛍光を発するようにしたものである。
しかしながら、非特許文献1の手法では、色素分子(マラカイトグリーン)そのものが、特定のRNA配列を選択的に認識し結合したときに強い蛍光を発する特性を偶然見つけたことを利用している。そのため、マラカイトグリーンのような色素分子を他に見つけ出すことは極めて困難であり、当該方法を他の蛍光分子に適用できる可能性は低く、汎用性に乏しいという問題がある。
上記問題点を克服すべく、非特許文献3及び4では、PET(Photo-induced Electron Transfer)蛍光プローブと核酸の試験管内進化を組み合わせた探索法を提案している。しかしながら、この手法では蛍光プローブがドナー、アクセプターの2分子構造になってしまう点や、アプタマーの結合に伴う立体的反発を利用しており高い蛍光増強率を示すアプタマーが得られにくい点で欠点があり、更には細胞膜透過性、生体直行性等に問題を有する。
また、ペプチド等の特定の配列を有する生体分子に対して、特異的に結合し、発光等の応答性を示す応答性分子を簡便な手法により見つけだす技術についても確立されていない。
このような従来技術を背景として、特定配列及び/又は構造を有する特定生体分子と、該特定生体分子に選択的に結合することにより応答性を示す環境応答性分子とのペアーの開発と共に、当該ペアーを汎用可能な手法でスクリーニングする方法の開発が望まれていた。
Babemdure JR. et al., "Aptamers switch on fluorescence of triphenylmethane dyes", J. Am. Chem. Soc. 2003, 125, 14716-14717 Dmitry M. Kolpashchikov et al., "Binary malachite green aptamer for fluorescent detection of nucleic acid", J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 12442-12443 Sparano BQ. et al., "A strategy for the development of small-molecule-based sensors that strongly fluoresce when bound to a specific RNA", J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 14954-14955 Sparano BQ. et al., "Fluorescent sensors for specific RNA: a general paradigm using chemistry and combinatorial biology", J. Am. Chem. Soc. 2007, 129, 4785-4794
本発明の目的は、特定配列及び/又は構造を有する特定生体分子と、該特定生体分子に特異的親和性及び応答性を示す環境応答性分子とのペアーを汎用可能な方法でスクリーニングするを提供することである。更に、本発明の目的は、特定の塩基配列を有する核酸と、該核酸に選択的に結合して蛍光を発する環境応答性分子を利用して、環境応答性試薬、アプタマー、遺伝子検出用試薬キット、標的遺伝子の検出方法、及び標的遺伝子の発現判定方法を提供することである。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討したところ、生体分子に対し親和性を有する環境応答性モチーフ分子を改変して、当該生体分子に対する親和性が低減し且つ特定配列及び/又は構造にのみ特異的に親和性を示す環境応答性分子を作成することにより、その特定配列及び/又は構造を有する特定生体分子とのペアーを創製する方法を見出した。本発明は、これらの知見に基づいて更に改良を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する:
項1. 生体分子に対し親和性を示す環境応答性モチーフ分子を改変し、当該生体分子に対する親和性を低減させた環境応答性分子を作成する第1工程、及び
第1工程で得られた環境応答性分子に対して特異的親和性を有する特定配列及び/又は構造を有する特定生体分子であって、前記環境応答性分子と複合体を形成した際に、当該環境応答性分子が応答を発する特定生体分子を選択する第2工程
を含むことを特徴とする、
特定生体分子と環境応答性分子とのペアーをスクリーニングする方法。
項2. 前記生体分子が核酸であり、
前記環境応答性分子が、当該核酸の特定塩基配列に対して特異的親和性を有するものである、項1に記載の方法。
項3. 第1工程で使用される環境応答性モチーフ分子が、核酸染色剤である、項2に記載の方法。
項4. 前記核酸染色剤が核酸のAT配列またはGC配列の副溝に結合して蛍光を発する化合物である項3に記載の方法。
項5. 前記核酸染色剤が、ヘキスト33258、ヘキスト33342、ヘキスト34580、LDS751、7-AAD、ACMA、及びDAPIからなる群から選択される少なくとも1種である、項3又は4に記載の方法。
項6. 前記第1工程において、環境応答性モチーフ分子の改変が、官能基の置換、付加、及び/又は欠失である、項1乃至5のいずれかに記載の方法。
項7. 前記第2工程において、核酸の選択を、SELEX及び/又は試験管内進化法により行う、項2に記載の方法。
項8. 前記環境応答性分子は前記生体分子に対する親和性以外の少なくとも一つの特性が前記環境応答性モチーフ分子と同等である項1乃至7のいずれかに記載の方法。
項9. 前記特性が蛍光特性である項8に記載の方法。
項10. 前記特性が細胞透過性である項8または9に記載の方法。
項11. 前記特性が細胞毒性である項8〜10のいずれかに記載の方法。
項12. 上記項1〜11のいずれかに記載の方法により選択された環境応答性分子であって、特定の核酸配列に特異的に結合し、該核酸配列に特異的に結合することにより応答性を示すことを特徴とする環境応答性分子。
項13. 下記一般式(1)で表される環境応答性分子
Figure 2009005594
[式中、R1〜R5は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、メルカプト基、水酸基、炭素数1〜5の炭化水素基の1つあるいは複数の炭素原子が窒素原子、酸素原子及び/又は硫黄原子で置換されていてもよい直鎖又は分岐状のアルキル基、炭素数1〜5の炭化水素基の1つあるいは複数の炭素原子が窒素原子、酸素原子及び/又は硫黄原子で置換されていてもよい直鎖又は分岐状のアルコキシ基、或いはアリール基を示す]
を含有する、環境応答性試薬。
項14. R1とR5とが同じ置換基であり、R2とR4とが同じ置換基である項13に記載の環境応答性試薬。
項15. R1及びR5が水素原子であり、R2及びR4がターシャリーブチル基であり、R3が水酸基である、項13又は14に記載の環境応答性試薬。
項16. 下記(i)又は(ii)に記載の核酸からなるDNAアプタマー:
(i) 配列番号1〜6のいずれかに示す塩基配列を含む核酸、
(ii) 配列番号1〜6のいずれかに示す塩基配列に対して95%以上の相同性を示す塩基配列からなり、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、且つ一般式(1)で表される化合物が結合して蛍光を発する核酸。
項17. 配列番号7に示す塩基配列を含む核酸からなるDNAアプタマー。
項18. 配列番号1〜7のいずれかに示す塩基配列が2つに分割された断片化核酸をそれぞれ含む2つの核酸からなる、バイナリーDNAアプタマー。
項19. 配列番号7に示す塩基配列の第1〜n位の塩基配列(nは5〜20整数を示す)を含む第1核酸と、
配列番号7に示す塩基配列の第n+1〜25位の塩基配列(nは前記と同じ)を含む第2核酸とを含む、請求項18に記載のバイナリーDNAアプタマー。
項20. 配列番号8〜12のいずれかに示す塩基配列を含む核酸からなるRNAアプタマー。
項21. 配列番号13〜19のいずれかに示す塩基配列を含む核酸からなるRNAアプタマー。
項22. 項7に記載の環境応答性試薬と、
請求項16又は17に記載のDNAアプタマー或いは項18又は19に記載のバイナリーDNAアプタマーを含む、
遺伝子検出用試薬キット。
項23. 項7に記載の環境応答性試薬と、
項16又は17に記載のDNAアプタマーに標的遺伝子の少なくとも一部に相補的な塩基配列が連結されたプローブ、或いは項18又は19に記載のバイナリーDNAアプタマーに前記標的遺伝子の少なくとも一部に相補的な塩基配列が連結されたプローブを含む、
遺伝子検出用試薬キット。
項24. 標的核酸の検出方法であって、
項16又は17に記載のDNAアプタマーに標的遺伝子の少なくとも一部に相補的な塩基配列が連結されたプローブ、或いは項18又は19に記載のバイナリーDNAアプタマーに前記標的遺伝子の少なくとも一部に相補的な塩基配列が連結されたプローブと、標的核酸を含むサンプルとを、ハイブリダイズ可能な条件下で接触させる工程、
標的核酸にハイブリダイズした前記プローブを請求項15に記載の環境応答性試薬を用いて検出する工程
を含む、方法。
項25. 前記プローブが、
項16又は17に記載のDNAアプタマーの5’末端に、標的核酸の少なくとも一部に相補的な塩基配列の3’末端側を連結したプローブ又は
項16又は17に記載のDNAアプタマーの3’末端に、標的核酸の少なくとも一部に相補的な塩基配列の5’末端側を連結したプローブである、
項24に記載の方法。
項26. 前記プローブが、標的核酸の少なくとも一部に相補的な塩基配列が分断された5’末端側の部分配列1と3’末端側の部分配列2とをそれぞれ含む2つのプローブからなり、
当該部分配列1の3’末端に、前記バイナリーDNAアプタマーを構成する2つの核酸の一方の5’末端が連結されてなるプローブ1と、
当該部分配列2の5’末端に、前記バイナリーDNAアプタマーを構成する2つの核酸の一方の3’末端が連結されてなるプローブ2を含み、
プローブ1及び2が標的核酸にハイブリダイズした際に、前記バイナリーDNAアプタマーと前記環境応答性試薬とが複合体を形成し、該環境応答性試薬が応答を発する、項24に記載の方法。
項27. 目的遺伝子のプロモーター配列の制御下におかれるように項20又は21に記載のRNAアプタマーをコードする配列が組み込まれている組み換え発現ベクターを導入した細胞又はトランスジェニック非ヒトほ乳動物に、項15に記載の環境応答性試薬を導入して、応答の有無により目的遺伝子の発現を判定することを特徴とする、目的遺伝子の発現判定方法。
本発明のスクリーニング方法によれば、簡便で汎用的な方法で、特定配列を有する核酸又はペプチドと、該核酸又はペプチドに選択的に結合することにより応答性を示す環境応答性分子とのペアーを選択することができる。故に、本発明のスクリーニング方法によれば、特定配列を有する核酸又はペプチドとそれに結合する環境応答性分子との新規なペアーを、容易に提供することが可能になる。
更に、本発明の環境応答性試薬、アプタマー、及び遺伝子検出用試薬キットによれば、標的核酸の検出が可能であるに止まらず、生細胞内での標的核酸の存在や発現モニタリングへの応用も期待できる。
1.スクリーニング方法
本発明は、特定配列及び/又は構造を有する特定生体分子と、当該特定配列及び/又は構造に対して特異的親和性を示す環境応答性分子とのペアーをスクリーニングする方法である。本明細書において、「生体分子」とは、核酸、ペプチド等の分子を意味し、必ずしも生体に由来する分子である必要はなく、天然由来又は非天然由来(合成)の分子も含まれる。また、本明細書において、「核酸」とは、DNA及びRNAの双方を含む意味で使用する。本明細書において、「環境応答性」とは、生体分子に結合することによって、誘電率の変動等の分子の周辺環境が変化すると、当該変化に応答して、蛍光発光、蛍光消失等の特性変化を示す性質を意味する。検出簡便性等の観点から、環境応答性は、蛍光発光による特性変化を示す性質であることが望ましい。
本スクリーニング方法は、生体分子の種類に制限させずに実施できるが、特定の核酸と当該核酸に特異的親和性を示す環境応答性分子とのペアーの選択に好適である。
本スクリーニング方法について、以下、工程毎に説明する。
第1工程
第1工程では、生体分子に対し親和性を示す環境応答性モチーフ分子を改変し、当該生体分子に対する親和性を低減させた環境応答性分子を選択する。
即ち、第1工程では、まず、生体分子に対し親和性を示す環境応答性モチーフ分子を改変する。
ここで、「環境応答性モチーフ分子」とは、生体分子そのものに対し親和性を有して応答性を示す分子であるのに対し、本スクリーニング方法によって選択される「環境応答性分子」は、特定生体分子内の特定配列及び/又は構造に対し親和性および応答性を示す分子であり、両者は、特性の点において相違している。
環境応答性モチーフ分子の特性の一部は、本スクリーニング方法にて最終的に選択される環境応答分子に引き継がれる。かかる点を考慮すると、当該環境応答性モチーフ分子は、上記生体分子との親和性を有していること、及び環境応答性を有していることに加えて、例えば細胞膜透過性等の有用特性をも有していることが望ましい。このように細胞膜透過性を有する環境応答性モチーフ分子を利用すると、本スクリーニング方法にて最終的に選択される環境応答分子においても、細胞膜透過性を備えさせ得るという利点が得られる。本スクリーニング方法の選択対象が、「特定配列を有する特定核酸」である場合、細胞膜透過性を有する環境応答性モチーフ分子としては、核酸染色剤が挙げられる。核酸染色剤の具体例としては、2本鎖DNA(より具体的にはAT塩基対からなる塩基配列)の副溝に結合して蛍光を発する化合物、2本鎖DNAまたはRNAにインターカレートする化合物が挙げられる。このような核酸染色剤としては、核酸のAT配列又はGC配列の副溝に結合して蛍光を発する化合物が挙げられる。核酸染色剤の具体例としては、ヘキスト33258、ヘキスト33342、ヘキスト34580、LDS751、7-AAD、ACMA、DAPI等が例示される。このような細胞内核酸染色剤を改変して得られる環境応答性分子は、概して光に対して安定であり、細胞透過性や生体直交性など有利な特徴を有していることが期待される。中でもヘキスト33258及びヘキスト33342は、細胞膜透過性を有し、細胞内に取り込まれやすいという点からも好ましい。
本第1工程における環境応答性モチーフ分子の改変は、当該環境応答性モチーフ分子の構造の一部又は全部を変えることにより行うことができる。例えば、当該環境応答性モチーフ分子の官能基の置換、付加、及び/又は欠失を行えばよい。
環境応答性モチーフ分子の改変において、置換及び/又は付加される官能基(置換基)としては、特に制限されないが、例えば、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、メルカプト基、炭素数1〜5個のアルキル基、炭素数1〜5個のアルコキシ基、アリール基等の芳香族性置換基等が挙げられる。また、置換および/または付加する官能基の種類や数についても特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。
上記の環境応答性モチーフ分子の改変は、有機化学合成に関する一般的な化学合成の手法を用いて実施される。
上記のように環境応答性モチーフ分子を改変することによって候補分子を得る。本第1工程では、候補分子が多い程、目的に応じた環境応答分子の取得可能性が向上する場合がある。
次いで、第1工程では、上記改変により得られた候補分子の中から、生体分子に対する親和性が低減された候補分子を選択する。具体的には、上記改変により得られた各々の候補分子と、生体分子とを接触させ、生体分子に対する親和性(結合力)弱まっている候補分子を同定する。候補分子が生体分子に対する親和性が弱まっているか否かは、例えば、蛍光発色の有無や融解温度の変化等を測定すること等により判定できる。
環境応答性モチーフ分子が生体分子と結合することにより蛍光発色する場合であれば、生体分子と候補分子が結合した状態では、生体分子と環境応答性モチーフ分子が結合した場合と同様の蛍光を発する。即ち、この場合、生体分子と候補分子の共存下で蛍光発色が認められなければ、当該候補分子は生体分子に対する親和性を喪失していると判定される。例えば、環境応答性モチーフ分子として、例えばヘキスト33258を使用した場合であれば、蛍光発色の有無は、360〜600nm、好ましくは400〜560nm、特に好ましくは460nmの波長における蛍光強度を測定すればよい。
また、生体分子が核酸である場合、環境応答性モチーフ分子が核酸と結合した状態では、核酸の構造が安定化され、結果構造変性温度(2本鎖核酸の場合は1本鎖核酸への変移温度)が高くなる。即ち、候補分子と核酸を共存させ、ハイブリダイズが可能な条件下でインキュベートした後に、核酸の融解温度の上昇が認められない場合に、当該候補分子が核酸に対する親和性を喪失していると判定される。
なお、上記の蛍光発色の有無や融解温度の変化の測定に際して、候補分子と生体分子を共存させる条件は、候補分子の種類や生体分子の種類に応じて適宜設定される。例えば、適当なバッファー中で、候補分子20〜5000ピコモル/ml程度の濃度にして、該候補分子1モル当たり生体分子を0.1〜10モル、好ましくは1〜5モルの比率を充足するように、両者を共存させればよい。
斯くして、生体分子に対する親和性が低減している候補分子が環境応答性分子として選択される。選択される環境応答性分子は、生体分子に対する親和性が低い程、選択対象の1つである特定生体分子に対する特異的親和性が高まる。
第2工程
第1工程で得られた環境応答性分子に対して特異的親和性を有する特定配列及び/又は構造を有する特定生体分子であって、前記環境応答性分子と複合体を形成した際に、当該環境応答性分子が応答を発する特定生体分子を選択する。
即ち、第2工程では、まず、1又は複数の候補生体分子の中から、前記第1工程で同定された環境応答性分子と複合体を形成した際に、当該環境応答性分子が応答を発する特定生体分子を選択する。
本第2工程に供する候補生体分子には、第1工程で得られた環境応答性分子が特異的親和性を示す特定配列及び/又は構造を有する特定生体分子が含まれていればよい。また、候補生体分子が核酸である場合、当該核酸は、環境応答性分子が特異的親和性を示す特定配列以外に、当該核酸の調製のために必要とされるプライマーに相当する塩基配列等が含まれていてもよい。候補生体分子が核酸である場合、環境応答性分子が特異的親和性を示す塩基数については、例えば、10〜80塩基、10〜60塩基、或いは10〜40塩基が挙げられる。
また、候補生体分子がペプチドである場合、そのアミノ酸の数等についても特に制限されず、第1工程で得られた環境応答性分子の種類に応じて適宜設定すればよい。
本第2工程で使用する候補生体分子の種類は少なくとも1種以上であればよいが、候補生体分子の種類が多い程、選択対象の1つである特定生体分子の取得の可能性が向上する場合がある。候補生体分子が核酸である場合、候補生体分子としては、ランダムな塩基配列からなるDNA又はRNAを多種含有するDNA又はRNAプールを使用でき、これらの候補核酸は、市販品のDNA又はそれより転写したRNAプールを候補核酸として使用することもできる。また、候補生体分子がペプチドである場合、候補生体分子として、ランダムなアミノ酸配列からなるペプチドを多種含有するペプチドプールを使用できる。ペプチドプールについても、市販されており、市販品のペプチドプールを候補生体分子として使用することもできる。
本第2工程において、候補生体分子の中から、第1工程で得られた環境応答性分子に対して特異的親和性及び応答性を有する特定生体分子を同定する方法については、特に制限されず、当業界で公知の様々な手法を使用することができる。具体的には、候補生体分子と第1工程で得られた環境応答性分子とを接触させ、当該環境応答性分子が、応答性を示す特定配列及び/又は構造を有する候補生体分子を選別すればよい。例えば、候補生体分子が核酸である場合、SELEX及び/又は試験管内進化法(in vitro selection)を行うことによって、多種類の候補核酸から、簡便迅速に第1工程で得られた環境応答性分子に対して特異的親和性及び応答性を有する核酸を同定することができる。
以下、試験管内進化法により、第1工程で得られた環境応答性分子が特異的親和性及び応答性を示す核酸を同定する方法について、具体的に説明する。先ず、第1工程で得られた環境応答性分子に候補核酸を適当なバッファー中で接触させる。第1工程で得られた環境応答性分子は、回収を容易にするために、必要に応じて、磁気ビーズ等の基材に結合させていてもよい。当該環境応答性分子と候補核酸を接触させる条件は、環境応答性分子の種類や候補核酸の種類に応じて適宜設定される。そこで、次に、当該環境応答性分子に結合している候補核酸を取り出し、PCRによって該候補核酸を増幅する。PCRの条件等については、候補核酸の種類や増幅させる量等に応じて適宜設定される。核酸プール中の該候補核酸が濃縮されるまでセレクションラウンドを繰り返す。
斯くして得た候補核酸をクローニング、シークエンシングし該候補核酸配列を決定する。以後、得られた各核酸の配列を用いた応答性(例えば、蛍光を発色の有無)を測定する。環境応答性分子が環境応答性(例えば、蛍光発色)を示し、且つ特異的親和性を示した候補核酸を選ぶことによって、本スクリーニングの選択対象の1つである特定核酸が得られる。
本第2工程における特定生体分子の選択は、第1工程で得られた環境応答性分子が強い環境応答性を示す候補生体分子を採用することが望ましく、これによって環境応答性分子に対して検出感度の高い特定生体分子を得ることができる。
なお、候補生体分子と環境応答性分子との結合により呈される環境応答性は、生体分子と環境応答性モチーフ分子との結合により呈される環境応答性と近似乃至同一である。従って、環境応答性の有無の判定は、生体分子と環境応答性モチーフ分子が結合した際に呈される環境応答性と同様に測定することにより確認できる。具体的には、環境応答性モチーフ分子としてヘキスト33258を使用した場合であれば、環境応答性の有無は、360〜600nm、好ましくは400〜560nm、特に好ましくは460nmの波長における蛍光強度を測定すればよい。
このように、第1工程で得られた環境応答性分子に対して特異的親和性及び応答性を有する特定生体分子を同定し、更に配列及び/又は構造を決定することによって、本スクリーニングの選択対象の1つである「特定配列及び/又は構造を有する特定生体分子」の選択が可能になる。
更に、必要に応じて、本第2工程で同定された特定生体分子に対して、配列又は構造の一部を切り出した改変体を得、この改変体に対して、第1工程で得られた環境応答性分子との特異的親和性や環境応答性を評価する工程に供してもよい。これによって、第1工程で得られた環境応答性分子との特異的親和性や環境応答性を担う配列や構造を更に特定できるので、配列や構造を単純化して、より最適化された特定生体分子を得ることができる。特定生体分子が核酸である場合には、このように短くして最適化された特定生体分子は自己高次構造形成を防いだり、バイナリー型などに更に改変する際に設計が容易になるという利点がある。
斯くして、第1工程で選択された環境応答性分子と、第2工程で選択された特定生体分子は、特異的親和性を有し、両者が結合した場合には環境応答性が示される。従って、当該環境応答性分子と当該特定生体分子とのペアーは、様々な応用が可能である。例えば、第1工程で選択された環境応答性分子は、第2工程で選択された特定生体分子を特異的に検出するための染色試薬として利用できる。
また、特定生体分子が「特定配列の核酸」の場合、特定生体分子と環境応答性分子のペアーは、遺伝子検出用試薬キットとして使用できる。当該遺伝子検出用試薬キットは、具体的には、以下の手法により利用される:(1)目的遺伝子のプロモーター配列の制御下におかれるように特定配列の核酸又は特定配列のペプチドをコードする核酸が組み込まれている組み換え発現ベクターを作製する、(2)当該組み換え発現ベクターを導入した細胞又はトランスジェニック非ヒトほ乳動物を作製する、(3)当該細胞又はトランスジェニック非ヒトほ乳動物に、環境応答性分子を導入する、(4)当該環境応答性分子と特定配列の核酸との結合により生じる環境応答性の有無又その程度を測定することにより、目的遺伝子の発現の有無又は発現量を判定する。上記(1)〜(4)の各工程は、当該技術分野で公知又は慣用されている手法で行うことができる。
2.環境応答性試薬、アプタマー、及びバイナリーアプタマー
本発明は、更に上記スクリーニング方法により得られた特定の配列を有する核酸と環境応答性分子のペアーを利用した環境応答性試薬を提供する。具体的には、本環境応答性試薬は、特定の核酸配列に特異的に結合し、該核酸配列に特異的に結合することにより応答性を示すことを特徴とし、下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とするものである。
Figure 2009005594
一般式(1)中、R1〜R5は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、メルカプト基、水酸基、炭素数1〜5の炭化水素基の1つあるいは複数の炭素原子が窒素原子、酸素原子及び/又は硫黄原子で置換されていてもよい直鎖又は分岐状のアルキル基、炭素数1〜5の炭化水素基の1つあるいは複数の炭素原子が窒素原子、酸素原子及び/又は硫黄原子で置換されていてもよい直鎖又は分岐状のアルコキシ基、或いはアリール基を示す一般式(1)において、R1及びR5は同一の基又は原子であることが望ましく、更にR2及びR4も同一の基又は原子であることが望ましい。
一般式(1)中、好ましくは、R1及びR5が、水素原子であり、R2及びR4が水素原子、又は炭素数3〜4の分岐状のアルキル基であり、且つR3が水酸基である。更に好ましくは、R1及びR5が水素原子であり、R2及びR4が炭素数3〜4の分岐状のアルキル基であり、且つR3が水酸基である。
一般式(1)で表される化合物は、基材に担持させるためにリンカーが結合していてもよい。リンカーの結合部位については、特に制限されないが、例えば、R1〜R5の基のいずれかであればよく、好ましくはR3である。一般式(1)で表される化合物に結合させるリンカーの種類や長さ等については適宜設定すればよい。
一般式(1)で表される化合物としては、R1及びR5が水素原子であり、R2及びR4がターシャリーブチル基であり、R3が水酸基である場合、本環境応答性試薬の検出(染色)対象は、配列番号1〜6のいずれかの塩基配列を含む核酸(上記化合物に対するDNAアプタマー)である。
本環境応答性試薬の検出(染色)対象は、下記(i)又は(ii)に記載の核酸(一般式(1)で表される化合物に対するDNAアプタマー)である。
(i) 配列番号1〜6のいずれかの塩基配列を含む核酸。
(ii) 配列番号1〜6のいずれかに示す塩基配列に対して95%以上の相同性を示す塩基配列からなり、且つ一般式(1)で表される化合物が結合して蛍光を発する核酸。
上記(i)の核酸は、配列番号1〜6のいずれかの塩基配列からなるものであってもよいが、配列番号1〜6のいずれかの塩基配列の3’末端及び5’末端のいずれか一方、又は双方に1又は複数の塩基が付加されている塩基配列からなるものであってもよい。後者の場合、上記(i)の核酸は、塩基数が41〜100、好ましくは41〜80、更に好ましくは41〜60であることが望ましい。
上記(ii)の核酸において、配列番号1〜6のいずれかに示す塩基配列に対する相同性としては、好ましくは96%以上、更に好ましくは97%以上、特に好ましくは98%以上である。
更に、本環境応答性試薬は、配列番号7に示す塩基配列を含む核酸(DNAアプタマー)を検出(染色)対象とすることもできる。配列番号7に示す塩基配列は、配列番号1に示す塩基配列を改良した配列である。配列番号7に示す塩基配列を含む核酸は、配列番号7の第1〜4位の領域が配列番号7の第22〜25位の領域とハイブリダイズし、配列番号7の第5〜21位の領域がループを形成している構造をとっている。かかる構造が、一般式(1)で表される化合物が結合して蛍光を発するのに寄与している。
従って、上記構造を備える限り、配列番号1〜7のいずれかに示す塩基配列が2つに分割された断片化核酸をそれぞれ含む2つの核酸からなる、バイナリー核酸(バイナリーDNAアプタマー)であっても、一般式(1)で表される化合物が結合して蛍光を発することができる。
このようなバイナリー核酸としては、具体的には、以下のバイナリー核酸が例示される:配列番号7に示す塩基配列の第1〜n位の塩基配列(nは5〜20、好ましくは13の整数を示す)を含む第1核酸と、配列番号7に示す塩基配列の第n+1〜25位の塩基配列(nは前記と同じ)を含む第2核酸とを含むいるバイナリー核酸。かかるバイナリー核酸は、第1核酸の配列番号7の塩基配列における第1〜4位の領域と、第2核酸の配列番号7の塩基配列における第22〜25位の領域がハイブリダイズし、第1核酸の配列番号7の塩基配列の第5〜n位の領域(nは前記と同じ)と第2核酸の配列番号7の塩基配列の第n+1〜21位の領域(nは前記と同じ)がループ構造を形成することにちって、本環境応答性試薬との特異的親和性を備えることができる。また、かかるバイナリー核酸において、第1核酸のn位のヌクレオチド(nは前記と同じ)の3’末端と、第2核酸の1位のヌクレオチドの5’末端には、それぞれ3〜10個のオリゴヌクレオチドが結合しており、且つ第1核酸に結合するオリゴヌクレオチドと第2核酸に結合するオリゴヌクレオチドが互いに相補的な配列を有していることが望ましい。第1核酸のn位のヌクレオチドの3’末端と、第2核酸の1位のヌクレオチドの5’末端に、このような相補的な配列を備えることによって、第1核酸と第2核酸により構成される上記ループ構造が強固になる。
また、本環境応答性試薬の検出(染色)対象は、配列番号8〜12のいずれかに示す塩基配列を含む核酸(RNAアプタマー)を対象とすることができ、更に配列番号13〜19のいずれかに示す塩基配列を含む核酸(RNAアプタマー)を対象とすることもできる。
また、上記RNAアプタマーとなる核酸は、一般式(1)で表される化合物が特異的親和性を示す範囲において、配列番号8〜19のいずれかの塩基配列において、1又は複数の塩基が置換、付加及び/又は欠失されていてもよい。このように置換、付加及び/又は欠失されている塩基配列は、具体的には、配列番号8〜19のいずれかの塩基配列に対して、相同性が95%以上、好ましくは96%以上、更に好ましくは97%以上、特に好ましくは99%以上の相同性を有しているものが挙げられる。
本環境応答性試薬は、一般式(1)で表される化合物のみからなるものであってもよいが、一般式(1)で表される化合物を適当な溶媒や添加剤等と混合したものであってもよい。後者の場合、本環境応答性試薬中の一般式(1)で表される化合物の濃度については、本環境応答性試薬の用途や使用時の一般式(1)で表される化合物の濃度等を考慮して適宜設定すればよい。
また、本環境応答性試薬は、上記DNAアプタマー、バイナリーDNAアプタマー又はRNAアプタマーと結合すると、360〜600nm、好ましくは400〜560nm、特に好ましくは460nmの波長において蛍光を呈するので、かかる波長領域の蛍光を測定することにより、上記核酸の有無や量を測定できる。
3.遺伝子検出用試薬キット
また、本発明は、更に上記スクリーニング方法により得られた環境応答性分子と特定配列の核酸のペアーを利用した遺伝子検出用試薬キットを提供する。具体的には、本遺伝子検出用試薬キットは、一般式(1)で表される化合物と、上記DNAアプタマー、バイナリーDNAアプタマー又はRNAアプタマーを含有することを特徴とするものである。
本遺伝子検出用試薬キットは、標的遺伝子の検出に使用することができる。具体的には、本遺伝子検出用試薬キットは、以下の手順に従って使用される。(1-1)標的遺伝子の少なくとも一部に相補的な塩基配列に上記DNAアプタマー、バイナリーDNAアプタマー又はRNAアプタマーが連結されているプローブを調製する、(1-2)このプローブと標的遺伝子を含むサンプルとを、ハイブリダイズ可能な条件下で接触させる、(1-3)標的遺伝子にハイブリダイズした前記プローブを上記環境応答性試薬を用いて検出する。上記(1-1)の工程において調製されるプローブは、標的遺伝子の少なくとも一部に相補的な塩基配列の5’又は3’末端に上記DNAアプタマー、バイナリーDNAアプタマー又はRNAアプタマーが連結されていてもよいが、当該相補的な塩基配列の間に上記DNAアプタマー、バイナリーDNAアプタマー又はRNAアプタマーが挿入されていてもよい。具体的には、上記プローブがDNAアプタマーが連結されたものである場合、例えば、DNAアプタマーの5’末端が、標的核酸の少なくとも一部に相補的な塩基配列の3’末端側に連結しているプローブ;或いはDNAアプタマーの3’末端が、標的核酸の少なくとも一部に相補的な塩基配列の5’末端側に連結しているプローブを使用することができる。また、上記プローブがバイナリーDNAアプタマーが連結されたものである場合、以下の構造のプローブを使用することができる。即ち、標的核酸の少なくとも一部に相補的な塩基配列が分断された5’末端側の部分配列1と3’末端側の部分配列2をそれぞれ含む2つのプローブからなり、当該部分配列1の3’末端に、前記バイナリーDNAアプタマーを構成する2つの核酸の一方の5’末端が連結されてなるプローブ1と、当該部分配列2の5’末端に、前記バイナリーDNAアプタマーを構成する2つの核酸の一方の3’末端が連結されてなるプローブ2を含み、プローブ1及び2が標的核酸にハイブリダイズした際に、前記バイナリーDNAアプタマーを構成する2つの核酸がループ構造を形成するように構成されているプローブ。
更に、本遺伝子検出用試薬キットは、標的遺伝子の発現の有無又は発現量を測定するために利用することもできる。具体的には、本遺伝子検出用試薬キットは、以下の手順に従って使用される:(2-1)標的遺伝子のプロモーター配列の制御下におかれるように上記RNAアプタマーをコードするDNAが組み込まれている組み換え発現ベクターを作製する、(2-2)当該組み換え発現ベクターを導入した細胞又はトランスジェニック非ヒトほ乳動物を作製する、(2-3)当該細胞又はトランスジェニック非ヒトほ乳動物に、上記環境応答性試薬を導入する、(2-4)上記環境応答性試薬と上記RNAアプタマーとの結合により呈される蛍光の有無又は蛍光強度を測定することにより、標的遺伝子の発現の有無又は発現量を判定する。即ち、上記(2-4)の工程において、蛍光が認められた場合には、標的遺伝子が発現していると判定され、その蛍光強度が強い程、標的遺伝子の発現量が多いと判定される。
本遺伝子検出用試薬キットには、上記(1-1)〜(1-4)の工程又は上記(2-1)〜(2-4)の工程を実施するために必要とされる試薬や装置等を更に含んでいてもよく、また該キットによる遺伝子検出方法のプロトコールを記載した指示書を含んでいてもよい。
4.標的核酸の検出方法
更に、本発明は、更に上記スクリーニング方法により得られた環境応答性分子と特定配列を有する特定核酸のペアーを利用した標的核酸の検出方法を提供する。具体的には、本方法は、標的遺伝子の少なくとも一部に相補的な塩基配列に上記DNAアプタマー、バイナリーDNAアプタマー又はRNAアプタマーが連結されているプローブと、標的核酸を含むサンプルとを、ハイブリダイズ可能な条件下で接触させる工程、及び標的核酸にハイブリダイズした前記プローブを上記環境応答性試薬を用いて検出する工程を含む特徴とする標的核酸の検出方法である。本方法において、上記環境応答性試薬による蛍光発色が観察された場合には、標的核酸の存在が認められる。
本方法において使用されるプローブ、即ち標的核酸の少なくとも一部に相補的な塩基配列に上記アプタマー又はバイナリーアプタマーが連結されているプローブは、上記アプタマー又はバイナリーアプタマーの連結位置については、特に制限されず、標的核酸の少なくとも一部に相補的な塩基配列の5’末端側への付加、3’末端側への付加、当該塩基配列の中への挿入のいずれであってもよい。その具体例については、前述する通りである。
また、本方法において、プローブと、標的核酸を含むサンプルをハイブリダイズさせる条件、上記環境応答性試薬による蛍光発色を測定する条件等については、前述の通りである。
5.目的遺伝子の発現判定方法
そして更に、本発明は、上記スクリーニング方法により得られた環境応答性分子と特定配列を有する特定核酸のペアーを利用した目的遺伝子の発現判定方法を提供する。具体的には、本方法は、目的遺伝子のプロモーター配列の制御下におかれるように上記RNAアプタマーをコードするDNAが組み込まれている組み換え発現ベクターを導入した細胞又はトランスジェニック非ヒトほ乳動物に、上記環境応答性試薬を導入して、蛍光発色を測定することにより、目的遺伝子の発現を判定することを特徴とする目的遺伝子の発現判定方法である。
本方法において使用される発現ベクター、即ち目的遺伝子のプロモーター配列の制御下におかれるように上記RNAアプタマーをコードするDNAが組み込まれている組み換え発現ベクターは、公知の遺伝子工学の手法を用いて作製できる。また、本方法において使用される細胞又はトランスジェニック非ヒトほ乳動物、即ち、上記発現ベクターが導入された細胞又は非ヒトほ乳動物についても、公知の遺伝子工学の手法により作製できる。
また、本方法において、上記環境応答性試薬を、細胞又は非ヒトほ乳動物に導入する手法や具体的条件、蛍光発色を測定する具体的条件、目的遺伝子の発現の有無又は発現量の判定基準等についても、前述の通りである。
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
実施例1 スクリーニング
1.ヘキスト33258の改変
以下の手順に従って、オルトジアミン1とヒドロキシベンズアルデヒド誘導体を用いて、ヘキスト誘導体2−8を合成した。まず、下記のオルト−ジアミン1(100mg、0.29mmol)をエタノール10mLに溶解させた。次いで、この溶液に、オルト−ジアミン1に対して2.5当量のヒドロキシベンズアルデヒド誘導体と、ピロ硫酸ナトリウム(46mg(0.24mmol) in 270μL water)を添加した。斯くして得られた溶液を20時間還流させた後、溶媒を留去した。次いで、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)を用いて、粗精製物を回収し、更にGPC(メタノール)を用いて精製することにより、ヘキスト誘導体2−8を得た。なお、ヘキスト誘導体2−8の各々の具体的合成条件は、次の通りである。
Figure 2009005594
ヘキスト誘導体2(ヘキスト33258;4-(5-(4-メチルピペラジン-1-イル)-1H,1'H-2,5'-ビベンゾ[d]イミダゾール-2'-イル)フェノール)の合成
ヘキスト誘導体2は、ヒドロキシベンズアルデヒド誘導体として4-ヒドロキシベンズアルデヒドを用いて、上記の合成条件に従って合成した。収率55%;1H NMR (500 MHz, CD3OD) δ6.92-8.22 (10H), 3.19 (t, 4H, J = 5.0 Hz), 2.65 (t, 4H, J = 5.0 Hz), 2.35 (s, 3H); HRMS (FAB) m/z calcd. for C25H24N6O1([M]+) = 424.2012, found = 424.2010.
ヘキスト誘導体3(3,5-ジメトキシ-4-(5-(4-メチルピペラジン-1-イル)-1H,1'H-2,5'-ビベンゾ[d]イミダゾール-2'-イル)フェノール)の合成
ヘキスト誘導体3は、ヒドロキシベンズアルデヒド誘導体として2,6-ジメトキシ-4-ヒドロキシベンズアルデヒドを用いて、上記の合成条件に従って合成した。収率38%; 1H NMR (500 MHz, CD3OD) δ7.01-8.25 (6H), 6.20 (s, 2H), 3.76 (s, 6H), 3.20 (t, 4H, J = 4.5 Hz), 2.65 (t, 4H, J= 4.5 Hz), 2.35 (s, 3H); HRMS (FAB) m/z calcd. for C27H28N6O3([M]+) = 484.2223, found = 484.2228.
ヘキスト誘導体4(3,5-ジメチル-4-(5-(4-メチルピペラジン-1-イル)-1H,1'H-2,5'-ビベンゾ[d]イミダゾール-2'-イル)フェノール)の合成
ヘキスト誘導体4は、ヒドロキシベンズアルデヒド誘導体として2,6-ジメチル-4-ヒドロキシベンズアルデヒドを用いて、上記の合成条件に従って合成した。収率39%; 1H NMR (500 MHz, CD3OD) δ7.03-8.30 (6H), 6.61 (s, 2H), 3.22 (t, 4H, J = 4.5 Hz), 2.67 (t, 4H, J = 4.5 Hz), 2.37 (s, 3H), 2.10 (s, 6H); HRMS (FAB) m/z calcd. for C27H29N6O1([M + H]+) = 453.2403, found = 453.2399.
ヘキスト誘導体5(2,6-ジメチル-4-(5-(4-メチルピペラジン-1-イル)-1H,1'H-2,5'-ビベンゾ[d]イミダゾール-2'-イル)フェノール)の合成
ヘキスト誘導体5は、ヒドロキシベンズアルデヒド誘導体として3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンズアルデヒドを用いて、上記の合成条件に従って合成した。収率39%;1H NMR (500 MHz, CD3OD) δ7.00-8.20 (8H), 3.22 (4H), 2.73 (4H), 2.42 (s, 2H), 2.30 (s, 6H); HRMS(FAB) m/z calcd. for C27H29N6O1([M + H]+) = 453.2403, found = 453.2404.
ヘキスト誘導体6(2,6-ジイソプロピル-4-(5-(4-メチルピペラジン-1-イル)-1H,1'H-2,5'-ビベンゾ[d]イミダゾール-2'-イル)フェノール)の合成
ヘキスト誘導体6は、ヒドロキシベンズアルデヒド誘導体として3,5-ジイソプロピル-4-ヒドロキシベンズアルデヒドを用いて、上記の合成条件に従って合成した。収率58%;1H NMR (500 MHz, CD3OD) δ6.92-8.20 (8H), 3.16 (2H), 3.11 (4H), 2.55 (4H), 2.29 (s, 3H), 1.23 (12H); HRMS (FAB) m/z calcd. for C31H37N6O1([M + H]+) = 509.3029, found = 509.3028.
ヘキスト誘導体7(2,6-ジtertブチル-4-(5-(4-メチルピペラジン-1-イル)-1H,1'H-2,5'-ビベンゾ[d]イミダゾール-2'-イル)フェノール)の合成
ヘキスト誘導体7は、ヒドロキシベンズアルデヒド誘導体として3,5-ジtertブチル-4-ヒドロキシベンズアルデヒドを用いて、上記の合成条件に従って合成した。収率53%;1H NMR (500 MHz, CD3OD) δ7.00-8.25 (8H), 3.19 (4H), 2.68 (4H), 2.38 (s, 3H), 1.23 (s, 18H); HRMS (FAB) m/z calcd. for C33H41N6O1([M + H]+) = 537.3342, found = 509.3266.
ヘキスト誘導体8(3,5-ジメトキシ-4-(5-(4-メチルピペラジン-1-イル)-1H,1'H-2,5'-ビベンゾ[d]イミダゾール-2’-イル)フェノール)の合成
ヘキスト誘導体8は、ヒドロキシベンズアルデヒド誘導体として4-ヒドロキシ-ナフチルアルデヒドを用いて、上記の合成条件に従って合成した。収率60%;1H NMR (500 MHz, CD3OD) δ6.96-8.52 (12H), 3.23 (t, 4H, J = 4.5 Hz), 2.69 (t, 4H, J = 4.5 Hz), 2.38 (s, 3H); HRMS (FAB) m/z calcd. for C29H27N6O1([M + H]+) = 475.2246, found = 475.2231.
2.ヘキスト誘導体2−8の核酸への結合能の評価
ヘキスト誘導体2−8のATリッチ又はGCリッチdsDNAに対する結合アフィニティーを評価するために、これらのヘキスト誘導体の存在による融解温度の変化を測定した。
具体的には、まず、ヘキスト誘導体の存在下(4.15μM)又は非存在下で10mMトリス-HCl緩衝液(100 mM NaCl 含有、pH7.2)に、dsDNA(AT) (5'-CGAATTCG-3':配列番号39)又はdsDNA(GC) (5'-CGGGCCCG-3':配列番号40)(2.075μM double strand concentration)を溶解させた。得られた溶液を10分間脱気処理した。次いで、15−95℃の温度領域(heating rate of 1 ℃/min)での260nmの吸光度をモニタリングすることにより、熱変性プロフィールを得た。融解温度(Tm)は、吸光度と温度をプロットすることにより求め、転移の中心点を採用した。
得られた結果を表1に示す。ヘキスト誘導体の非存在下では、dsDNA(AT)及びdsDNA(GC)は、融解温度(Tm)がそれぞれ33.9 ± 0.6℃及び51.2 ± 0.2℃であった。また、ATリッチdsDNAに結合することが知られているヘキスト33258(ヘキスト誘導体2)の存在下では、ΔTmが11.7℃になりdsDNA(AT)の安定性が向上した。また、ヘキスト誘導体5及び8のdsDNA(AT)への結合アフィニティーは、ヘキスト33258(ヘキスト誘導体2)に比べて減弱化されていた。一方、ヘキスト誘導体3、4、6及び7は、dsDNA(AT)及びdsDNA(GC)の双方に対する結合アフィニティーが低かった。ヘキスト誘導体6及び7は、、DNA非存在下では蛍光発色しなかったのに対して、ヘキスト誘導体3及び4は、DNA非存在下でも水溶液中で蛍光を呈した。以上の結果から、ヘキスト誘導体7は最もdsDNA(AT)に対する結合アフィニティーが低かったので、ペアーを構成する色素化合物としてヘキスト誘導体7を選択した。
Figure 2009005594
3.ヘキスト誘導体7の標的DNAの選択
3−1.ビオチン結合ヘキスト誘導体7の合成
まず、以下の合成経路を経て、ビオチンを結合させたヘキスト誘導体7を合成した。各工程の具体的合成条件は、次の通りである。
Figure 2009005594
2-(2,6-ジtertブチル-4-ホルミルフェノキシ)アセテート(9)(化合物9)の合成
3,5-ジtertブチル-4-ヒドロキシベンズアルデヒド(1.5 g, 6.35 mmol)の乾燥DMF溶液20 mLに、メチルブロモアセテート(1.0 mL, 8.18 mmol)及びK2CO3(2.19 g, 15.9 mmol)を添加した。得られた溶液を窒素雰囲気で終夜還流させ、その後溶媒を留去した。得られた混合物をクロロホルムに溶解させ、水及びブラインで洗浄し、蒸留乾固させた。次いで、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)を用いて粗精製し、化合物9及び 3,5-ジtertブチル-4-ヒドロキシベンズアルデヒドの3:1の混合物を合計収率約10%で得た。この混合物を精製処理に供することなく、後述するカップリング工程に供した。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ9.90 (s, 1H), 7.78 (s, 1H), 4.36 (s, 2H), 3.83 (s, 3H), 1.43 (s, 18H).
ヘキスト誘導体7aの合成
ヒドロキシベンズアルデヒド誘導体として2-(2,6-ジtertブチル-4-ホルミルフェノキシ)アセテート(化合物9及び 3,5-ジtertブチル-4-ヒドロキシベンズアルデヒドの3:1の混合物)を使用し、上記ヘキスト誘導体と同条件で、ヘキスト誘導体7aを合成した。収率72%;1H NMR (500 MHz, CD3OD) δ6.82-8.20 (8H), 4.53(s, 2H), 3.78 (s, 3H), 3.15 (4H), 2.60 (4H), 2.30 (s, 3H), 1.42 (s, 18H).
ヘキスト誘導体7bの合成
ヘキスト誘導体7a(20mg)を1N NaOH(660μL)に溶解し、得られた溶液を室温で3時間撹拌した後、更に50℃で1時間撹拌を続けた。得られた溶液を1N HClで中和した。次いで、この溶液に、100 mM TEAA緩衝液(pH 7.0)の1200μLを添加し、これを13,000 rpmで5分間遠心分離して、上澄みを除去した。得られた固形物に100 mM TEAA緩衝液(pH 7.0)を1200μL加えてよく撹拌した後、13,000 rpmで5分間遠心分離した。上澄みを除去した後、凍結乾燥に供して、ヘキスト誘導体7bのTEAA塩の乾燥品を得た。収率約40%; 1H NMR (500 MHz, CD3OD) δ 7.07-8.30 (8H), 4.25(s, 2H), 3.42 (4H), 3.32(4H), 2.86 (s, 3H), 1.53 (s, 18H); HRMS (FAB) m/zcalcd. for C35H43N6O3 ([M + H]+) = 595.3397, found = 595.3391.
ヘキスト誘導体7cの合成
ヘキスト誘導体7bのTEAA塩(2mg)の乾燥DMF溶液800 μLに、1-エチル-3-(3'-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDCI, 6.4 mg, 0.034 mmol)、N-ヒドロキススクシンイミド(NHS, 3.9 mg, 0.034 mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(4.4 mg. 0.034 mmol)を添加し、窒素雰囲気下室温で1時間撹拌した。次いで、15 μL of Boc-アミノ-peg-アミン(Polypure, Norway, H2N(CH2CH2O)7CH2CH2NHBoc) を添加し、室温で10時間撹拌した。HPLCにより粗精製物を得、これを凍結乾燥して、ヘキスト誘導体7cを得た。
ヘキスト誘導体7dの合成
ヘキスト誘導体7cを500μLのCH3CNに溶解し、これに4N HClの酢酸エチル溶液500μLを混合した。得られた混合液を室温で1時間静置した後、窒素フラッシュにより有機溶媒を除去した。HPLCにより粗精製品を得、更に凍結乾燥を行ってヘキスト誘導体7d(2ステップで収率41%)を得た。ヘキスト誘導体7dの濃度は、ヘキスト誘導体2(ヘキスト33258)の吸光係数を用いて測定した。MALDI-TOF Mass m/z calcd. = 946.20 for ([M + H]+), found = 946.15.
ヘキスト誘導体7eの合成
ヘキスト誘導体7d(2.83 mM in H2O)の200μLに、水200μL、10× PBS緩衝液60μL、及びNHS-PEO4-ビオチン (Pierce, USA, Biotin(CH2)4CONHCH2CH2(OCH2CH2)4CO2Su) 2mgを添加して、室温で1時間インキュベートした。HPLCにより粗精製品を得、更に凍結乾燥を行ってヘキスト誘導体7eを得た。ヘキスト誘導体7eの濃度は、ヘキスト誘導体7dと同様の方法で測定した。収率71%;MALDI-TOF Mass m/z calc. for ([M + H]+) = 1419.81, found = 1419.75.
3−2.ヘキスト誘導体7e固定化磁気ビーズの製造
ストレプトアビジン被覆磁気ビーズ(Dynabeads M-280 Streptavidin, Invitrogen, USA) 1 mgを1.5mLチューブに移し、B&W緩衝液(10 mM Tris-HCl, pH 7.5, 1 mM EDTA 及び 2 M NaCl含有) 500 μLで1回洗浄し、次いで1× PBS 緩衝液(10 mM phosphate buffer, pH 7.4, 138 mM NaCl及び2.7 mM KCl含有)500μLで2回洗浄した。洗浄したビーズを、ヘキスト誘導体7e 500pmol含有する1× PBS緩衝液に再懸濁し、得られた混合液を室温で穏やかに撹拌しながら30分間インキュベートした。その後、0.05% PBST (1× PBS緩衝液、0.05% Tween 20含有)500μLで3回洗浄し、1× PBS緩衝液500μLに再懸濁し、4℃で保存した。
3−3.特定核酸のin vitro 選択
特定核酸のin vitro 選択は、Stoltenburg, R. et al(B. Anal. Bioanal. Chem. 2005, 383, 83.)及びMurphy, M. B. et al(Nucleic Acids Res. 2003, 31, e110.)の記載のプロトコールを参考しして実施した。まず、40個のランダムヌクレオチドを含む下記塩基配列の核酸からなる1本鎖DNAプール(合計76塩基長、約1015通りの1本鎖DNA)を、500μLのバインディング緩衝液[1× PBS (10 mM phosphate buffer、pH 7.4)、138 mM NaCl、2.7 mM KCl、5 mM MgCl2、及び0.05% Tween 20含有]500μLに入れて、90℃で10分間変性させた。
5´-ATACCAGCTTATTCAATT-(N)40-AGATAGTAAGTGCAATCT-3´(-(N)40-は、ランダムヌクレオチド配列を示す)
次いで、直ちに4℃で15分間冷却し、更に8分間室温で放置した。各ポジティブ選択(positive selection)の前に、ネガティブ選択(negative selection)を実施した。ネガティブ選択では、アニーリング後の1本鎖DNAライブラリーをストレプトアビジン被覆磁気ビーズ(1.0 mg、予め500μLのバインディング緩衝液で2回洗浄)に添加して、穏やかに撹拌しながら37℃で15分間インキュベートした。ストレプトアビジン被覆磁気ビーズに結合しなかったDNAを回収し、次のポジティブ選択に供した。回収したDNA溶液をヘキスト誘導体7e固定化磁気ビーズビーズ(0.1 mg、予め500μLのバインディング緩衝液で2回洗浄)と共に、穏やかに撹拌しながら37℃で30分間インキュベートした。次いで、ビーズを1000μLのバインディング緩衝液で3回洗浄した後、このビーズを溶出緩衝液(40 mM Tris-HCl、0.02% Tween 20、10 mM EDTA、及び3.5 M 尿素含有、pH 8.0)200μL中で80℃で7分間インキュベートすることにより、ビーズに結合しているDNAを溶出させた。この溶出工程は2回実施した。回収されたDNAをMicrocon YM-10 カラム (Millipore, USA)を用いて濾過することにより精製し、更に、下記の5’ビオチン標識プライマー及び5’蛍光標識プライマー(それぞれ最終濃度1.25μM)を用いてPCR(5 min at 94 ℃, 30 cycles of (1 min at 94 ℃, 1 min at 47 ℃, 1 min at 72 ℃) and 10 min at 72 ℃)にて増幅させた。
5'-biotin-labeled primer 5'-biotin-A20-HEG-AGATTGCACTTACTATCT-3'
5'-fluorescein-labeled primer 5'-FAM-ATACCAGCTTATTCAATT-3'
PCR溶液180μLを5M NaCl 46μLと混合し、これをストレプトアビジン被覆磁気ビーズ(1 mg、予め500μLのB&W緩衝液で2回洗浄)に加えて、室温で10分間インキュベートし、0.05% PBST 1000μLで3回洗浄した。洗浄したビーズを100 mMのNaOH水溶液100μL中に再懸濁し、室温で5分間インキュベートした。次いで、上澄み液を100 mMのリン酸カリウム緩衝液100μLを含む1.5mLのチューブに移した。この溶液に、0.05% PBST 800μLを添加し、5'蛍光標識1本鎖DNAプールを得た。回収された1本鎖DNAプールは、更に、上記と同様にネガティブ・ポジティブ選択に供した。このネガティブ・ポジティブ選択を9回行った。蛍光標識は、1本鎖DNAの量を測定するために用いた。セレクション選択の後、PCR増幅により1本鎖DNAは、2本鎖DNAに変換し、pDrive クローニングベクター(Qiagen, USA)内にクローン化して、通常の方法により配列を同定した。単離された40個のクローンの30個は、4つのファミリー(Class I-1, I-2, II, 及びIII、図1の(a)参照)に分類された。Class I-1には配列番号1及び2の塩基配列からなる核酸が含まれ、Class I-2には配列番号3の塩基配列からなる核酸が含まれ、Class IIには配列番号4及び5からなる核酸が含まれ、Class IIIには配列番号6の塩基配列からなる核酸が含まれていた。表面プラズモン共鳴分析を用いて、上記で得られた4つのファミリーのDNAの結合アフィニティーを測定したところ、いずれも固定化ヘキスト誘導体7eと解離乗数10μM以下であった。
次いで、ヘキスト誘導体7dの蛍光特性について評価した。まず、ヘキスト誘導体(200 nM)を200nM ODNの存在下又は非存在下でバインディング緩衝液に溶解した。この溶液を345nmで励起し、波長360−650nmで発光を測定した。蛍光の増強(Ion/Ioff:ODN非存在下での蛍光強度に対するODN存在下での蛍光強度の比)を、460nmの蛍光発光の強度を測定することにより求めた。この結果、ヘキスト誘導体7dの蛍光(励起波長365nm、発光460nm、200nM)は、4つのファミリーのDNAを添加した場合の全てにおいて、Ion/Ioff比が57〜178の範囲で増加した。これらのファミリーの中でもClass Iが、最も高いIon/Ioff比を示した。また、Class Iの中でも最も多かったClass I-1のDNA(配列番号1の塩基配列からなる核酸)を用いて更に以下の検討に供した。
3−4.発光性色素化合物と核酸のペアー
Class I-1のDNAの結合アフィニティーを表面プラズモン共鳴(SPR)分析により分析した。ビオチン標識ヘキスト誘導体7eをストレプトアビジン被覆SPRセンサーチップに固定した。このチップに、様々な濃度のClass I-1のDNA(配列番号1の塩基配列からなる核酸)(0.1〜10μM)をインジェクトしたところ、特有の結合(association)と解離(dissociation)のカーブが観察された(図1の(b)参照)。固定化ヘキスト誘導体7eに対するClass I解離乗数(Kd)は、878 nMであった。
蛍光強度の増強を測定することにより、選択的結合を更に検討した。ヘキスト誘導体7d(200nM)は、Class I-1のDNA (200nM)の存在下で160倍の蛍光強度の増強を示した(図1(c)参照)。これに対して、HP(AT)(配列番号20)の存在下では、蛍光強度の増強は強く抑制されてた(図1(c)参照)。
次に、Class I-1のDNAを短くして、更なる検討を行った(図2参照)。様々な長さに切り取られたClass I-1のDNAの蛍光強度の増強を測定することにより、Class I-1のDNA の5’側が結合に寄与しているドメインであることが分かった。総合的な検討によって、Class I-1のDNAを76塩基から25塩基の配列(配列番号7)にした(図2中、I-1-mini)。このDNAは、その末端に自己相補的配列を有しており、ヘアピン構造をとると予想される。25塩基に切り取られたDNAは、ヘキスト誘導体7dの蛍光強度を、Ion/Ioff比が191に増強させた。更に、DNAの塩基配列を検討するために、6つのDNA[loop-mod(配列番号21)、loop-mod2(配列番号39)及びstem-mod1-4(配列番号22〜25)]を調製し、蛍光強度の増強測定に供した。loop-mod及びloop-mod2のDNAは、単純化されたT7及びT17ループドメインを有しており、ヘキスト誘導体7dの蛍光をIon/Ioff比を、それぞれ0.08及び0.01にまで弱めた。従って、ループ領域は、ヘキスト誘導体7dの蛍光の増強に重要であることが分かった。また、ステム領域も重要である。3つの相補的な塩基を置換(stem-mod2;配列番号23)、ステム形成配列を欠失(stem-mod3;配列番号24)、及びステムとループ領域の連結部にGCペアーの付加(stem-mod1;配列番号22)を行うと、いずれも蛍光強度を、Ion/Ioff比を0.01〜0.12にまで減弱させた。一方、ステムとループ領域の連結部にTAペアーを付加しているstem-mod4(配列番号25)では、蛍光強度が半分以上維持されていた(Ion/Ioff比は0.61)。これらの結果から、蛍光強度の増強には、ヘキスト誘導体7dの芳香環領域の結合部位であるATリッチステムと、tertブチル基の収容スペースとなるループの組み合わせが、重要であることが示唆された。
3−5.バイナリーI-1-mini DNAによる核酸配列の検出
発光性色素化合物と核酸のペアーについて、塩基配列の核酸配列の検出に応用した。Kolpashchikov, D. M.(J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 12442.)のプライマーデザイン手法を参考にして、class I-1-miniのDNAをバイナリーDNA (5'-BinApt and 3'-BinApt)に分割して、核酸検出プローブにした。5'-BinApt(配列番号26)及び3'-BinApt(配列番号27)は、それぞれ9及び20ヌクレオチドのターゲット結合配列(配列番号26の塩基配列の第1〜9位の領域;配列番号27の塩基配列の第18〜37位の領域)を有している(図3のa)参照)。バイナリープローブは、ターゲット(配列番号28の塩基配列からなる核酸;図3のa)参照)が存在する場合にのみ、I-1-miniのDNAのコア構造を保存するように設計したので(図3のa)参照)、ターゲット配列の存在又は非存在を、ヘキスト誘導体7dの共存による蛍光強度の増強を測定することにより検出できる。図3のb)に、バイナリー5'-BinApt及び3'-BinApt (それぞれ200 nM)との共存下でのヘキスト誘導体7dの蛍光スペクトルを示す。フルマッチターゲットODN(200 nM, nがグアニンである配列番号28の塩基配列)の存在下では、ヘキスト誘導体7dの460 nmの蛍光強度は、それ単独の場合に比して143倍の増強が認められた(図3のC)のレーン1と3参照)。バイナリーDNAによる蛍光強度の増強は、ターゲットの非存在下では2倍しか認められなかった(図3のC)のレーン1と2参照)。それ故、フルマッチターゲットは、その蛍光によって容易に識別できる(図3のc)参照)。これらの結果は、相補的なターゲットの存在は、バイナリーDNAがヘキスト誘導体7dの蛍光を生じさせるのに寄与するヘアピン構造の構築に不可欠であることを示している。また、ループ形成配列が欠落しているバイナリーDNAである5'-BinApt2(配列番号29の塩基配列からなる核酸)及び3'-BinApt2(配列番号30の塩基配列からなる核酸)では、殆ど蛍光強度の増強が認められなかったので(図3のC)のレーン1と5参照)、バイナリーDNAにおけるフルループ領域は、検出に不可欠であるといえる。
また、バイナリーDNAの選択性についても試験した。ターゲットとして、1塩基ミスマッチODN (nがシトシンである配列番号28の塩基配列)を使用した際に、蛍光強度の増強は9倍しかなかった(図3のC)のレーン1と4参照)ことから、本バイナリーDNAプローブは、1塩基の識別が可能であることが分かった。
実施例2 ヘキスト誘導体7の標的RNAの選択
2−1.ヘキスト誘導体7e固定化磁気ビーズの製造
ストレプトアビジン被覆磁気ビーズ(Dynabeads M-280 Streptavidin, Invitrogen, USA) 2 mgを1.5mLチューブに移し、B&W緩衝液(10 mM Tris-HCl, pH 7.5, 1 mM EDTA 及び 2 M NaCl含有) 500 μLで1回洗浄し、次いで1× PBS 緩衝液(10 mM phosphate buffer, pH 7.4, 138 mM NaCl及び2.7 mM KCl含有)500μLで2回洗浄した。洗浄したビーズを、ヘキスト誘導体7e 1nmol含有する1× PBS緩衝液に再懸濁し、得られた混合液を室温で穏やかに撹拌しながら30分間インキュベートした。その後、0.05% PBST (1× PBS緩衝液、0.05% Tween 20含有)500μLで3回洗浄し、1× PBS緩衝液500μLに再懸濁し、4℃で保存した。
2−2.標的RNAのin vitro 選択
まず、in vitro transcriptionで転写・ゲル精製した31個のランダムヌクレオチドを含む下記塩基配列の核酸からなる1本鎖RNAプール(合計71塩基長)78μLに、72μLの1× PBS (10 mM phosphate buffer、pH 7.4)を加え、60℃で3分間変性させた後、室温に戻し10分インキュベートした。
5´-GGGTGATCAGATTCTGATCCA-(N)31-TGAAGCTTGGATCCGTCGC-3´(-(N)31-は、ランダムヌクレオチド配列を示す)
各ポジティブ選択(positive selection)の前に、ネガティブ選択(negative selection)を実施した。ネガティブ選択では、熱変性後の1本鎖RNAライブラリーをストレプトアビジン被覆磁気ビーズ(1 mg、予め500μLのバインディング緩衝液で2回洗浄)に添加して、穏やかに撹拌しながら37℃で15分間インキュベートした。ストレプトアビジン被覆磁気ビーズに結合しなかったRNAを回収し、次のポジティブ選択に供した。回収したRNA溶液をヘキスト誘導体7e固定化磁気ビーズ (0.1 mg、予め500μLのバインディング緩衝液で2回洗浄)と共に、穏やかに撹拌しながら37℃で15分間インキュベートした。次いで、ビーズを1000μLのバインディング緩衝液(PBST with 2.5 mM MgCl2)で3回洗浄した後、このビーズを溶出緩衝液(40 mM Tris-HCl、0.02% Tween 20、10 mM EDTA、及び3.5 M 尿素含有、pH 8.0)400μL中で室温で30分間インキュベートすることにより、ビーズに結合しているRNAを溶出させた。回収したRNA溶液400μLに、3 M 酢酸ナトリウム20μL、冷2-プロパノール420μLを加え、-20℃で30分間インキュベートした。次いで、30分間の遠心沈降(13200rpm、0 °C)を行った。得られたペレットに冷75% エタノール400μL を加え、-20℃で30分間インキュベート後、30分間の遠心沈降(13200rpm、0℃)を行った。ペレットを乾燥(SpeedVac for 30 min)させ、下記のプライマーを用いてRT-PCR(30 min at 50 ℃, 2 min at 94 ℃, 5〜16 cycles of (20 sec at 94 ℃, 20 sec at 55 ℃, 40 sec at 72 ℃) and 1 min at 72 ℃)にて増幅させた。
forward primer 5'-GTAATACGACTCACTATAGGGTGATCAGATTCTGATCCA-3'
reverse primer 5'-GCGACGGATCCAAGCTTCA-3'
One Step RT-PCR溶液 (TaKaRa)中に最終濃度0.2μMの各プライマーを添加したものを、RT-PCR溶液として使用した。RT-PCRによって増幅させたdsDNA templateを用いて転写(T7 MEGAshortscript)後、TURBO DNase処理、PCI処理、エタノール沈殿にて精製し、1本鎖RNAプールを得た。回収された1本鎖RNAプールは、更に、上記と同様にネガティブ選択、ポジティブ選択に供した。このネガティブ選択、ポジティブ選択を8回行った。セレクションの後、RT-PCR増幅によって得た2本鎖DNAを、pDrive クローニングベクター(Qiagen, USA)にクローン化して、通常の方法により32個のクローンを単離し、配列を同定した。単離された32個のクローンの25個は、3つのファミリー(Class I, II, 及びIII、図4a参照)に分類された。Class Iのクローンには配列番号31の塩基配列からなるDNAが含まれ、Class IIのクローンには配列番号32の塩基配列からなるDNAが含まれ、Class IIIのクローンには配列番号33〜35の塩基配列からなるDNAが含まれていた。即ち、本結果から、クラスIには配列番号8の塩基配列からなるRNA、クラスIIには配列番号9の塩基配列からなるRNA、及びクラスIIIには配列番号10〜12の塩基配列からなるRNAが含まれていることが分かった。
次いで、ヘキスト誘導体7dの蛍光特性について評価した。まず、ヘキスト誘導体(200 nM)を200nM ssRNAの存在下又は非存在下でバインディング緩衝液に溶解した。この溶液を345nmで励起し、波長360−650nmで発光を測定した。蛍光の増強(Ion/Ioff)を、460nmの蛍光発光の強度と比較することにより求めた。最も高いIon/Ioff比を示したClassIIのRNAを用いて更に以下の検討に供した。
2−3.発光性色素化合物と核酸のペアー
ClassIIのRNAの結合アフィニティーを表面プラズモン共鳴(SPR)分析により分析した。ビオチン標識ヘキスト誘導体7eをストレプトアビジン被覆SPRセンサーチップに固定した。このチップに、様々な濃度のClassIIのRNA(配列番号7)(0.01〜0.25μM)をインジェクトしたところ、特有の結合(association)と解離(dissociation)のカーブが観察された(図4の(b)参照)。固定化ヘキスト誘導体7eに対するClassIIの解離乗数(Kd)は、3.17 nMであった。
蛍光強度の増強を測定することにより、選択的結合を更に検討した。ヘキスト誘導体7d(200nM)は、ClassIIのRNA(配列番号9)(200nM)の存在下で12.4倍の蛍光強度の増強を示した(図4(c)参照)。
次に、ClassIIのRNAを短くして、更なる検討を行った(図6参照)。様々な長さに切り取られたClassIIのRNAの蛍光強度の増強を測定したところ、ClassII mini2のRNA(配列番号13)の蛍光強度の増強が認められたことから、ClassIIのRNAのステムループ部位が結合に寄与しているドメインであることが分かった。総合的な検討によって、ClassIIのRNAを71塩基から28塩基の配列にした(図6中、ClassII-mini3:配列番号14)。28塩基に切り取られたRNAは、Ion/Ioff比で10.1を示した。更に、RNAの塩基配列を検討するために、8つのRNA(配列番号15〜19及び36〜38)を調製し、蛍光強度の増強測定に供した。その結果、ClassII-mini3から1塩基変異を加えたClassII mini3-9(配列番号18)では、Ion/Ioff比が10.1が25.7に増強した。また、ClassII mini3-4(配列番号15)、ClassII mini3-6(配列番号16)、ClassII mini3-7(配列番号17)、及びClassII mini3-10(配列番号19)ではIon/Ioff比は増加しなかったものの、一定の蛍光増強を示した。
実施例1における結果、即ち(a)実施例1において選択された4つのファミリー(Class I-1, I-2, II, 及びIII)の核酸、(b)ヘキスト誘導体7e とClass I-1のDNA(配列番号1)の結合アフィニティーを表面プラズモン共鳴(SPR)分析した結果、及び(c) キスト誘導体7d とClass I-1のDNA(配列番号1)の存在下での蛍光強度の測定結果を示す。 実施例1において、Class I-1のDNAを短くした各種DNAを用いて、ヘキスト誘導体7dとの結合により生じる蛍光強度の増強を測定した結果である。図2中のrelative(Ion/Ioff)とは、Class I-1-miniのIon/Ioffを1とした場合の、それぞれのDNAのIon/Ioffの相対比を示す。 実施例1において、class I-1-miniのDNAから設計したバイナリーDNAを用いて、ヘキスト誘導体7dとの結合により生じる蛍光強度の増強を測定した結果を示す。 実施例2における結果、即ち(a)実施例1において選択された4つのファミリーのクローン(Class I, II, 及びIII)の核酸、(b)ヘキスト誘導体7e とClass IIのRNA(配列番号7)の結合アフィニティーを表面プラズモン共鳴(SPR)分析した結果、及び(c) キスト誘導体7d とClass IIのRNA(配列番号7)の存在下での蛍光強度の測定結果を示す。 実施例2において、Class IIのRNAを短くした各種RNAを用いて、ヘキスト誘導体7dとの結合により生じる蛍光強度の増強を測定した結果である。図5中のrelative又はRelとは、Class IIのRNAのIon/Ioffを1とした場合の、それぞれのRNAのIon/Ioffの相対比を示す。

Claims (27)

  1. 生体分子に対し親和性を示す環境応答性モチーフ分子を改変し、当該生体分子に対する親和性を低減させた環境応答性分子を作成する第1工程、及び
    第1工程で得られた環境応答性分子に対して特異的親和性を有する特定配列及び/又は構造を有する特定生体分子であって、前記環境応答性分子と複合体を形成した際に、当該環境応答性分子が応答を発する特定生体分子を選択する第2工程
    を含むことを特徴とする、
    特定生体分子と環境応答性分子とのペアーをスクリーニングする方法。
  2. 前記生体分子が核酸であり、
    前記環境応答性分子が、当該核酸の特定塩基配列に対して特異的親和性を有するものである、請求項1に記載の方法。
  3. 第1工程で使用される環境応答性モチーフ分子が、核酸染色剤である、請求項2に記載の方法。
  4. 前記核酸染色剤が核酸のAT配列またはGC配列の副溝に結合して蛍光を発する化合物である請求項3に記載の方法。
  5. 前記核酸染色剤が、ヘキスト33258、ヘキスト33342、ヘキスト34580、LDS751、7-AAD、ACMA、及びDAPIからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項3又は4に記載の方法。
  6. 前記第1工程において、環境応答性モチーフ分子の改変が、官能基の置換、付加、及び/又は欠失である、請求項1乃至5のいずれかに記載の方法。
  7. 前記第2工程において、核酸の選択を、SELEX及び/又は試験管内進化法により行う、請求項2に記載の方法。
  8. 前記環境応答性分子は前記生体分子に対する親和性以外の少なくとも一つの特性が前記環境応答性モチーフ分子と同等である請求項1乃至7のいずれかに記載の方法。
  9. 前記特性が蛍光特性である請求項8に記載の方法。
  10. 前記特性が細胞透過性である請求項8または9に記載の方法。
  11. 前記特性が細胞毒性である請求項8〜10のいずれかに記載の方法。
  12. 上記請求項1〜11のいずれかに記載の方法により選択された環境応答性分子であって、
    特定の核酸配列に特異的に結合し、該核酸配列に特異的に結合することにより応答性を示すことを特徴とする環境応答性分子。
  13. 下記一般式(1)で表される環境応答性分子
    Figure 2009005594
    [式中、R1〜R5は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、メルカプト基、水酸基、炭素数1〜5の炭化水素基の1つあるいは複数の炭素原子が窒素原子、酸素原子及び/又は硫黄原子で置換されていてもよい直鎖又は分岐状のアルキル基、炭素数1〜5の炭化水素基の1つあるいは複数の炭素原子が窒素原子、酸素原子及び/又は硫黄原子で置換されていてもよい直鎖又は分岐状のアルコキシ基、或いはアリール基を示す]
    を含有する、環境応答性試薬。
  14. R1とR5とが同じ置換基であり、R2とR4とが同じ置換基である請求項13に記載の環境応答性試薬。
  15. R1及びR5が水素原子であり、R2及びR4がターシャリーブチル基であり、R3が水酸基である、請求項13又は14に記載の環境応答性試薬。
  16. 下記(i)又は(ii)に記載の核酸からなるDNAアプタマー:
    (i) 配列番号1〜6のいずれかに示す塩基配列を含む核酸、
    (ii) 配列番号1〜6のいずれかに示す塩基配列に対して95%以上の相同性を示す塩基配列からなり、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、且つ一般式(1)で表される化合物が結合して蛍光を発する核酸。
  17. 配列番号7に示す塩基配列を含む核酸からなるDNAアプタマー。
  18. 配列番号1〜7のいずれかに示す塩基配列が2つに分割された断片化核酸をそれぞれ含む2つの核酸からなる、バイナリーDNAアプタマー。
  19. 配列番号7に示す塩基配列の第1〜n位の塩基配列(nは5〜20整数を示す)を含む第1核酸と、
    配列番号7に示す塩基配列の第n+1〜25位の塩基配列(nは前記と同じ)を含む第2核酸とを含む、請求項18に記載のバイナリーDNAアプタマー。
  20. 配列番号8〜12のいずれかに示す塩基配列を含む核酸からなるRNAアプタマー。
  21. 配列番号13〜19のいずれかに示す塩基配列を含む核酸からなるRNAアプタマー。
  22. 請求項7に記載の環境応答性試薬と、
    請求項16又は17に記載のDNAアプタマー或いは請求項18又は19に記載のバイナリーDNAアプタマーを含む、
    遺伝子検出用試薬キット。
  23. 請求項7に記載の環境応答性試薬と、
    請求項16又は17に記載のDNAアプタマーに標的遺伝子の少なくとも一部に相補的な塩基配列が連結されたプローブ、或いは請求項18又は19に記載のバイナリーDNAアプタマーに前記標的遺伝子の少なくとも一部に相補的な塩基配列が連結されたプローブを含む、
    遺伝子検出用試薬キット。
  24. 標的核酸の検出方法であって、
    請求項16又は17に記載のDNAアプタマーに標的遺伝子の少なくとも一部に相補的な塩基配列が連結されたプローブ、或いは請求項18又は19に記載のバイナリーDNAアプタマーに前記標的遺伝子の少なくとも一部に相補的な塩基配列が連結されたプローブと、標的核酸を含むサンプルとを、ハイブリダイズ可能な条件下で接触させる工程、
    標的核酸にハイブリダイズした前記プローブを請求項15に記載の環境応答性試薬を用いて検出する工程
    を含む、方法。
  25. 前記プローブが、
    請求項16又は17に記載のDNAアプタマーの5’末端に、標的核酸の少なくとも一部に相補的な塩基配列の3’末端側を連結したプローブ又は
    請求項16又は17に記載のDNAアプタマーの3’末端に、標的核酸の少なくとも一部に相補的な塩基配列の5’末端側を連結したプローブである、
    請求項24に記載の方法。
  26. 前記プローブが、標的核酸の少なくとも一部に相補的な塩基配列が分断された5’末端側の部分配列1と3’末端側の部分配列2とをそれぞれ含む2つのプローブからなり、
    当該部分配列1の3’末端に、前記バイナリーDNAアプタマーを構成する2つの核酸の一方の5’末端が連結されてなるプローブ1と、
    当該部分配列2の5’末端に、前記バイナリーDNAアプタマーを構成する2つの核酸の一方の3’末端が連結されてなるプローブ2を含み、
    プローブ1及び2が標的核酸にハイブリダイズした際に、前記バイナリーDNAアプタマーと前記環境応答性試薬とが複合体を形成し、該環境応答性試薬が応答を発する請求項24に記載の方法。
  27. 目的遺伝子のプロモーター配列の制御下におかれるように請求項20又は21に記載のRNAアプタマーをコードする配列が組み込まれている組み換え発現ベクターを導入した細胞又はトランスジェニック非ヒトほ乳動物に、請求項15に記載の環境応答性試薬を導入して、応答の有無により目的遺伝子の発現を判定することを特徴とする、目的遺伝子の発現判定方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012070649A (ja) * 2010-09-28 2012-04-12 Katayanagi Institute Dapoxyl又はその類縁体に結合するDNAアプタマー及びその使用方法
US10118920B2 (en) 2015-04-20 2018-11-06 Cellcentric Ltd Isoxazolyl substituted benzimidazoles
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