JP2008261318A - 内燃機関の空燃比センサの出力値補正装置 - Google Patents

内燃機関の空燃比センサの出力値補正装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 排ガスの空燃比に応じた値を出力する空燃比センサを備えた内燃機関において、空燃比センサの出力値を適切に補正するための補正値を算出できる装置の提供。
【解決手段】 この装置は、燃料の燃焼速度Sが大きいほど、燃焼速度S(即ち、空燃比)が固定された状態で得られる点火時期−トルク特性を表す曲線における最大トルク点火時期MBTがより遅角側に推移する傾向があることを利用して、空燃比(即ち、燃焼速度S)を順次偏移させていくことで得られる最大トルク点火時期MBTの変化傾向を監視し、最大トルク点火時期MBTが最も遅角側に推移した場合を、燃焼速度Sが最大となる場合として特定する。この場合における検出空燃比と、燃焼速度Sが最大となる場合の空燃比であって、既知の燃料の性状から決定される空燃比との相違の程度に基づいて、空燃比センサの出力値を補正するための補正値を算出する。
【選択図】 図5

Description

本発明は、内燃機関の空燃比センサの出力値補正装置に関する。
一般に、内燃機関の排気通路に配設されて排ガスの空燃比に応じた値を出力する空燃比センサの出力値と目標空燃比とに基づいて、排ガスの空燃比が目標空燃比と一致するように空燃比のフィードバック制御を実行する装置が知られおり、例えば、下記特許文献1に記載されている。
特開2004−204733号公報
空燃比センサとしては、広範囲に亘る排ガスの空燃比を検出する観点から限界電流式の酸素濃度センサが用いられることが多い。限界電流式の酸素濃度センサは、個体誤差、経年変化等により出力値が正常値から偏移し易い特性を有する。即ち、空燃比センサの出力値における誤差が生じ易い。このため、上述のように空燃比のフィードバック制御が実行されると、排ガスの空燃比が目標空燃比から上記誤差に相当する分だけ乖離した空燃比に一致する事態が発生し得るという問題があった。
従って、本発明の目的は、空燃比センサの出力値を適切に補正することができる1手法としての、空燃比センサの出力値補正装置を提供することにある。
本発明に係る空燃比センサの出力値補正装置は、内燃機関の排気通路に配設されて排ガスの空燃比に応じた値を出力する空燃比センサを備えた内燃機関に適用される。また、排ガスの空燃比が、内燃機関に供給される混合気の空燃比(以下、単に「混合気の空燃比」と称呼する。)と同一の値となる内燃機関(例えば、排気通路において酸化剤を供給することで、排ガスの空燃比を混合気の空燃比と異ならせる機構等を有さない内燃機関)に適用される。
本発明に係る空燃比センサの出力値補正装置の特徴は、前記(排ガスの)空燃比が同(混合気の)空燃比に応じて変化する燃料の燃焼速度が最大となる空燃比であって既知の同燃料の性状から決定される空燃比である第1空燃比に一致している場合において、前記空燃比センサにより検出される検出空燃比を第2空燃比として取得する第2空燃比取得手段と、前記第1空燃比と前記取得された第2空燃比との相違を利用して前記空燃比センサの出力値を補正するための補正値を決定する補正値決定手段と、前記決定された補正値を利用して前記空燃比センサの出力値を補正する空燃比センサ補正手段とを備えたことにある。
一般に、混合気の空燃比が、酸素と燃料が過不足なく反応する場合における空燃比よりややリッチ側の空燃比と等しい場合(燃料の量が、酸素と燃料が過不足なく反応する場合における燃料の量よりやや大きい場合)、燃料の燃焼速度が最も大きくなる。この場合における混合気の空燃比(即ち、前記第1空燃比)は、燃料の性状(例えば、燃料中のC,H等の組成等)により予め決定され得る値である。
上記空燃比センサの出力値における誤差が生じている場合、前記第2空燃比は、前記第1空燃比からその誤差に相当する分だけ乖離した排ガスの検出空燃比となる。前記第1空燃比は燃料の性状により予め決定され得るものであるから、前記第2空燃比の前記第1空燃比からの乖離の程度が求められ得、この乖離の程度は、上記誤差を精度良く表す値となり得る。
従って、上記構成によれば、空燃比センサの出力値における誤差を精度良く表し得る前記第1空燃比と前記第2空燃比との相違が利用されることで、空燃比センサの出力値を適切に補正するための補正値が求めるられ得、この補正値が利用されることで空燃比センサの出力値を適切に補正することができる。
本発明に係る空燃比センサの出力値補正装置においては、前記第2空燃比取得手段が、前記(検出)空燃比を変更する空燃比変更手段と、前記内燃機関の点火時期を変更する点火時期変更手段と、前記内燃機関のクランク軸の出力トルクを取得するトルク取得手段と、前記空燃比を固定した状態で前記点火時期変更手段を利用して前記点火時期を変更することで得られる同点火時期と前記トルク取得手段を利用して取得される前記出力トルクとの関係を前記空燃比変更手段を利用して前記(検出)空燃比を2以上の異なる空燃比に順次変更させていくことでそれぞれ取得する関係取得手段とを備え、前記取得された関係の2以上の前記(検出)空燃比に対する変化傾向に基づいて前記第2空燃比を取得するように構成されることが好適である。
例えば、内燃機関の点火時期をX軸(横軸)、内燃機関のクランク軸の出力トルク(の機関の1サイクルあたりの平均値)をY軸(縦軸)にとった場合において、X−Y座標上での空燃比を固定した状態で得られる点火時期と出力トルクとの関係(例えば、曲線等)は、排ガスの空燃比が前記第1空燃比に近接するほど、燃料の燃焼速度が増大するのに伴いX軸方向のより遅角側の方向へ推移していく傾向がある(後述する図5を参照。詳細は後述する。)。
従って、例えば、検出空燃比(即ち、燃料の燃焼速度)が異なる2以上の空燃比に順次変更される場合において、上記X−Y座標上に各検出空燃比に対応してそれれぞれ作成された上記点火時期と出力トルクとの関係を表す曲線のうち、最もX軸方向の遅角側に推移したものが得られた場合が、排ガスの空燃比が前記第1空燃比に一致する(最も近接する)場合となり得る。この場合における検出空燃比を前記第2空燃比として取得すればよい。
上記構成は係る知見に基づく。これによれば、上述のように検出空燃比を2以上の異なる空燃比に順次変更させながら、それぞれ取得される上記点火時期と出力トルクとの関係の変化傾向を監視することで、前記第2空燃比の取得に際し、排ガスの空燃比が前記第1空燃比に一致している場合を特定することができる。
本発明に係る空燃比センサの出力値補正装置においては、前記第2空燃比取得手段が、前記取得された各関係から得られる前記出力トルクの最大値に対応する前記点火時期である最大トルク点火時期をそれぞれ取得する最大トルク点火時期取得手段を備え、前記(検出)空燃比が2以上の前記最大トルク点火時期のうち最も遅角側のものに対応する関係が得られた空燃比に固定されている場合において前記第2空燃比を取得するように構成されることが好適である。
検出空燃比を固定した状態で得られる或る点火時期と出力トルクとの関係においては、出力トルクの最大値が存在し、この最大値に対応する点火時期である前記最大トルク点火時期が簡易、且つ、一意的に決定される。また、順次変更される検出空燃比に対応する前記最大トルク点火時期は、上記点火時期と出力トルクとの関係の変化傾向と同様、燃料の燃焼速度が大きいほど遅角側のものとなる。即ち、検出空燃比の変更に応じた前記最大トルク点火時期の変化傾向は、上記点火時期と出力トルクとの関係の変化傾向を表すものとなり得る。
上記構成によれば、検出空燃比の変更に応じた前記最大トルク点火時期の変化傾向を監視することで、上記点火時期と出力トルクとの関係の変化傾向を簡易に知ることができる。従って、前記第2空燃比の取得に際し、排ガスの空燃比が前記第1空燃比に一致している場合を簡易に特定することができ、この結果、前記第2空燃比を簡易に取得することができる。
この場合、例えば、前記関係取得手段が、前記(検出)空燃比を前記第1空燃比よりもリッチ又はリーンな所定の空燃比から所定の程度だけリーン又はリッチ方向に順次偏移させていくことで前記2以上の関係を取得するように構成され、前記最大トルク点火時期取得手段が、前記各関係が取得される毎に前記最大トルク点火時期を順次取得するように構成されていて、前記第2空燃比取得手段が、前記(検出)空燃比が前記各関係が得られる空燃比に固定される毎に前記検出空燃比を順次検出するとともに、今回の前記最大トルク点火時期が1回前の前記最大トルク点火時期より初めて進角側になった場合、同1回前の前記最大トルク点火時期に対応する前記検出空燃比を前記第2空燃比として取得するように構成されてもよい。
ここにおいて、今回の前記最大トルク点火時期は、順次変更される検出空燃比のうち、今回固定されている検出空燃比に対応する前記最大トルク点火時期であり、1回前の前記最大トルク点火時期は、順次変更される検出空燃比のうち、今回から1回前に固定されていた検出空燃比に対応する前記最大トルク点火時期である。
上記構成によれば、今回の前記最大トルク点火時期が1回前の前記最大トルク点火時期より初めて進角側になった場合、同1回前の前記最大トルク点火時期が最も遅角側に推移するものとして特定され得る。即ち、この場合、上記1回前の前記最大トルク点火時期に対応する検出空燃比を前記第2空燃比として取得することができる。
また、この場合、次回以降の検出空燃比の順次変更、点火時期と出力トルクとの関係の取得を省略することができる。従って、CPUによる不必要な演算処理等が省略され得るから、効率良く、且つ、迅速に前記第2空燃比を取得することができる。
以下、本発明による内燃機関の空燃比センサの出力値補正装置の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る内燃機関の空燃比センサの出力値補正装置を火花点火式多気筒(4気筒)内燃機関10に適用したシステムの概略構成を示している。この内燃機関10は、シリンダブロック、シリンダブロックロワーケース、及びオイルパン等を含むシリンダブロック部20と、シリンダブロック部20の上に固定されるシリンダヘッド部30と、シリンダブロック部20にガソリン混合気を供給するための吸気系統40と、シリンダブロック部20からの排気ガスを外部に放出するための排気系統50とを含んでいる。
シリンダブロック部20は、シリンダ21、ピストン22、コンロッド23、及びクランク軸24を含んでいる。ピストン22はシリンダ21内を往復動し、ピストン22の往復動がコンロッド23を介してクランク軸24に伝達され、これにより同クランク軸24が回転するようになっている。シリンダ21とピストン22のヘッドは、シリンダヘッド部30とともに燃焼室25を形成している。
シリンダヘッド部30は、燃焼室25に連通した吸気ポート31、吸気ポート31を開閉する吸気弁32、吸気弁32を駆動するインテークカムシャフトを含むとともに同インテークカムシャフトの位相角を連続的に変更する可変吸気タイミング装置33、可変吸気タイミング装置33のアクチュエータ33a、燃焼室25に連通した排気ポート34、排気ポート34を開閉する排気弁35、排気弁35を駆動するエキゾーストカムシャフト36、点火プラグ37、点火プラグ37に与える高電圧を発生するイグニッションコイルを含むイグナイタ38、燃料を吸気ポート31内に噴射する燃料噴射弁39を備えている。
吸気系統40は、吸気ポート31に連通し同吸気ポート31とともに吸気通路を形成するインテークマニホールドを含む吸気管41、吸気管41の端部に設けられたエアフィルタ42、吸気管41内にあって吸気通路の開口断面積を可変とするスロットル弁43、及びスロットル弁駆動手段を構成するDCモータからなるスロットル弁アクチュエータ43aを備えている。
排気系統50は、排気ポート34に連通したエキゾーストマニホールド51、エキゾーストマニホールド51(実際には、各排気ポート34に連通したそれぞれのエキゾーストマニホールド51が集合した集合部)に接続されたエキゾーストパイプ(排気管)52、エキゾーストパイプ52に配設(介装)された三元触媒53を備えている。排気ポート34、エキゾーストマニホールド51、及びエキゾーストパイプ52は、排気通路を構成している。
一方、このシステムは、スロットルポジションセンサ61、カムポジションセンサ62、クランクポジションセンサ63、水温センサ64、空燃比センサ65、トルクセンサ66を備えている。
スロットルポジションセンサ61は、スロットル弁43の開度を検出し、スロットル弁開度TAを表す信号を出力するようになっている。カムポジションセンサ62は、インテークカムシャフトが90°回転する毎に(即ち、クランク軸24が180°回転する毎に)一つのパルスを有する信号(G2信号)を発生するようになっている。この信号は、吸気弁32の開閉タイミングを表す。クランクポジションセンサ63は、クランク軸24が10°回転する毎に幅狭のパルスを有するとともに同クランク軸24が360°回転する毎に幅広のパルスを有する信号を出力するようになっている。この信号は、運転速度NEを表す。水温センサ64は、内燃機関10の冷却水の温度を検出し、冷却水温THWを表す信号を出力するようになっている。
空燃比センサ65は、排気通路であって三元触媒53よりも上流側に配設されている。空燃比センサ65は、所謂「限界電流式酸素濃度センサ」であって、三元触媒53に流入する排ガスの空燃比を検出し、図2に実線にて示したように、排ガスの空燃比に応じた電流を出力し、この電流に応じた電圧である出力値Vafs(V)を出力するようになっている。特に、正常状態では、後述する燃料の燃焼速度Sが最大となる場合における排ガスの空燃比である第1空燃比afsmax1であるときに出力値Vafs(V)は値Vafsmax1(V)になるようになっている。図2から明らかなように、空燃比センサ65によれば、広範囲にわたる空燃比を精度良く検出することができる。
トルクセンサ66は、クランク軸24の出力トルクを検出し、クランク軸24の出力トルクの内燃機関10の1サイクルにおける平均値Tqを表す信号を出力するようになっている。このトルクセンサ66が、前記トルク取得手段の一部に対応する。
電気制御装置70は、互いにバスで接続されたCPU71、CPU71が実行するルーチン(プログラム)、テーブル(ルックアップテーブル、マップ)、及び定数等を予め記憶したROM72、CPU71が必要に応じてデータを一時的に格納するRAM73、電源が投入された状態でデータを格納するとともに同格納したデータを電源が遮断されている間も保持するバックアップRAM74、並びにADコンバータを含むインターフェース75等からなるマイクロコンピュータである。
インターフェース75は、前記センサ61〜66に接続され、CPU71にセンサ61〜66からの信号を供給するとともに、同CPU71の指示に応じて可変吸気タイミング装置33のアクチュエータ33a、イグナイタ38、燃料噴射弁39、及びスロットル弁アクチュエータ43aへ駆動信号を送出するようになっている。
(空燃比センサの出力値の補正の概要)
次に、上記のように構成された空燃比センサの出力値補正装置(以下、「本装置」とも称呼する。)が行う空燃比センサ65の出力値の補正の概要について説明する。
限界電流式の酸素濃度センサである空燃比センサ65は、個体誤差、経年変化等により上記第1空燃比afsmax1に対応する出力値Vafsmax1が正常値から偏移し易い特性を有する。この例では、空燃比センサ65の出力値Vafsが、図2に破線にて示したように、空燃比全域に亘って正常値から値dVafsだけ小さめに偏移していて、この結果、上記第1空燃比afsmax1に対応する出力値が値(Vafsmax-dVafs)になっているものとする。
即ち、実際の排ガスの空燃比が上記第1空燃比afsmax1に一致する場合において、空燃比センサ65により検出される検出空燃比afsは、上記第1空燃比afsmax1から上記値dVafsに相当する分だけリッチ側に偏移した空燃比である第2空燃比afsmax2になるものとする。換言すれば、第2空燃比afsmax2の第1空燃比afsmax1からの乖離の程度は、空燃比センサ65の出力値における誤差(即ち、上記値dVafs)を表すものとなる。
後述するように上記第1空燃比afsmax1は燃料の性状から予め決定され得るものであるから、第2空燃比afsmax2が取得されることで上記乖離の程度が求められ、誤差(即ち、上記値dVafs)を有している空燃比センサ65の出力値を適切に補正するための補正値δafを求めることができる。
本装置は、燃料の燃焼速度Sに影響を及ぼす燃料中のC,Hの組成等が既知である燃料を用い、後述するように検出空燃比afs(即ち、混合気(排ガス)の空燃比)を順次変更していく。そして、排ガスの空燃比が、上記用いられる燃料の性状から予め決定される第1空燃比afsmax1に最も近接する場合を特定し、この場合における検出空燃比afsを上記第2空燃比afsmax2として取得するようになっている。
また、上記第1空燃比afsmax1と、上記第2空燃比afsmax2として取得された検出空燃比afsとの差をとることで、上記補正値δafを算出し、空燃比センサ65の出力値Vafs(即ち、検出空燃比afs)に基づく空燃比フィードバック制御が実行される際、この補正値δafが検出空燃比afsに加えられることで、空燃比センサ65の出力値が補正されるようになっている。このように空燃比センサ65の出力値を補正する手段が、前記空燃比センサ補正手段の一部に対応する。以上が、本装置が行う空燃比センサ65の出力値の補正の概要である。
(第2空燃比の取得方法)
次に、上述のように本装置が取得する上記第2空燃比afsmax2の取得方法について説明する。
ところで、図3に示したように、燃料の燃焼速度Sは内燃機関10に供給される混合気の空燃比(従って、排ガスの空燃比)に応じて変化し、特に、混合気の空燃比が、燃料と酸素が過不足なく反応する空燃比よりややリッチ側の空燃比と等しい場合、燃焼速度Sは最も大きい燃焼速度である最大燃焼速度Smaxとなる。即ち、この場合における排ガスの空燃比が上記第1空燃比afsmax1となり、空燃比が第1空燃比afsmax1よりリッチ側に偏移するほど、又はリーン側に偏移するほど燃焼速度Sはより小さくなる。
これは、排ガスの空燃比が第1空燃比afsmax1よりリッチ側に偏移するほど、酸素と反応しない燃料がより過剰となることに伴い燃焼温度がより低くなる一方、第1空燃比afsmax1よりリーン側に偏移するほど、燃料と反応しない空気がより過剰となることに伴い燃焼温度がより低くなることに基づく。この第1空燃比afsmax1は、既知の燃料中のC,Hの組成等により予め決定され得る値である。
また、燃料の燃焼速度Sが変更されていく場合、各燃焼速度Sに対応する点火時期CAigとクランク軸24の出力トルク(の内燃機関10の1サイクルあたりの平均値Tq、以下、単に「出力トルクTq」と称呼する。)との関係が、或る傾向をもって変化していく。従って、検出空燃比afs(即ち、燃料の燃焼速度S)を順次変更し、上記関係の変化傾向を監視することで、燃料の燃焼速度Sが上記最大燃焼速度Smaxに最も近接する場合(従って、排ガスの空燃比が上記第1空燃比afsmax1に最も近接する場合)を特定することができる。
本装置は、このことを利用して、検出空燃比afs(即ち、混合気(排ガス)の空燃比)を順次変更していくことで、燃料の燃焼速度Sも順次変更させていくようになっている。そして、上記点火時期CAigと出力トルクTqとの関係の変化傾向から、燃料の燃焼速度Sが上記最大燃焼速度Smaxに最も近接する場合を特定し、この場合における検出空燃比afsを上記第2空燃比afsmax2として取得するようになっている。
<燃料の燃焼速度に応じた点火時期と出力トルクとの関係の変化傾向>
次に、上記第2空燃比afsmax2を取得する際に用いられる、燃料の燃焼速度Sに応じた点火時期CAigと出力トルクTqとの関係の変化傾向について説明する。
図4は、内燃機関10の圧縮・膨張行程での所定のクランク角度CAにて点火が実行される場合における、クランク角度CAに対する燃焼室25内のガス圧Pの変化を示したグラフである。点火時期CAig1にて点火が実行され、例えば、燃焼速度S1で反応が進行する場合、図4の実線で示したように、上記ガス圧Pは、燃料の燃焼に伴い点火時期CAig1よりクランク角度差dCA1だけ遅角側のクランク角度にて極大となる。このガス圧Pが極大となる場合に対応するクランク角度CAを最大圧力クランク角度CAPmaxと称呼する。
ところで、一般に、上記最大圧力クランク角度CAPmaxが、内燃機関10のピストン22の上死点に対応するクランク角度TDCよりも若干遅角側の所定のクランク角度(以下、「最大トルククランク角度CATqmax」と称呼する。)に近接するほど、出力トルクTqはより大きくなる傾向がある。即ち、燃料の燃焼速度Sが燃焼速度S1である場合、燃焼速度S1に対応する上記最大圧力クランク角度CAPmax1と、上記最大トルククランク角度CATqmaxとのクランク角度差の絶対値δCAが小さいほど、出力トルクTqが大きくなる。特に、上記差の絶対値δCAが「0」である場合、出力トルクTqは最大となり、この場合の出力トルクTqを最大出力トルクTqmaxと称呼する。
ここで、燃料の燃焼速度Sが上記燃焼速度S1に固定された状態で、点火時期CAigを変更させる場合を考える。この場合、点火時期CAigにかかわらず、点火時期CAigと最大圧力クランク角度CAPmax1とのクランク角度差は上記差dCA1と同一となる。従って、燃焼速度S1での出力トルクTqが上記最大出力トルクTqmaxとなる場合(即ち、上記差の絶対値δCA=0(即ち、CATqmax=CAPmax1)となる場合、図4の1点鎖線を参照)に対応する点火時期CAigである最大トルク点火時期MBT1は、上記最大トルククランク角度CATqmax(=CAPmax1)より上記差dCA1だけ進角側のものとなる。
また、点火時期CAigが上記最大トルク点火時期MBT1からより進角側、又は、より遅角側に乖離するほど、点火時期CAigと最大圧力クランク角度CAPmax1とのクランク角度差が上記差dCA1に維持されながら上記差の絶対値δCAが大きくなるのに伴い、出力トルクTqがより小さくなる。従って、燃料の燃焼速度Sが燃焼速度S1に固定された状態においては、図5に示したように、点火時期CAigを横軸(X軸)、出力トルクTqを縦軸(Y軸)にとった場合、点火時期CAigと出力トルクTqとの関係が、X−Y座標上に点(MBT1,Tqmax)を頂点とする上に凸の曲線で表される。
換言すれば、或る燃焼速度Sが固定された状態で、点火時期CAigを順次変更していくと、出力トルクTqが最大出力トルクTqmaxとなる上記最大トルク点火時期MBTが必ず存在する点火時期CAigと出力トルクTqとの関係が得られる。以下、このような点火時期CAigと出力トルクTqとの関係を、点火時期−トルク特性と称呼する。
一方、点火時期CAigが上記点火時期CAig1に固定された状態で、燃料の燃焼速度Sを変更する場合を考える。再び図4を参照しながら説明すると、燃料の燃焼速度Sが小さいほど、クランク角度CAに対する上記ガス圧Pの増大速度が減少するのに伴い、上記最大圧力クランク角度CAPmaxの上記点火時期CAig1からの乖離の程度が大きくなる。即ち、上記燃焼速度S1と上記燃焼速度S1より小さい燃焼速度S2,S3(<S2)にそれぞれ対応する上記最大圧力クランク角度CAPmax1,CAPmax2,CAmax3は、この順でより進角側に推移する。従って、上記最大圧力クランク角度CAPmax1,CAPmax2,CAmax3と上記点火時期CAig1とのクランク角度差dCA1,dCA2,dCA3は、この順でより小さい。
従って、燃焼速度S1,S2,S3に対応する各出力トルクTqが最大出力トルクTqmaxとなる場合のガス圧Pのクランク角度CAに対する変化を示す、図4に対応する図6のグラフに示すように、燃焼速度S1,S2,S3に対応する最大トルク点火時期MBT1,MBT2,MBT3は、対応する上記各最大圧力クランク角度CAPmax1,CAPmax2,CAmax3がそれぞれ上記最大トルククランク角度CATqmaxと一致するように、上記最大トルククランク角度CATqmaxよりそれぞれ上記差dCA1,dCA2,dCA3だけ進角側のクランク角度CAとなる。即ち、上記最大トルク点火時期MBT1,MBT2,MBT3は、この順でより遅角側に推移する。
また、燃料の燃焼速度Sが燃焼速度S2,S3に固定された状態で得られる各点火時期−トルク特性も、上述した燃焼速度S1での点火時期−トルク特性と同様、上記X−Y座標上で点(MBT2,Tqmax),(MBT3,Tqmax)を頂点とする上に凸の曲線でそれぞれ表される。以上のことから、図5に示したように、燃料の燃焼速度Sを固定した状態で得られる点火時期−トルク特性を表す曲線は、上記X−Y座標上において燃料の燃焼速度Sが大きいほど、X軸方向のより遅角側の方向へ平行移動していく。従って、燃料の燃焼速度Sが上記最大燃焼速度Smaxに一致する場合、上記上に凸の曲線は最も遅角側に推移する。
即ち、前記関係取得手段は、前記空燃比(従って、燃料の燃焼速度S)が固定された状態で、点火時期−トルク特性を表す曲線を、空燃比(従って、燃料の燃焼速度S)を2以上の異なる空燃比に順次変更していくことでX−Y座標上にそれぞれ作成し、前記第2空燃比取得手段は、前記点火時期と出力トルクとの関係の2以上の空燃比(従って、燃料の燃焼速度S)に対応する変化傾向として、点火時期−トルク特性を表す曲線が上述のようにX軸方向の遅角側方向へ平行移動していく傾向を用いるように構成される。
ここで、上記上に凸の曲線における頂点を構成する上記最大トルク点火時期MBTに着目すると、上記最大トルク点火時期MBTは、各上記上に凸の曲線においてそれぞれ必ず存在し、一意的、且つ、簡易に決定され得る。また、上述した曲線が平行移動していく傾向と同様、燃料の燃焼速度Sが大きいほど、各燃料の燃焼速度Sに対応する上記最大トルク点火時期MBTがより遅角側に推移し、特に、燃料の燃焼速度Sが上記最大燃焼速度Smaxに一致する場合に対応する上記最大トルク点火時期MBTは、最も遅角側に推移する(図5、及び図6を参照)。即ち、燃料の燃焼速度Sに応じた上記最大トルク点火時期MBTの変化傾向は、上記上に凸の曲線の変化傾向を表すものとなり得る。
従って、本装置は、検出空燃比afsを順次変更させていくことで得られる上記最大トルク点火時期MBTの変化傾向を監視し、2以上の上記最大トルク点火時期MBTのうち最も遅角側のものに対応する上記点火時期−トルク特性を表す曲線が作成された場合を、燃料の燃焼速度Sが最大燃焼速度Smaxに最も近接する場合(従って、排ガスの空燃比が上記第1空燃比afsmax1に最も近接する場合)として特定するようになっている。そして、この場合における検出空燃比afsを上記第2空燃比afsmax2として取得するようになっている。以上が、本装置による第2空燃比afsmax2の取得方法である。
(実際の作動)
以下、このような処理を行う本装置の実際の作動について、図7に示した本装置の作動により検出空燃比afsが順次変更されていくことで上記最大トルク点火時期MBTが変化していく傾向を表すグラフと、図8に示したフローチャートとを参照しながら説明していく。
CPU71は、図8にフローチャートにより示した空燃比センサ65の出力値の補正値δafを算出するルーチンを、同補正値δafの算出が要求される場合、同補正値δafの算出が完了するまで繰り返し実行するようになっている。上記補正値δafの算出が要求される場合とは、例えば、内燃機関10が工場から出荷される前の状態にある場合等が挙げられる。
従って、CPU71は、上記補正値δafの算出が要求される場合、ステップ800から処理を開始してステップ805に進み、補正値算出条件が成立しているか否かを判定する。ここで、上記補正値算出条件は、本例では、筒内吸入空気量、及び冷却水温THWが、空燃比センサ65が活性状態となる所定の範囲内の値であるときに成立する。
上記補正値算出条件が成立していない場合、CPU71はステップ805にて「No」と判定して直ちにステップ895に進んで、本ルーチンを一旦終了する。一方、上記補正値算出条件が成立している場合、CPU71はステップ805にて「Yes」と判定してステップ810に進んで、検出空燃比afs(i)における上記点火時期‐トルク特性から最大トルク点火時期MBT(i)を取得する。ここで、整数iは後述するステップ820にて変更・設定される検出空燃比afsの設定回数を表す値であり、最大トルク点火時期MBT(i)は、検出空燃比afs(i)が固定された状態で取得されるものである。
ステップ810に進んだCPU71は、検出空燃比afsが、前回の本ルーチン実行の際にステップ820にて変更・設定されたものに固定された状態(即ち、筒内吸入空気量、及び燃料噴射量が固定された状態)で、点火時期CAigを所定のクランク角度差づつ順次変更していく。この処理が、前記点火時期変更手段の一部に対応する。なお、本例では、ステップ805の条件成立後、初めてステップ810の処理が実行される場合における検出空燃比afs(1)は、上記第1空燃比afsmax1から十分にリッチ側に偏移していると考えられる所定の空燃比となるように制御されるようになっている。
この際、順次変更されていく各点火時期CAigに対応する出力トルクTqをそれぞれ検出し、点火時期CAigをX軸、出力トルクTqをY軸としたX−Y座標上に、点火時期CAigと出力トルクTqの関係をプロットしていくことで、1つの上記点火時期−トルク特性を表す曲線を作成する(図5を参照)。この処理が、前記関係取得手段の一部に対応する。
そして、CPU71は上記作成された上に凸の曲線の頂点に対応する(即ち、上記最大出力トルクTqmaxに対応する)点火時期CAigを、この曲線が作成されたときに空燃比センサ65により検出される検出空燃比afs(i)に対応する最大トルク点火時期MBT(i)として取得する。この処理が、前記最大トルク点火時期取得手段の一部に対応する。このようにして検出された検出空燃比afs(i)、及びこの検出空燃比afs(i)に対応する最大トルク点火時期MBT(i)は、RAM73に記憶されるようになっている。
次に、CPU71はステップ815に進み、今回の本ルーチン実行の際に上記ステップ810にて取得された最大トルク点火時期MBT(i)が、1回前の本ルーチン実行の際に取得されRAM73に記憶されている最大トルク点火時期MBT(i-1)より遅角側か否かを判定する。
今回の最大トルク点火時期MBT(i)が1回前の最大トルク点火時期MBT(i-1)より遅角側である場合、CPU71はステップ815にて「Yes」と判定してステップ820に進んで、次回の検出空燃比afsが今回の検出空燃比afs(i)より所定の空燃比dafsだけリーン方向に偏移するように制御指示する。なお、本例では、ステップ805の条件成立後、初めてステップ815の処理が実行される場合においては、CPU71は「Yes」と判定しステップ820に進むようになっている。
ステップ820に進んだCPU71は、筒内吸入空気量が所定の量に維持され、且つ、燃料噴射量が上記所定の空燃比dafsに対応する量だけ減じられた量となるように制御する。これにより、混合気の空燃比(従って、排ガスの空燃比)が上記所定の空燃比dafsだけリーン方向に偏移し、次回のステップ810の処理における検出空燃比afs(i+1)が、今回設定されていた検出空燃比afs(i)から上記所定の空燃比dafsだけリーン方向に偏移した空燃比に設定されるようになっている。この処理が、前記空燃比変更手段の一部に対応する。
そして、CPU71はステップ895に進んで、本ルーチンを一旦終了する。以降、CPU71は、上記ステップ815をモニタしながらステップ805〜820の処理を繰り返し実行する。
これにより、図7の矢印Aに示すように、検出空燃比afs(i)が、初回のステップ810の実行時に設定されていて最もリッチ方向に偏移していた検出空燃比afs(1)から、上記所定の空燃比dafsづつリーン方向へ順次偏移していく。他方、順次偏移していく各検出空燃比afs(i)が固定された状態で得られる上記最大トルク点火時期MBT(i)は、それぞれ1回前のものより遅角側に推移していく変化傾向を示す。
これは、上記所定の空燃比dafsに対応する分だけ燃料噴射量が減じられていくことで、上記一定の量に維持される筒内吸入空気中の酸素と反応しない燃料の量(即ち、燃料の過剰量)がより小さくなっていくことに伴い、燃焼温度が高くなっていき、燃料の燃焼速度Sが増大していくことに基づく(図3、及び図5を参照)。即ち、図7の矢印Aに示す上記最大トルク点火時期MBT(i)の変化傾向は、排ガスの空燃比が上記第1空燃比afsmax1に近接する方向に偏移してくことを示している。
一方、検出空燃比afs(i)を順次偏移させ続けると、図7の矢印Bに示すように、上記最大トルク点火時期MBT(i)は、或る値を境に1回前のものより進角側に推移していく変化傾向を示すようになる。これは、上記所定の空燃比dafsに対応する分だけ燃料噴射量が減じられることで、燃料と反応しない空気がより過剰となっていくことに伴い、燃焼温度が低くなっていき、燃料の燃焼速度Sが減少していくことに基づく(図3、及び図5を参照)。即ち、図7の矢印Bに示す上記最大トルク点火時期MBT(i)の変化傾向は、排ガスの空燃比が上記第1空燃比afsmax1から乖離する方向に偏移してくことを示している。
従って、今回の上記最大トルク点火時期MBT(i)がその1回前の上記最大トルク点火時期MBT(i-1)より初めて進角側となった場合、1回前の上記最大トルク点火時期MBT(i-1)が最も遅角側に推移するものと特定することができる。即ち、この場合、1回前の上記最大トルク点火時期MBT(i-1)が得られた状態が、排ガスの空燃比が上記第1空燃比afsmax1に最も近接していた状態(即ち、燃料の燃焼速度Sが上記最大燃焼速度Smaxに最も近接していた状態)とすることができるから、同1回前の上記最大トルク点火時期MBT(i-1)に対応する検出空燃比afs(i-1)が、上記第2空燃比afsmax2となり得る。
この場合、上記ステップ805〜820を繰り返し実行していたCPU71は、ステップ815に進んだとき「No」と判定してステップ825に進んで、既知の上記第1空燃比afsmax1から、上記1回前の上記最大トルク点火時期MBT(i-1)が得られたときに記憶されていた、上記第2空燃比afsmax2としての検出空燃比afs(i-1)を減じることで、空燃比センサ65の出力値の補正値δafを求める。以降、次に補正値δafの算出の要求があるまで、本ルーチンのステップ処理は実行されない。
即ち、前記関係取得手段は、今回の前記最大トルク点火時期が1回前の前記最大トルク点火時期より初めて進角側になった場合、新たな前記2以上の関係を取得するのを終了するように構成されている。
これにより、上記最大トルク点火時期MBT(i)が初めてその1回前の上記最大トルク点火時期MBT(i-1)より進角側のものとなった場合、新たに次回以降の検出空燃比afsの変更・設定、点火時期−トルク特性を表す曲線の作成、及び上記最大トルク点火時期MBTの取得は実行されない。従って、CPU71による不必要な演算処理等が省略され得るから、効率良く、且つ、迅速に第2空燃比afsmax2としての検出空燃比afsを取得することができる。
以上、説明したように、本発明による内燃機関の空燃比センサの出力値補正装置によれば、燃料中のC,Hの組成等が既知である燃料が用いられ、検出空燃比afsが順次変更されていく。また、各検出空燃比afsが固定された状態で、上記点火時期−トルク特性を表す曲線がそれぞれ作成され、上記曲線から最大トルク点火時期MBTがそれぞれ取得されていく。
ここで、燃料の燃焼速度Sが大きいほど、上記最大トルク点火時期MBTが遅角側に推移する傾向がある(図5を参照)。即ち、検出空燃比afsが、2以上の最大トルク点火時期MBTのうち最も遅角側となったものに対応する点火時期−トルク特性を表す曲線が作成された空燃比に固定されている場合が、燃料の燃焼速度Sが最大燃焼速度Smaxに最も近接する場合となり得る。
このことを利用して、検出空燃比afsに応じて変化する最大トルク点火時期MBTが最も遅角側となった場合における検出空燃比afsが上記第2空燃比afsmax2として取得される。そして、燃料の燃焼速度Sが最大となる空燃比であって、既知の燃料中のC,Hの組成等から決定される空燃比である上記第1空燃比afsmax1と上述のように取得される第2空燃比afsmax2との相違の程度から、空燃比センサ65の出力値を補正するための補正値δafが算出される。
このように算出された補正値δafは、空燃比センサ65の出力値における誤差を精度良く表すものとなり得る。従って、上述のように空燃比センサ65の出力値に個体誤差がある場合であっても(図2を参照)、補正値δafが用いられることで空燃比センサ65の出力値を適切に補正することができる。
本発明は、上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記実施形態においては、内燃機関10が工場から出荷される前の状態にある場合に、補正値δafの算出が実行されるように構成されているが、これに代えて、内燃機関10が車両搭載されているときにおいて、バッテリ交換等によりそれまで記憶されていた上記補正値δafがリセットされる毎や、空燃比センサ65の出力値の経年変化の程度が所定の程度となる期間が経過する毎に、内燃機関10の定常運転条件が成立中に補正値δafの算出が実行されるように構成されてもよい。これにより、空燃比センサ65の出力値の経年変化による誤差を、適切に補償することができる。
また、上記実施形態においては、検出空燃比afsに応じて変化する上記最大トルク点火時期MBTが最も遅角側となった場合を、排ガスの空燃比が上記第1空燃比afsmax1に最も近接した場合として特定し、この場合の検出空燃比afsを第2空燃比afsmax2として取得しているが、これに代えて、検出空燃比afsに応じて上述のように平行移動する点火時期−トルク特性を表す曲線が、最も遅角方向に推移した場合の検出空燃比afsを第2空燃比afsmax2として取得するように構成されてもよい。
また、上記実施形態においては、出力トルクTqをトルクセンサ66を利用して検出していたが、これに代えて、出力トルクTqを、点火時期CAigを含む内燃機関10の運転状態を表すパラメータ等に基づいて推定するように構成されてもよい。
加えて、上記実施形態においては、検出空燃比afsを、上記第1空燃比afsmax1から十分にリッチ側に偏移していると考えられる所定の空燃比から、所定の空燃比dafsづつリーン方向へ順次偏移させた場合に得られる最大トルク点火時期MBTの変化傾向を監視していたが、これに代えて、上記第1空燃比afsmax1から十分にリーン側に偏移していると考えられる所定の空燃比から、所定の空燃比dafsづつリッチ方向へ順次偏移させるように構成されてもよい。
本発明の実施形態に係る空燃比センサの出力値補正装置を火花点火式多気筒内燃機関に適用したシステムの概略構成図である。 図1に示した空燃比センサの出力電圧と空燃比との関係を示したグラフである。 空燃比と燃料の燃焼速度との関係を示したグラフである。 内燃機関の圧縮・膨張行程にて点火が実行されるときの、燃焼室内のガス圧が最大となる場合に対応するクランク角度である最大圧力クランク角度と出力トルクとの関係を説明するための図である。 燃料の燃焼速度に応じた点火時期−トルク特性を表す曲線の変化傾向を説明するための図である。 内燃機関の圧縮・膨張行程にて点火が実行されるときの、燃料の燃焼速度が異なる場合における、出力トルクが最大となる場合に対応する点火時期である最大トルク点火時期の推移を説明するための図である。 検出空燃比の順次偏移に対応する最大トルク点火時期の変化傾向を説明するための図である。 図1に示したCPUが実行する、空燃比センサの出力値を補正するための補正値の算出の実行のためのプログラムを示したフローチャートである。
符号の説明
10…火花点火式多気筒内燃機関、65…空燃比センサ、66…トルクセンサ、70…電気制御装置、71…CPU

Claims (4)

  1. 内燃機関の排気通路に配設されて空燃比に応じた値を出力する空燃比センサを備えた内燃機関に適用され、
    前記空燃比が、同空燃比に応じて変化する燃料の燃焼速度が最大となる空燃比であって、既知の同燃料の性状から決定される空燃比である第1空燃比に一致している場合において、前記空燃比センサにより検出される検出空燃比を第2空燃比として取得する第2空燃比取得手段と、
    前記第1空燃比と、前記取得された第2空燃比との相違を利用して前記空燃比センサの出力値を補正するための補正値を決定する補正値決定手段と、
    前記決定された補正値を利用して前記空燃比センサの出力値を補正する空燃比センサ補正手段と、
    を備えた内燃機関の空燃比センサの出力値補正装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関の空燃比センサの出力値補正装置において、
    前記第2空燃比取得手段は、
    前記空燃比を変更する空燃比変更手段と、
    前記内燃機関の点火時期を変更する点火時期変更手段と、
    前記内燃機関のクランク軸の出力トルクを取得するトルク取得手段と、
    前記空燃比を固定した状態で前記点火時期変更手段を利用して前記点火時期を変更することで得られる同点火時期と前記トルク取得手段を利用して取得される前記出力トルクとの関係を、前記空燃比変更手段を利用して前記空燃比を2以上の異なる空燃比に順次変更させていくことでそれぞれ取得する関係取得手段と、
    を備え、
    前記取得された関係の2以上の前記空燃比に対する変化傾向に基づいて前記第2空燃比を取得するように構成された内燃機関の空燃比センサの出力値補正装置。
  3. 請求項2に記載の内燃機関の空燃比センサの出力値補正装置において、
    前記第2空燃比取得手段は、
    前記取得された各関係から得られる前記出力トルクの最大値に対応する前記点火時期である最大トルク点火時期をそれぞれ取得する最大トルク点火時期取得手段を備え、
    前記空燃比が、2以上の前記最大トルク点火時期のうち最も遅角側のものに対応する関係が得られた空燃比に固定されている場合において、前記第2空燃比を取得するように構成された内燃機関の空燃比センサの出力値補正装置。
  4. 請求項3に記載の内燃機関の空燃比センサの出力値補正装置において、
    前記関係取得手段は、
    前記空燃比を、前記第1空燃比よりもリッチ、又はリーンな所定の空燃比から所定の程度だけリーン、又はリッチ方向に順次偏移させていくことで、前記2以上の関係を取得するように構成され、
    前記最大トルク点火時期取得手段は、
    前記各関係が取得される毎に前記最大トルク点火時期を順次取得するように構成されていて、
    前記第2空燃比取得手段は、
    前記空燃比が前記各関係が得られる空燃比に固定される毎に前記検出空燃比を順次検出するとともに、今回の前記最大トルク点火時期が1回前の前記最大トルク点火時期より初めて進角側になった場合、同1回前の前記最大トルク点火時期に対応する前記検出空燃比を前記第2空燃比として取得するように構成された内燃機関の空燃比センサの出力値補正装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013142302A (ja) * 2012-01-10 2013-07-22 Toyota Motor Corp 内燃機関の空燃比検出装置および空燃比インバランス検出装置

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