JP2008273007A - 駆動信号設定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ノズルの特性に応じた駆動信号を高精度に設定するのに適した駆動信号設定方法を提供すること。
【解決手段】複数のノズルを複数のグループに分類すると共に、グループ間における吐出量の差を相対補正するための駆動電圧の補正パラメータβを算出するステップS4〜S7と、補正パラメータβの算出値に対応する駆動信号を供給した際の吐出量を検証するステップS8〜S13と、当該検証に基づき、グループ毎に駆動信号を設定するステップS14と、を有する。
【選択図】図7
【解決手段】複数のノズルを複数のグループに分類すると共に、グループ間における吐出量の差を相対補正するための駆動電圧の補正パラメータβを算出するステップS4〜S7と、補正パラメータβの算出値に対応する駆動信号を供給した際の吐出量を検証するステップS8〜S13と、当該検証に基づき、グループ毎に駆動信号を設定するステップS14と、を有する。
【選択図】図7
Description
本発明は、液状体吐出ヘッドにおける駆動信号設定方法に関する。
近年、機能性材料を含む液状体を微小ノズルから基板に対して吐出し、基板上に配置された液状体を固化して薄膜を形成する方法が提案されている。その薄膜の代表的な例として、例えば、カラーフィルタや有機ELパネルの発光層、金属配線などが挙げられる。
このような方法では、良質な薄膜形成のために、吐出される液状体の量(以下、吐出量)が、多数存在するノズル間で均一であることが要求される。吐出量のバラツキは、液状体の配置量のムラの原因となり、均質な薄膜形成を阻害することになるからである。
そこで、吐出量の段階変化に対応する複数条件の駆動信号をノズル(駆動素子)毎に適宜設定して供給することにより、ノズル間の吐出量バラツキを補償する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
特許文献1に係る技術では、ノズル間の吐出量バラツキを精度よく測定して、そのバラツキを補償(相対補正)するための駆動信号の条件(例えば電圧値)を適切に設定することが必要となる。しかしながら、このような条件を計算で求めて設定すると、計算誤差の影響により、補償量が大きくなり過ぎたり、逆に足りなかったりすることがある。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、ノズルの特性に応じた駆動信号を高精度に設定するのに適した駆動信号設定方法を提供することを目的としている。
本発明は、複数のノズルと、前記ノズル毎に設けられた駆動素子とを備える液状体吐出ヘッドにおいて、前記ノズルから液状体を吐出する際に前記駆動素子に供給する駆動信号を設定する駆動信号設定方法であって、前記複数のノズルを複数のグループに分類すると共に、前記グループ間における吐出量の差を相対補正するための駆動信号の補正条件を算出するAステップと、前記補正条件の算出値に対応する駆動信号の供給に係る吐出量を検証するBステップと、前記Bステップの検証に基づき、前記グループ毎に前記駆動信号を設定するCステップと、を有する。
この発明の例によれば、補正条件の算出値に基づいた吐出量を直接測定することで補正の検証を行うので、その検証結果に応じて、適切な駆動信号設定を行うことができる。
また好ましくは、前記Cステップにおいて、前記Aステップの算出値、前記Aステップの算出値の所定割増値、前記Aステップの算出値の所定割引値、のいずれかに対応する駆動信号を設定する。
より好ましくは、前記Bステップにおいて、前記所定割増値および前記所定割引値に対応する駆動信号の供給に係る吐出量をさらに検証する。
さらに好ましくは、前記Cステップにおいて、前記Bステップで検証した吐出量にそれぞれ対応する前記駆動信号のうち、前記複数のノズル間における吐出量のレンジが最も小さなものを選択して設定する。
この発明の例によれば、段階的な補正量の値に基づいて、容易に駆動信号設定を行うことができる。
より好ましくは、前記Bステップにおいて、前記所定割増値および前記所定割引値に対応する駆動信号の供給に係る吐出量をさらに検証する。
さらに好ましくは、前記Cステップにおいて、前記Bステップで検証した吐出量にそれぞれ対応する前記駆動信号のうち、前記複数のノズル間における吐出量のレンジが最も小さなものを選択して設定する。
この発明の例によれば、段階的な補正量の値に基づいて、容易に駆動信号設定を行うことができる。
また好ましくは、前記補正条件が駆動信号の電圧成分に係るものである。
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。また、以下の説明で参照する図では、図示の便宜上、部材ないし部分の縦横の縮尺を実際のものとは異なるように表す場合がある。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。また、以下の説明で参照する図では、図示の便宜上、部材ないし部分の縦横の縮尺を実際のものとは異なるように表す場合がある。
(第1実施形態)
(液状体吐出装置の機械的構成および機械的動作)
まず、図1、図2、図3を参照して、本発明に係る液状体吐出装置の機械的な構成および動作について説明する。
図1は、液状体吐出装置の要部構成を示す斜視図である。図2は、ヘッドユニットにおけるヘッドの配置構成を示す平面図である。図3は、ノズルの走査軌跡と吐出対象物との関係を示す平面図である。
(液状体吐出装置の機械的構成および機械的動作)
まず、図1、図2、図3を参照して、本発明に係る液状体吐出装置の機械的な構成および動作について説明する。
図1は、液状体吐出装置の要部構成を示す斜視図である。図2は、ヘッドユニットにおけるヘッドの配置構成を示す平面図である。図3は、ノズルの走査軌跡と吐出対象物との関係を示す平面図である。
図1に示す液状体吐出装置200は、直線的に設けられた1対のガイドレール201と、ガイドレール201の内部に設けられたエアスライダとリニアモータ(図示せず)により主走査方向に移動する主走査移動台203を備えている。また、ガイドレール201の上方においてガイドレール201に直交するように直線的に設けられた1対のガイドレール202と、ガイドレール202の内部に設けられたエアスライダとリニアモータ(図示せず)により副走査方向に沿って移動する副走査移動台204を備えている。
主走査移動台203上には、吐出対象物としての基板Pを載置するためのステージ205が設けられている。ステージ205は基板Pを吸着固定できる構成となっており、また、回転機構207によって基板P内の基準軸を主走査方向、副走査方向に正確に合わせることができるようになっている。
副走査移動台204は、回転機構208を介して吊り下げ式に取り付けられたキャリッジ209を備えている。また、キャリッジ209は、液状体吐出ヘッドとしてのヘッド11,12(図2参照)を備えるヘッドユニット10と、ヘッド11,12に液状体を供給するための液状体供給機構(図示せず)と、ヘッド11,12の駆動制御を行うための制御回路基板30(図4参照)とを備えている。
図2に示すように、ヘッドユニット10は、液状体をノズルnから吐出するヘッド11,12を備えている。本実施形態に係るヘッドユニット10は、表示パネルのカラーフィルタ形成に用いられるものであり、ヘッド11,12は、それぞれ赤(R)、緑(G)、青(B)の各色要素に対応する液状体を吐出するものが用意されている。また、ヘッド11とヘッド12とは互いに副走査方向に位置をずらして配置されており、互いに吐出可能範囲を補完する関係にある。
ヘッド11,12における複数(本実施形態では60個)のノズルnは、所定のピッチ(例えば180dpi)でライン状に配設されており、ノズルアレイ21A,21Bを構成している。ノズルアレイ21A,21B内におけるノズルnの並びの方向は副走査方向に一致するようにされており、また、ノズルアレイ21A,21Bのノズルnは互いに千鳥配列をなす関係にある。
ヘッド11,12内には、各ノズルnにそれぞれ連通する液室(以下、キャビティとする)が形成されており、各キャビティには、その可動壁を駆動して容積を可変するための駆動素子としての圧電素子16(図4参照)が配設されている。そして、圧電素子16に電気信号(以下、駆動信号とする)を供給してキャビティ内の液圧を制御することにより、ノズルnから液滴(液状体)を吐出させることが可能となっている。
ここで、液状体吐出装置200の動作例として、カラーフィルタ製造を行う際の動作について説明する。ヘッド11,12を基板Pに対して主走査方向に走査させると、ノズルnは、図3に示すように、基板Pに対して連続した所定ピッチ(例えば360dpi)の走査軌跡を描く。この際、ノズルアレイ21A,21Bの端部の数個分(本実施形態は3個)のノズルnは、その特性の特異性に鑑みて使用しないダミーノズル(塗り潰して図示)とされており、ヘッド11のダミーノズルに掛かる走査領域はヘッド12のノズルnで、ヘッド12のダミーノズルに掛かる走査領域はヘッド11のノズルnで補完される関係となっている。
カラーフィルタ形成に供される基板Pには、各画素領域に対応する区画領域50を規定するバンク51が、感光性樹脂等を用いてあらかじめ形成されている。この場合、走査軌跡に関して、区画領域50に掛かり得るノズルnと掛かり得ないノズルnとが存在するが、区画領域50への液状体の配置は、区画領域50に掛かり得るノズルnからの液状体の吐出によって行われることになる。
図3の各ノズルnに付されているA1〜A5、B1〜B5、C49〜C54、D49〜D54は、それぞれ、ヘッド11のノズルアレイ21A、ヘッド11のノズルアレイ21B、ヘッド12のノズルアレイ21A、ヘッド12のノズルアレイ21Bのノズル番号を示している。ここで、ノズル番号とは、各ノズルアレイ21A,21Bの並び方向におけるノズルnの配列順を示した通し番号のことであり、本実施形態では、1ノズルアレイにつき、ダミーノズルを除いた1〜54のノズル番号で示すことができる。
図3において、ノズル番号D53,C54,D54,A1,B1のノズルnは、当該走査中のそれぞれ適切な期間において、同一の区画領域50に対して液状体を吐出することができる。また、ノズル番号C50,C53,A2,A5のノズルnは、走査軌跡がバンク51に掛かっているため、当該走査中の全期間において液状体の吐出を行わない。このような各ノズルnごとの吐出/非吐出の制御は、対応する圧電素子16への駆動信号の供給のスイッチングによって行われるものである(詳しくは後述する)。
尚、液状体吐出装置の構成は上述の態様に限定されるものではない。例えば、ノズルアレイ21A,21Bの配列方向を副走査方向から傾けて、ノズルnの走査軌跡のピッチがノズルアレイ21A,21B内におけるノズルn間のピッチに対して狭くなるように構成することもできる。また、ヘッドユニット10におけるヘッド11,12の数やその配置構成なども適宜変更することができる。また、ヘッド11,12の駆動方式として、例えば、キャビティに加熱素子を備えたいわゆるサーマル方式などを採用することもできる。
(液状体吐出装置の電気的構成および電気的動作)
次に、図4、図5を参照して、本発明に係る液状体吐出装置の電気的な構成および動作について説明する。
図4は、ヘッド駆動に係る液状体吐出装置の電気的構成を示す図である。図5は、駆動信号および制御信号のタイミング図である。
次に、図4、図5を参照して、本発明に係る液状体吐出装置の電気的な構成および動作について説明する。
図4は、ヘッド駆動に係る液状体吐出装置の電気的構成を示す図である。図5は、駆動信号および制御信号のタイミング図である。
図4に示すように、ヘッド11(12)は、ノズルアレイ21A(21B)のノズルn(図2参照)毎に設けられた圧電素子16と、各圧電素子16への駆動信号(COM)の供給/非供給の切り替えを行うためのスイッチング回路17と、各圧電素子16への供給に係る駆動信号の供給ライン(以下、COMライン(COM1〜COM4)とする)を選択するための駆動信号選択回路18と、を備えている。ヘッド11(12)は、制御回路基板30と電気的に接続されている。
制御回路基板30は、それぞれ独立した駆動信号(COM)を生成するD/Aコンバータ(DAC)31A〜31Dと、D/Aコンバータ31A〜31Dが生成する駆動信号(COM)のスルーレートデータ(以下、波形データ(WD1〜WD4)とする)の格納メモリを内部に有する波形データ選択回路32と、外部から受信される吐出制御データを格納するためのデータメモリ33と、を備えている。制御回路基板30における各COMライン(COM1〜COM4)には、D/Aコンバータ31A〜31Dで生成された駆動信号がそれぞれ出力されるようになっている。
ノズルアレイ21A(21B)において、圧電素子16の一方の電極16cは、D/Aコンバータ31A〜31Dのグランドライン(GND)に接続されている。また、圧電素子16の他方の電極(以下、セグメント電極16sとする)は、スイッチング回路17、駆動信号選択回路18を介して、COMライン(COM1〜COM4)に接続されている。また、スイッチング回路17、駆動信号選択回路18、波形データ選択回路32には、クロック信号(CLK)や各吐出タイミングに対応したラッチ信号(LAT)が入力されるようになっている。
データメモリ33には、ヘッド11(12)の走査位置に応じて周期的に設定される吐出タイミング毎に、次のデータが格納されている。すなわち、各圧電素子16への駆動信号(COM)の供給/非供給(ON/OFF)の切り替えを規定する吐出データ(SIA)と、各圧電素子16に対応したCOMライン(COM1〜COM4)を規定する駆動信号選択データ(SIB)と、D/Aコンバータ31A〜31Dに入力される波形データ(WD1〜WD4)の種別を規定する波形番号データ(WN)である。本実施形態においては、吐出データ(SIA)は、1ノズルあたり1ビット(0,1)で、駆動信号選択データ(SIB)は、1ノズルあたり2ビット(0,1,2,3)で、波形番号データ(WN)は、1D/Aコンバータあたり7ビット(0〜127)で構成されている。尚、これらのデータ構造については適宜変更が可能である。
上述の構成において、各吐出タイミングに係る駆動制御は次のように行われる。すなわち、図5に示すタイミングt1〜t2の期間において、吐出データ(SIA)、駆動信号選択データ(SIB)、波形番号データ(WN)が、それぞれシリアル信号化されて、スイッチング回路17、駆動信号選択回路18、波形データ選択回路32に送信される。そして、タイミングt2において各データがラッチされることで、吐出(ON)に係る各圧電素子16のセグメント電極16sが、駆動信号選択データ(SIB)で指定された各COMライン(COM1〜COM4)に接続された状態となる。例えば、駆動信号選択データ(SIB)が0,1,2,3である場合、対応する圧電素子16のセグメント電極16sはそれぞれCOM1,COM2,COM3,COM4に接続される。また、D/Aコンバータ31A〜31Dの生成に係る駆動信号の波形データ(WD1〜WD4)が設定される。
タイミングt3〜t4、t4〜t5、t5〜t6の各期間においては、タイミングt2で設定された波形データに従い、それぞれ電位上昇、電位保持、電位降下の一連のステップで駆動信号(COM)が生成される。そして、COM1〜COM4とそれぞれ接続された状態にある圧電素子16に、生成された駆動信号が供給され、ノズルに連通するキャビティの容積(圧力)制御が行われる。
ここで、タイミングt3〜t4における電位上昇成分はキャビティを膨張させ、液状体をノズル内方に引き込む役割を果たしている。また、タイミングt5〜t6における電位降下成分は、キャビティを収縮させ、液状体をノズル外に押し出して吐出させる役割を果たしている。
駆動信号(COM)における電位上昇、電位保持、電位降下に係る時間成分、電圧成分は、その供給によって吐出される液状体の吐出量に密接に依存している。とりわけ、圧電方式のヘッドでは、電圧成分の変化に対して吐出量が良好な線形性を示すため、タイミングt3〜t6における電圧差を駆動電圧Vhとして規定し、これを吐出量制御の条件として利用することができる。尚、生成する駆動信号(COM)は、本実施形態で示すような単純な台形波に限られるものではなく、公知の様々な形状のものを適宜採用することも可能である。また、異なる駆動方式(例えばサーマル方式)を採用する場合などにおいて、駆動信号のパルス幅(時間成分)を吐出量制御の条件として利用することも可能である。
本実施形態では、駆動電圧Vhを段階的に違えた複数種の波形データを用意し、D/Aコンバータ31A〜31Dにそれぞれ独立した波形データ(WD1〜WD4)を入力することにより、各COMライン(COM1〜COM4)にそれぞれ異なる駆動電圧Vhの駆動信号(COM)を出力することが可能である。用意できる波形データの種類は、波形番号データ(WN)の情報量(7ビット)に相当する128種類であり、例えばこれを0.1V刻みの駆動電圧Vhに対応させている。
かくして、本実施形態の液状体吐出装置200は、各圧電素子16(ノズル)とCOMライン(COM1〜COM4)との対応関係を規定する駆動信号選択データ(SIB)と、各COMライン(COM1〜COM4)と駆動信号の種類(駆動電圧Vh)との対応関係を規定する波形番号データ(WN)とを適切に設定することにより、適切な吐出量で液状体を吐出することが可能である。逆の言い方をすれば、駆動信号選択データ(SIB)と波形番号データ(WN)との関係で定まる各ノズルの駆動信号の設定を適切に行うことが、吐出量を管理するための重要事項であると言える。尚、本実施形態の液状体吐出装置200では、各吐出タイミングごとに駆動信号選択データ(SIB)と波形番号データ(WN)を更新可能な構成となっているため、吐出データ(SIA)の変化に対応させて駆動信号を精細に設定することも可能である。
(駆動信号の設定方法)
次に、図4、図6、図7、図8を参照して、各ノズルの駆動信号(駆動信号選択データおよび波形番号データ)を設定するための方法について説明する。
図6は、駆動信号の設定を行うための装置構成を示すブロック図である。図7は、駆動信号設定のための処理フローを示すフローチャートである。図8は、ノズルアレイにおける吐出量の分布の一例を示す図である。
次に、図4、図6、図7、図8を参照して、各ノズルの駆動信号(駆動信号選択データおよび波形番号データ)を設定するための方法について説明する。
図6は、駆動信号の設定を行うための装置構成を示すブロック図である。図7は、駆動信号設定のための処理フローを示すフローチャートである。図8は、ノズルアレイにおける吐出量の分布の一例を示す図である。
図6において、駆動信号の設定を行うための設定装置300は、ヘッド11(12)に液状体を供給するための液状体供給装置301と、ヘッド11を駆動するための制御回路基板302とを備えている。また、ヘッド11から吐出された液状体を受けてこれを収容するための液状体受容容器303と、液状体受容容器303の重量を計量するための重量計量装置304とを備えている。また、ヘッド11から吐出された液状体を受ける液状体受容基板305と、液状体受容基板305を基板面方向に移動させるための基板移動装置306と、液状体受容基板305上に配置された液状体の体積を測定するための体積測定装置307とを備えている。また、制御回路基板302を介してヘッド11の駆動を制御し、基板移動装置306の駆動を制御し、重量計量装置304および体積測定装置307の計量動作を制御し、計量結果を基に演算を行うためのパーソナルコンピュータ(PC)308を備えている。
制御回路基板302は、制御回路基板30(図4参照)と同じ構成のものである。また、液状体受容容器303は、液状体に侵食されない材質のものであれば何でも良いが、開口部にスポンジ等の多孔質部材を配設するなどして、液状体の揮発を抑える構成となっていることが好ましい。また、重量計量装置304には、一般的な電子天秤を用いることができる。また、体積測定装置307には、白色干渉法を用いた三次元形状測定装置などを用いることができる。
このように、設定装置300は、重量計量装置304と体積測定装置307の二種類の計測装置を用い、吐出量を重量または体積として測定することができる。重量計量装置304は、ノズルアレイ全体における平均的な吐出量を高速且つ高精度に測定するのに適しており、また体積測定装置307は、ノズル個々の吐出量を測定するのに適している。
ヘッド11を設定装置300に取り付けた状態において、先ずは、ノズルアレイ内の全ノズル(ダミーノズルを除く)における吐出量平均を測定する(図7のステップS1)。具体的には、各ノズルについてまとまった回数(例えば10万回)の吐出を行い、その総重量を重量計量装置304で計量し、計量結果を除算して測定する。この測定は、2条件の駆動電圧Vh(例えば、20Vと30V)の下でそれぞれ行う。
次に、測定した2条件における駆動電圧Vhと吐出量平均との関係を線形補完して、基準吐出量q0(仕様に応じた設計値)の吐出量平均を得るための基準駆動電圧Vsを算出する(図7のステップS2)。また、駆動電圧Vhに対する吐出量平均の変化率を、吐出量を駆動電圧Vhによって補正する際の相関係数αとして算出する(図7のステップS3)。
次に、ノズルアレイの全圧電素子に対し駆動電圧Vh=Vsの駆動信号を供給して、液状体受容基板305に対し液状体の吐出を行う(図7のステップS4)。液状体受容基板305の表面には撥液処理がされているため、各ノズルから吐出された液状体は、それぞれ基板上において独立した半球状の液滴を形成する。尚、各ノズルの1回あたりの吐出量は極めて小さいため、この後の液滴の体積測定(吐出量測定)に鑑みて、各ノズルの吐出は、基板上の同一箇所に重ねて複数回(例えば3回)行うようにしている。
次に、液状体受容基板305(図6参照)上に形成された各ノズルに対応する液滴の三次元形状を体積測定装置307(図6参照)で測定し、パーソナルコンピュータ308(図6参照)で測定データを解析して、各ノズルの吐出量を求める(図7のステップS5)。
ステップS5で測定された各ノズルの吐出量をノズルアレイの並び方向での空間分布として示すと図8のようになる。本実施形態に係るヘッドでは、一般的に、ノズルアレイの端部付近で吐出量が相対的に多く、ノズルアレイの中央付近で吐出量が相対的に少ない傾向がある。
次に、ステップS5での測定に基づき、各ノズルのグループ設定を行う(図7のステップS6)。このグループは、共通のCOMライン(COM1〜COM4(図4参照))に対応するノズルを規定するものであり、吐出量の近いノズル同士が同じグループに属するように設定することが好ましい。本実施形態では、ノズルアレイにおける第2の吐出量の分布範囲(図8参照)を均等な4つのゾーン(区域)に分けて第1〜第4ゾーンとし、第1〜第4ゾーンに含まれるノズルをそれぞれ第1〜第4グループに設定する。尚、グループ設定の方法はこのような態様に限られるものではなく、例えば、各グループに属するノズルの数が均等になるようなグループ設定の方法を採用することもできる。
次に、グループ間の吐出量の差(バラツキ)を相対補正するために、グループ毎に設定される補正パラメータβ(補正条件)の値を算出する(図7のステップS7)。本実施形態の補正パラメータβは、駆動電圧の相対的な補正比率として規定される値であり、ステップS5で測定された吐出量の各グループ内の平均値q1、基準吐出量q0、相関係数α、基準駆動電圧Vsを用いて、式1により算出される。尚、式1におけるγは計算誤差を補正するための固有の補正係数であり、本実施形態では0.8としている。
かくして、吐出量をグループ単位で平均的に基準吐出量q0に一致させるための相対補正に関して、各グループ(各COMライン)に対応する補正パラメータβの値が算出される。すなわち、ステップS4〜S7は、本発明におけるAステップを構成するものである。
本実施形態では、第1〜第4グループの補正パラメータβの算出値は、それぞれ+3%、+1%、−2%、−4%である。これは、第1〜第4グループの駆動電圧の比率を、103%、101%、98%、96%の比率としたときに、理論上、グループ間の吐出量のバラツキが平均的に補償されることを意味している。しかしながら、実際には、この算出値には計算誤差が含まれており、この算出値をそのまま用いて各グループの駆動電圧Vhの設定を行うと、実際の吐出量に関して、補正の量が過剰であったり、逆に不足であったりすることがある。そして、このような補正量の誤差は、ヘッド(ノズルアレイ)によって異なった傾向を示すため、一律に管理することが困難である。そこで、各グループの適正な駆動電圧を設定するにあたっては、さらに以下で説明するような工程を行う。
尚、上述の実施形態では、各グループに属するノズルの吐出量の平均値を基準吐出量q0に一致させるという方法で補正パラメータβを算出したが、各グループに属するノズルの吐出量の中央値(各ゾーンの中心値)を基準吐出量q0に一致させるという方法で補正パラメータβを算出するようにしてもよい。また、第2〜第4グループに属するノズルの吐出量の平均値(中央値)を、第1グループに属するノズルの吐出量の平均値(中央値)に一致させるという方法で、補正パラメータβを算出するようにしてもよい。また、上述の実施形態では補正パラメータβを電圧の相対比として規定したが、電圧の絶対値で規定するようにしてもよい。
補正パラメータβが算出されたら、ノズルとCOMラインとの関係を規定する駆動信号選択データ(SIB)と各COMラインの駆動電圧を規定する波形番号データ(WN)を適宜設定して、液状体受容基板305(図6参照)に対し液状体の吐出を行う(図7のステップS8)。本実施形態では、式2〜式4で算出される駆動電圧Vhの条件で、それぞれ基板上の異なる位置に対して3セットの吐出が行われる。
ここで、式2〜式4の駆動電圧Vhは、グループ間の吐出量を相対補正するための電圧(以下、補正電圧とする)として、グループ毎に規定されるものである。そして、式2の駆動電圧Vhは、補正パラメータβの算出値そのものに基づく補正電圧(以下、第1補正電圧とする)を、式3の駆動電圧Vhは、当該算出値の1割増しの値に基づく補正電圧(以下、第2補正電圧)を、式4の駆動電圧Vhは当該算出値の1割引きの値に基づく補正電圧(以下、第3補正電圧)となっている。
次に、ステップS5と同様の方法により、ステップS8で吐出した吐出量の測定を行う(図7のステップS9)。尚、ステップS8では第1〜第3補正電圧による3セットの吐出を行っているが、このステップS9では、これらの吐出のうち第1補正電圧(式2)に係る吐出量のみについて測定を行う。
次に、ステップS9で測定された吐出量の分布の情報から、吐出量のレンジ(吐出量の最小値と最大値との差)が、規定範囲(例えば、基準吐出量q0の2%)内であるか否かの検証を行う(図7のステップS10)。
ここで吐出量のレンジが所定範囲内であると判定される場合(Yesの判定)は、その判定を行った吐出に係る相対補正が適正に行われていると擬制して、第1補正電圧を適正な駆動電圧Vhとして設定する(図7のステップS14)。
一方、吐出量のレンジが所定範囲内でないと判定される場合(Noの判定)は、その判定を行った吐出に係る相対補正が適正に行われていないと擬制して、第2補正電圧(式3)に係る吐出量を測定し(図7のステップS11)、さらに測定した吐出量のレンジが所定範囲内にあるか否かの検証を行う(図7のステップS12)。
ここで吐出量のレンジが所定範囲内であると判定される場合(Yesの判定)は、その判定を行った吐出に係る相対補正が適正に行われていると擬制して、第2補正電圧を適正な駆動電圧Vhとして設定する(図7のステップS14)。
一方、吐出量のレンジが所定範囲内でないと判定される場合(Noの判定)は、その判定を行った吐出に係る相対補正が適正に行われていないと擬制して、第3補正電圧(式4)に係る吐出量を測定する(図7のステップS13)。
そして、これまでに検証した第1〜第3補正電圧に係る吐出量のうち、最も上記レンジが小さくなる吐出量に係る補正電圧を、各グループの適正な駆動電圧Vhとして設定する(図7のステップS14)。
かくして、各ノズルについてのグループの設定とグループ毎に設定された適正な駆動電圧Vhとに基づいて、駆動信号選択データおよび波形番号データを生成し、吐出制御を行うことにより、各ノズルから均一な量で吐出を行うことができるようになる。
尚、本実施形態では、最初に第1補正電圧に係る吐出量のみの測定を行い(ステップS9)、ステップS10の判定結果によっては他の補正電圧に係る吐出量の測定(ステップS11,S13)を省略するようにしている。これは、体積測定装置307(図6参照)を用いた吐出量の測定には比較的多くの時間を要するため、処理の効率化によりサイクルタイム低減を図ったものである。言うまでもなく、このような効率化を行わず、全ての補正電圧に係る吐出量を毎回測定した上で、最も適切な補正電圧を選択して設定するようにすることも可能である。
このように、本実施形態では、補正パラメータβの算出値に基づく補正電圧により吐出量の相対補正が適切になされるか否かを、ステップS8〜ステップS13において検証し、その検証に基づいて最終的な駆動電圧Vhの設定を行うようにしているので、ノズル間の吐出量ばらつきを適切に補償することが可能である。すなわち、ステップS8〜ステップS13は本発明のBステップを、ステップS14は本発明のCステップをそれぞれ構成するものである。
尚、上述の実施形態では、ノズルアレイ全体における吐出量のバラツキのレンジにより相対補正の適否を検証するようにしていたが、例えば、グループ毎に吐出量の相対補正量の理論値と測定値の比較検証を行い、グループ毎に適正電圧を設定するようにしてもよい。
本発明は上述の実施形態に限定されない。
例えば、本発明に係る液状体吐出ヘッドを利用した液状体配置の別の例として、例えば、プラズマディスプレイ装置における蛍光膜の形成、有機ELディスプレイにおける素子膜の形成、あるいは、電気回路における導電配線や抵抗素子の形成などが挙げられる。
また、上述の実施形態では、ノズルアレイのノズルを4つのグループに分類していたが、グループの数はこれに限定されるものではない。吐出量のバラツキを細かく補償するという観点では、グループの数は多い方が良い。
また、上述の実施形態では、ノズルアレイ全体における吐出量のバラツキのレンジにより相対補正の適否を検証するようにしていたが、例えば、グループ毎に吐出量の相対補正量の理論値と測定値の比較検証を行い、グループ毎に適正電圧を設定するようにしてもよい。
また、上述の実施形態では、第2補正電圧、第3補正電圧の算出に際し、補正パラメータβの算出値の1割増、1割引での補正を行ったが、このような割増、割引の程度は、適宜変更することができる。
また、実施形態の各構成はこれらを適宜組み合わせたり、省略したり、図示しない他の構成と組み合わせたりすることができる。
例えば、本発明に係る液状体吐出ヘッドを利用した液状体配置の別の例として、例えば、プラズマディスプレイ装置における蛍光膜の形成、有機ELディスプレイにおける素子膜の形成、あるいは、電気回路における導電配線や抵抗素子の形成などが挙げられる。
また、上述の実施形態では、ノズルアレイのノズルを4つのグループに分類していたが、グループの数はこれに限定されるものではない。吐出量のバラツキを細かく補償するという観点では、グループの数は多い方が良い。
また、上述の実施形態では、ノズルアレイ全体における吐出量のバラツキのレンジにより相対補正の適否を検証するようにしていたが、例えば、グループ毎に吐出量の相対補正量の理論値と測定値の比較検証を行い、グループ毎に適正電圧を設定するようにしてもよい。
また、上述の実施形態では、第2補正電圧、第3補正電圧の算出に際し、補正パラメータβの算出値の1割増、1割引での補正を行ったが、このような割増、割引の程度は、適宜変更することができる。
また、実施形態の各構成はこれらを適宜組み合わせたり、省略したり、図示しない他の構成と組み合わせたりすることができる。
11,12…液状体吐出ヘッドとしてのヘッド、16…駆動素子としての圧電素子、17…スイッチング回路、18…駆動信号選択回路、21A,21B…ノズルアレイ、30…制御回路基板、31A〜31D…D/Aコンバータ、32…波形データ選択回路、300…設定装置、301…液状体供給装置、302…制御回路基板、303…液状体受容容器、304…重量計量装置、305…液状体受容基板、306…基板移動装置、307…体積測定装置、308…パーソナルコンピュータ、n…ノズル、COM1〜COM4…COMライン(駆動信号の供給ライン)。
Claims (5)
- 複数のノズルと、前記ノズル毎に設けられた駆動素子とを備える液状体吐出ヘッドにおいて、前記ノズルから液状体を吐出する際に前記駆動素子に供給する駆動信号を設定する駆動信号設定方法であって、
(a)前記複数のノズルを複数のグループに分類すると共に、前記グループ間における吐出量の差を相対補正するための駆動信号の補正条件を算出するAステップと、
(b)前記補正条件の算出値に対応する駆動信号の供給に係る吐出量を検証するBステップと、
(c)前記Bステップの検証に基づき、前記グループ毎に駆動信号を設定するCステップと、を有する駆動信号設定方法。 - 請求項1に記載の駆動信号設定方法であって、
前記Cステップにおいて、
前記Aステップの算出値、
前記Aステップの算出値の所定割増値、
前記Aステップの算出値の所定割引値、
のいずれかに対応する駆動信号を設定する、駆動信号設定方法。 - 請求項2に記載の駆動信号設定方法であって、
前記Bステップにおいて、前記所定割増値および前記所定割引値に対応する駆動信号の供給に係る吐出量をさらに検証する、駆動信号設定方法。 - 請求項3に記載の駆動信号設定方法であって、
前記Cステップにおいて、前記Bステップで検証した吐出量にそれぞれ対応する前記駆動信号のうち、前記複数のノズル間における吐出量のレンジが最も小さなものを選択して設定する、駆動信号設定方法。 - 請求項1ないし4のいずれか一項に記載の駆動信号設定方法であって、
前記補正条件が駆動信号の電圧成分に係るものである、駆動信号設定方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007118299A JP2008273007A (ja) | 2007-04-27 | 2007-04-27 | 駆動信号設定方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2007118299A Withdrawn JP2008273007A (ja) | 2007-04-27 | 2007-04-27 | 駆動信号設定方法 |
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- 2007-04-27 JP JP2007118299A patent/JP2008273007A/ja not_active Withdrawn
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