JP2008540377A - フェロセニル配位子、製造およびその使用 - Google Patents

フェロセニル配位子、製造およびその使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、エナンチオマー的に純粋なジアステレオマーまたはジアステレオマー混合物の形態である、式(I):(式中、R’1は、C1〜C4−アルキル、C6〜C10−アリール、C7〜C10−アラルキルまたはC7〜C12−アルカラルキルであり、そしてnは、0または整数1〜5であり;R1は、水素原子、ハロゲン、炭素原子数1〜20の非置換または−SC1〜C4−アルキル−、−OC1〜C4−アルキル−、−OC6〜C10−アリール−もしくは−Si(C1〜C4−アルキル)3−置換炭化水素基、あるいは3C1〜C12−炭化水素基を有するシリル基を表し;Yは、ビニル、メチル、エチル、−CH2−OR、−CH2−N(C1〜C4−アルキル)2、金属化試薬の金属をオルト位X1に導くC−結合キラル基であるか、あるいはYは、−CHR2−OR’2基であり;R2は、C1〜C8−アルキル、C5〜C8−シクロアルキル、C6〜C10−アリール、C7〜C12−アラルキルまたはC7〜C12−アルカラルキルを表し;R’2は、水素またはC1〜C18−アシルを表し;X1およびX2はそれぞれ、互いに独立に、P−結合P(III)置換基、−SHまたはメルカプタンのS−結合基を表し;そしてRは、水素、シリル基、あるいは1〜18個の炭素原子を有し、非置換またはC1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、FもしくはCF3で置換された脂肪族、脂環式、芳香族または芳香族−脂肪族の炭化水素基を表す)の化合物に関する。本発明の化合物は、遷移金属、例えばプロキラル不飽和有機化合物の特別なエナンチオ選択性不斉水素化のための触媒である、Ru、Rh、Irの金属錯体の配位子である。これらの化合物の使用は、高い触媒活性および優れた立体選択性を達成させる。

Description

本発明は、1位でC−結合基により、および2、3位でP−またはS−結合基により置換されたフェロセン、その製造、これらの配位子との遷移金属(たとえばTM8金属)錯体、ならびにその金属錯体の、有機化合物の均一な立体選択合成における使用に関する。
キラル配位子は、均一系立体選択的触媒作用での触媒のための特別に重要な助剤であることが分かっている。このような触媒の効果は、多くの場合特定の基質に対して特異的であることが見出される。したがって、特定の基質に対する最適化を達成できるようにするために、十分な数の利用できるキラル配位子を持つ必要がある。したがって、製造が簡単で、立体選択触媒反応において良好な結果を与える、さらなる有効なキラル配位子が継続して必要とされている。特性を、特定の触媒の対象に適合させ最適化することができる配位子が、特に対象となる。モジュラー法で形成することができる配位子が、この目的に特に適切である。
フェロセンは、第二級ホスフィノ基を用いる種々の置換の提供にうまく用いられている、配位子の製造のための極めて有用な基本骨格である。Kaganらは[(G. Argouarch, O. Samuel, O. Riant, J. -C. Daran, H. Kagan, Eur. J. Org. Chem. (2000) 2893-2899]最近、新規なフェロセン−1,2−ジホスフィンを、次の基本構造:
Figure 2008540377
を有する配位子として記載しているが、これらは面性キラリティーしか持たない。
これらの配位子は製造するのが難しい。合成は本質的にモジュラー法であるが、示した代表たった2つが現在まで製造されているだけである。接触水素化では、これらはいくつかの場合において適切な結果を与えるが、立体選択性の点で確信を伴わない。したがって、これらの配位子は、工業的用途に比較的不適切である。
面性キラリティーを有するフェロセンをベースとし、触媒反応で用いるP,S−配位子も公知である。したがって、たとえば、O. G. Manchenoら., Organometallics 2005, 24(4), 557から561頁には、R−1−sec−ホスフィノ−2−スルフィニルフェロセンが、ディールス−アルダー反応のための有効な触媒であるPd錯体中の配位子として記載されている。
キラル置換基、たとえば1−(ジメチルアミノ)エタ−1−イルを有するフェロセンの金属化(たとえば、ブチルリチウムによる)は、キラル置換基を基準としてオルト位で立体選択的に進行することも公知である。そして、それ自体公知の方法でハロゲン、たとえば臭素により金属を置換することができる。驚くべきことには、臭素原子を基準としてオルト位の水素原子を、リチウム塩基によって簡単かつ極めて選択的に金属化し、次にsec−ホスフィンハライドと反応させることができることが見出された。予期せざることには、次にこれらのモノホスフィンを、臭素原子を、たとえこの位置が立体的に強力に保護されていても、置換することにより、フェロセン−1,2−ジホスフィンに転化することができる。驚くべきことには、特に水素化において、これらの配位子が著しく良好な立体選択性を有することも見出されている。さらに、これらの配位子は、極めてモジュラー化され、そして所定の触媒に関する問題に対して、キラル置換基およびホスフィンの改変により最適化することができる。触媒活性および転化率は、用いる基質に依存し、良好から極めて高い(100%まで)範囲である。
本発明は、まず式I:
Figure 2008540377
(式中、R’1は、C1〜C4−アルキル、C6〜C10−アリール、C7〜C12−アラルキルまたはC7〜C12−アルカラルキル(alkaralkyl)であり、そしてnは、0または整数1〜5であり;
1は、水素原子、ハロゲン、炭素原子数1〜20の非置換または−SC1〜C4−アルキル−、−OC1〜C4−アルキル−、−OC6〜C10−アリール−もしくは−Si(C1〜C4−アルキル)3−置換炭化水素基、あるいは3C1〜C12−炭化水素基を有するシリル基であり;
Yは、ビニル、メチル、エチル、−CH2−OR、−CH2−N(C1〜C4−アルキル)2、または金属化試薬の金属をオルト位X1に導くC−結合キラル基であるか、あるいはYは、−CHR2−OR’2基であり;
2は、C1〜C8−アルキル、C5〜C8−シクロアルキル、C6〜C10−アリール、C7〜C12−アラルキルまたはC7〜C12−アルカラルキルであり;
R’2は、水素またはC1〜C18−アシルであり;
1およびX2はそれぞれ、互いに独立に、P−結合P(III)置換基、−SHまたはメルカプタンのS−結合基であり;そして
Rは、水素、シリル基、あるいは1〜18個の炭素原子を有し、非置換またはC1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、FもしくはCF3で置換された脂肪族、脂環式、芳香族または芳香族−脂肪族の炭化水素基である)の化合物を、エナンチオマー的に純粋なジアステレオマーまたはジアステレオマー混合物の形態で提供する。
例示を目的として、式Iの化合物の他のエナンチオマーの構造を次に示す。
Figure 2008540377
炭化水素基Rは、たとえば、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、O、S、−N=および−N(C1〜C4−アルキル)よりなる群から選択されるヘテロ原子を有するヘテロアリール、ヘテロアラルキルとすることができ、ここで環状基は5〜7個の環原子を含有するのが好ましく、アルキルは1〜6個の炭素原子を含有するのが好ましく、そして環状基中の「アルキル」は1または2個の炭素原子を含有するのが好ましい。好適な態様では、炭化水素基Rは、C1〜C4−アルキル、C5〜C6−シクロアルキル、C6〜C10−アリール、C7〜C12−アラルキルまたはC7〜C12−アルカラルキルである。Rのいくつかの例は、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、テトラヒドロフリル、フェニル、ベンジル、フラニルおよびフラニルメチルである。
アルキル基R’1は、たとえば、メチル、エチル、n−またはi−プロピル、n−、i−またはt−ブチルとすることができ、メチルが好ましい。C6〜C10−アリール基R’1は、ナフチル、特にフェニルとすることができる。C7〜C12−アラルキル基R’1は、好ましくは、フェニル−C1〜C4−アルキル、たとえばベンジルまたはフェニルエチルとすることができる。C7〜C12−アルカラルキル基R’1は、好ましくは、C1〜C4−アルキルベンジル、たとえばメチルベンジルとすることができる。nは、0である(したがって、R’1は水素原子である)のが好ましい。
ハロゲンR1は、F、Cl、BrまたはI、好ましくはFまたはClとすることができる。
炭化水素基R1は、好ましくは1〜12、より好ましくは1〜8、特に好ましくは1〜4個の炭素原子を含有する。炭化水素基は、C1〜C4−アルキル、C5〜C6−シクロアルキル、C5〜C6−シクロアルキル−C1〜C4−アルキル、フェニルまたはベンジルとすることができる。炭化水素基は、金属化試薬に対して不活性な置換基を含有することができる。例は、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、C1〜C4−アルキルチオ、フェノキシおよびトリメチルシリルである。
シリル基RまたはR1は、同一のまたは異なる炭化水素基を含有することができ、好ましくは式R010203Si−(式中、R01、R02およびR03は、それぞれ、互いに独立に、C1〜C18−アルキル、非置換またはC1〜C4−アルキル−もしくはC1〜C4−アルコキシ−置換C6〜C10−アリールまたはC7〜C12−アラルキルである)に対応する。アルキル基R01、R02およびR03は、直鎖状でも分岐状でもよく、アルキルは好ましくは1〜12個、特に好ましくは1〜8個の炭素原子を含有する。アリール基R01、R02およびR03は、たとえば、フェニルまたはナフチルとすることができ、アラルキル基R01、R02およびR03は、ベンジルまたはフェニルエチルとすることができる。R01、R02およびR03のいくつかの例は、メチル、エチル、n−またはi−プロピル、n−、i−またはt−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、フェニル、ベンジル、メチルフェニル、メチルベンジル、メトキシフェニル、ジメトキシフェニルおよびメトキシベンジルである。シリル基R010203Si−のいくつかの好ましい例は、トリメチルシリル、トリ−n−ブチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、2,2,4,4,−テトラメチルブタ−4−イルジメチルシリルおよびトリフェニルシリルである。
好適な態様では、R1は、H、またはアルキルとしてC1〜C4−アルキル、特に好ましくはメチルである。
オルト配向では、キラル基Y、キラル原子は、シクロペンタジエニル−Y結合を基準として1、2または3位に結合するのが好ましい。基Yは、HおよびC原子、望ましいならば、O、S、−N=および−N(C1〜C4−アルキル)−よりなる群から選択されるヘテロ原子から構成される開鎖基または環状基とすることができる。
基Yは、たとえば、式−HC*56(*は、キラル原子を意味する)に対応することができ、ここでR5は、C1〜C8−アルキル、C5〜C8−シクロアルキル(シクロヘキシル)、C6〜C10−アリール(フェニル)、C7〜C12−アラルキル(ベンジル)またはC7〜C12−アルカラルキル(メチルベンジル)であり、R6は、−OR7または−NR89であり、R7は、C1〜C8−アルキル、シリル基、C5〜C8−シクロアルキル、フェニルまたはベンジルであり、そしてR8およびR9は、同一であるかまたは異なり、それぞれC1〜C8−アルキル、C5〜C8−シクロアルキル、フェニルもしくはベンジルであるか、またはR8およびR9はN原子と一緒になって5〜8員環を形成する。R5は、好ましくはC1〜C4−アルキル、たとえばメチル、エチル、n−プロピルおよびフェニルである。R7は、好ましくはC1〜C4−アルキル、たとえばメチル、エチル、n−プロピルおよびn−またはi−ブチルである。シリル基R7は、好ましくはトリ(C1〜C18−アルキル)シリルである。R8およびR9は、好ましくは同一の基であり、そして好ましくはそれぞれC1〜C4−アルキル、たとえばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピルおよびn−もしくはi−ブチルであるか、または一緒になってテトラメチレン、ペンタメチレンもしくは3−オキサ−1,5−ペンチレンである。
Yは、特に好ましくは−CHR5−NR89基であり、ここでR5は、C1〜C4−アルキル、C5〜C6−シクロアルキル、フェニル、C1〜C4−アルキルフェニルまたはC1〜C4−アルキルベンジルであり、そしてR8およびR9は、同一であり、それぞれC1〜C4−アルキルある。式−HCR56の極めて特に好ましい基は、1−メトキシエタ−1−イル、1−ジメチルアミノエタ−1−イルおよび1−(ジメチルアミノ)−1−フェニルメチルである。
Yが不斉α炭素原子を持たないキラル基である場合、それは、直接に、または架橋基を介して、炭素原子を介してシクロペンタジエニル環に結合される。架橋基は、たとえば、メチレン、エチレンまたはイミン基とすることができる。架橋基に結合された環状基は、好ましくは飽和であり、特に好ましくは合計5または6個の環原子を有する、C1〜C4−アルキル−、(C1〜C4−アルキル)2NCH2−、(C1〜C4−アルキル)2NCH2CH2−、C1〜C4−アルコキシメチル−またはC1〜C4−アルコキシエチル−置換N−、O−またはN,O−ヘテロシクロアルキルである。開鎖基は、好ましくはCH2基を介してシクロペンタジエニル環に結合され、そして基は、好ましくはアミノ酸またはエフェドリンから誘導される。いくつかの好ましい例は次のものである。
Figure 2008540377
(式中R11は、C1〜C4−アルキル、フェニル、(C1〜C4−アルキル)2NCH2−、(C1〜C4−アルキル)2NCH2CH2−、C1〜C4−アルコキシ−メチルまたはC1〜C4−アルコキシエチルである)。R11は、メトキシメチルまたはジメチルアミノ−メチルが特に好ましい。
Yが−CHR2−OR’2基である場合、R2は、C1〜C4−アルキル、C5〜C6−シクロアルキル(シクロヘキシル)、フェニル、ベンジルまたはメチルベンジルであるのが好ましい。
Yが−CHR2−OR’2基である場合、R’2は、水素、またはC1〜C18−アルキル−C(O)−、C5〜C8−シクロアルキル−C(O)−、C6〜C10−アリール−C(O)−、C7〜C12−アラルキル−C(O)−またはC7〜C12−アルカラルキル−C(O)−であるのが好ましい。R’2は、メチル−C(O)−であるのが特に好ましい。
特に好ましい態様では、式I中のYは、ビニル、メチル、エチル、CH2−OR、−CH2−N(C1〜C4−アルキル)2、−CHR5−NR89または−CHR2−OR’2(式中、R2およびR5はそれぞれ、互いに独立に、C1〜C4−アルキル、C5〜C6−シクロアルキル、フェニル、ベンジルまたはメチルベンジルであり;
R’2は、水素またはC1〜C8−アシルであるか、または独立に以下のRの意味を有し;
8およびR9は、同一であり、それぞれC1〜C4−アルキルであり;そして
Rは、C1〜C6−アルキル、トリ(C1〜C18−アルキル)シリル、C5〜C6−シクロアルキル、C5〜C6−シクロアルキルメチル、フェニルまたはベンジルであり、非置換であるか、またはC1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、FもしくはCF3で置換されている)である。
別の好適な態様では、R1は水素であり、そしてYは、キラルまたはアキラルなオルト配向基である。
P−結合P(III)置換基X1およびX2は、同一であるかまたは異なる炭化水素基を含有する第二級ホスフィノ基とすることができる。X1およびX2は、同一ではなく、異なるのが好ましい。
炭化水素基は、非置換であっても置換されていてもよく、かつ/またはO、S、−N=およびN(C1〜C4−アルキル)よりなる群から選択されるヘテロ原子含有することができる。それらは、1〜22個、好ましくは1〜12個、特に好ましくは1〜8個の炭素原子を含有することができる。好ましい第二級ホスフィノ基は、ホスフィノ基が、直鎖状または分岐状C1〜C12−アルキル;非置換またはC1〜C6−アルキル−もしくはC1〜C6−アルコキシ−置換C5〜C12−シクロアルキルまたはC5〜C12−シクロアルキル−CH2−;フェニル、ナフチル、フリルまたはベンジル;およびハロゲン、C1〜C6−アルキル−、トリフルオロメチル−、C1〜C6−アルコキシ−、トリフルオロメトキシ−、(C653Si−、(C1〜C12−アルキル)3Si−またはsec−アミノ−置換フェニルまたはベンジルよりなる群から選択される2個の同一であるかまたは異なる基を含有するものである。
好ましくは1〜6個の炭素原子を含有するP上のアルキル置換基の例は、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、ならびにペンチルおよびヘキシルの異性体である。P上の非置換またはアルキル−置換シクロアルキル置換基の例は、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシルおよびエチルシクロヘキシルおよびジメチルシクロヘキシルである。P上のアルキル−およびアルコキシ−置換フェニルおよびベンジル置換基の例は、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、メチルベンジル、メトキシフェニル、ジメトキシフェニル、トリメトキシフェニル、トリフルオロメチルフェニル、ビストリフルオロメチルフェニル、トリストリフルオロメチルフェニル、トリフルオロメトキシフェニル、ビストリフルオロメトキシフェニル、フルオロフェニルおよびクロロフェニルおよび3,5−ジメチル−4−メトキシフェニルである。
好ましい第二級ホスフィノ基は、C1〜C6−アルキル、非置換であっても1〜3個のC1〜C4−アルキルまたはC1〜C4−アルコキシ基で置換されていてもよいシクロペンチルおよびシクロヘキシル、ベンジル、ならびに特に、非置換または1〜3個のC1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、C1〜C4−フルオロアルキルまたはC1〜C4−フルオロアルコキシで置換されたフェニル、FおよびClよりなる群から選択される同一であるかまたは異なる基を含有するものである。
第二級ホスフィノ基は、好ましくは式−PR34(式中、R3およびR4は、それぞれ、互いに独立に、1〜18個の炭素原子を有し、そして非置換もしくはC1〜C6−アルキル、トリフルオロメチル、C1〜C6−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、(C1〜C4−アルキル)2アミノ、(C653Si、(C1〜C12−アルキル)3Siで置換され、および/またはヘテロ原子Oを含有する炭化水素基である)に対応する。
3およびR4は、好ましくは、直鎖状または分岐状C1〜C6−アルキル、非置換であってもまたは1〜3個のC1〜C4−アルキルまたはC1〜C4−アルコキシ基で置換されていてもよいシクロペンチルまたはシクロヘキシル、フリル、非置換であっても、または1〜3個のC1〜C4−アルキルまたはC1〜C4−アルコキシ基で置換されていてもよいベンジル、および特に、非置換であっても、または1〜3個のF、Cl、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、C1〜C4−フルオロアルキルまたはC1〜C4−フルオロアルコキシ基で置換されていてもよいフェニルよりなる群から選択される基である。
3およびR4は、特に好ましくは、非置換であってもまたは1〜3個のF、Cl、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシおよび/またはC1〜C4−フルオロアルキル基で置換されていてもよいC1〜C6−アルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フリルおよびフェニルよりなる群から選択される基である。
−PR34基中のR3およびR4が異なる場合、配位子はさらにP−キラルである。
第二級ホスフィノ基は、環状第二級ホスフィノ、たとえば式:
Figure 2008540377
(これらは、非置換であるか、あるいはC1〜C8−アルキル、C4〜C8−シクロアルキル、C1〜C6−アルコキシ、C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキル、フェニル、C1〜C4−アルキルフェニルまたはC1〜C4−アルコキシフェニル、ベンジル、C1〜C4−アルキルベンジルまたはC1〜C4−アルコキシベンジル、ベンジルオキシ、C1〜C4−アルキルベンジルオキシまたはC1〜C4−アルコキベンジルオキシまたはC1〜C4−アルキリデンジオキシル基1個以上で置換されている)の基とすることができる。
キラル炭素原子を導入するために、片方または両方のα位に、置換基をP原子に結合することができる。片方または両方のα位の置換基は、好ましくはC1〜C4−アルキルまたはベンジル、たとえばメチル、エチル、n−もしくはi−プロピル、ベンジルまたは−CH2−O−C1〜C4−アルキルまたは−CH2−O−C6〜C10−アリールである。
β、γ位における置換基は、たとえば、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、ベンジルオキシまたは−O−CH2−O−、−O−CH(C1〜C4−アルキル)−O−および−O−C(C1〜C4−アルキル)2−O−とすることができる。いくつかの例は、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、−O−CH(メチル)−O−および−O−C(メチル)2−O−である。
置換の種類および置換基の数に応じて、環状ホスフィノ基は、C−キラル、P−キラルまたはC−およびP−キラルとすることができる。
脂肪族の5員環もしくは6員環またはベンゼンが、上式の基中の2個の隣接する炭素原子上に縮合することができる。
環状第二級ホスフィノ基は、たとえば、式(可能なジアステレオマーの一つだけを示す)の一つに対応することができる。
Figure 2008540377
(式中、基R’およびR“はそれぞれ、C1〜C4−アルキル、たとえばメチル、エチル、n−もしくはi−プロピル、ベンジルまたは−CH2−O−C1〜C4−アルキルまたは−CH2−O−C6〜C10−アリールであり、そしてR’およびR“は、同一であるかまたは異なる)
式Iの化合物中、sec−ホスフィノ基X1およびX2は、好ましくは、それぞれ、互いに独立に、−P(C1〜C6−アルキル)2、−P(C5〜C8−シクロアルキル)2、−P(C7〜C8−ビシクロアルキル)2、−P(o−フリル)2、−P(C652、−P[2−(C1〜C6−アルキル)C642、−P[3−(C1〜C6−アルキル)C642、−P[4−(C1〜C6−アルキル)C642、−P[2−(C1〜C6−アルコキシ)C642、−P[3−(C1〜C6−アルコキシ)C642、−P[4−(C1〜C6−アルコキシ)C642、−P[2−(トリフルオロメチル)C642、−P[3−(トリフルオロメチル)C642、−P[4−(トリフルオロメチル)C642、−P[3,5−ビス(トリフルオロメチル)C632、−P[3,5−ビス(C1〜C6−アルキル)2632、−P[3,5−ビス(C1〜C6−アルコキシ)2632および−P[3,5−ビス(C1〜C6−アルキル)2−4−(C1〜C6−アルコキシ)C622よりなる群から選択される非環式のsec−ホスフィノ、または
Figure 2008540377
(これらは、非置換であるか、あるいはC1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、C1〜C4−アルコキシ−C1〜C2−アルキル、フェニル、ベンジル、ベンジルオキシまたはC1〜C4−アルキリデンジオキシル基1個以上で置換されている)よりなる群から選択される環状ホスフィノである。
いくつかの具体例は、−P(CH32、−P(i−C372、−P(n−C492、−P(i−C492、−P(t−C492、−P(C59)、−P(C6112、−P(ノルボルニル)2、−P(o−フリル)2、−P(C652、P[2−(メチル)C642、P[3−(メチル)C642、−P[4−(メチル)C642、−P[2−(メトキシ)C642、−P[3−(メトキシ)C642、−P[4−(メトキシ)C642、−P[3−(トリフルオロメチル)C642、−P[4−(トリフルオロメチル)C642、−P[3,5−ビス(トリフルオロメチル)C632、−P[3,5−ビス(メチル)2632、−P[3,5−ビス(メトキシ)2632および−P[3,5−ビス(メチル)2−4−(メトキシ)C622および式:
Figure 2008540377
(式中、R’は、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、メトキシメチル、エトキシメチルまたはベンジルオキシメチルであり、そしてR“はR’と同じ意味を持ち、R’とは異なる)の基である。
P−結合P(III)置換基X1およびX2は−PH2または−PHR12とすることもできる。R12は、好ましいものを含めて、第二級ホスフィノ基についてP−結合P(III)置換基として上述した炭化水素基とすることができる。
P−結合P(III)置換基X1およびX2は、それぞれ式−PR13OR14(式中、R13およびR14は、それぞれ、互いに独立に、好ましいものを含めて、第二級ホスフィノ基についてP−結合P(III)置換基として上述した炭化水素基であるか、あるいはR13およびR14は一緒になって、鎖中に3〜8個、好ましくは3〜6個の炭素原子を有し、非置換、またはC1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、C1〜C4−アルキルチオ、フェノキシまたは(C1〜C4−アルキル)3Si−で置換された二価の炭化水素基を形成する)のホスフィナイト基とすることもできる。芳香族、たとえばベンゼンまたはナフタレンが、二価の炭化水素基上に縮合することができる。
P−結合P(III)置換基X1およびX2は、それぞれ式−POR15OR16(式中、R15およびR16は、それぞれ、互いに独立に、好ましいものを含めて、第二級ホスフィノ基についてP−結合P(III)置換基として上述した炭化水素基であるか、あるいはR15およびR16は一緒になって、鎖中に2〜8個、好ましくは2〜6個の炭素原子を有し、非置換、またはでC1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、C1〜C4−アルキルチオ、フェノキシまたは(C1〜C4−アルキル)3Si−置換された二価の炭化水素基を形成する)のホスホナイト基とすることもできる。芳香族、たとえばベンゼンまたはナフタレンが、二価の炭化水素基上に縮合することができる。R15およびR16が一緒になって二価の炭化水素基を形成する場合、置換基は環状ホスホナイト基である。
この環状ホスホナイト基は、−O−P−O−基のO原子が、α、ω位でC2〜C5−鎖に結合する5〜8員環とすることができ、これはバイアロマティックまたはバイヘテロアロマティック環の一部であってもよい。環状ホスホナイト基の炭素原子は、非置換であっても、たとえばC1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、ハロゲン(F、Cl、Br)、CF3または−C(O)−C1〜C4−アルキルで置換されていてもよい。−O−P−O−基が脂肪鎖に結合する場合、後者は、好ましくは、置換または非置換1,2−エチレンまたは1,3−プロピレンである。
環状ホスホナイト基は、たとえば、置換または非置換C2〜C4−アルキレンジオール、好ましくはC2−ジオールにより形成することができ、そして式XI:
Figure 2008540377
(式中、Tは、直接結合あるいは非置換または置換された−CH2−または−CH2−CH2−である)に対応する。Tは、好ましくは直接結合であり、したがって環状ホスホナイト基は、式XIa:
Figure 2008540377
(式中、R100は、水素、C1〜C4−アルキル、フェニル、ベンジル、C1〜C4−アルコキシであるか、または2個の基R100が非置換または置換された縮合芳香族を形成する)のホスホナイト基である。
他の環状ホスホナイトは、たとえば、1,1’−ビフェニル−2,2’−ジオールから誘導することができ、そして式XII:
Figure 2008540377
[式中、各フェニル環は、非置換であっても、または1〜5個の置換基、たとえばハロゲン(F、Cl、Br)、CF3、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシまたは−C(O)−C1〜C4−アルキルを有していてもよい]に対応する。
他の環状ホスホナイトは、たとえば、1,1’−ビナフチル−2,2’−ジオールから誘導することができ、そして式XIII:
Figure 2008540377
[式中、各ナフチル環は、非置換であっても、または1〜6個の置換基、たとえばハロゲン(F、Cl、Br)、CF3、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシまたは−C(O)−C1〜C4−アルキルを有していてもよい]に対応する。
他の環状ホスホナイトは、たとえば、1,1’−バイヘテロアロマティック−2,2’−ジオールから誘導することができ、そして式XIV:
Figure 2008540377
[式中、各フェニル環は、非置換であっても、または1〜4個の置換基、たとえばハロゲン(F、Cl、Br)、CF3、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシまたは−C(O)−C1〜C4−アルキルを有していてもよく、そしてAは、−O−、−S−、=N−、−NH−または−NC1〜C4−アルキル−である]に対応する。
P−結合P(III)置換基X1およびX2は、それぞれ式−PR17NR1819(式中、R17、R18およびR19は、それぞれ、互いに独立に、好ましいものを含めて、第二級ホスフィノ基についてP−結合P(III)置換基として上述した開鎖炭化水素基であるか、あるいはR17がこの意味を有し、かつR18およびR19は一緒になって、3〜7個、好ましくは4〜6個の炭素原子を有し、非置換であるか、またはC1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、C1〜C4−アルキルチオ、フェニル、ベンジル、フェノキシもしくは(C1〜C4−アルキル)3Si−で置換された二価の炭化水素基を形成する)のアミノホスフィン基とすることもできる。
P−結合P(III)置換基X1およびX2は、それぞれ式−P(NR1819)(NR2021)(式中、R18、R19、R20およびR21は、好ましいものを含めて、開鎖炭化水素基R17の意味を有するか、あるいはR18およびR19が一緒になって、R20およびR21が一緒になって、またはR19およびR20が一緒になって、いずれの場合も、3〜7、好ましくは4〜6個の炭素原子を有し、非置換であるか、またはC1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、C1〜C4−アルキルチオ、フェニル、ベンジル、フェノキシもしくは(C1〜C4−アルキル)3Si−で置換された二価の炭化水素基を形成する)のアミノホスフィン基とすることもできる。
1およびX2は、それぞれ、互いに独立に、好ましくは1〜20個、より好ましくは1〜12個、特に好ましくは1〜8個の炭素原子を有するメルカプタンの−SHまたはS−結合炭化水素基とすることができる。メルカプタンのS−結合炭化水素基は、式R22S−(式中、R22は、非置換であるか、またはF、トリフルオロメチル、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、C1〜C4−アルキルチオ、フェニル、ベンジル、フェノキシもしくは(C1〜C4−アルキル)3Si−で置換されたC1〜C18−アルキル、好ましくはC1〜C12−アルキル、C5〜C8−シクロアルキル、C5〜C8−シクロアルキル−C1〜C4−アルキル、C6〜C10−アリール、C7〜C12−アラルキルまたはC7〜C12−アルカラルキルである)に対応できる。R22のいくつかの例は、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、フェニル、ベンジル、フェニルエチルおよびメチルベンジルである。
本発明はさらに、
工程:
a)式II:
Figure 2008540377
(式中、Y、R’1、nおよびR1は、Y=−CHR2−OR’2およびR’2=アシルまたは水素を除いて前記定義の通りであり、そしてハロゲンは臭素またはヨウ素である)の化合物と、脂肪族のリチウムsec−アミドまたはハロゲン−Mgsec−アミド少なくとも当量とを反応させて、式IIIの化合物:
Figure 2008540377
(式中、Mは、Liまたは−MgX3であり、そしてX3は、Cl、BrまたはIである)を形成し、
b)式IIIの化合物と、式Z1−ハロの化合物(式中、ハロは、Cl、BrまたはIであり、そしてZ1はP(III)置換基である)とを、または硫黄もしくは有機ジスルフィドとを反応させて基X2を導入し、そして式IV:
Figure 2008540377
の化合物を形成し、
c)式IVの化合物と、アルキルリチウムまたはマグネシウムグリニャール化合物少なくとも当量とを反応させ、次に化合物Z2−ハロ(式中、ハロは、Cl、BrまたはIであり、そしてZ2は独立にZ1の意味の一つを有する)少なくとも当量、あるいは硫黄または有機ジスルフィドと反応させて、式Iの化合物を形成し、
d)次いで、Yが−CHR2−OR’2基であり、そしてR’2がアシルまたは水素である式Iの化合物を製造するために、基Y中の第二級アミノ基と、カルボン酸無水物(無水酢酸)とを反応させて、アシルオキシ置換基を形成し、望ましいならば、加水分解して−CHR2−OH基を形成すること
を含む、式Iの化合物の製造方法を提供する。
本方法では、Yは、R’2が水素またはアシルである−CHR2−OR’2基ではないが、それは、これらの基が望ましくない副反応を起こすからである。これらの基は、金属化工程および基X1とX2の導入の後で、カルボン酸無水物と一緒に加熱することにより、−CHR5−NR89基を、加水分解してヒドロキシル基を形成することができるアシルオキシ基で置換して導入するのがより有利である。
式IIの化合物は公知であるか、または公知の方法もしくは公知の方法に類似の方法により製造することができる。公知のY−置換フェロセンを出発材料として用いて、オルト位で金属化し、次にハロゲン化試薬と反応させる。
Yがメチルである式IIの化合物、たとえば1−メチル−2−ブロモフェロセンは、T. ArantaniらによりTetrahedron 26(1970)、5453〜5464頁に、およびT. E. Picketらにより、J. Org. Chem. 68(2003)、2592〜2599頁に記載されている。
Yがビニルまたはエチルである式IIの化合物は、たとえば、1−[(ジアルキルアミノ)エタ−1−イル]−2−ハロフェロセン、たとえば、式:
Figure 2008540377
の1−[(ジメチルアミノ)エタ−1−イル]−2−ブロモフェロセンから、アミンを脱離して、1−ビニル−2−ハロフェロセン、好ましくは1−ビニル−2−ブロモフェロセンを形成し、望ましいならば、続いて形成したビニル基を水素化してエチル基にすることにより製造することができる。反応条件は、実施例に記載されている。1−[(ジアルキルアミノ)エタ−1−イル]−2−ハロフェロセンにおいて、カルボン酸無水物と反応させ、次に別の第二級アミノ基でまたは基ORで置換することにより、アミノ基をアシルオキシで置換することができる。
Yが−CH2−N(C1〜C4−アルキル)2基である式IIの化合物は、たとえば、四級化されたCH2−結合キラルsec−アミノ基を、HN(C1〜C4−アルキル)2によって置換することにより得ることができる。このようなCH2−結合sec−アミノ基の例は、式:
Figure 2008540377
(式中、R11は、C1〜C4−アルキル、フェニル、(C1〜C4−アルキル)2NCH2−、(C1〜C4−アルキル)2NCH2CH2−、C1〜C4−アルコキシメチルまたはC1〜C4−アルコキシエチルである)のものである。R11は、特に好ましくは、メトキシメチルまたはジメチルアミノメチルである。四級化は、ハロゲン化アルキル(ヨウ化アルキル)、たとえばヨウ化メチルを用いて行うのが有利である。
Yが−CH2−ORである式IIの化合物は、まず1−(C1〜C4−アルキル)2NCH2−2−ハロフェロセンを、カルボン酸無水物、たとえば酢酸によって、アシルオキシ化して、1−アシルオキシ−CH2−2−ハロフェロセン(たとえば1−アセチルオキシ−CH2−2−ハロフェロセン)を形成し、次にこれらの中間体を、塩基の存在下でアルコールと反応させるか、またはアルカリ金属アルコキシドと反応させて、1−RO−CH2−2−ハロフェロセンを得ることにより得ることができる。Yが−HCR5−OR7である式IIの化合物は、基Y=−HCR5−N(C1〜C4−アルキル)2をアルコールHOR7によって変更することにより、類似方法で得ることができる。
後続の求電子剤の導入に対する、臭素原子を基準とするオルト位での金属化における位置選択性は、驚くべきことには、基ビニル、メチル、エチル、−CH2−ORおよび(C1〜C4−アルキル)2NCH2−の存在下であっても、本質的に保持される。
アルキルリチウムまたはマグネシウムグリニャール化合物を用いるフェロセンの金属化は、公知の反応であり、たとえば、T. Hayashiら、Bull. Chem. Soc. Jpn. 53(1980)、1138〜1151頁により、またはJonathan Clayden Organolithiums: Selectivity for Synthesis (Tetrahedron Organic Chemistry Series), Pergamon Press (2002)に記載されている。アルキルリチウム中のアルキルは、たとえば、1〜4個炭素原子を含有することができる。メチルリチウムおよびブチルリチウムが、多くの場合用いられる。マグネシウムグリニャール化合物は、式(C1〜C4−アルキル)MgX0(式中X0はCl、BrまたはIである)のものが好ましい。
反応は、低温、たとえば20〜−100℃、好ましくは0〜−80℃で行うのが有利である。反応時間は、約1〜20時間である。反応は、不活性な保護ガス、たとえば窒素または希ガス、たとえばヘリウムまたはアルゴン下で行うのが有利である。
反応は、不活性溶剤の存在下で行うのが有利である。このような溶剤は、単独でまたは少なくとも2種の溶剤の組み合わせとして用いることができる。溶剤の例は、脂肪族、脂環式および芳香族の炭化水素、ならびに開鎖または環状エーテルである。具体例は石油エーテル、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、エチレングリコールジメチルまたはジエチルエーテル、テトラヒドロフランおよびジオキサンである。
ハロゲン化は通常、金属化の直後に同じ反応混合物中で、金属化における反応条件と同様の反応条件を維持して行う。本発明の目的のために、少なくとも当量とは、好ましくはハロゲン化試薬1〜1.4当量の使用を意味する。ハロゲン化試薬は、たとえば、BrまたはIの導入に対してハロゲン(Br2、I2)、ハロゲン間化合物(Cl−Br、Cl−I)、および脂肪族過ハロゲン化炭化水素[HCI3(ヨードホルム)、BrF2C−CF2Brまたは1,1,2,2−テトラブロモエタン]である。
金属化およびハロゲン化は、位置選択的に進行し、式IIの化合物が高い収率で得られる。キラル基Yの存在のために、反応は立体選択的でもある。さらに、必要ならば、たとえばキラルカラムを用いるクロマトグラフィーにより、この段階で光学異性体を分離することもできる。
方法の工程a)では、式II中のフェロセン骨格が、同じシクロペンタジエニル環中で、ハロゲン原子を基準とするオルト位で、ハロゲン原子を基準とするオルト位の酸性のH原子の置換に十分な金属アミドを用いて、いったん再び位置選択的に金属化される。本発明の目的のために、少なくとも当量とは、フェロセンのシクロペンタジエニル環中のCH基当り、脂肪族のリチウムsec−アミドまたはX0Mgsec−アミド1〜10当量の使用を意味する。X0は、Cl、Brまたはヨウ素である。
脂肪族のリチウムsec−アミドまたはX0Mgsec−アミドは、2〜18個、好ましくは2〜12個、特に好ましくは2〜10個の炭素原子を含有する第二級アミンから誘導することができる。N原子に結合された脂肪族基は、アルキル、シクロアルキルもしくはシクロアルキルアルキル、または4〜12個、好ましくは5〜7個の炭素原子を有するN−複素環とすることができる。N原子に結合された基の例は、メチル、エチル、n−およびi−プロピル、n−ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘキシルメチルである。N−複素環の例は、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、N−メチルピペラジン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジンおよびアザノルボルナンである。好適な態様では、アミドは、アルキルが特にi−プロピルである式Li−N(C3〜C4−アルキル)2またはX0Mg−N(C3〜C4−アルキル)2に対応する。別の好適な態様では、アミドは、Li(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン)である。
方法の工程a)の反応は、上述した溶剤中で、式IIの化合物の製造に対する反応条件下で行うことができる。式IIIの化合物は、通常単離せず、それどころか得られた反応混合物を後続の工程b)で使用するのが好ましい。
方法の工程b)の反応では、式Z1−ハロの化合物、硫黄または有機ジスルフィドを、少なくとも当量または1.5当量までの過剰量を用いる。
方法の工程b)では、式Z1−ハロの化合物、硫黄または有機ジスルフィドとの反応により、Mの置換を伴って、基X2を導入する。本発明の目的のために、少なくとも当量とは、シクロペンタジエニル環中の反応する=CM基当り、反応性化合物1〜1.2当量の使用を意味する。しかし、5当量までの著しい過剰量を用いることもできる。
反応は、低温、たとえば20〜−100℃、好ましくは0〜−80℃で行うのが有利である。反応は不活性な保護ガス、たとえば希ガス、たとえばアルゴンあるいは窒素下で行うのが有利である。反応性求電子化合物の添加後、反応混合物を室温に温めておくか、または高温、たとえば100℃まで、好ましくは50℃まで加熱し、次いで反応を完結させるためにこれらの条件下でしばらくの間攪拌するのが有利である。
反応は、不活性溶剤の存在下で行うのが有利である。このような溶剤は、単独でまたは少なくとも2種の溶剤の組み合わせとして用いることができる。溶剤の例は、脂肪族、脂環式および芳香族の炭化水素、ならびに開鎖または環状エーテルである。具体例は、石油エーテル、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、エチレングリコールジメチルまたはジエチルエーテル、テトラヒドロフランおよびジオキサンである。
式IVの化合物は、公知の方法(抽出、蒸留、結晶化、クロマトグラフ法)により単離し、適切ならばそれ自体公知の方法で精製することができる。
方法の工程c)の反応を、上述したリチオ化(アルキルリチウムによる)および置換反応と同様の方法で行う。リチオ化試薬またはZ2−ハロ化合物、硫黄または有機ジスルフィドの当量または1.2当量までの過剰量を用いることができる。金属化は、−80〜約30℃の温度で行うのが好ましい。金属の置換は、まず+20〜−100℃の温度で、次に、後反応で、80℃まで加熱しながら行うのが有利である。上述した溶剤を用いることができる。
本発明による代替の方法では、式IIIの化合物を出発材料として用い、臭素化試薬と反応させて、式V:
Figure 2008540377
の化合物を形成する。
式Vの化合物は、まずハロゲンをたとえば、Liで置換して、段階的に金属化することができる(Li−C1〜C4−アルキルによるリチオ化)。Yはこの場合オルト配向基であるのが好ましい。Z2−ハロ化合物、硫黄または有機ジスルフィドとの反応は、次に式VI:
Figure 2008540377
の化合物を導く。
新たな金属化および後続のZ1−ハロ、硫黄または有機ジスルフィドとの反応は、次いで本発明による式Iの化合物を導く。反応条件および溶剤は、上述した方法の工程に対するそれらに類似し、これは単離にも適用することができる。
ホスフィノ基X1および/またはX2が異なる置換基(さらにP−キラル配位子)、たとえばR3およびR4が同一ではない基−PR34を含有する式Iの化合物は、WO2005/068478中の方法により製造することもできる。たとえば、金属化されたフェロセンの前駆物質は、Z1−ハロまたはZ2−ハロとではなく、その代わりにまず−P(ハロ)R3基を導入すれば(ハロ)2PR3基と反応することができる。この基の中のハロゲン原子は、次に、LiR4またはX0MgR4との反応により、基R4で置換することができる。
本発明の方法によって、式Iの化合物は良好な収率かつ高い純度で得られる。基X1およびX2は、逆の順序で結合するので、基X1およびX2の導入に対する高い柔軟性は、2つの方法の特定の利点を表す。したがって、基X1およびX2の選択は、方法の工程の反応条件に適合させることができる。
式Iの化合物は、たとえばT. Hayashi et al., Bull. Chem. Soc. Jpn. 53 (1980), pages 1138 to 1151により記載されているように、基Yにおいて変性することができる(上述したようにアシルオキシおよび−ORまたは−OR7の導入、または−OHに加水分解)。
式IおよびIVの化合物では、−CH2−OR、−CH2−N(C1〜C4−アルキル)2基Yまたは金属化試薬の金属をオルト位X1に導くC−結合キラル基Yを変性する、たとえばアミン基の脱離によりビニル基を形成することができる。R1が水素であり、そしてYが−CH2−OR、−CH2−N(C1〜C4−アルキル)2または金属化試薬の金属をオルト位X1に導くC−結合キラル基である式Iの化合物では、水素ではない基R1を導入することができる。
式Iの新規化合物は、好ましくはTM8金属の群から、特にRu、RhおよびIrよりなる群から選択される遷移金属の錯体用配位子であり、それらは不斉合成、たとえばプロキラル不飽和有機化合物の不斉水素化のための優れた触媒または触媒前駆物質である。プロキラル不飽和有機化合物を用いると、有機化合物の合成において、極めて大過剰の光学異性体を誘導することができ、そして高い化学転化率を短い反応時間で達成することができる。達成することができるエナンチオ選択性および触媒活性は優れており、そして不斉水素化の場合、最初に述べた公知の「Kaganの配位子」を用いて得たものよりも相当に高い。さらに、このような配位子を、他の不斉付加または環化反応においても使用することができる。
本発明は、さらに、配位子として式Iの化合物の一つと、遷移金属、たとえばTM8金属の群から選択される金属の錯体を提供する。
可能な金属は、たとえば、Cu、Ag、Au、Ni、Co、Rh、Pd、Ir、RuおよびPtである。好ましい金属は、ロジウムおよびイリジウムならびにルテニウム、白金およびパラジウムである。
特に好ましい金属は、ルテニウム、ロジウムおよびイリジウムである。
金属錯体は、金属原子の酸化数および配位数に応じて、さらなる配位子および/またはアニオン含有することができる。それらはカチオンの金属錯体であってもよい。類似の金属錯体およびその製造は、広く文献に記載されている。
金属錯体は、たとえば、一般式VIIおよびVIII:
Figure 2008540377
(式中、A1は、式Iの化合物の一つであり、
Lは、同一であるかまたは異なる単座のアニオンまたはノニオン配位子を表すか、あるいはLは同一であるかまたは異なる二座のアニオンまたはノニオン配位子を表し;
Lが単座配位子である場合、rは、2、3または4であり、あるいはLが二座配位子である場合、nは、1または2であり;
zは、1、2または3であり;
Meは、Rh、IrおよびRuよりなる群から選択される金属であり、該金属は酸化状態0、1、2、3または4を有し;
-は、オキソ酸または複合酸のアニオンであり;そして
アニオン配位子は、金属の酸化状態1、2、3または4の電荷と釣り合う)
に対応できる。
上述した好ましいものおよび実施態様は、式Iの化合物に適用される。
単座ノニオン配位子は、たとえば、オレフィン(たとえばエチレン、プロピレン)、溶媒和する溶剤(ニトリル、直鎖状または環状エーテル、アルキル化されていないか、またはN−アルキル化されたアミドおよびラクタム、アミン、ホスフィン、アルコール、カルボン酸エステル、スルホン酸エステル)、一酸化窒素および一酸化炭素よりなる群から選択することができる。
適切な多座アニオンの配位子は、たとえば、アリル類(アリル、2−メタリル)または脱プロトン化された1,3−ジケト化合物たとえばアセチルアセトナトである。
単座アニオン配位子は、たとえば、ハロゲン化物(F、Cl、Br、I)、擬ハロゲン化物(シアニド、シアネート、イソシアネート)ならびにカルボン酸、スルホン酸およびホスホン酸のアニオン(カーボネート、ホルメート、アセタート、プロピオネート、メチル−スルホネート、トリフルオロメチルスルホネート、フェニルスルホネート、トシラート)よりなる群から選択することができる。
二座ノニオン配位子は、たとえば、直鎖状または環状ジオレフィン(たとえばヘキサジエン、シクロオクタジエン、ノルボルナジエン)、ジニトリル(マロノニトリル)、アルキル化されていないかまたはN−アルキル化されたカルボン酸ジアミド、ジアミン、ジホスフィン、ジオール、ジカルボン酸ジエステルおよびジスルホン酸ジエステルよりなる群から選択することができる。
二座アニオン配位子は、たとえば、ジカルボン酸、ジスルホン酸およびジホスホン酸(たとえばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、メチレンジスルホン酸およびメチレンジホスホン酸)のアニオンよりなる群から選択することができる。
好ましい金属錯体は、Eが−Cl-、−Br-、−I-、ClO4 -、CF3SO3 -、CH3SO3 -、HSO4 -、(CF3SO22-、(CF3SO23-、テトラアリールボレート、たとえばB(フェニル)4 -、B[ビス(3,5−トリフルオロメチル)フェニル]4 -、B[ビス(3,5−ジメチル)フェニル]4 -、B(C654 -およびB(4−メチルフェニル)4 -、BF4 -、PF6 -、SbCl6 -、AsF6 -またはSbF6 -である錯体も挙げられる。
水素化に特に適切な極めて特に好ましい金属錯体は、式IXおよびX:
Figure 2008540377
(式中、A1は、式Iの化合物の一つであり;
Me2は、ロジウムまたはイリジウムであり;
1は、2個のオレフィンまたは1個のジエンであり;
Zは、Cl、BrまたはIであり;そして
1 -は、オキソ酸または複合酸のアニオンである)に対応する。
上述した実施態様および好ましいものは、式Iの化合物に適用される。
オレフィンY1は、C2〜C12−、好ましくはC2〜C6−、特に好ましくはC2〜C4−オレフィンとすることができる。例は、プロペン、1−ブテンおよび特にエチレンである。ジエンは、5〜12個、好ましくは5〜8個の炭素原子を含有することができ、そして開鎖、環状または多環式ジエンとすることができる。ジエンの2個のオレフィン基は、1または2個のCH2基により連結されているのが好ましい。例は、1,4−ペンタジエン、シクロペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−シクロヘキサジエン、1,4−または1,5−ヘプタジエン、1,4−または1,5−シクロヘプタジエン、1,4−または1,5−オクタジエン、1,4−または1,5−シクロオクタジエンおよびノルボルナジエンである。Yは、好ましくは、2個のエチレンまたは1,5−ヘキサジエン、1,5−シクロオクタジエンまたはノルボルナジエンである。
式IX中、Zは、ClまたはBrであるのが好ましい。E1の例は、BF4 -、ClO4 -、CF3SO3 -、CH3SO -、HSO4 -、B(フェニル)4 -、B[ビス(3,5−トリフルオロメチル)フェニル]4 -、PF6 -、SbCl6 -、AsF6 -またはSbF6 -である。
本発明の金属錯体は、文献で公知の方法により製造される(US-A-5,371,256、US-A-5,446,844、US-A-5,583,241およびE. Jacobsen, A. Pfaltz, H. Yamamoto (Eds.), Comprehensive Asymmetric Catalysis I to III, Springer Verlag, Berlin, 1999, およびその中に引用された参考文献も参照)。
本発明の金属錯体は、均一系触媒または触媒前駆物質であって、プロキラルな不飽和有機化合物への不斉付加反応に使用することができる反応条件下で活性化することができる。
金属錯体は、たとえば、炭素−炭素または炭素−ヘテロ原子二重結合を有するプロキラルな化合物の不斉水素化(水素の付加)に用いることができる。可溶性で均一な金属錯体を用いるこのような水素化が、たとえば、Pure and Appl. Chem., Vol. 68, No. 1, pages 131-138 (1996)に記載されている。水素化する好ましい不飽和化合物は、基C=C、C=Nおよび/またはC=Oを含有する。本発明によれば、ルテニウム、ロジウムおよびイリジウムの錯体を水素化に使用することが好ましい。
本発明は、さらに、本発明の金属錯体の、キラル有機化合物を製造用の、好ましくはプロキラル有機化合物中の炭素−炭素または炭素−ヘテロ原子二重結合への水素の不斉付加用の均一系触媒としての使用を提供する。
本発明の別の局面は、触媒存在下でのプロキラル有機化合物中の炭素−炭素または炭素−ヘテロ原子二重結合への水素の不斉付加による、キラル有機化合物の製造方法であって、触媒量の本発明による金属錯体少なくとも1種の存在下で付加反応を行うことを特徴とする製造方法である。
水素化する好ましいプロキラルな不飽和化合物は、開鎖または環状有機化合物中に、同一であるかまたは異なるC=C、C=Nおよび/またはC=O基を1個以上含有することができ、このC=C、C=Nおよび/またはC=O基は、環構造の一部であることができるか、あるいは環外基である。プロキラルな不飽和化合物は、アルケン、シクロアルケン、ヘテロシクロアルケンならびに開鎖または環状ケトン、α,β−ジケトン、α−もしくはβ−ケトカルボン酸またはそのα,β−ケトアセタールまたは−ケタール、エステルおよびアミド、ケチミンおよびケチドラゾン(kethydrazone)とすることができる。
不飽和有機化合物のいくつかの例は、アセトフェノン、4−メトキシアセトフェノン、4−トリフルオロメチルアセトフェノン、4−ニトロアセトフェノン、2−クロロアセトフェノン、対応する非置換またはN−置換アセトフェノンベンジルイミン、非置換または置換ベンゾシクロヘキサノンまたはベンゾシクロペンタノンおよび対応するイミン、非置換または置換テトラヒドロキノリン、テトラヒドロピリジンおよびジヒドロピロールよりなる群からのイミン、ならびに不飽和カルボン酸、カルボン酸エステル、カルボン酸アミドおよびカルボン酸塩、たとえばα−および適切ならばβ−置換アクリル酸またはクロトン酸である。好ましいカルボン酸は、式:
01−CH=C(R02)−C(O)OH
[式中、R01は、C1〜C6−アルキル、非置換であっても、または1〜4個のC1〜C6−アルキル、C1〜C6−アルコキシ、C1〜C6−アルコキシ−C1〜C4−アルコキシ置換基を有していてもよいC3〜C8−シクロアルキル、あるいは非置換であっても、または1〜4個のC1〜C6−アルキル、C1〜C6−アルコキシ、C1〜C6−アルコキシ−C1〜C4−アルコキシ置換基を有していてもよいC6〜C10−アリール、好ましくはフェニルであり、そしてR02は、直鎖状もしくは分岐状C1〜C6−アルキル(たとえばイソプロピル)、非置換であっても、または上記のように置換されていてもよいシクロペンチル、シクロヘキシル、フェニルまたは保護されたアミノ(たとえばアセチルアミノ)である]の酸ならびにその塩、エステルおよびアミドである。
本発明の方法は、低温または高温、たとえば−20〜150℃、好ましくは−10〜100℃、特に好ましくは10〜80℃の温度で行うことができる。光学収率は通常、高温よりも低温のほうが、良好である。
本発明の方法は、大気圧または高圧で行うことができる。圧力は、たとえば、105〜2×107Pa(パスカル)とすることができる。水素化は、大気圧でまたは高圧下で行うことができる。
触媒は、水素化する化合物に基づいて、好ましくは0.0001〜10mol%、特に好ましくは0.001〜10mol%、さらに特に好ましくは0.01〜5mol%の量で使用する。
配位子および触媒の製造ならびに水素化は、無溶剤でまたは不活性溶剤の存在下で行うことができ、単一溶剤または溶剤混合物を用いることができる。適切な溶剤は、たとえば、脂肪族、脂環式および芳香族の炭化水素(ペンタン、ヘキサン、石油エーテル、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン)、脂肪族ハロゲン化炭化水素(塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタンおよびテトラクロロエタン)、ニトリル(アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル)、エーテル(ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールモノメチルまたはモノエチルエーテル)、ケトン(アセトン、メチルイソブチルケトン)、カルボン酸エステルおよびラクトン(酢酸エチルまたはメチル、バレロラクトン)、N−置換ラクタム(N−メチルピロリドン)、カルボキサミド(ジメチルアミド、ジメチルホルムアミド)、非環式尿素(ジメチルイミダゾリン)ならびにスルホキシドおよびスルホン(ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホキシド、テトラメチレンスルホン)およびアルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル)および水である。溶剤は、単独で、または少なくとも2種の溶剤の混合物で用いることができる。
反応は、共触媒、たとえばハロゲン化四級アンモニウム(ヨウ化テトラブチルアンモニウム)の存在下で、および/またはプロトン酸、たとえば鉱酸の存在下で行うことができる(たとえば、US-A-5,371,256、US-A-5,446,844およびUS-A-5,583,241およびEP-A-0691949を参照)。フッ素化アルコール、たとえば1,1,1−トリフルオロエタノールが存在すると、同様に触媒反応を促進することができる。
触媒として用いる金属錯体を、別個に製造した単離化合物として加えてもよく、または反応に先立ってその場で形成し、次いで水素化する基質と混合してもよい。配位子は、単離した金属錯体を用いる反応の場合には追加して加えること、あるいはその場で製造する場合には過剰量の配位子を用いることが有利である。過剰量とは、製造に用いる金属化合物に基づいて、たとえば、1〜6mol、好ましくは1〜2molとすることができる。
本発明の方法は通常、反応容器に触媒を入れ、次いで基質、適切ならば反応助剤および添加する化合物を加え、次いで反応を開始することにより行う。添加する気体の化合物、たとえば水素またはアンモニアは、圧力下で導入するのが好ましい。本方法は、種々の種類の反応器中で、連続的にまたはバッチ法で行うことができる。
本発明により得られるキラル有機化合物は、特に、フレーバーおよびにおい物質、医薬および農薬の製造の分野における、活性物質またはそのような物質の製造用の中間体である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
出発原料および略語
1−[(ジメチルアミノ)エタ−1−イル]フェロセンは、市販されている。
式:
Figure 2008540377
の1−[(ジメチルアミノ)エタ−1−イル]−2−ブロモフェロセンを、文献:J. W Han et al. Helv. Chim. Acta, 85 (2002) 3848-3854に記載されているように製造した。この化合物を、以下V1と呼ぶ。
反応は不活性ガス(アルゴン)下で行った。
反応および収率は、最適化していない。
略語:TMP=2,2,6,6−テトラメチルピペリジン;TBME=t−ブチルメチルエーテル;DMF:N,N−ジメチルホルムアミド、THF=テトラヒドロフラン、EA=酢酸エチル、Me=メチル、Et=エチル、i−Pr=i−プロピル、nbd=ノルボルナジエン、Cy=シクロヘキシル、n−BuLi=n−ブチルリチウム、eq.=当量。
A)フェロセン−1,2−ジホスフィンの製造
実施例A1:
式:
Figure 2008540377
の1−(ジメチルアミノエタ−1−イル)−2−ブロモ−3−ジシクロヘキシルホスフィノ−フェロセン(化合物A1)の製造
n−BuLiのヘキサン溶液(1.6M)40.0mL(64.7mmol)を、THF100mL中のTMP11.2mL(66.9mmol)の溶液に、0℃で滴下し、混合物を1時間攪拌した。この溶液を、THF60mL中の化合物V1 7.46g(22.3mmol)の溶液に−40℃で滴下し、混合物を1.5時間攪拌した。混合物を−78℃に冷却し、Cy2PClを6.00mL(26.9mmol)加え、混合物を−78℃でさらに2.5時間攪拌した。水を加え、有機相をNa2SO4で乾燥し、溶剤を蒸発させ、粗生成物をクロマトグラフィー(シリカゲル60;溶離剤=アセトン/ヘプタン1:2)により精製した。これにより、化合物A1(9.75g、18.4mmol、理論量の82%)を褐色の油として得た。
Figure 2008540377
実施例A2:
式:
Figure 2008540377
の1−(ジメチルアミノエタ−1−イル)−2−ブロモ−3−ジフェニルホスフィノフェロセン(化合物A2)の製造
n−BuLiのヘキサン溶液(1.6M)46.4mL(74.2mmol)を、THF100mL中のTMP13.0mL(76.8mmol)の溶液に、0℃で滴下し、混合物を1時間攪拌した。この溶液を、THF70mL中の化合物V1 8.61g(25.6mmol)の溶液に、−40℃で滴下し、混合物を2.5時間攪拌した。混合物を−78℃に冷却し、Ph2PCl 6.20mL(33.3mmol)を加え、混合物をさらに1.5時間攪拌した。次いで水を加え、混合物をTBMEで抽出し、有機相をNa2SO4で乾燥し、溶剤を蒸発させ、粗生成物をクロマトグラフィー(シリカゲル60;溶離剤=EA/NEt3 100:2)により精製し、メタノールから再結晶した。これにより、化合物A2を73%の収率で橙色の固体として得た。
Figure 2008540377
実施例A3:
式:
Figure 2008540377
の1−(ジメチルアミノエタ−1−イル)−2−ブロモ−3−ジ−オルト−アニシルホスフィノ−フェロセン(化合物A3)の製造
n−BuLiのヘキサン溶液(2.5M)34.5mL(86mmol)を、THF50mL中のTMP15.5mL(90.0mmol)の溶液に、0℃で滴下し、混合物を1時間攪拌した。この溶液を、THF70mL中の化合物V1 10g(30mmol)溶液に−40℃で滴下し、混合物を−40〜−30℃の範囲の温度で3.5時間攪拌した。次いで混合物を−78℃に冷却し、ジ−オルトアニシルホスフィンクロリド8.9g(31.5mmol)を加え、混合物をさらに2時間攪拌した。水を加え、混合物をTBMEで抽出し、有機相をNa2SO4で乾燥し、溶剤を蒸発させ、粗生成物をクロマトグラフィー(シリカゲル60;溶離剤=ヘプタン/TBME1:1)により精製した。これにより、化合物A3を74%の収率で橙色の固体として得た。
Figure 2008540377
実施例A4:
式:
Figure 2008540377
の1−(ジメチルアミノエタ−1−イル)−2−ブロモ−3−ジエチルホスフィノフェロセン(化合物A4)の製造
n−BuLiのヘキサン溶液(2.5M)34.5mL(86mmol)を、THF50mL中のTMP15.5mL(90.0mmol)の溶液に0℃で滴下し、混合物を1時間攪拌した。この溶液を、THF50mL中の化合物V1 10g(30mmol)の溶液に−40℃で滴下し、混合物を−40〜−30℃の範囲の温度で3.5時間攪拌した。次いで混合物を−78℃に冷却し、(エチル)2PCl 3.95mL(31.5mmol)を加え、混合物をさらに2時間攪拌した。水を加え、混合物をTBMEで抽出し、有機相をNa2SO4で乾燥し、溶剤を蒸発させ、粗生成物をクロマトグラフィー(シリカゲル60;溶離剤=ヘプタン/TBME1:1、NEt3 1%含有)により精製した。これにより、化合物A4を橙色の油として95%の収率で得て、これは一晩で結晶化した。
Figure 2008540377
実施例A5:
式:
Figure 2008540377
の1−(ジメチルアミノエタ−1−イル)−2,3−ジブロモフェロセン(化合物A5)の製造
Li−TMP溶液[組成:THF2.5mL中、TMP 0.37mL(2.2mmol)およびn−BuLi(1.6M、ヘキサン中)1.28mL(2.05mmol)]を、THF1mL中の化合物V1 246mg(0.733mmol)の溶液に、−78℃で攪拌しながら滴下し、反応混合物を最初に−78℃で10分攪拌し、続いて、−40℃で3時間攪拌した。冷却して−78℃に戻した後、1,2−ジブロモテトラフルオロエタン0.27mL(2.2mmol)を加え、混合物を−78℃でさらに1.5時間攪拌した。次いで水3mLを加え、反応混合物をTBMEで抽出した。有機相を集め、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下、ロータリーエバポレータで溶剤を留去した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル60;溶離剤=アセトン)によって精製し、化合物A5を橙褐色の油として62%の収率で得た。
Figure 2008540377
実施例A6:
式:
Figure 2008540377
の1−(ジメチルアミノエタ−1−イル)−2−ジフェニルホスフィノ−3−ブロモフェロセン(化合物A6)の製造
n−BuLi0.27mL(0.432mmol)(1.6M、ヘキサン中)を、TBME2mL中の化合物A5 171mg(0.411mmol)の溶液に、攪拌しながら−78℃で滴下し、反応混合物を−78℃で2時間攪拌した。次いで、クロロジフェニルホスフィン0.092mL(0.49mmol)を加え、反応混合物を−78℃で0.5時間攪拌した。冷却をやめ、反応混合物を一晩攪拌した。精製を、水の添加および塩化メチレンでの抽出により行った。有機相を集め、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下、ロータリーエバポレータで溶剤を留去した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル60;溶離剤は、最初にEA、次いでアセトンである)により、2つの主な画分を得て、第2の画分が化合物A6を橙黄色の生成物として含有する。
Figure 2008540377
実施例A7:
式:
Figure 2008540377
の1−ビニル−2−ブロモフェロセン(化合物A7)の製造
無水酢酸30mL中の化合物V1 5.21g(15.5mmol)を、攪拌しながら135℃で4時間加熱した。冷却後、混合物を水/トルエンで抽出した。有機相を集め、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧(20torr)下、ロータリーエバポレータで溶剤を留去した。必要ならば、粗生成物をクロマトグラフィー(シリカゲル60、溶離剤=ヘプタン)により精製した。化合物A7を赤みがかった褐色の油として80%の収率で得た。
Figure 2008540377
実施例A8:
式:
Figure 2008540377
の1-エチル−2−ブロモフェロセン(化合物A8)の製造
THF35mL中の化合物A7 7.1g(24.4mmol)の溶液を、触媒(5%Rh/C、Engelhard)0.7gの存在下、水素雰囲気中(大気圧)、それ以上水素が消費されなくなるまで勢いよく攪拌した。次いで、反応混合物をアルゴン下に置き、触媒をろ別した。少量のTHFで洗浄した後、ロータリーエバポレータでろ液から溶剤を完全に除去した。生成物A8を橙色の油として定量的収率で得た。
Figure 2008540377
実施例A9:
式:
Figure 2008540377
の1−エチル−2−ブロモ−3−ジフェニルホスフィノフェロセン(化合物A9)の製造
化合物A9は、実施例A2と同様の方法により製造した。Li−TMPによる化合物A8のリチオ化の後、リチオ化された中間体をジフェニルホスフィンクロリドと反応させた。クロマトグラフィー(シリカゲル60;溶離剤=ヘプタン/EA20:1)により精製し、表題化合物を褐色の固体として得た(収率59%)。
Figure 2008540377
B)フェロセン−1,2−ジホスフィンの製造
実施例B1:
式:
Figure 2008540377
の1−(ジメチルアミノエタ−1−イル)−2−ジフェニルホスフィノ−3−ジシクロヘキシル−ホスフィノフェロセン(化合物B1)の製造[A1から出発(方法a)]
化合物A1 1.02g(1.92mmol、1.0eq.)をTBME20mLに溶解し、次いで0℃に冷却した。n−ブチルリチウム溶液(ヘキサン中1.6M)1.41ml(2.30mmol、1.2eq)を次いで滴下した。混合物をこの温度でさらに2時間攪拌し、次いで78℃に冷却し、ジフェニルホスフィンクロリド0.50ml(2.69mmol、1.4eq)を15分にわたってを加えた。反応混合物を室温に温めながら、混合物を一晩攪拌した。水20mlを加え、有機相を分離した。炭酸水素ナトリウム飽和溶液を水性相に添加した後、それをTBMEで再び抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、次いで減圧下、ロータリーエバポレータで、乾燥するまで溶剤を蒸発させた。得られた橙褐色の発泡体をクロマトグラフィー[シリカゲル、アセトン:ヘプタン(1:10)]により精製した。これにより、表題化合物531mg(39%)を橙色の個体発泡体の形態で得た。
Figure 2008540377
実施例B2:
化合物B1の製造[化合物A6から出発(方法b)]
TBME4ml中の化合物A6 102mg(0.196mmol)を−78℃に冷却した。n−ブチル−Li(1.6Mヘキサン溶液)0.13mL(0.21mmol)を、攪拌しながらゆっくり滴下した。10分間攪拌後、ジシクロヘキシルホスフィンクロリド58mg(0.25mmol)を加え、混合物を−78℃でさらに1時間攪拌した。次いで、冷却浴を外し、混合物を一晩攪拌した。水2mLを加え、有機相を分離した。炭酸水素ナトリウム飽和溶液を水性相に添加した後、それを再びTBMEで抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下、ロータリーエバポレータで溶剤を除去した。クロマトグラフィー[シリカゲル、アセトン:ヘプタン(1:10)]により精製して、実施例B1で得られた化合物と同一の化合物B1を得た。
実施例B3:
式:
Figure 2008540377
の1−(ジメチルアミノエタ−1−イル)−2−(メチル−t−ブチルホスフィノ)−3−ジシクロヘキシルホスフィノフェロセン(化合物B2)の製造(方法a)
化合物A1 1.04g(1.97mmol、1.0eq.)を、TBME7mLに溶解し、次いで0℃に冷却した。n−ブチルリチウム溶液(ヘキサン中1.6M)1.36mL(2.17mmol、1.1eq.)を滴下し、混合物をこの温度で1時間攪拌した(溶液A)。ラセミt−ブチルメチルホスフィンクロリド416mg(3mmol、1.1eq.)を、TBME3mLに溶解し、0℃に冷却した(溶液B)。溶液Bを溶液Aに10分にわたって滴下した。次いで、冷却浴を外し、反応混合物を室温でさらに2時間攪拌した。冷却しながら水10mLを加え、有機相を単離し、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶剤をロータリーエバポレータで除去した。得られた褐色の油を、クロマトグラフィー(シリカゲル60;溶離剤=TBME)により精製した。これにより、2つのジアステレオマーを橙色の固体として得た。
Figure 2008540377
実施例B4:化合物B2の製造(方法b)
n−BuLiのヘキサン溶液(1.6M)1.36mL(2.17mmol)を、TBME7mL中の化合物A1 1.04g(1.97mmol)の溶液に、0℃で滴下し、混合物を1時間攪拌した。この溶液を、TBME3mL中のt−ブチルPCl2345mg(2.17mmol)溶液に、0℃で滴下した。氷浴を外し、混合物をさらに1時間攪拌し、冷却して0℃に戻し、THF中のMeMgClの3M溶液0.92mL(2.76mmol)を加えた。氷浴を外し、混合物を一晩攪拌した。反応混合物を、水と混ぜ合わせ、珪藻土を通してろ過し、水性相をTBMEで抽出した。合わせた有機相をNa2SO4で乾燥し、溶剤を蒸発させ、粗生成物をクロマトグラフィー(SiO2、アセトン:ヘプタン(1:10))により精製した。これにより、化合物B2を橙色の固体として得た(エピマー1:350mg、0.63mmol、32%;エピマー2:59mg、0.11mmol、5%)。エピマーの比は、クロマトグラフィーによる分離中に変わる。
Figure 2008540377
実施例B5:
式:
Figure 2008540377
の1−(ジメチルアミノエタ−1−イル)−2−(ビス−4−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ−3−ジシクロヘキシルホスフィノフェロセン(化合物B3)の製造
n−BuLi(ヘキサン中1.6M)2.9mL(4.65mmol)を、TBME40mL中の化合物A1 2g(3.87mmol)の溶液に、0℃で滴下した。同じ温度で1.5時間攪拌後、ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィンクロリド2.16mL(6.06mmol)を0℃でゆっくり滴下した。1時間攪拌後、冷却浴を外し、温度を室温に上げておいた。4.5時間攪拌後、反応混合物を水と混ぜ合わせ、TBMEで抽出した。有機相を集め、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下、ロータリーエバポレータで溶剤を留去した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル60;溶離剤=ジクロロメタン/EA10:1、トリエチルアミン1%含有)により、化合物B3を橙色の固体として、64%の収率で得た。
Figure 2008540377
実施例B6:
式:
Figure 2008540377
の1−(ジメチルアミノエタ−1−イル)−2−ビス(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)−ホスフィノジシクロヘキシルホスフィノフェロセン(化合物B4)製造
n−BuLi(ヘキサン中、1.6M)3.37mL(5.39mmol)を、TBME40mL中の化合物A1 2.39g(4.49mmol)の溶液に、0℃で滴下した。同じ温度で1.5時間攪拌後、ビス(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)ホスフィンクロリド2.29g(6.80mmol)を、0℃でゆっくり滴下した。1時間攪拌後、冷却浴を外し、温度を室温に上げておいた。4.5時間攪拌後、反応混合物を水および少量の炭酸水素ナトリウムと混ぜ合わせ、ジクロロメタンで抽出した。有機相を集め、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下、ロータリーエバポレータで溶剤を留去した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル60;溶離剤=ジクロロメタン/EA10:1、トリエチルアミン1%含有)により、表題化合物を橙色の固体として37%の収率で得た。
Figure 2008540377
実施例B7:
式:
Figure 2008540377
の1−(ジメチルアミノエタ−1−イル)−2−ジフェニルホスフィノ−3−ジフェニルホスフィノフェロセン(化合物B5)の製造
n−BuLi(ヘキサン中1.6M)0.73mL(1.2mmol)を、TBME10mL中の化合物A2 0.52g(1.0mmol)の溶液に、0℃で滴下した。同じ温度で1.5時間攪拌後、ジフェニルホスフィンクロリド0.26mL(1.4mmol)を、0℃でゆっくり滴下した。1時間攪拌後、冷却浴を外し、温度を室温に上げておいた。2.5時間攪拌後、反応混合物を水およびジクロロメタンで抽出した。有機相を集め、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶剤を、ロータリーエバポレータで減圧下留去した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル60;溶離剤=ジクロロメタン/EA4:1、トリエチルアミン1%含有)により化合物B5を橙色の固体として66%の収率で得た。
Figure 2008540377
実施例B8:
式:
Figure 2008540377
の1−(ジメチルアミノエタ−1−イル)−2−ジシクロヘキシルホスフィノ−3−ジフェニル-ホスフィノフェロセン(化合物B6)の製造
実施例B7と同様の方法により化合物B6を製造した。ジフェニルホスフィンクロリドの代わりにジシクロヘキシルホスフィンクロリドを加えた。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル60;溶離剤=ジクロロメタン/EA4:1、トリエチルアミン1%含有)により精製して、表題化合物を橙色の固体として40%の収率で得た。
Figure 2008540377
実施例B9:
式:
Figure 2008540377
の1−(ジメチルアミノエタ−1−イル)−2−ビス(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)−ホスフィノ−3−ジフェニルホスフィノフェロセン(化合物B7)の製造
実施例B7と同様の方法により化合物B7を製造した。ジフェニルホスフィンクロリドの代わりにビス(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)ホスフィンクロリドを加えた。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル60;溶離剤=ジクロロメタン/EA4:1、トリエチルアミン1%含有)により精製して、表題化合物を橙色の固体として収率74%で得た。
Figure 2008540377
実施例B10:
式:
Figure 2008540377
の1−ビニル−2−ビス(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)ホスフィノ−3−ジフェニルホスフィノフェロセン(化合物B8)の製造
無水酢酸1mL中、化合物B7 250mg(0.34mmol)を、140℃で2時間攪拌した。冷却後、無水酢酸を減圧下留去した。残留物を、酢酸エチルにとった。炭酸水素ナトリウム飽和溶液、続いて水で洗浄した後、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、ロータリーエバポレータで蒸発させた。クロマトグラフィー(シリカゲル60;溶離剤=EA/ヘプタン1:10、トリエチルアミン2%含有)により精製して、化合物B8を橙色の発泡体として収率72%で得た。
Figure 2008540377
実施例B11:
式:
Figure 2008540377
の1−(ジメチルアミノエタ−1−イル)−2−ジエチルホスフィノ−3−ジフェニルホスフィノフェロセン(化合物B9)の製造
実施例B7と同様の方法により化合物B9を製造した。ジフェニルホスフィンクロリドの代わりに、ジエチルホスフィンクロリドを加えた。クロマトグラフィー(シリカゲル60;溶離剤=ジクロロメタン/EA2:1、トリエチルアミン1%含有)により精製して、表題化合物を黄色の固体として55%の収率で得た。
Figure 2008540377
実施例B12:
式:
Figure 2008540377
の1−(ジメチルアミノエタ−1−イル)−2−ジフリルホスフィノ−3−ジフェニルホスフィノフェロセン(化合物B10)の製造
実施例B7と同様の方法により化合物B10を製造した。ジフェニルホスフィンクロリドの代わりに、ジ−オルトフリルホスフィンクロリドを加えた。クロマトグラフィー(シリカゲル60;溶離剤=ジクロロメタン/EA3:1、トリエチルアミン1%含有)により精製して、表題化合物を黄色の固体として68%の収率で得た。
Figure 2008540377
実施例B13:
式:
Figure 2008540377
の1−(ジメチルアミノエタ−1−イル)−2−ジエチルホスフィノ−3−ジ−オルトアニシル−ホスフィノフェロセン(化合物B11)の製造
n−BuLi(ヘキサン中、1.6M)2.6mL(4.14mmol)を、TBME60mL中の化合物A3 2g(3.45mmol)の溶液に、0℃で滴下した。同じ温度で3時間攪拌後、ジエチルホスフィンクロリド0.645g(5.18mmol)を0℃でゆっくり滴下した。1時間攪拌後、冷却浴を外し、温度を室温に上げておいた。2.5時間攪拌後、反応混合物を水およびジクロロメタンで抽出した。有機相を集め、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下、ロータリーエバポレータで溶剤を留去した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル60;溶離剤=ヘプタン/EA2:1、トリエチルアミン1%含有)により、化合物B11を橙色の固体として72%の収率で得た。
Figure 2008540377
実施例B14:
式:
Figure 2008540377
の1−(ジメチルアミノエタ−1−イル)−2−ジメチルホスフィノ−3−ジ−オルトアニシルホスフィノフェロセン(化合物12)の製造
n−BuLi(ヘキサン中、1.6M)2.6mL(4.14mmol)を、THF40mL中の化合物A3 2g(3.45mmol)の溶液に、0℃で滴下した。同じ温度で2時間攪拌後、反応混合物を、−70℃で攪拌したTHF80mL中のPCl3(0.36mL、4.14mmol)の溶液を含有するフラスコに、圧力を加えることによりカニューレを通してゆっくり移した。次いで、冷却をやめ、温度を室温に上げておき、混合物を冷却して−70℃に戻した後、塩化メチルマグネシウム(THF中、3M)11.5mL(34.5mmol)を滴下した。冷却をやめ、混合物を室温で一晩攪拌した。0℃に冷却した後、反応混合物を水と混ぜ合わせた。続いて室温で塩化アンモニウム飽和水溶液を加え、混合物をEAで抽出した。有機相を集め、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下、ロータリーエバポレータで溶剤を留去した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル60;溶離剤=EA/ヘプタン2:1、トリエチルアミン1%含有)により、化合物B12を橙色の発泡体として収率50%で得た。
Figure 2008540377
実施例B15:
式:
Figure 2008540377
の1−(ジメチルアミノエタ−1−イル)−2−ジフェニルホスフィノ−3−ジエチルホスフィノフェロセン(化合物13)の製造
実施例B7と同様の方法を用いて、化合物A4から化合物B13を製造した。クロマトグラフィー(シリカゲル60;溶離剤=ヘプタン/EA10:1、NEt3 1%を含有)により精製して、化合物B13を橙色の粉末として収率54%で得た。
Figure 2008540377
実施例16:
式:
Figure 2008540377
の1−エチル−2−ジエチルホスフィノ−3−ジフェニルホスフィノフェロセン(化合物B14)の製造
実施例B7と同様の方法を用いて、化合物A9から化合物B14を製造した。クロマトグラフィー(シリカゲル60;溶離剤=ヘプタン/EA30:1)により精製して、化合物B14を橙色の固体として50%の収率で得た。31P−NMR(C66、121MHz):δ−20.4(d)、−23.5(d)。
実施例B17:
式:
Figure 2008540377
の1−(ジメチルアミノエタ−1−イル)−2−イソプロピルチオ−3−ジフェニルホスフィノ−フェロセン(化合物B15)の製造
n−BuLiのヘキサン溶液0.72mL(1.15mmol)を、TBME10mL中の化合物A2 500mg(0.96mmol)の溶液に、0℃で滴下し、混合物を1時間攪拌した。(i−Pr)SS(i−Pr)0.21mL(1.34mmol)を加え、混合物をさらに2.5時間攪拌した。反応混合物を水およびNa2CO3水性溶液(10%)と混ぜ合わせ、有機相をNa2SO4で乾燥し、溶剤を蒸発させ、粗生成物をクロマトグラフィー[SiO2、TBME:ヘプタン:NEt3(150:100:1.5)]により精製した。これにより、化合物B15を黄色の固体として得た(368mg、715mmol、74%)。
Figure 2008540377
C)金属錯体の製造
実施例C1:
[Rh(nbd)2]BF4 5.1mg(0.0136mmol)および実施例B1からの化合物B1 10.4mg(0.0163mmol)を、マグネチックスターラを備えたSchlenk容器に秤量し、空気を真空およびアルゴンによって置換した。攪拌しながら脱ガスメタノール0.8mLを添加して、金属錯体の橙色の溶液(触媒溶液)を得た。31P−NMR:(121MHz、CD3OD、δ/ppm):45.8(d)、44.5(d)、42.4(ブロードなシグナル)、41.2(ブロードなシグナル)。
D)使用例
実施例D1〜D20:ジメチルイタコネート(DMI)の水素化
マグネチックスターラを備えた容器中、ジメチルイタコネート95mg(0.6mmol)を、メタノール2mLに溶解し、空気を真空およびアルゴンによって置換した。実施例B1からの溶液0.2mLを、この溶液に滴下した(Rh対基質の比=1:175)。アルゴンを真空によって取り除き、容器を水素供給(1bar)に連結した。水素化をスターラのスイッチをつけることにより開始した。水素の取り込みは、10分後より前に終了した。転化率およびエナンチオマー過剰率(ee)を、キラルカラム(Lipodex E)を用いるガスクロマトグラフィーで測定した:転化率は定量的であり、eeは95.5%であった。
次の表に示すような別の基質の水素化を、同様の方法で行った。スチールオートクレーブ中で、80barで水素化するMEAの場合を除いて、全ての水素化における水素圧力は1barである。全ての水素化は25℃で行った。
Figure 2008540377

略語:ee=エナンチオマー過剰率、GC=ガスクロマトグラフィー、TMS=トリメチルシリル、HPLC=高圧液体クロマトグラフィー
結果を次の表1に示す。表中:
[S]は基質モル濃度であり;S/Cは基質/触媒比であり;tは水素化時間であり;Solv.=溶剤(MeOH=メタノール;EtOH=エタノール;Tol=トルエン;THF=テトラヒドロフラン;DCE=1,2−ジクロロエタン);金属:水素化で用いた金属前駆物質:Rha)=[Rh(ノルボルナジエン)2]BF4;Rhb)=[Rh(シクロオクタジエン)Cl]2;Irc)=[Ir(シクロオクタジエン)Cl]2;Conv.=転化率;Conf.=立体配置。
添加:1)=溶剤5mL当りトリフルオロエタノール250mgを添加;2)溶剤5mL当りヨウ化テトラブチルアンモニウム2.4mgおよび酢酸15mgを添加。
Figure 2008540377

Claims (18)

  1. エナンチオマー的に純粋なジアステレオマーまたはジアステレオマー混合物の形態である、式I:
    Figure 2008540377

    (式中、R’1は、C1〜C4−アルキル、C6〜C10−アリール、C7〜C12−アラルキルまたはC7〜C12−アルカラルキルであり、そしてnは、0または整数1〜5であり;
    1は、水素原子、ハロゲン、炭素原子数1〜20の非置換または−SC1〜C4−アルキル−、−OC1〜C4−アルキル−、−OC6〜C10−アリール−もしくは−Si(C1〜C4−アルキル)3−置換炭化水素基、あるいは3C1〜C12−炭化水素基を有するシリル基であり;
    Yは、ビニル、メチル、エチル、−CH2−OR、−CH2−N(C1〜C4−アルキル)2、または金属化試薬の金属をオルト位X1に導くC−結合キラル基であるか、あるいはYは、−CHR2−OR’2基であり;
    2は、C1〜C8−アルキル、C5〜C8−シクロアルキル、C6〜C10−アリール、C7〜C12−アラルキルまたはC7〜C12−アルカラルキルであり;
    R’2は、水素またはC1〜C18−アシルであり;
    1およびX2はそれぞれ、互いに独立に、P−結合P(III)置換基、−SHまたはメルカプタンのS−結合基であり;そして
    Rは、水素、シリル基、あるいは1〜18個の炭素原子を有し、非置換またはC1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、FもしくはCF3で置換された脂肪族、脂環式、芳香族または芳香族−脂肪族の炭化水素基である)の化合物。
  2. 基Yが、式−HC*56(式中、*は、キラル原子を意味し、R5は、C1〜C8−アルキル、C5〜C8−シクロアルキル、フェニルまたはベンジルであり、R6は、−OR7または−NR89であり、R7は、C1〜C8−アルキル、C5〜C8−シクロアルキル、フェニルまたはベンジルであり、そしてR8およびR9は、同一であるかまたは異なり、それぞれC1〜C8−アルキル、C5〜C8−シクロアルキル、フェニルまたはベンジルであるか、またはR8およびR9は、N原子と一緒になって5〜8員環を形成する)に対応することを特徴とする、請求項1記載の化合物。
  3. 基Yが1−メトキシエタ−1−イル、1−ジメチルアミノエタ−1−イルまたは1−(ジメチルアミノ)−1−フェニルメチルであることを特徴とする、請求項2記載の化合物。
  4. Yが、直接に、または架橋基、好ましくはメチレン、エチレンもしくはイミン基を介して、炭素原子を介してシクロペンタジエニル環に結合されたキラルα炭素原子を持たない基であることを特徴とする、請求項1記載の化合物。
  5. 合計5または6個の環原子を有するC1〜C4−アルキル−、(C1〜C4−アルキル)2NCH2−、(C1〜C4−アルキル)2NCH2CH2−、C1〜C4−アルコキシメチル−またはC1〜C4−アルコキシエチル−置換N−、O−またはN,O−ヘテロシクロアルキルの中から選択される環状基が、架橋基に結合されるか、あるいはYが、好ましくはCH2基を介してシクロペンタジエニル環に結合される開鎖基であり、そして該基がアミノ酸またはエフェドリンから誘導されることを特徴とする、請求項4記載の化合物。
  6. Yが、式:
    Figure 2008540377

    (式中、R11は、C1〜C4−アルキル、フェニル、(C1〜C4−アルキル)2NCH2−、(C1〜C4−アルキル)2NCH2CH2−、C1〜C4−アルコキシメチルまたはC1〜C4−アルコキシエチルである)の一つを有する基であることを特徴とする、請求項5記載の化合物。
  7. 式I中のYが、ビニル、メチル、エチル、−CH2−OR、−CH2−N(C1〜C4−アルキル)2、−CHR5−NR89または−CHR2−OR’2
    (式中、R2およびR5は、それぞれ、互いに独立に、C1〜C4−アルキル、C5〜C6−シクロアルキル、フェニル、ベンジルまたはメチルベンジルであり;
    R’2は、水素またはC1〜C8−アシルであるか、または独立に以下のRの意味を有し;
    8およびR9は、同一であり、それぞれC1〜C4−アルキルであり;そして
    Rは、C1〜C6−アルキル、トリ(C1〜C18−アルキル)シリル、C5〜C6−シクロアルキル、C5〜C6−シクロアルキルメチル、フェニルまたはベンジルであり、非置換であるか、またはC1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、FまたはCF3で置換されている)であることを特徴とする、請求項1記載の化合物。
  8. 第二級ホスフィノ基X1およびX2が、同一のまたは異なる1〜22個の炭素原子を有する炭化水素基2個を含有し、そして非置換であるか置換されかつ/またはO、S、−N=およびN(C1〜C4−アルキル)よりなる群から選択されるヘテロ原子を含有することを特徴とする、請求項1記載の化合物。
  9. 第二級ホスフィノ基が、直鎖状または分岐状C1〜C12−アルキル;非置換またはC1〜C6−アルキル−もしくはC1〜C6−アルコキシ−置換C5〜C12−シクロアルキルまたはC5〜C12−シクロアルキル−CH2−;フェニル、ナフチル、フリルおよびベンジル;およびC1〜C6−アルキル−、トリフルオロメチル−、C1〜C6−アルコキシ−、トリフルオロメトキシ−、(C653Si−、(C1〜C12−アルキル)3Si−、F−、Cl−、Br−またはsec−アミノ−置換フェニルおよびベンジルよりなる群から選択される、2個の同一のまたは異なる基を含有することを特徴とする、請求項8記載の化合物。
  10. sec−ホスフィノ基X1またはX2が、式:
    Figure 2008540377

    (これらは、非置換であるか、あるいはC1〜C8−アルキル、C4〜C8−シクロアルキル、C1〜C6−アルコキシ、C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキル、フェニル、C1〜C4−アルキルフェニルまたはC1〜C4−アルコキシフェニル、ベンジル、C1〜C4−アルキルベンジルまたはC1〜C4−アルコキシベンジル、ベンジルオキシ、C1〜C4−アルキルベンジルオキシまたはC1〜C4−アルコキベンジルオキシまたはC1〜C4−アルキリデンジオキシル基1個以上で置換されている)の一つを有する環状sec−ホスフィノであることを特徴とする、請求項8記載の化合物。
  11. 1およびX2が、異なる、好ましくは異なる第二級ホスフィノ基であることを特徴とする、請求項8記載の化合物。
  12. 工程:
    a)式II:
    Figure 2008540377

    (式中、Y、R’1、nおよびR1は、Y=−CHR2−OR’2およびR’2=アシルまたは水素を除いて前記定義の通りであり、そしてハロゲンは臭素またはヨウ素である)の化合物と、脂肪族のリチウムsec−アミドまたはハロゲン−Mgsec−アミド少なくとも当量とを反応させて、式IIIの化合物:
    Figure 2008540377

    (式中、MはLiまたは−MgX3であり、そしてX3は、Cl、BrまたはIである)を形成し、
    b)式IIIの化合物と、式Z1−ハロの化合物(式中、ハロは、Cl、BrまたはIであり、そしてZ1はP(III)置換基である)とを、または硫黄もしくは有機ジスルフィドとを反応させて、基X2を導入し、そして式IV:
    Figure 2008540377

    の化合物を形成し、
    c)式IVの化合物と、アルキルリチウムまたはマグネシウムグリニャール化合物少なくとも当量とを反応させ、次に化合物Z2−ハロ(式中、ハロは、Cl、BrまたはIであり、そしてZ2は独立にZ1の意味の一つを有する)少なくとも当量、あるいは硫黄または有機ジスルフィドと反応させて、式Iの化合物を形成し、
    d)次いで、Yが−CHR2−OR’2基であり、そしてR’2がアシルまたは水素である式Iの化合物を製造するために、基Y中の第二級アミノ基と、カルボン酸無水物(無水酢酸)とを反応させて、アシルオキシ置換基を形成し、望ましいならば、加水分解して−CHR2−OH基を形成すること
    を含む、式Iの化合物の製造の方法。
  13. 配位子として式Iの化合物の一つと、遷移金属、好ましくはTM8金属の群から選択される金属の錯体。
  14. 金属がCu、Ag、Au、Ni、Co、Rh、Pd、Ir、RuおよびPtよりなる群から選択される、請求項13記載の金属錯体。
  15. 一般式VIIまたはVIII:
    Figure 2008540377

    (式中、A1は、式Iの化合物の一つであり、
    Lは、同一のまたは異なる単座のアニオンまたはノニオン配位子を表すか、あるいはLは同一のまたは異なる二座のアニオンまたはノニオン配位子を表し;
    Lが単座配位子である場合、rは、2、3または4であり、あるいはLが二座配位子である場合、nは、1または2であり;
    zは、1、2または3であり;
    Meは、Rh、IrおよびRuよりなる群から選択される金属であり、該金属は酸化状態0、1、2、3または4を有する;
    -は、オキソ酸または複合酸のアニオンであり;そして
    アニオン配位子は、金属の酸化状態1、2、3または4の電荷と釣り合う)に対応する、請求項14記載の金属錯体。
  16. 式IXまたはX:
    Figure 2008540377

    (式中、A1は、式Iの化合物の一つであり;
    Me2は、ロジウムまたはイリジウムであり;
    1は、2個のオレフィンまたは1個のジエンであり;
    Zは、Cl、BrまたはIであり;そして
    1 -は、オキソ酸または複合酸のアニオンである)に対応する、請求項14記載の金属錯体。
  17. 触媒の存在下でのプロキラル有機化合物中の炭素−炭素または炭素−ヘテロ原子二重結合への水素の不斉付加による、キラル有機化合物の製造方法であって、請求項13記載の金属錯体少なくとも1種の触媒量の存在下で付加反応を行うことを特徴とする、キラル有機化合物の製造方法。
  18. 請求項13記載の金属錯体の、キラル有機化合物の製造用、好ましくはプロキラル有機化合物中の炭素−炭素または炭素−ヘテロ原子二重結合への水素の不斉付加用の均一系触媒としての使用。
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