以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
本発明の分岐配管は、図70および71に示した分岐配管300、350と同様に、直管、仕切りバルブ、または、直管、エルボ、水平管、仕切りバルブで構成される。また、分岐配管を構成する各配管は、その周囲が断熱材で覆われており、各配管の外壁とその周囲とにおける熱移動が抑制されている。
ここで、温度成層界面を直管とエルボまたはエルボと水平管との溶接線部に形成させないためには、次の対応が考えられる。
(1)セル状渦が形成されても、旋回流に遷移させない。
(2)セル状渦から旋回流に遷移しても、その旋回流の成長を抑制する。
(3)第1のセル状渦によって誘起されて形成する第2のセル状渦を形成させない。
(4)セル状渦が形成されても、その成長を抑制する。
(5)セル状渦を形成させない。
(6)直管に流入する高温流体の流量を抑制する。
(7)直管に流入する高温流体の流量を抑制し、さらに、第1のセル状渦を形成する高温流体の流れ成分を抑制する。
(8)高温流体を強制的に直管に流入させ、温度成層界面の形成位置を溶接線部よりも仕切りバルブ側に形成させる。
(9)温度成層界面を形成させない。
(10)安定した温度成層界面を形成させない。
上述した項目(1)乃至(10)の要素を含み、温度成層界面が直管とエルボまたはエルボと水平管との溶接線部に形成されないことを主たる特徴とする分岐配管の実施形態について以下で説明する。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態の分岐配管1の概要を図1乃至5を参照して説明する。図1乃至5には、(a)に第1の実施の形態の分岐配管1の断面図、(b)にA−A断面図を示す。
第1の実施の形態の分岐配管1は、前述した項目の(1)セル状渦が形成されても旋回流に遷移させない構成を主に設けたものである。
第1の実施の形態の分岐配管1の特徴である直管部の構成について説明する。直管2の一端は、ほぼ水平に設置された母管3に開口された開口部5に、鉛直下方に向けて接続されている。直管2の周囲は、断熱材4で覆われており、直管2の外壁とその周囲とにおける熱移動が抑制されている。
また、直管2の内部には、図1乃至5に示すように、旋回流防止部10、11、12、13、14が設けられている。これらの旋回流防止部10、11、12、13、14は、直管2の内部に形成されるセル状渦6から旋回流に遷移する領域、つまり、例えば、セル状渦6が2つ形成される場合には、開口部5から直管2の下方に向かって直管2の内径(d)の4倍(4d)程度の位置から設置される。旋回流防止部10、11、12、13、14の直管2の長手方向の長さは、ほぼ2dが好ましいが、それよりも長く、または、短く構成することもできる。なお、例えば、セル状渦6が3つ形成される場合には、旋回流防止部10、11、12、13、14は、母管3の開口部5から直管2の下方に向かって直管2の内径(d)の6倍(4d)程度の位置から設置される。
次に、図1乃至5に示された旋回流防止部10、11、12、13、14の構成について説明する。
旋回流防止部10は、図1に示すように、板状部材10aから構成され、直管2のほぼ中心に対して直管2の断面を4等分するように、直管2の内壁に接続されている。また、旋回流防止部10は、母管3を流れる高温流体7の主流方向に対して、平行および垂直に設置された板状部材10aで構成されている。なお、母管3を流れる高温流体7の主流方向に対しての旋回流防止部10の設置は、この配置に限るものではなく、高温流体7の主流方向に対して平行、垂直に配置されなくてもよい。
旋回流防止部11は、図2に示すように、板状部材11aから構成され、直管2のほぼ直径に沿って、母管3を流れる高温流体7の主流方向に対して、垂直に配置されている。
また、旋回流防止部12は、図3に示すように、旋回流防止部11を直管2の中心軸を回転軸として90°回転させたもので、板状部材12aから構成され、直管2のほぼ直径に沿って、母管3を流れる高温流体7の主流方向に対して、平行に配置されている。
旋回流防止部13は、図4に示すように、板状部材13aから構成され、直管2の断面を井形に区分するように直管2の内壁に接続されている。
旋回流防止部14は、図5に示すように、板状部材14aから構成され、直管2のほぼ中心に対して直管2の断面を6等分するように直管2の内壁に接続されている。
次に、直管2内の作動流体の動作について説明する。ここで、旋回流防止部10、11、12、13、14を有する直管2内の作動流体の基本的な動作は同じなので、ここでは、図1に示した旋回流防止部10を有する直管2を用いた場合の作動流体の動作を説明する。
母管3を流れる高温流体7が開口部5上を通過する際、図1に示すように、直管2側を流れる高温流体7の一部は、直管2側に広がり、直管2の内壁に衝突して、低温流体が存在する直管2内に流入する。直管2内に流入した高温流体7の一部は、第1のセル状渦6aを形成する。そして、第1のセル状渦6aの流れに誘起されて、第1のセル状渦6aの流れ方向とは逆の流れ場を形成する第2のセル状渦6bが形成される。
さらに、第2のセル状渦6bの仕切りバルブ(図示しない)側では、第2のセル状渦6aの一部が崩壊または変形する。旋回流防止部10が設置されない場合には、第2のセル状渦6aの一部が崩壊または変形することによって、第2のセル状渦6aの一部が、直管2の内壁に沿った旋回流に遷移する。しかし、第1の実施の形態の分岐配管では、直管2に旋回流防止部10が設置されているので、崩壊または変形した第2のセル状渦6aの一部は、旋回流を形成せずに、さらにスケールの小さい渦に崩壊する。
旋回流防止部10、11、12、13、14を有する直管2では、旋回流が形成されず、直管2の下方部に向かう速度の大きい流れ場が形成されないので、直管2の下方部や、直管とエルボとの溶接線部に温度成層界面が形成されるのを防止することができる。これによって、特に、直管2、エルボ(図示しない)および水平管(図示しない)を有する分岐配管1では、直管2とエルボ、または、エルボと水平管との溶接線部における温度成層界面の高サイクル熱疲労の発生が防止されるため、高サイクル熱疲労によって分岐配管1が損傷を受けることがなくなる。
ここで、第1の実施の形態の分岐配管1に設けられた旋回流防止部10、11、12、13、14は、開口部5から直管2の下方に向かって直管2の内径(d)の4倍(4d)程度の位置から設置されるが、これに限るものではない。例えば、開口部5から直管2に向けて設置することもできる。これによって、第1のセル状渦の形成を抑制することができる。
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態の分岐配管20の概要を図6乃至18を参照して説明する。図6乃至18には、(a)に第2の実施の形態の分岐配管20の断面図、(b)にA−A断面図を示す。また、図11乃至15の(c)には、B−B断面図を示す。なお、第1の実施の形態の分岐配管の構成と同じ構成部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
第2の実施の形態の分岐配管20は、前述した項目の(2)セル状渦から旋回流に遷移しても、その旋回流の成長を抑制する構成を主に設けたものである。
ここでは、第2の実施の形態の分岐配管20の特徴である旋回流抑制部21、22、23が設けられた直管2および形状によって旋回流の成長を抑制することができる直管2の構成について説明する。
(旋回流抑制部21、22、23)
直管2内には、図6乃至10に示すように、旋回流抑制部21、22、23が設けられている。これらの旋回流抑制部21、22、23は、直管2の内部に形成されるセル状渦6が旋回流8に遷移する領域、つまり、例えば、セル状渦6が2つ形成される場合には、開口部5から直管2の下方に向かって直管2の内径(d)の4倍(4d)程度の位置から設置される。旋回流抑制部21、22、23の直管2の長手方向の長さは、ほぼ2dが好ましいが、それよりも長く、または、短く構成することもできる。なお、例えば、セル状渦が3つ形成される場合には、旋回流抑制部21、22、23は、開口部5から直管2の下方に向かって直管2の内径(d)の6倍(4d)程度の位置から設置される。
旋回流抑制部21は、図6に示すように、4枚の板状部材21aから構成され、直管2の内壁の円周を4等分するように、直管2の内壁に直管2の中心に向かって接続されている。また、板状部材21aの直管2の中心方向への長さは、直管2の内周半径のよりも短く構成されている。また、4枚の板状部材21aの内、2枚が母管3を流れる高温流体7の主流方向に対して平行に、また、残りの2枚が垂直になるように、直管2の内壁に接続されている。なお、母管3を流れる高温流体7の主流方向に対する旋回流抑制部21の設置方向は、この配置に限るものではなく、高温流体7の主流方向に対して平行、垂直に配置されなくてもよい。
また、旋回流抑制部21は、図7および8に示すように、2枚の板状部材21aから構成され、直管2の内壁の円周を2等分するように、直管2の内壁に直管2の中心に向かって接続されてもよい。ここで、図7に示された2枚の板状部材21aは、母管3を流れる高温流体7の主流方向に対して垂直になるように、また、図8に示された2枚の板状部材21aは、母管3を流れる高温流体7の主流方向に対して平行になるように配置されている。
旋回流抑制部22は、図9に示すように、断面が扇形の6枚の柱体状部材22aから構成され、直管2の内壁の円周を6等分するように、扇形の円弧面が直管2の内壁に接続されている。なお、旋回流抑制部22は、直管2と一体的に形成されてもよい。また、旋回流抑制部22は、6枚の柱体状部材22aから構成されることに限らず、6枚より多くの柱体状部材22a、または6枚より少ない柱体状部材22aで構成することもできる。
旋回流抑制部23は、図10に示すように、直管2の径よりもの大きな径の筒体で構成されたバッファ部で構成される。
次に、直管2内の作動流体の動作について説明する。ここで、旋回流抑制部21、22、23を有する直管2内の作動流体の基本的な動作は同じなので、ここでは、図6に示した旋回流抑制部21を有する直管2を用いた場合の作動流体の動作を説明する。
母管3を流れる高温流体7が開口部5上を通過する際、図6に示すように、直管2側の高温流体7の一部は、直管2側に広がり、直管2の内壁に衝突して、低温流体が存在する直管2内に流入する。直管2内に流入した高温流体7の一部は、第1のセル状渦6aを形成する。そして、第1のセル状渦6aの流れに誘起されて、第1のセル状渦6aの流れ方向とは逆の流れ場を形成する第2のセル状渦6bが形成される。
さらに、第2のセル状渦6bの仕切りバルブ(図示しない)側には、第2のセル状渦6bの一部が崩壊または変形することによって、直管2の内壁に沿った旋回流8を形成する。遷移した旋回流8の速度分布は、直管2の中心から半径方向に増加し、半径方向の所定の位置でピーク値を有し、直管2の壁面ではゼロになる。
旋回流抑制部21、22、23は、ほぼ旋回流の速度分布がピーク値を有する半径位置から直管2の壁面まで設けられている。この範囲に旋回流抑制部21、22、23が設けられることによって、旋回流8の主な流れ場が旋回流抑制部21、22、23で崩壊され、旋回力が減衰されるため、直管2の下方部に向かう速度の大きい流れ場が形成されない。
また、旋回流抑制部23の場合には、第2のセル状渦6aの一部が遷移した直管2の内壁に沿った旋回流8は、旋回流抑制部23に流入することで、旋回流8の旋回域が直管2の半径方向に広がる。旋回域が直管2の半径方向に広がることによって、旋回速度が減衰されるため、直管2の下方部に向かう速度の大きい流れ場が形成されない。
このように、旋回流抑制部21、22、23を設けることによって、直管2の下方部や、直管とエルボとの溶接線部に温度成層界面が形成されるのを防止することができる。また、特に、直管2、エルボ(図示しない)および水平管(図示しない)を有する分岐配管20では、直管2とエルボ、または、エルボと水平管との溶接線部における温度成層界面の高サイクル熱疲労の発生が防止されるため、高サイクル熱疲労によって分岐配管20が損傷を受けることがなくなる。
ここで、第2の実施の形態の分岐配管20に設けられた旋回流抑制部21、22、23は、開口部5から直管2の下方に向かって直管2の内径(d)の4倍(4d)程度の位置から設置されるが、これに限るものではない。例えば、開口部5から直管2に向けて設置することもできる。これによって、第1のセル状渦の形成を抑制することができる。
(直管2)
図11乃至18を参照して、旋回流の成長を抑制する直管2の形状について説明する。
図11に示した直管2は、図11の(b)および(c)に示すように、その断面が楕円形で形成されている。
図12に示した直管2は、図12の(b)および(c)に示すように、その断面が矩形で形成されている。
図13に示した直管2は、図13の(b)および(c)に示すように、その断面が楕円形の直管2aおよび円形の直管2bで構成されている。断面が楕円形の直管2aの一端は、母管3と接続され、旋回流が形成される領域まで下方に向かって設置される。断面が楕円形の直管2aの長さは、例えば、断面が円形の直管2bの内径(d)の6倍(6d)程度が好ましいが、これに限るものではない。また、断面が楕円形の直管2aの他端は、断面が円形の直管2bに接続される。
図14に示した直管2は、図14の(b)および(c)に示すように、その断面が十字形の直管2cおよび円形の直管2bで構成されている。断面が十字形の直管2cの一端は、母管3と接続され、旋回流8が形成される領域まで下方に向かって設置される。断面が十字形の直管2cの長さは、例えば、断面が円形の直管2bの内径(d)の6倍(6d)程度が好ましいが、これに限るものではない。断面が十字形の直管2cの他端は、断面が円形の直管2に接続される。
図15に示した直管31は、図15の(b)および(c)に示すように、その断面が、曲率を持った2つの曲線で、それぞれの凸方向を同じにして囲まれた半円形の直管2eおよび円形の直管2bで形成されている。断面が半円形の直管2eの一端は、母管3と接続され、旋回流が形成される領域まで下方に向かって設置される。断面が半円形の直管2eの長さは、断面が円形の直管2bの内径(d)の6倍(6d)程度が好ましいが、これに限るものではない。また、断面が半円形の直管2eの他端は、断面が円形の直管2bに接続される。
次に、直管2内の作動流体の動作について説明する。ここで、図11乃至15に示した直管2内の作動流体の基本的な動作は同じなので、ここでは、図11に示した直管2を用いた場合の作動流体の動作を説明する。
母管3を流れる高温流体7が開口部5上を通過する際、図11に示すように、直管2側の高温流体7の一部は、直管2側に広がり、直管2の内壁に衝突して、低温流体が存在する直管2内に流入する。直管2内に流入した高温流体7の一部は、第1のセル状渦6aを形成する。そして、第1のセル状渦6aの流れに誘起されて、第1のセル状渦6aの流れ方向とは逆の流れ場を形成する第2のセル状渦6bが形成される。断面形状が楕円の場合、断面形状が円形の場合に比べて、第1のセル状渦6aおよび第2のセル状渦6bは、流れが不均一になるため、速度の減衰を生じやすい。
さらに、第2のセル状渦6bの仕切りバルブ(図示しない)側には、第2のセル状渦6bの一部が崩壊または変形することによって、直管2の楕円形の内壁に沿った旋回流8を形成する。楕円形の内壁に沿って旋回流8が1回転する間に、楕円の中心から内壁面までの速度分布は変化し、断面が円形の場合のように均一な速度分布で旋回することができない。これによって、直管2の楕円形の内壁に沿って形成される旋回流8は、成長できないため、直管2の下方部に向かう速度の大きい流れ場が形成されない。
直管2では、旋回流8が形成されても成長できないため、直管2の下方部に向かう速度の大きい流れ場が形成されないので、直管2の下方部や、直管2とエルボとの溶接線部に温度成層界面が形成されるのを防止することができる。これによって、特に、直管2、エルボ(図示しない)および水平管(図示しない)を有する分岐配管20では、直管2とエルボ、または、エルボと水平管との溶接線部における温度成層界面の高サイクル熱疲労の発生が防止されるため、高サイクル熱疲労によって分岐配管20が損傷を受けることがなくなる。
また、直管2は、図16に示すように、直管2に配管が下方に向けて螺旋状に配管された螺旋状配管24を接続して構成されてもよい。また、直管2は、図17に示すように、直管2に曲率を持ってクランク状に配管された曲り配管25を接続して構成されてもよい。さらに、直管2は、図18に示すように、直管2に鋭角にクランク状に配管された山形配管26を接続して構成されてもよい。
これらの螺旋状配管24、曲り配管25、山形配管26においても、上述した直管2と同様に、セル状渦および旋回流の成長を抑制することができるので、高サイクル熱疲労によって分岐配管20が損傷を受けるのを防止することができる。
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態の分岐配管30の概要を図19乃至23を参照して説明する。図19乃至23には、(a)に第3の実施の形態の分岐配管30の断面図を示す。また、図19乃至21の(b)には、B−B断面図を示す。なお、第1および2の実施の形態の分岐配管の構成と同じ構成部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
第3の実施の形態の分岐配管30は、前述した項目の(3)第1のセル状渦によって誘起されて形成する第2のセル状渦を形成させない構成を主に設けたものである。
第3の実施の形態の分岐配管30の特徴である第2のセル状渦形成防止部31、32、33、34、35が設けられた直管部の構成について説明する。
直管2内には、図19乃至23に示すように、第2セル状渦形成防止部31、32、33、34、35が設けられている。これらの第2セル状渦形成防止部31、32、33、34、35は、直管2の内部に形成される第1のセル状渦と第2のセル状渦の境界部、つまり、開口部5から直管2の下方に向かって直管2の内径(d)の2倍(2d)程度の位置に設置される。
第2のセル状渦形成防止部31は、図19に示すように、円板で形成され、円板の中心に円形の開口部31aを有する。なお、開口部31aの形状は円形に限るものではなく、楕円形、矩形、多角形などでもよい。
第2のセル状渦形成防止部32は、図20に示すように、筒体から形成され、その内部の通路は、スロート状に直管の内径が狭くなるスロート部32aを有する。なお、第2のセル状渦形成防止部32は直管2と一体的に形成されてもよい。
第2のセル状渦形成防止部33は、図21に示すように、円板で形成され、円板に複数の孔33aが開けられている。
第2のセル状渦形成防止部34は、図22に示すように、多孔質部材で形成された筒体である。
第2のセル状渦形成防止部35は、図23に示すように、メッシュ状部材で形成された円板である。
次に、直管2内の作動流体の動作について説明する。ここで、第2セル状渦形成防止部31、32、33、34、35を有する直管2内の作動流体の基本的な動作は同じなので、ここでは、図19に示した第2セル状渦形成防止部31を有する直管2を用いた場合の作動流体の動作を説明する。
母管3を流れる高温流体7が開口部5上を通過する際、図19に示すように、直管2側の高温流体7の一部は、直管2側に広がり、直管2の内壁に衝突して、低温流体が存在する直管2内に流入する。直管2内に流入した高温流体7の一部は、第1のセル状渦6aを形成する。
そして、第1のセル状渦6aの一部が第2セル状渦形成防止部31の開口部31aから直管2の下方部に流入する。開口部31aから直管2の下方部に流入した流れは、第1のセル状渦6aとは異なった流れ場を形成し、第2のセル状渦を誘起するような流れ場を形成しないため、この流れによって第2のセル状渦が誘起されることはない。したがって、旋回流は形成されず、直管2の下方部に向かう速度の大きい流れ場は形成されない。
このように、第2セル状渦形成防止部31、32、33、34、35を設けることによって、直管2の下方部や、直管とエルボとの溶接線部に温度成層界面が形成されるのを防止することができる。また、特に、直管2、エルボ(図示しない)および水平管(図示しない)を有する分岐配管30では、直管2とエルボ、または、エルボと水平管との溶接線部における温度成層界面の高サイクル熱疲労の発生が防止されるため、高サイクル熱疲労によって分岐配管30が損傷を受けることがなくなる。
ここで、第3の実施の形態の分岐配管30に設けられた第2のセル状渦形成防止部31、32、33、34、35は、直管2と母管3との接続部から下方に向かって直管2の内径(d)の2倍(2d)程度の位置に形成されるが、これに限るものではない。例えば、直管2と母管3との接続部から下方に向かって4d程度の位置に設けることもできる。この場合には、第2のセル状渦が旋回流へ遷移するのを防止することができる。
また、第2のセル状渦形成防止部31、32、33、34、35は、開口部5から直管2に向けて設置することもできる。これによって、第1のセル状渦の形成を抑制することができる。
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態の分岐配管40の概要を図24乃至31を参照して説明する。図24乃至31には、(a)に第4の実施の形態の分岐配管40の断面図、(b)にB−B断面図を示す。なお、第1乃至3の実施の形態の分岐配管の構成と同じ構成部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
第4の実施の形態の分岐配管40は、前述した項目の(4)セル状渦が形成されても、その成長を抑制する構成を主に設けたものである。
第4の実施の形態の分岐配管40の特徴であるセル状渦抑制部41、42、43、44、45、46、47、48が設けられた直管部の構成について説明する。
(セル状渦抑制部41、42、43、44)
直管2内には、図24乃至27に示すように、セル状渦抑制部41、42、43、44が設けられている。これらのセル状渦抑制部41、42、43、44は、直管2の内部に形成される第1のセル状渦と第2のセル状渦の境界部、つまり、開口部5から直管2の下方に向かって直管2の内径(d)の2倍(2d)程度の位置から設置される。セル状渦抑制部41、42、43、44の直管2の長手方向の長さは、ほぼ2dが好ましいが、それよりも長く、または、短く構成することもできる。
セル状渦抑制部41は、図24に示すように、複数の半球状部材から構成され、その複数の半球状部材の半球断面部側が、それぞれ所定の間隔をおいて直管2の内壁に接続されている。また、セル状渦抑制部41は、例えば、直管2の側壁に直管2の中心に向かう複数の突起部を形成することで、直管2に一体的に形成することもできる。
セル状渦抑制部42は、図25に示すように、内周壁側が曲率を持った突起部を有するリング状部材から構成され、複数のリング状部材が、直管2の軸方向に所定の間隔をおいて直管2の内壁に接続されている。また、セル状渦抑制部42は、例えば、直管2の側壁の所定の周上において、直管2の側壁を直管2の中心側に向かって突起させて形成することもできる。さらに、内周壁に形成された突起部の形状は、図26に示したセル状渦抑制部43のように、矩形であってもよい。
セル状渦抑制部44は、図27に示すように、内周壁側が突起部を有するリング状部材から構成され、複数のリング状部材が、直管2の軸方向に所定の間隔をおいて直管2の内壁に接続されている。また、セル状渦抑制部43は、直管2の中心軸に対して所定の角度に傾けて、直管2の内壁に接続された構成になっている。また、セル状渦抑制部44は、例えば、直管2の中心軸に対して所定の角度を有する直管2の側壁の所定の周上において、直管2の側壁を直管2の中心側に向かって突起させて形成することもできる。さらに、内周壁に形成された突起部の形状は矩形であってもよい。
次に、直管2内の作動流体の動作について説明する。ここで、セル状渦抑制部41、42、43、44を有する直管2内の作動流体の基本的な動作は同じなので、ここでは、図24に示したセル状渦抑制部41を有する直管2を用いた場合の作動流体の動作を説明する。
母管3を流れる高温流体7が開口部5上を通過する際、図24に示すように、直管2側の高温流体7の一部は、直管2側に広がり、直管2の内壁に衝突して、低温流体が存在する直管2内に流入する。直管2内に流入した高温流体7の一部は、第1のセル状渦6aを形成する。そして、第1のセル状渦6aの流れに誘起されて、第1のセル状渦6aの流れ方向とは逆の流れ場を形成する第2のセル状渦6bが形成される。
第1のセル状渦6aに誘起されて形成された第2のセル状渦6bは、セル状渦抑制部41と衝突することによって、第2のセル状渦6bは、徐々にスケールの小さい渦に崩壊する。第2のセル状渦6bがスケールの小さい渦に崩壊することによって、第2のセル状渦6bによる流れ場は減衰するため、その後、旋回流に遷移することはほとんどない。また、第2のセル状渦6bの一部が、旋回流に遷移したとしても、その旋回速度は小さく、直管2の下方部に向かう速度の大きい流れ場は形成されない。
セル状渦抑制部41、42、43、44を有する直管2では、旋回流による直管2の下方部に向かう速度の大きい流れ場が形成されないので、直管2の下方部や、直管とエルボとの溶接線部に温度成層界面が形成されるのを防止することができる。これによって、特に、直管2、エルボ(図示しない)および水平管(図示しない)を有する分岐配管40では、直管2とエルボ、または、エルボと水平管との溶接線部における温度成層界面の高サイクル熱疲労の発生が防止されるため、高サイクル熱疲労によって分岐配管40が損傷を受けることがなくなる。
ここで、第4の実施の形態の分岐配管40に設けられたセル状渦抑制部41、42、43、44は、開口部5から直管2の下方に向かって直管2の内径(d)の2倍(2d)程度の位置から設置されるが、これに限るものではない。例えば、開口部5から直管2に向けて設置することもできる。これによって、第1のセル状渦の形成を抑制することができる。
(セル状渦抑制部45、46)
直管2内には、図28および29に示すように、セル状渦抑制部45、46が設けられている。セル状渦抑制部45、46の直管2の長手方向の長さは、ほぼ2dが好ましいが、それよりも長く、または、短く構成することもできる。
セル状渦抑制部45は、直管2の内部に形成される第1のセル状渦6aと第2のセル状渦6bの境界部、つまり、開口部5から直管2の下方に向かって直管2の内径(d)の2倍(2d)程度の位置から設置される。また、セル状渦抑制部45は、図28に示すように、直管2の径よりもの大きな径のバッファ部から構成され、セル状渦抑制部45は、直管2の軸方向に所定の間隔をおいて複数設けられている。また、セル状渦抑制部45は、例えば、直管2の側壁の所定の周上において、直管2の側壁を直管2の外壁側に向かって突起させて形成することもできる。
セル状渦抑制部46は、図29に示すように、直管2の径よりもの大きな径の筒体で形成されたバッファ部から構成される。また、セル状渦抑制部46の下流側には、旋回流抑制部46aが設けられている。セル状渦抑制部46は、直管2を介して母管3と同軸的に接続され、旋回流抑制部46aは、直管2を介してセル状渦抑制部46と同軸的に接続されている。セル状渦抑制部46は、直管2の内部に形成される第1のセル状渦6aと第2のセル状渦6bの境界部、つまり、開口部5から直管2の下方に向かって直管2の内径(d)の2倍(2d)程度の位置から設置される。
次に、直管2内の作動流体の動作について説明する。ここで、セル状渦抑制部45、46を有する直管2内の作動流体の基本的な動作は同じなので、ここでは、図28に示したセル状渦抑制部45を有する直管2を用いた場合の作動流体の動作を説明する。
母管3を流れる高温流体7が開口部5上を通過する際、図28に示すように、直管2側の高温流体7の一部は、直管2側に広がり、直管2の内壁に衝突して、低温流体が存在する直管2内に流入する。直管2内に流入した高温流体7の一部は、第1のセル状渦6aを形成する。そして、第1のセル状渦6aの流れに誘起されて、第1のセル状渦6aの流れ方向とは逆の流れ場を形成する第2のセル状渦6bが形成される。
第1のセル状渦6aの流れに誘起されて形成された第2のセル状渦6bは、セル状渦抑制部45に流入することで、第2のセル状渦6bが形成される領域が直管2の半径方向に広がる。第2のセル状渦6bの形成領域が直管2の半径方向に広がることによって、第2のセル状渦6bの速度が減衰されるため、その後、強い旋回流に遷移することを抑制することができる。
なお、セル状渦抑制部46を有する直管2では、第2のセル状渦6bが旋回流に遷移した場合でも、旋回流抑制部46aによって、旋回流の旋回速度を減衰させることができるため、直管2の下方部に向かう速度の大きい流れ場が形成されない。
セル状渦抑制部45、46を有する直管2では、第2のセル状渦6bの速度が減衰されるため、直管2の下方部に向かう速度の大きい流れ場が形成されないので、直管2の下方部や、直管とエルボとの溶接線部に温度成層界面が形成されるのを防止することができる。これによって、特に、直管2、エルボ(図示しない)および水平管(図示しない)を有する分岐配管40では、直管2とエルボ、または、エルボと水平管との溶接線部における温度成層界面の高サイクル熱疲労の発生が防止されるため、高サイクル熱疲労によって分岐配管40が損傷を受けることがなくなる。
(セル状渦抑制部47、48)
直管2内には、図30および31に示すように、セル状渦抑制部47、48が設けられている。セル状渦抑制部47、48の直管2の長手方向の長さは、ほぼ2dが好ましいが、それよりも長く、または、短く構成することもできる。
セル状渦抑制部47は、図30に示すように、直管2の径より大きな径の筒体で形成されたバッファ部から構成され、母管3に接続されている。そして、セル状渦抑制部47の直管2と接続された側と対向する側には、セル状渦抑制部47と同軸的に下方に向かって直管2が接続されている。母管3には、セル状渦抑制部47の中心軸よりも高温流体7の流れ方向の下流側(図30では、セル状渦抑制部47の中心軸よりも右側)に、セル状渦抑制部47と連通する開口部47aが形成されている。
セル状渦抑制部48は、図31に示すように、直管2の径より大きな径の筒体で形成されたバッファ部から構成され、母管3に接続されている。そして、セル状渦抑制部48の直管2と接続された側と対向する側には、セル状渦抑制部48に下方に向かって直管2が接続されている。セル状渦抑制部48と面する母管3において、セル状渦抑制部48の中心軸よりも高温流体7の流れ方向の下流側(図31では、セル状渦抑制部48の中心軸よりも右側)に、セル状渦抑制部48と連通する開口部48aが形成され、その他の部分には、複数の孔48bが開けられている。
次に、直管2内の作動流体の動作について説明する。ここで、セル状渦抑制部47、48を有する直管2内の作動流体の基本的な動作は同じなので、ここでは、図30に示したセル状渦抑制部47を有する直管2を用いた場合の作動流体の動作を説明する。
母管3を流れる高温流体7が開口部47a上を通過する際、図30に示すように、開口部47a側の高温流体7の一部は、開口部47a側に広がり、セル状渦抑制部47の内壁に衝突して、低温流体が存在するセル状渦抑制部47内に流入する。ここで、セル状渦抑制部47では、開口部47aの面積が、例えば、図28に示したセル状渦抑制部45を有する場合の開口部の面積よりも小さい。これによって、図28に示したセル状渦抑制部45を有する場合と比べて、セル状渦抑制部47に流入する高温流体7の流量は減少する。
開口部47aからセル状渦抑制部47に流入した高温流体7の一部は、直管2の半径方向に広がりながら、セル状渦抑制部47内に第1のセル状渦6aを形成する。セル状渦抑制部47に形成された第1のセル状渦6aは、速度が減衰されるために、第1のセル状渦6aが第2のセル状渦が誘起することができない。
セル状渦抑制部47、48を有する直管2では、第1のセル状渦6aの速度が減衰されるため、直管2の下方部に向かう速度の大きい流れ場が形成されないので、直管2の下方部や、直管2とエルボとの溶接線部に温度成層界面が形成されるのを防止することができる。これによって、特に、直管2、エルボ(図示しない)および水平管(図示しない)を有する分岐配管40では、直管2とエルボ、または、エルボと水平管との溶接線部における温度成層界面の高サイクル熱疲労の発生が防止されるため、高サイクル熱疲労によって分岐配管40が損傷を受けることがなくなる。
(第5の実施の形態)
本発明の第5の実施の形態の分岐配管50の概要を図32乃至35を参照して説明する。図32乃至35には、(a)に第5の実施の形態の分岐配管50の断面図、(b)にB−B断面図を示す。なお、第1乃至4の実施の形態の分岐配管の構成と同じ構成部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
第5の実施の形態の分岐配管50は、前述した項目の(5)セル状渦を形成させない構成を主に設けたものである。
第5の実施の形態の分岐配管50の特徴であるセル状渦防止部51、52が設けられた直管部の構成について説明する。
セル状渦防止部51、52の直管2の長手方向の長さは、ほぼ2d(dは直管2の内径)が好ましいが、それよりも長く、または、短く構成することもできる。セル状渦防止部51、52の一端は、母管3の開口部5付近に位置するように設置される。
セル状渦防止部51は、図32に示すように、筒体51aおよび円板51bとで構成されている。円板51bの中央には、筒体51aの内径よりも小さな径の通過孔51cが開口されている。そして、筒体51aの端部と円板51bは、同軸的に接続されている。また、円板51bは、直管2の内壁に接続されている。なお、セル状渦防止部51は、図33に示すように、直管2の内壁と筒体52aとの間の円板52bには、複数の通過孔52を設けてもよい。
セル状渦防止部52は、図34に示すように、筒体52a、筒体52bおよび円板52cとで構成されている。筒体52aおよび筒体52bの端部と円板52cは、同軸的に接続され、円板52cは、直管2の内壁に接続されている。円板52cの中央には、筒体52bの内径よりも小さな径の通過孔52dが開口されている。また、筒体52aと筒体52bとの間の円板52cには、複数の通過孔52eが開口されている。さらに、直管2の内壁と筒体52aとの間の円板52cには、複数の通過孔52fが開口されている。
次に、直管2内の作動流体の動作について説明する。ここで、セル状渦防止部51、52を有する直管2内の作動流体の基本的な動作は同じなので、ここでは、図32に示したセル状渦防止部51を有する直管2を用いた場合の作動流体の動作を説明する。
母管3を流れる高温流体7の一部は、筒体51a内に流入し、円板51bの通過孔51cから直管2の下方に向けて通過する。直管2の下方に向けて流入する高温流体7の流量は、通過孔51cによって抑制される。また、筒体51a内に流入した高温流体7は、通過孔51cから直管2の中心軸に沿って直管2の下方に向けて流出するため、セル状渦を形成しない。また、筒体51aの内径は、直管2の内径に比べて小さく、筒体51a内における高温流体7の圧力損失も大きいため、筒体51a内にセル状渦が形成されることはない。このように、直管2内にセル状渦が形成されないので、セル状渦が遷移して形成する旋回流も形成されることはない。
セル状渦防止部51、52を有する直管2では、セル状渦が形成されないため、直管2の下方部に向かう速度の大きい流れ場が形成されないので、直管2の下方部や、直管2とエルボとの溶接線部に温度成層界面が形成されるのを防止することができる。これによって、特に、直管2、エルボ(図示しない)および水平管(図示しない)を有する分岐配管50では、直管2とエルボ、または、エルボと水平管との溶接線部における温度成層界面の高サイクル熱疲労の発生が防止されるため、高サイクル熱疲労によって分岐配管50が損傷を受けることがなくなる。
ここで、例えば、図35に示すように、セル状渦防止部51を開口部5から直管2の下方に向かって4d(dは直管の内径)程度の位置に設けることもできる。この場合には、第2のセル状渦が旋回流へ遷移するのを防止することができる。
(第6の実施の形態)
本発明の第6の実施の形態の分岐配管60の概要を図36乃至44を参照して説明する。図36乃至44には、(a)に第6の実施の形態の分岐配管60の断面図、(b)にB−B断面図を示す。なお、第1乃至5の実施の形態の分岐配管の構成と同じ構成部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
第6の実施の形態の分岐配管60は、前述した項目の(6)直管に流入する高温流体の流量を抑制する構成を主に設けたものである。
第6の実施の形態の分岐配管60の特徴である流入流量抑制部61、62、63、64、65、66、67、68、69が設けられた直管部の構成について説明する。
流入流量抑制部61は、図36に示すように、半円状の板部材で構成され、直管2の内部断面の50〜60%程度を閉鎖するように、母管3の開口部5に設けられている。なお、流入流量抑制部61は、直管2の高温流体7の流れ方向の上流側(図36では直管2の内部断面の左半円側)から直管2内へ高温流体7が流入するのを抑制するように、母管3の開口部に設けられている。また、流入流量抑制部61は、母管の設置方向(例えば、水平方向)に対して角度θ°(0≦θ≦15)の範囲で設置することができる。
流入流量抑制部62は、図37に示すように、図36に示す流入流量抑制部61(但し、θが0°の場合)を、高温流体7の流れに対して垂直に設けられた板部材を介して、母管3内の高温流体7の流路に突出させたものである。
流入流量抑制部63は、図38に示すように、高温流体7の流れに対して垂直に突出された流入流量抑制部62の突出部に曲率を持たせ、高温流体7がスムーズに流れるように構成されたものである。
流入流量抑制部64は、図39に示すように、母管3に設けられた開口部であり、その開口面積は、直管2の内部断面積の40〜50%程度である。また、直管2は、その開口部の中心軸と同軸的に母管3に接続される。
流入流量抑制部65は、図40に示すように、複数の通過孔65aを有する円板部材であり、母管3に設けられた開口部5に設置されている。
流入流量抑制部66は、図41に示すように、流入流量抑制部65に半円状の板部材66aをさらに設けたものである。なお、半円状の板部材66aは、直管2の高温流体7の流れ方向の上流側(図41では、直管2の内部断面の左半円側)から直管2内へ高温流体7が流入するのを抑制するように、母管3の開口部に設けられている。
流入流量抑制部67は、図42に示すように、半円状の板部材で構成され、直管2の内部断面の50〜60%程度を閉鎖するように、母管3の開口部に設けられている。なお、流入流量抑制部67は、直管2の高温流体7の流れ方向の下流側(図42では、直管2の内部断面の右半円側)から直管2へ高温流体7が流入するのを抑制するように、母管3の開口部5に設けられている。また、流入流量抑制部61は、直管2側に傾けて母管3の開口部5に設置され、母管3の設置方向(例えば、水平方向)に対して角度θ°(0≦θ≦15)の範囲で設置することができる。
流入流量抑制部68は、図43に示すように、流入流量抑制部61と流入流量抑制部67とを組み合わせて構成されたものである。
流入流量抑制部69は、図44に示すように、半円状の板部材69aおよび直管2の径よりもの大きな径の筒体で形成されたバッファ部69bで構成されている。母管3の開口部5は、バッファ部69bの内部断面に対応して開口され、その開口部5を覆うようにバッファ部69bの一端が接続されている。また、バッファ部69bの他端には、直管2が接続されている。
半円状の板部材69aは、バッファ部69bの内部断面の50〜60%程度を閉鎖するように、母管3の開口部5に設けられている。なお、半円状の板部材69aは、バッファ部69bの高温流体7の流れ方向の下流側(図44では、バッファ部69bの内部断面の右半円側)から直管2へ高温流体7が流入するのを抑制するように、母管3の開口部5に設けられている。また、半円状の板部材69aは、バッファ部69b側に傾けて母管3の開口部5に設置され、母管の設置方向(例えば、水平方向)に対して角度θ°(0≦θ≦15)の範囲で設置することができる。
次に、直管2内の作動流体の動作について説明する。ここで、流入流量抑制部61、62、63、64、65、66、67、68、69を有する直管2内の作動流体の基本的な動作は同じなので、ここでは、図36に示した流入流量抑制部61を有する直管2を用いた場合の作動流体の動作を説明する。
母管3を流れる高温流体7が開口部61a上を通過する際、図36に示すように、開口部61a側の高温流体7は、流入流量抑制部61に沿って流れ、開口部61a側に広がる流れが抑制される。また、開口部61aの面積は、直管2の内部断面積の40〜50%程度であるため、直管2に流入する高温流体7の流量は減少する。ここで、流入流量抑制部61の設定角度θが0°、つまり流入流量抑制部61が母管3に対して平行に設置された場合であっても、開口部61aの面積が直管2の内部断面積の40〜50%程度であるため、直管2に流入する高温流体7の流量は減少する。
直管2に流入した高温流体7は、流量が少なく、つまり流速が小さいため、第1のセル状渦を形成することはできない。
また、図42および図44に示す流入流量抑制部を用いた場合には、直管2に流入する高温流体7の流量が減少するとともに、第1のセル状渦を形成する直管2の高温流体7の流れ方向の下流側(図42では、直管2の内部断面の右半円側)からの直管2への高温流体7の流入が阻止されるため、第1のセル状渦を形成することはできない。
このように、流入流量抑制部61、62、63、64、65、66、67、68、69有する直管2では、第1のセル状渦が形成されないため、直管2の下方部に向かう速度の大きい流れ場が形成されないので、直管2の下方部や、直管2とエルボとの溶接線部に温度成層界面が形成されるのを防止することができる。これによって、特に、直管2、エルボ(図示しない)および水平管(図示しない)を有する分岐配管60では、直管2とエルボ、または、エルボと水平管との溶接線部における温度成層界面の高サイクル熱疲労の発生が防止されるため、高サイクル熱疲労によって分岐配管60が損傷を受けることがなくなる。
(第7の実施の形態)
本発明の第7の実施の形態の分岐配管70の概要を図45乃至56を参照して説明する。図45乃至56には、(a)に第7の実施の形態の分岐配管70の断面図、(b)にB−B断面図を示す。なお、第1乃至6の実施の形態の分岐配管の構成と同じ構成部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
第7の実施の形態の分岐配管70は、前述した項目の(7)直管に流入する高温流体の流量を抑制し、さらに、第1のセル状渦を形成する高温流体の流れ成分を抑制する構成を主に設けたものである。
第7の実施の形態の分岐配管70の特徴である流路偏向部71、72、73、74、75、76、77が設けられた直管部の構成について説明する。
(流路偏向部71、72、73、74、75)
図45乃至53に示すように、母管3の開口部には、流路偏向部71、72、73、74、75が設けられている。
流路偏向部71は、図45に示すように、一辺が半円状に切り抜かれた矩形の板部材で構成されている。また、流路偏向部71は、母管3の開口部5に母管3に沿って母管3に対して角度θ°(0≦θ≦15)で接続され、また、母管3の開口部5の高温流体7の流れ方向の下流側の半円周部に接続されている。
流路偏向部72は、図46に示すように、母管3から直管2へつながる流路断面の高温流体7の流れ方向の下流側のほぼ半面の面積が、直管2に向かって連続的に縮小するテーパ部を有して構成されている。
流路偏向部73は、図47に示すように、母管3と直管2の接続部にR部を形成する筒体である。この場合、流路偏向部73は、開口部5の母管3の肉厚を利用して形成することもできる。また、図48に示すように、母管3の開口部5が直管2の内径よりも大きい場合には、流路偏向部73は、曲率の大きなR部で形成することができる。さらに、流路偏向部73は、図49に示すように、母管3と直管2との間に、高温流体7の流れに対して、その曲率部が面するように接続されたエルボ状の筒体74で構成されてもよい。
流路偏向部75は、図50に示すように、母管3と直管2の接続部にテーパ部を形成する筒体である。この場合、流路偏向部75は、開口部5の母管3の肉厚を利用して形成することもできる。また、図51に示すように、母管3の開口部5が直管2の内径よりも大きい場合には、流路偏向部75は、直管2の長手方向に長くなる。なお、直管2とテーパ部のなす角θ°は、45°以上であることが好ましい。
さらに、流路偏向部75は、図52に示すように、斜向管75aを母管3の開口部5に、高温流体の流れ方向の上流側(図52では左側)に傾けて接続して構成されてもよい。また、図52に示した斜向管75aは、図53に示すように、直管2を用いて、途中から鉛直下方に向けて構成することもできる。なお、母管3に対して垂直な方向と母管3に対して傾けて接続された直管2とのなす角θ°は、45°以上であることが好ましい。
次に、直管2内の作動流体の動作について説明する。ここで、流路偏向部71、72、73、74、75を用いた場合の直管2内の作動流体の基本的な動作は同じなので、ここでは、図46に示した流路偏向部72を用いた場合の作動流体の動作を説明する。
母管3を流れる高温流体7が開口部5上を通過する際、図46に示すように、直管2側の高温流体7の一部は、流路偏向部72側に広がり、流路偏向部72の内壁に衝突する。流路偏向部72の内壁に衝突した高温流体7は、図46に示すように、母管3の高温流体7の流路に戻る流れと、直管2内に流入する流れとに分けられる。
直管2内に流入した高温流体7の一部は、第1のセル状渦6aを形成する。しかし、直管2内に流入する高温流体7の流量は少ないため、直管2内に形成される第1のセル状渦6aは、流速の小さい流れ場によって形成される。そして、第1のセル状渦6aの流れに誘起されて、第1のセル状渦6aの流れ方向とは逆の流れ場を形成する第2のセル状渦6bが形成されるが、安定した渦を形成できる流れ場は形成されない。また、第1のセル状渦6aの状態によっては、第2のセル状渦6bが形成されない場合もある。
第2のセル状渦6bは、形成されたとしても、流速の小さい流れ場によって形成されるため、その後、強い旋回流に遷移することはない。
流路偏向部71、72、73、74、75を用いた場合には、第1のセル状渦6aの速度が減衰され、第1のセル状渦6aによって第2のセル状渦6bが誘起されたとしても流速の小さい流れ場であるため、直管2の下方部に向かう速度の大きい流れ場が形成されない。そのため、直管2の下方部や、直管とエルボとの溶接線部に温度成層界面が形成されるのを防止することができる。これによって、特に、直管2、エルボ(図示しない)および水平管(図示しない)を有する分岐配管70では、直管2とエルボ、または、エルボと水平管との溶接線部における温度成層界面の高サイクル熱疲労の発生が防止されるため、高サイクル熱疲労によって分岐配管70が損傷を受けることがなくなる。
(流路偏向部76、77)
図54乃至56に示すように、母管3の開口部5には、流路偏向部76、77が設けられている。
流路偏向部76は、図54に示すように、一端が斜めに切断された直管2で構成され、その端部は、開口部5の高温流体7の流れ方向の上流側に突き出すように、母管3の開口部5に接続されている。
流路偏向部77は、図55に示すように、直管2を母管3の高温流体7の流路に突き出すように、母管3の開口部5に接続することで構成される。また、図56に示すように、母管3内に突き出した直管2の高温流体7の流れ方向の下流側(図56では、直管2の右半円側)に、通過孔77aを設け、直管2に流入した高温流体7を再び母管3内に戻すようにしてもよい。
次に、直管2内の作動流体の動作について説明する。ここで、流路偏向部76、77を用いた場合の直管2内の作動流体の基本的な動作は同じなので、ここでは、図54に示した流路偏向部76を用いた場合の作動流体の動作を説明する。
母管3を流れる高温流体7の一部は、母管3内に突き出した流路偏向部76に衝突する。突き出した流路偏向部76に衝突することによって、図54に示すように、高温流体7は、突き出した流路偏向部76の後流に渦流を形成する。形成された渦流は、回転しながら上下方向に力のバランスを保って、下流へ流れていく。このように、突き出した流路偏向部76の後流に形成された渦流は、上下方向の力のバランスを保って下流へ流れていくため、直管2内に流入する高温流体7を抑制することができる。
直管2内に流入した高温流体7の一部は、流量が少ないため、直管2内に第1のセル状渦6aを形成することはほとんどない。また、直管2内に第1のセル状渦6aが形成されたとしても、第1のセル状渦6aは、流速の小さい流れ場によって形成されるため、第1のセル状渦6aの流れに誘起されて、第2のセル状渦6bが形成されることはない。
流路偏向部76、77を用いた場合には、セル状渦を安定して形成することができないため、直管2の下方部に向かう速度の大きい流れ場が形成されない。そのため、直管2の下方部や、直管とエルボとの溶接線部に温度成層界面が形成されるのを防止することができる。これによって、特に、直管2、エルボ(図示しない)および水平管(図示しない)を有する分岐配管70では、直管2とエルボ、または、エルボと水平管との溶接線部における温度成層界面の高サイクル熱疲労の発生が防止されるため、高サイクル熱疲労によって分岐配管70が損傷を受けることがなくなる。
(第8の実施の形態)
本発明の第8の実施の形態の分岐配管80の概要を図57乃至60を参照して説明する。図57乃至60には、(a)は第8の実施の形態の分岐配管80の断面図、(b)はB−B断面図を示す。なお、第1乃至7の実施の形態の分岐配管の構成と同じ構成部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
第8の実施の形態の分岐配管80は、前述した項目の(8)高温流体を強制的に直管に流入させ、温度成層界面の形成位置を溶接線部よりも仕切りバルブ側に形成させる構成を主に設けたものである。
第8の実施の形態の分岐配管80の特徴である流路偏向部81、82、83、84が設けられた直管部の構成について説明する。
(流路偏向部81、82)
図57および58に示すように、母管3の開口部5には、流路偏向部81、82が設けられている。
流路偏向部81は、図57に示すように、複数の通過孔81bを有する円板部材81aと、半円状の板部材81cとで構成されている。複数の通過孔81bを有する円板部材81aは、母管3の開口部5に接続され、半円状の板部材81cは、直管2の高温流体7の流れ方向の上流側(図57では、直管2の内部断面の左半円側)から直管2内へ高温流体7を強制的に導くように、母管3の開口部5に設けられている。なお、母管3の開口部は、複数の通過孔81bを有する円板部材81aによって、その開口面積の50〜60%程度が閉鎖されている。
流路偏向部82は、図58に示すように、流路偏向部81の複数の通過孔81bを有する円板部材81aに替えて、半円状の流路開口調整板部材82aを設けたものである。半円状の流路開口調整板部材82aは、母管3の開口部5の50〜60%程度を閉鎖するように、母管3の開口部5に設けられている。なお、半円状の流路開口調整板部材82aは、直管2の高温流体7の流れ方向の上流側(図58では、母管3の開口部5の左半円側)から直管2内へ高温流体7を流入させるように、母管3の開口部5に設けられている。
次に、直管2内の作動流体の動作について説明する。ここで、流路偏向部81、82を用いた場合の直管2内の作動流体の基本的な動作は同じなので、ここでは、図57に示した流路偏向部81を用いた場合の作動流体の動作を説明する。
母管3を流れる高温流体7の一部は、高温流体7の流れに対して開口された半円状の板部材81cによって、母管3の開口部5に強制的に導かれる。母管3の開口部5に導かれた高温流体7は、その開口部5に接続された円板部材81aに設けられた複数の通過孔81bから直管2内に流入する。
直管2内に強制的に導かれた高温流体7は、流速が大きいため、直管2内の仕切りバルブ(図示しない)の近傍まで侵入する。そして、温度成層界面は、高温流体7が侵入する仕切りバルブ(図示しない)の近傍に形成される。
これによって、特に、直管2、エルボ(図示しない)および水平管(図示しない)を有する分岐配管80では、直管2とエルボ、または、エルボと水平管との溶接線部に温度成層界面が形成されることがないため、高サイクル熱疲労によって分岐配管80が損傷を受けるのを防止することができる。
(流路偏向部83、84)
図59および60に示すように、母管3の開口部5には、流路偏向部83、84が設けられている。
流路偏向部83は、図59に示すように、母管3の開口部5に、高温流体7の流れ方向の下流側(図59では右側)に傾けて接続された斜向管83aと、斜向管83aに接続された直管2とで構成されている。なお、母管3に対して垂直な方向と母管3に対して傾けて接続された斜向管83aとのなす角θ°は、45°以上であることが好ましい。
また、流路偏向部83は、図60に示すように、母管3と直管2との間に、高温流体7の流れに対して、その曲率部の内面が面するように接続されたエルボ状の筒体84で構成されてもよい。
次に、直管2内の作動流体の動作について説明する。ここで、流路偏向部83、84を用いた場合の直管2内の作動流体の基本的な動作は同じなので、ここでは、図59に示した流路偏向部83を用いた場合の作動流体の動作を説明する。
母管3を流れる高温流体7が開口部5上を通過する際、図59に示すように、斜向管83a側を流れる高温流体7の一部は、斜向管83a側に広がり、斜向管83aの内壁に衝突して、低温流体が存在する斜向管83a内に流入する。斜向管83a内に流入した高温流体7の一部は、第1のセル状渦6aを形成する。そして、第1のセル状渦6aの流れに誘起されて、第1のセル状渦6aの流れ方向とは逆の流れ場を形成する第2のセル状渦6bが形成される。
さらに、第2のセル状渦6bの仕切りバルブ(図示しない)側では、第2のセル状渦6aの一部が崩壊または変形し、直管2の内壁に沿った旋回流8に遷移する。直管2内に形成された旋回流8は、斜向管83a内に流入する高温流体7の流量が多いため、旋回力の大きな流れ場を形成し、直管2内の仕切りバルブ(図示しない)の近傍まで侵入する。そして、温度成層界面は、高温流体7が侵入する仕切りバルブ(図示しない)の近傍に形成される。
これによって、特に、直管2、エルボ(図示しない)および水平管(図示しない)を有する分岐配管80では、直管2とエルボ、または、エルボと水平管との溶接線部に温度成層界面が形成されることがないため、高サイクル熱疲労によって分岐配管80が損傷を受けるのを防止することができる。
(第9の実施の形態)
本発明の第9の実施の形態の分岐配管90の概要を図61乃至65を参照して説明する。図61乃至65には、第9の実施の形態の分岐配管90の断面図を示す。なお、第1乃至8の実施の形態の分岐配管の構成と同じ構成部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
第9の実施の形態の分岐配管90は、前述した項目の(9)温度成層界面を形成させない構成を主に設けたものである。
第9の実施の形態の分岐配管90の特徴である加熱部91、冷却部94が設けられた直管部の構成について説明する。
(加熱部91)
分岐配管90は、図61および62に示すように、分岐配管90に設けられた仕切りバルブ92の近傍で母管3側に、加熱部91が設けられている。ここで、図62に示された分岐配管90では、加熱部91は、水平管90aの下部側壁に設置される。加熱部91は、例えば、電気ヒータや高温流体によって加熱されるヒータなどで構成され、分岐配管90の外壁部に、加熱部91の加熱面が接続されている。
次に、分岐配管90内の作動流体の動作について説明する。ここで、図61および62で示された分岐配管90内の作動流体の基本的な動作は同じなので、ここでは、図61に示した分岐配管90内の作動流体の動作について説明する。
分岐配管90に流入した高温流体7によって、第1のセル状渦6aおよび第2のセル状渦6bが形成される。そして、第2のセル状渦6aの一部が崩壊または変形することによって、第2のセル状渦6aの一部が、分岐配管90の内壁に沿った旋回流8に遷移する。この旋回流8は、分岐配管90の内壁に沿って仕切りバルブ92に向かって侵入する流れと、中心部に形成される母管3側に向かう流れによって形成される循環流である。
また、旋回流8が形成されている領域よりも仕切りバルブ92側は、低温流体93が存在している。その低温流体93が存在している部分の分岐配管90の外壁に設けられた加熱部91によって、分岐配管90が加熱される。そして、加熱された分岐配管90の内壁からの熱伝達によって、低温流体93が加熱される。加熱された低温流体93は、分岐配管90内を上昇して、分岐配管90内に対流が発生する。この対流により、母管3から分岐配管90内に流入した高温流体7を含んだ流れ場が分岐配管90内に形成される。これによって、通常、旋回流8が形成されている領域と低温流体93が存在している領域の境界に形成される温度成層界面は形成されず、分岐配管90内に大きな温度分布が存在することがなくなる。
このように、分岐配管90に加熱部91を設けることによって、温度成層界面の形成を防止でき、高サイクル熱疲労によって分岐配管90が損傷を受けるのを防止することができる。
(冷却部94)
分岐配管90は、図63および64に示すように、分岐配管90内の旋回流8が形成される付近の分岐配管90の外壁に冷却部94が設けられている。ここで、図64に示された分岐配管90では、冷却部94は、水平管90aの上部側壁に設置される。冷却部94は、例えば、冷媒を用いたクーラや電気的に冷却を行うクーラなどで構成され、分岐配管90の外壁部に、冷却部94の冷却面が接続されている。
次に、分岐配管90内の作動流体の動作について説明する。ここで、図63および64で示された分岐配管90内の作動流体の基本的な動作は同じなので、ここでは、図63に示した分岐配管90内の作動流体の動作について説明する。
分岐配管90に流入した高温流体7によって、第1のセル状渦6aおよび第2のセル状渦6bが形成される。そして、第2のセル状渦6aの一部が崩壊または変形することによって、第2のセル状渦6aの一部が、分岐配管90の内壁に沿った旋回流8に遷移する。
第2のセル状渦6aの一部が旋回流8に遷移する領域の分岐配管90の外壁に設けられた冷却部94によって、分岐配管90の壁部を介して旋回流8の熱が冷却部94に移動し、旋回流8が冷却される。そして、冷却された旋回流8は、分岐配管90の内壁に沿って仕切りバルブ92に向かって侵入する。
冷却された旋回流8の温度は、仕切りバルブ92側に存在する低温流体93の温度と大きな差がなくなり、旋回流8の形成領域と低温流体93の存在する領域における大きな温度勾配がなくなる。また、低温流体93よりも低温に冷却された旋回流8の一部は、低温流体93内に流入し対流が発生する。これによって、通常、旋回流8が形成されている領域と低温流体93が存在している領域の境界に形成される温度成層界面は形成されず、分岐配管90内に大きな温度分布が存在することがなくなる。
このように、分岐配管90に冷却部94を設けることによって、温度成層界面の形成を防止でき、高サイクル熱疲労によって分岐配管90が損傷を受けるのを防止することができる。
ここで、図65に示すように、加熱部91および冷却部94の双方を設けることもできる。これによって、上記した加熱部91を設けたときの効果と冷却部94を設けたときの効果が同時に得られ、温度成層界面の形成をより確実に防止することができ、高サイクル熱疲労によって分岐配管90が損傷を受けるのを防止することができる。
(第10の実施の形態)
本発明の第10の実施の形態の高温流体供給システムでは、高温流体7の流量を所定の条件で変動させて母管3に供給するシステムが備えられている。
第10の実施の形態の高温流体供給システムは、前述した項目の(10)安定した温度成層界面を形成させない構成を主に設けたものである。
この高温流体供給システムは、例えば、高温流体7を母管3に供給する配管に流量制御弁を設け、その流量制御弁の開度を所定の条件で自動的に変化させることで達成することができる。
所定の条件の一例として、母管3を流れる流量と時間との関係を図66および67に示す。
図66では、母管3を流れる流量は、時間に対して三角関数的に変化している。一方、図67では、母管3を流れる流量は、時間に対して直線的に変化している。ここで、母管3を流れる流量と時間との関係は、これらに限るものではなく、母管3を流れる流量が時間的に変化させるように制御されていればよい。また、図66および67に示した母管3を流れる流量変化の1周期は、例えば、1時間などに設定される。
このように、高温流体7の流量を時間に伴って変化させて母管3に供給させることで、分岐配管に流入する高温流体7の流量が変化し、高温流体7が分岐配管内に侵入する距離が変化する。これによって、安定的な温度成層界面を形成することができなくなり、高サイクル熱疲労によって分岐配管が損傷を受けるのを防止することができる。
(第11の実施の形態)
本発明の第11の実施の形態の高温流体供給システムでは、高温流体7の温度を所定の条件で変動させて母管3に供給するシステムが備えられている。
第11の実施の形態の高温流体供給システムは、前述した項目の(10)安定した温度成層界面を形成させない構成を主に設けたものである。
この高温流体供給システムは、例えば、高温流体7を母管3に供給する配管に冷却部を設け、その冷却部をオンまたはオフさせ、高温流体7の温度を所定の条件で自動的に変化させることで達成することができる。高温流体7の冷却方式は、これに限るものではなく、低温の流体を高温流体7に混合することで、高温流体7を冷却することなどもできる。
所定の条件の一例として、母管3を流れる高温流体7の温度と時間との関係を図68および69に示す。
図68では、母管3を流れる高温流体7の温度は、時間に対して三角関数的に変化している。一方、図69では、母管3を流れる高温流体7の温度は、時間に対して直線的に変化している。ここで、母管3を流れる高温流体7の温度と時間との関係は、これらに限るものではなく、母管3を流れる高温流体7の温度が時間的に変化させるように制御されていればよい。また、図68および69に示した母管3を流れる高温流体7の温度変化の1周期は、例えば、1時間などに設定される。
このように、高温流体7の温度を時間に伴って変化させて母管3に供給させることで、分岐配管に流入する高温流体7の温度が変化するため、安定的な温度成層界面を形成することができなくなる。これによって、高サイクル熱疲労によって分岐配管が損傷を受けるのを防止することができる。