JP2008526893A - 肺における吸入可能なインスリンの自然増加を最少化するための方法及び組成物 - Google Patents

肺における吸入可能なインスリンの自然増加を最少化するための方法及び組成物 Download PDF

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Abstract

患者の肺から急速に除去される、吸入可能なインスリン組成物が提供される。加えて、吸入されたインスリン組成物の投与後のインスリン自然増加を最少にする方法が開示されている。
【選択図】 図5

Description

発明の詳細な説明
関連出願
本出願は、35U.S.C.119(e)に基づいて、2004年1月10日に提出された米国仮出願番号60/643,054の優先権を主張する。
技術分野
本出願は、インスリンのような吸入可能なタンパク質薬剤を、それを必要としている患者に送達するための方法及び組成物に関する。より具体的には、本発明は、患者の肺への吸入可能なインスリン組成物の送達のための方法及び組成物を提供する。
背景技術
正常な人において、ランゲルハンスの膵島のβ細胞は、血中グルコース濃度の増加に応答して、グルコース代謝のために体により必要とされるインスリンを産生する。インスリンは入ってくるグルコースを代謝し、そしてグリコーゲン及び脂質のグルコースへの肝臓の変換を一時的に停止させ、それにより体が食事間の代謝活性を支えることを可能にする。しかしながら、I型糖尿病はβ細胞破壊により、インスリンを産生する減少した能力又は絶対的無能力しか有しておらず、毎日の注射又はインスリンポンプを介してインスリンを置き換える必要がある。けれども、I型糖尿病よりも一般的であるのはII型糖尿病であり、インスリン耐性及びますます障害された膵臓β細胞機能により特徴付けられる。II型糖尿病患者はまだインスリンを産生することができるが、インスリン置き換え療法も必要としてもよい。
II型糖尿病患者は典型的には、血中グルコースレベルの増加に対する遅延した応答を示す。正常な人は通常、食物の消費に続いて2〜3分以内にインスリンを放出する。II型糖尿病患者は消費後数時間の間、内因性インスリンを分泌することができない。その結果、消費後にも内因性グルコース産生が続き(Pfeiffer, Am. J. Med., 70:579-88 (1981))、そして患者は上昇した血中グルコースレベルにより高血糖を経験する。
グルコース誘発インスリン分泌の喪失は、β細胞機能の最も早い障害の一つであるが(Cerasi et al., Diabetes, 21:224-34 (1972); Polonsky et al., N. Engl. J. Med., 318:1231-39 (1988)) 、β細胞不全の理由及び程度はほとんどの場合で知られていない。遺伝的因子が重要な役割を果たしているが(Leahy, Curr. Opin. Endocrinol. Diabetes, 2:300-06 (1995))、いくつかのインスリン分泌障害は獲得されているようであり、至適グルコース制御を介して少なくとも部分的に可逆的であることができる。食事後のインスリン療法を介した至適グルコース制御は、投与されたインスリンに対する正常組織応答性及び血清インスリン濃度における急激な増加の両方を必要としている天然のグルコース誘発インスリン放出に著しい改善を導くことが可能である。それ故、β細胞機能の過度の喪失を有しない初期II型糖尿病患者において示された挑戦は、食事後のインスリンの放出を回復することである。
ほとんどの初期II型糖尿病患者は経口剤で治療されているが、ほとんど成功していない。インスリンの皮下注射もII型糖尿病患者にインスリンを提供することにほとんど有効ではなく、遅延された、不定の及び浅い作用の開始のため、インスリン作用を実際にはより悪くしている。しかしながら、もし食事しながらインスリンを静脈内に投与すると、初期II型糖尿病患者は肝臓グルコース生成の停止を経験し、生理学的グルコース制御の増加を示した。加えて、インスリン療法無しよりも速い速度で脂肪酸レベルが低下した。II型糖尿病を治療することにおいて有効である可能性があるが、食事毎にインスリンを静脈内に投与することは患者にとって安全及び実行可能ではないので、インスリンの静脈内注射は合理的な解決法ではない。
6,000ダルトンの名目上の分子量を有するポリペプチドであるインスリンは、天然の産物を単離するため、ブタ及びウシ膵臓を処理することにより伝統的に製造されてきた。しかしながら、最近になって、組換え技術がインビトロでヒトインスリンを製造するために使用されている。水性溶液中の天然の及び組換えヒトインスリンは六量体コンフィグレーションであり、即ち、亜鉛イオン存在下で水に溶解されている場合、組換えインスリンの六つの分子が、六量体複合体中に非共有結合で会合している。しかしながら、六量体インスリンは迅速には吸収されない。組換えヒトインスリンが患者の循環系内に吸収されるようにするため、前記物質が血流内に移送できる前に、六量体形態は最初に二量体及び/又は単量体形態に解離しなければならない。吸収の遅延は、治療的インスリン血中レベルを生み出すために、食事時間より1.5時間前に組換えヒトインスリンが投与されることを必要とし、それは食事を摂るであろう時間を正確に予期することが必要とされる患者には負担となり得る。この遅延を克服するため、HUMALOG(登録商標)(HUMALOGはEli Lilly and Company の登録商標である)のような組換えヒトインスリンの類似体が開発され、それは皮下注射に続いて急速に実質的に完全に単量体形態に解離する。臨床研究は、皮下注射後、HUMALOG(登録商標)が組換えヒトインスリンより速く定量的に吸収されることを示した。例えば、Anderson Jr., et al.による米国特許第5,547,929号を参照されたい。
注射による送達に付随する欠点を避ける、及び吸収を加速する努力において、肺経路を介した単量体類似体の投与が開発された。例えば、Gonda et.al.による米国特許第5,888,477号は、患者の肺組織上にインスリンの粒子を沈着させるため、単量体インスリンのエアロゾル製剤を患者が吸収することを開示している。しかしながら、単量体製剤は不安定であり、急速に活性を喪失し、一方、取り込みの速度は不変のままである。
天然起源から誘導された、急速に吸収可能なインスリンを作製することが望ましいであろうが、複合体から亜鉛を除去することによるような、単量体への六量体の転換は、不安定であり、及び望ましくないほど短い有効期間を有するインスリンを生成する。それ故、亜鉛不存在下でその安定性を維持する、インスリンの単量体形態を提供することが望まれている。肺投与に適しており、急速な吸収を提供し、及び商業的に有用な有効期間を有するすぐに使える製剤で製造することが可能であり、生理学的インスリンレベルを提供し、及び患者の肺に蓄積しない単量体組成物を糖尿病患者に提供することも有利であろう。
不純物、安定性又は生物学的利用能に影響する金属イオンの問題が多くの他のタンパク質及びペプチドで生じる。
Steiner, et.al.による米国特許第6,071,497号は、6.4以下のpHで安定及び6.4を超えたpHで不安定であり、又は酸性及び塩基性pHの両方で安定であるが約6.4〜約8の間のpHで不安定である、ジケトピペラジン微粒子に薬剤が会合されている微粒子薬剤送達システムを開示している。前記特許は、肺投与に適しており、急速な吸収を提供し、及び商業的に有用な有効期間を有するすぐに使える製剤で製造することが可能である、単量体インスリン組成物は記載していない。
肺薬剤送達の開発に関連した一つの恐れは、肺機能が不利に影響されるであろうことである。肺を通り抜ける急速な通過が、こうした結果の可能性を最少にする一つの方法と見られている。それ故、吸入薬剤送達のゴールの一つは、肺組織から血流内への薬剤の急速な吸収である。吸入された時、薬剤の吸入製剤は一般的に肺胞領域の上皮細胞を介して血液循環内へ吸収される。しかしながら、これらの薬剤は血液循環内に急速に吸収されなければならず、肺肺胞組織と接触して残されてはならない。
それ故、より急速なインスリン血中レベルの上昇を提供し、患者の服薬率を確実にするために容易に投与され、及び患者の肺組織に蓄積しない、II型糖尿病患者のための代替インスリン送達組成物を開発することが有利であろう。
発明の要旨
吸入インスリン組成物の投与後、患者の肺における吸入されたインスリンの自然増加を最少にするための方法及び組成物が提供される。
本発明の一つの態様において、患者の肺におけるインスリン自然増加を最少にするための方法が提供され、その方法は、吸入可能なインスリン組成物を必要とする患者にそれを提供すること;患者の肺に吸入可能なインスリン組成物を投与すること;を含んでなり、そして、ここで、投与工程は吸入を介して実施され;及び吸入されたインスリンは患者の肺からおよそ6時間未満で、もしくはおよそ3時間未満で除去される。
本発明の方法の別の態様において、吸入可能なインスリン組成物は乾燥粉末である。本発明の方法のさらに別の態様において、提供する工程は、フマリルジケトピペラジンのようなジケトピペラジンと複合体形成したインスリンを提供することを含んでいる。
本発明の方法のさらに別の態様において、患者の肺機能は吸入可能なインスリン組成物の長期使用でも抑制されず、患者の肺機能は吸入可能なインスリン組成物を受けていない同一の患者と比較して障害されていない。
本発明の一つの態様において、吸入可能なインスリン組成物はインスリン/ジケトピペラジン複合体を含んでなるように提供され、インスリンは患者の肺からおよそ6時間未満、もしくはおよそ3時間未満で除去される。別の態様において、吸入可能なインスリン組成物は乾燥粉末である。さらに別の態様において、提供する工程は、フマリルジケトピペラジンのようなジケトピペラジンと複合体されたインスリンを提供することを含む。
本発明の別の態様において、吸入可能なインスリン組成物は単量体の又は二量体のインスリンを含んでなる。
本発明の組成物のさらに別の態様において、患者の肺機能は吸入可能なインスリン組成物の長期使用でも抑制されず、患者の肺機能は吸入可能なインスリン組成物を受けていない同一の患者と比較して障害されていない。
本発明の別の態様において、糖尿病を治療する方法が提供され、前記方法は吸入可能なインスリン組成物を、それを必要とする患者に提供することを含んでなり、吸入可能なインスリン組成物の長期使用は肺機能を障害させない。
本発明の別の態様において、インスリン/ジケトピペラジン複合体を含んでなる糖尿病を治療するために有用な吸入可能なインスリン組成物が提供され、吸入可能なインスリン組成物は肺機能を障害させない。
発明の詳細な説明
本発明は、インスリン組成物の肺投与後、患者の肺におけるインスリンの自然増加(accrual)を最少にする方法である。
本明細書で使用される用語「複合体化」及び「複合体形成された」とは、ただの捕捉又は封入が必然的に必要とするよりも密接な結合、例えば、電荷又は疎水性に基づいた結合を指す。
本明細書で使用される用語「Technosphere(登録商標)/インスリン」とは、インスリンと複合体形成したフマリルジケトピペラジンを指す。Technosphere(登録商標)は、特定のpHで、典型的には低いpHで規則正しい格子配列に自己構築したジケトピペラジンで形成された微粒子(本明細書においてミクロスフェアとも称される)である。それらは典型的には、約1〜約5μmの間の平均直径を有するように生成される。
本明細書で使用される用語「長期使用」とは、少なくとも3ヶ月のインスリンの標準投与を指す。
皮下及び静脈内インスリン投薬量は、標準生物学的測定により定義されるIUで表現される。フマリルジケトピペラジンと配合されたインスリンの量も、血中インスリンの測定であるIUで報告される。Technosphere(登録商標)/インスリン投薬量は、製剤中に配合されたインスリンの量と数値的に等しい任意単位(U)で表現される。
本明細書で使用される用語「活性剤」及び「薬剤」とは、ポリマー又は大きな有機分子、最も好ましくはペプチド及びタンパク質を指す。非制限例には、治療的、予防的又は診断的活性を有する合成無機及び有機化合物、タンパク質及びペプチド、多糖類及び他の糖、脂質、及び核酸配列が含まれる。タンパク質は100アミノ酸残基又はそれ以上から成っていると定義され;ペプチドは100未満のアミノ酸残基である。特に指摘しない限り、用語タンパク質は、タンパク質及びペプチドの両方を指す。活性剤は、限定されるわけではないが、血管作動剤、向神経活性剤、ホルモン、抗凝固剤、免疫変調剤、細胞傷害性薬物、抗生物質、抗ウイルス剤、アンチセンス剤、抗原及び抗体を含む多様な生物学的活性を有することが可能である。いくつかの例において、タンパク質は抗体又は抗原であることができ、それらは本来なら適切な応答を惹起するためには注射により投与されなければならないであろう。代表的なポリマーには、限定されるわけではないが、タンパク質、ペプチド、多糖類、核酸分子及びそれらの組み合わせが含まれる。
六量体インスリンはフマリルジケトピペラジン製剤で肺に送達可能であり、3〜10分以内にピーク血中濃度に達することを発見した。対照的に、フマリルジケトピペラジンなしで肺経路により投与されたインスリンは、ピーク血中濃度に達するためには典型的には25〜60分かかり、一方、六量体インスリンが皮下注射により投与された場合、ピーク血中濃度に達するためには30〜90分かかる。この知見は、何度でも及びヒトを含むいくつかの種で首尾よく反復された。
インスリンからの亜鉛の除去は、典型的には、望ましくない短い貯蔵寿命を有する不安的単量体インスリンを生成する。フマリルジケトピペラジンと複合体形成したインスリンの製剤は、安定であり、そして許容可能な貯蔵寿命を有することが観察された。亜鉛レベルの測定は、複合体形成プロセスの間に亜鉛が大部分除去され、安定な送達製剤中に単量体インスリンが生成していることを示した。
FDKPの複合体化は、サケカルシトニン、副甲状腺ホルモン、1−34、オクトレオチド、リュープロリド及びRSVペプチドを含む多くの他のペプチドの肺吸収を増加させ、肺送達後3〜10分以内のピーク血中濃度を提供することが可能である。
広範囲の活性剤を肺送達のために複合体化することが可能である。その剤は、荷電した種であってもよくまた、荷電していない種であってもよい。本明細書に記載した組成物及び方法での使用に適した活性剤のクラスの例には、療法的、予防的及び診断的剤、ならびにビタミンのような栄養補助食品が含まれる。
利用することが可能である他の核酸配列には、限定されるわけではないが、転写を抑制するために相補的DNAに結合するアンチセンス分子、リボザイム分子、及びRNAase Pによる標的切断に使用される外部ガイド配列が含まれる。
本明細書において使用されるベクターは、標的化細胞内に遺伝子を輸送する剤であり、それが送達された細胞内での遺伝子の発現を生じるプロモーターを含む。プロモーターは、多様な哺乳動物細胞中での発現を生じる一般プロモーター、細胞特異的、又はさらには核対細胞質特異的であることが可能である。これらは当業者には既知であり、標準分子生物学プロトコールを使用して構築することが可能である。脂質、リポソーム、脂質コンジュゲート形成分子、界面活性剤及び他の膜透過性増強剤のように浸透が増大したベクターは商業的に入手可能であり、核酸と共に送達することが可能である。
本組成物及び方法において活性剤との複合体化に有用なジケトピペラジンは、例えば、その全体が本明細書において援用される米国特許第6,071,497号に記載されている。
本ジケトピペラジン又はそれらの置換類似体は、ヘテロ原子を含む少なくとも六つの環原子及び非結合電子対を有する強固な平面環である。窒素の一つ又は両方を酸素で置き換えることが可能であり、各々、置換類似体ジケトモルホリン及びジケトジオキサンが作られる。窒素を硫黄原子で置き換えることも可能であるが、これは安定な構造を生成しない。
ジケトピペラジン及びその類似体の一般式は以下に示されている。
Figure 2008526893
式中、nは0から7の間であり、Qは、独立して、C1〜20直鎖、分枝鎖又は環状アルキル、アラルキル、アルカリール、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロ環、アルキル−ヘテロ環又はヘテロ環−アルキルであり;TはC(O)O、−OC(O)、−C(O)NH、−NH、−NQ、−OQO、−O、−NHC(O)、−OP(O)、−P(O)O、−OP(O)、−P(O)O、−OS(O)又は−S(O)であり;Uは、カルボン酸、リン酸、ホスホン酸及びスルホン酸のような酸基、又は第一、第二及び第三アミン、四級アンモニウム塩、グアニジン、アニリンのような塩基性基、ピリジン及びモルホリンのようなヘテロ環誘導体、又は少なくとも一つの酸性基及び少なくとも一つの塩基性基(例えば、前に記載した基)を含有する双性イオンC1〜20鎖であり、式中、側鎖はいずれかの位置でアルケン又はアルキン基でさらに官能化することができ、側鎖上の一つまたはそれより多くの炭素を酸素で置き換えることができて、例えば、短いポリエチレングリコール鎖を提供し、一つまたはそれより多くの炭素を前に記載した酸性又は塩基性基で官能化することができ、及び式中、1及び4位の環原子XはOか又はNである。
本明細書で使用される「側鎖」はQ−T−Q−U又はQ−Uと定義され、式中、Q、T及びUは前に定義した通りである。
酸性側鎖の例には、限定されるわけではないが、シス及びトランス−CH=CH−COH、−C(CH)=C(CH)−COH、−(CH−COH、−CHCH(CH)−COH、−CH(CHCO)−CH、−(テトラフルオロ)安息香酸、−安息香酸及び−CH(NHC(O)CF)−CH−COHが含まれる。
塩基性側鎖の例には、限定されるわけではないが、−アニリン、−フェニル−C(NH)NH、−フェニル−C(NH)NH(アルキル)、−フェニル−C(NH)N(アルキル)及び−(CHNHC(O)CH(NH)CH(NH)COHが含まれる。
双性イオン側鎖の例には、限定されるわけではないが、−CH(NH)−CH−COH及び−NH(CH1〜20COHが含まれる。
用語アラルキルは、アルキル置換基を有するアリール基を指す。
用語ヘテロ環−アルキルは、アルキル置換基を有するヘテロ環基を指す。
用語アルカリールは、アリール置換基を有するアルキル基を指す。
用語アルキル−ヘテロ環は、ヘテロ環置換基を有するアルキル基を指す。
用語アルケンは、本明細書で記述される場合、特に他の規定がなければ、C〜C10のアルケン基を指し、そして具体的にはビニル及びアリルを含む。
用語アルキンは、本明細書で記述される場合、特に他の規定がなければ、C〜C10のアルキン基を指す。
本明細書で使用される「ジケトピペラジン」は、ジケトピペラジン及び誘導体、及び上記一般式の範囲内に含まれるそれらの修飾体を含む。
フマリルジケトピペラジンが、肺適用のために最も好ましい。
ジケトピペラジンは、Katchalski, et.al. (J. Amer. Chem. Soc. 68:879-80 (1946))に記載されているように、アミノ酸エステル誘導体の環化二量化により、ジペプチドエステル誘導体の環化により、又は、Kopple, et.al. (J. Org. Chem. 33(2):862-64 (1968))に記載されているように、高沸点溶媒中のアミノ酸誘導体の熱脱水により形成することが可能である(前記文献の教示は本明細書において援用される)。2,5−ジケト−3,6−ジ(アミノブチル)ピペラジン(Katchalski et.al. はこれをリシン無水物と称している)は、J. Org. Chem.のKopple法に類似した溶融フェノール中のN−イプシロン−P−L−リシンの環化二量化、続いての酢酸中、4.3M HBrによる封鎖(P)−基の除去を介して製造した。この経路は、商業的に入手可能な出発物質を使用し、生成物に出発物質の立体化学を保存することが報告されている反応条件を含み、及びすべての工程が製造のために容易にスケールアップが可能であるので好ましい。
ジケトモルホリン及びジケトオキセタン誘導体は、Katchalski et.al.により開示されている様式と同様の様式での段階的な環化により製造することが可能である。
ジケトピペラジンは放射標識することが可能である。放射標識を結合させる手段は当業者には既知である。放射標識ジケトピペラジンは、例えば、二重又は三重結合を含有する前記の化合物とトリチウムガスを反応させることにより製造することが可能である。炭素−14放射標識炭素を、容易に入手可能な14C標識前駆体を使用することにより側鎖内に取り込ませることが可能である。これらの放射標識ジケトピペラジンは、得られた微粒子を対象に投与後、インビボで検出することができる。
両方の側鎖が同一である場合、ジケトピペラジン誘導体は対称的である。側鎖は、酸性基、塩基性基又はそれらの組み合わせを含有することが可能である。
対称ジケトピペラジン誘導体の一つの例は、2,5−ジケト−3,6−ジ(4−スクシニルアミノブチル)ピペラジンである。2,5−ジケト−3,6−ジ(アミノブチル)ピペラジンを穏和なアルカリ水性溶液中、無水コハク酸で徹底的にスクシニル化すると、弱いアルカリ性水性溶液には容易に溶解可能であるが、酸性水性溶液には全く不溶性である生成物を得る。弱いアルカリ性媒質でのその化合物の濃縮溶液を適切な条件下で急速に酸性化する時、物質が微粒子として溶液から分離する。
他のジケトピペラジン誘導体を、上記化合物中のスクシニル基(単数又は複数)をグルタリル、マレイル又はフマリル基で置き換えることにより得ることが可能である。
非対称ジケトピペラジン誘導体を製造するための一つの方法は、側鎖の官能基を保護し、側鎖の一つを選択的に脱保護し、脱保護された官能基を反応させて第一の側鎖を形成させ、第二の官能基を脱保護し、脱保護された官能基を反応させて第二の側鎖を形成させることである。
シクロ−Lys(P)Lys(P)(式中、Pはベンジルオキシカルボニル基又は当業者には既知の他の保護基)のような保護酸性側鎖を有するジケトピペラジン誘導体は、選択的に脱保護することが可能である。保護基は、ベンジルオキシカルボニル基の場合のHBr、又はシリコン保護基の場合のフッ素イオンのような制限試薬を使用することにより、及び制御時間間隔を使用することにより、選択的に切断することが可能である。このように、未保護、一保護及び二保護ジケトピペラジン誘導体を含む反応混合物を得ることができる。これらの化合物は多様な溶媒及びpH範囲に異なった溶解度を有しており、選択的沈殿及び除去により分離することが可能である。適した溶媒、例えば、エーテルをこうした反応混合物に加えることができ、すべてのこうした物質を一緒に沈殿させる。このことは、保護している基を脱保護するために使用された反応体からジケトピペラジンを除くことにより、完了前に脱保護反応を停止することが可能である。混合沈殿物を水と撹拌することにより、部分的に及び完全に反応した化学種の両方を水性媒質中に塩として溶解することが可能である。未反応出発物質を遠心分離又は濾過により除去することが可能である。水性溶液のpHを弱いアルカリ性条件に調整することにより、単一保護基を含有する非対称一保護生成物が溶液から沈殿し、完全に脱保護された物質が溶液中に残る。
塩基性側鎖を有するジケトピペラジン誘導体の場合、塩基性基も選択的に脱保護することが可能である。上記のように、例えば、反応液に適した溶媒を加えることにより、完了前に脱保護工程を停止することが可能である。溶液のpHを注意深く調整することにより、脱保護誘導体を濾過により除去することができ、部分的及び完全に脱保護した誘導体が溶液に残る。溶液のpHをわずかに酸性条件に調整することにより、一保護誘導体を溶液から沈殿させ、そして単離することが可能である。
双性イオンジケトピペラジン誘導体も上記のように選択的に脱保護することが可能である。最後の工程において、わずかに酸性条件にpHを調整すると、遊離酸性基を有する一保護化合物が沈殿する。わずかに塩基性条件にpHを調整すると、遊離塩基性基を有する一保護化合物が沈殿する。
他の機構による保護基の制限除去には、限定されるわけではないが、パラジウム触媒存在下、制限量の水素ガスを使用することによる水素化により切断される保護基の切断が含まれる。生じた生成物も非対称部分的脱保護ジケトピペラジンである。これらの誘導体は、本質的に上記のように単離することが可能である。
一保護ジケトピペラジンを反応させると、一つの側鎖及び保護基を有するジケトピペラジンを生成する。保護基の除去及び他の側鎖でのカップリングは、酸性、塩基性及び双性イオン側鎖が混じった非対称置換ジケトピペラジンを生成する。
pHに対してこの応答を示す他の物質を、ジケトピペラジン環のアミド環窒素を官能化することにより得ることが可能である。
ジケトピペラジンは輸送促進剤(transport facilitator)として機能することができ、分解可能であり、及び膜を横切る剤の輸送を促進するため、標的生物学的膜と水素結合を形成することが可能である。輸送促進剤は、活性剤がもし荷電しているならば、電荷をマスクするために水素結合を形成することも可能であり、そして膜を横切る剤の輸送を促進する。
輸送促進剤は、好ましくは、生分解性であり、活性剤の線形、パルス状又はバルク放出を提供することができる。輸送促進剤は、天然又は合成ポリマーであることができ、及び当業者により日常的に行なわれるアルキル、アルキレンを含む化学基の置換又は付加、水酸化、酸化及び他の修飾を介して修飾することができる。
ほとんどのタンパク質及びペプチドと同じく、インスリンは荷電分子であり、それは荷電された生物学的膜を横切るその能力を妨害する。インスリンがフマリルジケトピペラジンと会合した場合、粘膜のような膜を横切る及び血中内へのインスリンの通過が促進されることが観察された。
一つの実施例において、酸性側鎖を有するジケトピペラジンを炭酸水素塩又は他の塩基性溶液に溶解し、活性剤を溶液又は懸濁液に添加し、次に1Mクエン酸のような酸を加えて微粒子を沈澱させることにより、活性剤は微粒子内で会合される。
別の実施例において、塩基性側鎖を有するジケトピペラジンを1Mクエン酸のような酸性溶液に溶解し、活性剤を溶液又は懸濁液に添加し、次に炭酸水素塩又は他の塩基性溶液を加えて微粒子を沈澱させることにより、活性剤は微粒子内で会合される。
さらに別の実施例において、酸性及び塩基性側鎖の両方を有するジケトピペラジンを酸性又は塩基性溶液に溶解し、会合されるべき活性剤を溶液又は懸濁液に添加し、次に溶液を中和することで微粒子を沈澱させることにより、活性剤は微粒子内で会合される。
本微粒子は乾燥状態で保存することが可能であり、患者への投与のためには懸濁させる。第一の実施例において、戻された微粒子は、酸性媒質中でその安定性を維持しており、媒質が6〜14の範囲の生理学的pHに近づくにつれ解離する。第二の実施例において、懸濁された微粒子は塩基性媒質中でその安定性を維持しており、0〜6のpHで解離する。第三の実施例において、戻された微粒子は、酸性又は塩基性媒質中でその安定性を維持しており、媒質が6〜8の範囲の生理学的pHに近づくにつれ解離する。
不純物は典型的には、微粒子が沈澱されるときに除去される。しかしながら、粒子を洗浄して不純物を溶解することにより、不純物を除去することも可能である。好ましい洗浄溶液は水又は水性緩衝液である。水以外の溶媒を、水溶性ではない不純物を除去するため、微粒子を洗浄する又はジケトピペラジンを沈澱させるのに使用することも可能である。負荷物(cargo)又はフマリルジケトピペラジンが不溶性であるいずれの溶媒も適している。例には酢酸、エタノール及びトルエンが含まれる。
ジケトピペラジンの微粒子は、懸濁液、典型的には水性懸濁液中で調製及び提供することが可能であり、それに活性剤の溶液を加える。懸濁液を次ぎに、凍結乾燥すると(lyophilized又はfreeze-dried)、活性剤のコーティングを有するジケトピペラジン微粒子を得る。好ましい態様において、活性剤は六量体形態のインスリンである。亜鉛イオンは次ぎに、微粒子を適切な溶媒で洗浄することにより除去することが可能である。
本ジケトピペラジン微粒子は、亜鉛に結合されていないインスリンを効率的に結合し、複合体形成後、インスリンはフマリルジケトピペラジンの規則正しい格子配列内に安定化されていることが見出された。この状態において、亜鉛イオンがほとんど存在しないと、六量体状態とは対照的に、インスリンは主として二量体及び単量体である。それ故、インスリンはより容易に、インスリンがその生物学的活性を発揮するその単量体状態に解離する。
本明細書に記載した活性剤の組成物は、前記活性剤を必要とする患者に投与することが可能である。本組成物は、好ましくは、肺投与のための乾燥粉末形態であることができる、又は食塩水のような適切な医薬担体に懸濁することができる微粒子の形態で投与する。
好ましくは、微粒子は投与直前まで、乾燥された又は凍結乾燥された形態で保存する。本微粒子は、例えば、当該技術分野で既知の乾燥粉末吸入器を使用する吸入により、乾燥粉末として直接投与することが可能である。もしくは、微粒子を、例えば、エアロゾルとして投与のための水性溶液のような、十分量の医薬担体に懸濁することが可能である。
本微粒子は、経口、皮下及び静脈内経路でも投与することが可能である。
本組成物は、いずれの標的の生物学的膜にも、好ましくは、II型糖尿病を患っているヒトを含む患者の粘膜に投与することが可能である。本組成物は、生物学的に活性な状態でインスリンを患者に送達し、それは血清インスリン濃度のスパイク(spike)を提供し、それは摂食に対する正常な応答を刺激する。
一つの態様において、六量体インスリンは、フマリルジケトピペラジンと複合体形成されてフマリルジケトピペラジン中の単量体インスリンの固体沈澱を形成し、それは次ぎに水性溶液で洗浄されて遊離亜鉛が除去される。この製剤は、投与後7.5〜10分の間に生じるピーク血中レベルを有する、皮下注射に続くインスリン血中取り込みの速度の2.5倍の速度での肺投与に続く取り込みを示した。
送達されるべき薬剤の添加量の範囲は、送達されるべき薬剤の形態及びサイズ及び標的組織に依存して、典型的には約0.01%〜90%の間である。ジケトピペラジンを使用する一つの態様において、好ましい範囲は、薬剤の重量で0.1%〜50%の添加である。適切な投与量は、例えば、取り込まれた/会合された剤の量、微粒子からのその放出の速度、及び好ましい態様において、患者の血中グルコースレベルにより決定することが可能である。
本明細書に記載された組成物及び方法は、以下の非制限的実施例によりさらに説明される。
実施例1
ジケトピペラジン肺製剤におけるインスリンの生物学的利用能
5人の健康な男性ボランティアを、吸入後のインスリンの生物学的利用能について評価した。ボランティアは良好な健康状態であったと健康診断により判断された:年齢:18〜40歳、肥満度指数:18〜26kg/m、コンピューター補助スパイロメトリーにより測定された≧4L/秒の最大呼気流量に達する能力、及び予測正常値と等しいか又はその80%を超えるFEV(FEV=一秒強制呼気量)。排除基準は、糖尿病1型又は2型、ヒトインスリン抗体陽性、薬物研究又は類似の化学構造を有する薬剤に対する過敏症の履歴、重度又は多アレルギーの履歴、研究参加前の最近3ヶ月におけるいずれか他の治験薬での治療、進行性致死的疾患、薬物又はアルコール乱用の履歴、他の薬剤による進行中の薬剤療法、著しい心血管、呼吸、胃腸、肝臓、腎臓、神経学的、精神医学的及び/又は血液学的疾患の履歴、進行中の呼吸器感染、又はタバコ又はニコチン使用の証拠又は履歴により喫煙者であると規定された対象、であった。
研究日の朝、午前7時半に対象が病院に来院した(午前0時以降は水を除いて絶食)。対象は、各処置日の前24時間は、過激な身体活動及びアルコールの摂取が禁止された。彼らをランダムに三つの治療群の一つに帰属させた。対象は、時間点0前の2時間の間、10〜15μU/mlに血清インスリン濃度が確立されるように、0.15mU min−1kg−1に保たれた、一定の静脈内標準ヒトインスリン点滴を受けた。この低用量点滴は、内在性インスリン分泌を抑制するため試験を通して続けた。血中グルコースは、グルコース制御点滴システム(BIOSTATOR(商標)、Life Science Instruments, Miles Laboratories, Elkhart, Indiana)により、グルコースクランプを介して90mg/dLのレベルに一定に保たれた。グルコースクランプアルゴリズムは、実際に測定された血中グルコース濃度、及び血中グルコース濃度を一定に保つためにグルコース点滴速度を計算する、直前の変動度に基づいている。インスリン適用(5IU静脈内(IV)又は10IU皮下(SC)注射、又は市販の吸入装置(Boehringer Ingelheim)により適用されたTechnosphere(登録商標)/インスリンのカプセル当たり3回の深い呼吸吸入(各50Uを2カプセル))は、時間点0直前に終了されていなければならない。クランプ実験の持続は、時間点0から6時間であった。グルコース点滴速度、血中グルコース、血清インスリン及びC−ペプチドを測定した。
生物効力を決定するため、グルコース点滴速度の時間曲線下面積を、投与後の最初の3時間(AUC0−180)について、及び投与後6時間の全観察期間(AUC0−360)について計算し、適用されたインスリンの量と相関させた。生物学的利用能を決定するため、インスリン濃度の時間曲線下面積を、投与後の最初の3時間(AUC0−180)について、及び投与後6時間の全観察期間(AUC0−360)について計算し、適用されたインスリンの量と相関させた。
このクランプ研究において、100UのTechnosphere(登録商標)/インスリンの吸入は十分に許容的であり、達成された血清インスリン濃度から計算されたように、最初の3時間について25.8%の相対生物学的利用能で、実質的な血中グルコース低下効果を有することが示された。Technosphere(登録商標)は、特定のpHで、典型的には低いpHで規則正しい格子配列に自己構築したジケトピペラジンで形成された微粒子(本明細書においてミクロスフェアとも称される)である。それらは典型的には、約1〜約5μmの間の平均直径を有するように生成される。
薬物動態学的結果が表1に示されている。100UのTechnosphere(登録商標)/インスリンの吸入は、13分後のインスリン濃度のピークを明らかにし(5IU IV:5分、10IU SC:121分)、180分後にインスリンレベルをベースラインに戻した(IV:60分、SC:360分)。グルコース点滴速度により測定された生物学的作用は39分後にピークとなり(IV:14分、SC:163分)、360分以上続いた(IV:240分、SC:>360分)。絶対生物学的利用能(IV投与との比較)は最初の3時間について14.6±5.1%、最初の6時間について15.5±5.6%であった。相対生物学的利用能(SC投与との比較)は最初の3時間について25.8±11.7%、最初の6時間について16.4±7.9%であった。
Figure 2008526893
Technosphere(登録商標)/インスリンは、すべての患者において安全であることが示された。一人の患者は吸入の間に咳をしたが、呼吸系悪化のさらなる症状又は徴候はなかった。
100UのTechnosphere(登録商標)/インスリンの吸入は十分に許容的であり、達成された血清インスリン濃度から計算されたように、最初の3時間について25.8%の相対生物学的利用能で、実質的な血中グルコース低下効果を有することが示された。
この研究において、Technosphere(登録商標)/インスリンの吸入は、インスリン濃度の迅速なピーク(Tmax:13分)及び迅速な作用の開始(Tmax:39分)、及び6時間を超える持続された作用を持つ時間−作用プロファイルを有することが健康なヒト対象で示された。100UのTechnosphere(登録商標)/インスリンの吸入後に測定された総代謝効果は、10IUのインスリンの皮下注射後よりも大きかった。Technosphere(登録商標)/インスリンの相対生物効力は19.0%であると計算され、一方、相対生物学的利用能は最初の3時間において、25.8%であると決定された。
データは、Technosphere(登録商標)/インスリンの吸入は、IVインスリン注射の作用の開始に近いSCインスリン注射よりもさらに一層速い作用の開始を生じ、一方、Technosphere(登録商標)/インスリンの作用の持続はSCインスリン注射の持続に匹敵していた。
実施例2
Technosphere(登録商標)/インスリンの投与後の肺及び血清インスリンレベル
インスリンの肺及び血清レベルは、Technosphere(登録商標)/インスリンの単回投与後又はTechnosphere(登録商標)/インスリンの3回の日用量投与後に決定した。
群当たり6匹のメスSprague Dawleyラットを、フロー−パースト(flow−past)型鼻部吸入暴露システムを使用し、単回投与又は3連続日の単回日用量投与により、フマリルジケトピペラジン−インスリン(Technosphere(登録商標)/インスリン)11.4%で処理した。フロー−パースト鼻部吸入チャンバーを介して、およそ3単位のインスリンを各群に投与した。ラットは個々の呼吸パターンをモニターし、吸入の蓄積量を各動物について計算した。投与は望まれる用量が達成されるまで続けた。動物は、空気単独対照、及びTechnosphere(登録商標)/インスリン投与後、0、45、90及び180分、及び6、24及び30時間で評価した。各時間点で血清を得、肺を除去してインスリンレベルを決定した。
Figure 2008526893
インスリンへの肺暴露は(平均Cmax及びAUClast)、時間0の急速なtmax(即ち、投与後直後)を有し、1日目及び3日目の両方で同程度であった(図1、2及び3)。初期クリアランスは急速であり、45分〜1時間のt1/2を有していた(図4)。しかしながら、血清は3日目にはより低い平均Cmax及びAUClastへの傾向があるようである(図2及び3)。血清t1/2は、3日目にはわずかに2時間より短い(図4)。続いての毎日の投与に続いてさえも、肺組織及び全身循環からの急速な再現性のある吸収及びクリアランスがあり、インスリン自然増加はなかった。肺におけるTechnosphere(登録商標)/インスリンのレベルは、吸入から45分以内に低下し始め、インスリンの大部分はおよそ3時間からおよそ6時間以内に除去された。
実施例3
インスリン及びFDKPの肺からの移行
実施例2と本質的に類似した実験において、インスリンに加えてFDKPの移行を追跡した。図5に見られるように、FDKPはインスリンに類似した動力学で肺を通過した。このことは、Technosphere(登録商標)/インスリンの両方の主成分が一定の濃度比を維持し、及びどちらも好ましく肺に保持されないことを示している。
実施例4
Technosphere(登録商標)インスリンの投与は、肺機能の測定における減退を起こさない
2型糖尿病を有する患者における食事Technosphere(登録商標)/インスリンの強制タイトレーションの、ランダム化、前向き二重盲検、プラセボ比較試験において、SCインスリングラルギン(glargine)(Lantus(登録商標);長期作用インスリンの一つの形態)の基礎投与に加え、食事毎に投与された、吸入されたTechnosphere(登録商標)/インスリン(TI)を対象は受け、227人の患者を18週にわたって試験した。最初の4週の間、患者は現在の療法を続け、次ぎにすべての経口抗高血糖療法から離れ、彼らの文書化された前処置絶食血漿グルコースレベルを再現するために十分な用量で、毎日一回の固定されたSCインスリングラルギンの用量となし、この用量で安定化させた。患者は次に、添加吸入プラセボの盲検用量又は通常ヒトインスリンの14、28、42又は56Uを含有する吸入TIの盲検用量にランダム化し、4週にわたって強制タイトレーションシナリオにおいて、その日の各主たる食事の時間に摂取させた。具体的には、五つのコホートに分割された対象に、sc長期作用インスリンと共に、最初はプラセボ(いずれのインスリンも含まないTechnosphere(登録商標)微粒子)を与えた。一週間後、一つのコホートはプラセボを受け続け、四つのコホートは14UのインスリンのTI投与量に切り替えた。さらに一週間後、三つのコホートを28UのインスリンのTI投与量に切り替え、そして最後のコホートが56UのTI投与量に達するまで続けた。すべてのコホートは同一の用量を、試行の残っている8週の間続けた。
HbA1cレベル及び食事チャレンジ(meal challenges)(300分)を最初の来診時、ランダム化処置の開始時及び完了時に評価した。比較は、処置群及びプラセボ群で行った。安全性は、定義された血糖低下病状発生の頻度により、及びFEV(一秒強制呼気量)及びDLCO(一秒単回呼吸一酸化炭素容量)を含む、連続した肺機能試験の測定により評価した。インスリングラルギンへのTIの添加は、HbA1cレベルの用量依存性減少を生み出した。8週の間、56Uで処置した患者において、平均減少は、インスリングラルギン/プラセボ群で観察されたものより、0.79%大きかった(p=0.0002)。TIは食事後グルコース可動域(glucose excursions)においても用量依存性減少を生み出し、56Uで最大可動域は平均して34mg/dLのみであった(p<0.0001)。重度の血糖低下病状発生はなく、及び穏和な/中程度の血糖低下病状発生は、インスリングラルギン単独の対象の発生より多くは増加しなかった。体重及び肺機能において、ベースラインからの、又は投与量群間での変化は観察されなかった(図6及び7)。それ故、吸入されたTechnosphere(登録商標)/インスリンは、血糖低下の危険性を増加させることなく、2型糖尿病を有する患者の血糖制御を改善することが可能であった。
TIで肺機能の変化がないことは、FDA承認を待っている肺インスリン製品(EXUBERA(登録商標))で報告された観察と対照的である。その製品の3ヶ月の使用−上記TI試験の継続期間−により、DLCO又はFEV両方で測定された肺機能の小さいがしかし明瞭な低下があった。その時点後、肺機能は肺インスリンを受けていないコンパレーター(comparator)群に関して安定化されたが、相対的に抑制されたままであった(例えば、図8を参照されたい)。同様の挙動が、多様な1型及び2型糖尿病を含み、2年の長さまで延長された複数の研究で観察された(Advisory Committee Briefing Document:EXUBERA(登録商標)(インスリン[rDNA起源]経口吸入のための粉末);Endocrinologic and Metabolic Drugs Advisory Committee 2005年9月6日)。
実施例5
2型糖尿病を有する患者における吸入されたTechnosphere(登録商標)/インスリンの効力及び安全性のランダム化、二重盲検、プラセボ比較試験
小さなMannKind(商標)吸入器を介して送達されたTechnosphere(登録商標)乾燥粉末、肺インスリンは、正常、食事関連、最初の又は初期相のインスリン放出を模倣する生物学的利用能を有する。このマルチセンター、ランダム化、二重盲検、プラセボ比較試験を、食事制限又は経口剤療法で不適切に制御されている2型糖尿病患者(HbA1c>6.5%〜10.5%)で実施した。総計で123人の患者が登録され、119人(治療することが意図された集団(ITT))を、12週にわたり、6〜48単位の間のヒトインスリン(rDNA起源)を含有する単位用量カートリッジから食事吸入Technosphere(登録商標)/インスリン(TI)又は吸入Technosphere(登録商標)/ プラセボを受ける患者に、1:1の比でランダム化した。TIは、その日の主たる又は実質的な食事での最初の一口の食べ物の時点に、12週の試行を通して一日当たり3又は4回投与の量で吸入させた。対象が試験の開始に先立って使用していた経口糖尿病薬は続けた。最初及び最終治療来診、及び最初及び2回の中間来診の間からのHbA1cの相違を、血中グルコースにおける変化として、種々の時間点でのACUとして、及び食事チャレンジ後のCmax及びTmaxを決定した。
患者には試験の間、標準食を数回与え、彼らの血中グルコースレベルを測定した。試験薬剤は試験会場で、その場所で準備された標準化朝食(Uncle Ben’s Breakfast Bowl(商標))と同時に投与した。絶食血漿グルコースは食事の直前に測定した。対象が試験薬剤の最初の投与を受ける前に、スパイロメトリーを実施した。対象は次に試験薬剤を吸入し、そして60秒以内に一回のスパイロメトリー試験手順を実施した。試験薬剤吸入の90秒以内、及びスパイロメトリー試験後に、対象は試験食事を食べ始めた。食事が終了したら、食事開始直前、及び30、60及び120分後の血漿グルコース値及びグルコースメーター読み取り値を得た。
TIか又はプラセボを受けている患者について、食事チャレンジ後に血中グルコースが上昇したが、TI群では有意に低く、より速くベースラインに戻った。それ故、全グルコース暴露及び最大グルコース可動域は減少した。30Uの用量では、TI患者についての最大グルコース可動域は、対照群の患者のレベルの50%であった。加えて、平均グルコース可動域は、TI患者が試験に入った時の50mg/dLに対して、約28mg/dLであった。28mg/dLのみの可動域は、臨床治療のゴールである範囲内である。
グリコシル化ヘモグロビンA1c(HbA1c)の結果は、Primary Efficacy Population(PEP、最少投与及び併用糖尿病薬剤の調整なしを含む試験要求性に従う人として、非盲検化(un-blinding)に先だって定義される)について、PEPサブグループA(6.6〜7.9%のベースラインHbA1cを有する者)について、PEPサブグループB(8.0〜10.5%のベースラインHbA1cを有する者)について、ならびにITTについて、前もって決定された統計分析計画により分析された。これらの結果は表3に要約されている。この「個々の投与量」試験においては、活性処置群における各食事の前に使用されたTIの平均投与量は30単位であり、PEPサブグループAでは28単位が使用され、PEPサブグループBでは33.5単位が使用された。
Figure 2008526893
重度の低血糖の病状発症は、TI群においては生じなかった。プラセボを受けている患者とTIを受けている患者間には低血糖事象の比において統計的に有意な相違はなかった(表4)。
Figure 2008526893
DLCO(一秒単回呼吸一酸化炭素容量)(表5)、FEV(一秒強制呼気量)及び総肺胞容量(努力肺活量)を含む肺機能試験は、ベースライン値と比較された、又はプラセボを受けている患者の結果と比較されたTIの患者の間には有意な相違を示さなかった(図6)。
Figure 2008526893
TIによるインスリン抗体の誘導(表6)、及び暴露の12週間の間の体重増加の証拠はなかった。
Figure 2008526893
結論として、この研究は、Technosphere(登録商標)肺インスリンが、インスリン放出の初期相の動力学を複製して、食事制限のみ及び運動のみ、又は経口剤療法での、以前の不適当な血糖制御を有する患者に使用された場合、著しく増加した低血糖の発生なく、インスリン抗体の誘導なく、体重増加の傾向なく、及び肺機能に対する全体の影響なく、安全に及び著しく改善した。
特に指摘しない限り、本明細書及び特許請求の範囲に使用されている、成分の量、分子量のような特性、反応条件などを表しているすべての数字は、用語「約」によりすべての例において修飾されていると理解すべきである。従って、反対に示されていない限り、以下の明細書及び付随する特許請求の範囲に示された数字のパラメータは、本発明により得られると目指された所望の特性に依存して変化することができる近似である。最後に、そして特許請求の範囲に均等論の適用を制限するつもりではないが、各数字パラメータは、報告された有効数字の数を考慮に入れ、及び通常の丸め技術を適用することにより、少なくとも解釈すべきである。本発明の広い範囲に示された数字範囲及びパラメータが近似であるにも関わらず、具体的実施例に示された数字の値は可能な限り正確に報告されている。しかしながら、いずれの数に関する値も、それぞれの試験測定で観察された標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を固有に含んでいる。
本発明を説明している文脈に使用された(特に以下の特許請求の範囲の文脈において)用語「a」及び「an」及び「the」及び同様の指示対象は、特に示さない限り又は文脈に明瞭に矛盾しない限り、単数及び複数の両方を覆っていると解釈されるべきである。本発明の値の範囲の列挙は、範囲内にある各々の別の値を個々に参照している省略法として働くことが単に意図されている。本明細書で特に示さない限り、各々の個々の値は、本明細書において個々に列挙されるように本明細書内へ取り込まれる。本明細書に記載したすべての方法は、本明細書で特に示さない限り、又はさもなくば文脈に矛盾しないならば、いずれかの適した順序で実施することが可能である。いずれかまたはすべての実施例又は例示の言葉(例えば、「のような」)の使用は、単に本発明のより良い例示を意図しており、本発明の範囲、さもなければ特許請求の範囲の制限をもたらすものではない。明細書中のどの言葉も、本発明の実施に本質的な特許請求されない要素を示すものと解釈してはならない。
本明細書に開示した本発明の代替要素又は態様のグループは、制限と解釈すべきではない。各グループメンバーは、個々に、又は群の他のメンバーとの又は本明細書に見られる他の要素とのいずれかの組み合わせで、参照する及び特許請求することができる。群の一つまたはそれより多くのメンバーを、便宜上及び/又は特許性の理由のため、群に含ませる又は群から消すことができる。いずれかのこうした包含又は欠失が生じた場合、本明細書は修飾されたものとして群を含むと考えられ、それ故、付随する特許請求の範囲に使用されるすべてのマーカッシュ群の記載を満足している。
本発明を実施するために、発明者に知られている最良の様式を含む、本発明の好ましい態様がここに記載されている。もちろん、これらの好ましい態様に対する変形が、上記の記述を読むことにより当業者には明らかになるであろう。発明者は、当業者がこうした変形を必要に応じて用いることを予期しており、そして発明者は本発明が具体的に本明細書に記載したものとは別のやり方で実施されることを意図している。従って、本発明は、適用可能な法律により許されているように、付随された特許請求の範囲に列挙された対象物のすべての修飾及び均等物を含む。さらに、すべての可能なそれらの変形における上記の要素の組み合わせが、本明細書で特に示されない限り、又は文脈に明瞭に矛盾しないならば、本発明により包含される。
さらに、本明細書を通して、多数の参照文献が特許及び印刷された出版物に対して作られた。上に引用された参照文献及び印刷された出版物の各々が、個々に、その全体が参照として本明細書において援用される。
終わりに、本明細書に開示する本発明の態様は、本発明の原理を例示するものであると理解されたい。利用することができる他の態様も本発明の範囲内にある。従って、限定ではなく、例示として、本発明の代わりの構成を本明細書の教示に従って利用してよい。故に、本発明は、正確に示して記載したものへ限定されない。
図1A及び1Bは、本発明の一つの態様の教示に従って、毎日、1又は3日の間、3単位のTechnosphere(登録商標)/インスリンの吸入に続くインスリン肺薬物動態学的プロフィールを示している。 図2A及び2Bは、本発明の一つの態様の教示に従って、毎日、1又は3日の間、3単位のTechnosphere(登録商標)/インスリンの吸入に続く肺(図2A)及び血清(図2B)におけるインスリンCmaxを示している。 図3A及び3Bは、本発明の一つの態様の教示に従って、毎日、1又は3日の間、3単位のTechnosphere(登録商標)/インスリンの吸入に続く肺(図3A)及び血清(図3B)におけるインスリンAUC(0−last)を示している。 図4A及び4Bは、本発明の一つの態様の教示に従って、毎日、1又は3日の間、3単位のTechnosphere(登録商標)/インスリンの吸入に続く肺(図4A)及び血清(図4B)におけるインスリン半減期(t1/2)を示している。 図5は、本発明の一つの態様の教示に従った吸入後の、フマリルジケトピペラジン(FDKP)及びインスリンの総レベルをグラフで示している。 図6A及び6Bは、本発明の教示に従ったTechnosphere(登録商標)/インスリンによる、3ヶ月プラセボ制御臨床試験にわたる、一秒強制呼気量(FEV、図6A)及び努力肺活量(FVC、図6B)として表現された、肺機能を示している。 図7は、本発明の一つの態様の教示に従った最終TI投与群による、ベースラインから最終処置来診までのDLCOの変化を示している。 図8は、本発明の一つの態様の教示に従った最終TI投与群による、ベースラインから最終処置来診までのFEVの変化を示している。 図9は、EXUBERA(登録商標)(Advisory Committee Briefing Document:EXUBERA(登録商標)(インスリン[rDNA起源]経口吸入のための粉末);Endocrinologic and Metabolic Drugs Advisory Committee 2005年9月6日)を受けている患者の研究からの、ベースラインからのFEV平均変化を示している。

Claims (17)

  1. 吸入可能なインスリン組成物であって:
    インスリン/ジケトピペラジン複合体、ここで前記インスリンは吸入後およそ6時間未満で患者の肺から除去される;
    を含んでなる、前記吸入可能なインスリン組成物。
  2. 前記インスリンが、およそ3時間未満で前記患者の肺から除去される、請求項1に記載の吸入可能なインスリン組成物。
  3. 前記吸入可能なインスリン組成物が乾燥粉末である、請求項1に記載の吸入可能なインスリン組成物。
  4. 前記ジケトピペラジンがフマリルジケトピペラジンである、請求項3に記載の吸入可能なインスリン組成物。
  5. 前記インスリンが、単量体又は二量体である、請求項1に記載の吸入可能なインスリン組成物。
  6. 前記ジケトピペラジンが、6時間未満で患者の肺から除去される、請求項1に記載の吸入可能なインスリン組成物。
  7. 患者の肺機能が、前記吸入可能なインスリン組成物の延長された使用で抑制されず、前記患者の肺機能が障害されていない、請求項1に記載の吸入可能なインスリン組成物。
  8. 患者の肺機能が、前記吸入可能なインスリン組成物の延長された使用で抑制されず、前記患者の肺機能が、吸入されたインスリン組成物を受けていない同一の患者と比較して障害されない、請求項7に記載の吸入可能なインスリン組成物。
  9. 吸入されたインスリンの投与後、患者の肺中のインスリン自然増加を最少にするための方法であって:
    前記吸入可能なインスリン組成物を、それを必要としている患者に提供すること;
    前記吸入可能なインスリン組成物を前記患者の肺に投与すること;ここで前記投与することは吸入を介して実施される;及び
    前記吸入されたインスリンが前記患者の肺からおよそ6時間未満で除去されること;
    を含んでなる前記方法。
  10. 前記吸入可能なインスリン組成物が乾燥粉末である、請求項9に記載の方法。
  11. 前記提供する工程が、ジケトピペラジンと複合体形成されたインスリンを提供することを含む、請求項9に記載の方法。
  12. 前記ジケトピペラジンがフマリルジケトピペラジンである、請求項11に記載の方法。
  13. 前記吸入されたインスリンが、およそ3時間未満で前記患者の肺から除去される、請求項9に記載の方法。
  14. 患者の肺機能が、前記吸入可能なインスリン組成物の延長された使用で抑制されず、前記患者の肺機能が障害されない、請求項9に記載の方法。
  15. 患者の肺機能が、前記吸入可能なインスリン組成物の延長された使用で抑制されず、前記患者の肺機能が、吸入されたインスリン組成物を受けていない同一の患者と比較して障害されていない、請求項9に記載の方法。
  16. 糖尿病を治療する方法であって:
    吸入可能なインスリン組成物を、それを必要としている患者に提供すること、ここで前記吸入可能なインスリン組成物の延長された使用は肺機能を障害しない;
    を含んでなる前記方法。
  17. 糖尿病を治療するために有用な吸入可能なインスリン組成物であって:
    インスリン/ジケトピペラジン複合体、ここで前記吸入可能なインスリン組成物は肺機能を障害しない;
    を含んでなる、前記吸入可能なインスリン組成物。
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