JP2008272289A - 光再生型脱臭剤の再生時期表示材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】光再生型脱臭剤の再生時期を知らせるための表示材であって、シート状基材に、(A)フォトクロミズムを有する遷移金属酸化物と、(B)水溶性高分子化合物とを含浸させるか又は該シート状基材の表面に、前記(A)成分と(B)成分とを含むコーティング層を設けてなる光再生型脱臭剤の再生時期表示材である。
【選択図】なし
Description
様々な形体の脱臭剤が市販されているが、性能や加工性が良いことから現在でも活性炭やシリカゲル、活性アルミナのような脱臭剤が主として使用されている。
活性炭は、粒状や顆粒状、繊維状などの種類があり、物理的及び化学吸着により有機系臭気物を除去する。また、表面積が大きいので効果の持続性が高い。
無機系の脱臭剤である活性アルミナやシリカゲルは粒状や粉末のものが主であるが、極性の大きい分子、例えば、アンモニアや窒素性酸化物などの無機系の臭気物を吸着するので、活性炭との使い分けができる。
酸化チタンに代表されるような光触媒は、紫外線を照射することにより、接触する有機物を酸化分解する性質を持っている。
従って、適当な吸着剤と光触媒を組み合わせると光再生機能を持った光再生型脱臭剤を作製できる。
この光再生型脱臭剤は、従来の脱臭剤とは異なり、脱臭後に天日干しするだけで脱臭機能を再生することができるので、繰り返し使用が可能である。
従って、従来の脱臭剤と比べて経済的であり、深刻化している廃棄物の増大を抑えることができる。
光再生型脱臭剤は、活性炭やシリカゲルのような脱臭剤と光触媒活性の大きい酸化チタンとを組み合わせているものが主流である。
例えば、コルゲート加工した不織布や紙の内部に脱臭剤と酸化チタンの混合粉末を充填したものや炭素繊維や活性炭フィルターのような基材を脱臭フィルターとして組み込み、シリカゾルやアルミナゾルを用いて酸化チタンを基材表面に担持させたものが知られている(特許文献1参照)。
また、無機成分であるアパタイトを脱臭フィルターに加工して光触媒と組み合わせたものも知られており、空気清浄機フィルターなどにも応用されている。
これらの光再生型脱臭剤は、天日干しにより脱臭機能を再生することができるが、天日干し(再生)を促す表示機能が付いていなかった。
従って、この光再生型脱臭剤の使用法は、使用者が官能的に臭気の存在を判断して再生するものである。
また、使用開始日時や再生する日時を記載したラベルを脱臭剤に貼付し、ある一定の期間後に天日干しを行い再生する方法も知られている。
しかし、上記二つ方法では、使用者が再生する時期を忘れてしまうことが多く、結局再生されないまま放置されることがあるので光再生型脱臭剤としての機能が損なわれていた。
1.光再生型脱臭剤の再生時期を知らせるための表示材であって、シート状基材に、(A)フォトクロミズムを有する遷移金属酸化物と、(B)水溶性高分子化合物とを含浸させるか、又は該シート状基材の表面に、前記(A)成分と(B)成分とを含むコーティング層を設けたことを特徴とする光再生型脱臭剤の再生時期表示材、
2.(A)成分と(B)成分との含有割合が、質量比で50:1〜1:50である上記1に記載の光再生型脱臭剤の再生時期表示材、
3.シート状基材に、(A)成分と(B)成分とを、その合計量が1〜500g/m2になるように含浸してなる上記1又は2に記載の光再生型脱臭剤の再生時期表示材、
4.シート状基材表面に、(A)成分と(B)成分とを含むコーティング層が、0.1〜10μmの厚さで設けられてなる上記1又は2に記載の光再生型脱臭剤の再生時期表示材。
5.(A)フォトクロミズムを有する遷移金属酸化物が、周期表(長周期型)第5族及び第6族に属する金属の酸化物の中から選ばれる少なくとも一種である上記1〜4のいずれかに記載の光再生型脱臭剤の再生時期表示材、
6.(A)成分が、タングステン酸化物及び/又はモリブデン酸化物である上記1〜5のいずれかに記載の光再生型脱臭剤の再生時期表示材、
7.(B)水溶性高分子化合物が、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド及びポリアクリル酸ナトリウムの中から選ばれる少なくとも一種である上記1〜6のいずれかに記載の光再生型脱臭剤の再生時期表示材、
8.(B)成分が、ポリビニルアルコール及び/又はポリエチレングリコールである上記1〜7のいずれかに記載の光再生型脱臭剤の再生時期表示材、
9.光再生型脱臭剤が、冷蔵庫中で用いるものである上記1〜8のいずれかに記載の光再生型脱臭剤の再生時期表示材、
10.光再生型脱臭剤に貼付される上記1〜9のいずれかに記載の光再生型脱臭剤の再生時期表示材
を提供するものである。
従って、該再生時期表示材を光再生型脱臭剤のケースや筐体に貼付して用いると、青色の退色により、光再生型脱臭剤の再生を使用者に促すことが可能になる。
従って、再生時期表示材を貼付した光再生型脱臭剤を天日干し等をすることにより、該期間表示材の再生(青色に着色)と該脱臭剤の再生を同時に行うことができ、繰り返し使用ができる。
特に、本発明の光再生型脱臭剤の再生時期表示材は、光再生型脱臭剤を冷蔵庫中で用いる場合に有用である。
本発明の光再生型脱臭剤の再生時期表示材(以下、再生時期表示材と呼称することがある)は、光再生型脱臭剤の再生時期を知らせるための表示材であって、シート状基材に、(A)フォトクロミズムを有する遷移金属酸化物と、(B)水溶性高分子化合物とを含浸させるか、又は該シート状基材の表面に、前記(A)成分と(B)成分とを含むコーティング層を設けたものである。
〔光再生型脱臭剤〕
本発明の再生時期表示材が適用される光再生型脱臭剤については特に制限はなく、従来、光再生型脱臭剤として知られている様々な種類のものに適用することができる。
この光再生型脱臭剤は、基本的には、ガラス繊維などからなる不織布や織布などの多孔質基材に、光触媒材料と臭気成分を吸着する臭気吸着剤と無機バインダーとを含浸又は被覆した構造を有している。
前記光触媒材料は、そのバンドギャプ以上のエネルギーの光を照射すると、励起されて伝導帯に電子が生じ、かつ価電子帯に正孔が生じる。
そして、生成した電子は表面酸素を還元してスーパーオキサイドアニオン(・O2-)を生成させると共に、正孔は表面水酸基を酸化して水酸ラジカル(・OH)を生成し、これらの反応性活性酸素種が強い酸化分解機能を発揮し、光触媒材料の表面に付着している有機物質を高効率で分解する機能を有している。
このような光触媒材料としては、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型の酸化チタン結晶などが知られており、一般的にはアナターゼ型酸化チタンが多用されている。
また、臭気吸着剤としては特に制限はなく、例えば、活性炭、アルミナゲル、シリカゲル、ゼオライトなどが挙げられるが、冷蔵庫などの臭気成分を吸着する場合には、前記臭気吸着剤の中で、活性炭が好適である。
一方、無機バインダーとしては、アモルファス型チタニアバインダー、シリカバインダー、アルミナバインダーなどを用いることができる。
当該光再生型脱臭剤を、冷蔵庫などの暗所で使用する場合、脱臭機能が経時により低下し、一定期間が経過すると臭気成分の吸着量が飽和となり、脱臭機能がなくなる。
したがって、脱臭機能がある程度低下した時点で、この光再生型脱臭剤に紫外線を照射して、当該脱臭剤中の光触媒材料を励起させ、吸着された臭気成分を分解して再生する処置を講じる。
前記紫外線照射は、再生すべき光再生型脱臭剤を天日干しなどして、太陽光線中の紫外線を利用する方法が、通常行われる。
本発明の再生時期表示材は、前記したような光再生型脱臭剤の再生時期を知らせる部材である。
本発明の再生時期表示材におけるシート状基材には、前記(A)成分のフォトクロミズムを有する遷移金属化合物と、(B)成分の水溶性高分子化合物とを含浸させるための含浸用シート状基材と、前記(A)成分と(B)成分とを含むコーティング層を設けるためのコーティング用シート状基材の二つの態様がある。
なお、前記(A)成分及び(B)成分を含む混合物をフィルム加工して用いることが考えられるが、この場合、フィルムの機械強度、製造性、取扱い性などの観点から、その厚さは、通常10μmを超えるものが必要となる。
しかしながら、該フィルムの厚さが10μmを超えて厚くなると、後述の比較例1で示されるように退色時間が長くなり、再生時期表示材としては適当でない。
したがって、本発明においては、シート状基材に、前記(A)成分と(B)成分とを含浸させたもの、あるいは(A)成分と(B)成分とを含むコーティング層を設けたものを再生時期表示材として用いる。
含浸用シート状基材としては、通常、多孔質シート状基材が用いられる。
この多孔質シート状基材に特に制限はなく、天然繊維や合成繊維、ガラス繊維、炭素繊維などからなる不織布、織布、編布などの布基材、あるいは発泡プラスチックシートや各種紙基材などがある。
当該含浸用シート状基材としては、含浸性、保持性、表示材としての性能などの観点から紙基材が好適である。
この紙基材としては、例えばクラフト紙、上質紙、グラシン紙、薄葉紙、試験用濾紙などを用いることができる。
当該含浸用シート状基材として、不織布、織布、編布などの布基材を用いる場合には、作業性、取扱い性、光再生型脱臭剤への貼付性などの観点から、厚さは、好ましくは20〜5000μm、より好ましくは50〜2000μm、さらに好ましくは100〜1000μmである。
また、フォトクロミズムを効果的に発揮し得る量の前記(A)成分と(B)成分を保持する観点から、比表面積は、好ましくは1〜1000m2/gであり、空隙率は、好ましくは20〜80%である。
また、紙基材を用いる場合には、腰の強さや、光再生型脱臭剤への貼付性、含浸性などの観点から、厚さは、好ましくは20〜3000μm、より好ましくは50〜2000μm、さらに好ましくは100〜1000μmであり、フォトクロミズムを効果的に発揮し得る量の前記(A)成分と(B)成分を保持すると共に、基材としての機械強度などの観点から、緊度は、好ましくは0.4〜1.3g/cm3、より好ましくは0.45〜1.0g/cm3である。
コーティング用シート状基材としては、上質紙やグラシン紙などにポリエチレン等をラミネートしたポリエチレンラミネート紙、アート紙、コート紙、合成紙などの紙基材;アルミニウム箔やステンレス箔などの金属箔;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4−メチルペンテン−1などのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂などのプラスチックフィルム;等を用いることができる。
当該コーティング用シート状基材として、前記のプラスチックフィルムを用いる場合には、その表面に設けられる層との密着性を向上させる目的で、所望により、片面又は両面に、酸化法や凹凸化法などにより表面処理を施すことができる。
上記酸化法としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理などが挙げられ、また、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。
これらの表面処理法は、基材フィルムの種類に応じて適宜選ばれるが、一般には、コロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から、好ましく用いられる。
また、プライマー層を設けてもよい。
当該コーティング用シート状基材の厚さは、紙基材やプラスチックフィルムの場合には、機械強度、光再生型脱臭剤への貼付性、経済性などの観点から、通常10〜300μm程度、好ましくは15〜150μmである。
また、金属箔の場合は、取扱い性や光再生型脱臭剤への貼付性が不良にならない範囲で薄い方がよい。
前記の含浸用シート状基材及びコーティング用シート状基材の色調は、本発明の再生時期表示材が発色した場合、コントラストを高くして見えやすくするために、無色や白色系、あるいは淡色系であることが好ましい。
本発明の再生時期表示材において、(A)成分として用いられるフォトクロミズムを有する遷移金属酸化物としては、フォトクロミズム性能を有するものであればよく、特に制限されず、様々な遷移金属酸化物が用いられる。
前記「フォトクロミズム」とは、光の作用により、単一の化学種が分子量を変えることなく、吸収スペクトルの異なる2つの状態を可逆的に形成する現象を指す。
なお、本発明でいう遷移金属酸化物には、遷移金属酸をも包含する。
当該フォトクロミズムを有する遷移金属酸化物としては、周期表(長周期型)第5族及び第6族に属する金属の酸化物が好ましく、具体的にはバナジウム、ニオブ、モリブデン、タングステンなどの金属の酸化物を挙げることができる。
本発明においては、これらの遷移金属酸化物は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよいが、フォトクロミズム性能の観点から、これらの中でタングステン酸化物及び/又はモリブデン酸化物が好ましく、特にタングステン酸化物が好適である。
フォトクロミズムを有する材料として、前記の無機材料である遷移金属酸化物以外に、アゾベンゼン類、スピロピラン類、スピロオキサジン類、ジアリールエテン類、フルギド類、クロメン類などの有機材料があるが、本発明においては、耐久性、例えば熱安定性や化学安定性の観点から、前記した遷移金属酸化物を用いる。
本発明の再生時期表示材において、(B)成分として用いられる水溶性高分子化合物は、バインダーとしての機能と共に、前記(A)成分のフォトクロミズムを有する遷移金属化合物の分散性及び該遷移金属化合物の発色を増感させる機能を有するものである。
当該水溶性高分子化合物としては、前記の機能を有するものであればよく、特に制限されず、様々な化合物を用いることができる。
具体的には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド及びポリアクリル酸ナトリウムなどを挙げることができ、これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよいが、これらの中で、増感作用の観点から、ポリビニルアルコール及び/又はポリエチレングリコールが好ましい。
特に、ポリビニルアルコールは、ポリ酢酸ビニルのケン化によって製造されるものであり、そのケン化度及び重合度を調整することによって、水溶性、機械特性、耐水性、接着性、界面活性などの諸特性を制御し得ることから、好適である。
前記ポリビニルアルコールを用いる場合、バインダーとしての機能、前記(A)成分の分散性、水溶性、発色増感性などの観点から、ケン化度は、好ましくは50モル%以上、より好ましくは80〜99モル%であり、重合度は、好ましくは100〜2000、より好ましくは500〜1800である。
一方、ポリエチレングリコールを用いる場合、バインダーとしての機能、前記(A)成分の分散性、発色増感性などの観点から分子量は、質量平均分子量で5,000〜100,000程度が好ましい。
本発明の再生時期表示材においては、前記の(A)成分であるフォトクロミズムを有する遷移金属酸化物は、(B)成分である水溶性高分子化合物との含有割合は、フォトクロミズム性能、発色増感性、(A)成分の(B)成分に対する分散性、含浸用シート状基材に対する含浸性又はコーティング用シート状基材に対するコーティング性などの観点から、質量比で50:1〜1:50が好ましく、1:1〜1:30がより好ましい。
また、本発明の再生時期表示材が、前記の(A)成分と(B)成分とを、前記含浸用シート状基材に含浸させたものである場合、該(A)成分と(B)成分との含浸量は、良好なフォトクロミズム性能を有し、表示材としての機能を効果的に発揮し得る観点から、(A)成分と(B)成分との合計量で、1〜500g/m2であることが好ましく、
3〜100g/m2であることがより好ましい。
一方、本発明の再生時期表示材が、前記の(A)成分と(B)成分とを含むコーティング層を、前記コーティング用シート状基材表面に形成したものである場合、該コーティング層の厚さは、0.1〜10μmであることが好ましい。
コーティング層の厚さが上記範囲にあれば、良好なフォトクロミズム性能を有すると共に、暗所での退色が遅すぎることがなく、表示材としての機能が効果的に発揮される。
本発明の再生時期表示材は、前記の(A)成分であるフォトクロミズムを有する遷移金属酸化物と、(B)成分である水溶性高分子化合物とを、前述した割合で含む含浸液又はコーティング液を調製し、それぞれ、含浸用シート状基材に含浸させることにより、又はコーティング用シート状基材の表面にコーティング層を形成させることにより、製造することができる。
(A)成分のフォトクロミズムを有する遷移金属酸化物としては、(B)成分の水溶性高分子化合物に対する均一分散性の観点から、ゾル−ゲル法で形成されるコロイド状遷移金属酸を用いることが好ましい。
このコロイド状遷移金属酸は、以下のようにして調製することができる。
まず、遷移金属酸ナトリウムなどの水溶性遷移金属酸塩の水溶液を調製したのち、陽イオン交換樹脂を用いて処理するか、あるいは該水溶液に塩酸や硫酸などの鉱酸を加えることにより、コロイド状の遊離遷移金属酸を形成させる。
鉱酸を用いる方法は、適切なpH調整が困難であり、また、陰イオンが不純物として混入するなどの問題があるため、簡便で不純物の混入の少ない陽イオン交換樹脂を用いる方法が好ましい。
このようにして得られた遊離遷移金属酸のコロイド液の濃度としては、0.05〜30質量%が好ましく、0.3〜20質量%がより好ましく、0.616質量%がさらに好ましい。
該コロイド液の濃度が上記範囲にあれば、フォトクロミズム性能が良好に発揮され、かつコロイド状の遊離遷移金属酸がゲル化するのを抑制することができる。
この水溶液における水溶性高分子化合物の濃度は、0.5〜30質量%が好ましく、3〜25質量%が好ましく、5〜20質量%がさらに好ましい。
このような濃度を有する水溶性高分子化合物の水溶液と、前記の遊離遷移金属酸のコロイド液を、所定の割合で混合し、含浸液又はコーティング液を調製した場合、該コロイドの安定性がよく、ゲル化が抑制され、かつ含浸性又はコーティング性が良好である。
本発明においては、前記のようにして得られた遊離遷移金属酸のコロイド液と水溶性高分子化合物の水溶液とを、(A)成分と(B)成分とが、前述した割合になるように混合して、含浸液又はコーティング液を調製する。
次いで、前述に紙基材などの含浸用シート状基材に、上記含浸液を、前記(A)成分と(B)成分との合計量が、好ましくは3〜100g/m2になるように含浸させたのち、30〜180℃程度の温度で1〜300分間程度加熱処理し、乾燥することにより、本発明の再生時期表示材が得られる。
なお、含浸用シート状基材として、紙基材を用いる場合には、抄紙工程における叩解パルプを含む紙料に、前記含浸液を加え、抄紙して、前記(A)成分と(B)成分とを含浸した紙基材を作製してもよい。
このようにして作製された本発明の再生時期表示材においては、退色時間の調節は、(A)成分であるフォトクロミズムを有する遷移金属酸化物及び(B)成分である水溶性高分子化合物の種類や、それらの含有割合、さらには(A)成分と(B)成分とを含浸させた場合には、単位面積当たりのそれらの合計含浸量、(A)成分と(B)成分とを含むコーティング層を設けた場合には、該コーティング層の厚さなどを変えることにより、行うことができる。
本発明の再生時期表示材は、それが適用される光再生型脱臭剤について使用する場所における脱臭効果の低下速度を予め調べておき、それに基づいて所定の退色速度を有するように作製し前記光再生型脱臭剤に適用するのがよい。
本発明の再生時期表示材を、光再生型脱臭剤に適用する場合、当該脱臭剤の筐体やケースの外部などに、粘着剤層を介して裏面側が接するようにして貼付することが好ましい。また、両面粘着テープを用いて貼付してもよい。
本発明の再生時期表示材においては、退色時間は、特に恒温恒湿下では一定になるので、脱臭剤を冷蔵庫中で用いる場合に特に優れている。
本発明の再生時期表示材を光再生型脱臭剤と共に冷蔵庫中で用いる場合は、通常、光再生型脱臭剤は14日〜45日程度で再生を繰り返すので、再生時期表示材の退色時間を14日〜45日程度に設定するのがよい。
性能評価は、下記の測定方法に従って行なった。
タングステン(VI)酸ナトリウム二水和物(Na2WO4・2H2O)の4.95質量%水溶液50mLを調製した。
次に、ガラス製のカラムに陽イオン交換樹脂〔Rohm and Hass社製、商品名AMBERLITE IR120 PLUS(H)〕18cm3を充填し、上記タングステン酸(VI)酸ナトリウム水溶液をカラムに通液してタングステン酸のコロイド液を調製した。
別に、完全ケン化型のポリビニルアルコール(PVA)〔クラレ(株)製、商品名クラレポバール117S〕の16質量%水溶液50mLを調製した。
このPVA水溶液(20mL)と前処理したタングステン酸のコロイド液(20mL)を手早く混ぜ合わせて均一な混合液を得た。
この混合液に、定性濾紙〔東洋濾紙(株)製、商品名ADVANTEC No.2;0.26mm)を浸した。
3分後に濾紙を引き上げて、60℃の乾燥器中で40分間乾燥させた。
乾燥後、濾紙を1cm角の大きさに切り取り再生時期表示材とし、両面粘着テープで光再生型脱臭剤の筐体に貼付した。
この濾紙製表示材にブラックライトで紫外線(強度0.78mW/cm2)を照射して青色に発色させたところ、6時間後に吸光度(λ:600nm)が一定になった。
次に、この濾紙製再生時期表示材を冷蔵庫(3℃、72.6%RH、暗室)中に静置して、退色挙動を調べた。
濾紙製表示材の青色の退色は、小型分光器〔オーシャンオプティクス社製、USB2000〕を用いて濾紙製表示材の反射率から吸光度(λ:600nm)を測定した。
次に、退色した濾紙製表示材について、再度ブラックライトで紫外線(強度0.78mW/cm2)を6時間照射し、青色に発色させ、冷蔵庫(3℃、72.6%RH、暗室)中に静置してその退色挙動を調べた。この操作を2回繰り返した。
結果を表1に示す。
実施例1の1cm角の大きさの濾紙製再生時期表示材にブラックライトで紫外線(強度0.78mW/cm2)を照射して青色に発色させたところ、6時間後に吸光度(λ:600nm)が一定になった。
次に、この濾紙製再生時期表示材を冷蔵庫(3℃、72.6%RH、暗室)中に静置してその退色挙動を調べた。
退色率は、下記式を用いて算出した。
退色率(%)=[〔経過日数毎の吸光度(600μm)〕/最大吸光度(600μm)]×100
結果を図1に示す。
なお、図1において、濾紙製再生時期表示材を紙と表し、横軸は日数、縦軸は退色率(%)を示す。
実施例1と同様にして、タングステン(VI)酸ナトリウム二水和物(Na2WO4・2H2O)の4.95質量%水溶液50mLを調製し、次に、ガラス製のカラムに陽イオン交換樹脂〔Rohm and Hass社製、商品名AMBERLITE IR120 PLUS(H)〕18cm3を充填し、このタングステン酸(VI)酸ナトリウム水溶液をカラムに通液してタングステン酸のコロイド液を調製した。
別に、完全ケン化型のポリビニルアルコール(PVA)〔クラレ(株)製、商品名クラレポバール117S〕の4質量%水溶液50mLを調製した。
このPVA水溶液(10mL)と前処理したタングステン酸のコロイド液(10mL)を手早く混ぜ合わせて均一な混合液を得た。
この混合液(2mL)をシャーレ(直径:35mm)に流延し、室温で風乾したところ、剥離性の高い透明フィルム(膜厚:19μm)が得られた。
得られたフィルムを1×2cmの大きさに切り取りフィルム状再生時期表示材とし、プラスチック製のセルプレートに粘着テープで固定した。
このフィルム状再生時期表示材にブラックライトで紫外線(強度0.78mW/cm2)を照射して青色に発色青色させたところ、6時間後に吸光度(λ:600nm)が一定になった。
次に、このフィルム状再生時期表示材を冷蔵庫(3℃、72.6%RH、暗室)中に静置して、実施例2と同様にしてその退色挙動を調べた。
結果を図1に示す。
なお、図1において、フィルム状再生時期表示材をフィルムと表した。
また、コーティングによって得られる再生時期表示材も、実施例1の含浸によって得られたものと同様の好ましい効果が得られる。
図1から、実施例2の濾紙製再生時期表示材は、退色率の変化が大きく、すなわち、青色から無色への色の変化が鋭敏であり、再生時期表示材として優れている。
これに対し、比較例1のフィルム状再生時期表示材は、退色率の変化が小さく、青色から無色への色の変化が緩慢で、再生時期表示材として劣っている。
Claims (10)
- 光再生型脱臭剤の再生時期を知らせるための表示材であって、シート状基材に、(A)フォトクロミズムを有する遷移金属酸化物と、(B)水溶性高分子化合物とを含浸させるか、又は該シート状基材の表面に、前記(A)成分と(B)成分とを含むコーティング層を設けたことを特徴とする光再生型脱臭剤の再生時期表示材。
- (A)成分と(B)成分との含有割合が、質量比で50:1〜1:50である請求項1に記載の光再生型脱臭剤の再生時期表示材。
- シート状基材に、(A)成分と(B)成分とを、その合計量が1〜500g/m2になるように含浸してなる請求項1又は2に記載の光再生型脱臭剤の再生時期表示材。
- シート状基材表面に、(A)成分と(B)成分とを含むコーティング層が、0.1〜10μmの厚さで設けられてなる請求項1又は2に記載の光再生型脱臭剤の再生時期表示材。
- (A)フォトクロミズムを有する遷移金属酸化物が、周期表(長周期型)第5族及び第6族に属する金属の酸化物の中から選ばれる少なくとも一種である請求項1〜4のいずれかに記載の光再生型脱臭剤の再生時期表示材。
- (A)成分が、タングステン酸化物及び/又はモリブデン酸化物である請求項1〜5のいずれかに記載の光再生型脱臭剤の再生時期表示材。
- (B)水溶性高分子化合物が、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド及びポリアクリル酸ナトリウムの中から選ばれる少なくとも一種である請求項1〜6のいずれかに記載の光再生型脱臭剤の再生時期表示材。
- (B)成分が、ポリビニルアルコール及び/又はポリエチレングリコールである請求項1〜7のいずれかに記載の光再生型脱臭剤の再生時期表示材。
- 光再生型脱臭剤が、冷蔵庫中で用いるものである請求項1〜8のいずれかに記載の光再生型脱臭剤の再生時期表示材。
- 光再生型脱臭剤に貼付される請求項1〜9のいずれかに記載の光再生型脱臭剤の再生時期表示材。
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CN113264633A (zh) * | 2021-04-20 | 2021-08-17 | 广西壮族自治区环境保护科学研究院 | 一种黑臭河道生态修复方法 |
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2007
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