JP2008307772A - インクジェットヘッド - Google Patents

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Abstract

【課題】インクの吐出方向を制御するための変形素子を容易に配置できるインクジェットヘッドを提供する。
【解決手段】この発明のインクジェットヘッドは、圧電基板31、ノズルプレート10及び変形素子22を備えている。
圧電基板31は、チャンネル壁33によって隔てられた複数のチャンネル溝32であって互いに平行に並ぶ複数のチャンネル溝32が、形成されている。ノズルプレート10は、チャンネル溝32に対応した複数のノズル孔11を有し、圧電基板31の前面に接合される。変形素子22は、圧電基板31とノズルプレート10の間に配置され、ノズルプレート10におけるノズル孔11の周縁部の少なくとも一部を厚さ方向に変形させる。変形素子22は、圧電素子、磁歪素子及び熱変形素子のいずれであってもよい。
【選択図】図1

Description

この発明は、ファクシミリ装置や複写機等のインクジェット方式の画像形成処理を行う画像形成装置に用いられ、圧電基板に設けたチャンネル溝の先端に配したノズルプレートのノズル孔から液滴を吐出するインクジェットヘッドに関する。
一般にインクジェットヘッドは、インクジェット方式の画像形成装置に用いられて液滴吐出装置を構成する。このようなインクジェットヘッドは、ノズルプレート、ヘッドチップ及びヘッドベース等の部材を接合して構成される。
ノズルプレートは、樹脂もしくは金属のプレート材から成る。ノズルプレートにはノズル孔が複数形成される。複数のノズル孔のそれぞれは、インク滴を吐出する微小な孔である。複数のノズル孔は1次元的に、又は2次元的に配列される。複数のノズル孔のうち任意に選択された単一又は複数のノズル孔からは、それぞれ任意のドロップ数のインク滴が吐出される。
ヘッドチップは、圧電基板などのアクチュエータ部材を含んで構成される。例えばアクチュエータ部材が圧電基板の場合、その主面にインクの流路となる複数のチャンネル溝が平行して刻設される。各チャンネル溝に挟まれるチャンネル壁は、その両側に駆動電極が設けられる。駆動電極に所定の電圧が印加されることで各チャンネル壁は変形する。各チャンネル溝の容積はチャンネル壁の変形により変化する。この容積変化により、チャンネル溝内のインクはノズル孔から吐出される。
ヘッドベースは、駆動回路を備え、駆動電極に印加する電圧を出力する。また、ヘッドチップを支持する。
ところで、このような画像形成装置においては、高解像度化の要請が非常に高まっており、もはやノズルの高密度化では追いつかない状態となっている。そこで、インクの吐出方向を偏向することによりノズル密度よりも高い解像度を得る技術の研究が進められている。
また、近年では、画像形成装置が産業用途に展開されるにつれ、インクジェットヘッドの全てのチャンネルから定常、かつ高精度にインクを吐出することが要求され始めている。この場合、吐出不良を起こすノズルが一つでもあると、それに付随する全てのインクジェットヘッドのユニットを交換する必要があり、非効率的であるという問題がある。そこで、吐出不良を起こしたノズルのインク吐出方向を正常な方向に偏向することにより、インクジェットヘッドの長寿命化を図る技術の研究が進められている。
このような技術の一つとして、インク吐出のための変形素子とは別に、インク通路を傾斜状に変形させるための変形素子を各ノズルの噴射通路に設けた画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開平07−276634号公報
しかしながら、特許文献1に記載された従来技術では、ノズル内にインクの吐出方向を制御するための変形素子を配置しているが、実際に配置するのは困難である。高精度のノズル孔を加工するに当たり、多くの場合、レーザ加工による方法を用いるが、加工精度は加工深さが深いほど悪くなるため、ノズルプレートの厚みは薄いほどよい。例えばノズルプレート材料としては、ノズル孔のレーザ加工容易性などから、ポリイミドなどの樹脂材料を用いることが一般的であるが、その場合、プレート厚みは100μm以下が望ましい。一方、ノズル孔形状は、インクの流路抵抗を低減させる目的により、インク流入口が広く吐出口が狭いテーパ状をしているが、近年は4pl以下のインク体積を吐出するという高精彩インクジェットヘッドの開発が主流となっており、その場合、吐出口径は20μm程度である。このような狭い領域に吐出方向制御用の変形素子を配置し、かつ変形素子への配線を施すことは困難である。
この発明の目的は、インクの吐出方向を制御するための変形素子を容易に配置できるとともに、変形素子に対する配線を容易に施すことができるインクジェットヘッドを提供することにある。
この発明のインクジェットヘッドは、圧電基板、ノズルプレート及び変形素子を備えている。圧電基板は、チャンネル壁によって隔てられた複数のチャンネル溝であって互いに平行に並ぶ複数のチャンネル溝が、形成されている。ノズルプレートは、チャンネル溝に対応した複数のノズル孔を有し、背面が圧電基板の前面に接合される。変形素子は、圧電基板とノズルプレートの間に配置され、ノズルプレートにおけるノズル孔の周縁部の少なくとも一部を厚さ方向に変形させる。
この構成では、変形素子は圧電基板の前面とノズルプレートの背面との間に配置されるため、配置可能な面積が大きい。これによって変形素子は配置箇所において自由度が高く、また変形素子への配線も容易である。
この構成において、圧電基板の前面とノズルプレートの背面とのそれぞれの間に接着層を介して配置されるスペーサをさらに備えてもよい。変形素子は、接着層の弾性を利用し、間接的にノズルプレートを変形できる。変形素子は、スペーサの前面に固定されることにより、圧電基板のインク室及びインクの吐出流路に接しない。これによって変形素子はインクに接触することがないため、腐食しない。変形素子は腐食しないため、経時劣化しにくく、長期間の使用に耐えうる。
また、スペーサには、前面に窪みを設け、この窪みに変形素子を固定してもよい。窪みは、変形素子を固定した際に、スペーサの前面が面一となる形状とする。これによってノズルプレートの背面とスペーサの前面とはともに平面となる。ノズルプレートの背面とスペーサの前面とを接着した際に、それぞれの面の全体を密着させることができ、ノズルプレートとスペーサは、接着不良を生じない。また、ノズルプレートと変形素子は、接着不良を生じない。
さらに、変形素子は、圧電素子、磁歪素子及び熱変形素子のいずれかからコストパフォーマンス等を考慮して自由に選択できる。
この発明によれば、変形素子を、圧電基板とノズルプレートとの間で、ノズルからのインク吐出方向の制御に適した位置に容易に配置できる。また、変形素子に対して容易に配線を施すことができる。
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
本実施形態のインクジェットヘッドは、インクジェットプリンタに用いられる。このインクジェットヘッドは、複数のノズル孔のうち任意に選択したものから、それぞれ任意のドロップ数でインク滴を吐出する。
図1は、インクジェットヘッドの部分分解斜視図である。インクジェットヘッドの同図手前側は正面であり、同図奥側は背面であり、同図左側は左側面である。同図には左側面から4つ目までのインク室を図示していて、同図右側はインクジェットヘッドの断面である。
インクジェットヘッドは、ヘッドチップ30と、ヘッドチップ30の正面側に配置し、各貫通孔21を挟むように配置された変形素子22を搭載したスペーサ20と、スペーサ20の正面側に配置するノズルプレート10と、ヘッドチップ30の底面側に貼り合わせる図示しないヘッドベースとから構成される。
ノズルプレート10は正面−背面方向に薄肉の樹脂プレート材(ポリイミドシート:宇部興産製、ユーピレックス)である。ノズルプレート10には複数のノズル孔11が形成されている。複数のノズル孔11のそれぞれは、インク滴を吐出する微小な孔である。複数のノズル孔11は直線状に配列されている。ノズルプレート10のノズル孔11は、インクが流入する背面側で直径約40μm、インクを吐出する正面側で直径約20μmの円錐状である。テーパ角はノズル孔11の正面側に対するノズル孔の背面角の降角で表され、11°程度である。ここで、ノズル孔11の正面側の孔径のばらつきは基準値±0.5μm以内、テーパ角のばらつきは基準値±1.0°以内としている。さらに、ノズルプレート10のスペーサ20との接着面の反対側の面には、吐出インクの直進性確保及び吐出面への液滴残りをなくすという観点から、図示しない撥水膜(ダイキン工業製、オプツールDSX)を設けている。
スペーサ20は、ノズルプレート10と同様、複数の貫通孔21を有する、正面−背面方向に薄肉の樹脂プレート材である。本実施例ではスペーサ20の材料として、厚み100μmのポリイミドを用いている。変形素子22はブロック形状をしており、貫通孔21と隣接する位置に配置されている。変形素子22はスペーサ20上、ノズルプレート10と接する面側に配置される。
本実施例では変形素子22として積層型ピエゾ素子を用い、より詳しくは厚み20μmのPZTを主成分とする材料を用いる。積層型ピエゾ素子には、電圧印加方向に対して平行に結晶体が歪むダイレクトモードを示すものと、電圧印加方向に対して斜状に歪むシェアモードを示すものがあるが、本実施例では、シェアモードのピエゾ素子を用いている。変形素子22、スペーサ20の貫通孔21とノズルプレート10のノズル孔11とは同数であり、それぞれ互いに同軸になるように直線状に配列している。スペーサ20に設けた貫通孔21は、ノズル孔11と同軸に配されている。貫通孔21の直径は、ノズル孔11の背面側の直径約40μmとほぼ等しくしている。
ヘッドチップ30は、圧電基板31とカバー部材37とを含む。圧電基板31とカバー部材37とはそれぞれ、上面−底面方向に薄肉の部材である。圧電基板31は、PZTを主成分とする。チャンネル溝32は、圧電基板31の正面から背面にかけて複数本平行に形成されている。このチャンネル溝32は、板厚方向に分極させた圧電材料ウェハの上面にダイサーを当て、ダイシングブレード厚み方向の途中まで切り込んだ状態で走行させることにより形成したものである。
本実施形態では、ヘッドチップ30の正面から背面にかけての寸法を12mm、圧電材料のウェハ厚みを1mm、左側面から右側面にかけての寸法を6mm、チャンネル溝32の深さを300μm、チャンネル溝32の幅を80μmとしている。チャンネル溝32は、その断面中心がノズル孔11の中心軸と一致するように直線状に配列している。チャンネル壁33は、チャンネル溝32同士の間に形成される隔壁である。
この圧電基板31に、カバー部材37を上側から被せ、接着剤で接着することでヘッドチップ30は形成される。カバー部材37は、圧電基板31と同様に圧電材料のウェハを加工したものであり、共通インク室及びインク供給口としての凹部38及び貫通加工部39を設けている。ここでは、カバー部材37として圧電基板31と同じ圧電材料を用いている。
ノズルプレート10の材料としては、本実施形態以外の材料であってもよい。民生用プリンタなど、さほど高い吐出性能が要求されない用途のインクジェットヘッドであれば、ノズルプレート10の材料は、レーザ加工できればいかなるものであってもよい。これに対し、吐出位置や吐出体積に高精度が要求される工業用インクジェットプリンタ用途のインクジェットヘッドであれば、ノズル孔11のノズル孔ばらつき、及びノズルテーパ形状ばらつきを低減できる材料が好ましい。
具体的には、高精度にノズル孔11を製造する方法として、ノズルプレート10にエキシマレーザ光を用いて加工する方法を用いるのであれば、ノズルプレート10の材料としてはエキシマレーザ加工容易性の高い材料がより望ましい。エキシマレーザ加工容易性の高い材料としては薄い樹脂製のもの、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミドアミドなどがある。なお、エキシマレーザ光を用いて加工する以外の方法であれば、例えば、ニッケル等の電鋳メッキ等によって得られた金属材料など、高精度のノズルを形成可能な、どのような材料を用いてもよい。
スペーサ20の材料としては、本実施形態以外の材料であっても、変形素子22及び圧電基板31との絶縁を確保し、かつ耐インク性の高い材料であればどのような材料であってもよい。例えば、樹脂材料であれば、本実施例で用いた材料のほかにPFA、PTFEなどのフッ素樹脂材料、セラミック材料であれば石英、アルミナなどでもよい。スペーサ20の材料は、透光性があれば望ましいが、遮光性があってもよい。
変形素子22としては、本実施形態以外であっても、ノズルプレート10を変形させることのできる素子であれば、どのような素子であってもよい。例えば、圧電素子以外に磁歪素子、熱変形素子であってもよい。変形素子22の材料は、透光性があれば望ましいが、遮光性があってもよい。
スペーサ20について、図2を用いて詳細に説明する。
スペーサ20は樹脂もしくはセラミック材料のプレート材であるが、前述したように、ノズルプレート10上に形成されたノズル孔11と同軸、かつ同数の貫通孔21を有する。貫通孔21はノズル孔11と同様、レーザ加工により形成することも可能であるが、レーザの吸収率が高い材料においては、切削加工による方法を用いることも可能である。
図2(A)は、スペーサ20を、ノズルプレート10との接着面側から見た図であり、図2(B)は、スペーサ20を、ヘッドチップ30との接着面側から見た図である。図2(A)において、貫通孔21の左側に、貫通孔21と同軸に接着されるノズル孔11を変形させるためのブロック状の変形素子22が配置される。変形素子22は、ノズルプレート10及び各ノズル孔11を変形させることにより、インク吐出方向を制御するためのものである。スペーサ20上には、予め変形素子22を固定する窪みが加工されており、その上に変形素子22を固定する。窪みは変形素子22の大きさに合わせて加工されている。変形素子22が固定されたスペーサ20は面一となる。変形素子22のスペーサ20への接着は、耐薬品性の高い接着剤が用いられる。本実施例では比較サンプルとしてエポキシ系接着剤を用いた。
スペーサ20の表面には変形素子22を外部の駆動回路と接続する配線23、24が形成されている。配線23、24は、プロセス中、マスクスパッタリングなどで形成することが可能であるが、事前に形成しておくことが望ましい。配線材料としてはCu、Au、Alが一般的に用いられるが、本実施例では、0.5μmのAuを用いた。配線23、24はスペーサ端部においてワイヤボンディングにより駆動回路と接続される。ここで、駆動回路により選択された配線23、24間に電圧を印加すると、選択された変形素子22が紙面上方から下方、もしくはその逆に変形する。
通常、配線23にDCバイアス正電圧あるいは負電圧を印加し、配線24を接地する。DCバイアス電圧値は、インクの着弾精度測定の結果をもとに、逐次最適値に設定される。また、図示しない電極及び変形素子22の腐食防止策として、両面に図示しない有機絶縁膜を形成する。本実施例では、さらに有機絶縁膜として化学的に安定であって耐薬品性及び絶縁性が高い、厚さ3.5μmのパリレン膜を用いた。なお、有機絶縁膜の厚みは、下地部材の凹凸や下地部材に付着したダストの影響などを受けてピンホールが発生することがないように、1μm以上が望ましい。一方、成膜工程の時間短縮、原材料コストの低減の観点から、有機絶縁膜の厚さとしては10μm以下であることが望ましい。このことを踏まえ、有機絶縁膜の厚さとしては1μm〜10μmの間であることが、より望ましい条件である。
この有機絶縁膜により変形素子22と電極を覆うことにより、水性インクや金属粒子を含む導電性を有するインクがプレート付近に滞留していても、配線23とGND膜間に印加する電圧によってリーク電流が流れなくなる。これにより、電極材料の電解腐食に起因する素子の破損や、変形素子本来のせん断モード変形が達成できないことに起因する不良といった問題を防止できる。
なお、パリレン膜は室温において気相成長によって形成されるため、熱によって特性が劣化する基材や表面形状が複雑に入り組んだ基材に、熱的なダメージを与えることなく、ほぼ均一に成膜できる。なお、パリレン膜には、ポリモノクロロパラキシリレン、ポリパラキシリレンなどがあるが、それぞれの膜において耐インク特性、材料との密着性などが異なるため、各種インク材料の特性や、下地部材に応じて膜材料を変更したり、2種類以上の材料を積相したりする方法を用いることも可能である。
また、図示していないが、圧電基板31の、スペーサ20との接合面にも有機絶縁膜を成膜する。なお、この有機絶縁膜は本発明に必須の構成ではない。一方、図2(B)に示すように、スペーサ20のヘッドチップ30の接着面には、貫通孔21以外はない。ここで、点線部で示した部分は、ノズルプレート10との接着面に配置された変形素子22の位置を示したものである。
変形素子22を固定するためスペーサ20に形成する窪みは、スペーサ20とノズルプレート10を接着する際、スペーサ20表面と変形素子22の段差が接着不良を生じさせないために形成する。スペーサ20表面と変形素子22の段差が大きい場合、接着部への気泡の噛みこみを発生させる。前記段差は5μm以上で発生することが実験的に確認されているため、スペーサ20に形成する窪みの深さは、20μm±5μmの精度で形成する必要がある。
次に、ヘッドチップ30とスペーサ20及びノズルプレート10の接着プロセスについて、図3に基づいて説明する。
上述したように、ヘッドチップ30とノズルプレート10とを接着する際には、ノズル孔11の位置を精度良くアライメントする必要がある。そのため、ヘッドチップ30とノズルプレート10との間に配置するスペーサ20の接着も同様に行う必要がある。
ここではスペーサ20とヘッドチップ30との接着工程について詳述する。まず、インク室40の断面の中心軸とスペーサ20に形成された貫通孔21の中心軸との位置が一致するように専用装置でアライメントする。具体的には、上下双方にカメラを内蔵したアライメントカメラ55をスペーサ20とヘッドチップ30との間で移動させ、スペーサ20に形成された全ての貫通孔21の長手方向に平行な中心軸とインク室40の長手方向に平行な中心軸との位置情報を読み取って位置ずれを算出し、スペーサ20又はヘッドチップ30のどちらかを移動させて位置補正し、スペーサ20の全ての貫通孔21の長手方向に平行な中心軸と全てのインク室40の長手方向に平行な中心軸との位置が一致するようにアライメントする。
次に、ヘッドチップ30の予め接着剤が塗布された接着面とスペーサ20とを密着させる。具体的には、スペーサ20を装置に固定する際に用いる図示しない冶具を徐々にヘッドチップ30に向けて鉛直下方に移動させて、スペーサ20の背面をヘッドチップ30の前面に当接させる。ここで、ヘッドチップ30へのスペーサ20の接着には一般に液状接着剤を用いる。薄くかつ均一な厚さの接着剤でヘッドチップ30にスペーサ20を接着するため、バーコータやスピンコータなどを用いて均一で薄い接着剤の層をポリイミドフィルムなどのシート上に形成した後、接着剤の層をヘッドチップ30の前面側に押し当てることで所望の厚さの接着剤をヘッドチップ30の前面側に転写する。
本実施例では、接着剤の塗布方法として、公知のバーコータ装置を用い、ポリイミドフィルム上に厚み4μmの均一な接着剤の層を形成し、接着剤の層が形成されたポリイミドフィルム上にヘッドチップ30との接着面を押し当てスタンプ転写する方法を用いた。これによって、ヘッドチップ30の前面におけるインク室40以外の領域に均一な厚み(本実施形態では2μm以上)の接着剤の層を形成することができる。
このように接着剤が転写されたヘッドチップ30の複数のインク室40の断面の中心軸とスペーサ20の貫通孔21の中心軸とをアライメントした状態で、スペーサ20とヘッドチップ30を加圧及び加熱して接着する。
スペーサ20とヘッドチップ30の接着が完了した後、図3で示したものと同じ装置、手段を用いて、さらにノズルプレート10とスペーサ20との接着を行う。
なお、本実施例では、スペーサ20とノズルプレート10を接着するための接着剤と、スペーサ20と圧電基板31を接着するための接着剤として、耐薬品性の観点から、エポキシ系材料を用いた。
図4は、インクジェットヘッドにおいて、インク吐出を行った場合の概念図である。
図4(A)は通常のインク吐出を行った場合の図であり、図4(B)は、特定のノズルを変形させ、インク吐出方向を変更させた場合の図である。ここで、図示していないが、変形素子22を駆動させるために設けられた電極、及び配線は、変形素子22の紙面上方及び下方に配置される。
図4(A)において、インク28はノズルプレート10の法線方向に直進している。各変形素子22にはノズルプレート10側、スペーサ20側にそれぞれ電極が形成されている。ここで、変形素子22に設けられた電極間、及び配線間にDCバイアス電圧を印加すると、変形素子22は図4(B)のように変形する。このとき変形素子22とノズルプレート10は接着剤により強固に接着されているため、変形素子22の変形(点線で示す形状)に伴い、ノズルプレート10に形成されたノズル孔の特定の箇所が変形(点線で示す形状)する。その結果、インク28の吐出方向は、ノズルプレート10の法線方向に対して傾斜する。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
本実施例の特徴は、スペーサ50に配置された変形素子22の構成及び変形素子22を駆動するための配線に特徴を有する。
スペーサ50について、図5を用いて詳細に説明する。
図5(A)は、スペーサ50の前面側を示した図であり、図5(B)は、スペーサ50の背面側を示した図である。図5(A)において、貫通孔21を囲むように、リング状の変形素子22が配置される。
スペーサ50の材料として、実施例1の場合と同じく厚み100μmのポリイミドを用いる。変形素子22はノズル孔配列方向だけでなく、それと直交する方向にもインク吐出方向を制御する構成とするため、貫通孔21を囲むリング状をしており、さらに当該リングをその周方向に等分する形で、各貫通孔21の周囲4箇所に設置される。変形素子22は実施例1の場合と同じく、スペーサ50上、ノズルプレート10と接する面側に配置される。変形素子22はスペーサ50の貫通孔21からそれぞれ等間隔になるように配置される。
本実施例では、変形素子22として積層型ピエゾ素子を用い、より詳しくは厚み20μmのPZTを主成分とする材料を用いる。ここで、スペーサ50の貫通孔21、ノズルプレート10のノズル孔11は同数であり、それぞれ互いに同軸になるように直線状に配列している。ここで、スペーサ50に設けられた貫通孔21は、ノズル孔11と同軸に配されている。この貫通孔21の直径は、ノズル孔11の背面側の直径約40μmとほぼ等しくしている。
また、第1の実施形態と同じく、スペーサ50上には、予め変形素子22を固定する窪みが加工されており、その上に変形素子22を固定する。ここで、スペーサ50上、変形素子22が固定される箇所には、図5(B)に図示されるコンタクト部26とスペーサ50の厚み方向において等価の位置に図示しない電極パッドが配置される。変形素子22のスペーサ50への接着は、耐薬品性の高い接着剤が用いられる。本実施例では比較サンプルとしてエポキシ系接着剤、シリコン架橋型フッ素系接着剤の2種類の接着剤を用いた。ここで、2種類の接着剤による比較を行う理由は、変形素子22を接着する接着剤の硬化後の硬度により、変形素子22の変形量に違いが出ないかを確認するためである。
また、変形素子22と電極パッドを電気的に接続する必要があるため、接着剤として導電性を有するものを用いるか、もしくは接着剤中にボールハンダなどを含有させ、接着剤の熱硬化前に変形素子22と電極パッド間で導通がとれるようにボールハンダを熱融着、または熱圧着させるという手段がある。
図5(B)において、25は変形素子22を駆動するための導線、26は変形素子22と導線25のコンタクト部である。これらの配線は、プロセス中、マスクスパッタリングなどで形成することは可能であるが、事前に配線を形成しておくことがより望ましい。配線材料としてはCu、Au、Alが一般的に用いられるが、本実施例では、Cuを用いた。コンタクト部26は、スペーサ50のノズル接着面側に固定された変形素子22の電極パッドと導線25を接続するためのものであり、この箇所ではノズル接着面とヘッドチップ30の接着面が電気的に接続される。
ここで、再度図5(A)を参照して、変形素子22が配置された箇所に電圧印加用の配線を施す必要があるが、本実施例では、各変形素子22の選択を導線25にて行い、変形素子22側の配線は接地線とするため、全面に金属膜として厚さ0.5μmのAuを成膜し、これを駆動電極とした。駆動電極、並びにヘッドチップ30接着面側の導線25はスペーサ50端部においてワイヤボンディングにより配線を行い、駆動回路と接続させる。さらに駆動電極及び変形素子22の腐食防止策として、両面に有機絶縁膜を形成する。
図6は、スペーサ50を備えたインクジェットヘッドの断面図を示した図である。なお、同図において有機絶縁膜及び接着剤は図示していない。
インクジェットヘッド100でインク吐出を行う場合は、各チャンネル壁33を挟んで向かい合う駆動電極41同士に互いに逆位相の電位を印加することでチャンネル壁33にシェアモード変形を起こさせる。すなわち、チャンネル壁33の両側の駆動電極41間に電位差を生じさせることで、チャンネル壁33のうち駆動電極41が形成された上半分と駆動電極41が形成されていない下半分との境目を折れ目としてチャンネル壁33が「く」の字形に変形する。この変形によるインク室40内の体積変化は、インク室40内のインクに圧力変化をもたらす。この圧力変化を利用してインク室40の先端部に配置したノズル孔11及び貫通孔21からインク液滴が吐出される。
ここで、スペーサ50に着目すると、スペーサ50のノズル接着面側の貫通孔21付近には変形素子22が配置され、さらにノズルプレート10側に、GND電極が形成される。一方、変形素子22から、電極パッドを介して、スペーサ50中を通過するコンタクト電極があり、コンタクト電極はスペーサのヘッドチップ30の接着面側に形成された導線25と接続している。ここで、全ての変形素子22は、GND電極を共通とし、各変形素子22に配線された導線25に電圧を印加することにより、特定の変形素子22を選択することができる。GND電極、ならびに導線25はスペーサ50端部から駆動回路に接続される。
図7は、図6に示した構成のインクジェットヘッドにおいて、本発明に基づく方法によりインク吐出を行った場合の概念図である。
図7(A)は通常のインク吐出を行った場合の図であり、図7(B)は、特定のノズルを変形させ、インク吐出方向を変更させた場合の図である。
図7(A)において、インクは、ノズルプレート10の法線方向に直進している。各変形素子22にはノズルプレート10側、スペーサ50側にそれぞれ電極が形成されている。ここで、特定の変形素子22(右から2番目)に着目し、各電極間に電圧を印加すると、変形素子22は図7(B)のように変形する。このとき変形素子22とノズルプレート10は接着剤により強固に接着されているため、変形素子22の変形に伴い、ノズルプレート10に形成されたノズル孔11の特定の箇所が変形する。その結果、インク吐出方向は、図7(A)の向きから変形が起こった面内である角度を持つようになる。
本発明における第2の実施形態の製造方法によるインクジェットヘッドと従来の製造方法によるインクジェットヘッドとを比較するために、タイプ1、タイプ2、タイプ3の3通りのインクジェットヘッドのサンプルを作成した。タイプ1は、従来方法(スペーサ50なし)で製造したインクジェットヘッドである。タイプ2は、変形素子22とスペーサ50との接着剤として、エポキシ系接着剤を用いたインクジェットヘッドである。タイプ3は、変形素子22とスペーサ50との接着剤として、シリコン架橋型フッ素系接着剤を用いたインクジェットヘッドである。これら3種類のサンプルをそれぞれ3ヘッドずつ製造し、各ヘッドについて連続吐出を行い、1ヶ月間の着弾精度を比較した。ここで、タイプ2、タイプ3のヘッドについては、着弾精度の確認結果に伴い、逐次吐出方向の調整を実施した。
その結果、本発明のインクジェットヘッド(タイプ2、タイプ3)では、着弾精度として、初期状態からのバラツキで5μm以内(最大−最小の差)を確保することができたが、従来のインクジェットヘッド(タイプ1)では10μmをオーバーしていた。生産用インクジェットヘッドとして着弾精度10μmをオーバーすることは致命的である。吐出速度については、いずれのヘッドにおいても大きな変化はなかった。更に、タイプ2、タイプ3のインクジェットヘッドについて、3ヶ月間の連続吐出による着弾精度を確認したところ、タイプ3のヘッドでは、やはり初期状態からのバラツキで5μm以内の着弾精度を確保していたのに対し、タイプ2のヘッドでは10μmをオーバーしていた。
この結果から、本発明のインクジェットでは、ノズルプレート10とヘッドチップ30の間に変形素子22を設けることによって、ノズルテーパ内への堆積物や、ノズル孔11のインク吐出口付近への凝集物などによって引き起こされる着弾精度劣化の影響がなく、吐出信頼性の高いインクジェットヘッドを製造することができるといえる。
更には、変形素子22とスペーサ50との接着剤として、シリコン架橋型フッ素系接着剤を用いることにより、変形素子22に十分な変形を与えることが可能となるため、更に高性能のインクジェットヘッドを製造することができるといえる。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
第1の実施形態によるインクジェットヘッドのヘッドチップの分解外略図 変形素子を配置したスペーサを示した図 ヘッドチップとスペーサ及びノズルプレートの接着プロセスを示した図 図1から図3に対応するインクジェットヘッドを用いて吐出した場合の概念図 第2の実施形態による変形素子を配置したスペーサを示した図 図5のスペーサを用いて製造したインクジェットヘッドの断面図 図6に対応するインクジェットヘッドを用いて吐出した場合の概念図
符号の説明
10−ノズルプレート
11−ノズル孔
22−変形素子
31−圧電基板
32−チャンネル溝
33−チャンネル壁

Claims (4)

  1. チャンネル壁によって隔てられた複数のチャンネル溝であって互いに平行に並ぶ前記複数のチャンネル溝が、形成された圧電基板と、
    前記チャンネル溝に対応した複数のノズル孔を有し、背面が前記圧電基板の前面に接合されるノズルプレートと、を備えたインクジェットヘッドにおいて、
    前記圧電基板と前記ノズルプレートとの間に配置され、前記ノズルプレートにおける前記ノズル孔の周縁部の少なくとも一部を厚さ方向に変形させる変形素子を備えたインクジェットヘッド。
  2. 前記圧電基板の前面と前記ノズルプレートの背面とのそれぞれの間に接着層を介して配置されるスペーサをさらに備え、前記変形素子は、前記スペーサの前面に固定された請求項1に記載のインクジェットヘッド。
  3. 前記スペーサは、前面に窪みが設けられ、前記窪みに前記変形素子を固定した際、前記スペーサの前面が面一となる請求項2に記載のインクジェットヘッド。
  4. 前記変形素子は、圧電素子、磁歪素子及び熱変形素子のいずれかである請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェットヘッド。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010214851A (ja) * 2009-03-18 2010-09-30 Fujifilm Corp 液体吐出装置およびインクジェット式記録装置
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