JP2008279964A - ブレーキ制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ホイルシリンダ圧が高圧で液圧勾配が小さい場合であっても、ホイルシリンダ圧を安定させることが可能なブレーキ制御装置を提供すること。
【解決手段】 ホイルシリンダ圧をポンプで加圧するとき、ポンプを駆動するモータとホイルシリンダを減圧する減圧弁の両方を作動させてホイルシリンダ圧を制御することとした。
【選択図】 図10

Description

本発明は、目標減速度を達成するようにホイルシリンダ液圧を増減圧可能なブレーキ制御装置に関する。
ブレーキ制御装置として特許文献1に記載の技術が知られている。このブレーキ制御装置には、ブレーキペダルの操作力や車両の状態などに応じてホイルシリンダ圧を発生させ、車両に制動力を付与するものである。このブレーキ液圧制御装置は、ホイルシリンダ内のブレーキ液の加圧を行う2つのポンプと、ホイルシリンダごとに設けられている増圧弁及び減圧弁と、更に、マスタシリンダとホイルシリンダの連通と遮断を行う遮断弁とを備えている。この遮断弁を閉じた場合、ホイルシリンダ圧は2つのポンプと増圧弁、減圧弁によって制御される。
基本的には、ホイルシリンダの増圧は、少なくとも一つのポンプからホイルシリンダへブレーキ液を供給し、増圧弁を開き、減圧弁を閉じることで行われる。また、ホイルシリンダの減圧は、増圧弁を閉じ、減圧弁を開くことで行われる。このとき、ポンプ圧が全ての指令ホイルシリンダ圧の最大値、もしくは、その最大値に所定値を加えた圧力になるようにポンプを駆動制御するものである。
特許第3409721号公報
従来技術の構成において、ホイルシリンダ圧が高圧で液圧勾配が小さい場合や、高圧でホイルシリンダ圧を保持するなどの場合、ポンプ吐出圧を高圧としつつポンプが低回転の状態でポンプを駆動する、すなわち、低回転高トルクでモータの回転数制御を行う必要がある。しかしながら、低回転高負荷時においては、ポンプの摩擦力が不安定となり、ポンプを駆動するモータの回転数を安定させることが難しく、ホイルシリンダ圧を安定させることが困難であった。
本発明は上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、ホイルシリンダ圧が高圧で液圧勾配が小さい場合であっても、ホイルシリンダ圧を安定させることが可能なブレーキ制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明では、複数の車輪にそれぞれ設けられたホイルシリンダと、該ホイルシリンダ内のブレーキ液を加圧するポンプと、該ポンプを回転駆動するモータと、前記ホイルシリンダ内のブレーキ液を開弁により流出させて減圧する減圧弁と、前記ホイルシリンダ内の液圧が目標液圧となるように、前記モータと前記減圧弁の両方を作動させて制御する制御手段と、を備えた。
よって、ホイルシリンダ圧が高圧で液圧勾配が小さい場合であっても、ホイルシリンダ圧を安定させることができる。
以下、本発明の最良の実施形態について図面に基づいて説明する。
〔ブレーキバイワイヤシステム構成〕
図1は液圧式と電動キャリパ式の両方から構成されたブレーキバイワイヤシステムの全体ブロック図である。液圧式ブレーキバイワイヤシステムとは、電動モータによってポンプを駆動し、このポンプ液圧(もしくはアキュムレータに蓄圧された液圧)によってホイルシリンダ内の液圧を制御し、これにより制動力を発生させるシステムを言う。
電動キャリパ式ブレーキバイワイヤシステムとは、電動モータによってブレーキロータに対するブレーキパッドの押付力を制御し、これにより制動力を発生させるシステムを言う。実施例1では、フロント側の2輪は液圧式ブレーキバイワイヤシステムが採用され、リヤ側の2輪は電動キャリパ式ブレーキバイワイヤシステムが採用されている。
コントロールユニットCUは、運転者の操作に従う通常ブレーキ制御の演算と、アンチスキッドブレーキ制御(以下、ABS)や、車両挙動制御(以下、VDC)や、車間距離制御、障害物回避制御等車両の情報を用いてタイヤのスリップや車両挙動を制御する為の演算を行い、車両として必要な制動力(フロント側及びリヤ側の両方)を算出し、フロント側に必要な制動力目標値となるようにフロント側のホイルシリンダ液圧を制御する。尚、フロント側のホイルシリンダ液圧制御に用いる液圧ユニットHUの構成については後述する。
コントロールユニットCUは、リヤ側に必要な制動力目標値を左右リヤ用コントローラRCUに出力し、左右リヤ用コントローラRCUでは、各輪の制動力目標値となるように電動キャリパEMBに設けられたモータの駆動量を制御する。
マスタシリンダM/CにはストロークセンサS/Sen及びストロークシミュレータS/Simが設けられている。ブレーキペダルBPの踏み込みに伴ってマスタシリンダM/C内に液圧が発生するとともに、ブレーキペダルBPのストローク信号SがコントロールユニットCUへ出力される。
マスタシリンダ圧は油路A(FL,FR)を介して液圧ユニットHUに供給され、コントロールユニットCUにより液圧ユニットHUを駆動して液圧制御が施された後、油路D(FL,FR)を介して前輪ホイルシリンダW/C(FL,FR)に供給される。
コントロールユニットCUは、要求制動力を達成しつつ、バッテリSOC(State Of Charge)等の制限やアクチュエータ応答性の制限を考慮して回生制動力と摩擦ブレーキ力とが演算され、回生制動力にあっては回生ブレーキ装置MGBにより制動力を発生させ、摩擦ブレーキ力にあっては、FL,FR輪目標液圧P*fl,P*frを演算して液圧ユニットHUを駆動し、ホイルシリンダW/C(FL,FR)の液圧を制御することで制動力を発生させる。
また、左右リヤ用コントローラRCUは、コントロールユニットCUからの目標信号に基づいて電動キャリパEMBの制動力を制御する。
液圧ユニットHUは、ブレーキバイワイヤシステムにおける通常制動時はマスタシリンダとホイルシリンダW/C(FL,FR)との連通を遮断する。一方、ポンプPによりホイルシリンダW/C(FL,FR)に液圧を供給し、制動力を発生させる。
そして、減圧用のバルブを適宜駆動することで、前輪ホイルシリンダW/C(FL,FR)内の液圧を減圧する。また、ブレーキバイワイヤ機能故障時には、マスタシリンダ圧をFL,FR輪ホイルシリンダW/C(FL,FR)に液圧を供給し、制動力を得る。
[油圧回路]
図2は実施例1の油圧回路図である。ポンプPの吐出側は油路C(FL,FR)、油路D(FL,FR)を介してそれぞれFL,FR輪ホイルシリンダW/C(FL,FR)と接続し、吸入側は油路Bを介してリザーバRSVと接続する。油路C(FL,FR)はそれぞれ油路E(FL,FR)を介して油路Bと接続する。
また、油路C(FL)と油路E(FL)の接続点I(FL)は油路A(FL)を介してマスタシリンダM/Cと接続し、油路C(FR)と油路E(FR)の接続点I(FR)は油路A(FR)を介してマスタシリンダM/Cと接続する。さらに、油路C(FL,FR)の接続点Jは油路Gを介して油路Bと接続する。
シャットオフバルブS.OFF/V(FL,FR)は常開電磁弁であり、油路A(FL,FR)上に設けられてマスタシリンダM/Cと接続点I(FL,FR)との連通/遮断を行う。
FL,FR輪増圧弁IN/V(FL,FR)はそれぞれ油路C(FL,FR)上に設けられた常開比例弁であり、ポンプPの吐出圧を比例制御してFL,FR輪ホイルシリンダW/C(FL,FR)に供給する。また、油路C(FL,FR)上であってFL,FR輪増圧弁IN/V(FL,FR)の間にはポンプP側への逆流防止用のチェック弁C/V(FL,FR)が設けられている。
FL,FR輪減圧弁OUT/V(FL,FR)は常閉比例弁であり、それぞれ油路E(FL,FR)上に設けられている。また、接続点Jと油路Bを接続する油路G上にはリリーフ弁Ref/Vが設けられている。
シャットオフバルブS.OFF/V(FL,FR)とマスタシリンダM/Cとの間の油路A(FL,FR)には第1、第2M/C圧センサMC/Sen1,MC/Sen2が設けられ、M/C圧PM1,PM2をコントロールユニットCUへ出力する。また、液圧ユニットHU内であって油路D(FL,FR)上にはFL,FR輪液圧センサWC/Sen(FL,FR)が設けられ、検出値PflおよびPfrをコントロールユニットCUへ出力する。
〔ポンプPの構成について〕
実施例1の液圧ユニットHU内には、ポンプPとしてギヤポンプが収装されている。以下、このギヤポンプの構成について説明する。図3は液圧ユニットHU内に配置されたポンプPの構成を表す断面図である。尚、説明のためケーシング(ポンプハウジング1a)のみ断面を取っており、ケーシング内に収装されるポンプ組立体3aについては側面図とする。
ポンプハウジング1aには、ポンプ組立体3aを収装する円筒状のシリンダ孔1bが設けられている。このシリンダ孔1bの底面部には駆動軸支持孔2aが設けられている。駆動軸支持孔2aの内周には軸受20aが設けられ、駆動軸支持孔2aには後述する駆動軸10Aが回転可能に支持されている。
シリンダ孔1bの内周面は、位置決め用の当接面101aと内壁102aから構成されている。当接面101aは、内壁102aよりも駆動軸支持孔2aとの関係において高い精度により形成されている。ポンプハウジング1aの径方向には、吐出ポートが設けられ、シリンダ孔1bと外部とを連通している。ポンプハウジング1aの駆動軸支持孔2aを含む面に相対する面には、ブレーキ液吸入通路と連通する吸入ポート4aが設けられている。
ポンプ組立体3aは、図4に示すように、駆動軸10Aに設けられた駆動ギヤ10aと、従動軸11Aに設けられた従動ギヤ11aと、駆動軸10A及び従動軸11Aの軸方向両側に設けられた一対のサイドプレート7a,8aと、シールブロック12aから構成されている。駆動軸10AにはブラシレスモータMが接続されている。尚、実施例のポンプ組立体3aは、ケーシングに対し駆動軸10Aのみで支持されており、従動軸11Aは支持されていないものとする。
次に、ポンプ駆動作用について説明する。モータMにより駆動軸10Aが駆動されると、駆動ギヤ10aを介して従動ギヤ11aが駆動される。この作用によって吸入ポート4aから低圧の流体が導入され、シリンダ孔1b、オイルシール5aとポンプ組立体3aの間に設けられた高圧室16aに高圧の流体が出力される。この高圧の流体はポンプハウジング1aに設けられた吐出ポートから図外のホイルシリンダに出力される。
この時、駆動軸10Aの駆動によってポンプ組立体3aの外周が高圧となり、吸入ポート4aの内部は低圧となるため、この低圧部に向かって各構成部品(サイドプレート7a,8a,シールブロック12a等)が凝集する。つまり、この時、各部品は相対的に移動しながら最も密着する位置を取る。このような作用により、ギヤポンプのシール性が向上し、これに伴い低圧部(吸入ポート4a)と高圧部(高圧室16a)との差圧をより効率よく確保でき、ポンプ性能の向上を図るものである。
[ブレーキバイワイヤ制御における通常ブレーキ]
(増圧時)
ブレーキバイワイヤ制御における通常ブレーキ増圧時にはシャットオフバルブS.OFF/V(FL,FR)を閉弁、増圧弁IN/V(FL,FR)を開弁、減圧弁OUT/V(FL,FR)を閉弁し、モータMを駆動し、増圧弁IN/V(FL,FR)により液圧制御を行って増圧を行う。
(減圧時)
通常ブレーキ減圧時には所定の増圧弁IN/V(FL,FR)を閉弁、減圧弁OUT/V(FL,FR)を開弁して液圧をリザーバRSVに排出し、減圧を行う。なお、後述する増圧弁全開制御を行う増圧弁については閉弁しない。
(保持時)
通常ブレーキ保持時には所定の増圧弁IN/V(FL,FR)および減圧弁OUT/V(FL,FR)を閉弁し、液圧を保持する。減圧時と同様に、後述する増圧弁全開制御を行う増圧弁については閉弁しない。
[マニュアルブレーキ]
マニュアルブレーキ時には常開のシャットオフバルブS.OFF/Vおよび増圧弁IN/V(FL,FR)が開弁、常閉の減圧弁OUT/V(FL,FR)が閉弁される。したがってFL,FR輪ホイルシリンダW/C(FL,FR)にマスタシリンダ圧Pmが作用する状態となる。これによりマニュアルブレーキを確保する。
[ブレーキバイワイヤにおける増圧弁全開制御]
装置のコンパクト化を図るためポンプ吐出側から増圧弁に至るまでの油路体積を小さく設けた場合、増圧弁閉弁時にはポンプ脈動を吸収する油路体積も小さくなり、ポンプ吐出側の圧力変動が大きくなって制御性が悪化する。そのため本願実施例1では、油圧ブレーキを用いた前輪ホイルシリンダW/C(FL,FR)のうち、目標液圧P*が高い側の増圧弁IN/V_Hを全開(流路面積を最大)とする。
実施例1の油圧回路は1つのポンプPでFL,FR輪ホイルシリンダW/C(FL,FR)を増圧するため、増圧輪が存在する場合、ポンプ吐出圧Ppは最低でも高圧側ホイルシリンダの目標液圧P*_H以上とする必要がある。一方、低圧側ホイルシリンダの目標液圧P*_Lは、吐出圧Ppを増圧弁IN/Vによって比例制御することにより得ればよい。
したがって、目標液圧P*が高い側の増圧弁IN/V_Hを全開とし、ポンプ吐出圧Ppによって目標液圧P*が高い側のホイルシリンダW/C_Hを直接制御する。これにより、ポンプPの吐出側と目標液圧P*が高い側のホイルシリンダW/C_Hとを連通状態とし、ポンプ吐出側の油路体積を増大させてポンプ吐出側における作動油の振動を低減する。また、ポンプ吐出圧Ppによって目標液圧P*が高い側のホイルシリンダW/C_Hを直接制御するため、ポンプPの吐出圧Ppは必要最低限でよい。
ここで、ポンプPの吐出圧Ppをフィードバック制御するには、ポンプ吐出圧を検出するポンプ吐出圧センサを設ける必要がある。実施例1では、高目標液圧P*_H側の増圧弁IN/V_Hを全開とするため、ポンプ吐出圧Ppと高目標液圧P*_H側の液圧P_Hがほぼ等圧となる。したがって高目標液圧側の液圧センサWC/Sen_Hでポンプ吐出圧Ppを検出することにより、ポンプ吐出圧センサを省略することができる。すなわち、実施例1では、複数の車輪のうち、流路面積を最大とした車輪の液圧を選択し、この液圧を液圧源の圧力として推定することにより、液圧源の吐出圧を検出する液圧センサを省略している。
すなわち、実施例1のブレーキバイワイヤにおける増圧弁全開制御にあっては、最大液圧を必要とする車輪を選択し、この車輪のホイルシリンダ圧とポンプPとの間でフィードバックループを構成し(以下、第1フィードバックループと記載する)、他の車輪は、それぞれ独立にホイルシリンダ圧と増圧弁IN/Vとの間でフィードバックループを構成している(以下、第2フィードバックループと記載する)。
通常、増圧弁IN/Vの開度が変わると、増圧弁IN/Vの下流側の液圧を制御できる一方で、増圧弁IN/Vの上流側の液圧も変化してしまう。よって、第2フィードバックループの影響が他の車輪の第2フィードバックループに影響を及ぼすおそれがあり、制御系が発散する虞がある。これに対し、実施例1では、第1フィードバックループが第2フィードバックループにおける増圧弁IN/Vの上流側に与える影響を吸収するように作用することで、安定した制御系を構成している。
上述したように、実施例1のポンプPはシールブロック12aを備えたギヤポンプPを採用している。このギヤポンプPで摩擦が発生するのは、駆動軸10Aとオイルシール5aが接触する部分、駆動軸10Aと軸受20aが接触する部分、駆動軸10A,従動軸11Aとサイドプレート7a,8aが接触する部分、及び駆動ギヤ10a,従動ギヤ11aとサイドプレート7a,8aが接触する部分が考えられる。
このうち、駆動ギヤ10a,従動ギヤ11a及びサイドプレート7a,8aが接触する部分については、サイドプレート7a,8aのギヤに面した側と高圧室16aに面した側で力の釣り合いが取られるように設計がされているので、摩擦力は小さいと考えられる。
図16はジャーナル軸受の油膜圧力分布を表す図である。一般に、このようなジャーナル軸受においては油膜圧力が図16のように分布することが知られている。軸と軸受の間隔が狭くなると、その部分の油膜の圧力が高くなり、軸と軸受の間隔を離すような力が働いて、軸と軸受の金属接触を防止して潤滑する。ここで、Pは圧力、eは回転体の偏心量、φは偏心角、Wは軸受負荷、rは回転体半径等を表す。尚、一般的な現象論であるため、特に説明しない。
図17はギヤポンプの回転数と摩擦力の関係を表す図である。この油膜の圧力は、軸が高回転であるほど高くなる。つまり、高回転であるほど摩擦力が小さくなる。そして、ある回転数以上では、駆動軸10Aと軸受20a、駆動軸10A,従動軸11Aとサイドプレート7a,8aの距離が安定するので、摩擦力がほぼ一定となる。
また、ポンプ吐出圧が高圧になるほど、軸が軸受に強く押し付けられる事になるので、ポンプ吐出圧が高圧であるほど摩擦力が大きくなる。このような特性を持つギヤポンプの回転数を制御する場合、ポンプ吐出圧が高圧でポンプが低回転の領域では急激に摩擦力が増大するため、制御が困難である。更に、モータをブラシレスモータとし、ホール素子で回転角を検出する場合、モータの機械角で60°ごとの区別しかできないため、モータが低回転になると、回転しているのか停止しているのかの判断が難しい。すなわち、ポンプPの回転数を低回転領域で制御することは非常に難しいと言える。
また、図17に示すような特性が安定している場合には、補正係数等を導入して制御することも考えられるが、実際に回転数と摩擦力との関係を測定した結果、この特性自体も大まかな傾向としては成立するものの、ばらつきが大きいことが把握された。すなわち、図17の矢印で示すように、低回転での高い摩擦力が発生する領域では、摩擦力自体のばらつきが大きく、また、低回転でのセンサの精度のばらつきが大きいことから考えると、精度よく回転数制御を行うことが非常に困難であることを見出した。
そこで、実施例1では、摩擦力が不安定な領域での使用を回避するために、モータ目標回転数演算部114において、演算された目標モータ回転数N*が、吐出圧に応じて設定されたポンプ駆動の最低回転数であるポンプ回転数閾値N0を下回った時は、目標モータ回転数N*としてポンプ回転数閾値N0となるように回転数を嵩上げして出力することとした。
このとき、嵩上げ分だけポンプPから過剰なブレーキ液が吐出されるため、減圧弁OUT/Vから過剰なブレーキ液を排出させるべく、減圧弁OUT/Vのフィードバック制御系を構成し、所望のホイルシリンダ圧を達成することとした。
ここで、複数存在する減圧弁OUT/Vのうち、どの減圧弁OUT/Vから過剰ブレーキ液を排出するかが問題となる。実施例1のブレーキ制御では、W/C目標液圧最大値に相当する増圧弁IN/Vを全開とし、それ以外の増圧弁IN/Vについては、フィードバック制御を行うこととしている。このため、必ずしも全開となっていない増圧弁IN/V(以下、非全開増圧弁と記載する)と組になった減圧弁OUT/Vを開いたとしても、その非全開増圧弁IN/Vから過剰ブレーキ液が全て流れてくることはなく、制御性がよいとは言えない。
そこで、全開になっている増圧弁IN/V(以下、全開増圧弁と記載する)に対応する減圧弁OUT/Vから過剰ブレーキ液を排出することとした。全開増圧弁IN/Vは最も流路抵抗が少なく、過剰ブレーキ液は積極的にこのホイルシリンダに流れてくる。また、このホイルシリンダの制御系は、増圧弁IN/Vにあっては全開であるため特に制御されておらず、また、モータMに関してはポンプ回転数閾値N0となるように制御されるため、目標値が固定された状態といえる。
よって、この全開増圧弁IN/Vに対応する減圧弁OUT/Vから過剰ブレーキ液を排出するようにフィードバック制御系を構成することで、1つの系に目標値が頻繁に変更されるような複数のフィードバック制御が介在しないため、制御性を向上することができる。
上記減圧弁OUT/Vによるフィードバック制御系を第3フィードバックループとしたときの位置づけを、上述の第1フィードバックループとの関係に基づいて説明する。全開増圧弁IN/Vの属するホイルシリンダ系はポンプ回転数と目標液圧との間で第1フィードバックループを構成している。しかし、上述したように、モータ回転数閾値N0を規定してしまうと、ホイルシリンダ圧をモータ回転数フィードバックによって制御することはできない。そこで、全開増圧弁IN/Vの属するホイルシリンダにおける減圧弁OUT/Vで液圧フィードバック制御を行う。
すなわち、第1フィードバックループが作動したとしても、モータMの回転数がホイルシリンダ圧を制御する要素となり得ないときは、減圧弁OUT/Vとホイルシリンダ圧との第3フィードバックループに切り替えるものと言える。
[ブレーキバイワイヤ制御処理]
図5は、ブレーキバイワイヤ制御処理の流れを示すフローチャートである。以下、各ステップにつき説明する。
ステップS10では目標液圧モードを増圧、保持、減圧のいずれとするかを決定し、ステップS20へ移行する。
ステップS20Aでは、ステップS10において決定された目標液圧モードに基づいて増圧閾値及び減圧閾値の補正処理を実行する。
ステップS20では、ステップS20Aで設定された増圧閾値及び減圧閾値と、ホイルシリンダ液圧偏差に基づいて、W/C液圧制御モードを増圧、保持、減圧のいずれとするかを決定する。
ステップS30では増圧弁制御モードを全開、全閉、比例制御(中間開度)のいずれとするかを決定し、ステップS30Aへ移行する。
ステップS30Aでは減圧弁制御モードを全開、全閉、比例制御(中間開度)のいずれとするかを決定し、ステップS40へ移行する。
ステップS40ではW/C液圧制御モードが増圧であるW/Cが少なくとも1つ存在するかどうかが判断され、YESであればステップS50へ移行し、NOであればステップS60へ移行する。
ステップS50ではポンプ制御処理を実行し、ステップS60へ移行する。
ステップS60では増圧弁制御モードは比例制御であるかどうかが判断され、YESであればステップS70へ移行し、NOであれば制御を終了する。
ステップS70では増圧弁制御処理を実行し、制御を終了する。
ステップS60Aでは減圧弁制御モードは比例制御であるかどうかが判断され、YESであればステップS70Aへ移行し、NOであれば制御を終了する。
ステップS70Aでは減圧弁制御処理を実行し、制御を終了する。
[目標液圧モード決定処理]
図6は、目標液圧モード決定処理(図5:ステップS10)の流れを示すフローチャートである。
ステップS11では目標液圧P*の勾配ΔP*≧増圧指令閾値であるかどうかが判断され、YESであればステップS13へ移行し、NOであればステップS12へ移行する。
ステップS12では目標液圧勾配ΔP*≦減圧指令閾値であるかどうかが判断され、YESであればステップS14へ移行し、NOであればステップS15へ移行する。
ステップS13では目標液圧モードを増圧とし、制御を終了する。
ステップS14では目標液圧モードを減圧とし、制御を終了する。
ステップS15では目標液圧モードを保持とし、制御を終了する。
[閾値補正処理]
図7は、閾値補正処理(図5:ステップS20A)の関係を示す補正テーブルである。目標液圧モード決定処理により増圧とされると、増圧閾値にあっては予め設定された基準増圧閾値よりも小さくなるように補正され、減圧閾値にあっては予め設定された基準減圧閾値よりも大きくなるように補正される。これにより、増圧されやすく、減圧されにくい閾値が設定されることとなる。
同様に、目標液圧モード決定処理により減圧とされると、増圧閾値にあっては予め設定された基準増圧閾値よりも大きくなるように補正され、減圧閾値にあっては予め設定された基準減圧閾値よりも小さくなるように補正される。これにより、減圧されやすく、増圧されにくい閾値が設定されることとなる。尚、目標液圧モード決定処理により保持とされたときは、特に閾値の補正は実行しない。
[W/C液圧制御モード決定処理]
図8は、W/C液圧制御モード決定処理(図5:ステップS20)の流れを示すフローチャートである。尚、本ステップにおける閾値は、ステップS20Aにより補正された増減圧閾値が用いられる。
ステップS21ではW/Cの目標液圧P*と実液圧の偏差ΔP≧増圧閾値であるかどうかが判断され、YESであればステップS23へ移行し、NOであればステップS22へ移行する。
ステップS22ではW/Cの目標液圧P*と実液圧の偏差ΔP≦減圧閾値であるかどうかが判断され、YESであればステップS24へ移行し、NOであればステップS25へ移行する。
ステップS23ではW/C液圧制御モードを増圧とし、制御を終了する。
ステップS24ではW/C液圧制御モードを減圧とし、制御を終了する。
ステップS25ではW/C液圧制御モードを保持とし、制御を終了する。
[増圧弁制御モード決定処理(高圧側優先全開)]
図9は、増圧弁制御モード決定処理(図5:ステップS30)の流れを示すフローチャートである。
ステップS31では目標W/C液圧P*(例えばFL輪)が各W/C目標液圧P*fl,P*frのうち最大値であるかどうかが判断され、YESであればステップS33へ移行し、NOであればステップS32へ移行する。
ステップS32ではW/C液圧制御モードが増圧モードであるかどうかが判断され、YESであればステップS34へ移行し、NOであればステップS35へ移行する。
ステップS33では増圧弁制御モードを全開とし、制御を終了する。
ステップS34では増圧弁制御モードを比例制御とし、制御を終了する。
ステップS35では増圧弁制御モードを全閉とし、制御を終了する。
[減圧弁制御モード決定処理]
図10は、減圧弁制御モード決定処理(図5:ステップS30A)の流れを示すフローチャートである。
ステップS201では、W/C液圧制御モードが減圧かどうかを判断し、減圧のときはステップS204へ進み、それ以外のときはステップS202へ進む。
ステップS202では、ポンプの目標回転数N*がポンプ回転数閾値N0以下かどうかを判断し、閾値以下のときはステップS203へ進み、それ以外のときはステップS205へ進む。
ステップS203では、増圧弁制御モードが全開かどうかを判断し、全開のときはステップS204へ進み、それ以外のときはステップS205へ進む。
ステップS204では、減圧弁制御モードを比例制御に設定する。
ステップS205では、減圧弁制御モードを全閉とする。
[ポンプ制御処理ブロック図]
図11は、図5のステップS50において実行されるポンプ制御処理のブロック図である。ポンプ制御はコントロールユニットCU内のポンプ制御ユニットP.CUにおいて実行されるものとする。
ポンプ制御ユニットP.CUは、目標量算出部110、目標ポンプ圧演算部111、W/C液量偏差FB(フィードバック)演算部112、ポンプリーク量演算部113、モータ目標回転数演算部114、ロストルク演算部115、目標回転数微分演算部116、および回転数偏差FB(フィードバック)演算部117を有する。
目標量算出部110は、図12に示すようなキャリパとその付属品の負荷剛性の実験データを用いて、各輪FL,FRの目標液圧P*(FL,FR)に基づきポンプPの目標流量Qp*を演算し、乗算部122へ出力する。また、各輪ホイルシリンダW/C(FL〜RR)の目標液量Vw*(FL,FR)を演算し、加算部131へ出力する。さらに、全開となっている増圧弁IN/V系統ホイルシリンダの目標液圧P*_Hを目標ポンプ圧演算部111へ出力する。
目標ポンプ圧演算部111は、全開となっている増圧弁IN/V系統ホイルシリンダの目標液圧P*_Hに基づき目標ポンプ圧Pp*を演算し、ポンプリーク量演算部113、ロストルク演算部115、および乗算部121へ出力する。
乗算部121は目標ポンプ圧Pp*にポンプPの1回転当たり理論吐出量Vth/2πを乗じ、目標ポンプ圧Pp*を出力するために必要なポンプPの必要理論トルクTthを演算して加算部134へ出力する。
W/C液量偏差FB演算部112は、加算部131において演算されたホイルシリンダW/C(FL,FR)の目標液量Vw*(FL,FR)と実液量Vw(FL,FR)の偏差ΔVw(FL,FR)によるフィードバック制御演算を行い、フィードバック成分ΔVw(FB)を加算部132へ出力する。
ポンプリーク量演算部113は実験値等に基づきポンプリーク量Qplを演算し、加算部132へ出力する。
加算部132は、ポンプリーク量Qpl、液量偏差FB成分ΔVw(FB)、およびポンプ目標流量Qp*と理論吐出量Vthの逆数を乗じたもの(乗算部122で演算)を加算し、モータ目標回転数演算部114へ出力する。
モータ目標回転数演算部114は、加算部132で演算された加算値に基づきモータ目標回転数N*を演算し、ロストルク演算部115、目標回転数微分演算部116および加算部133へ出力する。
更に、このモータ目標回転数演算部114では、モータ回転数嵩上げ制御が実行される。具体的には、モータ目標回転数演算部114において演算された目標モータ回転数N*が、ポンプ回転数閾値N0以下か否かを判断し、ポンプ回転数閾値N0以下のときは、目標ポンプ回転数N*をポンプ回転数閾値N0に置換してロストルク演算部115及び目標回転数微分演算部116に出力すると共に、目標ポンプ回転数N*とポンプ回転数閾値との偏差ΔN0を後述する減圧弁制御部のポンプ過剰回転に相当する流量演算部260に出力する。
一方、目標モータ回転数N*がポンプ回転数閾値N0以上のときは、特にポンプ回転数を嵩上げする必要がないため、目標ポンプ回転数N*をロストルク演算部115及び目標回転数微分演算部116にそのまま出力する。このとき、減圧弁制御は実行されることはない。
ロストルク演算部115は、モータ目標回転数N*および目標ポンプ圧Pp*に基づき実験データ等からモータMのロストルクTloを演算し、加算部134へ出力する。
目標回転数微分演算部116は、モータ目標回転数N*を微分して慣性モーメント演算部123へ出力する。
慣性モーメント演算部123はモータMの角速度の加減速に必要なトルクを演算し、加算部135へ出力する。
回転数偏差FB(フィードバック)演算部117は、モータMの目標回転数N*と実回転数Nの偏差ΔN(加算部133で演算)によるフィードバック制御演算を行い、回転数偏差ΔNのフィードバック成分ΔN(FB)を加算部135へ出力する。
加算部134はモータMの理論トルクTthとロストルクTloを加算して負荷トルクTdを演算し、加算部135へ出力する。
加算部135はモータMの負荷トルクTdと回転数偏差FB成分ΔN(FB)、およびモータMの角速度の加減速に必要なトルクを加算してモータMの目標トルクT*を演算し、電流変換部124へ出力する。
電流変換部124は目標トルクT*を目標トルク電流に変換し、モータMへ出力してポンプPを駆動する。
[増圧弁制御処理ブロック図]
図13は、図5のステップS70において実行される増圧弁制御処理のブロック図である。なお、図13ではP*Fr>P*flであり、FL輪増圧弁IN/V(FL)を比例制御し、FR輪増圧弁IN/V(FL)を全開とする場合を示す。
増圧弁制御処理は、目標量算出部150、目標ポンプ圧演算部161、ホイルシリンダ差圧偏差FB(フィードバック)演算部162、増圧弁目標電流演算部163、電流偏差FB(フィードバック)演算部164、増圧弁電圧Duty演算部165から構成される。
目標量算出部150は、各輪FL,FRの目標液圧P*(FL,FR)に基づき、増圧弁が全開となっているホイルシリンダの目標液圧P*_H(ここではP*_H=P*fr)、FL輪増圧弁IN/V(FL)の目標流量Qvfl、およびFL輪目標液圧P*flを出力する。尚、FL輪ホイルシリンダの目標流量Qv*flは、目標液圧P*flから目標液量に換算した値を微分した値として出力される。
FL輪目標液圧P*flは加算部171,172へ出力される。さらに、FL輪増圧弁目標流量Qvflは増圧弁目標電流演算部163へ出力される。
目標ポンプ圧演算部161は、全開となっている目標W/C圧P*_H(P*_H=P*fr)に基づき目標ポンプ圧Pp*を演算し、Pp*を加算部171へ出力する。
加算部171は目標ポンプ圧Pp*およびFL輪目標液圧P*flの差分を演算し、FL輪増圧弁目標差圧ΔPv*flとして増圧弁目標電流演算部163へ出力する。
加算部172はFL輪液圧の目標液圧P*flと実液圧Pflの偏差ΔPwflを演算してホイルシリンダ差圧偏差FB演算部162へ出力する。
ホイルシリンダ差圧偏差FB演算部162は、差圧偏差ΔPwflをフィードバック制御して差圧偏差ΔPwflのフィードバック成分ΔPwfl(FB)を増圧弁目標電流演算部163へ出力する。
増圧弁目標電流演算部163は、FL輪増圧弁目標差圧ΔPv*FLおよび差圧偏差FB成分ΔPwfl(FB)、およびFL輪増圧弁IN/V(FL)の目標流量Qvflに基づきFL輪増圧弁目標電流I*flを演算し、増圧弁電圧Duty演算部165および加算部173へ出力する。
加算部173は、FL輪増圧弁IN/V(FL)の目標電流I*flと実電流Iflの偏差ΔIfl(FB)を演算し、電流偏差FB演算部164へ出力する。
電流偏差FB演算部164は、FL輪増圧弁IN/V(FL)の電流偏差ΔIflのフィードバック成分ΔIfl(FB)を増圧弁電圧Duty演算部165へ出力する。
増圧弁電圧Duty演算部165は、電源モニタ180からの電源モニタ値、FL輪増圧弁目標電流I*fl、および電流偏差フィードバック成分ΔIfl(FB)に基づきFL輪増圧弁IN/V(FL)の電圧Dutyを演算し、FL輪増圧弁IN/V(FL)を駆動してFL輪液圧Pflを比例制御する。
[減圧弁比例制御]
図14はステップS70Aで行われる減圧弁制御を表すブロック図である。
目標量算出部250では、各輪目標液圧P*を目標差圧演算部261及び偏差演算部272に出力する。更に全開輪OUT/V目標流量Qvoutを演算し、OUT/V目標電流演算部263に出力する。尚、この目標流量の算出については後述する。
目標液圧P*が決まると、減圧弁OUT/Vの上流と下流の差圧が目標液圧P*となればよい。減圧弁OUT/Vの下流はほぼ大気圧なので、目標差圧=目標液圧となる。目標差圧が大きいときは、減圧弁OUT/Vから流出する液量を減らす必要があるため、目標電流値I*outは小さく設定され、目標差圧が小さいときは、減圧弁OUT/Vから流出する液量をさほど減らす必要がないため、目標電流値I*outは大きく設定される。
(目標流量成分について)
液圧に対応する液量とは、ホイルシリンダ系に流れ込む液量がこのくらいなら、このくらいの圧力が出るという意味を表す。液量変化が流量なので、ホイルシリンダ系に流れ込む際の単位時間当たりの目標流量は、液量の微分値として算出される。そこで、目標量算出部250では、図12に示すキャリパとその付属品の負荷剛性の実験データを用いて、まず、ホイルシリンダ目標液圧P*をホイルシリンダ目標液量に変換し、その微分値をホイルシリンダ目標流量とする。
ここで、減圧弁OUT/Vはホイルシリンダ系からの流出量をコントロールする要素である。上述の目標流量とは、ホイルシリンダ系へ流れ込む流量を表しており、減圧弁OUT/Vから流出する流量を表している訳ではない。そこで、ホイルシリンダ目標流量が正のときは、増圧要求があるため減圧弁OUT/Vを開くべきではないため、減圧弁目標流量QvoutとしてOUT/V目標電流演算部263に0を出力する。
一方、ホイルシリンダ目標流量が負のときは、減圧要求があるため減圧弁目標流量Qvoutをホイルシリンダ目標流量を絶対値化して正負を逆転させた値を出力する。これにより、ホイルシリンダ目標流量が負のときは、ブレーキ液を減圧弁OUT/Vから流出させて減圧する必要があるため、減圧弁OUT/Vへの目標電流値は大きくなる。
(モータ回転数嵩上げ制御処理について)
ここで、上述のように目標液圧P*から減圧弁目標流量Qvoutを算出しているものの、ポンプPの目標回転数N*がポンプ回転数閾値N0未満のときはポンプPが過剰に回転し、その分の流量を減圧弁OUT/Vから排出する必要がある。そこで、ポンプ過剰回転に相当する流量演算部260では、ポンプの目標回転数N*とポンプ回転数閾値N0を読み込み、この偏差を取ってポンプ過剰回転分に相当する流量Qpoverを算出する。この流量Qpoverが減圧弁OUT/Vから流出させるべき流量であるため、増圧弁が全開となっているホイルシリンダに属する減圧弁では、減圧弁目標流量Qvoutに流量Qpoverを加算し、最終的な目標流量QvをOUT/V目標電流演算部263に出力する。
ここで、ポンプ回転数閾値N0は可変値とされている。図15はポンプ吐出圧相当値とポンプ回転数閾値N0との関係を表すマップである。すなわち、ポンプ吐出圧が高い時は、それだけギヤポンプPの摩擦力のばらつきが大きくなる傾向にあり、そのときは、ポンプ回転数閾値N0を高めに設定しておくことで安定化させる。一方、ポンプ吐出圧が低い時は、ギヤポンプPの摩擦力のばらつきが小さくなる傾向にあるため、そのときは、ポンプ回転数閾値N0を低めに設定しておく。これにより、状況に応じた適正なポンプ駆動状態を達成できる。
(電流フィードバック制御について)
上記のように目標電流値I*outが決定されると、減圧弁OUT/Vのソレノイドから検出される電流値とのフィードバック制御により減圧弁OUT/Vのフィードバック制御が行われ、ホイルシリンダ圧が適宜制御される。
[増圧弁制御時におけるタイムチャート]
図18は、実施例1の制御を行った際のFL,FR輪液圧、増圧弁制御モード、減圧弁制御モード及びモータ回転数の対比のタイムチャートである。ホイルシリンダ液圧において、太い実線はFL輪の目標液圧P*fl,太い点線はFR輪の目標液圧P*fr,細い実線は実液圧を示す。また、増圧弁制御モードにおいて、実線はFL輪の増圧弁IN/V(FR)の制御モード,点線はFR輪の増圧弁IN/V(FL)の制御モードを表す。減圧弁制御モードにおいて、実線はFL輪の減圧弁OUT/V(FL)の制御モード,点線はFR輪の減圧弁OUT/V(FR)の制御モードを表す。モータ回転数において、実線は目標モータ回転数N*,一点鎖線は実モータ回転数Nを表す。
(時刻t1)
時刻t1において各輪増圧指令が出力され、目標液圧P*fl,P*frが立ち上がる。FL,FR輪ともに増圧であり、P*fl>P*frであるため、高圧側のFL輪増圧弁IN/V(FL)が全開、低圧側のFR輪増圧弁IN/V(FR)が比例制御となる。このとき、減圧弁については両方とも全閉制御となる。
(時刻t2)
時刻t2において、ホイルシリンダ液圧が高圧になり、少ない流量である程度の液圧を確保出来る状態となると、目標モータ回転数N*が低下していく(当然、モータに要求される負荷トルクは高くなる)。このとき、モータ回転数閾値N0を下回ると、目標モータ回転数N*に代えて、モータ回転数閾値N0が出力されるため、実モータ回転数はモータ回転数閾値N0と略同じとなる。
同時に、増圧弁全開制御が選択されているFL輪にあっては、FL輪減圧弁OUT/V(FL)の制御として比例制御が選択され、更に、ポンプ過剰回転数が読み込まれる。これにより、ポンプ過剰回転数に応じた流量が減圧弁OUT/V(FL)から流出される。一方、FR輪に対しては増圧が継続され、低圧側のFR輪増圧弁IN/V(FR)は比例制御とされる。同様に、FR輪減圧弁OUT/V(FR)は全閉制御が継続される。
その後、高圧側のFL輪が保持状態に移行すると、実際にはチェック弁C/V(FL)が設けられているため、補給すべき液量は、FR輪の増圧弁IN/Vに供給されるブレーキ液分とポンプ等からのリーク分だけでよい。しかしながら、これらのリーク分は非常に僅かであることから、高負荷低回転状態を維持する必要があるため、安定した制御は非常に困難である。そこで、ある程度モータを回転させつつ減圧弁OUT/V(FL)から過剰分のブレーキ液を流出させ、安定したポンプ吐出圧を確保するものである。
(時刻t3)
時刻t3においてFR輪の目標液圧P*frが目標値に達し、FR輪目標液圧P*frが保持とされる。実際にはチェック弁C/V(FL)が設けられているため、補給すべき液量は、油路上のリーク分のブレーキ液をポンプPから供給し続けなければホイルシリンダ圧を保持することができない。
しかしながら、これらのリーク分は上述のポンプ等のリークよりも更に僅かであることから、高負荷低回転状態を維持する必要があるため、安定した制御は非常に困難である。そこで、このシーンでも同様に、ある程度モータを回転させつつ減圧弁OUT/V(FL)から過剰分のブレーキ液を流出させ、安定したポンプ吐出圧を確保するものである。
実施例1では、両輪が共に同じ目標液圧となった場合には、今まで全開だった増圧弁の属する減圧弁のみから継続的に過剰分のブレーキ液を排出させている。これに対し、例えば、両輪の増圧弁IN/Vを共に全開とし、同じ目標液圧の輪に等分に排出量を分配して、各最大液圧の輪に属する減圧弁から排出させてもよい。これにより、ポンプ吐出側の容積を更に確保することが可能となり、更にポンプ吐出圧を安定させることができる。
また、実施例1のように、チェック弁C/Vを備えた構成であれば、ポンプを間欠的に駆動させて、リーク分を補うようにしてもよい。このときは、両輪の目標液圧が同じで、かつ、保持されているという条件が成立した時は、ポンプPの駆動を停止し、例えば、予め設定された所定時間毎にポンプPを駆動する。これにより、モータMに常に高負荷が作用することがなく、電力消費を抑制することができる。尚、ポンプPとチェック弁の間に高圧が作用した状態でモータMのトルクが無くなると、ポンプPは逆回転させられるものの、チェック弁C/Vがあるため、特に問題はない。
(時刻t4)
時刻t4において、例えば運転者がブレーキペダルを離すことで目標液圧P*が両輪とも一気に0となると、増圧弁は共に全閉制御となり、減圧弁は共に全開制御となる。更にモータMの目標回転数も0に切り替えられる。
以上説明したように、実施例1では下記に列挙する作用効果を得ることができる。
(1)複数の車輪にそれぞれ設けられたホイルシリンダW/Cと、このホイルシリンダW/C内のブレーキ液を加圧するポンプPと、このポンプPを回転駆動するモータMと、ホイルシリンダ内のブレーキ液を開弁により流出させて減圧する減圧弁OUT/Vと、を有し、ホイルシリンダ内の液圧が目標液圧P*となるように、モータMと減圧弁OUT/Vの両方を作動させて制御することとした。
よって、ホイルシリンダ圧が高圧で液圧勾配が小さい場合であっても、ホイルシリンダ圧を安定させることができる。これに伴い、ホイルシリンダ内の液圧制御精度を向上することが可能となり、車両挙動制御等の制御精度を向上することができる。
(2)目標液圧P*に応じたポンプPの目標回転数N*を演算し、目標回転数N*がモータ回転数閾値N0より低いときは、目標回転数N*をモータ回転数閾値N0に設定すると共に、目標回転数N*とモータ回転数閾値N0との偏差に応じた過剰ブレーキ液を減圧弁OUT/Vから流出させることとした。
よって、ポンプ回転数を、ポンプに要求される回転数制御精度が確保できる最低回転数よりも高い回転数に設定することが可能となり、安定したモータ回転数制御を容易に達成することができる。
(3)ポンプPとホイルシリンダW/Cとの間に、ポンプP側からホイルシリンダW/C側への流れのみ許容するチェック弁C/Vを有することから、ポンプ過剰回転数分のブレーキ液を減圧弁OUT/Vから流出させる制御は、ホイルシリンダ内を増圧するときにのみ実行することとしてもよい。
すなわち、チェック弁C/Vによりホイルシリンダ内にブレーキ液を保持することが可能となることから、制御モードが保持であればポンプPを駆動する必要性が低い。このとき、油路上のリーク分を補填するだけであれば、間欠的にポンプPを駆動するだけでもホイルシリンダ圧の変動を伴うことがない。このように、減圧低回転高負荷でのポンプ駆動シーンを適切に選択することで、エネルギ損失を低減することができる。
(4)ホイルシリンダW/C内に、各輪の目標液圧の最大値P*_Hに該当するホイルシリンダW/Cに対応する増圧弁IN/Vを全開とする全開制御を行い、この全開制御により全開とされた増圧弁IN/Vに対応するホイルシリンダ内の液圧を制御することとした。
全開とされている増圧弁IN/Vの属するホイルシリンダ圧は、ポンプPによりフィードバック制御されることとなる。このとき、ポンプ回転数がポンプ回転数閾値N0に規定されてしまうと、フィードバック制御ができない。これに対し、減圧弁との間でフィードバック制御を達成することが可能となり、安定した制御を達成できる。
(5)実施例1のポンプPはギヤポンプであるため、ポンプ室1つ1つの容積が小さいことからモータ回転数制御によりきめ細やかな液圧制御を達成することができる。
(6)モータMの回転数を、ホール素子により検出することとした。モータMの低回転時の回転数制御の精度を向上させるには、通常、レゾルバ等の分解能が高く、高価なセンサを備えることが一般的である。これに対し、ホール素子のように低回転での分解能が低く、安価なセンサであっても、モータ回転数がモータ回転数閾値N0より高い回転数でのみ駆動されるため、安価な構成で制御精度の向上を図ることができる。
(7)減圧弁OUT/Vは、連続的に流量を制御可能な電磁比例制御弁としたことで、制御精度を向上することができる。
実施例2につき図19、図20に基づき説明する。基本構成は実施例1と同様である。実施例1では前輪のみ油圧ブレーキバイワイヤ制御としたが、実施例2では4輪全輪を油圧ブレーキバイワイヤ制御とする点で異なる。
図19は実施例2におけるシステム構成図、図20は油圧回路図である。ブレーキ液圧装置は、通常時には4輪全輪のホイルシリンダW/C(FL〜RR)を1つのポンプMain/Pによって増圧する油圧ブレーキバイワイヤシステムである。マスタシリンダM/Cはいわゆるタンデム型であり、マニュアル回路A(FL),A(FR)によってFL,FR輪ホイルシリンダW/C(FL,FR)に接続されている。
また、マスタシリンダM/CはリザーバRSVと接続し、各電磁弁はコントロールユニットCUにより駆動される。液圧源であるポンプは常用のメインポンプMain/Pと非常用のサブポンプSub/Pが並列に設けられ、それぞれコントロールユニットCUからの指令に基づきメインモータMain/MおよびサブモータSub/Mによって駆動される。
マニュアル回路A(FL,FR)上には常開電磁弁(ON/OFF弁)であるシャットオフバルブS.OFF/V(FL,FR)が設けられ、それぞれ第1、第2マスタシリンダM/C,M/C2とFL,FR輪ホイルシリンダW/C(FL,FR)を連通/遮断する。
マニュアル回路A(FR)上であって第1マスタシリンダM/CとシャットオフバルブS.OFF/V(FR)の間にはストロークシミュレータS/Simが設けられている。このストロークシミュレータS/Simは常閉電磁弁(ON/OFF弁)であるキャンセルバルブCan/Vを介してマニュアル回路A(FR)に接続する。
FRシャットオフバルブS.OFF/V(FR)が閉弁され、キャンセルバルブCan/Vが開弁されている際、ブレーキペダルBPの踏み込みに伴って第1マスタシリンダM/C内の作動油がストロークシミュレータS/Simに導入され、ペダルストロークを確保する。
メインおよびサブポンプMain/P,Sub/Pの吐出側は増圧回路Cに接続し、接続点I(FL〜RR)において各ホイルシリンダW/C(FL〜RR)に接続する。一方、各ポンプMain/P,Sub/Pの吸入側は減圧回路Bと接続される。
この増圧回路C上には常閉電磁弁(比例弁)である増圧弁IN/V(FL〜RR)が設けられ、各ポンプMain/P,Sub/Pと各ホイルシリンダW/C(FL〜RR)の連通/遮断を切り替える。
また、各ホイルシリンダW/C(FL〜RR)は接続点I(FL〜RR)において減圧回路Bと接続する。この減圧回路B上には常閉電磁弁(比例弁)である減圧弁OUT/V(FL〜RR)が設けられ、各ホイルシリンダW/C(FL〜RR)とリザーバRSVとの連通/遮断を切り替える。
各ポンプMain/P,Sub/Pの吐出側にはそれぞれチェック弁C/Vが設けられ、各ポンプMain/P,Sub/Pを介して増圧回路Cから減圧回路Bへ作動油が逆流することを回避する。さらに、増圧回路Cと減圧回路Bとはリリーフ弁Ref/Vを介して接続され、増圧回路Cの圧力が規定値以上となった場合に作動油を減圧回路Bに逃がす。
マニュアル回路A(FL,FR)上であってシャットオフバルブS.OFF/V(FL,FR)とマスタシリンダM/Cとの間、にはそれぞれ第1、第2マスタシリンダ圧センサMC/Sen1,2が設けられ、各ホイルシリンダW/C(FL〜RR)には液圧センサWC/Sen(FL〜RR)が設けられている。また、増圧回路C上にはポンプ吐出圧センサP/Senが設けられている。
コントロールユニットCUには検出された第1、第2マスタシリンダ圧Pm1,Pm2および各液圧P(FL〜RR)、およびブレーキペダルBPのストロークを検出するストロークセンサS/Senの検出値が入力される。
これらの検出値に基づき、コントロールユニットCUは各輪FL〜RRの目標液圧P*(FL〜RR)を演算し、各モータMain/M,Sub/Mおよび増圧弁IN/V(FL〜RR)、減圧弁OUT/V(FL〜RR)を駆動する。また、通常制動時にはシャットオフバルブS.OFF/V(FL,FR)を閉弁し、キャンセルバルブCan/Vを開弁する。
また、コントロールユニットCUは各ホイルシリンダW/C(FL〜RR)の目標液圧P*(FL〜RR)と実液圧P(FL〜RR)の比較を行い、目標液圧に対して実液圧が異常な応答を示した場合は異常信号をワーニングランプWLへ出力する。加えて、コントロールユニットCUには車輪速VSPが入力され、車両の走行/停止を判断する。
[制動制御]
(通常増圧時)
通常増圧時においては、キャンセルバルブCan/Vを開弁、シャットオフバルブS.OFF/V(FL,FR)を遮断して運転者によるブレーキペダルBPの踏み込みをストロークセンサS/Senにより検出し、この検出値に基づきコントロールユニットCUにおいて各ホイルシリンダW/C(FL〜RR)の目標液圧P*(FL〜RR)を演算する。
また、コントロールユニットCUはメインモータMain/MまたはサブモータSub/Mを駆動して吐出圧を増圧回路Cに作用させる。さらに演算された目標液圧P*(FL〜RR)に応じて各増圧弁IN/V(FL〜RR)を駆動し、各ホイルシリンダW/C(FL〜RR)に作動油を供給して制動力を得る。
(減圧時)
減圧時においては、コントロールユニットCUにより各減圧弁OUT/V(FL〜RR)を駆動し、減圧回路Bを介して各ホイルシリンダW/C(FL〜RR)からリザーバRSVへ作動油を排出する。
(保持時)
保持時においては所定の増圧弁IN/V(FL〜RR)、各減圧弁OUT/V(FL〜RR)を閉弁し、各ホイルシリンダW/C(FL〜RR)と増圧、減圧回路C,Bとを遮断する。後述する増圧弁全開制御を行う増圧弁については閉弁しない。
(マニュアルブレーキ)
システム失陥時等においては常開のシャットオフバルブS.OFF/V(FL,FR)が開弁され、常閉の各増圧弁IN/V(FL〜RR)およびFL,FR輪減圧弁OUT/V(FL,FR)が閉弁され、RL,RR輪減圧弁OUT/V(RL,RR)が開弁される。
これによりマスタシリンダM/CとFL,FR輪ホイルシリンダW/C(FL,FR)が連通し、マニュアルブレーキが確保される。一方、ロック防止のためRL,RR輪ホイルシリンダ圧Prl,Prrは略ゼロとなる。
4輪の全てが液圧ユニットHUにより制御される場合でも、実施例1と同様に目標液圧P*が最大となる輪のホイルシリンダに属する増圧弁IN/Vを全開とし、他の輪の増圧弁IN/Vについては比例制御とすることにより、実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
また、全開制御とされた増圧弁IN/Vの属するホイルシリンダW/Cは、ポンプPによる液圧フィードバック制御が行われる。このとき、ポンプPの目標回転数N*がポンプ回転数閾値N0を下回ったときは、実施例1と同様にポンプPをポンプ回転数閾値N0に制御し、過剰ブレーキ液を減圧弁OUT/Vから排出することで、実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
〔他の実施例〕
以上、本願発明を実施例1,2に基づいて説明してきたが、本願発明は上記構成に限られるものではなく、他の構成に適用しても同様の作用効果を得ることができる。
例えば、実施例2では、1つの液圧ユニットHUにより4輪の液圧を制御する構成としたが、前輪側と後輪側で別々の液圧ユニットHUを備えた構成であっても、各液圧ユニットHUにおいて実施例1と同様の制御を実行することができる。
また、前輪側と後輪側ではなく、右前輪と左後輪を一組として液圧ユニットHUを備え、左前輪と右後輪を一組として液圧ユニットHUを備えた所謂X配管構成となるようにした場合であっても、各液圧ユニットHUにおいて実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
実施例1ではFL,FR輪のうち目標液圧が高い側の増圧弁を全開としたが、増圧中の増圧弁を全開としてもよい。低圧側、高圧側ともに増圧中であれば、目標液圧が高い側の増圧弁を全開とする。また、全輪が保持または減圧中である場合は、目標液圧が高い側の増圧弁を全開とする。なお、高圧側が保持・減圧状態にあり、低圧側が増圧状態にある場合は、低圧側増圧弁を全開、高圧側増圧弁を全閉とする。
尚、実施例1では、目標液圧が高い側の増圧弁を全開としているため、必ずしもチェック弁C/Vは必要ないが、上記のように増圧中の増圧弁を全開とする場合は、必ずチェック弁C/Vが必要な点に留意すべきである。このように、増圧中の増圧弁を全開とすることで、ポンプPが必ずしも最大目標液圧を吐出する必要が無く、エネルギ損失を低減することができる。
実施例1では、FL,FR輪のうち目標液圧が高い側の増圧弁は常に全開とし、他の輪は比例制御を行うこととしたが、目標液圧が高い側が保持または減圧のときは、その輪を更に増圧する必要がないことから、目標液圧が低い側が増圧中である場合のみ低圧側増圧弁についても全開としてもよい。この場合も、やはりポンプPが最大目標液圧を吐出する必要が無く、エネルギ損失を低減することができる。
また、実施例1,2では、増圧弁IN/Vは常開弁であったが、常閉弁としてもよい。この場合には、チェック弁C/Vを設けなくとも非通電によりホイルシリンダ圧を保持することができる。ただし、制動時はいずれかの増圧弁IN/Vが全開とされることから通電量が増大することが懸念される。そこで、増圧弁IN/Vの温度や発熱状態を推定して監視しておくことが望ましい。
実施例1のブレーキ制御装置が適用された車両のシステム構成図である。 実施例1のシステムにおける油圧回路とコントロールユニットの構成を示す図である。 実施例1の液圧ユニットHU内に配置されたポンプPの構成を表す断面図である。 実施例1の液圧ユニットHU内に配置されたポンプPの構成を表す外観図である。 実施例1のブレーキバイワイヤ制御処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1の目標液圧モード決定処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1の増減圧閾値を補正する補正テーブルである。 実施例1のW/C液圧制御モード決定処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1の増圧弁制御モード決定処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1の減圧弁制御モード決定処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1のポンプ制御処理のブロック図である。 液圧と液量の関係であるキャリパとその付属品の負荷剛性の実験データである。 実施例1の増圧弁制御処理のブロック図である。 実施例1のポンプ回転数嵩上げ制御を含む減圧弁制御を表すブロック図である。 実施例1のポンプ吐出圧相当値とポンプ回転数閾値との関係を表すマップである。 ジャーナル軸受の油膜圧力分布を表す図である。 実施例1のギヤポンプの回転数と摩擦力の関係を表す図である。 実施例1の制御を行った際のFL,FR輪液圧、増圧弁制御モード、減圧弁制御モード及びモータ回転数の対比のタイムチャートである。 実施例2のブレーキ制御装置が適用された車両のシステム構成図である。 実施例2のシステムにおける油圧回路とコントロールユニットの構成を示す図である。
符号の説明
3a ポンプ組立体
10A 駆動軸
10a 駆動ギヤ
11A 従動軸
11a 従動ギヤ
12a シールブロック
13a 吸入通路
16a 高圧室
20a 軸受
EMB 電動キャリパ
RCU 左右リヤ用コントローラ
MGB 回生ブレーキ装置
BP ブレーキペダル
C/V チェック弁
Can/V キャンセルバルブ
CU コントロールユニット
HU 液圧ユニット
IN/V 増圧弁
M モータ
M/C マスタシリンダ
MC/Sen1,MC/Sen2 マスタシリンダ圧センサ
OUT/V 減圧弁
P ポンプ(ギヤポンプ)
P/Sen ポンプ吐出圧センサ
Ref/V リリーフ弁
RSV リザーバ
S シャットオフバルブ
S/Sen ストロークセンサ
S/Sim ストロークシミュレータ
W/C ホイルシリンダ
WC/Sen 液圧センサ
WL ワーニングランプ

Claims (4)

  1. 複数の車輪にそれぞれ設けられたホイルシリンダと、
    該ホイルシリンダ内のブレーキ液を加圧するポンプと、
    該ポンプを回転駆動するモータと、
    前記ホイルシリンダ内のブレーキ液を開弁により流出させて減圧する減圧弁と、
    前記ホイルシリンダ内の液圧が目標液圧となるように、前記モータと前記減圧弁の両方を作動させて制御する制御手段と、
    を備えたことを特徴とするブレーキ液圧制御装置。
  2. 請求項1に記載のブレーキ液圧制御装置において、
    前記目標液圧に応じた前記ポンプの目標回転数を演算する目標回転数演算手段を設け、
    前記制御手段は、前記目標回転数が所定回転数より低いときは、前記目標回転数を前記所定回転数に設定すると共に、前記目標回転数と前記所定回転数との偏差に応じた過剰ブレーキ液を前記減圧弁から流出させることを特徴とするブレーキ液圧制御装置。
  3. 請求項1または2に記載のブレーキ液圧制御装置において、
    前記ポンプと前記ホイルシリンダとの間に、前記ポンプ側から前記ホイルシリンダ側への流れのみ許容するチェック弁を有し、
    前記制御手段は、前記ホイルシリンダ内を増圧するときに実行することを特徴とするブレーキ液圧制御装置。
  4. 請求項1ないし3いずれか1つに記載のブレーキ液圧制御装置において、
    前記ホイルシリンダ内にブレーキ液を開弁により流入させて増圧する増圧弁と、
    各輪の目標液圧の最大値に該当するホイルシリンダに対応する増圧弁を全開とする全開制御手段と、
    を設け、
    前記制御手段は、前記全開制御手段により全開とされた増圧弁に対応するホイルシリンダ内の液圧を制御することを特徴とするブレーキ液圧制御装置。
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