JP2008265303A - インクジェット記録方法及び記録物 - Google Patents

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千恵 齋藤
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美春 金谷
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Abstract

【課題】従来から使用されているインクジェット記録装置に追加の設備を設けることなくそのまま使用することができ、しかも記録媒体としてインク吸収性の低い印刷用塗工紙を用いる技術を提供する。
【解決手段】顔料と、水溶性有機溶剤と、界面活性剤と、水と、を少なくとも含んでなるインク組成物の液滴を記録媒体上に吐出して画像を形成するインクジェット記録方法において、記録媒体として、普通紙、またはブリストー法において接触開始から30msec1/2以内の水吸収量が30ml/m2以下である紙支持体の吸収層を有する記録媒体を用い、インク組成物の液滴を一滴当たり15ng以下とし、記録媒体への水分付着量を10mg/inch2以下とする、インクジェット記録方法及び該インクジェット記録方法により得られた記録物。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録方法及び記録物に関する。さらに詳しくは、コックリング又はカール特性に優れたインクジェット記録方法及び記録物に関する。
インクジェット記録方法は、プリンタヘッドからインク小滴を飛翔させ、紙等の記録媒体に着弾させて印刷を行う印刷方法である。このインクジェット記録方法に使用するインクは、プリンタヘッドから飛翔させるため、低粘性であることが必要になり、高含水量のインクが使用される。従って、記録媒体としては、インク吸収性の高いインクジェット専用紙が用いられている。
インクジェット専用紙によれば、高品質の画像を実現することができる。しかしながら、インクを吸収させるための吸収層を厚く設けないと吸収量が少なくなってしまうため、塗工量が多くなる。しかも、吸収層を透明にするために微粉末シリカやアルミナなどを原料として使用するため、コストも高くなっていた。このコスト高が、ユーザーの用途を狭める障壁になっていた。
コピー用紙などの普通紙や印刷用塗工紙(コート紙、印刷本紙ともいう)は、安価であるものの、インクジェット専用紙に比べるとインク吸収性が低い。そのため、普通紙はインクジェット記録方法の記録媒体としては本質的に不適当である。近年、安価な普通紙に対しても高品質画像を保証するインクジェット記録用インクが種々開発されているが、インクジェット専用紙における画像品質に到達するのは本質的に極めて困難である。
印刷用塗工紙は、インク吸収性が前記の普通紙よりも更に低いため、インクジェット記録方法の記録媒体としては、前記の普通紙よりも更に不適当であると考えられていた。しかしながら、塗工紙の画像品質は極めて高水準であるため、これをインクジェット記録方法の記録媒体として用いる技術も提案されている。
例えば、1回のパスで印字可能な印字領域P1,P2を複数回のパスに分割して印字し、その複数回のパスで前記印字領域の印字を完了させる間は紙送りをしないことで、従来の装置に追加の設備を設けることなく、しかもインク吸収性が低い印刷適性の優れた印刷用塗工紙を用いて、高品質画像が可能なインクジェット記録方法が提案されている(特許文献1)。
特開2006−272732号公報
以上のように、シンプルで小型であるというインクジェット記録方式の利点と、安価で優れた印刷適性を有する印刷用塗工紙とを組み合わせることは、インクジェット記録方法の観点から検討されているが、インク組成物の観点からは、未だ改善の余地がある。
また、水分含量の高い従来のインク組成物を用いて印刷用塗工紙に印刷すると、インクを吐出した後に塗工紙が波を打ったようなしわが生じる、いわゆる「コックリング」や、印刷用塗工紙そのものが反り返る、いわゆる「カール」などの現象が生じるという問題があった。
従って、本発明の課題の1つは、従来から使用されているインクジェット記録装置に追加の設備を設けることなくそのまま使用することができ、しかも記録媒体としてインク吸収性の低い印刷用塗工紙を用いる技術を提供することにある。
上記の目的を達成するため、本発明は、顔料と、水溶性有機溶剤と、界面活性剤と、水と、を少なくとも含んでなるインク組成物の液滴を記録媒体上に吐出して画像を形成するインクジェット記録方法において、記録媒体として、普通紙、またはブリストー法において接触開始から30msec1/2以内の水吸収量が30ml/m2以下である紙支持体の吸収層を有する記録媒体を用い、インク組成物の液滴を一滴当たり15ng以下とし、記録媒体への水分付着量を10mg/inch2以下とするものである。
好ましくは、インク組成物の液滴を、一色のノズル密度が360dpi以上のインクジェット記録ヘッドから吐出する。
インク組成物の水の含有量が、10〜60重量%であることが好ましい。
好ましくは、水溶性有機溶剤が、少なくとも、(b)20℃における蒸気圧が0.1mmHg以下の多価アルコールモノアルキルエーテル及び/または含窒素環状化合物を15重量%以上含み、且つ、(c)多価アルコール類を含む。この場合に、例えば、(a)水:(b)20℃における蒸気圧が0.1mmHg以下の多価アルコールモノアルキルエーテル及び/または含窒素溶媒:(c)多価アルコール類の含有量の比率が、(a):(b):(c)=1:0.25〜8:0.1〜7である。
例えば、顔料の濃度が、固形分換算で6重量%以上である。また、顔料が、水不溶性ポリマーに被覆された顔料であるか、自己分散型顔料であることが好ましい。
界面活性剤が、アセチレングリコール系界面活性剤及び/又はポリ変性シロキサン系界面活性剤であることが好ましい。
インク組成物が、さらに、樹脂エマルジョンを含んでいることが好ましい。この場合に、樹脂エマルジョンが、最低造膜温度が20℃以上の樹脂微粒子と、最低造膜温度が20℃未満の樹脂微粒子との混合物であることが好ましい。
本発明は、上述したインクジェット記録方法によって記録が行われた、記録物に関する。
[インクジェット記録方法]
次に、本発明のインクジェット記録方法について、好ましい実施形態に基づき説明する。本発明のインクジェット記録方法は、既述の通り、顔料と、水溶性有機溶剤と、界面活性剤と、水と、を少なくとも含んでなるインク組成物の液滴を記録媒体上に吐出して画像を形成するインクジェット記録方法において、記録媒体として、普通紙、またはブリストー法において接触開始から30msec1/2以内の水吸収量が30ml/m2以下である紙支持体の吸収層を有する記録媒体を用い、インク組成物の液滴を一滴当たり15ng以下とし、記録媒体への水分付着量を10mg/inch2以下とするものである。
本実施形態のインクジェット記録方法は、記録媒体として、普通紙やインク吸収性の乏しい紙支持体の吸収層を有する記録媒体に対して適用する際に有用である。
本実施形態において、「普通紙」とは、一般に、パルプを主原料としプリンタなどに使用される紙をいい、JIS P 0001 番号6139で定義されている。具体的には、例えば、上質紙、PPCコピー紙、非塗工印刷紙などを挙げることができる。普通紙は各社から市販されているものを利用することもでき、例えば、Xerox 4200(Xerox社製)、GeoCycle(Gerogia-Pacific)等、種々のものを利用することができる。
また、本実施形態において、「インク吸収性の乏しい紙支持体の吸収層を有する記録媒体」とは、ブリストー法において接触開始から30msec1/2以内の水吸収量が30ml/m2以下である紙支持体の吸収層を有する記録媒体をいう。また、本実施形態においては、従来から、凸版印刷、平板印刷(例えば、オフセット印刷)、又は凹版印刷(例えば、グラビア印刷)の印刷用紙として使用されている任意の印刷用塗工紙(印刷本紙ともいう)を用いることができる。この印刷用塗工紙には、普通塗工紙、キャスト塗工紙、及びつや消し塗工紙が含まれる。また、JIS P 0001 番号6122で定義されている印刷本紙、JIS P 0001 番号6059で定義されているコート紙(例えば、OKトップコートN)なども含まれる。
インク組成物の液滴は、一滴当たり15ng以下とする。インク組成物の液滴を一滴当たり15ng以下とすることで、インク組成物の定着性を向上させることができる。
インク組成物の液適は、一色のノズル密度が360dpi以上のインクジェット記録ヘッドから吐出することが好ましい。これにより、インク組成物の液適量を、上記の適切な範囲に調整することが容易となる。
本実施形態において、記録媒体への水分付着量は10mg/inch2以下とする。記録媒体への水分付着量を10mg/inch2以下とすることで、コックリング、定着性を向上することができる。
記録媒体への水分付着量は、インク組成物の水分含量を規定することによっても調整することができる。上記の水分付着量とするために、例えば、本実施形態のインクジェット記録方法に用いられるインク組成物の水の含有量を、10〜60重量%とすることが好ましい。インク組成物に含まれる水の含有量を上記の範囲に規定することにより、塗工紙中のセルロースに吸収される水分量が従来のインク組成物よりも少なくなる結果、コックリングやカールの原因と考えられているセルロースの膨潤を抑制することができる。従って、本実施形態のインク組成物は、普通紙や印刷用塗工紙(印刷本紙)など、インク吸収性の低い紙支持体の吸収層を有する記録媒体に対しても有用である。
[インク組成物]
上述したように、本実施形態に係るインクジェット記録方法に用いるインク組成物は、顔料と、水溶性有機溶剤と、界面活性剤と、水と、を少なくとも含んでなるものである。以下、各成分について詳細に説明する。
[顔料]
本実施形態に用いられるインク組成物の着色剤は、耐光性の観点から顔料を使用する。顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用することができる。
無機顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタン等を使用することができる。
また、有機顔料として、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料などのアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(たとえば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等が挙げられる。上記顔料は1種単独でも、2種以上併用して用いることもできる。
ブラックインク組成物に使用される顔料としては、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックの具体例としては、三菱化学製の#2300、#900、HCF88、#33、#40、#45、#52、MA7、MA8、MA100、#2200B等、コロンビア社製のRaven5750、同5250、同5000、同3500、同1255、同700等、キャボット社製のRegal 400R、同330R、同660R、Mogul L、同700、Monarch 800、同880、同900、同1000、同1100、同1300、同1400等、デグッサ社製のColor Black FW1、同FW2V、同FW18、同FW200、Color Black S150,同S160、同S170、Printex 35、同U、同V、同140U、Specisal Black 6、同5、同4A、同4等を挙げることができ、これらの1種又は2種の混合物として用いてもよい。
本実施形態で用いられるカラーインク組成物としては、少なくとも、イエローインク組成物、マゼンタインク組成物、シアンインク組成物を含むことが好ましい。カラーインク組成物の顔料としては、カラーインデックスに記載されているピグメントイエロー、ピグメントレッド、ピグメントバイオレット、ピグメントブルー等の顔料が例示できる。
具体的には、例えば、C.I.ピグメントイエロー1,3,12,13,14,17,24,34,35,37,42,53,55,74,81,83,95,97,98,100,101,104,108,109,110,117,120,128,138,147,150,153,155,174,180,188,198;C.I.ピグメントレッド1,3,5,8,9,16,17,19,22,38,57:1,90,112,122,123,127、146,184,202,207,209;C.I.ピグメントバイオレッド1,3,5:1,16,19,23,38;C.I.ピグメントブルー1,2,15,15:1,15:2,15:3,15:4,16;C.I.ピグメントブラック1,7等であり、複数の顔料を用いてインク組成物を形成することもできる。
特に、イエローインク組成物に含まれる有機顔料が、C.I.ピグメントイエロー74、109、110、128、138、147、150、155、180、188から選ばれる少なくとも1種を含み、マゼンタインク組成物に含まれる有機顔料が、C.I.ピグメントレッド122、202、207、209、C.I.ピグメントバイオレット19から選ばれる少なくとも1種を含み、シアンインク組成物に含まれる有機顔料が、C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、16から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
また、カラーインデックスに記載されていない顔料であっても水に不溶であればいずれも使用できる。
顔料の濃度は適宜決定されてよいが、普通紙における光学濃度(OD値)の観点から、インク組成物中、固形分換算で6重量%以上とすることが好ましい。
[水不溶性ポリマーによって被覆されている顔料]
インク組成物に用いられる顔料は、少なくとも水不溶性ポリマーによって被覆されている顔料であることが好ましい。水不溶性ポリマーは、疎水性基をもつモノマーと親水性基を持つモノマーとのブロック共重合体樹脂からなり、少なくとも塩生成基をもつモノマーを含有しているもので、中和後に25℃の水100gに対する溶解度が1g未満であるポリマーをいう。
疎水性基を持つモノマーは、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、グリシジルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類や酢酸ビニル等のビニルエステル類やアクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルシアン化合物類、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、4−t−ブチルスチレン、クロルスチレン、ビニルアニソール、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル単量体類などがあり、それぞれ単独あるいは2種類以上を混合して用いることもできる。
親水性基を持つモノマーとしては、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、エチレングリコール・プロピレングリコールモノメタクリレートなどがあり、それぞれ単独あるいは2種類以上を混合して用いることもできる。特に、ポリエチレングリコール(2〜30)モノメタクリレート、ポリエチレングリコール(1〜15)・プロピレングリコール(1〜15)モノメタクリレート、ポリプロピレングリコール(2〜30)メタクリレート、メトキシポリエチレングリコール(2〜30)メタクリレート、メトキシポリテトラメチレングリコール(2〜30)メタクリレート、メトキシ(エチレングリコール・プロピレングリコール共重合体)(1〜30)メタクリレートなどの分岐鎖を構成するモノマー成分を用いることによって、印刷画像の光沢性が向上する。
塩生成基をもつモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、スチレンカルボン酸、マレイン酸などがあり、それぞれ単独あるいは2種類以上を混合して用いることもできる。
さらに、片末端に重合成官能基を有するスチレン系マクロモノマー、シリコーン系マクロモノマーなどのマクロモノマーやその他のモノマーを併用することもできる。
水不溶性ポリマーは、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法など公知の重合法により、モノマーを共重合させることによって得られるが、特に溶液重合法が好ましい。重合の際には、公知のラジカル重合剤や重合連鎖移動剤を添加してもよい。
水不溶性ポリマーによって被覆された顔料は、例えば、上記の水不溶性ポリマーをメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、ジブチルエーテルなどの有機溶媒に溶解させ、得られた溶液に顔料を添加し、次いで中和剤及び水を添加して混練、分散処理を行うことにより水中油滴型の分散体を調製し、得られた分散体から有機溶媒を除去することによって、水分散体として得ることができる。混練、分散処理は、例えば、ボールミル、ロールミル、ビーズミル、高圧ホモジナイザー、高速攪拌型分散機などを用いることができる。
中和剤は、エチルアミン、トリメチルアミン等の3級アミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等が好ましく、得られる水分散体のpHが6〜10であることが好ましい。
また、被覆する水不溶性ポリマーとしては、重量平均分子量が10000〜150000程度のものが、顔料を安定的に分散させる点で好ましい。重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分子量分析方法により測定することができる。
水不溶性ポリマーによって被覆される顔料としては、「染料便覧」(出版元;丸善株式会社)等に記載の既存の顔料を用いることができる。顔料としては、公知の無機顔料及び有機顔料のいずれも用いることができ、カラーインデックスに記載されているピグメントイエロー、ピグメントレッド、ピグメントバイオレット、ピグメントブルー、ピグメントブラック等の顔料の他、フタロシアニン系、アゾ系、アントラキノン系、アゾメチン系、縮合環系等の顔料が例示できる。
また、黄色4号、5号、205号、401号;橙色228号、405号;青色1号、404号等の有機顔料や、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化鉄、群青、紺青、酸化クローム等の無機顔料が挙げられる。例えば、C.I.ピグメントイエロー1,3,12,13,14,17,24,34,35,37,42,53,55,74,81,83,95,97,98,100,101,104,108,109,110,117,120,128,138,150,153,155,174,180,198、C.I.ピグメントレッド1,3,5,8,9,16,17,19,22,38,57:1,90,112,122,123,127、146,184、202、209、C.I.ピグメントバイオレッド1,3,5:1,16,19,23,38、C.I.ピグメントブルー1,2,15,15:1,15:2,15:3,15:4,16、C.I.ピグメントブラック1,7等であり、複数の顔料を用いてインク組成物を形成することもできる。
[自己分散型顔料]
インク組成物に用いられる顔料は、上述した水不溶性ポリマーによって被覆されている顔料の代わりに、自己分散型顔料を好ましく用いることができる。「自己分散型顔料」とは、顔料表面に多数の親水性官能基および/またはその塩(以降、分散性付与基という)を、直接またはアルキル基、アルキルエーテル基、アリール基等を介して間接的に結合させたもので、分散剤なしに水性媒体中に分散および/または溶解することが可能な顔料である。ここで「分散剤なしに水性媒体中に分散および/または溶解」とは、顔料を分散させるための分散剤を用いなくても水性媒体中に分散可能な最小粒子径で安定に存在している状態をいい、「分散可能な最小粒子径」とは、分散時間を増してもそれ以上小さくならない顔料の粒子径をいう。
自己分散型顔料を着色剤として含有するインクは、通常の顔料を分散させるために含有させる前述のような分散剤を含む必要が無いため、分散剤に起因する発泡等がほとんど無く吐出安定性に優れるインクが調製しやすい。また分散剤に起因する大幅な粘度上昇が抑えられるので、顔料をより多く含有することが可能となり印字濃度を十分に高めることが可能になる、等取り扱いが容易である。
自己分散型顔料は、例えば、顔料に物理的処理または化学的処理を施すことで、−COOH、−CO、−OH、−SO3H、−PO32及び第4級アンモニウム並びにそれらの塩などの分散性付与基またはこれらの分散性付与基を有する活性種を顔料の表面に結合(グラフト)させることによって製造される。物理的処理としては、例えば真空プラズマ処理等が例示できる。また化学的処理としては、例えば水中で酸化剤により顔料表面を酸化する湿式酸化法や、p−アミノ安息香酸を顔料表面に結合させることによりフェニル基を介してカルボキシル基を結合させる方法等が例示できる。
本実施形態においては、次亜ハロゲン酸及び/または次亜ハロゲン酸塩による酸化処理、またはオゾンによる酸化処理により表面処理される自己分散型顔料が、高発色という点で好ましい。
また、自己分散型顔料としては市販品を利用することも可能であり、マイクロジェットCW−1(商品名;オリヱント化学工業社製)、CAB−O−JET200、CAB−O−JET250C、CAB−O−JET260M、CAB−O−JET270Y、CAB−O−JET300(以上商品名;キャボット社製)等が例示できる。
自己分散型顔料は、インク組成物中における分散安定性、記録画像のOD値がより高く、光沢性を更に向上させることができるという観点から、その体積平均粒子径が50〜250nmであることが好ましい。尚、これらの体積平均粒子径は、Microtrac UPA150(Microtrac社製)や粒度分布測定機LPA3100(大塚電子社製)等の粒径測定によって、得ることができる。
[水溶性有機溶剤]
インク組成物には、インクジェットプリンタの印刷品質、及び吐出安定性やノズルの目詰まり防止等の信頼性確保という観点から、水溶性有機溶剤が含まれる。
水溶性有機溶剤としては、例えば、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレンフリコール、ジプロピレングリコール、2−ブテンー1,4−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、4−メチル−1,2−ペンタンジオール等の多価アルコール類;エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの炭素数1〜4のアルキルアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテルなどのグリコールエーテル類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン;1,3−ジメチルー2−イミダゾリジノン;ホルムアミド、アセトアミド;ジメチルスルホキシド;ソルビット、ソルビタン;アセチン、ジアセチン、トリアセチン;スルホラン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
これらの水溶性有機溶剤は、インク組成物の適正な物性値(粘度等)の確保、印刷品質、信頼性の確保という観点で、インク組成物中に10〜90重量%含まれることが好ましい。
本実施形態において、好ましくは、水溶性有機溶剤が、少なくとも、(b)20℃における蒸気圧が0.1mmHg以下の多価アルコールモノアルキルエーテル及び/または含窒素環状化合物を15重量%以上含み、且つ、(c)多価アルコール類を含む。さらに好ましくは、例えば、(a)水:(b)20℃における蒸気圧が0.1mmHg以下の多価アルコールモノアルキルエーテル及び/または含窒素溶媒:(c)多価アルコール類の含有量の比率が、(a):(b):(c)=1:0.25〜8:0.1〜7である。これにより、印刷品質、吐出安定性、目詰まり回復性等の信頼性に優れるインクジェット記録方法を提供できる。これは、多価アルコール類が保水性(保湿性)と普通紙等の記録メディアへのインク組成物の浸透性の制御に好適であり、多価アルコールモノアルキルエーテル及び/または含窒素環状化合物が吐出安定性と記録メディアへのインク組成物の浸透性の制御に好適であり、これらを併用することで、さらに滲み、ムラ等の印刷品質を確保、さらに吐出安定性、目詰まり回復性等の信頼性の高いインクインクジェット記録方法を提供できる。
20℃における蒸気圧が0.1mmHg以下の多価アルコールモノアルキルエーテルとしては、上記グリコールエーテル類のうち、例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレンプリコールモノブチルエーテル等が挙げられ、含窒素環状化合物としては、例えば、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。
多価アルコール類としては、上記多価アルコール類のいずれも用いることができるが、特に、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の1,2−アルカンジオールを含むことが好ましい。
[界面活性剤]
インク組成物には、保存安定性の観点から、界面活性剤が含まれる。界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤およびノニオン性界面活性剤を含有することができる。発泡・起泡の少ないインク組成物を得るという観点からノニオン性界面活性剤が特に好ましい。
ノニオン性界面活性剤のさらなる具体例として、アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルなどのエーテル系;ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系;ジメチルポリシロキサン等のポリエーテル変性シロキサン系界面活性剤;その他フッ素アルキルエステル、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等の含フッ素系界面活性剤等が挙げられる。ノニオン界面活性剤は、1種でも2種以上を併用することもできる。
上記ノニオン性界面活性剤の中でも、特にアセチレングリコール系界面活性剤及び/又はポリエーテル変性シロキサン系界面活性剤が発泡も少なく、また優れた消泡性能を有する点で好ましい。
アセチレングリコール系界面活性剤の更なる具体例としては、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3オールなどが挙げられるが、市販品で入手も可能で、例えば、エアープロダクツ社のサーフィノール104、82、465、485、TGや日信化学社製のオルフィンSTG、オルフィンE1010等が挙げられる。ポリエーテル変性シロキサン系界面活性剤の更なる具体例としては、ビッグケミー・ジャパン社のBYK−345、BYK−346、BYK−347、BYK−348、UV3530などを挙げることができる。これらはインク組成物中に複数種類用いてもよく、表面張力20〜40mN/mに調整されることが好ましく、インク組成物中に0.1〜3.0重量%含まれる。
[水]
インク組成物に含有される水は、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水または超純水を用いることが好ましい。特に紫外線照射または過酸化水素添加等により滅菌処理した水を用いることが、カビやバクテリアの発生を防止してインク組成物の長期保存を可能にする点で好ましい。
[樹脂エマルジョン]
インク組成物には、顔料の分散安定性を高める観点及び記録物への定着性を確保する観点から、樹脂が含まれることが好ましい。特に、普通紙における光学濃度(OD値)の観点及び記録物への定着性を確保する観点から、樹脂エマルジョンを用いることが好ましい。
樹脂エマルジョンは、最低造膜温度が20℃以上の樹脂微粒子と、最低造膜温度が20℃未満の樹脂微粒子との混合物であることが好ましい。樹脂エマルジョンとして最低造膜温度が20℃以上の樹脂微粒子と、最低造膜温度が20℃未満の樹脂微粒子との混合物を用いることにより、20℃以上で膜化する樹脂微粒子が周囲温度で膜化することで、定着性や耐擦性を向上させ、20℃未満で膜化する樹脂微粒子は周囲温度で膜化しないことで、粒子のまま紙に残り、顔料粒子をより紙表面に存在させる作用によって、普通紙や再生紙上での高発色を実現する。
これらの樹脂エマルジョンとしては、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂からなる群より選択される1種または2種以上であることが好ましい。これらの樹脂はホモポリマーとして使用されても良く、またコポリマーして使用されてもよく、単相構造及び複相構造(コアシェル型)の何れのものも使用できる。
さらに、インク組成物に含まれる2種類以上の樹脂エマルジョンは、少なくとも何れかが、不飽和単量体の乳化重合によって得られた樹脂微粒子のエマルジョンの形態でインク組成物中に配合されることが好ましい。その理由は、樹脂微粒子のままインク組成物中に添加しても該樹脂微粒子の分散が不十分となる場合があるため、インク組成物の製造上エマルジョンの形態が好ましいからである。また、エマルジョンとしては、インク組成物の保存安定性の観点から、アクリルエマルジョンが好ましい。
樹脂微粒子のエマルジョン(アクリルエマルジョン等)は、公知の乳化重合法により得ることができる。例えば、不飽和単量体(不飽和ビニルモノマー等)を重合開始剤、及び界面活性剤を存在させた水中において乳化重合することによって得ることができる。
不飽和単量体としては、一般に乳化重合で使用されるアクリル酸エステル単量体類、メタクリル酸エステル単量体類、芳香族ビニル単量体類、ビニルエステル単量体類、ビニルシアン化合物単量体類、ハロゲン化単量体類、オレフィン単量体類、ジエン単量体類等が挙げられる。さらに、具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、イソアミルアクリレート、n−へキシルアクリレート、2−エチルへキシルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、シクロへキシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、グリシジルアクリレート等のアクリル酸エステル類;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、グリシジルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類;及び酢酸ビニル等のビニルエステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルシアン化合物類;塩化ビニリデン、塩化ビニル等のハロゲン化単量体類;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、4−t−ブチルスチレン、クロルスチレン、ビニルアニソール、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル単量体類;エチレン、プロピレン等のオレフィン類;ブタジエン、クロロプレン等のジエン類;ビニルエーテル、ビニルケトン、ビニルピロリドン等のビニル単量体類;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマール酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸類;アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N'−ジメチルアクリルアミド等のアクリルアミド類;2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等の水酸基含有単量体類等が挙げられ、これらを単独または二種以上混合して使用することができる。
また、重合可能な二重結合を二つ以上有する架橋性単量体も使用することができる。重合可能な二重結合を二つ以上有する架橋性単量体の例としては、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2'−ビス(4−アクリロキシプロピロキシフェニル)プロパン、2,2'−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン等のジアクリレート化合物;トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート等のトリアクリレート化合物;ジトリメチロールテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等のテトラアクリレート化合物;ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のヘキサアクリレート化合物;エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリブチレングリコールジメタクリレート、2,2'−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン等のジメタクリレート化合物;トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート等のトリメタクリレート化合物;メチレンビスアクリルアミド;ジビニルベンゼン等が挙げられ、これらを単独または二種以上混合して使用することができる。
また、乳化重合の際に使用される重合開始剤及び界面活性剤の他に、連鎖移動剤、さらには中和剤等も常法に準じて使用してよい。特に中和剤としては、アンモニア、無機アルカリの水酸化物、例えば、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等が好ましい。
本実施形態において、樹脂エマルジョンは、インク組成物のインクジェット適正物性値、信頼性(目詰まりや吐出安定性等)、高OD値、定着性、光沢性等をより有効に得る観点から1〜10重量%の範囲でインク組成物中に含有されることが好ましい。
一方、インク組成物に使用される樹脂エマルジョンの体積平均粒子径は、インク組成物中における分散安定性、記録画像のOD値がより高く、光沢性を更に向上させることができるという観点から、20〜200nmであることが好ましい。
[その他の添加剤]
インク組成物には、pH調整剤を添加することができる。pH調整剤としては、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の水酸化アルカリ及び/又はアンモニア、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン等のアルカノールアミン等を用いることができる。特に、アルカリ金属の水酸化物、アンモニア、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミンから選択される少なくとも1種類のpH調整剤を含み、pH6〜10に調整されることが好ましい。pHがこの範囲内にあれば、インクジェットプリンタを構成する材料等に変質を生じることなく、目詰まり回復性が維持される。
また、必要に応じて、コリジン、イミダゾール、燐酸、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、ほう酸等をpH緩衝剤として用いることができる。
トリアルカノールアミンは、インク組成物の光沢付与剤としても好適に用いることができ、光沢を有する記録媒体上にて一様な光沢を有した画像を形成するために、イエロー、マゼンタ及びシアンインク組成物に添加することができる。
また、インク組成物の光沢付与剤としてトリアルカノールアミンを用いる場合の含有量は、プリンタに用いられる部材への浸食、インク粘度及び光沢の点から、顔料100重量%に対して10〜50重量%であることが好ましく、12〜45重量%であることがより好ましく、また、インク組成物全量に対して1重量%以上であることが好ましく、より好ましくは、上限が3重量%であり、下限が1重量%である。
トリアルカノールアミンとしては特に制限されないが、トリエタノールアミン及び/又はトリプロパノールアミンであることが、印字安定性及び光沢性向上の点で好ましい。
さらに、各インク組成物には、必要に応じて、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐・防カビ剤等を添加することができる。
酸化防止剤及び紫外線吸収剤としては、アロハネート、メチルアロハネートなどのアロハネート類、ビウレット、ジメチルビウレット、テトラメチルビウレットなどのビウレット類など、L−アスコルビン酸およびその塩等、チバガイギー社製のTinuvin328、900、1130、384、292、123、144、622、770、292、Irgacor252、153、Irganox1010、1076、1035、MD1024など、あるいはランタニドの酸化物等が用いられる。
防腐・防かび剤としては、例えば安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンジソチアゾリン−3−オン(Avecia社のプロキセルCRL、プロキセルBDN、プロキセルGXL、プロキセルXL−2、プロキセルTN)等が挙げられる。
本実施形態に用いられるインク組成物は、従来公知の装置、例えばボールミル、サンドミル、アトライター、バスケットミル、ロールミル等を使用して、従来のインク組成物と同様に調製することができる。調製に際しては、ノズルの目詰まり防止の観点から粗大粒子を除去することが好ましい。粗大粒子の除去は、例えば各成分を混合して得られたインクをメンブランフィルターやメッシュフィルター等のフィルターを用いて濾過し、好ましくは10μm以上、より好ましくは5μm以上の粒子を除去することにより行われる。
本実施形態において「インクジェット記録方法」とは、インクジェット記録装置により、インク組成物を微細なノズルより液滴として吐出して、その液滴を記録媒体に付着させる方式を意味する。具体的に以下に説明する。
第一の方法としては、静電吸引方式があり、この方式はノズルとノズルの前方に置いた加速電極の間に強電界を印可し、ノズルからインクを液滴状で連続的に噴射させ、インク滴が偏向電極間を飛翔する間に印刷情報信号を偏向電極に与えて記録する方式、あるいはインク滴を偏向することなく印刷情報信号に対応して噴射させる方式である。
第二の方法としては、小型ポンプでインク液に圧力を加え、ノズルを水晶振動子等で機械的に振動させることにより、強制的にインク滴を噴射させる方式である。噴射したインク滴は噴射と同時に帯電させ、インク滴が偏向電極間を飛翔する間に印刷情報信号を偏向電極に与えて記録する。
第三の方法は圧電素子を用いる方式であり、インク液に圧電素子で圧力と印刷情報信号を同時に加え、インク滴を噴射・記録させる方式である。
第四の方式は熱エネルギーの作用によりインク液を急激に体積膨張させる方式であり、インク液を印刷情報信号に従って微小電極で加熱発泡させ、インク滴を噴射・記録させる方式である。
以上のいずれの方式も本実施形態のインク組成物を用いたインクジェット記録方法に使用することができる。
本実施形態のインクジェット記録方法によれば、上述のインク組成物を用いることにより、従来から使用されているインクジェット記録装置に追加の設備を設けることなくそのまま使用することができ、しかも記録媒体としてインク吸収性の低い印刷用塗工紙を用いた場合であっても、コックリングやカールを防止することができる。
[記録物]
本実施形態の記録物は、少なくとも上述のインクジェット記録方法を用いて記録媒体上に記録が行われたものである。この記録物は、上述のインクジェット記録方法を用いることにより、従来から使用されているインクジェット記録装置に追加の設備を設けることなくそのまま使用することができ、しかも記録媒体として普通紙やインク吸収性の低い印刷用塗工紙等を用いた場合であっても、コックリングやカールを防止することができる。
[実施例A]
1.顔料分散液M1の調製
有機顔料 C.I.Pigment Red 122 65g、アニオン性基としてカルボン酸基を有するスチレン−アクリル酸系分散樹脂としてジョンクリル611(ジョンソンポリマー(株)、平均分子量8100、酸価53KOHmg/g)35g、水酸化カリウム1.70g、イオン交換法と逆浸透法により精製した超純水250gを混合して、ジルコニアビーズによるボールミルにて10時間分散を行った。得られた分散原液を孔径約8μmのメンブランフィルタ(日本ミリポア・リミテッド製)で濾過して粗大粒子を除き、これをさらに濃縮して、顔料濃度50重量%の顔料分散液M1を得た。
2.樹脂エマルジョンの調製
樹脂エマルジョンとして、最低造膜温度(以下「MFT」と称する)が20℃未満の樹脂微粒子と、20℃以上の樹脂微粒子の混合物をそれぞれ調製した。
MFTが20℃未満の樹脂微粒子は、アクリルアミド20gにメチルメタクリレート600g、ブチルアクリレート125g、メタクリル酸30g、トリエチレングリコールジアクリレート5gを重合することにより製造した。得られた樹脂微粒子は、20℃の温度条件で膜化しないことを確認した。
MFTが20℃以上の樹脂微粒子は、アクリルアミド20gにスチレン130g、2−エチルヘキシルアクリレート780g、メタクリル酸30g、エチレングリコールジメタクリレート2gを重合することにより製造した。得られた樹脂微粒子は、20℃の温度条件で膜化することを確認した。
3.インク組成物の調製
表1に記載した組み合わせで、顔料分散液M1と、水溶性有機溶剤と、樹脂エマルジョンと、界面活性剤と、水と、を含むインク組成物を調製した。インク組成物は、表1に示す配合割合で各成分を混合し、この混合液を2時間攪拌した後、孔径約5μmのステンレス製フィルターにて濾過することにより調製した。なお、表1中に示す数値は重量%として表している。
Figure 2008265303
4.評価試験
(1)印刷方法
表1に示すインク組成物(インクNo.1〜3)を用いて、インクジェットプリンタPX−A550(セイコーエプソン社製)を使用し、下記表2に示す印刷条件でマゼンタ色の100%Dutyのパッチパターンを作成した。記録メディアとしては、印刷本紙(印刷用塗工紙)の一種であるOKトップコートN(王子製紙社製)と、普通紙の一種であるXerox 4200(Xerox社製)を使用した。そして、パッチパターンをサンプルとして、後述する各評価試験を行った。
Figure 2008265303
(2)光学濃度(OD値)の評価
グレタグ濃度計(グレタグマクベス社製)を用いてパッチ部分のOD値を測定した。そして、各サンプルごとの平均値を求め、算出した平均OD値につき、以下の評価基準で光学濃度値(OD値)を評価した。結果を表3に示す。
A:1.2以上
B:1.0以上0.9未満
C:0.9未満
(3)コックリングの評価
レーザー変位計(LK−010、キーエンス社製)を用いて、各サンプルの凹凸(コックリング)を測定した。そして、各サンプルごとの平均値を求め、算出した平均値に基づき、以下の評価基準でコックリングの評価を行った。結果を表3に示す。
A:凹凸が1.0mm未満
B:凹凸が1.0mm以上2.0mm未満
C:凹凸が2.0mm以上
(4)定着性(乾燥性)
印刷後、各サンプルを昼夜自然乾燥させた後、サンプルの印字部を指で擦り、印字面の状態と指に付着したインクを目視で観察した。その結果を以下の基準に基づいて評価した。結果を表3に示す。
A:印字面は変化せず、指にインクが付着しない
B:若干印字面のインクは落ちるが、指にインクが付着しない
C:印字面のインクが落ち、指にインクが付着する
Figure 2008265303
表3の結果から明らかなように、本実施例のインクジェット記録方法は、比較例に比べて、光学濃度、印字品質及び定着性に優れ、かつ、コックリングやカールを抑制することができた。
[実施例B]
1.顔料分散液の調製
市販のカーボンブラックであるS170(商品名、デグザ社製)100gを水500gに混合して、ジルコニアビーズによるボールミルにて粉砕した。この粉砕原液に次亜塩素酸ナトリウム(有効塩素濃度12%)500gを滴下して、攪拌しながら10時間煮沸して湿式酸化を行った。得られた分散原液をガラス繊維濾紙GA−100(商品名:アドバンテック東洋社製)で濾過して、さらに水で洗浄した。得られたウェットケーキを水5kgに再分散して、逆浸透膜により電導度が2mS/cmになるまで脱塩および精製し、さらに顔料濃度が50重量%になるまで濃縮して自己分散型顔料を分散粒子とする自己分散顔料液B1を得た。
2.樹脂エマルジョンの調製
樹脂エマルジョンは、撹拌機、窒素導入管、冷却管、2本の滴下漏斗を備えたフラスコを用いて合成を行った。2本の滴下漏斗のうち1本に、表4に示す組成の混合液をホモミキサーにて乳化した乳化液を入れ、もう一方の滴下漏斗には、触媒としての過硫酸カリウム0.3部を水5部に溶解した溶液を入れた。そして、フラスコ中には、ラウリル硫酸ナトリウム0.2部を水190部に溶解し、フラスコの中を窒素雰囲気にした。次いで、フラスコ中の溶液を温浴により70℃に加温し、250rpmで撹拌しながら、4時間かけて滴下漏斗中の溶液を溶液中に滴下し、反応を行った。滴下終了後、更に4時間撹拌を行った。反応液を冷却後、水酸化ナトリウム水溶液中で中和し、不揮発分30%のポリマー粒子を得た。
表4に、樹脂エマルジョンの全量を基準(100%)としたときの各モノマーの割合(重量%)を示す。また、ポリマー粒子の平均粒子径と、最低造膜温度(以下「MFT」と称する)の測定結果も併せて表4に示す。なお、ポリマー粒子の平均粒子径は、コールターカウンターN4(コールター社製、商品名)を用いて測定した。
Figure 2008265303
3.インク組成物の調製
表5に記載した組み合わせで、自己分散顔料液と、水溶性有機溶剤と、樹脂エマルジョンと、界面活性剤と、水と、を含むインク組成物を調製した。インク組成物は、表5に示す配合割合で各成分を混合し、この混合液を2時間攪拌した後、孔径約5μmのステンレス製フィルターにて濾過することにより調製した。なお、表5中に示す数値は重量%として表している。
Figure 2008265303
4.評価試験
(1)印刷方法
表5に示すインク組成物(インクNo.1〜6)を、表6に示す「ノズル密度」と「走査方向の印字密度」を有するインクジェット記録ヘッドを備えた評価機に充填した。そして、表7に示す印刷条件で100%Dutyのパッチパターンを作成した。記録メディアとしては、印刷用塗工紙(印刷本紙)の一種であるOKトップコートN(王子製紙社製。以下「評価メディア1」表記する)と、普通紙の一種であるXerox 4200(Xerox社製。以下「評価メディア2」表記する)を使用した。そして、パッチパターンをサンプルとして、後述する各評価試験を行った。
Figure 2008265303
Figure 2008265303
(2)光学濃度(OD値)の評価
グレタグ濃度計(グレタグマクベス社製)を用いてパッチ部分のOD値を測定した。そして、各サンプルごとの平均値を求め、算出した平均OD値につき、以下の評価基準で光学濃度値(OD値)を評価した。結果を表8に示す。
A:OD値が1.3以上
B:OD値が1.2以上1.3未満
C:OD値が1.0以上1.2未満
D:OD値が0.9以上1.0未満
E:OD値が0.9未満
(3)印字品質の評価
印刷後、各サンプルを目視観察し、各サンプルに対する印刷品質を以下の評価基準で評価した。結果を表8に示す。
A:発色がよく、ムラ、滲みがない
B:ムラ、滲みが若干発生しているが、実用上問題ない
C:ムラが目立つ。にじみが若干発生している
D:ムラ、滲みが目立ち、実用上不可
(4)コックリングの評価
レーザー変位計(LK−010、キーエンス社製)を用いて、各サンプルの凹凸(コックリング)を測定した。そして、各サンプルごとの平均値を求め、算出した平均値に基づき、以下の評価基準でコックリングの評価を行った。結果を表8に示す。
A:凹凸が1.0mm未満
B:凹凸が1.0mm以上2.0mm未満
C:凹凸が2.0mm以上
(5)定着性(乾燥性)
印刷後、各サンプルを昼夜自然乾燥させた後、サンプルの印字部を指で擦り、印字面の状態と指に付着したインクを目視で観察した。その結果を以下の基準に基づいて評価した。結果を表8に示す。
A:印字面は変化せず、指にインクが付着しない
B:若干印字面のインクは落ちるが、指にインクが付着しない
C:印字面のインクが落ち、指にインクが付着する
Figure 2008265303
表8の結果から明らかなように、本実施例のインクジェット記録方法は、比較例に比べて、光学濃度、印字品質及び定着性に優れ、かつ、コックリングやカールを抑制することができた。
[実施例C]
1.水不溶性ポリマーの合成
有機溶媒(メチルエチルケトン)20重量部、重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.03重量部、重合開始剤、表9に示す各モノマーを用い、窒素ガス置換を十分に行った反応容器内に入れて75℃攪拌下で重合し、モノマー成分100重量部に対してメチルエチルケトン40重量部に溶解した2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル0.9重量部を加え、80℃で1時間熟成させ、ポリマー溶液を得た。なお、表9に示す数値は、モノマー混合物の全量を基準(100%)としたときの各モノマーの割合(重量%)を意味する。
Figure 2008265303
2.顔料分散液の調製
(1)イエロー顔料分散液Y1の調製
メチルエチルケトン45重量部に表9の水不溶性ポリマーを7.5重量部溶解させて、その中に20%の水酸化ナトリウム水溶液(中和剤)を所定量加えて塩生成基を中和し、さらに顔料としてC.I.ピグメントイエロー74を20重量部加えてビーズミルで2時間混練した。このようにして得られた混練物にイオン交換水120重量部を加えて攪拌した後、減圧下、60℃でメチルエチルケトンを除去し、さらに一部の水を除去することにより、固形分濃度が20重量%の顔料分散液Y1を得た。
(2)マゼンタ顔料分散液M1の調製
メチルエチルケトン45重量部に表9の水不溶性ポリマーを7.5重量部ではなく5重量部溶解させた点、顔料として20重量部のC.I.ピグメントイエロー74に代えて20重量部のC.I.ピグメントバイオレット19を用いた点以外は、のイエロー顔料分散液Y1と同様に調製し、固形分濃度が20重量%の顔料分散液M1を得た。
(3)シアン顔料分散液C1の調製
表9の水不溶性ポリマーを7.5重量部ではなく12.5重量部用いた点、顔料として20重量部のC.I.ピグメントイエロー74に代えて12.5重量部のC.I.ピグメントブルー15:4を用いた点以外は、のイエロー顔料分散液と同様に調製し、固形分濃度20重量%のシアン顔料分散液C1を得た。
(4)ブラック顔料分散液K1の調製
表9の水不溶性ポリマーを7.5重量部ではなく15重量部用いた点、顔料として20重量部のC.I.ピグメントイエロー74に代えて25重量部のC.I.ピグメントブラック7(カーボンブラック)を用いた点以外は、のイエロー顔料分散液と同様に調製して、固形分濃度20重量%のブラック顔料分散液K1を得た。
(5)シアン顔料分散液C2の調製
メチルエチルケトン90重量部に表9の水不溶性ポリマーを20重量部溶解させて、その中に20%の水酸化ナトリウム水溶液(中和剤)を所定量加えて塩生成基を中和し、さらに顔料としてC.I.ピグメントブルー15:4を40重量部加えてビーズミルで2時間混練した。このようにして得られた混練物にイオン交換水120重量部を加えて攪拌した後、減圧下、60℃でメチルエチルケトンを除去し、さらにこれを濃縮して、固形分濃度が50重量%の顔料分散液C2を得た。
3.インク組成物の調製
上述のようにして調製した各顔料分散液(Y1、M1、C1、K1、C2)と各溶剤と超純水とを、下記の表10に示した配合比(重量%)で混合して、2時間攪拌した。引き続いて孔径が約8μmのメンブランフィルター(商品名、日本ミリポア・リミテッド社製)を用いて濾過し、インク組成物(1〜5)を調製した。なお、表10中に示す数値は重量%として表している。
Figure 2008265303
4.評価試験
(1)印刷方法
表10に示すインク組成物(インクNo.1〜5)を、表11に示す「ノズル密度」と「走査方向の印字密度」を有するインクジェット記録ヘッドを備えた評価機に充填した。そして、表12に示す印刷条件で100%Dutyのパッチパターンを作成した。記録メディアとしては、印刷本紙(印刷用塗工紙)の一種であるOKトップコートN(王子製紙社製。表13中「評価メディア1」と表記する)と、普通紙の一種であるXerox 4200(Xerox社製。表13中「評価メディア2」と表記する)を使用した。そして、パッチパターンをサンプルとして、後述する各評価試験を行った。
Figure 2008265303
Figure 2008265303
(2)光学濃度(OD値)の評価
グレタグ濃度計(グレタグマクベス社製)を用いてパッチ部分のOD値を測定した。そして、各サンプルごとの平均値を求め、算出した平均OD値につき、以下の評価基準で光学濃度値(OD値)を評価した。結果を表13に示す。
A:OD値が1.3以上
B:OD値が1.2以上1.3未満
C:OD値が1.0以上1.2未満
D:OD値が0.9以上1.0未満
E:OD値が0.9未満
(3)印字品質の評価
印刷後、各サンプルを目視観察し、各サンプルに対する印刷品質を以下の評価基準で評価した。結果を表13に示す。
A:発色がよく、ムラ、滲みがない
B:ムラ、滲みが若干発生しているが、実用上問題ない
C:ムラが目立つ。にじみが若干発生している
D:ムラ、滲みが目立ち、実用上不可
(4)コックリングの評価
レーザー変位計(LK−010、キーエンス社製)を用いて、各サンプルの凹凸(コックリング)を測定した。そして、各サンプルごとの平均値を求め、算出した平均値に基づき、以下の評価基準でコックリングの評価を行った。結果を表13に示す。
A:凹凸が1.0mm未満
B:凹凸が1.0mm以上2.0mm未満
C:凹凸が2.0mm以上
(5)定着性(乾燥性)
印刷後、各サンプルを昼夜自然乾燥させた後、サンプルの印字部を指で擦り、印字面の状態と指に付着したインクを目視で観察した。その結果を以下の基準に基づいて評価した。結果を表13に示す。
A:印字面は変化せず、指にインクが付着しない
B:若干印字面のインクは落ちるが、指にインクが付着しない
C:印字面のインクが落ち、指にインクが付着する
Figure 2008265303
表13の結果から明らかなように、本実施例のインクジェット記録方法は、比較例に比べて、光学濃度、印字品質及び定着性に優れ、かつ、コックリングやカールを抑制することができた。

Claims (12)

  1. 顔料と、水溶性有機溶剤と、界面活性剤と、水と、を少なくとも含んでなるインク組成物の液滴を記録媒体上に吐出して画像を形成するインクジェット記録方法において、
    前記記録媒体として、普通紙、またはブリストー法において接触開始から30msec1/2以内の水吸収量が30ml/m2以下である紙支持体の吸収層を有する記録媒体を用い、
    前記インク組成物の液滴を一滴当たり15ng以下とし、
    前記記録媒体への水分付着量を10mg/inch2以下とする、
    インクジェット記録方法。
  2. 前記インク組成物の液滴を、一色のノズル密度が360dpi以上のインクジェット記録ヘッドから吐出する、請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記インク組成物の水の含有量が、10〜60重量%である、請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記水溶性有機溶剤が、少なくとも、(b)20℃における蒸気圧が0.1mmHg以下の多価アルコールモノアルキルエーテル及び/または含窒素環状化合物を15重量%以上含み、且つ、(c)多価アルコール類を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  5. 前記(a)水:(b)20℃における蒸気圧が0.1mmHg以下の多価アルコールモノアルキルエーテル及び/または含窒素溶媒:(c)多価アルコール類の含有量の比率が、(a):(b):(c)=1:0.25〜8:0.1〜7である、請求項4に記載のインクジェット記録方法。
  6. 前記顔料の濃度が、固形分換算で6重量%以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  7. 前記顔料が、水不溶性ポリマーに被覆された顔料である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  8. 前記顔料が、自己分散型顔料である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  9. 前記界面活性剤が、アセチレングリコール系界面活性剤及び/又はポリ変性シロキサン系界面活性剤である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  10. 前記インク組成物が、さらに、樹脂エマルジョンを含んでいる、請求項1〜9のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  11. 前記樹脂エマルジョンが、最低造膜温度が20℃以上の樹脂微粒子と、最低造膜温度が20℃未満の樹脂微粒子との混合物である、請求項1〜10のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法によって記録が行われた、記録物。
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