JP2008284729A - 繊維含有樹脂造粒物及びその製造方法 - Google Patents

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Shoji Konishi
昭二 小西
Toru Yaide
亨 矢出
Natsuo Ikeda
夏雄 池田
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Abstract

【課題】繊維の折れや切断を回避できて十分な機械的強度を確保できると共に、繊維長の短い繊維でも繊維長の長い繊維でも適用することができ、設備コストも抑制でき、樹脂の熱による劣化も防止できる、繊維含有樹脂造粒物の製造方法を提供する。
【解決手段】この発明の繊維含有樹脂造粒物の製造方法は、2枚の樹脂フィルム1A、1Bをその間に繊維2を挟み込んだ状態で熱プレスすることによって繊維複合化フィルム9を得る工程と、前記繊維複合化フィルム9をカットすることにより造粒物7を得る造粒工程と、を包含することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

この発明は、例えば、繊維強化樹脂成形体用のマスターバッチとして好適に用いられる繊維含有樹脂造粒物及びその製造方法に関する。
なお、この明細書及び特許請求の範囲において、「フィルム」の語は、シートをも含む意味で用いている。
従来より、熱可塑性樹脂の機械的強度を向上させるために該樹脂にガラス繊維、カーボン繊維等の繊維を含有せしめることが多く行われている。このような繊維含有熱可塑性樹脂組成物は、繊維と熱可塑性樹脂を押出機に投入して押出スクリューで加熱混練したのち押出しを行ってペレット化することによって製造されていた。
しかるに、上記のように押出スクリューで加熱混練した場合にはスクリューの回転によって発生する強い剪断力によって繊維の折れ、切断が顕著に生じるために、成形品の機械的強度を十分に向上させることができないという問題があった。
このような問題を解決するものとして、溶融樹脂を充満させた含浸ダイに連続した繊維束を引き込み、含浸ダイの先端のノズルを通過せしめることによって、繊維強化樹脂成形体用材料を製造する方法が提案されている(特許文献1、2参照)。このような方法(プルトルージョン法とも呼称される)によれば、押出スクリューによる強い剪断力が繊維に負荷されるような工程がないので、繊維の折れ、切断は防止される。
特開平8−80576号公報 特開平10−52820号公報
しかしながら、上記従来のプルトルージョン法による製造では、繊維を含浸ダイ中に引き込む工程を有し、連続生産のスパンは繊維長に依存するから、例えば比較的短い繊維長の繊維を用いる場合には適用が困難であったし、また中程度の繊維長の繊維を用いる場合には製造は可能であっても生産性が悪いという問題があった。即ち、繊維長の長い繊維を用いる場合にしか適用できないという制約があった。
また、プルトルージョン法では、複雑な形状の含浸ダイを製作する必要があり、このために設備コストが高くなるという問題もあった。
更に、プルトルージョン法では、樹脂を含浸ダイの中に長時間加熱状態で滞留させることになるから、樹脂の熱による劣化を生じやすいという問題もあった。
この発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、繊維の折れや切断を回避できて十分な機械的強度を確保できると共に、繊維長の短い繊維でも繊維長の長い繊維でも適用することができ、設備コストも抑制でき、樹脂の熱による劣化も防止できる、繊維含有樹脂造粒物の製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
[1]少なくとも片面に繊維を付着せしめた樹脂フィルムを熱プレスすることによって繊維複合化フィルムを得る工程と、
前記繊維複合化フィルムをカットすることにより造粒物を得る造粒工程と、を包含することを特徴とする繊維含有樹脂造粒物の製造方法。
[2]2枚の樹脂フィルムをその間に繊維を挟み込んだ状態で熱プレスすることによって繊維複合化フィルムを得る工程と、
前記繊維複合化フィルムをカットすることにより造粒物を得る造粒工程と、を包含することを特徴とする繊維含有樹脂造粒物の製造方法。
[3]前記造粒工程において、繊維複合化フィルムをカットして長径が2〜30mmの薄板片状の造粒物を得る前項1または2に記載の繊維含有樹脂造粒物の製造方法。
[4]前記繊維複合化フィルムにおける樹脂フィルム/繊維の質量比が5/95〜95/5の範囲である前項1〜3のいずれか1項に記載の繊維含有樹脂造粒物の製造方法。
[5]前記繊維としてガラス繊維を用いる前項1〜4のいずれか1項に記載の繊維含有樹脂造粒物の製造方法。
[6]前項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法により製造された繊維含有樹脂造粒物。
[7]繊維強化樹脂成形体用のマスターバッチとして用いられるものである前項6に記載の繊維含有樹脂造粒物。
[1]の発明では、押出スクリューによる強い剪断力が繊維に負荷されるような工程がないので、繊維の折損や切断は防止される。従って、この製造方法で得られた造粒物を用いて成形された繊維強化樹脂成形体は、十分な機械的強度が得られる。また、繊維を含浸ダイ中に引き込むような工程はなく、樹脂フィルムの少なくとも片面に繊維を付着せしめることで対応できるので、繊維長の短い繊維でも繊維長の長い繊維でも適用することができる。また、複雑な形状の含浸ダイを製作する必要もないので、設備コストも比較的安くて済む。また、繊維を付着せしめた樹脂フィルムを熱プレスするだけで良く、従来技術のように樹脂を含浸ダイの中に長時間加熱状態で滞留させるようなことがないので、樹脂の熱劣化も防止できる。また、熱プレスにより繊維と樹脂フィルムの複合化を行うので、繊維を高濃度に含有させることも可能となる。また、熱プレスにより得られた繊維複合化フィルムをカットすることにより造粒物を得るから、この造粒物の外表面は樹脂で被覆されており、これによりハンドリング性が良いものとなるし、造粒物からの繊維の脱落も十分に防止されて作業環境を十分に向上させることができる。
[2]の発明では、押出スクリューによる強い剪断力が繊維に負荷されるような工程がないので、繊維の折損や切断は防止される。従って、この製造方法で得られた造粒物を用いて成形された繊維強化樹脂成形体は、十分な機械的強度が得られる。また、繊維を含浸ダイ中に引き込むような工程はなく、2枚の樹脂フィルムをその間に繊維を挟み込んだ状態で熱プレスすることで対応できるので、繊維長の短い繊維でも繊維長の長い繊維でも適用することができる。また、複雑な形状の含浸ダイを製作する必要もないので、設備コストも比較的安くて済む。また、2枚の樹脂フィルムをその間に繊維を挟み込んだ状態で熱プレスするだけで良く、従来技術のように樹脂を含浸ダイの中に長時間加熱状態で滞留させるようなことがないので、樹脂の熱劣化も回避できる。また、熱プレスにより繊維と樹脂フィルムの複合化を行うので、繊維を高濃度に含有させることも可能となる。また、熱プレスにより得られた繊維複合化フィルムをカットすることにより造粒物を得るから、この造粒物の外表面は樹脂で被覆されており、これによりハンドリング性が良いものとなるし、造粒物からの繊維の脱落も十分に防止されて作業環境を十分に向上させることができる。
[3]の発明では、カットして長径が2〜30mmの薄板片状の造粒物を得るので、ハンドリング性により優れた造粒物を製造できる。
[4]の発明では、繊維複合化フィルムにおける樹脂フィルム/繊維の質量比が5/95〜95/5の範囲であるから、繊維と樹脂フィルムの樹脂とをより均一な状態に複合化することができる。
[5]の発明は、繊維としてガラス繊維を用いるものである。繊維と熱可塑性樹脂を押出機に投入して押出スクリューで加熱混練する従来法では繊維としてガラス繊維を用いた場合に特に折れや切断が顕著に生じていたのであるが、本発明では、このようなガラス繊維を用いた場合においても繊維の折損や切断は十分に防止されるものであるので、このようなガラス繊維の折れ、切断が生じないことによる機械的強度の向上効果は従来法と比較して非常に顕著である。
[6]の発明では、機械的強度に優れた繊維強化樹脂成形体の成形が可能となる繊維含有樹脂造粒物が提供される。
[7]の発明では、機械的強度に優れた繊維強化樹脂成形体の成形が可能となる繊維含有樹脂造粒物マスターバッチが提供される。即ち、この造粒物マスターバッチに更に樹脂を混合せしめたものを用いて機械的強度に優れた繊維強化樹脂成形体を製造することができる。
この発明に係る繊維含有樹脂造粒物の製造方法は、少なくとも片面に繊維を付着せしめた樹脂フィルムを熱プレスすることによって繊維複合化フィルムを得る工程と、前記繊維複合化フィルムをカットすることにより造粒物を得る造粒工程と、を包含することを特徴とする。
上記製造方法によれば、強い剪断力が繊維に負荷されるような工程がないので、繊維の折損や切断が防止される。また、繊維を含浸ダイ中に引き込むような工程はなく、樹脂フィルムの少なくとも片面に繊維を付着せしめることで対応できるので、繊維長の短い繊維でも繊維長の長い繊維でも適用することができる。また、従来技術のような複雑な形状の含浸ダイを製作する必要もないので、設備コストも比較的安くて済む。また、繊維を付着せしめた樹脂フィルムを熱プレスするだけで良く、従来技術のように樹脂を含浸ダイの中に長時間加熱状態で滞留させるようなことがないので、樹脂の熱劣化も回避できる。また、熱プレスにより繊維と樹脂フィルムの複合化を行うので、繊維を高濃度に含有させることも可能となる。また、熱プレスにより得られた繊維複合化フィルムをカットすることにより造粒物を得るから、この造粒物の外表面は樹脂で被覆されており、これによりハンドリング性が良い上に、造粒物からの繊維の脱落も十分に防止される。
なお、造粒物を得るためのカット操作の際に、繊維複合化フィルム中の繊維のごく一部がカット部位で切断され得るが、従来技術の押出スクリューの強い剪断力による繊維切断の数と比べると格段に少ないものである。即ち、従来技術では、押出スクリューの強い剪断力によって殆どの繊維が切断されていた。
この発明の製造方法を以下の第1〜3実施形態に基づいて詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1に示すように、ロール状に巻き取られた樹脂フィルム(1A)を水平状に引き出すと共に、該水平状に移送される樹脂フィルム(1A)の上面に、ベルトコンベア(3)から繊維(2)を散布する。こうして上面に繊維(2)が散布された樹脂フィルム(1A)の該上面に、同じくロール状態から引き出された樹脂フィルム(1B)を重ね合わせた後、これらを予熱ヒータ(4)で予備加熱する。しかる後、間に繊維(2)が挟み込まれた状態で互いに重ね合わされた2枚の樹脂フィルム(1A)(1B)を熱プレス機(5)で熱プレスすることによって、繊維複合化フィルム(9)を得る。次に、得られた繊維複合化フィルム(9)をカッター(切断機)(6)で縦横方向に切断することによって、繊維含有樹脂からなる薄板片状の造粒物(7)を得る。なお、図1において、(8)は搬送のためのベルトコンベアである。この第1実施形態の製造方法では、2枚の樹脂フィルム(1A)(1B)を連続状に供給しながら造粒物(7)を製造できるので、生産性に優れている。
[第2実施形態]
図2に示すように、第1押出機(14A)から樹脂フィルム(11A)を押し出して一対の熱ロール(15)(15)間に供給する一方、第2押出機(14B)から樹脂フィルム(11B)を押し出して一対の熱ロール(15)(15)間に供給すると共に、これら樹脂フィルム(11A)(11B)の間に繊維(12)を落下させて散布する。この繊維(12)の散布は、最上位置にあるベルトコンベア(13)から繊維(12)を上下方向に延びるガイド管(20)内に落下させることによって行われる。しかる後、前記2枚の樹脂フィルム(11A)(11B)を繊維(12)を挟み込んだ状態で一対の熱ロール(15)(15)で熱プレスすることによって、繊維複合化フィルム(19)を得る。次に、得られた繊維複合化フィルム(19)をカッター(切断機)(16)で縦横方向に切断することによって、繊維含有樹脂からなる薄板片状の造粒物(17)を得る。なお、図2において、(18)は搬送のためのベルトコンベアである。この第2実施形態の製造方法は、2枚の樹脂フィルム(11A)(11B)を連続状に供給しながら造粒物(17)を製造できるので、生産性に優れている。
[第3実施形態]
図3に示すように、第1押出機(24A)から樹脂フィルム(21A)を押し出して一対の熱ロール(25)(25)間に供給する一方、第2押出機(24B)から樹脂フィルム(21B)を押し出して一対の熱ロール(25)(25)間に供給すると共に、これら樹脂フィルム(21A)(21B)の間に、各繊維ロービング(23)から引き出された複数本の連続状の繊維(22)を供給する。しかる後、前記2枚の樹脂フィルム(21A)(21B)を連続繊維(22)を挟み込んだ状態で一対の熱ロール(25)(25)で熱プレスすることによって、繊維複合化フィルム(29)を得る。次に、得られた繊維複合化フィルム(29)をカッター(切断機)(26)で縦横方向に切断することによって、繊維含有樹脂からなる薄板片状の造粒物(27)を得る。なお、図3において、(28)は搬送のためのベルトコンベアである。この第3実施形態の製造方法は、2枚の樹脂フィルム(21A)(21B)及び繊維(22)を連続状に供給しながら造粒物(27)を製造できるので、生産性に優れている。
この発明において、製造原料として用いる繊維(2)(12)(22)としては、特に限定されるものではないが、例えばガラス繊維、カーボン繊維、合成樹脂繊維、無機化合物繊維などが挙げられる。
前記ガラス繊維としては、特に限定されるものではないが、例えばガラス長繊維、ガラス繊維のチョップドストランド等が挙げられる。このガラス繊維には、通常、ハンドリングの改善や樹脂フィルムの樹脂との接着性向上を目的として表面処理が施される。このような表面処理のための処理剤としては、不飽和カルボン酸と不飽和単量体との共重合体、シランカップリング剤等が挙げられる。前記共重合体を構成する不飽和カルボン酸としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸等が挙げられ、前記共重合体を構成する不飽和単量体としては、例えばエチレン、プロピレン、スチレン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等が挙げられる。前記シランカップリング剤としては、例えばビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
また、前記合成樹脂繊維としては、特に限定されるものではないが、例えばアラミド繊維、ポリアリレート繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、ポリイミド繊維等が挙げられる。
また、前記無機化合物繊維としては、特に限定されるものではないが、例えばウォラスナイト繊維、チタン酸カリウム繊維、MOS(塩基性硫酸マグネシウム)繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、炭酸カルシウム繊維、カーボン繊維、バサルト繊維等が挙げられる。
前記繊維(2)(12)(22)の繊維長は、特に限定されず、どのような長さのものでも使用できる。
また、樹脂フィルム(1A)(1B)(11A)(11B)(21A)(21B)に用いられる樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアミド、ポリスチレン、AS樹脂(アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂)、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂)、変性PPE(変性ポリフェニレンエーテル)、ポリカーボネート、POM(ポリアセタール)等の熱可塑性樹脂などが挙げられる。
前記樹脂フィルムには、着色剤、改良材、繊維以外の他の充填材等の添加剤を含有せしめても良い。
この発明の製造方法において、前記樹脂フィルム(1A)(1B)(11A)(11B)(21A)(21B)の厚さは20〜300μmの範囲に設定されるのが好ましい。
また、熱プレスを行う手段としては、特に限定されるものではないが、例えば熱プレス機、熱ロール等が挙げられる。この熱プレス時の加熱温度は、樹脂フィルムを構成する樹脂の種類によって異なるが、通常は、100〜300℃の範囲に設定されるのが好ましい。
また、繊維複合化フィルムにおける樹脂フィルム/繊維の質量比は5/95〜95/5の範囲になるように設定するのが好ましい。樹脂フィルムの含有比率が上記下限値より大きくなることで繊維と樹脂フィルムの樹脂とを均一な状態に複合化できると共に樹脂フィルムの含有比率が上記上限値より小さくなることでマスターバッチとして汎用的に使用することが可能となる。中でも、繊維複合化フィルムにおける樹脂フィルム/繊維の質量比は10/90〜50/50の範囲になるように設定するのが特に好ましい。
前記繊維複合化フィルム(9)(19)(29)における繊維(2)(12)(22)の配向状態は、特に限定されず、どのような配向状態であっても良い。即ち、図5(a)に示すような無秩序な配向状態であっても良いし、或いは図5(b)に示すような一方向に揃った配向状態であっても良い。後者の一方向に揃った配向状態である場合には図5(b)に示すような繊維の長さ方向に長い矩形状にカットして造粒物を得るのが好ましく、この場合には切断される繊維の割合をさらに低減させることができる。
また、繊維複合化フィルム(9)(19)(29)のカット(切断)を行う手段(6)(16)(26)としては、特に限定されないが、縦横方向の切断を行い得るカッター(切断機)を用いるのが好ましい。
また、繊維複合化フィルム(9)(19)(29)のカットにより長径(L)が2〜30mmの薄板片状の造粒物(7)(17)(27)を得るのが好ましい(図4(b)参照)。長径(L)が2mm以上であることで造粒物のハンドリング性を向上できると共に長径(L)が30mm以下であることで成形機への供給安定性を確保できる。中でも、前記薄板片状の造粒物(7)(17)(27)の長径(L)は3〜15mmの範囲であるのが特に好ましい。また、薄板片状の造粒物(7)(17)(27)の厚さ(T)は、通常、0.05〜3mmの範囲である(図4(a)参照)。
なお、上記実施形態では、カットにより平面視略矩形状の造粒物(7)(17)(27)を得るようにしたが、造粒物の形状は、特にこのような形状に限定されるものではない。
しかして、上記製造方法で得られた繊維含有樹脂造粒物(7)(17)(27)を用いて繊維強化樹脂成形体を成形する際には、この繊維含有樹脂造粒物をそのまま成形材料として用いて繊維強化樹脂成形体を成形しても良いし、或いはこの繊維含有樹脂造粒物マスターバッチにさらに熱可塑性樹脂を混合したものを成形材料として用いて繊維強化樹脂成形体を成形しても良い。
この発明に係る繊維含有樹脂造粒物の製造方法は、上記実施形態のものに特に限定されるものではなく、請求の範囲内であれば、その精神を逸脱するものでない限りいかなる設計的変更をも許容するものである。
次に、この発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれら実施例のものに特に限定されるものではない。
<実施例1>
図1に示すように、ロール状に巻き取られた厚さ100μmのLDPEフィルム(低密度ポリエチレン)(1A)を水平状に引き出すと共に、該水平状に移送されるフィルム(1A)の上面に、ベルトコンベア(3)からガラス繊維のチョップドストランド(ストランド長3mm)(2)を散布する。こうして上面にガラス繊維(2)が散布されたLDPEフィルム(1A)の該上面に、同じくロール状態から引き出された厚さ100μmのLDPEフィルム(1B)を重ね合わせた後、これらを予熱ヒータ(4)で予備加熱する。しかる後、間にガラス繊維(2)が挟み込まれた状態で互いに重ね合わされた2枚のフィルム(1A)(1B)を熱プレス機(5)で200℃で熱プレスすることによって、繊維複合化フィルム(9)を得た。次に、得られた繊維複合化フィルム(9)をカッター(6)で縦横方向に切断することによって、繊維含有樹脂からなる薄板片状の造粒物(7)を得た。即ち、図4(a)に示すような一辺の長さが15mmの正方形状の薄板片(E=15mm、F=15mm、厚さT=1mm、長径L=21mm)からなる造粒物(7)を得た。
<実施例2〜11>
表1、2に示すような条件(組成、フィルム厚さ、熱プレス温度)に設定した以外は、実施例1と同様にして、繊維含有樹脂からなる薄板片状の造粒物を得た。
Figure 2008284729
Figure 2008284729
上記のようにして得られた造粒物の造粒性を下記評価法に基づいて評価した。また、造粒物の灰分(ガラス質成分)を下記測定法により求めた。
<造粒性評価法>
「○」…造粒物の表面に繊維が毛羽立つこともなく、繊維の脱落も生じないもの
「×」…造粒物の表面に繊維が毛羽立ちハンドリング性が悪く、また繊維の脱落も生じやすいもの。
<造粒物の灰分測定法>
造粒物をるつぼに入れ、これを電気炉で600℃で3時間加熱燃焼した後、秤量し、次式により灰分を求めた。
灰分(%)=(燃焼後の残存物の質量/燃焼前の造粒物の質量)×100
表1、2から明らかなように、実施例1〜11のいずれにおいても造粒性は良好であった。また、実施例1〜5、8、9の造粒物は、灰分(ガラス質成分)比率が非常に高く、繊維を高含有率で含有した繊維含有樹脂造粒物の製造が可能になることがわかった。
<実施例12>
実施例3で得られた造粒物(マスターバッチ)16.5質量部に対し無水マレイン酸変性ポリプロピレン83.5質量部を混合した混合物(ガラス繊維含有率15質量%)を用いて射出成形を行うことによって、繊維強化樹脂成形体を得た。
<比較例1>
無水マレイン酸変性エチレンプロピレン共重合体85質量部及びガラス繊維のチョップドストランド(ストランド長3mm)15質量部の混合物を単軸押出機で混練したものを押出してペレット化したものを射出成形することによって、板状の繊維強化樹脂成形体を得た。
Figure 2008284729
<実施例13>
実施例5で得られた造粒物(マスターバッチ)18.2質量部に対しポリエチレンテレフタレート(PET)81.8質量部を混合した混合物(ガラス繊維含有率15質量%)を用いて射出成形を行うことによって、板状の繊維強化樹脂成形体を得た。
<比較例2>
ポリエチレンテレフタレート(PET)85質量部及びガラス繊維のチョップドストランド(ストランド長3mm)15質量部の混合物を単軸押出機で混練したものを押出してペレット化したものを射出成形することによって、板状の繊維強化樹脂成形体を得た。
Figure 2008284729
<実施例14>
実施例10で得られた造粒物(マスターバッチ)18.8質量部に対しポリエチレンテレフタレート(PET)81.2質量部を混合した混合物(アラミド繊維含有率15質量%)を用いて射出成形を行うことによって、板状の繊維強化樹脂成形体を得た。
<比較例3>
ポリエチレンテレフタレート(PET)85質量部及びアラミド繊維(繊維長6mm)15質量部の混合物を単軸押出機で混練したものを押出してペレット化したものを射出成形することによって、板状の繊維強化樹脂成形体を得た。
Figure 2008284729
<実施例15>
実施例11で得られた造粒物(マスターバッチ)18.8質量部に対しポリエチレンテレフタレート(PET)81.2質量部を混合した混合物(カーボン繊維含有率15質量%)を用いて射出成形を行うことによって、板状の繊維強化樹脂成形体を得た。
<比較例4>
ポリエチレンテレフタレート(PET)85質量部及びカーボン繊維(繊維長6mm)15質量部の混合物を単軸押出機で混練したものを押出してペレット化したものを射出成形することによって、板状の繊維強化樹脂成形体を得た。
Figure 2008284729
上記のようにして得られた各繊維強化樹脂成形体の特性を下記測定法に基づいて測定した。
<シャルピー衝撃強度測定法>
JIS K7111−1996に準拠してシャルピー衝撃強度(kJ/m2)を測定した。
<曲げ強度測定法>
JIS K7171−1994に準拠して曲げ強度(MPa)を測定した。
<曲げ弾性率測定法>
JIS K7171−1994に準拠して曲げ弾性率(MPa)を測定した。
表3〜6から明らかなように、この発明の製造方法で得られた造粒物を用いて成形された繊維強化樹脂成形体は、従来の方法(繊維と樹脂を押出機で混練したものを造粒する方法)で得られた繊維強化樹脂成形体と比較して、優れた機械的強度を備えていた。
この発明の製造方法で得られた繊維含有樹脂造粒物は、例えば、繊維強化樹脂射出成形体等の繊維強化樹脂成形体用の成形材料として用いられ、中でも特に繊維強化樹脂成形体(繊維強化樹脂射出成形体等)用のマスターバッチとして好適に用いられるが、特にこのような用途に限定されるものではない。
この発明に係る製造方法の第1実施形態を示す概略側面図である。 この発明に係る製造方法の第2実施形態を示す概略側面図である。 この発明に係る製造方法の第3実施形態を示す概略側面図である。 この発明の製造方法で得られた繊維含有樹脂造粒物の一例を示す図であって、(a)は斜視図、(b)は平面図である。 繊維含有樹脂造粒物における繊維の配向状態の例を示す平面図であって、(a)は第1及び第2実施形態で得られた造粒物の繊維の配向状態を示す平面図、(b)は第3実施形態で得られた造粒物の繊維の配向状態を示す平面図である。
符号の説明
1A、1B…樹脂フィルム
2…繊維
5…熱プレス機
6…カッター
7…造粒物
9…繊維複合化フィルム
11A、11B…樹脂フィルム
12…繊維
15…熱ロール
16…カッター
17…造粒物
19…繊維複合化フィルム
21A、21B…樹脂フィルム
22…繊維
25…熱ロール
26…カッター
27…造粒物
29…繊維複合化フィルム

Claims (7)

  1. 少なくとも片面に繊維を付着せしめた樹脂フィルムを熱プレスすることによって繊維複合化フィルムを得る工程と、
    前記繊維複合化フィルムをカットすることにより造粒物を得る造粒工程と、を包含することを特徴とする繊維含有樹脂造粒物の製造方法。
  2. 2枚の樹脂フィルムをその間に繊維を挟み込んだ状態で熱プレスすることによって繊維複合化フィルムを得る工程と、
    前記繊維複合化フィルムをカットすることにより造粒物を得る造粒工程と、を包含することを特徴とする繊維含有樹脂造粒物の製造方法。
  3. 前記造粒工程において、繊維複合化フィルムをカットして長径が2〜30mmの薄板片状の造粒物を得る請求項1または2に記載の繊維含有樹脂造粒物の製造方法。
  4. 前記繊維複合化フィルムにおける樹脂フィルム/繊維の質量比が5/95〜95/5の範囲である請求項1〜3のいずれか1項に記載の繊維含有樹脂造粒物の製造方法。
  5. 前記繊維としてガラス繊維を用いる請求項1〜4のいずれか1項に記載の繊維含有樹脂造粒物の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法により製造された繊維含有樹脂造粒物。
  7. 繊維強化樹脂成形体用のマスターバッチとして用いられるものである請求項6に記載の繊維含有樹脂造粒物。
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