JP2008520227A - 可溶性二官能性タンパク質 - Google Patents
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Abstract
本発明は、T細胞レセプターとスーパー抗原との結合を含んでなる可溶性二官能性タンパク質を提供する。また、この二官能性タンパク質を含んでなる治療組成物及びその使用方法も提供する。
【選択図】なし
【選択図】なし
Description
本発明は、T細胞レセプター(TCR)とスーパー抗原との結合を含んでなる可溶性二官能性タンパク質に関する。このタンパク質は、疾患(例えばガン及び感染)の治療において有益である。
(発明の背景)
可溶性TCR
可溶性TCRの作製のために、今日まで多くの構築物が考案されてきた。これら構築物は2つの広範なクラス、単鎖TCR及び二量体TCRに分類される。これら構築物に関する文献を下記にまとめる。
可溶性TCR
可溶性TCRの作製のために、今日まで多くの構築物が考案されてきた。これら構築物は2つの広範なクラス、単鎖TCR及び二量体TCRに分類される。これら構築物に関する文献を下記にまとめる。
単鎖TCR
単鎖TCR(scTCR)は、天然型へテロ二量体TCRのようにMHC-ペプチド複合体に結合する、一本のアミノ酸鎖からなる人工構築物である。不運にも、両方が1つのオープンリーディングフレームで発現するようにα鎖とβ鎖とを単純に連結することによって機能的なα/βアナログscTCRを作製しようとする試みは、成功していない。これは、おそらく、α-β可溶性ドメインの対合の本来的な不安定性に起因する。
単鎖TCR(scTCR)は、天然型へテロ二量体TCRのようにMHC-ペプチド複合体に結合する、一本のアミノ酸鎖からなる人工構築物である。不運にも、両方が1つのオープンリーディングフレームで発現するようにα鎖とβ鎖とを単純に連結することによって機能的なα/βアナログscTCRを作製しようとする試みは、成功していない。これは、おそらく、α-β可溶性ドメインの対合の本来的な不安定性に起因する。
したがって、scTCRの作製には、α鎖及びβ鎖のいずれか又は両方の種々の切断型を使用する特別な技法が必要とされてきた。この形式は、非常に限られた範囲のscTCR配列にのみ適用可能であるように思われる。Soo Hooら(1992)(PNAS. 89 (10): 4759-63)は、25アミノ酸リンカーと連結した切断型のβ鎖及びα鎖並びに細菌ペリプラズム発現(periplasmic expression)を使用する、2CT細胞クローンからの単鎖形式でのマウスTCRの発現を報告している(Schodinら(1996) Mol. Immunol. 33 (9): 819-29も参照)。この設計はまた、Hollerら(2000)(PNAS. 97 (10): 5387-92)により報告されたm6単鎖TCR(これは2C scTCRに由来し、同じH2-Ld-制限アロエピトープに結合する)の基礎をなす。Shustaら(2000)(Nature Biotechnology 18: 754-759)は、酵母ディスプレイ実験において単鎖2C TCR構築物(これは増大した熱安定性及び溶解性を有する変異TCRを産生した)を使用することを報告している。この報告はまた、これらディスプレイされた2C TCRが同族pMHCを発現する細胞と選択的に結合することができることを証明した。Khandekarら(1997)(J. Biol. Chem. 272 (51): 32190-7)は、マウスD10 TCRについて同様な設計を報告している(ただし、このscTCRはMBPに融合され細菌細胞質で発現された)(Hareら(1999) Nat. Struct. Biol. 6 (6): 574-81も参照)。Hilyardら(1994)(PNAS. 91 (19): 9057-61)は、Vα-リンカー-Vβ設計を使用し細菌ペリプラズムで発現させた、インフルエンザマトリクスタンパク質-HLA-A2に特異的なヒトscTCRを報告している。
Chungら(1994)(PNAS. 91 (26) 12654-8)は、Vα-リンカー-Vβ-Cβ設計及び哺乳動物細胞株の表面での発現を使用するヒトscTCRの作製を報告している。この報告は、scTCRのペプチド-HLA特異的結合に関して何ら言及していない。Plaksinら(1997)(J. Immunol. 158 (5): 2218-27)は、HIV gp120-H-2Ddエピトープに特異的なマウスscTCRを作製するための同様なVα-リンカー-Vβ-Cβ設計を報告している。このscTCRは、細菌性封入体として発現し、インビトロでリフォールディングされる。
二量体TCR
多くの論文が、それぞれのサブユニットを接続する天然型ジスルフィドブリッジを含むTCRへテロ二量体の作製を記載している(Garbocziら(1996)Nature 384(6605):134-41;Garbocziら(1996)J Immunol 157(12):5403-10;Changら(1994)PNAS USA 91:11408-11412;Davodeauら(1993)J.Biol.Chem.268(21):15455-15460;Goldenら(1997)J.Imm.Meth.206:163-169;米国特許第6080840号)。しかし、このTCRはTCR特異的抗体により認識され得るが、いずれも、相対的に高い濃度以外ではその天然型リガンドを認識することを示されておらず、そして/又は安定でなかった。
多くの論文が、それぞれのサブユニットを接続する天然型ジスルフィドブリッジを含むTCRへテロ二量体の作製を記載している(Garbocziら(1996)Nature 384(6605):134-41;Garbocziら(1996)J Immunol 157(12):5403-10;Changら(1994)PNAS USA 91:11408-11412;Davodeauら(1993)J.Biol.Chem.268(21):15455-15460;Goldenら(1997)J.Imm.Meth.206:163-169;米国特許第6080840号)。しかし、このTCRはTCR特異的抗体により認識され得るが、いずれも、相対的に高い濃度以外ではその天然型リガンドを認識することを示されておらず、そして/又は安定でなかった。
WO99/60120には、天然型リガンドを認識し得るように正確に折り畳まれ、経時的に安定であり、合理的な量で作製することが可能な可溶性TCRが記載されている。このTCRは、一対のC末端二量体化ペプチド(例えばロイシンジッパー)により、それぞれTCRβ鎖又はδ鎖細胞外ドメインと二量体化したTCRα鎖又はγ鎖細胞外ドメインを含んでなる。TCRを作製するためのこの戦略は、一般に、全てのTCRに適用可能である。
Guillaumeら(2003)(Nature Immunology 4: 657-663)は、構築物のC末端に付着させたアミノ酸同士間に導入ジスルフィド鎖間結合を含有する可溶性JM22 TCRの構築を詳述する。この特別な構築物は、天然型ジスルフィド鎖間結合の位置から1アミノ酸N末端側で切断したJM22 TCRの細胞外部分から誘導された。C末端定常ドメイン伸長部(extension)がこのTCRのα鎖及びβ鎖の両方に付加された。これら伸長部は、天然型の位置に対して、α鎖中で3アミノ酸、β鎖中で6アミノ酸ほど下流への鎖間形成性システイン残基位置の移動を引き起こした。この一般的設計の可溶性TCR(すなわち、ジスルフィド鎖間ジスルフィド結合を含有する導入C末端定常ドメイン伸長部を含んでなる可溶性TCR)もまた、本発明の多価TCR複合体において使用され得る。
Reiterら(Immunity,1995,2:281-287)は、一方がシュードモナス(Pseudomonas)エクソトキシン(PE38)の切断型形態に連結しているジスルフィド安定化TCRα及びβ可変ドメインを含んでなる可溶性分子の構築を詳述している。述べられているこの分子を作製する理由の1つは、単鎖TCRの本来的な不安定性を克服することであった。TCR可変ドメイン中の新規ジスルフィド結合の位置は、これらが予め導入されている抗体の可変ドメインとの相同性により同定された(例えば、Brinkmannら(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:7538-7542及びReiterら(1994)Biochemistry 33:5451-5459を参照)。しかし、抗体とTCRの定常ドメイン同士間にそのような相同性はないので、この技法は、TCR定常ドメイン間の新たな鎖間ジスルフィド結合の適切な部位を同定するために用いることができなかった。
スーパー抗原
スーパー抗原は、抗原提示細胞(APC)の表面のクラスII MHC分子を規定のサブセットのβ鎖可変ドメインのTCRに架橋することにより免疫刺激を引き起こす、細菌性又はウイルス性のタンパク質である。この架橋は、致死性の毒素性ショック症候群を引き起こし得るサイトカイン(例えばIL-2及びTNF-β)の大量遊離を導くポリクローナルT細胞活性化を引き起こす。Liら(1999)(Annu Rev Immunol 17 435-466)は、スーパー抗原の構造及び機能の総説を提供する。
スーパー抗原は、抗原提示細胞(APC)の表面のクラスII MHC分子を規定のサブセットのβ鎖可変ドメインのTCRに架橋することにより免疫刺激を引き起こす、細菌性又はウイルス性のタンパク質である。この架橋は、致死性の毒素性ショック症候群を引き起こし得るサイトカイン(例えばIL-2及びTNF-β)の大量遊離を導くポリクローナルT細胞活性化を引き起こす。Liら(1999)(Annu Rev Immunol 17 435-466)は、スーパー抗原の構造及び機能の総説を提供する。
スーパー抗原融合タンパク質
スーパー抗原融合タンパク質の使用に関する多くの刊行物が存在する。
米国特許第6,692,746号は、対象に、ブドウ球菌エンテロトキシン若しくは化膿性連鎖球菌外毒素又はポリペプチド融合パートナーに融合したこれら毒素の生物学的に活性なホモログからなる組成物の殺腫瘍上の有効量を投与することを含んでなる腫瘍を有する対象を治療するための方法を提供している。
スーパー抗原融合タンパク質の使用に関する多くの刊行物が存在する。
米国特許第6,692,746号は、対象に、ブドウ球菌エンテロトキシン若しくは化膿性連鎖球菌外毒素又はポリペプチド融合パートナーに融合したこれら毒素の生物学的に活性なホモログからなる組成物の殺腫瘍上の有効量を投与することを含んでなる腫瘍を有する対象を治療するための方法を提供している。
米国特許第6,514,498号は、標的探索成分と、TCRへの結合及びT細胞活性化を決定する領域中の1又はそれ以上のアミノ酸残基を改変させたスーパー抗原との接合体を開示している。
米国特許第6,197,299号は、細胞(好ましくはガン)上の細胞表面構造に特異的な抗体にペプチド結合により共有結合で連結したスーパー抗原を含んでなる可溶性抗体接合体、及びそのような接合体を使用する治療方法を開示している。
米国特許第6,197,299号は、細胞(好ましくはガン)上の細胞表面構造に特異的な抗体にペプチド結合により共有結合で連結したスーパー抗原を含んでなる可溶性抗体接合体、及びそのような接合体を使用する治療方法を開示している。
EP0998305は、T細胞活性化を誘導するスーパー抗原-標的化物質-免疫調節剤の接合体を用いる標的細胞の細胞溶解を引き起こすための方法及び組成物を開示している。
WO03094846は、スーパー抗原又はスーパー抗原融合タンパク質の腫瘍内投与及び/又はその鞘内への直接のスーパー抗原の鞘内若しくは腔内投与を含んでなる腫瘍を治療するための方法及び組成物を開示している。
WO03094846は、スーパー抗原又はスーパー抗原融合タンパク質の腫瘍内投与及び/又はその鞘内への直接のスーパー抗原の鞘内若しくは腔内投与を含んでなる腫瘍を治療するための方法及び組成物を開示している。
Uenoら(2002)(Anticancer Res.22 (2A) 769-76)は、SEAの組換え融合タンパク質、及びガン腫に存在する糖タンパク質抗原(MK-1抗原と呼ぶ)を認識するFU-MK-1抗体の単鎖可変フラグメント(scFv)の使用を詳述している。この研究は、この融合タンパク質がヒトMK-1発現腫瘍に関して有用である可能性のある免疫療法試薬として働き得ると結論付けた。
別の研究(Takemuraら(2002) Cancer Immunol Immunother. 51 (1) :33-44)は、変異ブドウ球菌エンテロトキシンA(SEA)及び抗MUC1/抗CD3ダイアボディ(diabody)(Mx3ダイアボディ)を含んでなる融合タンパク質の細菌性産生を詳述した。この融合タンパク質は、胆管ガン(BDC)異種移植重症複合免疫不全(SCID)マウスモデルにおいてMUC1特異的抗腫瘍効果を示した。
最後に、別の研究(Nielsenら(2000) J Immunother 23 (1): 146-53)は、進行した結腸直腸ガン又は膵臓ガンの患者における単回の上昇用量のスーパー抗原-抗体融合タンパク質(PNU-214565)の第I相試験を詳述した。この融合タンパク質は、ブドウ球菌エンテロトキシンA(SEA)とヒト結腸直腸ガン(CRC)及び膵臓ガン(PC)を認識するモノクローナル抗体C242のFabフラグメントの組換え融合体とを含んでなっていた。著者らは、PNU-214565の単回の3時間注入は4ng/kgまで安全に投与することができると結論付けた。
(発明の簡単な説明)
本発明は、T細胞レセプター(TCR)とスーパー抗原との結合を含んでなる可溶性二官能性タンパク質を初めて利用可能にする。
(発明の詳細な説明)
本発明は、(a)T細胞レセプター(TCR)と(b)スーパー抗原又はその機能的変形体との間の結合を含んでなる可溶性二官能性タンパク質を提供する。
本発明は、T細胞レセプター(TCR)とスーパー抗原との結合を含んでなる可溶性二官能性タンパク質を初めて利用可能にする。
(発明の詳細な説明)
本発明は、(a)T細胞レセプター(TCR)と(b)スーパー抗原又はその機能的変形体との間の結合を含んでなる可溶性二官能性タンパク質を提供する。
本発明における使用に適切な多くの可溶性TCR構築物がある。これらには、以下が含まれるがこれらに限定されない;
Vα-リンカー-Vβ設計(Hilyardら(1994) PNAS. 91 (19): 9057-61)又はVα-リンカー-Vβ-Cβ設計(Chungら(1994) PNAS. 91 (26) 12654-8)の単鎖TCR(scTCR)
WO 99/60120、Guillaumeら(2003)(Nature Immunology 4: 657-663)又はReiterら(Immunity, 1995, 2:281-287)に記載されるような二量体TCR(dTCR)。
Vα-リンカー-Vβ設計(Hilyardら(1994) PNAS. 91 (19): 9057-61)又はVα-リンカー-Vβ-Cβ設計(Chungら(1994) PNAS. 91 (26) 12654-8)の単鎖TCR(scTCR)
WO 99/60120、Guillaumeら(2003)(Nature Immunology 4: 657-663)又はReiterら(Immunity, 1995, 2:281-287)に記載されるような二量体TCR(dTCR)。
本発明の1つの観点は、膜貫通ドメインを除くTCRα鎖の全て又は一部と膜貫通ドメインを除くTCRβ鎖の全て又は一部とを含んでなるT細胞レセプター(TCR)と、スーパー抗原又はその機能的変形体との間の結合を含んでなる可溶性二官能性タンパク質により提供される。ここで、各TCR鎖は、TCR鎖の機能的可変ドメインと定常ドメインの少なくとも一部とを含んでなり、天然型TCR中に存在しない定常ドメイン残基同士間のジスルフィド結合により連結している。
スーパー抗原は、抗原提示細胞(APC)の表面のクラスII MHC分子を規定のサブセットのβ鎖可変ドメインのTCRに架橋することにより免疫刺激を引き起こす、細菌性又はウイルス性のタンパク質である。本明細書中で使用する場合、用語 スーパー抗原の「機能的変形体」とは、同じ様式で機能し免疫刺激を生じる、所定のスーパー抗原のアナログをいう。例えば、当業者に公知のように、機能的変形体は、所定の野生型又は変異体と比較して、アミノ酸配列中の軽微な変更を組み込みむことができる。このような軽微な変更としては、クラスII MHC及びTCRβ鎖結合性ドメインから遠隔での保存的なアミノ酸置換、単一アミノ酸欠失、及び切断が挙げられる。機能的変形体は、通常、親スーパー抗原と、少なくとも75%、より頻繁には少なくとも90%、ほとんどの場合少なくとも95〜99%の配列同一性を有する。
本発明の二官能性タンパク質は可溶性である。可溶性の1つの試験は、二官能性タンパク質がリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)(KCL 2.7mM、KH2PO4 1.5mM、NaCl 137mM及びNa2PO4 8mM、pH7.1〜7.5, Life Technologies, Gibco BRL)中に1mg/mlの濃度にて単分散種として存在し、この二官能性タンパク質の90%より多くが25℃にて1時間のインキュベーション後に単分散種のままであることができることである。例えば、二官能性タンパク質の可溶性を評価するためには、先ず実施例3に記載のように二官能性タンパク質を精製する。この精製後、100μgの二官能性タンパク質を、例えばPBS中で平衡化したPharmacia Superdex 75 HRカラムを用いて、分析用サイズ排除クロマトグラフィーにより分析する。更に、100μgの二官能性タンパク質を25℃にて1時間インキュベートし、次いで前回の様にサイズ排除クロマトグラフィーにより分析する。次いで、サイズ排除トレースを積分により分析し、単分散種に対応するピーク下面積を比較する。該当するピークは、分子量既知のタンパク質標準物の溶出位置との比較により同定してもよい。単分散へテロ二量体可溶性二官能性タンパク質は、約75〜80kDaの分子量を有する。
本明細書中で使用する場合、用語「結合」は、TCR及びスーパー抗原をこの2つが生物学的に単一実体として振舞うように近接させるTCRとスーパー抗原との間の連結をいう。このような連結は通常共有結合である。結果的に、本明細書中で使用する用語「二官能性タンパク質」は、
TCR配列及びスーパー抗原配列を含んでなる融合タンパク質
非ペプチド性リンカーにより共有結合で連結しているTCR配列及びスーパー抗原配列
TCR配列及びスーパー抗原配列が非共有結合的に結合している複合体
を含むと理解されるべきである。
TCR配列及びスーパー抗原配列を含んでなる融合タンパク質
非ペプチド性リンカーにより共有結合で連結しているTCR配列及びスーパー抗原配列
TCR配列及びスーパー抗原配列が非共有結合的に結合している複合体
を含むと理解されるべきである。
スーパー抗原がTCRにリンカー基を介して間接的である場合、本発明のTCRとスーパー抗原の結合に好ましい2つのクラスのリンカー基、非ペプチド性ポリマー基及びペプチド性基がある。これら2つのクラスのリンカー基は、本発明の可溶性二官能性タンパク質の多価複合体の形成における使用に関連して、下記で詳細に説明する。本明細書の実施例1は、TCRとスーパー抗原との間の結合を形成するために使用し得るペプチド性リンカーの例を提供する。
本発明の或る実施形態では、スーパー抗原のN末端は、TCRα鎖又はTCRβ鎖のC末端アミノ酸に、直接又はリンカー基を介して間接的に共有結合で連結している。本発明の更なる実施形態では、スーパー抗原のN末端は、(a)TCRα鎖若しくはTCRβ鎖のC末端アミノ酸にペプチド結合若しくはシステイン間ジスルフィド結合により直接にか、又は(b)それ自体がTCRα鎖若しくはTCRβ鎖のC末端にペプチド結合若しくはシステイン間ジスルフィド結合により連結しているリンカーアミノ酸配列のC末端アミノ酸へのペプチド結合若しくはシステイン間ジスルフィド結合により間接的にかのいずれかで連結している。
本発明の具体的実施形態において、スーパー抗原のN末端は、TCRα鎖又はTCRβ鎖のC末端アミノ酸に、ペプチド性リンカーを介して連結している。
当業者に公知のように、種々のペプチドリンカーが、TCRβ鎖をスーパー抗原に連結するために適切であり得る。以下は、この目的に使用し得るリンカー配列の例である。
ggcggtccg これはGly-Gly-Proリンカー(L1)をコードする。
ggatccggcggtccg (配列番号:1) − これは、BamH1制限酵素部位を含むGly-Ser-Gly-Gly-Pro(配列番号:2)リンカー(L2)をコードする。
ggatccggtgggggcggaagtggaggcagcggtggatccggcggtccg (配列番号:3) − これは、2つのBamH1制限酵素部位を含むGly-Ser-Gly-Gly-Gly-Gly-Ser-Gly-Gly-Ser-Gly-Gly-Ser-Gly-Gly-Pro(配列番号:4)リンカー(L3)をコードする。
cccggg − これはXma1制限酵素部位を含むPro-Glyリンカー(L4)をコードする。
ggcggtccg これはGly-Gly-Proリンカー(L1)をコードする。
ggatccggcggtccg (配列番号:1) − これは、BamH1制限酵素部位を含むGly-Ser-Gly-Gly-Pro(配列番号:2)リンカー(L2)をコードする。
ggatccggtgggggcggaagtggaggcagcggtggatccggcggtccg (配列番号:3) − これは、2つのBamH1制限酵素部位を含むGly-Ser-Gly-Gly-Gly-Gly-Ser-Gly-Gly-Ser-Gly-Gly-Ser-Gly-Gly-Pro(配列番号:4)リンカー(L3)をコードする。
cccggg − これはXma1制限酵素部位を含むPro-Glyリンカー(L4)をコードする。
本発明の具体的実施形態において、スーパー抗原のN末端は、TCRα鎖又はTCRβ鎖のC末端アミノ酸に、非ペプチド性ポリマー基を介して連結している。
スーパー抗原が野生型スーパー抗原の変異体であり、その変異がTCRβ可変ドメインに関する当該スーパー抗原の親和性を保持するがクラスII MHC分子に関する親和性を減少させる本発明の1つの観点が提供される。
スーパー抗原が野生型スーパー抗原の変異体であり、その変異がTCRβ可変ドメインに関する当該スーパー抗原の親和性を保持するがクラスII MHC分子に関する親和性を減少させる本発明の1つの観点が提供される。
本発明の更なる観点において、スーパー抗原は野生型の又は変異したブドウ球菌性スーパー抗原である。
スーパー抗原が図9b(配列番号:5)に示されるアミノ酸配列を有する本発明の具体的実施形態が提供される。このスーパー抗原(SEA-E120, Active Biotech, Sweden)は、図8b(配列番号:6)に示される野生型SEA-Eスーパー抗原に対して、TCRβ可変ドメインに関する親和性を保持するがクラスII MHC分子に関する親和性を減少させるように変異している。
スーパー抗原が図9b(配列番号:5)に示されるアミノ酸配列を有する本発明の具体的実施形態が提供される。このスーパー抗原(SEA-E120, Active Biotech, Sweden)は、図8b(配列番号:6)に示される野生型SEA-Eスーパー抗原に対して、TCRβ可変ドメインに関する親和性を保持するがクラスII MHC分子に関する親和性を減少させるように変異している。
本明細書中に開示された可溶性二官能性タンパク質のTCR部分は、標的化成分(targeting moiety)である。これらはTCRリガンド(例えば、ペプチド-MHC又はCD1-抗原複合体)を標的する。このように、これらTCRは、TCRリガンドに関して、当該リガンドに特異的な天然型TCRより高い親和性及び/又は遅い解離速度を有していれば望ましい。
1つの広い観点では、本発明の可溶性二官能性タンパク質のTCR部分は、それぞれWO 04/033685及びWO 03/020763に記載されるような単鎖TCR(scTCR)又は二量体TCR(dTCR)のいずれかの形態である。詳細には:
可溶性二官能性タンパク質の適切なTCR部分は、膜貫通ドメインを除くTCRα鎖の全て又は一部と、膜貫通ドメインを除くTCRβ鎖の全て又は一部とを含んでなり、ここで各TCR鎖は、TCR鎖の機能的可変ドメインと定常ドメインの少なくとも一部とを含んでなり、天然型TCR中に存在しない定常ドメイン残基同士間のジスルフィド結合により連結している。
可溶性二官能性タンパク質の適切なTCR部分は、膜貫通ドメインを除くTCRα鎖の全て又は一部と、膜貫通ドメインを除くTCRβ鎖の全て又は一部とを含んでなり、ここで各TCR鎖は、TCR鎖の機能的可変ドメインと定常ドメインの少なくとも一部とを含んでなり、天然型TCR中に存在しない定常ドメイン残基同士間のジスルフィド結合により連結している。
本発明の1つの具体的実施形態では、このようなTCR部分は、TCR鎖の細胞外定常Igドメインの全てを含んでなる。
本発明の別の具体的実施形態において、このようなTCR部分は、TCR鎖の細胞外ドメインの全てを含んでなる。
本発明の別の具体的実施形態において、このようなTCR部分は、TCR鎖の細胞外ドメインの全てを含んでなる。
可溶性二官能性タンパク質のTCR部分は、天然型TCR中に存在しない定常ドメイン残基同士間にジスルフィド連結を有することにより特徴付けられる。
本発明の1つの観点では、この共有結合性ジスルフィド結合は、α鎖の定常ドメインのイムノグロブリン領域の残基を、β鎖の定常ドメインのイムノグロブリン領域の残基に連結する。
本発明の1つの観点では、この共有結合性ジスルフィド結合は、α鎖の定常ドメインのイムノグロブリン領域の残基を、β鎖の定常ドメインのイムノグロブリン領域の残基に連結する。
TCR部分において、天然型TCR中に存在する鎖間ジスルフィド結合がない本発明の別の観点が提供される。TCR部分において、天然型のαTCR鎖及びβTCR鎖が、天然型鎖間ジスルフィド結合を形成するシステイン残基が除去されるようにC末端で切断されているこの観点の具体的実施形態が提供される。代替の実施形態では、天然型鎖間ジスルフィド結合を形成するシステイン残基は別の残基に置換されている。別の具体的実施形態では、天然型鎖間ジスルフィド結合を形成するシステイン残基は、セリン又はアラニンに置換されている。
TCR部分において、天然型TCRβ鎖中に存在する非対合のシステイン残基が存在しない本発明の1つの観点が提供される。
TCR部分において、天然型TCR中に存在しないジスルフィド結合が、β炭素原子が天然型TCR構造中で0.6nm未満離れている残基から置換されたシステイン残基同士間にある本発明の別の観点が提供される。
TCR部分において、天然型TCR中に存在しないジスルフィド結合が、β炭素原子が天然型TCR構造中で0.6nm未満離れている残基から置換されたシステイン残基同士間にある本発明の別の観点が提供される。
TCR部分において、天然型TCR中に存在しないジスルフィド結合が、TRAC*01のエキソン1のThr 48及びTRBC1*01又はTRBC2*01のエキソン1のSer 57から置換されたシステイン残基同士間にある本発明の具体的実施形態が提供される。
TCR部分において、天然型TCR中に存在しないジスルフィド結合が、TRAC*01のエキソン1のThr 45及びTRBC1*01又はTRBC2*01のエキソン1のSer 77から置換されたシステイン残基同士間にある本発明の別の具体的実施形態が提供される。
TCR部分において、天然型TCR中に存在しないジスルフィド結合が、TRAC*01のエキソン1のThr 45及びTRBC1*01又はTRBC2*01のエキソン1のSer 77から置換されたシステイン残基同士間にある本発明の別の具体的実施形態が提供される。
TCR部分において、天然型TCR中に存在しないジスルフィド結合が、TRAC*01のエキソン1のTyr 10及びTRBC1*01又はTRBC2*01のエキソン1のSer 17から置換されたシステイン残基同士間にある本発明の別の具体的実施形態が提供される。
TCR部分において、天然型TCR中に存在しないジスルフィド結合が、TRAC*01のエキソン1のThr 45及びTRBC1*01又はTRBC2*01のエキソン1のAsp 59から置換されたシステイン残基同士間にある本発明の別の具体的実施形態が提供される。
TCR部分において、天然型TCR中に存在しないジスルフィド結合が、TRAC*01のエキソン1のThr 45及びTRBC1*01又はTRBC2*01のエキソン1のAsp 59から置換されたシステイン残基同士間にある本発明の別の具体的実施形態が提供される。
TCR部分において、天然型TCR中に存在しないジスルフィド結合が、TRAC*01のエキソン1のSer 15及びTRBC1*01又はTRBC2*01のエキソン1のGlu 15から置換されたシステイン残基同士間にある本発明の別の具体的実施形態が提供される。
本発明の別の具体的実施形態は、
(a)(i)膜貫通ドメインを除くTCRα鎖の全て又は一部と(ii)膜貫通ドメインを除くTCRβ鎖の全て又は一部とを含んでなるTCRと
(b)配列番号5のスーパー抗原
との間の結合を含んでなる可溶性二官能性タンパク質により提供される。ここで、(i)及び(ii)は各々、TCR鎖の機能的可変ドメインと定常ドメインの少なくとも一部とを含んでなり、そしてTRAC*01のエキソン1のThr 48及びTRBC1*01又はTRBC2*01のエキソン1のSer 57から置換されたシステイン残基同士間のジスルフィド結合により連結している。また、TCR(a)とスーパー抗原(b)の結合は、それぞれC末端からN末端への関係で結合している。
(a)(i)膜貫通ドメインを除くTCRα鎖の全て又は一部と(ii)膜貫通ドメインを除くTCRβ鎖の全て又は一部とを含んでなるTCRと
(b)配列番号5のスーパー抗原
との間の結合を含んでなる可溶性二官能性タンパク質により提供される。ここで、(i)及び(ii)は各々、TCR鎖の機能的可変ドメインと定常ドメインの少なくとも一部とを含んでなり、そしてTRAC*01のエキソン1のThr 48及びTRBC1*01又はTRBC2*01のエキソン1のSer 57から置換されたシステイン残基同士間のジスルフィド結合により連結している。また、TCR(a)とスーパー抗原(b)の結合は、それぞれC末端からN末端への関係で結合している。
TCR部分が、膜貫通ドメインを除くTCRα鎖の全て又は一部と膜貫通ドメインを除くTCRβ鎖の全て又は一部とを含んでなり、各TCR鎖は各々、第2のTCRの定常ドメインの全て又は一部に融合した第1のTCRの機能的可変ドメインを含んでなり、第1及び第2のTCRは同じ種に由来する本発明の更なる実施形態が提供される。
本発明の可溶性二官能性タンパク質が検出可能な標識を更に含んでなる、更なる観点が提供される。
本発明の可溶性二官能性タンパク質が検出可能な標識を更に含んでなる、更なる観点が提供される。
TCRが1μMより高い所定のペプチド-MHCに関する親和性(Kd)を有する更なる観点が、本発明の可溶性二官能性タンパク質により提供される。本発明者らの同時係属中の出願WO 2004/044004は、TCRリガンドに関して、当該リガンドに特異的な天然型TCRより高い親和性及び/又は遅い解離速度を有するTCRを作製する方法を詳述している。好ましくは、TCRリガンドに関するTCRの親和性(KD)は1μMより高く及び/又は解離速度(kOFF)は1×10-3 S-1より遅い。より好ましくは、TCRリガンドに関するTCRの親和性(KD)は10nMより高く及び/又は解離速度(kOff)は1×10-4 S-1より遅い。最も好ましくは、TCRリガンドに関するTCRの親和性(KD)は1nMより高く及び/又は解離速度(kOff)は1×10-5 S-1より遅い。
親和性(KD)及び/又は解離速度(koff)の測定は、任意の公知の方法により行うことができる。好ましい方法は、実施例4の表面プラズモン共鳴(Biacore)法である。
上記で言及した非天然型ジスルフィド結合に加えて、本発明の可溶性二官能性タンパク質のTCR部分は、天然型TCR中でジスルフィド結合により連結している残基に対応する残基同士間のジスルフィド結合を含み得る。
本発明の可溶性二官能性タンパク質のTCR部分は、好ましくは、天然型TCRの膜貫通配列に対応する配列も細胞質配列に対応する配列を含有しない。
上記で言及した非天然型ジスルフィド結合に加えて、本発明の可溶性二官能性タンパク質のTCR部分は、天然型TCR中でジスルフィド結合により連結している残基に対応する残基同士間のジスルフィド結合を含み得る。
本発明の可溶性二官能性タンパク質のTCR部分は、好ましくは、天然型TCRの膜貫通配列に対応する配列も細胞質配列に対応する配列を含有しない。
多価複合体
本発明の1つの観点により、複数の可溶性二官能性タンパク質を含んでなる多価複合体が提供される。この観点の1つの実施形態は、ポリアルキレングリコールポリマー又はペプチド性配列を含んでなるリンカー基を介して互いに結合した2つ又は3つ又は4つの結合二官能性タンパク質により提供される。好ましくは複合体は水溶性であり、したがってリンカー基はそれ相応に選択されるべきである。更に、リンカー基は、形成される複合体の構造的多様性が最小限化するように、可溶性二官能性タンパク質上の規定位置に付着することができるべきであることが好ましい。この観点の1つの実施形態は、ポリマー鎖又はペプチド性リンカー配列がTCR部分の可変領域配列中に位置しない各可溶性二官能性タンパク質のアミノ酸残基同士間に伸びている本発明の多価複合体により提供される。
本発明の1つの観点により、複数の可溶性二官能性タンパク質を含んでなる多価複合体が提供される。この観点の1つの実施形態は、ポリアルキレングリコールポリマー又はペプチド性配列を含んでなるリンカー基を介して互いに結合した2つ又は3つ又は4つの結合二官能性タンパク質により提供される。好ましくは複合体は水溶性であり、したがってリンカー基はそれ相応に選択されるべきである。更に、リンカー基は、形成される複合体の構造的多様性が最小限化するように、可溶性二官能性タンパク質上の規定位置に付着することができるべきであることが好ましい。この観点の1つの実施形態は、ポリマー鎖又はペプチド性リンカー配列がTCR部分の可変領域配列中に位置しない各可溶性二官能性タンパク質のアミノ酸残基同士間に伸びている本発明の多価複合体により提供される。
本発明の複合体は医学用であり得るので、リンカー成分は医薬的適合性、例えば免疫原性に関して当然に注意して選択されるべきである。
上記の望まれる基準を満たすリンカー成分の例は、当該分野、例えば抗体フラグメントの連結の分野で公知である。
上記の望まれる基準を満たすリンカー成分の例は、当該分野、例えば抗体フラグメントの連結の分野で公知である。
本発明の多価複合体の製造における使用に好ましい2つのクラスのリンカーが存在する。可溶性二官能性タンパク質がポリアルキレングリコール鎖により連結している本発明の多価複合体は、この観点の1つの実施形態を提供する。
第1は、親水性ポリマー、例えばポリアルキレングリコールである。このクラスの最も一般に使用されるものは、ポリエチレングリコール又はPEG(この構造を下記に示す)をベースにする:
HOCH2CH2O(CH2CH2O)n-CH2CH2OH
(式中、nは2より大きい)。しかし、他の適切な(任意に置換されていてもよい)ポリアルキレングリコール(ポリプロピレングリコールを含む)及びエチレングリコールとプロピレングリコールとのコポリマーをベースにするものもある。
HOCH2CH2O(CH2CH2O)n-CH2CH2OH
(式中、nは2より大きい)。しかし、他の適切な(任意に置換されていてもよい)ポリアルキレングリコール(ポリプロピレングリコールを含む)及びエチレングリコールとプロピレングリコールとのコポリマーをベースにするものもある。
このようなポリマーは、治療剤、特にポリペプチド治療剤又はタンパク質治療剤を処理するか又はこれに接合するかして、該治療剤のPKプロフィールに有益な変化(例えば、減少した腎クリアランス、向上した血漿半減期、減少した免疫原性及び向上した溶解性)を達成するために使用され得る。PEG−治療剤接合体のPKプロフィールのこのような改善は、PEG分子が該治療剤の周囲に、免疫系との反応を立体的に障害しタンパク質分解性分解を減少させる「殻」を形成することに起因すると考えられる(Caseyら(2000) Tumor Targetting 4 235-244)。使用する親水性ポリマーのサイズは、具体的には、TCR複合体の意図する治療用途に基づいて選択し得る。したがって、例えば、製品が、例えば腫瘍治療における使用のために、循環中を出て組織に浸潤するよう意図される場合、5KDaのオーダーの低分子量ポリマーを使用することが有利であり得る。医薬製剤におけるPEG及び類似分子の使用を詳述する多くの総説論文及び本が存在する。例えば、Harris (1992) Polyethylene Glycol Chemistry - Biotechnical and Biomedical Applications, Plenum, New York, NY.、又はHarris & Zalipsky (1997) Chemistry and Biological Applications of Polyethylene Glycol ACS Books,Washington,D.C.を参照。
使用するポリマーは、直鎖状又は分枝状の構造を有することができる。分枝状PEG分子又はその誘導体は、グリセロール及びグリセロールオリゴマー、ペンタエリスリトール、ソルビトール並びにリジンを含む分枝成分の付加により誘導することができる。
通常、ポリマーは、該ポリマーが可溶性二官能性タンパク質中の標的部位へ連結することが可能となるように、その構造中、例えば一方又は両方の端部及び/又は主鎖からの分枝上に、化学反応性の基を有する。下記に示すように、この化学反応性の基は親水性ポリマーに直接付着させてもよいし、又は親水性ポリマーと反応性化学成分との間にスペーサ基/成分が存在していてもよい:
反応性化学成分−親水性ポリマー−反応性化学成分
反応性化学成分−スペーサ−親水性ポリマー−スペーサ−反応性化学成分
反応性化学成分−親水性ポリマー−反応性化学成分
反応性化学成分−スペーサ−親水性ポリマー−スペーサ−反応性化学成分
上記で概説したタイプの構築物の形成に使用するスペーサは、非反応性の化学的に安定な鎖である任意の有機成分であり得る。このようなスペーサには、以下が含まれるがそれらに限定されない:
-(CH2)n- (式中、n=2〜5)
-(CH2)3NHCO(CH2)2
-(CH2)n- (式中、n=2〜5)
-(CH2)3NHCO(CH2)2
ポリアルキレングリコール鎖と複合体の可溶性二官能性タンパク質へのその付着点との間に二価アルキレンスペーサ基が位置する本発明の多価複合体により、この観点の更なる実施形態が提供される。
ポリアルキレングリコール鎖が少なくとも2つのポリエチレングリコール反復単位を含んでなる本発明の多価複合体により、この観点の更なる実施形態が提供される。
ポリアルキレングリコール鎖が少なくとも2つのポリエチレングリコール反復単位を含んでなる本発明の多価複合体により、この観点の更なる実施形態が提供される。
本発明に有用であり得る反応性化学成分に直接か又はスペーサーを介して連結される親水性ポリマーの商業的供給業者は多く存在する。これら供給業者としては、Nektar Therapeutics(CA、米国)、NOF Corporation(日本)、Sunbio(韓国)及びEnzon Pharmaceuticals(NJ、米国)が挙げられる。
本発明に有用であり得る反応性化学成分に直接か又はスペーサーを介して連結される市販の親水性ポリマーとしては、以下のものが挙げられるがそれらに限定されない。
種々のカップリング化学成分を使用して、ポリマー分子をタンパク質治療剤及びペプチド治療剤とカップリングすることができる。最も適切なカップリング化学成分の選択は、所望するカップリング部位に大きく依存する。例えば、以下のカップリング化学成分が、PEG分子の1又はそれ以上の末端に付着させるために使用されてきた(出典:Nektar Molecular Engineering Catalogue 2003):
N−マレイミド
ビニルスルホン
炭酸ベンゾトリアゾール
スクシンイミジルプロピオネート
スクシンイミジルブタノエート(succinimidyl butanoate)
チオエステル
アセトアルデヒド
アクリラート
ビオチン
一級アミン
ビニルスルホン
炭酸ベンゾトリアゾール
スクシンイミジルプロピオネート
スクシンイミジルブタノエート(succinimidyl butanoate)
チオエステル
アセトアルデヒド
アクリラート
ビオチン
一級アミン
上記のように、非PEGベースのポリマーもまた、本発明の可溶性二官能性タンパク質を多量化するために適切なリンカーを提供する。例えば、脂肪族鎖により連結したマレイミド末端を含有する成分、例えばBMH及びBMOE(Pierce,製品番号22330及び22323)が使用できる。
ペプチド性リンカーが他方の好ましいクラスのリンカー基である。これらリンカーは、アミノ酸の鎖から構成され、単純なリンカー又は可溶性二官能性タンパク質を付着させ得る多量体化ドメインを作製するために機能する。ビオチン/ストレプトアビジン系は、以前に、インビトロ結合研究用の可溶性TCRの四量体(WO/99/60119を参照)を作製するために使用された。しかし、ストレプトアビジンは微生物由来のポリペプチドであり、よって治療剤における使用に理想的には適していない。
可溶性二官能性タンパク質がヒト多量体化ドメインに由来するペプチド性リンカーにより連結している本発明の多価複合体により、この観点の更なる実施形態が提供される。
多価複合体の作製に使用できる多量体化ドメインを含有する多くのヒトタンパク質が存在する。例えば、p53の四量体化ドメインは、単量体scFvフラグメントと比較して、増大した血清残存率及び有意に減少した解離速度を示すscFv抗体フラグメント四量体を作製するために利用されている(Willudaら(2001) J. Biol. Chem. 276 (17) 14385-14392)。ヘモグロビンもまた、この種の適用におそらく使用できる四量体化ドメインを有する。
多価複合体の作製に使用できる多量体化ドメインを含有する多くのヒトタンパク質が存在する。例えば、p53の四量体化ドメインは、単量体scFvフラグメントと比較して、増大した血清残存率及び有意に減少した解離速度を示すscFv抗体フラグメント四量体を作製するために利用されている(Willudaら(2001) J. Biol. Chem. 276 (17) 14385-14392)。ヘモグロビンもまた、この種の適用におそらく使用できる四量体化ドメインを有する。
少なくとも1つが本発明の可溶性二官能性タンパク質である少なくとも2つの可溶性二官能性タンパク質を含んでなる多価複合体により、この観点の別の実施形態が提供される。
上記の観点及びその実施形態は、以下の形態の本発明の多価複合体を作製する方法を詳述する:
(AB)n
ここで、Aは可溶性二官能性タンパク質のTCR部分であり、Bは可溶性二官能性タンパク質のスーパー抗原部分である。可溶性二官能性タンパク質のTCR部分及び/又はスーパー抗原部分が多量体化されている代替構築物も有益であり得ると考えられる。これら構築物は以下のいずれかの形態であり得る:
(AB)n
ここで、Aは可溶性二官能性タンパク質のTCR部分であり、Bは可溶性二官能性タンパク質のスーパー抗原部分である。可溶性二官能性タンパク質のTCR部分及び/又はスーパー抗原部分が多量体化されている代替構築物も有益であり得ると考えられる。これら構築物は以下のいずれかの形態であり得る:
本発明の1つのTCRが少なくとも2つのスーパー抗原に連結している
A(B)n
又は、少なくとも2つの本発明のTCRが1つのスーパー抗原に連結している
(A)nB
又は、少なくとも2つの本発明のTCRが少なくとも2つのスーパー抗原に連結している
(A)n(B)n
A(B)n
又は、少なくとも2つの本発明のTCRが1つのスーパー抗原に連結している
(A)nB
又は、少なくとも2つの本発明のTCRが少なくとも2つのスーパー抗原に連結している
(A)n(B)n
(治療用途)
本発明はまた、標的細胞にスーパー抗原を送達する方法を提供する。この方法は、潜在的な標的細胞を本発明に従う可溶性二官能性タンパク質又は多価複合体と、標的細胞への可溶性二官能性タンパク質又は多価複合体の付着を可能にする条件下で接触させることを含んでなる。ここで、可溶性二官能性タンパク質又は多価複合体は、所定のペプチド-MHC複合体に特異的である。
本発明はまた、標的細胞にスーパー抗原を送達する方法を提供する。この方法は、潜在的な標的細胞を本発明に従う可溶性二官能性タンパク質又は多価複合体と、標的細胞への可溶性二官能性タンパク質又は多価複合体の付着を可能にする条件下で接触させることを含んでなる。ここで、可溶性二官能性タンパク質又は多価複合体は、所定のペプチド-MHC複合体に特異的である。
詳細には、本発明の可溶性二官能性タンパク質又は多価複合体は、特定の抗原を提示する細胞の位置までスーパー抗原を送達するために使用することができる。このことは、多くの状況で、例えば腫瘍に対して又は感染性疾患の部位で有用である。スーパー抗原は、その効果が局所的に(しかしスーパー抗原が結合する細胞のみではない)発揮されるように送達することができる。
このように、1つの特定の戦略は、腫瘍抗原に特異的である、本発明による二官能性タンパク質又は多価複合体を使用する。ガン治療には、腫瘍又は転移の近傍への局在がスーパー抗原の効果を増強する。或いは、本発明の二官能性タンパク質又は多価複合体は、感染性疾患に関連する特定の抗原を提示する細胞の位置までスーパー抗原を送達するために使用することができる。.
二官能性タンパク質又は多価複合体の投与前及び/又は投与と同時の患者へのインターフェロン(IFN)(例えば、IFN-γ)の投与は、標的細胞でのペプチド−MHC発現レベルを増加させることができる。このことはガンの治療において特に有益であり得る。
本発明の更なる実施形態は、本発明の二官能性タンパク質又は多価複合体を医薬的に許容され得るキャリアと共に含んでなる医薬組成物により提供される。
本発明の更なる実施形態は、本発明の二官能性タンパク質又は多価複合体を医薬的に許容され得るキャリアと共に含んでなる医薬組成物により提供される。
本発明はまた、ガン疾患を患っている対象に、有効量の本発明の二官能性タンパク質又は多価複合体を投与することを含んでなるガンの治療方法を提供する。関連する実施形態では、本発明は、ガンの治療用組成物の製造における、本発明の二官能性タンパク質又は多価複合体の使用を提供する。SEA E120又はその機能的変形体若しくはフラグメントは、ガン治療での本発明の二官能性タンパク質又は多価複合体における使用のための特に好ましいスーパー抗原である。
本発明はまた、感染性疾患を患っている対象に、有効量の本発明の二官能性タンパク質又は多価複合体を投与することを含んでなる感染性疾患の治療方法を提供する。関連する実施形態では、本発明は、感染性疾患の治療用組成物の製造における本発明の二官能性タンパク質又は多価複合体の使用を提供する。SEA E120又はその機能的変形体若しくはフラグメントは、感染性疾患の治療での本発明の二官能性タンパク質又は多価複合体における使用のための好ましいスーパー抗原である。
本発明の組成物及び方法により治療されるガンには、白血病、頭部及び頸部、肺、胸部、結腸、子宮頸部、肝臓、膵臓、卵巣、前立腺、結腸、肝臓、膀胱、食道、胃、黒色腫及び精巣が挙げられるがこれらに限定されない。
本発明の組成物及び方法により治療される感染性疾患は、細胞内感染性生物により引き起こされるものである。本明細書中で使用する用語「細胞内感染性生物」は、ヒト細胞に侵入し得る任意の生物を包含すると理解される。このような生物は、直接に疾患を引き起こし得るか、又は直接には変化した細胞機能を導き得る。これら生物は以下のもののいずれかであり得る:
細菌、真菌、ウイルス、原生動物及びマイコバクテリア。
細菌、真菌、ウイルス、原生動物及びマイコバクテリア。
これら疾患及び該疾患を引き起こす細胞内感染性生物の例としては、ペスト菌(Yersinia pestis)により引き起こされる腺ペスト及びHTLV-1ウイルスにより引き起こされるT細胞白血病が挙げられるがこれらに限定されない。
本発明に従う治療用の二官能性タンパク質又は多価複合体は、通常、医薬的に許容され得るキャリアを一般には含む滅菌医薬組成物の部分として供給される。この医薬組成物は、(これを患者に投与する望ましい方法に依存して)任意の適切な形態であり得る。これは、単位投薬剤形で提供されてもよく、一般には密封容器で提供され、キットの部分として提供されてもよい。このようなキットは、(必ずしもではないが)通常、使用のための指示書を含む。キットは、複数の単位投薬剤形を含んでもよい。
医薬組成物は、任意の適切な経路による投与、例えば非経口経路、経皮経路又は吸入による投与、好ましくは非経口(皮下、筋肉内又は静脈内(最も好ましい)を含む)経路による投与に適合され得る。このような組成物は、薬学の分野において任意の公知方法により、例えば滅菌条件下で活性成分をキャリア又は賦形剤と混合することにより製造し得る。
本発明の物質の投薬量は、処置すべき疾患又は障害、治療すべき個体の年齢及び症状などに依存して、幅広い制限範囲内で変化し得、究極的には、医師が、使用すべき適切な投薬量を決定する。
(追加の観点)
本発明の二官能性タンパク質又は多価複合体は、実質的に純粋な形態で、又は精製若しくは単離した調製物として提供され得る。例えば、本発明の二官能性タンパク質又は多価複合体は、他のタンパク質を実質的に含まない形態で提供され得る。
本発明の二官能性タンパク質又は多価複合体は、実質的に純粋な形態で、又は精製若しくは単離した調製物として提供され得る。例えば、本発明の二官能性タンパク質又は多価複合体は、他のタンパク質を実質的に含まない形態で提供され得る。
また、可溶性TCRβ鎖をコードする第2の核酸に融合したスーパー抗原をコードする第1の核酸配列を含んでなる核酸分子も提供される。関連する実施形態は、膜貫通ドメインを除きTCRβ鎖の全て又は一部をコードする第2の核酸に融合したスーパー抗原をコードする第1の核酸配列を含んでなる核酸分子により提供される。ここで、TCRβ鎖をコードする核酸配列は、コードされるTCRβ鎖及び更なる非天然型システイン残基を含有するTCRα鎖の定常ドメイン残基同士間に非天然型ジスルフィド結合を形成し得る導入システインコドンを含んでなる。
更に、可溶性TCRα鎖をコードする第2の核酸に融合したスーパー抗原をコードする第1の核酸配列を含んでなる核酸分子が提供される。関連する実施形態は、膜貫通ドメインを除きTCRα鎖の全て又は一部をコードする第2の核酸に融合したスーパー抗原をコードする第1の核酸配列を含んでなる核酸分子により提供される。ここで、TCRα鎖をコードする核酸配列は、コードされるTCRα鎖及び更なる非天然型システイン残基を含有するTCRβ鎖の定常ドメイン残基間に非天然型ジスルフィド結合を形成し得る導入システインコドンを含んでなる。
また、本発明の1又は複数の核酸分子を含んでなるベクター及びそのようなベクターを含んでなる宿主細胞が提供される。
また、スーパー抗原に融合したTCRβ鎖をコードする核酸分子を含んでなるベクターを含んでなる宿主細胞及びTCRα鎖をコードする核酸分子を含んでなるベクターを含んでなる宿主細胞を、それぞれTCRβ鎖-スーパー抗原融合体及びTCRα鎖の発現を引き起こす条件下でインキュベートし;
それぞれのTCRβ鎖-スーパー抗原融合体及びTCRα鎖を精製し;
それぞれのTCRβ鎖-スーパー抗原融合体及びTCRα鎖を、共有結合性ジスルフィド結合がTCRα鎖の定常ドメインのイムノグロブリン領域の残基をTCRβ鎖-スーパー抗原融合体の定常ドメインのイムノグロブリン領域の残基に連結するようなリフォールディング条件下で混合する
ことを含んでなる可溶性二官能性タンパク質を得る方法が提供される。
それぞれのTCRβ鎖-スーパー抗原融合体及びTCRα鎖を精製し;
それぞれのTCRβ鎖-スーパー抗原融合体及びTCRα鎖を、共有結合性ジスルフィド結合がTCRα鎖の定常ドメインのイムノグロブリン領域の残基をTCRβ鎖-スーパー抗原融合体の定常ドメインのイムノグロブリン領域の残基に連結するようなリフォールディング条件下で混合する
ことを含んでなる可溶性二官能性タンパク質を得る方法が提供される。
更に、スーパー抗原に融合したTCRα鎖をコードする核酸分子を含んでなるベクターを含んでなる宿主細胞及びTCRβ鎖をコードする核酸分子を含んでなるベクターを含んでなる宿主細胞を、それぞれTCRα鎖-スーパー抗原融合体及びTCRβ鎖の発現を引き起こす条件下でインキュベートし;
それぞれのTCRα鎖-スーパー抗原融合体及びTCRβ鎖を精製し;
それぞれのTCRα鎖-スーパー抗原融合体及びTCRβ鎖を、共有結合性ジスルフィド結合がTCRβ鎖の定常ドメインのイムノグロブリン領域の残基をTCRα鎖-スーパー抗原融合体の定常ドメインのイムノグロブリン領域の残基に連結するようなリフォールディング条件下で混合する
ことを含んでなる可溶性二官能性タンパク質を得る代替方法が提供される。
それぞれのTCRα鎖-スーパー抗原融合体及びTCRβ鎖を精製し;
それぞれのTCRα鎖-スーパー抗原融合体及びTCRβ鎖を、共有結合性ジスルフィド結合がTCRβ鎖の定常ドメインのイムノグロブリン領域の残基をTCRα鎖-スーパー抗原融合体の定常ドメインのイムノグロブリン領域の残基に連結するようなリフォールディング条件下で混合する
ことを含んでなる可溶性二官能性タンパク質を得る代替方法が提供される。
また、(i)スーパー抗原部分がTCRβ鎖可変ドメインの所定のサブセットに選択的に結合する本発明の可溶性二官能性タンパク質又は多価複合体を提供し;
(ii)可溶性二官能性タンパク質又は多価複合体を、クラスII MHC-ペプチド複合体を提示する抗原提示細胞(APC)及び多様なT細胞の集団と接触させ;
(iii)APC-可溶性二官能性タンパク質-T細胞複合体の形成に適切な条件下で(ii)の混合物をインキュベートする
ことを含んでなる、TCRβ鎖可変ドメインの所定のサブセットを提示するT細胞について多様なT細胞の集団を富化する方法が提供される。
(ii)可溶性二官能性タンパク質又は多価複合体を、クラスII MHC-ペプチド複合体を提示する抗原提示細胞(APC)及び多様なT細胞の集団と接触させ;
(iii)APC-可溶性二官能性タンパク質-T細胞複合体の形成に適切な条件下で(ii)の混合物をインキュベートする
ことを含んでなる、TCRβ鎖可変ドメインの所定のサブセットを提示するT細胞について多様なT細胞の集団を富化する方法が提供される。
本発明の各観点の好ましい特徴は、その他の観点の各々についても、必要な変更を加えてではあるが同様である。本明細書中で言及する先行技術文献は、法が許す最大限度で本明細書に組み込まれる。
(実施例)
本発明を以下の実施例で更に説明するが、以下の実施例は本発明の範囲を如何なる様式でも制限しない。
本発明を以下の実施例で更に説明するが、以下の実施例は本発明の範囲を如何なる様式でも制限しない。
以下に、添付図面について言及する。
図1a及び1bはそれぞれ、システインコドンが導入されるように変異させた可溶性A6 (Tax) TCRのα鎖及びβ鎖の核酸配列を示す。影付きは、α鎖核酸中の導入システインコドン及び導入BamH1制限部位を示す;
図1a及び1bはそれぞれ、システインコドンが導入されるように変異させた可溶性A6 (Tax) TCRのα鎖及びβ鎖の核酸配列を示す。影付きは、α鎖核酸中の導入システインコドン及び導入BamH1制限部位を示す;
図2aは、新規なジスルフィド鎖間結合を作製するために使用するT48→C変異(下線)を含むA6 (Tax) TCRα鎖細胞外アミノ酸配列を示す。図2bは、新規なジスルフィド鎖間結合を作製するために使用するS57→C変異(下線)を含むA6 (Tax) TCRβ鎖細胞外アミノ酸配列を示す;
図3a及び3bは、非天然型ジスルフィド結合を形成するための追加のシステイン残基を含むように変異させたJM22 TCRのα鎖及びβ鎖のDNA配列を示す;
図4a及び4bはそれぞれ、図3a及び3bのDNA配列から作製したJM22 TCRα鎖及びβ鎖の細胞外アミノ酸配列を示す;
図4a及び4bはそれぞれ、図3a及び3bのDNA配列から作製したJM22 TCRα鎖及びβ鎖の細胞外アミノ酸配列を示す;
図5a及び5bは、非天然型ジスルフィド結合を形成するための追加のシステイン残基を含むように変異させたA6 (Tax) TCRβ鎖の高親和性変形体のDNA配列及びアミノ酸配列を示す。導入したシステインコドンは影付きで示し、親和性増大変異は太字で示している;
図6a及び6bは、非天然型ジスルフィド結合を形成するための追加のシステイン残基を含むように変異させたテロメラーゼTCRの高親和性変形体のα鎖及びβ鎖のDNA配列を示す。導入システインは影付きで示している;
図6a及び6bは、非天然型ジスルフィド結合を形成するための追加のシステイン残基を含むように変異させたテロメラーゼTCRの高親和性変形体のα鎖及びβ鎖のDNA配列を示す。導入システインは影付きで示している;
図7a及び7bはそれぞれ、図6a及び6bのDNA配列から作製したテロメラーゼTCRα鎖及びβ鎖細胞外アミノ酸配列の高親和性変形体を示す;
図8a − 野生型SEA-EのDNA配列
図8b − 野生型SEA-Eのアミノ酸配列
図9a − 変異体スーパー抗原SEA-E120のDNA配列
図9b − 変異体スーパー抗原SEA-E120のアミノ酸配列。変異アミノ酸は影付きで示している;
図8a − 野生型SEA-EのDNA配列
図8b − 野生型SEA-Eのアミノ酸配列
図9a − 変異体スーパー抗原SEA-E120のDNA配列
図9b − 変異体スーパー抗原SEA-E120のアミノ酸配列。変異アミノ酸は影付きで示している;
図10a − Gly-Ser-Gly-Gly-Pro(配列番号:2)リンカーを介して野生型SEA Eスーパー抗原に連結している、新規な鎖間結合の形成に関与する非天然型システインを含有するA6 (Tax) TCRβ鎖細胞外アミノ酸配列の高親和性変形体のDNA配列。導入システインは影付きで示されている。Gly-Ser-Gly-Gly-ProリンカーをコードするDNA配列には下線を付した。
図10b − Gly-Ser-Gly-Gly-Pro(配列番号:2)リンカーを介して野生型SEA Eスーパー抗原に連結している、新規な鎖間結合の形成に関与する非天然型システインコドンを含有するA6 (Tax) TCRβ鎖細胞外アミノ酸配列の高親和性変形体のアミノ酸配列。導入システインは影付きで示されている。Gly-Ser-Gly-Gly-Proリンカーには下線を付した。
図11a − Gly-Ser-Gly-Gly-Pro(配列番号:2)リンカーを介してSEA E120スーパー抗原に連結している、新規な鎖間結合の形成に関与する非天然型システインを含有するA6 (Tax) TCRβ鎖細胞外アミノ酸配列の高親和性変形体のDNA配列。導入システインは影付きで示されている。Gly-Ser-Gly-Gly-ProリンカーをコードするDNA配列には下線を付した。
図11b − Gly-Ser-Gly-Gly-Pro(配列番号:2)リンカーを介してSEA E120スーパー抗原に連結している、新規な鎖間結合の形成に関与する非天然型システインコドンを含有するA6 (Tax) TCRβ鎖細胞外アミノ酸配列の高親和性変形体のアミノ酸配列。導入システインは影付きで示されている。Gly-Ser-Gly-Gly-Proリンカーには下線を付した。
図12a − Gly-Ser-Gly-Gly-Pro(配列番号:2)リンカーを介して野生型SEA Eスーパー抗原に連結している、新規な鎖間結合の形成に関与する非天然型システインを含有するテロメラーゼTCRβ鎖細胞外アミノ酸配列の高親和性変形体のDNA配列。導入システインは影付きで示されている。Gly-Ser-Gly-Gly-ProリンカーをコードするDNA配列には下線を付した。
図12b − Gly-Ser-Gly-Gly-Pro(配列番号:2)リンカーを介して野生型SEA Eスーパー抗原に連結している、新規な鎖間結合の形成に関与する非天然型システインコドンを含有するテロメラーゼTCRβ鎖細胞外アミノ酸配列の高親和性変形体のアミノ酸配列。導入システインは影付きで示されている。Gly-Ser-Gly-Gly-Proリンカーには下線を付した。
図13a − Gly-Ser-Gly-Gly-Pro(配列番号:2)リンカーを介してSEA E120スーパー抗原に連結している、新規な鎖間結合の形成に関与する非天然型システインを含有するテロメラーゼTCRβ鎖細胞外アミノ酸配列の高親和性変形体のDNA配列。導入システインは影付きで示されている。Gly-Ser-Gly-Gly-ProリンカーをコードするDNA配列には下線を付した。
図13b − Gly-Ser-Gly-Gly-Pro(配列番号:2)リンカーを介してSEA E120スーパー抗原に連結している、新規な鎖間結合の形成に関与する非天然型システインコドンを含有するテロメラーゼTCRβ鎖細胞外アミノ酸配列の高親和性変形体のアミノ酸配列。導入システインは影付きで示されている。Gly-Ser-Gly-Gly-Proリンカーには下線を付した。
図14はPEX821プラスミドのDNA配列を詳述する。
図15は、高親和性A6 (Tax) TCR-SEA-E120スーパー抗原融合タンパク質を使用するAPCのペプチド-MHC特異的なCTL媒介性殺傷を示す。
図16は、T2細胞の殺傷に対するTaxペプチドパルス滴定濃度(1×10-10〜1×10-6M)及び高親和性Tax TCR-L2-SEA E-120滴定濃度(6.4×10-13〜1×10-7M)の効果を示す。
図15は、高親和性A6 (Tax) TCR-SEA-E120スーパー抗原融合タンパク質を使用するAPCのペプチド-MHC特異的なCTL媒介性殺傷を示す。
図16は、T2細胞の殺傷に対するTaxペプチドパルス滴定濃度(1×10-10〜1×10-6M)及び高親和性Tax TCR-L2-SEA E-120滴定濃度(6.4×10-13〜1×10-7M)の効果を示す。
図17は、固定濃度(10-6M)のTaxペプチド又は無関係のテロメラーゼペプチド(ILAKFLHWL)コントロールを用いる高親和性Tax TCR-L2-SEA E-120融合タンパク質により誘発されるT2細胞殺傷を示す。
図18a及び18bはそれぞれ、導入システインを含有する高親和性NY-ESO TCRα鎖のDNA配列及びアミノ酸配列を詳述する。
図18a及び18bはそれぞれ、導入システインを含有する高親和性NY-ESO TCRα鎖のDNA配列及びアミノ酸配列を詳述する。
図19a及び19bはそれぞれ、SEA E-120に融合された、導入システインを含有する切断型高親和性NY-ESO TCRβ鎖のDNA配列及びアミノ酸配列を詳述する。切断型NY-ESO TCRβ鎖は、「正常な」可溶性TCRと比較して、C末端から最後の3アミノ酸(RAD)が除去されている。図19aでは切断型TCRβ鎖のDNA配列中の最後のグリシン残基をコードするコドンに下線を付し、図19bでは対応するグリシン残基に下線を付した。
図20a〜20cはそれぞれ、多くのTCR-スーパー抗原融合体、Tax TCR-L2-SEA E120、テロメラーゼTCR-L1-SEA E120及びNY-ESO TCR-LM1-SEA E120のT2細胞殺傷能力を示す。全ての融合タンパク質を2nMの濃度で供給した。T2標的細胞を、10-6Mの同族ペプチド又は無関係のペプチドでパルスした。種々のエフェクター:標的細胞(E:T)比を使用した。
図21a及び21bは、共に2nMの濃度で供給した2つの異なるTCR-スーパー抗原融合体(それぞれTax TCR-L2-SEA E120及びテロメラーゼTCR-L1-SEA E120)のT2標的細胞殺傷能力を示す。標的細胞を、これらTCR-スーパー抗原融合体の1つに関しての同族ペプチド10-6Mでパルスし、種々のエフェクター:標的細胞(E:T)比を使用した。
図22は、共に2nMの濃度で供給したTax TCR-L2-SEA E120及びテロメラーゼTCR-L1-SEA E120融合タンパク質のSK-Mel 37腫瘍細胞株殺傷能力を示す。標的細胞を10-6MのTaxペプチドでパルスし、種々のエフェクター:標的(E:T)細胞比を調べた。
図23は、pEX821ベクターのプラスミドマップを提供する。
図24は、pEX954ベクターのDNA配列を詳述する。
図25は、pEX954ベクターのプラスミドマップを提供する。
図24は、pEX954ベクターのDNA配列を詳述する。
図25は、pEX954ベクターのプラスミドマップを提供する。
実施例1 − 可溶性高親和性A6 (Tax) TCR-スーパー抗原融合タンパク質をコードするDNAの作製
図8a及び9aにそれぞれ詳述する野生型SEAスーパー抗原又は変異SEA E120スーパー抗原のいずれかをコードするDNAの5’末端にペプチドリンカーをコードするDNA配列を介して連結している図5aに詳述する可溶性高親和性A6 (Tax) TCRβ鎖をコードするDNA配列を含んでなる合成遺伝子を合成した。
適切なDNAサービスを提供する多くの会社、例えばGeneart(ドイツ)が存在する。
図8a及び9aにそれぞれ詳述する野生型SEAスーパー抗原又は変異SEA E120スーパー抗原のいずれかをコードするDNAの5’末端にペプチドリンカーをコードするDNA配列を介して連結している図5aに詳述する可溶性高親和性A6 (Tax) TCRβ鎖をコードするDNA配列を含んでなる合成遺伝子を合成した。
適切なDNAサービスを提供する多くの会社、例えばGeneart(ドイツ)が存在する。
図10aは、Gly-Ser-Gly-Gly-Proリンカー(配列番号:2)を介して野生型SEA Eスーパー抗原に連結している、新規な鎖間結合の形成に関与する非天然型システインを含有するA6 (Tax) TCRβ鎖細胞外アミノ酸配列の高親和性変形体のDNA配列を詳述する。導入システインは影付きで示されている。Gly-Ser-Gly-Gly-ProリンカーをコードするDNA配列には下線を付した。
図10bは、Gly-Ser-Gly-Gly-Proリンカー(配列番号:2)を介して野生型SEA Eスーパー抗原に連結している、新規な鎖間結合の形成に関与する非天然型システインコドンを含有するA6 (Tax) TCRβ鎖細胞外アミノ酸配列の高親和性変形体のアミノ酸配列を詳述する。導入システインは影付きで示されている。Gly-Ser-Gly-Gly-Proリンカーには下線を付した。
図11aは、Gly-Ser-Gly-Gly-Proリンカー(配列番号:2)を介してSEA E120スーパー抗原に連結している、新規な鎖間結合の形成に関与する非天然型システインを含有するA6 (Tax) TCRβ鎖細胞外アミノ酸配列の高親和性変形体のDNA配列を詳述する。導入システインは影付きで示されている。Gly-Ser-Gly-Gly-ProリンカーをコードするDNA配列には下線を付した。
図11bは、Gly-Ser-Gly-Gly-Proリンカー(配列番号:2)を介してSEA E120スーパー抗原に連結している、新規な鎖間結合の形成に関与する非天然型システインコドンを含有するA6 (Tax) TCRβ鎖細胞外アミノ酸配列の高親和性変形体のアミノ酸配列を詳述する。導入システインは影付きで示されている。Gly-Ser-Gly-Gly-Proリンカーには下線を付した。
当業者に公知のように、種々のペプチドリンカーが、TCRβ鎖をスーパー抗原に連結するために適切であり得る。以下は、この目的に使用され得るリンカー配列の例である。
リンカー配列:
当業者に公知のように、種々のペプチドリンカーが、TCRβ鎖をスーパー抗原と連結するために適切であり得る。以下は、この目的に使用され得るリンカー配列の例である。
当業者に公知のように、種々のペプチドリンカーが、TCRβ鎖をスーパー抗原と連結するために適切であり得る。以下は、この目的に使用され得るリンカー配列の例である。
ggcggtccg − これはGly-Gly-Proリンカー(L1)をコードする。
ggatccggcggtccg (配列番号:1) − これは、BamH1制限酵素部位を含むGly-Ser-Gly-Gly-Pro(配列番号:2)リンカー(L2)をコードする。
ggatccggtgggggcggaagtggaggcagcggtggatccggcggtccg (配列番号:3) − これは、2つのBamH1制限酵素部位を含むGly-Ser-Gly-Gly-Gly-Gly-Ser-Gly-Gly-Ser-Gly-Gly-Ser-Gly-Gly-Pro(配列番号:4)リンカー(L3)をコードする。
cccggg − これはXma1制限酵素部位を含むPro-Glyリンカー(L4)をコードする。
ggatccggcggtccg (配列番号:1) − これは、BamH1制限酵素部位を含むGly-Ser-Gly-Gly-Pro(配列番号:2)リンカー(L2)をコードする。
ggatccggtgggggcggaagtggaggcagcggtggatccggcggtccg (配列番号:3) − これは、2つのBamH1制限酵素部位を含むGly-Ser-Gly-Gly-Gly-Gly-Ser-Gly-Gly-Ser-Gly-Gly-Ser-Gly-Gly-Pro(配列番号:4)リンカー(L3)をコードする。
cccggg − これはXma1制限酵素部位を含むPro-Glyリンカー(L4)をコードする。
直接融合体としての可溶性TCR鎖とスーパー抗原との結合を引き起こすこともまた可能である。可溶性TCRβ鎖と必要なスーパー抗原との直接融合により形成される融合タンパク質は、本明細書中で、リンカー配列を欠いていることを意味するようにTCR-L0-スーパー抗原と示される。TCR-スーパー抗原の直接融合タンパク質は、該融合タンパク質のTCR部分又はスーパー抗原部分のいずれかの切断を含んでいてもよい。例えば、以下の2つのタイプの切断型TCR-スーパー抗原融合体が形成された。「TCR-LM1-スーパー抗原」融合体は、スーパー抗原のN末端に直接融合した、TCR鎖のC末端から最後の3アミノ酸を除去するように切断された可溶性TCRβ鎖を含んでなる。「TCR-LM2-スーパー抗原」融合体は、N末端から最初の3アミノ酸を除去するように切断されたスーパー抗原に直接融合した可溶性TCRβ鎖を含んでなる。
次いで、TCRβ鎖-リンカー-スーパー抗原融合タンパク質をコードする上記合成遺伝子の1つを、pEX821プラスミド中にサブクローニングした。pEX821のDNA配列及びプラスミドマップはそれぞれ図14及び図23に提供されている。
次いで、非天然型システインコドンを含有する可溶性A6 (Tax) TCRのα鎖をコードする合成遺伝子を独立してpEX954プラスミド中にサブクローニングした(pEX954のDNA配列及びプラスミドマップについてはそれぞれ図24及び25を参照)。
図1aに、この可溶性A6 (Tax) TCRα鎖のDNA配列を詳述する。
次いで、非天然型システインコドンを含有する可溶性A6 (Tax) TCRのα鎖をコードする合成遺伝子を独立してpEX954プラスミド中にサブクローニングした(pEX954のDNA配列及びプラスミドマップについてはそれぞれ図24及び25を参照)。
図1aに、この可溶性A6 (Tax) TCRα鎖のDNA配列を詳述する。
実施例2 − 可溶性高親和性テロメラーゼTCR-スーパー抗原融合タンパク質をコードするDNAの作製
図8a及び9aにそれぞれ詳述する野生型SEAスーパー抗原又は変異SEA E120スーパー抗原のいずれかをコードするDNAの5’末端にペプチドリンカーをコードするDNA配列を介して連結している図6bに詳述する可溶性高親和性テロメラーゼTCRβ鎖をコードするDNA配列を含んでなる合成遺伝子を合成した。
適切なDNAサービスを提供する多くの会社、例えばGeneart(ドイツ)が存在する。
図8a及び9aにそれぞれ詳述する野生型SEAスーパー抗原又は変異SEA E120スーパー抗原のいずれかをコードするDNAの5’末端にペプチドリンカーをコードするDNA配列を介して連結している図6bに詳述する可溶性高親和性テロメラーゼTCRβ鎖をコードするDNA配列を含んでなる合成遺伝子を合成した。
適切なDNAサービスを提供する多くの会社、例えばGeneart(ドイツ)が存在する。
図12a − Gly-Ser-Gly-Gly-Pro(配列番号:2)リンカーを介して野生型SEA Eスーパー抗原に連結している、新規な鎖間結合の形成に関与する非天然型システインを含有するテロメラーゼTCRβ鎖細胞外アミノ酸配列の高親和性変形体のDNA配列。導入システインは影付きで示されている。Gly-Ser-Gly-Gly-ProリンカーをコードするDNA配列には下線を付した。
図12b − Gly-Ser-Gly-Gly-Pro(配列番号:2)リンカーを介して野生型SEA Eスーパー抗原に連結している、新規な鎖間結合の形成に関与する非天然型システインコドンを含有するテロメラーゼTCRβ鎖細胞外アミノ酸配列の高親和性変形体のアミノ酸配列。導入システインは影付きで示されている。Gly-Ser-Gly-Gly-Proリンカーには下線を付した。
図13a − Gly-Ser-Gly-Gly-Pro(配列番号:2)リンカーを介してSEA E120スーパー抗原に連結している、新規な鎖間結合の形成に関与する非天然型システインを含有するテロメラーゼTCRβ鎖細胞外アミノ酸配列の高親和性変形体のDNA配列。導入システインは影付きで示されている。Gly-Ser-Gly-Gly-ProリンカーをコードするDNA配列には下線を付した。
図13b − Gly-Ser-Gly-Gly-Pro(配列番号:2)リンカーを介してSEA E120スーパー抗原に連結している、新規な鎖間結合の形成に関与する非天然型システインコドンを含有するテロメラーゼTCRβ鎖細胞外アミノ酸配列の高親和性変形体のアミノ酸配列。導入システインは影付きで示されている。Gly-Ser-Gly-Gly-Proリンカーには下線を付した。
当業者に公知のように、種々のペプチドリンカーが、TCRβ鎖をスーパー抗原と連結するために適切であり得る。実施例1に、この目的に使用され得るリンカー配列の例が提供されている。
次いで、TCRβ鎖-リンカー-スーパー抗原融合タンパク質をコードする上記合成遺伝子の1つを、pEX821プラスミド中にサブクローニングした。図14にPEX821プラスミドのDNA配列が詳述されている。図23にはこのベクターのプラスミドマップが提供されている。
次いで、非天然型システインコドンを含有する可溶性テロメラーゼTCRのα鎖をコードする合成遺伝子を独立してpEX954プラスミド中にサブクローニングした(pEX954のDNA配列及びプラスミドマップについてはそれぞれ図24及び25を参照)。
図6aに、この可溶性テロメラーゼTCRα鎖のDNA配列を詳述する。
図6aに、この可溶性テロメラーゼTCRα鎖のDNA配列を詳述する。
当業者に明らかであるように、実施例1及び2に記載の方法は、DNA配列が既知である任意のTCRから、本発明の可溶性TCR-スーパー抗原融合タンパク質を作製するために使用し得る。例えば、図3及び4に詳述する可溶性Flu-HLA-A2特異的JM22 TCRを含有するTCR-スーパー抗原融合タンパク質は、これら方法に従って作製することができる。
実施例3 − 可溶性TCR-スーパー抗原融合タンパク質の発現、リフォールディング及び精製
変異TCRα鎖及びTCRβ鎖-スーパー抗原融合タンパク質をそれぞれ含有するpEX954発現プラスミド及びpEX821発現プラスミドを、別々にE.coli株BL21pLysSに形質転換し、1つのアンピシリン耐性コロニーを、TYP(アンピシリン100μg/ml)培地中で37℃にて0.4のOD600まで増殖させた後、0.5mMのIPTGでタンパク質発現を誘導した。誘導の3時間後にBeckman J-6B中での4000rpmにて30分間の遠心分離により細胞を採集した。細胞ペレットを、50mMのTris-HCl、25%(w/v)のスクロース、1mMのNaEDTA、0.1%(w/v)のNaAzide、10mMのDTTを含有する緩衝液(pH8.0)中に再懸濁した。一晩の凍結−解凍工程の後、再懸濁細胞を、Milsonix XL2020ソニケータ中での標準の12mm径プローブを使用する1分間のバーストで合計約10分間の超音波処理に付した。封入体ペレットを、Beckman J2-21遠心機における13000rpmにて30分間の遠心分離により回収した。次いで、3回の界面活性剤での洗浄を行い、細胞残渣及び膜成分を除去した。各回、封入体ペレットをTriton緩衝液(50mMのTris-HCl、0.5%のTriton-X100、200mMのNaCl、10mMのNaEDTA、0.1%(w/v)のNaAzide、2mMのDTT、pH8.0)中でホモジナイズした後、Beckman J2-21における13000rpmにて15分間の遠心分離によりペレット化した。次いで、以下の緩衝液中での同様な洗浄により界面活性剤及び塩を除去した:50mMのTris-HCl、1mMのNaEDTA、0.1%(w/v)のNaAzide、2mMのDTT、pH8.0。最後に、封入体を30mgずつ小分けし、−70℃にて凍結させた。封入体タンパク質の収率を、6Mグアニジン-HClで可溶化し、Bradford色素結合アッセイ(PerBio)で測定することにより定量した。
変異TCRα鎖及びTCRβ鎖-スーパー抗原融合タンパク質をそれぞれ含有するpEX954発現プラスミド及びpEX821発現プラスミドを、別々にE.coli株BL21pLysSに形質転換し、1つのアンピシリン耐性コロニーを、TYP(アンピシリン100μg/ml)培地中で37℃にて0.4のOD600まで増殖させた後、0.5mMのIPTGでタンパク質発現を誘導した。誘導の3時間後にBeckman J-6B中での4000rpmにて30分間の遠心分離により細胞を採集した。細胞ペレットを、50mMのTris-HCl、25%(w/v)のスクロース、1mMのNaEDTA、0.1%(w/v)のNaAzide、10mMのDTTを含有する緩衝液(pH8.0)中に再懸濁した。一晩の凍結−解凍工程の後、再懸濁細胞を、Milsonix XL2020ソニケータ中での標準の12mm径プローブを使用する1分間のバーストで合計約10分間の超音波処理に付した。封入体ペレットを、Beckman J2-21遠心機における13000rpmにて30分間の遠心分離により回収した。次いで、3回の界面活性剤での洗浄を行い、細胞残渣及び膜成分を除去した。各回、封入体ペレットをTriton緩衝液(50mMのTris-HCl、0.5%のTriton-X100、200mMのNaCl、10mMのNaEDTA、0.1%(w/v)のNaAzide、2mMのDTT、pH8.0)中でホモジナイズした後、Beckman J2-21における13000rpmにて15分間の遠心分離によりペレット化した。次いで、以下の緩衝液中での同様な洗浄により界面活性剤及び塩を除去した:50mMのTris-HCl、1mMのNaEDTA、0.1%(w/v)のNaAzide、2mMのDTT、pH8.0。最後に、封入体を30mgずつ小分けし、−70℃にて凍結させた。封入体タンパク質の収率を、6Mグアニジン-HClで可溶化し、Bradford色素結合アッセイ(PerBio)で測定することにより定量した。
可溶性ポリペプチドの変性:30mgの可溶化TCRβ鎖-スーパー抗原封入体及び60mgの可溶化TCRα鎖封入体を凍結ストックから解凍した。封入体を、6Mグアニジン溶液中5mg/mlの最終濃度に希釈し、DTT(2Mストック)を10mMの最終濃度まで添加した。混合物を37℃にて30分間インキュベートした。
可溶性TCR-スーパー抗原融合タンパク質のリフォールディング:1Lのリフォールディング緩衝液を5℃±3℃にて勢いよく撹拌した。レドックスカップル(2-メルカプトエチルアミン及びシスタミン)を約5分間加えた(それぞれ6.6mM及び3.7mMの最終濃度まで)後、変性TCR/TCR-スーパー抗原ポリペプチドを添加した。次いで、このタンパク質を、5℃±3℃にて撹拌しながら、約5時間±15分間リフォールディングさせた。
リフォールディングした可溶性TCR-スーパー抗原融合タンパク質の透析:リフォールディングしたTCR-スーパー抗原融合タンパク質を、Spectrapor 1メンブレン(Spectrum;製品番号132670)において、10Lの10mM Tris(pH8.1)に対して、5℃±3℃にて18〜20時間透析した。その後、透析緩衝液を新鮮な10mM Tris(pH8.1)(10L)に交換し、透析を5℃±3℃にて更に20〜22時間続けた。
実施例4 − 特異pMHCへのTCR-スーパー抗原融合タンパク質の結合のBIAcore表面プラズモン共鳴特徴付け
表面プラズモン共鳴バイオセンサ(BIAcore 3000TM)を使用して、同族ペプチド−MHCリガンドへのTCR-スーパー抗原融合タンパク質の結合を分析した。これは、半配向様式(semi-oriented fashion)でストレプトアビジン被覆結合表面に固定した単一pMHC複合体(下記で説明)を作製し、同時に4つまでの異なるpMHC(別個のフローセルに固定)へのTCR-スーパー抗原融合タンパク質の結合の効率的な試験を可能にすることにより容易となった。HLA複合体の手動での注入により、正確なレベルの固定化クラスI分子を容易に操作することが可能となった。
表面プラズモン共鳴バイオセンサ(BIAcore 3000TM)を使用して、同族ペプチド−MHCリガンドへのTCR-スーパー抗原融合タンパク質の結合を分析した。これは、半配向様式(semi-oriented fashion)でストレプトアビジン被覆結合表面に固定した単一pMHC複合体(下記で説明)を作製し、同時に4つまでの異なるpMHC(別個のフローセルに固定)へのTCR-スーパー抗原融合タンパク質の結合の効率的な試験を可能にすることにより容易となった。HLA複合体の手動での注入により、正確なレベルの固定化クラスI分子を容易に操作することが可能となった。
この固定化複合体は、T細胞レセプター及びコレセプターCD8αα(共に可溶相に注入され得る)の両方に結合することができる。TCR-スーパー抗原融合タンパク質の特異的結合は低濃度(少なくとも40μg/ml)でさえ得られ、このことはTCR-スーパー抗原融合タンパク質が比較的安定であることを示唆する。
ビオチン化クラスI HLA-A2−ペプチド複合体を、構成サブユニットタンパク質及び合成ペプチドを含有する細菌発現封入体から、インビトロでリフォールディングさせ、続いて精製し、インビトロにて酵素でビオチン化した(O'Callaghanら(1999) Anal. Biochem. 266: 9-15)。そのタンパク質の膜貫通ドメイン及び細胞質ドメインと置換したC末端ビオチン化タグを有するHLA−重鎖を適切な構築物中で発現させた。〜75mg/リットル細菌培養物の封入体発現レベルが得られた。HLA−軽鎖又はβ2-ミクログロブリンもまた、E.coli中で適切な構築物から封入体として〜500mg/リットル細菌培養物のレベルで発現させた。
E. coli細胞を溶解し、封入体を約80%純度まで精製した。封入体からのタンパク質を6Mのグアニジン-HCl、50mMのTris(pH8.1)、100mMのNaCl、10mMのDTT、10mMのEDTA中で変性させ、5℃より低いリフォールディング緩衝液中に変性タンパク質の単一パルス(single pulse of denatured protein)を添加することにより、0.4MのL-アルギニン-HCl、100mMのTris(pH8.1)、3.7mMのシスタミン、mMのシステアミン、4mg/mlのペプチド(例えば、Tax 11-19)中で30mg/リットルの重鎖、30mg/リットルのβ2mの濃度にてリフォールディングさせた。リフォールディングは、4℃にて少なくとも1時間で完了に到達させた。
緩衝液を、10容量の10mM Tris(pH8.1)での透析により交換した。溶液のイオン強度を十分に減少させるために、2回の緩衝液交換が必要であった。次いで、タンパク質溶液を1.5μm酢酸セルロースフィルターに通して濾過し、POROS 50HQアニオン交換カラム(8ml床容量)に充填した。タンパク質を0〜500mMのNaCl線形勾配で溶出させた。HLA-A2−ペプチド複合体は約250mM NaClで溶出した。ピーク画分を収集し、プロテアーゼインヒビターのカクテル(Calbiochem)を加え、画分を氷上で冷却した。
ビオチン化タグを付したHLA複合体を、10mM Tris(pH8.1)、5mM NaCl中に、同じ緩衝液中で平衡化したPharmacia迅速脱塩カラムを使用して移して緩衝液を交換した。溶出に際して即座に、タンパク質含有画分を氷上で冷却し、プロテアーゼインヒビターカクテル(Calbiochem)を加えた。次いで、ビオチン化試薬を加えた:1mMビオチン、5mM ATP(pH8に緩衝化)、7.5mM MgCl2及び5μg/ml BirA酵素(O’Callaghanら(1999)Anal.Biochem.266:9-15に従って精製)。次いで、混合物を室温にて一晩インキュベートした。
ゲル濾過クロマトグラフィーを使用してビオチン化HLA複合体を精製した。Pharmacia Superdex 75 HR 10/30カラムを濾過PBSで予め平衡化し、1mlのビオチン化反応混合物を充填し、カラムをPBSで0.5ml/分にて展開した。ビオチン化HLA複合体は、約15mlで単一ピークとして溶出した。タンパク質を含む画分をプールし、氷上で冷却し、プロテアーゼインヒビターカクテルを加えた。クーマシー結合アッセイ(PerBio)を使用してタンパク質濃度を測定し、ビオチン化HLA複合体のアリコートを−20℃で凍結保存した。標準的なアミンカップリング法によりストレプトアビジンを固定化した。
TCR-スーパー抗原融合タンパク質とその同族MHC複合体又は無関係のHLA−ペプチド組合せ(これらの製造は上記で説明)との間の相互作用を、BIAcore 3000TM表面プラズモン共鳴(SPR)バイオセンサで分析した。SPRは、レセプターリガンド相互作用を検出しその親和性及び動力学的パラメータを分析するために使用することができる原理である、小さなフローセル内のセンサ表面近くでの屈折率の変化(応答単位(RU)で表示)を測定する。β2mに架橋したビオチンとフローセルの活性化表面に化学的に架橋されているストレプトアビジンとの間の結合を介して、個々のHLA−ペプチド複合体を別個のフローセルに固定化することにより、プローブフローセルを準備した。次いで、異なるフローセルの表面上にTCR-スーパー抗原融合タンパク質を一定流速で通過させ、そうしている間のSPR応答を測定することにより、アッセイを実施した。最初に、TCR-スーパー抗原融合タンパク質を5μl/分の一定流速で2つの異なる表面(一方は〜5000RUの特異ペプチド−HLA複合体を被覆し、2つめは〜5000RUの非特異ペプチド−HLA複合体を被覆)上を通過させることにより、相互作用の特異性を検証した。ペプチド−HLA複合体上に一定流速で異なる濃度の可溶性TCR-スーパー抗原融合タンパク質を注入してバックグランドの共鳴を規定した。これらコントロールの測定値を、特異ペプチド−HLA複合体を用いて得られた値から減算し、これを使用して解離定数Kdとして表される結合親和性を算出した(Price及びDwek、Principles及びProblems in Physical Chemistry for Biochemists(第2版)1979,Clarendon Press、Oxford)。
実施例5 − 高親和性TCR-SEA E-120融合タンパク質媒介性細胞溶解のインビトロ細胞アッセイ
エフェクター細胞の作製
0日目に、6ウェルプレート(Nunc)における8mlのR10培地中のバフィーコートから単離した2×107のPBMCを、10ng/mlの野生型SEA及び25μlのIL-7(2μg/ml)で刺激した。次いで、培養物を37℃、5%CO2にてインキュベートした。4日目、20ユニット/mlのIL-2をこれら培養物に加えた。
エフェクター細胞の作製
0日目に、6ウェルプレート(Nunc)における8mlのR10培地中のバフィーコートから単離した2×107のPBMCを、10ng/mlの野生型SEA及び25μlのIL-7(2μg/ml)で刺激した。次いで、培養物を37℃、5%CO2にてインキュベートした。4日目、20ユニット/mlのIL-2をこれら培養物に加えた。
7日目、SEA刺激細胞を、Taxペプチド(LLFGPVYV)(配列番号:7)をコードするミニ遺伝子でトランスフェクトした1×106の照射J82ガン細胞で再度刺激した。1μg/mlの高親和性Tax TCR-SEA E-120及び20ユニット/mlのIL-2もまたこの時点で培養物に加えた。11日目、20ユニット/mlのIL-2をこれら培養物に加えた。
インビトロ細胞溶解アッセイ
14日目、50μlのR10培地中5000標的細胞/ウェル(PP-LCL細胞、EBV形質転換B細胞株の1つ)(1×10-6M Taxペプチド又はコントロールウェルについては1×10-6Mの無関係のFluペプチド、及びユーロピウム/DELFIAアッセイキット(Perkin Elmer)で供給される指示書により指示されているように3μlのBATDA試薬/1×106細胞でパルスした)を、96ウェルプレート(Nunc)に配置した。10μg/mlの抗MHCクラスII抗体を追加的に含む更なるコントロールウェルもまた準備した。
14日目、50μlのR10培地中5000標的細胞/ウェル(PP-LCL細胞、EBV形質転換B細胞株の1つ)(1×10-6M Taxペプチド又はコントロールウェルについては1×10-6Mの無関係のFluペプチド、及びユーロピウム/DELFIAアッセイキット(Perkin Elmer)で供給される指示書により指示されているように3μlのBATDA試薬/1×106細胞でパルスした)を、96ウェルプレート(Nunc)に配置した。10μg/mlの抗MHCクラスII抗体を追加的に含む更なるコントロールウェルもまた準備した。
次いで、以下を上記標的細胞培養物に添加した:
50μlのR10培地中の、上記のように調製した2.25×105のエフェクター細胞(45:1のエフェクター:標的比を得るため)
50μlのR10培地中の、一連の濃度(2×10-11M〜2×10-6M)の高親和性Tax TCR-SEA E-120融合タンパク質。
50μlのR10培地中の、上記のように調製した2.25×105のエフェクター細胞(45:1のエフェクター:標的比を得るため)
50μlのR10培地中の、一連の濃度(2×10-11M〜2×10-6M)の高親和性Tax TCR-SEA E-120融合タンパク質。
次いで、これら培養物を37℃、5%CO2にて2時間インキュベートした。次いで、20μlの上清を各ウェルから取り出し、黒色不透明の96ウェルプレート(Nunc)中に配置した。次いで、ユーロピウム/DELFIAアッセイキットの200μlのユーロピウム溶液を各ウェルに加え、生じた標的細胞溶解のレベルを、Wallac Victor 2(Perkin Elmer)中での時間分解蛍光によりアッセイした。
計算:
%細胞溶解 = 100×(RFUExp − RFUSpont) / (RFUMax − RFUSpont)
式中:
RFUは、相対蛍光単位であり、
RFUExpは、(サンプルウェル中で測定したRFU)−(細胞フリーのバックグランドRFU)である
RFUSpontは、(エフェクター細胞を含有しないサンプルウェル中で測定したRFU)−(細胞フリーのバックグランドRFU)である
RFUMaxは、(triton x-100を添加したサンプルウェル中で測定したRFU)−(細胞フリーのバックグランドRFU)である。
%細胞溶解 = 100×(RFUExp − RFUSpont) / (RFUMax − RFUSpont)
式中:
RFUは、相対蛍光単位であり、
RFUExpは、(サンプルウェル中で測定したRFU)−(細胞フリーのバックグランドRFU)である
RFUSpontは、(エフェクター細胞を含有しないサンプルウェル中で測定したRFU)−(細胞フリーのバックグランドRFU)である
RFUMaxは、(triton x-100を添加したサンプルウェル中で測定したRFU)−(細胞フリーのバックグランドRFU)である。
結果
0.2〜0.3nMのEC50及び2nMでの最大殺傷(ほぼ100%)を有する、高親和性Tax TCR-SEA E120融合体媒介性の特異的殺傷が証明された(図15を参照)。
0.2〜0.3nMのEC50及び2nMでの最大殺傷(ほぼ100%)を有する、高親和性Tax TCR-SEA E120融合体媒介性の特異的殺傷が証明された(図15を参照)。
実施例6 − 高親和性Tax TCR-SEA E-120融合タンパク質媒介性細胞溶解の更なるインビトロ細胞のアッセイ
エフェクター細胞作製
0日目に、6ウェルプレート(Nunc)における8mlのR10培地中の同族ペプチド(1×10-5M)でパルスしたバフィーコートから単離した2×107のPBMCを、1μg/mlのTax TCR-L2-SEA E-120及び25μlのIL-7(2μg/ml)で刺激した。次いで、培養物を37℃、5%CO2にてインキュベートした。3日目、20ユニット/mlのIL-2をこれら培養物に加えた。
エフェクター細胞作製
0日目に、6ウェルプレート(Nunc)における8mlのR10培地中の同族ペプチド(1×10-5M)でパルスしたバフィーコートから単離した2×107のPBMCを、1μg/mlのTax TCR-L2-SEA E-120及び25μlのIL-7(2μg/ml)で刺激した。次いで、培養物を37℃、5%CO2にてインキュベートした。3日目、20ユニット/mlのIL-2をこれら培養物に加えた。
7日目、Tax TCR-L2-SEA-E120刺激細胞を、Taxペプチド(LLFGPVYV)(配列番号:7)をコードするミニ遺伝子でトランスフェクトした3×106の照射J82ガン細胞で再度刺激した。1μg/mlの高親和性Tax TCR-SEA E-120及び20ユニット/mlのIL-2もまたこの時点で培養物に加えた。11日目、20ユニット/mlのIL-2をこれら培養物に加えた。
インビトロ細胞溶解アッセイ
14日目、50μlのR10培地中2500標的細胞/ウェル(T2細胞、T-B細胞ハイブリドーマ株の1つ)(一連(1×10-6〜1×10-10Mの同族ペプチド又はコントロールウェルについては1×10-6Mの無関係のFluペプチド、及びユーロピウム/DELFIAアッセイキット(Perkin Elmer)で供給される指示書により指示されているように3μlのBATDA試薬/1×106細胞でパルスした)を、96ウェルプレート(Nunc)に配置した。
14日目、50μlのR10培地中2500標的細胞/ウェル(T2細胞、T-B細胞ハイブリドーマ株の1つ)(一連(1×10-6〜1×10-10Mの同族ペプチド又はコントロールウェルについては1×10-6Mの無関係のFluペプチド、及びユーロピウム/DELFIAアッセイキット(Perkin Elmer)で供給される指示書により指示されているように3μlのBATDA試薬/1×106細胞でパルスした)を、96ウェルプレート(Nunc)に配置した。
次いで、以下を上記標的細胞培養物に添加した:
50μlのR10培地中の、上記のように調製した5×104のエフェクター細胞(20:1のエフェクター:標的比を得るため)
50μlのR10培地中の、一連の濃度(2×10-11M〜2×10-6M)の高親和性Tax TCR-SEA E-120融合タンパク質。
50μlのR10培地中の、上記のように調製した5×104のエフェクター細胞(20:1のエフェクター:標的比を得るため)
50μlのR10培地中の、一連の濃度(2×10-11M〜2×10-6M)の高親和性Tax TCR-SEA E-120融合タンパク質。
次いで、これら培養物を37℃、5%CO2にて2時間インキュベートした。次いで、20μlの上清を各ウェルから取り出し、黒色不透明の96ウェルプレート(Nunc)中に配置した。次いで、ユーロピウム/DELFIAアッセイキットの200μlのユーロピウム溶液を各ウェルに加え、生じた標的細胞溶解のレベルを、Wallac Victor 2(Perkin Elmer)中での時間分解蛍光によりアッセイした。
計算:
上記実施例5のとおり。
結果
T2標的細胞を用いて初期実験を行い、Taxペプチドパルス濃度(1×10-10〜1×10-6M)及び高親和性Tax TCR-L2-SEA E-120濃度(6.4×10-13〜1×10-7M)での滴定の効果を調べた。最大80〜90%細胞溶解が得られた(図16を参照)。
上記実施例5のとおり。
結果
T2標的細胞を用いて初期実験を行い、Taxペプチドパルス濃度(1×10-10〜1×10-6M)及び高親和性Tax TCR-L2-SEA E-120濃度(6.4×10-13〜1×10-7M)での滴定の効果を調べた。最大80〜90%細胞溶解が得られた(図16を参照)。
固定濃度(10-6M)のTaxペプチド又は無関係のテロメラーゼペプチド(ILAKFLHWL)コントロールを使用して上記の実験を繰り返した。同族Taxペプチドを使用して最大80〜90%細胞溶解が得られたのに対し、無関係のペプチドを使用しては約20%の細胞溶解が得られた(図17を参照)。
全て2nMの濃度で供給した多くのTCR-スーパー抗原融合体(Tax TCR-L2-SEA E120、テロメラーゼTCR-L1-SEA E120及びNY-ESO TCR-LM1-SEA E120)の細胞殺傷能力を、10-6Mの同族ペプチド又は無関係のペプチドでパルスしたT2標的細胞に対して、一連のエフェクター:標的(E:T)細胞比で上記のアッセイを用いて試験した。
導入システインを含有する高親和性NY-ESO TCRα鎖のDNA配列及びアミノ酸配列を、図18a及び18bにそれぞれ詳述する。SEA E-120に融合された、導入システインを含有する切断型高親和性NY-ESO TCRβ鎖のDNA配列及びアミノ酸配列を図19a及び19bにそれぞれ詳述する。切断型NY-ESO TCRβ鎖は、「正常な」可溶性TCRと比較して、C末端から最後の3アミノ酸(RAD)が除去されている。図19aにおいて切断型TCRβ鎖のDNA配列中の最後のグリシン残基をコードするコドンに下線を付し、図19bにおいて対応するグリシン残基に下線を付した。
得られた最大溶解は、Tax TCR-L2-SEA E120融合タンパク質、テロメラーゼTCR-L1-SEA E120融合タンパク質及びNY-ESO TCR-LM1-SEA E120融合タンパク質についてそれぞれ約50%、約75%及び約100%であった(それぞれ図20a〜20cを参照)。
共に2nMの濃度で供給した2つの異なるTCR-スーパー抗原融合体(Tax TCR-L2-SEA E120及びテロメラーゼTCR-L1-SEA E120)の細胞殺傷能力を、これらTCR-スーパー抗原融合体の1つについての同族ペプチド10-6MでパルスしたT2標的細胞に対して、一連のエフェクター:標的(E:T)細胞比で上記のアッセイを用いて試験した。得られた最大溶解は、Tax TCR-L2-SEA E120融合タンパク質及びテロメラーゼTCR-L1-SEA E120融合タンパク質についてそれぞれ約65%及び約75%であった(それぞれ図21a及び21bを参照)。
共に2nMの濃度で供給したTax TCR-L2-SEA E120融合タンパク質及びテロメラーゼTCR-L1-SEA E120融合タンパク質の細胞殺傷能力を、10-6MのTaxペプチドでパルスしたSK-Mel 37腫瘍細胞株標的細胞に対して、一連のエフェクター:標的(E:T)細胞比で上記のアッセイを用いて試験した。得られた最大溶解は、同族Tax TCR-L2-SEA E120融合タンパク質を用いて約35〜40%であったのに対し、テロメラーゼTCR-L1-SEA E120融合タンパク質については約10%であった(図22を参照)。
Claims (41)
- (a)T細胞レセプター(TCR)と(b)スーパー抗原との結合を含んでなる可溶性二官能性タンパク質。
- 成分(a)が、(i)膜貫通ドメインを除くTCRα鎖の全て又は一部と(ii)膜貫通ドメインを除くTCRβ鎖の全て又は一部とを含んでなるTCRであり、(i)及び(ii)は各々TCR鎖の機能的可変ドメインと定常ドメインの少なくとも一部とを含んでなり、天然型TCR中に存在しない定常ドメイン残基同士間のジスルフィド結合により連結している、請求項1に記載の可溶性二官能性タンパク質。
- スーパー抗原のN末端が、TCRα鎖又はTCRβ鎖のC末端アミノ酸に、直接又はリンカー基を介して間接的に共有結合で連結している、請求項2に記載の可溶性二官能性タンパク質。
- スーパー抗原のN末端が、
TCRα鎖若しくはTCRβ鎖のC末端アミノ酸にペプチド結合若しくはシステイン間ジスルフィド結合により直接連結しているか、又は
それ自体がTCRα鎖若しくはTCRβ鎖のC末端にペプチド結合若しくはシステイン間ジスルフィド結合により連結しているリンカーアミノ酸配列のC末端アミノ酸へのペプチド結合若しくはシステイン間ジスルフィド結合により間接的に連結している、請求項2又は3に記載の可溶性二官能性タンパク質。 - スーパー抗原のN末端が、TCRα鎖又はTCRβ鎖のC末端アミノ酸に非ペプチド性ポリマー基を介して連結している、請求項2又は3に記載の可溶性二官能性タンパク質。
- スーパー抗原が野生型スーパー抗原の変異体であり、その変異はTCRβ可変ドメインに関するスーパー抗原の親和性を維持しつつ、クラスII MHC分子に関する親和性を減少させる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の可溶性二官能性タンパク質。
- スーパー抗原が野生型の又は変異したブドウ球菌性スーパー抗原である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の可溶性二官能性タンパク質。
- スーパー抗原が配列番号:5のアミノ酸配列を有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の可溶性二官能性タンパク質。
- TCR部分において、(i)及び(ii)がTCR鎖の細胞外定常Igドメインの全てを含んでなる、請求項2〜8のいずれか1項に記載の可溶性二官能性タンパク質。
- TCR部分において、(i)及び(ii)がTCR鎖の細胞外ドメインの全てを含んでなる、請求項2〜8のいずれか1項に記載の可溶性二官能性タンパク質。
- TCR部分において、共有結合性ジスルフィド結合が、α鎖の定常ドメインのイムノグロブリン領域の残基をβ鎖の定常ドメインのイムノグロブリン領域の残基に連結している、請求項2〜10のいずれか1項に記載の可溶性二官能性タンパク質。
- TCR部分において、天然型TCR中に存在する鎖間ジスルフィド結合がない、請求項1〜11のいずれか1項に記載の可溶性二官能性タンパク質。
- TCR部分において、天然型のαTCR鎖及びβTCR鎖が、天然型鎖間ジスルフィド結合を形成するシステイン残基が除去されるようにC末端で切断されている、請求項12に記載の可溶性二官能性タンパク質。
- TCR部分において、天然型鎖間ジスルフィド結合を形成するシステイン残基が別の残基に置換されている、請求項12に記載の可溶性二官能性タンパク質。
- TCR部分において、天然型鎖間ジスルフィド結合を形成するシステイン残基がセリン又はアラニンに置換されている、請求項14に記載の可溶性二官能性タンパク質。
- TCR部分において、天然型TCRβ鎖中に存在する非対合のシステイン残基が存在しない、請求項1〜15のいずれか1項に記載の可溶性二官能性タンパク質。
- TCR部分において、天然型TCR中に存在しないジスルフィド結合が、β炭素原子が天然型TCR構造中で0.6nm未満離れている残基から置換されたシステイン残基同士間にある、請求項2〜16のいずれか1項に記載の可溶性二官能性タンパク質。
- TCR部分において、天然型TCR中に存在しないジスルフィド結合が、TRAC*01のエキソン1のThr 48及びTRBC1*01又はTRBC2*01のエキソン1のSer 57から置換されたシステイン残基同士間にある、請求項2〜17のいずれか1項に記載の可溶性二官能性タンパク質。
- (a)(i)膜貫通ドメインを除くTCRα鎖の全て又は一部と、(ii)融合した、膜貫通ドメインを除くTCRβ鎖の全て又は一部とを含んでなり、(i)及び(ii)は各々TCR鎖の機能的可変ドメインと定常ドメインの少なくとも一部とを含んでなり、(i)及び(ii)はTRAC*01のエキソン1のThr 48及びTRBC1*01又はTRBC2*01のエキソン1のSer 57から置換されたシステイン残基同士間のジスルフィド結合により連結している、T細胞レセプター(TCR)と;
(b)配列番号:5のスーパー抗原
との結合を含んでなり、
TCR(a)とスーパー抗原(b)との結合は、それぞれC末端からN末端への関係で結合している、請求項2に記載の可溶性二官能性タンパク質。 - 検出可能な標識を更に含んでなる、請求項1〜19のいずれか1項に記載の可溶性二官能性タンパク質。
- TCRが所定のペプチド-MHCに関して1μMより高い親和性(Kd)を有する、請求項1〜20のいずれか1項に記載の可溶性二官能性タンパク質。
- 請求項1〜21のいずれか1項に記載の可溶性二官能性タンパク質を複数含んでなる多価複合体。
- ポリアルキレングリコールポリマー又はペプチド性配列を含んでなるリンカー基を介して互いに結合した2つ又は3つ又は4つの結合二官能性タンパク質を含んでなる、請求項22に記載の複合体。
- (i)スーパー抗原部分がTCRβ鎖可変ドメインの所定のサブセットに選択的に結合する、請求項1〜21のいずれか1項に記載の可溶性二官能性タンパク質又は請求項22又は23に記載の多価複合体を提供し;
(ii)可溶性二官能性タンパク質又は多価複合体を、クラスII MHC-ペプチド複合体を提示する抗原提示細胞(APC)及び多様なT細胞の集団と接触させ;
(iii)APC-可溶性二官能性タンパク質-T細胞複合体の形成に適切な条件下で(ii)の混合物をインキュベートすることを含んでなる、多様なT細胞の集団を、TCRβ鎖可変ドメインの所定のサブセットを提示するT細胞について富化する方法。 - 請求項1〜21のいずれか1項に記載の可溶性二官能性タンパク質及び/又は請求項22又は23に記載の多価複合体を医薬的に許容され得るキャリアと共に含んでなる医薬製剤。
- 可溶性TCRβ鎖をコードする第2の核酸に融合したスーパー抗原をコードする第1の核酸配列を含んでなる核酸分子。
- 膜貫通ドメインを除きTCRβ鎖の全て又は一部をコードする第2の核酸に融合したスーパー抗原をコードする第1の核酸配列を含んでなり、ここで、TCRβ鎖をコードする核酸配列は、コードされたTCRβ鎖及び更なる非天然型システイン残基を含有するTCRα鎖の定常ドメイン残基同士間の非天然型ジスルフィド結合を形成し得る導入システインコドンを含んでなる、核酸分子。
- 可溶性TCRα鎖をコードする第2の核酸に融合したスーパー抗原をコードする第1の核酸配列を含んでなる核酸分子。
- 膜貫通ドメインを除きTCRα鎖の全て又は一部をコードする第2の核酸に融合したスーパー抗原をコードする第1の核酸配列を含んでなり、ここで、TCRα鎖をコードする核酸配列は、コードされたTCRα鎖及び更なる非天然型システイン残基を含有するTCRβ鎖の定常ドメイン残基同士間の非天然型ジスルフィド結合を形成し得る導入システインコドンを含んでなる、核酸分子。
- 請求項26〜29に記載の1又は複数の核酸分子を含んでなるベクター。
- 請求項30に記載のベクターを含んでなる宿主細胞。
- スーパー抗原に融合したTCRβ鎖をコードする核酸分子を含んでなるベクターを含んでなる宿主細胞及びTCRα鎖をコードする核酸分子を含んでなるベクターを含んでなる宿主細胞を、それぞれTCRβ鎖-スーパー抗原融合体及びTCRα鎖の発現を引き起こす条件下でインキュベートし;
それぞれのTCRβ鎖-スーパー抗原融合体及びTCRα鎖を精製し;
それぞれのTCRβ鎖-スーパー抗原融合体及びTCRα鎖を、共有結合性ジスルフィド結合がTCRα鎖の定常ドメインのイムノグロブリン領域の残基をTCRβ鎖-スーパー抗原融合体の定常ドメインのイムノグロブリン領域の残基に連結するようなリフォールディング条件下で混合する
ことを含んでなる、可溶性二官能性タンパク質を得る方法。 - スーパー抗原に融合したTCRα鎖をコードする核酸分子を含んでなるベクターを含んでなる宿主細胞及びTCRβ鎖をコードする核酸分子を含んでなるベクターを含んでなる宿主細胞を、それぞれTCRα鎖-スーパー抗原融合体及びTCRβ鎖の発現を引き起こす条件下でインキュベートし;
それぞれのTCRα鎖-スーパー抗原融合体及びTCRβ鎖を精製し;
それぞれのTCRα鎖-スーパー抗原融合体及びTCRβ鎖を、共有結合性ジスルフィド結合がTCRβ鎖の定常ドメインのイムノグロブリン領域の残基をTCRα鎖-スーパー抗原融合体の定常ドメインのイムノグロブリン領域の残基に連結するようなリフォールディング条件下で混合する
ことを含んでなる、可溶性二官能性タンパク質を得る方法。 - ガンを患っている対象に、有効量の請求項1〜21のいずれか1項に記載の可溶性二官能性タンパク質又はその機能的変形体若しくはフラグメント或いは請求項22又は23に記載のその多価複合体を投与することを含んでなるガンの治療方法。
- ガンを患っている対象に、有効量の請求項8に記載の可溶性二官能性タンパク質又は請求項22又は23に記載のその多価複合体を投与することを含んでなるガンの治療方法。
- ガンの治療用組成物の製造における請求項1〜21のいずれか1項に記載の可溶性二官能性タンパク質又はその機能的変形体若しくはフラグメント或いは請求項22又は23に記載のその多価複合体の使用。
- ガンの治療用組成物の製造における請求項8項に記載の可溶性二官能性タンパク質又はその機能的変形体若しくはフラグメント或いは請求項22又は23に記載のその多価複合体の使用。
- 感染性疾患を患っている対象に、有効量の請求項1〜21のいずれか1項に記載の可溶性二官能性タンパク質又はその機能的変形体若しくはフラグメント或いは請求項22又は23に記載のその多価複合体を投与することを含んでなる感染性疾患の治療方法。
- 感染性疾患を患っている対象に、有効量の請求項8に記載の可溶性二官能性タンパク質又はその機能的変形体若しくはフラグメント或いは請求項22又は23に記載のその多価複合体を投与することを含んでなる感染性疾患の治療方法。
- 感染性疾患の治療用組成物の製造における請求項1〜21のいずれか1項に記載の可溶性二官能性タンパク質又はその機能的変形体若しくはフラグメント或いは請求項22又は23に記載のその多価複合体の使用。
- 感染性疾患の治療用組成物の製造における請求項8に記載の可溶性二官能性タンパク質又はその機能的変形体若しくはフラグメント或いは請求項22又は23に記載のその多価複合体の使用。
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