JP2008517065A - Brca2−rad51相互作用の破壊のための組成物及び方法 - Google Patents
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Abstract
企図された化合物は、RAD51と結合することによりBRCA2とRAD51との間の相互作用を破壊する。DNA修復におけるBRCA2−RAD51複合体形成の重大な役割、及びG1からS期への移行の調節におけるRAD51の役割に基づき、多数の組成物及び方法が提示される。数ある有利な使用の中でも、企図された化合物は、化学療法薬への細胞の曝露の前の化学療法における非腫瘍性細胞の保護剤として、及び/又は腫瘍性細胞のDNA傷害感作剤として、利用され得る。
Description
(発明の分野)
本発明の分野は、特に、RAD51及びBRCA2に関係するような、哺乳動物におけるDNA修復に関する組成物及び方法である。
本発明の分野は、特に、RAD51及びBRCA2に関係するような、哺乳動物におけるDNA修復に関する組成物及び方法である。
(発明の背景)
DNA二本鎖切断は、放射線照射及び/又は架橋薬(例えば、シスプラチン、マイトマイシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン等)への曝露に起因する主要な致死的傷害であると考えられている。典型的には、二本鎖切断は、細胞周期進行の停止及び細胞DNA修復機構の活性化をもたらし、DNA修復の失敗は、一般に、ゲノムの異常をもたらし、及び最終的には細胞死をもたらす。
DNA二本鎖切断は、放射線照射及び/又は架橋薬(例えば、シスプラチン、マイトマイシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン等)への曝露に起因する主要な致死的傷害であると考えられている。典型的には、二本鎖切断は、細胞周期進行の停止及び細胞DNA修復機構の活性化をもたらし、DNA修復の失敗は、一般に、ゲノムの異常をもたらし、及び最終的には細胞死をもたらす。
数あるメカニズムの中でも、相同的組み換えは、DNA傷害、特に二重鎖切断の修復に大きく寄与する。いくつかの遺伝子が、相同的組み換えに関与しており、BRCA1、BRCA2、RAD51、RAD54、XRCC2、及びXRCC3を含む。これらの遺伝子が変異している場合、細胞は、高レベルのゲノム不安定性、並びに放射線照射及び/又は架橋剤に対する過敏を高頻度に示すであろう。他方、多くの癌細胞、特にゲノム的に不安定なものにおいては、上昇した相同的組み換え率が観察されている。これらの癌細胞においては、野生型RAD51の上昇した発現レベルが観察されており、このことは、(ゲノム安定性の維持にも関与している)RAD51が、DNA傷害性の放射線療法又は化学療法に対する癌細胞の抵抗性の原因ともなっていることを示唆しているようである。
RAD51は、真核生物リコンビナーゼであり、大腸菌RecAタンパク質に相同である。RAD51は、ATP依存性DNA結合活性を有し、多量体化して一本鎖DNA上で核タンパク質フィラメントを形成し、インビトロで相同的DNA対合及び鎖交換反応を触媒することが報告されている。放射線照射及び/又はDNA傷害剤により細胞を治療した後、DNA傷害の部位には、劇的な量のRAD51フォーカスが観察され得、これには、相同的組み換えに関連している他のタンパク質(例えば、BRCA1、Rad54、BLM、及びRPA)、特にBRCA2がさらに含まれ得る。
BRCA2は、家族性乳癌の様々な研究に基づき、***腫瘍抑制因子として同定されており、BRCA2の欠損は、染色体切断、異常な有系***交換、及び異数性を含む累積的な染色体異常をしばしば特徴とする。さらに最近、BRCA2は、相同性により指図される染色体切断の修復のためにも必要とされることが証明された。DNA修復への関与と一致して、BRCA2を欠くマウス胚は、RAD51を欠くマウス胚の特徴でもある放射線過敏を示す。
DNA修復におけるBRCA2の可能性のある役割は、まず、RAD51との相互作用の同定により明らかにされた。6つの高度に保存されたBRCリピートがRAD51とBRCA2との相互作用に関与しており、BRCA2及びRAD51のBRCリピート間の相互作用が、メタンスルホン酸メチルにより引き起こされるDNA傷害に対する細胞の応答にとって重要であることが示されている。数ある証拠の中でも、このような重要性は、BRCA2欠損細胞、及びBRCA2とRAD51との間の相互作用がBRCペプチドを使用して破壊された細胞においては、放射線により誘導されるRAD51フォーカス形成が減弱するとの所見に反映されている。また、インビトロで、過剰のBRCペプチドの存在下では、RAD51−DNA結合能力が特に消失し、さらにRAD51核タンパク質フィラメント形成が破壊される。
このように、多数のデータが、DNA修復におけるBRCA2/RAD51相互作用の意義を強調しているようであるが、BRCA2関連癌の治療モダリティとして、このような相互作用に選択的に干渉する有効な戦略は、達成されていない。従って、特に、腫瘍性疾患の治療及び化学予防に関して、DNA修復におけるBRCA2/RAD51相互作用に干渉する組成物及び方法が、依然として必要とされている。
(発明の概要)
本発明は、化合物が、BRCA2/RAD51相互作用及び/又はRAD51多量体化に干渉し、最も典型的にはこれらを破壊又は防止する組成物及び方法に関する。典型的には、このような干渉により、腫瘍性細胞のDNA傷害に対する感受性が増加し、非腫瘍性細胞はG1期からS期へと進行し得なくなるであろう。
本発明は、化合物が、BRCA2/RAD51相互作用及び/又はRAD51多量体化に干渉し、最も典型的にはこれらを破壊又は防止する組成物及び方法に関する。典型的には、このような干渉により、腫瘍性細胞のDNA傷害に対する感受性が増加し、非腫瘍性細胞はG1期からS期へと進行し得なくなるであろう。
本発明の主題の1つの態様において、医薬的組成物は、医薬的に許容される担体及び式1:
Yは、存在しないか、又は1から4個の炭素原子を有するアルキレン基であり(及び式1のRがアルキレンと共有結合的に結合しているか、又はYが存在しない場合、Zを含む環の任意の原子);Qは、N又はC−R2であり;Zは、−C(R12)=C(R13)−、−CH−N−、−N=CH−、O、S、又はNR14(ここで、R14は、H、アルキル、アリール、アラルキル、又はアシルである)]より選択され;Xは、CH2、O、S、又はNR14(ここで、R14は独立して前記定義の通りである)より選択され;R’及びR1−R13は、独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ハロ、ニトロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルケニルオキシ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、カルボキシアルキル、アミノ、アシルアミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、N−アルキル、N−シクロアルキル、アミノ、チオ、アルキルチオ、及びハロアルキルからなる群より選択され;但し、R12及びR13は、場合により、化合して炭素環式又は複素環式の環を形成していてもよく;及びnは0から4(両端を含む)であり、及び*はR又はS配置を示す]による化合物を含む。より好ましくは、R1−R11はHであり、XはNR14であり、及びRは
このような化合物において、Zが−C(R12)=C(R13)−であり、及びYが存在しないことが特に好ましい。従って、特に好ましい化合物には、式2及び式3:
このような組成物においては、化合物が、(a)細胞が化合物に曝された場合に、放射線及び/又はDNA傷害剤に対する腫瘍性細胞の感受性を増加させるのに有効な濃度、又は(b)BRCA2−RAD51複合体が化合物に曝された場合に、BRCA2のRAD51との結合を減少させるのに有効な濃度で存在することがさらに企図される。望まれる場合、企図された組成物は、さらに1つ以上のDNA傷害剤を含み得る。又は、化合物は、細胞が化合物と接触した場合に、細胞(最も典型的には、非腫瘍性細胞)をG1期に停止するのに有効な濃度で組成物中に存在することも企図される。このような場合、化合物は、植込装置に近位の複数の細胞の細胞増殖を減少させるのに有効な濃度で、植込装置(例えば、血管内ステント)にカップリングされる。
従って、本発明の主題のもう一つの態様において、腫瘍性細胞が化合物に曝された場合に、放射線及び/又はDNA傷害剤に対する腫瘍性細胞の感受性を増加させるのに有効な濃度(例えば、1μMから100μM)の企図された化合物と、腫瘍性細胞が接触させられる、腫瘍性細胞を治療する方法が企図される。次いで、このような方法のさらなる工程において、腫瘍性細胞は、放射線照射(例えば、ガンマ線照射又はUV−C線照射)及び/又はDNA傷害剤(例えば、アルキル化剤又は架橋剤)に曝され得る。典型的には、好ましい腫瘍性細胞には、乳癌細胞及び卵巣癌細胞が含まれる。
本発明の主題のさらなる態様において、非腫瘍性細胞をG期に停止する方法は、細胞が、企図された化合物、このプロドラッグ又は代謝産物と接触させられ、及びこのような化合物が、非腫瘍性細胞をG期に停止するのに有効な濃度で存在する工程を含むであろう。最も好ましくは、このような方法は、接触工程の後に非腫瘍性細胞をDNA傷害条件に曝す工程をさらに含むであろう(この場合、接触工程は、接触工程がない場合に入手されるであろうDNA傷害と比較して細胞のDNA傷害を減少させる条件の下で実施される)。上記のように、適切なDNA傷害条件は、特に、放射線照射(例えば、ガンマ線照射又はUV−C)並びに/又はDNA傷害剤(例えば、シスプラチン、マイトマイシン、ドキソルビシン、メルファラン、シクロホスファミド、クロラムブシル、及びブレオマイシン)への曝露である。望ましい場合には、細胞を接触させる工程は、化合物がカップリングされている植込装置と細胞が接触するよう実施されてもよい。
本発明の様々な目的、特質、態様、及び利点は、以下の本発明の好ましい実施形態の詳細な説明から、より明白になるであろう。
DNA傷害剤及び放射線は、後期転移性癌のための最も広範に使用されている療法の一つであり、典型的には、腫瘍性細胞の少なくとも一部の根絶において有効である。残念ながら、腫瘍性細胞も、このようにして誘導されたDNA傷害を修復するために様々なメカニズムを使用する。数ある修復メカニズムの中でも、BRCA2により媒介される修復は、DNA傷害剤及び放射線に対する癌の抵抗性に密接に関与していることが本発明者らにより示された。
BRCA2は、このBRCリピートを通してRAD51に結合し、この相互作用はDNA修復にとって重要であるようである。本発明者らは、ここで、BRCリピートとRAD51との間の相互作用を破壊し、これにより最も不可欠なエラーフリーのDNA修復機構のうちの1つの効果を減少させるか、又は排除すら行い、従って、放射線又はDNA傷害化学療法に対して癌細胞をより感受性にする低分子が調製され得ることを企図する。
BRCリピートがRAD51多量体化モチーフを模倣するBRC4−RAD51複合体の結晶構造が最近解明された。従って、BRCA2が、RAD51により媒介される相同的組み換えを調節する役割を果たすことが最近示唆された。BRCA2は、3つのオリゴヌクレオチド結合(OB)フォールド及び1つのヘリックス−ターン−ヘリックス(HTH)モチーフを含有していることも既知であった。これらの観察及び他の要因に基づき、本発明者らは、DNA傷害が起こる場合には、BRCA2がssDNA/dsDNA結合部を認識し、次いで、結合したBRCA2のBRCリピートがRAD51を傷害部位に運び、次いで、これがssDNA上で核タンパク質フィラメントを形成し、RAD51フォーカスの形成をもたらし、このようにして、続く相同的組み換え過程を可能にすることを、企図した。従って、BRCA2−RAD51複合体形成に干渉する(即ち、減少させる)か、又はブロックすら行い、これにより、放射線及び他のDNA傷害剤の効果に対してBRCA2完全(非変異)乳癌細胞を感作する分子を開発することが、望ましいであろうと本発明者らは企図する。
本発明者らは、ここで、BRCA2−RAD51を、特定の分子及びこれらの分子を含む組成物に曝すことにより、BRCA2−RAD51複合体及び/又は複合体形成が、破壊され得るか、又は完全に阻害すらされ得ることを発見した。さらに、このような分子は、RAD51多量体化に干渉する能力も示した。
従って、BRCA2−RAD51複合体形成及び/又はRAD51多量体化に関連した全ての過程及び疾患が、このような分子の投与によって修飾され得ることが一般に企図される。数ある企図される過程及び疾患の中でも、本発明の主題による化合物及び組成物は、(a)化学療法薬の効果に対して腫瘍性細胞を感作し、(b)細胞***を破壊することにより腫瘍性細胞の増殖に干渉し、(c)細胞をG1期に停止することにより化学療法薬の効果から非腫瘍性細胞を保護し、及び(d)通常であれば細胞増殖を刺激するであろう環境における細胞(典型的には、非腫瘍性細胞)の増殖を減少させるために使用され得ることが特に企図される。
企図される化合物及び組成物
BRCA2−RAD51複合体の形成又は存在を防止するか、減少させるか、又は他の妨害をする全ての分子が、適切であることが、一般に企図される。従って、多数の分子の中でも、ペプチド(例えば、BRCリピート及びこれらのアナログ、抗体又は他の高特異性/親和性結合ペプチド等)、並びに(例えば、市販されているような化合物のライブラリーに由来する)低分子薬物、並びにプロドラッグ及び代謝産物を含むこれらの誘導体が企図される。しかしながら、特に企図される分子には、下記式1
BRCA2−RAD51複合体の形成又は存在を防止するか、減少させるか、又は他の妨害をする全ての分子が、適切であることが、一般に企図される。従って、多数の分子の中でも、ペプチド(例えば、BRCリピート及びこれらのアナログ、抗体又は他の高特異性/親和性結合ペプチド等)、並びに(例えば、市販されているような化合物のライブラリーに由来する)低分子薬物、並びにプロドラッグ及び代謝産物を含むこれらの誘導体が企図される。しかしながら、特に企図される分子には、下記式1
さらに好ましい化合物は、R1−R11がHであり、XがNR14であり、及びRが
本明細書において使用されるように、「ハロゲン」という用語は、フッ素、臭素、塩素又はヨウ素をさし、これは、典型的には、もう一つの原子(例えば、炭素)と共有結合的に結合している。さらに本明細書において使用されるように、「ヒドロキシル」という用語は−OH基をさす。さらに本明細書において使用されるように、「カルボニル原子」という用語は、3個の原子が共有結合的に結合しており、3個の原子のうちの1個が(部分的に非局在化され得る)二重結合を介して炭素原子に結合している炭素原子をさす。従って、特に企図されるカルボニル原子には、カルボキサミド基、カルボキサミジン基、及びチオカルボキサミド基の中の炭素原子が含まれる。
本明細書において使用されるような「アルキル」という用語は、炭素−炭素結合のすべてが単結合である環式、分岐型、又は直鎖型の炭化水素をさし、「低級アルキル」という用語は、炭素原子1から10個の環式、分岐型、又は直鎖型のアルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、i−ブチル(又は2−メチルプロピル)、シクロプロピルメチル、i−アミル、n−アミル、ヘキシル等)をさす。本明細書において使用されるような「アルキレン」という用語は、対応するアルカンより2個少ない水素原子を有するアルキルをさす(すなわち、CnH2n)。例えば、適切なアルキレンには、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等が含まれる。本明細書において使用されるような「シクロアルキル」という用語は、3から15個の炭素を含有している環式又は多環式のアルキル基をさす。多環式の基について、これらは、末端環のうちの1つが芳香族であってもよい複数の縮合した環(例えば、インダニル及びテトラヒドロナフタレン等)であってもよい。本明細書において使用されるような「アルカリール」という用語は、アリール部分に共有結合的にカップリングされたアルキルをさす。例えば、ベンジル基は、本明細書に提供された定義の下でアルカリールと見なされる。
同様に、本明細書において使用されるような「アルケニル」という用語は、少なくとも一つの炭素−炭素結合が二重結合であるアルキルをさす。従って、「低級アルケニル」という用語には、1から10個の炭素原子を有する全てのアルケニルが含まれる。本明細書において使用されるような「シクロアルケニル」という用語は、3から15個の炭素及び少なくとも1個の二重結合を含有している環式又は多環式の基をさす。同様に、本明細書において使用されるような「アルキニル」という用語は、少なくとも一つの炭素−炭素結合が三重結合であるアルキル又はアルケニルをさす。従って、「低級アルキニル」という用語には、1から10個の炭素原子を有する全てのアルキニルが含まれる。
さらに本明細書において使用されるように、「アルコキシ」という用語は、−OR基(式中、Rは、低級アルキル、置換された低級アルキル、アシル、アリール、置換されたアリール、アリールアルキル、置換されたアリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、シクロへテロアルキル、又は置換されたシクロへテロアルキルである)をさす。同様に、「アリールオキシ」という用語は、−OAr基(式中、Arは、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、又は置換されたヘテロアリール基である)をさす。
さらに、「アリール」という用語は、少なくとも一つの芳香環を有する芳香族炭素環式基(例えば、フェニル又はビフェニル)又は少なくとも一つの環が芳香族である複数の縮合した環(例えば、1,2,3,4−テトラヒドロナフチル、ナフチル、アントリル、又はフェナントリル)をさす。本明細書において使用されるような「ヘテロ原子」という用語は、例えば、水素、ハロゲン、低級アルキル、アルコキシ、低級アルキルチオ、トリフルオロメチル、アミノ、アミド、カルボキシル、ヒドロキシル、アリール、アリールオキシ、複素環、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、ニトロ、シアノ、アルキルチオ、チオール、スルファミド等により場合により置換されていてもよい、炭素以外の原子(例えば、S、O、又はN)をさす。
さらに、本明細書において使用されるような「置換された」という用語は、基又は原子(又は原子の二重結合の自由電子対又は電子対)と共有結合的に結合している水素原子が、ヒドロキシル、チオール、アルキルチオール、ハロゲン、アルコキシ、アミノ、アミド、ニトロ、カルボキシル、シクロアルキル、複素環、シクロへテロアルキル、アシル、カルボキシル、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル(alknyl)、及びシアノを含む共有結合的に結合した非水素置換基に交換されていることを意味する。
本明細書において使用されるような「プロドラッグ」という用語は、修飾された化合物が、(修飾された化合物と比較して)より低い薬理学的活性を示し、修飾された化合物が、標的細胞(例えば、腫瘍性細胞)又は標的器官(例えば、卵巣)において修飾型へと戻し変換される、企図された化合物の修飾をさす。例えば、企図された化合物のプロドラッグへの変換は、活性薬物が、あまりにも毒性なため安全に全身投与され得ない場合、又は企図された化合物が、消化管又は他のコンパートメント又は細胞により不十分に吸収される場合、又は標的に到達する前に、企図された化合物を身体が分解する場合、有用である。従って、本発明の主題による化合物は、多数の様式で修飾され得、特に好ましい修飾には、1つ以上の薬物動態学的及び/又は薬力学的パラメーターを改良するものが含まれることが認識されるべきである。例えば、1つ以上の置換基が、血清中のより高いAUCを達成するために追加又は交換され得る。他方、特に、増加した溶解度が望まれる場合には、親水基が追加され得る。企図された化合物の対応するプロドラッグ型への変換のために適している例示的なプロトコルは、”Prodrugs(Drugs and the Pharmaceutical Sciences:a Series of Textbooks and Monographs)”by Kenneth B.Sloan(ISBN:0824786297)及び”Hydrolysis in Drug and Prodrug Metabolism:Chemistry,Biochemistry,and Enzymology”by Bernard Testa,Joachim M.Mayer(ISBN:390639025X)(これらはいずれも参照により本明細書に組み込まれる)に見出され得る。さらに、特に、企図された化合物が、化合物が代謝(例えば、ヒドロキシル化、グルクロニド化等)された場合に、より高い活性を有する場合には、企図された化合物の代謝産物も、明らかに本発明において企図されることが認識されるべきである。
特定の目的に依って、企図された化合物は、少なくとも一つの他の医薬的に活性な成分と(インビボで、又は医薬的製剤又は投与計画において)組み合わせられ得ることが認識されるべきであり、特に企図される他の成分には、DNA傷害剤、細胞***阻害及び/又は細胞毒性薬、代謝拮抗薬、ヌクレオシドアナログ等が含まれる。例えば、適切な薬剤には、シスプラチン、マイトマイシン、ドキソルビシン、メルファラン、シクロホスファミド、クロラムブシル、及び/又はブレオマイシンのようなアルキル化剤及び/又は架橋剤が含まれる。第2の医薬的に活性な成分の濃度は、典型的には、単独投与の場合に推奨されるものであるが、より低い(いくつかの場合には、より高い)濃度も、本発明において使用するのに適していると見なされる。
従って、企図された医薬的組成物には、特に、企図された化合物(及び付加的な医薬的に活性な成分)が適切な担体と共に提供されるものが含まれるであろう(ここで、企図された化合物は、好ましくは、細胞が化合物に曝された場合に、放射線(例えば、UV−C線及び/又はガンマ線)又はDNA傷害剤(例えば、架橋又はアルキル化剤)に対する腫瘍性細胞の感受性を増加させるのに有効な濃度で存在する)。さらに好ましい組成物において、化合物は、BRCA2、RAD51、及び/又はBRCA2−RAD51複合体が化合物に曝された場合に、BRCA2のRAD51との結合を減少させるか又は防止するのに有効な濃度で存在することも企図される。企図された組成物が少なくとも一時的に細胞周期において細胞を停止するために利用される場合、化合物は、細胞が化合物と接触した場合に、細胞(典型的には、非腫瘍性細胞)をG1期に停止するのに有効な濃度で存在することが好ましい。従って、濃度は、これらが、細胞(例えば、血管内ステントに近位の内膜細胞を特に含む、化合物がカップリングされた植込装置に近位の細胞)の細胞増殖を減少させるのに有効な濃度で存在するよう選択され得る。
従って、特定の使用及び構造に依って、本発明の主題による化合物は、一投薬単位当たり1マイクログラムから1000ミリグラム、より典型的には10マイクログラムから500ミリグラム、最も典型的には50マイクログラムから500ミリグラムの量で組成物中に存在することが企図される。従って、インビボ又はインビトロの企図された化合物の好ましい濃度は、一般に、0.1nMから500マイクロM、より典型的には50nMから400マイクロM、最も典型的には100nMから200マイクロMであろう。
さらに、全ての製剤が、本発明において使用するのに適していると見なされ、特に、経口及び非経口の製剤を含むことが認識されるべきである。例えば、経口投与の場合、企図された組成物は、錠剤、カプセル、懸濁物、又は液体の形態をとり得る。医薬的組成物は、好ましくは、特定の量の活性成分を含有している投薬単位の形態で作成される。このような投薬単位の例は、錠剤又はカプセルである。活性成分は、例えば、生理食塩水、デキストロース、又は水が適切な担体として使用され得る組成物として注射により投与され得る。
投与される治療的に活性な化合物の量、並びに本発明の化合物及び/又は組成物により疾患状態を治療するための投薬計画は、対象の年齢、体重、性別、及び医学的状態、疾患の重度、投与の経路及び頻度、並びに利用される特定の化合物を含む多様な要因に依り、従って、広範に変動し得る。しかしながら、特に適切な量は、上に提供されたものであり、従って、体重1kg当たり約0.001(又はさらにそれ未満)から100mg、好ましくは、体重1kg当たり約0.01から約50mg、最も好ましくは、体重1kg当たり約0.1から20mgの1日用量を可能にし得る。典型的には、1日用量は、1日1から4回で投与され得る。
治療的又は予防的な目的のため、企図された化合物は、通常、示された投与経路にとって適切な1つ以上の補助剤と組み合わせられる。経口投与される場合、化合物は、乳糖、ショ糖、デンプン粉末、アルカン酸のセルロースエステル、セルロースアルキルエステル、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸及び硫酸のナトリウム及びカルシウム塩、ゼラチン、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、及び/又はポリビニルアルコールと混和され、次いで、便利な投与のために錠剤化又はカプセル化され得る。このようなカプセル又は錠剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース中の活性化合物の分散物に提供され得るような放出制御製剤を含有し得る。非経口投与用の製剤は、水性又は非水性の等張の無菌の注射溶液又は懸濁物の形態をとり得る。これらの溶液及び懸濁物は、経口投与用の製剤において使用するための前述の担体又は希釈剤のうちの1つ以上を有する無菌の粉末又は顆粒から調製され得る。化合物は、水、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、エタノール、トウモロコシ油、綿実油、落花生油、ゴマ油、ベンジルアルコール、塩化ナトリウム、及び/又は様々な緩衝液に溶解させられ得る。他の補助剤及び投与モードは、薬学分野において十分に広範に既知である。
企図される使用
本発明の主題による化合物及び組成物は、BRCA2−RAD51相互作用に関連した状態及び/又は疾患に影響を与えるために利用され得ることが一般に企図される。従って、特に企図される状態及び疾患には、放射線及び/又はDNA傷害剤に対して細胞を感受性にすることが望まれるもの、並びに/又は刺激又は腫瘍性表現型への形質転換に応答して細胞***が異常制御されるものが含まれる。さらに好ましい状態には、細胞増殖を一時的に停止することが望ましいものが含まれる。
本発明の主題による化合物及び組成物は、BRCA2−RAD51相互作用に関連した状態及び/又は疾患に影響を与えるために利用され得ることが一般に企図される。従って、特に企図される状態及び疾患には、放射線及び/又はDNA傷害剤に対して細胞を感受性にすることが望まれるもの、並びに/又は刺激又は腫瘍性表現型への形質転換に応答して細胞***が異常制御されるものが含まれる。さらに好ましい状態には、細胞増殖を一時的に停止することが望ましいものが含まれる。
例えば、企図される化合物及び組成物は、このような化合物及び組成物がDNA傷害剤及び/又は放射線に対して腫瘍性細胞をより感受性にする化学療法において、特に有用である。従って、このような治療においては、化学療法剤の投薬量が減少し、及び/又は殺傷率(kill rate)が増加し得る。他方、企図された化合物は、非腫瘍性細胞をG1期に停止するため、このような化合物は、一時的に細胞増殖を停止し、これにより化学療法剤により通常であれば誘導される傷害から非腫瘍性細胞を保護する化学予防剤として投与され得ることが認識されるべきである。さらに、細胞周期停止は、再狭窄の発生及び/又は重度を減少させるため、植込装置(例えば、血管内ステント)においても利用され得る。このような方法においては、本発明の主題による化合物が、植込装置へコーティングされることが企図される。当然、植込装置にこのような化合物をカップリングさせる多数の別の方式も、適切であると見なされ、装置にカップリングされた足場又は放出部分への共有結合性の接着、生浸食性(bioerodable)又は生分解性の材料への組み込み等が含まれる。
従って、分子的な観点から考察すると、企図された方法は、放射線により誘導されるRAD51フォーカスを抑制し、細胞***阻害的な細胞増殖を促進し、シスプラチンと組み合わせられた場合には、細胞死の共同作用的な誘導を提供し、及び/又はこのような処理された細胞(最も典型的には、癌細胞)をG1期に停止するための治療的に活性な分子として、BRCA2−Rad51相互作用に干渉する化合物を利用するであろう。企図された化合物は、BRCリピートのRAD51との結合を阻害し得るため、これらはRad51多量体化を防止するか又は減少させるためにも利用され得、これは、最終的にはBRCA2及びRAD51の分解をもたらすであろう。従って、適切な方法には、細胞におけるBRCA2及びRAD51の分解が望ましい結果を生ずるであろう全ての方法が含まれる。
例示的な化合物の合成
多数の企図された化合物の合成が、化合物の3つの成分の直接反応により化合物が調製される、以下に概説されるような一般的なプロトコルに従うであろうことが認識されるべきである。例えば、適切な反応は、(a)(適宜)場合により置換及び保護されているイソキノリン、(b)(適宜)場合により置換及び保護されているα−フェニルメチルスルホニルクロリド又はα−フェニルスルホニルクロリド、ならびに(c)(適宜)場合により置換及び保護されているインドールを含み、各成分は、下記スキーム1に例示的に概説されるようにして化合させられる。
多数の企図された化合物の合成が、化合物の3つの成分の直接反応により化合物が調製される、以下に概説されるような一般的なプロトコルに従うであろうことが認識されるべきである。例えば、適切な反応は、(a)(適宜)場合により置換及び保護されているイソキノリン、(b)(適宜)場合により置換及び保護されているα−フェニルメチルスルホニルクロリド又はα−フェニルスルホニルクロリド、ならびに(c)(適宜)場合により置換及び保護されているインドールを含み、各成分は、下記スキーム1に例示的に概説されるようにして化合させられる。
2−(ベンジルスルホニル)−1−(1H−インドール−3−イル)−1,2−ジヒドロイソキノリン(IBR2):イソキノリン(10.3g、80ミリモル)を無水ベンゼン(140ml)に溶解させた。α−フェニルメチルスルホニルクロリド(7.64g、40ミリモル)を数回に分けて添加した。反応混合物を室温で30分間撹拌した。インドール(4.68g、40ミリモル)を添加し、反応を室温で20時間継続させた。反応中、明るい色の沈殿物が形成された。次いで、固体を収集し、トルエン及びヘキサン(各50ml)により洗浄した。得られた粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、100%ジクロロメタン)を使用してさらに精製し、淡黄色の固体として11.1g(97.5%)を得た。生成物(6.0g)をエタノール(200ml)からの再結晶(recrystalization)によりさらに精製し、白色粉末として最終生成物(5.7g)を得た。
MS(m/e):423.05(IVH−Na+)。1HNMR(500MHz、δ/ppm):4.00(d、1H、J=13.88Hz)、4.16(d、1H、J=13.92Hz)、6.06(d、1H、J=7.53Hz)、6.30(d、1H、J=7.45Hz)、6.37(s、1H)、6.70(d、1H、J=2.53Hz)、6.86(d、1H、J=8.1Hz)、6.91(d、2H、J=7.78Hz)、7.08(t、2H、J=7.76Hz)、7.13−7.32(m、7H)、7.96(d、1H、J=9.02Hz)、8.00(s、br、1H)。
実施例1の手順に従い、0.25ミリモルの場合により置換されているインドールを、0.5ミリモルの場合により置換されているイソキノリン及び0.25ミリモルのフェニルメチルスルホニルクロリドにより処理し、下記表に示される置換された2(ベンジルスルホニル)−1−(1H−インドール−3−イル)−1,2−ジヒドロイソキノリンを得た(収率は、単一の実験に由来し、最適化されていない)。
2(ベンジルスルホニル)−1−(7−アザ−1H−インドール−3−イル)−1,2−ジヒドロイソキノリン:実施例1の手順に従い、29.54mg(0.25ミリモル)の7−アザインドールを、64.58mg(0.5ミリモル)のイソキノリン及び47.67mg(0.25ミリモル)のα−フェニルメチルスルホニルクロリドにより処理し、58.95mg(収率60%)の2(ベンジルスルホニル)−1−(7−アザ−1H−インドール−3−イル)−1,2−ジヒドロイソキノリンを得た。
2(ベンジルスルホニル)−1−(7−アザ−1H−インドール−3−イル)−4−ブロモ−1,2−ジヒドロイソキノリン:実施例1の手順に従い、29.54mg(0.25ミリモル)の7−アザインドールを、104.03mg(0.5ミリモル)の4−ブロモイソキノリン及び47.67mg(0.25ミリモル)のα−フェニルメチルスルホニルクロリドにより処理し、71.98mg(収率61%)の2(ベンジルスルホニル)−1−(7−アザ−1H−インドール−3−イル)−4−ブロモ−1,2−ジヒドロイソキノリンを得た。
実験
BRCA2−RAD51複合体に干渉する化合物の同定
BRC−Rad51相互作用を阻害することができる化合物を同定するため、24,000の合成化合物のライブラリー(Nanoscale Combinatorial Synthesis,Inc.Palo Alto,CA)を、図1Aに概略的に示される誘導可能逆酵母ツーハイブリッド法(Proc Natl Acad Sci USA 94,13396−13401)によりスクリーニングした。2つの融合タンパク質、TetR−BRC融合タンパク質(TetR/NCB、構成的に発現される)及びRad51−活性化ドメイン融合タンパク質(GAL1プロモーターの下で発現されるAD/Rad51)は、TetOpにより駆動されるURA3遺伝子(Proc Natl Acad Sci USA 94,12473−12478)を保持している酵母株において転写活性化因子として共に作用した。これらの2つの融合タンパク質の間の相互作用は、URA3遺伝子の発現を誘導し;次いで、培地中の5−FOAの毒性代謝産物が細胞死を引き起こした(Methods Enzymol 154,164−175)。試験された低分子が、TetR/BRC/AD/Rad51相互作用を阻害した場合には、URA3発現が排除され、細胞は増殖することができた。逆酵母ツーハイブリッドスクリーニングからの陽性ヒットの例は、図1Bに示される。ライブラリーをスクリーニング中、16の化合物が10μM未満の濃度で酵母増殖を促進することが見出された。次いで、これらの化合物を、MCF−7乳癌細胞におけるIRにより誘導されるRad51フォーカス形成に対する効果に関して試験した。2つの化合物(IBR1及びIBR2、図1Cに示された構造)が、Rad51フォーカス形成を劇的に減少させ(図1F)、さらなる調査のために選出された。特に、IBR1よりわずかに強い活性を有していたIBR2を、本明細書において実施された実験の大半において研究した。
BRCA2−RAD51複合体に干渉する化合物の同定
BRC−Rad51相互作用を阻害することができる化合物を同定するため、24,000の合成化合物のライブラリー(Nanoscale Combinatorial Synthesis,Inc.Palo Alto,CA)を、図1Aに概略的に示される誘導可能逆酵母ツーハイブリッド法(Proc Natl Acad Sci USA 94,13396−13401)によりスクリーニングした。2つの融合タンパク質、TetR−BRC融合タンパク質(TetR/NCB、構成的に発現される)及びRad51−活性化ドメイン融合タンパク質(GAL1プロモーターの下で発現されるAD/Rad51)は、TetOpにより駆動されるURA3遺伝子(Proc Natl Acad Sci USA 94,12473−12478)を保持している酵母株において転写活性化因子として共に作用した。これらの2つの融合タンパク質の間の相互作用は、URA3遺伝子の発現を誘導し;次いで、培地中の5−FOAの毒性代謝産物が細胞死を引き起こした(Methods Enzymol 154,164−175)。試験された低分子が、TetR/BRC/AD/Rad51相互作用を阻害した場合には、URA3発現が排除され、細胞は増殖することができた。逆酵母ツーハイブリッドスクリーニングからの陽性ヒットの例は、図1Bに示される。ライブラリーをスクリーニング中、16の化合物が10μM未満の濃度で酵母増殖を促進することが見出された。次いで、これらの化合物を、MCF−7乳癌細胞におけるIRにより誘導されるRad51フォーカス形成に対する効果に関して試験した。2つの化合物(IBR1及びIBR2、図1Cに示された構造)が、Rad51フォーカス形成を劇的に減少させ(図1F)、さらなる調査のために選出された。特に、IBR1よりわずかに強い活性を有していたIBR2を、本明細書において実施された実験の大半において研究した。
著しく、IBR1及びIBR2は分子構造が類似している。これらは、両方とも、化合物の性質を極めて疎水性にする3つの芳香環、イソキノリン、インドール、及びベンゼン環を含む。これらの2つの化合物の間の唯一の違いは、ベンゼン環をコア構造へと接続しているメチレン基にある。構造的類似性は、これらの化合物が類似した機能メカニズムを共有し得ることを示唆する。興味深いことに、IBR化合物アナログのいくつかの逆酵母ツーハイブリッドスクリーニングにより開示されたように、ベンゼン環の他の基への置換は、RAD51/BRC相互作用の破壊に失敗し、このことは、ベンゼン環が、この標的との結合において役割を果たしていることを示唆し得る。一次スクリーニングにおいて、フェニル環上により大きな置換基を有する他のIBRアナログが、BRC/Rad51相互作用を破壊し得ないことも見出された。図1Gは、選択された試験された化合物の例示的な構造を示す。これら及び他の結果は、フェニル環が、標的結合において役割を果たし得ることを示唆している。インドール環のN位に置換基を有するIBRアナログも、クローン原性アッセイにおいて活性を失い(データ示さず)、このことは、おそらく水素結合を通した、NH基の結合における役割の可能性を示唆している。
結合のメカニズムの調査
BRCリピートは、RAD51との結合に関与している高度に保存されたヘアピン構造(例えば、BRC4中の1524−FHTASGK−1530)を有する。BRCA2配列1524−FHTA−1527は、逆平行ベータ鎖(stand)対合(paring)を通してRAD51のB3と相互作用し;類似した結合パターンがRad51フィラメント形成においても観察された。重要なこととして、BRC4−RAD51複合体内のBRC4のF1524又はヒトRAD51のF86(酵母Rad51中のF144又はP.フリオサス(furiosus)Rad51中のF97と等価)の両方が、RAD51のM210、M158、A207、A190、A192、Q206、L203、及びI160により形成されるB3とA4との間の疎水性ポケットに深く到達することができる。IBR2構造のBRC4ヘアピン構造及びRad51多量体化モチーフとの注意深い整列化は、フェニル環がBRC4のF1524を模倣することができ、残りの環系が隣接ベータ鎖に取って代わることを示唆している。IBR2のRAD51との分子ドッキングは、IBR2が、BRCA2結合又は多量体化のためと同一の結合ポケットへとベンゼン基を伸長することにより、RAD51に結合することを示唆している(図1D及び1Eを参照)。IBR化合物のベンゼン環がこれらの有効性に不可欠であるらしいという観察に基づき、本発明者らは、さらに、IBR1/2作用メカニズムの一つの可能性が、BRCA2のF1524を模倣し、F1524のための疎水性結合ポケットの入口を遮断することにより、従って、BRCA2/RAD51ドッキングの失敗を引き起こすことを仮定した。
BRCリピートは、RAD51との結合に関与している高度に保存されたヘアピン構造(例えば、BRC4中の1524−FHTASGK−1530)を有する。BRCA2配列1524−FHTA−1527は、逆平行ベータ鎖(stand)対合(paring)を通してRAD51のB3と相互作用し;類似した結合パターンがRad51フィラメント形成においても観察された。重要なこととして、BRC4−RAD51複合体内のBRC4のF1524又はヒトRAD51のF86(酵母Rad51中のF144又はP.フリオサス(furiosus)Rad51中のF97と等価)の両方が、RAD51のM210、M158、A207、A190、A192、Q206、L203、及びI160により形成されるB3とA4との間の疎水性ポケットに深く到達することができる。IBR2構造のBRC4ヘアピン構造及びRad51多量体化モチーフとの注意深い整列化は、フェニル環がBRC4のF1524を模倣することができ、残りの環系が隣接ベータ鎖に取って代わることを示唆している。IBR2のRAD51との分子ドッキングは、IBR2が、BRCA2結合又は多量体化のためと同一の結合ポケットへとベンゼン基を伸長することにより、RAD51に結合することを示唆している(図1D及び1Eを参照)。IBR化合物のベンゼン環がこれらの有効性に不可欠であるらしいという観察に基づき、本発明者らは、さらに、IBR1/2作用メカニズムの一つの可能性が、BRCA2のF1524を模倣し、F1524のための疎水性結合ポケットの入口を遮断することにより、従って、BRCA2/RAD51ドッキングの失敗を引き起こすことを仮定した。
結合標的の調査
次いで、本発明者らは、企図された化合物がRad51と結合し、BRCA2とは結合しないか否かを調査した。この目的のため、Rad51又はBRCリピートが低分子化合物に結合するか否かを直接決定するために、表面プラズモン共鳴(SPR)を利用した。極めて弱いシグナルを与えるであろう低分子の結合を直接検出する代わりに、タンパク質結合の阻害を検出する別の方法を使用した。簡単に説明すると、タンパク質のうちの1つをセンサーチップに接着させ、IBR化合物を、表面を通過させた。次いで、第2のタンパク質の結合を測定した。IBR化合物が固定化されたタンパク質に結合する場合、第2のタンパク質の結合は減少するであろう(これは、図2A及び2C概略的に示される)。図2B及び2Dに示されるように、IBR化合物前処理により、固定化されたRad51はBRCリピートに結合する能力を失ったが(図2B)、化合物前処理は、固定化されたBRCリピートのRad51との結合には影響を与えなかった(図2D)。これらの結果は、IBR化合物が、BRCリピートではなくRad51と結合することを示す。
次いで、本発明者らは、企図された化合物がRad51と結合し、BRCA2とは結合しないか否かを調査した。この目的のため、Rad51又はBRCリピートが低分子化合物に結合するか否かを直接決定するために、表面プラズモン共鳴(SPR)を利用した。極めて弱いシグナルを与えるであろう低分子の結合を直接検出する代わりに、タンパク質結合の阻害を検出する別の方法を使用した。簡単に説明すると、タンパク質のうちの1つをセンサーチップに接着させ、IBR化合物を、表面を通過させた。次いで、第2のタンパク質の結合を測定した。IBR化合物が固定化されたタンパク質に結合する場合、第2のタンパク質の結合は減少するであろう(これは、図2A及び2C概略的に示される)。図2B及び2Dに示されるように、IBR化合物前処理により、固定化されたRad51はBRCリピートに結合する能力を失ったが(図2B)、化合物前処理は、固定化されたBRCリピートのRad51との結合には影響を与えなかった(図2D)。これらの結果は、IBR化合物が、BRCリピートではなくRad51と結合することを示す。
IBR化合物がBRCA2内のPhe1524の入口のための疎水性ポケットを実際に占めるのであれば、Rad51の多量体化も、同一の結合領域を共有しているため、影響を受けるはずである。以前の研究は、BRCリピートがRad51多量体の解離を引き起こし得ることを示した。従って、IBR2がBRCヘアピン構造を模倣するのであれば、Rad51多量体化もIBR2により阻害されるであろう。本発明者らは、Rad51のゲル濾過プロファイルを、IBR2の存在下と非存在下との間で比較した。Rad51は、以前に記載されたような、多量体種及び単量体種の存在を示す広い溶出プロファイルを示した。しかしながら、IBR2の存在下では、Rad51溶出プロファイルは、図2Eに示されるような単量体の分子量と一致する主要ピークを示した。これらの結果は、IBR2が、BRCリピートと同様に、Rad51多量体を解離させることを示す。Rad51とBRCリピートとの結合の阻害を、以前に記載されたような(例えば、Science 303,844−848参照)溶液競合フォーマットにおけるSPR技術によりさらに分析した。図2Fより明らかなように、IBR2化合物は、約115nMという中央阻害濃度(IC50)値で、Rad51との複合体においてBRCリピートに置き換わった。
上記の観察に基づき、本発明者らは、IBR化合物のフェニル環が、実際にBRC4リピートのPhe1524を模倣し、結合ポケットに達するのであれば、フェニル部分の適切なサイズが活性にとって重大であるに違いないことを企図する。このような仮説は、フェニル環が存在しないか(NS16856)、又はイソキノリン環とベンゼン(benzne)環との間のリンカーが長すぎる場合(NS7786、NS7787、NS7788、NS34240、及びNS40298)、これらの化合物の活性が、逆酵母ツーハイブリッドアッセイにおいて無視し得る程度であることが見出された様々な実験により支持された(図1G参照)。本発明者らは、さらに、既に逆酵母ツーハイブリッドアッセイにおいて陰性の結果を示した、フェニル環のパラ位に大きな置換基(tert−ブチル)を有するIBR2アナログ(NS35552)を調査した。図2Eに示されるように、NS35552の存在下で、Rad51はまだ多量体を形成することができ、このことは、企図された化合物上のフェニル環構造のサイズが、これらの効果にとって少なくともある程度重大であることをさらに示唆している。
従って、本発明者らは、企図された化合物のメカニズムが、Rad51多量体形成を破壊するとともにBRCリピートの結合を防止する、Rad51コアドメイン上の同一結合ポケットとの疎水的相互作用に、少なくともある程度、基づくことを企図する。
企図された化合物の様々な細胞及び動物モデルに対する生物学的効果
様々な生物学的効果(示されないデータ)の中でも、企図された化合物、特にIBR2は、培養物中の***腫瘍細胞の増殖を遅らせ、ヌードマウスにおける腫瘍原性を有意に減少させた。さらに、企図された化合物により処理された癌細胞は、G1期における停止及び有系***移行の欠陥を示した。これは、プロテアソーム経路を介したRad51の加速された分解とも相関していた。企図された化合物は、さらに、VP−16、タキソール、カンプトテシンを含む選択された化学療法剤、及び電離放射線照射の、腫瘍細胞を処理した際の細胞障害活性を強化した。従って、以下のデータ及び他の考慮に基づき、本発明者らは、本発明の主題による化合物が、BRCA2とRad51との間の相互作用を標的とするのに適しており、従って、BRCA2−Rad51複合体形成及び/又はRad51作用の異常に関連した疾患の治療に適していることを企図する。
様々な生物学的効果(示されないデータ)の中でも、企図された化合物、特にIBR2は、培養物中の***腫瘍細胞の増殖を遅らせ、ヌードマウスにおける腫瘍原性を有意に減少させた。さらに、企図された化合物により処理された癌細胞は、G1期における停止及び有系***移行の欠陥を示した。これは、プロテアソーム経路を介したRad51の加速された分解とも相関していた。企図された化合物は、さらに、VP−16、タキソール、カンプトテシンを含む選択された化学療法剤、及び電離放射線照射の、腫瘍細胞を処理した際の細胞障害活性を強化した。従って、以下のデータ及び他の考慮に基づき、本発明者らは、本発明の主題による化合物が、BRCA2とRad51との間の相互作用を標的とするのに適しており、従って、BRCA2−Rad51複合体形成及び/又はRad51作用の異常に関連した疾患の治療に適していることを企図する。
企図された化合物を使用した癌細胞の増殖阻害
本発明者らは、乳癌細胞系のパネルの増殖及び生存率に対するIBR2の効果を調査した。5つの指数増殖期の乳癌細胞系(MDA−MB−231、MCF−7、MDA−MB−468、SKBR3、及びMDA−MB−435)を、様々な期間(1、2、3、4、及び5日)、様々な濃度(0、5、10、及び20μM)で、IBR2と共にインキュベートした。次いで、生存可能細胞の数をトリパンブルー排除アッセイにより計数した。結果は、図3Aに示されるように、IBR2が、用量依存的及び時間依存的に5つ全ての乳癌細胞系の増殖を有意に阻害することを示した。また、本発明者らは、3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)アッセイを使用して、培養乳癌細胞(MDA−MB−468、MDA−MB−435、MCF−7、T47D)の増殖及び生存率に対するIBR2の効果を調査した。結果は、試験された細胞系におけるIBR2のIC50値が、約10μMであることを示した(図3D参照)。さらに、非小細胞肺癌細胞系(CALU−1、A427、Sklu−1、及びCALU−6)、骨肉腫細胞系(SaoS2及びU2OS)、並びに神経膠芽腫細胞系(T98G)の増殖も、IBR2処理により有意に阻害された(図3E参照)。
本発明者らは、乳癌細胞系のパネルの増殖及び生存率に対するIBR2の効果を調査した。5つの指数増殖期の乳癌細胞系(MDA−MB−231、MCF−7、MDA−MB−468、SKBR3、及びMDA−MB−435)を、様々な期間(1、2、3、4、及び5日)、様々な濃度(0、5、10、及び20μM)で、IBR2と共にインキュベートした。次いで、生存可能細胞の数をトリパンブルー排除アッセイにより計数した。結果は、図3Aに示されるように、IBR2が、用量依存的及び時間依存的に5つ全ての乳癌細胞系の増殖を有意に阻害することを示した。また、本発明者らは、3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)アッセイを使用して、培養乳癌細胞(MDA−MB−468、MDA−MB−435、MCF−7、T47D)の増殖及び生存率に対するIBR2の効果を調査した。結果は、試験された細胞系におけるIBR2のIC50値が、約10μMであることを示した(図3D参照)。さらに、非小細胞肺癌細胞系(CALU−1、A427、Sklu−1、及びCALU−6)、骨肉腫細胞系(SaoS2及びU2OS)、並びに神経膠芽腫細胞系(T98G)の増殖も、IBR2処理により有意に阻害された(図3E参照)。
ヌードマウスにおける確立された腫瘍異種移植片の増殖に対するIBR2の阻害効果を試験するため、本発明者らは、この研究のためにヒト乳癌細胞系MDA−MB−468を選出した。およそ85mm3の腫瘍サイズを有するマウスを、最長5週間、3つの用量のIBR2(10、50、及び150mg/kg i.p.)により隔日処理した。対照群(ビヒクル単独)と比較して、IBR2により処理された群は、用量依存的に最大65%の腫瘍増殖の有意な遅延を示したが(図3B参照)、ヌードマウスの平均体重はほぼ一定のままであった(図3C参照)。これらの結果は、IBR2が、動物に対する明白な毒性なしに、***腫瘍増殖を阻害するために使用され得ることを証明している。
MCF−7細胞の細胞周期に対するIBR2の効果
IBR2が癌細胞増殖を阻害するメカニズムを探究するため、本発明者らは、IBR2により処理されたMCF−7細胞の細胞周期進行をフローサイトメトリー(FACS)により分析した。図4Aに示されるように、時間依存的に、G1画分が増加し、S及びG2/M画分が枯渇し、アポトーシス細胞を示すサブ−G1画分が有意に増加した。
IBR2が癌細胞増殖を阻害するメカニズムを探究するため、本発明者らは、IBR2により処理されたMCF−7細胞の細胞周期進行をフローサイトメトリー(FACS)により分析した。図4Aに示されるように、時間依存的に、G1画分が増加し、S及びG2/M画分が枯渇し、アポトーシス細胞を示すサブ−G1画分が有意に増加した。
IBR2により処理された細胞は、G1で停止され、従って、S期に移行することができないのか否かを試験するために、MCF−7細胞をノコダゾール処理によりM期で同期化し、次いで、G1期への移行を可能にするために再び播いた。異なる時点で、S期移行をモニタリングするため、細胞をBrdUによりパルス標識した。図4Bに示されるように、IBR2により処理された細胞は、G1で完全に停止され、S期に移行することができなかった。
さらに、IBR2処理によるS期の細胞の運命を調査するために、MCF−7細胞をヒドロキシ尿素処理によりG1/S移行期で同期化し、次いで、試薬の洗浄によりS期移行を可能にするために放出した。これらの細胞を、20μM IBR2及びBrdUにより処理し、18時間、DNA合成に関するBrdU取り込みを、***指数及び生存可能細胞の数と共に測定した。図4Cに示されるように、偽処理された細胞及びIBR2により処理された細胞両方において、DNA合成が類似した速度で低下し、このことから、IBR2処理がS期進行には干渉しないことが示唆された。偽処理された細胞は、12時間でM期極大に達したが、IBR2処理細胞は全く又はほとんどM期に移行しなかった(図4D)。さらに、偽処理された細胞の数はM期の完了時に2倍になったが、IBR2により処理された細胞の数はおよそ50%にまで低下した。これは、IBR2により処理された細胞が、おそらくはS/G2期における細胞死のため、M期に移行し得なかったことを示唆している(図4E)。
Rad51タンパク質発現に対するIBR2の影響を調査するため、IBR2により処理されたMCF−7細胞を、BRCA2、Rad51、Rad50、p84、及びRbに対する抗体のパネルによりプローブされた直接(straight)ウエスタンブロットにより調査した。図4Fに示されるように、BRCA2及びRad51の両方が時間依存的に劇的に低下したが、p84及びRad50の両方は一定のままであった。FACS分析(図4A)と一致して、G1期のマーカーであるRbの低リン酸化型が、後の時点で観察された主要な型であり、IBR2がG1期で細胞を停止することがさらに確認された(図4A)。BRCA2レベルは、細胞周期依存性であり、G1期には低発現し、G1/S境界においてピークに達することが報告されている。従って、IBR2により処理された細胞におけるBRCA2の低下したレベルは、G1期停止により得る。BRCA2タンパク質とは異なり、Rad51タンパク質は、MCF−7細胞において細胞周期の全体を通して一定に発現される(データ示さず)。従って、Rad51タンパク質の欠損は、G1停止の結果ではなく、IBR2処理の直接効果であり得る。IBR2が不安定化によりRad51レベルを低下させるか否かを試験するため、本発明者らは、新規タンパク質合成を阻害するシクロヘキサミド(cyclohexamide)(CHX)を添加することにより、安定性アッセイを実施した。次いで、図4G及び4Hに証明されるように、Rad51の半減期は、対照細胞における5.5時間と比較して1.5時間に短縮されるが、Rad50は短縮されないことが観察された。プロテアソーム阻害剤MG132の添加により、Rad51の半減期は、IBR2により処理された細胞及び対照細胞の両方においてRad50のものに類似した程度にまで延長され(図4G及び4H)、このことから、IBR2が、プロテアソームにより媒介される分解のためRad51を標的とすることが示唆された。従って、本発明者らは、IBR2により処理されたMCF−7細胞が、G1で停止され、M期移行時にブロッキングされ、S/G2期で死滅したことを企図する。
インビボにおけるRad51及びIRにより誘導されるRad51フォーカスに対する企図された化合物の効果
本明細書に提示された観察に基づき、本発明者らは、IBR2が、インビトロで、Rad51に結合し、BRCA2−Rad51複合体の形成を破壊することを発見した。細胞において、IBR2処理は、Rad51の分解、G1停止、及びS期における細胞死をもたらす。インビボの効果が、IBR2がRad51を標的とすることに起因するのであれば、IBR2により処理された細胞における外因性Rad51タンパク質の過剰発現は、このような効果を救済すると予想される。この可能性を試験するため、本発明者らは、MCF−7細胞においてGFPと共にRad51を発現させ、GFP単独も発現させた。IBR2による処理の後、図5Cから明らかなように、細胞は、Rad51を過剰発現し、図5A及び5Bから明白であるように、BrdU取り込み分析に基づくS期移行を有意に救済し、このことから、Rad51が、IBR2により特異的に標的とされることが示唆される。
本明細書に提示された観察に基づき、本発明者らは、IBR2が、インビトロで、Rad51に結合し、BRCA2−Rad51複合体の形成を破壊することを発見した。細胞において、IBR2処理は、Rad51の分解、G1停止、及びS期における細胞死をもたらす。インビボの効果が、IBR2がRad51を標的とすることに起因するのであれば、IBR2により処理された細胞における外因性Rad51タンパク質の過剰発現は、このような効果を救済すると予想される。この可能性を試験するため、本発明者らは、MCF−7細胞においてGFPと共にRad51を発現させ、GFP単独も発現させた。IBR2による処理の後、図5Cから明らかなように、細胞は、Rad51を過剰発現し、図5A及び5Bから明白であるように、BrdU取り込み分析に基づくS期移行を有意に救済し、このことから、Rad51が、IBR2により特異的に標的とされることが示唆される。
次に、本発明者らは、BRCA2−/−:p53−/−、BRCA1−/−:p53−/−、及びp53−/−という遺伝子型を有する同質遺伝子MEFのIBR2処理に対する感受性を調査した。図5Dより明らかなように、BRCA2/−:p53−/−MEFは、BRCA1−/−:p53−/−及びp53−/−MEFと比較してIBR2に対して最も感受性であった。次いで、これらのMEFにおいてRad51タンパク質の安定性を比較したところ、BRCA2−/−:p53−/−MEFにおけるRad51の半減期が、他のものより短いことが見出された(図5E参照)。これらの結果は、内因性BRCA2が、会合によりRad51を安定化し得、BRCA2の非存在下では、Rad51は、短縮された半減期を有し、容易にIBR2による分解の標的とされることを示唆している。
BRCA2とRad51との間の相互作用が、IRにより誘導されるRad51フォーカスの形成にとって重大であるようであるため、IBR2は、BRCリピートを模倣して、BRCA2−Rad51相互作用を破壊し、これによりIRにより誘導されるRad51フォーカス形成を減弱させ得ることが企図された。この可能性を試験するため、IRにより誘導されるRad51フォーカスを形成したMCF−7細胞の数を、IBR2処理の後に測定した。図5Fに示されるように、IBR2処理は、IRにより誘導されるRad51フォーカス形成を有意に減少させ、このことから、Rad51の二本鎖切断(DSB)修復機能がIBR2により損なわれることが示唆された。次いで、この効果がDSB修復に関与する他の分子にも当てはまるか否かを試験するため、本発明者らは、Rad51ではなくNBS1、53BP、及びBRCA1の動員のためのATMによりセリン139においてリン酸化されたヒストンH2AXであるg−H2AXのIRにより誘導されるフォーカス形成を調査した。図5Gに示されるように、IBR2は、IR処理時にg−H2AXフォーカス形成に効果を及ぼさず、このことから、IBR2が、DNA傷害部位へのg−H2AXの動員には影響を与えることなく、Rad51 HR経路に特異的に干渉することが示唆された。
企図された化合物の化学療法剤との相乗作用
明らかに、IBR2は、細胞周期進行においてもHRにおいてもRad51の機能を阻害する。従って、IBR2の他の化学療法剤との組み合わせは、相乗効果を有する可能性が高い。この可能性を試験するため、8μM IBR2+異なる用量のVP−16、タキソール、カンプトテシン、又はガンマ線照射により処理されたMCF−7乳癌細胞の生存率を測定した。乳癌細胞を死滅させる際の、IBR2の、VP−16(図5H)、タキソール(図5I)、カンプトテシン(Camp)(図5J)、及びガンマ線照射(図5K)との有意な相乗効果が見出された。従って、IBR2の他の従来の治療剤との組み合わせは、様々な癌の治療における臨床的な適用を有する可能性があることが認識されるべきである。
明らかに、IBR2は、細胞周期進行においてもHRにおいてもRad51の機能を阻害する。従って、IBR2の他の化学療法剤との組み合わせは、相乗効果を有する可能性が高い。この可能性を試験するため、8μM IBR2+異なる用量のVP−16、タキソール、カンプトテシン、又はガンマ線照射により処理されたMCF−7乳癌細胞の生存率を測定した。乳癌細胞を死滅させる際の、IBR2の、VP−16(図5H)、タキソール(図5I)、カンプトテシン(Camp)(図5J)、及びガンマ線照射(図5K)との有意な相乗効果が見出された。従って、IBR2の他の従来の治療剤との組み合わせは、様々な癌の治療における臨床的な適用を有する可能性があることが認識されるべきである。
以前の研究は、癌細胞が正常細胞より高いS画分を有することを示した。この相違は、この特性を標的とする多くの伝統的な薬物を開発するのに有用である。多くの癌細胞におけるRad51の強化された発現レベルも観察された。従って、癌細胞と正常細胞との間のRad51機能の有意な違いは、癌治療のためのRad51の可能性のある治療域を提供し得る。一貫して、企図された化合物は、動物研究において、150mg/kgの投薬量まで明白な体重減少なしに、50mg/kgの投薬量で最大65%腫瘍増殖を遅らせることができた。この結果は、企図された化合物が、体細胞組織に対してほとんど効果を及ぼさず、明白な全身毒性なしに、***腫瘍増殖を阻害することを確認するものであると考えられる。しかしながら、IBR自体は、G0/G1期における死滅活性をほとんど有しないため、IBR単独による治療は、癌細胞を排除するのに不十分であり得る。従って、他の化学療法剤との組み合わせが、より良好な結果を達成するために必要であり得る。この点に関して、VP−16、タキソール、及びカンプトテシンのような他の化学療法試薬又は電離放射線照射とのIBR2の同時治療は、相乗効果を生ずることができ、このことから、この化合物が、従来の化学療法又は放射線療法の感作剤として使用され得ることが示唆される。
細胞におけるBRCA2の欠如も、Rad51安定性に対して有意な影響を及ぼし、これらをIBR2処理に対してはるかに感受性にするようである。一貫して、予備結果は、短縮型BRCA2を含有している膵臓癌細胞系CAPAN−1が、IBR2に対する有意な感受性を示したことを示している。従って、IBR2は、癌の極一部であるとはいえ、機能性のBRCA2を欠く(又は、減少したBRCA2発現を有する)癌細胞の治療において特に有用であり得ることが企図される。
実験手順
逆酵母ツーハイブリッドスクリーニング:ケミカルライブラリーを、ナノシン社(Nanosyn,Inc.)(Menlo Park,CA)より購入した。BRC1−4リピートを含有しているTetR/NCBは構成的に発現され;AD/Rad51の発現はGAL1プロモーターの下でガラクトースにより誘導可能であった。酵母を、5−FOAを含有しているガラクトース培地において増殖させた。アッセイは、100μlの全容量で10μMの化合物を用いて96穴プレートにおいて実施された。BRC−Rad51相互作用を破壊することができる化合物が、酵母の生存率により同定された。
逆酵母ツーハイブリッドスクリーニング:ケミカルライブラリーを、ナノシン社(Nanosyn,Inc.)(Menlo Park,CA)より購入した。BRC1−4リピートを含有しているTetR/NCBは構成的に発現され;AD/Rad51の発現はGAL1プロモーターの下でガラクトースにより誘導可能であった。酵母を、5−FOAを含有しているガラクトース培地において増殖させた。アッセイは、100μlの全容量で10μMの化合物を用いて96穴プレートにおいて実施された。BRC−Rad51相互作用を破壊することができる化合物が、酵母の生存率により同定された。
分子モデリング:IBR2構造をシビル(Sybyl)(Tripos co.ltd.)を用いて作成し、電荷をガステイガー−ヒュッケル(Gasteiger−Huckel)法(Gasteiger and Marsili,1980)を使用して追加した。分子ドッキングは、フレキシブルドッキング法によりUCSFドック(Dock)(Ewing and Kuntz,1997)を使用して実施され、結果はキメラ(Chimera)(Huangら.,1996)により観察された。Rad51及びBRC4の座標は、PDB(登録番号:1NOW)からのものであった。Rad51多量体化モチーフ座標は、PDB(登録番号:1PZN)からのものであった。3D構造整列化のためのIBR2座標は、ドッキングしたコンフォメーションのうちの1つからのものであった。
表面プラズモン共鳴結合アッセイ:ビアコア(Biacore)3000(Biacore Inc.)において、HBSD緩衝液(10mM HEPES、150mM NaCl、0.1%DMSO)で25℃でアッセイを実施された。センサーチップNTA又はグルタチオン修飾されたCM5を、それぞれHis−Rad51又はGST−BRC1を捕獲するために使用した。捕獲レベルは、5μl/分の流速で約130共鳴単位であった。逐次結合アッセイの場合には、チップを、化合物(1μM)、次いでタンパク質(50μg/ml)により処理した。保持された共鳴単位(RU)を記録し、トリプリケートの実験から平均化した。競合アッセイ(Vassilevら.,2004)の場合には、IBR2を、使用前に15分間25℃で50μg/ml BRCと共にインキュベートした。IBR2の非存在下での結合に対する相対結合百分率を計算し、2つの独立の実験から平均化した。
ゲル濾過:Rad51(3.2μg)及び低分子化合物の混合物(モル比1:10)を、37℃で15分間インキュベートし、緩衝液(50mMトリエタノールアミン−HCl[pH7.5]、0.5mM Mg(OAc)2、1mMジチオスレイトール、2mM ATP、及び100μg/ml BSA(全容量20μl))を補足し、さらに15分間インキュベートした。次いで、この混合物を、記載されたのと同一の緩衝液(Daviesら.,2001)により平衡化された2.4mlのスーパーデックス(Superdex)200 PC 3.2/30カラム(Pharmacia)に負荷した。画分(50μl)を収集し、各画分0.5μlをPVDF膜上にブロットした。Rad51を、抗Rad51抗体(mAb 14B4)を使用して検出した。
細胞培養、細胞同期化、BrdU標識、及び***指数の決定:乳癌細胞系及びMEF細胞系は、10%胎児ウシ血清を含有している高グルコースダルベッコ修飾イーグル培地において培養した。MCF−10A細胞は、以前に記載されたようにして(Debnathら,2003)、培養した。M期における細胞同期化は、8時間の0.1μg/mlノコダゾールによる処理により達成した。G1/S境界における細胞同期化は、17時間の1mMヒドロキシ尿素による処理、9時間の放出、及び再び14時間の1mMヒドロキシ尿素による処理により達成した。BrdU標識のため、細胞を、30分間BrdUと共にインキュベートされ、BrdU標識キット(Amersham Biosciences)を使用したBrdU免疫染色のため固定した。***指数の決定のため、細胞を、室温で30分間0.1μg/ml DAPI含有PBS中の4%ホルムアルデヒドで固定し、蛍光顕微鏡検により調査された。1試料当たり500から1000個の核を、前中期、中期、後期、及び終期のみを含むM期細胞の数を決定するために計数した。
細胞増殖アッセイ及びクローン原性生存率アッセイ:細胞増殖曲線を入手するため、1×104個の細胞を24時間12穴プレートに播いた。次いで、細胞を、0.4%DMSOの存在下で様々な濃度のIBR2によりデュプリケートで処理した。生存可能細胞を、トリパンブルー排除アッセイにより毎日計数した。MTTアッセイは、以前に記載されたようにして(Alleyら.,1988)、実施した。
クローン原性生存率アッセイを実施するため、1.5×103個のMCF−7細胞を24時間10cmディッシュに播いた。次いで、細胞を、12時間、5μM IBR2によりトリプリケートで処理し、次いでg線照射した。細胞を、5μM IBR2に絶えず曝し、4日毎に新鮮な培地及びIBR2を再供給した。14から16日後、細胞を固定し、2%メチレンブルーにより染色した。50個超の細胞からなるコロニーを計数した。
ウエスタンブロット分析:細胞を、20mM IBR2又は50μg/mlシクロヘキシミド(CHX)又は1μM MG132により処理し、ウエスタンブロット分析のため異なる時点で採集した。溶解(Lysis)250緩衝液に再懸濁させた細胞を、3回の凍結/解凍サイクル(液体窒素/37℃)に供し、次いで、室温で2分間14,000rpmで遠心分離した。タンパク質濃度を測定した後、等量の全細胞タンパク質をSDS−PAGEに供し、イムノブロット分析を、以前に記載されたようにして(Chenら.,1999)、実施した。使用された抗体は、以下の通りであった:Rad51(ウサギ5952);BRCA2(ウサギPC146、癌遺伝子);Rb(mAb 11D7);Rad50(mAb 13B3)、及びp84(mAb 5E10)。バンドの強度は、Labworks 4.5ソフトウェアを使用して、濃度測定により定量化した。バンド強度の相対値は、p84シグナルによる規準化の後、未処理試料のものに対して計算した。
Rad51及びg−H2AXのフォーカスの免疫染色:MCF−7細胞を、7又は19時間、20μM IBR2により処理し、次いで、20Gyでg線照射した。細胞を20μM IBR2と共にさらに5時間インキュベートし、次いで0.5%トリトンX−100含有PBS中の4%パラホルムアルデヒドで固定した。固定された細胞を、a−Rad51抗体(mAb 1F5)又はa−g−H2AX抗体(Upstate)と共にインキュベートした。続いて、Rad51及びg−H2AXのフォーカス陽性細胞を、記載されたようにして(Chenら,1999)、計数した。
フローサイトメトリーによる細胞周期分析:細胞周期分布を分析するため、5’105 MCF−7細胞を24時間10cmディッシュに播き、様々な時間、20mM IBR2により処理した。次いで、細胞をトリプシン処理し、70%エタノール(−20℃)により固定し、30分間、ヨウ化プロピジウム(PI)染色溶液(Yunら.,2005)(PBS中の50μg/ml PI、0.1%クエン酸ナトリウム、50μg/ml RNaseA、0.03%NP−40)により染色した。フローサイトメトリー分析を、ファックスキャリバー(FACScalibur)フローサイトメーターを使用して実施し、細胞周期分布を、セルクエスト(CellQuest)ソフトウェア(Beckton Dickison)により分析した。各試料について10,000イベントを分析し、実験を2回繰り返した。
MCF−7細胞におけるRad51タンパク質の構築物及び過剰発現:Rad51−EGFPを、レトロウイルスベクターpCLpGKEGFPへ1.1kbのRad51断片を挿入することにより作成した。次いで、Rad51−EGFPレトロウイルスを作製し、MCF−7細胞へと感染させた。Rad51−EGFPに安定的に感染した細胞を、24時間20μM IBR2により処理し、次いでBrdUにより標識するか、又はウエスタンブロット分析のために溶解させた。
ヌードマウスにおける腫瘍阻害アッセイ:100μlのPBS中の5×106個のMDA−MB−468細胞を、6から8週齢無胸腺雌BALB/c−ヌードマウス(nu/nu)(Charles River Laboratories)の***脂肪パッドへ導入した。腫瘍が85mm3にまで増殖した後(12日目)、IBR2(10、50、又は150mg/kg)又はビヒクル(15%DMSO、20%トゥイーン20、10%PEG400、55%生理食塩水)の腹腔内注射を5週間隔日受容する4つの群(各群n=5)へとマウスをランダム化した。マウスの体重及び腫瘍容積を、薬物治療の間、週2回、測定した。スチューデントt検定を、P値を決定するために使用した。
こうして、BRCA2−Rad51相互作用の破壊のための組成物及び方法の特定の実施形態及び適用が開示された。しかしながら、本明細書中の本発明の概念から逸脱することなく、既に記載されたものに加えてさらに多くの修飾が可能であることが、当業者には明白であるはずである。従って、本発明の主題は、添付の特許請求の範囲の本旨以外には制限されない。さらに、明細書及び特許請求の範囲の両方の解釈において、全ての用語が、情況と一致する可能な限り広い様式で解釈されるべきである。特に、「を含む(comprises)」及び「を含む(comprising)」という用語は、非排他的にエレメント、成分、又は工程をさし、参照されたエレメント、成分、又は工程が、明示的に参照されていない他のエレメント、成分、又は工程と共に存在するか、又は利用されるか、又は組み合わせられてもよいことを示すことが解釈されるべきである。さらに、参照により本明細書に組み込まれる参照における用語の定義又は使用が、本明細書に提供された用語の定義と一致しないか又は反対である場合には、本明細書に提供されたこの用語の定義が適用され、参照におけるこの用語の定義は適用されない。
Claims (20)
- 医薬的に許容される担体及び式1による化合物を含む医薬的組成物
Zは、−C(R12)=C(R13)−、−CH=N−、−N=CH−、O、S、又はNR14(ここで、R14は、H、アルキル、アリール、アラルキル、又はアシルである)]からなる群より選択される基であり;
Qは、N又はC−R2であり、
Xは、CH2、O、S、又はNR14(ここで、R14は独立して前記定義の通りである)より選択され;
R’及びR1からR13は、独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ハロ、ニトロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルケニルオキシ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、カルボキシアルキル、アミノ、アシルアミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、N−アルキル、N−シクロアルキル、アミノ、チオ、アルキルチオ、及びハロアルキルからなる群より選択され;但し、R12及びR13は、場合により、結合して炭素環式又は複素環式の環を形成していてもよく;及び
nは0から4(両端を含む)であり、及び*はR又はS配置を示す]。 - Zが−C(R12)=C(R13)−であり、及びYが存在しない、請求項2の医薬的組成物。
- 化合物が、細胞が化合物に曝された場合に、放射線及びDNA傷害剤のうちの少なくとも一つに対する腫瘍性細胞の感受性を増加させるのに有効な濃度で組成物中に存在する、請求項1の医薬的組成物。
- 化合物が、BRCA2−RAD51複合体が化合物に曝された場合に、BRCA2のRAD51との結合を減少させるのに有効な濃度で組成物中に存在する、請求項1の医薬的組成物。
- DNA傷害剤をさらに含む、請求項1の医薬的組成物。
- 化合物が、細胞が化合物と接触した場合に、細胞をG1期に停止するのに有効な濃度で組成物中に存在する、請求項1の医薬的組成物。
- 化合物が、植込装置に近位の複数の細胞の細胞増殖を減少させるのに有効な濃度で植込装置にカップリングされる、請求項1の医薬的組成物。
- 腫瘍性細胞を治療する方法であって、式1による化合物、このプロドラッグ又は代謝産物と接触させることを含み、化合物が、腫瘍性細胞が化合物に曝された場合に、放射線及びDNA傷害剤のうちの少なくとも一つに対する腫瘍性細胞の感受性を増加させるのに有効な濃度で存在する、前記方法
Zは、−C(R12)=C(R13)−、−CH=N−、−N=CH−、O、S、又はNR14(ここで、R14は、H、アルキル、アリール、アラルキル、又はアシルである)]からなる群より選択される基であり;
Qは、N又はC−R2であり、
Xは、CH2、O、S、又はNR14(ここで、R14は独立して前記定義の通りである)より選択され;
R’及びR1−R13は、独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ハロ、ニトロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルケニルオキシ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、カルボキシアルキル、アミノ、アシルアミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、N−アルキル、N−シクロアルキル、アミノ、チオ、アルキルチオ、及びハロアルキルからなる群より選択され;但し、R12及びR13は、場合により、化合して炭素環式又は複素環式の環を形成していてもよく;及び
nは0から4(両端を含む)であり、及び*はR又はS配置を示す]。 - 細胞を放射線照射及びDNA傷害剤のうちの少なくとも一つに曝す工程をさらに含む、請求項11の方法。
- 放射線照射がガンマ線照射又はUV−C線照射であり、及びDNA傷害剤がアルキル化剤又は架橋剤である、請求項11の方法。
- 腫瘍性細胞が乳癌細胞又は卵巣癌細胞である、請求項11の方法。
- 濃度が1μMから100μMである、請求項11の方法。
- 非腫瘍性細胞をG期に停止する方法であり、式1による化合物、このプロドラッグ又は代謝産物と接触させることを含み、化合物が、非腫瘍性細胞をG期に停止するのに有効な濃度で存在する、前記方法
[式中、Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルカリル、及び
Zは、−C(R12)=C(R13)−、−CH=N−、−N=CH−、O、S、又はNR14(ここで、R14は、H、アルキル、アリール、アラルキル、又はアシルである)]からなる群より選択される基であり;
Qは、N又はC−R2であり、
Xは、CH2、O、S、又はNR14(ここで、R14は独立して前記定義の通りである)より選択され;
R’及びR1からR13は、独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ハロ、ニトロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルケニルオキシ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、カルボキシアルキル、アミノ、アシルアミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、N−アルキル、N−シクロアルキル、アミノ、チオ、アルキルチオ、及びハロアルキルからなる群より選択され;但し、R12及びR13は、場合により、化合して炭素環式又は複素環式の環を形成していてもよく;及び
nは0から4(両端を含む)であり、及び*はR又はS配置を示す]。 - 接触工程の後に非腫瘍性細胞をDNA傷害条件に曝す工程をさらに含み、及び接触工程が、接触工程がない場合に得られるであろうDNA傷害と比較して、細胞のDNA傷害を減少させる条件の下で実施される、請求項16の方法。
- DNA傷害条件が、放射線照射及びDNA傷害剤への曝露のうちの少なくとも一つである、請求項17の方法。
- DNA傷害剤が、シスプラチン、マイトマイシン、ドキソルビシン、メルファラン、シクロホスファミド、クロラムブシル、及びブレオマイシンからなる群より選択される、請求項18の方法。
- 細胞を接触させる工程が、化合物がカップリングされている植込装置と細胞が接触するよう実施される、請求項16の方法。
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