JP2008291025A - ヒトアミロスフェロイド類似会合体 - Google Patents

ヒトアミロスフェロイド類似会合体 Download PDF

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Abstract

【課題】アルツハイマー病またはレビー小体型痴呆である個体の生体内に存在する毒性本体の実体を明らかにすることを課題とする。
【解決手段】アルツハイマー病またはレビー小体型痴呆である個体から取得した脳の抽出物から、アミロスフェロイドに特異的に反応する抗体を用いて、アミロスフェロイドやアミロイドβ線維よりも強い毒性を有するヒトアミロスフェロイド類似会合体を単離することにより、上記課題を解決する。
【選択図】なし

Description

本発明は、高い毒性を有するヒトアミロスフェロイド類似会合体及びヒトアミロスフェロイド類似会合体に特異的に反応する抗体に関する。また、ヒトアミロスフェロイド類似会合体及び/又はヒトアミロスフェロイド類似会合体に特異的に反応する抗体を用いた神経細胞死抑制作用を有する物質又はアルツハイマー病またはレビー小体型痴呆の治療及び/又は予防薬のスクリーニング方法、並びにヒトアミロスフェロイド類似会合体に特異的に反応する抗体を用いたアルツハイマー病またはレビー小体型痴呆の検出方法に関する。
アルツハイマー病、レビー小体型痴呆(DLB)、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、プリオン病等の加齢に伴って発症する複数の神経変性疾患において、現在「異常構造蛋白質」が共通の発症機構として注目され、その分子実体の探索が行われている。アルツハイマー病については、アミロイドβ蛋白質(Aβ)を主成分とする老人斑(非特許文献1及び非特許文献2を参照)と、リン酸化されたタウ蛋白質を主成分とする神経原線維変化(Paired Helical Filament; PHF)(非特許文献3及び非特許文献4を参照)の2種の線維性凝集体が脳に沈着することが病理学的特徴として報告されている。また近年、複数の多様な病因により発症すると考えられてきたアルツハイマー病研究において、アミロイドβ蛋白質の沈着が全てに共通な発症経路であると考えられるようになってきた。アミロイドβ蛋白質は、その前駆体物質(Amyloid Precursor Protein; APP)から主として40残基(Aβ1−40)ないしは42残基(Aβ1−42)の分子種として切り出されて生じるペプチドであり、正常人においても恒常性を維持した生成・分解過程が進んでいるが、アルツハイマー病におけるアミロイドβ蛋白質の過剰な沈着は、切り出しの過程、又は分解の過程での脱制御の結果であると考えられる。
沈着したアミロイドβ蛋白質は神経細胞に対し神経毒として作用してシナプスの変性とそれに続く神経細胞死を引き起こし、これがアルツハイマー病の進行性痴呆の原因となる選択的な神経細胞脱落の機構であると考えられている。また、アミロイドβ蛋白質は水溶性のペプチドとして細胞外に放出された状態では神経細胞死活性(以下、本明細書中において神経細胞死活性を「毒性」と称することがある)を示さず、自己会合しアミロイドβ線維を形成して初めて毒性を獲得することが報告されている(非特許文献5を参照)。このアミロイドβ線維を含む毒性アミロイドβ蛋白質含有液を神経系の培養細胞に高濃度で添加すると、これらの細胞を死に至らしめることが知られているため、アルツハイマー病においてはこのアミロイドβ線維が神経細胞死を誘発している本体であると考えられてきた。
従って、このアミロイドβ線維を含む毒性アミロイドβ蛋白質の添加により神経系細胞等に細胞死を誘発する実験系は、アルツハイマー病における神経細胞死を反映していると見なされ、神経細胞死抑制剤のスクリーニング等に多く用いられてきた。しかし近年、(1)アミロイドβ線維を含む毒性アミロイドβ蛋白質含有液で神経細胞死を誘導するのに必要な濃度は数10μMであり(非特許文献6を参照)、アルツハイマー病である個体(患者)の脳に存在するアミロイドβ蛋白質濃度の1000倍以上高い濃度である、(2)アルツハイマー病である個体の脳においてアミロイドβ線維の沈着量が、記憶や認知機能などの高次機能の障害程度と必ずしも相関せず、大量のアミロイドβ線維の沈着を持ちながら何の臨床症状を示さない場合もあること、(3)さらに、脳内のアミロイドβの沈着部位と神経細胞脱落部位が必ずしも一致していない、(4)APP過剰発現マウスの脳においてアミロイドβ線維の沈着以前、又は沈着なしに学習行動異常が生じる、(5)アルツハイマー病である個体の脳における水溶性アミロイドβ蛋白質含量の増加は沈着よりも10年以上先行する等、アミロイドβ蛋白質の毒性の本体がアミロイドβ線維ではないことを示唆する事実が報告されるようになってきた。
一方では、アミロイドβ線維を含む毒性アミロイドβ蛋白質含有液は、実際には単量体から線維までの複数のアミロイドβ蛋白質の構造体を含んでいることが報告され、アミロイドβ蛋白質の毒性の本体は線維形成の中間体であるとの仮説が提唱されて、インビトロで線維状構造体Protofibril(非特許文献7を参照)と球状構造体ADDLs(Aβ-derived diffusible ligands;非特許文献7を参照)がそれぞれ同定された。形態は全く異なるがこの二つの分子種は共に線維形成の過程で一過的に形成される中間体とされ、β-sheet構造をとる構造物である。線維構造を形成するためにはβ-sheet構造が必須であるため、その点においては線維形成の中間構造物であることが示唆されるが、しかし、どちらも複数サイズの構造物の集合体であり、毒性の本体が特定されているとはいえなかった。また、細胞膜上に特異的な受容体が存在するのかどうかなど、これらの構造物が神経細胞死を引き起こす作用機構も不明である上、アルツハイマー病である個体の脳やAPP過剰発現マウス等の疾患モデルにおいて実際にこれらに相当する構造物は見つかっていなかった。さらにアミロイドβ蛋白質は、その機能は未だ明らかではないが本来生理的物質として健常者においても生成されることが確認されており、痴呆を伴わずに老化したヒトの脳においてアミロイドβ蛋白質の沈着が広範に認められるケースも存在していた。
本発明者らは、先に、アルツハイマー病等である個体の生体内に存在する自己会合したアミロイドβ蛋白質と同等の濃度で神経系細胞に細胞死を誘導する、高い毒性を有する自己会合型アミロイドβ蛋白質含有液、及びその調製方法を提案した(特許文献1を参照)。さらに、上記自己会合型アミロイドβ蛋白質含有液に含まれる毒性の本体を分離する方法を見いだし、解析を行ったところ、粒径約10〜約20nm程度の粒状の形態を有する自己会合型アミロイドβ蛋白質であることがわかり、これをアミロスフェロイド(amlylospheroid)と命名した。本明細書では、この命名に従い、粒径約10〜約20nm程度の粒状の形態を有する自己会合型アミロイドβ蛋白質を「アミロスフェロイド」と称することがある。また本発明者らは、アミロスフェロイドに対する高い反応性を有する抗体を取得し、これらの抗体の中には、アミロスフェロイドの形成に対する阻害活性、あるいはアミロスフェロイドによる神経細胞死誘導に対する阻害活性を有するものがあることを見出している(特許文献2を参照)。
このようにアミロスフェロイドは、アルツハイマー病である個体の脳内に存在するアミロイドβ蛋白質と同等の濃度で神経系細胞死を誘導し、またアミロスフェロイドによって神経が死に至る過程でもう一つの病理学的マーカーであるタウ蛋白質のリン酸化を引き起こすなど、アルツハイマー病で起きている病態と合致するため、脳内におけるアミロイドβ蛋白質の毒性の本体であると考えられた。しかし、アミノ酸配列が同一で構造が異なる他のアミロイドβ蛋白質とアミロスフェロイドを特異的に区別する検出系が存在しないため、アルツハイマー病である個体の脳内に存在するアミロスフェロイドは同定されておらず、その実体は明らかになっていなかった。
また、レビー小体型痴呆は、アルツハイマー病についで二番目に多い老人における認知障害の原因となる神経変性疾患であり、脳のある種の領域に見られるレビー小体として知られている異常構造を含み、老人斑や神経原線維変化などのアルツハイマー型病理所見によって特徴付けられる。しかし、レビー小体型痴呆である個体の脳内に存在するアミロスフェロイドも同定されておらず、その実体は明らかになっていなかった。
特開2001−247600号公報 国際公開第2006/016644号パンフレット Selkoe, D.J., Annu. Rev. Neurosci., 12, 463-490 (1989) Glenner, G. G. and Wong, C. W., Biochem. Biophys. Res. Commun., 120(3), 885-890 (1984) Ihara, Y. et al., J.Biochem., 99, 1807-1810 (1986) Grundke-Iqbal, I. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 83,4913-4917 (1986) Lorenzo, A. and Yankner,B. A., Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 91,12243-12247 (1994) Yankner,B. A., et. al., Science, 250, 279-282 (1990) Hartley, D. M. et al., J. Neurosci., 19 (20), 8876-8884 (1999) Lambert, M. P.et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 95, 6448-6453 (1998)
本発明は、アルツハイマー病またはレビー小体型痴呆である個体の生体内に存在する毒性本体の実体を明らかにすることを課題とする。具体的には、アルツハイマー病またはレビー小体型痴呆である個体から取得した生体試料に存在する、高い毒性を有するヒトアミロスフェロイド類似会合体を提供することを課題とする。また、ヒトアミロスフェロイド類似会合体及び/又はヒトアミロスフェロイド類似会合体に特異的に反応する抗体を用いた、神経細胞死抑制活性を有する物質又はアルツハイマー病またはレビー小体型痴呆の治療及び/又は予防薬のスクリーニング方法を提供することを課題とする。さらに、生体試料中のヒトアミロスフェロイド類似会合体を検出するアルツハイマー病またはレビー小体型痴呆の検出方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、アルツハイマー病またはレビー小体型痴呆である個体から取得した脳の抽出物から、アミロスフェロイドに特異的に反応する抗体を用いることにより、ヒトアミロスフェロイド類似会合体を単離することができ、さらにこのヒトアミロスフェロイド類似会合体は、アミロスフェロイドやアミロイドβ線維よりも強い毒性を有することを見いだした。本発明はこれらの知見に基づいて行われたものである。
すなわち本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1)アミロイドβ蛋白質を主成分とし、蛋白質濃度30ng/ml以下で神経系細胞に細胞死を誘導する活性を有することを特徴とする、生体試料から単離された、粒径が10〜20nmのヒトアミロスフェロイド類似会合体。
(2)生体試料がアルツハイマー病またはレビー小体型痴呆である個体から取得したものである、(1)に記載のヒトアミロスフェロイド類似会合体。
(3)アミロイドβ蛋白質がアミロイドβ40および/またはアミロイドβ42である(1)または(2)に記載のヒトアミロスフェロイド類似会合体。
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載されたヒトアミロスフェロイド類似会合体に特異的に反応する抗体。
(5)生体試料からの単離がアミロスフェロイドに特異的に反応する抗体又は(4)に記載の抗体を用いることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載のヒトアミロスフェロイド類似会合体。
(6)神経細胞死抑制活性作用を有する物質のスクリーニング方法であって、下記の工程を含む方法。
(i)(1)〜(3)もしくは(5)のいずれかに記載のヒトアミロスフェロイド類似会合体及び被験物質の存在下で神経系細胞もしくは神経系器官を培養する工程、又は(1)〜(3)もしくは(5)のいずれかに記載のヒトアミロスフェロイド類似会合体及び被験物質を動物に投与する工程、
(ii)上記神経系細胞、神経系器官又は動物の神経系細胞の細胞死が抑制された場合に、上記被験物質が神経細胞死に対して抑制作用を有すると判定する工程。
(7)神経細胞死抑制活性作用を有する物質がアルツハイマー病またはレビー小体型痴呆の治療及び/又は予防薬である、(6)に記載の方法。
(8)被験物質をヒトアミロスフェロイド類似会合体に接触させ、被験物質のヒトアミロスフェロイド類似会合体への反応性を指標として候補物質を選択することを含む、アルツハイマー病またはレビー小体型痴呆の治療及び/又は予防薬のスクリーニング方法。
(9)被験物質にさらにアミロスフェロイドに特異的に反応する抗体又は(4)に記載の抗体を加えることを特徴とする、(8)に記載の方法。
(10)アルツハイマー病またはレビー小体型痴呆の疑いのある個体から取得した生体試料をアミロスフェロイドに特異的に反応する抗体又は(4)に記載の抗体と接触させ、該試料中のヒトアミロスフェロイド類似会合体の有無を測定することを含む、アルツハイマー病またはレビー小体型痴呆である個体の検出方法。
(11)生体試料が脳試料である、(10)に記載の方法。
(12)(1)〜(3)又は(5)のいずれかに記載のヒトアミロスフェロイド類似会合体を含む、アルツハイマー病またはレビー小体型痴呆の検出のための試薬。
本発明のヒトアミロスフェロイド類似会合体は、アミロスフェロイドやアミロイドβ線維よりも強い毒性を有しており、アルツハイマー病またはレビー小体型痴呆の主要な病因の1つであると考えられる。従って、本発明のヒトアミロスフェロイド類似会合体を用いることにより、神経細胞死抑制活性を有する物質のスクリーニングを行うことができる。また、本発明のヒトアミロスフェロイド類似会合体を検出することにより、アルツハイマー病またはレビー小体型痴呆を検出することができる。
本発明のヒトアミロスフェロイド類似会合体は、生体試料から単離され、アミロイドβ蛋白質を主成分とし、蛋白質濃度30ng/ml以下で神経系細胞に細胞死を誘導する活性を有するアルツハイマー病またはレビー小体型痴呆の病原物質である。
本発明はさらに、上記ヒトアミロスフェロイド類似会合体を用いたアルツハイマー病またはレビー小体型痴呆の治療及び/又は予防薬のスクリーニング方法、アルツハイマー病またはレビー小体型痴呆である個体の検出方法、並びにアルツハイマー病またはレビー小体型痴呆の治療及び/又は予防薬などの医薬に関する。これらを以下に詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、これらの内容には特定されない。
なお、本発明においてアルツハイマー病とは、アルツハイマー症、アルツハイマー型痴呆症、アルツハイマー症候群等と称されることもある。アルツハイマー病であるか否かの判断基準は、米国精神医学会が1994年に制定した「精神疾患の診断と統計のための手引き」(DSM-IV)の「アルツハイマー型痴呆の診断基準」、あるいはNINCDS-ADRA基準が国際的に用いられている。
(1)アミロスフェロイド及びその調製
本発明においてアミロスフェロイドとは、アミロイドβモノマー蛋白質が自己会合し、粒状の形態を有するものである。「粒状の形態」とは粒状を呈していればいかなる形状でもよく、顆粒状、細粒状、結晶、凝集塊等をすべて含む。粒径は、通常約10〜約20nm、好ましくは約10〜約15nm、より好ましくは約10〜約12nm、特に好ましくは約12nm付近である。また、アミロスフェロイドは蛋白質濃度約1μg/ml以下、好ましくは約0.45μg/ml以下で神経系細胞に細胞死を誘導する高い神経細胞死活性を有する。また、かかる物性を有するアミロスフェロイドは、グリセロール密度勾配遠心法により分画したときに、グリセロール濃度が約15%以上の画分に得られる。
このようなアミロスフェロイドは、まず、アミロイドβ蛋白質を含む水溶液を対流させ(第一の工程)ることにより調製することができる。さらに、アミロスフェロイドが、高効率に含有される溶液を調製するには、対流させた水溶液中のアミロスフェロイドを分画する(第二の工程)方法が用いられる。アミロスフェロイドに特異的に反応する抗体の抗原には、上記のいずれのアミロスフェロイド含有液も用いることができる。
上記で「アミロイドβ蛋白質」とは、約40のアミノ酸残基からなる蛋白質であり、生体においてはアミロイド前駆体蛋白質(APP)からプロテアーゼによるプロセッシングで産生される。このプロテアーゼの種類やその後の修飾によって様々な種類が存在することが知られているが、分泌直後にはC末端のアミノ酸残基の長さの違いによりアミロイドβ40(Aβ1−40:配列番号1)とアミロイドβ42(Aβ1−42:配列番号2)が主として存在し、アミロイドβ43(Aβ1−43:配列番号3)が微量に存在する。アミロスフェロイドの調製には、例えば、分泌直後のアミロイドβ蛋白質の全長分子種であるAβX−40、AβX−42もしくはAβX−43、又はそれらの変異体あるいは誘導体が好ましく用いられるが、その中でも特にAβ1−40又はAβ1−42が好ましい。また、アミロイドβ蛋白質は、ペプチド合成機等を用いて合成したもの、市販のもの、又は生体試料から抽出精製したものなど、いかなるものを用いてもよい。アミロイドβ蛋白質として合成ペプチドを用いる場合、その合成、抽出精製方法は、それ自体公知の通常用いられている方法を用いることができる。また、合成ペプチドの精製度は高速液体クロマトグラフィーにおいて単一のピークが得られる程度行えば十分であるが、精製方法としては、例えば、ゲル濾過、高速液体クロマトグラフィー等が用いられる。本明細書では、「アミロイドβ蛋白質」を、「アミロイドβ」、「アミロイドβモノマー」、「アミロイドβモノマー蛋白質」と称することがあり、「アミロイドβ蛋白質」は、アミロイドβ40、アミロイドβ42、アミロイドβ43、それらのN末端が切断されたAβy−40、Aβy−42、Aβy−43、さらにそれらの変異体や誘導体を意味する。
アミロスフェロイド含有液の調製方法の第一の工程は、例えば、特開2001−247600号公報に記載されているものが挙げられる。このようにして得られたアミロスフェロイド含有液は、このままでも神経細胞死を誘導する活性を有し、抗原として用いることは可能であるが、第二の工程として分画を行い、さらに高い神経細胞死活性を有する画分を得ることもできる。分画の方法としては、例えば、特開2002−105099号公報に記載の方法が用いられる。かくして得られるアミロスフェロイド含有液は必要に応じて濃縮等の処理を行った後、抗原として以下の免疫工程に用い、アミロスフェロイドに特異的に反応する抗体を得ることができる。
アミロスフェロイドが形成されていることの確認方法としては、下述の神経細胞死活性を解析する方法や、電子顕微鏡により測定する方法等が挙げられる。電子顕微鏡の測定方法は、アミロスフェロイドの粒径が解析できる方法で、かつアミロスフェロイドの自己会合が損傷を受けずに観察できる方法であれば如何なる方法でもよい。具体的には、例えば、まず、直径18mm程度のシャーレ等に30〜40℃の蒸留水を入れ、その水面にコロジオン1.5%(W/V)酢酸イソアミル溶液等を約30μl程度滴下し、直ちに溶媒が揮発して生じる薄膜を得る。この支持膜をグリッドに張り付けて乾燥させた後、カーボンを真空蒸着してグロー放電による親水化処理装置を用いて表面を親水化する。次に、該支持膜を張り付けたグリッド面を下にして調製したアミロスフェロイドを含む溶液の小滴を触れさせ、直ちにろ紙で余分な水分をふき取ってから、酢酸ウラニウム溶液を添加して観察を行う。電子顕微鏡は、安定させた100〜120kVの高圧加速で使用し、試料の電子線による破損を防ぐためにグリッドの端等を利用して非点収差補正を行ったのち、電子線損傷低減法を用いて観察する方法等が好ましい。
(2)ヒトアミロスフェロイド類似会合体を単離するために用いる抗体
本発明のヒトアミロスフェロイド類似会合体を単離するために用いる抗体は、ヒトアミロスフェロイド類似会合体に特異的に反応する抗体であれば如何なるものでもよいが、アミロスフェロイドに特異的に反応する抗体(以下、「抗アミロスフェロイド抗体」と称することがある)を用いることができる。抗アミロスフェロイド抗体として、具体的には、国際公開第2006/016644号パンフレットに記載され、受託番号FERM BP−10392、FERM BP−10393、及びFERM BP−10394として、2005年(平成17年)8月3日付で、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東一丁目1番地1 中央第6)にそれぞれ寄託されたハイブリドーマMASD1、MASD2、及びMASD3が産生するマウスモノクローナル抗アミロスフェロイド抗体mASD1、mASD2及びmASD3が挙げられる。また、受託番号FERM BP−10871及びFERM BP−10872として、2007年(平成19年)7月13日付で、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターにそれぞれ寄託されたハイブリドーマhaASD1及びhaASD2が産生する抗ハムスターモノクローナル抗アミロスフェロイド抗体haASD1及びhaASD2が挙げられる。
抗アミロスフェロイド抗体の第一の態様として、アミロスフェロイドに対する反応性の方が、アミロイドβ線維に対する反応性よりも高い抗体が挙げられる。「アミロスフェロイドに対する反応性」とは、下述する方法で形成されたアミロスフェロイドに反応することを意味する。該抗体の反応性の測定は、それ自体通常用いられる方法により行うことができ、それらの方法で測定した場合に、アミロスフェロイドに対する反応性の方が、アミロイドβ線維に対する反応性よりも高ければ、その抗体は、本態様の抗体に含まれる。好ましい態様によれば、抗体のアミロスフェロイドに対する反応性は、アミロイドβ線維に対する反応性の約2倍以上であり、さらに好ましくは約10倍以上である。この場合、同じ抗体濃度及び量、同じ抗原蛋白質濃度及び抗原蛋白質量を用いた時の反応性で比較することができる。また、アミロスフェロイドに特異的に反応し、アミロイドβ線維に反応しないことを特徴とする抗体も本態様の抗アミロスフェロイド抗体に含まれる。さらに、アミロイドβモノマー蛋白質と比較してもアミロスフェロイドに対する反応性が高い抗体も本態様の抗アミロスフェロイド抗体に含まれる。この場合の抗アミロスフェロイド抗体のアミロスフェロイドに対する反応性は、好ましくは、アミロイドβモノマー蛋白質に対する反応性の約2倍以上であり、さらに好ましくは約5倍以上である。これらの場合、同じ抗体濃度及び量、同じ抗原蛋白質濃度及び抗原蛋白質量を用いた時の反応性で比較することができる。このようなアミロスフェロイドに対する抗体がアミロイドβモノマー蛋白質に対する反応性よりも高い抗体のうち、反応性が約5〜約10倍程度の違いであるものは、特に後述するアミロスフェロイドの形成に対する阻害活性が高い。
抗アミロスフェロイド抗体の抗原に対する反応性の測定方法としては、例えば、ウェスタンブロッティング法、ドットブロッティング法、ELISA法などのそれ自体既知の免疫学的測定法や、電子顕微鏡観察による方法等が挙げられる。またこの場合の比較対照としてのアミロイドβモノマー蛋白質とは、約40のアミノ酸残基からなる蛋白質であり、生体においてはアミロイド前駆体蛋白質(APP)からプロテアーゼによるプロセッシングで産生される。このプロテアーゼの種類やその後の修飾によって様々な種類が存在することが知られているが、分泌直後にはC末端のアミノ酸残基の長さの違いによりアミロイドβ40(Aβ1−40:配列番号1)とアミロイドβ42(Aβ1−42:配列番号2)が主として存在し、またアミロイドβ43(Aβ1−43:配列番号3)が微量に存在し、アミロイドβモノマー蛋白質は、これらのいずれをも含む。また、これらの部分ポリペプチドや誘導体も含まれる。さらに、アミロイドβ線維とは、アミロイドβ蛋白質が自己会合して線維状になったものを意味し、神経細胞死活性を有する。このようなアミロイドβ線維は、例えば、生体内から取得されるものや、Lorenzo,A. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 91, 12243-12247(1994)に記載の方法で製造されるものも含む。
抗アミロスフェロイド抗体の第二の態様は、アミロスフェロイドに対する高い反応性を有し、アミロスフェロイドによる神経細胞死誘導に対する阻害活性を有する抗体である。「アミロスフェロイドによる神経細胞死誘導」とは、上記の又は後述の方法で調製されるアミロスフェロイドが、神経細胞に対して細胞死を誘導する活性を意味し、誘導される細胞死は、アポトーシス又はネクローシスのいずれでもよい。また、神経細胞とは、神経系細胞であれば特に制限はなく、哺乳動物(ヒト、ラット、マウス、サル、ブタ等)由来の神経系細胞が用いられる。初代培養細胞としては、上記動物の海馬、及び前脳基底野・大脳皮質等から取得したものが挙げられる。また上記動物の海馬等の器官を培養した細胞も含まれる。このような活性を有する抗アミロスフェロイド抗体の特徴としては、例えば、アミロスフェロイドに対する反応性の方が、アミロイドβ線維やアミロイドβモノマー蛋白質に対する反応性よりも高いこと等が挙げられる。これらのうち、アミロスフェロイドへの反応性がアミロイドβモノマー蛋白質への反応性の約10〜約20倍の抗アミロスフェロイド抗体が好ましく用いられる。
抗アミロスフェロイド抗体が有する、神経細胞死誘導に対する阻害活性とは、上記のアミロスフェロイドによる神経細胞死誘導を完全に阻害する能力を有することを意味するが、抗体の投与量によっては部分的に阻害する場合も含む。阻害活性の具体的な測定方法については、後述のとおりである。
抗アミロスフェロイド抗体の第三の態様は、アミロスフェロイドに対する高い反応性を有し、アミロスフェロイドの形成に対する阻害活性を有する抗体である。「アミロスフェロイドの形成に対する阻害活性を有する」とは、上記アミロイドβモノマー蛋白質が自己会合してアミロスフェロイドが形成される条件下で、抗アミロスフェロイド抗体を適量存在させることによって、アミロスフェロイドが形成されないことを意味する。この場合の、抗アミロスフェロイド抗体の存在量は、アミロイドβモノマー蛋白質に対する各抗体の反応性に応じて変化するが、例としては、アミロイドβモノマー蛋白質に対して2〜20倍量(モル比)程度が好ましい。このような抗アミロスフェロイド抗体としては、特にアミロイドβモノマー蛋白質に対する高い反応性を有するものも含まれる。また、アミロスフェロイドとともにアミロイドβモノマー蛋白質に対しても高い反応性を示すもので、アミロスフェロイドに対する反応性が、アミロイドβモノマー蛋白質に対する反応性の約5〜約10倍程度であるもの等もアミロスフェロイドの形成を阻害する活性を有する抗体として挙げられる。
アミロスフェロイドが形成されないことは、上記のアミロスフェロイドの特徴が見られないことを観察できるものであれば如何なる方法によっても確認することができる。具体的には、例えば、アミロスフェロイドの粒度分布及び粒径は、電子顕微鏡観察による方法、in situ 原子間力顕微鏡による方法、篩い分け法、クロマトグラフィー法、沈降法などが用いられるが、中でも電子顕微鏡観察による方法が好ましい。以下に、抗アミロスフェロイド抗体の具体的な製造方法、及び上記の特徴の解析方法について詳細に説明する。
抗アミロスフェロイド抗体の第四の態様は、アミロイドβモノマー蛋白質に対する高い反応性を有し、アミロスフェロイドの形成に対する阻害活性を有する抗体である。
抗アミロスフェロイド抗体の第五の態様は、アミロスフェロイドに対する反応性が、アミロイド前駆蛋白質に対する反応性よりも高い抗体である。
(3)アミロスフェロイドおよびヒトアミロスフェロイド類似会合体を抗原とする抗体の調製
上記(1)に記載のアミロスフェロイドを抗原とした抗アミロスフェロイド抗体を取得する方法は、例えば国際公開第2006/016644号パンフレットに記載されているが、(a)アミロスフェロイドに対する反応性の方が、アミロイドβ線維に対する反応性よりも高い、(b)アミロスフェロイドに対する高い反応性を示しかつアミロスフェロイドによる神経細胞死誘導に対する阻害活性を有する、(c)アミロイドβモノマー蛋白質及び/又はアミロスフェロイドに対する高い反応性を示しかつアミロスフェロイドの形成阻害活性を有する抗体が得られる方法であれば特に制限はない。具体的には、以下に詳細に記載する方法が好ましく用いられる。
抗原は、上記(1)に記載のアミロスフェロイドを、一般的にはキャリアーとしてKLH(スカシ貝ヘモシアニン)、BSA(ウシ血清アルブミン)、OVA(オバルブミン)などの蛋白質又は高分子体に結合もしくは重合させたものを免疫用抗原として使用するが、必ずしもキャリアーは必要ではない。また、免疫用抗原は異なるキャリアーの結合法により調製されたもの複数種を混合して免疫用抗原としてもよい。
免疫に使用する動物は特に限定されないが、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、ハムスター、マウス、ラット、モルモット、ニワトリ等はいずれも使用できる。免疫用抗原の動物への接種は、皮下、筋肉内、腹腔内に完全フロイントアジュバントや不完全フロイントアジュバントと免疫用抗原をよく混和して行う。接種は、2週間から5週間ごとに実施し、接種した抗原に対する免疫動物の抗体の反応性が充分に上昇するまで続ける。1回に免疫する抗原は、免疫動物の抗体の反応性が充分に上昇する量であれば、特に制限はないが、具体的には、約1〜約100μgが好ましい。また、免疫の回数は、免疫した動物から採血を行って、該血中に含まれる抗体について後述する方法で抗原に対する反応性を測定し、アミロスフェロイドに対する反応性がアミロイドβモノマー蛋白質より上がるまで繰り返すことが好ましい。具体的には5〜20回が好ましい。また、抗アミロスフェロイド抗体を取得するには、初回の免疫にはフロイント完全アジュバントを用い、それ以降の免疫にはフロイント不完全アジュバントを用いることが好ましい。
最後の免疫から7〜10日後に、該動物から血液、腹水などを採取する。好ましくは、例えば全採血を行い、遠心分離等の方法で血清を調製する。該血清中に含まれる抗アミロスフェロイド抗体の反応性の測定方法は、上記(1)で調製したアミロスフェロイドとの反応性が解析できる方法であればいずれのものでもよいが、例えば、上記アミロスフェロイドを蛍光物質等で標識し、これを上記血清と反応させた後、該抗体に結合した標識剤の活性を測定する方法等が挙げられる。具体的には、上記の電子顕微鏡観察による方法や、後述するELISA法などの酵素免疫測法、ウェスタンブロッティング法、あるいはドットブロッティング法等が挙げられる。このうち、抗アミロスフェロイド抗体において、アミロイドβ線維との反応性を測定比較する場合には、電子顕微鏡観察による方法が好ましく用いられ、またアミロイドβモノマー蛋白質と、その自己会合体であるアミロスフェロイドとの反応性を測定比較する場合には、ドットブロッティング法やELISA法などの酵素免疫測定法が好ましく用いられる。また、アミロイドβ線維やアミロイドβモノマー蛋白質、あるいはその部分ポリペプチドと特異的に反応する抗体との反応性を比較して、抗アミロスフェロイド抗体を選択取得することができる。
抗体の分離精製は、それ自体既知の免疫グロブリンの分離精製法により精製することができる。具体的には、塩析法、アルコール沈殿法、等電点沈殿法、電気泳動法、イオン交換体による吸着法、超遠心分離法、ゲルろ過法、抗原抗体結合物あるいは活性吸着剤により特異的抗体のみを吸着分離する方法等が挙げられる。
このようにして作製された抗体は、ポリクローナル抗体であり、IgGを主たる成分とし、IgM、IgA等の他の免疫グロブリンを含むものでもよい。
一方、モノクローナル抗体を調製する場合、上記免疫動物に対して、通常抗原であるアミロスフェロイドのみの静脈注射を行い、その2〜5日、好ましくは3日後に抗体産生細胞を含むと考えられる脾臓もしくはリンパ節を採取し、この脾臓細胞又はリンパ細胞を腫瘍細胞と細胞融合させる。この後、細胞融合して不死化した抗体産生細胞(ハイブリドーマ)を単離する。ここで使用する腫瘍細胞は、一般的に免疫を行った動物から調製される脾臓細胞もしくはリンパ細胞と同一種であることが望ましいが、異種動物間のものでも可能である。
腫瘍細胞の例として、p3(p3/x63-Ag8)、P3U1、NS-1、MPC-11、SP2/0-Ag14、FO、x63.6.5.3、S194、 R210等の骨髄腫細胞が使用される。細胞融合は、一般に行われている方法、例えば「単クローン抗体実験マニュアル」(講談社サイエンティフィック 1987年出版)、G. KOHLER and C. MILSTEIN, Nature, 256, 495(1975)に記載の方法等に従って実施すればよい。細胞融合は、融合させる細胞を懸濁した融合培地に細胞融合促進剤を加えることに実施することができる。細胞融合促進剤としては、センダイウイルスや平均分子量1000〜6000のポリエチレングリコールなどが挙げられる。この際、更に融合効率を高めるために、ジメチルスルホキシド等の補助剤やIL―6等のサイトカインを融合培地に添加することもできる。免疫を行った脾臓細胞もしくはリンパ細胞に対する腫瘍細胞の混合比は、例えば腫瘍細胞に対し、脾臓細胞もしくはリンパ細胞を約1倍から約10倍程度用いればよい。
上記の融合培地としてはERDF培地、RPMI-1640培地、MEM培地、GIT培地等の通常の各種培地を使用することができ、融合時は通常、牛胎児血清(FBS)等の血清を培地から抜いておくのがよい。融合は、上記の免疫を行った脾臓細胞もしくはリンパ細胞と腫瘍細胞との所定量を上記の培地内でよく混合し、予め37℃程度に加温しておいたポリエチレングリコール溶液を約20〜約50%程度加え、好ましくは30〜37℃で1〜10分程度反応させることによって実施する。以降、適当な培地を逐次添加して遠心し、上清を除去する操作を繰り返す。
目的とするハイブリドーマは、通常の選択培地、例えばHAT培地(ヒポキチンサン、アミノプテリン及びチミジンを含む培地)で培養する。このHAT培地での培養は、目的とするハイブリドーマ以外の細胞(未融合細胞等)が死滅するのに充分な時間、通常では数日から数週間行えばよい。
得られたハイブリドーマが産生する抗体は、上記ハイブリドーマの培養上清に含まれる。この抗体の反応性や反応特異性などは上記ポリクローナル抗体を測定する方法と同様にして測定し、抗アミロスフェロイド抗体を産生するハイブリドーマを選択取得することができる。
得られたハイブリドーマは、限界希釈法によりクローニングすることにより、単一のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマクローンを得ることができる。このハイブリドーマクローンは、あらかじめFBS中に含まれるウシ抗体(IgG)を除いたFBSを約1〜約10%程度加えた培地又は無血清用培地を用いて培養を行い、得られた培養上清を目的のモノクローナル抗体を精製する原料とする。一方、得られたハイブリドーマクローンをあらかじめプリステンを投与したBalb/cマウス、又はBalb/c(nu/nu)マウスの腹腔内に移植し、10〜14日後にモノクローナル抗体を高濃度に含む腹水を採取し、目的のモノクローナル抗体を精製する原料としてもよい。モノクローナル抗体を精製する方法は、通常の免疫グロブリン精製法を用いれば良く、例えば、硫安分画法、ポリエチレン分画法、エタノール分画法、陰イオン交換クロマトグラフィー、プロテインA、プロテインG又は抗マウス免疫グロブリン抗体等が結合したアフィニティークロマトグラフィー等により実施することができる。
このようにして得られる抗アミロスフェロイド抗体は、そのまま用いてもよいし、定法であるパパイン処理によって得られるFabもしくはペプシン処理によって得られるF(ab')又はF(ab')の形態として用いてもよい。また、該抗体のH鎖とL鎖の両可変ドメイン内の相補性決定領域(CDR)、又は超可変領域などを含む断片や、これをコードする遺伝子をそれ自体既知の方法で取得し、さらにヒト型とした抗体も抗アミロスフェロイド抗体に含まれる。さらに、ファージディスプレイ法やヒト抗体産生マウスなどを用いて作成された完全ヒト抗体も抗アミロスフェロイド抗体に含まれる。さらに、上述のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞系も抗アミロスフェロイド抗体に含まれる。本発明に係るハイブリドーマの具体例としては、以下の実施例で取得された受託番号FERM BP−10392、FERM BP−10393、FERM BP−10394、FERM BP−10871またはFERM BP−10872を有するハイブリドーマを挙げることができる。
また、本発明のヒトアミロスフェロイド類似会合体に特異的に反応する抗体(以下、「抗ヒトアミロスフェロイド類似会合体抗体」と称することがある)も、後述の(4)に記載のヒトアミロスフェロイド類似会合体を抗原として用い、上記の方法に準じて取得することができる。本発明に係る抗ヒトアミロスフェロイド類似会合体抗体の抗原に対する反応性の測定法としては、上記の通り、例えば、ウェスタンブロッティング法、ドットブロッティング法、ELISA法などのそれ自体既知の免疫学的測定法や、電子顕微鏡観察による方法等が挙げられる。
(4)アミロスフェロイド類似会合体の単離・調製
本発明のヒトアミロスフェロイド類似会合体が分布・存在している臓器、組織、細胞、体液であれば、ヒトアミロスフェロイド類似会合体の取得原料として使用することができる。本発明者らにより、ヒトアミロスフェロイド類似会合体はアルツハイマー病またはレビー小体型痴呆である個体の脳に広く分布・存在していることを見出されており、ヒトアミロスフェロイド類似会合体の取得原料として、アルツハイマー病またはレビー小体型痴呆である個体の脳を選択することが好ましいが、これに限定されない。
本発明のヒトアミロスフェロイド類似会合体を単離する工程は、周知の方法( 例えば、臓器、組織又は細胞を破壊した後に遠心分離して可溶性画分を回収する方法) で臓器や組織や細胞から抽出液を調製した後、この抽出液から周知の方法、( 例えば、遠心分離法、硫安沈殿又はエタノール沈殿法、酸抽出法、免疫学的分離法、フィルター濾過法、クロマトグラフィー法など)陰イオン又は陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、レクチンクロマトグラフィーなど) によって単離する工程が好ましいが、これらに限定されない。遠心分離法としては、密度勾配遠心法、平衡密度勾配遠心法、及び通常の分画遠心法等が挙げられ、またクロマトグラフィー法としては、陰イオン又は陽イオン交換クロマトグラフィー法、ホスホセルロースクロマトグラフィー法、疎水性相互作用クロマトグラフィー法、アフィニティークロマトグラフィー法、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー法、レクチンクロマトグラフィー法が挙げられる。
免疫学的分離法やアフィニティークロマトグラフィー法や密度勾配遠心法によって単離する工程が好ましく、抗ヒトアミロスフェロイド類似会合体抗体を用いた免疫学的分離やアフィニティークロマトグラフィーによって単離する工程が特に好ましい。
(5)ヒトアミロスフェロイド類似会合体の物性の解析方法
次に、本発明のヒトアミロスフェロイド類似会合体の物性の解析方法について説明する。本発明のヒトアミロスフェロイド類似会合体は、上記(4)に記載の方法に従って分画を行うことにより複数の画分を得ることができるが、さらにそれらの画分に含まれるヒトアミロスフェロイド類似会合体の物性を解析することにより、各画分に含まれるヒトアミロスフェロイド類似会合体の神経細胞死活性を確認することができる。
物性としては、粒度分布、粒径、沈降係数、濃度、会合度、電気泳動度、立体構造等が挙げられるが、その中でも粒度分布及び粒径の解析は、神経細胞死活性の高いヒトアミロスフェロイド類似会合体を得るための手段として有効である。粒度分布及び粒径は、電子顕微鏡観察による方法、ふるい分け法、クロマトグラフィー法、沈降法等により求めることができるが、中でも電子顕微鏡観察による方法が好ましい。電子顕微鏡観察により粒度分布及び粒径を求める方法としては、具体的には、ネガティブ染色法等が好ましく用いられる。ネガティブ染色法は、通常用いられる公知の方法に従って行うことができ、観察される視野中のヒトアミロスフェロイド類似会合体の粒径を直接得ることができる。また、同視野中の粒子数を測定することにより各画分の粒度分布を得ることができる。このようにして測定される粒径が約10〜約20nm、好ましくは約10〜約15nm、より好ましくは約10〜約12nm、特に好ましくは約12nm付近であるヒトアミロスフェロイド類似会合体を含む画分であることを確認し、高い神経細胞死活性を有する画分を取得する。
各画分又は溶液中のヒトアミロスフェロイド類似会合体の蛋白質濃度及び収率の測定は、通常用いられる公知の方法を用いて行うことができるが、Bradford 法、Lowry 法、Fujita 法、BCA法などが挙げられる。また、抗ヒトアミロスフェロイド類似会合体抗体を用いる免疫学的測定法を用いて行うことができる。具体的には、例えば、サンドイッチ法、競合法、イムノメトリック法、ネフロメトリーや、ウェスタンブロット法やドットブロット法などのイムノブロット法等が用いられる。サンドイッチ法においては、固相化した本発明に係る抗ヒトアミロスフェロイド類似会合体抗体に生体試料を接触させ、さらに標識化した抗トアミロスフェロイド類似会合体抗体を反応させた後に、固相に結合した標識物質の信号を測定することにより、生体試料中のアミロスフェロイド量を測定することができる。
また、ドットブロット法においては、Bio Rad社製等の市販のブロッター(Bio-Dot)等を用いて、ヒトアミロスフェロイド類似会合体を含む画分又は溶液をニトロセルロース膜等に適当量ブロットする。この場合、溶媒はヒトアミロスフェロイド類似会合体を脱会合させないものであれば如何なるものでもよいが、例えばPBS(-)が好ましく用いられる。ブロッティングは、ヒトアミロスフェロイド類似会合体以外にも、対照として、アミロスフェロイド、アミロイドβモノマー蛋白質又はその部分ペプチドや、溶媒のみについても行うことが好ましい。この膜を適当な緩衝液、例えばリン酸緩衝液(Phosphate buffered saline:PBS)等により洗浄し、スキムミルク/TTBS(Tween-Tris buffered saline)等でブロッキングした後に、抗ヒトアミロスフェロイド類似会合体抗体と膜を接触させ、その後、さらにTTBS等で洗浄した後に、二次抗体として免疫動物の免疫グロブリンと反応する抗体を接触させ、これも同様に洗浄した後、膜に結合している該二次抗体を標識化物質の活性等を指標として検出する。
このような免疫学的測定方法により生体試料中のヒトアミロスフェロイド類似会合体量を測定する場合には、既知量のヒトアミロスフェロイド類似会合体を含む標準液を用いて作製した標準曲線により算出することが好ましい。詳細は、生化学実験法11「エンザイムイムノアッセイ」(Tijssen P.著、東京化学同人)、"Antibodies: A LABORATORY MANUAL"(Ed Harlow et al., Cold Spring Harbor Laboratory(1988))等の実験書に従って、適宜選択組み合わせて行うことができる。
さらに、本発明のヒトアミロスフェロイド類似会合体の構成成分は、例えば質量分析法により同定することができる。好ましくは、MALDI(Matrix Assisted Laser Desorption Ionization、マトリックス支援レーザー脱離イオン化)質量分析法またはESI(Electro Spray Ionization、エレクトロスプレーイオン化)質量分析法によって、特に好ましくは、MALDI−TOF(Time-of-Flight、飛行時間型 )質量分析法によって同定することができる。本発明のヒトアミロスフェロイド類似会合体は、アミロイドβ蛋白質を主成分とし、好ましくはアミロイドβ40および/またはアミロイドβ42を主成分とするが、これらに限定されない。
(6)アミロスフェロイド分子の神経細胞死誘導活性の解析
本発明のヒトアミロスフェロイド類似会合体又はアミロスフェロイド(以下、これらを「アミロスフェロイド分子」と総称することがある)が有する神経細胞死誘導活性(以下、これを「神経細胞死誘導活性」と称することがある)は、特開2002−105099号公報に記載の方法に従い測定することができる。
まず、アミロスフェロイド分子を用いた神経細胞死の誘導は、神経系の細胞等の培養液に上記アミロスフェロイド分子を添加し、通常の方法に従って培養することにより行うことができる。アミロスフェロイド分子により誘導される細胞死は、アポトーシス又はネクローシスのいずれでもよい。また、用いられる細胞としては、神経系細胞であれば特に制限はなく、哺乳動物(ヒト、ラット、マウス、サル、ブタ等)由来の神経系細胞が好ましい。また、初代培養細胞が好ましい。初代培養細胞としては、上記した動物の海馬、及び前脳基底野・大脳皮質等から取得したものが好ましい。また上記動物の海馬等の器官を培養したものをそのまま用いることも可能である。また、ES細胞から分化誘導させた神経細胞や、骨髄間質細胞から分化誘導させた神経細胞を用いることも可能である。
これらの細胞や器官は、通常の培養法に従って培養することができる。具体的には、神経系細胞の初代培養、及び神経系樹立細胞株の培養方法としては、Hoshi, M. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 93, 2719-2723 (1996)、及びSchubert, D. et al., Nature, 249 (454), 224-227 (1974) に記載されている方法等を用いることができ、器官培養は、Gary Banker and Kimbery Goslin, Culturing nerve cells, 2nd Edition, MIT Press,Cambridge (1998) に記載されている方法等を用いることができる。また、骨髄間質細胞を効率よく神経細胞(未成熟型、成熟型)に分化・誘導する方法は、例えば、特開2003−144155号公報やDezawa, M. et al., J. Clin. Invest., 113, 1701-1710 (2004)に記載されている。
このようにして培養された神経系の細胞、及び器官に細胞死を誘導するために添加するアミロスフェロイド分子の量は適宜選択可能であるが、アミロスフェロイドの場合は、通常、アルツハイマー病等である個体の脳内に存在する毒性アミロイドβ蛋白質と実質的に同等の濃度で細胞死を誘導できる。例えば、上記(1)で得られるアミロスフェロイドは、前記のとおり、初代培養細胞に対して培養液中のアミロイドβ蛋白質濃度約1μg/ml以下、好ましくは約0.45μg/ml以下等の量で細胞死を誘導することができる。本発明のヒトアミロスフェロイド類似会合体は、アミロスフェロイドよりも少なくとも約33倍高い毒性を有しており、初代培養細胞に対して培養溶液中のヒトアミロスフェロイド類似会合体の蛋白質濃度30ng/ml以下、好ましくは18ng/ml以下、より好ましくは14ng/ml以下、さらに好ましくは8ng/ml以下等の量で細胞死を誘導することができる。もっとも、上記の濃度は例示のためのものであり、この量に限定されることはない。
アミロスフェロイド分子によって誘導される神経細胞死は、通常、アミロスフェロイド分子の有効量を添加した後、約6時間程度から起こり、約48時間程度の後には顕著な細胞死の様子が観察できる。従って、この解析方法において、神経細胞死の誘導を測定する場合には培養を始めてから約20時間以降が好ましいが、用いるアミロスフェロイド分子の細胞死活性に応じて適宜選択される。
これらの神経細胞死活性を測定する方法としては、通常用いられる細胞死検出法を用いることができる。具体的には、MTT活性測定法(Mossman, T., J.Immunol. Methods, 65, 55 (1983))、プロピディウムイオダイド(Ankarcrona,M.et al., Neuron, 15, 961 (1995))等による染色法、又はトリパンブルーダイエクスクルージョン法(Woo, K. B.,Funkhouser, W. K., Sullivan, C. and Alabaster, O., Cell Tissue Kinet., 13 (6),591-604 (1980))、TUNELや断片化DNAを検出するELISA(Roche製)等が用いられる。このうち、プロピディウムイオダイド等による染色法あるいは断片化DNAを検出するELISAが特に好ましい。プロピディウムイオダイド等による染色法は、死細胞を選択的に染色するプロピディウムイオダイドのみによる単一染色でもよいし、他の複数の染色色素と組み合わせて行ってもよい。組み合わせられる染色色素としては、具体的には、生細胞を選択的に染色するCalcein−AM(Molecular Probes社製)、全細胞を染色するHoechst33258(H33258; Bisbenzimide H33258)等が好ましい。また、Hoechst33258のみによる単一染色で、細胞の形態変化すなわち神経突起の変性並びに核の損傷を測定してもよい。
また、アミロスフェロイド分子を用いた神経細胞死の誘導は、アミロスフェロイド分子を動物個体に直接投与することにより行うこともできる。アミロスフェロイド分子により誘導される細胞死は、アポトーシス又はネクローシスのいずれでもよい。また、用いられる動物としては、哺乳動物(マウス、ラット、霊長類等)等の神経系細胞を有する動物であれば特に制限はないが、アルツハイマー病のモデル動物等の特に神経細胞死が起こっている動物が好ましく用いられる。また、投与方法は、脳等の神経系細胞の存在する部位に直接投与する方法の他、経口投与法、静脈注射法、腹腔投与法等の通常薬物の投与に用いられる方法を用いることができる。脳等の神経系細胞の存在する部位に直接投与する方法としては、具体的には、例えば、ラットあるいはマウス等の脳組織の場合、オスモティックポンプを用いて目標部位近傍の脳室内に投与する方法、マイクロピペット等を用いて目標部位の脳実質にマイクロフュージョンする方法等が用いられ、一定期間投与した後、脳機能の変異をPET・MRIを用いて計測した後に、投与部位周辺の組織を速やかに取り出し、組織切片を作製して、神経細胞死の有無を検証することができる。神経細胞死の有無の検証は、組織染色法やウェスタンブロット法等によって行うことができ、組織染色法としては、TUNEL染色、又は抗Caspase抗体等による免疫染色等が挙げられる。
(7)アルツハイマー病またはレビー小体型痴呆の治療/及び予防薬及びスクリーニング方法
神経系細胞又は神経系器官の培養液に本発明のヒトアミロスフェロイド類似会合体を添加することによりこれらの神経細胞死を誘導する系は、例えば、ヒトアミロスフェロイド類似会合体による神経系細胞の細胞死に対して抑制作用を有する物質のスクリーニングに用いることが可能である。
このようなスクリーニングは、例えば、神経系細胞又は組織培養液に予め被験物質を添加した後に本発明のヒトアミロスフェロイド類似会合体を添加し、あるいは神経系細胞又は組織培養液に本発明のヒトアミロスフェロイド類似会合体を添加した後に被験物質を添加して、上記(6)に記載の方法により該神経系細胞や組織の細胞死が被験物質により抑制されるか否かを検出することにより行うことができる。上記の培養系に被験物質を添加し、神経系細胞又は神経系器官の細胞死が抑制された場合には、その被験物質が神経細胞死に対する抑制作用を有すると判定することができる。また、ヒトアミロスフェロイドの形成阻害または脱凝集を指標とすることもできる。
ヒトアミロスフェロイド類似会合体は、アルツハイマー病またはレビー小体型痴呆である個体の脳に存在し、神経系の培養細胞に添加すると該細胞を死に至らしめることができることから、アルツハイマー病またはレビー小体型痴呆においては、同様にヒトアミロスフェロイド類似会合体が神経変性を誘導していると考えられる。したがって、本発明のスクリーニング方法により神経細胞死に対して抑制作用を有すると判定された物質は、アルツハイマー病またはレビー小体型痴呆の予防及び/又は治療のための医薬の有効成分として有用である。被験物質としては、例えば、ペプチド、タンパク、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液等が挙げられ、これら化合物は新規な化合物であってもよいし、公知の化合物であってもよい。
また、被験物質を、抗アミロスフェロイド抗体又は本発明の抗ヒトアミロスフェロイド類似会合体抗体と競合させてヒトアミロスフェロイド類似会合体に結合させ、その反応性を指標として物質を選択することにより、アルツハイマー病またはレビー小体型痴呆の治療/及び予防薬のスクリーニングを行うこともできる。ヒトアミロスフェロイド類似会合体、前記抗体、及び被験物質の混合量はそれぞれ適当な濃度を選択して行うことができる。指標とする反応性として、結合阻害活性、神経細胞死誘導に対する阻害活性、ヒトアミロスフェロイド類似会合体の形成阻害活性または脱凝集活性などが挙げられる。この場合、被験物質は、標識物質等で標識化しておくことが好ましい。この解析により、選択された物質は、アルツハイマー病またはレビー小体型痴呆の治療/及び予防薬の有効成分として用いると判断することができる。さらに、選択された物質を上記(6)に記載の方法における抗アミロスフェロイド抗体の代わりに用いて、アミロスフェロイドによる神経細胞死誘導を阻害するかを確認することが好ましい。
かくして選択された物質は、それ自体アルツハイマー病またはレビー小体型痴呆の予防及び/又は治療のための医薬の有効成分として有用であるが、生理学的に許容されるそれらの塩、水和物並びに溶媒和物等であってもよい。また、FeやZn等の金属イオンや糖鎖、糖タンパク質が付加したものも好ましい。生理学的に許容される塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩などの鉱酸類の塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、p-トルエンスルホン酸塩などの有機酸の塩、グリシンなどのアミノ酸の塩等を挙げることができる。
本発明により提供される医薬は、本発明のスクリーニング方法により神経細胞死に対して抑制作用を有すると判定された物質を有効成分として含み、アルツハイマー病またはレビー小体型痴呆の予防及び/又は治療のための医薬として用いることができる。本発明のスクリーニング方法により神経細胞死に対して抑制作用を有すると判定された物質及び抗アミロスフェロイド抗体は、それ自体を医薬として患者に投与してもよいが、一般には、これらの有効成分の1種又は2種以上を含む医薬組成物を製造して患者に投与することが好適である。このような医薬組成物として、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、丸剤、トローチ、舌下剤、又は液剤などの経口投与の製剤、あるいは注射剤、座剤、軟膏、貼付剤などの非経口投与用の製剤を例示することができる。
経口投与用の錠剤又はカプセル剤は、通常は単位投与物として提供され、結合剤、充填剤、希釈剤、打錠剤、滑沢剤、崩壊剤、着色剤、香味剤及び湿潤剤のような通常の製剤用担体を添加して製造することができる。錠剤は、この当業界で周知の方法に従って、例えば、腸溶性コーティング剤等を用いてコーティングすることができ、例えば充填剤、崩壊剤、滑沢剤、湿潤剤等を用いて製造してもよい。
経口投与用の液剤は、例えば水性又は油性懸濁液、溶液、エマルジョン、シロップ剤又はエリキシル剤等の他、使用前に水又は適当な媒体により再溶解されうる乾燥製剤として提供される。このような液剤には、通常の添加剤、例えば沈殿防止剤、乳化剤、保存剤及び必要に応じて通常の香味剤又は着色剤を配合することができる。
経口投与剤の製剤は、混合、充填、又は打錠などの当業界で周知の方法により製造することができる。また、反復配合操作を用いて多量の充填剤等を使用した製剤中に有効成分を分布させてもよい。非経口投与用の製剤は、一般には有効成分である物質と滅菌媒体とを含有する液体担体投与量製剤として提供される。非経口投与用の溶剤は、通常、有効成分である物質を媒体に溶解させて滅菌濾過し、次に適当なバイアル又はアンプルに充填して密封することにより製造される。安定性を高めるために組成物を凍結させた後にバイアル中に充填し、水を真空下で除去してもよい。非経口懸濁液は実質的に非経口溶液の場合と同じ方法で製造されるが、有効成分を媒体に懸濁させてエチレンオキシド等により滅菌することにより好適に製造できる。また、有効成分が均一分布となるように必要に応じて界面活性剤、湿潤剤等を添加してもよい。
有効成分である物質の投与量は、物質の活性の強度、治療や予防の目的、患者の症状、体重、年齢や性別等を考慮して適宜決定すればよい。また、1日あたり1〜数回に分けて投与するのが望ましい。例えば、化合物が有効成分である場合、その投与量は、1日の経口投与において1kg体重あたり一般的には0.05〜50mgの量で投与することができる。
(8)アルツハイマー病またはレビー小体型痴呆である個体の検出方法及び検出用試薬
(7)で述べたように、ヒトアミロスフェロイド類似会合体は、アルツハイマー病またはレビー小体型痴呆である個体の脳に存在し、神経系の培養細胞に添加すると該細胞を死に至らしめることができることから、アルツハイマー病またはレビー小体型痴呆においては、同様にヒトアミロスフェロイド類似会合体が神経変性を誘導していると考えられる。したがって、抗ヒトアミロスフェロイド類似会合体抗体を用いて生体試料中にヒトアミロスフェロイド類似会合体を検出することによりアルツハイマー病またはレビー小体型痴呆である個体の検出を行うことができる。
生体試料としては、アルツハイマー病またはレビー小体型痴呆の疑いのある個体から得られる血液、脳脊髄液、尿等の体液等が挙げられるが、中でも特に血液が好ましい。該試料の取得は、例えば、血液の場合には、アルツハイマー病またはレビー小体型痴呆の疑いのある個体の肘静脈等から採血管等によって採血し、遠心分離等の方法により血漿又は血清を分離することによって得られる。また、脳脊髄液を試料とする場合は、アルツハイマー病またはレビー小体型痴呆の疑いのある個体から、例えば麻酔下の腰椎穿刺によって採取し、遠心分離することによって得られる。取得された生体試料は、試料中のアミロスフェロイドの変化や、血液の凝固等を防止するために、酵素阻害剤を試料採取時又はサンプル採取後に加えるのが好ましい。酵素阻害剤としては、蛋白質分解酵素阻害剤として、例えば、アプロチニン、アンチパイン、ペプスタチン、ロイペプチン、EGTA、PMSF(フェニルメタンスルフォニルフルオリド)、TLCK(トリシルリシンクロロメチルケトン)等が用いられる。取得された生体サンプルは、さらに必要に応じて濃縮などを行うことによって、アミロスフェロイドの検出感度を上げることができる。
この抗ヒトアミロスフェロイド類似会合体抗体を用いた生体試料中のアミロスフェロイドの検出は、それ自体既知の免疫学的測定法を用いることができる。具体的には、例えば、サンドイッチ法、競合法、イムノメトリック法、ネフロメトリー等が用いられる。サンドイッチ法においては、固相化した抗アミロスフェロイド抗体に生体試料を接触させ、さらに標識化した抗アミロスフェロイド抗体を反応させた後に、固相に結合した標識物質の信号を測定することにより、生体試料中のアミロスフェロイド量を測定することができる。このような免疫学的測定方法により生体試料中のアミロスフェロイド量を測定する場合には、既知量のアミロスフェロイドを含む標準液を用いて作製した標準曲線により算出することが好ましい。詳細は、生化学実験法11「エンザイムイムノアッセイ」(Tijssen P.著、東京化学同人)、"Antibodies: A LABORATORY MANUAL"(Ed Harlow et al., Cold Spring Harbor Laboratory(1988))等の実験書に従って、適宜選択組み合わせて行うことができる。
また、本発明のヒトアミロスフェロイド類似会合体は、アルツハイマー病またはレビー小体型痴呆である個体検出のための試薬として用いることができる。試薬としての形状は、ヒトアミロスフェロイド類似会合体の活性を安定的に維持できる形状であれば特に制限はなく、水溶液、懸濁液等のいかなる形状であってもよい。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれの実施例より何ら限定されるものではない。なお、下記の実施例及び本明細書中において、「PBS」は「Phosphate Buffered Saline」、「TTBS」は「Tween−Tris Buffered Saline」、「HRP」は「Horseradish Peroxidase」を示す。
実施例1:アミロスフェロイド含有液の調製
(1)アミロイドβ40(配列番号1)樹脂の製造
Fmoc-Val樹脂342mg(アミン含量0.73mmol/g樹脂)をパーキンエルマーアプライドバイオシステムズ社製A433型自動ペプチド合成機にセットし、これにFmoc-Val-OH,Fmoc-Gly-OH,Fmoc-Gly-OH,Fmoc-Val-OH,Fmoc-Met-OH,Fmoc-Leu-OH,Fmoc-Gly-OH,Fmoc-Ile-OH,Fmoc-Ile-OH,Fmoc-Ala-OH,Fmoc-Gly-OH,Fmoc-Lys(Boc)-OH,Fmoc-Asn(Trt)-OH,Fmoc-Ser(tBu)-OH,Fmoc-Gly-OH,Fmoc-Val-OH,Fmoc-Asp(OtBu)-OH,Fmoc-Glu(OtBu)-OH,Fmoc-Ala-OH,Fmoc-Phe-OH,Fmoc-Phe-OH,Fmoc-Val-OH,Fmoc-Leu-OH,Fmoc-Lys(Boc)-OH,Fmoc-Gln(Trt)-OH,Fmoc-His(Trt)-OH,Fmoc-His(Trt)-OH,Fmoc-Val-OH,Fmoc-Glu(OtBu)-OH,Fmoc-Tyr(tBu)-OH,Fmoc-Gly-OH,Fmoc-Ser(tBu)-OH,Fmoc-Asp(OtBu)-OH,Fmoc-His(Trt)-OH,Fmoc-Arg(Pmc)-OH,Fmoc-Phe-OH,Fmoc-Glu(OtBu)-OH,Fmoc-Ala-OH,Fmoc-Asp(OtBu)-OHを供給し、HBTU[2-(1H-Benzotriazole-1-yl)-1,1,3,3,-tetramethyluronium hexafluorophosphate]を縮合剤として順次縮合させて側鎖保護アミロイドβ40樹脂1.515gを得た。
(2)トリフルオロ酢酸処理
上記(1)で得た側鎖保護アミロイドβ40樹脂中の304mgを採取し、これにフェノール0.75mlとチオアニソール0.5mlとトリフルオロ酢酸8.25mlとエタンジチオール0.25mlと蒸留水0.5mlを加え、氷冷下5分、続いて室温で1.5時間反応させた。反応終了後、氷冷したジエチルエーテル200mlを加えてペプチドを沈殿させた。全内容物をグラスフィルターで濾取し、冷ジエチルエーテルで洗浄した後、35%のアセトニトリルを含む0.1%トリフルオロ酢酸(約200ml)で抽出処理してH-Asp-Ala-Glu-Phe-Arg-His-Asp-Ser-Gly-Tyr-Glu-Val-His-His-Gln-Lys-Leu-Val-Phe-Phe-Ala-Glu-Asp-Val-Gly-Ser-Asn-Lys-Gly-Ala-Ile-Ile-Gly-Leu-Met-Val-Gly-Gly-Val-Val-OHで表される粗ペプチド191mgを得た。
(3)ペプチドの精製
この粗ペプチドを35%のアセトニトリルを含む0.1%トリフルオロ酢酸(40ml)に溶解しODS(オクタデシルシラン)をシリカに結合した逆相系のカラム(内径2cm、長さ25cm)を用いたHPLCにより精製した。溶出は0.1%トリフルオロ酢酸中、アセトニトリル濃度を22%から42%へ直線的に20分間で上昇させることにより行った。精製物の収量は35mgであった。本物質の構造はMALDI-TOF質量分析により確認された。測定値[M+H]+4330.99に対して、計算値は(C19429553581+H)4330.89であった。なお、アミロイドβ42については、上記の方法に準じて合成・生成を行ったものと、Bachem社より購入したものの双方を以降の実験に供した。
(4)アミロスフェロイド含有液の調製
上記(3)で精製を行った10nmolのアミロイドβ40を1.5ml容量のエッペンドルフチューブに入れ、これに500μlの超純水と500μlのダルベッコリン酸緩衝液(-)(ニッスイ社製;以下、PBS(−)と称する)を順次加え、アミロイドβ蛋白質を完全に溶解させた。このアミロイドβ蛋白質水溶液の入ったエッペンドルフチューブをダックローター(TAITEC社製、ローター:RT50)に取り付け、37℃において35rpmの速度で7日間回転させ、アミロスフェロイド40を調製した。アミロイドβ42(上記(3)で精製を行ったもの又はBachem社製)についても、上記の方法に準じ、約10時間回転させ、アミロスフェロイド42を調製した。
実施例2:抗アミロスフェロイド抗体の調製
(1)ウサギポリクローナル抗アミロスフェロイド抗体の調製
実施例1で調製したアミロスフェロイド40及びアミロスフェロイド42を抗原として、ニュージーランドホワイト種ウサギ1羽につき上記アミロスフェロイドが60μgとなるようにフロイント完全アジュバントに混合して皮下に投与した。この後2週間に1回の間隔で、同量のアミロイドβ蛋白質をフロイント不完全アジュバントに混合して合計8回投与した。最終免疫を行ってから10日後に全採血を行った。
全採血後、これを37℃で1時間放置し、できた血餅を遠心により除去し、血清を回収した。次にこの血清を30分間、57℃にて非働化処理を行い、ProClin300(シグマアルドリッチ社製)を1ppmになるように添加して保存した。血清からのIgGの分離は以下のように行った。2mLのProtein-G セファロース(アマシャムバイオサイエンス社製)を適当なカラムに充填し、PBS(-)で平衡化した。これに2〜3mLの血清を添加し、非吸着画分を20mLのPBS(-)で洗浄した。吸着画分を0.1M Glcine-HCl,0.15M NaCl pH2.5を2 mLづつカラムに添加して溶出した。溶出した画分は10分の1量の0.1M Tris-HCl,pH8.5を加えた試験管に回収し直ちに中和した。この溶出液をPBS(-)に透析し、精製IgGとした。純度分析は0.1M酢酸ナトリウム,0.3M NaClを展開緩衝液とするG3000SWsL(東ソー社製)によるゲルろ過HPLC等により実施した。
(2)マウスモノクローナル抗アミロスフェロイド抗体およびハムスターモノクローナル抗アミロスフェロイド抗体の調製
PBS中で調製したアミロスフェロイド42と等量の完全フロイントアジュバント(WAKO社)を混合し乳化した。BALB/c雌性マウス背部皮下に、0.2 mlを免疫した(1〜8 μg/0.2 ml/mouse)。2週間おきに不完全フロイントアジュバント(Sigma-Aldrich社)で乳化したアミロスフェロイドを同様に免疫した。眼底あるいは尾静脈から定期的に採血して、血清血漿を調製した。1%牛血清アルブミン(BSA, fraction V;Sigma-Aldrich社)溶液(PBS中)で血清血漿を連続希釈し、下記のアミロスフェロイド固相ELISA法で抗アミロスフェロイド抗体のアミロスフェロイドに対する反応性を測定した。
8〜10回免疫して、十分に反応性が上昇した個体について、最終的にアミロスフェロイド 8 μg(PBS 0.1 ml中)を静脈内に投与してブーストした。ブースト3日後に脾細胞を回収し、ポリエチレングリコール4000を用いた常法により、脾細胞数の1/2数のマウスミエローマ細胞(SP2/0-Ag14)と細胞融合した。融合した細胞を10%牛胎児血清、10% BM condimed H-1 (Roche Diagnostics社)及びHAT(Sigma-Aldrich社)を含むGIT培地(WAKO社)中に懸濁し、各穴5 x 104ミエローマ細胞/0.1 ml培養液となるように96穴プレート(FALCON社)中に播種した。3日後培養液を追加、7日後に培養液を交換し、さらに2〜3日培養して上清を回収した。下記のELISA法にて上清中の抗アミロスフェロイド抗体を調べ、特異的な抗体を産生する細胞を24穴プレート(IWAKI)に拡大した。
限界希釈法にてクローニングするさいには、96穴プレートに200 μl培養液中で0.3/wellになるようハイブリドーマを播種し、1週間に一度培養液を半量交換しながら培養した。
このようにして得られたマウスモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマMASD1、MASD2、及びMASD3から得られる抗体をそれぞれmASD1、mASD2、mASD3と称する。ハイブリドーマMASD1、MASD2、及びMASD3は、それぞれ、受託番号FERM BP−10392、FERM BP−10393、及びFERM BP−10394として、2005年(平成17年)8月3日付で、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東一丁目1番地1 中央第6)に寄託されている。
また、ハムスターモノクローナル抗アミロスフェロイド抗体を産生するハイブリドーマの調製は、アルメニアハムスターを免疫動物として用い、上記と同様に行った。得られたハムスターモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマH3−17−2−2(ハイブリドーマhaASD1)、H5−3−2−45(ハイブリドーマhaASD2)、H5−24−7、H5−47−10、H4−3−5−4から得られる抗体をそれぞれhaASD1、haASD2、haASD3、haASD4、haASD5 と称する。ハイブリドーマhaASD1はFERM BP−10871として、そしてハイブリドーマhaASD2はFERM BP−10872として、2007年(平成19年)7月13日付で、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東一丁目1番地1 中央第6)に寄託されている。
ハイブリドーマMASD1、MASAD2、MASD3、H3−17−2−2、H5−3−2−45、H5−24−7、H5−47−10、H4−3−5−4からの抗体の分離精製は以下のように行った。約1LのCD Hybridoma培地(インビトロジェン社製)で1週間ハイブリドーマを培養し、培養上清を遠心分離で回収した。これを0.45μmのフィルターでろ過し、これをPBS(-)で平衡化した2mLのProtein-Gセファロースに添加し、以下上記実施例2(1)と同様にIgG抗体を分離精製した。
なお、本実施例で取得した抗体の性状については、国際公開第2006/016644号パンフレットに記載されている通りであった。すなわち、本実施例で取得した抗体は、アミロスフェロイド固相ELISA法において、市販抗体「6E10」(Sigma-Aldrich社)、「IBL10027」(免疫生物研究所)より1/100程度低い濃度で強い反応性を示した。また、ドットブロット解析において、アミロスフェロイドとの反応性が高いことがわかった。また、免疫電子顕微鏡観察において、アミロイドβ線維を認識しなかった。さらに、アミロスフェロイドの形成を阻害する活性を有し、アミロスフェロイド毒性を中和することが確認できた。さらに、本実施例で取得したハムスターモノクローナル抗アミロスフェロイド抗体は、アミロスフェロイドに対する反応性が、アミロイド前駆蛋白質に対する反応性よりも高かった。
実施例3:ヒトアミロスフェロイド類似会合体の単離
新潟大学医学部及び京都大学医学部からアルツハイマー病でない正常個体及びアルツハイマー病である個体の死体からの冷凍した脳を入手した。5検体の対照脳、7検体のアルツハイマー病である個体の脳をそれぞれ1mM EDTA、 1μg/ml ペプスタチン、complete protease inhibitor(Roche Diagnostics社製)を含む氷冷したextraction buffer(20mM Tris-HCl pH7.6, 137mM NaCl又はpH指示薬を含まないF12 buffer)中に入れ、ホモジナイザーを用いて(1200 rpmで10ストローク)ホモジナイズした。このホモジネートを4℃にて104,300gで1時間遠心分離して一次上澄(CS)を得た。生じた一次ペレットはさらにホモジナイズした後、4℃にて104,300gで1時間遠心分離して二次上澄(CS)を得た。生じた二次ペレット(CS)を2% SDS、1μg/ml ペプスタチン、complete protease inhibitor(Roche Diagnostics社製)を含むextraction buffer中に入れ、ホモジナイズした後、10℃にて104,300gで1時間遠心分離して不溶性画分(CS)を抽出した。得られた抽出物はすぐにドライアイス/エタノールで凍結し、-70℃にて保存した。可溶性画分(CS、CS)の蛋白質濃度は、IgGを標準品として用いてmini Bradford protein assay(BioRad社)により決定した。
Ultrafree-MC [100 kDa nominal molecular weight limits (NMWL): Millipore社製]を用い、添付の指示書に従って、可溶性画分から低分子量の凝集体を除去し、高分子量の凝集体を濃縮した(濃縮可溶性画分)。
濃縮可溶性画分をブロットした膜を、5%スキムミルク/0.05%TTBSで1時間ブロッキングした後、0.01 μg/mlのウサギポリクローナル抗アミロスフェロイド抗体ASD1に浸し、湿潤箱中で一晩、4℃で反応させた。その後、該膜を0.05%TTBSで洗浄し、二次抗体として0.05〜1μg/mlの西洋ワサビ由来ペルオキシダーゼが結合した抗ウサギIgGあるいは抗マウスIgG(Zymed社製)と1時間反応させた。その後、0.05%TTBSで洗浄して未反応の二次抗体を除去し、SuperSignal West−Femto(Pierce社製)に浸して5分間インキュベートした後、イメージアナライザー「LAS−1000 plus」(富士写真フィルム社製)で化学発光シグナルの検出及び画像データの取り込みを行った。このASD1を用いたドットブロット分析により、アルツハイマー病である個体の脳由来の濃縮可溶性画分には、ヒトアミロスフェロイド類似会合体の量が増加していることがわかった(図1)。そして、ヒトアミロスフェロイド類似会合体の量は、神経病理学的にみたアルツハイマー病の重症度(Mirra, S.S. et al., Neurology, 41, 479 (1991))と相関を示すことも判った(図2)。また、アルツハイマー病である個体の脳由来の濃縮可溶性画分にはアミロイドβ線維が含まれていないことが確認できた。
さらに濃縮可溶性画分を4℃にて5,800gで10分間遠心分離して残渣を除去した。可溶性画分は、35〜70倍に濃縮した。この可溶性画分に対して、免疫沈降を行った。免疫沈降は、Immunocapturing Kit 100 MB-IAC Prot G(Brucker Daltonic社製)を用い、非特異的結合を抑制するためにウシ血清アルブミン(終濃度3%、Sigma社製)を加えた以外は添付の指示書に従って行った。免疫沈降の概要を図5に示す。マウスモノクローナル抗アミロスフェロイド抗体(mASD3)、ハムスターモノクローナル抗アミロスフェロイド抗体(haASD1)又はマウスIgG(対照)を架橋したProtein-G磁気ビーズと試料を反応させた後、その上清、試料を反応させた磁気ビーズの洗浄液、そして試料反応させた磁気ビーズに捕捉された蛋白質をGentle Elution Buffer(Pierce社製)を用いて溶出した液を、直ちにヒトアミロスフェロイド類似会合体をASD1を用いたドットブロットにより分析した。その結果、アルツハイマー病である個体の脳由来の濃縮可溶性画分をmASD3またはhaASD1による免疫沈降でプルダウンした試料のみが、ASD1と強く反応することがわかった(図6)。
ASD1を用いたドットブロット解析から、ヒトアミロスフェロイド類似会合体はアミロスフェロイドと同等の抗原性を有することがわかった。ヒトアミロスフェロイド類似会合体の回収率は、mASD3を用いた場合は12.7±7.9%であり、haASD1を用いた場合は16.9±6.4%であった。毒性アッセイとTEM分析を行うため、Gentle Bufferは20mM N-[Tris(hydroxymethyl)methyl]-2-aminoethanesulfonic acid (TES) pH7.5, 150mM NaCl, 1% ウシ胎児血清を含む溶液に交換した。バッファー交換後のヒトアミロスフェロイド類似会合体の量はドットブロット解析により測定した。実施例1で調製したアミロスフェロイド42も同様に処理してバッファー交換し、毒性アッセイの標準品として用いた。アミロスフェロイドの回収率は、46.3±17.8%であった。Brain extraction bufferも同様に処理し、毒性アッセイとTEM分析のコントロールとして使用した。
TEM電子顕微鏡の観察は以下のように行った。すなわち、酢酸ウラニウム溶液を用いたネガティブ染色法により電子線損傷低減法を用いて試料の観察と写真撮影を行った。撮影した顕微鏡写真を用いて、各条件下における、球状のアミロスフェロイドの形成を解析し、粒子解析によって粒径及び粒度分布を求めた。ヒト脳の濃縮可溶性画分においては、10nm以下の球状構造体が正常の場合もアルツハイマー病の場合も認められた。しかしながら、アルツハイマー病である個体由来の濃縮可溶性画分では、10−15nmの粒状の分子が増加していた。この濃縮可溶性画分をそれぞれ用いてmASD3またはhaASD1による免疫沈降でプルダウンした試料においては、10nm以下の球状構造体は認められず、10−15nmの球状の分子がアルツハイマー病の患者由来試料の場合のみ特異的にプルダウンされてきていた(図3、図7)。
実施例4:免疫組織化学分析
10名のアルツハイマー病である個体(年齢80.4±9.2歳、脳重量964±82 g、罹患期間10.1±5.5年)由来と、7名の対照健常個体(年齢71.3±15.2歳、脳重量1226±96 g)由来の、optiumum cutting temperature compoundに埋め込んだ冷凍脳の凍結切片又はパラフィンに埋め込んだホルマリン固定脳の10μm厚の切片を用い、定法に従って免疫組織化学分析を行った。抗アミロスフェロイド抗体としてウサギポリクローナル抗アミロスフェロイド抗体ASD2(5μg/ml)を用いた。また抗アミロイドβ抗体として、アミロイドβ蛋白質のC末端を認識する市販の抗アミロイドβ抗体「IBL18582」(0.5μg/ml)及び「IBL18580」(0.5μg/ml)を用いた(いずれもIBL社製)。
抗アミロスフェロイド抗体を用いる場合は、脳検体には処理を施さず、抗アミロイドβ抗体を用いる場合は、脳検体をホルマリン又は電子レンジで前処理した。免疫反応は、Vectastain ABCキットを用いて、アビジン−ビオチン−パーオキシダーゼ複合体法により検出した。抗アミロスフェロイド抗体は、アルツハイマー病である個体の脳プラーク(老人斑, び漫性老人斑)を染め、halo内部まで染めた。また、前脳、側頭皮質、海馬を強く染めた。正常対照においては、ごくまれに認められる老人斑がわずかに染色されていた。抗アミロイドβ抗体は、前処理なしではアルツハイマー病である個体の脳検体を染めず、前処理をして初めて老人斑を染めた。図4にその代表的な結果を示す。
実施例5:ヒトアミロスフェロイド類似会合体の毒性の測定
ラット18日胎児の前脳基底野より分散培養によって初代培養細胞を調製した。調製した初代培養細胞は、ポリエチレンイミン(Sigma社製)によりコーティングしFlexiperm(Greiner bio-one社製)で分画した培養プレートに2.6×10cells/cmとなるように播種して培養した(0.4mL/well)。又は、ポリLリジン(Sigma社製)によりコーティングした48穴プラスチックプレートに1.5×10cells/cmとなるように播種して培養した(0.3mL/well)。3日間、5%牛胎児血清(ハイクローン社製)/5%馬血清(Equitech社製)/1mM Pyruvate/50μg/ml Gentamicin(インビトロジェン社製)/DMEM high glucose培地(インビトロジェン社製)で培養後、無血清培地(0.5mM L-Glutamine/50μg/ml Gentamicin(インビトロジェン社製)/B27 Supplement(インビトロジェン社製)/Neurobasal medium(インビトロジェン社製))に交換して5日間培養した。この培養細胞に対し、試料(アミロスフェロイド、実施例3に記載のアルツハイマー病である個体の脳由来の濃縮可溶性画分をmASD3、haASD1またはマウスIgGによる免疫沈降でプルダウンした試料)を、任意の濃度で、1ウェルずつに添加し、毒性を検証した(実施例3に記載のアルツハイマー病である個体の脳由来の濃縮可溶性画分をmASD3またはhaASD1による免疫沈降でプルダウンした試料を「ヒトアミロスフェロイド類似会合体溶液」と称することがある)。毒性は、実施例1で調製したアミロスフェロイド42溶液の毒性と比較することで評価した。バックグラウンドとして溶媒を同容量ウェルに添加した。添加後、40時間培養を行った後に、PBS(−)で洗浄し、最終濃度が1μg/mlのCalcein-AMの、最終濃度が5μg/mlのプロピディウムイオダイド希釈液(20 mM Hepes pH7.3, 130 mM NaCl, 5.4 mM KCl, 5.5 mM glucose, 2 mM CaCl2)で30分間染色を行った。その後、10%中性ホルマリン中において4℃で30分間細胞を固定処理を行い、次にPBS(−)で洗浄後、1μg/ml Hoechst33258(Molecular Probes社製)と5分間反応させて三重染色を行った。
この試料に、蛍光顕微鏡(Zeiss社製)下で、励起レーザーを照射し、励起された蛍光を冷却CCDカメラ(CoolSNAP HQ:Roper社製)で検出して画像を取り込み、画像データとして保存した。各蛍光色素の励起波長はそれぞれ、Calcein−AMは460−490nm、プロピディウムイオダイドは510−550nm、H33258は364nmで行った。得られた画像データについて、Hoechst33258で染色された全細胞数、及びプロピディウムイオダイドで染色された死細胞数を計数した。1つの試料につき計数した全細胞数は平均でおよそ1000〜1200個程度であった。得られた死細胞数を全細胞数で除して100を乗じた値を細胞死活性(%)として計算した。なお、「死細胞」はプロピディウムイオダイドで染色された細胞で核の分断や萎縮などのアポトーシス様変化を呈した細胞とした。
その結果を図3に示す。実施例3に記載のアルツハイマー病である個体の脳由来の濃縮可溶性画分をmASD3またはhaASD1による免疫沈降でプルダウンした試料(ヒトアミロスフェロイド類似会合体溶液)は、0.12μMまたは0.07μMの濃度で、4.0μMのアミロスフェロイドとほぼ同等の毒性をそれぞれ示し、ヒトアミロスフェロイド類似会合体はアミロスフェロイドよりも約33倍〜57倍高い毒性を有することが判明した。
また、前記のヒトアミロスフェロイド類似会合体溶液は、ヒト骨髄間質細胞から分化・誘導した成熟型神経細胞(Dezawa, M. et al., J. Clin. Invest., 113, 1701-1710 (2004))に対して毒性を示した。一方、正常個体の脳由来の濃縮可溶性画分をmASD3またはhaASD1による免疫沈降でプルダウンした試料は毒性を示さなかった。このことからも、ヒトアミロスフェロイド類似会合体はヒト神経細胞死の原因であることが示唆される。なお、ヒトアミロスフェロイド類似会合体溶液の成熟型神経細胞に対する毒性はmASD3により中和された。
なお、上記のヒトアミロスフェロイド類似会合体溶液には、TEM分析で1.0×1010/μlのヒトアミロスフェロイド類似会合体が含まれていた。上記ヒトアミロスフェロイド類似会合体およびアミロスフェロイドの濃度は、実際に投与した量をドットブロットによって合成したアミロスフェロイドで作製したスタンダードカーブから定量し、アミロイドβのモル数に換算した数値である。
実施例6:MALDI−TOF質量分析法によるヒトアミロスフェロイド類似会合体の構成成分の分析
MALDI−TOF質量分析法を用いて、試料(実施例3に記載のアルツハイマー病である個体の脳由来の濃縮可溶性画分をhaASD1またはマウスIgGによる免疫沈降でプルダウンした試料、実施例3に記載の正常個体の脳由来の濃縮可溶性画分をhaASD1による免疫沈降でプルダウンした試料)を分析したところ、図8(縦軸:カウント数、横軸:Mass(m/z),(M+H)+)に示すように、アルツハイマー病である個体の脳由来の濃縮可溶性画分をhaASD1による免疫沈降でプルダウンしたアミロスフェロイド類似会合体溶液については、アミロイドβ40に対応する4328Daのピークとアミロイドβ42に対応する4512Daのピークが観察された。他の試料については、4328Daのピークも4512Daのピークも観察されなかった。
実施例7:レビー小体型痴呆である個体の脳におけるヒトアミロスフェロイド類似会合体
実施例4に記載の方法に従い、レビー小体型痴呆である個体(罹患期間 2.5年)の脳の免疫組織化学分析を行ったところ、抗アミロスフェロイド抗体であるmASD3はこの脳の脳プラークを染めた。そこで、実施例3に記載の方法に従い、この脳から濃縮可溶性画分を調製し、さらにhaASD1またはマウスIgGによる免疫沈降でプルダウンした試料を調製した。免疫沈降して得られた各試料をASD1を用いてドットブロット分析したところ、haASD1による免疫沈降でプルダウンした試料がASD1と強く反応することがわかった(図9)。また、実施例5に記載の方法に従い、これらのプルダウンした試料をMALDI−TOF質量分析法を用いて分析したところ、haASD1による免疫沈降でプルダウンした試料については、アミロイドβ42に対応する4512Daのピークが観察された(図10)。
図1は、ヒト脳の濃縮可溶性画分をドットブロット分析した結果を示す図である。AD1〜7はアルツハイマー病である個体を、C1〜5は正常個体を表す。またFrは前頭皮質を、Ocは後頭皮質を表す。duration (year)に示す数字は、アルツハイマー病に罹患していた年数を表す。 図2は、ヒト脳の濃縮可溶性画分をドットブロット分析した結果を示す図である。NCIは正常個体を、AD(moderate)は中度のアルツハイマー病である個体を、AD(severe)は重度のアルツハイマー病である個体を表す。 図3は、アルツハイマー病である個体の脳由来の濃縮可溶性画分を免疫沈降でプルダウンした試料(ヒトアミロスフェロイド類似会合体溶液)の毒性を示すグラフである。ADはアルツハイマー病である個体を、Conは正常個体を表す。また、図の右の数字は、TEM電子顕微鏡で任意に選択した総計15の視野にて測定した10−15nmの粒状の分子の数の合計を表す。 図4は、ヒト脳の免疫組織化学分析の写真の図である。aはアルツハイマー病である個体の脳の側頭皮質の凍結切片を、bはaと同じ個体の脳の側頭皮質のパラフィン切片(電子レンジ前処理あり)を、抗アミロスフェロイド抗体(ASD2)で染色したもの。cはbと近接したパラフィン切片(ギ酸前処理あり)を、市販の抗アミロイドβ抗体IBL18582で染色したもの。dはパラフィン切片(電子レンジ前処理あり)の老人斑をASD2で染色したもの。eはパラフィン切片(ギ酸前処理あり)の老人斑をIBL18582で染色したもの。fはパラフィン切片(電子レンジ前処理あり)のび漫性老人斑をASD2で染色したもの。gはパラフィン切片(ギ酸前処理あり)のび漫性老人斑をIBL18582で染色したもの。図中a−cのバーは200μmを、d−gのバーは20μmをそれぞれ表す。 図5は、脳由来の濃縮可溶性画分に対する免疫沈降の概要を示す図である。 図6は、脳由来の濃縮可溶性画分を免疫沈降して得られた各試料をドットブロット分析した結果を示す図である。ADはアルツハイマー病である個体を、NCIは正常個体を表す。 図7は、アルツハイマー病である個体の脳由来の濃縮可溶性画分をmASD3(点線)またはhaASD1(実線)による免疫沈降でプルダウンした試料(ヒトアミロスフェロイド類似会合体溶液)をTEM電子顕微鏡で分析した結果を示す。横軸は粒状の分子の粒径を、縦軸は総計15の視野にて測定した粒状の分子の数の合計を表す。 図8は、脳由来の濃縮可溶性画分を免疫沈降でプルダウンして得られた各試料をMALDI−TOF質量分析した結果を示す。上の図は正常個体の脳由来の濃縮可溶性画分をhaASD1による免疫沈降でプルダウンした試料の結果、中の図はアルツハイマー病である個体の脳由来の濃縮可溶性画分をhaASD1による免疫沈降でプルダウンした試料の結果、下の図はアルツハイマー病である個体の脳由来の濃縮可溶性画分をマウスIgGによる免疫沈降でプルダウンした試料の結果を示す。 図9は、レビー小体型痴呆である個体の脳由来の濃縮可溶性画分を免疫沈降して得られた各試料をドットブロット分析した結果を示す図である。 図10は、レビー小体型痴呆である個体の脳由来の濃縮可溶性画分を免疫沈降でプルダウンして得られた各試料をMALDI−TOF質量分析した結果を示す。上の図はhaASD1による免疫沈降でプルダウンした試料の結果、マウスIgGによる免疫沈降でプルダウンした試料の結果を示す。

Claims (12)

  1. アミロイドβ蛋白質を主成分とし、蛋白質濃度30ng/ml以下で神経系細胞に細胞死を誘導する活性を有することを特徴とする、生体試料から単離された、粒径が10〜20nmのヒトアミロスフェロイド類似会合体。
  2. 生体試料がアルツハイマー病またはレビー小体型痴呆である個体から取得したものである、請求項1に記載のヒトアミロスフェロイド類似会合体。
  3. アミロイドβ蛋白質がアミロイドβ40および/またはアミロイドβ42である請求項1または2に記載のヒトアミロスフェロイド類似会合体。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載されたヒトアミロスフェロイド類似会合体に特異的に反応する抗体。
  5. 生体試料からの単離がアミロスフェロイドに特異的に反応する抗体又は請求項4に記載の抗体を用いることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のヒトアミロスフェロイド類似会合体。
  6. 神経細胞死抑制活性作用を有する物質のスクリーニング方法であって、下記の工程を含む方法。
    (1)請求項1〜3もしくは5のいずれかに記載のヒトアミロスフェロイド類似会合体及び被験物質の存在下で神経系細胞もしくは神経系器官を培養する工程、又は請求項1〜3もしくは5のいずれかに記載のヒトアミロスフェロイド類似会合体及び被験物質を動物に投与する工程、
    (2)上記神経系細胞、神経系器官又は動物の神経系細胞の細胞死が抑制された場合に、上記被験物質が神経細胞死に対して抑制作用を有すると判定する工程。
  7. 神経細胞死抑制活性作用を有する物質がアルツハイマー病またはレビー小体型痴呆の治療及び/又は予防薬である、請求項6に記載の方法。
  8. 被験物質をヒトアミロスフェロイド類似会合体に接触させ、被験物質のヒトアミロスフェロイド類似会合体への反応性を指標として候補物質を選択することを含む、アルツハイマー病またはレビー小体型痴呆の治療及び/又は予防薬のスクリーニング方法。
  9. 被験物質にさらにアミロスフェロイドに特異的に反応する抗体又は請求項4に記載の抗体を加えることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
  10. アルツハイマー病またはレビー小体型痴呆の疑いのある個体から取得した生体試料をアミロスフェロイドに特異的に反応する抗体又は請求項4に記載の抗体と接触させ、該試料中のヒトアミロスフェロイド類似会合体の有無を測定することを含む、アルツハイマー病またはレビー小体型痴呆である個体の検出方法。
  11. 生体試料が脳試料である、請求項10に記載の方法。
  12. 請求項1〜3又は5のいずれかに記載のヒトアミロスフェロイド類似会合体を含む、アルツハイマー病またはレビー小体型痴呆の検出のための試薬。
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