JP2008297203A - 複合体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】特定のアミノ酸配列のアミノ末端から4番目のアミノ酸残基内に一つのシステインが導入されたアポ蛋白質を構成成分とする組換えカルシウム結合型発光蛋白質、または、他の特定のアミノ酸配列のアミノ末端から6番目のアミノ酸残基内に一つのシステインが導入されたアポ蛋白質を構成成分とする組換えカルシウム結合型発光蛋白質のいずれかと、抗体とを、該システインを介して結合させ、イクオリンと抗体との複合体を製造する。
【選択図】なし
Description
(1)発光蛋白質のアミノ末端またはリジン残基の一級アミンに、2官能性架橋試薬のNHSエステルを反応させ、結合性物質のスルフヒドリル基と2官能性架橋試薬のマレイミド基を反応させて、発光蛋白質と結合性物質とを結合させる方法。
(2)結合性物質のアミノ末端またはリジン残基の一級アミンに、2官能性架橋試薬のNHSエステルを反応させ、発光蛋白質のスルフヒドリル基と2官能性架橋試薬のマレイミド基を反応させて、発光蛋白質と結合性試薬とを結合させる方法。
(3)N−Succinimidyl S−acetylthioacetate(SATA)などのスルフヒドリル活性化剤を用いてスルフヒドリル基をイクオリンのアミノ基に導入し、次いでこのイクオリンを抗体と結合する方法。
Blinks, J. R., Wier, W. G., Hess, P., and Prendergast, F.G., Prog. Biophys. Mol. Biol. 40: 1-114 T.Erikaku、S Zenno and S Inouye、Biochem Biophys Res Commun、174:1331−1336
(1)配列番号1に示されるアミノ酸配列のアミノ末端から4番目のアミノ酸残基内に一つのシステインが導入されたアポ蛋白質を構成成分とする組換えカルシウム結合型発光蛋白質、または、配列番号2に示されるアミノ酸配列のアミノ末端から6番目のアミノ酸残基内に一つのシステインが導入されたアポ蛋白質を構成成分とする組換えカルシウム結合型発光蛋白質のいずれかと、抗体とが、該システインを介して結合している、イクオリンと抗体との複合体。
(2)配列番号3に示されるアミノ酸配列からなるアポ蛋白質を構成成分とする組換えカルシウム結合型発光蛋白質、または、配列番号4に示されるアミノ酸配列からなるアポ蛋白質を構成成分とする組換えカルシウム結合型発光蛋白質のいずれかと、抗体とが、該システインを介して結合している、イクオリンと抗体との複合体。
(3)該システインを介しての結合が、システインのスルフヒドリル基と反応する官能基を有する架橋試薬を介しての結合である、前記第1項または第2項に記載のイクオリンと抗体との複合体。
(4)システインのスルフヒドリル基と反応する官能基がマレイミド基である、前記3項に記載のイクオリンと抗体との複合体。
(5)抗体が、腫瘍の増殖に伴って血清や尿中に増加する腫瘍マーカーを抗原とする抗体である、前記第1項または第2項に記載のイクオリンと抗体との複合体。
(7)前記第1項〜第5項に記載の何れかに記載のイクオリンと抗体との複合体を構成成分とする、抗原測定キット。
(9)スルフヒドリル基と反応する官能基を有する抗体がマレイミド基を有する抗体である、前記第8項に記載のイクオリンと抗体との複合体の製造方法。
(10)スルフヒドリルと反応する官能基を有する抗体が、マレイミド基を有する架橋試薬と抗体とを、モル比で5:1〜10:1の割合で反応させて得られたものである、前記第8項に記載のイクオリンと抗体との複合体の製造方法。
(11)マレイミド基を有する架橋試薬と抗体との反応が、10〜30℃、0.5〜1時間の反応である、前記第10項に記載のイクオリンと抗体との複合体の製造方法。
(12)組換えカルシウム結合型発光蛋白質と、スルフヒドリルと反応する官能基を有する抗体との割合が、1:3〜1:5(モル比)の範囲である、前記第8項に記載のイクオリンと抗体との複合体の製造方法。
(13)組換えカルシウム結合型発光蛋白質と、スルフヒドリルと反応する官能基を有する抗体との反応が、4〜20℃、0.5〜2時間の反応である、前記第8項に記載のイクオリンと抗体との複合体の製造方法。
本発明に使用する組換えカルシウム結合型発光蛋白質の1つは、配列番号1に示されるアミノ酸配列のアミノ末端から4番目のアミノ酸残基内に一つのシステインが導入されたアポ蛋白質を構成成分とする。配列番号1のアミノ末端から4番目までのアミノ酸は、アミノ酸末端から順に、Val、Lys、Leu、Thrである。アミノ末端から4番目のアミノ酸残基内に一つのシステインが導入されたとは、ValとLysの間、LysとLeuの間、LeuとThrの間のいずれかにシステイン残基が挿入されていることを意味する。
なお、天然型アポイクオリンと変異型アポイクオリンは、市販品を入手することも可能である。また、天然型アポイクオリンであれば、天然の発光クラゲから抽出、精製して入手することも可能である。変異型アポイクオリンは、発光クラゲからアポイクオリンのcDNAをクローニングし、そのcDNAを用い、かつ大腸菌を宿主とし、宿主の菌体内及び菌体外でのアポイクオリンを生産させ、抽出、精製するなどの方法により製造することも可能である。
本発明のA−A複合体は、高い発光強度を維持したまま抗体と結合していることから、例えばイムノアッセイにおける抗原の検出や測定に好適に用いることができる。本発明の抗原の測定方法は、通常の方法によって行うことができる。具体的には、本発明のA−A複合体を抗原に結合させ、カルシウムイオンによって発光させることにより抗原を検出することができる。
本発明の抗原測定キットは、本発明のA−Aを構成成分とするものであれば、それ以外の構成成分は特に限定されるものではない。本発明のキットには、さらにセレンテラジンもしくはその誘導体を含んでいてもよい。本発明のキットは、通常用いられる材料および方法で製造することができる。本発明のキットは、例えば、サンプルチューブ、プレート、キット使用者に対する指示書、溶液、バッファー、試薬、標準化のために好適なサンプルまたは対照サンプルを含んでもよい。
本発明のA−A複合体の製造方法は、配列番号1に示されるアミノ酸配列のアミノ末端から4番目のアミノ酸残基内に一つのシステインが導入されたアポ蛋白質を構成成分とする組換えカルシウム結合型発光蛋白質、または、配列番号2に示されるアミノ酸配列のアミノ末端から6番目のアミノ酸残基内に一つのシステインが導入されたアポ蛋白質を構成成分とする組換えカルシウム結合型発光蛋白質のいずれかと、スルフヒドリル基と反応する官能基を有する抗体とを反応させることを特徴とするものである。
(1)システイン導入アポイクオリン発現ベクターの構築
先ず、PCR法により、天然型アポイクオリンのN−末端のValがAla-Asn-Serで置換された変異型アポイクオリンの発現ベクターpiP-HE(Inouye et al., J. Biochem., 105(1989): 473-477 参照)から、アポイクオリン遺伝子のN−末端近傍にある制限酵素部位EcoRIが欠失したpiP-HEΔEを構築した。
次いで、piP-HEΔEを用いて、変異型アポイクオリンのN−末端から5番目のLeuと6番目のThrとの間にシステイン残基をPCR法で導入することにより、システイン挿入イクオリン遺伝子発現ベクターpiP-HE-Cys4を構築した。その具体的な構築プロセスの概略を図1に示す。
0.1μgのpiP-HEプラスミドをテンプレートとし、PCRプライマーとしてOmpA1-XbaI(5'TGG-AAC-TCT-AGA-TAA-CGA-GGG-CAA-AAA 3', SEQ ID NO:3)およびOmpA1-HindIII(5'TCC-AAG-CTT-GGA-GTT-CGC-GGC-CTG 3', SEQ ID NO:4)を、各1μg用いた。
DNA Thermal Cycler(Perkin-Elmer社製)およびAmpli Taq DNAポリメラーゼを含むGeneAmp PCR試薬キット(宝酒造社製)を用いて制限酵素XbaIとHindIIIサイトとOmpAシグナル配列を含み、EcoRIサイトを欠失したフラグメントをPCR増幅した後、PCR精製キット(キアゲン社製)でフラグメントを分離、制限酵素XbaIとHindIIIで消化を行い、制限酵素部位EcoRIを欠失したXbaI-HindIIIフラグメントを取得した。一方、piP-HEプラスミドを制限酵素XbaIとHindIIIで消化し、アポイクオリン遺伝子を含むベクター部分をDNA精製キット(キアゲン社製)で単離した。これを増幅したXbaI-HindIIIフラグメントと連結し、このようにして得られたプラスミドを用いて大腸菌JM83株を形質転換した。形質転換体の中から、EcoRI部位を欠失したpiP-HEΔEプラスミドを単離した。遺伝子配列の確認は、Taq DyeDeoxy Termintor Cycle sequencing Kit(Applied Biosytems 社製)およびDNA 377 シークエンサー(Applied Biosytems 社製)を用いて決定した。EcoRI部位のみが欠失し、アミノ酸配列はもとの変異型と同一であった。
0.1μgのpiP-HEΔEプラスミドをテンプレートとし、プライマーとしてCys4-AQ (5'GGC-AAG-CTT-TGT-ACT-AGT-GAC-TTC-GAC-AAC-CCA-AGA-TGG 3', SEQ ID NO:5)および630EcoRI-AQ (5'GCC-GAA-TTC-ATC-AGT-GTT-TTA-TTC-AAA 3', SEQ ID NO:6) を各1μg用いて、GeneAmp PCR 試薬キット(宝酒造社製)により制限酵素EcoRIおよびHindIIIサイトを含む変異型アポイクオリンのN−末端から5番目のLeuと6番目のThrとの間にシステイン残基を有するフラグメントをPCR増幅した後、精製キット(キアゲン社製)でフラグメントを分離し、次いで制限酵素HindIIIとEcoRIで消化して、変異型アポイクオリンのN−末端から5番目のLeuと6番目のThrとの間にシステイン残基を有するHindIII-EcoRIフラグメントを取得した。一方、piP-HEΔEプラスミドを制限酵素HindIIIとEcoRIで消化した後、プロモーターおよびOmpAシグナルペプチドを含むベクター側を単離した。次いで、これをHindIII-EcoRIフラグメントと連結し、このようにして得られたプラスミドを用いて大腸菌JM83株を形質転換した。形質転換体の中から、N−末端から5番目のLeuと6番目のThrとの間にシステインが導入された変異型アポイクオリン発現するpiP-HE-Cys4プラスミドを単離した。塩基配列を、Taq DyeDeoxy Termintor Cycle sequencing Kit (Applied Biosytems 社製)およびDNA 377 シークエンサー(Applied Biosytems 社製)を用いて決定し、このシステイン導入アポイクオリン(以下「Cys4−アポイクオリン」と言うことがある。)遺伝子を確認した。このCys4−アポイクオリンのアミノ酸配列は配列番号4で示したものである。
宿主として大腸菌WA802株を使用し、実施例1で作製した組換えプラスミドpiP-HE-Cys4を発現ベクターとし、常法により形質転換を実施した。形質転換体20株をLB(水1L中、バクトトリプトン10g、イーストエキストラクト5g、塩化ナトリウム5g,pH7.2)寒天培地にて30℃で一晩培養した後、5mLのアンピシリン含有(50μg/mL)LB液体培地に植菌し、さらに37℃で16時間培養した。次いで、最も高い発光活性を有する菌株、即ち最も高いCys4−アポイクオリン産生菌株を選択し、高発光活性を有する菌株を大量培養用の種株とした。
Cys4−アポイクオリン産生菌株を30℃で一晩培養後、50mLのアンピシリン含有(50μg/mL)LB液体培地に植菌した。さらに30℃で8時間培養した後、新鮮LB液体培地2Lに移し、37℃で一昼夜(18時間)培養した。菌体と培養液を低速遠心分離(5000×g)により分離した。菌体、培養液は両者とも発現したアポイクオリンを含むためそれぞれ保存し、Cys4−アポイクオリン精製の出発材料とした。
集菌した菌体は、還元剤のジチオスレイトール(和光純薬社製)200mgを含む400mLの緩衝液(50mM Tris−HCl、10mM EDTA、pH7.6)に懸濁した。菌体を氷冷下で2分間超音波破砕処理して破砕した後、20分間遠心分離(12000×g)して上澄み液を集めた。少量のメタノールに溶解した化学合成セレンテラジンを、Cys4−アポイクオリンの1.2倍のモル濃度になるように、上記の上澄み液に添加し、4℃で5時間以上放置した。得られた上澄み液を直ちに、カラム緩衝液(20mM Tris−HCl、10mM EDTA、pH7.6)で平衡化したQ−セファロースカラム(ファルマシア製、直径2cm×10cm)に吸着させ、280nmでの溶出液の吸光度が0.05以下になるまで0.1M NaClを含有する緩衝液でカラムを洗浄した。次いで、カラムに吸着した未再生Cys4−アポイクオリンと再生Cys4−イクオリンの両者を含む画分を0.1M〜0.4M−NaClの直線濃度勾配により溶出した。
Q−セファロースカラムから溶出したオレンジ色の溶出液に、最終濃度が2Mになるように硫酸アンモニウムを添加した。添加後、不溶性画分を遠心分離により除去した。次いで、2M 硫酸アンモニウムを含む上述のカラム緩衝液で平衡化したブチルセファロース4ファーストフロー(ファルマシア社、カラムサイズ:直径2cm×8cm)にその上澄み液を加え、硫酸アンモニウムの2M〜1Mの直線濃度勾配により溶出し、発光活性を有する、即ち再生Cys4−イクオリンを含むオレンジ色画分を収集した。一方、未再生のCys4−アポイクオリンはカラム緩衝液でのみ溶出された。
培養液から純度98%以上のアポイクオリンを取得し、実験例4に従ってイクオリンに再生し、精製した。精製されたイクオリンを12%SDS−PAGEにより分析したところ、実験例4で得られたものと同じであった。培養液2Lから高純度Cys4−イクオリン10.4mgが得られた。
(1)スルフヒドリル反応性抗体の製造(抗−AFP抗体とマレイミド基を有する架橋試薬との結合)
534μg(3nmol)の抗−AFP抗体(日本医学臨床検査研究所製、クローンNo.1D5、サブクラスIgG1−κ、以下「1D5」と言うことがある。)を、200μlの0.1mM EDTAを含む66mMリン酸緩衝液(pH7.4、以降「緩衝液A」と記載)に溶解したものに、緩衝液Aにて1mMに調製したスルホスクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(スルホ−SMCC、PIERCE社)を15μl(スルホ−SMCC 15nmol、混合条件1:1D5/スルホ−SMCC=1/5)加えたもの、30μl(スルホ−SMCC 30nmol、混合条件2:1D5/スルホ−SMCC=1/10)加えたもの、300μl(スルホ−SMCC 300nmol、混合条件3:1D5/スルホ−SMCC=1/100)加えたものの3種類を準備し、それぞれ4℃にて2時間反応させた。反応後、50mMトリス塩酸緩衝液(pH7.6)を、それぞれに2μl(100nmol)加え25℃にて10分以上静置して、反応を停止した。未反応のスルホ−SMCCをアミコンウルトラ−4スピンカラム(ミリポア社製、分画分子量10,000)を用いて4℃、6000rpmにて15分間遠心して(日立製作所製、CR20B2)除去し、抗−AFP抗体とマレイミド基を有する架橋試薬との結合体(以下「マレイミド化1D5」と言うことがある。)を3種類得た。混合条件1で得られたものをマレイミド化1D5−1、混合条件2で得られたものをマレイミド化1D5−2、混合条件3で得られたものをマレイミド化1D5−3とした。なお、E1% 280nm=14から算出したマレイミド化1D5−2の回収率は84.6%(454μg)であった。
実験例1で製造したシステイン導入イクオリンを7.5nmolになるように緩衝液Aにて希釈、調製した。これを、マレイミド化1D5−1〜3 90μl(1.5nmol)のそれぞれに加え、4℃にて一晩反応させた。反応後、それぞれに10mMシステイン水溶液を2μl(20nmol)加え、システイン導入イクオリンとマレイミド化1D5との複合体(以下「AQ−S−Ab1D5」と言うことがある。)を3種類得た。なお、マレイミド化1D5−1を用いて得られたものをAQ−S−Ab1D5−1、マレイミド化1D5−2を用いて得られたものをAQ−S−Ab1D5−2、マレイミド化1D5−3を用いて得られたものをAQ−S−Ab1D5−3とした。
3種類のAQ−S−Ab1D5とも発光活性の低下はほとんど起こらず、いずれも96%の発光活性を保持していた。得られた3種類のAQ−S−Ab1D5を12%分離ゲル(テフコ社製)を用いて還元条件下でSDS−PAGE分析に供した。結果を図2に示す。
1)抗−AFP抗体のコーティング
抗−AFP抗体(クローンNo.6D2、サブクラスIgG2a−κ、日本医学臨床検査研究所、以下「6D2」と言うことがある。)を、0.05%アジ化ナトリウムを含む50mM 炭酸緩衝液(pH9.6)にて5μg/mlに調製し、96穴マイクロプレート(Nunc社製 #437796)に100μl/ウェル分注し、室温にて一晩静置してコートした。
静置後、炭酸緩衝液を除去し、1%牛血清アルブミン(フラクションV、生化学工業)、2mM EDTA(EDTA・2Na、同仁化学研究所)、0.05%アジ化ナトリウム(和光純薬工業)を含む150mM NaCl(和光純薬工業)、20mM Tris−HCl(和光純薬工業)(以降TBSと記載)(以降ポストコーティング溶液と記載)を200μl/ウェル分注、4℃にて一晩静置した。
ポストコーティング溶液を捨て、よく洗浄した後、10%ブロックエース(大日本製薬)、5mM EDTAを含むTBS(以降希釈液と記載)で110μg/ml AFP(Dako)を12.5ng/mlに希釈、50μl/ウェル分注し、更に希釈液で5000〜10000倍に希釈したAQ−S−Ab1D5を50μl/ウェル分注後、30℃にて1時間静置した。
静置後、反応液を捨て、よく洗浄した後、発光プレートリーダーCentro LB960(Berthold社製)にて、50mM CaCl2を含む50mM Tris−HCl(pH7.6)を100μl/ウェル注入して発光強度を0.1秒間隔で5秒間測定し、最大発光強度値(Imax)を算出した。
(1)スルフヒドリル反応性抗体の製造(抗−AFP抗体とマレイミド基を有する架橋試薬との結合)
534μg(3nmol)の1D5を、200μlの緩衝液Aに溶解したものを2本準備し、緩衝液Aにて1mMに調製したスルホ−SMCCを30μl(30nmol、1D5/スルホ−SMCC=1/10)加え、そのうち1本を20℃にて30分間反応させ、もう一方を4℃にて2時間反応させた。反応後、それぞれに50mMトリス塩酸緩衝液(pH7.6)を2μl(100nmol)加え、25℃にて10分以上静置して、反応を停止した。次いで、アミコンウルトラ−4スピンカラム(ミリポア社製、分画分子量10,000)を用いて4℃、6000rpmにて15分間遠心し(日立製作所製、CR20B2)、未反応のSulfo−SMCCを除去し、2種類のマレイミド化1D5を得た。20℃、30分反応させて得られたものをマレイミド化1D5−4、4℃にて2時間反応させて得られたものをマレイミド化1D5−5とした。なお、E1% 280nm=14から算出したマレイミド化1D5−5の回収率は84.6%(454μg)であった。
マレイミド化1D5−4 90μl(1.5nmol)とマレイミド化1D5−5 90μl(1.5nmol)に、実験例1で製造したシステイン導入イクオリンを7.5nmolになるように緩衝液Aにて希釈、調製したものをそれぞれ加え、マレイミド化1D5−4を用いた方は4℃にて2時間反応させ、マレイミド化1D5−5を用いた方は4℃にて一晩反応させた。反応後、それぞれに10mMシステインを2μl(20nmol)加えた。その後、アミコンウルトラ−4スピンカラム(分画分子量100,000)を用いて、4℃、6000rpmにて5分間遠心し、未反応のシステイン導入イクオリンを除去し、2種類のAQ−S−Ab1D5を得た。なお、マレイミド化1D5−4を用いて得られたものをAQ−S−Ab1D5−4、マレイミド化1D5−5を用いて得られたものをAQ−S−Ab1D5−5とした。
2種類のAQ−S−Ab1D5とも発光活性の低下はほとんど起こらず、いずれも96%の発光活性を保持していた。
1)抗−AFP抗体のコーティング
6D2を0.05% アジ化ナトリウムを含む50mM 炭酸緩衝液(pH9.6)にて5μg/mlに調製し、96穴マイクロプレート(Nunc社製 #437796) に100μl/ウェル分注し、室温にて一晩静置してコートした。
静置後、炭酸緩衝液を除去し、ポストコーティング溶液を200μl/ウェル分注、4℃にて一晩静置した。
ポストコーティング溶液を捨て、よく洗浄した後、希釈液で110μg/ml AFP(Dako)を12.5ng/mlに希釈し、50μl/ウェル分注し、更に希釈液で5000〜10000倍に希釈したAQ−S−Ab1D5を50μl/ウェル分注後、30℃にて1時間静置した。
静置後、反応液を捨て、よく洗浄した後、発光プレートリーダーCentro LB960(Berthold社製)にて、50mM CaCl2を含む50mM Tris−HCl(pH7.6)を100μl/ウェル注入して発光強度を0.1秒間隔で5秒間測定し、最大発光強度値を算出した。
(1)AQ−S−Ab1D5−4によるAFPの生物発光イムノアッセイ
1)抗−AFP抗体のコーティング
実験例3に記載の方法の準じて6D2のコーティングを行った。
2)ポストコーティング
実験例3に記載の方法の準じてポストコーティングを行った。
3)AFPとAQ−S−Ab1D5−4の反応
ポストコーティング溶液を捨て、よく洗浄した後、希釈液で110μg/ml AFP(Dako)を希釈、10pg/mlから200ng/mlまでの希釈系列を作製し、50μl/ウェル分注し、更に希釈液で21ng/mlに調製したAQ−S−Ab1D5を50μl/ウェル分注後、30℃にて1時間静置した。
4)イクオリンによる発光の測定
実験例3に記載の方法の準じて発光の測定を行った。AQ−S−Ab1D5−4を用いたAFPの生物発光イムノアッセイによるスタンダードカーブを図3に示した。その結果、AFPの検出限界は10−2ng/ml、ダイナミックレンジは10−2〜102ng/mlを示した。バックグランドが低く抑えられており、高感度なイムノアッセイに優れていることが示された。
(1)スルフヒドリル基導入イクオリンの製造
緩衝液A 15μlに溶解したイクオリン440μg(20nmol、チッソ株式会社製)に、ジメチルスルホキシド(和光純薬)にて100mMに調製したN−Succinimidyl S−acetylthioacetate(SATA、PIERCE社)を2μl(200nmol)加え、緩衝液Aにて全量として500μlとし、25℃にて30分反応させた。反応後、50mMトリス塩酸緩衝液(pH7.6)を2μl(100nmol)加え、25℃にて10分以上静置して反応を停止した。次いで、アミコンウルトラ−4スピンカラム(分画分子量10,000)を用いて、4℃、6000rpmにて15分間遠心し、未反応のSATAを除去し、SATA修飾イクオリンを得た。イクオリン活性から算出した回収率は72.7%であった。
534μg(3nmol)の1D5を、200μlの緩衝液Aに溶解した。そこへ緩衝液Aにて10mMに調製したスルホ−SMCCを30μl(30nmol)加えて、4℃にて2時間反応させた。反応後、50mMトリス塩酸緩衝液(pH7.6)を2μl(100nmol)加え、25℃にて10分以上静置して、反応を停止した。次いで、アミコンウルトラ−4スピンカラム(ミリポア社製、分画分子量10,000)を用いて4℃、6000rpmにて15分間遠心し(日立製作所製、CR20B2)、未反応のSulfo−SMCCを除去し、マレイミド化1D5を得た。このようにして得られたマレイミド化1D5の、E1% 280nm=14から算出した回収率は84.6%(454μg)であった。
マレイミド化1D5 90μl(1.5nmol)に、緩衝液Aに溶解したスルフヒドリル基導入イクオリン(7.5nmol)を加え、4℃にて一晩反応させた。反応後、10mMシステインを2μl(20nmol)加えた。その後、アミコンウルトラ−4スピンカラム(分画分子量100,000)を用いて、4℃、6000rpmにて5分間遠心して、未反応のスルフヒドリル基導入イクオリンを除去し、A−A複合体(以下「AQ−NS−1D5」言うことがある。)を得た。得られたAQ−NS−1D5を12%分離ゲル(TEFCO)を用い、還元条件下でSDS−PAGE分析に供した結果、スルフヒドリル基導入イクオリン(21kDa)と1D5由来のH鎖(55kDa)が結合してできたと思われる75kDaに主なバンドが観察され、AQ−NS−Ab1D5が形成されていることが確認された。
1)抗−AFP抗体のコーティング
実験例3に記載の方法の準じて6D2のコーティングを行った。
2)ポストコーティング
実験例3に記載の方法の準じてポストコーティングを行った。
3)AFPとAQ−NS−Ab1D5の反応
ポストコーティング溶液を捨て、よく洗浄した後、希釈液で110μg/ml AFPを希釈、10pg/mlから200ng/mlまでの希釈系列を作製し、50μl/ウェル分注し、更に希釈液で40ng/mlに調製したAQ−NS−Ab1D5を50μl/ウェル分注後、30℃にて1時間静置した。
4)イクオリンによる発光の測定
実験例3に記載の方法の準じて発光の測定を行った。AQ−NS−Ab1D5を用いたAFPの生物発光イムノアッセイによるスタンダードカーブを図3に示した。その結果、AFPの検出限界は10−2ng/ml、ダイナミックレンジは10−2〜102ng/mlを示し、AQ−S−Ab1D5−4とほぼ同等のスペックを示した。
[配列番号:2]変異型アポイクオリンのアミノ酸配列。
[配列番号:3]システインが導入された天然型アポイクオリンのアミノ酸配列。
[配列番号:4]システインが導入された変異型アポイクオリンのアミノ酸配列。
Claims (13)
- 配列番号1に示されるアミノ酸配列のアミノ末端から4番目のアミノ酸残基内に一つのシステインが導入されたアポ蛋白質を構成成分とする組換えカルシウム結合型発光蛋白質、または、配列番号2に示されるアミノ酸配列のアミノ末端から6番目のアミノ酸残基内に一つのシステインが導入されたアポ蛋白質を構成成分とする組換えカルシウム結合型発光蛋白質のいずれかと、抗体とが、該システインを介して結合している、イクオリンと抗体との複合体。
- 配列番号3に示されるアミノ酸配列からなるアポ蛋白質を構成成分とする組換えカルシウム結合型発光蛋白質、または、配列番号4に示されるアミノ酸配列からなるアポ蛋白質を構成成分とする組換えカルシウム結合型発光蛋白質のいずれかと、抗体とが、該システインを介して結合している、イクオリンと抗体との複合体。
- システインを介しての結合が、システインのスルフヒドリル基と反応する官能基を有する架橋試薬を介しての結合である、請求項1または2に記載のイクオリンと抗体との複合体。
- システインのスルフヒドリル基と反応する官能基がマレイミド基である、請求項3に記載のイクオリンと抗体との複合体。
- 抗体が、腫瘍の増殖に伴って血清や尿中に増加する腫瘍マーカーを抗原とする抗体である、請求項1または2に記載のイクオリンと抗体との複合体。
- 請求項1〜5に記載の何れかに記載のイクオリンと抗体との複合体を用いることを特徴とする、抗原測定方法。
- 請求項1〜5に記載の何れかに記載のイクオリンと抗体との複合体を構成成分とする、抗原測定キット。
- 配列番号1に示されるアミノ酸配列のアミノ末端から4番目のアミノ酸残基内に一つのシステインが導入されたアポ蛋白質を構成成分とする組換えカルシウム結合型発光蛋白質、または、配列番号2に示されるアミノ酸配列のアミノ末端から6番目のアミノ酸残基内に一つのシステインが導入されたアポ蛋白質を構成成分とする組換えカルシウム結合型発光蛋白質のいずれかと、スルフヒドリル基と反応する官能基を有する抗体とを反応させることを特徴とする、イクオリンと抗体との複合体の製造方法。
- スルフヒドリル基と反応する官能基を有する抗体が、マレイミド基を有する抗体である、請求項8に記載のイクオリンと抗体との複合体の製造方法。
- スルフヒドリルと反応する官能基を有する抗体が、マレイミド基を有する架橋試薬と抗体とを、モル比で5:1〜10:1の割合で反応させて得られたものである、請求項8に記載のイクオリンと抗体との複合体の製造方法。
- マレイミド基を有する架橋試薬と抗体との反応が、10〜30℃、0.5〜1時間の反応である、請求項10に記載のイクオリンと抗体との複合体の製造方法。
- 組換えカルシウム結合型発光蛋白質と、スルフヒドリルと反応する官能基を有する抗体との割合が、1:3〜1:5(モル比)の範囲である、請求項8に記載のイクオリンと抗体との複合体の製造方法。
- 組換えカルシウム結合型発光蛋白質と、スルフヒドリルと反応する官能基を有する抗体との反応が、4〜20℃、0.5〜2時間の反応である、請求項8に記載のイクオリンと抗体との複合体の製造方法。
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