JP2008285640A - バインダー樹脂組成物、及び、ガラスペースト - Google Patents

バインダー樹脂組成物、及び、ガラスペースト Download PDF

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Abstract

【課題】基板に対する印刷性、基板・DFRに対する密着性、サンドブラスト性に優れるガラスペーストを作製することができるバインダー樹脂組成物、及び、ガラスペーストを提供する。
【解決手段】(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来するセグメントと、ポリアルキレンオキシドセグメントとを有する(メタ)アクリレート共重合体、及び、セルロース樹脂を含有するバインダー樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、基板に対する印刷性、基板・DFR(ドライフィルムレジスト)に対する密着性、サンドブラスト性に優れるガラスペーストを作製することができるバインダー樹脂組成物、及び、ガラスペーストに関する。
プラズマディスプレイは、放電による発光を利用した平面型表示素子の一種であり、応答速度が速い、視野角が広い、色純度がよい、大画面化が容易である等の優れた特徴を有するカラー表示装置として注目されている。
プラズマディスプレイパネルは、一般に前面ガラス基板と背面ガラス基板とが対向して設けられており、これら基板の間の空間には、ガス放電部を区切るための多数の隔壁が形成されている。
上記隔壁を形成する代表的な方法として、サンドブラスト法が知られている。サンドブラスト法は、背面ガラス基板の表面にガラスペーストをスクリーン印刷等により塗布し、乾燥させて所定の厚みとなるようにガラスペーストの乾燥膜を形成させ、更にこの乾燥膜の上にドライフィルムレジスト(DFR)をラミネートし、露光、現像した後に、レジスト膜が形成されていない箇所をサンドブラストにより切削し、隔壁を形成する方法である。
ガラスペーストは、基板に対する印刷性に優れる、脱泡性がよい等の特性に加えて、ガラスペーストの乾燥膜は基板・DFRに対して密着性が高く、サンドブラストにより容易に削れる(サンドブラスト性(切削性)が良好である)という特性が求められる。
また、ガラスペーストの乾燥膜は、サンドブラスト時にレジスト膜が形成されている箇所が切削される現象(「隔壁破壊」という)が発生すると、所望の隔壁が得られない。したがって、ガラスペーストはサンドブラスト時に隔壁破壊が起こりにくい(リブ形状保持性に優れる)という特性が求められる。
従来のガラスペーストとしては、例えば、特許文献1にはバインダー樹脂としてエチルセルロース等のセルロース樹脂を用いたガラスペーストが開示され、特許文献2にはバインダー樹脂としてイソブチルメタクリレートやシクロヘキシルメタクリレート等のアクリル樹脂を用いたガラスペーストが開示されている。
エチルセルロース等のセルロース樹脂を用いたガラスペーストは、スクリーン印刷性は優れているが、ガラスペーストの乾燥膜を容易に削ることができない(サンドブラスト性に劣る)という問題があった。また、セルロース樹脂を用いたガラスペーストは、基板・DFRに対する密着性が充分でないため、サンドブラスト時にガラスペーストの乾燥膜が基板やDFRから剥離してしまい、所定の箇所に隔壁を形成することができないという問題があった。
一方、イソブチルメタクリレートやシクロヘキシルメタクリレート等のアクリル樹脂を用いたガラスペーストは、基板に対する密着性が充分ではなく、サンドブラスト時にガラスペーストの乾燥膜が基板から剥離してしまうという問題があった。
特開平10−233163号公報 特開2000−53444号公報
本発明は、上記現状に鑑み、基板に対する印刷性、基板・DFRに対する密着性、サンドブラスト性に優れるガラスペーストを作製することができるバインダー樹脂組成物、及び、ガラスペーストを提供することを目的とする。
本発明は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来するセグメントと、ポリアルキレンオキシドセグメントとを有する(メタ)アクリレート共重合体、及び、セルロース樹脂を含有するバインダー樹脂組成物である。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、これまでにアクリル系バインダー樹脂のガラス転移温度(Tg)を下げることにより樹脂を柔らかくし、基板に対する印刷性を向上させることを考え、例えば、単独重合体のTgが低いラウリルメタクリレート又は2−エチルヘキシルメタクリレートを共重合モノマー成分の1つとして含むアクリル系共重合体をバインダー樹脂として用いることを検討してきた。このバインダー樹脂は、従来のバインダー樹脂より印刷性は向上するが、サンドブラスト性が低下したり、低温で脱脂した場合に分解残渣分が残留したりするという問題が生じた。
また、アクリル樹脂とセルロース樹脂とを併用したバインダー樹脂を検討したが、このバインダー樹脂は、印刷性は向上するが、基板・DFRに対する密着性が低下した。その結果サンドブラスト時にガラスペーストの乾燥膜が剥離し、サンドブラストにより乾燥膜を削ることができないことがあった。
そこで、更に鋭意検討の結果、バインダー樹脂として、特定のセグメントを有する(メタ)アクリレート共重合体、及び、セルロース樹脂を用いることにより、基板に対する印刷性、基板・DFRに対する密着性に優れたバインダー樹脂組成物が得られることを見出した。また、ガラスペーストの乾燥膜をサンドブラストにて容易に削ることができ(サンドブラスト性(切削性)が良好である)、かつ、低温で脱脂した場合でも分解残渣分がほとんど残留することなく消滅するガラスペーストを作製することができるバインダー樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明のバインダー樹脂組成物は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来するセグメントと、ポリアルキレンオキシドセグメントとを有する(メタ)アクリレート共重合体を含有する。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来するセグメントは、上記(メタ)アクリレート共重合体のセルロース樹脂に対する相溶性と、本発明のバインダー樹脂組成物のサンドブラスト性とに大きく影響を与える。これを考慮すると、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来するセグメントは、特にイソブチルメタクリレート単量体及び/又はシクロヘキシルメタクリレート単量体に由来するセグメントであることが好ましい。
すなわち、本発明のバインダー樹脂組成物は、イソブチルメタクリレート単量体及び/又はシクロヘキシルメタクリレート単量体に由来するセグメントと、ポリアルキレンオキシドセグメントとを有するメタクリレート共重合体、及び、セルロース樹脂を含有するバインダー樹脂組成物であることが好ましい。
このようなメタクリレート共重合体は、後述するセルロース樹脂との相溶性に優れたメタクリレート共重合体となるとともに、本発明のバインダー樹脂組成物のサンドブラスト性を向上させ、また、本発明のバインダー樹脂組成物を低温で脱脂した場合でも、分解残渣分がほとんど残留することなく消滅する。
上記ポリアルキレンオキシドセグメントは、本発明のバインダー樹脂組成物に対して、特に基板・DFRに対する密着性を向上させる役割や、サンドブラスト時に隔壁破壊が起こるのを防ぐ(リブ形状保持性を向上させる)役割を有する。
上記ポリアルキレンオキシドセグメントは、下記化学式(1)で示される繰り返しユニットからなることが好ましい。このようなポリアルキレンオキシドセグメントを用いることにより、バインダー樹脂組成物全体に占める酸素成分の含有率が上昇し、脱脂後に炭化残渣として分解残渣分が残留するのを防止することができる。
Figure 2008285640
Rは炭素数3以上で構成されるアルキレン基であり、nは自然数である。
上記化学式(1)においては、自然数nの好ましい下限は3、好ましい上限は1000である。自然数nが、3未満であると、脱脂時間によっては低温での分解が困難となることがあり、1000を超えると、望ましい粘度が得られないことがある。自然数nのより好ましい上限は500、更に好ましい上限は200である。
上記ポリアルキレンオキシドセグメントとしては特に限定されないが、ポリプロピレンオキシド、ポリメチルエチレンオキシド、ポリエチルエチレンオキシド、ポリトリメチレンオキシド及びポリテトラメチレンオキシドからなる群より選択される少なくとも1種に由来するポリアルキレンオキシドセグメントであることが好ましい。なかでも、特に低温で脱脂しやすいことから、ポリプロピレンオキシド、ポリメチルエチレンオキシド、ポリエチルエチレンオキシド及びポリテトラメチレンオキシドからなる群より選択される少なくとも1種に由来するポリアルキレンオキシドセグメントが好適である。
また、上記(メタ)アクリレート共重合体には、サンドブラスト性を低下させたり、セルロース樹脂への相溶性を低下させたりしない範囲で他の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを共重合させることも可能である。
上記他の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、具体的には、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、イソボロニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート等が挙げられる。
上記(メタ)アクリレート共重合体における(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来するセグメントと、ポリアルキレンオキシドセグメントとの組成比としては特に限定されないが、原料となる(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体と、ポリアルキレンオキシドとを((メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体):(ポリアルキレンオキシド)=50重量%:50重量%〜98重量%:2重量%の組成比で共重合させることが好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体の組成比が50重量%未満であると、乾燥膜のサンドブラスト性が低下することがあり、98重量%を超えると、本発明のバインダー樹脂組成物の基板・DFRに対する密着性が低下し、その結果サンドブラスト時に乾燥膜が剥離し、サンドブラストにより削ることができないことがあったり、本発明のバインダー樹脂組成物を低温で脱脂した場合に、分解残渣分が残留したりすることがある。
上記(メタ)アクリレート共重合体における(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来するセグメントと、ポリアルキレンオキシドセグメントとの組成比のより好ましい範囲は((メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体):(ポリアルキレンオキシド)=60重量%:40重量%〜95重量%:5重量%である。
上記(メタ)アクリレート共重合体における(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来するセグメント(以下、セグメントAともいう)とポリアルキレンオキシドセグメント(以下、セグメントBともいう)との結合位置は、セグメントAの側鎖、末端の何れか、又は、両方に共有結合で結合するような位置関係にセグメントBがあってもよく、セグメントAとセグメントBとが交互ブロック共重合した(メタ)アクリレート共重合体であってもよい。
図1にセグメントAとセグメントBとの結合の態様を示す模式図を示した。上記(メタ)アクリレート共重合体におけるセグメントAとセグメントBとの結合の態様として、例えば、図1の(A)〜(G)のいずれであってもよい。
図1で示した(メタ)アクリレート共重合体を得る方法の一例として、主鎖にセグメントBを導入する方法としては特に限定されず、例えば、カルボキシル基を有する連鎖移動剤の存在下で、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体を重合し、末端に導入されたカルボキシル基とポリアルキレンオキシドの末端水酸基とを反応させて結合させる方法が挙げられる。
また、側鎖にセグメントBを導入する方法としては特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体と共重合可能な共重合性官能基を有するポリアルキレンオキシドと、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体とを共重合させる方法が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体と共重合可能な共重合性官能基を有するポリアルキレンオキシドとしては特に限定されず、例えば、下記化学式(2)〜(13)で表される末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリアルキレンオキシドが挙げられる。なかでも、脱脂後に分解残渣分の残留が少ないことから、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートが好ましい。
Figure 2008285640
更に、上記(メタ)アクリレート共重合体は、バインダー樹脂組成物のチキソ性を充分に発現させて糸切れをよくする、いわゆる糸曳性をよくするために、水酸基と水素結合することができる官能基を有する共重合性単量体に由来するセグメントを有することが好ましい。
また、上記(メタ)アクリレート共重合体が水酸基と水素結合することができる官能基を有する共重合性単量体に由来するセグメントを有することにより、本発明のバインダー樹脂組成物のガラス基板・DFRに対する密着性が向上するという効果も得られる。
上記水酸基と水素結合することができる官能基を有する共重合性単量体に由来するセグメントを有する(メタ)アクリレート共重合体は、例えば、水酸基、カルボキシル基、又は、窒素原子を含む官能基等を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体を共重合することにより得られる。更に、(メタ)アクリル酸エステル単量体は、脱脂後に分解残渣分の残留が少ないことから、メタクリル酸エステル単量体であることが好ましい。
上記水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体としては特に限定されず、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記カルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体としては特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸等が挙げられる。
上記窒素原子を含む官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体としては特に限定されず、例えば、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、2−N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上述した各官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体のなかでも、脱脂後に分解残渣分の残留が特に少ないことから、水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体が好適である。
上記(メタ)アクリレート共重合体における上述した各官能基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体の含有量としては特に限定されないが、(メタ)アクリレート共重合体100重量部中、好ましい上限は30重量部である。30重量部を超えると、吸水しやすくなるため、ガラス粉末等を分散させペースト化した場合、長期で粘度の安定した組成物を得ることが困難な場合がある。より好ましい上限は15重量部である。また、下限としては特に限定されないが、好ましくは1重量部である。
また、上記(メタ)アクリレート共重合体は、末端にカルボキシル基、水酸基、アミノ基等の極性官能基を有していてもよい。上記(メタ)アクリレート共重合体は、末端にカルボキシル基、水酸基、アミノ基等の極性官能基を有することで、本発明のバインダー樹脂組成物は基板・DFRに対する密着性が向上する。
末端に極性官能基を導入する方法としては特に限定されないが、上記(メタ)アクリレート共重合体を作製する際に、上述したような極性官能基を有する連鎖移動剤や反応停止剤を用いる方法や、上記(メタ)アクリレート共重合体を合成した後に高分子反応によって末端を置換する方法等が挙げられる。
また、上記(メタ)アクリレート共重合体は、側鎖又は末端に架橋性官能基を有していてもよい。上記(メタ)アクリレート共重合体が側鎖又は末端に架橋性官能基を有することで、本発明のバインダー樹脂組成物は、例えば、本発明のバインダー樹脂組成物の用途の一例として挙げられる転写法によるプラズマディスプレイパネル(PDP)の隔壁形成において優れた成形性、転写性を発揮することができる。
本明細書において架橋性官能基とは、光照射及び/又は加熱により架橋反応を生じる基を意味するが、なかでも、紫外線照射等により容易に硬化させることができ、バインダー樹脂組成物に熱履歴等を残す懸念もないことから、光照射により架橋反応を生じる架橋性官能基が好適である。
上記架橋性官能基としては特に限定されず、例えば、加水分解性シリル基、イソシアネート基、加水分解性シリルアネート基、エポキシ基、オキセタニル基、酸無水物基、カルボキシル基、水酸基、重合性不飽和炭化水素基等が挙げられる。なかでも、加水分解性シリル基、イソシアネート基、エポキシ基、オキセタニル基、酸無水物基、カルボキシル基、水酸基、重合性不飽和炭化水素基が好ましく、加水分解性シリル基、エポキシ基、オキセタニル基がより好ましく、加水分解性シリル基が更に好ましい。これらの架橋性官能基は単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
本発明のバインダー樹脂組成物は、上記(メタ)アクリレート共重合体が側鎖又は末端に架橋性官能基を有している場合には、上記架橋性官能基を架橋させる架橋剤を含有することが好ましい。
上記架橋剤としては特に限定されず、例えば、上記(メタ)アクリレート共重合体が有する架橋性官能基と反応して、それ自体が架橋体の構造中に取り込まれる作用を有する架橋剤(以下、反応型架橋剤ともいう)や、上記(メタ)アクリレート共重合体が有する架橋性官能基同士を反応させる触媒としての作用を有する架橋剤(以下、触媒型架橋剤ともいう)や、上記反応型架橋剤と触媒型架橋剤との双方の作用を有する架橋剤(以下、反応−触媒型架橋剤)等が挙げられる。
上記反応型架橋剤としては特に限定されず、上記(メタ)アクリレート共重合体が有する架橋性官能基がオキセタニル基である場合には、例えば、紫外線や可視光により酸が発生する光カチオン開始剤、熱カチオン開始剤等が挙げられ、上記(メタ)アクリレート共重合体が有する架橋性官能基がイソシアネート基である場合には、例えば、水酸基を複数個有する化合物やアミノ基を複数個有する化合物等の活性水素を複数個有する化合物等が挙げられる。
上記水酸基を複数個有する化合物としては特に限定されず、例えば、エチレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ペンタエリスリトール、ポリエステルポリオール等が挙げられる。
また、上記アミノ基を複数個有する化合物としては特に限定されず、例えば、ヘキサメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、α,ω−ジアミノプロピレングリコール等が挙げられる。
上記触媒型架橋剤としては特に限定されず、上記(メタ)アクリレート共重合体が有する架橋性官能基が加水分解性シリル基である場合には、例えば、下記一般式(14)で表される官能基を有する光反応性触媒、紫外線や可視光により酸が発生する光カチオン開始剤、有機金属化合物、アミン系化合物、酸性リン酸エステル、テトラアルキルアンモニウムハライド(ハライド:フルオリド、クロライド、ブロマイド、ヨウダイド)、カルボキシル基等の有機酸、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸等が挙げられる。なかでも、下記一般式(14)で表される官能基を有する光反応性触媒が好適である。
Figure 2008285640
上記一般式(14)中、mは2〜5の整数を表し、Y(m)は周期表の14族、15族又は16族の原子を表し、Zは水素基、炭化水素基、メルカプト基、アミノ基、ハロゲン基、アルコキシル基、アルキルチオ基、カルボニルオキシ基又はオキソ基を表す。
上記一般式(14)で表される官能基を有する光反応性触媒は、上記一般式(14)で表される官能基のうち、異なる官能基を複数種有していてもよい。
上記一般式(14)で表される官能基としては特に限定されず、例えば、酸素、硫黄、窒素、リン及び炭素からなる群より選択されるY(m)で示される原子に対し、カルボニル基が2個結合した化合物であって、Y(m)で示される原子の価数に応じて適宜、Zで示される炭化水素基又はオキシド基を有する官能基等が挙げられる。
上記Zで示される炭化水素基としては特に限定されず、例えば、脂肪族系炭化水素基、不飽和脂肪族系炭化水素基、芳香族系炭化水素基等が挙げられる。これらの炭化水素基は、本発明の目的を阻害しない範囲でアミノ基、水酸基、エーテル基、エポキシ基、重合性不飽和基、ウレタン基、ウレア基、イミド基、エステル基等の置換基を有していてもよい。また、異なる炭化水素基を組み合わせて用いてもよい。
上記一般式(14)で表される官能基を有する光反応触媒は、環状化合物であってもよい。このような環状化合物としては特に限定されず、例えば、環状鎖の中に1個又は2個以上の同種又は異種の上記一般式(14)で表される官能基を有する化合物等が挙げられる。更に、複数個の同種又は異種の上記環状化合物を適当な有機基で結合した化合物や、複数個の同種又は異種の上記環状化合物をユニットとして少なくとも1個以上含む双環化合物等も用いることができる。
上記一般式(14)で表される官能基を有する光反応触媒としては、Y(m)で表される原子が酸素原子の場合には、例えば、酢酸無水物、プロピオン酸無水物、ブチル酸無水物、イソブチル酸無水物、バレリック酸無水物、2−メチルブチル酸無水物、トリメチル酢酸無水物、ヘキサン酸無水物、ヘプタン酸無水物、デカン酸無水物、ラウリル酸無水物、ミリスチリル酸無水物、パルミチン酸無水物、ステアリル酸無水物、ドコサン酸無水物、クロトン酸無水物、アクリル酸無水物、メタクリル酸無水物、オレイン酸無水物、リノレイン酸無水物、クロロ酢酸無水物、ヨード酢酸無水物、ジクロロ酢酸無水物、トリフルオロ酢酸無水物、クロロジフルオロ酢酸無水物、トリクロロ酢酸無水物、ペンタフルオロプロピオン酸無水物、ヘプタフルオロブチル酸無水物、コハク酸無水物、メチルコハク酸無水物、2,2−ジメチルコハク酸無水物、イソブチルコハク酸無水物、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、ヘキサヒドロ−4−メチルフタル酸無水物、イタコン酸無水物、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、マレイン酸無水物、2−メチルマレイン酸無水物、2,3−ジメチルマレイン酸無水物、1−シクロペンテン−1,2−ジカルボン酸無水物、グルタル酸無水物、1−ナフチル酢酸無水物、安息香酸無水物、フェニルコハク酸無水物、フェニルマレイン酸無水物、2,3−ジフェニルマレイン酸無水物、フタル酸無水物、4−メチルフタル酸無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸ジ無水物、4,4’−(ヘキサフルオロプロピリデン)ジフタル酸無水物、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸無水物、1,8−ナフタレンジカルボン酸無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸無水物等;マレイン酸無水物とラジカル重合性二重結合を持つ化合物の共重合体として、例えば、マレイン酸無水物と(メタ)アクリレートとの共重合体、マレイン酸無水物とスチレンとの共重合体、マレイン酸無水物とビニルエーテルとの共重合体等が挙げられる。これらのうち市販品としては、例えば、旭電化社製のアデカハードナーEH−700、アデカハードナーEH−703、アデカハードナーEH−705A;新日本理化社製のリカシッドTH、リカシッドHT−1、リカシッドHH、リカシッドMH−700、リカシッドMH−700H、リカシッドMH、リカシッドSH、リカレジンTMEG;日立化成社製のHN−5000、HN−2000;油化シェルエポキシ社製のエピキュア134A、エピキュアYH306、エピキュアYH307、エピキュアYH308H;住友化学社製のスミキュアーMS等が挙げられる。
上記一般式(14)で表される官能基を有する光反応触媒としては、Y(m)で表される原子が窒素原子の場合には、例えば、コハク酸イミド、N−メチルコハク酸イミド、α,α−ジメチル−β−メチルコハク酸イミド、α−メチル−α−プロピルコハク酸イミド、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−tert−ブチルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−(1−ピレニル)マレイミド、3−メチル−N−フェニルマレイミド、N,N’−1,2−フェニレンジマレイミド、N,N’−1,3−フェニレンジマレイミド、N,N’−1,4−フェニレンジマレイミド、N,N’−(4−メチル−1,3−フェニレン)ビスマレイミド、1,1’−(メチレンジ−1,4−フェニレン)ビスマレイミド、フタルイミド、N−メチルフタルイミド、N−エチルフタルイミド、N−プロピルフタルイミド、N−フェニルフタルイミド、N−ベンジルフタルイミド、ピロメリット酸ジイミド等が挙げられる。
上記一般式(14)で表される官能基を有する光反応触媒としては、Y(m)で表される原子がリン原子の場合には、例えば、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキシド等が挙げられる。
上記一般式(14)で表される官能基を有する光反応触媒としては、Y(m)で表される原子が炭素原子の場合には、例えば、2,4−ペンタンジオン、3−メチル−2,4−ペンタンジオン、3−エチル−2,4−ペンタンジオン、3−クロロ−2,4−ペンタンジオン、1,1,1−トリフルオロ−2,4−ペンタンジオン、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ペンタンジオン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン、1−ベンゾイルアセトン、ジベンゾイルメタン等のジケトン類;ジメチルマロネート、ジエチルマロネート、ジメチルメチルマロネート、テトラエチル1,1,2,2−エタンテトラカルボン酸等のポリカルボン酸エステル類;メチルアセチルアセトナート、エチルアセチルアセトナート、メチルプロピオニルアセテート等のα−カルボニル−酢酸エステル類等が挙げられる。
上記一般式(14)で表される官能基を有する光反応触媒のなかでも、ジアシルフォスフィンオキシド又はその誘導体は、脱脂後に分解残渣分の残留が極めて少ないことから特に好適に用いられる。
上記一般式(14)で表される官能基を有する光反応触媒の配合量としては特に限定されないが、上記(メタ)アクリレート共重合体100重量部に対して好ましい下限が0.01重量部、好ましい上限が30重量部である。0.01重量部未満であると、光反応性を示さなくなることがあり、30重量部を超えると、加水分解性シリル基を有する本発明のバインダー樹脂組成物の光透過性が低下して、光を照射しても表面のみが架橋、硬化し、深部は架橋、硬化しないことがある。より好ましい下限は0.1重量部、より好ましい上限は20重量部である。
上記触媒型架橋剤として用いる有機金属化合物としては特に限定されず、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫フタレート、ビス(ジブチル錫ラウリン酸)オキサイド、ジブチル錫ビスアセチルアセトナート、ジブチル錫ビス(モノエステルマレート)、オクチル酸錫、ジブチル錫オクトエート、ジオクチル錫オキサイド等の錫化合物、テトラ−n−ブトキシチタネート、テトライソプロポキシチタネート等のアルキルオキシチタネート等が挙げられる。
また、上記触媒型架橋剤としては、上記(メタ)アクリレート共重合体が有する架橋性官能基が重合性不飽和炭化水素基である場合には、例えば、過酸化物、アゾ化合物等の熱ラジカル開始剤;紫外線や可視光による光ラジカル開始剤;熱又は光ラジカル開始剤とメルカプト基を複数個持つ化合物を組み合わせてなる開始剤系等が挙げられる。
上記熱ラジカル開始剤としては特に限定されず、例えば、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、tert−ヘキシルハイドロパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、α,α’−ビス(tert−ブチルペルオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、ジキュミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、tert−ブチルキュミルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキサイド類;ケトンパーオキサイド類、パーオキシケタール類、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシジカーボネート類、パーオキシエステル類等の有機過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物等が挙げられる。
上記光ラジカル開始剤としては特に限定されず、例えば、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、α−ヒドロキシ−α,α’−ジメチルアセトフェノン、メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン等のアセトフェノン誘導体化合物;ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル等のベンゾインエーテル系化合物;ベンジルジメチルケタール等のケタール誘導体化合物;ハロゲン化ケトン;アシルフォスフィンオキシド;アシルフォスフォナート;2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−N,N−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキシドビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド;ビス(η5−シクロペンタジエニル)−ビス(ペンタフルオロフェニル)−チタニウム、ビス(η5−シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピリ−1−イル)フェニル]−チタニウム;アントラセン、ペリレン、コロネン、テトラセン、ベンズアントラセン、フェノチアジン、フラビン、アクリジン、ケトクマリン、チオキサントン誘導体、ベンゾフェノン、アセトフェノン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
また、上記触媒型架橋剤としては、上記(メタ)アクリレート共重合体が有する架橋性官能基がエポキシ基である場合には、例えば、紫外線や可視光により酸が発生する光カチオン開始剤、熱カチオン開始剤、アミン化合物系硬化剤、アミド系硬化剤、酸無水物系硬化剤、メルカプト系硬化剤、ケチミンやDICY等の熱潜在性硬化剤、カルバモイルオキシイミノ基等を有する光アミン発生剤等が挙げられる。
上記光カチオン開始剤としては特に限定されず、例えば、鉄−アレン錯体化合物、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、ピリジニウム塩、アルミニウム錯体/シラノール塩、トリクロロメチルトリアジン誘導体等が挙げられる。このうち、オニウム塩やピリジニウム塩の対アニオンとしては特に限定されず、例えば、SbF 、PF 、AsF 、BF 、テトラキス(ペンタフルオロ)ボレート、トリフルオロメタンスルフォネート、メタンスルフォネート、トリフルオロアセテート、アセテート、スルフォネート、トシレート、ナイトレート等が挙げられる。これらの光カチオン開始剤のうち市販されている光カチオン開始剤としては、例えば、イルガキュアー261(チバガイギー社製)、オプトマーSP−150(旭電化工業社製)、オプトマーSP−151(旭電化工業社製)、オプトマーSP−170(旭電化工業社製)、オプトマーSP−171(旭電化工業社製)、UVE−1014(ゼネラルエレクトロニクス社製)、CD−1012(サートマー社製)、サンエイドSI−60L(三新化学工業社製)、サンエイドSI−80L(三新化学工業社製)、サンエイドSI−100L(三新化学工業社製)、CI−2064(日本曹達社製)、CI−2639(日本曹達社製)、CI−2624(日本曹達社製)、CI−2481(日本曹達社製)、RHODORSIL PHOTOINITIATOR 2074(ローヌ・プーラン社製)、UVI−6990(ユニオンカーバイド社製)、BBI−103(ミドリ化学社製)、MPI−103(ミドリ化学社製)、TPS−103(ミドリ化学社製)、MDS−103(ミドリ化学社製)、DTS−103(ミドリ化学社製)、NAT−103(ミドリ化学社製)、NDS−103(ミドリ化学社製)等が挙げられる。これらの光カチオン触媒は単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
上記熱カチオン開始剤としては特に限定されず、例えば、アルキル基を少なくとも1個有するアンモニウム塩、スルホニウム塩、ヨウドニウム塩、ジアゾニウム塩、三フッ化ホウ素・トリエチルアミン錯体等が挙げられる。これらの塩類の対アニオンとしては、例えば、SbF 、PF 、AsF 、BF 、テトラキス(ペンタフルオロ)ボレート、トリフルオロメタンスルフォネート、メタンスルフォネート、トリフルオロアセテート、アセテート、スルフォネート、トシレート、ナイトレート等のアニオンが挙げられる。
上記光アミン発生剤としては特に限定されず、例えば、カルバモイルオキシイミノ基を有する化合物、コバルトアミン錯体、カルバミン酸−o−ニトロベンジル、o−アシルオキシム等が挙げられる。
上記反応−触媒型架橋剤としては特に限定されず、例えば、α,ω−ジアミノポリオキシプロピレン等が挙げられる。
上記(メタ)アクリレート共重合体の分子量としては特に限定されないが、ポリスチレン換算による重量平均分子量の好ましい下限が5000、好ましい上限が10万である。5000未満であると、充分な粘度が得られず基板に対する印刷性が悪くなることがあり、10万を超えると、樹脂の凝集力が高く、サンドブラスト性が低下したり、印刷時に延糸が発生したりし、ハンドリング性に悪影響がでることがある。上記(メタ)アクリレート共重合体の分子量のより好ましい下限は1万、より好ましい上限は5万である。
なお、ポリスチレン換算による重量平均分子量の測定は、カラムとして例えばSHOKO社製カラムLF−804を用いてGPC測定を行うことで得ることができる。
上記(メタ)アクリレート共重合体を製造する方法としては、例えば、フリーラジカル重合法、リビングラジカル重合法、イニファーター重合法、アニオン重合法、リビングアニオン重合法等の従来公知の方法を用いることができる。
本発明のバインダー樹脂組成物は、セルロース樹脂を含有する。上記セルロース樹脂は、本発明のバインダー樹脂組成物に対して粘度を付与し、印刷性を向上させる役割を有する。
上記セルロース樹脂は、トルエン/エタノール(混合比80重量%/20重量%)混合溶媒を用いて5重量%セルロース樹脂溶液としたときの溶液粘度(23℃)の好ましい下限が0.005Pa・s、好ましい上限が0.300Pa・sである。溶液粘度が0.005Pa・s未満であると、適当な粘度を得るために必要なセルロース樹脂の量が多くなり、例えば、本発明のバインダー樹脂組成物を用いてガラスペーストを作製する際に、ガラス粉末等とバインダー樹脂組成物との比率を好ましい範囲に維持しにくい。溶液粘度が0.300Pa・sを超えると、バインダー樹脂組成物の粘度が高くなりすぎ、糸曳性が悪くなったり、印刷性が低下したりすることがある。
このようなセルロース樹脂としては、具体的には、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルプロピルセルロース、ヒドロキシエチルプロピルセルロース等が挙げられる。なかでも、ガラス粉末等に対する分散性に優れることからメチルセルロース、エチルセルロースが好適である。
本発明のバインダー樹脂組成物において、上記(メタ)アクリレート共重合体とセルロース樹脂との重量比としては特に限定されないが、((メタ)アクリレート共重合体):(セルロース樹脂)=20:80〜70:30であることが好ましい。(メタ)アクリレート共重合体の比率が20未満であると、乾燥膜のサンドブラスト性が低下したり、本発明のバインダー樹脂組成物の基板・DFRに対する密着性が低下し、その結果サンドブラスト時に乾燥膜が剥離し、サンドブラストにより削ることができないことがあったり、本発明のバインダー樹脂組成物を低温で脱脂した場合に、分解残渣分が残留したりすることがある。一方、(メタ)アクリレート共重合体の比率が70を超えると、バインダー樹脂組成物に充分な粘度が付与されず、印刷性が悪くなることがある。上記(メタ)アクリレート共重合体とセルロース樹脂との重量比のより好ましい範囲は((メタ)アクリレート共重合体):(セルロース樹脂)=30:70〜60:40である。
本発明のバインダー樹脂組成物は、脱脂温度を下げる目的で、更に、ポリアルキレンオキシドを含有することが好ましい。
上記ポリアルキレンオキシドとしては特に限定されず、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリ(エチル)エチレングリコール、ポリ(ベンジル)エチレングリコール及びこれらの共重合体等が挙げられる。
上記ポリアルキレンオキシドの数平均分子量としては特に限定されず、目的とする本発明のバインダー樹脂組成物の粘度に合わせて適宜選択すればよいが、上記ポリアルキレンオキシドの数平均分子量の好ましい下限は300、好ましい上限は10万であり、より好ましい下限は1000、より好ましい上限は5万である。
上記ポリアルキレンオキシドの配合量としては特に限定されないが、(メタ)アクリレート共重合体100重量部に対して好ましい上限が200重量部である。200重量部を超えると、ポリアルキレンオキシドにより低温で脱脂しやすくなる、いわゆる「低温脱脂性」は発現するものの、(メタ)アクリレート共重合体とポリアルキレンオキシドとの組み合わせによっては相分離しやすくなり、安定した粘度のバインダー樹脂組成物を得ることが困難なことがある。より好ましい上限は100重量部であり、更に好ましい上限は50重量部である。
本発明のバインダー樹脂組成物は、糸曳性を向上させる目的で、更に、23℃で液状の樹脂オリゴマーを含有することが好ましい。
上記樹脂オリゴマーとしては特に限定されないが、バインダー樹脂組成物中での相分離を避けるために、Hoy法により求めたSP値が10×10−3〜8.5×10−3(J/m0.5であるオリゴマーが好ましく、具体的には、例えば、上記ポリアルキレンオキシドで例示したポリプロピレングリコール(SP値:8.65×10−3(J/m0.5)や、ポリエステルポリオールオリゴマー、ブチルアクリレートオリゴマー(SP値:9.77×10−3(J/m0.5)、2−エチルヘキシルアクリレートオリゴマー(SP値:9.22×10−3(J/m0.5)、ポリイソプレンオリゴマー(SP値:8.75×10−3(J/m0.5)、ポリブタジエンオリゴマー(SP値:8.73×10−3(J/m0.5)、ラウリルメタクリレートオリゴマー(SP値:8.81×10−3(J/m0.5)等が挙げられる。
本発明のバインダー樹脂組成物は、更に、分解促進剤を含有することが好ましい。分解促進剤を含有することにより、脱脂後に分解残渣分の残留がほとんどなく速やかに消滅させることができる。
上記分解促進剤としては特に限定されず、例えば、アゾ化合物;硫酸鉄、硝酸ナトリウム、ナフテン酸コバルト等の重金属化合物;シュウ酸、リノレイン酸、アスコルビン酸等のカルボン酸類;ハイドロキノン、過酸化物、酸化錫等が挙げられる。なかでも、分解促進剤に起因する分解残渣分をも低く抑えることができることから、過酸化物が好適である。また、分解促進剤による分解促進効果と同時に、分解で発生する窒素ガスにより分解物の揮発を促進することができることから、アゾ化合物も好適である。
上記過酸化物としては特に限定されず、無機過酸化物であっても有機過酸化物であってもよい。
上記無機過酸化物としては特に限定されず、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過塩素酸カリウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸アンモニウム、過ヨウ素酸カリウム等が挙げられる。
上記有機過酸化物としては特に限定されないが、貯蔵性の点から10時間半減期温度が100℃以上である有機過酸化物が好適である。10時間半減期温度が100℃以上の有機過酸化物としては、例えば、p−メンタンハイドロキシパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロキシパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロキシパーオキサイド、クメンハイドロキシパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロキシパーオキサイド、t−ブチルハイドロキシパーオキサイド等のハイドロキシパーオキサイド;ジクミルパーオキサイド、α、α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピルベンゼン)、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキサイド;1,1−ビス(t−へキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン等のパーオキシケタール;t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ビス−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシアリルモノカーボネート等のパーオキシエステル等が挙げられる。
上記アゾ化合物としては特に限定されず、例えば、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)等が挙げられる。
本発明のバインダー樹脂組成物は、取扱い性を向上させる等の目的で、分解遅延剤を含有してもよい。上記分解遅延剤としては特に限定されず、例えば、メルカプト化合物、アミン化合物、有機錫、有機ホウ素等が挙げられる。
上記メルカプト化合物としては特に限定されず、例えば、プロパンチオール、ブタンチオール、ペンタンチオール、1−オクタンチオール、ドデカンチール、シクロペンタンチオール、シクロヘキサンチオール、1,3−プロパンジオール等が挙げられる。
上記アミン化合物としては特に限定されず、例えば、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、ドデシルアミン、イソプロピルアミン、ヘキサメチレンジアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、アニリン、メチルアニリン等が挙げられる。
上記有機錫としては特に限定されず、例えば、ジメチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジウラレート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ビス(2,4−ペンタンジオン)、ジラウリル錫ジウラレート等が挙げられる。
上記有機ホウ素としては特に限定されず、例えば、トリメチルボレート、トリプロピルボレート、トリブチルボレート、トリメトキシボロキシン、トリメチレンボレート等が挙げられる。
本発明のバインダー樹脂組成物中における、上記分解促進剤又は分解遅延剤の含有量としては特に限定されないが、好ましい下限は1重量%、好ましい上限は10重量%である。
また、本発明のバインダー樹脂組成物は、光照射及び/又は加熱により気体を発生する気体発生剤を含有してもよい。気体発生剤を含有することにより、例えば本発明のバインダー樹脂組成物の用途の一例であるPDP隔壁の転写法において本発明のバインダー樹脂組成物を硬化させた際に、その表面から気体が発生し、その圧力によって型枠との剥離が促進される。このような気体発生剤としては、例えば、アゾ化合物、アジド化合物等が挙げられる。
また、本発明のバインダー樹脂組成物は、液状樹脂を含有していてもよい。液状樹脂を含有することにより、本発明のバインダー樹脂組成物の消滅開始温度を下げることができ、150℃程度の温度でも速やかに消滅させることができる。更に、粘度も調整することができる。上記液状樹脂としては、沸点が100℃以上の化合物であれば特に限定されず、例えば、ポリエチレングリコールオリゴマー、ポリプロピレンオリゴマー、ポリテトラメチレングリコールオリゴマー、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、グリセリンモノオレイル酸エステル等が挙げられる。
また、本発明のバインダー樹脂組成物は、フィラーを含有してもよい。フィラーを含有することにより、本発明のバインダー樹脂組成物の凝集力の向上させることができる。ただし、フィラーは無機残渣となることから、その含有量は必要最小限に抑えるべきである。上記フィラーとしては特に限定されず、例えば、酸化チタン、アルミナ、コロイダル炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、シリカ、表面処理シリカ、珪酸カルシウム、無水珪素、含水珪素、マイカ、表面処理マイカ、タルク、クレー、表面処理タルク、窒化ホウ素、窒化アルミナ、窒化炭素、カーボンブラック、ホワイトカーボン、ガラス短繊維、ガラスビーズ、ガラスバルーン、シラスバルーン、アクリルビーズ、ポリエチレンビーズ等が挙げられる。
また、本発明のバインダー樹脂組成物は、シランカップリング剤を含有してもよい。上記シランカップリング剤としては特に限定されず、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N’−ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ヘキサエチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ヘキサエチレンジアミン等が挙げられる。
また、本発明のバインダー樹脂組成物は、チタンカップリング剤を含有してもよい。上記チタンカップリング剤としては特に限定されず、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピル−n−ドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルピロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトライソプロピルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジ−トリドデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート等が挙げられる。
また、本発明のバインダー樹脂組成物は、有機溶剤を含有してもよい。上記有機溶剤としては、固形分の安定性、印刷時の粘度安定性等の点から、沸点が150℃以上の有機溶剤が好ましく、例えば、テルピネオール、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、イソホロン、乳酸ブチル、ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ベンジルアルコール、フェニルプロピレングリコール、クレゾール等が挙げられる。なかでも、有機残渣の残りにくい芳香環を含まない溶剤が好ましい。
本発明のバインダー樹脂組成物は、上記構成からなることにより、基板に対する印刷性、基板・DFRに対する密着性、サンドブラスト性に優れ、かつ、低温で脱脂した場合でも分解残渣分がほとんど残留することなく消滅するガラスペーストを作製することができるバインダー樹脂組成物となる。
本発明のバインダー樹脂組成物の製造方法としては特に限定されず、従来公知の方法が挙げられ、各成分をボールミル、ブレンダーミル、3本ロール等の各種混合機を用いて混合する方法等が挙げられる。
本発明のバインダー樹脂組成物と、ガラス粉末とを混合することによりプラズマディスプレイパネル隔壁形成用ガラスペーストを作製することができる。
このようなガラスペーストもまた、本発明の1つである。
上記ガラス粉末の材質としては特に限定されず、例えば、PbO−B−SiO混合物、BaO−ZnO−B−SiO混合物、ZnO−Bi−B−SiO混合物、Bi−B−BaO−CuO混合物、Bi−ZnO−B−Al−SrO混合物、ZnO−Bi−B混合物、Bi−SiO混合物、P−NaO−CaO−BaO−Al−B混合物、P−SnO混合物、P−SnO−B混合物、P−SnO−SiO混合物、CuO−P−RO混合物、SiO−B−ZnO−NaO−LiO−NaF−V混合物、P−ZnO−SnO−RO−RO混合物、B−SiO−ZnO混合物、B−SiO−Al−ZrO混合物、SiO−B−ZnO−RO−RO混合物、SiO−B−Al−RO−RO混合物、SrO−ZnO−P混合物、SrO−ZnO−P混合物、BaO−ZnO−B−SiO混合物等のガラス粉末を使用することができる(なお、RはZn、Ba、Ca、Mg、Sr、Sn、Ni、Fe、及びMnからなる群から選ばれる元素である。)。特に、PbO−B−SiO混合物のガラス粉末や、鉛を含有しないBaO−ZnO−B−SiO混合物やZnO−Bi−B−SiO混合物のガラス粉末が好ましい。
また、上記ガラス粉末に加えて無機フィラーを用いることもできる。
上記無機フィラーとしては特に限定されず、例えば、石英ガラス、α−石英、アルミナ、チタニア(ルチル、アナターゼ型)、ジルコニア、無機顔料、ジルコン等が挙げられる。なかでも、α−石英等のシリカ系材料を使用すると、隔壁を低誘電率化でき、消費電力の低減が可能になる。また、隔壁の機械的強度を向上させるために、無機フィラーの一部又は全部を球状フィラーにしてもよい。
本発明のガラスペーストにおける上記ガラス粉末の含有量としては特に限定されないが、好ましい下限は40重量%、好ましい上限は80重量%である。40重量%未満であると、粘度が充分に得られないことがあったり、ガラス粉末に対して樹脂が多いためにサンドブラスト性が悪くなったりすることがあり、80重量%を超えると、ガラス粉末を分散させることが困難となることがある。
また、上記無機フィラーは、本発明のガラスペーストに適宜添加することができる。
また、本発明のバインダー樹脂組成物の用途としては、上記ガラスペースト以外に、バインダー樹脂組成物とセラミック粉末とを含有するセラミックペースト、バインダー樹脂組成物と蛍光体粉末とを含有する蛍光体ペースト、バインダー樹脂組成物と導電性粉末とを含有する導電ペースト、バインダー樹脂組成物とガラス粉末又はセラミックス粉末とを含有するグリーンシートとして好適である。これらもまた、それぞれ本発明の1つである。このような用途で用いることにより、特に低温で脱脂した場合でも分解残渣分がほとんど残留することなく消滅し、かつ、印刷性に優れたバインダー樹脂組成物となる。
本発明によれば、基板に対する印刷性、基板・DFRに対する密着性、サンドブラスト性に優れ、かつ、低温で脱脂した場合でも分解残渣分がほとんど残留することなく消滅するガラスペーストを作製することができるバインダー樹脂組成物、及び、ガラスペーストを提供することができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
撹拌機、冷却器、温度計、湯浴、及び、窒素ガス導入口を備えた2Lセパラブルフラスコに、イソブチルメタクリレート(日本油脂社製「ブレンマーIBMA」)80重量部、ポリプロピレングリコールメタクリレート(日本油脂社製「ブレンマーPP1000」)20重量部、連鎖移動剤としてドデシルメルカプタン(和光純薬社製)、有機溶剤として酢酸エチル(和光純薬社製)100重量部とを混合し、モノマー混合液を得た。
得られたモノマー混合液を、窒素ガスを用いて20分間バブリングすることにより溶存酸素を除去した後、セパラブルフラスコ系内を窒素ガスで置換し攪拌しながら湯浴が沸騰するまで昇温した。重合開始剤を酢酸エチルで希釈した溶液を加えた。また重合中に重合開始剤を数回添加した。
重合開始から7時間後、室温まで冷却し重合を終了させた。これにより、メタクリレート共重合体の酢酸エチル溶液を得た。得られた共重合体について、カラムとしてSHOKO社製カラムLF−804を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分析を行ったところ、ポリスチレン換算による重量平均分子量(Mw)は表1のとおりであった。
得られたメタクリレート共重合体の酢酸エチル溶液にテルピネオールを100重量部加えエバポレーターを用いて減圧することで、酢酸エチルを揮発させて溶剤置換を行った。
得られたメタクリレート共重合体のテルピネオール溶液、エチルセルロース(和光純薬社製「100cP」)、ガラス粉末(東罐マテリアルテクノレジー社製「低融点ガラス微粒子ABX−169F」)、及び、テルピネオールをメタクリレート共重合体:エチルセルロース:ガラス粉末:有機溶剤が4重量%:4重量%:60重量%:32重量%となるように混合物を作製し、混合物100重量部に対して、更にノニオン系界面活性剤(日光ケミカル社製「BL−2」)を0.1重量部加え、高速攪拌装置を用いて充分混練し、更に、3本ロールミルを用いてなめらかな状態に達するまで混練を行って、ガラスペーストを作製した。
また、樹脂成分(本実施例においてはメタクリレート共重合体とエチルセルロース)と有機溶剤(本実施例においてはテルピネオール)との混合物をビヒクルとして作製した。
(実施例2)
連鎖移動剤の添加量を調整して表1に記載した重量平均分子量のメタクリレート共重合体を使用したこと以外は、実施例1と同様にして表1に記載したガラスペースト及びビヒクルを作製した。
(実施例3〜4)
用いるモノマーの組成比を表1に記載した組成比に変えたこと以外は、実施例1と同様にして表1に記載したガラスペースト及びビヒクルを作製した。
(実施例5〜8)
用いるモノマーをイソブチルメタクリレートからシクロヘキシルメタクリレート(日本油脂社製「ブレンマーCHMA」)に変え、モノマーの組成比、重量平均分子量を表1に記載した組成比、重量平均分子量に変えたこと以外は、実施例1と同様にして表1に記載したガラスペースト及びビヒクルを作製した。
(実施例9)
用いるモノマーとしてイソブチルメタクリレートと共にシクロヘキシルメタクリレートを併用し、モノマーの組成比、重量平均分子量を表1に記載した組成比、重量平均分子量に変えたこと以外は、実施例1と同様にして表1に記載したガラスペースト及びビヒクルを作製した。
(実施例10)
用いるモノマーをイソブチルメタクリレートからシクロヘキシルメタクリレートと2−エチルヘキシルメタクリレート(日本油脂社製「ブレンマーEHMA25」)との併用に変え、モノマーの組成比、重量平均分子量を表1に記載した組成比、重量平均分子量に変えたこと以外は、実施例1と同様にして表1に記載したガラスペースト及びビヒクルを作製した。
(実施例11)
用いる連鎖移動剤をドデシルメルカプタンからメルカプトコハク酸(和光純薬社製)に変え、モノマーの組成比、重量平均分子量を表1に記載した組成比、重量平均分子量に変えたこと以外は、実施例1と同様にして表1に記載したガラスペースト及びビヒクルを作製した。
(実施例12)
用いる連鎖移動剤をドデシルメルカプタンからメルカプトコハク酸(和光純薬社製)に変え、モノマーの組成比、重量平均分子量を表1に記載した組成比、重量平均分子量に変えたこと以外は、実施例5と同様にして表1に記載したガラスペースト及びビヒクルを作製した。
(比較例1)
エチルセルロースを用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして表1に記載したガラスペースト及びビヒクルを作製した。
(比較例2)
エチルセルロースを用いなかったこと以外は、実施例5と同様にして表1に記載したガラスペースト及びビヒクルを作製した。
(比較例3)
用いるモノマーをイソブチルメタクリレートのみに変え、モノマーの組成比、重量平均分子量を表1に記載した組成比、重量平均分子量に変えたこと以外は、実施例1と同様にして表1に記載したガラスペースト及びビヒクルを作製した。
(比較例4)
用いるモノマーをシクロヘキシルメタクリレートのみに変え、モノマーの組成比、重量平均分子量を表1に記載した組成比、重量平均分子量に変えたこと以外は、実施例1と同様にして表1に記載したガラスペースト及びビヒクルを作製した。
(比較例5)
用いるモノマーをブチルメタクリレートのみに変え、モノマーの組成比、重量平均分子量を表1に記載した組成比、重量平均分子量に変えたこと以外は、実施例1と同様にして表1に記載したガラスペースト及びビヒクルを作製した。
(比較例6)
樹脂成分としてエチルセルロースのみを用いたこと以外は、実施例1と同様にして表1に記載したガラスペースト及びビヒクルを作製した。
(比較例7)
用いるモノマーをポリプロピレングリコールメタクリレートから2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(日本油脂社製「ブレンマーP」)に変え、モノマーの組成比、重量平均分子量を表1に記載した組成比、重量平均分子量に変えたこと以外は、実施例1と同様にして表1に記載したガラスペースト及びビヒクルを作製した。
(比較例8)
エチルセルロースを用いなかったこと以外は、実施例9と同様にして表1に記載したガラスペースト及びビヒクルを作製した。
(比較例9)
用いるモノマーをイソブチルメタクリレートとシクロヘキシルメタクリレートとに変え、モノマーの組成比、重量平均分子量を表1に記載した組成比、重量平均分子量に変えたこと以外は、実施例1と同様にして表1に記載したガラスペースト及びビヒクルを作製した。
(比較例10)
用いるモノマーをシクロヘキシルメタクリレートと2−エチルヘキシルメタクリレートとに変え、モノマーの組成比、重量平均分子量を表1に記載した組成比、重量平均分子量に変えたこと以外は、実施例1と同様にして表1に記載したガラスペースト及びビヒクルを作製した。
<評価>
実施例1〜12、及び、比較例1〜10で得られたガラスペースト及びビヒクルについて以下の評価を行った。結果を表1に示した。
(1)相溶性評価
得られたビヒクルについて、メタクリレート共重合体とセルロース樹脂との相溶性を、ビヒクルの白濁の有無で観察した。観察は3人で行い、3人とも白濁を確認できなかったビヒクルを相溶性○、1人又は2人が白濁していると判断したビヒクルを相溶性△、3人とも白濁していると判断したビヒクルを相溶性×とした。
(2)印刷性評価
ナイフコーターを用い、得られたガラスペーストをガラス基板(2cm×5cm)上に350μmの厚みになるように塗布し、120℃のオーブンにて30分乾燥させた。乾燥したガラスペースト層(乾燥膜)の表面を観察し、塗工方向におけるスジの有無を目視で観察した。観察は3人で行い、3人ともスジを確認できなかった乾燥膜を印刷性○、1人又は2人がスジを確認した乾燥膜を印刷性△、3人ともスジを確認した乾燥膜を印刷性×とした。なお、印刷性が×であった乾燥膜については、後の評価は行わなかった。
(3)ガラス密着性評価
印刷性評価で得られた乾燥したガラスペースト層(乾燥膜)が密着しているガラス基板を0.1mol%水酸化ナトリウム溶液に1時間浸漬した。1時間浸漬してもガラス基板から剥がれなかった乾燥膜をガラス密着性○、30分以上60分未満でガラス基板から剥がれた乾燥膜をガラス密着性△、30分未満でガラス基板から剥がれた乾燥膜をガラス密着性×とした。なお、ガラス密着性評価が×であった乾燥膜については後の評価は行わなかった。
(4)DFR密着性評価
印刷性評価で得られたガラス基板上に密着している乾燥したガラスペースト層(乾燥膜)上にサンドブラスト用ドライフィルムレジスト(東京応化工業社製「BF603」)を50℃でラミネート後、ライン/スペース=100μm/100μmの露光マスクをセットし、超高圧水銀灯を用いて300mJ/cmで露光した。0.2mol%炭酸ナトリウム水溶液で現像し、100μm幅のライン&スペースのパターンを形成した。乾燥膜上のドライフィルムレジストの剥離が見られなかった乾燥膜をDFR密着性○とし、一部でもドライフィルムレジストが剥がれた乾燥膜をDFR密着性×とした。また、現像工程でドライフィルムレジストが剥離した乾燥膜もDFR密着性×とした。
(5)サンドブラスト性(切削性)評価
DFR密着性評価において、DFR密着性が○であった乾燥膜に形成したレジストパターン面を、サンドブラスト機(不二製作所社製「ニューマブラスターSMC−1ADE−NE−401」)を用い、研磨剤(不二製作所製「S4#1000」)を噴出圧力0.15MPaで噴出させ、サンドブラスト処理を行った。
ドライフィルムレジストが剥れる前にガラス基板まで切削が終了した乾燥膜を切削性○、切削は終了したものの一部でもドライフィルムレジストが剥がれてしまった乾燥膜を切削性△、ガラス基板まで切削する前にドライフィルムレジストが剥がれた乾燥膜を切削性×とした。
(6)乾燥膜強度(リブ形状保持性)評価
切削性を評価したガラスリブのリブ形状を実体顕微鏡で観察した。
リブ頂上の端部に欠けのないもの、またリブの中央部でその幅が頂上幅(100μm)よりも細くなっていないものを○、リブ頂上の端部に欠けがあるもの又はリブ中央部の幅が頂上部よりも細くなっているものを×とした。
(7)脱脂性評価
リブ形状を評価したガラスリブにおいて、リブ形状保持性が○であったガラスリブを電気マッフル炉(ADVANTEC社製「FUW230PA」)を用いて、10℃/分の昇温速度で500℃まで昇温を行い30分保持した後、自然に冷却させることで樹脂成分の脱脂処理を行った。脱脂処理後のガラスリブについて黄変の有無、ボイド等の表面荒れの有無、炭化物残留による黒点の有無を目視で観察した。観察は3人で行い、3人とも黄変、ボイド等の表面荒れ、黒点を確認できなかったガラスリブを脱脂性○、1人又は2人がいずれかを確認したガラスリブを脱脂性△、3人ともいずれかを確認したガラスリブを脱脂性×とした。
(8)貯蔵安定性
実施例1〜12、比較例3〜7、比較例9〜10で得られたガラスペーストを25℃で1ヶ月保管し、樹脂成分とガラス粉末との分離の有無を目視で観察した。観察は3人で行い、3人とも分離が確認できなかったガラスペーストを貯蔵安定性○、1人又は2人が分離したと判断したガラスペーストを貯蔵安定性△、3人とも分離したと判断したガラスペーストを貯蔵安定性×とした。
Figure 2008285640
本発明によれば、基板に対する印刷性、基板・DFRに対する密着性、サンドブラスト性に優れ、かつ、低温で脱脂した場合でも分解残渣分がほとんど残留することなく消滅するガラスペーストを作製することができるバインダー樹脂組成物、及び、ガラスペーストを提供することができる。
本発明のバインダー樹脂組成物に用いられる(メタ)アクリレート共重合体におけるセグメント間の結合の態様を示す模式図である。

Claims (5)

  1. (メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来するセグメントと、ポリアルキレンオキシドセグメントとを有する(メタ)アクリレート共重合体、及び、セルロース樹脂を含有することを特徴とするバインダー樹脂組成物。
  2. イソブチルメタクリレート単量体及び/又はシクロヘキシルメタクリレート単量体に由来するセグメントと、ポリアルキレンオキシドセグメントとを有するメタクリレート共重合体、及び、セルロース樹脂を含有することを特徴とするバインダー樹脂組成物。
  3. ポリアルキレンオキシドセグメントは、下記化学式(1)で示される繰り返しユニットからなることを特徴とする請求項1又は2記載のバインダー樹脂組成物。
    Figure 2008285640
    Rは炭素数3以上で構成されるアルキレン基であり、nは自然数である。
  4. (メタ)アクリレート共重合体とセルロース樹脂との重量比が、((メタ)アクリレート共重合体):(セルロース樹脂)=20:80〜70:30であることを特徴とする請求項1、2又は3記載のバインダー樹脂組成物。
  5. 請求項1、2、3又は4記載のバインダー樹脂組成物と、ガラス粉末とを含有することを特徴とするガラスペースト。
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