しかしながら、上記の半導体装置のリペア手段はいくつかの問題を有する。
第1の問題点は、リペア対象の半導体装置が搭載された部分をプリント配線基板の上下からヒーターや熱風等で局部的に温めて半田を溶融する際に、熱がプリント配線基板に大きなダメージを与えてしまうことである。こうした大きなダメージにより、プリント配線基板が、加熱のストレスによって層間剥離やパターン断線等を引き起こすことがあるため、多数回のリペアに耐えられないという課題がある。また、ヒーターや熱風での加熱においては、加熱範囲が広くなる傾向が強くなり、半導体装置に隣接して搭載される電気部品へのダメージも発生する場合があり、こうした隣接して搭載される電気部品の交換も必要になるという課題がある。
上記課題についてより具体的に説明する。図8は、ヒーターを用いてプリント配線基板を加熱することにより半導体装置をリペアする手段を示す模式的な断面図である。同図に示すように、電気部品搭載プリント配線基板69は、プリント配線基板60上にBGA(ボールグリッドアレイ。本明細書においては、単に「BGA」と記載する場合がある。)の形態をした半導体装置63が搭載されている。より詳しくは、半導体装置63の半田ボール62がプリント配線基板60上の半田ボール用パッド61と電気的に接続した構造である。また、電気部品搭載プリント配線基板69においては、半導体装置63の周辺には隣接してチップ部品66が搭載されている。チップ部品66は、チップ部品搭載用パッド68上に半田フィレット65を形成して接続される。
ここで、電気部品搭載プリント配線基板69において半導体装置63をリペア(交換)する場合、プリント配線基板60の裏面からヒーター64で半導体装置63の搭載部周りを加熱する。そして、熱67によって接続部分の半田ボール62を溶融し、半導体装置63を取り外し、新しい半導体装置にリペアする。しかし、こうしたプリント配線基板60の裏面からの加熱は、プリント配線基板60に与えるストレスが大きいため、プリント配線基板60の層間剥離やパターン断線といった障害を引き起こしやすくなる。また、同図に示すように、ヒーター64の加熱範囲が半導体装置63の搭載部周りよりも大きくなりやすいため、リペア対象でないチップ部品66のような隣接搭載部品へもダメージを与える場合があり、隣接搭載部品も同時に交換しなければならない場合もある。
第2の問題点は、複数の小孔を備える耐熱性絶縁シート部材を半導体装置とプリント配線基板間に介在させておき、この耐熱性絶縁シート部材に組み込まれた加熱線や外部からの加熱によって半導体装置のバンフ等を溶融して半導体装置をプリント配線基板から分離するリペア手段を用いる場合や、櫛歯状ヒーターを半導体装置のボール部に挿入して接合部の半田を溶かして、プリント配線基板から半導体装置を分離するリペア手段を用いる場合に、プリント配線基板上に予備半田を供給しづらいという点にある。すなわち、上記リペア手段を用いる場合、半導体装置を除去した個所に、新しい半導体装置を再度搭載する場合、プリント配線基板上に予備半田を供給する必要がある。この予備半田は、通常反りを有する半導体装置を良好にプリント配線基板上に搭載する上で、重要な役割をはたす。しかし、他の電気部品が隣接して搭載されている状態では、作業エリアが狭く所定の予備半田をプリント配線基板上に供給することが困難になるという課題がある。
上記課題についてより具体的に説明する。図9は、複数の小孔を備える耐熱性絶縁シート部材を半導体装置とプリント配線基板間に介在させた場合において、半導体装置をリペアする手段を示す模式的な断面図である。同図に示すように、電気部品搭載プリント配線基板79は、プリント配線基板70上にBGAの形態をした半導体装置71が耐熱性絶縁シート73を介在して搭載されている。より詳しくは、半導体装置71のバンプ72によりプリント配線基板70と電気的に接続する構造である。また、電気部品搭載プリント配線基板79においては、半導体装置71の周辺には隣接してチップ部品76が搭載されている。チップ部品76は、チップ部品搭載用パッド77上に半田フィレット75を形成して接続される。
ここで、電気部品搭載プリント配線基板79において半導体装置71をリペア(交換)する場合、複数の小孔74を備える耐熱性絶縁シート73を半導体装置71とプリント配線基板70間に介在させておき、この耐熱性絶縁シート73に対して外部からの加熱を行い、バンプ72を溶融して半導体装置71をプリント配線基板70から取り外す。そして、半導体装置71を搭載する場合も前記と同様な方法で、新しい半導体装置(図9には図示しない。)をプリント配線基板70に再度接続する。しかし、こうした半導体装置71のリペア手段は、新しい半導体装置を再度接続する際に、必要な予備半田を供給することが非常に困難となる。なぜなら、チップ部品76等の他の電気部品が隣接して搭載されている状態では作業エリアが狭いため、所定量の予備半田をプリント配線基板70上に供給することが困難となるからである。図9に示す半導体装置71は反りを有さないものであるが、半導体装置は通常反りを有するので、こうした反りを有する半導体装置を良好にプリント配線基板上に接続する上で予備半田量はシビアに制御する必要があるが、図7に示すリペア手段では、この予備半田の精密な供給ができない。
第3の問題点は、リペア方法として半導体装置用ソケットコネクタを用いる場合に、ソケットコネクタの面積を確保する必要がある分、プリント配線基板上で半導体装置の搭載に要する面積が大幅に拡大してしまうという点にある。こうしたソケットコネクタの採用は、他に実装される電気部品の搭載エリアの自由度を奪ってしまうばかりか、プリント配線基板のサイズを拡大しなければならず、小型化が行いにくいという課題がある。また、ソケットコネクタの使用により、半導体装置とプリント配線基板との接続がコンタクトを介しての接続になるため、コンタクト部分での特性インピーダンスの不整合を招きやすく電気的特性が悪化しやすくなる課題もある。さらに、半導体装置のパッケージ形態がBGAの場合には、半田ボールが強度的に非常に脆いことから、接続信頼性を有するソケットコンタクトの実現が困難になるという課題もある。
上記課題についてより具体的に説明する。図10は、ソケットコネクタをプリント配線基板上に備える場合において、半導体装置をリペアする手段を示す模式的な断面図である。同図に示すように、電気部品搭載プリント配線基板90は、プリント配線基板80上にPGA(ピングリッドアレイ)の形態をした半導体装置86の入出力ピン85が、ソケットコネクタ83を介して搭載される構造である。半導体装置86の周辺には隣接してチップ部品88が搭載されている。チップ部品88は、チップ部品搭載用パッド89上に半田フィレット87を形成して接続される。ソケットコネクタ83のプリント配線基板80への搭載形態は、半田ボール用パット81に半田ボール82を介して接続されたBGAである。
ここで、半導体装置86は、ソケットコネクタ83を介して自由にリペアが可能な構造である。しかし、ソケットコネクタ83は、半導体装置86よりも幅広なので、プリント配線基板80上において半導体装置86の搭載に要する面積を大幅に拡大することとなる。これにより、チップ部品88をはじめとして他に搭載される電気部品の搭載エリアを奪ってしまうばかりか、プリント配線基板80のサイズを拡大しなければならず、小型化が行いにくい。また、ソケットコネクタ83の使用により、半導体装置86とプリント配線基板80との接続がソケットコンタクト84を介しての接続になる。このため、接続電気長が長くなり遅延特性を悪化させるばかりでなく、ソケットコンタクト84部分で特性インピーダンスの不整合を招き、高周波伝送特性を悪化させる課題がある。さらに半導体装置86の形態がBGAの場合、半田ボールが強度的に非常に脆いことから、接続信頼性を有するソケットコンタクトの実現が困難になる。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、支持体を介して半導体装置等の電気部品をプリント配線基板上に搭載する電気部品搭載プリント配線基板において、電気部品に反りがあってもプリント配線基板との良好な電気的接続を実現しやすく、プリント配線基板や隣接搭載部品にダメージを与えずに電気部品の多数回のリペアを可能とし、予備半田の供給が容易で、プリント配線基板の小型化が行いやすく、電気的特性も良好にする支持体、この支持体を用いた電気部品搭載プリント配線基板、この電気部品搭載プリント配線基板の製造方法、及びこの電気部品搭載プリント配線基板の修理方法を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明の支持体は、プリント配線基板と電気部品との間に配置される支持体であって、内部に半田ペーストが充填された貫通孔が複数設けられたシート部材と、該シート部材内部で前記貫通孔の周囲を囲むように配線されたヒーター回路と、該ヒーター回路に電圧を印加するための電圧印加部と、を有し、前記シート部材における前記貫通孔の位置に応じ、前記半田ペーストの充填量が制御されていることを特徴とする。
本発明の支持体の好ましい態様においては、前記シート部材が、少なくとも1以上の前記貫通孔を通過するように前記シート部材を横断して設けられた切取線と、該切取線に連続して前記シート部材の端部に設けられた切り込み部と、をさらに有する。
本発明の支持体の好ましい態様においては、前記シート部材が、前記プリント配線基板上での位置合わせのための位置合わせ穴をさらに有する。
本発明の支持体の好ましい態様においては、前記ヒーター回路が、前記シート部材内部の配線位置に応じ、異なる太さを有する電熱線で形成される。
本発明の支持体の好ましい態様においては、前記ヒーター回路が、前記シート部材を平行に横断する複数の電熱線で形成される。
本発明の支持体の好ましい態様においては、前記半田ペーストの充填量が、前記電気部品の形状に合わせて制御されている。
上記課題を解決するための本発明の電気部品搭載プリント配線基板は、前記支持体を、プリント配線基板と電気部品との間に有することを特徴とする。
本発明の電気部品搭載プリント配線基板の好ましい態様においては、前記電気部品が半導体装置である。
上記課題を解決するための本発明の電気部品搭載プリント配線基板の製造方法は、プリント配線基板、支持体、及び電気部品をこの順に積層した電気部品搭載プリント配線基板の製造方法であって、内部に半田ペーストが充填された貫通孔が複数設けられたシート部材と、該シート部材内部で前記貫通孔の周囲を囲むように配線されたヒーター回路と、該ヒーター回路に電圧を印加するための電圧印加部と、を有し、前記シート部材における前記貫通孔の位置に応じ、前記半田ペーストの充填量が制御されている支持体を準備する準備工程と、前記プリント配線基板上において電気部品が配置される位置に前記支持体を設置する設置工程と、前記支持体上に電気部品を配置する配置工程と、前記電圧印加部を作動させて前記ヒーター回路に電圧を印加して発熱させ、前記貫通孔内に設けられた半田ペーストを溶融させて、前記電気部品と前記プリント配線基板との電気的な接続を確保する接続工程と、を備えることを特徴とする。
本発明の電気部品搭載プリント配線基板の製造方法の好ましい態様においては、前記シート部材が、少なくとも1以上の前記貫通孔を通過するように前記シート部材を横断して設けられた切取線と、該切取線に連続して前記シート部材端部に設けられた切り込み部と、をさらに有し、前記接続工程の後に、前記電圧印加部を前記ヒーター回路から切断し、次いで前記切り込み部から前記切取線に沿って前記シート部材を切断して、該シート部材を前記プリント配線基板と前記電気部品との間から除去する除去工程をさらに備える。
本発明の電気部品搭載プリント配線基板の製造方法の好ましい態様においては、前記シート部材が前記プリント配線基板上での位置合わせのための位置合わせ穴をさらに有するとともに、前記プリント配線基板には前記位置合わせ穴に対応した突起が設置されており、前記設置工程で、前記位置合わせ穴と前記突起とが嵌合するように、前記支持体を前記プリント基板上に設置する。
上記課題を解決するための本発明の電気部品搭載プリント配線基板の修理方法は、前記電気部品搭載プリント配線基板の修理方法であって、前記電圧印加部を作動させて前記ヒーター回路に電圧を印加して発熱させ、前記貫通孔内に設けられた前記半田ペーストを溶融させて、前記電気部品を前記プリント配線基板から取り外す工程を有することを特徴とする。
本発明の支持体によれば、電気部品に反りがあってもプリント配線基板との良好な電気的接続が実現され、プリント配線基板や隣接搭載部品に熱的なダメージをほとんど与えずに電気部品の多数回のリペアが可能となり、予備半田の供給が容易で、プリント配線基板の小型化が可能で、電気的特性も良好となる。特に、電気部品の反り量に応じて各貫通孔内の半田ペーストの充填量を制御することにより、搭載する電気部品の形状に応じた所定量の予備半田を、隣接部品が実装された作業エリアが少ない状態でもプリント配線基板上に容易に供給できる。さらに、シート部材に組み込んだヒーター回路に電圧を印加することで、電気部品の接続部分を局部的に温めることができ、プリント配線基板や隣接部品に熱的なダメージをほとんど与えることなく、電気部品とプリント配線基板との良好な電気的接続を実現できる。
本発明の電気部品搭載プリント配線基板によれば、電気部品に反りがあってもプリント配線基板との良好な電気的接続が実現され、プリント配線基板や隣接搭載部品に熱的なダメージをほとんど与えずに電気部品の多数回のリペアが可能となり、予備半田の供給が容易で、プリント配線基板の小型化が可能で、電気的特性も良好となる。
本発明の電気部品搭載プリント配線基板の製造方法によれば、電気部品に反りがあってもプリント配線基板との良好な電気的接続が実現され、予備半田の供給が容易で、プリント配線基板の小型化が可能で、電気的特性も良好となる。
本発明の電気部品搭載プリント配線基板の修理方法によれば、プリント配線基板や隣接搭載部品に熱的なダメージをほとんど与えずに電気部品の多数回のリペアが可能となり、予備半田の供給が容易で、プリント配線基板の小型化が可能で、電気的特性も良好となる。
次に、本発明の実施例について、図面を参照して詳細に説明する。但し、本発明は下記実施例に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変更できることはいうまでもない。
[電気部品搭載プリント配線基板、支持体]
図1は、本発明の電気部品搭載プリント配線基板の一例を示す模式的な断面図である。図2は、図1の電気部品搭載プリント配線基板に用いる支持体の一例を示す模式的な平面図である。なお、図2は平面図であるが、説明の便宜のために、シート部材内部に配置されるヒーター回路を透視して示してある。この点は、以下説明する図3〜5においても同様である。図1、2においては、電気部品の一例として半導体装置が用いられ、ヒーター回路の一例としてヒーターエレメントを用いている。この点は、全ての実施例において同様である。そこで、以下では、電気部品を半導体装置とし、ヒーター回路をヒーターエレメントとして説明する。
電気部品搭載プリント配線基板2aは、支持体1aを、プリント配線基板10と半導体装置11との間に有する。より具体的には、電気部品搭載プリント配線基板2aは、半導体装置11を搭載するプリント配線基板10上において、プリント配線基板10と半導体装置11の間に支持体1aが介在する構造を有する。そして、シート部材14における貫通孔113の位置に応じ、半田ペースト15a,15b,15cの充填量が制御された支持体1aを用いることにより、半導体装置11に反りがあってもプリント配線基板10との良好な電気的接続が実現され、プリント配線基板10や隣接搭載部品にダメージを与えずに半導体装置11の多数回のリペアが可能となり、予備半田の供給が容易で、プリント配線基板10の小型化が可能で、電気的特性も良好となる。
プリント配線基板10は、半導体装置11の半田ボール13を受けるための半田ボール用パッド17を形成している。また、プリント配線基板10において、半導体装置11の周辺には、隣接してチップ部品18が存在する。チップ部品18は、チップ部品搭載用パッド110に半田フィレット19を形成して搭載されている。
半導体装置11は、そのパッケージ形態がBGAであり、プリント配線基板10への搭載面に複数の半田ボール13を有している。半田ボール13の直径は、シート部材14の厚さよりも大きくなるように形成されている。半導体装置11には反りがあり、プリント配線基板10に対してコーナー部が浮き上がる下に凸の状態である。すなわち、半導体装置11の断面が反りを有し、その端部が浮き上がるように下に凸の形状を有しているので、半田ボール13のプリント配線基板10側の端面が水平にならない。より具体的には、半導体装置11の中心部付近の半田ボール13のプリント配線基板10側の端面とプリント配線基板10との距離が、半導体装置11のコーナー部付近の半田ボール13のプリント配線基板10側の端面とプリント配線基板10との距離よりも小さくなっている。
支持体1aは、プリント配線基板10と半導体装置11との間に配置され、内部に半田ペースト15a,15b,15cが充填された貫通孔113が複数設けられたシート部材14と、シート部材14内部で貫通孔113の周囲を囲むように配線されたヒーターエレメント111と、ヒーターエレメント111に電圧を印加するための電圧印加部12と、を有し、シート部材14における貫通孔113の位置に応じ、半田ペースト15a,15b,15cの充填量が制御されている。
これにより、半導体装置11の各端子に対応して設けられる貫通孔113内に充填されるハンダペースト15a,15b,15cの量を半導体装置11の形状に合わせて変化させることができるようになり、半導体装置11に反りがあってもプリント配線基板10との良好な電気的接続が実現され、プリント配線基板10や隣接搭載部品に熱的なダメージをほとんど与えずに半導体装置11の多数回のリペアが可能となり、予備半田の供給が容易で、プリント配線基板10の小型化が可能で、電気的特性も良好となる。
シート部材14は、プリント配線基板10上での位置合わせのための位置合わせ穴112をさらに有し、プリント配線基板10上に形成されたガイドポスト16によって位置決めされている。より具体的には、シート部材14の4角には位置決め用穴112が備えられており、これをプリント配線基板10上に形成するガイドポスト16に合わせることで、シート部材14のプリント配線基板10に対する位置決めを可能にしている。ガイドポスト16は、プリント配線基板10上に突起として形成されている。
シート部材14は、半導体装置11の半田ボール13毎に貫通孔113を備え、その貫通孔113内には予備半田となる所定量の半田ペースト15a,15b,15cを充填している。貫通孔113は、半田ボール用パッド17以上の大きさで形成する。貫通孔113内における半田ペースト15a,15b,15cの充填量は、半導体装置11の形状に合わせて制御されている。より具体的には、上記したように、半導体装置11が下に凸の状態で反っているため、半田ボール13のプリント配線基板10側の端面が水平になっていない。このため、半導体装置11のこの反りを吸収するために、貫通孔113内の半田ペーストの量は、シート部材14の中心部に近づくに従って少なくなるように充填されている。より詳しくは、図1、2に示すように、シート部材14の外周に設けた貫通孔113には、他の貫通孔113よりも多くの半田ペースト15aを充填している。そして、シート部材14の中心部付近の貫通孔113においては、最も少ない量の半田ペースト15cを充填する。さらに、シート部材14の最も外周側に位置する半田ペースト15aが充填された貫通孔113と、半田ペースト15cが充填された上記の中心部付近の貫通孔113と、の中間に位置する貫通孔113には、その中間の量の半田ペースト15bを充填する。これは、プリント配線基板10に対して下に凸に反った半導体装置11に対応した半田ペーストの充填構成であり、半導体装置11の反り量を吸収するために所定の充填量になるよう制御されている。
シート部材14は、その内部で各貫通孔113の周囲を囲むように配線されたヒーターエレメント111を配置している。より具体的には、半田ペースト15a,15b,15cが充填された各貫通孔113の周辺には、貫通孔113を取り囲むようにヒーターエレメント111が備えられている。より詳しくは、図2に示すように、ヒーターエレメント111を構成する電熱線が、各貫通孔113をコの字型に囲むように配線されている。こうした構成を採用することにより、各貫通孔113内の半田ペースト15a,15b,15c、及び各貫通孔113内に位置することとなる半田ボール13を効率的に溶融できるようになる。
支持体1aにおけるヒーターエレメント111の両端には、電圧印加部12が接続されている。こうした電圧印加部12としては従来公知の素子を用いることができる。そして、電圧印加部12に電圧を加えることによってヒーターエレメント111が発熱し、貫通孔113内の半田ペースト15a,15b,15c及び半導体装置11の半田ボール13が溶融され、半導体装置11とプリント配線基板10の接続部分への局所的な加熱が行われる。これにより、プリント配線基板10や隣接して搭載するチップ部品18に熱的なダメージをほとんど与えることなく、半導体装置11の搭載が可能になる。しかも、半導体装置11に反りがあっても、シート部材14を製造する段階で各貫通孔113内の半田ペースト量を半田ペースト15a,15b,15cのようにして、半導体装置11の反りを吸収する所定量に制御できるため、半導体装置11とプリント配線基板10間の良好な電気的接続が可能となる。こうした構成を採用することにより、これから半導体装置11を搭載する場所の周りに既に隣接部品が搭載された状態でも、半導体装置11を搭載するために必要な所定量の予備半田をプリント配線基板10上に供給できるという効果もある。また、半導体装置11をシート部材14上に搭載する際、半導体装置11の半田ボール13が、シート部材14の貫通孔113内に落ち込む構造のため、半導体装置11の搭載が容易にできるという効果がある。さらに、半導体装置11の各半田ボール13間にシート部材14が介在する構造となるため、半導体装置11とプリント配線基板10を接続する際の溶融時に隣接する半田ボール13同士のショートを防止できる効果もある。
図3は、本発明の支持体の他の一例を示す模式図である。より具体的には、図3(a)が支持体の平面図を、図3(b)が図3(a)のA−A’間の断面図を示している。
支持体1bは、シート部材20が、少なくとも1以上の貫通孔25を通過するようにシート部材20を横断して設けられた切取線27と、切取線27に連続してシート部材20の端部に設けられた切り込み部26と、をさらに有する。これにより、切り込み部26から切取線27に沿ってシート部材20を切断することにより、シート部材20ひいては支持体1bを、プリント配線基板と半導体装置との間から取り出しやすくなる。支持体1bは、上記点以外は、基本的には支持体1aと同様の構成を採用している。以下、支持体1bについてさらに詳しく説明する。
シート部材20は、シート部材20上に搭載する半導体装置の端子毎に形成する貫通孔25を備える。貫通孔25内には所定量の半田ペースト23a,23b,23cを充填している。貫通孔25内における半田ペースト23a,23b,23cの充填量は、半導体装置の形状に合わせて制御されている。より具体的には、貫通孔25内の半田ペーストの量は、シート部材20の中心部に近づくに従って少なくなるように充填されている。より詳しくは、支持体外周部の貫通孔25には他の貫通孔25よりも多くの半田ペースト23aを充填している。そして、シート部材20の中心部付近の貫通孔25においては、最も少ない量の半田ペースト23cを充填する。さらに、シート部材20の最も外周側に位置する半田ペースト23aが充填された貫通孔25と、半田ペースト23cが充填された上記の中心部付近の貫通孔25と、の中間に位置する貫通孔25には、その中間の量の半田ペースト23bを充填する。これは、プリント配線基板に対して下に凸に反った半導体装置に対応した半田ペーストの充填構成であり、半導体装置の反り量を吸収するために所定の充填量に制御している。
シート部材20は、その内部で各貫通孔25の周囲を囲むように配線されたヒーターエレメント21を配置している。より具体的には、半田ペースト23a,23b,23cが充填された各貫通孔25の周辺には、貫通孔25を取り囲むようにヒーターエレメント21を配置している。より詳しくは、図3(a)に示すように、ヒーターエレメント21を構成する電熱線が、各貫通孔25をコの字型に囲むように配線されている。こうした構成を採用することにより、各貫通孔25内の半田ペースト23a,23b,23c、及び各貫通孔25内に位置することとなる半導体装置の半田ボールを効率的に溶融できるようになる。
支持体1bにおけるヒーターエレメント21の両端には、電圧印加部22が接続されている。こうした電圧印加部22としては従来公知の素子を用いることができる。そして、電圧印加部22に電圧を加えることによってヒーターエレメント21が発熱し、プリント配線基板と半導体装置の接続部分の半田が溶融され、半導体装置の搭載が可能になる。これにより、半導体装置下部の接続部分を局部的に加熱することができるため、プリント配線基板や隣接搭載部品に熱的なダメージをほとんど与えることなく、半導体装置の搭載及び半導体装置のリペア(修理・交換)が可能になる。しかも、搭載する半導体装置に反りがあっても、シート部材20を製造する段階で各貫通孔25内の半田ペースト量を半田ペースト23a,23b,23cのようにして、半導体装置の反りを吸収する所定量に制御できるため、半導体装置とプリント配線基板間の良好な電気的接続が可能となる。こうした構成を採用することにより、これから半導体装置を搭載する場所の周りに既に隣接部品が搭載された状態でも、半導体装置を搭載するために必要な所定量の予備半田をプリント配線基板上に供給できるという効果もある。
シート部材20は、図3(a)に示すように、外周、より具体的には上辺及び下辺に切り込み部26と、2つの切り込み部26を結ぶように貫通孔25上に切取線27を備えている。こうした切り込み部26及び切取線27の採用により、支持体1b上に搭載する半導体装置の品質が安定し、これをリペアする必要性が無くなった場合に、半導体装置を搭載状態のまま支持体1b部分を除去することが可能となる。こうした除去方法について説明する。
支持体1bの除去は、以下の除去工程を用いて行われる。すなわち、電圧印加部22をヒーターエレメント21から切断し、次いで切り込み部26から切取線27に沿ってシート部材20を切断して、シート部材20をプリント配線基板と電気部品との間から除去する。こうした除去工程は、半導体装置の品質が十分に安定した場合においては、電気部品搭載プリント配線基板の製造工程内において、支持体を介して半導体装置をプリント配線基板に電気的に接続した直後に行ってもよい。
支持体1bの除去工程は、上記のとおり、半導体装置を搭載状態のまま支持体1bを除去することによって行われる。より具体的には、まずヒーターエレメントカット部28でヒーターエレメント21を切断し、電圧印加部22を取り外す。次いで、ヒーターエレメント21をシート部材20から引き出す。次いで、シート部材20の外周部に位置する切れ込み部26から貫通孔25上の切取線27毎にシート部材20を裂いて半導体装置下部から引き出す。以上の工程を経ることで半導体装置を搭載状態のままシート部材20ひいては支持体1bの除去が可能になる。支持体1bを半導体装置の下に長期間介在しておくことは、埃等を巻き込む可能性もあり、長期信頼性確保の観点では除去した方がよい場合もある。こうした場合に、上記説明した支持体1bの採用及び除去工程の採用が有効となる。
なお、シート部材20は、プリント配線基板上での位置合わせのための位置合わせ穴24をさらに有する。より具体的には、図3(a)に示すように、シート部材20の4角には位置決め用穴24がある。
図4は、本発明の支持体のさらに他の一例を示す模式図である。より具体的には、図4(a)が支持体の平面図を、図4(b)が図4(a)のB−B’間の断面図を示している。
支持体1cは、ヒーターエレメント31が、シート部材30を平行に横断する複数の電熱線で形成される。そして、複数の電熱線の採用に伴い、電圧印加部32も複数配置している。平行に横断する複数の電熱線の採用により、上記説明した除去工程におけるシート部材30の半導体装置の下からの除去が行いやすくなる。また、支持体1cにおいては、貫通孔38内の半田ペーストの量を、シート部材30の中心部に近づくに従って多く充填している。支持体1cは、上記点以外は、基本的には支持体1bと同様の構成を採用している。以下、支持体1cについてさらに詳しく説明する。
支持体1cにおいては、シート部材30としては、プリント配線基板と半導体装置の間に介在するフレキシブルプリント配線基板(FPC)を用いている。シート部材30は、シート部材30上に搭載する半導体装置の端子毎に形成した貫通孔38を備える。貫通孔38内には所定量の半田ペーストを充填している。貫通孔38内における半田ペースト33a,33b,33cの充填量は、半導体装置の形状に合わせて制御されている。より具体的には、貫通孔38内の半田ペーストの量は、シート部材30の中心部に近づくに従って多くなるように充填されている。より詳しくは、外周部の貫通孔38には他の貫通孔38よりも少ない半田ペースト33aを充填している。そして、シート部材30の中心部付近の貫通孔38においては、最も多い量の半田ペースト33cを充填する。さらに、シート部材30の最も外周側に位置する半田ペースト33aが充填された貫通孔38と、半田ペースト33cが充填された上記の中心部付近の貫通孔38と、の中間に位置する貫通孔38には、その中間の量の半田ペースト33bを充填する。これはシート部材30上に搭載する半導体装置が、プリント配線基板に対して上に凸に反った形態の場合に対応した半田ペーストの充填構成であり、半導体装置の反り量を吸収するために各貫通孔38内に充填する半田ペーストの量を制御している。
シート部材30は、その内部で各貫通孔38の周囲を囲むように配線されたヒーターエレメント31を配置している。実際には、ヒーターエレメント31が、シート部材30を平行に横断する複数の電熱線で形成されている。より具体的には、図4(a)に示すように、半田ペースト33a,33b,33cが充填された各貫通孔38の列毎にヒーターエレメント31が平行に複数配置されている。こうした構成を採用することにより、各貫通孔38内の半田ペースト33a,33b,33c、及び各貫通孔38内に位置することとなる半導体装置の半田ボールを効率的に溶融できるようになるとともに、シート部材30を半導体装置の下から除去しやすくなる。
支持体1cにおけるヒーターエレメント31を構成する平行に配列された電熱線の両端には、それぞれ電圧印加部32が接続されている。こうした電圧印加部32としては従来公知の素子を用いることができる。そして、電圧印加部32に電圧を加えることによって各電熱線ひいてはヒーターエレメント31が発熱し、半導体装置とプリント配線基板の接続部分の半田を溶融し、半導体装置の搭載が可能になる。複数の電熱線を平行に配列することによってヒーターエレメント31の回路を複数設けることができるようになり、シート部材30内の場所による温度バラツキを抑制しながら、半導体装置下部を局部的に加熱することができるため、プリント配線基板や隣接搭載部品に熱的なダメージをほとんど与えることなく半導体装置のリペアが行える。しかも、半導体装置の再搭載時には、シート部材30の製造段階において必要な予備半田を貫通孔38内に充填することが可能となるため、周りに隣接部品が搭載された状態でも良好な予備半田をプリント配線基板上に供給できる。さらに、貫通孔38内に充填する半田ペースト量を所定量に制御することにより半導体装置に反りがある場合でも、半導体装置とプリント配線基板間の良好な電気的接続を可能にしている。
シート部材30は、図4(a)に示すように、外周部に切り込み部34と、貫通孔38上に切取線35を備えている。こうした切り込み部34及び切取線35の採用により、支持体1c上に搭載する半導体装置の品質が安定し、これをリペアする必要性が無くなった場合に、半導体装置を搭載状態のまま支持体1c部分を除去することが可能となる。こうした除去方法について説明する。
支持体1cの除去は、以下の除去工程を用いて行われる。すなわち、ヒーターエレメント31を構成する各電熱線から電圧印加部32を切断し、次いで切り込み部34から切取線35に沿ってシート部材30を切断して、シート部材30をプリント配線基板と電気部品との間から除去する。こうした除去工程は、半導体装置の品質が十分に安定した場合においては、電気部品搭載プリント配線基板の製造工程内において、支持体を介して半導体装置をプリント配線基板に電気的に接続した直後に行ってもよい。
支持体1cの除去工程は、上記のとおり、半導体装置を搭載状態のまま支持体1cを除去することによって行われる。より具体的には、まずヒーターエレメントカット部37でヒーターエレメント31を構成する各電熱線を切断する。その後シート部材30の外周部の切り込み部34ら貫通孔38上の切取線35毎にシート部材30を裂きながらヒーターエレメント31ごと半導体装置下部から引き出す。ここで、貫通孔38の列毎にヒーターエレメント31の電熱線を平行に設けることで、シート部材30の取り出しが容易になる。以上の工程を経ることで半導体装置を搭載状態のままシート部材30ひいては支持体1cの除去が可能になる。支持体1cを半導体装置の下に長期間介在しておくことは、埃等を巻き込む可能性もあり、長期信頼性確保の観点では除去した方がよい場合もある。こうした場合に、上記説明した支持体1cの採用及び除去工程の採用が有効となる。
なお、シート部材30は、プリント配線基板上での位置合わせのための位置合わせ穴36をさらに有する。より具体的には、図3(a)に示すように、シート部材30の4角には位置決め用穴36がある。
図5は、本発明の支持体のさらに他の一例を示す模式図である。より具体的には、図5(a)が支持体の平面図を、図5(b)が図5(a)のC−C’間の断面図を示している。
支持体1dにおいては、ヒーターエレメント41が、シート部材40内部の配線位置に応じ、異なる太さを有する電熱線で形成されている。異なる太さを有する電熱線の採用により、ヒーターエレメント41を加熱した場合のシート部材40内の場所による温度バラツキが抑制しやすくなる。支持体1dは、上記点以外は、基本的には支持体1bと同様の構成を採用している。以下、支持体1dについてさらに詳しく説明する。
支持体1dのシート部材40にはシート部材40上に搭載する半導体装置の端子毎に形成した貫通孔48を備える。貫通孔48内には所定量の半田ペーストを充填している。貫通孔48内における半田ペースト43a,43b,43cの充填量は、半導体装置の形状に合わせて制御されている。より具体的には、貫通孔48内の半田ペースト量は、シート部材40の中心部に近づくに従って少なくなるように充填されている。より詳しくは、外周部の貫通孔48には他の貫通孔48よりも多い半田ペースト43aを充填している。そして、シート部材40の中心部付近の貫通孔48においては、最も少ない量の半田ペースト43cを充填する。さらに、シート部材40の最も外周側に位置する半田ペースト43aが充填された貫通孔48と、半田ペースト43cが充填された上記の中心部付近の貫通孔48と、の中間に位置する貫通孔48には、その中間の量の半田ペースト43bを充填する。これはシート部材40上に搭載する半導体装置が、プリント配線基板に対して下に凸に反った形態の場合に対応した半田ペーストの充填構成であり、半導体装置の反り量を吸収するために各貫通孔48内に充填する半田ペーストの量を制御している。
シート部材40は、その内部で各貫通孔48の周囲を囲むように配線されたヒーターエレメント41を配置している。実際には、ヒーターエレメント41が、シート部材40内部の配線位置に応じ、異なる太さを有する電熱線で形成されている。こうした構成を採用することにより、ヒーターエレメント41を加熱した場合のシート部材40内の場所による温度バラツキが抑制しやすくなる。
支持体1dにおけるヒーターエレメント41の両端には電圧印加部42が接続されている。こうした電圧印加部42としては従来公知の素子を用いることができる。そして、ヒーターエレメント41は、電圧印加部42からの距離によって太さが異なる構造である。これは、上記のとおり、ヒーターエレメント41の太さを制御することで搭載する半導体装置配下の温度分布の均一化を図ることを可能にするためである。
支持体1dにおいては、電圧印加部42に電圧を加えることによってヒーターエレメント41が発熱し、貫通孔48内の半田ペーストおよびシート部材40上に搭載する半導体装置の端子が溶融され、半導体装置の搭載が可能になる。支持体1d内部の配線位置に応じ、ヒーターエレメント41を異なる太さを有する電熱線で形成することにより、温度バラツキを抑制しながら、半導体装置の下部を局部的に加熱することができるため、プリント配線基板や隣接搭載部品に熱的なダメージをほとんど与えることなく半導体装置のリペアが行える。しかも、半導体装置の再搭載時には、シート部材40の製造段階において必要な予備半田を貫通孔48内に充填することを可能にしているため、周りに隣接部品が搭載された状態でも良好な予備半田をプリント配線基板上に供給できる。さらに、貫通孔48内に充填する半田ペースト量を所定量に制御することにより半導体装置に反りがある場合でも、半導体装置とプリント配線基板間の良好な電気的接続を可能にしている。
シート部材40は、図5(a)に示すように、外周部に切り込み部45と、貫通孔48上に切取線46を備えている。こうした切り込み部45及び切取線46の採用により、支持体1d上に搭載する半導体装置の品質が安定し、これをリペアする必要性が無くなった場合に、半導体装置を搭載状態のまま支持体1d部分を除去することが可能となる。こうした除去方法について説明する。
支持体1dの除去は、以下の除去工程を用いて行われる。すなわち、電圧印加部42をヒーターエレメント41から切断し、次いで切り込み部45から切取線46に沿ってシート部材40を切断して、シート部材40をプリント配線基板と電気部品との間から除去する。こうした除去工程は、半導体装置の品質が十分に安定した場合においては、電気部品搭載プリント配線基板の製造工程内において、支持体を介して半導体装置をプリント配線基板に電気的に接続した直後に行ってもよい。
支持体1dの除去工程は、上記のとおり、半導体装置を搭載状態のまま支持体1dを除去することによって行われる。より具体的には、まずヒーターエレメントカット部47でヒーターエレメント41を切断し、電圧印加部42を取り外す。次いで、ヒーターエレメント41をシート部材40から引き出す。次いで、シート部材40の外周部の切れ込み部45から貫通孔48上の切取線46毎に支持体40を裂きながら半導体装置下部から引き出す。以上の工程を経ることで半導体装置を搭載状態のままシート部材40ひいては支持体1dの除去が可能になる。支持体1dを半導体装置の配下に長期間介在しておくことは、埃等を巻き込む可能性もあり、長期信頼性確保の観点では除去した方がよい場合もある。こうした場合に、上記説明した支持体1dの採用及び除去工程の採用が有効となる。
なお、シート部材40は、プリント配線基板上での位置合わせのための位置合わせ穴44をさらに有する。より具体的には、図5(a)に示すように、シート部材40の4角には位置決め用穴44がある。
[電気部品搭載プリント配線基板の製造方法]
本発明の電気部品搭載プリント配線基板の製造方法は、内部に半田ペーストが充填された貫通孔が複数設けられたシート部材と、シート部材内部で貫通孔の周囲を囲むように配線されたヒーター回路と、ヒーター回路に電圧を印加するための電圧印加部と、を有し、シート部材における貫通孔の位置に応じ、半田ペーストの充填量が制御されている支持体を準備する準備工程と、プリント配線基板上において電気部品が配置される位置に支持体を設置する設置工程と、支持体上に電気部品を配置する配置工程と、電圧印加部を作動させてヒーター回路に電圧を印加して発熱させ、貫通孔内に設けられた半田ペーストを溶融させて、電気部品とプリント配線基板との電気的な接続を確保する接続工程と、を備える。
これにより、電気部品に反りがあってもプリント配線基板との良好な電気的接続が実現され、予備半田の供給が容易で、プリント配線基板の小型化が可能で、電気的特性も良好となる。以下、電気部品を半導体装置とし、ヒーター回路をヒーターエレメントとした例における製造方法の一例について説明する。
図6は、本発明の電気部品搭載プリント配線基板の製造方法の一例を示す模式的断面図である。より具体的には、図6はプリント配線基板50と半導体装置59の間に支持体1eを介在する半導体装置59の搭載方法を示している。
まず、準備工程を行う。準備工程においては、図6(a)に示すようにまずプリント配線基板50と支持体1eを準備する。
支持体1eは、内部に半田ペースト57a,57b,57cが充填された貫通孔54が複数設けられたシート部材53と、シート部材53内部で貫通孔54の周囲を囲むように配線されたヒーターエレメント56と、ヒーターエレメント56に電圧を印加するための電圧印加部55と、を有し、シート部材53における貫通孔54の位置に応じ、半田ペースト57a,57b,57cの充填量が制御されている。
シート部材53は、搭載する半導体装置59の半田ボール510に対応する位置に貫通孔54を備え、その貫通孔54内には所定量の半田ペースト57a,57b,57cを充填している。より具体的には、半田ペースト量は、シート部材53の中心部に近づくに従って少なくなるように充填されている。より詳しくは、図6(a)に示すように、シート部材53の外周に設けた貫通孔54には、他の貫通孔54よりも多くの半田ペースト57aを充填している。そして、シート部材53の中心部付近の貫通孔54においては、最も少ない量の半田ペースト57cを充填する。さらに、シート部材53の最も外周側に位置する半田ペースト57aが充填された貫通孔54と、半田ペースト57cが充填された上記の中心部付近の貫通孔54と、の中間に位置する貫通孔54には、その中間の量の半田ペースト57bを充填する。これは、プリント配線基板50に対して下に凸に反った半導体装置59の搭載に対応した半田ペーストの充填構成であり、半導体装置59の反り量を吸収するために所定の充填量になるよう制御されている。
シート部材53は、その内部で各貫通孔54の周囲を囲むように配線されたヒーターエレメント56を配置している。より具体的には、半田ペースト57a,57b,57cが充填された各貫通孔54の周辺には、貫通孔54を取り囲むようにヒーターエレメント56が備えられている。
シート部材53は、プリント配線基板上での位置合わせのための位置合わせ穴58をさらに有する。
シート部材53は、通常FPC製造技術等を用いて、ベース基材によって製造することができる。また、半田ペーストは、通常ディスペンサー等の装置を用いてペースト状の半田をそれぞれの貫通孔54に充填すればよく、充填の際に所定の充填量となるように制御を行えばよい。
支持体1eにおけるヒーターエレメント56の両端には、電圧印加部55が接続されている。
プリント配線基板50は、半導体装置59を搭載するための半田ボール用パッド51、および支持体53の位置決め用のガイドポスト52を有する。ガイドポストは円柱状の突起としてプリント配線基板50上に形成されている。
次いで、設置工程を行う。設置工程においては、上記準備工程で準備したプリント配線基板50上において半導体装置59が配置される位置に支持体1eを設置する。このとき、上記のとおり、シート部材53がプリント配線基板50上での位置合わせのための位置合わせ穴58を有するとともに、プリント配線基板50には位置合わせ穴58に対応したガイドポスト52が設置されている。このため、図6(a)、(b)に示すように、位置合わせ穴58とガイドポスト52とが嵌合するように、支持体1eをプリント基板50上に設置する。より具体的には、図6(b)に示すように、プリント配線基板50上のガイドポスト52にシート部材53の位置決め用穴58を誘い込みながら支持体53をプリント配線基板50上に貼り付ける。このとき、支持体53の貫通孔54に充填された半田ペーストは、プリント配線基板50上の半田ボール用パッド51上に塗られる。なお、図6においては、貫通孔54の大きさは、半田ボール用パッド51と同等以上の大きさとしている。
次いで、配置工程を行う。配置工程では支持体1e上に半導体装置59を配置する。より具体的には、図6(c)に示すように、プリント配線基板50に対して下に凸に反った半導体装置59の半田ボール510をシート部材53の貫通孔54に誘いこむように搭載する。
次いで、接続工程を行う。接続工程においては、電圧印加部55を作動させてヒーターエレメント56に電圧を印加して発熱させ、貫通孔54内に設けられた半田ペースト57a,57b,57cを溶融させて、半導体装置59とプリント配線基板50との電気的な接続を確保する。
より具体的には、図5(c)に示すように、電圧印加部55に電圧を加えることによってヒーターエレメント56を発熱させる。そして、半田ボール510と半田ペースト57a,57b,57cとが存在する半導体装置59の搭載部分を局部的に加熱することによって貫通孔54内の半田ペースト57a,57b,57c及び半田ボール510が溶融し、半導体装置59とプリント配線基板50の電気的接続が行われる。ここで、半田ボール510間にはシート部材53が介在する構造となるため、隣接する半田ボール510間のショートも防止しやすくなる。
なお、図6には図示していないが、図3〜5に示すように、シート部材が、少なくとも1以上の貫通孔を通過するようにシート部材を横断して設けられた切取線と、この切取線に連続してシート部材端部に設けられた切り込み部と、をさらに有するようにし、上記説明した除去工程を行ってもよい。すなわち、上記説明した接続工程の後に、電圧印加部をヒーターエレメントから切断した後に、切り込み部から切取線に沿ってシート部材を切断して、このシート部材をプリント配線基板と電気部品との間から除去する除去工程をさらに行ってもよい。例えば、半導体装置の品質が十分に安定した場合においては、上記の除去工程を行う意義が大きい。
[電気部品搭載プリント配線基板の修理方法]
本発明の電気部品搭載プリント配線基板の修理方法(リペア方法)は、上記で説明した電気部品搭載プリント配線基板を用い、電圧印加部を作動させてヒーター回路に電圧を印加して発熱させ、貫通孔内に設けられた半田ペーストを溶融させて、電気部品をプリント配線基板から取り外す工程を有する。
これにより、プリント配線基板や隣接搭載部品に熱的なダメージをほとんど与えずに電気部品の多数回のリペアが可能となり、予備半田の供給が容易で、プリント配線基板の小型化が可能で、電気的特性も良好となる。以下、電気部品を半導体装置とし、ヒーター回路をヒーターエレメントとした例における修理方法の一例について説明する。
図7は、本発明の電気部品搭載プリント配線基板の修理方法の一例を示す模式的断面図である。図7に示すように半導体装置59に障害等がありこれをリペアする場合は、シート部材53の電圧印加部55に電圧を印加してヒーターエレメント56を加熱し、半導体装置59とプリント配線基板50間を接続している半田511を溶融し、半導体装置59を支持体1e(シート部材53)ごと持ち上げてプリント配線基板50から除去する。これにより、半導体装置59をプリント配線基板50から取り外すことができる。
次いで、プリント配線基板50上のボール用パッド51上に残った半田511を清掃する。そして、上記図6で説明した方法と同様の方法によって新しい半導体装置をプリント配線基板50上に搭載することで半導体装置のリペアを行うことができる。
[その他]
以上、本発明の支持体、この支持体を用いた電気部品搭載プリント配線基板、この電気部品搭載プリント配線基板の製造方法、及びこの電気部品搭載プリント配線基板の修理方法について具体例を用いて説明したが、本発明は上記具体例に限定されるものではなく、様々なバリエーションが考えられる。以下、こうしたバリエーションのいくつかについて説明する。
支持体に用いるシート部材は、所定の耐熱性を備える材料であればよく、ポリイミド系の材料を用いたフレキシブルプリント基板や布、紙、セラミック等を用いても良い。
プリント配線基板の加熱方法としては、本発明の加熱方法に外部からの加熱を補助的に用いることも可能である。
支持体上に搭載する半導体装置等の電気部品の形態は、BGAに限定されるものではなく、ピングリッドアレイ(PGA)などの他の形態の電気部品を搭載する場合全般に用いることが可能である。
半導体装置(電気部品)の形状を吸収するために、シート部材における貫通孔の位置に応じ、貫通孔内に充填する半田ペースト量の変化については、上記具体例では3段階に分ける方法を用いた。しかしながら、本発明においては上記の3段階に限られるものではなく、搭載する半導体装置等の電気部品の反り量によって所定の段数を使い分けることが可能である。
貫通孔の大きさは、搭載する電気部品の端子形状によってプリント配線基板上のパッドサイズに対して所定の大きさで形成することが可能である。
本発明の支持体とプリント配線基板の位置合わせ方法は、ガイドピンと位置合わせ穴を組み合わせる方法に限定されるものではなく、例えば位置合わせマークを用いる方法や、位置合わせ用治工具を用いる方法等他の位置合わせ方法にて行ってもよい。