JP2008500004A - CD44vRAに対する抗体およびその使用方法 - Google Patents

CD44vRAに対する抗体およびその使用方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、関節リウマチ(RA)患者の滑膜細胞に由来するCD44変異体タンパク質に対して特異的な抗体、および前記RA特異的CD44変異体に特異的なモノクローナル抗体(mAb)を放出する新規の細胞ハイブリドーマ、およびそれによって発現されるmAbに関する。前記抗体は特異的なCD44変異体を同定、単離または標的化する方法において有用である。
【選択図】 図3

Description

本発明は、関節リウマチ(RA)患者の滑膜細胞に由来するCD44変異体タンパク質に対して特異的な抗体、ならびに、このタンパク質に関する種々の生物工学的方法および使用に関する。
先行技術の列挙
以下は、本発明の分野における最新技術を記述するために適切であると考えられる先行技術の列挙である。本明細書中におけるこれらの参考文献の表示は、著者名および発行年を括弧内に示すことによってなされる。
Figure 2008500004
CD44と呼ばれる細胞表面接着分子は、細胞と細胞との相互作用および細胞とマトリックスとの相互作用、ならびに、細胞輸送、細胞の経内皮移動に関係していることが示されている。
CD44は、保存されたアミノ末端の細胞外ドメイン、保存されていない膜近位領域、変異体エキソンの様々な組合せを発現する可変領域、保存された膜貫通領域ドメイン、および、保存された細胞質尾部を含む単鎖分子である。CD44のゲノム配列は5’末端における5個の定常エキソンおよび3’末端における5個の定常エキソンを含む。マウスのCD44遺伝子はまた、V〜V10と呼ばれる10個の変異体エキソンを分子の中央部に含み、これにより、合計で20個のエキソンがもたらされる。ヒトのCD44遺伝子は、これら10個の変異体エキソンのうちの9個のみ(V〜V10)を含み、従って、合計で19個のエキソンを含む(Screaton,G.R.他、1992)。V〜V10の差のある選択的スプライシングにより、膜近位ドメインに挿入され、分子の可変領域を構成する変異体エキソン(これらはエキソンVx(x=1〜10)と呼ばれる)の様々な組合せを発現するCD44の多くのイソ型が生じている。これらの分子はCD44変異体(CD44v)と呼ばれる。今日までに、CD44の数十個のイソ型が知られている。
標準のCD44(CD44s、配列番号5)において、第5定常エキソンは直接スプライシングされて第16定常エキソンになり、従って、この分子は完全な可変領域を有さない。生じたタンパク質生成物は主に造血細胞表面で発現し、従って、この生成物はまた、造血CD44(CD44H)または標準CD44生成物(CD44s生成物、配列番号6)として知られている。角化細胞のCD44(これまでに確認された最も長いCD44)では、エキソンV3〜エキソンV10が分子の2つの定常領域の間に縦列で挿入されている。
CD44のN末端には、分子のリガンド結合部位が含まれる。ヒアルロン酸(HA)がCD44の主たるリガンドであるが、他の細胞外マトリックス(ECM)成分(例えば、ラミニン、コラーゲン、フィブロネクチンおよびコンドロイチン硫酸)、ならびに、ECM非構成成分(粘膜血管アドレッシン、セルグリシン、オステオポンチンおよびクラスIIインバリアント鎖)もまた、CD44受容体と相互作用することができる。CD44およびときにはヒアルロン酸の顕著な蓄積が、創傷治癒、組織再構成、炎症(自己炎症を含む)、形態形成および発ガンにおけるような、集中した細胞遊走および細胞増殖の領域において検出される。
自己免疫疾患におけるCD44タンパク質およびその様々な変異体の関与が知られている。例えば、様々な抗CD44モノクローナル抗体(mAb)により、マウスにおける実験的に誘導された自己免疫関節炎の重篤度が改善され得ることが示されている(Verdrengh,M.他、1995)。しかしながら、これらのmAbはCD44の定常領域に対して向けられている(従って、これらは、すべてのCD44イソ型によって共有される抗汎CD44mAbと呼ばれる)。従って、そのようなmAbはまた、微生物の撲滅に関わる免疫細胞および炎症細胞の遊走活性のために要求される、正常な細胞の表面に発現するCD44を阻止することができる。
CD44の様々な変異体領域に対して向けられたモノクローナルAbはまた、自己免疫疾患を処置するための潜在的な薬剤として提案されている。Herrlich他は、ラット膵臓腺ガンのCD44v表面タンパク質の転移特異的な変異体に対して向けられたmAbを記載する(Herrlich他、1991)。T細胞の増殖を阻害する抗CD44モノクローナル抗体もまた、様々な自己免疫疾患を処置するために提供されていた(Aune,T.M.他、1992)。エキソンv6を含有するCD44の様々な形態に対して特異的なモノクローナル抗体もまた、炎症性疾患を診断するために有用であるとして報告されていた(Jalkanen,S.他、1994)。加えて、ある種のCD44タンパク質、ペプチドまたは誘導体が、様々な自己免疫疾患を処置するために使用することができることが報告されている(Hale,L.P.,1992)。
実験的関節炎のマウスモデル(コラーゲン誘導関節炎)において、イソタイプが一致したコントロールmAbの注射ではなく、3つの異なる抗CD44mAbのうちの1つを疾患発症時に注射することにより、足蹠腫脹の増大が防止され、また、そのような注射は、臨床スコアを非常に低いレベルで維持することに役立っていた(Nedvetzki他、1999)。これら3つの異なるタイプの抗CD44mAbのそれぞれがCD44受容体の異なった定常エピトープを認識した。3つの抗体のすべてが、類似する関節炎防止効果を示した。
悪性プロセスにおけるCD44の関与もまた記載されている(Naor,D.、1997)。マウスに注射された抗CD44mAbは、様々なリンパ腫細胞およびガン腫細胞がそれらの標的器官に浸潤することを阻害または防止することが示された。加えて、非転移性のラット膵臓腺ガン細胞への変異体CD44イソ型のトランスフェクションは転移能力をこれらの細胞にもたらした。
(用語集)
下記は、説明および請求項を通して使用され、かつ、下記のように意味することが本発明に従って理解されなければならない用語である。
「関節リウマチ−CD44(CD44−RA)変異体核酸をコードする配列」(これはまた、「CD44vRAコード配列」または「CD44−RA変異体」と交換可能に示される)−これは、配列番号1に示される配列を有する核酸分子を示す。この配列に対する少なくとも90%の同一性を有する核酸配列(下記参照)、および、少なくとも20ヌクレオチドの長さを有する上記分子のフラグメント(下記参照)も同様に、配列番号1を有する変異体と同じ用途の多くについて好適である。これらの分子は、天然で既知のCD44転写物の新規な天然に存在する選択的スプライシング変異体をコードする配列を含む。変異体は、一次mRNA転写物の選択的スプライシングから生じる天然に存在する成熟mRNA配列であり、既知の配列の単なる短縮化された形態、変異した形態またはフラグメント化形態でないことを強調しなければならない。
このCD44vRA配列は、CD44遺伝子の定常部のエキソン1〜5、エキソン15〜17およびエキソン19、ならびに遺伝子の可変領域のエキソン7〜14(v3〜v10)を含む(Screaton他、1992、上掲)。この変異体コード配列の特徴的な特徴は、下記において説明されるように、その配列が、野生型(CD44v3−v10)のコード配列と最適にアラインメントされたとき、3つのさらなる塩基(CAG)をエキソンv5の5末端(特に、配列番号1の908位〜910位)に含むことである。
「CD44vRA生成物」は、「変異体生成物」、「CD44vRAタンパク質」、「変異体タンパク質」、「CD44vRAペプチド」または「変異体ペプチド」としてもまた示されることがあるが、CD44vRAコード配列によってコードされるアミノ酸配列を有するポリペプチドである。「ポリペプチド」によって、ペプチドまたはタンパク質、ならびに、化学修飾されたアミノ酸(下記参照)を有するペプチドまたはタンパク質(例えば、糖ペプチドまたは糖タンパク質)が意図される。CD44vRA生成物の特徴的な特徴は、野生型タンパク質配列(CD44v3−v10)と最適にアラインメントされたときに野生型タンパク質配列(CD44v3−v10)と比較して、配列番号2の303位における新しいAla残基の挿入に関する。後者は本発明による好ましいCD44vRA生成物である。このCD44vRAタンパク質は、RA患者のヒト滑膜細胞から単離されるような天然のグリコシル化形態を含む。
「核酸分子」または「核酸」は、DNAヌクレオチド、RNAヌクレオチドまたは両タイプの組合せから構成される一本鎖ポリマーまたは二本鎖ポリマーを示し、また、天然型ヌクレオチド、化学修飾されたヌクレオチド、および合成ヌクレオチドを含むことができる。
「アミノ酸配列」、20個の天然に出現するアミノ酸、合成アミノ酸、および化学修飾されているアミノ酸(下記参照)のいずれか1つから構成される配列。
「抗体」−これは、IgG、IgM、IgD、IgAおよびIgEの抗体クラスのいずれかの抗体を示す。この定義には、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体が含まれる。この用語は、完全な抗体、または、由来した完全な抗体の抗原結合特性を実質的に保持する、抗変異体生成物抗体の抗原結合ドメインを含む抗体のフラグメント(例えば、scFv、Fab、F(ab’)、Fc部分を有さない他の抗体、単鎖抗体、二重特異的抗体、二重特異性抗体、本質的には抗体の可変部の抗原結合ドメインのみからなる他のフラグメントなど)を示す。
用語「完全な抗体の抗原結合特性を実質的に保持する」は、抗体フラグメント、誘導体または組換え抗体分子がCD44vRA生成物と特異的に結合し、かつ、CD44vRA生成物に対する親和性が、例えば、(下記に記載されるような)スキャッチャード分析によって測定されたとき、(フラグメント、誘導体または組換え抗体分子が由来した)完全な抗体の結合親和性の少なくとも30%であるようでなければならないことを意味することを理解しなければならない。好ましい実施形態において、CD44vRA生成物についての、抗体フラグメント、誘導体または組換え抗体分子の結合親和性は、完全な抗体の結合親和性の少なくとも50%であり、より好ましくは、完全な抗体の結合親和性の少なくとも75%である。
「抗CD44vRA抗体」または「抗CD44−RA変異体抗体」は、CD44vRAタンパク質に特異的に結合する抗体を示す。この抗体には、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体、そして、抗体フラグメント、抗体誘導体および相同体、ならびに組換え抗体分子(すべてがモノクローナル抗CD44vRA抗体またはポリクローナル抗CD44vRA抗体に由来する)が含まれる。抗CD44vRA抗体には特に、本明細書中に記載される特定のハイブリドーマによって産生されるモノクローナル抗体(mAb)(これは「F8:33mAb」および「F8:33−6−8−10mAb」の用語によって本明細書中では示される)、ならびに、CD44vRAタンパク質に特異的に結合する他の抗体(これは抗CD44vRAmAbとして示される)が含まれる。好ましくは、抗CD44vRA抗体は、このさらなるAla残基を含有するエピトープに対して特異的に結合する。
「組換え抗体分子」−これは、標準的な遺伝子工学技術による、典型的には核酸レベル(すなわち、遺伝子、mRNAなど)におけるモノクローナル抗体の操作から生じる抗体分子を示す。組換え抗体分子は、モノクローナル抗体「に由来する」として示される。組換え抗体分子には、例えば、キメラ抗体、ヒト化抗体、霊長類化抗体、単鎖抗体および融合タンパク質が含まれる。組換え抗体分子は、その組換え抗体分子が由来したモノクローナル抗体の抗原結合特性を実質的に保持する。
「抗体フラグメント」−これには、抗CD44vRA抗体の少なくとも6アミノ酸のフラグメント、または、このポリペプチドの誘導体もしくは相同体の少なくとも6アミノ酸のフラグメントが含まれる。フラグメントは、好ましくは、この抗CD44vRA抗体またはこの誘導体もしくは相同体の少なくとも10個のアミノ酸(より好ましくは少なくとも20個のアミノ酸、最も好ましくは少なくとも30個のアミノ酸)を含む。
「モノクローナル抗体(mAb)の誘導体」−これには、元のmAbに由来する(上記で定義されるような)組換え抗体分子、ならびに、化学修飾されている(上記で定義されるような)mAbが含まれ、また、放射性薬剤、蛍光性成分、トキシン、抗生物質などにより標識されたmAbもまた含まれる。
「モノクローナル抗体(mAb)の相同体」−これには、元のmAbの配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有するタンパク質、または、元のmAbを形成する少なくとも6個のアミノ酸のフラグメントに対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有するタンパク質が含まれる。相同体と、元のmAbまたはそのフラグメントとの間でのアミノ酸配列における変化は、元の配列の1つまたは複数のアミノ酸の付加、欠失、置換または化学的修飾から生じる。相同体が置換を含有する場合、その置換は好ましくは保存的置換である。
「保存的置換」−これは、1つのクラスにおけるアミノ酸が同じクラスのアミノ酸によって置換される(されている)ことを示す(この場合、クラスは、アミノ酸側鎖の共通する物理化学的性質、および、例えば、標準的なDayhoff頻度交換行列またはBLOSUM行列によって決定されるような自然界に見出される相同的タンパク質における大きい置換頻度によって定義される)。アミノ酸側鎖の6つの一般的なクラスが類別化されており、これらには、クラスI(Cys);クラスII(Ser、Thr、Pro、Ala、Gly);クラスIII(Asn、Asp、Gln、Glu);クラスIV(His、Arg、Lys);クラスV(Ile、Leu、Val、Met);およびクラスVI(Phe、Tyr、Trp)が含まれる。例えば、Aspを別のクラスIII残基(例えば、Asn、GlnまたはGlu)に置換することは保存的置換である。
「非保存的置換」−これは、あるクラスのアミノ酸が別のクラスからのアミノ酸で置換される(されている)ことを示す(例えば、Ala(クラスII残基)のクラスIII残基(例えば、Asn、Asp、GlnまたはGluなど)による置換)。
「化学修飾された」−これは、本発明の生成物を示すとき、そのアミノ酸残基の少なくとも1つが、天然のプロセス(プロセシングまたは他の翻訳後修飾など)、または、この分野で広く知られている化学的修飾技術のいずれかによって修飾されている生成物(タンパク質、ポリペプチド、抗体)を意味する。数多くの既知の修飾の中で、典型的ではあるが、非限定的な例には、アセチル化、アシル化、アミド化、ADP−リボシル化、グリコシル化、グリコサミノグリカン化、GPIアンカー形成、脂質または脂質誘導体の共有結合による結合、メチル化、ミリスチル化、ペグ化、プレニル化、リン酸化、ユビキチン化、または任意の類似するプロセスが含まれる。
「最適なアラインメント」−これは、最大のパーセント同一性スコアを与えるアラインメントとして定義される。そのようなアラインメントは、様々な市販の配列分析プログラムを使用して、例えば、1のカットアップ、初期値パラメーターおよび初期値PAMを使用する局所的アラインメントプログラムLALIGNなどを使用して行うことができる。
「少なくとも90%の同一性を有する」−これは、2組のアミノ酸配列または核酸配列に関して、配列が最適にアラインメントされているときに2つの配列において同一である残基の百分率を示す。従って、少なくとも90%のアミノ酸配列同一性は、2つ以上の最適にアラインメントされたポリペプチド配列におけるアミノ酸の少なくとも90%が同一であることを意味する。しかしながら、この定義は明らかに、元のmAb配列に関して100%同一である配列を含まない。
「発現ベクター」−これは、DNAフラグメントを取り込み、かつ、細胞内で発現する能力を有するベクターを示す。多くの原核生物発現ベクターおよび真核生物発現ベクターが知られており、かつ/または市販されている。適切な発現ベクターの選択は当業者の知識の範囲内である。
「欠失」−これは、天然に存在する配列と比較したとき、1つまたは複数のヌクレオチドまたはアミノ酸残基がそれぞれ存在しない、ヌクレオチド配列またはアミノ酸配列のいずれかにおける変化である。
「挿入」または「付加」−これは、天然に存在する配列と比較したとき、1つまたは複数のヌクレオチドまたはアミノ酸残基の付加をそれぞれもたらしている、ヌクレオチド配列またはアミノ酸配列におけるそのような変化である。
「置換」−1つまたは複数のヌクレオチドまたはアミノ酸が、天然に存在する配列と比較したとき、異なるヌクレオチドまたはアミノ酸によってそれぞれ置換される(されている)こと。アミノ酸配列に関して、置換は保存的または非保存的であり得る。
「生物学的サンプル」−本発明の方法において使用される生物学的サンプルは、任意の適切な身体由来の体液サンプル(これには、全血、末梢血単球、リンパ球などが含まれる)が可能であり、好ましくは、生物学的サンプルは滑膜細胞または滑液あるいはその細胞抽出物を含む。
「疾患を処置する」−これは、疾患、障害または病理学的状態に関連する症状(特に、関節リウマチ(RA)に関連する症状)を改善するために、重篤度を軽減するか、または疾患を治療するために、あるいは、疾患を発症させないために、あるいは、疾患に関連する症状の発現を、症状が現れる前に防止するために、疾患の進行、または疾患に関連する症状の悪化を低下させるために、寛解期間の開始を高めるために、疾患の進行的慢性期段階で引き起こされる不可逆的損傷を遅くするために、この進行期段階の開始を遅らせるために、生存率またはより迅速な回復を改善するために、あるいは、上記の2つ以上の組合せのために効果的な治療物質を投与することを示す。
処置療法は、処置される疾患のタイプに依存するものであり、医学の分野における当業者(例えば、医師)に既知の様々な検討事項によって決定することができる。
「検出」−これは、本発明のいくつかの態様では、疾患、障害、病理学的状態または正常な状態を検出する方法を示し、具体的には、関節リウマチおよび乾癬性関節炎におけるそれらの検出方法を示す。この用語は、疾患、障害または病理学的状態に対する素因の検出、ならびに、疾患の重篤度を決定することによって患者の予後を明らかにするための検出を示す場合がある。抗体−抗原複合体の検出を、HarlowおよびLane、Antibodies:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory、1988年)に記載される様々な技術(これらに限定されない)を含めて、この分野で広く知られている数多くの技術のいずれかによって行うことができる。
本発明は、ハイブリドーマの開発、および、CD44vRA生成物またはこのCD44vRA生成物のフラグメント(ただし、フラグメントは、CD44vRAコード配列(配列番号1)のエキソンv4からエキソンv5にまでまたがる領域から翻訳されるアミノ酸配列、または、この領域の一部から翻訳されるアミノ酸配列(約30アミノ酸)を含み、かつ、CD44vRA生成物およびCD44v3−v10生成物(配列番号4)が最適にアラインメントされたとき、CD44v3−v10の対応するフラグメントには存在しないAla残基を含む)と特異的に反応する、このハイブリドーマから得られるモノクローナル抗体に基づいている。
本発明はまた、CD44vRA生成物(配列番号2)に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株(本明細書中ではF8:33ハイブリドーマおよびF8:33−6−8−1ハイブリドーマと呼ばれる)を提供する。これらのハイブリドーマは、Collection Nationale De Cultures De Microorganismes(CNCM)(パスツール研究所、パリ、フランス)に2003年4月16日に寄託された:寄託番号CNCM I−3015(ハイブリドーマF8:33について)および同CNCM I−3016(ハイブリドーマF8:33−6−8−10について)。
本発明はさらに、F8:33ハイブリドーマまたはF8:33−6−8−10ハイブリドーマのいずれかによって産生されるモノクローナル抗体(mAb)を提供する。
本発明のmAbの抗原結合特異性を実質的に保持する、上記mAbのフラグメント、誘導体または相同体もまた本発明の一部を形成する。
加えて、本発明は、上記で定義されるような本発明の抗体を含む医薬組成物を提供する。
別の態様によって、本発明は、この抗体を製造する方法を提供する。この場合、この方法は、(i)モノクローナル抗体を産生するF8:33ハイブリドーマまたはF8:33−6−8−10ハイブリドーマの細胞を提供すること、および(ii)この抗体の産生を可能にする条件のもとでこの細胞を培養することを含む。
さらに別の態様によって、本発明は、F8:33ハイブリドーマまたはF8:33−6−8−10ハイブリドーマによって産生される抗体を単離する方法を提供する。この方法は、上記に記載されるように抗体を産生させること、および、産生された抗体を単離することを含む。
さらに、本発明は、この抗体によって認識されるポリペプチドを生物学的サンプルから精製する方法を提供する。この場合、この方法は、
(i)固体担体に結合したこの抗体を含むアフィニティーマトリックスを提供すること;
(ii)この生物学的サンプルをアフィニティーマトリックスと接触させて、抗体−ポリペプチド複合体および結合していない生物学的サンプルを生じさせること;
(iii)結合していない生物学的サンプルを除くこと;および
(iv)アフィニティーマトリックスに結合した抗体からポリペプチドを放出させること
を含む。
さらに、さらなる態様によって、本発明は、本発明の抗体によって認識されるエピトープを有する抗原を発現する細胞を伴う疾患、障害または病理学的状態を有する可能性が高い被検査個体を同定するための方法を提供する。この場合、この方法は、
(i)生物学的サンプルをこの被検査個体から得ること;
(ii)生物学的サンプルを、検出可能な抗体−抗原複合体の形成を可能にする条件のもとでこの抗体と接触させること;および
(iii)この抗体−抗原複合体を検出すること
を含み、この抗体−抗原複合体の存在により、被検査個体がこの疾患または障害を有する可能性が高いことが示される。
本発明による代わりの同定方法において、検出工程(iii)は、この抗体−抗原複合体を検出すること、および、この複合体のレベルを、健康な個体から得られたサンプルにおいて検出された抗体−抗原複合体のレベルと比較することを含み、このレベルのずれにより、被検査個体がこの疾患または障害を有する可能性が高いことが示される。
最後の態様において、本発明は、治療効果を個体において達成するための方法を提供する。この方法は、治療効果的な量の本発明の抗体をこの個体に投与すること、および、治療効果をこの個体において得ることを含み、この場合、治療効果は、この抗体によって認識されるエピトープを含む抗原の発現に関連する症状を防止または改善することである。
図面の簡単な記述
本発明を理解するために、また、本発明が実際にどのように行われ得るかを理解するために、いくつかの非限定的な実施例が次に、添付された図面を参照して記載される。
図1はCD44のゲノム構造(図1A)、CD44の定常コード領域を表すプライマーのアガロースゲル電気泳動(図1B)、そして、RA−CD44およびCD44v3−v10の部分核酸配列(エキソン4およびエキソン5)、ならびに対応するアミノ酸配列(配列番号:15〜30)(この場合、配列は最適にアラインメントされている)(図1C)を示す。
図2は抗汎CD44または抗CD44v6とインキュベーションされた(示されるような)種々のNamalwa細胞トランスフェクタントの蛍光活性化細胞分取(FACS)分析のヒストグラムを示す(図2A);4μg/ml(図2B)、2μg/ml(図2C)、0.4μg/ml(図2D)および0.2μg/ml(図2E)で種々のNamalwaトランスフェクタントに結合する、F8:33によって産生されたmAbの能力もまた評価された。この場合、フルオレセインにカップリングされた二次抗体(IIAb)の結合がコントロールとして使用された。図2A〜図2Eは、CD44FITCの平均蛍光強度に対する細胞カウント数を示す。
図3は可溶性のCD44vRA、CD44v3−v10、CD44s(それぞれCD44vRA−Fc(四角)、CD44v3−v10−Fc(菱形)、CD44s−Fc(三角))により被覆されたマイクロウエルに対する、F8:33由来の抗CD44vRAmAbの結合のELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)分析の結果を示す(図3A〜図3C)。一方、BSAによるマイクロウエル(丸)がコントロールとして使用された(図3A)。F8:33由来の抗CD44mAbの結合を抗汎CD44mAbの結合と比較した(図3B);図3Cは種々のCD44生成物のウエスタンブロット分析を示す(CD44s(レーンI)、CD44v3−v10(レーンII)およびCD44vRA(レーンIII)。
図4はRA患者の関節から得られた滑膜細胞(図4A)、ならびに、ドナーMおよびドナーLと呼ばれる2名の個体から提供された初代ヒト角化細胞(それぞれ、図4Bおよび図4C)に対する、市販の抗汎CD44mAbおよび抗変異体mAb(抗CD44v6mAbまたは抗CD44v9mAb)の結合のFACS分析、ならびに、同じ2名の個体から得られた初代角化細胞、ならびに、滑膜細胞に対する、F8:33由来の抗CD44vRAの、2つの濃度(4μg/ml(図4D)および2μg/ml(図4E))における選択的結合のフローサイトメトリー分析を示す。図4A〜図4Eは、CD44FITCの平均蛍光強度に対する細胞カウント数を示す。
図5はF8:33抗CD44vRAmAbの存在下もしくは非存在下(図5A)、または、抗汎CD44mAbの存在下もしくは非存在下で行われた細胞遊走アッセイのグラフを示し、それに従って、Namalwaトランスフェクタント(Namalwa−pcDNA3.1(菱形)、Namalwa−CD44s(四角)、Namalwa−CD44v3−v10(三角)およびNamalwa−CD44vRA(丸))が、トランスウエル遊走アッセイにおいてHA被覆フィルターを横断するそれらの能力について、F8:33抗CD44vRAmAbの存在下もしくは非存在下(図5A)、または抗汎CD44mAbの存在下もしくは非存在下(図5B)で分析され、細胞遊走百分率が、抗体の存在下でメンブランを横断した細胞数を、その非存在下でメンブランを横断した細胞数により除算し、100を乗じることによって計算された。
図6はRA患者の関節から得られた滑膜細胞(三角)、または初代角化細胞(四角)を使用して、F8:33由来の抗CD44vRAmAbの存在下もしくは非存在下(図6A)、または抗汎CD44mAbの存在下もしくは非存在下(図6B)で行われ、トランスウエル遊走アッセイにおいてHA被覆フィルターを横断するそれらの能力が評価される細胞遊走アッセイのグラフを示す。(細胞遊走百分率が図5Bにおけるように計算された)。
図7はNamalwa−pcDNA3.1細胞、Namalwa−CD44s細胞、Namalwa−CD44v3−v10細胞、またはNamalwa−CD44vRA細胞に対する、F8:33−6−8−10由来の抗CD44vRAmAbの結合のFACS分析を示す(CD44FITCの平均蛍光強度に対する細胞カウント数)(図7A〜図7E)。抗体は下記の濃度で存在した:1.2mg/ml(図7A)、120μg/ml(図7B)、12μg/ml(図7C)、1.2μg/ml(図7D)、および120ng/ml(図7E)。
図8はマウスにおけるコラーゲン誘導関節炎(CIA)に対するF8:33(四角)の影響を示す。関節炎の発達を、足の腫脹を測定することによって10日間モニターした。値は平均±SEMである。抗汎hCD44をコントロール(三角)として使用した。
図9はマウスにおけるCIAに対するKM81(抗汎マウスCD44、四角)および4D2(イソタイプが一致するコントロール抗体、三角)の影響を示す。値は平均±SEMである。
本発明に従って、今回、モノクローナル抗体(mAb)を産生する2つのハイブリドーマ細胞株が単離されている。これらのmAbは、関節リウマチ(RA)を有する個体の滑膜細胞に存在するが、非RA個体の滑膜細胞には存在しないCD44vRA生成物(CD44vRA)に特異的に結合することが見出された。これらのmAbは、CD44の元の野生型タンパク質配列(CD44v3−v10)または他のイソ型に優先してCD44vRA生成物に対して特異的であるので、これらのモノクローナル抗体は、とりわけ、CD44vRA生成物の同定、単離または標的化を必要とする様々な方法において有用である。
従って、本発明は、その態様の第1によれば、ハイブリドーマ、および、CD44vRA生成物またはこのCD44vRA生成物のフラグメント(ただし、フラグメントは、CD44vRAコード配列のエキソンv4からエキソンv5にまでまたがる領域から翻訳されるアミノ酸配列、または、この領域の一部から翻訳されるアミノ酸配列を含み、かつ、CD44vRAおよびCD44v3−v10が最適にアラインメントされているとき、野生型変異体CD44v3−v10の対応するフラグメントに存在しないAla残基を少なくとも含む)に対する特異性を伴って反応する、このハイブリドーマによって発現されるモノクローナル抗体に関する。このAla残基は、配列番号2にその配列が示される変異体生成物CD44vRAの303位におけるAla残基に対応する。
本発明はまた、寄託アクセション番号CNCM I−3015(ハイブリドーマF8:33について)および同CNCM I−3016(ハイブリドーマF8:33−6−8−10について)を有するマウスハイブリドーマ細胞株(これらは本明細書中ではF8:33ハイブリドーマ細胞株およびF8:33−6−8−10ハイブリドーマ細胞株と呼ばれる)(これらはCollection Nationale De Cultures De Microorganismes(CNCM)(パスツール研究所、パリ、フランス)に2003年4月16日に寄託された)、ならびに、この細胞株、クローンおよびサブクローンによって産生されるmAbに関する。本発明のハイブリドーマは、この分野で知られている方法のいずれか[例えば、Kohler,G.およびMilstein,C.によって、Nature、256:495〜497(1975)に記載されるような方法]によって作製することができる。ハイブリドーマ細胞の上清が、典型的には、この分野で既知の方法のいずれか1つによって、例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)または放射免疫アッセイ(RIA)などによって抗体結合活性についてスクリーニングされる。上清は、CD44vRA生成物のいずれか(そのフラグメント、誘導体または相同体を含む)に結合することができるmAbの産生について、または、この生成物を発現する細胞に結合することができるmAbの産生についてスクリーニングすることができる。
モノクローナル抗体は、典型的には、モノクローナル抗体を産生させるために好適な条件のもとでハイブリドーマ細胞を培養し、広く知られている技術によってmAbを細胞培養物から単離することによって製造される。そのような条件および技術はこの分野では広く知られており、Mammalian cell biotechnology:a practical approach(Butler,M.編、IRL Press)に記載される。本発明の抗CD44vRA抗体はまた、当業者に広く知られている組換え遺伝子方法によって、例えば、DNA Cloning 4:a practical approach(第3章)(Glover,D.およびHames,B.編、IRL Press)、および、Bebbington他[Bio/Technology、10:169(1992)]に記載されるような方法によって製造することができる。
本明細書中こので示されたように、組換え抗体分子には、例えば、キメラ抗体[Morrison,S.L.、Science、229:1202(1985)によって記載されるようなキメラ抗体]、ヒト化抗体[例えば、Shin S.U.およびMorrison S.L.、Methods Enzymol.、178:459〜476(1989);Gussow D.およびSeemann G.、Methods Enzymol.、203:99〜121(1991)によって記載されるようなヒト化抗体]、二重特異性抗体[例えば、Weiner L.M.他、J.Immunol.、151:2877〜2886(1993);Goodwin D.A.、Int.J.Rad.Appl.Instrum.、16:645〜651(1989)によって記載されるような二重特異性抗体]、単鎖抗体(scFv、例えば、Gritzapis A.D.他、Br.J.Cancer、88:1292〜1300(2003)によって記載されるような単鎖抗体)、完全な免疫グロブリンまたはフラグメント状の免疫グロブリン[例えば、Coloma M.J.他、J.Immunol.Methods、152:89〜104(1992);Nesbit M.他、J.Immunol.Methods、151:201〜208(1992);Barbas C.F.他、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89:10164〜10168(1992)によって記載されるような免疫グロブリン]、または、鎖シャッフリングによって作製される抗体[例えば、Winter G.他、Annu.Rev.Immunol.、12:433〜455(1994)によって記載されるような抗体]が含まれる。ヒト化抗体を、例えば、CDRグラフト化(例えば、欧州特許出願公開第0239400号に記載されるようなCDRグラフト化)によって製造することができる。フレームワーク領域もまた、(例えば、欧州特許出願第0519596号に記載されるように)改変することができる。抗体をヒト化するために、PCR(例えば、欧州特許出願第0368684号、同第0438310号、または国際特許出願公開WO92/07075に記載されるようなPCR)、またはコンピューターモデル化(例えば、国際特許出願公開WO92/22653に記載されるようなコンピューターモデル化)などの方法を使用することができる。融合タンパク質、例えば、単鎖抗体/トキシンの融合タンパク質[例えば、Chaudhary V.K.他、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、87:9491〜9404(1990);Friedman P.N.他、Cancer Res.、53:334〜339(1993)によって記載されるような融合タンパク質]もまた製造することができ、従って、これもまた本発明の一部を形成する。
本発明のハイブリドーマ細胞株は、モノクローナル抗体をコードする核酸を含み、従って、そのような核酸もまた本発明の範囲内である。抗CD44vRA抗体をコードする核酸を、この分野で広く知られている技術によってハイブリドーマ細胞株から単離することができ、そのような技術には、Antibody engineering:a practical approach(McCafferty他編、IRL Press)に記載される様々な技術が含まれる。そのような核酸は、抗CD44vRA抗体を発現するさらなる細胞株または遺伝子組換え動物を調製するために有用であり、あるいは、組換え抗体分子の調製において使用することができる。
本発明の抗CD44vRA Abには、それらがどのように産生されるとしても、本発明のハイブリドーマ細胞株によって発現されるモノクローナル抗体が含まれる:それらはハイブリドーマ細胞において実際に産生されるか、または、この分野では広く知られているような他の技術によって産生され、例えば、ハイブリドーマ細胞からの適切な遺伝物質の移入によって他の細胞タイプにおいて産生される(例えば、Monoclonal antibodies:the second generation、Zola,H.編、BIOS Scientific、第4章〜第9章を参照のこと)。従って、上記で定義されるようなモノクローナル抗体、すなわち、F8:33またはF8:33−6−8−10に由来するmAbと同様に、CD44vRAまたはこのCD44vRAのフラグメント(ただし、CD44vRAフラグメントは、CD44vRAコード配列のエキソンv4〜エキソンv5に接する領域から翻訳されるアミノ酸配列、または、この領域の一部から翻訳されるアミノ酸配列を含み、かつ、CD44vRAおよびCD44v3−v10が最適にアラインメントされているとき、CD44v3−v10の対応するフラグメントには存在しないAla残基(これは配列番号2における303位でのAla残基に対応する)を含む)に対する特異性を伴って反応するモノクローナル抗体もまた提供される。
CD44vRAのmRNA転写物は、[Screaton他(1992)(同上)によって記載されるように]、定常エキソン1〜5、定常エキソン15〜17および定常エキソン19と、変異体エキソン7〜14(v3〜v10)、そしてまた、配列番号1の908位〜910位における3つのさらなるヌクレオチド(これらは配列番号2の303位における新しいAla残基の挿入をもたらしている)を含有する。さらなるCAGがRA患者の滑膜細胞のCD44転写物において生じていることが図1Cに示される。CAGがCD44のmRNAに含まれることは、翻訳された細胞表面CD44糖タンパク質へのAla残基の挿入を可能にする。この変化は、RA患者の滑膜細胞表面に発現するCD44vRAを認識するF8:33mAbまたはF8:33−6−8−10mAbの産生を可能にするために十分である。
CD44vRAの、イントロンCAGに隣接するエキソンv5の非正統的な転写は、おそらくは、この分子におけるスプライシング装置の誤調節の結果である。未知の遺伝的因子または環境的要因または両者の組合せにより、相対的な存在量、組織分布、または、セリン−アルギニン(SR)の活性、もしくは、示差的なスプライシングを拮抗的に制御するヘテロ核リボ核タンパク質(hnRNP)スプライシング因子の活性が変化し得る[Caceres,J.R.およびKornbliht,A.R.、Trends Genet.、18:186〜193(2002)]。CAG含有スプライス接合部はそのような変化を特に受けやすく、これにより、RA患者のCD44のmRNA配列におけるCAG含有が生じることがある。類似する機構により、CD44スプライシング装置が他の自己免疫疾患において影響を受けることがある。これに関連して、非コード領域に存在する変異(例えば、5’スプライス部位および3’スプライス部位、分岐部位またはポリアデニル化シグナルに影響を及ぼす変異など)は高頻度(約15%)で遺伝的疾患の原因であることを述べておかなければならない[Krawczak,M.、Reiss,J.およびCooper,D.N.、Hum.Genet.、90:41〜54(1992)]。
CD44vRA生成物が、健康な個体に由来する滑膜細胞から得られたCD44には現れない特有のさらなる領域を含有するという事実を考慮して、CD44vRA生成物に対して特異的に向けられた抗体は、従って、CD44分子を発現する細胞が関与する様々な疾患の診断、予後、防止および治療のために使用することができる。
CD44vRA生成物「に対して特異的に向けられた」、または、CD44vRA生成物に「特異的に結合する」によって、抗体が、他の既知のCD44タンパク質よりも優先的にCD44vRA生成物を認識し、CD44vRA生成物に結合することが意味される。特に、抗CD44vRA抗体は、CD44v3−v10と呼ばれる元の野生型タンパク質配列よりも優先的にCD44vRA生成物を認識し、CD44vRA生成物に結合する。一般に、抗CD44vRA抗体の親和性は、CD44vRAに対する結合について、元の野生型タンパク質配列または他のCD44イソ型に対する結合の場合よりも少なくとも2倍大きい。好ましい実施形態において、抗CD44vRA抗体の結合親和性は、CD44vRAに対する結合について、元の野生型CD44v3−v10タンパク質配列または他のCD44イソ型に対する結合の場合よりも少なくとも10倍大きい。結合親和性は、細胞表面に存在する抗原に対するスキャッチャード分析(これは、この分野で広く知られている方法である)(例えば、Hulmes,E.C.、Receptor−ligand Interactions:a practical approach[第4章、RickwoodおよびHames編、IRL Press]を参照のこと)によって決定することができる。
特異的な結合はまた、細胞遊走に対する抗体の影響、治療効果、細胞凝集を誘導する能力、免疫蛍光研究および結合競合アッセイなどの生物学的アッセイから推測することができる。そのようなアッセイにおいて、抗体は、この抗体を実験設定において使用する結果がコントロール設定の結果と統計学的に有意な様式で異なるならば、CD44vRA特異的であるとして定義される。
CD44vRA生成物における303位での1つだけのAlaアミノ酸の付加は、CD44vRA生成物における抗原的に異なるエピトープの形成をもたらしていた。従って、本発明はまた、定義されたような抗体の相同体、フラグメントおよび誘導体(例えば、化学修飾された誘導体、放射能標識された誘導体、トキシンまたは抗生物質分子にカップリングされた誘導体など)にも関する(ただし、これらはすべて、(そのようなさらなるAlaを含む)抗原的に異なるエピトープを認識し、従って、モノクローナル抗体の抗原結合特異性を実質的に保持する)。
また、F8:33およびF8:33−6−8−10のハイブリドーマ細胞株、同様に、抗CD44vRAmAbを産生するさらなるハイブリドーマ、ならびに、それらのクローンおよびサブクローンによって産生されるモノクローナル抗体に由来し、かつ、モノクローナル抗体の抗原結合特性を実質的に保持する組換え抗体分子は明らかに本発明に含まれる。本発明の抗体の相同体、フラグメントおよび誘導体を調製すること、あるいは、抗体の配列分析から出発して、かつ/または、本発明の抗体を産生するハイブリドーマ細胞株の使用によって、同じイディオタイプを有する組換え抗体分子(すなわち、F8:33およびF8:33−6−8−10のハイブリドーマ細胞株、または、CD44vRAを認識するmAbを産生する他のハイブリドーマ、ならびにそれらのクローンおよびサブクローンから得られる抗体と同じアミノ酸配列を抗原結合部位の領域(相補性決定領域、CDR)において有する抗体分子)を調製することは当業者の技術の範囲内である。
本発明の範囲に含まれる抗体のフラグメントは、例えば、完全な抗体の抗原結合特性を実質的に保持する、モノクローナル抗体分子のFabフラグメント、F(ab’)フラグメント、FvフラグメントもしくはscFvフラグメント、または任意の他のフラグメントであり得る。フラグメントは、完全な抗体の化学的切断または酵素切断によって、あるいは、この分野で広く知られている方法のいずれかによって製造することができる。フラグメントはまた、この分野で広く知られている組換え法によって、例えば、抗体遺伝子の一部(重鎖または軽鎖または両方)を異種の宿主において発現させることによって製造することができる。
上記で示されたように、本発明の抗CD44vRA抗体は、元の野生型タンパク質配列(CD44v3−v10)には存在しない、CD44vRA生成物のエピトープを認識する。本発明の抗CD44vRA抗体は好ましくは、配列番号2の303位にAlaを含むエピトープを認識する。あるいは、または加えて、本発明の抗CD44vRA抗体は、303位におけるAla残基の挿入の結果としてのCD44タンパク質の全体的な三次構造における変化によって生じるネオエピトープを認識する。そのようなネオエピトープは、立体配座的エピトープ、非線状エピトープ、炭水化物エピトープ、または、示差的なグリコシル化によって露出するエピトープであり得る。エピトープは、v5エキソンの開始部にペプチド配列の変異体領域を含むことができ、または、エピトープは、変異体ポリペプチドのAla残基の挿入によってその三次構造が変化している分子の異なる部分に存在し得る。
様々な宿主を、ハイブリドーマ技術によって抗体を産生させるために使用することができ、これらには、ラット、マウスなどが含まれる。動物は、宿主にCD44vRA生成物(このフラグメント、誘導体または相同体を含む)を注射することによって免疫化することができる。様々なアジュバントを、抗体に対する免疫学的応答を増大させるために使用することができる(例えば、フロイントのアジュバント、鉱物ゲル、水酸化アルミウムなど)。動物宿主はまた、本明細書中に記載されるように、CD44vRA生成物(そのフラグメント、誘導体または相同体を含む)をコードする遺伝物質を運ぶベクターによりトランスフェクションされている細胞(例えば、ヒトNamalwa細胞)を用いて免疫化することができる。
上記のハイブリドーマ技術に加えて、このようなハイブリドーマのクローンおよびサブクローン、ならびに、さらなる技術によって得られる、抗体を産生する連続した細胞株もまた使用することができる:例えば、EBVハイブリドーマ技術[Cole他、Mol.Cell Biol.、62:109(1984)]など。
治療的態様によれば、本発明は、医薬的に許容され得るキャリアと、有効成分として、所定量の本発明のモノクローナル抗CD44vRA抗体(その相同体、フラグメントまたは誘導体、および、本発明のモノクローナル抗CD44vRA抗体に由来する組換え抗体分子を含む;これらはすべて、元のモノクローナル抗体の抗原結合特異性を実質的に保持する)とを含む医薬組成物を提供する。この場合、この量は、下記においてさらに議論されるように、治療効果(例えば、そのような処置を必要としている対象の免疫系に対する治療効果)を達成するために効果的なものである。
本発明のmAbは、患者個々の臨床的状態、投与部位および投与方法、投与スケジュール、患者の年齢、性別、体重、および、医師に既知の他の要因を考慮に入れて、適正な医療行為に従って投与および投薬される。
本発明における様々な目的のための「量」は、この分野で既知のような検討事項によって決定される。そのような量は、上記で記載されたような所望する治療効果(例えば、CD44vRA生成物の中和、または、例えば、抗体の中和作用によって、その標的へのその結合を阻止することなど)を達成するために効果的でなければならない。そのような量は、とりわけ、処置される疾患のタイプおよび重篤度、ならびに処置療法に依存する。そのような量は典型的には、適切に設計された臨床試験(用量範囲研究)において決定され、当業者は、効果的な量を決定するためにそのような試験を適性に行う方法を理解している。一般に知られているように、効果的な量は、細胞表面のCD44vRA糖タンパク質に対する抗体の親和性、その体内分布プロフィル、様々な薬理学的パラメーター(例えば、体内半減期など)、存在する場合には望ましくない副作用、処置されている個体の年齢および性別などの要因などを含む様々な要因に依存する。
用語「医薬的に許容され得るキャリア」によって、本発明のmAbと反応しない任意の不活性な非毒性物質が意味される。従って、キャリアは、従来的に使用されているキャリアのいずれもが可能であり、化学物理的な検討事項(例えば、溶解性、および、化合物との反応性がないことなど)によって、また、投与経路によって制限されるだけである。
キャリアはまた、特定の形態で与えられるときに、例えば、注射に好適な形態で、ピル形態で、単純なシロップとして、芳香性粉末などとして与えられるときに一定の形態または粘稠度を医薬組成物に与えるために医薬組成物に添加される物質を示すことがある。キャリアはまた、組成物に安定性を提供するための物質(例えば、保存剤)、または、配合物に食用風味を提供するための物質であり得る。
キャリアの選択は、部分的には、特定のmAbによって、ならびに、組成物を投与するために使用される特定の方法によって決定される。従って、本発明の医薬組成物の広範囲の様々な好適な配合物が存在する。好ましい配合物は、非経口投与(例えば、全身的または局所的のいずれかであっても、皮下投与、静脈内投与、腹腔内投与または筋肉内投与)のために好適な配合物である。注射用組成物のための効果的な医薬用キャリアのための要件は当業者には十分に知られている。例えば、Pharmaceutics and Pharmacy Practice(J.B.Lippincott Co.、Philadelphia、Pa、BankerおよびChalmers編、238頁〜250頁(1982))、および、ASHP Handbook on Injectable Drugs(Toissel、第4版、662頁〜630頁(1986))を参照のこと。本発明の医薬組成物はまた静脈内注入によって投与することができる。
一例として、非経口投与(例えば、点滴静注または静脈内注入による静脈内投与)のために好適な医薬組成物の調製物について、投薬量は体重1kgあたり1mg〜10mgの範囲にある(低濃度ほど好ましい)。しかしながら、本発明の方法における処置のための医薬組成物はこれらの投薬量に限定されず、他の適切な投薬量も十分に、選択する当業者の能力の範囲内である。
本発明の組成物の注射可能な配合物のために好適なキャリアには、植物油、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、乳酸エチル、炭酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、液状ポリエチレングリコールなど)が含まれ得るが、これらに限定されない。静脈内注射の場合、治療薬剤の水溶性形態を点滴法によって投与することができ、それによって、抗体および医薬的に許容され得るキャリアを含有する医薬配合物が注入される。具体的な医薬的に許容され得るキャリアには、例えば、5%デキストロース、0.9%生理的食塩水、リンゲル溶液または他の好適な賦形剤が含まれ得る。筋肉内投与用調製物(例えば、抗体の好適な可溶性塩形態の無菌配合物)を、注射用水、0.9%生理的食塩水または5%グルコース溶液などの医薬用賦形剤に溶解し、投与することができる。抗体の好適な不溶性形態を、水性基剤または医薬的に許容され得るオイル基剤(例えば、長鎖脂肪酸のエステル(例えば、オレイン酸エチル)など)における懸濁物として調製し、投与することができる。理解しなければならないように、医薬組成物は、少なくとも1つのタイプの医療用のキャリアまたは希釈剤と一緒になった医療用の配合物キットの形態にすることができる。抗体は、放射性薬剤、酵素薬剤、抗生物性薬剤またはトキシン薬剤にコンジュゲート化することができる。
本発明の医薬組成物は、治療的に有益な効果が、CD44vRAタンパク質を中和することによって、または、その標的に対するその結合を、例えば、抗体の作用を中和することにより阻止することによって達成され得る疾患、障害または病理学的状態の防止または処置のために好適である。そのような疾患、障害または病理学的状態は、例えば、CD44vRAを含む細胞、またはCD44vRAタンパク質を発現する細胞が関与する炎症性疾患、または感染性疾患の炎症性合併症、自己免疫疾患、悪性疾患、または任意の他の疾患もしくは障害であり得る。自己免疫疾患には、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、インスリン依存性糖尿病、多発性硬化症および炎症性腸疾患(クローン病および潰瘍性大腸炎を含む)が含まれる。加えて、そのような医薬組成物は、特有のAla含有エピトープを含むCD44タンパク質の他の形態を発現する細胞を伴う疾患の処置のために使用することができる。
好ましい実施形態によれば、この抗CD44vRA抗体を含む医薬組成物は、自己免疫疾患を処置するために使用される。
本発明の予備的態様によれば、上記で定義されるような抗体を作製する方法が提供される。この場合、この方法は、
(i)F8:33ハイブリドーマもしくはF8:33−6−8−10ハイブリドーマの細胞、または、抗Cd44vRAmAbを産生する他のハイブリドーマの細胞、または、それらのクローンもしくはサブクローンの細胞を提供すること;
(ii)この細胞を、抗体の産生を可能にする条件のもとで培養すること
を含む。
本発明の具体的な実施形態では、ハイブリドーマ細胞を、10%のウシ胎児血清(カタログ番号CH30160.03、Perbio、ベルギー)および1%のpen−strep抗生物質(カタログ番号03−031−1B、Bet−Haemek ltd.、イスラエル)を含むRPMI−1640培地(カタログ番号R−8758、Sigma ltd.、イスラエル)において成長させた。70%〜80%の培養コンフルエンスの成長の後、細胞を、1週間、低タンパク質培地(LPM、カタログ番号05−040−1A、Bet−Haemek ltd.、イスラエル)に移した。
本発明の予備的方法はまた、それによって産生された抗体を単離する工程を含むことができる。本発明の具体的な実施形態によれば、抗体の調製が、HiTrap(商標)プロテインG HPカラム(カタログ番号17−0405−01、Amersham Biosciences AB、スウェーデン)を製造説明書に従って使用して行われた。
さらに、この態様では、本発明の抗体によって認識されるエピトープを含有するポリペプチドまたはタンパク質を生物学的サンプルから精製する方法が提供される。この場合、この方法は、
(i)固体担体に結合したこの抗体を含むアフィニティーマトリックスを提供すること;
(ii)この生物学的サンプルをアフィニティーマトリックスと接触させて、抗体−ポリペプチド複合体および結合していない生物学的サンプルを生じさせること;
(iii)結合していない生物学的サンプルを除くこと;および
(iv)アフィニティーマトリックスに結合した抗体からポリペプチドを放出させること
を含む。
ポリペプチドは好ましくはCD44vRA生成物である。
複合体は、非常に多数の標準的な技術によって、例えば、複合体をサンプルから物理的に除くことによって、または、複合体を洗浄することによって、サンプルの残り部分から分離することができる。結合したCD44vRA生成物を、その後、複合体から放出させて、実質的に精製されているCD44vRA生成物を得ることができる。この方法のために好適な固体担体がこの分野では広く知られている(例えば、アガロース、ポリアクリルアミドまたはポリアクリル酸のビーズ(磁性ビーズおよびプロテインA結合ビーズを含む))。
本発明の診断態様によれば、RA−CD44変異体タンパク質を発現する細胞を伴う疾患、障害または病理学的状態を有する可能性が高い個体を同定するための方法もまた考えられる。
ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体のいずれかを使用する、CD44vRA生成物をアッセイするために有用な様々なプロトコルがこの分野では既知である。例には、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、放射免疫アッセイ(RIA)および蛍光活性化細胞分取(FACS)が含まれる。直接的または競合的な結合アッセイもまた使用することができる。これらの診断アッセイでは、抗CD44vRA抗体および標識が、ヒト体液中のCD44vRA生成物、あるいは細胞または組織の抽出物におけるCD44vRA生成物を検出するために利用される。本発明の抗体は、修飾を伴って、または修飾されることなく使用することができる。多くの場合、抗体は、抗体を共有結合または非共有結合のいずれかによってレポーター分子と連結することによって標識される。そのようなレポーター分子は、例えば、放射性薬剤、蛍光性薬剤(例えば、FITC)、酵素などであり得る。
本発明による診断方法は、
(i)生物学的サンプルを被検査個体から得ること;
(ii)この生物学的サンプルを、検出可能な抗体−抗原複合体の形成を可能にする条件のもとで、本明細書中で定義されるような抗体と接触させること;および
(iii)この抗体−抗原複合体を検出すること
を含み、この抗体−抗原複合体の存在により、CD44vRAタンパク質を発現する細胞を伴う疾患または障害を被検査個体が有する可能性が高いことが示される。
あるいは、本発明による診断方法は、
(i)生物学的サンプルを被検査個体から得ること;
(ii)この生物学的サンプルを、検出可能な抗体−抗原複合体の形成を可能にする条件のもとで、本明細書中で定義されるような抗体と接触させること;および
(iii)この抗体−抗原複合体を検出し、この複合体のレベルを、健康な個体から得られたサンプルにおいて検出される抗体−抗原複合体のレベルと比較すること
を含むことができ、この場合、このレベルからのずれにより、被検査個体がこの疾患または障害を有する可能性が高いことが示される。
1つの特定の実施形態において、本発明のモノクローナル抗体、そのフラグメントおよび誘導体は、関節リウマチ(RA)を有する可能性が高い個体を同定するための方法において有用である。
上記診断方法では、個体が有する疾患の種類または程度を示し得るサンプル中のタンパク質のレベルまたは量(この特定の場合には、CD44vRA生成物のレベル)を決定するためにこの分野で既知の方法で定量化することができる。上記方法は、CD44vRA生成物が、健康な個体におけるその発現と比較して異常なレベルで発現される障害、疾患または病理学的状態を診断するために使用することができる。CD44vRA生成物が異常な状態でのみ発現され、正常な状態では発現されない場合、その存在の検出は、その異常な状態を診断するために十分である。変異体生成物が、健康な個体でもまた、ある程度に発現される場合、その変異体タンパク質に対する正常な標準的発現値を、体液サンプルを多数の健康な個体から得て、これらのサンプルのプールにおける変異体生成物の発現レベルを明らかにすることによって決定することができる。被検査個体における変異体生成物の測定された変動する発現を、その後、以前に決定された標準的レベルに対して比較することができる。
本発明の抗CD44vRA抗体はまた、CD44vRA生成物の発現を伴う障害、疾患または病理学的状態を処置するための治療剤として使用することができる。本発明の抗体の個体への投与は、CD44vRA生成物の活性の阻止または低下、および、有益な効果がそのような低下によって達成され得るそのような障害および疾患の処置をもたらす。
本発明の抗体は典型的には、有効成分として、1つまたは複数の本発明の抗体(好ましくはモノクローナル抗体)を、医薬的に許容され得るキャリアと一緒に含む医薬組成物で投与される。抗体は、様々な活性な薬剤(例えば、放射性分子、酵素、抗生物質またはトキシン薬剤など)にコンジュゲート化することができ、CD44vRA生成物を含んでそのような薬剤を標的細胞内に持ち込むためのキャリアとして使用することができる。
本発明の上記実施形態は、好ましくは、関節リウマチ(RA)の同定、診断および処置のために使用される。
材料および方法
ヒトCD44vRA、CD44v3−10およびCD44sのクローニングおよびトランスフェクション
ヒトCD44vRAのcDNAをクローン化するために、関節吸引を受けているRA患者の総滑膜細胞集団を単離した。RNAを、市販のキット(Promega、Madison、WI)を用いて分離し、CD44vRAのcDNAを、CD44の定常コード領域(図1A)を表す下記のプライマーを使用してRT−PCR(PTC−100(商標)プログラム可能なサーマルコントローラー、MJ Research、Watertown、MA)によって調製した:
Figure 2008500004
PCR生成物のサイズをアガロースゲル電気泳動および配列決定(ABI PRISM310、Perkin−Elmer、Wellesley、MA)およびPstI(New England BioLabs、Beverly、MA)消化(CD44vRAにおけるヌクレオチド挿入により、PstI消化部位が導入される)によって確認した。
PCR生成物をゲルから切り出し、精製し、pGEMベクター(Promega)にサブクローン化した。陽性クローンを白/青スクリーニングによって選択した。プラスミドを、市販のキット(Promega)を用いて精製し、EcoRI/XbaIの二重消化に供し、遺伝子産物が発現されるpcDNA3.1ベクター(Invitrogen、Paisley、英国)にクローン化した。プラスミドを、記載のように[Zhang Z他、J.Biol.Chem.、276:41921〜42929(2001)]、CD44陰性のNamalwaバーキットリンパ腫細胞株(ATCC、Manassas、VA、ATCC No:CRL−1432)にトランスフェクションした。ヒトCD44v3−10のクローンニングについては、上記プロトコルを使用して、RNAをヒト角化細胞から単離し(Hadassah大学病院、エルサレム)、ヒトCD44sのクローンニングについては、上記プロトコルを使用して、RNAをHeLa子宮頸ガン細胞株(ATCC(Manassas、VA、ATCC No:CCL−2)から得られる)から単離した。
CD44v3−v10のcDNAおよびCD44sのcDNAならびにpcDNA3.1ベクター(「空ベクター」)のトランスフェクションを上記のように行った。それにより、トランスフェクションされたNamalwa細胞は、Namalwa−CD44vRA、Namalwa−CD44v3−v10、Namalwa−CD44s、およびNamalwa−Neo(空)とそれぞれ称された。
可溶性のhCD44v3−10、hCD44vRAおよびhCD44sのプラスミドの調製
可溶性CD44v3−10のcDNAを、発表されているCD44配列から特定される2つのプライマーを使用して、初代ヒト角化細胞の総RNAからRT−PCR増幅によってクローン化した:
Figure 2008500004
両プライマーには、XbaIの認識部位が含まれた。PCR生成物をXbaI酵素で消化し、pCXFcゼオベクター(zeovector)をNheIで消化した。消化後、PCR生成物をpCXFcゼオベクターに連結して、CD44v3−v10−免疫グロブリン(Ig)−Fc組換え体を作製した。同じプロトコルを使用して、可溶性CD44vRAのcDNAおよび可溶性CD44sのcDNAを関節リウマチ患者の滑膜細胞からクローン化した。可溶性CD44フラグメントを、CD44の発表されている配列(1〜1824塩基)[Screaton,G.R.他(1992)、同上]から特定した。
293T細胞への可溶性CD44プラスミドの一過性トランスフェクション
上記で示されたFc含有プラスミドのそれぞれ1つの3μg量を12μlのFuGene(Roche)と20分間インキュベーションした。混合物を、70%コンフルエンシーの293T細胞(ATCC)を含有する15cmの細胞プレートに加えた。上清を48時間後および72時間後に集めた。CD44−Ig Fcのフラグメント化されたプロテオグリカンをプロテインGカラムで精製し、SDS−PAGE、および、抗汎CD44mAb(Hermes−3、ATCC Manassas、VA、ATCC No:HB−9480)を用いた免疫ブロティングによって正しさについて分析した。
逆転写酵素−ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)
RNAを、RNA−BEE試薬(RNA単離溶媒、Tel−Test Inc.、Friendswood、TX)を製造者の説明書に従って使用して、RA患者の滑膜細胞、初代ヒト角化細胞またはNamalwa−CD44vRA細胞から抽出した。逆転写を、50mMのTris−HCl(pH8.3)、50mMのKCL、10mMのMgCl、10mMのジチオスレイトール(DTT)および20ユニットのRNasin(Promega、Medison、WI)を含有する20μlの反応体積において5ユニットのAMV逆転写酵素(Promega、Medison、WI)を用いて、500ngのRNAおよび100ngのオリゴd(T)18プライマー(Promega、Medison、WI)を使用して行った。反応液サンプルを41℃で1時間インキュベーションし、その後、逆転写酵素を、混合物を65℃で10分間加熱することによって不活性化した。増幅を、50mMのKCl、1.5mMのMgCl、10mMのTris−HCl(pH9.0)、250μMの各dNTPおよび2.5ユニットのTaq DNAポリメラーゼ(Promega、Medison、WI)を含有する50μlの最終体積において0.5μlの逆転写酵素反応生成物(cDNA)を使用して、マイクロプロセッサー制御インキュベーター(MiniCycler(商標)、MJ Research、Watertown、MA)において行った。下記のプライマー(図1A)を反応混合物に加えた(これらはまた、図1Aにも示される):
Figure 2008500004
CD44の増幅を、94℃で1分間の変性、50℃で1分間のアニーリング、および72℃で2分間の伸長を有する30サイクルについて行い、その後、72℃で10分間の最後の伸長を行った。増幅生成物を1.5%アガロースゲルで分離した。細胞のCD44イソ型転写物の決定は、マーカーラダーに対するバンドの位置、および、異なるCD44変異体の予想されるbpサイズに基づいた。
モノクローナル抗体分泌ハイブリドーマの作製
Corixa(Seattle、WA)から得られた30量体CD44vRAペプチド:SNPEVLLQTT TRMTDVDRNGTTAYEGNWN(配列番号14)、および/または、上記のように製造された100μg/mlの可溶性CD44vRA(ともに完全フロイントアジュバント(CFA)(Sigma)に乳化して)を使用して、8週齢のメスC75BL/6マウスを皮下または筋肉内に免疫化した。免疫化を14日目および28日目に繰り返し、2週間後にマウスから採血して、その血清を、CD44を発現するNamalwa細胞に結合するその能力についてフローサイトメトリーによって調べた。最大のポリクローナル抗CD44抗体力価を有する動物を選択し、10個のNamalwa−CD44vRA細胞により腹腔内(i.p.)に追加免疫した。72時間後、マウスからの脾臓細胞を集め、KohlerおよびMilstein[Kohler,G.およびMilstein,C.、Nature、256:495〜497(1975)]に従って骨髄腫細胞株のSP2/0骨髄腫細胞と融合した。
L−グルタミン、ペニシリン−ストレプトマイシン溶液、ピルビン酸ナトリウムおよびMEMイーグル非必須アミノ酸(Biological Industries Ltd.、イスラエル)および20%のウシ胎児血清(FBS)(Sigma)を含有する富化RPMI1640(Sigma)において1日間インキュベーションした後、ハイブリドーマをClonaCell(商標)−HYハイブリドーマ選択培地(培地D、StemCell Technologies Inc.)において成長させた。10日目〜14日目の間で、単離されたハイブリドーマコロニーを半固体寒天から集め、HAT培地補充物(Sigma)および20%のFBSを含有する富化RPMI1640培地において96ウエルプレート(Costar)で成長させた。置床後7日目に、単離されたハイブリドーマクローンからの上清を、Namalwa−Neo細胞、Namalwa−CD44v3−10細胞またはNamalwa−CD44vRA細胞に結合するその能力についてフローサイトメトリーによってスクリーニングした。上清がNamalwa−CD44vRAに対して選択的または優先的に結合したハイブリドーマを限界希釈によってクローン化し、その後、さらに3サイクルにわたって再クローン化した。単離されたハイブリドーマは、HAT培地補充物および20%のFBSを含有する富化RPMI1640において維持された。CD44vRA陽性ハイブリドーマの上清のイソタイプを、Clonotype System−HRP(Southern Biotechnology Associates,Inc.)を使用するELISAによって決定した。
蛍光活性化細胞分取(FACS)分析
10個の量の細胞を、3G5抗汎CD44s(Hermes3、IgG)、F−10−44−2抗汎CD44mAb(IgG2b、Serotec、Oxford、UK、これはまた抗CD44s mAbとして知られている)またはVFF7抗CD44v6 mAb(IgG1、Bender MedSystem、Vienna、オーストリア)と氷上で45分間インキュベーションした。徹底的な洗浄の後、細胞をフルオレセインイソチオシアナート(FITC)コンジュゲート化二次抗Ig抗体(Jackson ImmmunoResearch、West Grove,PA)と氷上で30分間インキュベーションした。その後、細胞を洗浄し、フローサイトメーター(Beckton Dickinson、San Jose、CA)を用いて分析した。
酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)
96ウエルのポリスチレンプレート(Nunc)を、精製されたCD44vRA−IgFc可溶性タンパク質、CD44v3−v10−IgFc可溶性タンパク質、CD44s−IgFc可溶性タンパク質、またはBSAにより被覆した(100μlの酢酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)に希釈されて、ウエルあたり100μg/ml)。4℃で一晩インキュベーションした後、プレートを、0.05%のTween20を含有するリン酸塩緩衝化生理的食塩水(PBS)(pH7.4)(PBS/T)により3回洗浄した。PBSにおける10%ミルクによる37℃で2時間のブロッキングの後、異なる濃度のF8:33抗CD44vRAmAbまたは抗汎CD44(Hermes3)mAbをウエルに加えた。プレートを37℃で1時間インキュベーションし、洗浄し、二次のヤギ抗マウス多価ペルオキシダーゼコンジュゲート化抗体(Jackson ImmunoResearch)をさらに1時間加えた。酵素反応を、リン酸塩−クエン酸塩緩衝液(pH5.0)における0.04%のHおよび0.04%のO−フェニレンジアミンを用いて発色させた。光学濃度をマイクロプレートリーダーMRX(Dynatech Laboratories)で405nmにおいて測定し、0.100を超える値を陽性と見なした。
ウエスタンブロット分析
細胞をNP−40緩衝液において溶解し、100μgのタンパク質を変性SDS−PAGEで泳動し、PVDFメンブラン(Millipore、Bedford、MA)に移した。ブロットを、0.1%のTween−20を含有するPBS(PBS−T)における1%のBSAによりブロッキング処理し、1μg/mlのHermes−3抗汎CD44mAb(これはATCCハイブリドーマ(ATCC No:HB−9480)の上清から得られ、プロテインGカラムで精製された)と1時間インキュベーションした。ブロットをPBS−Tで再び洗浄し、適切なHRPコンジュゲート化抗Ig二次抗体(1:10000希釈)(Jackson ImmunoResearch)と45分間インキュベーションし、PBS−Tで再び洗浄して、ECL試薬(Amersham Biosciences、Buckinghamshire、英国)を用いて発色させた。
トランスウエル遊走アッセイ
遊走アッセイを、直径が6.5mmのトランスウエルプレート(Costar、Cambridge、MA)において行った。トランスウエルの上部区画および下部区画を、PBSにおける0.5mg/mlのヒアルロン酸(HA;H1876、Sigma)により4℃で一晩被覆され、次いでRPMI1640により3回洗浄された5μM細孔のポリカーボネートフィルターによって分離した。RPMI1640に懸濁された5x10個の量のトランスフェクションされたNamalwa細胞またはヒト初代角化細胞を上部区画に加え、RPMIに希釈された293T細胞上清、または間質細胞由来因子−1(SDF−1)(RPMIに希釈された400ng/ml;R&D systems)を下部区画に加えた。抗体の遊走防止能を評価するために、F8:33抗CD44vRAmAbまたは抗汎CD44(F10−44−2)mAbをトランスウエルプレートに種々の濃度で加え、その後、プレートを5%COとともに37℃で4時間インキュベーションした。下部区画に遊走した細胞を、インキュベーション期間が終了したとき蛍光活性化細胞選別装置(FACS;Becton Dickinson、San Jose、CA)によって1分間の高速度で計数し、細胞数/分の値を記録した。
マウスにおけるコラーゲン誘導関節炎の阻害
下記のmAbを使用した:ハイブリドーマKM81(ATCC、TIB−241;22から得られるラット抗マウスCD44定常領域(ラット、IgG2);ハイブリドーマ4D2(J.Haimovich(Tel−Aviv大学)によって提供された;Maloney他、Hybridoma、4:191〜209、1985)から得られたラット抗マウス細胞表面免疫グロブリンイディオタイプ(ラット、IgG2b)(これは、KM81mAbに対する関連性のないイソタイプコントロールとして使用された);ハイブリドーマF8:33(本発明者らが開発したハイブリドーマ)から得られたマウス抗ヒトCD44vRA(マウス、IgG2a);ハイブリドーマF10−44−2から得られたマウス抗ヒトCD44定常領域(マウス、IgG2a)(Serotec Companyから購入)(これは、F8:33mAbに対する非生物機能性イソタイプコントロールとして使用された)。
関節炎をマウスにおいて誘導するために、オスのDBA/1マウス(8週齢〜12週齢)に、Williams他、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89:9784〜9788、1992に記載されるように、ウシの関節軟骨から精製され、完全フロイントアジュバント(CFA;Difco Laboratories、Detroit、MI、米国)に乳化された200μgのII型コラーゲンを尾の基部に皮内注射した。マウスは、最初の投薬の後3週間目に、CFAに乳化された200μgのII型コラーゲンの追加免疫注射を受けた。マウスを毎日調べ、1つ以上の足に紅斑および/または腫脹を有する各動物を、KM81抗マウスCD44mAb、4D2イソタイプ一致コントロールmAb、F8:33抗ヒトCD44vRAmAbまたはF10−44−2非生物機能性イソタイプコントロール抗ヒトCD44mAbの腹腔内(i.p.)注射を受ける4つ群の1つに無作為に割り当てた。各マウスは、疾患発症日(0日目)、および、その後、10日間にわたって1日毎に、200μgの抗体が100μlのPBSにおいて注射された。関節炎を、足の腫脹を測定することによって10日間の処置期間中モニターした。
足の腫脹を測定するために、それぞれの冒された後ろ足の厚さを、マイクロカリパスを用いて測定した。結果が足幅の直接的な測定値(ミリメートル単位)として表される。
統計学的分析
データは、1元配置ANOVA、続いて、対になっていない値に対するスチューデントt検定のためのマイクロコンピュータープログラムを使用して分析された。P<0.05を有意であると見なした。結果は平均±s.e.m.として表される。それぞれの実験は少なくとも3回繰り返され、すべてが類似する結果を示した。
結果
関節リウマチ(RA)患者の滑膜細胞において発現するCD44のmRNAはイントロン由来のさらなるトリヌクレオチドを含有する
RA患者由来の滑膜細胞を関節吸引後に単離した。その総RNAを逆転写し、CD44の定常コード領域を表すプライマーを使用してPCRに供した。
図1Bは、代表的なRA患者の関節に由来する滑膜細胞のRT−PCRを示す。2つの主要なシグナルが検出された:速く移動するバンド(571bp)はCD44sに対応し、遅く移動するバンド(1714bp)はCD44v3−v10に対応する(これはまた角化細胞においても発現している)。これらの知見は直接的な配列決定によって確認された(データは示されず)。
CD44変異体が、55名のRA患者のうちの52名に由来する滑膜細胞において、また、14名の乾癬性関節炎(PSA)患者のうちの12名に由来する滑膜細胞において検出された。変形性関節炎(OA)患者の滑膜細胞に由来する12個のサンプルのうちの5個でもまた、このCD44変異体を示した。
55名のRA患者のうちの52名および14名のPSA患者のうちの8名に由来するCD44変異体のRT−PCR生成物を配列決定した。さらなるトリヌクレオチド(CAG)が、野生型変異体CD44v3−v10に対するコンピューターによるアラインメント(図1C)の後で、23名(29名中)のRA患者および7名(8名中)のPSA患者においてエキソンv4とエキソンv5との間で検出された(図1C)。このCAGトリヌクレオチドは、エキソンv4からエキソンv5にまでまたがるイントロンの最末端から、正確にはスプライシング接合部において転写された。このトリヌクレオチドは、CD44転写物の読み枠全体を妨害することなく、アラニン(Ala)の翻訳を可能にしている。さらなるCAGを有する関節リウマチ由来のCD44変異体はCD44vRAと称された。
抗CD44vRAmAbの製造
CD44vRAにおけるさらなるAlaの発現は、RA変異体と、野生型イソ型のCD44v3−v10(または標準的なイソ型のCD44s)とを識別することができるmAbの生成を可能にする立体配置変化を誘導することが考えられた。CD44vRA、CD44v3−v10(ヒト角化細胞に由来する)およびCD44s(HeLa細胞に由来する)のcDNAをCD44陰性のNamalwaバーキットリンパ腫細胞株にトランスフェクションした。高レベルのCD44sを発現するCD44トランスフェクタント、ならびに、等しいレベルのv6含有CD44変異体を発現するCD44v3−v10トランスフェクタントおよびCD44vRAトランスフェクタントを選択した(図2A)。これらのトランスフェクタントは、Namalwa−CD44s、Namalwa−CD44v3−v10、およびNamalwa−CD44vRAとそれぞれ称された。空ベクターによりトランスフェクションされたNamalwa細胞はNamalwa−Neoと称された。
C57BL/6マウスを、材料および方法で記載されたように、CFAに取り込まれた可溶性CD44vRAで免疫化し、Namalwa−CD44vRA細胞により抗原投与した。ポリクローナル抗CD44vRA抗体をその血清において示すマウスからの脾臓細胞をSP2/0骨髄腫細胞と融合した。ハイブリドーマ細胞クローンを、フローサイトメトリーによって示されるように、Namalwa−CD44v3−v10、Namalwa−CD44sまたはNamalwa−Neoには実質的に結合せず、Namalwa−CD44vRAに対して結合するその上清の能力に従ってスクリーニングした。クローンおよびサブクローンを陽性のハイブリドーマ細胞コロニーから確立した。それらは8ヶ月間以上にわたって培養状態で安定であった。F8:33と称される陽性ハイブリドーマの上清からの抗CD44vRAmAbをG−プロテインカラムで精製した。フローサイトメトリーにより、0.4μg/mlの濃度で、F8:33の抗CD44vRAmAbは、Namalwa−CD44vRAと相互作用したが、野生型CD44v3−v10を含めて、それ以外のトランスフェクタントとは相互作用しなかったことがさらに明らかにされた(図2B〜図2E)。2μg/mlまたはそれ以上の濃度(表1)では、F8:33は、Namalwa−CD44v3−v10と交差反応し(図2B〜図2E)、さらにより高い濃度では(>100μg/ml)、Namalwa−CD44s細胞およびNamalwa−Neo細胞と同様に交差反応した(示されず)。
Figure 2008500004
上記知見は、F8:33mAbが、CD44v3−v10被覆マイクロウエルまたはCD44s被覆マイクロウエルに対するよりも高い割合でCD44vRA被覆マイクロウエルに対して用量依存的様式で結合したことを示すELISAによって確認された(図3A)。対照的に、抗汎CD44mAbは、CD44vRAおよびCD44v3−v10に対して類似した程度に結合し(図3B)、一方、CD44sに対しては、おそらくは、関連するエピトープを認識することができないために、結合しなかった。可溶性CD44タンパク質の正体がウエスタンブロットによって確認された(図3C)。
これらの抗体は、マイクロウエルに被覆されたCD44vRAに対して、または、Namalwa細胞において発現するCD44vRAに対して、対応する野生型分子(CD44v3−v10)またはCD44sに対するよりも高い割合で結合した。特筆すべきことに、CD44vRAおよびCD44v3−v10はNamalwa細胞において類似する程度に発現しており、一方、CD44sは、さらに高いレベルでこれらの細胞において発現している。このことは、Namalwa−CD44vRAに対するF8:33の優先的な結合が定性的には要求されないことを示している。Namalwa−CD44vRAに対するF8:33抗CD44vRAmAbの選択的な結合が0.4μg/ml以下の濃度で検出された。増大する濃度では、F8:33は、まずNamalwa−CD44v3−v10と交差反応し、次いでNamalwa−CD44sと交差反応する。このことは示差的な結合親和性を意味する(最も大きくは、細胞表面のCD44vRAに対してであり、最も低くは、細胞表面のCD44sに対してである)。
F8:33抗CD44vRAmAbによるRA滑膜細胞の選択的標的化
Namalwaトランスフェクタントは、実際には、抗CD44vRAmAbの結合能力および生物活性を評価するための人為的なモデルである。より現実的な評価を得るために、F8:33と、初代RA滑膜細胞および初代角化細胞との相互作用を調べた。角化細胞はCD44v3−v10(CD44vRAの野生型)の既知の発現細胞であるので、角化細胞を参照群として選んだ。フローサイトメトリー分析では、RA患者の滑膜細胞におけるCD44sの発現が、2名の提供者から得られた角化細胞におけるCD44sの発現よりもわずかに大きいことが、v6含有CD44の発現における変動を伴って明らかにされた。角化細胞は、RA滑膜細胞よりもはるかに高いレベルで、様々なv9含有CD44分子(これにはCD44v3−v10が含まれる)を発現することもまた認められた(図4A〜図4C)。たとえそうであっても、2μg/mlおよび4μg/mlの濃度において、F8:33抗CD44vRAmAbは、フローサイトメトリーによって示されるように、滑膜細胞と相互作用したが、角化細胞とは相互反応しなかった(図4D〜図4E)。100μg/mlもの高い濃度でさえ、F8:33はRA滑膜細胞に選択的に結合し、その一方で、200μg/mlの濃度では、F8:33は角化細胞と交差反応した(表1)。滑膜細胞は、そのcDNAのPstI消化によってCD44vRA陽性細胞として同定された。角化細胞はCD44v3−v10を構成的に発現している。
トランスウエル細胞遊走のCD44vRA依存性
F8:33抗CD44vRAmAbとRA滑膜細胞との間での相互作用が生物活性を示すかどうかという疑問を調べた。このために、NamalwaトランスフェクタントならびにRA滑膜細胞および角化細胞の遊走をトランスウエル遊走アッセイにおいて阻害するF8:33抗CD44vRAの能力を測定した。
F8:33抗CD44vRAは、HA被覆メンブランを横断するNamalwa−CD44vRA細胞の能力を、Namalwa−CD44v3−v10の能力よりも効果的に、用量依存的様式で低下させた(図5A)。この抗体は、Namalwa−CD44s細胞およびNamalwa−Neo細胞の遊走に対する阻害作用を何ら示すことができなかった(1μg/mlの濃度で、F8:33はNamalwa−Neo細胞の遊走を高めた)。イソタイプが一致する抗汎CD44mAb(これはすべてのCD44イソ型における定常エピトープを認識する)は、最大濃度でのみ、すべてのCD44トランスフェクタントの遊走に対してわずかに影響しただけであった(図5B)。このことは、F8:33の選択的な抗遊走作用を意味する。
F8:33抗CD44vRAmAbはまた、トランスウエル遊走アッセイによって示されるように、HA被覆メンブランを横断する、角化細胞ではなく、CD44vRA陽性のRA滑膜細胞の能力を用量依存的様式で低下させた(図6A)。対照的に、抗汎CD44mAbは両方の細胞タイプの細胞遊走を妨害しなかった(図6B)。
F8:33−6−10−8もまた、CD44vRA生成物に対して非常に特異的である(図7A〜図7E)。F8:33−6−10−8ハイブリドーマに由来する抗体を、空ベクターを発現するNamalwa細胞(Namalwa−pcDNA3.1)、標準的CD44を発現するNamalwa細胞(Namalwa−CD44std)、CD44v3−v10生成物を発現するNamalwa細胞(Namalwa−CD44v3−v10)、またはCD44vRA生成物を発現するNamalwa細胞(Namalwa−CD44vRA)のいずれかとインキュベーションした。既に1.2μg/mlで(図7D)、F8:33−6−10−8抗体はCD44vRA発現細胞と特異的に反応し、これに対して、それ以外の細胞には全く結合していない。1.2mg/mlでさえ(図7A)、F8:33−6−10−8抗体は、それ以外の細胞に対するよりも大きい親和性でCD44vRA発現細胞に結合している。
マウスにおけるコラーゲン誘導関節炎の阻害
F8:33mAbはまた、コラーゲン誘導関節炎(CIA)のインビボアッセイを使用して調べられた。コラーゲン誘導関節炎(CIA)は、関節リウマチ(RA)(滑膜炎と、軟骨および骨の侵食とを伴う関節内の慢性的な炎症によって特徴づけられる再発性疾患)の動物での類似疾患である。
図8において認めることができるように、コラーゲン誘導関節炎(CIA)が、足の腫脹(PAW、mm)の減少によって示されるように、抗CD44vRAmAbのF8:33を用いた処置によって阻害される。対照的に、コントロール抗体の抗汎ヒトCD44モノクローナル抗体F10−44−2は関節炎活性を低下させることができなかった。
陽性コントロールとして、抗汎マウスCD44抗体のKM81を使用し、その一方で、イソタイプが一致する関連性のないマウスmAbの4D2モノクローナル抗体を陰性コントロールとして使用した(図9)。図9に示されるように、KM81もまた、4D2モノクローナル抗体とは対照的に、マウスにおけるCIAによって引き起こされる足の腫脹を低下させることができた。
まとめると、F8:33は、マウスにおける関節炎活性を低下することによって示されるように、インビボでの生物学的機能が可能である。
CD44のゲノム構造(図1A)、CD44の定常コード領域を表すプライマーのアガロースゲル電気泳動(図1B)、そして、RA−CD44およびCD44v3−v10の部分核酸配列(エキソン4およびエキソン5)、ならびに対応するアミノ酸配列(配列番号:15〜30)(この場合、配列は最適にアラインメントされている)(図1C)を示す。 CD44FITCの平均蛍光強度に対する細胞カウント数を示す。 CD44FITCの平均蛍光強度に対する細胞カウント数を示す。 可溶性のCD44vRA、CD44v3−v10、CD44s(それぞれCD44vRA−Fc(四角)、CD44v3−v10−Fc(菱形)、CD44s−Fc(三角))により被覆されたマイクロウエルに対する、F8:33由来の抗CD44vRAmAbの結合のELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)分析の結果を示す(図3A〜図3C)。 CD44FITCの平均蛍光強度に対する細胞カウント数を示す。 CD44FITCの平均蛍光強度に対する細胞カウント数を示す。 F8:33抗CD44vRAmAbの存在下もしくは非存在下(図5A)、または、抗汎CD44mAbの存在下もしくは非存在下で行われた細胞遊走アッセイのグラフを示し、それに従って、Namalwaトランスフェクタント(Namalwa−pcDNA3.1(菱形)、Namalwa−CD44s(四角)、Namalwa−CD44v3−v10(三角)およびNamalwa−CD44vRA(丸))が、トランスウエル遊走アッセイにおいてHA被覆フィルターを横断するそれらの能力について、F8:33抗CD44vRAmAbの存在下もしくは非存在下(図5A)、または抗汎CD44mAbの存在下もしくは非存在下(図5B)で分析され、細胞遊走百分率が、抗体の存在下でメンブランを横断した細胞数を、その非存在下でメンブランを横断した細胞数により除算し、100を乗じることによって計算された。 RA患者の関節から得られた滑膜細胞(三角)、または初代角化細胞(四角)を使用して、F8:33由来の抗CD44vRAmAbの存在下もしくは非存在下(図6A)、または抗汎CD44mAbの存在下もしくは非存在下(図6B)で行われ、トランスウエル遊走アッセイにおいてHA被覆フィルターを横断するそれらの能力が評価される細胞遊走アッセイのグラフを示す。(細胞遊走百分率が図5Bにおけるように計算された)。 Namalwa−pcDNA3.1細胞、Namalwa−CD44s細胞、Namalwa−CD44v3−v10細胞、またはNamalwa−CD44vRA細胞に対する、F8:33−6−8−10由来の抗CD44vRAmAbの結合のFACS分析を示す(CD44FITCの平均蛍光強度に対する細胞カウント数)(図7A〜図7E)。 マウスにおけるコラーゲン誘導関節炎(CIA)に対するF8:33(四角)の影響を示す。 マウスにおけるCIAに対するKM81(抗汎マウスCD44、四角)および4D2(イソタイプが一致するコントロール抗体、三角)の影響を示す。
配列番号7〜13は一本鎖DNAオリゴヌクレオチドの配列である。
配列番号14は合成ペプチドの配列である。

Claims (23)

  1. 関節リウマチ患者のCD44変異体(CD44vRA)または前記CD44vRAのフラグメントであって、CD44vRAコード配列のエキソンv4からエキソンv5にまでまたがる領域から翻訳されるアミノ酸配列、または前記領域の一部から翻訳されるアミノ酸配列を含み、かつ、CD44vRAおよびCD44v3−v10が最適にアラインメントされたとき、CD44v3−v10の対応するフラグメントには存在しないAla残基を含むフラグメントと特異的に反応する抗体。
  2. 前記Ala残基は、配列番号2の303位におけるAla残基に対応する請求項1に記載の抗体。
  3. 前記抗体は、モノクローナル抗体である請求項1または2に記載の抗体。
  4. 寄託アクセション番号CNCM I−3015(F8:33ハイブリドーマ)または寄託アクセション番号CNCM I−3016(F8:33−6−8−10ハイブリドーマ)を有する細胞ハイブリドーマ。
  5. 寄託アクセション番号CNCM I−3015(F8:33ハイブリドーマ)または寄託アクセション番号CNCM I−3016(F8:33−6−8−10ハイブリドーマ)を有する細胞ハイブリドーマによって産生されるモノクローナル抗体(mAb)。
  6. 請求項3または5に記載のモノクローナル抗体に由来する抗体分子であって、前記抗体分子は前記モノクローナル抗体のフラグメント、前記モノクローナル抗体の誘導体、またはその相同体であり、前記フラグメント、誘導体または相同体は請求項3または5に記載のmAbの抗原結合特異性を実質的に保持する抗体分子。
  7. 請求項3または5に記載のmAbのFabフラグメントまたはF(ab’)フラグメントである抗体分子。
  8. 請求項3または5に記載のmAbのイディオタイプまたは結合部位を有する組換え抗体分子であって、請求項3または5に記載のmAbの抗原結合特異性を実質的に保持する組換え抗体分子。
  9. キメラ抗体分子、ヒト化抗体分子または単鎖抗体分子であるか、または鎖シャッフリングによって作製される抗体である請求項8に記載の組換え抗体分子であって、前記組換え抗体分子は請求項3または5に記載のmAbの抗原結合特異性を実質的に保持する組換え抗体分子。
  10. 請求項3または5に記載のmAbと同じエピトープに結合する抗体分子。
  11. 請求項1〜3および5〜10のいずれか一項に記載の抗体、および医薬的に許容され得るキャリアを含む医薬組成物。
  12. 関節リウマチ(RA)の処置のための請求項11の医薬組成物。
  13. 請求項1〜3および5〜10のいずれか一項に記載の抗体によって認識されるエピトープを含むポリペプチドまたはタンパク質を生物学的サンプルから精製する方法であって:
    (i)固体担体に結合した前記抗体を含むアフィニティーマトリックスを提供すること;
    (ii)前記生物学的サンプルを前記アフィニティーマトリックスと接触させて、抗体−ポリペプチド複合体および結合していない生物学的サンプルを生じさせること;
    (iii)結合していない生物学的サンプルを除くこと;および
    (iv)アフィニティーマトリックスに結合した抗体からポリペプチドを放出させること
    を含む方法。
  14. 前記ペプチドは、CD44vRAポリペプチドである請求項13に記載の方法。
  15. 抗原の存在についてサンプルを分析する方法であって:
    (i)サンプルを、抗体と抗原の検出可能な複合体の形成を可能にする条件のもとで、請求項1〜3および5〜10のいずれか一項に記載の抗体と接触させること;および
    (ii)工程(i)で得られたデータを分析して前記抗体−抗原複合体が形成されたかどうか確認すること
    を含み、前記抗体−抗原複合体の形成は、前記抗体によって認識されるエピトープを有する抗原がサンプル中に存在することを示す方法。
  16. 請求項1および5〜10のいずれか一項に記載の抗体によって認識されるエピトープを含む抗原を発現する細胞を伴う疾患または障害を有する可能性が高い被検査個体を同定するための方法であって:
    (i)生物学的サンプルを前記被検査個体から得ること;
    (ii)前記生物学的サンプルを、検出可能な抗体−抗原複合体の形成を可能にする条件のもとで前記抗体と接触させること;および
    (iii)前記抗体−抗原複合体を検出すること
    を含み、前記抗体−抗原複合体の存在は、被検査個体がCD44vRAタンパク質を発現する細胞を伴う疾患または障害を有する可能性が高いことを示す方法。
  17. 請求項1〜3および5〜10のいずれか一項に記載の抗体によって認識されるエピトープを含む抗原を発現する細胞を伴う疾患または障害を有する可能性が高い被検査個体を同定するための方法であって:
    (i)生物学的サンプルを前記被検査個体から得ること;
    (ii)前記生物学的サンプルを、検出可能な抗体−抗原複合体の形成を可能にする条件のもとで前記抗体と接触させること;および
    (iii)前記抗体−抗原複合体を検出すること、および前記複合体のレベルを、健康な個体から得られたサンプルにおいて検出される抗体−抗原複合体のレベルと比較すること
    を含み、前記レベルからのずれは、被検査個体が前記疾患または障害を有する可能性が高いことを示す方法。
  18. 前記疾患または障害は、CD44vRAを発現する細胞を伴う請求項16または17に記載の方法。
  19. 前記疾患は、関節リウマチ(RA)である請求項16または17に記載の方法。
  20. 治療効果を個体において達成するための方法であって:
    (i)治療効果的な量の本発明の請求項1〜3および5〜10のいずれか一項に記載の抗体を前記個体に投与すること;および、
    (ii)治療効果を前記個体において得ること
    を含み、前記治療効果は、前記抗体によって認識されるエピトープを含む抗原の発現に関連する症状を防止または改善することである方法。
  21. 前記ポリペプチドは、CD44vRAまたは請求項1〜3および5〜10のいずれか一項に記載の抗体によって認識される前記エピトープを含むその誘導体、フラグメントまたは相同体である請求項20に記載の方法。
  22. 前記疾患は、関節リウマチ(RA)である請求項21に記載の方法。
  23. 請求項1〜3および5〜10のいずれか一項に記載の抗体をコードする核酸分子。
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