JP2008297345A - ポリビニルアセタール系熱硬化性樹脂組成物および粉体塗料 - Google Patents

ポリビニルアセタール系熱硬化性樹脂組成物および粉体塗料 Download PDF

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Abstract

【課題】 耐溶剤性、平滑性、着色性に優れた塗膜を付与することができ、かつ流動性に優れた熱硬化性樹脂組成物、とくに粉体塗料を提供すること。
【解決手段】 水酸基と反応する官能基を有するポリビニルアセタール粉体(A)および顔料粉体(B)からなり、かつ下記条件を満足する熱硬化性樹脂組成物。
(1)(A)の平均粒子径(AD)が10〜250μm
(2)(B)/(A)の重量比が0.1/100〜50/100
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリビニルアセタール系熱硬化性樹脂組成物および粉体塗料に関する。
カルボキシル基を有するポリビニルアセタールの溶剤溶液にエポキシ化合物を配合すること、さらにはこれらに炭酸カルシウム、クレーなどの顔料を配合した熱硬化性組成物、
とくに接着剤組成物は知られている(特許文献1、特許文献2)。しかしながら、これらは溶剤溶液系の接着剤組成物であり、有機溶媒を使用するために環境に負荷がかかるという問題点がある。
また、平均粒子径5〜50μmの樹脂(ブチラール樹脂など)粉体と平均粒子径0,01〜1.0μmの顔料粉体をドライブレンドした粉体塗料も知られている(特許文献3)。しかしながら、官能基を有していない通常のブチラール樹脂を使用したのでは、得られる塗膜の耐溶剤性が低い。
特開昭55−108443号公報(特許請求に範囲、第3頁右上欄) 特開昭55−139410号公報(特許請求の範囲、第3頁右下欄) 特開2004−43669号公報(特許請求の範囲、[0024])
本発明は、上記の従来技術の課題を解決して、耐溶剤性に優れた塗膜を付与することができる熱硬化性樹脂組成物、さらには、顔料による着色性に優れ、かつ平滑性に優れた塗膜を形成することができ、かつ流動性に優れた熱硬化性樹脂組成物、とくに粉体塗料を提供することを目的とするものである。
本発明によれば、上記目的は、水酸基と反応する官能基を有するポリビニルアセタール粉体(A)および顔料粉体(B)からなり、かつ下記条件を満足する熱硬化性樹脂組成物によって達成される。
(1)(A)の平均粒子径(AD)が10〜250μm
(2)(B)/(A)の重量比が0.1/100〜50/100
さらに、上記目的は、水酸基と反応する官能基を有するポリビニルアセタール粉体(A)および顔料粉体(B)からなり、かつ下記条件を満足する熱硬化性樹脂組成物によって、より好適に達成される。
(1)(A)の平均粒子径(AD)が10〜250μm
(2)(B)/(A)の重量比が0.1/100〜50/100
(3)(B)の平均粒子径(BD)が2〜150μm
(4)|AD−BD|<100μm
さらにまた、本発明の目的は、水酸基と反応する官能基を有するポリビニルアセタール(A)が、カルボキシル基、カルボキシレート基、エポキシ基およびイソシアネート基から選ばれる少なくとも1種の官能基を有するポリビニルアセタールであることによって、より好適に達成される。
さらにまた、本発明の目的は、(A)および(B)からなるドライブレンド組成物、及びそれからなる粉体塗料によって、より好適に達成される。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、流動性に優れ、さらに耐溶剤性、平滑性、さらには着色性に優れた塗膜を形成することができる。また、(A)と(B)をドライブレンドするだけで、低コストでこれらの優れた性能を有する塗膜を形成することができる。
ここで「耐溶剤性に優れる」とは、熱処理により得た硬化物が、ポリビニルアセタール多孔質粉体を溶解する溶剤、たとえばエタノール、プロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、クロロホルム、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどに溶解しないか、または溶解しにくいことを意味する。
また、着色性に優れるとは、着色むらがないか、または極めて少ないことを意味し、塗膜中の顔料の分散状態が均一かどうかを意味するものではない。また、平滑性に優れるとは、塗膜厚が均一であることを意味する。
さらにまた、本発明の熱硬化性樹脂組成物、とくに粉体塗料は、樹脂粉体と顔料粉体が層分離を起こさず、粉体塗料の流動性が優れている。さらにまた、ポリビニルアセタールは基材との接着性に優れているので、とくにプライマーなどによる前処理をしなくとも、基材との優れた接着性を付与することができるし、また高い硬度を有する塗膜を形成することもできる。
本発明において、水酸基と反応する官能基を有するポリビニルアセタールとは、ポリビニルアセタール中の水酸基と反応する官能基、好適にはカルボキシル基、カルボキシレート基、エポキシ基、イソシアネート基から選ばれる少なくとも1種の官能基を有するポリビニルアセタールが挙げられる。これらの官能基を有するポリビニルアセタールとしては、(1)これらの官能基を有するポリビニルアルコールをアセタール化したもの、(2)ポリビニルアルコールをこれらの官能基を含有するアルデヒドでアセタール化したもの、(3)ポリビニルアセタール中の水酸基にこれらの官能基を含有する化合物を反応させたもの、(4)ポリビニルアルコールにこれらの官能基を有するエチレン性飽和単量体をグラフト重合し、アセタール化したものなどが挙げられる。
カルボキシル基またはカルボキシレート基(カルボン酸塩基、カルボン酸エステル基)を有するポリビニルアルコールとしては、まず、不飽和モノカルボン酸、または不飽和ジカルボン酸などの不飽和多価カルボン酸、またはそれらのカルボン酸塩、カルボン酸エステルを共単量体として用いたビニルアルコール共重合体が挙げられる。
共単量体として用いる不飽和モノカルボン酸またはそのカルボン酸塩として、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、オレイン酸、およびそれらのカルボン酸塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩など)などが挙げられる。共単量体として用いる不飽和多価カルボン酸またはそのカルボン酸塩としては、とくに不飽和ジカルボン酸またはその塩が好適であり、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、それらのカルボン酸塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩など)、不飽和ジカルボン酸モノエステル(メチルエステル、エチルエステルなどのアルキルエステルなど)、不飽和ジカルボン酸無水物(無水マレイン酸など)が挙げられる。
また、共単量体として用いる不飽和モノカルボン酸エステルとしては、アクリル酸またはその塩、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシルなどのアクリル酸エステル類、メタクリル酸およびその塩、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシルなどのメタクリル酸エステル類が挙げられる。
ポリビニルアルコールをカルボキシル基またはカルボキシレート基を含有するアルデヒドでアセタール化する方法としては、ポリビニルアルコールをカルボキシル基またはカルボキシレート基を含有するアルデヒド、たとえば、グリオキシル酸、フタルアルデヒド酸、テレフタルアルデヒド酸でアセタール化する方法が挙げられる。これらのアルデヒドは必要に応じて2種類以上用いてもかまわないし、またこれ以外のアルデヒドを同時に用いてもかまわない。
また、ポリビニルアセタール中の水酸基に、水酸基に対して反応性の官能基を含有する化合物を反応させる方法としては、例えば無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水フタル酸等の無水カルボン酸を反応させる方法、イタコン酸やイソホロンジイソシアネート等の反応性の異なる2つ以上の反応性基を有する化合物を反応させる方法、多官能化合物の一部を保護基により保護した後、ポリビニルアセタールと反応させ、その後、脱保護させることによる方法等が挙げられる。
また、ポリビニルアルコールにこれらの官能基を有するエチレン性飽和単量体をグラフト重合し、アセタール化する方法としては、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体をビニルアルコール系重合体の水溶液中でビニルアルコール系重合体にグラフト重合させ、次いでアセタール化する方法が挙げられる。
本発明において、エポキシ基を有するポリビニルアセタールとしては、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートなどを共単量体として用いたポリビニルコールをアセタールしたものが好適なものとして挙げられる。また、イソシアネート基を有するポリビニルセタールとしては、イソホロンジイソシアネートを反応させたものが好適なものとして挙げられる。
本発明において、カルボキシル基、カルボキシレート基、エポキシ基、イソソアネート基などの官能基の含有量は、ポリビニルアセタールの主鎖のエチレンパートに対し、0.1〜20モル%が好適であり、さらには0.5〜10モル%が最適である。
本発明に用いられるポリビニルアセタール粉体を構成するポリビニルアセタールは、通常、ビニルアルコール系重合体を原料として製造される。上記ビニルアルコール系重合体は、従来公知の手法、すなわちビニルエステル系単量体を重合し、得られた重合体をけん化することによって得ることができる。ビニルエステル系単量体を重合する方法としては、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法など、従来公知の方法を適用することができる。重合開始剤としては、重合方法に応じて、アゾ系開始剤、過酸化物系開始剤、レドックス系開始剤などが適宜選ばれる。けん化反応は、従来公知のアルカリ触媒または酸触媒を用いる加アルコール分解、加水分解などが適用でき、この中でもメタノールを溶剤とし苛性ソーダ(NAOH)触媒を用いるけん化反応が簡便であり最も好ましい。
ビニルエステル系単量体としては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、オレイン酸ビニル、安息香酸ビニル、イソプロペニルアセテートなどが挙げられるが、とりわけ酢酸ビニルが好ましい。
ビニルエステル系単量体を重合して得た重合体をけん化して得たビニルアルコール系重合体は、けん化度によりそれぞれの単位の含有率は異なるが、ビニルアルコール単位と、上記ビニルエステル系単量体に対応するビニルエステル単位とを含んでいる。たとえば、ビニルエステル系単量体として酢酸ビニルを用いた場合、上記製造方法により得られたビニルアルコール系重合体は、ビニルアルコール単位と酢酸ビニル単位とを含む。
また、前記ビニルエステル系単量体を重合する場合、本発明の主旨を損なわない範囲で他の単量体、例えば、エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブチレンなどのα−オレフィンを共重合させることもできる。
アセタール化に用いる酸触媒としては特に限定されず、有機酸および無機酸のいずれでも使用可能であり、例えば、酢酸、パラトルエンスルホン酸、硝酸、硫酸、塩酸等が挙げられる。これらの中でもより一般的には塩酸、硫酸、硝酸が用いられ、とりわけ塩酸が好ましく用いられる。
本発明においては、炭素数2〜6のアルデヒドでアセタール化されたポリビニルアセタールを用いることが好ましい。炭素数2〜6のアルデヒドとしては、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド等が挙げられ、これらは単独で使用されてもよく、二種以上が併用されてもよい。中でも炭素数4〜6のアルデヒド、とくにn−ブチルアルデヒドが好ましく用いられる。炭素数2〜6、とくに炭素数4〜6のアルデヒドを使用することにより、本発明の目的とする粉体塗料などの熱硬化性樹脂組成物を好適に得ることができる。
本発明に用いられるポリビニルアセタールのアセタール化度は、40〜85モル%であることが好適であり、さらに好適には50〜85モル%である。アセタール化度がこの範囲にあるとき、塗膜の着色性に優れ、さらに均一な塗膜厚を付与することができ、さらに基材との接着性に優れた粉体塗料などの熱硬化性樹脂組成物が得られる。また、本発明の目的をより好適に達成するためには、ポリビニルアセタールのビニルエステル単位の含有量は0.1〜30モル%、ビニルアルコール単位の含有量は10〜50モル%であることが好適である。
次に、本発明において重要なことは、(1)の条件、すなわち、ポリビニルアセタール粉体(A)の平均粒子径(AD)が10〜250μmを満足することであり、この条件を満足することにより、優れた着色性を塗膜に付与することができる。平均粒子径は、好ましくは150μm以下であり、最適には100μm以下である。また下限値については、好ましくは20μm以上である。
ポリビニルアセタール粉体が、このような特定の粒子径を満足する場合、粉体塗料として優れた粉体流動性を示し、塗膜に優れた着色性、平滑性を付与することができることから、好適である。
ポリビニルアセタール粉体の平均粒子径を求める方法は特に限定されるわけではないが、例えばレーザー回折法による測定により求めることができ、測定に用いることができる装置として、例えば(株)島津製作所製の粒度分布測定装置SALD2200等により測定することができる。
このような特定の粒子径を有するポリビニルアセタールの粉体は、例えば、次のような方法によって得られる。
まず、ビニルアルコール系重合体の水溶液{濃度3〜15重量%;濃度は(ビニルアルコール系重合体の重量)/(ビニルアルコール系重合体水溶液の重量)×100で算出された値}の温度を80〜100℃に調整し、徐々に温度を下げながら、10〜60分かけて、−10〜30℃に低下したところで、アルデヒドおよび触媒を添加し、温度を一定に保ちながら、30〜300分反応を進め、さらに30〜200分かけて、40〜80℃迄昇温し、この温度範囲において1〜3時間程度保持する。次に、全体を、好適には、室温まで冷却し、水洗後、中和剤(アルカリ等)を添加し、乾燥することにより目的とするポリビニルアセタール粉体が得られる。また、上記方法により最大粒子径が250μmを越える集合粒子はほとんど生成しないが、最大粒子径250μmを越える集合粒子が生成した場合は、フイルターにより除去することが好適である。
また、本発明において、ポリビニルアセタールの重合度は、好適には、150〜2000であり、さらに好適には200〜1500である。
次に、本発明において、上記ポリビニルアセタール粉体と配合する顔料粉体(B)としては、酸化チタン、酸化鉄、べんがら、カーボンブラック、フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルー、ジアゾ系イエロー、キナクリドン、アルミニウム金属および雲母、光拡散剤(ガラスビーズ、シリコーン、ポリメチルメタクリレートなど)、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、クレー、タルクなどの顔料粉体が挙げられ、これらの少なくとも1種の粉体を用いることが好ましい。
顔料粉体(B)は、顔料を内部又は表面に含む樹脂粉体(顔料マスターバッチ)として使用することもできる。顔料マスターバッチに使用される樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂、ポリ(メタ)アクリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−(メタ)アクリレート共重合樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等が挙げられ、好ましいものとしては、粉体(A)と相溶性の良いものが挙げられ、例えばポリビニルアセタール樹脂が挙げられる。顔料マスターバッチは、顔料とマスターバッチ用の樹脂とを溶融混練し、これを粉砕することにより得られる。顔料はマスターバッチ用樹脂に対して0.1〜99重量%、好ましくは5〜95重量%、さらに好適には10〜90重量%、最適には20〜80重量%含有する。顔料マスターバッチを使用することは、本発明の目的を達成する上で好ましいことが多い。
さらに、本発明において重要なことは、(2)の条件、すなわち、ポリビニルアセタール粉体(A)と顔料粉体(B)は重量比(B)/(A)が0.1/100〜50/100を満足することである。この条件を満足することにより、着色性に優れた塗膜が得られ、さらに優れた流動性、基材との優れた接着性、優れた塗膜硬度が付与される。好適な重量比(B)/(A)は、1/100〜30/100であり、最適には1.5/100〜25/100である。なお、ここで、顔料粉体(B)を、顔料マスターバッチとして使用する場合は、顔料粉体(B)の重量には、マスターバッチ用樹脂の重量は含まない。
さらに、本発明において好適な態様は、(3)の条件、すなわち、顔料粉体(B)の平均粒子径(BD)が2〜150μmを満足することである。顔料を、顔料マスターバッチの粉砕物として使用する場合は、この粉砕物の粒子径が、平均粒子径(BD)2〜150μmを満足することが好適である。
顔料粉体がこの条件を満足することにより、塗膜に優れた着色性を付与することができ、さらに優れた流動性を付与することができる。平均粒子径は、好適には130μm以下であり、最適には100μm以下である。また平均粒子径の下限値については、好適には5μm以上、最適には10μm以上である。最大粒子径は250μm以下であることが好適である。
また、本発明において好適な態様は、(4)の条件、すなわち、|AD−BD|<100μmを満足することである。この条件を満足することにより、樹脂粉体と顔料粉体との層分離が起こらず、優れた流動性が付与される。より好適な条件は、|AD−BD|<80μmである。
ポリビニルアセタール粉体(A)と顔料粉体(B)とをドライブレンドする方法としては、両者が均一に混ざるような方法、例えばドライブレンダー、ヘンシエルミキサー、ボールミルなどによる方法が挙げられる。このようにドライブレンドして得られる粉体は粉体塗料として好適である。
本発明においては、ポリアミド系樹脂粉体(C)を併用することも好適な態様である。
ポリアミド系樹脂としては、ナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−6/6,6共重合体、ナイロン−9、ナイロン−6,10、ナイロン−11、ナイロン12などがあげられ、これらは1種または2種以上が用いられる。なかでも、ナイロン−11、12は、より好適である。これらのポリアミド系樹脂粉体を併用することにより、塗膜に高い耐衝撃性を付与することができ、さらにまた、流動性、粉落ち性に優れた粉体塗料を得ることができる。ここで、「粉落ち性」とは、基材表面への粉体塗料の塗布時に、当該表面に付着する余分な塗料の量に対応する評価項目であり、目視により判定される。粉体塗料の粉落ち性が良好な場合、上記余分な塗料の量が少ない、あるいは、余分な塗料の付着が見られないため、塗料の塗布ムラが生じにくく、一方、粉落ち性が低下すると、上記余分な塗料の量が増大し、塗料の塗布ムラが生じやすくなる。
ポリアミド系樹脂粉体(C)は、平均粒子径が10〜250μm以下であり、かつ最大粒子径が250μmであることが、より好適である。ポリアミド系樹脂粉体の平均粒子径は、好ましくは150μm以下であり、より好ましくは100μm以下である。また、下限値については好適には20μm以上である。ポリアミド系樹脂粉体は、たとえば、ポリアミド樹脂を粉砕して、所望の粒子径とすることができる。ポリアミド系樹脂粉体の平均粒子径および最大粒子径は、前記したポリビニルアセタール(A)の平均粒子径および最大粒子径と同様の方法で求められる。
本発明において、ポリアミド系樹脂粉体を併用する場合、ポリビニルアセタール粉体(A)とポリアミド樹脂粉体(C)は重量比で、(A)/(C)が20/100〜100/5であることが好適である。好ましくは50/100〜100/5であり、さらに好ましくは50/100〜100/10である。
本発明の熱硬化性樹脂組成物、とくに粉体塗料は、上記(A)および(B)の合計が全体の50重量%以上含んでいることが好適であり、さらに好適には70重量%以上であり、さらに好適には80%以上である。
本発明において、無機物微粒子(D)を配合することも、ポリビニルアセタール粉体(A)と顔料粉体(B)からなる粉体塗料の流動性をさらに改善し、さらに基材との接着性、さらには硬度を改善することから、好適な態様である。ここで無機物微粒子(D)とは、顔料とは区別されるもので、シリカ、酸化アルミニウムなどが挙げられる。
無機物粒子(D)は、平均粒子径が1μm以下であることが、より好適である。前記無機物粒子(D)の平均粒子径は、好ましくは0.5μm以下であり、より好ましくは0.1μm以下である。無機物微粒子(D)は、たとえば、無機物を粉砕して、所望の粒子径にすることができる。無機物微粒子(D)の平均粒子径および最大粒子径は、前記したポリビニルアセタール(A)の平均粒子径および最大粒子径と同様の方法で求められる。無機物微粒子(D)は、(A)単独の100重量部、または(A)と(C)の合計100重量部に対し、0.0001〜2重量部配合することが好適であり、さらに好適には0.001〜1重量部である。
さらにまた、本発明においては、添加剤として、タレ防止剤、表面調整剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、架橋を促進する触媒などを適宜配合することができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、熱処理(100〜300℃程度)により、耐溶剤性に優れた硬化物を付与することができるので、各種用途に適用できる。たとえば、粉体塗料、セラミックスバインダー、感光性材料バインダー、インクバインンダー、無機材料バインダー、自動車または建築のガラスの中間膜などに適用できるが、このうちとくに粉体塗料として好適である。
粉体塗料に使用する場合、さまざまな粉体塗装法で使用可能である。粉体塗装法としては、流動浸漬法、静電塗装法、溶射法等が挙げられる。塗装温度条件は、塗装方法や、用いられるポリビニルアセタールの重合度等により異なるが、100〜300℃程度が好ましい。
本発明のポリビニルアセタール系粉体塗料を用いた塗装の対象となる基材としては、鋼管、鋼板、かご、カートなどの金属を始め、陶器、セラミック、ガラス、プラスチックなどがあげられる。これらの金属に粉体塗装する場合、基材との接着性、あるいは塗膜の耐食性、外観などを改善するために必要に応じて、基材表面を脱脂処理、リン酸塩処理、メッキな処理、エポキシ系樹脂等のプライマー塗布処理を行ってもよい。
また、本発明の粉体塗料を、金属を代表とする基材上に塗布することにより、塗膜を多層構造とすることもできる。ここで、多層化を行う方法は特に限定されないが、例えば、本発明の粉体塗料を複数回塗布する方法、本発明の粉体塗料と、他の粉体塗料との塗布を、所定のパターンで、たとえば交互に、複数回行う方法、本発明の粉体塗料と他の粉体塗料とからなる混合物を塗布し、両者の親和性の差により、基材表面での溶融時に相分離させることにより、一回の塗装により多層の樹脂層を形成する方法、などを用いることができる。なかでも、粉体塗料を複数回塗布する方法は、樹脂間の親和性などを考慮する必要がなく、より好適である。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、以下の実施例において「%」および「部」は特に断りのない限り、「重量%」および「重量部」を意味する。
ポリビニルアセタールおよびポリビニルアセタール粉体、顔料粉体の諸物性の測定は以下の方法にしたがって行った。
(ポリビニルアセタールの酢酸ビニル基含有量)
DMSO−d6に2%の濃度で溶解し、1H−NMR(日本電子製;AL400型)を用い、80℃で測定し、算出した。
(ポリビニルアセタールのビニルアルコール基含有量)
DMSO−d6に2%の濃度で溶解し、1H−NMR(日本電子製;AL400型)を用い、80℃で測定し、算出した。
(ポリビニルアセタールのグリオキシル酸変性量、無水マレイン酸の変性量)
DMSO−d6に2%の濃度で溶解し、1H−NMR(日本電子製;AL400型)を用い、80℃で測定し、算出した。変性量はポリビニルブチラールの主鎖のエチレンパートに対して計算した。
(ポリビニルアセタール粉体、顔料粉体の平均粒子径)
(株)島津製作所製の粒度分布測定装置SALD2200を用いて測定した。
(ポリビニルアセタール粉体の水分量)
{(含水ポリビニルアセタール粉体の重量−ポリビニルアセタール粉体の乾燥重量)/含水ポリビニルアセタール粉体の重量}×100で求められる値。ここで、ポリビニルアセタール粉体の乾燥重量とは、ポリビニルアセタール粉体を乾燥機中105℃で3時間乾燥したときの重量である。
実施例1
(ポリビニルブチラールの調製)
還流冷却器、温度計およびイカリ型攪拌翼を備えた内容積2リットルのガラス製容器に、イオン交換水1295gと、イタコン酸変性ポリビニルアルコール(PVA−1:重合度600、けん化度98モル%、変性度1.0モル%)105gとを仕込み、全体を95℃に昇温してPVAを完全に溶解させ、PVA水溶液(濃度7.5重量%)を形成した。形成したPVA水溶液を、回転速度120rpmにて攪拌し続けながら、約30分かけて10℃まで徐々に冷却した後、当該水溶液に、ブチルアルデヒド53g、および、ブチラール化触媒である酸触媒として濃度20重量%の塩酸90mlとを添加して、PVAのブチラール化を開始した。ブチラール化を150分間行った後、60分かけて全体を50℃まで昇温し、50℃にて120分間保持した後に、室温まで冷却した。冷却によって析出した樹脂をろ過後、イオン交換水(樹脂に対して100倍量のイオン交換水)で洗浄した後、40℃で15時間保持した後、さらに100倍量のイオン交換水で再洗浄し、脱水したのち、40℃、減圧下で18時間乾燥し、イタコン酸変性ポリビニルブチラール(PVB−1)粉体(水分含有量1.0%)を得た。得られた粉体(PVB−1)のブチラール化度は68モル%、残存アセチル基(酢酸ビニル単位の含有率)は2モル%、変性度1.0モル%、残存水酸基(ビニルアルコール単位)の含有率は29モル%であった。
(ポリビニルブチラール粉体の調製)
上記により得られたイタコン酸変性ポリビニルブチラール粉体(PVB−1)を乾燥後、60メッシュ(目開き250μm)の金網を用い、250μm以上の粒子を取り除いて、平均粒子径85μmのポリビニルブチラール粉体(A−1)を調製した。
(粉体塗料の調製)
上記作製した粉体(A−1)100部に対して顔料粉体{メルク(株)製の「Iriodin 100 Silver Pearl」(パール顔料)(平均粒子径35μm、粒子径250μm以上の粒子無し)5部をドライブレンダーにより混合して、本発明の粉体塗料を得た。
(粉体塗料を用いた基材の塗装)
0.8mm厚×50mm×100mmのステンレス板(SAS304)の表面を洗剤で洗浄して脱脂、イオン交換水で十分に洗浄して基材とした。前記基材に対して、上記作製した粉体塗料を用い、流動浸漬法により塗装を行った。流動浸漬は多孔板を通して円筒状の塗装室(流動室)(高さ50cm、直径30cm)に空気を吹き込み、前記粉体塗料を流動させた。前記ステンレス板からなる基材を予熱し(温度230℃、10分間)、これをポリビニルブチラール粉体の流動層中に懸垂し、10秒経過した後取り出し、230℃の温度条件で10分間後加熱して塗装物を得た。
得られた粉体塗料および塗膜の評価を以下の方法にしたがって行った。結果を表1に示す。
(ポリビニルブチラール粉体の流動性)
塗装室内におけるポリビニルブチラール粉体の流動性を、上記多孔板からの空気により吹き上げられた粉体塗料における上面の状態を、目視により観察して評価した。以下の基準にしたがって評価した。結果を表1に示す。
○:ポリビニルブチラール粉体が均一に流動する。
△:ポリビニルブチラール粉体は流動するが、その状態にムラがある。
×:ポリビニルブチラール粉体は全体が流動せず、空気が粉体表面の一部より噴出する。
(塗膜の着色性)
基材に塗布した塗膜の着色性を目視により以下の基準で評価した。
○:着色状態にムラなし。
△:若干ムラが見られる。
×:全面がマダラ模様。
(塗膜の厚みの均一性)
基材の表面に形成された塗膜の厚みの均一性を以下の方法にしたがって評価した。結果を表1に示す。
1サンプルについて、塗膜の厚みを5点測定して、その平均値を求め、その平均値に対する最大値と最小値の差を%で示した。値が低いほど塗膜の厚みの均一性が高い。
○:20%未満
×:20%以上
(塗膜の耐エタノール性試験)
塗装板の塗膜部分をエタノールで湿らせた布で5回拭き、塗膜表面の状態を目視により、以下の基準に従って評価した。
○:塗膜表面の変化無し。
×:塗膜表面が溶解し、塗膜変化(痕跡残、顔料付着)あり。
実施例2
(粉砕品の調整)
上記作製した粉体(A−1)100部に対し、顔料{東海カーボン(株)製の「トーカカーボン#7100F」(カーボンブラック)、平均粒子径42μm}5部添加し、ドライブレンダーにより混合後、エクストルーダーで混練、粉砕し、60メッシュで分級を行い平均粒径77μmの粉体塗料を得た。
得られた粉体塗料で実施例1と同様に粉体塗装を行った。得られた塗膜の評価結果を表1に示す。
実施例3
(顔料を内部又は表面に含む樹脂粉体の調整)
ポリビニルアセタール(Kuraray Europe GmbH製:Mowital B30H 平均粒子径 102μm)100部に対し、東海カーボン(株)製の「トーカカーボン#7100F」(カーボンブラック)20部添加し、ドライブレンダーにより混合後、エクストルーダーで混練、粉砕し、60メッシュで分級を行い平均粒径80μmの樹脂粉体(MB−1)を得た。
粉体(A−1)100部に樹脂粉体(MB−1)20部をドライブレンダーにより混合して、本発明の粉体塗料を得た。
得られた粉体塗料で実施例1と同様に粉体塗装を行った。得られた塗膜の評価結果を表1に示す。
実施例4
実施例1において、顔料5部に代えて、顔料20部を用いた他は、実施例1と同様にして粉体塗装を行った。得られた塗膜の評価結果を表1に示す。
実施例5
実施例1において、顔料「Iriodin 100 Silver Pearl」に代えて、顔料{東海カーボン(株)製の「トーカカーボン#7100F」(カーボンブラック)、平均粒子径42μm}を用いた他は、実施例1と同様にして粉体塗装を行った。得られた塗膜の評価結果を表1に示す。
実施例6
実施例1において、顔料「Iriodin 100 Silver Pearl」に代えて、顔料{森下弁柄工業(株)製の「弁柄MR270E」(酸化第二鉄)、平均粒子径20μm}を用いた他は、実施例1と同様にして粉体塗装を行った。得られた塗膜の評価結果を表1に示す。
実施例7
(ポリビニルブチラールの調製)
還流冷却器、温度計およびイカリ型攪拌翼を備えた内容積2リットルのガラス製容器に、イオン交換水1295gと、イタコン酸変性ポリビニルアルコール(PVA−1:重合度600、けん化度98モル%、変性度1.0モル%)105gとを仕込み、全体を95℃に昇温してPVAを完全に溶解させ、PVA水溶液(濃度7.5重量%)を形成した。形成したPVA水溶液を、回転速度120rpmにて攪拌し続けながら、約30分かけて10℃まで徐々に冷却した後、当該水溶液に、ブチルアルデヒド53g、および、ブチラール化触媒である酸触媒として濃度20重量%の塩酸90mlとを添加して、PVAのブチラール化を開始した。ブチラール化を150分間行った後、60分かけて全体を50℃まで昇温し、50℃にて120分間保持した後に、室温まで冷却した。冷却によって析出した樹脂をろ過後、イオン交換水(樹脂に対して50倍量のイオン交換水)で洗浄した後、中和のために0.3重量%水酸化ナトリウム溶液を加え、40℃で10時間保持した後、さらに50倍量のイオン交換水で再洗浄し、脱水したのち、40℃、減圧下で18時間乾燥し、イタコン酸変性ポリビニルブチラール(PVB−2)粉体(水分含有量1.0%)を得た。得られた粉体(PVB−2)のブチラール化度は68モル%、残存アセチル基(酢酸ビニル単位の含有率)は2モル%、変性度1.0モル%、残存水酸基(ビニルアルコール単位)の含有率は29モル%であった。
粉体(PVB−2)から実施例1と同様の方法で平均粒子径90μmの粉体(A−2)を調製した。実施例1において、粉体(A−1)の代わりに、粉体(A−2)を用いた他は、実施例1と同様にして粉体塗装を行った。得られた塗膜の評価結果を表1に示す。
実施例8
実施例2において、粉体(A−1)の代わりに、粉体(A−2)を用いた他は、実施例2と同様に行い、平均粒子径82μmの粉体塗料を得た。得られた粉体塗料で実施例1と同様にして粉体塗装を行った。得られた塗膜の評価結果を表1に示す。
実施例9
実施例3において、粉体(A−1)の代わりに、粉体(A−2)を用いた他は、実施例3と同様に行い粉体塗料を得た。得られた粉体塗料で実施例1と同様にして粉体塗装を行った。得られた塗膜の評価結果を表1に示す。
実施例10
還流冷却器、温度計およびイカリ型攪拌翼を備えた内容積2リットルのガラス製容器に、イオン交換水1295gと、ポリビニルアルコール(PVA−1:重合度600、けん化度98モル%)105gとを仕込み、全体を95℃に昇温してPVAを完全に溶解させ、PVA水溶液(濃度7.5重量%)を調製した。このPVA水溶液を、回転速度120rpmにて攪拌し続けながら、約30分かけて10℃まで徐々に冷却した後、当該水溶液に、グリオキシル酸2.5gとブチルアルデヒド58g、およびブチラール化触媒である酸触媒として濃度20重量%の塩酸90mlとを添加して、PVAのブチラール化を開始した。ブチラール化を150分間行った後、60分かけて全体を50℃まで昇温し、50℃にて120分間保持した後に、室温まで冷却した。冷却によって析出した樹脂をろ過後、イオン交換水(樹脂に対して50倍量のイオン交換水)で洗浄した後、中和のために0.3重量%水酸化ナトリウム溶液を加え、40℃で10時間保持した後、さらに50倍量のイオン交換水で再洗浄し、脱水したのち、40℃、減圧下で18時間乾燥し、グリオキシル酸変性ポリビニルブチラール(PVB−3)の粉体(水分含有量1.0%)を得た。得られた粉体(PVB−3)のブチラール化度は68モル%、残存アセチル基(酢酸ビニル単位の含有率)は2モル%、変性度2.0モル%、残存水酸基(ビニルアルコール単位)の含有率は28モル%であった。グリオキシル酸変性ポリビニルブチラール粉体(PVB−3)から実施例1と同様の方法で平均粒子径75μmの粉体粉体(A−3)から調製した。
実施例1において、粉体(A−1)の代わりに、粉体(A−3)を用いた他は、実施例1と同様にして粉体塗装を行った。得られた塗膜の評価結果を表1に示す。
実施例11
実施例2において、粉体(A−1)の代わりに、粉体(A−3)を用いた他は、実施例2と同様に行い、平均粒子径75μmの粉体塗料を得た。得られた粉体塗料で実施例1と同様にして粉体塗装を行った。得られた塗膜の評価結果を表1に示す。
実施例12
実施例3において、粉体(A−1)の代わりに、粉体(A−3)を用いた他は、実施例3と同様に行い粉体塗料を得た。得られた粉体塗料で実施例1と同様にして粉体塗装を行った。得られた塗膜の評価結果を表1に示す。
実施例13
(ポリビニルブチラール多孔質粉体の調製)
還流冷却器、温度計およびイカリ型攪拌翼を備えた内容積2リットルのガラス製容器に、イオン交換水1295gと、ポリビニルアルコール(PVA−1:重合度600、けん化度98モル%)105gとを仕込み、全体を95℃に昇温してPVAを完全に溶解させ、PVA水溶液(濃度7.5重量%)を調製した。このPVA水溶液を、回転速度120rpmにて攪拌し続けながら、約30分かけて10℃まで徐々に冷却した後、当該水溶液に、ブチルアルデヒド58g、および、ブチラール化触媒である酸触媒として濃度20重量%の塩酸90mlとを添加して、PVAのブチラール化を開始した。ブチラール化を150分間行った後、60分かけて全体を50℃まで昇温し、50℃にて120分間保持した後に、室温まで冷却した。冷却によって析出した樹脂をろ過後、イオン交換水(樹脂に対して50倍量のイオン交換水)で洗浄した後、中和のために0.3重量%水酸化ナトリウム溶液を加え、40℃で10時間保持した後、さらに50倍量のイオン交換水で再洗浄し、脱水したのち、40℃、減圧下で18時間乾燥し、ポリビニルブチラール(PVB−4)の粉体(水分含有量1.0%)を得た。得られたPVB−4のブチラール化度は68モル%、酢酸ビニル基の含有量は2モル%であり、ビニルアルコール基の含有量は30モル%であった。
(架橋性ポリビニルブチラール多孔質粉体の製造)
2Lのセパラブルフラスコにヘキサン950g、メチルエチルケトン(MEK)50gを入れ、撹拌しながらPVB−4を200g添加して分散させた(固形分濃度17%)。無水マレイン酸14.7g、トリエチルアミン3.0g、 4−メトキシフェノール0.1gを加え、25℃で5時間不均一系で反応を行った。反応後に生成物をろ過し、得られた粉体を0.1モル/L塩酸水溶液2Lで洗浄後、蒸留水2Lで5回洗浄し、乾燥して、変性ポリビニルブチラール多孔質粉体(水分量1.2%)を得た。得られた変性ポリビニルブチラール多孔質粉体のブチラール化度は68モル%、残存アセチル基(酢酸ビニル単位の含有率)は2モル%、変性度3.5モル%、残存水酸基(ビニルアルコール単位)の含有率は26.5モル%であった。
変性ポリビニルブチラール多孔質粉体から実施例1と同様の方法で平均粒子径67μmの粉体(A−4)を調整した。実施例1において粉体(A−1)の代わりに粉体(A−4)を用いた他は、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
実施例14
実施例2において、粉体(A−1)の代わりに、粉体(A−4)を用いた他は、実施例2と同様に行い、平均粒子径71μmの粉体塗料を得た。得られた粉体塗料で実施例1と同様にして粉体塗装を行った。得られた塗膜の評価結果を表1に示す。
実施例15
実施例3において、粉体(A−1)の代わりに、粉体(A−4)を用いた他は、実施例3と同様に行い粉体塗料を得た。得られた粉体塗料で実施例1と同様にして粉体塗装を行った。得られた塗膜の評価結果を表1に示す。
比較例1
実施例13で調製したポリビニルブチラール多孔質粉体(PVB−4:未変性)を乾燥後、60メッシュ(目開き250μm)の金網を用い、250μm以上の粒子を取り除いて、平均粒子径72μmの粉体(A−5)を調製した。実施例1において粉体(A−1)の代わりに粉体(A−5)を用いた他は、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
比較例2
実施例2において、粉体(A−1)の代わりに、粉体(A−5)を用いた他は、実施例2と同様に行い、平均粒子径83μmの粉体塗料を得た。得られた粉体塗料で実施例1と同様にして粉体塗装を行った。得られた塗膜の評価結果を表1に示す。
比較例3
実施例3において、粉体(A−1)の代わりに、粉体(A−5)を用いた他は、実施例3と同様に行い粉体塗料を得た。得られた粉体塗料で実施例1と同様にして粉体塗装を行った。得られた塗膜の評価結果を表1に示す。
比較例4
実施例1において、粉体(A−1)100部に対し、顔料55部を用いた他は、実施例1と同様にして粉体塗装を行った。得られた塗膜の評価結果を表1に示す。
比較例5
実施例1において、粉体(A−1)100部に対し、顔料0.05部を用いた他は、実施例1と同様にして粉体塗装を行った。得られた塗膜の評価結果を表1に示す。
比較例6
実施例2において、粉体(A−1)100部に対し、顔料55部を用いた他は、実施例2と同様にして粉体塗料を得た。得られた粉体塗料で実施例1と同様にして粉体塗装を行った。得られた塗膜の評価結果を表1に示す。
Figure 2008297345
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、熱処理することにより耐溶剤性、着色性などに優れた塗膜を付与することができるので、広範な用途に用いることができる。たとえば、粉体塗料、セラミックスバインダー、感光性材料バインダー、インクバインンダー、無機材料バインダー、自動車または建築のガラスの中間膜などに適用できるが、このうちとくに粉体塗料として好適である。

Claims (8)

  1. 水酸基と反応する官能基を有するポリビニルアセタール粉体(A)および顔料粉体(B)からなり、かつ下記条件を満足する熱硬化性樹脂組成物。
    (1)(A)の平均粒子径(AD)が10〜250μm
    (2)(B)/(A)の重量比が0.1/100〜50/100
  2. 水酸基と反応する官能基を有するポリビニルアセタール粉体(A)および顔料粉体(B)からなり、かつ下記条件を満足する熱硬化性樹脂組成物。
    (1)(A)の平均粒子径(AD)が10〜250μm
    (2)(B)/(A)の重量比が0.1/100〜50/100
    (3)(B)の平均粒子径(BD)が2〜150μm
    (4)|AD−BD|<100μm
  3. 水酸基と反応する官能基を有するポリビニルアセタール(A)が、カルボキシル基、カルボキシレート基、エポキシ基およびイソシアネート基から選ばれる少なくとも1種の官能基を有するポリビニルアセタールである請求項1または2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  4. 熱硬化性樹脂組成物が、(A)および(B)のドライブレンド組成物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  5. 熱硬化性樹脂組成物が、(A)および(B)の溶融混練物の粉砕物である請求項1または2記載の熱硬化性樹脂組成物
  6. (A)を構成するポリビニルアセタールが、ビニルアルコール系重合体を、炭素数2〜6のアルデヒドによりアセタール化して得たポリビニルアセタールである請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  7. 顔料粉体(B)が、酸化チタン、酸化鉄、べんがら、カーボンブラック、フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルー、ジアゾ系イエロー、キナクリドン、アルミニウム金属および雲母から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物からなる粉体塗料。
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