JP2008297345A - ポリビニルアセタール系熱硬化性樹脂組成物および粉体塗料 - Google Patents
ポリビニルアセタール系熱硬化性樹脂組成物および粉体塗料 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】 水酸基と反応する官能基を有するポリビニルアセタール粉体(A)および顔料粉体(B)からなり、かつ下記条件を満足する熱硬化性樹脂組成物。
(1)(A)の平均粒子径(AD)が10〜250μm
(2)(B)/(A)の重量比が0.1/100〜50/100
【選択図】 なし
Description
とくに接着剤組成物は知られている(特許文献1、特許文献2)。しかしながら、これらは溶剤溶液系の接着剤組成物であり、有機溶媒を使用するために環境に負荷がかかるという問題点がある。
(1)(A)の平均粒子径(AD)が10〜250μm
(2)(B)/(A)の重量比が0.1/100〜50/100
(1)(A)の平均粒子径(AD)が10〜250μm
(2)(B)/(A)の重量比が0.1/100〜50/100
(3)(B)の平均粒子径(BD)が2〜150μm
(4)|AD−BD|<100μm
さらにまた、本発明の熱硬化性樹脂組成物、とくに粉体塗料は、樹脂粉体と顔料粉体が層分離を起こさず、粉体塗料の流動性が優れている。さらにまた、ポリビニルアセタールは基材との接着性に優れているので、とくにプライマーなどによる前処理をしなくとも、基材との優れた接着性を付与することができるし、また高い硬度を有する塗膜を形成することもできる。
また、共単量体として用いる不飽和モノカルボン酸エステルとしては、アクリル酸またはその塩、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシルなどのアクリル酸エステル類、メタクリル酸およびその塩、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシルなどのメタクリル酸エステル類が挙げられる。
ビニルエステル系単量体を重合して得た重合体をけん化して得たビニルアルコール系重合体は、けん化度によりそれぞれの単位の含有率は異なるが、ビニルアルコール単位と、上記ビニルエステル系単量体に対応するビニルエステル単位とを含んでいる。たとえば、ビニルエステル系単量体として酢酸ビニルを用いた場合、上記製造方法により得られたビニルアルコール系重合体は、ビニルアルコール単位と酢酸ビニル単位とを含む。
まず、ビニルアルコール系重合体の水溶液{濃度3〜15重量%;濃度は(ビニルアルコール系重合体の重量)/(ビニルアルコール系重合体水溶液の重量)×100で算出された値}の温度を80〜100℃に調整し、徐々に温度を下げながら、10〜60分かけて、−10〜30℃に低下したところで、アルデヒドおよび触媒を添加し、温度を一定に保ちながら、30〜300分反応を進め、さらに30〜200分かけて、40〜80℃迄昇温し、この温度範囲において1〜3時間程度保持する。次に、全体を、好適には、室温まで冷却し、水洗後、中和剤(アルカリ等)を添加し、乾燥することにより目的とするポリビニルアセタール粉体が得られる。また、上記方法により最大粒子径が250μmを越える集合粒子はほとんど生成しないが、最大粒子径250μmを越える集合粒子が生成した場合は、フイルターにより除去することが好適である。
顔料粉体がこの条件を満足することにより、塗膜に優れた着色性を付与することができ、さらに優れた流動性を付与することができる。平均粒子径は、好適には130μm以下であり、最適には100μm以下である。また平均粒子径の下限値については、好適には5μm以上、最適には10μm以上である。最大粒子径は250μm以下であることが好適である。
ポリアミド系樹脂としては、ナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−6/6,6共重合体、ナイロン−9、ナイロン−6,10、ナイロン−11、ナイロン12などがあげられ、これらは1種または2種以上が用いられる。なかでも、ナイロン−11、12は、より好適である。これらのポリアミド系樹脂粉体を併用することにより、塗膜に高い耐衝撃性を付与することができ、さらにまた、流動性、粉落ち性に優れた粉体塗料を得ることができる。ここで、「粉落ち性」とは、基材表面への粉体塗料の塗布時に、当該表面に付着する余分な塗料の量に対応する評価項目であり、目視により判定される。粉体塗料の粉落ち性が良好な場合、上記余分な塗料の量が少ない、あるいは、余分な塗料の付着が見られないため、塗料の塗布ムラが生じにくく、一方、粉落ち性が低下すると、上記余分な塗料の量が増大し、塗料の塗布ムラが生じやすくなる。
さらにまた、本発明においては、添加剤として、タレ防止剤、表面調整剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、架橋を促進する触媒などを適宜配合することができる。
粉体塗料に使用する場合、さまざまな粉体塗装法で使用可能である。粉体塗装法としては、流動浸漬法、静電塗装法、溶射法等が挙げられる。塗装温度条件は、塗装方法や、用いられるポリビニルアセタールの重合度等により異なるが、100〜300℃程度が好ましい。
また、本発明の粉体塗料を、金属を代表とする基材上に塗布することにより、塗膜を多層構造とすることもできる。ここで、多層化を行う方法は特に限定されないが、例えば、本発明の粉体塗料を複数回塗布する方法、本発明の粉体塗料と、他の粉体塗料との塗布を、所定のパターンで、たとえば交互に、複数回行う方法、本発明の粉体塗料と他の粉体塗料とからなる混合物を塗布し、両者の親和性の差により、基材表面での溶融時に相分離させることにより、一回の塗装により多層の樹脂層を形成する方法、などを用いることができる。なかでも、粉体塗料を複数回塗布する方法は、樹脂間の親和性などを考慮する必要がなく、より好適である。
(ポリビニルアセタールの酢酸ビニル基含有量)
DMSO−d6に2%の濃度で溶解し、1H−NMR(日本電子製;AL400型)を用い、80℃で測定し、算出した。
(ポリビニルアセタールのビニルアルコール基含有量)
DMSO−d6に2%の濃度で溶解し、1H−NMR(日本電子製;AL400型)を用い、80℃で測定し、算出した。
(ポリビニルアセタールのグリオキシル酸変性量、無水マレイン酸の変性量)
DMSO−d6に2%の濃度で溶解し、1H−NMR(日本電子製;AL400型)を用い、80℃で測定し、算出した。変性量はポリビニルブチラールの主鎖のエチレンパートに対して計算した。
(株)島津製作所製の粒度分布測定装置SALD2200を用いて測定した。
(ポリビニルアセタール粉体の水分量)
{(含水ポリビニルアセタール粉体の重量−ポリビニルアセタール粉体の乾燥重量)/含水ポリビニルアセタール粉体の重量}×100で求められる値。ここで、ポリビニルアセタール粉体の乾燥重量とは、ポリビニルアセタール粉体を乾燥機中105℃で3時間乾燥したときの重量である。
(ポリビニルブチラールの調製)
還流冷却器、温度計およびイカリ型攪拌翼を備えた内容積2リットルのガラス製容器に、イオン交換水1295gと、イタコン酸変性ポリビニルアルコール(PVA−1:重合度600、けん化度98モル%、変性度1.0モル%)105gとを仕込み、全体を95℃に昇温してPVAを完全に溶解させ、PVA水溶液(濃度7.5重量%)を形成した。形成したPVA水溶液を、回転速度120rpmにて攪拌し続けながら、約30分かけて10℃まで徐々に冷却した後、当該水溶液に、ブチルアルデヒド53g、および、ブチラール化触媒である酸触媒として濃度20重量%の塩酸90mlとを添加して、PVAのブチラール化を開始した。ブチラール化を150分間行った後、60分かけて全体を50℃まで昇温し、50℃にて120分間保持した後に、室温まで冷却した。冷却によって析出した樹脂をろ過後、イオン交換水(樹脂に対して100倍量のイオン交換水)で洗浄した後、40℃で15時間保持した後、さらに100倍量のイオン交換水で再洗浄し、脱水したのち、40℃、減圧下で18時間乾燥し、イタコン酸変性ポリビニルブチラール(PVB−1)粉体(水分含有量1.0%)を得た。得られた粉体(PVB−1)のブチラール化度は68モル%、残存アセチル基(酢酸ビニル単位の含有率)は2モル%、変性度1.0モル%、残存水酸基(ビニルアルコール単位)の含有率は29モル%であった。
上記により得られたイタコン酸変性ポリビニルブチラール粉体(PVB−1)を乾燥後、60メッシュ(目開き250μm)の金網を用い、250μm以上の粒子を取り除いて、平均粒子径85μmのポリビニルブチラール粉体(A−1)を調製した。
(粉体塗料の調製)
上記作製した粉体(A−1)100部に対して顔料粉体{メルク(株)製の「Iriodin 100 Silver Pearl」(パール顔料)(平均粒子径35μm、粒子径250μm以上の粒子無し)5部をドライブレンダーにより混合して、本発明の粉体塗料を得た。
0.8mm厚×50mm×100mmのステンレス板(SAS304)の表面を洗剤で洗浄して脱脂、イオン交換水で十分に洗浄して基材とした。前記基材に対して、上記作製した粉体塗料を用い、流動浸漬法により塗装を行った。流動浸漬は多孔板を通して円筒状の塗装室(流動室)(高さ50cm、直径30cm)に空気を吹き込み、前記粉体塗料を流動させた。前記ステンレス板からなる基材を予熱し(温度230℃、10分間)、これをポリビニルブチラール粉体の流動層中に懸垂し、10秒経過した後取り出し、230℃の温度条件で10分間後加熱して塗装物を得た。
(ポリビニルブチラール粉体の流動性)
塗装室内におけるポリビニルブチラール粉体の流動性を、上記多孔板からの空気により吹き上げられた粉体塗料における上面の状態を、目視により観察して評価した。以下の基準にしたがって評価した。結果を表1に示す。
○:ポリビニルブチラール粉体が均一に流動する。
△:ポリビニルブチラール粉体は流動するが、その状態にムラがある。
×:ポリビニルブチラール粉体は全体が流動せず、空気が粉体表面の一部より噴出する。
(塗膜の着色性)
基材に塗布した塗膜の着色性を目視により以下の基準で評価した。
○:着色状態にムラなし。
△:若干ムラが見られる。
×:全面がマダラ模様。
(塗膜の厚みの均一性)
基材の表面に形成された塗膜の厚みの均一性を以下の方法にしたがって評価した。結果を表1に示す。
1サンプルについて、塗膜の厚みを5点測定して、その平均値を求め、その平均値に対する最大値と最小値の差を%で示した。値が低いほど塗膜の厚みの均一性が高い。
○:20%未満
×:20%以上
(塗膜の耐エタノール性試験)
塗装板の塗膜部分をエタノールで湿らせた布で5回拭き、塗膜表面の状態を目視により、以下の基準に従って評価した。
○:塗膜表面の変化無し。
×:塗膜表面が溶解し、塗膜変化(痕跡残、顔料付着)あり。
(粉砕品の調整)
上記作製した粉体(A−1)100部に対し、顔料{東海カーボン(株)製の「トーカカーボン#7100F」(カーボンブラック)、平均粒子径42μm}5部添加し、ドライブレンダーにより混合後、エクストルーダーで混練、粉砕し、60メッシュで分級を行い平均粒径77μmの粉体塗料を得た。
得られた粉体塗料で実施例1と同様に粉体塗装を行った。得られた塗膜の評価結果を表1に示す。
(顔料を内部又は表面に含む樹脂粉体の調整)
ポリビニルアセタール(Kuraray Europe GmbH製:Mowital B30H 平均粒子径 102μm)100部に対し、東海カーボン(株)製の「トーカカーボン#7100F」(カーボンブラック)20部添加し、ドライブレンダーにより混合後、エクストルーダーで混練、粉砕し、60メッシュで分級を行い平均粒径80μmの樹脂粉体(MB−1)を得た。
粉体(A−1)100部に樹脂粉体(MB−1)20部をドライブレンダーにより混合して、本発明の粉体塗料を得た。
得られた粉体塗料で実施例1と同様に粉体塗装を行った。得られた塗膜の評価結果を表1に示す。
実施例1において、顔料5部に代えて、顔料20部を用いた他は、実施例1と同様にして粉体塗装を行った。得られた塗膜の評価結果を表1に示す。
実施例1において、顔料「Iriodin 100 Silver Pearl」に代えて、顔料{東海カーボン(株)製の「トーカカーボン#7100F」(カーボンブラック)、平均粒子径42μm}を用いた他は、実施例1と同様にして粉体塗装を行った。得られた塗膜の評価結果を表1に示す。
実施例1において、顔料「Iriodin 100 Silver Pearl」に代えて、顔料{森下弁柄工業(株)製の「弁柄MR270E」(酸化第二鉄)、平均粒子径20μm}を用いた他は、実施例1と同様にして粉体塗装を行った。得られた塗膜の評価結果を表1に示す。
(ポリビニルブチラールの調製)
還流冷却器、温度計およびイカリ型攪拌翼を備えた内容積2リットルのガラス製容器に、イオン交換水1295gと、イタコン酸変性ポリビニルアルコール(PVA−1:重合度600、けん化度98モル%、変性度1.0モル%)105gとを仕込み、全体を95℃に昇温してPVAを完全に溶解させ、PVA水溶液(濃度7.5重量%)を形成した。形成したPVA水溶液を、回転速度120rpmにて攪拌し続けながら、約30分かけて10℃まで徐々に冷却した後、当該水溶液に、ブチルアルデヒド53g、および、ブチラール化触媒である酸触媒として濃度20重量%の塩酸90mlとを添加して、PVAのブチラール化を開始した。ブチラール化を150分間行った後、60分かけて全体を50℃まで昇温し、50℃にて120分間保持した後に、室温まで冷却した。冷却によって析出した樹脂をろ過後、イオン交換水(樹脂に対して50倍量のイオン交換水)で洗浄した後、中和のために0.3重量%水酸化ナトリウム溶液を加え、40℃で10時間保持した後、さらに50倍量のイオン交換水で再洗浄し、脱水したのち、40℃、減圧下で18時間乾燥し、イタコン酸変性ポリビニルブチラール(PVB−2)粉体(水分含有量1.0%)を得た。得られた粉体(PVB−2)のブチラール化度は68モル%、残存アセチル基(酢酸ビニル単位の含有率)は2モル%、変性度1.0モル%、残存水酸基(ビニルアルコール単位)の含有率は29モル%であった。
粉体(PVB−2)から実施例1と同様の方法で平均粒子径90μmの粉体(A−2)を調製した。実施例1において、粉体(A−1)の代わりに、粉体(A−2)を用いた他は、実施例1と同様にして粉体塗装を行った。得られた塗膜の評価結果を表1に示す。
実施例2において、粉体(A−1)の代わりに、粉体(A−2)を用いた他は、実施例2と同様に行い、平均粒子径82μmの粉体塗料を得た。得られた粉体塗料で実施例1と同様にして粉体塗装を行った。得られた塗膜の評価結果を表1に示す。
実施例3において、粉体(A−1)の代わりに、粉体(A−2)を用いた他は、実施例3と同様に行い粉体塗料を得た。得られた粉体塗料で実施例1と同様にして粉体塗装を行った。得られた塗膜の評価結果を表1に示す。
還流冷却器、温度計およびイカリ型攪拌翼を備えた内容積2リットルのガラス製容器に、イオン交換水1295gと、ポリビニルアルコール(PVA−1:重合度600、けん化度98モル%)105gとを仕込み、全体を95℃に昇温してPVAを完全に溶解させ、PVA水溶液(濃度7.5重量%)を調製した。このPVA水溶液を、回転速度120rpmにて攪拌し続けながら、約30分かけて10℃まで徐々に冷却した後、当該水溶液に、グリオキシル酸2.5gとブチルアルデヒド58g、およびブチラール化触媒である酸触媒として濃度20重量%の塩酸90mlとを添加して、PVAのブチラール化を開始した。ブチラール化を150分間行った後、60分かけて全体を50℃まで昇温し、50℃にて120分間保持した後に、室温まで冷却した。冷却によって析出した樹脂をろ過後、イオン交換水(樹脂に対して50倍量のイオン交換水)で洗浄した後、中和のために0.3重量%水酸化ナトリウム溶液を加え、40℃で10時間保持した後、さらに50倍量のイオン交換水で再洗浄し、脱水したのち、40℃、減圧下で18時間乾燥し、グリオキシル酸変性ポリビニルブチラール(PVB−3)の粉体(水分含有量1.0%)を得た。得られた粉体(PVB−3)のブチラール化度は68モル%、残存アセチル基(酢酸ビニル単位の含有率)は2モル%、変性度2.0モル%、残存水酸基(ビニルアルコール単位)の含有率は28モル%であった。グリオキシル酸変性ポリビニルブチラール粉体(PVB−3)から実施例1と同様の方法で平均粒子径75μmの粉体粉体(A−3)から調製した。
実施例1において、粉体(A−1)の代わりに、粉体(A−3)を用いた他は、実施例1と同様にして粉体塗装を行った。得られた塗膜の評価結果を表1に示す。
実施例2において、粉体(A−1)の代わりに、粉体(A−3)を用いた他は、実施例2と同様に行い、平均粒子径75μmの粉体塗料を得た。得られた粉体塗料で実施例1と同様にして粉体塗装を行った。得られた塗膜の評価結果を表1に示す。
実施例3において、粉体(A−1)の代わりに、粉体(A−3)を用いた他は、実施例3と同様に行い粉体塗料を得た。得られた粉体塗料で実施例1と同様にして粉体塗装を行った。得られた塗膜の評価結果を表1に示す。
(ポリビニルブチラール多孔質粉体の調製)
還流冷却器、温度計およびイカリ型攪拌翼を備えた内容積2リットルのガラス製容器に、イオン交換水1295gと、ポリビニルアルコール(PVA−1:重合度600、けん化度98モル%)105gとを仕込み、全体を95℃に昇温してPVAを完全に溶解させ、PVA水溶液(濃度7.5重量%)を調製した。このPVA水溶液を、回転速度120rpmにて攪拌し続けながら、約30分かけて10℃まで徐々に冷却した後、当該水溶液に、ブチルアルデヒド58g、および、ブチラール化触媒である酸触媒として濃度20重量%の塩酸90mlとを添加して、PVAのブチラール化を開始した。ブチラール化を150分間行った後、60分かけて全体を50℃まで昇温し、50℃にて120分間保持した後に、室温まで冷却した。冷却によって析出した樹脂をろ過後、イオン交換水(樹脂に対して50倍量のイオン交換水)で洗浄した後、中和のために0.3重量%水酸化ナトリウム溶液を加え、40℃で10時間保持した後、さらに50倍量のイオン交換水で再洗浄し、脱水したのち、40℃、減圧下で18時間乾燥し、ポリビニルブチラール(PVB−4)の粉体(水分含有量1.0%)を得た。得られたPVB−4のブチラール化度は68モル%、酢酸ビニル基の含有量は2モル%であり、ビニルアルコール基の含有量は30モル%であった。
2Lのセパラブルフラスコにヘキサン950g、メチルエチルケトン(MEK)50gを入れ、撹拌しながらPVB−4を200g添加して分散させた(固形分濃度17%)。無水マレイン酸14.7g、トリエチルアミン3.0g、 4−メトキシフェノール0.1gを加え、25℃で5時間不均一系で反応を行った。反応後に生成物をろ過し、得られた粉体を0.1モル/L塩酸水溶液2Lで洗浄後、蒸留水2Lで5回洗浄し、乾燥して、変性ポリビニルブチラール多孔質粉体(水分量1.2%)を得た。得られた変性ポリビニルブチラール多孔質粉体のブチラール化度は68モル%、残存アセチル基(酢酸ビニル単位の含有率)は2モル%、変性度3.5モル%、残存水酸基(ビニルアルコール単位)の含有率は26.5モル%であった。
変性ポリビニルブチラール多孔質粉体から実施例1と同様の方法で平均粒子径67μmの粉体(A−4)を調整した。実施例1において粉体(A−1)の代わりに粉体(A−4)を用いた他は、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
実施例2において、粉体(A−1)の代わりに、粉体(A−4)を用いた他は、実施例2と同様に行い、平均粒子径71μmの粉体塗料を得た。得られた粉体塗料で実施例1と同様にして粉体塗装を行った。得られた塗膜の評価結果を表1に示す。
実施例3において、粉体(A−1)の代わりに、粉体(A−4)を用いた他は、実施例3と同様に行い粉体塗料を得た。得られた粉体塗料で実施例1と同様にして粉体塗装を行った。得られた塗膜の評価結果を表1に示す。
実施例13で調製したポリビニルブチラール多孔質粉体(PVB−4:未変性)を乾燥後、60メッシュ(目開き250μm)の金網を用い、250μm以上の粒子を取り除いて、平均粒子径72μmの粉体(A−5)を調製した。実施例1において粉体(A−1)の代わりに粉体(A−5)を用いた他は、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
実施例2において、粉体(A−1)の代わりに、粉体(A−5)を用いた他は、実施例2と同様に行い、平均粒子径83μmの粉体塗料を得た。得られた粉体塗料で実施例1と同様にして粉体塗装を行った。得られた塗膜の評価結果を表1に示す。
実施例3において、粉体(A−1)の代わりに、粉体(A−5)を用いた他は、実施例3と同様に行い粉体塗料を得た。得られた粉体塗料で実施例1と同様にして粉体塗装を行った。得られた塗膜の評価結果を表1に示す。
実施例1において、粉体(A−1)100部に対し、顔料55部を用いた他は、実施例1と同様にして粉体塗装を行った。得られた塗膜の評価結果を表1に示す。
実施例1において、粉体(A−1)100部に対し、顔料0.05部を用いた他は、実施例1と同様にして粉体塗装を行った。得られた塗膜の評価結果を表1に示す。
実施例2において、粉体(A−1)100部に対し、顔料55部を用いた他は、実施例2と同様にして粉体塗料を得た。得られた粉体塗料で実施例1と同様にして粉体塗装を行った。得られた塗膜の評価結果を表1に示す。
Claims (8)
- 水酸基と反応する官能基を有するポリビニルアセタール粉体(A)および顔料粉体(B)からなり、かつ下記条件を満足する熱硬化性樹脂組成物。
(1)(A)の平均粒子径(AD)が10〜250μm
(2)(B)/(A)の重量比が0.1/100〜50/100 - 水酸基と反応する官能基を有するポリビニルアセタール粉体(A)および顔料粉体(B)からなり、かつ下記条件を満足する熱硬化性樹脂組成物。
(1)(A)の平均粒子径(AD)が10〜250μm
(2)(B)/(A)の重量比が0.1/100〜50/100
(3)(B)の平均粒子径(BD)が2〜150μm
(4)|AD−BD|<100μm - 水酸基と反応する官能基を有するポリビニルアセタール(A)が、カルボキシル基、カルボキシレート基、エポキシ基およびイソシアネート基から選ばれる少なくとも1種の官能基を有するポリビニルアセタールである請求項1または2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 熱硬化性樹脂組成物が、(A)および(B)のドライブレンド組成物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 熱硬化性樹脂組成物が、(A)および(B)の溶融混練物の粉砕物である請求項1または2記載の熱硬化性樹脂組成物
- (A)を構成するポリビニルアセタールが、ビニルアルコール系重合体を、炭素数2〜6のアルデヒドによりアセタール化して得たポリビニルアセタールである請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 顔料粉体(B)が、酸化チタン、酸化鉄、べんがら、カーボンブラック、フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルー、ジアゾ系イエロー、キナクリドン、アルミニウム金属および雲母から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物からなる粉体塗料。
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