JP2008543281A - 肝臓星状細胞特異的プロモーターおよびその使用 - Google Patents

肝臓星状細胞特異的プロモーターおよびその使用 Download PDF

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Abstract

グリア原線維酸性タンパク質(GFAP)のプロモーター領域の2.2kb断片を含む肝臓星状細胞(HSC)における導入遺伝子発現を遂行するための方法および試薬であって、前記構築物は、用量および時間依存的様式でTGF-βなどの前炎症性サイトカインによってアップレギュレートされる方法および試薬、並びにその使用。
【選択図】図4

Description

関連出願についての相互参照
本出願は、2005年6月9日に出願された米国仮出願第60/688733号からの優先権を主張し、これは、参照により完全に援用される。
発明の分野
本発明は、一般に、肝臓星状細胞(HSC)における導入遺伝子発現を遂行するための方法および試薬、トランスジェニックHSC、並びに抗線維特性をもつ化合物を同定するための試薬に関する。
肝臓星状細胞(HSC)は、以前にIto細胞、脂質細胞、類洞周囲細胞または類洞周囲脂質細胞としても知られており、最も一般的には成人肝臓の類洞領域に見いだされる少数の細胞タイプ(総肝細胞のおよそ5〜8%)である。HSC発見の基礎的病理生物学および歴史は、他で概説されている(Burt, (1999), J Gastroenterol. 34(3):299; Sato et al. (2003), Cell Struct Funct. 28(2):105)。HSCの主要な生理機能は、脂肪の貯蔵、ビタミンA摂取および代謝、並びに細胞外基質タンパク質の産生を含む。過去10年において、HSCは、肝臓傷害の間の防御の開始、並びに前線維性サイトカインを過剰産生し、その結果として細胞外基質(ECM)分子を過剰産生することによる肝臓線維形成の媒介に結び付けられていた。HSCは、たとえば肝線維症、肝硬変、門脈圧高進および肝臓癌などの多数の臨床的に重要な状態の発病において役割を果たすと考えられる(Geerts (2004), J. Hepatol. 40(2):331)。それ故、HSCは、抗線維療法の開発のための標的にもなった(Bataller et al., (2001), Semin Liver Dis. 21(3):437; Bataller et al., (2005), J. Clin Invest. 115(2):209; Friedman (2003), J. Hepatol. 38 Suppl 1:S38)。
HSCの活性化は、線維形成における主要なイベントである。活性化の間に、静止ビタミンAを貯蔵している細胞は、増殖性の、線維形成性の、炎症誘発性の、および収縮性の「筋線維芽細胞」に変換される(Friedman (2003), J. Hepatol. 38 Suppl 1:S38; Bataller et al. (2005), J. Clin Invest. 115(2):209; Cassiman et al. (2002), J. Hepatol. 36(2):200)。HSC活性化は、細胞機能の進行性の変化に関与する連続に沿って進行する。インビボにおいて、活性化されたHSCは、移動して組織修復部位に蓄積し、大量のECM成分を分泌してECM分解を調節する(Cassiman et al. (2002), J. Hepatol. 36(2):200)。インビトロおよびインビボでの療法におけるHSC認識は、伝統的に抗体で同定されてきた。最初に、ラットにおける肝臓スライスの星形細胞および骨格筋原線維を染色するために、ニワトリデスミン(中間径フィラメント)に対するポリクローナル・ウサギ抗体が使用された(Yokoi et al. (1984), Hepatology. 4:709)。ラットにおける肝臓線維症を調査するために、ビメンチン(もう一つの中間径フィラメント)および平滑筋-α-アクチン(SMAA)に対するさらなる抗体がその後に使用された(Bhunchet et al. (1992), Hepatology. 16:1452; Baroni et al. (1996), Hepatology. 23(5):1189)。組織および細胞特異性は乏しいにもかかわらず、これらの3つのマーカー(デスミン、ビメンチンおよびSMAA)は、HSCを同定するための一般的な一群であった。また、グリア原線維酸性タンパク質(GFAP)も、HSCのためのマーカーであることが示されていた(Buniatian et al. (1996), Eur J Cell Biol. 70(1):23; Levy et al. (1999), Hepatology 29(6):1768; Cassiman et al., (2002), J. Hepatol. 36(2):200; Xu et al. (2005), Gut. 54:142)。
細胞特異的プロモーターは、これらがインビトロまたはインビボのいずれにおける細胞の特異的亜集団またはサブセットの標的遺伝子の発現を駆動する可能性について、遺伝子工学に関与する者から多大な関心をもたれている。
いくつかのプロモーターでは、これらがインビトロおよびインビボでHSCにおいて関心対象の遺伝子を特異的に発現する能力に関して調査されている。これらのプロモーターには、ヒト・コラーゲンα1((ColI; Slack et al. (1991), Mol Cell Biol. 11(4):2066; Brenner et al. (1993), Hepatology 7(2):287; Yata et al. (2003), Hepatology 37:267)、SMAA(Magness et al. (2004), Hepatology 40:1151)、LIMドメインタンパク質CRP2(CSRP2)、コラーゲン分解酵素阻害-1(TIMP-1)および平滑筋特異的22kDaタンパク質(SM22α)((Bahr et al. (1999), Hepatology 29(3):839; Herrmann et al. (2004), Liver International 24: 69)が含まれる。
アストロサイトでは、ヒトGFAP(hGFAP)プロモーターの断片が、インビトロおよびインビボにおいて機能的に結合された導入遺伝子の発現を駆動することが示された。非アストロサイト細胞におけるこのプロモーター断片の活性は、あまり予測できないことが示された。信頼はできないが、該プロモーター断片は、トランスジェニックマウスのMuller細胞においてlacZを発現しており、このことは、Muller細胞がプロモーター断片に含まれるもの以上の調節エレメントを必要とし得ることを示唆している(Brenner (1994), J Neurosci. 14: 1030)。シュワン細胞では、内因性GFAPプロモーターの転写開始点が、アストロサイトにおける転写発動因子部位から169ヌクレオチド上流にある(Feinsten et al. (1992) J. Neurosci Res. 32(1):1)。さらに、シュワン細胞は、内因性GFAPを発現することが公知であると共に、信頼できないものの、これらの細胞は、hGFAP-LacZトランスジェニックマウスに分類(labeled)される(Zhuo (1997), Developmental Biology 187:36)。
発明の概要
本発明者らは、本明細書において、hGFAP遺伝子から2.2kbのプロモーター断片をHSCにおける導入遺伝子発現を駆動するために使用してもよいこと、およびさらに、この発現は、前線維形成因子に応答してアップレギュレートされることを報告する。これらの結果は、hGFAP遺伝子由来の2.2kbのプロモーターがHSC特異的発現を駆動することができることだけでなく、該プロモーターがHSCにおける導入遺伝子転写の誘導の役割を担うさらなる制御配列を含むことを証明する。
したがって、HSC細胞においてトランスジェニック産物を選択的に発現するための方法が提供される。トランスジェニック産物は、HSCを同定するため、またはインビトロもしくはインビボにおいて肝線維症を調整するために使用してもよい。
GFAPプロモーターに作動可能に結合されたマーカー分子を含むベクターは、インビボまたはインビトロにおいてHSCを同定するために有用であろう。GFAPプロモーターに作動可能に結合された導入遺伝子を含む単離されたトランスジェニックHSCは、線維形成に影響を及ぼし、減少させ、または阻害し得る因子のインビトロまたはインビボでのスクリーニングを含む、肝臓線維形成を研究するアッセイ法に使用してもよい。
一つの側面において、肝臓星状細胞においてトランスジェニック産物を発現するための方法であって、トランスジェニック産物をコードするDNA配列に作動可能に結合されたグリア原線維酸性タンパク質プロモーターを含むベクターを肝臓星状細胞にトランスフェクトすることを含み、グリア原線維酸性タンパク質プロモーターは、配列番号1に記載された配列からなるか、または配列番号:1に記載された配列の対立遺伝子変異体もしくは誘導体である方法が提供される。
もう一つの側面において、単離されたトランスジェニック肝臓星状細胞であって、グリア原線維酸性タンパク質プロモーターに作動可能に結合された導入遺伝子を含み、プロモーターは、配列番号:1に記載された配列または配列番号:1に記載された配列の対立遺伝子変異体もしくは誘導体からなる細胞が提供される。
もう一つの側面において、抗線維性薬剤を同定する方法であって、本発明によって単離されたトランスジェニック肝臓星状細胞を提供することと;導入遺伝子の第1の発現レベルを検出することと;単離されたトランスジェニック肝臓星状細胞を試験化合物に対して曝露することと;導入遺伝子の第2の発現レベルを検出することと;および第1の発現レベルと第2の発現レベルを比較することとを含み、これにより、第2の発現レベルよりも大きい第1の発現レベルは、試験化合物が抗線維性試薬であることを示す方法が提供される。
もう一つの側面において、肝線維症に関連した障害を治療するための、グリア原線維酸性タンパク質プロモーターに作動可能に結合された治療的産物をコードするDNA配列を含むベクターの使用であって、グリア原線維酸性タンパク質プロモーターは、配列番号1に記載された配列からなるか、または配列番号:1に記載された配列の対立遺伝子変異体もしくは誘導体である使用が提供される。
もう一つの側面において、肝線維症に関連した障害を治療するための医薬の製造のための、グリア原線維酸性タンパク質プロモーターに作動可能に結合された治療的産物をコードするDNA配列を含むベクターの使用であって、グリア原線維酸性タンパク質プロモーターは、配列番号1に記載された配列からなるか、または配列番号:1に記載された配列の対立遺伝子変異体もしくは誘導体である使用が提供される。
もう一つの側面において、肝線維症に関連した障害を治療するための、グリア原線維酸性タンパク質プロモーターに作動可能に結合された治療的産物をコードする配列を含むベクターであって、グリア原線維酸性タンパク質プロモーターは、配列番号1に記載された配列からなるか、または配列番号:1に記載された配列の対立遺伝子変異体もしくは誘導体であるベクターと生理学的な担体とを含む医薬品製剤が提供される。
さらにもう一つの側面において、被験体における肝線維症に関連した障害を治療する方法であって、被験体に対してトランスジェニックHSCの有効量を投与することを含み、前記トランスジェニックHSCは、治療的産物をコードする導入遺伝子を含み、導入遺伝子は、グリア原線維酸性タンパク質プロモーターに作動可能に結合されており、およびプロモーターは、配列番号1に記載された配列からなるか、または配列番号:1に記載された配列の対立遺伝子変異体もしくは誘導体である方法が提供される。
さらにもう一つの側面において、グリア原線維酸性タンパク質プロモーターに作動可能に結合された治療的産物をコードする配列を含むベクターであって、グリア原線維酸性タンパク質プロモーターは、配列番号1に記載された配列からなるか、または配列番号:1に記載された配列の対立遺伝子変異体もしくは誘導体であるベクターと被験体の肝線維症に関連した障害を治療するための説明書とを含むキットが提供される。
本発明のその他の側面および特色は、以下の本発明の具体的態様の記述を添付の図と組み合わせて総説することにより、当業者に明らかになるであろう。
詳細な説明
本発明者らは、驚くべきことに、ヒトGFAPプロモーターの断片がHSCにおいて活性であることを発見した。より具体的には、hGFAP遺伝子(アクセッション番号M67446)のヌクレオチド-2163〜+47(配列番号:1)に対応する2.2kbの断片は、ラットT6 HSC細胞において導入遺伝子発現を駆動することができるが、HepG2肝細胞、C3A細胞(HepG2のクローン誘導体)またはHeLa細胞においてはできない。HSC細胞培養において、hGFAPプロモーターに作動可能に結合された導入遺伝子の発現は、前線維性因子、トランスフォーミング成長因子-β1(TGF-β1)、血小板由来成長因子-BB(PDGF-BB)およびリポ多糖(LPS)により、用量依存的様式で誘導される。
HSC特異的な導入遺伝子発現を遂行するための方法であって、GFAPプロモーターに作動可能に結合された導入遺伝子を含むベクターをHSC細胞にトランスフェクトすることを含む方法が今回提供される。
本明細書に使用される、「発現」は、HSCにおける導入遺伝子の転写産物のいずれか検出可能なレベルをいう。当業者によって理解されるであろうとおり、転写レベルは、導入遺伝子mRNAの量を測定する直接的方法、たとえばノーザンブロティングまたは定量的RT-PCRによって決定してもよい。あるいは、導入遺伝子発現は、導入遺伝子mRNAから翻訳されるタンパク質産物の光学的、比色的(coulorometric)、蛍光発生的、免疫原性の、または酵素的特性を測定することによって間接的に測定してもよい。たとえば、β-ガラクトシダーゼなどのリポーター遺伝子の活性は、色素生産性基質5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-BD-ガラクトピラノシド(X-gal)を使用して公知のアッセイ法によって決定してもよい。あるいは、導入遺伝子発現は、公知の免疫学的方法、たとえばウエスタン分析によって決定してもよい。
本明細書に使用される「導入遺伝子」は、外来性DNAコード配列をいう。導入遺伝子は、トランスフェクト細胞においてタンパク質またはポリペプチド産物に翻訳することができるmRNAをコードしていてもよい。導入遺伝子のコード領域は、隣接していてもよく、または1つもしくは複数のイントロンを含んでいてもよい。当業者によって理解されるであろうとおり、導入遺伝子が細菌またはウイルスの供与源に由来する場合、導入遺伝子のコドン優先度は、標的HSCのものに最適化してもよい。
本明細書に使用される、「トランスフェクトすること」は、外来性核酸がHSCに導入される何れかの過程をいい、ウイルスによる方法およびウイルスによらない方法を含む。ウイルスによる方法の例は、当業者に公知であろうし、たとえばレンチウイルスベクターの投与を含む。また、ウイルスによらないトランスフェクション方法も当業者に公知であろうし、たとえば裸のプラスミド、DEAE-デキストラン、リン酸カルシウム共沈、微量注入、電気穿孔法、ヌクレオフェクション(nucleofection)(Amaxa)リポソームを媒介したトランスフェクション、非リポソーム脂質製剤、カチオン脂質およびポリカチオン性重合体を含む。ウイルスによらないトランスフェクション試薬およびプロトコルの多くは、市販されており、当業者に公知であろう。具体的態様において、トランスフェクションは、製造業者によって提供される使用法にしたがって、リポフェクトアミン(商標)2000(Invitrogen)によって遂行してもよい。その他の態様において、トランスフェクションは、製造業者によって提供される使用法にしたがって、FuGene(商標)(Roche)によって遂行してもよい。
当業者であれば、どのようにトランスフェクトされたHSCを同定するかを知っているだろう。たとえば、トランスフェクトされた核酸が、薬物に対する細胞耐性を与える選択可能なマーカーをコードする場合、その薬物に対して細胞を曝露することによって形質移入体を同定してもよい。たとえば、Zeo(登録商標)選択可能なマーカーをコードする核酸をトランスフェクトした細胞は、Zeocin(商標)を含む培地に細胞を曝露することによって同定してもよい。安定なトランスジェニックHSC株は、薬物の濃度を増加させることと、およびより高い薬剤濃度にて適切な期間(これは、とりわけ細胞の増殖速度に依存するであろう)トランスフェクト細胞を維持することによって選択してもよい。いくつかの例では、安定なトランスフェクトされた株化細胞は、少なくとも6週の薬物選択の後に得られるであろう。
あるいは、トランスフェクトされたHSCは、蛍光マーカータンパク質、たとえばGFPまたは任意のその蛍光発生誘導体を発現する場合、トランスフェクトされた細胞は、たとえば蛍光標示式細胞分取器(FACS)などの光学的方法によって選択してもよい(Yata et al. (2003), Hepatology. 37:267)。たとえばサザン解析および/またはPCR増幅などの核酸ハイブリダイゼーションに基づいたトランスフェクタントを同定するその他の方法も当業者に公知であろう。本明細書に使用される「HSC」は、肝臓から単離された一次(primary)肝臓星状細胞(または、細胞群)、並びに一次HSCをインビトロで継代した細胞を含む。一次HSCを単離するための方法は、たとえばFriedman (1992), Hepatology 12:3234 and Cassiman (1999), Am. J. Pathol. 155(6): 1831) に記述されたものが当業者に公知であろう。前後関係から他に指示しない限り、本明細書に使用される「HSC」は、静止HSCおよび活性化されたHSCの両方を含む。活性化されたHSCは、たとえばコーティングしてないプラスチック基質上で一次HSCを培養することによるなどの、公知の方法によって得てもよい。
一次HSCは、肝臓から単離してもよいが、このアプローチは、一般にHSCが低収率であること、その他の細胞タイプが頻繁に存在することおよび一次HSCのトランスフェクション効率が低い(すなわち<1%)ことによって制限される(Xu et al (2005), Gut. 54:142)。また、本明細書に使用される「HSC」は、たとえば不死化されたラットHSC-T6細胞などのモデルHSCに由来する細胞または細胞群を含む。ラットHSC-T6細胞は、それらの線維芽細胞様の形状に反映される活性化された表現型、培養における迅速な増殖、並びにデスミン、SMAA、GFAPおよびビメンチンの発現を示す(Vogel et al.(2000)J Lipid Res. 41(6):882)。その他のHSCに由来するモデル株化細胞は、当業者に公知であろうし、たとえばヒトLX-1またはより好ましくはLX-2株化細胞を含む(Xu et al.(2005)Gut. 54:142)。LX-1およびLX-2株化細胞は両方とも、SMAAおよびGFAPを含む、活性化されたHSCの多数のマーカーを発現し、LX-2株は、30%を上回るトランスフェクション効率を有することが示されている。HSC-T6、LX-1およびLX-2細胞は、Matrigel(商標)における増殖によって、または低血清培地における培養によって不活性化してもよい(Xu et al.(2005)Gut. 54:142)。具体的態様において、HSCは、HSC-T6である。
第1の核酸配列は、第2の核酸配列と、それらの配列が機能的関係に置かれた場合に、作動可能に連結される。たとえば、コード配列は、プロモーターがコード配列の転写を活性化する場合に、プロモーターに作動可能に連結されている。同様に、プロモーターおよびエンハンサーは、エンハンサーが作動可能に連結された配列の転写を増加させる場合に、作動可能に連結されている。エンハンサーは、プロモーターから分離された場合に機能することもあり、したがって、エンハンサーは、プロモーターに作動可能に連結されていてもよいが、隣接していなくてもよい。しかし、一般に、作動可能に結合された配列は、隣接する。
当業者によって理解されるであろうとおり、GFAPプロモーター配列および作動可能に結合された導入遺伝子は、一般により大きなDNAベクター内に含まれるであろう。ベクターは、ベクターの組込み、選択、複製または操作が可能なさらなるエレメントを含んでいてもよい。たとえば、ベクターは、たとえばそれぞれG-418およびZeocin(商標)に対する細胞耐性を与え得るネオおよびZeo(登録商標)遺伝子などの選択マーカーを含んでいてもよい。その他の選択マーカーが当業者に公知であろう。また、その他のさらなるエレメントも当業者にまた公知であろうし、たとえばマルチクローニングサイト(MCS)およびたとえばウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナル配列(BGHpA)などの転写終結配列を含む。
ベクターは、直鎖状でも、または環状でもよく、環状の場合、高次コイルであってもよい。当業者に公知であろうとおり、染色体組込みの効率は、直鎖状ベクターを提供することによって増強してもよいが、エピソームトランスフェクションは、高次コイルDNAより効率的であろう。直鎖状ベクターは、公知の方法によって、たとえば適切な制限エンドヌクレアーゼでの切断によって環状ベクターから調製してもよい。
一つの態様において、GFAPプロモーターは、hGFAP遺伝子のヌクレオチド-2163〜+47に対応する2.2kbの断片を含む(Besnard et al. (1991), J Biol Chem. 266(28): 18877; Brenner et al. (1994), J Neuroscl 14: 1030; Zhuo et al. (1997), Developmental Biology 187:36)。付随的な実施例によって、より完全に詳述したように、この2.2kbのhGFAPプロモーター断片は、HSCにおいて導入遺伝子発現を指揮することができ(しかし、HepG2またはHeLa細胞においてはできない)、公知の線維形成因子によって誘導される。
具体的態様において、2.2kbのhGFAPプロモーター断片は、以下の配列[配列番号:1]を有する。
Figure 2008543281
その他の態様において、GFAPプロモーターは、何れかの天然に存在する、または操作された配列、すなわち2.2kbのhGFAP配列の対立遺伝子変異体もしくは誘導体である。本明細書に使用される対立遺伝子変異体または誘導体は、1つまたは複数のヌクレオチド付加、置換および欠失を含むが、HSC細胞における選択的導入遺伝子発現を指揮する能力を保持する配列が想定される。たとえば、異なる態様において、GFAPプロモーターは、HSC特異的発現を指揮する能力を保持する2.2kbのhGFAPプロモーターのより小さな断片に対応してもよい。また、hGFAPプロモーターの対立遺伝子変異体は、その他の生物体に由来する天然に存在する相同配列またはHSC選択的導入遺伝子発現を指揮する能力を保持するこれらの対立遺伝子変異体もしくは誘導体を含む。HSC特異的発現を指揮する対立遺伝子変異体または誘導体を同定するための方法は当業者に公知であり、たとえば欠失マッピングにより行われる。
さらにその他の態様において、GFAPプロモーターは、2.2kbのhGFAPプロモーター配列の全てもしくは一部に作動可能に結合された1つまたは複数の異種エンハンサーエレメントを含む組換えハイブリドプロモーター、またはこれらの対立形質変異体もしくは誘導体であり、但しハイブリッドプロモーターがHSCにおける発現を選択的に指揮することができることを条件とする。この文脈において、選択的遺伝子発現は、HSCにおいて作動可能に結合された導入遺伝子の発現を指揮することができるが、たとえば肝細胞などの非HSC肝細胞においてはできないプロモーターをいう。
ハイブリッドプロモーターにおけるエンハンサーエレメントは、たとえばヒトサイトメガロウイルス由来のエンハンサーエレメントなどの公知のエレメントから選択してもよく、またはエンハンサートラップ・アッセイ法などの公知の方法によって(thorough)同定される新規エレメントであってもよい。
ハイブリドプロモーターは、たとえばSambrook et ah (2001) Molecular Cloning: a Laboratory Manual, 3rd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press)に記載されているような当該技術分野において公知の標準的分子生物学および分子クローン技術を使用して合成してもよい。理解されるように、「組み換え」という用語は、核酸分子または構築物をさすときは、異種の核酸配列が再結合されたことを意味し、その結果、組換え核酸分子に対する言及は、分子生物学的技術によって共に連結されたか、または産生された核酸配列で構成される分子をいう。
種々の態様において、GFAPプロモーター変異体および誘導体は、これらが、適度なまたはストリンジェントな条件下でhGFAPプロモーターの全部または一部にハイブリダイズするという点で、実質的に相同的であってもよい。適度にストリンジェントな条件下でのフィルター結合した配列に対するハイブリダイゼーションは、たとえば0.5M NaHPO4、7%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、1mM EDTA注で、65℃にて行い、および0.2×SSC/0.1%のSDS中で42℃にて洗浄してもよい(Ausubel, et al. (eds), 1989, Current Protocols in Molecular Biology, Vol. 1, Green Publishing Associates, Inc., and John Wiley & Sons, Inc., New York, at p. 2.10.3を参照されたい)。あるいは、ストリンジェントな条件下でのフィルター結合した配列に対するハイブリダイゼーションは、たとえば0.5M NaHPO4、7% SDS、1mM EDTA 中で65℃にて行って、0.1×SSC/0.1% SDS中で68℃にて洗浄してもよい(Ausubel、et al.(eds)1989、上記を参照されたい)。ハイブリダイゼーション条件は、関心対象の配列に応じて、公知の方法に従って修飾してもよい(Tijssen, 1993, Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology -- Hybridization with Nucleic Acid Probes, Part I, Chapter 2 "Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid probe assays", Elsevier, New Yorkを参照されたい)。一般に、ストリンジェントな条件は、定義されたイオン強度およびpHにて、特異的配列についての熱的融点よりも約5℃低いように選択される。ストリンジェントなハイブリダイゼーションは、たとえば5×SSCおよび50%のホルムアミド中で42℃にて行い、および0.1×SSCからなる洗浄液緩衝液中で65℃にて洗浄してもよい。ストリンジェントなハイブリダイゼーションのための洗浄液は、たとえば少なくとも15分、30分、45分、60分、75分、90分、105分または少なくとも120分で行ってよい。
また、配列間の相同性の程度は、配列を至適に整列したときの同一性の割合として表してよく、これは配列間の完全一致の発生率を意味する。Smith and Waterman, 1981, Adv. Appl. Math 2: 482の局所的相同性アルゴリズム、Needleman and Wunsch, 1970, J. MoI. Biol. 48:443の相同性整列アルゴリズム、Pearson and Lipman, 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85: 2444の類似法の検索(the search for similarity method)、およびこれらのアルゴリズムのコンピュータ化された実施態様(Wisconsin Genetics Software Package、Genetics Computer Group、Madison、WI、U.S.A.におけるGAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTAなど)など、同一性の比較のための配列の最適な整列は、種々のアルゴリズムを使用して行ってもよい。また、配列整列は、Altschul et al., 1990, J. MoI. Biol. 215:403-10に記述されたBLASTアルゴリズムを使用することにより(公開されたデフォルトの設定を使用して)行ってもよい。BLAST解析を行うためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Informationを介して(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/にてインターネットを介して)利用できるであろう。種々の態様において、変異体および誘導体は、このようなアルゴリズムを使用して決定すると少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%または少なくとも99%同一であってもよい。種々の態様において、導入遺伝子は、インビトロおよび/またはインビボにおけるHSCの同定のために有用であろうマーカー分子をコードしていてもよい。種々の態様において、マーカー分子は、マーカータンパク質である。
マーカー分子は、その発現が決定されるであろう何れかの分子である。マーカー分子は、その発現が、たとえばRT-PCRなどの核酸ハイブリダイゼーションに基づいた公知の方法によって決定されるであろうRNAであってもよい。しかし、一般に、マーカー分子は、マーカータンパク質である。本明細書に使用される「マーカータンパク質」は、たとえば緑色蛍光タンパク質(GFP)などのその発現および/または細胞小器官局在化が容易に決定されるであろうタンパク質をいう。その他、たとえば青、シアン、緑および黄緑色および赤の蛍光タンパク質をコードするDNAベクターが市販されている(Clonetch)。その他のマーカータンパク質が当業者に公知であろう。異なる態様において、マーカータンパク質は、特異的基質を提供すること、および酵素の代謝回転産物を検出することにより、発現が容易に決定されるであろう酵素であってもよい。酵素マーカータンパク質の例には、たとえばβ-ガラクトシダーゼおよびルシフェラーゼを含む。その他の酵素のマーカータンパク質が当業者に公知であろう。その他の態様において、マーカータンパク質は、その発現が免疫学的に、たとえばマーカータンパク質またはこれらの断片を特異的認識し、および結合する標識された抗体を提供することによって検出されるであろういずれのタンパク質であってもよい。抗体は、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体であってもよく、たとえば蛍光色素での標識化および蛍光顕微鏡によるマーカータンパク質の発現の検出などの当該技術分野において公知の方法にしたがって、直接または間接的に標識してもよい。たとえば免疫金染色、放射標識および比色(colourometric)酵素沈澱を含むその他の免疫学に基づいた検出方法も当業者に公知であろう。特定の態様において、マーカータンパク質は、β-ガラクトシダーゼである。
その他の態様において、GFAPプロモーターに作動可能に結合された導入遺伝子は、治療的産物をコードする。本明細書に使用される「治療的産物」は、疾患予防、治療に関与するRNAもしくはタンパク質、または疾患予防もしくは治療に関与する細胞調整効果を有するRNAもしくはタンパク質などの、臨床有用性を有するいずれの発現産物も含む。治療的産物は、タンパク質もしくはペプチドを含むポリペプチド、リボザイム、siRNA、アンチセンスRNAまたはミクロRNAであってもよい。
治療的産物は、たとえば肝硬変、C型肝炎感染、B型肝炎感染、アルコールもしくは肥満症に関連した脂肪肝炎、血色素症、ウィルソン病、原発性胆汁性肝硬変(PBC)および非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を含む肝線維症を生じるか、もしくは関連している疾患または障害における臨床有用性を有してもよい。
種々の態様において、治療的産物は、抗線維性ポリペプチドである。種々の抗線維性ポリペプチドが当業者に公知であろう。いずれの特定の理論にも限定されないが、抗線維性ペプチドは:(a)たとえばTNF-αアンタゴニストおよびインターロイキン10(IL-10)など、HSC活性化の刺激を回避するために炎症を減少させること;(b)たとえばγ-インターフェロンおよび肝細胞増殖因子(HGF)など、HSC活性化を直接ダウンレギュレートすること;(c)可溶性同族の受容体断片を含むPDGF、FGFまたはTGFαに対するアンタゴニストなど、星状細胞の増殖性、線維形成性、収縮性または炎症誘発性の反応を中和すること;(d)たとえばBCL-xLまたはFasなど、HSCアポトーシスを誘導すること;または(e)たとえばマトリックス・メタロプロテアーゼ-8(MMP-8)など、ECM分解を誘導することによって線維症を減少させても、または阻害してもよい。
具体的態様において、治療的産物は、IL-10である。その他の治療的産物が当業者に公知であろうし、たとえばSmad 7遺伝子の産物、並びにSmad 3、Smad 4およびTGFRのドミナントネガティブ対立遺伝子の産物を含む。Smadタンパク質のドミナントネガティブ形態が公知であり、リン酸化部位においてセリンをアラニンに置換することによって、たとえばSSXS部位をAAXAに置換することによって、作製してもよく、式中Xは、任意のアミノ酸を表す。また、TGFRのドミナントネガティブ形態も当業者に公知であろう。その他の治療的産物には、たとえば血小板由来成長因子受容体(PDGFR)およびジフテリア(Diptheria)毒素のドミナントネガティブ対立遺伝子を含む。
当業者によって理解されるであろうとおり、「ドミナントネガティブ対立遺伝子」は、その発現が、野生型対立遺伝子の発現産物の生物学的効果を阻害するか、または減少させる対立遺伝子である。いずれの特定の理論にも限定されないが、ドミナントネガティブ対立遺伝子産物は、野生型対立遺伝子産物と不活性ヘテロマー複合体を形成するであろう。
その他の態様において、治療的産物は、siRNAである。siRNAは、一般に、遺伝子発現の選択的抑制が可能な、同族mRNAの転写後サイレンシングを行うことができる二本鎖の19〜22ヌクレオチド配列である。一般に、およびいずれの特定の理論にも限定されないが、siRNA治療的産物の配列は、サイレンスを行おうとする遺伝子のmRNAの一部に対して相補的である。たとえば、siRNAは、TGF-β1をコードするmRNAとハイブリダイズするようにデザインされていてもよい。HSC細胞は、肝臓線維症におけるTGF-β1の最も重要な供与源であり、TGF-βを阻害することにより、マトリックス産生を阻害し、およびその分解を促進し得る(Freidman (2003), J Hepatol. 38 Suppl 1:S38)。その他の態様において、siRNAは、α1(I)コラーゲンmRNAに対してハイブリダイズするようにデザインされていてもよい。HSCにおけるα1(I)コラーゲン発現の増加は、主に転写後メカニズムを介して媒介されることが示されており、α1(I)コラーゲンmRNAの半減期は、静止細胞における1.5時間から、活性化されたHSCにおける24時間を超えるまで増加する。さらにその他の態様において、siRNAは、血小板由来増殖因子(PDGF)またはフィブロネクチン、ラミニンおよびインテグリンなどの細胞外基質分子をコードする核酸に対してハイブリダイズするようにデザインされていてもよい。
siRNAをデザインするための指針は、当業者に公知であり、または特定の標的にハイブリダイズするようにデザインされたsiRNAは、商業的に得られるであろう(Ambion、Qiagen)。たとえば、3' UUジヌクレオチド・オーバーハングをもつsiRNAは、RNA干渉(RNAi)の誘導に、より有効であることが多い。siRNAをデザインする際のその他の考慮すべき問題は、当業者に公知であろう。
また、種々の本発明の側面にしたがってGFAPプロモーターに作動可能に結合された導入遺伝子を含む単離されたHSCが想定される。異なる態様に従ったトランスジェニックHSCは、線維形成、肝線維症を研究するために、または抗線維症遺伝子療法を開発するために使用してもよい。一部の態様において、トランスジェニックHSC細胞は、トランスジェニックラットHSC-T6細胞であり、特定の態様において、トランスジェニックHSC細胞は、T6/lacZ/C1である。
本明細書に使用される「単離された」とは、その他の細胞型が存在するまたは存在しない状態の、インビトロ培養でのトランスジェニックHSCをいう。
その他の態様において、マウストランスジェニックHSC以外の、本発明の種々の側面に従ったトランスジェニックHSCが想定される。
また、抗線維試薬のためのインビトロおよび/またはインビボでのスクリーニングのための方法であって、推定上の抗線維薬の存在下および非存在下で、トランスジェニックHSCにおいてGFAPプロモーターに作動可能に結合されたトランスジェニックマーカータンパク質の発現レベルを検出することを含む方法が、今回提供される。次いで、2つの発現レベルを比較して、マーカータンパク質の発現が薬剤の存在下において減少され、またはなくなる場合に、抗線維薬が同定される。導入遺伝子発現レベルは、公知の方法によって、たとえば上記の方法などによって検出してもよい。
同様に、当業者であれば、インビトロもしくはインビボでのスクリーニング法にしたがってスクリーニングに使用される抗線維薬の濃度を知っているか、またはルーチン的に決定することができる。スクリーニングに使用される抗線維薬の適切な量は、とりわけ抗線維薬の性質に依存する。当業者であれば、たとえば数桁以上をスクリーニングすることによって適切な濃度範囲を決定することを知っているであろうし、より強力な抗線維薬ほど、より低い濃度にて導入遺伝子の発現レベルを減少させるであろうことを理解するであろうろう。
もう一つの態様において、たとえば肝硬変、門脈圧高進肝臓癌、C型肝炎感染、B型肝炎感染、PBC、NASH、血色素症、ウィルソン病またはアルコールおよび肥満症と関連している脂肪肝炎を含む肝線維症によって特徴づけられるか、または生じる障害を治療するための方法が提供される。
本方法は、本発明の種々の側面にしたがって、被験体に、HSC特異的hGFAPプロモーターに作動可能に結合された治療的産物をコードする核酸を投与することを含む。特定の態様において、hGFAPプロモーターは、配列番号:1の2.2kbのプロモーター断片である。ある態様において、治療的産物は、抗線維性分子であり、具体的態様において、抗線維性ポリペプチドである。
被験体は、哺乳類および特にヒト被験者を含むこのような治療を必要とするいずれの被験体でもある。
HSCに特異的に核酸分子を送達するために、核酸は、当該技術分野において公知の方法によって、たとえば、たとえば門脈、肝静脈または胆管などの肝臓の輸入管および輸出管を経た治療的遺伝子の水力学的送達によって送達してもよい。
インビボにおいて核酸分子を哺乳動物細胞に導入するための方法は、公知であり、本発明の核酸ベクターを被験体に投与するために使用してもよい。核酸は、DNAの直接注射、受容体を媒介したDNA取込み、ウイルスを媒介したトランスフェクションまたは非ウイルス脂質に基づいたトランスフェクションによってHSCに送達してもよい。核酸ベクターは、微小粒子照射によって、たとえば市販の「遺伝子銃」(BioRad)を使用して投与してもよい。
核酸分子は、所望の結果、たとえばHSCにおける治療的導入遺伝子の発現を達成するような量で投与される。たとえば、核酸は、治療的産物の十分な量を発現し、障害の進行、治療の頻度および、必要ならば、同時治療型を遅らせることを含む、軽減し、緩和し、寛解させ、阻害し、安定化し、改善し、予防するような量で送達してもよい。
投与を助けるために、核酸分子は、医薬組成物中の成分として処方してもよい。組成物には、ルーチン的に塩、緩衝剤、防腐剤および種々の適合性担体または希釈剤の薬学的に許容される濃度を含んでいてもよい。すべての送達形態については、核酸分子は、生理食塩液中に処方してもよい。
薬学的に許容される希釈剤の比率および同一性は、選ばれた投与経路、核酸分子との適合性、適切なときは生ウイルスとの適合性および標準的薬務によって決定される。一般に、医薬組成物は、核酸の生物学的性質を有意に障害しない成分と共に処方される。適切な媒体および希釈剤は、たとえばRemington’s Pharmaceutical Sciences (Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Easton, Pa., USA 1985)に記述されている。
核酸分子の溶液は、生理的に適切な緩衝液中に調製してもよい。通常の貯蔵条件および使用下で、これらの製剤には、微生物の増殖を防げるための保存剤を含むが、これは核酸分子を不活性化せず、または分解しない。当業者であれば、どのように適切な製剤を調製するかを知っているだろう。適切な製剤の選択および調製のための従来の手順および成分は、たとえばRemington’s Pharmaceutical Sciencesに、および1999年に公開されたThe United States Pharmacopeia: The National Formulary (USP 24 NF19)に記述されている。
注射用の使用のために適した医薬組成物の形態は、無菌水性の溶液または分散剤および無菌の注射用溶液または分散剤を即座に調製するための無菌の粉末を含むが、無菌という用語は、投与される核酸分子を含むであろういずれの生ウイルスにも及ばない。全例において、形態は、無菌でなければならず、また簡単に注射器に入れることができる(syringability)程度の液体でなければならない。
もう一つの態様において、肝臓線維症によって特徴づけられる又は生じる障害を治療するための方法であって、その必要のある被験体に対して本発明の種々の側面に従ったトランスジェニックHSCを投与することを含み、トランスジェニックHSCは、治療的産物をコードする導入遺伝子を含む方法が提供される。
被験体は、たとえば肝硬変、門脈圧高進、肝臓癌、C型肝炎感染、B型肝炎感染(PBC)、NASH、血色素症、ウィルソン病またはアルコールおよび肥満症と関連した脂肪肝炎を含む、肝臓線維症によって特徴づけられ又は生じる障害に罹患しているあらゆる被験体であり、このような治療を必要とするものである。患者は、哺乳類、特にヒトを含むいずれの動物であってもよい。
トランスジェニックHSCの有効量は、外科的移植によって、または被験体の肝臓に、もしくは近くに注射することによるものを含む、当該技術分野に公知の方法を使用して被験体に投与してもよい。本明細書に使用される「有効量」という用語は、所望の結果を達成するために、たとえば特定の障害を治療するために必要な投薬量にて、および期間にて、有効な量を意味する。投与される総トランスジェニックHSCの数は、とりわけ治療される障害または疾患、投与様式、患者の年齢および健康、並びに治療的産物の発現レベルに応じて変更される。
HSC特異的GFAPプロモーターを含むプロモーターに作動可能に結合された治療的産物をコードするコード配列を含む発現ベクターを含む、本明細書に記述した種々の核酸分子構築物を含むキットおよび市販のパッケージ、あるいは本明細書に記述したような医薬組成物を含むキットおよび市販のパッケージが想定される。また、このようなキットまたは市販のパッケージは、含まれる核酸分子または医薬組成物の使用、たとえば肝臓-線維症関連障害を治療するための使用に関する説明書、またはHSCにおける発現産物を発現するための説明書を含む。
本明細書において言及した全ての文書は、参照により完全に援用される。
当業者には理解することができるように、本明細書に記述された例示的態様に対して、多くの変更が可能である。このような変更は、実質的に同一方法で実質的に同一結果を達成するための、任意の本発明の側面についての公知の均等物の置換を含む。むしろ、本発明は、特許請求の範囲によって定義されるとおりの、その範囲内の全てのこのような変更を包含することが意図される。
材料および方法
2.2kbのhGFAP-lacZ導入遺伝子の構築
プラスミドベクターpcDNA4/TO/LacZ(Invitrogen、CA, USA)をクローニングバックボーンとして使用した。これは、大腸菌(E. coli)β-ガラクトシダーゼをコードする配列およびZeocin耐性遺伝子を提供する。この実験に使用した2.2kbのヒトGFAPプロモーターは、元来はインビトロ(Besnard et al. (1991), J Biol Chem. 266(28):18877)およびインビボ(Brenner et al. (1994), J Neurosci. 14: 1030)の両方におけるそのアストロサイト特異的発現に関してマップされた。pcDNA4/TO/lacZベクターのCMVTetO2プロモーターを2.2kbのGFAPプロモーターと置き換えて、これをBglII/HindIII消化によってもう一つの導入遺伝子GFAP-GFP-S65T(Zhuo et al.(1997), Developmental Biology 187:36)から切除した。プロモーター/コード領域連結部配列をDNAシーケンシングによって検証した。生じる9.5kbのプラスミド(図1に図示したとおり)は、我々のベクター保管所においてpcDNA4/GFAP2.2-LacZと命名した。
株化細胞および培養条件
ラットHSC-T6株化細胞(Vogel et al. (2000), J Lipid Res. 41(6):882)は、Alex Hui博士(Chinese University of Hong Kong)を介してNew YorkのMount Sinai School of Medicine のScott Friedman博士から寛容に贈呈された。HepG2、C3A(HepG2のクローナル誘導体)、HeLaおよびNIH/3T3は、ATCC(American Type Culture Collection VA、USA)に由来した。C6は、JCRB(Japanese Collection of Research Bioresources, Osaka, Japan)に由来した。すべての細胞培地および試薬は、特に明記しない限り、Invitrogen(Carlsbad、California、USA)から購入した。すべての株化細胞は、10% FBSおよび1mlあたり100単位ペニシリン/100マイクログラム ストレプトマイシンを補ったDMEM(ダルベッコ修正イーグル培地)(完全DMEM)中で37℃にて5%のCO2の加湿雰囲気においてルーチン的に培養した。細胞は、週2回、トリプシン処理(0.05%のトリプシン/0.53mM EDTA)によって1:3の比にルーチン的に分けた。
細胞トランスフェクションおよび安定な選択
T6、C6およびHeLa細胞には、製造業者(Invitrogen、CA, USA)によって提供される説明書にしたがってリポフェクトアミン2000キットを使用して直線化した0.5〜1.0μgのプラスミドベクターを安定にトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後、培地を交換し、後述したとおりのさらなるアッセイを行う前の少なくとも6週間、選択のための250〜500μg/mlのZeocin(商標)を補充した。安定なトランスフェクト細胞を維持するための終濃度は、500μg/ml Zeocin(商標)であった。あるいは、HepG2、C3AおよびNIH/3T3には、FuGene 6キット(Roche Diagnostics)を使用して環状プラスミドを一過性にトランスフェクトした。
導入遺伝子のゲノムの検出
安定なトランスフェクタントのゲノム内への導入遺伝子完全性および組込みを確認するために、NucleoSpin血液キット(Macherey & Nagel, Duren, Germany)を使用して、500μg/ml Zeocin選択下で少なくとも2月間、安定な細胞クローンからゲノムDNAを単離した。ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)ストラテジーを使用して、フォワードプライマー5'-ACTCCTTCATAAAGCCCTCG-3'[配列番号:2](GFAPプロモーターに対して相補的)およびリバースプライマー5'-AACTCGCCGCACATCTGAACTTCAGC-3'[配列番号:3](lacZコード配列に対して相補的)で、挿入された構築物の構造保全を検証した。Platinum PCR SuperMix High fidelity (Invitrogen, CA, USA)を使用して、サーマルサイクラーでのDNA増幅を行った。PCR産物は、0.5×TAE緩衝液中でのRunOne電気泳動系(EmbiTec、CA, USA)において1%のアガロースゲルで解析した。終了したゲルをAlphaDigiDocフォトシステム(Alpha Innotech、CA, USA)で記録した。予想されるPCR産物は、944bpのサイズであった。
RT-PCR GFAP-lacZ転写物
総細胞RNAは、製造業者の説明書にしたがってNucleoSpin RNAIIキット(Macherey-Nagel, Duren, Germany)を使用することにより、6穴プレート中で培養した細胞から抽出した。RNA濃度は、ND-100分光光度計(Nanodrop Technologies、DE、USA)で決定した。50ナノグラムの総RNAを使用して、ユーザーズ・マニュアルにしたがってワンステップRT-PCR(Qiagen、Hilden、Germany)を行った。使用したプライマーは、以下の通りであった:フォワード5’-TCAGCTTGGAGTTGATCCCGTCG-3’[配列番号:4] およびリバース5’-AACAAACGGCGGATTGACCGTAATGG-3’[配列番号:5]。反応条件は、50℃30分(cDNA)合成、95℃15分(変性)、94℃10秒、55℃10秒、72℃19秒を35サイクル(PCR)であった。産物サイズ(337bp)は、3%のアガロースゲル中で検証した。β-アクチン(332bp)を参照として使用された。
固定細胞におけるβ-ガラクトシダーゼ活性のX−gal染色
細胞染色(InvivoGen、CA, USA)のためのlacZリポーターアッセイキットを使用して、安定および一過性の両方の形質移入体におけるリポーター遺伝子活性を検出した。青い最終産物の発色を種々の時間的間隔(15、30、60、90、および120分)にてモニターした。染色結果は、デジタルカメラ(DP12)をオリンパス倒立明視野顕微鏡(IX51)に装着して記録した。
細胞抽出物におけるβ-ガラクトシダーゼ活性の定量的溶液アッセイ法
図4〜10において報告した細胞抽出物中のβ-ガラクトシダーゼ活性を定量化するために、製造業者の説明書にしたがって酵素アッセイキット(E2000、Promega、WI、USA)を使用して、96穴形式で、β-ガラクトシダーゼの比活性を測定した。簡潔には、細胞を1×PBS緩衝液(pH7.4)で2回洗浄し、リポーター溶解緩衝液で室温にて15分間溶解して、細胞スクレーパーを使用して収集した。総細胞抽出物を適切に希釈し(5〜10倍)、酵素活性についてアッセイした。特異的β-ガラクトシダーゼ活性は、標準的β-ガラクトシダーゼから確立した標準曲線(キットと共に提供された)を使用してミリリットルあたりのミリ単位(mU/ml)で表した。タンパク質濃度は、BCAタンパク質アッセイキット(Pierce、IL、USA)で測定して、特異的β-ガラクトシダーゼ活性をmU/mlからmU/μg総細胞タンパク質にさらに変換するために使用した。6回の独立した実験をそれぞれの時間および濃度データポイントについて行った。
TGF-β1、PDGF-BBおよびLPS Cellでの細胞の処理
細胞を完全DMEMおよび500μg/ml Zeocin中の12穴プレートに播種した。サイトカイン処理の12時間前に、細胞を低血清(0.5% FBS)DMEM中で培養させるために培地を交換した。70〜80%コンフルエンスの細胞を種々の濃度(0、0.1、1および10ng/ml)の組換えヒトTGF-β1、PDGF-BB(BioVision, CA, USA)、並びに0、0.1、1および10μg/mlのリポ多糖(LPS、大腸菌(E. coli)、Sigma)と共に、それぞれに0、2、8、16、24、48および72時間インキュベートした後、これらをβ-ガラクトシダーゼ活性アッセイ法およびリアルタイムRT-PCR GFAPアッセイ法のために収集した。
内因性ラットGFAP mRNAのためのリアルタイムRT-PCR
総RNAは、Taqman逆転写試薬を使用してcDNAに逆転写した(Cat. # N808-0234)。合計400ngのRNAの合計7.7μlのヌクレアーゼフリー水溶液を2μlの10X逆転写酵素緩衝液、4.4μlの25mM塩化マグネシウム、4μlのデオキシNTP混合物、1μlのランダムヘキサマー、0.4μlのRNase阻害剤および0.5μlの逆転写酵素(50U/μl)に20μlの最終反応体で添加した。反応は、25℃にて10分(アニーリング)、48℃にて30分(cDNA合成)および95℃にて5分(酵素変性)の間行った。
リアルタイム定量的PCRは、ABI 7500 Real Time PCR System(Applied Biosystems、CA, USA)で行った。1マイクロリットルの試料cDNAを、それぞれのPCR反応において、規準化のための参照としてのハウスキーピングβ-アクチン遺伝子と共に使用した。ラットβ-アクチンおよびGFAPのためのプライマー並びにプローブは、Taqmanアッセイ-オンデマンド・データベースから購入した。PCR反応は、50℃2分間(UNG活性化)、95℃10分間(酵素変性)および40サイクルの増幅(変性15秒、アニーリングおよび伸長60秒)からなるデフォルト・プロフィール下で行った。
標的mRNAの相対的定量化は、User Bulletin #2 (ABI Prism 7700 Sequence Detection System)に記載されているように比較閾値サイクル(CT)法を使用して算出した。CTは、増幅される標的の量が遺伝子増幅の直線期内の固定された閾値に到達する部分サイクル数を示す。CT標的とCTβ-アクチンとの間の相違を反映するΔCTは、試料におけるmRNA転写物の存在量に逆相関される。それぞれの試料についてのΔCTを対照実験またはキャリブレーターに対して規準化して、ΔΔCTと表した。相対的定量化では、対照と比較した処理下での標的遺伝子のアップレギュレーションまたはダウンレギュレーションを表すために2-ΔΔCTによって示される。6回の独立した実験をそれぞれのデータポイントについて行い、3回のΔCTをそれぞれの実験について測定した。
統計解析
全ての定量的結果は、平均±SEして示した。実験データを、両側スチューデントt検定を使用して解析して不等分散を推定した。P値≦0.05を統計学的に有意であるとみなした。
トランスジェニックGFAP-GFマウスおよび免疫組織化学
トランスジェニックGFAP-GFPマウスの産生および遺伝子タイピングは、前述したように行った(Zhuo (1997), Developmental Biology 187:36)。マウスを0.1Mリン酸緩衝液塩類溶液(PBS、pH 7.4)および4% パラホルムアルデヒドで灌流した。肝臓を収集して、4℃にて30%のショ糖中に一晩浸漬させた。次いで、クリオスタット(Leica Microsystems、Germany)を使用して、肝臓を凍結切片に包埋させた。GFPおよびGFAP免疫染色のためには、マウス抗GFPモノクローナル抗体(Clontech、USA)およびウサギ抗GFAPポリクローナル抗体(DakoCytomation、Denmark;Z-0334)を使用した。凍結切片を0.15Mの1×PBS中で5分間洗浄し、続いて0.1%(v/v)Triton X-100および10% 非免疫ヤギ血清を含むPBSのブロッキング溶液中で4℃にて4時間インキュベートした。次いで、凍結切片を0.15Mの1×PBS中で3回それぞれ15分間洗浄した。次いで、肝臓切片を抗GFP抗体(1:200)および抗GFAP抗体(1:200)と共に0.01%(v/v)のTriton X-100および1%の非免疫ヤギ血清を含む1×PBS中で4℃にて一晩インキュベートした。1×PBS中での3×15分すすぎの後、切片をFITC(Sigma Chemicals、USA)抱合ヤギ抗マウスIgGおよびTexas-赤(Abcam、U.K.)抱合ヤギ抗ウサギIgGと共に0.01%(v/v)のTriton X-100および1%の非免疫ヤギ血清を含むPBS中にて1:100希釈にて室温で2時間インキュベートした。1×PBS中で3×15分のすすぎの後に、切片を10マイクロリットルの蛍光培地にカバーガラスして、共焦点レーザー走査顕微鏡(Olympus、Japan)で撮影した。
結果
GFAP-lacZでの非GFAP発現株化細胞の一過性トランスフェクション
いくつかの一般に使用される非GFAP発現株化細胞における2.2kbのhGFAP-lacZ導入遺伝子の考えられるあらゆる異常な発現があるかどうかを調査するために、本発明者らは、ポジティブ対照としてCMV-lacZプラスミド(Invitrogen)を用いて、円形の導入遺伝子で3種の株化細胞(HepG2、C3AおよびNIH/3T3)を一過性にトランスフェクトした。トランスフェクト細胞を選択薬剤のない完全DMEM培地中で2日間成育させた後、全3種の株化細胞をX-gal染色法によってβ-ガラクトシダーゼの発現について調べた。CMV-lacZをトランスフェクトした3種の株のそれぞれにおいて、およそ10〜30%細胞が2時間のX-gal染色後に青い染色を示した(lacZ発現の指標)。これに対して、GFAP-lacZをトランスフェクトした3つの株のいずれにおいても、1つの細胞も何らの青い染色を示さなかった。これは、これらの株化細胞におけるGFAPプロモーターによって駆動されるlacZ発現が全くないことを示す。全3種の株化細胞についての2回の独立した実験からの代表的イメージを図2に示してある。X-gal染色の24時間後、HepG2由来の少数の細胞がトランスフェクトした群およびトランスフェクトしていない群の両方において同様に青い色を示し(データ示さず)、導入遺伝子とは無関係である内因性ガラクトシダーゼ様活性を指し示している。青い細胞は、トランスフェクトしたC3AおよびNIH/3T3において観察されなかった。
導入遺伝子発現の安定な株化細胞トランスフェクション、選択および細胞特異性
GFAPプロモーターが特異的に肝臓星状細胞型において遺伝子発現を指揮することができるかどうかは、未知であった。本発明者らは、ラットアストロサイトC6株化細胞およびヒトHeLa株化細胞をそれぞれポジティブおよびネガティブ対照として使用してGFAP-lacZ導入遺伝子をラット肝臓星状株化細胞T6に安定にトランスフェクトすることによって、この可能性を試験することに決めた(Vogel et al. (2000), J Lipid Res. 41(6):882)。少なくとも6週間の250〜500mg/mlのZeocin中での選択後、いくつかの独立した安定な細胞クローンがそれぞれの株化細胞について得られた。その後、ゲノムDNAを解析のためにPCRによって単離して、導入遺伝子完全性および宿主ゲノム内への良好な組込みについて調べた。PCR結果は、944bpの予想される産物サイズの存在によって証明されるように(図3A)、すべての株化細胞において無傷の導入遺伝子組込みを確認した。さらにまた、総RNAを安定なトランスフェクタントから単離して、lacZ転写物について検証するためにRT-PCRを行った。337bpの予測されるサイズにおける特異的バンドの存在により、ポジティブ対照C6株において、およびさらに重要なことに我々の標的T6株でも同様にlacZ転写を示したが、ネガティブ対照株HeLaでは示さなかった(図3B)。β-アクチン試料は、等量のRNA添加のための対照として図3Cに示してある。次に、3種の株化細胞のそれぞれから1つのクローンを、1時間のX-gal染色のためにランダムに選択した。図4に示したように、C6およびT6細胞は、ポジティブであり、HeLaは、青色染色がネガティブであった。したがって、初めて、GFAPに基づいたリポーター遺伝子が、肝臓星状株化細胞において特異的に発現することが示された。今後、2.2kbのhGFAP-lacZ導入遺伝子が安定にトランスフェクトされたT6細胞クローン(T6/lacZ/C1クローンと命名した)は、下記に記述した追実験のために使用した。
本発明者らの最高の知識の限りでは、これは、GFAPプロモーターが、内因性GFAPが発現するのと同様の様式で、肝臓星状細胞タイプにおける導入遺伝子発現を特異的に指揮することができるという最初の報告である。我々の複数の細胞タイプのトランスフェクション結果に基づいて、2.2kbのhGFAPプロモーターは、HSC特異的な、インビトロにおける前線維性の誘発可能な発現を与えるために十分であった。
TGF-β1、PDGF-BBおよびLPSで治療されるT6/lacZ/C1細胞のX-gal染色
活性化されたHSCにおける前線維性および炎症誘発性の特性をもつ分子によるGFAP-lacZ発現の可能性ある誘導を決定するために、T6/lacZ/C1細胞を完全DMEM培地中において種々の濃度(0、0.1、1および10ng/ml)のTGF-β1、PDGF-BBおよびLPSのそれぞれで72時間処理した。次いで、細胞を1時間X-galで染色して撮影した。未処置のものと比較したときに、前線維性のTGF-β1(図5)および炎症誘発性LPS(図7)で処理した細胞は、より強度の青色染色を0.1〜10ng/mlから示し、その一方で、前増殖性PDGF-BB(図6)は、あまりはっきりした反応を示さなかった。真に定量的なデータを得るために、溶液アッセイ法を使用して、下記の実験においてTGF-β1によるβ-ガラクトシダーゼ活性の起こりうるアップレギュレーションを測定した。
サイトカイン処理を伴わないT6/lacZ/C1およびC6/lacZ/C4におけるβ-ガラクトシダーゼ活性の定量化
β-ガラクトシダーゼ活性アッセイキット(Promega、WI、USA)を使用して、ネガティブ基礎対照として非トランスフェクトT6を用いて、T6/lacZ/C1クローンにおける導入遺伝子発現レベルを測定した。完全DMEM培地中で70〜80%コンフルエンスまで増殖したときに、T6/lacZ/C1細胞では、正常T6細胞のものの約5倍の、およそ0.5mU/μgの平均読み(reading)を得た。T6細胞における基礎読みは、サイトカインまたはLPS(データ示さず)の添加による影響を受けなかった。比較目的のために、2.2kbのhGFAP-lacZ導入遺伝子を含むランダムに選択したC6クローン(C6/lacZ/C4と命名した)におけるβ-ガラクトシダーゼ活性は、T6/lacZ/C1細胞におけるものの3倍の、約2mU/μgの活性を有することが測定された。TGF-β1(0〜10ng/ml)と共にインキュベートしたときに、C6/lacZ/C4細胞では未処置の対照の130〜200%の誘導動態を得た。同様の条件下で、T6/lacZ/C1は、類似の結果を示した(下記のデータを参照されたい)。これらのデータは、サイトカインにより導入遺伝子誘導を定量化するための現在のアッセイ法の使用を確認した。
TGF-β1刺激に応答する時間および用量依存的なβ-ガラクトシダーゼ活性
TGF-β1に応答する特異的導入遺伝子を定量化するために、本発明者らは、最初に血清中濃度および培養期間が導入遺伝子発現に対して有するであろう起こりうる効果を評価するための実験をセットアップした。T6/lacZ/C1細胞を最初に、高血清(10% FBS)でのDMEM中で培養し、次いで、一部の細胞を、TGF-β1(1ng/ml)の添加の前に12時間、低血清(0.5% FBS)でのDMEMによって欠乏させた。種々の時間(0、2、8、24、48および72時間)でのインキュベーション後、細胞をβ-ガラクトシダーゼ活性アッセイ法のために収集した。驚くべきことに、導入遺伝子発現は、12時間のあいだに、単に10%〜0.5%まで血清中濃度を低下させることによって、0.29mU/μg〜0.42mU/μg(または、24%の増大)へ有意に(P<0.001)増加した。0時間にてTGF-β1の添加後(0.5% FBSである培地へ)、導入遺伝子発現レベルが2および8時間にて迅速に上昇し、最終的には24時間にてピークに達し、0.52mU/μgの比活性であった。48時間にて、発現レベルは、0時間と同レベルに低下した。72時間後に、レベルは、0時間(P<0.001)にける値の58%まで低下した。アッセイ結果を図8に示した。
導入遺伝子誘導に対するTGF-β1寄与をさらに精査するために、本発明者らは、低血清中で培養したT6/lacZ/C1細胞を種々の濃度のTGF-β1(0、0.1、1、10ng/ml)で処理して、3つの時点(24、48および72時間)について酵素活性をアッセイした。アッセイ結果を図9にプロットした。有意な誘導は、10ng/mlのTGF-β1処理についてすべての時点にて観察された(P<0.001)。唯一のその他の(およびより少ない)誘導は、1ng/mlのTGF-β1で24時間に見られた(P<0.05)。非処理群を1に規準化して、誘導の規模を全3つの時点(図10)にて10ng/mlの処理群についてプロットしたときに、時間とともに誘導を増加する傾向があることが明らかであった。最も強い誘導(ほとんど2倍)は、絶対酵素活性(0.43mU/μg)が3つの時点の中で最も低かったにもかかわらず、72時間にて記録された。
リアルタイムRT-PCRによって測定されるTGF-β1による内因性GFAP転写物の時間依存的誘導
GFAPが、デスミン、SMAAおよびビメンチンに加えて、クローンT6細胞において発現されたことが公知であった(Vogel et al.(2000)J Lipid Res. 41(6):882)。当然、内因性GFAPも同様にT6/lacZ/C1細胞において発現されるはずである。内因性GFAP発現が、種々の時間経過の間にT6/lacZ/C1細胞においてTGF-β1によってどのように調節されるかを調査するために、本発明者らは、リアルタイムRT-PCR法を使用し、ラットGFAP mRNAレベルを定量化した。上記の酵素アッセイ実験のために記述したように、細胞を同じように培養し、TGF-β1(1ng/ml)で種々の時間(0、2、8、16、24、48および72時間)処理した。総RNAは、異なる細胞から単離して、材料および方法に記載したように定量化し、結果を図11に示した。0時間における基礎レベル(1に規準化した)と比較したときに、GFAP mRNAレベルは、16時間にて短時間であるが有意な抑制(0.5倍)(P<0.005)、次いで48および72時間にてそれぞれ基礎レベルの7および8.5倍まで鋭く増加した以外は、最初の24時間以内は安定したままであった。
内因性GFAP遺伝子は、TGF-β1に応答して、2.2kbのGFAP-lacZ導入遺伝子で行ったものと同様の傾向を示した。しかし、2つの異なる反応特徴が、天然と代理の遺伝子との間で強調された。第1に、導入遺伝子誘導は、TGF-β1インキュベーションの2時間後でさえも明らかであったが、一方の内因性遺伝子は、TGF-β1とのインキュベーションの最初の24時間の間に何ら誘導を示さなかった。誘導時間軌跡の相違は、一部には、異なるアッセイ検出感度によって生じたのかもしれず、おそらくより感受性の高い酵素アッセイ法(増幅を伴う)ほど、より早期の誘導を示すのであろう。代わりに、または加えて、2.2kbの断片の外側に存在する未知の調節エレメントが、より複雑な制御、観察された短時間の減少および内因性GFAP(図11)の誘導の遅延に寄与するのかもしれない。
上述の通り、2.2kbのhGFAPプロモーターは、ラット肝臓星状株化細胞T6において特異的にlacZリポーターを発現でき、導入遺伝子発現のアップレギュレーションによる細胞活性化の間に、TGF-β1刺激に反応することができる。これは、導入遺伝子の発現および誘導のために必要とされるすべてのシス作動性およびトランス作動性の成分および経路が、2.2kbのhGFAPプロモーター内に保存し、培養されたHSC中に保存されることを示唆する。
本発明者らの結果(図12)は、2.2kbのhGFAPプロモーターが、それぞれ同じHSC上に共存するGFAPおよびGFPに対する抗体で同じトランスジェニック肝臓組織切片を二重染色することによって、インビボにおけるHSC特異的発現を指揮することができることを証明する。
pcdna4/GFAP2.2-Lacベクターのマップを示す。 CMVプロモーター(上段)またはGFAPプロモーター(下段)の制御下にlacZ遺伝子を含むベクターでの一過性トランスフェクション後のC3A、Hep2GおよびNIH/3T3細胞におけるβ-ガラクトシダーゼ染色を示す。 pCDNA4/GFAP2.2-LacZをトランスフェクトした(レーン3、5、7)、およびトランスフェクトしていない(レーン2、4、6)、T6細胞(レーン2および3)およびC6細胞(レーン4および5)およびHeLa細胞(レーン6および7)からのPCR産物のゲル電気泳動を示す。パネルAは、ゲノムDNAからのGFAP-lacZ PCR産物を示す。パネルBは、50ng総RNAからのLacZ RT-PCR産物を示す。パネルCは、β-アクチンRT-PCR産物を示す。それぞれのパネルにおいて、レーン1は、1kbのDNAラダーである。 2.2kbのhGFAP-lacZ導入遺伝子を安定にトランスフェクトしたT6、C6およびHelaにおけるβ-ガラクトシダーゼ染色を示す。 種々の濃度のTGF-β1と共にインキュベートしたトランスフェクトしたT6細胞におけるβ-ガラクトシダーゼ染色を示す。T6/lacZ/C1細胞は、染色前の3日間、示された濃度のTGF-β1と共にインキュベートした。 種々の濃度のPDGF-BBと共にインキュベートしたトランスフェクトしたT6細胞におけるβ-ガラクトシダーゼ染色を示す。T6/lacZ/C1細胞は、染色前に3日間、示した濃度のPDGF-BBと共にインキュベートした。 種々の濃度のLPSと共にインキュベートしたトランスフェクトしてT6細胞におけるβ-ガラクトシダーゼ染色を示す。T6/lacZ/C1細胞は、染色前に3日間、示した濃度のPDGF-BBと共にインキュベートした。 1ng/ml TGF-β1と共にインキュベートしたT6/lacZ/C1細胞のβ-ガラクトシダーゼ活性をインキュベーション時間の関数として示す。左の対照は、正常な増殖条件(37℃、5% CO2、10%血清)下でpcDNA4/GFAP2.2-LacZを安定トランスフェクトしたT6についての活性を示す。第1のデータポイントは、培地を0.5%の血清に変えた12時間後に収集した細胞を表す。データは、平均±SEMとして示した。+ p<0.001(対照との比較); *p<0.05、** p<0.005、***p<0.001(非誘導試料との比較)。 pcDNA4/GFAP2.2-LacZを安定にトランスフェクトしたT6/lacZ1/C1細胞の時間およびTGF-β1濃度依存的なβ-ガラクトシダーゼ活性を示す。試料は、異なる時点(24、48、72時間)にて異なる濃度のTGF-β1についてアッセイした。それぞれの時点の4つのカラムは、4つの異なる濃度0、0.1、1、10ng/mlのTGF-β1を表す(左から右に)。6回の実験の平均±SEMのデータである。* P<0.05、** p<0.001(非誘導試料との比較)。 GFAP 2.2 kbプロモーター断片の制御下における、β-ガラクトシダーゼ比活性の倍数誘導に対する10ng/mlのTGF-β1の誘導効果を示す。それぞれの誘導された試料を、同じ実験由来のそれぞれの非誘導試料と比較した。データは、6回の実験の平均±SEMを表す。* p<0.001(非誘導試料との比較)。 1ng/mlのTGF-β1が、T6/LacZ/C1細胞における内因性GFAP mRNA発現を誘導することを証明する図である。*P<0.01、**P<0.005、***P<0.001(対照との比較)。 2.2kbのhGFAP-GFP導入遺伝子は、トランスジェニックマウスモデルの肝臓の肝臓星状細胞において特異的に発現された。A)抗GFP抗体で染色した肝臓組織切片;B)抗GFAP抗体で染色した同じ組織切片;C)A)およびB)の合併したイメージ;D)同じ組織切片の透過光観察。

Claims (44)

  1. 肝臓星状細胞においてトランスジェニック産物を発現するための方法であって、前記トランスジェニック産物をコードするDNA配列に作動可能に結合されたグリア原線維酸性タンパク質プロモーターを含むベクターを前記肝臓星状細胞にトランスフェクトすることを含み、前記グリア原線維酸性タンパク質プロモーターは、配列番号1に記載された配列からなるか、または配列番号:1に記載された配列の対立遺伝子変異体もしくは誘導体である方法。
  2. 前記グリア原線維酸性タンパク質プロモーター配列が配列番号:1に記載された配列からなる、請求項1に記載の方法。
  3. 前記トランスジェニック産物がマーカー分子である、請求項1または請求項2に記載の方法。
  4. 前記マーカー分子がマーカータンパク質である、請求項3に記載の方法。
  5. 前記マーカータンパク質がβ-ガラクトシダーゼである、請求項4に記載の方法。
  6. 前記トランスジェニック産物が治療的分子である、請求項1または請求項2に記載の方法。
  7. 前記治療的分子が治療的ポリペプチドである、請求項6に記載の方法。
  8. 前記治療的ポリペプチドがSmad 7か、Smad 3、Smad 4もしくはトランスフォーミング成長因子受容体または血小板由来成長因子受容体もしくはジフテリア(diptheria)毒素のドミナントネガティブ対立遺伝子である、請求項7に記載の方法。
  9. 前記治療的ポリペプチドが抗線維性ポリペプチドである、請求項7に記載の方法。
  10. 前記抗線維性ポリペプチドがインターロイキン10である、請求項9に記載の方法。
  11. 前記トランスジェニック産物が短鎖干渉RNAである、請求項1または請求項2に記載の方法。
  12. 前記短鎖干渉RNAがTGF-β1 mRNAの一部または血小板由来増殖因子mRNAの一部に対して相補的である、請求項11に記載の方法。
  13. 前記短鎖干渉RNAが細胞外基質タンパク質をコードするmRNAの一部に対して相補的である、請求項11に記載の方法。
  14. 前記細胞外基質タンパク質がコラーゲンα1(I)、インテグリン、ラミニンまたはフィブロネクチンである、請求項13に記載の方法。
  15. 前記肝臓星状細胞がHSC-T6、LX-1またはLX-2である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 前記肝臓星状細胞がHSC-T6である、請求項15に記載の方法。
  17. 前記肝臓星状細胞がLX-2である、請求項15に記載の方法。
  18. 単離されたトランスジェニック肝臓星状細胞であって、前記細胞は、グリア原線維酸性タンパク質プロモーターに作動可能に結合された導入遺伝子を含み、前記プロモーターは、配列番号:1に記載された配列または配列番号:1に記載された配列の対立遺伝子変異体もしくは誘導体からなる細胞。
  19. 前記グリア原線維酸性タンパク質プロモーターが配列番号:1に記載された配列からなる、請求項18に記載の単離されたトランスジェニック肝臓星状細胞。
  20. 前記導入遺伝子がマーカー分子をコードする、請求項18または請求項19に記載の単離されたトランスジェニック肝臓星状細胞。
  21. 前記マーカー分子がマーカータンパク質である、請求項20に記載の単離されたトランスジェニック肝臓星状細胞。
  22. 前記マーカータンパク質がβで-ガラクトシダーゼある、請求項21に記載の単離されたトランスジェニック肝臓星状細胞。
  23. 前記導入遺伝子が治療的分子をコードする、請求項18または請求項19に記載の単離されたトランスジェニック肝臓星状細胞。
  24. 前記治療的分子が治療的ポリペプチドである、請求項23に記載の単離されたトランスジェニック肝臓星状細胞。
  25. 前記治療的ポリペプチドがSmad 7か、Smad 3、Smad 4もしくはトランスフォーミング成長因子受容体または血小板由来成長因子受容体もしくはジフテリア(diptheria)毒素のドミナントネガティブ対立遺伝子である、請求項24に記載の単離されたトランスジェニック肝臓星状細胞。
  26. 前記治療的ポリペプチドが抗線維性ポリペプチドである、請求項24に記載の単離されたトランスジェニック肝臓星状細胞。
  27. 前記抗線維性ポリペプチドがインターロイキン10である、請求項25に記載の単離されたトランスジェニック肝臓星状細胞。
  28. 前記導入遺伝子が短鎖干渉RNAをコードする、請求項18または請求項19に記載の単離されたトランスジェニック肝臓星状細胞。
  29. 前記短鎖干渉RNAがTGF-β1 mRNAの一部に対して相補的である、請求項28に記載の単離されたトランスジェニック肝臓星状細胞。
  30. 前記短鎖干渉RNAがコラーゲンα1(I)mRNAの一部に対して相補的である、請求項28に記載の単離されたトランスジェニック肝臓星状細胞。
  31. 抗線維性薬剤を同定する方法であって、
    a)請求項18〜22のいずれか1項に記載の単離されたトランスジェニック肝臓星状細胞を提供することと;
    b)前記導入遺伝子の第1の発現レベルを検出することと;
    c)前記単離されたトランスジェニック肝臓星状細胞を試験化合物に対して曝露することと;
    d)前記導入遺伝子の第2の発現レベルを検出することと;および、
    e)前記第1の発現レベルと前記第2の発現レベルを比較することと、
    を含み、これにより、前記第2の発現レベルよりも大きい前記第1の発現レベルは、前記試験化合物が抗線維性試薬であることを示す方法。
  32. 前記導入遺伝子がマーカータンパク質をコードする、請求項31に記載の方法。
  33. 前記マーカータンパク質がβ-ガラクトシダーゼである、請求項32に記載の方法。
  34. 被験体における肝線維症に関連した障害を治療する方法であって、前記被験体にベクターの有効量を投与することを含み、前記ベクターは、グリア原線維酸性タンパク質プロモーターに作動可能に結合された治療的産物をコードするDNA配列を含み、前記グリア原線維酸性タンパク質プロモーターは、配列番号1に記載された配列からなるか、または配列番号:1に記載された配列の対立遺伝子変異体もしくは誘導体である方法。
  35. 前記グリア原線維酸性タンパク質プロモーターが配列番号1に記載された配列からなる、請求項34に記載の肝線維症に関連した障害を治療する方法。
  36. 前記被験体がヒト被験者である、請求項34または35に記載の方法。
  37. 肝線維症に関連した障害を治療するための、グリア原線維酸性タンパク質プロモーターに作動可能に結合された治療的産物をコードするDNA配列を含むベクターの使用であって、前記グリア原線維酸性タンパク質プロモーターは、配列番号1に記載された配列からなるか、または配列番号:1に記載された配列の対立遺伝子変異体もしくは誘導体である使用。
  38. 前記グリア原線維酸性タンパク質プロモーターが配列番号1に記載された配列からなる、請求項37に記載の使用。
  39. 肝線維症に関連した障害を治療するための医薬の製造のための、グリア原線維酸性タンパク質プロモーターに作動可能に結合された治療的産物をコードするDNA配列を含むベクターの使用であって、前記グリア原線維酸性タンパク質プロモーターは、配列番号1に記載された配列からなるか、または配列番号:1に記載された配列の対立遺伝子変異体もしくは誘導体である使用。
  40. 前記グリア原線維酸性タンパク質プロモーターが配列番号1に記載された配列からなる、請求項39に記載の使用。
  41. 肝線維症に関連した障害を治療するための、グリア原線維酸性タンパク質プロモーターに作動可能に結合された治療的産物をコードする配列を含むベクターであって、前記グリア原線維酸性タンパク質プロモーターは、配列番号1に記載された配列からなるか、または配列番号:1に記載された配列の対立遺伝子変異体もしくは誘導体であるベクターと生理学的な担体とを含む医薬品製剤。
  42. 前記グリア原線維酸性タンパク質プロモーターが配列番号1に記載された配列からなる、請求項41に記載の医薬品製剤。
  43. 被験体における肝線維症に関連した障害を治療する方法であって、前記被験体に対してトランスジェニックHSCの有効量を投与することを含み、前記トランスジェニックHSCは、治療的産物をコードする導入遺伝子を含み、前記導入遺伝子は、グリア原線維酸性タンパク質プロモーターに作動可能に結合されており、および前記プロモーターは、配列番号1に記載された配列からなるか、または配列番号:1に記載された配列の対立遺伝子変異体もしくは誘導体である方法。
  44. グリア原線維酸性タンパク質プロモーターに作動可能に結合された治療的産物をコードする配列を含むベクターであって、前記グリア原線維酸性タンパク質プロモーターは、配列番号1に記載された配列からなるか、または配列番号:1に記載された配列の対立遺伝子変異体もしくは誘導体であるベクターと、被験体の肝線維症に関連した障害を治療するための説明書とを含むキット。
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