JP2008303095A - 複合ナノジルコニア粒子、分散液および歯科用硬化性組成物 - Google Patents
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Abstract
X線像影性と透明性に共に優れた歯科用硬化性組成物の硬化体を得る。
【解決手段】
平均一次粒子径が1nm以上20nm未満の範囲にあるナノジルコニア粒子と、その表面を改質するオルガノシランとを有する複合ナノジルコニア粒子を、レジン中に分散させた歯科用硬化性組成物とする。
【選択図】なし
Description
本発明の実施の形態に係る歯科用硬化性組成物は、モノマー(重合性単量体)に、X線像影性に優れた高屈折率を有するジルコニア粒子をナノレベルで分散させたものである。ジルコニア粒子をナノレベルで重合性単量体中に分散させるために、フィラーとしてナノジルコニア粒子(平均一次粒径:1nm以上20nm未満)を用い、かつ重合性単量体に分散させるに先立ち、当該ナノジルコニア粒子に対して、オルガノシランを用いて表面処理を施している。オルガノシランとして、20℃における屈折率(nD)が1.30以上1.60未満のものを好適に用いる。
本実施の形態に係る歯科用硬化性組成物の主成分は重合性単量体である。重合性単量体には、ラジカル重合性単量体や、エポキシ化合物、オキセタン化合物等のカチオン重合性単量体等が挙げられるが、ここでは、ラジカル重合性単量体を好適に用いる。ラジカル重合性単量体としては、ビニル基等の重合性不飽和結合を有するものであれば、特に限定されることなく、例えば、(メタ)アクリレート系、ジビニルベンゼン等の芳香族化合物系、アルキルビニルエーテル等のエーテル系の重合性単量体を使用することができる。それらの中でも、重合性の良さなどから、(メタ)アクリレート系の単量体が好適に用いられる。当該(メタ)アクリレート系の重合性単量体を具体的に例示すると、次に示すものが挙げられる。
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のアルキルエステル;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、プロピオンオキシエチル(メタ)アクリレート、ブタノンオキシエチル(メタ)アクリレート;1H,1H,3H−ヘキサフルオロブチルメタクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタクリレート、1H,1H,6H−デカフルオロヘキシルメタクリレート及び1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルメタクリレート等の含フッ素(メタ)アクリレート等が挙げられる。
エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート、2,2−ビス(メタクリロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(3−メタクリロキシ)−2−ヒドロキシプロポキシフェニル]プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシテトラエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシジプロポキシフェニルプロパン、2−(4−メタクリロキシエトキシフェニル)−2−(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2−(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)−2−(4−メタクリロキシトリエトキシフェニル)プロパン、2−(4−メタクリロキシジプロポキシフェニル−2−(4−メタクリロキシトリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシイソプロポキシフェニルプロパン、及びこれらのアクリレート等が挙げられる。
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等が挙げられる。これらのモノマーの中でも、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アセトキシエチル(メタ)アクリレート、プロピオンオキシエチル(メタ)アクリレート、ブタノンオキシエチル(メタ)アクリレート;1H,1H,3H−ヘキサフルオロブチルメタクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタクリレート、1H,1H,6H−デカフルオロヘキシルメタクリレート及び1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルメタクリレート等の含フッ素(メタ)アクリレートを好適に用いることができ、これらのモノマーに他のモノマーを組み合わせて使用することも好ましい。
複合ナノジルコニア粒子は、ナノジルコニア粒子の表面にオルガノシランを有する複合粒子である。複合ナノジルコニア粒子は、歯科材料として必要となる機械的特性に応じて、その含有量を調整可能である。特に、重合性単量体100質量部に対して1〜40質量部の割合で複合ナノジルコニア粒子を添加するのが好ましい。
ナノジルコニア粒子は、一次粒子の平均粒径が1nm以上20nm未満の範囲の粒子である。より好ましいナノジルコニア粒子は、一次粒子の平均粒径が3nm以上15nm以下の範囲の粒子であり、更に好ましいのは、一次粒子の平均粒径が5nm以上9nm以下の範囲の粒子である。一次粒子の平均粒径が上記の範囲内にあれば、当該一次粒子の凝集体の平均粒径が上記の範囲外であっても良い。ナノジルコニア粒子の結晶形態は、結晶質または非結晶質のいずれでも良いが、X線像影性を高めるには、結晶質のナノジルコニア粒子の方が好ましい。さらには、結晶質のナノジルコニア粒子において、その結晶形態は、単斜晶、正方晶若しくは立方晶から成る単結晶の形態、あるいはそれらの2以上の結晶が混在した多結晶の形態のいずれでも良い。
オルガノシランとしては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルクロロシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキエトキシ)シラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリ(トリメチルシロキシ)シラン、ω−メタクリロキシデシルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルペンタメチルジシロキサン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等を挙げることができる。
本発明の実施の形態に係る歯科用硬化性組成物には、前記の重合性単量体を重合させるための重合開始剤が配合される。当該重合開始剤としては、公知の重合開始剤が使用可能である。歯科分野で用いられる重合開始剤としては、化学重合開始剤(常温レドックス開始剤)、光重合開始剤、熱重合開始剤等があるが、口腔内で硬化させることを考慮すると、化学重合開始剤及び/又は光重合開始剤が好ましい。
化学重合開始剤は、2成分以上からなり、使用直前に全成分が混合されることにより室温近辺で重合活性種を生じる重合開始剤である。このような化学重合開始剤としては、アミン化合物/有機過酸化物系のものが代表的である。該アミン化合物を具体的に例示すると、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエタノール−p−トルイジンなどの芳香族アミン化合物が例示される。
光重合開始剤としては、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾインアルキルエーテル類、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタールなどのベンジルケタール類、ベンゾフェノン、4,4'−ジメチルベンゾフェノン、4−メタクリロキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類、ジアセチル、2,3−ペンタジオンベンジル、カンファーキノン、9,10−フェナントラキノン、9,10−アントラキノンなどのα-ジケトン類、2,4−ジエトキシチオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、メチルチオキサンソン等のチオキサンソン化合物、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−プロピルフェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−1−ナフチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)―フェニルホスフィンオキサイドなどのビスアシルホスフィンオキサイド類等を使用することができる。
熱重合に使用できる重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、トリブチルボラン、トリブチルボラン部分酸化物、テトラフェニルホウ酸ナトリウム、テトラキス(p−フロルオロフェニル)ホウ酸ナトリウム、テトラフェニルホウ酸トリエタノールアミン塩等のホウ素化合物、5−ブチルバルビツール酸、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸等のバルビツール酸類、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、p−トルエンスルフィン酸ナトリウム等のスルフィン酸塩類等が挙げられる。
(4.1)可塑剤
可塑剤は、特に限定されず、通常、歯科用分野に使用されるものが使用できる。代表的なものを例示すれば、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブヂルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジイソデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジイソノニルフタレート、エチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等のフタル酸エステル、ジブチルアジペート、ジブチルジグリコールアジペート、ジブチルセバチート、ジオクチルセバチート、ジブチルマレエート、ジブチルフマレート等のフタル酸以外の二塩基酸エステル、グリセロールトリアセテート等のグリセリンエステル、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル等である。上記エステル類の内、脂肪族エステルは、炭素原子数1〜12、さらには1〜8のものが好ましい。特に、上記記載の可塑剤の内、フタル酸エステルが好適である。これらの可塑剤は、必要に応じて1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の実施の形態に係る歯科用硬化性組成物には、さらに紫外線に対する変色防止のため、公知の紫外線吸収剤を添加してもよい。また、保存安定性を向上させるために、公知の重合禁止剤を配合することも好ましい。
本発明の実施の形態に係る歯科用硬化性組成物には、複合ナノジルコニア粒子とは異なる他の充填材を添加しても良い。充填材を添加することによって、機械的強度、耐水性を向上させることができる。充填材としては、シリカ等の無機粉体、ポリメチルメタクリレート等の有機粉体、または有機無機複合粉体、もしくはこれらの混合物など、公知のものを制限なく使用することができる。有機無機複合粉体は、例えば無機粉体を一度分散させた重合性単量体混合物を重合硬化させて得られる無機酸化物とポリマーの複合体を粉砕して得ることができる。これらの充填材をシランカップリング剤に代表される表面処理剤で処理することは、重合性単量体とのなじみを良好にし、機械的強度および耐水性を向上させるうえで望ましい。
本発明の実施の形態に係る分散液は、既に説明した複合ナノジルコニア粒子を、分散媒に分散させたものである。ここでは、複合ナノジルコニア粒子についての重複した説明を省略し、分散媒についてのみ説明する。
分散媒には、「1.歯科用硬化性組成物」にて既に説明した重合性単量体、アルコール、アセトン、または水のいずれかあるいはこれらの1以上の混合物を好適に用いることができる。ただし、分散媒は、これらに限定されるものではない。また、分散液に、オルガノシランを含んでいても良い。上記のアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール等を例示することができる。
有機無機複合充填材用のマトリックスとして、本発明の複合ナノジルコニア粒子分散液(重合性単量体分散液)を使用することができる。これによって、有機無機複合充填材のメリットである、良好な研磨性、重合収縮の低減、操作性の向上といった特徴だけで無く、X線像影性を更に高めることができる。また、通常のマトリックスレジンとして使用する場合よりも、操作性、強度において優れた物性を得るための設計が容易になる。
以下に説明する各実施例および各比較例において採用した評価方法は、以下のとおりである。
(1)ジルコニア粒子の分散性
ジルコニア粒子のモノマーに対する分散性を目視にて評価した。ジルコニア粒子が均一に分散し、透明性が極めて高いものを「二重丸」、ジルコニア粒子がほぼ均一に分散し、透明性が高いものを「丸」、ジルコニア粒子が一部凝集、沈降、もしくは液が白濁しているものを「バツ」とした。
厚さ1mmの金型に、製造した歯科用硬化性組成物を充填し、上下面からスライドガラスで圧接し、両面からそれぞれ1分間ずつ光照射して、該充填物を硬化させた。この試料について、標準白色板を背後に密着させた状態と暗箱によって透過光を全て吸収した状態で、それぞれY値を測定した。前者をYw、後者をYbとしたとき、コントラスト比(C)=Yb/Ywを、透明性の指標とした。
JIST6514(X線像影性試験)に準じて評価試験を行った。試験片のX線不透過性に相当するアルミニウムの厚さをX線像影性(mm)とした。
表1に、ジルコニア分散液の製造時の組成およびジルコニア分散液の評価結果を示す。表1中、「粒径」とは、平均一次粒子径を意味する。
10wt%ジルコニア水溶液(ジルコニア:平均一次粒子径7nm、住友大阪セメント製)100g、γ-メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン(以下、「MPS」と略す。)30g、トリエチレングリコールジメタクリレート(以下、「TEGDMA」と略す。)60g、アセトン100mlを混合、攪拌して均一にした後、エバポレーターを用いて溶液中の水、アセトンを減圧留居し、真空ポンプを用いて減圧乾燥を行った。得られた複合ジルコニア分散液は、極めて透明性の高い液体(評価:二重丸)であった。
10wt%ジルコニア水溶液(ジルコニア:平均一次粒子径7nm、住友大阪セメント製)100g、MPS10g、TEGDMA80g、アセトン100mlを混合、攪拌して均一にした後、エバポレーターを用いて溶液中の水、アセトンを減圧留居し、真空ポンプを用いて減圧乾燥を行った。得られた複合ジルコニア分散液は、透明性の高い液体であった(評価:丸)。
10wt%ジルコニア水溶液(ジルコニア:平均一次粒子径7nm、住友大阪セメント製)100g、TEGDMA90g、アセトン100mlを混合、攪拌して均一にした後、エバポレーターを用いて溶液中の水、アセトンを減圧留居し、真空ポンプを用いて減圧乾燥を行った。得られた分散液には、白色の凝集が観察された(評価:バツ)。
10wt%ジルコニア水溶液(ジルコニア:平均一次粒子径20nm、第一希元素製)100g、MPS10g、TEGDMA80g、アセトン100mlを混合、攪拌して均一にした後、エバポレーターを用いて溶液中の水、アセトンを減圧留居し、真空ポンプを用いて減圧乾燥を行った。得られた複合ジルコニア分散液は白濁していた(評価:バツ)。
表2に、硬化体の製造に用いたジルコニア分散液および硬化体の評価結果を示す。表2中、「粒径」とは、平均一次粒子径を意味する。
実施例1で得られた複合ジルコニア分散液に、カンファーキノン0.3質量部、ジメチルアミノ安息香酸エチル0.5質量部を均一に溶解し、光硬化性のマトリックスモノマーとした。このマトリックスモノマー100質量部に対して、無機粉体としてシリカチタニア粒子(20℃における屈折率(nD)=1.51、平均粒径0.33μm、MPS表面処理物)を200質量部混合し、減圧脱泡することで、均一な光硬化性ペーストを調整した。このペーストを用いて硬化体を作製して評価を行ったところ、コントラスト比(C)は0.10、X線像影性は2.5であり、いずれも良好な値を示した。
10wt%ジルコニア水溶液(ジルコニア:平均一次粒子径7nm、住友大阪セメント製)100g、11−メタクリロイロキシウンデシルトリメトキシシラン(以下、「MUDS」と略す。)24g、2,2−ビス(4−(3−メタクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロポ キシフェニル)プロパン(以下、「bis−GMA」と略す。)40g、TEGDMA26g、アセトン100mlを混合、攪拌して均一にした後、エバポレーターを用いて溶液中の水、アセトンを減圧留居し、真空ポンプを用いて減圧乾燥を行った。得られた複合ジルコニア分散液は、透明液体であった。
15wt%ジルコニア水溶液(ジルコニア:平均一次粒子径7nm、住友大阪セメント製)100g、MPS35g、TEGDMA50g、アセトン100mlを混合、攪拌して均一にした後、エバポレーターを用いて溶液中の水、アセトンを減圧留居し、真空ポンプを用いて減圧乾燥を行った。得られた複合ジルコニア分散液は、透明な液体であった。なお、表2中において、15wt%ジルコニア水溶液を用いたことを明確にすべく、ジルコニア水溶液の質量およびジルコニアの平均一次粒子径の各値をカッコ書にて表示した。
10wt%ジルコニア水溶液(ジルコニア:平均一次粒子径7nm、住友大阪セメント製)100g、ジフェニルジメトキシシラン(以下、「DPDMS」と略す。)30g、bis−GMA36g、TEGDMA24g、アセトン100mlを混合、攪拌して均一にした後、エバポレーターを用いて溶液中の水、アセトンを減圧留居し、真空ポンプを用いて減圧乾燥を行った。得られた複合ジルコニア分散液は透明な液体であった。
bis−GMA60質量部、TEGDMA40質量部、カンファーキノン0.3質量部、ジメチルアミノ安息香酸エチル0.5質量部を均一に溶解し、光硬化性のマトリックスモノマーとした。このマトリックスモノマー100質量部に対して、無機粉体としてシリカチタニア粒子(20℃における屈折率(nD)=1.53、平均粒径0.35μm、MPS表面処理物)を200質量部混合し、減圧脱泡することで、均一な光硬化性ペーストを調整した。このペーストを用いて硬化体を作製して評価を行ったところ、コントラスト比(C)は0.10であったが、X線像影性は1.5と低い値であった。
比較例2で得られた複合ジルコニア分散液に、カンファーキノン0.3質量部、ジメチルアミノ安息香酸エチル0.5質量部を均一に溶解し、光硬化性のマトリックスモノマーとした。このマトリックスモノマー100質量部に対して、無機粉体としてシリカチタニア粒子(20℃における屈折率(nD)=1.51、平均粒径0.33μm、MPS表面処理物)を200質量部混合し、減圧脱泡することで、均一な光硬化性ペーストを調整した。このペーストを用いて硬化体を作製して評価を行ったところ、コントラスト比(C)は0.51、X線像影性は2.3であった。
Claims (5)
- 平均一次粒子径が1nm以上20nm未満の範囲にあるナノジルコニア粒子と、その表面を改質するオルガノシランとを有することを特徴とする複合ナノジルコニア粒子。
- 前記オルガノシランは、20℃における屈折率が1.30以上1.60未満であることを特徴とする請求項1に記載の複合ナノジルコニア粒子。
- 前記オルガノシランの含有量は、前記ナノジルコニア粒子100質量部に対して、200質量部以上400質量部以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の複合ナノジルコニア粒子。
- 請求項1から3のいずれか1項に記載の複合ナノジルコニア粒子を分散媒に分散させた分散液。
- 請求項1から3のいずれか1項に記載の複合ナノジルコニア粒子がレジン中に分散した歯科用硬化性組成物。
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