JP2008302311A - コールドスプレー方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】材料粉末Aをノズル11Nから高速で噴射して基材B上に堆積させるコールドスプレー方法において、所定圧力に減圧したチャンバー20内に基材B及びノズル11Nを配置する工程と、基材Bに向けて材料粉末Aを噴射する工程と、を有する。所定圧力は、ノズル11Nから材料粉末Aと共に噴射する作動ガスGの圧力や、材料粉末Aの平均粒径に基づいて規定される。
【選択図】図1
Description
材料粉末としては、金属、合金、金属間化合物、セラミックスなどが用いられる。また、作動ガスとしては、空気、窒素、ヘリウムなどが用いられ、材料粉末の融点よりも低い温度に設定される。
ところが、上述した技術では、チャンバー内を真空にする必要があるため、却ってランニングコストが上昇して不経済になってしまうという問題がある。
本発明は、材料粉末をノズルから高速で噴射して基材上に堆積させるコールドスプレー方法において、所定圧力に減圧したチャンバー内に前記基材及び前記ノズルを配置する工程と、前記基材に向けて材料粉末を噴射する工程と、を有することを特徴とする。
これにより、材料粉末が受ける空気抵抗が減るので、材料粉末の噴射速度を容易に高められる。
また、前記所定圧力は、前記ノズルから前記材料粉末と共に噴射する作動ガスの圧力に基づいて規定されることを特徴とする。
また、前記所定圧力は、前記作動ガスの種類に基づいて規定されることを特徴とする。
これにより、作動ガスの使用量を減らしたり、粉末加速性能は劣るが低コストの作動ガスを用いたりすることができる。
また、前記所定圧力は、前記材料粉末の種類に基づいて規定されることを特徴とする。
これにより、平均粒径が比較的大きい材料や、硬質なため微細に粉砕しづらい材料であっても、噴射速度を容易に高めることができる。
本発明に係るコールドスプレー方法では、所定圧力に減圧したチャンバー内において材料粉末を高速で噴射するので、材料粉末が受ける空気抵抗が減って材料粉末の噴射速度が容易に高められる。したがって、基材上に、密着度が高く、良質な皮膜を形成することができる。
図1は、コールドスプレーシステム1の概略構成を示す模式図である。
図2は、コールドスプレー装置10の概略構成を示す模式図である。
コールドスプレー装置10は、材料粉末Aを音速〜超音速で基材Bの表面に固体状態で衝突させて皮膜Rを成膜するための装置であって、材料粉末Aを高圧の作動ガスGと共に噴射するスプレーガン11、所望量の材料粉末Aを作動ガスGと共にスプレーガン11に供給する粉末供給部12、作動ガスGを所定温度に加熱してスプレーガン11に供給するガス加熱器13、粉末供給部12及びガス加熱器13に対して作動ガスGを供給する不図示のガス供給部等を備えている。
なお、作動ガスGとしては、空気、窒素、ヘリウム、アルゴンなどが用いられる。特に、不活性ガス(ヘリウム)が好適である。ガス圧力は、0.27〜0.69MPa程度であるが、特に、0.59〜0.69MPa程度が好適である。
従来のプラズマ溶射法、フレーム溶射法、高速フレーム溶射法などに比べ、材料粉末をあまり加熱せずに固相状態のまま基材Bに付着させることができる。
これによって得た皮膜Rは、緻密で密度、熱伝導率・導電性が高い、密着性も良好である等の優れた性質を有する。特に、材料粉末Aを加熱して溶融させないので、酸化や熱変質が殆どないという優れた性質を有する。
減圧チャンバー20には排気装置22が連結されており、この排気装置22により減圧チャンバー20内が0.01〜0.1MPa程度に減圧できるようになっている。
次に、コールドスプレー装置10を作動させて、基材Bに向けて材料粉末Aを噴射して皮膜Rを形成する。
減圧チャンバー20内を減圧すると、材料粉末Aが受ける空気抵抗は小さくなる。具体的には、減圧チャンバー20内の圧力が0.01MPa程度となると、大気中(0.1MPa)の場合にくらべて、材料粉末Aが受ける空気抵抗は1/10程度となる。
このため、作動ガスGの使用量(流量)・圧力が一定であれば、材料粉末Aの噴射速度は高くなる。したがって、例えば、作動ガスGの使用量(流量・圧力)を減らしたとしても、材料粉末Aの噴射速度を300〜800m/s程度に維持することが可能となる。
このように、コールドスプレー処理時の作動ガスGの使用量を減らしたり、低コスト(加速性能が低い)の作動ガスGを用いたりすることで、ランニングコストを確実に抑えることができる。
例えば、硬質の材料(硬質コーティング材等)では、コールドスプレー方法に適する微細粉末(例えば、平均粒径が5μm程度)を作製するために、粉砕処理に多大なコストや時間を要している。
しかし、材料粉末Aが受ける空気抵抗は少なくなれば、平均粒径が比較的大きい材料粉末Aであっても、良好にコールドスプレー方法に用いることが可能となるので、粉砕処理の回数・時間を減らことができる。
したがって、硬質で高性能な皮膜を、従来に比べて低コストに形成することができる。
通常、大気中(0.1MPa)におけるコールドスプレー処理では、作動ガスGの圧力Qは0.59〜0.69MPa程度に設定される。この際、材料粉末Aが受ける空気抵抗は、約8.4×10−4mNとなる。
これに対して、例えば、作動ガスGの圧力Qを半分程度(0.27〜0.345MPa)に設定し、減圧チャンバー20内の圧力Pを0.05MPa程度に設定する。
これにより、作動ガスGの圧力Qを小さくしたとしても、材料粉末Aが受ける空気抵抗が大気中の場合の約半分(約4.3×10−4mN)となるので、材料粉末Aの噴射速度は低下することなく、300〜800m/s程度に維持できる。
材料粉末Aを300〜800m/s程度の噴射速度まで加速させるためには、加速性能が高いガスを作動ガスとして用いることが好ましい。しかし、上述したように、加速性能が高いガスは、分子量が小さいガス(例えば水素ガス、ヘリウムガス等)であり、一般に高コストである。このため、作動ガスGの使用量を減らすことができれば、コールドスプレー処理のランニングコストを低減させることができる。
そこで、作動ガスGが高コストなガスの場合には、例えば、減圧チャンバー20内の圧力Pを0.07MPa程度に設定し、作動ガスGの圧力Qを半分程度(0.27〜0.345MPa)に設定する。
これにより、材料粉末Aを加速させる能力が半減したとしても、材料粉末Aが受ける空気抵抗が大気中の場合の約半分となるので、材料粉末Aの噴射速度は低下することなく、300〜800m/s程度に維持できる。したがって、高コストの作動ガスG(水素ガス、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等)の使用量を通常の場合(大気中におけるスプレー処理)に比べて、半分以下に減らすことができ、ランニングコストを確実に抑えることができる。
このように、作動ガスGとして材料粉末Aを加速させる性能が劣るガスを用いたとしても、材料粉末Aが受ける空気抵抗が大気中の場合に比べて小さくなるので、材料粉末Aの噴射速度は低下することなく、300〜800m/s程度に維持できる。
したがって、従来は作動ガスGとして必ずしも適していなかった高分子量のガスであっても、コールドスプレー処理に好適に用いることが可能となり、コールドスプレー処理のランニングコストの低減を図ることができる。
コールドスプレー処理に用いられる材料粉末Aは、その平均粒径が約5μm程度であるのが好ましい。しかし、例えば、硬質のコーティング材(タングステンカーバイド)やセラミックス等を用いる場合には、粉砕処理に多大な労力や時間を費やしている。
そこで、このような材料を材料粉末Aとして用いる場合には、その平均粒径を例えば20〜25μm程度に設定し、材料粉末Aが受ける空気抵抗が増加するのを相殺するように、減圧チャンバー20内の圧力Pを例えば、0.07MPa程度に設定する。これにより、300〜800m/s程度の噴射速度を確保することができる。
このように、従来よりも平均粒径が比較的大きいものを材料粉末Aとして用いることができるので、コールドスプレー処理以前の準備処理(材料の粉砕処理)のコスト低減を図ることができる。
例えば、比重(重量)が高く、加速性が悪い材料であっても、それに応じて減圧チャンバー20内の圧力Pを低く(例えば、0.07MPa程度)設定することで、300〜800m/s程度の噴射速度を確保することできる。
また、例えば、材料粉末Aが脆性材料の場合には、延性材料の場合に比べて、減圧チャンバー20内の圧力Pを低く設定する。これにより、皮膜Rの密着度が劣る脆性材料であっても、噴射速度を上げることで高い密着度の皮膜Rを形成可能となる。
これにより、材料粉末Aに応じて減圧チャンバー20内の圧力Pを設定することで、例えば、コールドスプレー処理には不適な材料であっても、良好な皮膜Rを形成することが可能となる。
また、材料粉末Aの噴射速度を検出して、この噴射速度が300〜800m/s程度の範囲内に収まるように、減圧チャンバー20内の圧力Pを制御してもよい。
10…コールドスプレー装置
11N…ノズル
20…減圧チャンバー
B…基材
A…材料粉体
G…作動ガス
R…皮膜
Claims (6)
- 材料粉末をノズルから高速で噴射して基材上に堆積させるコールドスプレー方法において、
所定圧力に減圧したチャンバー内に前記基材及び前記ノズルを配置する工程と、
前記基材に向けて前記材料粉末を噴射する工程と、
を有することを特徴とするコールドスプレー方法。 - 前記所定圧力は、0.01〜0.1MPaであることを特徴とする請求項1に記載のコールドスプレー方法。
- 前記所定圧力は、前記ノズルから前記材料粉末と共に噴射する作動ガスの圧力に基づいて規定されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコールドスプレー方法。
- 前記所定圧力は、前記作動ガスの種類に基づいて規定されることを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載のコールドスプレー方法。
- 前記所定圧力は、前記材料粉末の平均粒径に基づいて規定されることを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載のコールドスプレー方法。
- 前記所定圧力は、前記材料粉末の種類に基づいて規定されることを特徴とする請求項1から請求項5のうちいずれか一項に記載のコールドスプレー方法。
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- 2007-06-08 JP JP2007152636A patent/JP2008302311A/ja active Pending
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