JP2008520582A - カルシウム異常により起こる状態の処置 - Google Patents

カルシウム異常により起こる状態の処置 Download PDF

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Abstract

特定の側面において、本発明は、カルシウム放出を調節するためのトリプトライドおよびトリプトライド誘導体のようなPKD2アゴニストの使用に関する。他の側面において、本発明は、腎多嚢胞病のような、PKD1および/またはPKD2の遺伝子産物のようなカルシウムチャネルが変異された;カルシウムシグナル伝達が異常である;またはその両方である任意の状態の処置または処置において補助するためのPKD2アゴニストの使用に関する。

Description

(関連出願)
本出願は、「トリプトライドは腎多嚢胞病を処置する ("Triptolide treats polycystic kidney disease")」と題され、Craig M. CrewsおよびStephanie J. Quinnにより2004年11月15日に出願された米国仮特許出願第60/627,844号の出願日の利益を主張する。該参照の仮出願の全体の内容および教示は、参照により本明細書に援用される。
(財源)
本発明は、国立衛生研究所(National Institutes of Health)により与えられた助成番号A1 055914の政府支援により作り出された。政府は本発明における特定の権利を有する。
(発明の背景)
ADPKD、常染色体優性腎多嚢胞病は、末期腎不全の主要な遺伝的原因である。PKD1(ポリシスチン-1)の遺伝子産物における突然変異は、ADPKDの全ての症例のうちおよそ85%を占め、残りの15%はPKD2(ポリシスチン-2)の遺伝子産物における突然変異によるものである(IgarashiおよびSomlo、2002、J Am Soc Nephrol 13、2384-2398)。疾患の進行は、細管上皮がカルシウムフラックスを調節できないことを特徴とし、十分に分化された状態を失い、増殖増加および腎臓において含液嚢胞の形成をもたらす。ネフロンにおける正常細胞増殖は、ポリシスチン-1およびポリシスチン-2が両方とも共局在(co-localize)する原発性線毛の機械感覚性作用の支配下にある。尿流に応じて、細胞の原発性線毛は折れ曲がり、カルシウムは増殖の阻止を維持するために必要なシグナル経路(Nauliら、2003、Nat Genet 33、129-137)を活性化するポリシスチン-2を通じて細胞に入る(Koulenら、2002、Nat Cell Biol 4、191-197)。臓器移植の他には、この疾患を治癒するか、または進行を遅延する治療的介入は現在存在しない。
従って、ADPKDに対する新たな治療組成物および治療方法を開発する必要性がある。
(発明の概要)
出願人らは、中国の薬草Tripterygium wilfordii hook-fからの天然物であるトリプトライドが細胞内でのカルシウム放出を促進すること、トリプトライドに影響を受けるタンパク質の一つが、腎多嚢胞病(PKD)において突然変異するカルシウムチャネルであるポリシスチン2(PKD2)であることを示している。出願人らはまた、トリプトライド結合および機能へのカルシウム依存効果、並びに異なる濃度で、トリプトライドが細胞増殖を抑制したり、アポトーシスによる細胞死を活発に誘発したりすることも立証している。さらに出願人らは、PKD1および/またはPKD2の遺伝子産物における突然変異、異常なカルシウム流入、および調節されない細胞増殖を特徴とするADPKDのモデルにおいて、トリプトライドの治療効果を評価している。その評価結果の少なくとも一部に基づき、出願人らは、PKD1またはPKD2の遺伝子産物等のカルシウムチャネルが突然変異する、および/またはカルシウムシグナル伝達が異常である、という状態において、カルシウム流入を調節し、細胞増殖を抑制し、嚢胞進行を減少または遅延する新規の方法、並びに該方法において有用な治療薬(薬物)および医薬組成物を提供する。
ある態様において、本発明は処置を必要とする個体において腎多嚢胞病(PKD)(例えば、ADPKDまたはARPKD)を処置するか、または処置を補助する方法を提供する。かかる方法は、治療的有効量のPKD2アゴニストを個体に投与する事を含む。本明細書に記載されるように、「PKD2アゴニスト」は、カルシウムシグナル伝達等のPKD2活性を模倣するか、または高める。任意で、PKD2アゴニストはPKD2に結合するか、またはPKD1とPKD2の相互作用を高める。PKD2アゴニストの具体的な例としてはトリプトライド関連化合物である。用語「トリプトライド関連化合物」としては、本明細書で使用する場合、トリプトライド、トリプトライドプロドラッグ、およびトリプトライド誘導体または類似体が挙げられる。典型的なトリプトライド関連化合物としては、限定されないが、トリプトライド、トリプトライドプロドラッグ、および、トリオール-トリポライド(tripolide)、トリプトニド(triptonide)、14-メチル-トリプトライド、14-デオキシ-14α-フルオロ-トリプトライド、5α-ヒドロキシトリプトライド、19-メチルトリプトライド、および18-デオキソ-19-デヒドロ-18-ベンゾイルオキシ-19-ベンゾイルトリプトライド、および14-アセチル-5,6-ジデヒドロトリプトライド等のトリプトライド誘導体が挙げられる。任意で該方法は、PKDを処置するための第二の治療薬、例えばEGFレセプターキナーゼインヒビター、シクロオキシゲナーゼ2(COX2)インヒビター、バソプレッシンV2レセプターインヒビター、末梢型ベンゾジアゼピンレセプター(PTBR)のリガンド、ソマトスタチン類似体(例えばオクトレオチド)、およびピオグリタゾンを該個体に投与する事をさらに含む。
一つの態様において、PKD2アゴニスト(例えばトリプトライド関連化合物)は、PKDを予防するように、個体における症候性腎疾患の発現に先立って投与される。例えば個体は、家族の病歴、腎臓画像化研究、および/または遺伝的スクリーニングによって決められるように、PKDの危険性があると判断されている。別の態様において、PKD2アゴニスト(例えばトリプトライド関連化合物)は、疾患の進行を遅延または阻害するように、個体が症候性腎疾患を発現する時に投与される。好ましくは、個体はヒト等の哺乳動物である。ある症例において、PKD2アゴニストは、腎臓の部分的除去または腎臓の移植等の外科的療法と組み合わせて、個体に投与される。いかなる特定の機構または理論に束縛されることを望まないが、トリプトライド関連化合物は、本方法における腎臓の嚢胞組織において、カルシウムシグナル伝達を調節すると思われる。
ある態様において、本発明は処置を必要とする個体において嚢胞性疾患を処置する方法を提供する。かかる方法は、嚢胞細胞の増殖を遅延または阻害するのに十分な量で、治療的有効量のPKD2アゴニストを個体に投与する事を含む。例えば嚢胞性疾患としては、限定されないが、***嚢胞、気管支性嚢胞、総胆管嚢胞、コロイド嚢胞、先天性嚢胞、歯性嚢胞、上皮性封入体、肝嚢胞、包虫嚢胞、肺嚢胞、縦隔嚢胞、卵巣嚢胞、歯根嚢胞、心膜嚢胞、および腎多嚢胞病(PKD)が挙げられる。PKD2アゴニストの具体例はトリプトライド関連化合物である。好ましくは、個体はヒト等の哺乳動物である。
ある態様において、本発明は嚢胞形成を遅延または阻害する方法を提供する。かかる方法は、嚢胞形成を遅延または阻害するのに十分な量で、嚢胞細胞をPKD2アゴニストに接触させる事を含む。例えば嚢胞細胞は、PKD(例えば、ADPKD)を有するか、もしくはPKDを発現する危険性のある個体に存在するか、または個体から分離された腎臓嚢胞細胞である。好ましくは、嚢胞細胞は哺乳動物細胞(例えばヒト細胞)である。PKD2アゴニストの具体例はトリプトライド関連化合物である。任意で、PKD2アゴニストは本方法における嚢胞細胞においてカルシウムシグナル伝達を調節する。
ある態様において、本発明はポリシスチン-1(PKD1)またはポリシスチン-2(PKD2)を発現する細胞におけるカルシウム流入を調節する方法を提供する。かかる方法は、細胞を有効量のPKD2アゴニストに接触させる事を含む。任意で、該細胞は、PKD(例えば、ADPKD)を有するか、もしくはPKDを発現する危険性のある個体に存在するか、または個体から分離された腎細胞である。PKD2アゴニストの具体例は、限定されないが、トリプトライド、トリプトライドプロドラッグ、および、トリオール-トリポライド、トリプトニド、14-メチル-トリプトライド、14-デオキシ-14α-フルオロ-トリプトライド、5α-ヒドロキシトリプトライド、19-メチルトリプトライド、および18-デオキソ-19-デヒドロ-18-ベンゾイルオキシ-19-ベンゾイルトリプトライド、および14-アセチル-5,6-ジデヒドロトリプトライド等のトリプトライド誘導体を含むトリプトライド関連化合物である。
ある特定の態様において、本発明はPKD1および/またはPKD2の遺伝子産物等のカルシウムチャネルが突然変異する;カルシウムシグナル伝達が異常である;またはその両方である任意の状態を処置するためか、または処置を補助するためのPKD2アゴニストの使用に関する。また本明細書に記載されるのは、PKDにおけるカルシウムシグナル伝達等の、嚢胞細胞におけるカルシウムシグナル伝達を回復させることにより、細胞増殖を抑制する(部分的もしくは全面的に減少する)、および/または嚢胞形成を弱める(遅延、防止、または後進する)ためのPKD2アゴニスト(例えば、トリプトライド関連化合物)の使用である。本明細書に具体的に記載されるのは、PKD2アゴニストが腎多嚢胞病のマウスモデルにおいて、これらの細胞におけるカルシウムシグナル伝達を回復させることにより、細胞増殖を抑制し、全体的な嚢胞形成を弱めることができる事である。
ある態様において、本発明はカルシウムチャネル(例えばPKD2)が突然変異する、および/またはカルシウムシグナル伝達が異常である(カルシウム異常により起こる状態とされる)状態を処置するためか、または処置を補助する方法を提供する。かかる方法は、かかる処置を必要とする個体にPKD2アゴニスト(例えば、トリプトライド関連化合物)を投与する事を含む。PKD2アゴニストは(部分的または全面的に)カルシウム異常を正し、(部分的または全面的に)カルシウムシグナル伝達を回復するために十分な量で投与されることにより、カルシウム異常によって起こる状態を処置するか、または処置を補助する。本明細書に記載されるように、「カルシウムシグナル伝達を回復する」という語句は、カルシウムシグナル伝達を、細胞増殖の停止および嚢胞形成の減衰をもたらす水準に上げることを意味する。特定の態様において、かかる状態はKPD(例えば、ADPKD)である。一つの態様において、PKD2アゴニストは、細胞内でのカルシウム放出を調節するため、特に細胞内でのカルシウム放出を(部分的または全面的に)回復するために十分な量で個体に投与される。さらに特定の態様において、PKD2アゴニストは、PKD2遺伝子の活性/機能を調節し、個体がPKDを発現するのを妨げるか、またはPKDが起こるまで拡大しないように、PKD1遺伝子において突然変異があるが、PKD2遺伝子においては突然変異がない個体に投与される。各態様において、カルシウムシグナル伝達は、細胞増殖の停止および/または嚢胞形成の減衰をもたらすような程度に回復される。カルシウム異常により起こる状態のさらなる例としては、限定されないが、MCKD(延髄嚢胞性腎疾患)、TSC(結節硬化)、腎結核(nephronophthisis)、およびバルデー-ビードル症候群が挙げられる。
ある態様において、一つ以上のPKD2アゴニスト(例えば、トリプトライド関連化合物)は、様々な経路、例えば経口、局所、非経口、膣内、全身、筋内、直腸、または静脈内によって個体に投与され得る。ある態様において、PKD2アゴニストは医薬担体と共に処方される。
ある態様において、PKD2アゴニスト(例えば、トリプトライド関連化合物)は、単独で、または互いに併用し合って、および/もしくはADPKDを処置するための、EGFレセプターキナーゼインヒビター、COX2インヒビター、バソプレッシンV2レセプターインヒビター、PTBRのリガンド、ソマトスタチン類似体(例えばオクトレオチド)、およびピオグリタゾン等の、第二の薬剤もしくは薬物と併用して、投与され得る。例えば、トリプトライド、その前駆物質(例えばプロドラッグ)、またはトリプトライド誘導体は、単独で、または互いに併用し合って(例えば、トリプトライドおよびトリプトライド類似体)、もしくは第二の薬剤もしくは薬物と併用して(例えば、トリプトライドおよびEGFレセプターキナーゼインヒビター)、処置を必要とする個体に投与され得る。第二の薬剤は、PKD2アゴニストと同じ処方において、または別の処方において、処置を高めるために投与され得る。これらの態様において、PKD2アゴニストおよび第二の薬剤は、それらがかかる方法で投与され、所望の効果を生じるのに十分間に合うという条件で、一緒に(同時に)または別々に(順次)に投与され得る。
本発明の主題はまた、PKD1の遺伝子産物および/もしくはPKD2の遺伝子産物が突然変異する;カルシウムシグナル伝達が異常である;またはその両方である等の、カルシウムチャネル機能の崩壊がある個体の状態を処置するためか、または処置を補助するために有用な医薬組成物である。かかる組成物は一つ以上のPKD2アゴニストを含む。例えば本発明の組成物は、処置を必要とする個体におけるPKD(例えば、ADPKD)の処置、または処置を補助するために有用である。
さらなる態様において、本発明は、嚢胞性疾患の処置のための医薬の製造におけるPKD2アゴニストの利用、および異常なカルシウムシグナル伝達によって起こる状態の処置のための医薬の製造におけるPKD2アゴニストの利用に関する。
(発明の詳細な説明)
本発明は、トリプトライドおよび/またはトリプトライド誘導体(例えば、類似体)等のポリシスチン-2(PKD2)のアゴニストが腎臓の嚢胞細胞の増加を遅延または阻害する、およびカルシウムシグナル伝達を調節するのに効果があるという発見に、少なくとも部分的に、基づく。実施例に記載されるように、大量のタンパク質精製戦略を設計し、推定上のトリプトライド結合タンパク質の同定を容易にした。クロマトグラフによるタンパク質の画分、SDS-PAGE分離、およびMALDI-MS分析の後、110kDバンドがポリシスチン-2として同定され、トリプトライド活性の潜在的な生物学的標的としての役割をした。出願人らは本明細書において、トリプトライド結合および機能へのカルシウム依存効果、並びに、トリプトライドが投与される濃度によって、トリプトライドが細胞増殖を抑制またはアポトーシスを誘発することができることを実証している。トリプトライドが細胞増殖または細胞死を調節できる能力に基づき、その抗腫瘍効果、およびポリシスチン-2チャネル活性を通じた推定上の機械的作用に基づいて、出願人らはADPKDモデルにおけるトリプトライドの治療効果を評価した。トリプトライドおよびトリプトライド誘導体は、カルシウム流入を調節し、細胞増殖を抑制し、または嚢胞進行を減少もしくは遅延し得るPKD2アゴニストの例として用いられる。当業者は、他のPKD2アゴニストが以下に記載される方法を用いて得られることを、容易に認識するであろう。
治療化合物
ある局面において、本発明は、様々な治療用途のための一つ以上のPKD2アゴニストに関する。本明細書に記載されるように、「PKD2アゴニスト」は、PKD2活性を模倣するか、または高める。PKD2活性としては、限定されないが、細胞におけるPKD2媒介カルシウム放出等のPKD2媒介カルシウムシグナル伝達事象が挙げられる。例えば、PKD2アゴニストはPKD2タンパク質に直接的に結合し得るか、またはPKD1とPKD2の相互作用を高め得る。例えば、PKD2アゴニストは小さな有機分子、タンパク質、抗体、ペプチド、ペプチド模倣剤、または核酸であり得る。
本発明の特定な態様において、PKD2アゴニストはトリプトライド関連化合物である。本明細書で使用する場合、用語「トリプトライド関連化合物」とは、トリプトライド、トリプトライドプロドラッグ、およびトリプトライド誘導体(例えば、類似体)を含む。任意で、トリプトライド誘導体またはプロドラッグは、細胞においてカルシウム放出を調節できる、および/またはPKD1もしくはPKD2等のカルシウムチャネルに結合できる。
構造に関して、トリプトライド「誘導体」としては、例えば、水素原子もしくは水酸基の、水酸基、低級アルキルもしくはアルケニル、低級アシル、低級アルコキシ、低級アルキルアミン、低級アルキルチオ、オキソ(=O)、もしくはハロゲンとの置換、または単結合から二重結合もしくはエポキシドへの変化、を含み得る修飾を経てトリプトライドから得られる化合物が挙げられる。その意味で、「低級」は好ましくはC1からC4をいい、例えば「低級アルキル」はメチル、エチル、または鎖状もしくは分鎖のプロピルもしくはブチルをいう。好ましい水素原子の置換としては、水酸基、メチル、アセチル(C(O)CH3)およびフルオロが挙げられる。
例えば、トリプトライド関連化合物としては、トリオール-トリプトライドおよびトリプトニドが挙げられる。トリプトライド誘導体およびプロドラッグの他の例としては、14-メチル-トリプトライド、14-デオキシ-14α-フルオロ-トリプトライド、5α-ヒドロキシトリプトライド、19-メチルトリプトライド、および18-デオキソ-19-デヒドロ-18-ベンゾイルオキシ-19-ベンゾイルトリプトライド、および14-アセチル-5,6-ジデヒドロトリプトライド、例えば米国特許第5,663,335号、第5,962,516号、第6,150,539号、第6,458,537号、第6,569,893号、および第6,943,259号(これらの米国特許はそれぞれ、全体が参照により本明細書に援用される)に記載されるものが挙げられる。トリプトライド誘導体およびプロドラッグは、それらに記載される方法等によりトリプトライドから調製され得る。
ある態様において、生理的pHでイオン性基を有する任意のトリプトライド関連化合物は、薬学的に許容され得る塩として提供され得る。この用語は例えば、アルカリおよびアルカリ土類金属陽イオン(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、バリウムおよびカルシウム)等の、有機および無機陽イオンを有するカルボン酸塩;アンモニウム;または例えばジベンジルアンモニウム、ベンジルアンモニウム、2-ヒドロキシエチルアンモニウム、ビス(2-ヒオドロキシエチル)アンモニウム、フェニルエチルベンジルアンモニウム、ジベンジルエチレンジアンモニウム等の有機陽イオンを包含する。他の適切な陽イオンとしては、グリシン、オルニチン、ヒスチジン、フェニルグリシン、リジン、およびアルギニン等の塩基性アミノ酸のプロトン化した形態が挙げられる。
ある態様において、トリプトライド関連化合物の多くは、インビボでトリプトライドに変化し、プロドラッグの役目をする。(有機もしくは無機)エステルの加水分解、炭酸塩もしくはカルバミン酸塩からアルコールへ、または開環もしくは閉環からエポキシドもしくはラクトンへ、もしくはエポキシドもしくはラクトンから開環もしくは閉環等の、公知の機構によってインビボでトリプトライドに変化すると予想される化合物は、本明細書において、トリプトライドのプロドラッグまたはトリプトライドプロドラッグという。かかる化合物は典型的には、かかる変化を考慮して設計される。かかる化合物としては、例えば米国特許第5,663,335号、第5,962,516号、第6,150,539号、第6,458,537号、および第6,569,893号、並びに公開PCT出願WO2003/101951に記載されるトリプトライドプロドラッグが挙げられる。
本発明はまた、以下に記載されるスクリーニング方法から得られるさらなるPKD2アゴニストを意図する。
薬物スクリーニングアッセイ
ある態様において、本発明はPKD2アゴニストを同定するアッセイを提供する。かかるPKD2アゴニストは、嚢胞性疾患、癌、または異常なカルシウムシグナル伝達によって起こる任意の状態等の様々な状態の治療剤となり得る。ある態様において、本発明の薬剤は特にPKD2活性、例えば細胞におけるPKD2媒介カルシウム放出を調節する。任意で、PKD2アゴニストはPKD2に直接的に結合し得るか、またはPKD1とPKD2の相互作用を高め得る。PKD2アゴニストは、小さな有機分子、タンパク質、抗体、ペプチド、ペプチド模倣剤、または核酸を含むことを理解されたい。
ある特定の態様において、本発明は試験細胞(例えば細胞発現PKD2)におけるPKD2媒介カルシウム放出を高める薬剤を同定するスクリーニングアッセイを意図する。ある症例において、本発明はPKD2結合薬剤を同定するスクリーニングアッセイに関する。スクリーニングアッセイにおいて検出されるパラメータは適切なコントロールと比較され得る。適切なコントロールは、検査薬を除いて予め、並行して、または後に行われたアッセイであり得る。適切なコントロールはまた、検査薬を除外した場合の先行測定の平均であり得る。一般に、スクリーニングアッセイ混合物の成分は評価される全体の活性と一致した任意の順序で添加され得るが、ある変形が好まれ得る。
本発明のある態様において、アッセイ型式としては、リガンド/レセプター複合体、タンパク質/タンパク質複合体の形成、PKD2媒介カルシウム放出、および抗嚢胞活性等の状態に近い型式が挙げられる。ある症例において、アッセイは精製タンパク質または細胞溶解物、並びに無傷細胞を利用する細胞に基づくアッセイを含み得る。例えば、単純な結合アッセイもまたPKD2に結合する薬剤を検出するのに用いられ得る。他の結合アッセイはPKD1とPKD2の相互作用を調節する薬剤を同定するのに用いられ得る。かかるアッセイの具体例は以下の実施例で見出され得る。
典型的な結合アッセイにおいて、試験化合物を組み換えPKD2タンパク質に接触させる。試験化合物/PKD2複合体の検出および定量化は、試験化合物のPKD2に結合する能力を測定する手段を提供する。別の典型的な結合アッセイにおいて、試験化合物を、PKD2を発現する細胞に接触させる。PKD2媒介カルシウム放出を、試験化合物の存在下、または試験化合物の非存在下での細胞において測定する。試験化合物がPKD2媒介カルシウム放出を増加する場合、試験化合物はPKD2アゴニストである。化合物の効果は、様々な濃度の試験化合物を用いて得られたデータから用量反応曲線を作成することにより評価され得る。さらに、コントロールアッセイもまた、比較の基準を提供するために行なわれ得る。例えば、コントロールアッセイにおいて、複合体の形成は試験化合物の非存在下で定量される。
本発明のある態様において、スクリーニングアッセイにおける試験化合物は、合成された、組み換え技術によって作られた、または自然源から単離された、任意の化学物質(元素、分子、化合物、薬物)であり得る。例えば、これらの化合物はペプチド、ポリペプチド、ペプトイド、糖、ホルモン、または核酸分子(アンチセンスもしくはRNAi核酸分子等)であり得る。また、これらの化合物は、例えばコンビナトリアル・ケミストリーによって作られ、ライブラリに集められた小分子、またはより複雑な分子であり得る。これらのライブラリは、例えばアルコール、アルキルハロゲン化物、アミン、アミド、エステル、アルデヒド、エーテル、および有機化合物の他の種類を含み得る。これらの化合物はまた天然物、もしくは細菌、動物もしくは植物の細胞の溶解物もしくは生育培地から単離された遺伝子組み換え産物であり得、または細胞溶解物もしくは生育培地その物であり得る。試験系へのこれらの化合物の提示は、特に最初のスクリーニング工程において、単離された形態または化合物の混合物としてのいずれかであり得る。
本発明のさらなる様態において、候補薬剤は動物モデルにおけるPKD2アゴニストとして同定される。別のさらなる様態において、同定されたPKD2アゴニストは、その治療効果のための動物モデルにおいてさらに特徴付けられ得る。動物モデルとしては、非トランスジェニック動物(例えば、野生型)でもトランスジェニック動物でもあり得る、マウス、ラット、ウサギ、およびサルが挙げられる。例えば、薬剤の効果は、動物における嚢胞増殖を遅延または阻害する能力、および動物に対する一般毒性等の多くの効果に対し、動物モデルにおいて評価され得る。かかる動物モデルの具体例としては、実施例で以下に記載されるようなPKD1またはPKD2欠乏マウスが挙げられる。
医薬組成物および投与方法
本発明の方法のある態様において、PKD2アゴニストは薬学的に許容され得る担体と共に処方される。PKD2アゴニストは単独で、または医薬製剤の一成分として投与され得る。本明細書で記載されるように、用語「製剤」および「組成物」は交換可能に用いられる。PKD2アゴニストは、ヒトまたは動物の薬における使用のために、任意の便利な方法での投与のために処方され得る。ある態様において、医薬製剤に含まれるPKD2アゴニストは、それ自体で活性であり得るか、またプロドラッグであり得る。用語「プロドラッグ」は、生理学的条件下で治療効果のある薬剤に変化する化合物をいう。
本発明の方法に用いる一つ以上のPKD2アゴニスト(例えば、トリプトライド関連化合物)を含む製剤は、錠剤、カプセル、散剤、徐放性製剤、溶液、懸濁液、エマルジョン、軟膏、ローション、もしくはエアロゾル等の、固体、半固体、凍結乾燥粉末、または、液体投薬形態を取り得、好ましくは正確な用量の簡便な投与に適した単位投薬形態を取り得る。組成物は典型的には従来の医薬担体または賦形剤を含み、さらに他の医薬剤、担体、または補助剤を含み得る。
任意で、該組成物は、化合物または本発明の化合物の約0.5重量%〜75重量%を占め、残りは適切な医薬賦形剤からなるであろう。経口投与では、かかる賦形剤としては、医薬品等級の、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、滑石粉、セルロース、グルコース、ゼラチン、スクロース、炭酸マグネシウム等が挙げられる。必要に応じて、該組成物はまた、湿潤剤、乳化剤、または緩衝液等の、毒性のない補助剤を微量に含み得る。
PKD2アゴニストの製剤は、経口/経鼻、局所、非経口、膣内および/または直腸投与に好適なものを含む。製剤は経口的、経皮的、または非経口的に、例えば静脈内、皮下、腹腔内、または筋肉内注射によって被験体(個体)に投与され得る。経口液体調製物に用いるために、組成物は溶液、懸濁液、エマルジョン、またはシロップとして調製され得、水または通常の食塩水中での水和に好適な液体形態または乾燥形態のいずれかで供給される。非経口投与のための、非経口投与用の注射可能な組成物は、滅菌した生理食塩水等の好適な静脈内溶液にPKD2アゴニストを典型的に含む。液体組成物は、PKD2アゴニストおよび例えば食塩水、ブドウ糖水、グリセロールまたはエタノール等の薬学的に許容され得る担体における任意の医薬アジュバントを溶解させるか分散させ(一般に約0.5%から約20%)溶液または懸濁液を形成することによって調製され得る。PKD2アゴニストの局所的または経皮的投与のための投薬形態としては、散剤、噴霧、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチ、および吸入剤が挙げられる。
PKD2アゴニストはまた、固体または液体のいずれかで、好ましくは呼吸に適した大きさのエーロゾル粒子の形態で、吸入によって投与され得る。かかる粒子は十分に小さく、吸入の際に口および咽頭を通過して肺の気管支および肺胞に入る(pass into)。一般に、約1〜10ミクロンのサイズの範囲、好ましくは約5ミクロン未満のサイズの粒子が呼吸に適する。吸入用の液体組成物は、滅菌された発熱物質を含まない食塩水、または滅菌された発熱物質を含まない水等の水溶性担体中に分散された活性剤を含む。所望の場合、組成物は、組成物を噴霧しエーロゾルを形成するのを助ける高圧ガスと混合され得る。
製剤は、都合よく単位投薬形態で存在し得、薬学の分野で周知の任意の方法で調製され得る。担体物質と組み合わされ、単一投薬形態を生じ得る活性成分の量は、処置される宿主、投与の特定の様式によって変わる。担体物質と組み合わされ、単一投薬形態を生じ得る活性成分の量は、一般に治療効果を生じる化合物の量である。
かかる投薬形態を調製するための方法は、当業者にとって公知であるか明白である;例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences(第19版、Williams & Wilkins, 1995)を参照。投与される組成物は、例えば本明細書中に記載するようなADPKD患者を処置するための選択された化合物の有効量を含む。例証するために、ヒト患者への投与について用量の妥当な範囲は0.1〜20mgであり得、トリプトライドの活性と比較した誘導体の活性に依存する。i.v.投与は臨床上の設定において好ましいが、非経口または経口等の他の投与の様式もまた、経口投与に典型的に用いられるより高い投薬量と共に用いられ得る。
治療的適用
ある態様において、本発明は嚢胞成長を遅延または抑制し、細胞でのカルシウム放出(流入)およびカルシウムシグナル伝達を調節することにおける異常なカルシウムシグナルによって引き起こされる状態の処置のためのPKD2アゴニスト(例えばトリプトライドに関連する化合物)の投与に関する。1つの特定例において、本発明は腎多嚢胞病(例えばADPKD)の処置方法または処置を助ける方法を提供する。処置としては、限定されないが、例えば医薬組成物の投与が挙げられ、(例えば病理学的事象の始まりの後に行われる)予防的治療(prophylactic therapy)、予防的治療(preventive therapy)、または治癒的療法であり得る。
腎多嚢胞病(PKD)は、ヒトにおける末期腎疾患の主な原因である。PKDは集合管の重度な拡張によって特徴付けられ、常染色体優性(AD)形質としてまたは常染色体劣性(AR)形質として遺伝し得る。ヒトにおいて、ADPKDはARPKDよりも遅い発症および遅い進行を有し、それは通常新生児または若い子供に影響を及ぼす。ARPKDは両腎臓の大規模な拡張(enlargement)を引き起こし得る。新生児期を生存したほとんどの個体は結局腎不全になる。
PKDを有するヒトおよびげっ歯類由来の嚢胞腎において異常な発現を示す多数の遺伝子は、シグナル伝達、転写制御、および細胞周期調節と関連する細胞過程が嚢胞形成に関与し、PKDの細胞欠陥が上皮分化の制御に直接影響することを示唆する。オートクラインループを含む嚢胞発達のモデルが提案されており、ここで嚢胞上皮細胞は、さらなる増殖を導く嚢胞内腔活性化EGFレセプター中に分泌される上皮細胞増殖因子(EGF)を合成する。ヒトADPKD腎臓は、c-myc mRNAを過剰発現することが示されている。
本発明の一態様において、PKD2アゴニスト(例えばトリプトライドに関連する化合物)は、ADPKD等のPKDを予防するために個体における症候性腎疾患の発症前に投与される。例えば個体は、家族歴、腎臓画像化研究および/または遺伝的スクリーニングによって決定される場合、PKDになる危険性を測定される。
PKDをスクリーニングするか、または診断するための種々の方法が存在する。第一に疾患の遺伝特性を与えることにより、家族歴の注意深い検討が行われ得る。この情報は典型的に、家族の医療記録から、および患者の親族の健康歴における特定の情報を要求する患者の質問表を通して被験体から得られる。第二に、腎臓画像化研究はPKDにおける一般的な診断手段となっている。嚢胞の発達を測定するのに使用され得る特定の種類の画像化としては、超音波、CTスキャン、MRIおよび他の画像化技術が挙げられる。最終的に遺伝的スクリーニングが使用され得る。例えば最近の研究は、嚢胞形成が生殖細胞系列破壊(disruption)を伴う患者の残存正常PKD対立遺伝子の無作為な体細胞変異の結果として始まることを示唆する。ADPKD患者において、1つのPKD対立遺伝子(PKD1またはPKD2)に突然変異が見つかっている。例えば、ADPKD患者からの嚢胞細胞におけるPKD対立遺伝子の分析から、腎嚢胞のおよそ20%にヘテロ接合性の消失(LOH)または非影響化PKD1対立遺伝子を含む遺伝子内変異が明らかになっている。染色体DNAおよびmRNA転写物の変化を探査するための有用な技術としては、RELP分析、配列分析と統合されたRT-PCR、およびSNP同定が挙げられる。
本発明の1つの特定の態様において、PKD2アゴニスト(例えばトリプトライドに関連する化合物)は、個体が症候性腎疾患を示すとき、PKDを予防するかまたは処置するために投与される。本明細書中で用いられる場合、障害または状態を「予防する」治療とは、統計的試料において、未処置のコントロール試料と比較して処置された試料における障害または状態の発生が減少する化合物、あるいは開始を遅らせるかまたは未処置のコントロール試料と比較して障害もしくは状態の1つ以上の症候の重篤度を減少させる化合物をいう。用語「処置」とは本明細書中で用いられる場合、名前を付けられた状態の予防、または確立された状態の改善もしくは除去を含む。
一態様において、本発明はPKD等の状態に対する組み合わせ療法または複合療法を提供する。それ故に例えばPKD2アゴニスト(例えばトリプトライドに関連する化合物)は、他の治療剤と組み合わせて用いられ得る。これらのさらなる治療剤としては、限定されないが、抗ウイルス剤、抗癌剤および抗炎症剤が挙げられる。特定の態様において、本発明の方法は、治療有効量のPKD2アゴニストおよびPKDを処置するための第二の治療剤、例えばEGFレセプターキナーゼインヒビター、COX2インヒビター、バソプレシンV2レセプターインヒビター、PTBRのリガンド、ソマトスタチン類似体(例えばオクトレオチド)およびピオグリタゾンを個体に投与する工程を含む。例えば、トリプトライド、その前駆物質(例えばプロドラッグ)またはトリプトライド誘導体が、処置を必要とする個体に単独で、もしくはお互いと組み合わせて(例えばトリプトライドおよびトリプトライド類似体)、または第二の薬剤もしくは薬物(例えばトリプトライドおよびEGFレセプターキナーゼインヒビター)とともに投与され得る。第二の薬剤は、処置を高めるためにPKD2アゴニストとともに同一の製剤で、または別々の製剤でのいずれかで投与され得る。これらの態様において、PKD2アゴニストおよび第二の薬剤は一緒に(同時に)、または別々の時間に(連続して)投与され得るが、ただしそれらはかかる様式、および所望の効果を有するために十分に近い時間で投与される。
ある態様において、本発明の方法は、治療有効量のPKD2アゴニストを投与する工程を含む。語句「治療有効量」とは本明細書中で用いられる場合、標的細胞(例えば異常なカルシウムシグナル伝達に影響されるもの)の細胞成長の減少または抑制をもたらす量をいう。例えば、治療有効量のPKD2アゴニストは嚢胞成長を遅延させるかまたは抑制する。
今まで本発明が一般に記載され、以下の実施例に対する参照によって容易に理解されるが、それらは本発明のある局面および態様の例証の目的のためだけに含まれ、本発明を限定することを意図されない。
実施例1.カルシウム依存の研究がトリプトライドに対する作用の複数の様式を明らかにする。
トリプトライド、すなわち伝統的な中国の医薬用つる植物であるTryptergium wilfordii hookf.から単離されたジテルペントリエポキシドが、無数のがん細胞株において迅速なアポトーシスを誘導し、かつNFκBトランス活性化を抑制することが示されている。この治療的に関連のある天然産物に対する一般的な細胞機構をさらに理解するために、結合および生物学的活性が評価された。研究は、トリプトライド結合が飽和可能であり、可逆的であり、細胞膜に対して主として局在化されたことを示した。カルシウムの枯渇は全体的な結合を強くしたが、生物学的機能を区別して調節した。さらに、トリプトライドの構造的部分は、細胞死の調節対NFκBトランス活性化の抑制においてばらつきを示した。これらの結果は、各々の特定の生物学的機能を誘発するために、カルシウムおよび有効トリプトライド濃度に対して異なる要件を有する少なくとも2つの異なる細胞経路の操作におけるトリプトライドの関与を明らかにする。
1.[3H]-トリプトライド結合は可逆的であり、細胞膜に結合する。
トリプトライド機構の作用の洞察を得るために、出願人らは、[3H]-トリプトライドを使用した系を利用してその特異的結合活性を測定するために追求した。1μMまたは10μMの非標識化トリプトライドとの競合に加えて、出願人らはまた、トリプトライド類似体の結合親和力を測定した(図1A)。これらの類似体は前記されており、12、13エポキシド(2)の加水分解、およびC-14ヒドロキシル(3)でのケトンの形成におけるトリプトライドと構造的に異なる(図1A)。HeLa細胞は1時間のインキュベーション間に[3H]-トリプトライドに容易に結合し、結合は有意に、前処理した過剰の非標識化トリプトライド(1〜10μM)と競合した(図1B)。1または10μMのいずれかにて、両方のトリプトライド類似体は、[3H]-トリプトライドのほとんど全ての置換(displacement)を示した(図1B)。推定されたトリプトライド結合の実体を有するこれらの類似体の効果的な相互作用によって、出願人らはトリプトライドの生物学的機能の様式を取り扱う次なる実験においてそれらを使用した。
第一に細胞内のトリプトライド結合の性質を取り扱うために、出願人らは、[3H]-トリプトライド標識化が過剰な非標識化トリプトライドの次の添加によって競合しない場合、この相互作用が可逆的だと決定した(図2A)。さらなる標識実験、その後の細胞分画は、 [3H]-トリプトライドが細胞の膜画分(P-100)に優先的に結合することを示した(図2B)。全細胞数の25%(すなわち結合トリプトライドを表す)が細胞質ゾル画分中に見出せたが、これが特異的結合かどうか、または単純に遊離トリプトライドが分画中に実験的操作のためにその結合タンパク質から解離したかは不明確である。今までデータは全細胞内での結合を示すのみであったので、出願人は次に、このトリプトライド結合タンパク質が、そのクロマトグラフィー試薬との関連性によってさらに特徴付けられ、および/または濃縮され得るかどうかを決定した。HeLa細胞は再度[3H]-トリプトライドで標識され、次いで全細胞溶解物が陰イオン交換樹脂DEAEを通過した。増加するNaCl濃度によるバッチ溶出は、変化し得る電荷の相互作用を解離するために使用された。[3H]-トリプトライドの実質的な溶出は、フロースルーまたはいくつかの塩を含まない洗浄(washes)で見られなかったが、実際は0.2M NaClの添加まで溶出は始まらなかった(図2C)。さらに、遊離した[3H]-トリプトライドが溶解バッファ中で希釈され、次いでこの樹脂を通過し、フロースルーまたは塩を含まない洗浄中に溶出し、トリプトライド単独ではこのクロマトグラフ媒体と相互作用しないことを実証した。重要なことに、出願人はまた、[3H]-トリプトライドが培養中の無傷の細胞にのみ結合するが、DEAE樹脂との相互作用で評価される場合、全細胞溶解物のいかなる成分にも結合しないことを観察した。トリプトライド結合相互作用に対する陰性結果はまた、DNAセルロースおよび陽イオン交換樹脂SPFF(スルホプロピル)で観察された。
直接的タンパク質相互作用に対する証拠の別の方面(line)は、[3H]-トリプトライド標識化膜調製物のさらなる分離を含んだ。細胞の標識および高スピード遠心分離、その後の界面活性剤再溶解化(detergent resolubilization)による全膜精製は、天然または変性条件の下([3H]-トリプトライド溶解物はいずれの実験条件でも沸騰させなかった)で、6%ポリアクリルアミドゲル上で泳動された(run out)試料を生じた。ゲル切片を分子量範囲に基づいて抽出し、粉砕し、水抽出し、その後液体シンチレーションを行った。天然ゲル分離は、[3H]-トリプトライドが250kDを超える1つまたは複数のタンパク質に結合するが、変性条件は75から250kDよりも大きい範囲で結合する [3H]-トリプトライドの分離を示すことを示した(図2D)。これらの結果は、還元条件の際に解離するタンパク質複合体にトリプトライドが結合し得ることを示した。これらのデータはまた、[3H]-トリプトライドで標識された全細胞溶解物が、100kDの分子量カットオフを超える大部分の結合相互作用を保持するサイズ排除アッセイによっても支持される。
上記のデータに基づいて、出願人は次にトリプトライド結合が飽和可能であるか、および1つより多いタンパク質(または結合部位)が標的されたかどうかを決定するために追求した。[3H]-トリプトライド結合親和力(KD)および細胞ごとの結合能力(Bmax)の測定は、飽和プロットを用いて計算された。HeLa細胞を90%のコンフルエンシーまで培養し、続いて0〜100nMの[3H]-トリプトライドで1時間処理した。非特異的結合は、競合相手としての2μM冷トリプトライドを用いて規定した。Bmaxを、トリプトライド結合部位の105細胞に対し99±19fmolトリプトライド結合になるまで計算した。特異的結合は、15.5±0.8 nMのKD値で飽和可能であることが見出されたが、非特異的結合は直線状(飽和可能でない)であった(図2E)。
2.トリプトライド結合活性は細胞外カルシウム濃度に影響される。
さらに細胞内のトリプトライドの相互作用の性質を理解するために、出願人らは[3H]-トリプトライド結合が影響するかどうかを調べるために細胞培養条件を変えた。カルシウムは、NF-ATおよびNFκB(Tomida, et al.,2003, EMBO J22, 3825-3832;Dolmetsch, et al.,1997, Nature 386, 855-858;Dolmetsch, et al.,1998, Nature 392, 933-936)の転写活性化を含む、多くの細胞機能を媒介することが示されている。さらに、異常型カルシウムシグナル伝達は細胞死を生じ得ることが確立されている(Rizzuto, et al.,2003, Oncogene 22, 8619-8627;Orrenius, et al.,2003, Nat Rev Mol Cell Biol 4, 552-565)。トリプトライド自体のNFκBおよびNF-ATとの結合、ならびに細胞死をもたらすその傾向のために、出願人らはトリプトライド結合が遊離カルシウムレベルによって調節され得るかどうかを調べた。[3H]-トリプトライドの添加前に、接着性HeLa細胞を、カルシウム含有培地の有無の下で16時間培養した。複製実験は、細胞外カルシウムの非存在下で、[3H]-トリプトライド結合が細胞数および細胞密度に依存して2〜4倍の間で有意に増加することを確認した(図3A)。細胞密度(細胞数ではない)の増加はまた、カルシウムレベルに関わらずトリプトライド結合を増大させることも注目すべきである。さらに、カルシウム含有培地での10mM EGTAによる1時間の特異的カルシウムキレート化は、結合をほぼ2倍に増加させた。これらのデータは、カルシウムレベルが低いとき、1つまたは複数の標的タンパク質とのトリプトライド相互作用が潜在的に安定しているか、または高まることを示唆する。
3.トリプトライド誘導の細胞死は、カルシウムの非存在下で遅延される。
細胞外カルシウム濃度はトリプトライド結合に影響し得るので、出願人らは、カルシウムの存在がトリプトライド媒介アポトーシスの速度に影響するかどうかを決定するために追求した。第一に培地±カルシウム中のHeLaの増殖速度を確立するために、細胞計数が72時間の時間経過にわたって行われた。カルシウムを含まない培地はより簡単に細胞の分離を引き起こしたが、全体の増殖速度は同様であり、細胞倍化は平均して24時間毎に起きた(図3B)。トリプトライド実験のために、100nMトリプトライドの添加前に、細胞を初めに培地±カルシウム中で16時間平衡化した。薬物処理の24時間後、48時間後、および72時間後にて、細胞死をトリパンブルー染色除去によって評価した。カルシウム含有培地の存在下にて、トリプトライドは24時間までに少なくとも50%の細胞死をもたらし、この傾向はその後の時点を通して続いた(図3C)。対照的に、増殖培地からのカルシウムの除去は、生存細胞のより高い比率をもたらした(図3C)。カルシウムを含まない培地でのトリプトライド添加の72時間後に細胞の35%のみが死滅し、それはこの過程において有意な遅延が存在することを示す。これらの結果は、トリプトライドによってもたらされる効率のよい細胞死におけるカルシウムの役目を支持する。しかしながら、カルシウムの不足が遅延するのみであって細胞死を排除しないので、アポトーシスを促進する適当な第二の(たとえもっと遅くても)機構が存在する。
さらにトリプトライド機能におけるカルシウムの役割を調べるために、出願人らはバッファ細胞内カルシウムレベルに対する系を利用した。種々のGFP-パルブアルブミン(PV)融合タンパク質は、核局在化または排除シグナル(それぞれNLSまたはNES)によって、細胞核または細胞質のいずれかに対して特に局在化され得る(Pusl, et al.,2002, J Biol Chem 277, 27517-27527)。パルブアルブミンは2つのEF-ハンド(hand)カルシウム結合ドメインを有し、細胞中の遊離カルシウムの有用性を効果的に減少させ得る(Pausl, et al.,1996, Biochim Biophys Acta 1306, 39-54)。HeLa細胞は、カルシウム含有培地中でGFPベクターコントロール、すなわちNES-PV-GFPまたはNLS-PV-GFPで一過性トランスフェクトされ、各構成物の有効な発現はGFP局在化で測定された(図4A)。正常な細胞増殖は、初めに48時間通して各々の構築物で評価された。全てのトランスフェクションは、薬物の添加無しでの実験の経過中、正常な増殖倍化をもたらした(図4B)。トリプトライド実験に対して、細胞をトランスフェクトし、100nMトリプトライドの添加前に24時間構築物を発現させた。処理の24時間後および48時間後、細胞を生存力で評価した。コントロールGFPベクターおよびNLS-PV-GFPの双方が同様なアポトーシス誘導を示し、そこでは細胞の50%が丸みを帯び24時間後にはもはや生存し得なかった(図4C)。しるしをつけたコントロールにおいて、細胞質ゾルのパルブアルブミン(NES-PV-GFP)は、この時点(15〜20%アポトーシス)において有意にトリプトライド誘導の細胞死を阻害した(図4C)。しかしながらこの効果は、48時間までに全ての条件において完全な細胞死が存在した場合、一時的であった。パルブアルブミン緩衝化実験は細胞外カルシウムの存在下で行ったので、細胞は細胞内カルシウムの蓄積が補充され得る点において正常に作動し得る。次いで、カルシウムホメオスタシスがトリプトライドに影響される(すなわち細胞質ゾルのカルシウムレベルが増加する)かどうかを予想するのは合理的であり、パルブアルブミンはついに飽和点に達する。これはアポトーシスからの救出が24時間の時点で一時的であるが、48時間までには失われるという理由で説明され得る。これらの結果は、トリプトライド機能に対するカルシウムの全体的な重要性を確認するだけでなく、トリプトライド誘導の細胞死における媒介物として細胞質ゾルのカルシウムレベルをより具体的に確認する。
4.トリプトライドによるNFκBトランス活性化の阻害は、カルシウムと無関係である。
トリプトライド誘導の細胞死が遊離のカルシウム濃度に依存することを確立したので、出願人らは次に、これもまたNFκB転写の阻害の要件かどうかを決定した。洗浄され、次いでカルシウム含有培地の有無の下で16時間培養される前に、HeLa細胞を8時間κB-ルシフェラーゼレポーター構築物で一過性トランスフェクトした。15ng/mlのTNF-αを4時間添加する前に、トリプトライド(100nM)を細胞と1時間プレインキュベートした。TNF-α誘導のNFκBトランス活性化と同様のプロフィールがカルシウムの有無の両方で見られたが、トリプトライドは効果的にそれを阻害した(図5A)。
さらなる実験として、転写活性もまた部位特異的カルシウム緩衝化によって評価された。HeLa細胞をκB-ルシフェラーゼプラスミドおよび以下の構築物:GFP空(empty)ベクター、NES-PV-GFP、またはNLS-PV-GFPの1つで共トランスフェクトし、適切なGFP局在化が確認された。100nMトリプトライドおよび15ng/mlのTNF-αを添加する前に、細胞を24時間カルシウムの存在下で増殖させた。TNF-α単独によるNFκBトランス活性化はかなり高いが、NES-およびNLS-パルブアルブミントランスフェクト化細胞の両方は、ベクターコントロールと比較した場合、わずかに低いレベルのルシフェラーゼ発現を示した。重要なことに、トリプトライドは全ての実験条件においてNFκBトランス活性化を抑制する能力をまだ維持した(図5B)。これらの結果は、トリプトライドによるアポトーシスの有効な誘導がカルシウムと無関係であるが、NFκB転写制御の阻害はカルシウムと無関係でないことを示唆する。
5.トリプトライド濃度は、細胞死およびNFκBの阻害を特異的にもたらす。
出願人らの結果は、カルシウムによって調節され得る潜在的な結合タンパク質または複合体に対するトリプトライドの可逆的結合に関連している。トリプトライド機能が細胞死とNFκB阻害との間でさらに分離可能かどうか理解するために、出願人らは、これら2つの終点での濃度の効果を調べた。HeLa細胞を0、10、25、50または100nMのトリプトライドの存在下で培養し、細胞死またはTNF-αで促進されたNFκBトランス活性化を抑制する能力に対し別々に評価した。24〜48時間の培養後、生存細胞は回収され、数えられた。24時間後、25〜100nMのトリプトライド濃度は、50%よりも多い細胞に、分離、凝集およびトリパンブルー染色を除去できないことによって評価される場合、細胞死を引き起こした。48時間後、トリプトライドのこの濃度範囲内で処理されたほとんど全ての細胞が死滅した(図6A)。未処理のHeLa細胞は2サイクルの***をし、その一方で10nMトリプトライドが細胞増殖を阻害するが、細胞死を誘導しなかった。これは、低用量のトリプトライドが、アポトーシスよりもむしろ細胞周期停止を引き起こすことを示す以前の研究と一致する(Kiviharju, et. al.,2002, Clin Cancer Res 8, 2664-2674)。3〜4時間がアポトーシスに付する(commitment)のに必要とされる最小のインキュベーション時間であるので、最終的には細胞死に帰する細胞に対するトリプトライドの作用は、初めは可逆的であることにも留意のこと。
NFκBトランス活性化を、κB-ルシフェラーゼレポーター構築物を用いて調べた。HeLa細胞は一過性トランスフェクトされ、TNF-α添加に先立って1時間0〜100nMのトリプトライドで前処理した。さらなる5時間のインキュベーション後、細胞はNFκB駆動ルシフェラーゼ発現に対して評価され、その時間にてTNF-αはコントロール細胞のおよそ15倍の転写活性を誘導した。10および25nMの両方のトリプトライドは、NFκBのTNF-α駆動転写活性を阻害しなかった(増殖の阻害、または細胞死の誘導をそれぞれ示す濃度)が、50nMのトリプトライドは活性を20%抑制し、100nMのトリプトライドは平均60%阻害を伴う最も大きな(profound)効果を有した(図6B)。24時間後に10nMトリプトライド+TNF-αでアッセイしたルシフェラーゼ活性は、20倍よりも大きい誘導をさらに示したことも留意のこと。同一の年代時間でのこれら2つの生物学的終点の調査は、10nMのトリプトライドが細胞増殖の停止において十分であるが、TNF-α誘導のNFκB転写活性を阻害し得ないことを示唆する。ここまでは、該結果はトリプトライド媒介機能の相違を支持し:経路調節増殖停止/死は、NFκBの転写抑制を導く機構よりもトリプトライドおよびカルシウムに対してより感受性である。
6.トリプトライド類似体は細胞死を誘導するか、またはNFκBトランス活性化を阻害する特異的な能力を示す。
2つの測定された生物学的終点、すなわち細胞死および転写抑制に対するトリプトライドの濃度依存効果を調べる出願人らの研究に基づいて、出願人らは、どのような調節でトリプトライドの構造がまた2つの経路間を区別し得るかを決定しようとした。細胞生存アッセイに対し、HeLa細胞を0、0.1、1、または10μMの各類似体もしくはトリプトライドで24時間インキュベートし、次いでトリパンブルー染色除去を用いて計数した。前に示したように、トリプトライドはより高い濃度にて有意な増加を伴わず、0.1μMにて50%よりも大きい細胞死を効果的に誘導した(図7A)。NFκB転写阻害は、各類似体(0〜10μM)およびTNF-α添加を伴う5時間のインキュベーション後に、前に記載したようなκBルシフェラーゼアッセイを用いて測定した。NFκB阻害は60%よりも大きく、トリプトライドの濃度が1μMまたは10μMに増加した場合、さらに弱められる(図7A)。
類似体(2)中の12、13エポキシドの***の際、各々の生物学的終点に関して特異的な効果が見られた。0.1μMの類似体(2)にて、トリプトライドの同等濃度にて観察された約60%の細胞死と比較する場合、細胞生存は未処理のコントロールと違いが無かった(図7B)。
しかしながら、0.1μMの類似体(2)にて72時間外で(out to)細胞が継続的に増殖し得る場合、それは全体的な増殖抑制効果が存在し得る証拠となった。興味深いことに、1μMの類似体(2)、すなわち結合の間トリプトライドと効果的に競合する(図1B)濃度は50%より大きい細胞死を誘導したが、NFκB転写活性に効果を有さなかった(図7B)。したがってNFκB阻害の機構は、細胞増殖/細胞死調節経路よりも、12、13エポキシドの構造的完全性に対してより感受性であることが明白である。
最も強力で、かつトリプトライドに生物学的に類似しているのは類似体(3)であった。[3H]-トリプトライド結合の置換は、1および10μM濃度の両方にてほぼ完全であった(図1B)。実際1μM類似体(3)は、同一の濃度にてトリプトライドそれ自体よりも高い競合能力を実際に顕現した(図1B)。細胞死および転写抑制の両プロフィールは、0.1〜10μMから有意な相違を伴わずに、トリプトライドを模倣した(図7C)。しかしながら25nM、すなわちトリプトライドによって細胞死を誘導することが示される濃度(図6A)にて、類似体(3)は増殖抑制効果のみを有したことを留意のこと。類似体(3)による結合について競合が非常に強かったので、このデータは、一番低い濃度(25nM)でのトリプトライド誘導アポトーシスが、一部C-14ヒドロキシルの官能基に起因するという考えを支持する。
要するにトリプトライドは、炎症の減衰作用、自己免疫の抑制、およびある腫瘍の除去または後退にわたる広範囲の治療可能性を有する。トリプトライドの作用の機構の基礎研究は、どのようにしてこの小分子がかかる広範囲の効果を顕現させ得るのか、ほとんど理解されておらず不完全である。[3H]-トリプトライドをプローブとして利用することによって、出願人らは細胞中のトリプトライド結合の特性を調べ、ならびにトリプトライド機能の2つの詳しく記載された生物学的終点:細胞死およびNFκBの転写抑制に関係する問題を取り扱った。特定のトリプトライド結合活性は無傷の細胞内に存在し、可逆的であり、細胞膜と優先的に結合し、カルシウムレベルに対して感受性である。トリプトライド結合は細胞外カルシウムの枯渇の際に増加するが、それは細胞死をもたらすその能力を大きく損なう。NFκBトランス活性化に対するトリプトライド効果がカルシウムの有無の下で不変であるので、この観察されたカルシウム依存性はアポトーシスの調節に対し特異的である。全体的な分離の生物学的効果は、トリプトライドが低いナノモル濃度にて存在する場合、さらに識別され得る。10nMは成長阻害であり、25nMは細胞死をもたらすが、これらの濃度のどちらも転写抑制を顕現し得ない。トリプトライド類似体を利用する限定された構造機能分析は、トリプトライド相互作用部位に対する競合的結合が無傷であるのに対し、生物学的効果は構造部位に大きく依存することが実証されている。これらの発見は、カルシウム要求によって区別可能な少なくとも2つの分離可能な経路を通して機能としてのトリプトライド、薬物濃度に対する感受性、構造的実体に対する優先性への関与が明らかにされる。さらに出願人らは、細胞内に特定のトリプトライド相互作用を特徴づけ始めたので、トリプトライド結合タンパク質は今後同定され得る。
7.実験手順
A)試薬
トリプトライドをSinobest Inc.(China)から入手し、HPLCによって決定される場合、純度は99%であった。DMSOを使用してトリプトライドを溶解し、次いで全ての実験のための培養培地中に直接添加した。トリプトライドをSib Tech, Inc.(Newington, CT)でトリチウム化し、エタノール中で再懸濁し、4〜6Ci/mmolの比放射能にした。Hypersil C18カラムにおけるRP-HPLC、ならびにC18およびシリカゲルの双方におけるTLCによって確認された場合、純度は95%より大きかった。Epi-トリプトライド/トリオール−トリプトライド(C.A.S.No 147852-78-6)、およびトリプトニド(C.A.S.No 38647-11-9)をSequoia Research Products(United Kingdom)から購入した。
B)細胞培養および生存研究
HeLa細胞をDMEMまたはSMEM(Gibco)培地+10%FBS中でインキュベートし、全ての実験に対して37℃、5%CO2にて維持した。HeLa細胞の生存力をトリパンブルー染色除去、および形態学的調査(非生存細胞は丸みを帯びており、培養プレートから分離されていた)によって評価した。
C)HeLa細胞の[3H]-トリプトライド標識
標識の研究は、およそ30nMの[3H]-トリプトライドを培養培地中に1時間37℃にて直接添加することによって行った。低温での競合研究に対し、[3H]-トリプトライドの添加前後に1時間、1μMのトリプトライドを細胞とともにインキュベートした。トリプトライド類似体の研究は同様のプロトコルに従い、そこで[3H]-トリプトライドの前に、競合に用いられる濃度が1または10μMのいずれかで添加された。培地を除去し、細胞を冷PBS中で3回洗浄した。全細胞溶解物を調製し(150mM NaCl、50mM Tris-HCl pH7.4、1mM EDTA、1% Triton X-100、およびComplete(登録商標)プロテアーゼ阻害剤(Roche))、液体シンチレーションによって[3H]-トリプトライド結合活性を測定する前に、タンパク質を定量化した。
DE-52陰イオン交換樹脂(Whatman,Inc.)であるジエチルアミノエチル(DEAE)セルロースを、1M塩化ナトリウム(NaCl)での洗浄後0M塩バッファ(10mM HEPES pH7.4、0.1mM EDTA、1mM DTT、0.1% Triton X-100)での複数回の洗浄により、結合のために調製した。[3H]-トリプトライドで標識されたHeLa細胞溶解物は樹脂を通過して、4℃にて30分間、フロースルーを収集する前およびその後の洗浄前に結合し得る。0.0〜1.0M NaClの段階的グラジエントを、タンパク質溶出のために使用した。その後全ての画分を液体シンチレーションによって計数した。
細胞分画研究のため、細胞を氷上で膨潤させ、低張溶解バッファ(10mM Tris−HCl+完全プロテアーゼインヒビター)中シリンジを通過させることによって溶解した。溶解物を100,000×gで遠心分離し、上清をS−100細胞質ゾル画分として保存した。ペレットを洗浄し、溶解バッファを含む1%Triton X−100中で再溶解した。遠心分離の後に、上清をP−100膜画分として保存した。さらに、P−100溶解物を、煮沸をしないネイティブゲルまたは還元ゲル条件下で流した。ゲル切片を同じ増分で計り、各々の分子量範囲を計算した。各ゲル断片をddHO中で破砕し、続いて水抽出物のシンチレーション計数を実施した。
D)[H]−トリプトライド特異的結合
飽和結合アッセイを、DMEM+10%FBS中6ウェルプレートに吸着したHeLa細胞において完了した。全ての試料は、トリプトライドの添加時に少なくとも90%コンフルエントであった。[H]−トリプトライドの非特異的結合を、1時間の2μM(非標識)トリプトライドのプレインキュベーションによって評価した。冷競合(またはDMSO)の後、5、10、20、50または100nMの[H]−トリプトライドをさらに1時間培養物に添加し、次いで、細胞を溶解し、結合活性のために計数した。
E)パルブアルブミンの構築物のトランスフェクション
全てのパルブアルブミン−GFP構築物およびコントロールベクター(Pusl, et al., 2002, J Biol Chem 277, 27517-27527)は、Anton Bennett (Yale University)の贈与物である。Hela細胞を、それぞれ5×10または1×10の密度で6または12ウェルプレートに播種した。細胞をDMEM/10%FBS+リポフェクタミン2000(Invitrogen)中24時間、0.5〜1μgの以下のpcDNA3誘導プラスミドの1つで一過性トランスフェクトした:CMV−パルブアルブミン−GFP、CMV−NES−パルブアルブミン−GFP、またはCMV−NLS−パルブアルブミン−GFP。顕微鏡検査法によるGFP発現および局在の確認の後、100nMトリプトライドを各トランスフェクトされた細胞集団(>90%トランスフェクション効率)に添加した。細胞生存能力を、トリプトライド添加後24および48時間に、形態学およびトリパンブルー色素除去により評価した。
F)NF−κBルシフェラーゼアッセイ
トリプルκBプロモーター−ルシフェラーゼレポーター構築物は、Sankar Ghosh (Yale University)の贈与物である。HeLa細胞を12ウェルプレートに2×10の密度で播種し、1時間の100nMトリプトライドの添加およびさらなる5時間の15ng/mlの組換え(ヒト)TNF−α(Roche)の添加の前に、100ngのκB−ルシフェラーゼプラスミド+リポフェクタミン2000(Invitrogen)でトランスフェクトした。HeLaのトランスフェクション効率は、80〜90%であると決定され、全ての試料をタンパク質濃度で正規化した。ルシフェラーゼアッセイを、製造業者(Promega)のプロトコルによりホタルルシフェラーゼキットおよびWallac Victor2 1420 Multilabel Counter (Perkin Elmer)で得られた結果を使用して実施した。
(実施例2.トリプトライド関連化合物はポリシスチン−2によって媒介される多嚢胞疾患の進行を減ずる)
異なるポリシスチン−1またはポリシスチン−2発現を有するマウス腎臓上皮細胞株を、トリプトライドに応答したポリシスチン−2媒介カルシウム放出についての細胞ベースの機構を確立するために使用した。生化学的精製分析が推定トリプトライド結合タンパク質としてポリシスチン−2を同定したので、本出願人らは、カルシウム放出がポリシスチン−1の発現に依存したかどうかを評価した。Pkd1-/-マウスの近位腎尿細管(proximal nephric tubule)に由来する上皮細胞を、まず試験し、100nMのトリプトライドが画像化チャンバーを通って灌流される場合カルシウム放出が観察されるかどうかを決定した。トリプトライド添加の際に細胞内カルシウムレベルの明瞭な上昇があり、このことは、トリプトライドが細胞においてカルシウム放出を誘発し得たこと(図8A);さらに、この生物学的活性がポリシスチン−1発現に依存しなかったことを示した。同じ系がPkd2-/-マウス腎臓上皮細胞に対して100nMのトリプトライドを灌流するために使用された場合、カルシウム放出は検出されなかった(図8B)。ポリシスチン−2がトリプトライド添加によって誘発されるカルシウム放出に必要であるという証拠を強化するために、それは、トリプトライドに対する感受性について評価されたPkd2-/-細胞の背景にPkd2を安定に発現することによって再構築された。ポリシスチン−2の再発現は、この細胞株においてカルシウム放出を回復し、トリプトライド媒介カルシウム調節に対する機構的証拠を提供した(図8C)。
従って、トリプトライドに対するカルシウム応答は、ポリシスチン−2に依存することが示された。次に、カルシウムフラックスに対する生物学的応答を、100nMトリプトライドを培養細胞に添加し、細胞増殖を経時的に観察することによって、マウスPkd1-/-細胞株において評価した。培養の最初の24時間以内に、最小数の分離した細胞を観察した。96時間にわたって、平らになった形態学および全細胞数が増えなかったという事実によって示されるように、残りの細胞の成長は止まった(図9F)。トリプトライド非存在下において、この細胞株は、48時間ごとに細胞数が2倍になった。対照的に、Pkd1およびPkd2を各々少なくとも1コピー発現するマウス細胞株(すなわち、Pkd2+/-)は、24時間以内に迅速に細胞が死に、両方のタンパク質が発現され、結合し得る場合、トリプトライドのより潜在的な役割を示唆した(図9J)。Pkd1が発現される場合、さらなるシグナル伝達経路がトリプトライドによって活性化されることは、可能である。PKD1-/-細胞は、以前に、増殖する場合p21発現をダウンレギュレートすることが示された(Bhunia, et al., 2002, Cell, 109:157-168)。従って、本出願人らは、観察された増殖の阻害がトリプトライド処置の際のp21再発現に起因するかどうかを評価した。96時間の時間経過にわたって、p21がトリプトライド処置集団においてアップレギュレートされ、それによってこれらの腎臓上皮細胞における正常な状態の増殖停止を再確立したことが明らかになった(図9H)。活性カスパーゼ−3の存在をウエスタンブロット分析によって評価し、再度、結果は、Pkd1-/-細胞株におけるトリプトライド誘導アポトーシスを含まなかった(図9I)。従って、これらのインビボデータは、p21アップレギュレーションおよびPkd1-/-細胞増殖の阻害を生じる、ポリシスチン−2媒介カルシウム放出を誘発し得ることを示す。
ADPKDは、一次線毛の機械的感覚機能の喪失に起因するカルシウムシグナル伝達の欠損から生じると考えられる(Nauli, et al., 2003, Nat Genet 33, 129- 137)。従って、本出願人らは、トリプトライドがPkd1-/-マウスモデルにおいてカルシウムフラックスを人工的に回復し、増殖性嚢胞性状態を停止または遅延し得るかどうかを確立するために模索した。子が後期在胎状態(E18.5〜19.5)まで発育し得るが、Pkd1-/-動物は、生育可能ではない。かかる動物は、腎臓および膵臓の嚢胞形成(Wu, et al., 2002, Hum MoI Genet 11, 1845-1854; Lu, et al., 1997, Nat Genet 17, 179-181)に加えて、心臓血管(Boulter, et al., 2001, Proc Natl Acad Sci U S A 98, 12174-12179; Kim, et al., 2000, Proc Natl Acad Sci U S A 97, 1731-1736)および骨格欠陥(Boulter, et al., 2001, Proc Natl Acad Sci U S A 98, 12174-12179; Lu, et al., 2001, Hum MoI Genet 10, 2385-2396)のような重篤な発生異常を示す。従って、致死からの救出は見込みがない。腎臓嚢胞は、近位尿細管においてE15.5に形成され、皮質に迅速に進行し始める(Lu, et al., 1997, Nat Genet 17, 179-181)。Pkd1-/- E18.5〜19.5の子において、大きな腎臓嚢胞は、全形態学試験の際におよび組織染色によって容易に明らかである。
トリプトライドは、腫瘍回帰の齧歯類モデルにおいて以前に研究されてきた(Tengchaisri, et al., 1998, Cancer Lett 133, 169-175; Yang, et al., 2003, Mol Cancer Ther 2, 65-72)が、妊娠雌を使用する系においてはまだ試験されていない。まず、潜在的な治療対薬物送達の致死濃度を確立するために、妊娠C57B1/6マウスを、0.01mg/kg/日i.p.注射と0.15mg/kg/日i.p.注射との間の漸増濃度のトリプトライドで処置した。毒性を、全ての胎芽の吸収または大きな死産率の優位性によって決定されるように評価した。これらの基準に関して、トリプトライドの毒性を0.1mg/kg/日以上の濃度で最も顕著であると決定した。しかし、認識できる有害な影響は、最大許容用量として使用された0.07mg/kg/日の用量では観察されなかった。ポリシスチン−2がおよそE7.75で発生する胎芽における左右軸形成に関与するので、別の実験パラメーターは、トリプトライド注射の開始のタイミングを含んだ(McGrath, et al., 2003, Cell 114, 61-73; Pennekamp, et al., 2002, Curr Biol 12, 938- 943)。従って、本出願人らは、正常ポリシスチン−2媒介パターニング事象を可能にし、腎臓器官発生の間に嚢胞形成に作用するための十分な時間をなお残すために、トリプトライド注射の開始としてE10.5を選択した。
首尾よいPkd1+/-/Pkd1+/-交配の後、0.07mg/kg/日のトリプトライドまたはDMSOコントロールを、妊娠マウスに出産するまでi.p.注射した。全ての子を、生存能力、体長、発生段階および湿潤腎臓重量について評価した。DMSO処置雌からの全部で59匹の子およびトリプトライド処置雌からの100匹の子を遺伝子型分布、誕生時の発生段階および平均腎臓重量のような複数のパラメーターについて試験した(表1)。重篤な水腫、脈管構造欠陥および異常骨格形成に起因してE12.5を起点としてPkd1-/-マウスが再吸収され得、それによってPkd1-/-子孫の異型性メンデル分布を生じたことは、以前に示された(Wu, et al., 2002, Hum MoI Genet 11, 1845- 1854; Lu, et al., 2001, Hum MoI Genet 10, 2385-2396)。同じ報告された偏差は、DMSOまたはトリプトライド処置のそれぞれについて20%および18%を有する予想されたPkd1-/-数において観察された(表1)。全てのPkd1-/-マウスの約20%が、各処置群から生きて産まれた。しかし、重篤な水腫状異常は、検死の際に明らかであった。遺伝子型と独立して、トリプトライドは、マウスの発生または妊娠の長さに対して明らかな全般的な悪影響を有さなかった。

腎臓病理学の初期試験は、全体の形態学による。平均して、Pkd1-/-腎臓はより大きく、いくつかの場合において、嚢胞形成は、容易に可視化され得る。Pkd1+/+またはPkd1+/-マウスからの湿潤重量腎臓分析は、DMSOまたはトリプトライド処置それぞれについて、重量または全体の大きさにおける有意な差を示さなかった(表1)。Pkd1-/-腎臓は、DMSOまたはトリプトライド処置の間で差はなかったが(24.8±0.4対24.6±0.8mg)、重量がより大きく、このことは体液分泌が影響されなかったことを示した。腎臓の矢状断面化、H&E染色および全腎臓面積のパーセンテージとしての嚢胞形成の面積の計算は、各試料について終えた。インビトロデータは、ポリシスチン−1および−2の発現がトリプトライド処置由来の細胞死を生じることを示したので、正常な腎臓発生が有害に影響され得ることは可能であった。これは、以下の場合にはあてはまらなかった:両方の処置群においてPkd1+/+またはPkd1+/-腎臓は、バックグラウンド「嚢胞値」がランダムな生理学的異常または組織操作および調製のアーティファクトを説明するために計算される正常な形態学を示した。DMSOを注射された動物由来のPkd1-/-腎臓は、34±2.7%の平均嚢胞負荷を有し;いくつかは、全腎臓の55〜65%の間の嚢胞の大きさを有した(図10A〜C)。
Pkd1-/-子の妊娠の間のトリプトライド処置は、嚢胞負荷の、平均15±2.1%への統計的に有意な減少を生じた(図10D〜F)。任意の嚢胞形成の証拠がほとんどない小さな腎臓から25%の最大嚢胞負荷までの範囲にわたったいくらかの同腹子ばらつきがあった。このばらつきは、注射の間に発生中の胎児へのトリプトライド送達の近接および毒性を避けながら有効用量のトリプトライドを提供する困難性のような因子に起因し得る。嚢胞の内表面となる上皮細胞は、顕微鏡検査法によって正常に見え、平均して嚢胞内腔の直径はより小さかった。しかし、本出願人らは、トリプトライド処置に起因する嚢胞成長の欠損がアポトーシスの誘導または細胞増殖の遅延に起因したかどうかを決定することを望んだ。インビトロデータを補完するために、組織切片を、細胞のアポトーシスへの傾倒のマーカーである活性カスパーゼ−3に対する免疫反応性について染色した。DMSO(図10L)およびトリプトライド(図10M)処置試料の両方は、二次抗体染色のみ(図10K)との比較によって示されるように、カスパーゼ経路の有意な活性化は示さなかった。これは、アポトーシス経路が活性化されなかったことの現れである。
ADPKD嚢胞形成は、両方が、細胞外キューと独立した制御されない細胞増殖によって特徴付けられる良性上皮新形成にたとえられ得る。トリプトライドは、固形腫瘍の大きさの減少を含む潜在的治療使用の多くについて調査されてきており、現在、前立腺癌モデルにおけるその強力な効果について臨床試験中である(Kiviharju, et al., 2002, Clin Cancer Res 8, 2666-2674)。この点において、トリプトライドは、効率の良いアポトーシスまたは細胞増殖停止の誘導を繰り返し示しており;生じる効果は、薬物の有効な濃度に依存する。今日までに、その広くかつ強力な生物学的効果を説明するトリプトライド効力の上流の標的は、解明されていない。さらに、ポリシスチン−2がトリプトライド媒介カルシウム放出に必要であるという本出願人らの実験室による発見は、トリプトライド結合および細胞死または増殖停止がカルシウム濃度によって調節され得るという本出願人らの以前の発見と相関する(例えば実施例1を参照)。
ADPKDが証明された治癒または処置を有していないので、本出願人らは、トリプトライド媒介増殖停止および嚢胞進行の低減を観察することが予備段階として有望であると考えている。本出願人らの動物モデル、一方で新生児発生におけるPKD進行を示すための優秀な系は、成長する胎児に許容されるトリプトライドの有効治療濃度を制限する。本出願人らは、大人の動物において0.15mg/kg/日より大きい量がその健康に有害に影響しないことを観察したので、今後の努力によって、より高いトリプトライド濃度が高齢の動物において試験されることが可能になる。さらに、本出願人らは、トリプトライドがポリシスチン−1の非存在下で嚢胞発達を減少することを示したが、さらなる機構を用いて、トリプトライドがポリシスチン−2ヌルモデル系において同じ表現型を救い得るかどうかを確立することは今後の関心である。要約すると、本出願人らは、PKDマウスの腎臓において嚢胞負荷を低減し得るポリシスチン−2依存性経路におけるトリプトライド媒介カルシウム放出についての新規の経路を確立した。従って、薬草療法としてのトリプトライドの歴史がすでにヒトにおいて十分に許容されることを示しているので、完全に発達した場合、トリプトライドが薬物治療に関する理想的な候補であると期待される。
(材料および方法)
A)細胞および試薬
Pkd1-/-(MN24)、Pkd2+/-(3B3)およびPkd2-/-(2D2)マウス細胞株は、以前に報告されたようにノックアウトマウスおよびトランスジェニックマウスに由来した(Wu, et al., 1998, Cell, 93:177- 88; Wu, et al., 2000, Nat. Genet, 24:75-8; Wu, et al., 2002, Hum Mol Genet, 11:1845-54)。PKD2−Rex細胞株を、ハイグロマイシン選択下で非タグ化PKD2の安定な組み込みによって作製した。使用された抗体は、ポリシスチン−2(Cai, et al. 1999, J Biol Chem, 274:28557-65)、切断された(活性)カスパーゼ−3(Cell Signaling Technology)およびp21(BD Biosciences)を含んだ。トリプトライドをSinobest Inc. (China)から得、純度は、HPLCによって示された場合、99%であった。DMSOを使用してトリプトライドを溶解し、次いで、全ての実験について培養培地に直接添加した。トリプトライドを、Sib Tech, Inc. (Newington, CT)によってトリチウム化し、4〜6Ci/mmolの比放射能までエタノール中に再懸濁した。純度は、Hypersil C18カラム上でRP−HPLCによって確認した場合およびC18およびシリカゲル両方上でTLCによって確認した場合、>95%であった。
B)カルシウム画像化
細胞をカバーガラス上にプレートし、画像化の前30分間、DMSO/プルロニック中に希釈されたFluo−4(Molecular Probes)と共に充填した。細胞をカルシウム画像化バッファ(HEPES、NaCl、KCl、MgSOおよびCaCl)±100nMトリプトライドで灌流した。全ての細胞の跡は、個々の細胞蛍光およびカルシウム放出を示す。データは、ベースラインコントロール(トリプトライド添加なし)を超える蛍光の変化として示される。
C)免疫ブロッティングおよび免疫蛍光
全細胞溶解物(0.5%Triton X-100、50mM Tris pH7.4、150mMNaCl、500mM EDTA)をウエスタンブロット分析のために準備し、試料を、製造業者のプロトコルによりSDS-PAGEによって流した。細胞の明視野の画像を、10×または40×対物レンズを使用して取った。共焦点顕微鏡(40×)をポリシスチン−2の免疫蛍光画像化のために使用した。
D)インビボマウス実験
認可されたIACUC動物プロトコルにより、Pkd1+/-/Pkd1+/-マウスを交配し、妊娠マウスをコントロール(DMSO)群または実験(トリプトライド)群に分割した。5%以下のDMSOまたはDMSO/0.07mg/kg/日のトリプトライドを有する全体積100μlのPBSを、28G1/2インスリンシリンジを用いてi.p.注射した。E10.5で開始し出産までマウスの体重を測定し、注射した。全ての子を体長およびウィスカー形成(whisker formation)のような発生段階について試験した。腎臓を回収し、計量し、組織学的調製の前に4%パラホルムアルデヒド中で固定した。
E)組織学的試験
腎臓を、矢状断面化ならびにヘマトキシリンおよびエオシン染色によって調製した。全ての腎臓を同じ倍率(4×)下で写真を撮り、嚢胞負荷をImage J分析ソフトウェア(NIH)を使用して計算した。腎臓の全面積内の嚢胞の面積(ピクセル)を、腎臓における嚢胞負荷の最終パーセンテージとして計算した。活性カスパーゼ−3の免疫組織化学分析を、製造業者のプロトコルにより完了した。
F)トリプトライド結合タンパク質精製
5LのHeLa-S細胞(National Cell Culture Center)を、[H]−トリプトライドおよび非標識トリプトライドの混合物を用いて、37℃で1時間標識した。細胞を回収し、冷PBS中で5回洗浄した。細胞ペレットを低張溶解バッファ(10mM HEPES pH7.9、10mM KCl、0.1mM EDTA、CompleteTMプロテアーゼインヒビター(Roche)、オルトバナジン酸ナトリウムおよびDTT)中に再懸濁し、シリンジおよび針を通して剪断した。上清を捨て、ペレットを1% Triton X-100を含む溶解バッファ中に再溶解した。膜画分を、陰イオン交換樹脂DE-52(Whatman)への結合から開始するさらなる精製に供した。最終溶出を0.3M NaClで完了し、次いで、100kDカットオフのサイズ排除カラム(Amicon)に通した。保持物を回収し、Con A Sepharose (GE Healthcare)樹脂に結合した。フロースルーを回収し、保持物が再度回収され、Heparin Sepharose樹脂(GE Healthcare)に結合される、100kDサイズ排除カラムを通過させることによって濃縮した。トリプトライド結合タンパク質を1M硫酸アンモニウムおよび0.1% Triton X-100の添加で溶出し、すぐに疎水性樹脂Butyl Sepharose (GE Healthcare)に結合した。溶出を、1% triton X-100および2mM EGTAを有する塩なしバッファ(10mM HEPES pH7.4、0.1mM EDTA)を用いて実施した。溶出液を、100kDサイズ排除カラムで最終濃度に供し、続いてMonoQ陰イオン交換カラム上でFPLCに供した。0.0〜1.0M NaClの段階グラジエント(10mM HEPES pH7.4、0.1mM EDTA、0.5M DTT)を、MonoQカラム上でかけた。500μl画分を回収し、[H]−トリプトライド結合活性の大部分を、0.3M NaClと0.4M NaClとの間に観察した。対応する画分を濃縮し、8% SDS-PAGEにかけ、Coomassie Blueで染色した。バンドをゲルから切り出し、MALDI-TOF分析のために調製した。目的のタンパク質を、Profoundペプチドマッピング(Rockefeller University)を使用して同定した。
(参照による援用)
本明細書中に示される全ての刊行物および特許は、で各個々の刊行物または特許が参照によって援用されると具体的かつ個別に示されたように、その全体を参照によって本明細書中に援用される。
本発明の特定の態様が議論され、その一方で、上記明細書は、例証であり、限定的ではない。本発明の多くのバリエーションは、本明細書および添付の特許請求の範囲の検討によって当業者に明らかになる。本発明の完全な範囲は、特許請求の範囲および等価物の完全な範囲および本明細書ならびにかかるバリエーションの参照によって決定されるべきである。
図1A−1Bは、トリプトライド類似体、および結合について競合するそれらの構造依存性を示す。(A)この研究に用いられるトリプトライドおよび類似体の構造。(B)10μMまたは1μMのトリプトライド、その類似体の一つの添加後、全ての試料において、HeLa細胞を[3H]-トリプトライドで1時間、または競合なしでもまた1時間処理した。細胞を洗浄し、調製された全ての細胞溶解物、および試料を、結合した[3H]-トリプトライド活性について、n=3で計数した。CPMはシンチレーション計数による、分当たりの計数である。 図2A−2Eは、トリプトライド結合が特異的で、膜局在性で、飽和できる事を示す。(A)全ての試料において、HeLa細胞を[3H]-トリプトライドで1時間処理した。放射性リガンドの競合は、1μMの非標識のトリプトライド(冷)の添加により、[3H]-トリプトライド添加の前または後のいずれかに1時間、n=3で評価した。CPMはシンチレーション計数による、分当たりの計数である。(B)HeLa細胞を[3H]-トリプトライドで標識し、細胞画分を調製した。結合を、細胞質(S-100)、細胞膜(P-100)、または不溶性細胞画分における総CPMとして評価した。(C)HeLa細胞を[3H]-トリプトライドで1時間標識し、続いて全ての細胞溶解物の調製およびDEAE陰イオン交換樹脂への添加をした。樹脂は、流入(FT)の除去に続く塩濃度の増加のバッチ溶離で洗浄した。続いて各溶離液を、[3H]-トリプトライド活性について、n=3で計数した。(D)HeLa細胞P-100画分で標識した[3H]-トリプトライドを、8%還元PAGEまたはネイティブPAGEで流出した。ゲルスライスは分子量マーカーの指定を利用して除去し、水中で破砕および溶離し、その後、シンチレーション計数により[3H]-トリプトライド活性について、n=2で計数した。(E)HeLa細胞は2μMの非標識のトリプトライドまたはDMSOによりプレインキュベートし、続いて[3H]-トリプトライドのナノモル濃度を1時間増加した。特異的結合を細胞溶解物のシンチレーション計数から測定し、レセプター飽和を達成した。非特異的結合(NSB)は差し込み図に示され、飽和に達しない。 図3A−3Cは、細胞外のカルシウムがトリプトライドを媒介とした結合および細胞死誘発を調節することを示す。(A)HeLa細胞を、30nMの[3H]-トリプトライドの添加前に、カルシウムを含む培地の存在下または非存在下で16時間培養し、n=3で結合親和力を評価した。CPMは分当たりの数である。(B)HeLa細胞を、カルシウムを含む培地の存在下(+Ca2+)または非存在下(-Ca2+)で72時間に渡り培養し、各条件における成長率をn=3で測定した。(C)HeLa細胞を、カルシウムを含む培地に100nMのトリプトライドを加えたものの存在下(+Ca2+)または非存在下(-Ca2+)で72時間に渡り培養した。細胞はPBSで洗浄、撮影し、0、24、48、および72時間でトリパンブルーを用いて計数し、生存能力を評価した。結果は3つの別々の実験を代表する。 図4A−4Cは、緩衝の細胞質カルシウムが、一時的にトリプトライド誘発細胞死を救うことができることを示す。(A)HeLa細胞を、カルシウムを含む培地の存在下で培養し、次の構築物:GFPベクター、NLS-パルブアルブミン(PV)-GFP、またはNES-PV-GFP、の一つに24時間トランスフェクトした。画像は共焦点顕微鏡(40X)で得た。(B)正常細胞増殖を各一過性トランスフェクション構築物でn=3で評価した。(C)100nMトリプトライドを全てのトランスフェクトされた細胞に添加し、24時間後に生存能力をn=3で評価した。 図5A−5Bは、NFκB転写促進の阻害がカルシウムの存在と無関係であることを示す。(A)HeLa細胞を、15ng/ml TNF-α±100nMトリプトライドの添加前に、全ての実験条件でκB-ルシフェラーゼ構築物に24時間トランスフェクトした。細胞は、処置前にカルシウムを含む培地の存在下または非存在下で16時間培養し、それから6時間後にアッセイのためにn=4で採取した。(B)細胞は、κB-ルシフェラーゼ構築物と同時に、以下:GFPベクター、NES-PV-GFP、またはNLS-PV-GFP、の一つにトランスフェクトし、(A)に記載されるようにn=4で処理した。 図6A−6Bは、トリプトライド濃度が、生存能力/成長またはNFκB阻害に特異に影響することを示す。(A)HeLaを初期濃度5x105で平板培養し、±トリプトライド(10〜100nM)で48時間生育させた。生存(接着)細胞を25Xの明視野の顕微鏡検査下で撮影し、細胞死をトリパン色素排除により評価した。結果は3つの別々の実験を代表する。(B)κB-ルシフェラーゼレポーター構築物への一過性トランスフェクションに続き、レポーター活性をn=4で評価する前に、HeLa細胞を15ng/ml TNF-α±トリプトライド(10〜100nM)で合計6時間インキュベートした。 図7A−7Cは、トリプトライド類似体の生物学的機能の構造的相違を示す。全ての実験は、0.1〜10μMの濃度範囲のトリプトライド、またはその類似体の一つの添加後24時間に細胞生存能力を測定したHeLa細胞で行われた。細胞生存能力をトリパン色素排除により評価し、トリプトライドまたは類似体添加の時からの細胞数の%変化として記録した。コントロール細胞を培地で単独で生育し、n=3で正常な個体倍加とした。κB-ルシフェラーゼレポーター構築物へのトランスフェクションおよびトリプトライドまたはその類似体の一つ(0.1〜10μM)およびTNF-αによる5時間の処理に続き、NFκB阻害を評価した。コントロールはTNF-α添加なしでn=4でトランスフェクトされた細胞を示す。(A)トリプトライド(1)。(B)トリオール-トリプトライド(2)。(C)トリプトニド(3)。 図8A−8Eは、トリプトライドがマウスの腎臓上皮細胞においてポリシスチン-2依存カルシウム放出を誘発することを示す。(A-C)細胞をFluo-4で満たし、100nMトリプトライド添加の前後に灌流下で蛍光強度によりカルシウム放出を評価した。検査された細胞系は、(A)Pkd1-/-、(B)Pkd2-/-および(C)Pkd2-/-をバックグラウンドにしたPkd2の再発現(Rex)を含んでいた。(D)蛍光振幅の平均変化をベースライン値から計算した(Pkd2-/-またはPkd2 Rexについてn=44または66)。(E)検査された細胞系のそれぞれにおけるポリシスチン-2発現のウェスタンブロット分析。 図9A−9Jは、トリプトライド処理の際にPkd1-/-マウスの腎臓上皮細胞が増殖停止およびp21アップレギュレーションを受けることを示す。(A-E)Pkd1-/-細胞を100nMトリプトライドで96時間に渡り処理した。代表的な領域を明視野の顕微鏡検査下(X10)で撮影した。(F)平坦な形態を示す、96時間後のPkd1-/-トリプトライド処理細胞(40X)。(G)Pkd1-/-細胞のポリシスチン-2免疫蛍光発現での共焦点顕微鏡検査(FITC、40X)。(H)p21のウェスタンブロット分析、および(I)100nMトリプトライド処理中に渡るPkd1-/-細胞における活性カスパーゼ-3発現。(J)生存細胞をPkd1-/-細胞(平均±SE、n=5)およびPkd2-/-細胞(n=8)におけるトリパンブルー色素排除法により、100nMトリプトライド添加中に渡り計数した。 図10A−10Nは、トリプトライドが腎多嚢胞病のPkd1-/-マウスモデルにおける嚢胞の負荷を減少することを示す。(A-C)妊娠中(E10.5-出生)にDMSO処理されたPkd1-/-子犬の代表的な腎臓。大きな嚢胞が髄質および皮質に渡って存在する(10X 拡大)。(D-F)妊娠中にトリプトライド処理されたPkd1-/-子犬の代表的な腎臓。(G)DMSOまたは(H)トリプトライドで処理された子犬のPkd1+/+腎臓。(I)DMSOまたは(J)トリプトライドで処理されたPkd1+/-腎臓。(K-M)活性カスパーゼ-3発現に対するPkd1-/-腎臓のIHC染色:(K)二次抗体の負のコントロール、(L)DMSO処理済、(M)トリプトライド処理済。(N)各Pkd1遺伝子型の領域によって決定されるような腎臓における嚢胞の負荷の割合(平均±SE、Pkd1-/-、n=19;Pkd1+/-およびPkd1+/+、n=10)。

Claims (35)

  1. 治療有効量のポリシスチン−2(PKD2)アゴニストを個体に投与する工程を包含する、処置または処置において補助の必要のある個体における腎多嚢胞病(PKD)を処置するかまたは処置において補助をする方法。
  2. PKD2アゴニストが、腎臓嚢胞組織においてPKD2媒介カルシウムシグナル伝達を調節する、請求項1記載の方法。
  3. PKD2アゴニストが小分子である、請求項1記載の方法。
  4. PKD2アゴニストがトリプトライド関連化合物である、請求項1記載の方法。
  5. トリプトライド関連化合物がトリプトライドである、請求項4記載の方法。
  6. トリプトライド関連化合物がトリプトライドプロドラッグである、請求項1記載の方法。
  7. トリプトライド関連化合物が、トリオール−トリポライド、トリプトニド、14−メチル−トリプトライド、14−デオキシ−14α−フルオロ−トリプトライド、5α−ヒドロキシトリプトライド、19−メチルトリプトライドおよび18−デオキシ−19−デヒドロ−18−ベンゾイルオキシ−19−ベンゾイルトリプトライドならびに14−アセチル−5,6−ジデヒドロトリプトライドから選択されるトリプトライド誘導体である、請求項1記載の方法。
  8. 前記個体にPKDを処置するための第2の治療剤を投与する工程をさらに包含する、請求項1記載の方法。
  9. 第2の治療剤が、EGFレセプターキナーゼインヒビター、シクロオキシゲナーゼ2(COX2)インヒビター、バソプレッシンV2レセプターインヒビター、末梢型ベンゾジアゼピンレセプター(PTBR)のリガンド、ソマトスタチン類似体(例えば、オクトレオチド)およびピオグリタゾンから選択される、請求項8記載の方法。
  10. PKD2アゴニストが、個体における症候性腎臓疾患の発現の前に投与され、それによってPKDが予防される、請求項1記載の方法。
  11. 個体が、家族の病歴、腎臓画像化研究および/または遺伝的スクリーニングによって決定される場合、PKDの危険があると決定される、請求項10記載の方法。
  12. 個体が症候性腎臓疾患を示す場合にPKD2アゴニストが投与され、それによって疾患の進行が遅延されるかまたは停止される、請求項1記載の方法。
  13. PKDがARPKDまたはADPKDである請求項1記載の方法。
  14. 個体が哺乳動物である請求項1記載の方法。
  15. 個体がヒトである請求項14記載の方法。
  16. PKD2アゴニストが、経口投与、局所投与、非経口投与、膣内投与、直腸投与、全身投与、筋内投与および静脈内投与から選択される経路によって投与される、請求項1記載の方法。
  17. PKD2アゴニストが、薬学的に許容され得る担体と共に処方される、請求項1記載の方法。
  18. 治療有効量のPKD2アゴニストを処置または処置において補助の必要のある個体に投与する工程を包含する、異常なカルシウムシグナル伝達によって引き起こされる状態を処置するかまたは処置において補助をする方法。
  19. 異常なカルシウムシグナル伝達がカルシウムチャネルの発現の減少または活性の低下によって引き起こされる、請求項18記載の方法。
  20. カルシウムチャネルがポリシスチン−2である請求項18記載の方法。
  21. 状態がPKDである請求項18記載の方法。
  22. 嚢胞細胞の増殖を遅延または阻害するのに十分な量で治療有効量のPKD2アゴニストを個体に投与する工程を包含する、処置の必要のある個体において嚢胞疾患を処置する方法。
  23. 嚢胞疾患が、***嚢胞、気管支性嚢胞、総胆管嚢胞、コロイド嚢胞、先天性嚢胞、歯性嚢胞、上皮性封入体、肝嚢胞、包虫嚢胞、肺嚢胞、縦隔嚢胞、卵巣嚢胞、歯根嚢胞、心膜嚢胞および腎多嚢胞病(PKD)から選択される、請求項22記載の方法。
  24. 個体がPKDを有するかまたはPKDを発現する危険性がある、請求項22記載の方法。
  25. 嚢胞細胞の増殖を遅延または阻害するのに十分な量のPKD2アゴニストと嚢胞細胞を接触する工程をさらに包含する、嚢胞形成を遅延または阻害する方法。
  26. 嚢胞細胞が嚢胞疾患を有するまたは嚢胞疾患を発現する危険性がある個体由来である、請求項25記載の方法。
  27. 細胞を有効量のPKDアゴニストと接触させる工程を包含する、ポリシスチン−2を発現する細胞においてカルシウム流入を調節する方法。
  28. 細胞が腎臓細胞である、請求項27記載の方法。
  29. 腎臓細胞がPKDを有するかまたはPKDを発現する危険性がある個体由来である、請求項27記載の方法。
  30. (a)試験薬剤を、PKD2を発現する細胞に接触させる工程;
    (b)細胞中のPKD2媒介カルシウム放出を測定する工程;および
    (c)(b)で得られたPKD2媒介カルシウム放出のレベルを試験薬剤の非存在下で得られたレベルと比較する工程、
    を包含する、PKDアゴニストを同定する方法であって、ここで試験薬剤の非存在下より試験薬剤の存在下でより大きいレベルのPKD2媒介カルシウム放出が、試験薬剤がPKD2アゴニストであることを示す、方法。
  31. 細胞が動物中に存在する、請求項30記載の方法。
  32. (a)試験薬剤を、PKD2を発現する細胞に接触させる工程;
    (b)細胞中のPKD2媒介カルシウム放出を測定する工程;および
    (c)(b)で得られたPKD2媒介カルシウム放出のレベルを試験薬剤の非存在下で得られたレベルと比較する工程、
    を包含する、嚢胞形成を遅延するかまたは阻害する治療剤を同定する方法であって、ここで試験薬剤の非存在下より試験薬剤の存在下でより大きいレベルのPKD2媒介カルシウム放出が、試験薬剤が嚢胞形成を遅延するかまたは阻害する治療剤であることを示す、方法。
  33. 細胞が動物中に存在する、請求項32記載の方法。
  34. 嚢胞疾患の処置のための医薬の製造におけるPKD2アゴニストの使用。
  35. 異常なカルシウムシグナル伝達によって引き起こされる状態の処置のための医薬の製造におけるPKD2アゴニストの使用。
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