JP2008260374A - 車両に搭載された電気機器の冷却装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】走行風による冷却に障害がある位置に搭載された電気機器を効率的に冷却するとともに、車両の燃費を低下させない。
【解決手段】冷却装置200は、平板状の導風板204と、この導風板204を車両の上下方向に貫通する回転軸220と、回転軸220を回転させて導風板204を回転させるモータ210と、燃料タンク300への取付け治具であるステー230とから構成される。モータ210は、ECU500により制御され、リヤモータジェネレータユニット180の内部に封入された冷却油の粘性を過度に上昇させない範囲(低温過ぎない範囲)であって、かつ、十分な能力をリヤモータジェネレータ180が発現する範囲(高温過ぎない範囲)で、導風板204の角度を制御して、走行風をリヤモータジェネレータユニット180に導く。
【選択図】図2
【解決手段】冷却装置200は、平板状の導風板204と、この導風板204を車両の上下方向に貫通する回転軸220と、回転軸220を回転させて導風板204を回転させるモータ210と、燃料タンク300への取付け治具であるステー230とから構成される。モータ210は、ECU500により制御され、リヤモータジェネレータユニット180の内部に封入された冷却油の粘性を過度に上昇させない範囲(低温過ぎない範囲)であって、かつ、十分な能力をリヤモータジェネレータ180が発現する範囲(高温過ぎない範囲)で、導風板204の角度を制御して、走行風をリヤモータジェネレータユニット180に導く。
【選択図】図2
Description
本発明は、車両に搭載された電気機器の冷却装置に関し、特に、車両に搭載されたモータ等の回転電機、インバータ等のパワーユニット、蓄電機構等のバッテリなどの電気機器の冷却装置に関する。
自動車等の車両に搭載されるモータや発電機は、回転子(ロータ)と、その周囲に配設されステータコイルが巻き付けられたステータコアとを有する。モータはステータコイルに通電して回転力を得て、発電機はロータの回転によりステータコイルに流れる電流を取り出す。そして、ロータ回転時にステータコイルに電流が流れると、ステータコアやステータコイルが発熱する。これらの発熱は、モータや発電機の内部を貫通する磁束に影響を与え、運転効率(回転効率、発電効率)を低下させる。運転効率を維持するため、モータや発電機を冷却する必要がある。
また、このようなモータに交流電力を供給するインバータを含むPCU(Power Control Unit)や、インバータに直流電力を供給する蓄電機構(バッテリやキャパシタ)なども、パワー素子が発熱したり、バッテリの充放電に伴う化学反応により発熱したりするので、冷却する必要がある。
特開2001−251815号公報(特許文献1)は、前後輪駆動車両用の直流電動機の冷却性、特にブラシ部の冷却性をよくすることにより耐熱性を向上させることを目的とする直流電動機を開示する。この公報に開示された直流電動機は、アーマチャとフィールド巻線とヨークとを備え、アーマチャに電流を供給するブラシおよびブラシを収納するリヤブラケットを備え、アーマチャの回転力がシャフトを介して出力される直流電動機であって、ブラシをブラシホルダーにより保持し、ブラシホルダーに接触してこれを保持し、リヤブラケットに離間対向配設され、ヨークとによって保持されるホルダープレートを設けた冷却構造を有する・
この直流電動機によると、ホルダープレートを利用してブラシ部であるブラシと整流子との接触によって発生した熱をフィンを介して外部に効率よく放散することができ、ブラシ部の冷却性をよくすることができる。また、後輪のドライブシャフトと直流電動機のシャフトを平行配置としているので走行風の方向をフィンの方向に対して直交せしめることができ、直流電動機の冷却性を向上した前後輪駆動車輌を提供することができる。
特開2001−251815号公報
この直流電動機によると、ホルダープレートを利用してブラシ部であるブラシと整流子との接触によって発生した熱をフィンを介して外部に効率よく放散することができ、ブラシ部の冷却性をよくすることができる。また、後輪のドライブシャフトと直流電動機のシャフトを平行配置としているので走行風の方向をフィンの方向に対して直交せしめることができ、直流電動機の冷却性を向上した前後輪駆動車輌を提供することができる。
このような車両に搭載される電気機器(モータや発電機、PCUやバッテリ)の中で、モータや発電機は、ハウジングで覆われた形で車両に搭載される。このため、モータや発電機の冷却には、このハウジング内に冷却媒体の通路を設け、通路内を通過する冷媒による冷却、すなわち液冷が適用されることが多い。このとき、電動機のコイルについての絶縁性は確保しておく必要があるため、冷却は、ハウジング内でコイルと非接触の部位に設けられた冷媒路に冷却水を流す方法や、発熱部位近傍に絶縁性のある機械油等を流したり飛沫させたりする方法により行なわれる。
機械油等の絶縁性の冷媒を用いる方法は、絶縁性を保持しつつハウジング内に冷媒路を設ける必要がないため、ハウジングを小型化することが可能であり、発熱部位の近傍に冷媒を供給できるため、冷却能力も大きい点で優れている。なお、このような油冷の電動機において、熱交換により暖められた機械油は、ハウジングの外側に向けて設けられたフィンを介して空気により冷却される。
このような機械油は、電動機の回転摺動部に付着する。機械油は、一般的に温度が低くなるほど粘度が上昇して、粘度が上昇すると回転摺動部に付着した機械油は回転抵抗となり、究極的には車両の燃費を悪化させる。油冷の電動機においてはこのような問題点を有する。
さらに、最近では、前輪に加えて(または代えて)後輪を電動機で駆動する車両がある。このような車両は車両の後部にリヤモータユニットが搭載される。このリヤモータユニットよりも車両前方に燃料タンク等が配置されていると、走行により車両が受ける風による冷却が阻害されてしまうという問題点を有する。
しかしながら、上述した公報は、このような問題点を開示していない。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、走行風による冷却に障害がある位置に搭載された電気機器を効率的に冷却するとともに、車両の燃費を低下させないことが可能な、車両に搭載された電気機器の冷却装置を提供することである。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、走行風による冷却に障害がある位置に搭載された電気機器を効率的に冷却するとともに、車両の燃費を低下させないことが可能な、車両に搭載された電気機器の冷却装置を提供することである。
第1の発明に係る冷却装置は、車両に搭載された電気機器を冷却する。この電気機器は車両の走行風により冷却される。この冷却装置は、電気機器よりも車両前方側に設けられた車両装備物により遮られる走行風を、電気機器の方向へ導くための導風手段と、走行風が電気機器の方向へ導かれる度合いを変化させるために、導風手段を制御するための制御手段とを含む。
第1の発明によると、たとえば、ハイブリッド車両のリヤモータ(電気機器の一例)は燃料タンク(車両装備物の一例)の後方に配置され、車両走行中に受ける走行風が遮られる場合がある。このような場合であっても、導風手段により、車両装備物により遮られる走行風は、電気機器の方向へ導かれて、電気機器が冷却される。これにより、電気機器が高温になり過ぎることを回避して所望の出力を発現させることができる。このような場合において、電気機器であるモータが油冷式である場合には冷却し過ぎると冷却油の粘性が高くなり過ぎて回転抵抗になる場合がある。回転抵抗は究極的には車両の燃費を悪化させる。このような事態を回避すべく、制御手段は、電気機器の方向へ導かれる走行風の度合いを減少するように変化させる。その結果、走行風による冷却に障害がある位置に搭載された電気機器を効率的に冷却するとともに、車両の燃費を低下させないことが可能な、車両に搭載された電気機器の冷却装置を提供することができる。
第2の発明に係る冷却装置は、第1の発明の構成に加えて、電気機器の温度を検出するための検出手段をさらに含む。制御手段は、検出された温度に基づいて、導風手段を制御するための手段を含む。
第2の発明によると、電気機器の温度(たとえばステータコイル温度や冷却油温度)に基づいて、冷却が必要な状態(高温になり過ぎて所望の出力を発現できない状態)においては、電気機器の方向へ導かれる走行風の度合いが増加するように変化させる。冷却が不要な状態(低温になり過ぎて冷却油の粘性が上昇して回転抵抗の増加により燃費が悪化する状態)においては、電気機器の方向へ導かれる走行風の度合いが減少するように変化させる。
第3の発明に係る冷却装置においては、第2の発明の構成に加えて、制御手段は、検出された温度が高いほど、電気機器の方向へ走行風が導かれる度合いが高くなるように、導風手段を制御するための手段を含む。
第3の発明によると、高温になり過ぎて所望の出力を発現できない状態では、電気機器の方向へ導かれる走行風の度合いが高くなるように変化させて、十分に電気機器を冷却して、所望の出力を確保できる。
第4の発明に係る冷却装置においては、第2の発明の構成に加えて、電気機器は、冷却油により冷却される回転電機であって、制御手段は、検出された温度が低く、冷却油の粘度が高く回転抵抗が大きい場合には、電気機器の方向へ走行風が導かれる度合いが低くなるように、導風手段を制御するための手段を含む。
第4の発明によると、低温になり過ぎて冷却油の粘性が上昇して回転抵抗の増加により燃費が悪化する状態では、電気機器の方向へ導かれる走行風の度合いが低くなるように変化させて、電気機器内部の冷却油の温度が低くなり過ぎないようにして冷却油の粘性が高くなることを回避できる。
第5の発明に係る冷却装置においては、第1の発明の構成に加えて、車両はハイブリッド車両であって、電気機器は、燃料タンクの後方に設けられたリヤモータユニットであって、車両装備物は、燃料タンクであって、リヤモータユニットはハウジングに封入された冷却油により冷却される。制御手段は、冷却油の温度が高い場合には、電気機器の方向へ走行風が導かれる度合いが高くなるように、検出された温度が低く冷却油の粘度が高くリヤモータの回転抵抗が大きい場合には、電気機器の方向へ走行風が導かれる度合いが低くなるように、導風手段を制御するための手段を含む。
第5の発明によると、リヤモータユニットを備えたハイブリッド車両においては、エンジンに供給する燃料を貯蔵する燃料タンクが、リヤモータユニットへの走行風を遮るように配置されることがある。このような場合において、リヤモータユニットの温度(たとえばリヤモータのステータコイル温度やリヤモータの冷却油温度)に基づいて、リヤモータの冷却が必要な状態(リヤモータが高温になり過ぎて所望の出力を発現できない状態)においては、リヤモータの方向へ導かれる走行風の度合いが増加するように回転板状の導風手段の角度を変化させる。冷却が不要な状態(リヤモータの冷却油が低温になり過ぎて冷却油の粘性が上昇して回転抵抗の増加により燃費が悪化する状態)においては、リヤモータの方向へ導かれる走行風の度合いが減少するように変化させる。これにより、走行風による冷却に障害がある位置に搭載されたリヤモータを効率的に冷却するとともに、車両の燃費を低下させないことが可能になる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
<第1の実施の形態>
以下、図面を参照しつつ、本発明の第1の実施の形態に係る冷却装置について説明する。以下においては、油冷の電気機器の一例としてリヤモータユニットを備えたハイブリッド車両について説明するが、一般的な内燃機関を有しない電気自動車(EV)に本発明が好適に適用されることを積極的に排除するものではない。また、他の電気機器の例として、蓄電機構(バッテリやキャパシタ)、フロントモータユニット、インバータ、DC/DCコンバータ、PCU等がある。さらに、このリヤモータユニットは、走行風が燃料タンクにより遮られる位置に搭載されているとして説明するが、走行風を遮る物は燃料タンクに限定されない。
以下、図面を参照しつつ、本発明の第1の実施の形態に係る冷却装置について説明する。以下においては、油冷の電気機器の一例としてリヤモータユニットを備えたハイブリッド車両について説明するが、一般的な内燃機関を有しない電気自動車(EV)に本発明が好適に適用されることを積極的に排除するものではない。また、他の電気機器の例として、蓄電機構(バッテリやキャパシタ)、フロントモータユニット、インバータ、DC/DCコンバータ、PCU等がある。さらに、このリヤモータユニットは、走行風が燃料タンクにより遮られる位置に搭載されているとして説明するが、走行風を遮る物は燃料タンクに限定されない。
図1にハイブリッド車両の全体側面図を示す。このハイブリッド車両の動力源は、たとえばガソリンエンジン等の内燃機関(以下、エンジンとして説明する)が、車両を走行させる駆動源であって、かつ、ジェネレータの駆動源であればよい。さらに、駆動源がエンジンおよびモータジェネレータであって、モータジェネレータの動力により走行可能な車両であればよく(エンジンを停止させても停止させなくても)、走行用のバッテリを搭載した他の態様を有するハイブリッド車両であってもよい(いわゆるシリーズ型やパラレル型等のハイブリッド車両に限定されない)。
図1に示すように、このハイブリッド車両100は、エンジンの他に、走行用バッテリ110と、DC/DCコンバータやインバータユニットを含むPCU120と、前輪140を駆動するフロントモータジェネレータユニット150と、後輪170を駆動するリヤモータジェネレータユニット180とを含む。
走行用バッテリ110とPCU120とは、たとえば定格電圧288Vのパワーケーブル130で、PCU120とフロントモータジェネレータユニット150とは、たとえば定格電圧650Vのパワーケーブル160で、PCU120とリヤモータジェネレータユニット180とは、たとえば定格電圧650Vのパワーケーブル190で接続されている。本実施の形態における冷却対象は、リヤモータジェネレータユニット180である。
なお、走行用バッテリ110は、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池などであって、その種類は特に限定されるものではない。また、バッテリの代わりにキャパシタでも構わない。
なお、モータジェネレータと記載しているのは、このハイブリッド車両100の走行状態に応じて、モータジェネレータがジェネレータ(発電機)として機能したり、モータジェネレータがモータ(電動機)として機能したりためである。制動時にこのモータジェネレータがジェネレータとして機能すると回生制動が行なわれる。このように、モータジェネレータがジェネレータとして機能するときには、車両の運動エネルギーが電気エネルギーに変換されて、車両が減速される。
このハイブリッド車両100は、これらの他に、エンジンやフロントモータジェネレータユニット150で発生した動力を前輪140に伝達したり、前輪140の駆動をエンジンやフロントモータジェネレータユニット150に伝達したりする減速機や、エンジンの発生する動力を前輪140とフロントモータジェネレータユニット150との2経路に分配する動力分割機構(たとえば、後述する遊星歯車機構)が搭載される。リヤも、フロントと同様に、後輪170とリヤモータジェネレータユニット180とが、リヤモータジェネレータユニット180が電動機として後輪170を駆動したり、後輪170がリヤモータジェネレータユニット180を発電機として駆動させて回生制動したりできるように、接続されている。このハイブリッド車両100においては、エンジン、フロントモータジェネレータユニット150およびリヤモータジェネレータユニット180を相互に管理制御して、ハイブリッド車両100が最も効率よく運行できるように制御される。
図2に、本実施の形態に係る冷却装置200を含む、ハイブリッド車両100の上面図を示す。図2に示すように、このハイブリッド車両100においては、リヤモータジェネレータユニット180の手前(車両前方側)に、エンジンに供給される燃料を貯蔵する燃料タンク300が設けられており、前方からリヤモータジェネレータユニット180への走行風を遮ってしまう。すなわち、このハイブリッド車両100の後方から見た図3や図4に示すように、燃料タンク300の後方断面は、リヤモータジェネレータユニット180の前面断面よりも大きい。すなわち、リヤモータジェネレータユニット180は、燃料タンク300により、車両前方からの走行風を遮断されてしまっているが、その一部が遮断されていても構わない。
このため、燃料タンク300の端部に、主要構成部品として角度が変化可能な導風板を備えた冷却装置200が設けられる。
図2−図4を参照して、この冷却装置200は、平板状の導風板202(204)と、この導風板202(204)をこのハイブリッド車両100の上下方向に貫通する回転軸220と、回転軸220を回転させて導風板202(204)を回転させるモータ210と、導風板202(204)、回転軸220およびモータ210を支持するとともに燃料タンク300への取付け治具となるステー230とから構成される。
モータ210は、ECU(Electronic Control Unit)500により制御される。ECU500には、リヤモータジェネレータユニット180の内部に封入された機械油の温度(以下、冷却油温と記載する)を検出するサーミスタからの信号が入力される。ECU500は、冷却油温や冷却油温の時間変化や他のECUから受信した信号に基づいて、機械油の粘性を過度に上昇させない範囲であって、かつ、十分な能力をリヤモータジェネレータ180が発現する範囲で、導風板202(204)の角度を制御して、走行風をリヤモータジェネレータユニット180に導く。
図2および図3に示す導風板204の状態が、冷却状態であって、図2および図4に示す導風板202の状態が、非冷却状態である。
冷却状態(図3)においては、導風板204が走行風をリヤモータジェネレータユニット180の方向に導くように回転軸220がモータ210により回転されている。ECU500は、リヤモータジェネレータユニット180の冷却油温の状態に基づいて、導風板204の角度を決定する。たとえば、冷却油温および/または冷却油温の温度変化に対応する導風板204の回転角度がマップとしてメモリに記憶されている。
非冷却状態(図4)においては、導風板202が走行風に並行になるように回転軸220がモータ210により回転されている。ECU500は、リヤモータジェネレータユニット180の冷却油温の状態に基づいて、冷却の必要がないとき、特に、冷却することによりリヤモータジェネレータユニット180のモータジェネレータハウジング内の機械油の粘度が過度に上昇して回転抵抗になるときには、このような非冷却状態になるように、ECU500がモータ210を制御する。
図5を参照して、図2のECU500で実行されるプログラムの制御構造について説明する。なお、このプログラムは、サブルーチンであって、予め定められたサイクルタイムで繰り返し実行される。
ステップ(以下、ステップをSと略す。)100にて、ECU500は、リヤモータジェネレータユニット180の冷却油温THを検出する。このとき、リヤモータジェネレータのハウジング内に設けられた(たとえば、最も高温になる位置に設けられた)サーミスタからECU500に入力された信号に基づいて、冷却油温THが検出される。
S110にて、ECU500は、冷却油温THの時間変化(率)である冷却油温変化ΔTHを算出する。このとき、ECU500は、このサブルーチンプログラムを前回実行したときに検出した冷却温度THとの差を冷却油温変化ΔTHとして算出する。さらに、このサブルーチンプログラムのサイクルタイムを考慮して、単位時間(たとえば100msecや1sec)あたりの油温変化を冷却油温変化ΔTHとして算出するようにしても構わない。
S120にて、ECU500は、冷却油温THが冷却不要しきい値(1)よりも低くてかつ冷却油温変化ΔTHが冷却不要しきい値(2)よりも小さいか否かを判断する。冷却油温TH<冷却不要しきい値(1)かつ冷却油温変化ΔTH<冷却不要しきい値(2)であると判断されると(S120にてYES)、処理はS160へ移される。もしそうでないと(S120にてNO)、処理はS130へ移される。なお、これらの冷却不要しきい値(1)および冷却不要しきい値(2)は、積極的に走行風でリヤモータジェネレータユニット180を冷却することにより、リヤモータジェネレータユニット180のモータジェネレータハウジング内の機械油の温度が低下して粘度が過度に上昇して回転抵抗になるときに対応した温度または温度変化である。
S130にて、ECU500は、冷却油温THが冷却必要しきい値(1)以上でかつ冷却油温変化ΔTHが冷却必要しきい値(2)以上であるか否かを判断する。冷却油温TH≧冷却必要しきい値(1)かつ冷却油温変化ΔTH≧冷却必要しきい値(2)であると判断されると(S130にてYES)、処理はS140へ移される。もしそうでないと(S130にてNO)、処理はS160へ移される。なお、これらの冷却必要しきい値(1)および冷却必要しきい値(2)は、積極的に走行風でリヤモータジェネレータユニット180を冷却しなければ、リヤモータジェネレータユニット180の機能を発現し得ないほどに対応した温度または温度変化である。
なお、冷却油温THに対するしきい値については、冷却不要しきい値(1)<冷却必要しきい値(1)であって、冷却油温変化ΔTHに対するしきい値については、冷却不要しきい値(2)<冷却必要しきい値(2)である。
S140にて、ECU500は、冷却油温THおよび/または冷却油温変化ΔTHに対応付けられた導風板角度A(回転角度)を算出する。このとき、ECU500は、たとえば、メモリに記憶しているマップに基づいて、導風板角度A(回転角度)を算出する。
S150にて、ECU500は、導風板角度Aまで導風板204を回転させる指示をモータ210に出力する。モータは、たとえば、絶対回転角を検出できるステッピングモータであって、ECU500からモータドライバを介した信号によりモータが回転軸220を回転させることにより、導風板204が導風板角度Aまで回転される。その後、この処理は終了する。
S160にて、ECU500は、非冷却位置(図4の状態)まで導風板202を回転させる指示をモータ210に出力する。
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係る冷却装置の動作について説明する。
このハイブリッド車両が走行すると、モータジェネレータユニット180のモータジェネレータのハウジング内の機械油の温度(冷却油温TH)が検出され(S100)、冷却油温変化ΔTHが算出される(S110)。
このハイブリッド車両が走行し始めたときには、リヤモータジェネレータユニット180の冷却油温THは低く、かつ、冷却油温変化ΔTHも大きくない(S120にてNO)。このため、図4に示す非冷却状態になるように(導風板202の位置)モータ210が制御される(S160)。
これにより、積極的に走行風でリヤモータジェネレータユニット180を冷却することがなくなる。このため、リヤモータジェネレータユニット180のモータジェネレータハウジング内の機械油の温度がさらに低下して粘度が過度に上昇してモータジェネレータの回転抵抗になることを回避することができる。
さらに、このハイブリッド車両100が走行を継続すると、次第にリヤモータジェネレータユニット180の冷却油温THが高くなったり、冷却油温変化ΔTHが大きくなる(S120にてYES)。積極的に走行風でリヤモータジェネレータユニット180を冷却しなければ、リヤモータジェネレータユニット180の機能を発現し得ないほどまでに、冷却油温THが高くなったり、冷却油温変化ΔTHが大きくなったりするまでは(S130にてNO)、図4に示す非冷却状態になるように(導風板202の位置)モータ210が制御され(S160)、冷却油温が低くなり粘度が過度に上昇してモータジェネレータの回転抵抗になることを回避することができる。
さらに、このハイブリッド車両100が走行を継続すると、さらにリヤモータジェネレータユニット180を積極的に走行風で冷却しなければ、リヤモータジェネレータユニット180の機能を発現し得ないほどまでに、冷却油温THが高くなったり、冷却油温変化ΔTHが大きくなる(S120にてYESかつS130にてYES)。このようになると、冷却油温THおよび/または冷却油温変化ΔTHに対応した導風板角度Aが算出される(S140)。この算出された導風板角度Aになるように、すなわち、図3に示す冷却状態になるように(導風板202以外の位置であってたとえば導風板204の位置)モータ210が制御され(S150)、リヤモータジェネレータユニット180の方向に走行風が流れる。このリヤモータジェネレータのハウジングの外側に向けて設けられたフィンに走行風は当たって、機械油との間で熱交換が行なわれて、リヤモータジェネレータが冷却される。これにより、走行風でリヤモータジェネレータユニット180が積極的に冷却されて、リヤモータジェネレータユニット180の機能を十分に発現し得ることになる。
以上のようにして、本実施の形態に係る冷却装置によると、燃料タンク等の遮蔽物により走行風が遮られる位置にリヤモータジェネレータユニットが搭載されていたとしても、良好に走行風でリヤモータジェネレータユニットを冷却することができ、所望のモータジェネレータの能力を発現できる。さらに、このリヤモータジェネレータは油冷方式であるので、あまりにも低温になると粘度が上昇し過ぎて回転抵抗になりかねない、そのため、冷却油温やその変化に基づいて冷却が必要な場合のみ走行風で冷却するので、回転抵抗になることを回避できて、車両の燃費を悪化させることを回避できる。
なお、図2に示す導風板204の位置は一例であって、この角度が回転角度Aを示すものではなく、導風板は回転軸220を中心として任意の位置で停止させることが可能である。
<第2の実施の形態>
以下、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、前述の実施の形態と同様の冷却装置を有するが、回転軸の方向が異なる点と、燃料タンクの後方断面がリヤモータジェネレータユニットの前面断面の全てを塞いでしまってしまっていない点が異なる。図1に示したハイブリッド車両の全体側面図は同じであって、図5に示したフローチャートも基本的には同じである。以下、第1の実施の形態に係る冷却装置200と異なる点を中心に、第2の実施の形態に係る冷却装置1200について説明する。
以下、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、前述の実施の形態と同様の冷却装置を有するが、回転軸の方向が異なる点と、燃料タンクの後方断面がリヤモータジェネレータユニットの前面断面の全てを塞いでしまってしまっていない点が異なる。図1に示したハイブリッド車両の全体側面図は同じであって、図5に示したフローチャートも基本的には同じである。以下、第1の実施の形態に係る冷却装置200と異なる点を中心に、第2の実施の形態に係る冷却装置1200について説明する。
図6(図2に対応する)に、本実施の形態に係る冷却装置1200を含む、ハイブリッド車両100の上面図を示す。図6に示すように、このハイブリッド車両100においては、フロアパネル400の下面であってリヤモータジェネレータユニット180の手前(車両前方側)に、エンジンに供給される燃料を貯蔵する燃料タンク1300が設けられており、前方からリヤモータジェネレータユニット180への走行風を遮ってしまう。しかしながら、上述した第1の実施の形態における燃料タンク300と異なり、このハイブリッド車両100を後方から見た図7−図9に示すように、燃料タンク1300の後方断面は、リヤモータジェネレータユニット180の前面断面の少なくとも全てを覆うものではない。図7−図9においては、燃料タンク1300の後方断面は、リヤモータジェネレータユニット180の前面断面との重なりがないように記載しているが、一部が重なっていても構わない。
このような配置であっても(すなわち、燃料タンク1300の後方断面によりリヤモータジェネレータユニット180への走行風の流れが遮られるわけではなく、常に冷却されてしまうと過冷却になることも考慮して)、燃料タンク300の端部に、主要構成部品として角度が変化可能な導風板を備えた冷却装置1200が設けられる。なお、燃料タンク1300が略直方体ではなく、車両の前方断面が後方断面よりも広がっている場合には、燃料タンク1300の前方断面によりリヤモータジェネレータユニット180への走行風の流れが遮られることになる。
図6−図9を参照して、この冷却装置1200は、平板状の導風板1202(1204、1206)と、この導風板1202(1204、1206)をこのハイブリッド車両100の幅方向に貫通する回転軸1220と、回転軸1220を回転させて導風板1202(1204、1206)を回転させるモータ1210と、導風板1202(1204、1206)、回転軸1220およびモータ1210を支持するとともに燃料タンク1300への取付け治具となるステー1230とから構成される。
第1の実施の形態と同じように、モータ1210は、ECU500により制御される。ECU500には、リヤモータジェネレータユニット180の内部に封入された機械油の温度を検出するサーミスタからの信号が入力される。ECU500は、冷却油温や冷却油温の時間変化や他のECUから受信した信号に基づいて、機械油の粘性を過度に上昇させない範囲であって、かつ、十分な能力をリヤモータジェネレータ180が発現する範囲で、導風板1202(1204、1206)の角度を制御して、リヤモータジェネレータユニット180に当たる走行風量を調整する。
図6および図7に示す導風板1202の状態が、冷却状態であって、図6および図8に示す導風板1204の状態が、中間冷却状態であって、図6および図9に示す導風板1206の状態が、非冷却状態である。
冷却状態(図7)においては、導風板1202が水平になって、リヤモータジェネレータユニット180への走行風量が最大になるように回転軸1220がモータ1210により回転されている。ECU500は、リヤモータジェネレータユニット180の冷却油温の状態に基づいて、導風板1202を水平にする。たとえば、ECU500は、冷却油温および/または冷却油温の温度変化に対応して最大冷却が必要であると判断すると、導風板1202の状態になるようにモータ1210を制御する。なお、この状態は、リヤモータジェネレータユニット180を積極的に走行風で冷却しなければ、リヤモータジェネレータユニット180の機能を発現し得ないほどまでに、冷却油温THが高くなったり、冷却油温変化ΔTHが大きくなっている状態に対応する。
中間冷却状態(図8)においては、導風板1204が斜めになってリヤモータジェネレータユニット180への走行風量が調整できるように回転軸1220がモータ1210により回転されている。ECU500は、リヤモータジェネレータユニット180の冷却油温の状態に基づいて、導風板1204の角度を決定する。たとえば、冷却油温および/または冷却油温の温度変化に対応する導風板1204の回転角度をマップとしてメモリに記憶している。なお、この状態は、リヤモータジェネレータユニット180を積極的に走行風で冷却しなければ、リヤモータジェネレータユニット180の機能を発現し得ないほどまでに、冷却油温THが高くなったり、冷却油温変化ΔTHが大きくなっている状態と、冷却することによりリヤモータジェネレータユニット180のモータジェネレータハウジング内の機械油の粘度が過度に上昇して回転抵抗になっている状態との間の状態に対応する。
非冷却状態(図9)においては、導風板1206が垂直になって、リヤモータジェネレータユニット180への走行風量が最小になるように回転軸1220がモータ1210により回転されている。ECU500は、リヤモータジェネレータユニット180の冷却油温の状態に基づいて、冷却の必要がないとき、特に、過冷却することによりリヤモータジェネレータユニット180のモータジェネレータハウジング内の機械油の粘度が過度に上昇して回転抵抗になるときには、このような非冷却状態になるように、ECU500がモータ1210を制御する。
このような構造を有する本実施の形態に係る冷却装置1200も、図5のフローチャートで示されるプログラムがECU500で実行されることにより、良好に走行風でリヤモータジェネレータユニットを冷却することができ、所望のモータジェネレータの能力を発現できるとともに、この油冷式のリヤモータジェネレータにおいて低温になり過ぎること(過冷却)により冷却油の粘度が上昇し過ぎて回転抵抗になることを回避して、車両の燃費を悪化させることを回避できる。
なお、図8に示す導風板1204の位置は一例であって、導風板は回転軸1220を中心として任意の位置で停止させることが可能である。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
100 ハイブリッド車両、110 走行用バッテリ、120 PCU、130、160、190 パワーケーブル、140 前輪、150 フロントモータジェネレータユニット、170 後輪、180 リヤモータジェネレータユニット、200、1200 冷却装置。
Claims (5)
- 車両に搭載された電気機器を冷却する装置であって、前記電気機器は前記車両の走行風により冷却され、
前記冷却装置は、
前記電気機器よりも車両前方側に設けられた車両装備物により遮られる走行風を、前記電気機器の方向へ導くための導風手段と、
前記走行風が前記電気機器の方向へ導かれる度合いを変化させるために、前記導風手段を制御するための制御手段とを含む、冷却装置。 - 前記冷却装置は、前記電気機器の温度を検出するための検出手段をさらに含み、
前記制御手段は、前記検出された温度に基づいて、前記導風手段を制御するための手段を含む、請求項1に記載の冷却装置。 - 前記制御手段は、前記検出された温度が高いほど、前記電気機器の方向へ走行風が導かれる度合いが高くなるように、前記導風手段を制御するための手段を含む、請求項2に記載の冷却装置。
- 前記電気機器は、冷却油により冷却される回転電機であって、
前記制御手段は、前記検出された温度が低く、冷却油の粘度が高く回転抵抗が大きい場合には、前記電気機器の方向へ走行風が導かれる度合いが低くなるように、前記導風手段を制御するための手段を含む、請求項2に記載の冷却装置。 - 前記車両はハイブリッド車両であって、
前記電気機器は、燃料タンクの後方に設けられたリヤモータユニットであって、
前記車両装備物は、前記燃料タンクであって、
前記リヤモータユニットはハウジングに封入された冷却油により冷却され、
前記制御手段は、前記冷却油の温度が高い場合には、前記電気機器の方向へ走行風が導かれる度合いが高くなるように、前記検出された温度が低く前記冷却油の粘度が高く前記リヤモータの回転抵抗が大きい場合には、前記電気機器の方向へ走行風が導かれる度合いが低くなるように、前記導風手段を制御するための手段を含む、請求項1に記載の冷却装置。
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