JP2008537543A - 神経変性状態に関与する遺伝子 - Google Patents

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Abstract

本発明は、神経変性状態を処置、予防または改善するための新規治療薬開発に関する、適当な遺伝子およびポリペプチド標的を開示する。本発明はまた、該状態を処置、予防または改善するための方法、およびその医薬組成物、ならびに神経変性状態を処置するための治療上の有用性を有する化合物を同定する方法に関する。

Description

技術分野
本発明は、神経変性状態、特に、A-ベータの異常な代謝、トラフィッキング、ターンオーバーを含む状態(アルツハイマー病(AD)を含むが、これに限定されない。以下、このことを「非限定的にアルツハイマー病(AD)を含む」と記載する。)の、発症および/または進行に関与する遺伝子に関する。本発明はまた、該神経変性状態を処置、予防または改善するのに有用な治療薬を開発するための、薬物標的としての該遺伝子の使用に関する。
発明の背景
ADは、漸進的な認知および行動変化ならびに記憶の喪失を生じる、進行性神経変性疾患である。Selkoe, Physiol Rev, Vol. 81, No. 2, 741-766 (2001); Selkoe and Podlisny, Annu Rev Genomics Hum Genet, Vol. 3, No. 3, 67-99 (2002)を参照のこと。ADの家族型は、アミロイド前駆体タンパク質(APP)をコードしている遺伝子の突然変異と関連がある。APPの異なった切断により40または42アミノ酸長ペプチドを産生し、A-ベータ40およびA-ベータ42と呼ばれる。A-ベータ40は、非アミロイド生成的可溶型であり、C99は、APPタンパク質のβセクレターゼ切断型であり、γセクレターゼの基質として役割を果たす。APPミスセンス突然変異は、A-ベータ切断サイト周辺に集まっており、A-ベータ-ペプチドの総産生量またはA-ベータ42-/A-ベータ40-ペプチド比率を増加させる。これらのペプチドの両方が、老人斑(ADの神経病理学的指標)の構成要素であるが、A-ベータ42の過剰生産が、その疎水的な性質および自己凝集特性により、アミロイド斑の形成を促す。Evin and Weidemann, Peptides, Vol. 23, No. 7, 1285-1297 (2002)。
我々は、ハエで、A-ベータ-関連毒性のためのモデルを開発した。Finelli et al., Mol Cell Neurosci., Vol. 26, No. 3, 365 (2004); Iijima et al., Proc Natl Acad Sci U S A. Vol. 101, No. 17, 6623 (2004)を参照のこと。そこでは、汎神経(pan-neuronal)GAL4ドライバー、すなわち、ElavGal4C155を用いてすべての神経細胞でA-ベータ42を発現しているこの成虫ハエADモデルが、おそらく神経欠損のために起こる、減少した短寿命、進行性移動運動欠損、嗅覚関連学習および記憶欠損、ニューロパシーの漸増(成虫脳での空胞変性)を示している。成虫ハエの年齢と共に進行的に増加するこれらの表現型は、ヒトAD患者で見られるような、A−ベータ凝集およびチオフラビンS陽性原線維変化を伴った。このハエモデルを用いて、我々は、A-ベータ42依存性短寿命表現型のモディファイヤーを探すために、遺伝学的スクリーニングを行った。我々のスクリーニングは、ハエゲノムのさまざまな領域に独立したP-因子の挿入を有する、公的に利用可能なハエ株のコレクションを利用している。Bier et al., Genes Dev., Vol. 3, 1273 (1989); Cooley et al., Science, Vol 239, 1121 (1988)を参照のこと。P-転移因子は、ヘテロクロマチンおよびユークロマチン領域に挿入し、選択的に、プロモーターの近くに転移し、その結果、挿入により遺伝子発現を破壊するので、ショウジョウバエ遺伝子を破壊するために、最も広く使用されている媒体である。Cooley et al., Science, Vol 239, 1121 (1988); Bellen et al., Genetics, Vol. 167, 761 (2004)のレビューを参照のこと。したがって、我々は、P-因子挿入に関連した変異型コピーの導入後、遺伝子発現のハプロ不全を達成することができる。P-因子を用いたハプロ不全遺伝学的スクリーニングを行うために、我々は、1個のP-因子を有するハエと、汎神経Gal4ドライバー、すなわちElavGal4C155により、A-ベータ42を発現しているハエを交雑し、親交雑から子孫を取得し、P-因子が関連している遺伝子が、A-ベータ42誘導短寿命を修飾できるか否かを見るために、すべての子孫が死ぬまでそれらを育てた。この遺伝学的スクリーニングから、我々は、寿命表現型の修飾として明らかである、安定性、凝集、毒性および/またはA-ベータ42ペプチドの分泌に影響するであろう、遺伝学的相互作用を決定できる。
出願人は、本明細書で、我々のトランスジェニックモデルにおいて、A-ベータ42-ペプチドがショウジョウバエ神経のAD病態と共に短い寿命を誘導することを示す、驚くべき証拠を開示している。このモデル系を用いて、出願人は、ADの発症および/または進行に関与するいくつかの新規遺伝子を発見し、本明細書に記載した。したがって、これらの遺伝子およびこれらの遺伝子によりコードされたタンパク質が、神経変性状態、特に、例えば、A-ベータの異常な代謝、トラフィッキングまたはターンオーバーを含む状態(非限定的にアルツハイマー病(AD)を含む)を、処置、予防または改善する治療薬の開発のための薬物標的として役立つことを、本明細書で検討している。
発明の要約
本出願は、非限定的にADを含む、神経変性状態を処置、予防または改善するための新規治療薬開発に関する適当な標的として、いくつかのショウジョウバエ遺伝子のヒトオーソログを開示する。よって、1つの局面では、本発明は、該状態を処置、予防または改善するための有用なモジュレーターを同定する方法に関し、該方法は、(a)配列番号1-31で開示したタンパク質からなる群から選択したタンパク質の生物学的活性を調節する、および/または該タンパク質をコードする遺伝子の発現を調節する、インビトロまたはインビボでの候補モジュレーターの能力をアッセイし;そして、さらに、(b)該神経変性状態の動物モデルおよび/または該状態を有する対象での臨床試験で観察される病理学的影響を回復に向かわせる、同定したモジュレーターの能力をアッセイすることを含む。
他の局面では、本発明は、非限定的にADを含む神経変性状態を処置、予防または改善する方法に関するものであり、それを必要とする対象に配列番号1-31で開示したタンパク質からなる群から選択したタンパク質のモジュレーターの有効量を投与することを含む(ここで、該モジュレーターは、例えば、該タンパク質の生物学的活性を阻害するか、または高める)。さらなる局面では、モジュレーターは、該タンパク質またはその断片に対する抗体を含み、ここで、該抗体は、該対象における該タンパク質の生物学的活性を阻害できる。他の局面では、モジュレーターは、配列番号1-31で開示したタンパク質からなる群から選択したタンパク質をコードする遺伝子のRNA発現を阻害するか、または高める。さらなる局面では、モジュレーターは、アンチセンスオリゴヌクレオチド、三重螺旋DNA、リボザイム、RNAおよびDNAアプタマー、siRNAおよび二本鎖または一本鎖RNAからなる群から選択した、任意の1個またはそれ以上の物質を含み、ここで、該物質は、該タンパク質をコードした遺伝子のRNA発現を阻害するように設計される。
他の局面では、本発明は、非限定的にADを含む神経変性状態を、処置、予防または改善するための方法に関し、それを必要とする対象に、配列番号1-31で開示したタンパク質からなる群から選択したタンパク質のモジュレーターの有効量を含む医薬組成物を投与することを含む。さまざまな局面では、該医薬組成物は、該タンパク質またはその断片に対する抗体(ここで、該抗体は、該対象において該タンパク質の生物学的活性を阻害できる)、および/またはアンチセンスオリゴヌクレオチド、三螺旋DNA、リボザイム、RNAおよびDNAアプタマー、siRNAおよび二本鎖または一本鎖RNAからなる群から選択した任意の1個またはそれ以上の物質(ここで、該物質は、該タンパク質をコードした遺伝子のRNA発現を阻害するように設計される)を含む。1個またはそれ以上のタンパク質の1個またはそれ以上の該モジュレーターを同時に投与し得ることが、本明細書で意図されている。
他の局面では、本発明は、配列番号1-31で開示したタンパク質からなる群から選択したタンパク質に対するモジュレーターを、それを必要とする対象において非限定的にADを含む神経変性状態を処置、予防または改善するための有効量で含む、医薬組成物に関する。ある局面では、該モジュレーターは、例えば、該タンパク質の生物学的活性を阻害または高め得る。さらなる局面では、該モジュレーターは、該タンパク質またはその断片に対する抗体を含み、ここで、該抗体は、例えば、該タンパク質の生物学的活性を阻害できる。
さらなる局面では、該医薬組成物は、例えば、該タンパク質をコードした遺伝子のRNA発現を阻害または高め得る、モジュレーターを含む。さらなる局面では、該モジュレーターは、該タンパク質の核酸配列に向けられた、アンチセンスオリゴヌクレオチド、三重螺旋DNA、リボザイム、RNAまたはDNAアプタマー、siRNAまたは二本鎖または一本鎖RNAからなる群から選択される、任意の1個またはそれ以上の物質を含み、ここで、該物質は、該タンパク質をコードした遺伝子のRNA発現を阻害するために設計される。
他の局面では、本発明は、配列番号1-31で開示したタンパク質からなる群から選択したタンパク質に対するモジュレーターを用いた処置の適当な候補である、神経変性状態を患っている対象を診断する方法に関し、該対象からの生物学的試料中の、任意の1個またはそれ以上の該タンパク質のレベルを検出することを含む(ここで、コントロールと比較して変えられたレベルを有する対象は、モジュレーター処置の適当な候補である)。
他の局面では、本発明は、配列番号1-31で開示したタンパク質からなる群から選択したタンパク質に対するモジュレーターを用いた処置の適当な候補である、神経変性状態(非限定的にADを含む)を患っている対象を診断する方法に関し、該対象からの生物学的試料中の、任意の1個またはそれ以上の該タンパク質のメッセンジャーRNA(mRNA)レベルをアッセイすることを含む(ここで、コントロールと比較して変えられたレベルを有する対象は、モジュレーター処置の適当な候補である)。
また、他の局面では、非限定的にADを含む神経変性状態を処置、予防または改善する方法を提供し、
(a)対象における、配列番号1-31で開示したタンパク質からなる群から選択したタンパク質のmRNAおよび/またはタンパク質レベルをアッセイし;そして
(b)コントロールと比較して、変えられたmRNAレベルおよび/またはタンパク質レベルを有する対象に、該タンパク質に対するモジュレーターを、該状態を処置、予防または改善するのに十分な量で投与すること
を含む。
特定の局面では、該モジュレーターは、該タンパク質の生物学的活性または該タンパク質をコードした遺伝子のRNA発現を阻害するか、または高める。
本発明のまた他の局面では、アッセイ法および診断キットを提供しており、
(a)生物学的試料中の配列番号1-31で開示したタンパク質からなる群から選択した、任意の1個またはそれ以上のタンパク質のmRNAレベルまたはタンパク質レベルを検出するのに必要な構成要素(ここで、該キットは、例えば、配列番号1-31で開示したタンパク質からなる群から選択した任意の1個またはそれ以上のタンパク質をコードしたポリヌクレオチドを含む);および
(b)該タンパク質に相補的なヌクレオチド配列;
(c)任意の1個またはそれ以上の該タンパク質またはその断片に結合する抗体の、任意の1個またはそれ以上の該タンパク質またはその断片
を含む。
好ましい局面では、そのようなキットはまた、キット構成要素を使用する手順を詳細に記した指示書を含む。
本発明はまた、神経変性状態(例えば、非限定的にADを含む)の処置、予防または軽減のための医薬の製造における、配列番号1-31で開示したタンパク質からなる群から選択したタンパク質に対するモジュレーターの使用を含む。ある局面では、該モジュレーターは、アンチセンスオリゴヌクレオチド、三重螺旋DNA、リボザイム、RNAアプタマー、siRNAおよび二本鎖または一本鎖RNAからなる群から選択した、任意の1個またはそれ以上の物質を含み、ここで、該物質は、該タンパク質の遺伝子発現を阻害するために設計される。また、さらなる局面では、該モジュレーターは、該タンパク質またはその断片に対する、1個またはそれ以上の抗体を含み、ここで、該抗体またはその断片は、例えば、該タンパク質の生物学的活性を阻害できる。
本発明はまた、医薬としての使用に関して、配列番号1-31で開示したタンパク質からなる群から選択したタンパク質に対するモジュレーターを含む。ある局面では、該モジュレーターは、アンチセンスオリゴヌクレオチド、三重螺旋DNA、リボザイム、RNAアプタマー、siRNAおよび二本鎖または一本鎖RNAからなる群から選択した、任意の1個またはそれ以上の物質を含み、ここで、該物質は、該タンパク質の遺伝子発現を阻害するために設計される。また、さらなる局面では、該モジュレーターは、該タンパク質またはその断片に対する、1個またはそれ以上の抗体を含み、ここで、該抗体またはその断片は、例えば、該タンパク質の生物学的活性を阻害できる。
本発明の他の目的、特徴、利点および局面は、下記の記載から当業者に明らかとなる。しかしながら、下記の記載および特定の実施例は、本発明の好ましい局面を示してはいるが、単なる例示の目的で示していると理解するべきである。開示した発明の精神および範囲内のさまざまな変化および修飾は、下記の記載を読むことおよび本発明開示の他の部分を読むことから、容易に当業者に明らかとなる。
図の簡単な説明
図1. A-ベータ誘導寿命表現型のモディファイヤーを発見するために、P因子に基づく遺伝的スクリーニングに関して使用する、典型的な親交雑。FM7、CyO、MKRSおよびTM6は、それぞれ、X染色体、第2染色体および第3染色体のために通常使用されるバランサーである。
図2. A-ベータ42、A-ベータ40またはC99を発現しているハエの寿命。Y軸は、それぞれの時間点でまだ生きていたハエの割合を表している。X軸は、ハエを記録した日を表している。
図3. グリア細胞で、A-ベータ42、A-ベータ40またはC99を発現したハエの寿命。
図4. A-ベータ42およびnep2を共発現したハエの寿命。
図5. Tor機能に関してハプロ不全である、A-ベータ42を発現しているハエの寿命。
図6. Tor機能に関してハプロ不全である、A-ベータ42を発現しているハエの顕微鏡写真イメージ。上のイメージは、実験結果の原色顕微鏡写真である。下のイメージは、原色からのコンピューター作製グレースケールイメージである。
図7. TorインヒビターRAD001をさまざまな濃度で与えた、A-ベータ42を発現したハエの寿命。
図8. それぞれの脳抽出物の全タンパク質の量で標準化した、全A-ベータ42の量に対するTorインヒビターRAD001の効果。
発明の詳細な説明
本明細書で引用するすべての特許出願、特許および引用文献は、それらの全体を引用により本明細書の一部とする。
下記の説明で使用する略語は、
略語 説明
AD アルツハイマー病
A-ベータ Aベータペプチド
APP アミロイド前駆体タンパク質
C99 C-末端99 aa、すなわち、セクレターゼの基質として使用する、APPタンパク 質のセクレターゼ切断型
ELISA 酵素免疫測定法アッセイ
EP 発現P(因子)
HIGS ハプロ不全遺伝的スクリーニング
GFP 緑色蛍光タンパク質
P-因子 ショウジョウバエ転移性P-因子
PBS リン酸緩衝生理食塩水
RT 室温
UAS 上流活性化配列
を含む。
本発明を実施するとき、分子生物学、微生物学および組み換えDNAにおける多くの慣用的な技術を使用する。これらの技術は既知であり、例えば、Current Protocols in Molecular Biology, Vols. I-III, Ausubel, Ed. (1997); Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY (1989); DNA Cloning: A Practical Approach, Vols. I and II, Glover, Ed. (1985); Oligonucleotide Synthesis, Gait, Ed. (1984); Nucleic Acid Hybridization, Hames and Higgins, Eds. (1985); Transcription and Translation, Hames and Higgins, Eds. (1984); Animal Cell Culture, Freshney, Ed. (1986); Immobilized Cells and Enzymes, IRL Press (1986); Perbal, A Practical Guide to Molecular Cloning; the series, Meth Enzymol, Academic Press, Inc. (1984); Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells, Miller and Calos, Eds., Cold Spring Harbor Laboratory Press, NY (1987);およびMethods in Enzymology, Vols. 154 and 155, Wu and Grossman, and Wu, Eds., respectively (1987)で、説明される。既知のショウジョウバエ-分子遺伝学技術は、例えば、Drosophila, A Practical Approach, Robert, Ed., IRL Press, Washington DC (1986)で見ることができる。
flystocksの記載は、Flybaseデータベース(http://flybase.bio.indiana.edu.)で見ることができる。
本明細書で言うストックセンターは、それぞれ、Bloomington, IN, USAおよびSzeged, Hungaryに位置するBloomingtonおよびSzeged stock centerを含む。
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用するとき、単数表現は、文脈から明らかに他の解釈が支持されない限り、複数の対象を含む。したがって、例えば、“抗体”への言及は、1個またはそれ以上の抗体および当業者に既知の同等なものへの言及である等である。
本明細書で使用するとき、“核酸配列”は、オリゴヌクレオチド、ヌクレオチドまたはポリヌクレオチド、およびその断片または部分、ならびに一本鎖または二本鎖であり得るゲノムまたは合成由来のDNAまたはRNAのことを言い、センスまたはアンチセンス鎖を表す。
“縮重ヌクレオチド配列”なる用語は、(ポリペプチドをコードしている対照ポリヌクレオチド分子と比較して)1個またはそれ以上の縮重コドンを含む、ヌクレオチドの配列のことを言う。縮重コドンは、異なったヌクレオチドのトリプレットを含むが、同じアミノ酸残基をコードしている(すなわち、GAUおよびGACトリプレットのそれぞれがAspをコードする)。縮重配列を包含したいくつかのポリヌクレオチドは、いくつかの変異アミノ酸を有し得るが、普通の当業者は、配列番号1-31で開示したタンパク質をコードしているアミノ酸配列を参照することにより、容易に、そのような変異配列を同定できる。配列番号1-31で開示したタンパク質の変異型は、Stemmer, Nature, Vol. 370, No. 6488, 389-391 (1994);およびStemmer, Proc Natl Acad Sci U S A, Vol. 91, No. 22, 10747-10751 (1994)で開示されたように、DNAシャッフリングを介して作製できる。変異配列は、本明細書で記載したとおり、機能性に関して容易に試験できる。
“アレル変異型”は、同じ染色体座を占める任意の2個またはそれ以上の遺伝子のオルタナティブ型のことを言う。アレル変異は、突然変異を介して自然に生じ、集団内の表現型多型を生じ得る。遺伝子突然変異は、サイレントであり得るか(コードしたポリペプチドに変化はない)、または、変えられたアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードし得る。アレル変異型なる用語は、また、遺伝子のアレル変異型によりコードされたタンパク質を表すために、本明細書で使用する。
アレル変異型は、標準的な手順にしたがって、異なった個体からのcDNAまたはゲノムライブラリーを探索することによりクローン化できる。配列番号1-31で開示したタンパク質およびその変異型をコードしたDNA配列のアレル変異型は、本発明の範囲内にある(サイレント突然変異を含むもの、および突然変異がアミノ酸配列変化を生じるものを含む)。
“スプライス変異”は、遺伝子から転写されたRNAの代替形態のことを言う。スプライス変異は、転写されたRNA分子内か、またはあまり一般的ではないが、別々の転写されたRNA分子間のオルタナティブスプライシングサイトの使用を介して、自然に生じ、その結果、同じ遺伝子から転写されたいくつかのmRNAが生じる。スプライス変異は、変えられたアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードし得る。“スプライス変異”なる用語は、また、本明細書で、遺伝子から転写されたmRNAのスプライス変異によりコードされたタンパク質を表すのに用いる。
本明細書で使用するとき、“アンチセンス”なる用語は、特定のDNAまたはRNA配列に相補的なヌクレオチド配列のことを言う。“アンチセンス鎖”なる用語は、“センス”鎖に相補的な核酸鎖に関して用いる。アンチセンス分子は、相補鎖の合成を可能にするウイルスプロモーターに、興味ある遺伝子を逆方向につなぐことによる合成を含む、任意の方法により産生し得る。いったん細胞中に導入されると、この転写鎖は、該細胞により産生された天然の配列と結合し、二本鎖を形成する。次いで、これらの二本鎖は、さらに転写または翻訳を妨害する。“負の”なる表記は、時々、アンチセンス鎖に関して用い、“正の”は、時々、センス鎖に関して用いる。
“cDNA”は、mRNA配列の一部に相補的で、一般に、逆転写酵素を用いてmRNA調製物から合成されるDNAのことを言う。
本明細書で検討するとき、アンチセンスオリゴヌクレオチド、三重螺旋DNA、RNAアプタマー、リボザイム、siRNAおよび二本鎖または一本鎖RNAは、選択したヌクレオチド配列が遺伝子発現の遺伝子特異的阻害を産生するように、核酸配列に向けられる。例えば、ヌクレオチド配列の知識は、mRNAと最も強くハイブリダイズするアンチセンス分子を設計するために使用し得る。同様に、リボザイムは、遺伝子の特異的ヌクレオチド配列を認識し、それを切断するように合成できる。Cech, JAMA, Vol. 260, No. 20, 3030-3034 (1988)を参照のこと。遺伝子発現の標的阻害において使用するための、そのような分子の設計に関する技術は、当業者に既知である。
本明細書で言うところの個々のタンパク質/ポリペプチドは、ヒトまたは任意の他の種からの部分型、アイソフォーム、変異型、前駆体型、全長タンパク質、上記のいずれかの配列または断片を含んだ融合タンパク質を含む、これらのタンパク質の任意のおよびすべての形態を含むが、これらに限定されない。当業者に明らかであるタンパク質ホモログまたはオーソログは、この定義に含まれる。これらのタンパク質/ポリペプチドは、さらに、変異型を含み得、ここで、結果として生じるポリペプチドは、少なくとも、80-90%、または他の局面では、少なくとも、95%、96%、97%、98%または99%、配列番号1-31から選択した配列の相当する領域と同一である。配列同一性パーセンテージは、慣用的な方法により決定される。例えば、Altschul and Erickson, Bull Math Biol, Vol. 48, Nos. 5-6, 603-616 (1986);およびHenikoff and Henikoff, Proc Natl Acad Sci U S A, Vol. 89, No. 22, 10915-10919 (1992)を参照のこと。簡潔には、2個のアミノ酸配列を、10個のギャップ開始ペナルティ、1個のギャップ伸長ペナルティおよびHenikoff and Henikoffの“BLOSUM62”得点マトリックス(scoring matrix)を用いることにより、アラインメントスコアを最適化するように並べる。同一性パーセンテージは、次いで、下記のように計算する。
(完全一致の全数)/(より長い配列の長さ+2個の配列を並べるために、より長い配列中に導入されたギャップ数)×100
タンパク質またはポリペプチドなる用語は、任意の種の自然に生じる起源、例えば、ゲノムDNAライブラリーおよび発現系を含む遺伝的改変宿主細胞から単離したタンパク質、または、例えば、自動合成ペプチド合成機を用いた化学合成、もしくはそのような方法の組合せにより産生したタンパク質を言うことを、また、意図している。そのようなポリペプチドの単離および調製のための手段は、当業者によく理解されている。
本明細書で使用するとき、“試料”なる用語は、それの最も広い意味で使用される。対象からの生物学的試料は、タンパク質活性または遺伝子発現をアッセイし得る、血液、尿、脳組織、初代培養細胞株、不死化細胞株または他の生物学的物質を含み得る。生物学的試料は、例えば、全RNAを、例えば、慣用的なガラスチップマイクロアレイ技術、例えば、Affymetrixチップ、RT-PCRまたは他の慣用的な方法を用いて、遺伝子発現プロファイリングのために精製し得る、血液、腫瘍または他の試料を含み得る。
本明細書で使用するとき、“抗体”なる用語は、抗原決定基に結合できるインタクト分子およびその断片、例えば、Fa、F(ab')2およびFvのことを言う。特異的ポリペプチドに結合する抗体は、免疫抗原として興味のある小ペプチドを含んだインタクトポリペプチドまたは断片を用いて調製できる。動物を免疫するために使用するポリペプチドまたはペプチドは、RNAの翻訳由来または化学的に合成されたものであり得、担体タンパク質に結合できる。ペプチドと化学的に結合する、通常使用する担体は、ウシ血清アルブミンおよびチログロブリンを含む。次いで、結合ペプチドを、動物、例えば、マウス、ヤギ、ニワトリ、ラットまたはウサギを免疫するのに使用する。
本明細書で使用するとき、“ヒト化抗体”なる用語は、まだ、元の結合能力を保持したまま、よりヒト抗体に似るようにするために、アミノ酸を非抗原結合領域で置換した抗体分子のことを言う。
“治療上有効量”は、神経変性状態、特に、A-ベータの異常な代謝、トラフィッキング、ターンオーバーを含む状態(非限定的にアルツハイマー病(AD)を含む)を処置、予防または改善するのに十分な薬剤の量である。
本明細書で使用するとき、“トランスジェニック”生物は、該ゲノム中に挿入された追加の遺伝物質を有する生物のことを言う。本明細書で使用するとき、“トランスジェニックフライ”は、無作為にゲノム中に挿入された、同じまた他の生物からのDNA配列を含有する、ショウジョウバエの胚、幼虫および成虫形態を含む。ショウジョウバエは、Drosophila melanogasterが好ましいが、ショウジョウバエ属の任意のハエが、本発明で使用され得ることが考えられる。
本明細書で使用するとき、“A-ベータ”なる用語は、ベータ(β)およびガンマ(γ)セクレターゼによるAPPのタンパク質分解切断によって産生される短ペプチド(42アミノ酸)である、ベータ-(β-)アミロイドペプチドのことを言う。それは、アミロイド沈着の主要な構成要素、ADの指標ならびに神経細胞死および変性の原因である。A-ベータ42は、配列番号32として、本明細書で提供する。A-ベータ40は、配列番号32で示される配列の1-40残基で構成される。C99の配列は、配列番号33で与える。
“減った(短い)寿命”なる用語を本明細書で使用するとき、“減った(短い)寿命”の表現型は、A-ベータ40およびC99またはGFPを発現するコントロールハエと比較して、およそ21日目から28日目で成虫ショウジョウバエの50%が死ぬ、A-ベータ42の発現により特徴づけられ、これは、神経細胞の変性により引き起こすことができる。
本明細書で使用するとき、トランスジーンの“異所的”発現は、それが通常発現していない特定の発生段階における組織または細胞での、トランスジーンの発現のことを言う。
本明細書で使用するとき、“表現型”は、遺伝的構成および環境影響により決定されるとおりの、観察可能な生物の物理的または生化学的特性のことを言う。
本明細書で使用するとき、“神経変性状態”は、例えば、APP経路の制御におけるエラー、特に、例えば、A-ベータの異常な代謝、トラフィッキング、ターンオーバーを含む状態(非限定的にアルツハイマー病(AD)を含む)により引き起こされる、神経系の進行性変質と関連があるそれらの状態を含む。
本明細書で使用するとき、“UAS領域”は、Gal4転写アクチベーターにより認識されるUASのことを言う。
本明細書で使用するとき、“コントロールハエ”は、コントロールハエが、表現型の修飾のために試験される突然変異を有さないことを除いては、本発明の方法で使用するハエと同じジェノタイプであるハエのことを言う。
本明細書で使用するとき、“形質転換ベクター”は、一片のDNAを生物ゲノム中に統合するのを仲介する、転位因子技術で用いられる修飾性転移因子であり、当業者に既知である。
本明細書で使用するとき、“高められたmRNAの転写”は、コントロールレベルと比較して、タンパク質、例えば、配列番号1-31で説明したヒトタンパク質をコードする天然の内在性遺伝子から転写された、より多量のmRNAのことを言う。タンパク質、例えば、配列番号1-31で開示したヒトタンパク質の高められたmRNAレベルは、神経変性状態を患っていない対象のレベルと比較して、該状態を患っている個体の組織または細胞に存在し得る。特に、該状態を患っている対象のレベルは、該状態を患っていないヒトの対応する組織で発見されるmRNA量の約2倍、好ましくは、少なくとも、約5倍、より好ましくは、少なくとも、約10倍、最も好ましくは、少なくとも、約100倍であり得る。そのような高められたmRNAのレベルは、結局、健康な個体のレベルと比較して、該状態を患っている個体のそのようなmRNAから翻訳されるタンパク質の増加したレベルを生じる。
本明細書で使用するとき、“ショウジョウバエ形質転換ベクター”は、転位因子配列を含み、一片のDNAを生物ゲノム中に統合するのを仲介できるDNAプラスミドである。この技術は、当業者に既知である。
トランスジェニックショウジョウバエを含むトランスジェニック生物を取得する方法は、当業者に既知である。例えば、P-因子仲介形質転換に関して、通常使用される文献は、Spradling, Drosophila: A practical approach, Roberts, Ed., 175-197, IRL Press, Oxford, UK (1986)である。EP因子技術は、内在性ショウジョウバエ遺伝子の転写を異所的に制御するために使用する、酵母Gal4転写アクチベーターを利用したバイナリーシステムのことを言う。この技術は、上記のBrand and Perrimon, Development, Vol. 118, No. 2, 401-415 (1993);およびRorth (1998)に記載されている。
本明細書で使用するとき、“宿主細胞”は、任意の手段、例えば、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿、マイクロインジェクション、形質転換、ウイルス感染などにより細胞中に導入した異種DNAを含む、原核または真核細胞のことを言う。
本明細書で使用するとき、“異種の”は、“異なった天然起源の”を意味するか、または、非天然状態を表す。例えば、宿主細胞が、DNAまたは他の生物、特に他の種由来の遺伝子で形質転換されると、その遺伝子は、該遺伝子を有するその宿主細胞に対して、および宿主細胞の子孫に対して異種である。同様に、異種は、同じ天然のもとの細胞型由来で、同細胞型に挿入されてはいるが、非天然状態、例えば、異なったコピー数、または異なった制御エレメントの制御下にある、ヌクレオチド配列のことを言う。
“ベクター”分子は、異種の核酸が挿入され、次いで、適当な宿主細胞に導入できる、核酸分子である。ベクターは、好ましくは、1個またはそれ以上の複製起点および組み換えDNAを挿入できる1個またはそれ以上のサイトを有する。ベクターは、しばしば、ベクターを有する細胞がそれを有さない細胞から選択できる、便利な手段を有する(例えば、それらは、薬剤耐性遺伝子をコードする)。一般的なベクターは、プラスミド、ウイルスゲノム、および“人工染色体”(主に、酵母および細菌で)を含む。
“プラスミド”は、一般に、当業者に既知の標準的な命名法にしたがって、先に小文字p、および/またはそれに続く大文字および/または数字により、本明細書で指定される。本明細書で開示した出発プラスミド(Starting plasmids)は、非制限的に、市販で利用できるもの、公的に利用できるものであるか、または既知の公開された手順の日常的な適用により利用可能なプラスミドから構築できる。本発明にしたがって使用できる、多くのプラスミドならびに他のクローニングおよび発現ベクターは、当業者に既知であり、容易に利用できる。さらに、当業者は、本発明の使用に適当である、さまざまな他のプラスミドを構築し得る。本発明におけるそのようなプラスミドおよび他のベクターの特性、構築および使用は、本開示により、当業者に容易に明らかとなる。
“単離した”なる用語は、物質がその元の環境、例えば、自然に生じるならば、天然環境から取り出されることを意味する。例えば、生きている動物中に自然に生じるポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、単離されていないが、自然系で共存している物質のいくつかまたはすべてから分離された同じポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、次に、自然系に再導入されたとしても、単離されている。そのようなポリペプチドが、ベクターの一部である、および/またはそのようなポリペプチドまたはポリヌクレオチドが組成物の一部であるとき、そのようなベクターまたは組成物が、該天然環境の一部ではないという点で、なお単離されている。
本明細書で使用するとき、“転写制御配列”または“発現制御配列”なる用語は、DNA配列、例えば、それらが操作可能に結合した、核酸配列をコードしているタンパク質の転写を誘導、抑制または他の制御をする、イニシエーター配列、エンハンサー配列およびプロモーター配列のことを言う。それらは、組織特異的および発生段階特異的であり得る。
“ヒト転写制御配列”は、それぞれのヒト染色体で発見されるような、本発明の配列番号1-31で説明したポリペプチドをコードしたヒト遺伝子と関連して通常見られる転写制御配列である。
“非ヒト転写制御配列”は、ヒトゲノム中に発見されない任意の転写制御配列である。
“ポリペプチド”なる用語は、本明細書で、“ポリペプチド”および“タンパク質”なる用語と、交換可能に使用される。
本発明の配列番号1-31で説明したタンパク質の化学誘導体は、分子の通常の部分ではない、追加の化学部分を含むポリペプチドである。そのような部分は、分子の溶解性、吸収、生物学的半減期などを改良し得る。その部分は、あるいは、分子の毒性を減らし、分子のいずれかの望まない副作用をなくすか、または減らすなどし得る。そのような効果を仲介できる部分は、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 16th Edition, Mack Publishing Co., Easton, PA (1980)で開示されている。
配列番号1-31で説明したタンパク質またはその変異型を“調節する”物質、すなわち、“配列番号1-31で開示したタンパク質からなる群から選択したタンパク質のモジュレーター”の能力は、非限定的に、該タンパク質および/またはその変異型の活性を阻害するか、または高める、および/または該タンパク質または変異型をコードした遺伝子のRNA発現を阻害するか、または高める物質の能力を含む。そのような調節はまた、該タンパク質と相互作用する他のタンパク質、例えば、関連制御タンパク質または該タンパク質により修飾されるタンパク質の能力に影響を与えることを含む。
本明細書で使用するとき、“アゴニスト”なる用語は、分子、すなわち、直接または間接的に、ポリペプチド、例えば、配列番号1-31で説明したポリペプチドまたはその変異型を調節し得て、該ポリペプチドの生物学的活性を増やすモジュレーターのことを言う。アゴニストは、タンパク質、核酸、炭水化物または他の分子を含み得る。遺伝子転写またはタンパク質の生物学的活性を高めるモジュレーターは、それぞれ、転写を増やすか、または該タンパク質の生化学的特性もしくは活性を刺激するものである。
本明細書で使用するとき、“アンタゴニスト”または“インヒビター”なる用語は、分子、すなわち、直接または間接的に、ポリペプチドまたはその変異型、例えば、配列番号1-31で説明したポリペプチドを調節し得て、該ポリペプチドの生物学的活性を妨害または阻害するモジュレーターのことを言う。アンタゴニストおよびインヒビターは、タンパク質、核酸、炭水化物または他の分子を含み得る。遺伝子発現またはタンパク質の生物学的活性を阻害するモジュレーターは、それぞれ、遺伝子発現または該タンパク質の生物学的活性を減らすものである。
一般に、本明細書で言うとき、“配列番号1-31で開示したタンパク質からなる群から選択したタンパク質または遺伝子”は、ヒト型のタンパク質または遺伝子のことを言う。配列番号1-31のタンパク質と、記載したレベル以下の配列同一性を含むポリペプチド(または、それらのポリペプチドをコードする核酸)、および、スプライシングまたはアレル変異型として生じるポリペプチド(または、それらのポリペプチドをコードする核酸)、または、マイナー欠失、保存されたアミノ酸置換、縮重コドンの置換などにより修飾されるポリペプチド(または、それらのポリペプチドをコードする核酸)は、また、本発明の範囲内に包含する。さまざまな既知のアルゴリズムは、当業者に既知であり、公に開示されており、さまざまなホモロジーに基づく、類似性探索のための商業的に利用可能なソフトは利用可能であり、本明細書で開示したタンパク質の変異型をどうていするために使用できる。そのようなソフトウェアの実施例は、非限定的に、FASTA (GCG Wisconsin Package)、Bic_SW (Compugen Bioccelerator)、BLASTN2、BLASTP2、BLASTD2 (NCBI)およびMotifs (GCG)を含む。BLASTアルゴリズムは、Altschul, Stephen F., Thomas L. Madden, Alejandro A. Schaffer, Jinghui Zhang, Zheng Zhang, Webb Miller, and David J. Lipman (1997), "Gapped BLAST and PSI-BLAST: a new generation of protein database search programs", Nucleic Acids Res. 25:3389-3402に記載されている。適当なソフトウェアプログラムは、例えば、Guide to Human Genome Computing, 2nd edition, Bishop, Ed., Academic Press, San Diego, CA (1998);およびThe Internet and the New Biology: Tools for Genomic and Molecular Research, American Society for Microbiology, Peruski, Jr. and Harwood Peruski, Eds., Washington, DC (1997)に記載されている。
“神経変性状態、特に、A-ベータの異常な代謝、トラフィッキングまたはターンオーバーを含む状態のインビボモデル”は、神経変性疾患、例えば、ADの、それらのインビボモデルを含む(当業者に既知である)。そのようなインビボモデルは、例えば、WO94/00569で開示されたADのマウスモデルを含む。さらに、多くの細胞株がADのインビトロモデルとして使用され得、例えば、細胞株を含み、当業者に既知である。Xia et al., PNAS USA, Vol. 94, No. 15, 8208-8213 (1997)を参照のこと。
本発明の遺伝子は、ゲノムにA-ベータをコードしたDNA配列を含むトランスジェニックハエ(Drosophila melanogaster)を用いて同定した。慣用的な発現制御系は、A-ベータペプチドを含む、興味のあるタンパク質の異所的発現を達成するのに使用し得る。そのような発現は、生化学的経路のかく乱および変えられた表現型の産生を生じ得る。あるそのような発現制御系は、DNA配列の、組織特異的発現遺伝子の発現制御配列、例えば、プロモーターまたはエンハンサーへの直接の融合を含む。使用し得る組織特異的発現制御系は、バイナリーGal4転写活性化系である。上記、Brand and Perrimon (1993)を参照のこと。
Gal4系は、組織特異的な方法で興味ある遺伝子の発現を誘導するために、酵母転写アクチベーターGal4を使用する。Gal4遺伝子は、慣用的な形質転換系を用いて無作為にハエゲノム中に挿入され、その結果、一時的および組織特異的な方法で発現を誘導するゲノムエンハンサーの制御下に達する。それらの挿入を持っているハエの個々の株を作製した(“ドライバー”と呼ばれる)。上記のBrand and Perrimon (1993)を参照のこと。
Gal4系では、興味ある遺伝子が形質転換ベクター中にクローン化され、その結果、その転写はUASおよびGal4応答エレメントの制御下にある。興味ある配列のUAS遺伝子を持つハエ株を、組織特異的エンハンサーの制御下でGal4遺伝子を発現するハエ株と交雑するとき、遺伝子は組織特異的なパターンで発現する。
成虫組織で容易に可視可でき、それ故、遺伝学的スクリーニングで使用できる表現型を作製するために、ハエ発生のより後のステージで発現を誘導するGaL4“ドライバー”を、本発明で使用し得る。これらのドライバーを用いて、発現は、翅、眼、脚、異なった感覚器官および脳において、起こり得る欠損を生じる。これらの“ドライバー”は、例えば、apterous-Gal4 (翅)、elav-Gal4 (CNS)、sevenless-Gal4、eyGal4およびpGMR-Gal4 (眼)を含む。Gal4株の記載および特定の発現様式に関する記録は、Flybase (http://flybase.bio.indiana.edu)で利用できる。
さまざまなDNAコンストラクトを、トランスジェニックショウジョウバエを作製するために使用し得る。例えば、コンストラクトは、転写される領域の上流にUASを置く、pUASTベクター中にクローン化されたA-ベータ配列を含み得る(上記のBrand and Perrimon (1993)を参照のこと)。これらのコンストラクトのハエゲノムへの挿入は、P-因子組み換え、Hobo因子組み換え[Blackman et al., EMBO J, Vol. 8, No. 1, 211-217 (1989)を参照のこと]、相同組み換え[Rong and Golic, Science, Vol. 288, No. 5473, 2013-2018 (2000)を参照のこと]、または当業者に既知の他の標準的な技術を介して起こり得る。
上述したとおり、異所的発現遺伝子は、特定の生化学的経路のかく乱により変えられた表現型を生じ得る。同じ生化学的経路に作用する遺伝子における突然変異は、変えられた表現型の修飾を引き起こすことが予期される。したがって、A-ベータ42配列を有するトランスジェニックハエは、このトランスジェニックハエを既知または予期される遺伝子における突然変異を含むハエと交雑し、コントロールと比較して、A-ベータ42トランスジェニックハエの“寿命”表現型の量的または質的修飾を示すハエに関して、交雑の子孫をスクリーニングすることにより、神経変性状態、例えば、A-ベータの異常な代謝、トラフィキングまたはターンオーバーを含む状態の、発症および/または進行に関与する遺伝子を同定するのに使用される。
この系は、A-ベータペプチドの機能を明らかにすること、およびコードされたタンパク質が、直接または間接的にそれらと相互作用する、内在性遺伝子の同定に非常に有効である。スクリーニング可能な突然変異は、既知遺伝子の機能欠損アレルまたは欠失株を含む。この方法で、神経変性状態の発症および/または進行に関与する遺伝子を、同定できる。これらの遺伝子およびこれらの遺伝子によりコードされたポリペプチドは、次いで、そのような状態を処置するための、治療薬の開発に関する標的として利用できる。
本明細書で開示した標的ポリペプチドのヒトホモログの核酸分子は、例えば、標的遺伝子制御および/または標的遺伝子核酸配列の増幅反応におけるアンチセンスプライマーとして有用な、標的遺伝子アンチセンス分子として作用し得る。さらに、そのような配列は、遺伝子制御のために使用し得る、リボザイムおよび/もしくは三重螺旋配列の部分として、またはsiRNAの標的として、または二本鎖もしくは一本鎖RNAとして使用し得る。また、さらには、そのような分子を、本明細書で開示したとおり、診断キットの構成要素として使用し得る。
同定した遺伝子が、正常または野生型遺伝子である場合には、この遺伝子は、該遺伝子の変異アレルを単離するのに使用し得る。そのような単離は、遺伝学的な基礎を有することが知られているか、または疑わしい、工程および障害において好ましい。変異アレルは、非限定的にADを含む、神経変性状態に関連した疾患兆候に貢献するジェノタイプを有することが知られているか、または疑わしい、個体から単離し得る。変異アレルおよび変異アレル産物は、次いで、本明細書に記載した診断アッセイ系で利用し得る。
変異遺伝子のcDNAは、例えば、当業者に既知の技術であるPCRを用いることにより単離し得る。この場合には、最初のcDNA鎖は、オリゴ-dTオリゴヌクレオチドを、変異アレルを有する既知または推定的に個体で発現していることが疑われる組織から単離したmRNAとハイブリダイズし、逆転写酵素を用いて新鎖を延ばすことにより合成し得る。相補的(cDNA)の第2鎖は、次いで、正常な遺伝子の5'エンドに特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを用いて合成される。次いで、これら2個のプライマーを用いて、産物をPCRにより増幅し、適当なベクター中にクローン化し、そして当業者に既知の方法を介してDNA配列解析にかける。変異遺伝子のDNA配列と正常な遺伝子のそれを比較することにより、変異遺伝子産物の機能の欠失または変化の原因である突然変異を、確認できる。
あるいは、変異アレルを有することが疑わしいか、または知られている個体における、興味ある遺伝子を発現していることが知られているか、または疑わしい組織からの、それぞれDNAまたはRNAを用いて、ゲノムまたはcDNAライブラリーを構築およびスクリーニングできる。正常な遺伝子または任意の適当なその断片は、次いで、ライブラリー中の相当する変異アレルを同定するために、標識され、プローブとして使用される。この遺伝子を含むクローンは、次いで、日常的に当業者により実践されている方法により精製され、上記のとおり、配列解析を受け得る。
さらに、発現ライブラリーは、変異アレルを有することが疑わしいか、または既知である個体において、興味ある遺伝子を発現していることが既知であるか、または疑わしい組織から、単離したDNAまたは合成したcDNAを利用することにより構築できる。この方法では、推定される変異組織により産生される遺伝子産物を、下記に記載したとおり、正常な遺伝子産物に対して作製された抗体とともに、標準的な抗体スクリーニング技術を用いて、発現し、スクリーニングし得る。スクリーニング技術に関しては、例えば、Antibodies: A Laboratory Manual, Harlow and Lane, Eds., Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, NY (1988)を参照のこと。突然変異が、変えられた機能を有する発現した遺伝子産物を生じる場合には(例えば、ミスセンス突然変異の結果として)、ポリクローナル抗体のセットは、変異遺伝子産物と交差反応し得る。そのような標識抗体を用いた、それらの反応により検出されたライブラリークローンは、上記したとおり、精製し、配列解析にかけることができる。
他の局面では、配列番号1-31で説明したポリペプチドをコードする配列またはその機能的誘導体を含む核酸を、遺伝子治療の目的で、正常な生物学的活性、例えば、正常なA-ベータターンオーバーを促進するために投与し得る。遺伝子治療は、対象への核酸の投与により行われる治療のことを言う。本発明のこの局面では、核酸は、例えば、正常なA-ベータターンオーバーを促進することにより治療効果を仲介する、該コードしたタンパク質を産生する。
当業者が利用できる遺伝子治療のための方法のいずれかを、本発明にしたがって使用できる。典型的な方法を、下記に記載する。
好ましい局面では、治療薬は、配列番号1-31で与えられた任意のポリペプチドをコードした核酸を含む。一般には、核酸は、適当な宿主中で、配列番号1-31で与えられたタンパク質、その断片またはキメラタンパク質およびその変異型を発現する、発現ベクターの部分である。特に、そのような核酸は、配列番号1-31のタンパク質をコードしたコード領域と操作可能に結合した、プロモーターを有し、ここで、該プロモーターは、誘導性または構成的、および所望により、組織特異的である。他の特定の局面では、配列番号1-31の任意の配列および他の望む任意の配列をコードしたタンパク質が、ゲノム中の望むサイトに相同組み換えを促進し、それ故、特定のタンパク質をコードした核酸の染色体内発現を供給する領域に隣接した核酸分子が、使用される。Koller and Smithies, Proc Natl Acad Sci U S A, Vol. 86, No. 22, 8932-8935 (1989);およびZijlstra et al., Nature, Vol. 342, No. 6248, 435-438 (1989)を参照のこと。
患者への核酸の送達は、直接的であり(この場合には、患者は、直接、核酸または核酸送達ベクターに曝される)、または間接的である(この場合には、最初に細胞が、インビトロで核酸を用いて形質転換され、次いで、患者に移植される)。これら2つの方法は、それぞれ、インビボまたはエキシビボ遺伝子治療として既知である。
特定の局面では、核酸は、直接、インビボで投与され、そこで、コード産物を産生するために発現する。これは、当業者に既知の多くの方法のいずれか、例えば、それを適当な核酸発現ベクターの一部として構築し、それを投与することにより細胞内に入る方法、欠損または弱毒化レトロウイルスまたは他のウイルスベクターを用いた感染による方法(例えば、米国特許第4,980,286号および下記に記載した他のもの)、または裸DNAの直接の注射による方法、または、微粒子照射、例えば、遺伝子銃;Biolistic, Dupont、もしくは脂質を用いたコーティング、もしくは細胞表面受容体、もしくはトランスフェクション剤、リポソームでの封入、微粒子もしくはマイクロカプセルの使用による方法、または、核に入ることが既知のペプチドと結合して、それを投与することによる方法、受容体を特異的に発現している細胞型を標的とするように使用できる、受容体仲介エンドサイトーシスを受けやすいリガンドと結合して、それを投与することによる方法(例えば、米国特許第5,166,320号; 第5,728,399号; 第5,874,297号および第6,030,954号を参照のこと(そのすべてを、それらの全体で、引用により本明細書の一部とする))など、により達成できる。他の局面では、核酸-リガンド複合体を形成でき、そこでは、リガンドは、エンドソームを破壊することにより、核酸のリソソーム分解を避けられる、融合ウイルスペプチドを含む。また、他の局面では、特異的受容体を標的とすることにより、細胞特異的吸収および発現に関して、インビボでの標的とすることができる。例えば、PCT Publications WO 92/06180; WO 92/22635; WO 92/20316; WO 93/14188 および WO 93/20221を参照のこと。あるいは、核酸を、発現のために、相同組み換えにより、細胞内に導入および宿主細胞DNA内に組み込むことができる。例えば、上記米国特許第5,413,923号; 第5,416,260号および第5,574,205号;およびZijlstra et al. (1989)を参照のこと。
特定の局面では、配列番号1-31のポリペプチドをコードした核酸を含むウイルスベクターを使用する。例えば、レトロウイルスベクターを使用する。例えば、米国特許第5,219,740号; 第5,604,090号および第5,834,182号を参照のこと。これらのレトロウイルスベクターは、ウイルスゲノムのパッケージングおよび宿主細胞DNAへの統合に必要のないレトロウイルス配列を欠失するように改変されている。遺伝子治療に使用すべく配列番号1-31のポリペプチドの核酸を、ベクター中にクローン化し、それにより、患者への遺伝子の送達を促進する。
アデノウイルスは、遺伝子治療で使用され得る他のウイルスベクターである。アデノウイルスは、呼吸上皮細胞に遺伝子を送達するための、とりわけ魅力的なビーヒクルである。アデノウイルスは、自然に呼吸上皮細胞に感染し、そこで、それらは軽い疾患を引き起こす。アデノウイルスに基づく送達系の他の標的は、肝臓、中枢神経系、内皮細胞、および筋肉である。アデノウイルスは、非***細胞に感染できるという利点を有する。アデノウイルスに基づく遺伝子治療を行うための方法は、例えば、米国特許第5,824,544号; 第5,868,040号; 第5,871,722号; 第5,880,102号; 第5,882,877号; 第5,885,808号; 第5,932,210号; 第5,981,225号; 第5,994,106号; 第5,994,132号; 第5,994,134号; 第6,001,557号および第6,033,8843号に記載されており、そのすべてが、それらの全体を引用により本明細書の一部とする。
アデノ関連ウイルス(AAV)もまた、遺伝子治療での使用が提案されている。AAVを産生し利用する方法は、例えば、米国特許第5,173,414号; 第5,252,479号; 第5,552,311号; 第5,658,785号; 第5,763,416号; 第5,773,289号; 第5,843,742号; 第5,869,040号; 第5,942,496号および第5,948,675号に記載されており、そのすべてが、それらの全体を引用により本明細書の一部とする。
遺伝子治療の他の方法は、エレクトロポレーション、リポフェクション、リン酸カルシウム仲介トランスフェクションまたはウイルス感染のような方法により、組織培養中の細胞に遺伝子を導入することを含む。通常は、導入方法は、細胞への選択可能マーカーの導入を含む。次いで、細胞を選択条件下に置き、導入遺伝子を所有し、発現している細胞を単離する。次いで、それらの細胞を患者に送達する。
生じた組み換え細胞を、当業者に既知のさまざまな方法で患者に送達できる。好ましい局面では、上皮細胞を、例えば、皮下に注射する。他の局面では、組み換え皮膚細胞を、患者の皮膚移植片として適用し得る。組み換え血液細胞、例えば、造血幹細胞または前駆細胞を、好ましくは、静脈内投与する。使用のために計画される細胞の量は、望む効果、患者の状態などに依存しており、当業者により決定できる。
遺伝子治療の目的のために核酸が導入されうる細胞は、任意の望む、利用可能な細胞型を包含し、非限定的に、上皮細胞、内皮細胞、ケラチノサイト、繊維芽細胞、筋肉細胞、肝細胞;血液細胞、例えば、Tリンパ球、Bリンパ球、単球、マクロファージ、好中球、好酸球、巨核球、顆粒球;さまざまな幹細胞または前駆細胞、特に、例えば、骨髄、臍帯血、末梢血、胎児肝臓などから取得したような造血幹細胞または前駆細胞を含む。
好ましい局面では、遺伝子治療に使用する細胞は、患者に自己移植される。
組み換え細胞を遺伝子治療で使用するある局面では、配列番号1-31で説明したポリペプチドの核酸を、細胞またはそれらの子孫で発現できるように細胞中に導入し、次いで、組み換え細胞を、治療効果のためにインビボで投与する。特定の局面では、幹細胞または前駆細胞を使用する。インビトロで単離および維持できる任意の幹細胞および/または前駆細胞は、潜在的に、本発明のこの局面にしたがって使用できる。そのような幹細胞は、非限定的に、造血幹細胞(HSC)、上皮性組織の幹細胞、例えば、皮膚および腸の上皮、胚性心筋細胞、肝臓幹細胞(例えば, WO 94/08598を参照のこと)および神経幹細胞を含む。Stemple and Anderson, Cell, Vol. 71, No. 6, 973-985 (1992)を参照のこと。
上皮性幹細胞(ESCs)またはケラチン生成細胞は、例えば、既知の手順により皮膚および腸上皮のような組織から取得できる。Rheinwald, Methods Cell Biol, Vol. 21A, 229-254 (1980)を参照のこと。皮膚のような層状上皮性組織では、再生は、基底膜に最も近い層である基底層内の幹細胞の有糸***により生じる。腸上皮内の幹細胞は、この組織の素早い再生速度を提供する。患者またはドナーの皮膚または腸上皮から取得したESCまたはケラチン生成細胞を、組織培養で育てることができる。Pittelkow and Scott, Mayo Clin Proc, Vol. 61, No. 10, 771-777 (1986)を参照のこと。ESCが、ドナーにより提供されると、宿主対移植反応(host versus graft reactivity)の抑制のための方法、例えば、穏やかな免疫抑制を促進する照射、薬剤または抗体投与を、また、使用できる。
HSCに関しては、HSCのインビトロでの単離、増殖および維持を提供するいずれかの技術を、本発明のこの局面で使用できる。これが達成する技術は、(a)将来の宿主またはドナーから単離した骨髄細胞からのHSC培養の単離および設立;または(b)同種異形または異種であり得る、以前設立した長期間HSC培養の使用、を含む。
非自己移植HSCは、好ましくは、予定されている宿主/患者の移植免疫反応を抑制する方法と共に使用される。本発明の特定の局面では、ヒト骨髄細胞を、針吸引により後部腸骨稜(posterior iliac crest)から取得できる。例えば, Kodo, Gale and Saxon, J Clin Invest, Vol. 73, No. 5, 1377-1384 (1984)を参照のこと。本発明の好ましい局面では、HSCを、非常に濃縮するか、または実質的に純粋な形態にすることができる。この濃縮は、長期間培養の前、間または後で達成でき、当業者に既知の任意の技術により成すことができる。骨髄細胞の長期間培養は、例えば、修飾したDexterの細胞培養技術(modified Dexter cell culture technique)[Dexter et al., J Cell Physiol, Vol. 91, No. 3, 335-344 (1977)を参照のこと]またはWitlock-Witteの培養技術(Witlock-Witte culture techniques)を使うことにより、設立および維持することができる。Witlock and Witte, Proc Natl Acad Sci U S A, Vol. 79, No. 11, 3608-3612 (1982)を参照のこと。
特定の局面では、遺伝子治療の目的で導入される核酸は、コード領域に操作可能に結合した誘導プロモーターを含み、その結果、核酸の発現は、適当な転写のインデューサーの存在または不存在を制御することにより制御可能である。
本発明のさらなる局面は、非限定的にADを含む、神経変性状態を処置、予防または改善する方法に関するものであり、それを必要とする対象に、配列番号1-31で開示したタンパク質および/またはその変異型からなる群から選択したタンパク質のモジュレーターの有効量を投与することを含む。ある局面では、モジュレーターは、該タンパク質、変異型またはその断片に対する1個またはそれ以上の抗体を含み、ここで、該抗体またはその断片は、該対象における該タンパク質または変異型の生物学的活性を阻害できる。
本明細書では、特異的に1個またはそれ以上の異なった発現遺伝子エピトープを認識できる、抗体の産生に関する方法を開示している。そのような抗体は、非限定的に、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体(mAbs)、ヒト化またはキメラ抗体、一本鎖抗体、Fab断片、F(ab')2断片、Fab発現ライブラリーにより産生した断片、抗-イディオタイプ(anti-Id)抗体および上記のいずれかのエピトープ結合断片を含み得る。そのような抗体は、例えば、生物学的試料中の標的タンパク質の検出、または、あるいは、タンパク質の生物学的活性の阻害に関する方法として使用し得る。したがって、そのような抗体は、疾患処置方法の一部として利用し得、および/または診断技術の一部として使用し得る(そこでは、患者は、例えば、配列番号1-31で説明したポリペプチドの異常なレベルまたはこれらのペプチドの異常な形態の存在に関して試験され得る)。
配列番号1-31で与えられたポリペプチドまたはその変異型に対する抗体の産生に関しては、さまざまな宿主動物を、これらのポリペプチドまたはその部分を用いた注射により免疫し得る。そのような宿主動物は、非限定的にいくつか挙げると、ウサギ、マウス、ヤギ、ニワトリおよびラットを含み得る。非限定的にフロイント(完全および不完全);例えば、アルミニウム、水酸化物のようなミネラルゲル;例えば、リゾレシチン、pluronic polyols、ポリアニオン、ペプチド、油乳剤、キーホールリンペットヘモシアニンおよびジニトロフェノールのような界面活性物質;ならびに、例えば、カルメット・ゲラン桿菌(BCG)およびCorynebacterium parvumのような潜在的に有用なヒトアジュバントを含む、さまざまなアジュバントを、宿主種に依存して、免疫学的応答を増加させるために使用し得る。
ポリクローナル抗体は、抗原、例えば、標的遺伝子産物、またはその抗原機能誘導体で免疫した動物の、血清由来の抗体分子の異種集団である。ポリクローナル抗体の産生のために、上記したような宿主動物は、また、上記したとおりアジュバントで補完して、配列番号1-31で特定したポリペプチドまたはその部分を用いた注射により免疫し得る。
特定の抗原に対する抗体の同種集団であるモノクローナル抗体は、連続した細胞株培養により抗体分子の産生を提供する、任意の技術により取得し得る。これらは、非限定的に、ハイブリドーマ技術[Kohler and Milstein, Nature, Vol. 256, No. 5517, 495-497 (1975)および米国特許第4,376,110号を参照のこと];ヒトB-細胞ハイブリドーマ技術[Kosbor et al., Immunol Today, Vol. 4, 72 (1983)およびCole et al., Proc Natl Acad Sci U S A, Vol. 80, 2026-2030 (1983)を参照のこと];およびEBV-ハイブリドーマ技術を含む。Cole et al., Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy, Alan R. Liss, Inc., 77-969 (1985)を参照のこと。そのような抗体は、IgG、IgM、IgE、IgA、IgDを含むいずれかの免疫グロブリンクラス、およびそのいずれかのサブクラスであり得る。本発明のmAbを産生するハイブリドーマは、インビトロまたはインビボで培養し得る。インビボでのmAbの高力価産生により、これが、現在の産生の好ましい方法になる。
さらに、適当な生物学的活性を有するヒト抗体分子からの遺伝子と共に、適当な抗原特異性を有するマウス抗体分子からの遺伝子をつなぎ合わせることにより“キメラ抗体”を産生するために開発された技術を使用できる[Morrison et al., Proc Natl Acad Sci U S A, Vol. 81, No. 21, 6851-6855 (1984); Neuberger, Williams and Fox, Nature, Vol. 312, No. 5995, 604-608 (1984); Takeda et al., Nature, Vol. 314, No. 6010, 452-454 (1985)を参照のこと]。キメラ抗体は、例えば、マウスmAb由来の可変または超可変領域とヒト免疫グロブリン定常領域を有する部分のように、異なった部分が、異種動物由来である分子である。
あるいは、一本鎖抗体の産生のために記載された技術を、ディファレンシャル発現遺伝子一本鎖抗体(differentially-expressed gene, single chain antibodies)を産生するのに採用できる[米国特許第4,946,778号; Bird, Science, Vol. 242, 423-426 (1988); Huston et al., Proc Natl Acad Sci U S A, Vol. 85, No. 16, 5879-5883 (1988);およびWard et al., Nature, Vol. 334, 544-546 (1989)]。一本鎖抗体は、アミノ酸ブリッジによるFv領域の重鎖および軽鎖断片を、結合することにより形成する。
より好ましくは、“ヒト化抗体”の産生のために有用な技術は、ポリペプチド、断片、誘導体および本明細書で開示した機能的同等体に対する抗体を産生するように適合できる。そのような技術は、米国特許第5,932,448号; 第5,693,762号; 第5,693,761号; 第5,585,089号; 第5,530,101号; 第5,910,771号; 第5,569,825号; 第5,625,126号; 第5,633,425号; 第5,789,650号; 第5,545,580号; 第5,661,016号および第5,770,429号で開示されており、そのすべての開示を、それらの全体で、引用により本明細書の一部とする。
特定のエピトープを認識する抗体断片は、既知の技術により産生し得る。例えば、そのような断片は、非限定的に、抗体分子のペプシン消化により産生できるF(ab')2断片、およびF(ab')2断片のジスルフィド架橋を還元することにより産生できるFab断片を含む。あるいは、望む特異性を有するモノクローナルFab断片の、迅速で容易な同定を可能にするFab発現ライブラリーを構築し得る[Huse et al., Science, Vol. 246, No. 4935, 1275-1281 (1989)を参照のこと]。
本明細書で検討するとき、本発明の抗体は、好ましくは、試料中の配列番号1-31で開示したタンパク質のレベルまたはその抗原変異株を検出するための診断キット、および、配列番号1-31で開示したタンパク質からなる群から選択したタンパク質に対するモジュレーターを用いた処置の適当な候補であり得る、神経変性状態を患っている対象を診断する方法で使用できる。好ましくは、該検出工程は、該適当な組織細胞、例えば、生物学的試料に、配列番号1-31で与えられたポリペプチドまたは断片もしくはその変異型に特異的に結合する抗体を接触させ、そして、該抗体の、該適当な組織、細胞または試料におけるポリペプチドとの特異的結合を検出することを含み、ここで、ポリペプチドとの特異的結合の検出は、配列番号1-31で説明したポリペプチドまたはその断片の存在を示している。
容易に検出するのに、特に好ましいのは、サンドイッチアッセイであり、多くの変形が存在するが、そのすべてを本発明に包含することを意図する。例えば、典型的なフォワードアッセイ(forward assay)では、非標識抗体を固体基板に固定し、試験される試料を結合分子と接触させる。その後、抗原−抗体二量体複合体の形成に十分な時間である適当な時間、インキュベーションする。この時点で、次いで、検出可能シグナルを誘導できるレポーター分子で標識された二次抗体を添加し、抗体-抗原-標識抗体の三次複合体を形成するのに十分な時間、インキュベートする。すべての非反応物質を洗浄し、抗原の存在をシグナルの観察により決定するか、または、既知の抗原量を含むコントロール試料と比較することにより定量し得る。フォワードアッセイ(forward assay)の変形は、試料および抗体の両方を、同時に結合抗体に添加する、同時アッセイ、または、標識抗体および試験される試料を最初に結合し、インキュベートし、そして非標識表面結合抗体を添加する、リバースアッセイ(reverse assay)を含む。これらの技術は当業者に既知であり、マイナー変形の可能性は、容易に明らかである。本明細書で使用するとき、“サンドイッチアッセイ”は、基本的な2点技術(two-site technique)に関する、すべての変形を包含することを意図する。本発明の免疫アッセイに関しての唯一の制限因子は、標識抗体が、配列番号1-31で与えられたポリペプチド、または断片もしくはその変異型に対して、特異的な抗体であることである。
この型のアッセイで、最も通常使用されるレポーター分子は、酵素、蛍光色素分子または放射性核種含有分子である。酵素免疫アッセイの場合には、酵素は、通常、グルタルアルデヒドまたは過ヨウ素酸塩により二次抗体に結合している。しかしながら、容易に認識されるとおり、当業者に既知の広くさまざまな、異なったライゲーション技術が存在する。通常使用される酵素は、特に、西洋ワサビペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、ベータ-ガラクトシダーゼおよびアルカリホスファターゼを含む。特定の酵素と共に使用される基質は、一般に、相当する酵素による加水分解で、検出可能な色変化の産生のために選択される。例えば、p-ニトロフェニルリン酸塩は、アルカリホスファターゼ複合体との使用に適しており、ペルオキシダーゼ複合体に関しては、1,2-フェニレンジアミンまたはトルイジンが、通常使用される。また、上記した発色基質よりもむしろ蛍光産物を産生する、蛍光基質を使用し得る。次いで、適当な基質を含む溶液を、三次複合体に添加する。基質は、二次抗体に結合した酵素と反応し、さらに、通常は分光光度法で、血清試料における配列番号1-31のポリペプチドまたは変異型のポリペプチドの量の評価を与えるために定量化し得る、定性的な視覚シグナルを生じる。
あるいは、例えば、フルオルセインおよびローダミンのような蛍光化合物は、それらの結合能力を変えることなしに、化学的に抗体と結合し得る。特定の波長の光を有する照明で活性化すると、蛍光標識抗体は光エネルギーを吸収し、分子の励起状態を誘導し、その後、特徴的なより長い波長の光を放出する。放出(発光)は、光学顕微鏡で視覚的に検出可能な、特徴的な色として現れる。免疫蛍光およびEIA技術は、両方とも、当業者に既知であり、特に、本発明の方法のために好まれる。しかしながら、他のレポーター分子、例えば、放射性同位体、化学発光または生物発光分子は、また、使用し得る。必要とされる使用に適合するように手順を変える方法は、当業者にとって、容易に明らかである。
本発明の医薬組成物は、また、配列番号1-31で開示したタンパク質またはその変異型の発現を、核酸レベルで阻害する物質を含み得る。そのような分子は、そのようなタンパク質をコードした核酸の適当なヌクレオチド配列に向けられた、リボザイム、アンチセンスオリゴヌクレオチド、三重螺旋DNA、RNAアプタマー、siRNAおよび/または二本鎖または一本鎖RNAを含む。これらの阻害分子は、過度の負荷または実験なしに、当業者により、慣用的な技術を用いて作り得る。例えば、遺伝子発現の修飾、例えば、阻害は、本明細書で記載したポリペプチドをコードする遺伝子の制御領域、すなわち、プロモーター、エンハンサーおよびイントロンに対し、アンチセンス分子、すなわちDNAまたはRNAを設計することにより取得できる。例えば、転写開始サイト由来のオリゴヌクレオチド(例えば、開始サイトから-10と+10の位置の間)を、使用し得る。それにもかかわらず、遺伝子のすべての領域は、最も強くmRNAとハイブリダイズするアンチセンス分子を作り出すために、それらを設計するのに使用し得、そのような適当なアンチセンスオリゴヌクレオチドは、当業者に既知の標準的なアッセイ手順により、産生および同定し得る。
同様に、遺伝子発現の阻害は、“三重螺旋”塩基対合方法論を用いて達成し得る。三重螺旋対合は、それが、二重螺旋の、ポリメラーゼ、転写因子または制御分子の結合に関して十分な開裂をする能力を阻害するので有用である。三重螺旋を用いた最近の治療の前進は、文献に記載されている。Gee et al., Molecular and Immunologic Approaches, Huber and Carr, Eds., Futura Publishing Co., Mt. Kisco, NY (1994)を参照のこと。これらの分子は、また、転写産物がリボソームに結合するのを妨げることにより、mRNAの翻訳を妨害するように設計し得る。
リボザイム、酵素的RNA分子は、また、RNAの特異的切断を触媒することにより、遺伝子発現を阻害するのに使用し得る。リボザイムの作用機構は、リボザイム分子の相補的標的RNAへの配列特異的ハイブリダイゼーション、その後のエンドヌクレアーゼ的切断を含む。使用され得る例は、特異的におよび効率的に遺伝子配列のエンドヌクレアーゼ的切断を触媒するように設計され得る、改変“ハンマーヘッド”または“ヘアピン”モチーフリボザイム分子を含む。任意の潜在的RNA標的内の特異的リボザイム切断サイトは、最初、リボザイム切断サイトに関して、標的分子をスキャンすることにより同定され、以下の配列、GUA、GUUおよびGUCを含む。いったん同定されると、切断サイトを含む標的遺伝子の領域に相当する15および20リボヌクレオチド間の短RNA配列は、オリゴヌクレオチドを使用不可能にし得る二次構造特徴に関して評価し得る。候補標的の適合性はまた、リボヌクレアーゼ保護アッセイを用いて、相補的オリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションに対する接近性を試験することにより評価し得る。
リボザイム法は、細胞をリボザイムに曝すか、またはそのような小RNAリボザイム分子の発現を細胞内で誘導することを含む。Grassi and Marini, Ann Med, Vol. 28, No. 6, 499-510 (1996);および Gibson, Cancer Metastasis Rev, Vol. 15, No. 3, 287-299 (1996)を参照のこと。本明細書で記載している遺伝子の内少なくとも1個に相当する、mRNAを標的としたハンマーヘッドまたはヘアピンリボザイムの細胞内発現は、該遺伝子によりコードされたタンパク質を阻害するのに利用できる。
リボザイムは、リボザイム配列を内在したRNAオリゴヌクレオチドの形態で、細胞に直接送達するか、または望むリボザイムRNAをコードした発現ベクターとして細胞に導入することができる。リボザイムは、日常的に、mRNAを切断するのに触媒的に有効である十分な数で、インビボで発現し、それにより細胞内のmRNA量を修飾できる。Cotten and Birnstiel, EMBO J, Vol. 8, No. 12, 3861-3866 (1989)を参照のこと。特に、慣用的で既知な技術、例えば、標準的なホスホロアミダイト化学にしたがって設計し合成した、DNA配列をコードしたリボザイムは、tRNAをコードした遺伝子のアンチコドンステムおよびループにおける制限酵素サイト中に連結でき、次いで、当業者にとって決まり切った手段によって、興味ある細胞に形質転換し、発現できる。好ましくは、誘導性プロモーター、例えば、グルココルチコイドまたはテトラサイクリン応答エレメントは、また、リボザイム発現が選択的に制御できるように、このコンストラクト中に導入される。飽和的使用のために、非常におよび構成的に活性化しているプロモーターを使用できる。tDNA遺伝子、すなわち、tRNAをコードした遺伝子は、それらが、小分子、高率の転写、および異なった種類の組織におけるユビキタスな発現のため、本出願で有用である。
したがって、リボザイムは、実質的にすべてのmRNA配列を切断するために、日常的に、設計でき、そして細胞は、リボザイムの制御可能および触媒的有効量を発現するために、そのようなリボザイム配列をコードしたDNAを用いて、日常的に、形質転換できる。したがって、細胞内の実質的にすべてのRNA種の量は、修飾または乱すことができる。
リボザイム配列は、アンチセンスヌクレオチドに関して記載したのと本質的に同じ方法で修飾できる(例えば、リボザイム配列は、修飾塩基部分を含み得る)。
RNAアプタマーはまた、RNA量または活性を修飾するために、細胞に導入または細胞で発現できる。RNAアプタマーは、タンパク質、例えば、TatおよびRev RNA[Good et al., Gene Ther, Vol. 4, No. 1, 45-54 (1997)を参照のこと]のための特異的RNAリガンドであり、特異的にそれらの翻訳を阻害できる。
遺伝子発現の遺伝子特異的阻害は、また、慣用的な二本鎖または一本鎖RNA技術を用いて、達成し得る。そのような技術の記載は、WO 99/32619で発見し得、その全体を引用により本明細書の一部とする。さらに、siRNA技術はまた、遺伝子発現を阻害する手段として有用であることが証明されている。Cullen, Nat Immunol, Vol. 3, No. 7, 597-599 (2002);およびMartinez et al., Cell, Vol. 110, No. 5, 563-574 (2002)を参照のこと。
本発明のアンチセンス分子、三重鎖DNA、RNAアプタマー、dsRNA、ssRNA、siRNAおよびリボザイムは、核酸分子の合成に関する当業者に既知の、任意の方法により調製し得る。これらの方法は、化学的にオリゴヌクレオチドを合成する技術、例えば、固相ホスホロアミダイト化学合成を含む。あるいは、RNA分子は、本明細書で記載したポリペプチドの遺伝子をコードしたDNA配列のインビトロおよびインビボ転写により産生し得る。そのようなDNA配列は、適当なRNAポリメラーゼプロモーター、例えば、T7またはSP6を有する広くさまざまなベクターに組み込み得る。あるいは、アンチセンスRNAを合成するcDNAコンストラクトは、構成的または誘導的に、細胞株、細胞または組織に導入できる。
ベクターを、多くの利用できる手段により細胞または組織中に導入し得、インビボ、インビトロまたはエキシビボで使用し得る。エキシビボ治療のために、ベクターを患者から取り出した幹細胞に導入し、そしてその同じ患者に自己移植するために、クローン的に増殖させ得る。トランスフェクションおよびリポソームインジェクションによる送達は、当業者に既知の方法を用いて達成し得る。
本明細書で開示したタンパク質のmRNAレベルの検出は、生物学的試料または生物学的試料に由来するRNAもしくはDNA分子さえを、少なくとも長さが約20ヌクレオチドで、高ストリンジェンシーな条件下、例えば、0.1×SSPEまたはSSC、0.1% SDS、65℃で、配列番号1-31で説明したポリペプチドをコードする単離したヌクレオチド配列とハイブリダイズする、単離したヌクレオチド配列と接触させることを含み得る。ハイブリダイゼーション条件は、高ストリンジェントまたはより低い高ストリンジェントであり得る。例えば、ここで、核酸分子は、デオキシオリゴヌクレオチド(オリゴ)であり、高ストリンジェントな条件は、例えば、6×SSC/0.05%ピロリン酸ナトリウムで、37℃(14-塩基オリゴのために)、48℃(17-塩基オリゴのために)、55℃(20-塩基オリゴのために)および60℃(23-塩基オリゴのために)で洗浄することを言う。核酸が組成を変えるそのようなストリンジェンシー条件の適当な範囲は、上記で引用したManiatis et al.に加えて、Krause and Aaronson, Methods Enzymol, Vol. 200, 546-556 (1991)に記載されている。
ある場合には、機能障害と関連する遺伝子の変異型の検出は、遺伝子の下方発現、過剰発現または変えられた空間的もしくは一時的発現から生じる、疾患のまたは疾患に対する感受性の診断を増やすか、または限定し得る、診断ツールを提供する。遺伝子に突然変異を有する個体は、さまざまな技術により、DNAレベルで検出し得る。
診断のために特定のmRNAの核酸は、対象細胞、例えば、血液、尿、唾液、組織生検または部検材料から取得し得る。ゲノムDNAは、直接検出のために使用し得るか、または、解析前に、PCRまたは他の増幅技術を用いて酵素学的に増幅し得る。RNAまたはcDNAはまた、同様の方法で使用し得る。欠失および挿入は、正常なジェノタイプと比較して、増幅した産物のサイズの変化により検出できる。点突然変異は、増幅したDNAを、配列番号1-31で開示したポリペプチドまたはその変異型をコードした標識化ヌクレオチド配列とハイブリダイズすることにより同定できる。完全マッチ配列は、RNase消化または融解温度の差異により、ミスマッチ二本鎖と区別できる。DNA配列差異は、また、変性剤があるか、もしくはない状態での、ゲル中のDNA断片の電気泳動移動度の変更によるか、またはDNAシークエンシングにより、検出し得る。例えば、Myers, Larin and Maniatis, Science, Vol. 230, No. 4731, 1242-1246 (1985)を参照のこと。特定の位置における配列変化は、また、ヌクレアーゼ保護アッセイ、例えば、RNaseおよびS1保護、または化学的切断法により明らかにし得る。Cotton et al., Proc Natl Acad Sci U S A, Vol. 85, 4397-4401 (1985)を参照のこと。さらに、配列番号1-31により与えられたポリペプチドまたは変異型、もしくはそのようなヌクレオチド配列の断片をコードしたヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドプローブのアレイが、例えば、遺伝的突然変異の効率的なスクリーニングを行うために構築できる。アレイ技術法は既知であり、一般に適用性を有し、遺伝子発現、遺伝的連鎖および遺伝的変異性を含む、分子遺伝学のさまざまな問題に取り組むために使用できる。例えば、Chee et al., Science, Vol. 274, No. 5287, 610-613 (1996)を参照のこと。
診断アッセイは、記載した方法により、配列番号1-31で説明したポリペプチドの遺伝子における突然変異の検出を介して、疾患に対する感受性を診断または決定する工程を提供する。さらに、そのような疾患は、対象由来の試料から、異常なポリペプチドまたはmRNAレベルの減少または増加を決定することを含む方法により診断し得る。減少または増加した発現は、ポリヌクレオチドの定量のために、当業者に既知である方法(例えば、核酸増幅、例えば、PCR、RT-PCR、RNase保護、ノザンブロッティングおよびハイブリダイゼーション方法)のいずれかを用いて、RNAレベルで測定できる。宿主由来の試料中のタンパク質、例えば、本発明のポリペプチドのレベルを決定するのに使用できるアッセイ技術は、当業者に既知である。そのようなアッセイ法は、ラジオイムノアッセイ、競合的結合アッセイ、ウエスタンブロット解析およびELISAアッセイを含む。
本発明はまた、mRNAレベル(またはタンパク質レベル)を検出するための診断キットを開示し:
(a)配列番号1-31で説明したポリペプチドまたはその断片のポリヌクレオチド;
(b)パラグラフ(a)のそれに相補的なヌクレオチド配列;
(c)パラグラフ(a)のポリヌクレオチドによってコードされた、本発明の配列番号1-31のポリペプチド;
(d)パラグラフ(c)のポリペプチドに対する抗体;および
(e)パラグラフ(a)のそれに相補的なRNAi配列
を含む。
すべてのそのようなキットにおいて、(a)、(b)、(c)、(d)または(e)の任意の物質は、実質的な構成要素を含み得る。そのようなキットは、疾患の診断または疾患への感受性を診断するのに使用する(疾患は、特に、神経変性疾患、例えば、ADである)。
影響を受けるおよび影響を受けない個体間のcDNAまたはゲノム配列における差異は、また、決定できる。突然変異が、いくつかまたはすべての影響を受ける個体で観察され、任意の正常な個体で観察されなければ、そのとき、突然変異が、疾患の原因因子であり得る。
本発明のさらなる局面は、上述したあらゆる治療効果のために、薬学的に許容される担体、賦形剤または希釈剤との組合せでの、医薬組成物の投与に関する。そのような医薬組成物は、例えば、配列番号1-31で説明したポリペプチド、そのポリペプチドに対する抗体、模倣剤、アゴニスト、アンタゴニスト、インヒビターまたは配列番号1-31で与えられるポリペプチドの機能を有する他のモジュレーターまたはその遺伝子を含み得る。組成物は、単独で、または少なくとも1個の他の媒介物、例えば、非限定的に、生理食塩水、緩衝生理食塩水、デキストロースおよび水を含む、任意の滅菌生体適合性医薬担体で投与され得る安定化化合物との組合せで、投与し得る。組成物は、単独で、または他の薬剤、薬物またはホルモンとの組合せで、患者に投与し得る。
さらに、上記した治療用タンパク質、アンタゴニスト、抗体、アゴニスト、アンチセンス配列または、他のモジュレーターのいずれかを、他の適当な治療剤と組み合わせて投与し得る。組合せ治療で使用する適当な薬剤の選択は、慣用的な医薬原理にしたがって、当業者により成され得る。治療剤の組合せは、APP経路の異常と関連した病的状態の処置、予防または軽減をもたらすよう、相乗的に作用し得る。この方法を用いて、それぞれの薬剤のより低い用量を用いて治療効果を達成し得、それにより、副作用の潜在性を減らし得る。配列番号1-31で説明したヒトポリペプチドのアンタゴニスト、アゴニストおよび他のモジュレーターおよび該ポリペプチドをコードした遺伝子ならびにその変異型は、一般に当業者に既知の方法を用いて作製し得る。
本発明に包含される医薬組成物は、非限定的に、経口、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、髄内、髄腔内、経皮的、皮下、腹腔内、経鼻、腸内、局所的、舌下または直腸の手段を含む、任意の数の経路で投与し得る。
活性成分に加えて、これらの医薬組成物は、活性化合物を加工して薬学的に使用できる製剤にするのを促進する賦形剤および助剤を含む、適当な薬学的に許容される担体を含み得る。さらに、製剤および投与に関する技術の詳細は、Remington's Pharmaceutical Sciences (Maack Publishing Co., Easton, PA)の最新版で見つけ得る。
経口投与のための医薬組成物は、経口投与のために適当な用量で、当業者に既知の薬学的に許容される担体を用いて製剤化できる。そのような担体により、医薬組成物は、患者による経口摂取のために、錠剤、丸薬、糖衣錠、カプセル、液体、ジェル、シロップ、スラリー、懸濁液などとして製剤化できる。
経口投与のための医薬製剤は、活性化合物の、固体賦形剤との組合せを介して取得でき、所望により、適当な助剤を添加後、望むならば、錠剤または糖衣錠コアを得るために、
生じた混合物をひくことおよび粒の混合物を加工できる。適当な賦形剤は、炭水化物またはタンパク質増量剤であり、例えば、ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールを含む糖;コーン、小麦、米、ポテトまたは他の植物からのデンプン; メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル-セルロースまたはナトリウムカルボキシメチルセルロースのようなセルロース;アラビアおよびトラガカントを含むガム;ならびに、ゼラチンおよびコラーゲンのようなタンパク質である。望むならば、例えば、架橋ポリビニルピロリドン、アガー、アルギン酸またはその塩、例えば、アルギン酸ナトリウムのような、崩壊剤または安定剤を添加し得る。
糖衣錠コア(Dragee cores)は適当なコーティング、例えば、または、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、carbopolゲル、ポリエチレングリコール、および/またはチタニウムジオキシドを含み得る濃縮した糖溶液、ラッカー溶液および適当な有機溶媒、または溶媒混合物と併せて、使用し得る。染料または色素は、生成物同定のため、または、活性化合物の量、すなわち、用量を特徴づけるために、錠剤または糖衣錠コーティングに添加し得る。
経口で使用できる医薬製剤は、ゼラチンからなる押し込み型カプセル、ならびに、ゼラチンおよびグリセロールまたはソルビトールのようなコーティングからなるソフト密封カプセルを含む。押し込み型のカプセルは、例えば、ラクトースまたはデンプンのような増量剤または結合剤、例えば、タルクまたはステアリン酸マグネシウムのような滑剤、および、所望により、安定剤と混合した、活性成分を含むことができる。ソフトカプセルでは、活性化合物は、適当な液体、例えば、安定剤を有するか、または有しない脂肪油、液体、または液体ポリエチレングリコールに、溶解または懸濁し得る。
非経腸投与のために適当な医薬組成物は、水性溶液、好ましくは、生理学的に適合する緩衝剤、例えば、ハンクス溶液、リンガー溶液または生理学的緩衝食塩水で製剤し得る。水性注射懸濁液は、懸濁液の粘性を増加させる物質、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールまたはデキストランを含み得る。さらに、活性化合物の懸濁液は、適当な油性注射懸濁液として調製し得る。適当な、親油性溶媒または媒体は、ゴマ油のような脂肪油、またはオレイン酸エチルもしくはトリグリセリドのような合成脂肪酸エステル、またはリポソームを含む。非脂質ポリカチオン性アミノポリマーは、また、送達のために使用し得る。所望により、懸濁液はまた、適当な安定剤、または、高濃度溶液の調製を可能にするために、化合物の溶解性を増加させる薬剤を含み得る。
局所的または経鼻投与に関しては、浸透すべき特定の障壁に適当な浸透剤を、製剤に使用し得る。そのような浸透剤は、一般に、当業者に既知である。
本発明の医薬組成物は、当業者に既知の方法、例えば、慣用的な混合、溶解、造粒、糖衣錠製造(dragee-making)、ゲル化(levigating)、エマルジョン化(emulsifying)、封入(encapsulating)、封入(entrapping)または凍結乾燥工程で製造し得る。
医薬組成物は、塩として提供し得、非限定的に、塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸などを含む、多くの酸と共に形成できる。塩は、相当する遊離塩基型よりも、水性またはプロトン溶媒に、より溶けやすい傾向がある。他の場合には、好ましい調製物は、下記のいずれかまたはすべてを含み得る、凍結乾燥粉末であり得る: pH 4.5-5.5の範囲で、使用前に緩衝剤と組み合わせる、1-50 mM ヒスチジン、0.1-2% スクロースおよび2-7% マンニトール。
医薬組成物を調製した後、適当な容器に入れ、示された状態の処置に関して標識することができる。そのような標識は、投与の量、頻度および方法を含むだろう。
本発明の使用に適した医薬組成物は、活性成分が、意図した目的を達成するために有効量で含まれる、組成物を含む。有効量の決定は、当業者の能力の範囲内にある。
すべての化合物に関して、治療上有効量は、最初、例えば、腫瘍性細胞の細胞培養アッセイか、または動物モデル、通常、マウス、ウサギ、イヌまたはブタで概算できる。動物モデルはまた、適当な濃度範囲および投与経路を決定するのに使用し得る。そのような情報は、次いで、ヒトでの有効量および投与経路を決定するのに使用できる。
治療上有効量は、症状または状態を改善する活性成分の量のことを言う。治療効果および毒性は、細胞培養または実験動物での、標準的な薬学手順により決定し得る(例えば、集団の50%における治療上有効量(ED50)、および集団の50%における致死量(LD50))。毒性および治療効果の用量比率は、治療係数であり、LD50/ED50の比率として表現できる。大きい治療係数を表す医薬組成物が好まれる。細胞培養アッセイおよび動物実験から取得したデータを、ヒトでの使用のための用量範囲を処方するのに使用する。そのような組成物に含まれる用量は、好ましくは、ほとんど、あるいは全く毒性を有しないED50を含む、血中濃度の範囲内にある。用量は、使用される用量形態、患者の感受性および投与経路に依存して、この範囲内で変わる。
正確な用量は、処置を必要とする対象と関連した因子を考慮に入れて、医師により決定される。用量および経路は、十分なレベルの活性部分を提供するか、または望む効果を維持するために調節される。考慮に入れ得る因子は、疾患状態の重篤度、対象の一般的な健康状態、年齢、体重および対象の性、食事、投与の時間および頻度、薬剤組合せ、反応感受性および治療への耐性/応答を含む。長期作用医薬組成物は、特定の製剤の半減期および除去率に依存して、3-4日毎、週毎または2週毎に一度、投与され得る。
正常な用量は、投与の経路に依存して、0.1-100,000 mgから、全用量約1 gまで変わり得る。送達の特定の用量および方法に関する手引きは、文献で提供され、一般に、当分野の医師に利用可能である。当業者は、タンパク質またはそれらの阻害剤よりもヌクレオチドのために、異なった製剤を使用し得る。同様に、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの送達は、特定の細胞、状態、場所などに特異的であり得る。タンパク質の経口投与のために適当な医薬製剤は、例えば、米国特許第5,008,114号; 第5,505,962号; 第5,641,515号; 第5,681,811号; 第5,700,486号; 第5,766,633号; 第5,792,451号; 第5,853,748号; 第5,972,387号; 第5,976,569号および第6,051,561号に記載されている。
実施例
下記の実施例は、本発明のある局面を例示する。それらは、いかなる方法でも、全体としての本発明の範囲を限定するものではない。
材料および方法
DNAコンストラクトおよび分子技術
ADのショウジョウバエモデルは、米国特許出願公開第US20020174446号; Finelli et al., Mol Cell Neurosci., Vol. 26, No. 3, 365 (2004);およびIijima et al., Proc Natl Acad Sci U S A. Vol. 101, No. 17, 6623 (2004)において詳細に記載されている。簡潔には、疾患特異的A-ベータ42過剰発現を模倣する目的で、ゲノムがUAS-A-ベータ42アミロイドトランスジーンを含むトランスジェニックハエを、ショウジョウバエの***終了神経細胞でトランスジーンを異所的に発現するように、GAL4発現系を用いて作り出す。ショウジョウバエ神経細胞でA-ベータ42ペプチドを発現するために、A-ベータ42配列を、GAL4が眼を含む中枢神経系(CNS)の発生の間中、および成虫の間を通して発現している場所に向けられ、それにより、A-ベータ42の適当な発現系になる、pUASベクター中にクローン化する。同様に、UAS-A-ベータ40および UAS-C99を、それぞれ作製した。今後、A-ベータ42、A-ベータ40およびC99の発現に関するトランスジェニックハエを、それぞれ、UAS-A-beta42H29.3、UAS-A-beta40G68.2およびUAS-C99I8を呼ぶ。トランスジーンの神経発現のために、例えば、A-ベータ42、A-ベータ40またはC99、ElavGal4C155 を使用し、コントロールのために、発現GFP、UAS-GFPを使用した。両方のコンストラクトを有するハエは、Bloomington stock center, IN, USAから取得される。
EPトランスジェニックハエは、Szeged, Hungary stock centerから取得でき、そして、Pトランスジェニックハエは、Bloomington stock center, INから取得できる。
repoGal4は、Dr. Ulrike Gaul, The Rockefeller University, NY.により提供された。
UAS-A-ベータ42H29.3、UAS-Aベータ40G68.2およびUAS-C99I8株を、Dr. P. Paganetti の研究室で調製されたコンストラクトを用いて、Novartis Institutes for Biomedical Research, Inc.の研究室で作製した。
ADのハエモデルでは(Finelli et al., Mol Cell Neurosci., Vol. 26, No. 3, 365 (2004); Iijima et al., Proc Natl Acad Sci U S A. Vol. 101, No. 17, 6623 (2004)を参照のこと)、A-ベータ42の異所的過剰発現が、正常なハエ寿命を破壊し、組織学的欠損、例えば、脳における孔(空胞変性)を産生し、そして、破壊の重篤度は、A-ベータタンパク質の増加した毒性により反映されるトランスジェニックハエの年齢に依存している。例えば、A-ベータ42を発現している若いトランスジェニックハエは、脳構造に欠損を有しないが、A-ベータ42を発現している老いたトランスジェニックハエは、脳構造に多くの孔を有することが見られた。そのような脳欠損は、A-ベータ40またはC99を発現している老いたハエで見られなかったので、脳空胞変性は、A-ベータ42に特異的な表現型であり、このことは、A-ベータ40またはC99と違って、A-ベータ42が、神経細胞に対する毒性があることを反映している。一般に、A-ベータ42を発現しているハエのおよそ50%が、21日から28日で死に、それを、コントロールハエ(例えば、50%生存が60日までである、A-ベータ40またはC99を発現しているハエ)と比較して減った寿命と呼ぶ。A-ベータ42を発現しているハエはまた、A-ベータ40のハエと比較して、不活発と呼ばれる進行性移動運動欠損を示した。興味深いことに、C99を発現しているハエは、齢にわたって、進行性の発作のような行動を示した。
さらなるUAS-A-ベータ42株の作製
より高レベルのペプチド発現を有するA-ベータ42トランスジェニック株を作製するために、UAS-A-ベータ42H29.3株におけるA-ベータ42トランスジーンの組み換えを、例えば、Robertson, H.M., Preston, C.R., Phillis, R.W., Johnson-Schlitz, D., Benz, W.K., and Engels, W.R. (1988); A stable genomic source of P element transposase in Drosophila melanogaster; Genetics 118:461-470に記載されたとおり行った。43個の新規株を、もとのUAS-A-beta42H29.3株から作製した。17個の独立した株を、トランスジーンをelavGal4ドライバーのもとで発現させたとき、それらが粗眼表現型を示したので、選択した。トランスジーンの発現レベルを、ウエスタン解析により、解析した。これらの株のうちの2個、すなわち、UAS-A-beta42HJ2.19およびUAS-A-beta42HJ2.23をこの研究で使用した。
ハエを、標準的なハエ食に基づいたコーンミールで維持した(Ashburner, 1989)。親の交雑は25℃に設定し、F1世代を収集し、29℃で育てた(図1)。ハエを交雑し、すべての子孫が、最大限の表現型の発現のために29℃で保たれるということを除いて、慣用的な方法に従い、25℃で維持した。バイナリーGal4発現系では、この温度が、Gal4タンパク質の活性を最大限にする。ElavGal4C155/UAS-Aベータ42の場合には、表現型が29℃でより強くなることが観察され、そこでは、これらのハエはなお、この温度で保たれる。
第2および第3染色体P-因子株に関しては、交雑は、P-因子株からの雄ハエ(約10匹)およびA-ベータ42過剰発現株(ElavGal4C155/UAS-A-ベータ42)からの処女雌(約10匹)を用いて行った。X染色体P株に関しては、約10匹の処女雌を個体のP株から収集し、A-ベータ過剰発現株からの10匹の雄と交尾させた。親交雑は、25℃に設定し、育てた。それぞれの交雑からの20匹の子孫を有する10個のバイアルを、29℃で保ち、生存および行動表現型に関して、および一般的な形態変化に関して記録した。記録のために、生きているハエを新しいバイアルに移して、死んだハエを2-3日毎に数えた。結果の統計的な評価のために、Log-Rank analysis、その後のカイ二乗比較を、SAS 8.2 適用を用いて行った。
HIGS (ハプロ不全遺伝学的スクリーニング)に関しては、P-因子突然変異を有する10匹の雄(Spradling, A.C., Stern, D., Beaton, A., Rhem, E.J., Laverty, T., Mozden, N., Misra, S., and Rubin, G.M. (1999); The Berkeley Drosophila genome project gene disruption project; Single P-element insertions mutating 25% of vital Drosophila genes; Genetics 153: 135-177)およびA-ベータ42を発現している10匹の雌ハエを、25℃に設定し、6匹から20匹の適当な子孫を、14日で収集した。収集した実験子孫を、29℃で保ち、生存に関して3-4日毎に記録した。A-ベータ42発現ハエの中にP-因子突然変異を導入した交雑子孫の50%が、28日を過ぎるまで生きていれば、それらは、サプレッサー突然変異を内包していると考えられ、一方で、子孫の50%が14日までに死ぬならば、それらは、エンハンサー突然変異を内包していると考えられた。モディファイヤー突然変異の再試験および背景交雑に関しては、100匹の子孫を記録した。
移動運動アッセイのために、それぞれの実験ジェノタイプの20匹のハエを、齢の3日、10日および15日で記録した。ハエを新しいバイアルに移し、軽くたたいて閉め、クライミングが平衡になるまで数分間記録した。
ウエスタンブロット解析
望むジェノタイプのハエを、液体窒素を用いてエッペンドルフチューブで凍結保存し、胴体から頭を切断するために、素早く、ボルテックスにかける。チューブの内容物を、ドライアイス上に保たれた秤量用ボート(weighing boat)にダンプし、予め冷却した細かい筆を用いて、頭を他の胴体部分から分離した。50-100個の頭からタンパク質を抽出するために、50μLの8×stock Complete Protease Inhibitor Mini tablets (Roche, Catalog No. 1 836 153)および200μLの2×試料バッファーB (0.318 M Bicine, 30% スクロース, 2% SDS, 0.718 M Bistris)を、ハエ頭部に添加した。次いで、試料を、プラスチック乳棒を用いて、手動により均質化し、その後、乾燥浴槽(dry bath)インキュベーターで、95℃で5分間熱し、12Krpm、5分間、25℃で微小遠心管において回転させた。上清を、ピペットチップを用いてプロテアーゼフリーチューブ(Biopur, SRL, Rosario, Argentina)に移した。タンパク質試料を、Biorad (Hercules, CA)タンパク質アッセイ(マイクロタイタープレートでの標準的なアッセイに関する製造指示書に従って)を用いて定量化した。5%(5%)2-メルカプトエタノール(50μLのために2.5μL)および0.01%のブロモフェノールブルー(BB)(50μLのために2%BBの1μLを使用)を、試料に添加した。試料を、ローディング前に、乾燥浴槽(dry bath)インキュベーターで、100℃で5分間、インキュベートした。50(50)μgの総タンパク質抽出物を、8Mウレアを含む15% tricine/tris SDS PAGEゲル上に、それぞれの試料に関してロードした。
試料を、スタッキングゲル中を40V、セパレーティングゲル中を120Vで流した(約1.5時間)。1(1)×tris-tricine/SDS (Bioradからの10×stockから希釈)バッファーを、ゲル間の陰極バッファーとして使用し、0.2 M tris-HCl、pH 8.8 (Bioradからの1.5 M stockから希釈)を、下側の陽極バッファーとして使用した。A-ベータ-42ペプチドコントロールは、ヒトβ-アミロイド(1-42) (Biosource International, Camarillo, CA, No. 03-111, Lot No. 0311219B)である。ストックを作るために、ペプチドを1 μg/μLで溶解した。ローディング前に、アリコートを2 ng/μLの濃度まで希釈し、2×試料バッファーと共に、1:1の割合で混合する。ローディング前に、2-メルカプトエタノールおよびBBを、それぞれ5%および0.01%で添加した。分子量マーカーRPN 755 (Amersham, Piscataway, NJ)をサイズマーカーとして使用する。同様の方法で、ペプチドマーカーをローディングするために調製する。電気泳動後、試料を、1時間、100VでPVDF膜(Biorad, No. 162-0174)にトランスファーし、次いで、1×PBSで3分間ボイルした(膜タンパク質側を下にして)。膜を、0.1% Tween 20を含む1×PBS中、調製した(prepwered)5%脱脂乳で、1.5時間から一晩まで(for 1.5 hours to overnight)、ブロックした。抗体ハイブリダイゼーションは、下記の通りである:A-ベータ-ペプチドの最初の19アミノ酸を認識する一次モノクローナル抗体6E10(Senetek PLC, Napa, CA)を、室温で90分間、0.1% Tween-20を含む1×PBS中に溶解した5%脱脂乳中に、プロービングのために使用する(1:1000の濃度で)。膜を、1×PBS-0.1 % Tween-20で、3×5分、15分および15分間、それぞれ洗浄した。二次抗体は、西洋ワサビペルオキシダーゼを抱合した抗-マウス抗体(Amersham Pharmacia Biotech, Piscataway, NJ, No. NA 931)であり、室温で90分間、0.1% Tween-20を含む1×PBS中に溶解した5%脱脂乳中、1:2000で使用した。試料を、一次抗体インキュベーション後のように洗浄した。ECL (Western Blotting Detection Reagents, Amersham Pharmacia Biotech, No. RPN2209)を検出のために使用した。ブロッティング後、膜を何度か水で洗浄し、すべてのレーンでの等しいローディングを確認するために、Ponceau試薬で染色した。
免疫染色
成虫ハエ脳を、解剖顕微鏡を用いて、1×PBS溶液中に、望むジェノタイプの高齢成虫ハエから切開し、4%パラホルムアルデヒド(EMS, Washington, PA)で固定した。組織を、室温で一晩、PBS中、1% Triton X-100および0.1 mg/ml RNase Aで透過処理し、気管系内に閉じこめられた空気を除去するために、30分間、穏やかな真空下で、同じ溶液中に保ち、その後、簡単に、PBSで3×5分間洗浄した。組織を、水中、0.435mM NBD-C6-セラミド[6-((N-(7-ニトロベンズ-2-オキサ-1,3-ジアゾール-4イル)アミノ)ヘキサノイル)スフィンゴシン]および0.5% Tween 20中、0.1 mg/ml RNase A で、一晩室温で染色し、その後、簡単に、PBSで3×5分間洗浄し、次いで、62.5 μg/mlプロビジウムアイオダイド(Molecular Probes, Eugene, OR)により対比染色した。染色した脳を、FocusClear(商標)溶液(PacGen, Vancouver, Canada)でインキュベーションにより除去し、MountClear(商標)(PacGen, Vancouver, Canada)に載せ、Biorad共焦点顕微鏡を用いて解析し、イメージをLasersharp 4.1 software (Biorad)を用いて収集した。
サンドイッチELISA
抗体:A-ベータペプチドのNH2末端に向けられたマウスモノクローナル抗体を、捕捉抗体として使用した(Biosource Cat#44-352-100)。抗体を1×PBS 1:2900(3.5μl/10ml)で希釈し、100ul/96 ウェルまたは 50μl/384 ウェルでMaxisorb Plates (Nunc Cat#442404)に適用し、4℃で一晩、インキュベートした。ポリクローナル検出抗体をBiosource (anti-hA-beta40 Cat#44-348およびanti-hA-beta42 Cat#44-344)から取得し、1% BSA/PBS (1μl/5ml)で1/2000に希釈した。三次抗体(Santa Cruz Cat# SC2313)は、西洋ワサビペルオキシダーゼ標識抗-ウサギIgG (1% BSA/PBSで1/5000に希釈)であった。
A-ベータ42標準物の調製: 2.31gの重炭酸ナトリウムを500mLの蒸留水に溶解し、2N水酸化ナトリウムを用いて、pHを9.0に調節した。ストック重炭酸溶液を、Millipore(登録商標) 0.2 μm unitを通して、フィルター滅菌した。凍結乾燥A-ベータ標準物を、1μg/mLの濃度まで、重炭酸溶液で再構成した(Biosource Cat#88-331, A-beta40;およびCat#88-332, A-beta42)。懸濁液を混合し、90分間、氷に移した。標準曲線を作製するために、A-ベータ標準物を、1mM 4-(2-アミノエチル)-ベンゼンスルホニルフルオライドHCl (AEBSF)を含む1%BSA/PBSで、100,000 pg/mL、10,000 pg/mL、1000 pg/mL、500 pg/mL、250 pg/mL、125 pg/mL、62.5 pg/mL、31.25 pg/mL、15.63 pg/mL、および0 pg/mLに希釈した。A-ベータ42、A-ベータ40またはGFPを発現しているハエ頭からの全A-ベータペプチドの調製のために、13日齢の20個のハエ頭をそれぞれの望むジェノタイプから取得し、次に、ドライアイスにおいてRAD001で処理し(10μM、20μM、30μM、60μM)、95℃で5分間煮沸した後、ELISA緩衝剤中、手動乳棒で均質化した(下記、参照)。
間接的2サンドイッチELISA(Indirect Two Sandwich ELISA):捕捉抗体で一晩インキュベーション後、1xPBS/0.05% Tween 20/1mM EDTA中、microplate washer (Bioteck Instruments, Inc)で、2回洗浄する。SuperBlock Buffer(Pierce Chemicals, Rockford, IL, Cat #37515)を、100μl/96ウェル、50μl/384ウェル添加し、350rpmで震盪しながら5分間、室温でインキュベートする。100μlのトランスフェクション細胞の馴化培地を除去し、1mM AEBSF を含む1×PBS/1%BSAで1:2に希釈し、4℃で一晩か、または20℃で2時間、シェーカー(300rpm)でインキュベートする。試料を除去後、プレートを洗浄緩衝剤で4回洗浄した。検出抗体溶液を100μl/wellで添加し、震盪しながら室温で2時間、プレートをインキュベートした。再び、洗浄緩衝剤を用いて、プレートを4回洗浄し、二次抗体溶液を100μl/wellで添加し、震盪しながら2時間、インキュベートした。洗浄緩衝剤で、プレートを5回洗浄し、ペーパータオルで乾燥させた。100μlの安定化色原体(テトラメチルベンジジン, Biomedia Corp. #S18-100)をそれぞれのウェルに添加し、プレートを30分間、暗闇でインキュベートした。100μlの酸終結溶液を、反応を止めるためにプレートに添加した。そのプレートを、1時間以内に450 nM(Molecular Devices, Inc.)で、マイクロプレートリーダーで読んだ。
実施例1.EP挿入株を用いた一次スクリーニングのためのショウジョウバエモデル
ADのショウジョウバエモデルは、ElavGal4C155を用いたA-ベータ42ペプチドの過剰発現により作製した(上の方法セクションおよび図1を参照のこと)。このコンストラクトは、トランスフェクションしたほ乳類細胞からのA-ベータ42の分泌を仲介することが示された、プレプロエンケファリンシグナルペプチドと融合した、A-ベータ42-コード領域を含んでいた。Cescato (2000)を参照のこと。以前のデータは、ショウジョウバエにおけるA-ベータ42の効果が、年齢依存的であることを示している。A-ベータ42の表現型を高めるおよび抑制する突然変異を同定できるように、我々は、遺伝的スクリーニングに関して、すべての神経細胞におけるトランスジェニックA-ベータ42発現を使用することを選んだ。UAS-A-ベータ42H29.3と呼ばれるA-ベータ42株は、第2染色体にA-ベータ42トランスジーン、X染色体にElavGal4C155を有し、25℃で異なった成虫寿命表現型を示す。この表現型は、成虫ハエを29℃で育てたとき、より明白になる。寿命表現型の温度依存性は、トランスジェニックA-ベータ42発現成虫ハエを、我々の意図する目的に適したものにする。
実施例2.成虫ハエCNSでのA-ベータ42過剰発現により引き起こされる表現型
成虫ハエのCNSでのA-ベータ42ペプチドの発現が、神経細胞に対して毒性があるという仮説に基づいて、我々は、A-ベータ42を発現しているハエの寿命および全体の形態を調べた。A-ベータ42ペプチドは、成虫CNSのすべての***終了後神経細胞でGal4の発現を誘導するelavGal4C155を使った、バイナリーGal4/UAS発現系(Brand and Perrimon, 1993)を用いて発現した。約100の子孫が、それぞれのジェノタイプに関して獲得された。我々は、elavGal4C155の制御下にあるA-ベータ42を発現しているハエが、最終的な形態においては全く変化を示さず(眼および剛毛組織を含む)、減った寿命および移動運動活性の進行的喪失を示すことを発見した。
特に、図2で示しているとおり、A-ベータ42H29.3 (A-ベータ42+elavGal4)またはA-ベータ42H29.3およびGFP(A-ベータ42+GFP+elavGal4)を発現しているハエは、19日後に突然死んだ。elavGal4ドライバーのみ(elavGal4 alone)またはUAS-A-ベータ42H29.3トランスジーンのみ(UAS-A-ベータ42 alone)を発現しているコントロールハエは、約50日で死んだ。A-ベータ42HJ2.12およびA-ベータ42HJ2.19株[A-ベータ42(HJ2.12)、A-ベータ42(HJ2.19)]のより高い発現により、ずっと短い寿命を生じた。統計的評価のために、我々は、log-Rank検定を用い、その後、カイ二乗検定を行った(P<0.001)。図2で示されるとおり、すべての他のコントロールは、正常な寿命を示した。
A-ベータ42およびGFPを共発現している成虫ハエ(コントロール、図2)は、おそらく、2個のUASコンストラクトコピーの存在により引き起こされる、利用可能なGal4活性の滴定のために、寿命表現型の小さな抑制を示したことは注目に値する。発生の間、致死のA-ベータ42ハエは観察されず、これは、観察した表現型が、主に成虫段階の間に現れるA-ベータ42毒性によるものであることを示している。
我々は、次に、A-ベータ42により誘導される短い寿命表現型が、A-ベータ42ペプチドの用量に依存しているか否かを調べた。我々は、もとのH29.3株にA-ベータ42トランスジーンを動員することにより、A-ベータ42のさらなるコピーを含む、43個の新規株を作製した(材料および方法を参照のこと)。これらの新規株の中で、高レベルのA-ベータ42発現株を同定するために、我々は、粗眼表現型に関して、それらを調べた。もとのA-ベータ42株は粗眼表現型を有さず、以前、我々は、A-ベータ42により誘導される粗眼表現型が用量依存的であることを示していたので、我々は、この解析によりA-ベータ42のより高い発現を有する株を同定できるであろうと期待した。確かに、2個の株、A-ベータ42HJ2.12 およびA-ベータ42HJ2.19は、elavGal4ドライバーにより誘導される、粗眼表現型を示すことが同定された。これらの株の両方は、また、ずっと短い寿命を示し(図2)、これは、A-ベータ42ペプチドの増加した量が、その毒性効果を高めたことを示している。
寿命に加えて、我々はまた、成虫ハエにおいてA-ベータ42発現が、進行性移動運動欠損を引き起こすことを発見した。移動運動活性を解析するために、我々は、ハエが自然に示す、負の屈地性応答を測定する、“クライミングアッセイ(climbing assay)”を使用した(Le Bourg E, Lints FA. (1992). Hypergravity and aging in Drosophila melanogaster. 4. Climbing activity. Gerontology. 38:59-64)。実験およびコントロール群からの成虫期の異なる段階(3、10、15日)におけるハエの集団を、アッセイした。我々は、A-ベータ42を発現しているハエが、年齢と共に、減少した移動運動活性を示すことを発見した(表1)。異なる量のA-ベータ42ペプチド(A-ベータ42H29.3、A-ベータ42HJ2.12、A-ベータ42HJ2.19)を発現する、3個の異なるUAS-A-ベータ42株を使用した。株A-ベータ42HJ2.12およびA-ベータ42HJ2.19は、株A-ベータ42H29.3よりも、より高いレベルのペプチドを発現している。表1で見られるように、A-ベータ42H29.3ハエの移動運動活性は、約10-15日まで、ほとんど減少しなかった。対照に、非常に高レベルのA-ベータ42ペプチドを発現しているハエは(A-ベータ42HJ2.12、A-ベータ42HJ2.19)、すでに3日で移動運動を減少し、これは移動運動欠損がまた、用量依存的であることを示している(表1)。
表1 A-ベータ42により誘導される移動運動欠損
Figure 2008537543
++++、正常活性。+++、わずかな減少活性。++、非常に減少した活性。
nd、決定されていない。
寿命および移動運動表現型で観察されたような行動欠損は、以前の、ハエにおける脳変性と関連していた(Min, K.-T., Benzer, S. 1999. Preventing neurodegeneration in the Drosophila mutant bubblegum. Science 284, 1985-1988; Wittmann, C.W., Wszolek, M.F., Shulman, J.M., Salvaterra, P.M., Lewis, J., Hutton, M., Feany, M.B. 2001. Tauopathy in Drosophila: neurodegeneration without neurofibrillary tangles. Science 293, 711-714; Jackson, J.R., Wiedau-Pazos, M., Sang, T.K., Wagle, N., 褐色, C.A., Massachi, S. Geschwind, D.H. 2002. Human wild-type tau interacts with wingless pathway components and produces neurofibrillary pathology in Drosophila. Neuron 34, 509-519)。これに基づいて、我々の研究は、A-ベータが、用量および年齢依存的に、ハエでの神経変性表現型を誘導することを示している。
実施例3.A-ベータ40過剰発現は、いずれの寿命欠損も生じないが、C99発現は、新規の非協調的表現型を生じる
A-ベータ42に加えて、我々は、ハエにおけるA-ベータ40およびC99発現の効果を調べた。我々は、A-ベータ40を発現しているハエが、Gal4ドライバーのみを発現しているコントロールハエに匹敵する、正常な寿命を示すことを明らかにした(図2)。以前、我々のノバルティスでの共同研究者が、これらのA-ベータ40ハエが、A-ベータ42ハエに匹敵する量のペプチドを発現していることを示したので(Y. Zhong, CSHL)、これらの結果は、A-ベータ40は、ハエCNSにおいて毒性効果を有さないことを示している。
対照に、成虫CNSでC99を発現しているハエは、新規の非協調的移動運動表現型を示し(表2)、一方で、寿命には影響しなかった(図2)。非協調的表現型により、ハエは、方向感覚を失い、けいれん性運動を示し、その結果、それらは、クライミングアッセイで、正常に応答できなかった。非協調的な行動は短い間続き、その後、ハエは十分に回復した。この表現型はまた、年齢特異的であり、成虫の最初の10日間で生じ、ハエが歳を重ねるにつれてより重度になった(表2)。
表2 C-99により誘導される移動運動欠損
Figure 2008537543
++++、正常活性。+++、わずかな非協調的活性。++、強い非協調的活性。
nd、決定されていない。
我々は、以前、神経筋接合部におけるC99の発現が、過剰なシナプス神経繊維末端の発現を生じることを示した(データは示していない)。同様の表現型は、カリウムチャネル(shaker, ether a go-go)に影響を与え、一般に、後シナプス電位に関与した経路に参加する遺伝子の突然変異に関して記載されている(rutabaga, an adenylate cyclase; dunce, a cAMP-specific phosphodieesterase; Zhong, Y., Budnik, V., and Wu, C.F. (1992). Synaptic plasticity in Drosophila memory and hyperexcitable mutants: role of cAMP cascade. J. Neurosci. 12:644-51)。これらの研究に基づいて、我々は、C99誘導非協調的表現型が、シナプス電位における影響の結果であり得ると主張する。
実施例4.成虫CNSグリア細胞におけるA-ベータ42の過剰発現は、また、ハエで寿命および行動表現型を生じる
脳の非神経細胞型におけるA-ベータ42発現の効果を調べるために、我々は、特異的にグリア細胞でトランスジーンを発現させた。これを達成するために、我々は、repo(逆極性)制御配列の制御下にあるGal4ドライバーを用いた。Repoは、専ら、成虫CNSの主要な非神経細胞型であるグリア細胞の多くで発現している(Xiong et al., 1994)。
repoGal4の制御下、グリア細胞でA-ベータ42を発現しているハエは、repoGal4ドライバーだけ(P<0.01)を発現しているコントロールハエ、または、A-ベータ40もしくはC99を発現しているコントロールハエと比較して、減った寿命を示した(図3)。しかしながら、減った寿命表現型は、A-ベータ42が神経細胞で発現しているとき(A-ベータ42+elavGal4)に観察されたものより、あまり重度ではなかった。2個のドライバー、elavGal4およびrepoGal4は、異なった、細胞型特異性および発現レベルを有するので、直接、それらを用いた効果を比べることは難しいことを思い起こすべきである。にもかかわらず、我々の実験は、A-ベータ42が、同様に、非神経細胞においても毒性があるように思われることを示している。
実施例5.ヒトネプリリシン2のハエホモログの過剰発現は、部分的に、寿命および行動表現型をレスキューする
ネプリリシンは、A-ベータペプチドを分解することが示された、Znメタロペプチターゼのファミリーに属する(Carson and Turner 2002にレビュー)。この研究で、我々は、ショウジョウバエネプリリシンホモログ(nep2)の上方制御が、ハエCNSでA-ベータ42の発現により引き起こされる、変えられた移動運動活性および減少した生存表現型を修飾する、突然変異の能力を調べた。EP3549突然変異は、nep2発現を上昇させるために使用した。発現P(EP)は、Gal4結合サイト(UAS)を除く、P-因子と類似した遺伝子を有する。Nep2遺伝子発現は、Gal4により上方調節されている。nep2を発現している、GFPまたはEP(3)3549を有するトランスジェニックハエを、A-ベータ42を発現しているハエと交雑し、ここで、すべてのトランスジーンの発現はUAS/GAL4の制御下にある。EPは、nep2遺伝子の上流に同じ方向で位置し、Gal4発現により制御される。EP(3)3549は、EP挿入がnep2の内在性遺伝子発現を破壊するが、EPがGal4結合サイト(UAS)を有しているため、Gal4により上方制御され得るので、Gal4なしの変異体である。A-ベータ42およびnep2を共発現している子孫のハエ、または、A-ベータ42およびGFPを共発現しているハエを収集し、それらがすべて死ぬまで加齢を許した。寿命を比較した。
A-ベータ42およびnep2を共発現しているハエ(A-ベータ42+nep2+elavGal4)は、A-ベータ42(A-ベータ42+elavGal4)またはA-ベータ42およびGFP(A-ベータ42+GFP+elavGal4)を発現しているハエよりも、より長い寿命を示した(図4を参照のこと)。nep2だけを発現しているコントロールハエ(nep2+elavGal4)は、相対的に正常な寿命を有した。したがって、A-ベータ42およびnep2を共発現しているハエは、A-ベータ42-により誘導される表現型を抑制する。また、A-ベータ42と共発現したnep2は、A-ベータ42および非毒性タンパク質であるGFPを発現したハエと比較して、改善した移動運動活性を生じることを発見した(表1)。
これらの結果は、遺伝学的なレベルでのA-ベータ42およびnep2の相互作用および次のA-ベータ42による毒性表現型の抑制が、細胞型特異的ではないことを示している。
実施例6.Aβ42により誘導される粗眼表現型モディファイヤーのさらなる解析
我々は、寿命および行動表現型における効果に関して、A-ベータ42により誘導される粗眼表現型を修飾できる、以前同定した23個の突然変異を調べた。表3は、KJ54トランスジェニック株(眼のみの表現型)の粗眼表現型から発見した遺伝学的修飾が、ElavGal4/UAS-A-ベータ42により導入されたA-ベータ42ハエの寿命表現型に対して、同じ遺伝学的修飾であるか否かを見るために、汎神経Gal4、すなわちElavGal4により導入された、A-ベータ42を発現しているハエで、寿命表現型に関してEP株を再試験した結果である。それらの効果を、3個の異なるクラスに分類できることが分かった。8個の突然変異は、それらが眼表現型を修飾する、同じ方向に寿命表現型を修飾することが分かり、一方で、9個の眼表現型のモディファイヤーは、寿命表現型に対して効果を有さなかった(表3)(おそらくは、異なったGal4ドライバーによる発現レベルの差異のためである)。第3のクラスでは、5個の突然変異は、眼表現型対寿命表現型において、反対の修飾効果を示した(すなわち、寿命表現型のエンハンサーとして作用する、眼表現型のサプレッサー)。最後に、1個のEP突然変異(EP(X)1318)は、A-ベータ42と共発現したとき、生存可能な子孫を生じなかった(表3)。
表3 寿命および行動表現型の修飾に関する粗眼モディファイヤーの解析
Figure 2008537543
Figure 2008537543
Figure 2008537543
N/A、データは利用できない。
E、エンハンサー;S、サプレッサー(材料および方法を参照のこと)。
LOF、機能の欠損 GOF、機能の獲得。
実施例7.A-ベータ42過剰発現依存性寿命表現型を修飾する遺伝子を発見するためのHIGS
Aベータ42により誘導される寿命表現型を高めるか、または抑制する、新規遺伝学的相互作用を明らかにするために、我々のモデル系を用いた遺伝学的スクリーングを行った。そのスクリーニングは、ホモ接合型の変異体が発生致死(developmental lethal)である、P-因子挿入ストックの公的に利用可能なコレクションを利用する(Spradling, A.C., Stern, D., Beaton, A., Rhem, E.J., Laverty, T., Mozden, N., Misra, S., and Rubin, G.M. (1999). The Berkeley Drosophila genome project gene disruption project.Single P-element insertions mutating 25% of vital Drosophila genes. Genetics 153: 135-177)。これらのハエ株は、一般に、影響を受ける遺伝子の転写を妨害することにより、遺伝子機能の減少を生じる、挿入突然変異を有する。この型のスクリーニングは、遺伝子の2個のアレルのうち1個で、突然変異の存在から生じる不十分なタンパク質に依存しているので、ハプロ不全遺伝学的スクリーニング(HIGS)と呼ばれる。ほとんどの場合に、遺伝子機能の上方制御を生じるEP型突然変異とは対照に、P-因子突然変異は、主に、影響を受ける遺伝子の“機能の欠損”を生じる。A-ベータ42を発現しているトランスジェニック成虫ハエは、個々に、1,753個のP-因子ハエ株と交雑して、子孫を寿命の変化に関して記録した。一次スクリーニング後、152個のエンハンサーおよび185個のサプレッサーを取得した。
1個のP因子を、A-ベータ42発現を有する望む子孫およびP-因子挿入と関連した遺伝子のハプロ不全を作製するために、トランスジェニックA-ベータ42発現成虫ハエと交雑した(図1を参照のこと)。したがって、P-因子関連遺伝子が、A-ベータ42の毒性効果を修飾するとき、A-ベータ42により誘導される毒性効果を改善する遺伝子を発見することが期待される。
図1で示されるように、これらの交雑からの実験的な子孫は、第2染色体にA-ベータトランスジーンのコピーおよび姉妹染色体の1つにP因子のコピーを有する。いくつかのP-因子は、ゲノム上の複数の場所に挿入され、その結果、1個のP-因子に関連した2個以上の遺伝子があった。
これらの子孫を、第2染色体にA-ベータトランスジーンのコピーを有するが、姉妹染色体にはP因子を有しないコントロール子孫と比較する。寿命の長さを、実験およびコントロールクラスの子孫の間で比較する。P因子関連遺伝子のハプロ不全により引き起こされた、寿命の任意の抑制または増大は、それぞれ、サプレッサーまたはエンハンサーカテゴリーに分類する。
P-株がそれ自身で、付加的な寿命表現型(または、任意の他の種類の眼欠損)を生じないことを確認するために、103個のサプレッサーを、X染色体にElavGal4C155 挿入のみを有するハエと交雑した。この遺伝学的な背景調査と平行して、また、103個のサプレッサーおよび58個のエンハンサーの再スクリーニング交雑(re-screen crosses)を、一次スクリーニングの結果物を確認するために、トランスジェニックA-ベータ42発現成虫ハエを用いて行った。これら2セットの平行した実験は、サプレッサーに関して40個のP-因子、およびエンハンサーに関して21個のP-因子が、再現性のあることを確認した(表4を参照のこと)。表4で示された、61個のP-因子は、P-株で所有される突然変異により影響を受けた、同定した遺伝子の典型的な配列であった。これらの遺伝子およびそれらがコードするタンパク質/ポリペプチドの変異体を含むさらなる配列は、ここでは示していないが、また、本発明によって覆われるさらなる標的として含まれた。
表4 61個のモディファイヤーP-因子株に関するアノテーション
Figure 2008537543
Figure 2008537543
Figure 2008537543
Figure 2008537543
Figure 2008537543
Figure 2008537543
S=サプレッサー;E=エンハンサー(材料および方法を参照のこと)。
CG番号表示は、Flybase (http://flybase.bio.indiana.edu/)およびFlyDB3およびFlyDB4からである。
実施例8.61個のP-因子モディファイヤーのヒトホモログ
ショウジョウバエの系において、61個のA-ベータ42モディファイヤーに関する継続評価アッセイと平行して、バイオインフォマティクス解析を、これらのモディファイヤーP-挿入により影響されるハエ遺伝子のヒトホモログ/オーソログを同定するために使用した。24個のP-モディファイヤー(12392、12555、10941、11577、11585、12184、12372、11032、11036、11145、10493、10510、10511、10523、10533、10534、10538、10578、10869、10964、10968、10973、10985、および11005)に関する挿入サイトは利用できず、したがって、これらの株で影響を受けた遺伝子は、未知であり、未知のCGナンバーを伴った。
それぞれのP-挿入により引き起こされる突然変異の性質を解析するために、情報を公共のデータベースであるFlybase(http://flybase.net/)および特許データベースであるFlyDB3およびFlyDB4から、挿入により変異した遺伝子を発見する目的で、収集した。挿入からの相対的な距離および方向に基づいて、P-挿入により影響を受け得る遺伝子を同定し、ヒト遺伝子のBLAST解析のために使用した。したがって、BLASTサーチでは、クエリー配列は、Flybase、FlyDB3およびFlyDB4から取得したハエCG番号配列であり、発見した一致配列は、ハエクエリー配列に対して相同性を示すヒト配列である。さらに、1個のP-因子挿入は、2個の遺伝子発現の方向が、反対であろうが同じであろうが、2個の遺伝子が、挿入に対して近い、および/またはそれらが同じゲノム場所を共有している、2個の遺伝子を破壊できる。
44(44)個の遺伝子が、37個のP-因子付近にあることが分かり、その結果、それらは潜在的にP-因子により影響を受け得る。これら44個の遺伝子を、慣用的な方法に従い、BLAST解析にかけた。いくつかのショウジョウバエ遺伝子は、ハエとヒトの間の分岐系統において遺伝子重複があったので、ヒトオーソログを有しない。多くの神経遺伝子はヒトで重複しており、ショウジョウバエでは、遺伝子の1個のコピーのみがあった。そこで、これらの場合には、相当するヒトオーソログがなかった。ショウジョウバエタンパク質配列を、Refseq, CeleraおよびCompugen protein sequencesでマッピングするためのパラメーターは、下記のとおりであった。e-値カットオフは、1e-10であり、2個のゲノム間で、相互の最高の対合BLAST一致の強い制約を示していた。たいていの期待値は、このカットオフ値よりもずっと高い有意性に相当した。Refseq release April 2002およびCelera proteins R26jを、BLAST解析のためのデータベースとして使用した。相同な配列は、44個の遺伝子中、31個に関して発見した。
アノテーションは、Celeraデータベースで、44個のヒトオーソログのうち31個に関して発見した(表5を参照のこと)。31(31)個のヒトホモログは、次いで、ショウジョウバエタンパク質データベースに戻って、逆BLAST解析により解析した。この解析は、一致するものとして元のショウジョウバエ配列を提供し、このことは、それらがヒト配列に対するオーソログであることを示している。これは、本明細書で記載した方法の妥当性を支持する。
同定したサプレッサーは、アノテーションが、さまざまな分子または生理学的な機能に相当する遺伝子であり、これは、A-ベータ42により誘導される毒性を改善するいくつかの方法があることを示している。例えば、一部の遺伝子は、dpp-tkvシグナリング経路(dpp、tkv、およびskd)に該当し、一方で、他の遺伝子は、細胞周期の制御に関与しているように思われる。いくつかのサプレッサー遺伝子は、以前、アルツハイマー病または神経変性疾患、例えば、ハンチントン病(ポリグルタミンリピート病)に関与することを同定しており、一方で、他の遺伝子は新規であり、ショウジョウバエのADモデルで現れた神経変性において、以前に認識されていない役割を果たし得る。全長配列(配列表を参照のこと)は、利用可能なヒトオーソログの31個に関して利用できた(表6を参照のこと)。
表5 36個のモディファイヤーのヒトオーソログに関するアノテーション
Figure 2008537543
Figure 2008537543
Figure 2008537543
表6 31個のショウジョウバエモディファイヤーに対するヒトホモログ
Figure 2008537543
S=サプレッサー;E=エンハンサー(材料および方法を参照のこと)。
実施例9.ラパマイシンのショウジョウバエ標的(dTor)のハプロ不全解析
表4から、ラパマイシンのショウジョウバエ標的(本明細書では、TorまたはdTor)(P因子No. 11218, CG5092)を、Tor機能に影響する突然変異および化合物の利用のため、追跡するために選択した。次いで、寿命を、すべての神経細胞においてA-ベータ42を発現している実験ハエ、およびP-因子11218挿入の1個のコピーまたはP-因子11218に対立しているdTorΔPの1個の独立した変異コピーを有する実験ハエに関して記録した。A-ベータ42を発現している、Torに関してヘテロ接合体ハエの寿命および行動を、ドライバーのみ、およびdTorの1個の変異コピーを有するハエのそれらと比較した。寿命は、すべてのハエが死ぬまで記録した。クライミングアッセイは、移動運動活性の改善を評価するために、21日で行った。ハエ脳は、空胞変性を見るために、21日で解剖した。
図5から、A-ベータ42を発現しているハエおよびTor遺伝子コピーに1個の変異を有するハエ(Ab42+elavGal4+Tor)は、A-ベータ42のみを発現しているハエ(Ab42+elavGal4)と比較して、延長した寿命を示すことが示された。Tor突然変異のみを発現したコントロールハエ(elavGal4+Tor)またはドライバーのみを発現しているハエ(elavGal4)は、正常な長さの寿命を有した。
21日齢のハエの脳を解剖し、神経網に関してNCB C6-セラミド(緑色)、核に関してプロビジウムアイオダイド(PI)(赤色)で染色した。それぞれのジェノタイプの4個の脳を解析した。イメージを図6で示す。すべての神経でA-ベータ42を発現している脳は、矢印で示した空胞(または孔)を有する(A-ベータ42、上記、右パネル)。孔は、ドライバーのみのコントロールでは見られなかった(上記、左パネル)。A-ベータ42を発現していてTorの変異コピーを有するハエからの脳は、空胞を示さない(Aβ42+dTorΔP、下記、左パネル)。これらの結果は、A-ベータ42を発現しているハエへの、Torの変異コピーを導入することによって達成されるTor機能の減少した活性が、空胞表現型をレスキューすることを示している。A-ベータ42およびnep2を発現しているハエからの脳は、同様に、空胞を示さない(Aβ42+nep2、下記、右パネル)。
P-因子11218を用いてA-ベータ42を発現しているハエへのdTor遺伝子の1個の変異コピーの導入、および独立したアレルdTorΔPの導入による部分的なTor機能の阻害は、A-ベータ42仲介毒性を改善する。この操作は、部分的には、A-ベータ42誘導短寿命、脳における空胞および移動運動欠損をレスキューする(データは示していない)。
実施例10.ラパマイシンの標的インヒビターを用いた、A-ベータ42を発現しているハエの処置
ハプロ不全(−/+)によるTor機能の遺伝学的減少は、寿命、運動およびCNSの空胞変性表現型の部分的なレスキューを示す。特許されているmTorの阻害剤(ほ乳類Tor)、すなわち、Novartis化合物RAD001は、ショウジョウバエにおいて、内在性Tor機能を阻害する能力に関して評価された。RAD001の構造は、
Figure 2008537543
である。
成功すれば、この処置は、遺伝学的な修飾を介して発見されたA-ベータ42により誘導される毒性に関して、同じ有益な効果を提供するであろう。A-ベータ42を発現しているハエに、3日毎に、RAD001を10uM、20uM、30uMおよび60uM(ここでuM = 10-6 M)の濃度で与えた。寿命は、すべてのRAD001を与えたハエが死ぬまで記録した。クライミングアッセイ(climbing assay)は、21日にRAD001を与えたハエで行い、偽薬を与えたハエと比較した。
我々は、A-ベータ42を発現しているトランスジェニックハエのRAD001処置が、試験した最も低い濃度のRAD001でさえ、寿命の部分的なレスキューを生じることを発見した(図7を参照のこと)。運動欠損もまた、偽薬を与えたハエと比較して、部分的になくなった(データは示していない)。これらのデータは、RAD001によるTorの阻害が、トランスジェニックハエにおけるA-ベータ42の毒性効果を改善することを示している。これらの結果は、ハプロ不全により誘導されたTor機能の部分的欠失のために、実施例BCの結果を補う。
正常なTor機能は、栄養検知(nutrition sensing)に関与しており(Tor経路)、インシュリンシグナル経路と関連しているので、Tor経路の他のキー遺伝子の変異アレル、上流または下流のエフェクター、例えば、TSC1/2、S6KおよびeIF-4B、ならびにインシュリンシグナル経路のInR、GSKおよびPTENのようなアレルを、A-ベータ42により誘導される寿命表現型のhaplo-insufficient (+/−)修飾に関して試験するために調べた。穏やかなサプレッサーとして作用するTSC2は例外であるが、他のTor経路関連遺伝子およびインシュリンシグナル経路関連遺伝子のどれも、この実験系で寿命表現型を修飾しなかった。
実施例12.RAD001で処理したトランスジェニックハエから抽出する、A-ベータ42の量の解析
A-ベータ42を発現している老成させたハエの頭からのA-ベータ42の量を、Tor機能の不活性化または減少した活性が、A-ベータ42の量に影響を与えており、その結果、A-ベータ42により誘導される毒性の改善と関連しているか否かを見るために測定した。A-ベータ42を発現していて、10 uM、20 uM、30 uM、または60 uMのRAD001を3日毎に与えているか、またはRAD001を与えていない13日のハエ、およびコントロールトランスジェニックハエからの20個の頭を、全体のA-ベータ42を抽出できるようにELISA緩衝剤に入れ(150 mM NaCl、0.5% IGEPAL(登録商標)CA-630、0.05% デオキシコール酸ナトリウム、および50 mM Tris, pH 8.0)、A-ベータ42の量は、サンドイッチELISAにより測定した。
図8は、RAD001を与えたハエが、溶解性A-ベータ42の量の減少を示すことを表している(42%まで)。図は、全タンパク質に対するA-ベータ42のノーマライゼーション後の、それぞれの実験で見られたA-ベータ42の量を提供している。偽薬を与えたA-ベータ42を発現しているハエは、RAD001を与えたハエより、より高量のA-ベータ42を示している。60 uM RAD001で投与したハエは、全A-ベータ42の顕著な減少をしめす。A-ベータ40を発現していて、かつ偽薬を与えたネガティブコントロールハエは、GFPを発現し、かつ偽薬を与えたネガティブコントロールのトランスジェニックハエと同一の、最小のアッセイレベルを示している。これらのデータは、RAD001処置が、内在性dTor活性を阻害し、A-ベータ42を激減するように作用し、結果として、ハエの頭から全A-ベータ42を減らすことを示している。同様の結果は、1日毎および2日毎にRAD001を与えたハエから観察された。
理論に縛られることを望まないが、Torシグナル経路を介したA-ベータ42除去に関する、考えられるメカニズムは、Torがリン酸化を介して、オートファジー1(ATG1)タンパク質を負に制御するので、オートファジーを介していると思われる。このメカニズムは最近、ポリグルタミンリピート神経毒性のTor仲介抑制で作用していることが示された(Ravikumar et al, Nat Genet, Vol. 36, No.6, 585-595 (2004)を参照のこと)。
タンパク質配列表
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A-ベータ誘導寿命表現型のモディファイヤーを発見するために、P因子に基づく遺伝的スクリーニングに関して使用する、典型的な親交雑。FM7、CyO、MKRSおよびTM6は、それぞれ、X染色体、第2染色体および第3染色体のために通常使用されるバランサーである。 A-ベータ42、A-ベータ40またはC99を発現しているハエの寿命。Y軸は、それぞれの時間点でまだ生きていたハエの割合を表している。X軸は、ハエを記録した日を表している。 グリア細胞で、A-ベータ42、A-ベータ40またはC99を発現したハエの寿命。 A-ベータ42およびnep2を共発現したハエの寿命。 Tor機能に関してハプロ不全である、A-ベータ42を発現しているハエの寿命。 Tor機能に関してハプロ不全である、A-ベータ42を発現しているハエの顕微鏡写真イメージ。上のイメージは、実験結果の原色顕微鏡写真である。下のイメージは、原色からのコンピューター作製グレースケールイメージである。 TorインヒビターRAD001をさまざまな濃度で与えた、A-ベータ42を発現したハエの寿命。 それぞれの脳抽出物の全タンパク質の量で標準化した、全A-ベータ42の量に対するTorインヒビターRAD001の効果。

Claims (44)

  1. 神経変性状態を処置、予防または改善するための方法であって、それを必要とする対象に、配列番号1-31で開示したタンパク質からなる群から選択したタンパク質のモジュレーターの有効量を投与することを含む、方法。
  2. 該状態が、アルツハイマー病である、請求項1に記載の方法。
  3. 該モジュレーターが、該対象における該タンパク質の生物学的活性を阻害する、請求項1に記載の方法。
  4. 該モジュレーターが、該タンパク質に結合する1個もしくはそれ以上の抗体またはその断片を含み、ここで、該1個もしくはそれ以上の抗体またはその断片が、該対象における該タンパク質の生物学的活性を阻害する、請求項3に記載の方法。
  5. 該モジュレーターが、該対象における該タンパク質の生物学的活性を高める、請求項1に記載の方法。
  6. 該モジュレーターが、該対象における該タンパク質をコードする遺伝子の発現を阻害する、請求項1に記載の方法。
  7. 該モジュレーターが、アンチセンスオリゴヌクレオチド、三重螺旋DNA、リボザイム、RNAアプタマー、siRNA、二本鎖RNA、および一本鎖RNAからなる群から選択される、1個またはそれ以上の物質を含む、請求項6に記載の方法。
  8. 該モジュレーターが、該対象における該タンパク質をコードする遺伝子の発現を高める、請求項1に記載の方法。
  9. 神経変性状態を処置、予防または改善するための方法であって、それを必要とする対象に、配列番号1-31で開示したタンパク質からなる群から選択したタンパク質のモジュレーターの有効量を含む医薬組成物を投与することを含む、方法。
  10. 該状態が、アルツハイマー病である、請求項9に記載の方法。
  11. 該モジュレーターが、該対象における該タンパク質の生物学的活性を阻害する、請求項9に記載の方法。
  12. 該モジュレーターが、該タンパク質に結合する1個もしくはそれ以上の抗体、またはその断片を含み、ここで、該1個もしくはそれ以上の抗体またはその断片が、該対象における該タンパク質の生物学的活性を阻害する、請求項11に記載の方法。
  13. 該モジュレーターが、該対象における該タンパク質の生物学的活性を高める、請求項9に記載の方法。
  14. 該モジュレーターが、該対象における該タンパク質をコードする遺伝子の発現を阻害する、請求項9に記載の方法。
  15. 該モジュレーターが、アンチセンスオリゴヌクレオチド、三重螺旋DNA、リボザイム、RNAアプタマー、siRNA、二本鎖RNA、および一本鎖RNAからなる群から選択される、1個またはそれ以上の物質を含む、請求項14に記載の方法。
  16. 該モジュレーターが、該対象における該タンパク質をコードする遺伝子の発現を高める、請求項9に記載の方法。
  17. 神経変性状態を処置、予防または改善するのに有用なモジュレーターを同定するための方法であって、配列番号1-31で開示したタンパク質からなる群から選択したタンパク質の生物学的活性を調節する、候補モジュレーターの能力をアッセイすることを含む、方法。
  18. 該方法がさらに、該状態のインビトロまたはインビボモデルで観察される病理学的影響を回復に向かわせる、同定したモジュレーターの能力をアッセイすることを含む、請求項17に記載の方法。
  19. 該方法がさらに、該状態を有する該対象での臨床試験で観察される病理学的影響を回復に向かわせる、同定したモジュレーターの能力をアッセイすることを含む、請求項17に記載の方法。
  20. 該状態が、アルツハイマー病である、請求項17に記載の方法。
  21. 神経変性状態を処置、予防または改善するのに有用なモジュレーターを同定するための方法であって、配列番号1-31で開示したタンパク質からなる群から選択したタンパク質の遺伝子発現を調節する、候補モジュレーターの能力をアッセイすることを含む、方法。
  22. 該方法がさらに、該状態のインビトロモデルまたはインビボモデルで観察される状態に特徴的な病理学的影響を回復に向かわせる、候補モジュレーターの能力をアッセイすることを含む、請求項21に記載の方法。
  23. 該方法がさらに、該状態を有する対象での臨床試験で観察される病理学的影響を回復に向かわせる、同定した阻害モジュレーターの能力をアッセイすることを含む、請求項21に記載の方法。
  24. 該状態が、アルツハイマー病である、請求項21に記載の方法。
  25. それを必要とする対象に、神経変性状態を処置、予防または改善するのに有効な量で、配列番号1-31で開示したタンパク質からなる群から選択したタンパク質のモジュレーターを含む、医薬組成物。
  26. 該状態が、アルツハイマー病である、請求項25に記載の医薬組成物。
  27. 該モジュレーターが、該タンパク質の生物学的活性を阻害する、請求項25に記載の医薬組成物。
  28. 該モジュレーターが、該タンパク質に結合する1個もしくはそれ以上の抗体またはその断片を含む、請求項25に記載の医薬組成物。
  29. 該モジュレーターが、該タンパク質の生物学的活性を高める、請求項25に記載の医薬組成物。
  30. 該モジュレーターが、該タンパク質の遺伝子発現を阻害する、請求項25に記載の医薬組成物。
  31. 該モジュレーターが、アンチセンスオリゴヌクレオチド、三重螺旋DNA、リボザイム、RNAアプタマー、siRNA、二本鎖RNA、および一本鎖RNAからなる群から選択される、1個またはそれ以上の物質を含む、請求項30に記載の医薬組成物。
  32. 該モジュレーターが、該タンパク質の遺伝子発現を高める、請求項25に記載の医薬組成物。
  33. 配列番号1-31で開示したタンパク質からなる群から選択したタンパク質のモジュレーターを用いた処置のための適当な候補であり得る、神経変性状態を患っている対象を診断する方法であって、該対象からの生物学的試料中における、その翻訳が任意の1個またはそれ以上の該タンパク質を提供するmRNAレベルをアッセイすることを含み、ここで、コントロールと比較して変えられたmRNAレベルを有する対象が、モジュレーター処置のための適当な候補である、方法。
  34. 配列番号1-31で開示したタンパク質からなる群から選択したタンパク質のモジュレーターを用いた処置のための適当な候補であり得る、神経変性状態を患っている対象を診断する方法であって、該対象からの生物学的試料中における任意の1個またはそれ以上の該タンパク質のレベルを検出することを含み、ここで、コントロールと比較して変えられたレベルを有する対象が、モジュレーター処置のための適当な候補である、方法。
  35. 神経変性状態を処置、予防または改善する方法であって、
    (a)対象からの生物学的試料中の、配列番号1-31で開示したタンパク質からなる群から選択したタンパク質をコードしているmRNAのレベルをアッセイし;そして、
    (b)コントロールと比較して、該mRNAの変えられたレベルを有する対象に、該タンパク質のモジュレーターを、該状態の病理学的影響を処置、予防または改善するのに十分な量で投与すること、
    を含む、方法。
  36. 該状態が、アルツハイマー病である、請求項35に記載の方法。
  37. 該モジュレーターが、該タンパク質の遺伝子発現を高める、請求項35に記載の方法。
  38. 該モジュレーターが、該タンパク質の遺伝子発現を阻害する、請求項35に記載の方法。
  39. 神経変性状態を処置、予防または改善する方法であって、
    (a)対象からの生物学的試料中の、配列番号1-31で開示したタンパク質からなる群から選択したタンパク質のレベルをアッセイし;そして、
    (b)コントロールと比較して、該タンパク質の変えられたレベルを有する対象に、該タンパク質のモジュレーターを、該状態の病理学的影響を処置、予防または改善するのに十分な量で投与すること、
    を含む、方法。
  40. 該状態が、アルツハイマー病である、請求項39に記載の方法。
  41. 該モジュレーターが、該タンパク質の生物学的活性を高める、請求項39に記載の方法。
  42. 該モジュレーターが、該タンパク質の生物学的活性を阻害する、請求項39に記載の方法。
  43. 生物学的試料中の、配列番号1-31で開示したタンパク質からなる群から選択したタンパク質のmRNAレベルを検出するための診断キットであって、該キットは、
    (a)配列番号1-31で説明したポリペプチドまたはその断片をコードしているポリヌクレオチド;
    (b)(a)のポリヌクレオチドに相補的なヌクレオチド配列;
    (c)(a)のポリヌクレオチドによってコードされた本発明の配列番号1-31のポリペプチド;
    (d)(c)のポリペプチドに対する抗体;
    (e)(a)のポリヌクレオチドに相補的なRNAi配列
    を含み、ここで、構成要素(a)、(b)、(c)、(d)または(e)が、実質的な構成要素を含み得る、診断キット。
  44. 生物学的試料中の、配列番号1-31で開示したタンパク質からなる群から選択したタンパク質のレベルを検出するための診断キットであって、該キットは、
    (a)配列番号1-31で説明したポリペプチドまたはその断片をコードしているポリヌクレオチド;
    (b)(a)のポリヌクレオチドに相補的なヌクレオチド配列;
    (c)(a)のポリヌクレオチドによってコードされた本発明の配列番号1-31のポリペプチド;
    (d)(c)のポリペプチドに対する抗体;
    (e)(a)のポリヌクレオチドに相補的なRNAi配列
    を含み、ここで、構成要素(a)、(b)、(c)、(d)または(e)が、実質的な構成要素を含み得る、診断キット。
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