JP2008257988A - 非水系電解液 - Google Patents

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明天 高
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英郎 坂田
Hitomi Nakazawa
瞳 中澤
Michiru Tanaka
みちる 田中
Akiyoshi Yamauchi
昭佳 山内
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Abstract

【課題】負極表面に強固な被膜を形成できるため被膜がはがれにくく、溶解しにくいため高温でも電解液と負極の反応を抑制でき、さらに、良好な電池特性(充放電サイクル特性、高放電容量)やイオン伝導度、安全性、イオン伝導度などを有するリチウム二次電池用に適した非水系電解液を提供する。
【解決手段】式(A):R1CFXCOOR2(式中、R1は水素原子、フッ素原子または炭素数1〜3の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよいアルキル基;Xは水素原子またはフッ素原子;ただし、R1がフッ素原子またはパーフルオロアルキル基の場合はXは水素原子;R2は炭素数1〜4のアルキル基である)で示される含フッ素エステル溶媒(A)、および前記含フッ素エステル溶媒(A)以外の含フッ素溶媒(B)を含む電解質塩溶解用溶媒(I)、ならびに電解質塩(II)を含む非水系電解液。
【選択図】なし

Description

本発明は、リチウム二次電池用に適した非水系電解液に関する。
負極と電解液の反応を抑制することにより安全性を向上させる働きを有する負極表面被覆材として、たとえば、式(A):
1CFXCOOR2 (A)
(式中、R1は水素原子、フッ素原子または炭素数1〜3の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよいアルキル基;Xは水素原子またはフッ素原子;ただし、R1がフッ素原子またはパーフルオロアルキル基の場合はXは水素原子;R2は炭素数1〜2のアルキル基である)
で示される含フッ素エステル溶媒(A)が知られている(たとえば、特許文献1参照)。この含フッ素エステル溶媒(A)は、耐酸化性も高く、粘性も低いだけでなく、含フッ素溶媒でありながらも塩の溶解性がよいという特色がある。
しかし、より一層の安全性の向上が望まれている。
特開平11−86901号公報
本発明は、より一層安全性が向上した非水系電解液を提供することを目的とする。
本発明は、式(A):
1CFXCOOR2 (A)
(式中、R1は水素原子、フッ素原子または炭素数1〜3の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよいアルキル基;Xは水素原子またはフッ素原子;ただし、R1がフッ素原子またはパーフルオロアルキル基の場合はXは水素原子;R2は炭素数1〜4のアルキル基である)
で表される含フッ素エステル溶媒(A)、および
前記含フッ素エステル溶媒(A)以外の含フッ素溶媒(B)
を含む電解質塩溶解用溶媒(I)、ならびに
電解質塩(II)
を含む非水系電解液に関する。
前記含フッ素溶媒(B)は、含フッ素エーテル(B1)、含フッ素エステル(B2)および含フッ素カーボネート(B3)よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
前記含フッ素エステル溶媒(A)は、CHF2COOCH3、CF3CHFCOOCH3、CHF2COOC25、CF3CHFCOOC25、CH3CF2COOCH3およびCH3CF2COOC25よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
前記電解質塩溶解用溶媒(I)は、さらに、非フッ素系溶媒(C)を含むことが好ましい。
前記含フッ素溶媒(B)は、含フッ素鎖状エーテル(B1a)、含フッ素環状エステル(B2b)、含フッ素鎖状カーボネート(B3a)および含フッ素環状カーボネート(B3b)よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
また含フッ素エステル溶媒(A)と含フッ素溶媒(B)との合計量が電解質塩溶解用溶媒(I)の60体積%以上であることが好ましい。
前記電解質塩(II)は、LiPF6、LiN(SO2CF32およびLiN(SO2252よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
前記非水系電解液は、リチウム二次電池用であることが好ましい。
また、本発明は、正極、負極、セパレータおよび前記非水系電解液を備え、該正極に使用する正極活物質が、コバルト系複合酸化物、ニッケル系複合酸化物、マンガン系複合酸化物、鉄系複合酸化物およびバナジウム系複合酸化物よりなる群から選ばれる少なくとも1種であるリチウム二次電池に関する。
さらにまた、本発明は、正極、負極、セパレータおよび請求項1〜8のいずれかに記載の非水系電解液を備え、該負極に使用する負極活物質として、スズ原子またはケイ素原子を含む材料を用いるリチウム二次電池にも関する。
本発明の非水電解液によれば、負極表面に強固な被膜を形成できるため被膜がはがれにくく、R1CFXCOOR2が形成する表面被膜に含まれるR1CFXCOOLiが特許文献1、特にその実施例1、2等に記載の従来技術に比して溶解しにくいため高温でも電解液と負極の反応を抑制でき、その結果、安全性をさらに向上させることが可能になる。
さらに、本発明の非水電解液を用いることにより、良好な電池特性(充放電サイクル特性、高放電容量)やイオン伝導度、安全性などを有するリチウム二次電池を提供することも可能になる。
本発明の非水系電解液は、特定の成分を含む電解質塩溶解用溶媒(I)と電解質塩(II)とを含有する。
電解質塩溶解用溶媒(I)は、特定の含フッ素エステル溶媒(A)および前記含フッ素エステル溶媒(A)以外の含フッ素溶媒(B)を含む。
以下、各溶媒成分(A)および(B)について説明する。
(A)含フッ素エステル溶媒:
含フッ素エステル溶媒(A)を含有させることにより、負極表面に被膜を形成することで電解液と負極の反応を抑制できるため安全性を向上させ、さらに、粘性を低く、塩の溶解性および耐酸化性が高くすることができる。
含フッ素エステル溶媒(A)は、式(A):
1CFXCOOR2 (A)
(式中、R1は水素原子、フッ素原子または炭素数1〜3の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよいアルキル基;Xは水素原子またはフッ素原子;ただし、R1がフッ素原子またはパーフルオロアルキル基の場合はXは水素原子;R2は炭素数1〜4のアルキル基である)
で示されるものである。
式(A)において、R1は、水素原子、フッ素原子または水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜3のアルキル基であり、CHF2−、CH3CF2−またはCF3CFH−が、熱安定性が高い表面皮膜を負極に形成しやすい点から好ましい。
2は、炭素数1〜4のアルキル基である。
また、Xは水素原子またはフッ素原子であるが、R1がフッ素原子またはパーフルオロアルキル基の場合、Xは水素原子である。
好ましい含フッ素エステル溶媒(A)の具体例としては、たとえば、CHF2COOCH3、CF3CHFCOOCH3、CHF2COOC25、CF3CHFCOOC25、CH3CF2COOCH3、CH3CF2COOC25、C25CF2COOC25、C37CF2COOCH3、C37CF2COOC25などがあげられ、なかでも、CHF2COOCH3、CF3CHFCOOCH3、CHF2COOC25、CF3CHFCOOC25、CH3CF2COOCH3およびCH3CF2COOC25よりなる群から選ばれる少なくとも1種が、特にCHF2COOCH3、CF3CHFCOOCH3、CHF2COOC25、CF3CHFCOOC25であることが、負極上に最も熱安定性の高い皮膜を形成できるだけでなく、粘性が低く、塩を溶解させやすい点から好ましい。
なお、R1がフッ素原子またはパーフルオロアルキル基で、Xがフッ素原子の場合、具体的には、CF3COOCH3、C25COOC25などのように、カルボニル基のα位の炭素の電子密度が小さくなりすぎると、還元電位が高くなり好ましくない。
含フッ素エステル溶媒(A)のフッ素含有率は、20〜55質量%で側鎖がメチル基またはエチル基であることが負極の熱安定性が向上する点から好ましい。さらには負極の熱安定性や耐酸化性向上の効果が大きいため30〜54質量%が好ましい。
本発明の非水系電解液において、電解質塩溶解用溶媒(I)中の含フッ素エステル溶媒(A)の含有率は、電解質塩溶解用溶媒(I)全体に対して、5〜80体積%が、負極上に熱安定性の高い皮膜が効率よく形成できる点から好ましい。さらには10〜70体積%が、特に10〜60体積%が好ましい。
(B)含フッ素溶媒:
含フッ素溶媒(B)としては、含フッ素鎖状エーテル(B1a)などの含フッ素エーテル(B1)や、前記含フッ素エステル溶媒(A)以外の含フッ素鎖状エステル(B2a)、含フッ素環状エステル(B2b)などの含フッ素エステル(B2)や、含フッ素鎖状カーボネート(B3a)、含フッ素環状カーボネート(B3b)などの含フッ素カーボネート(B3)などがあげられ、これらのなかから1種以上を選択して使用することができる。
これらのうち、含フッ素鎖状エーテル(B1a)、含フッ素鎖状エステル(B2a)および含フッ素鎖状カーボネート(B3a)は自己消火作用を有しているため、これらを含フッ素エステル溶媒(A)と併用すると安全性が向上する。また、前記含フッ素エステル溶媒(A)が形成した表面被膜を溶解させにくいため、高温でも本発明の非水系電解液と負極の反応を抑制することができる。また、これらは表面張力が低いためにレート特性を向上させる働きがある。さらに、これらは含フッ素溶媒であるため、塩の溶解性が低く、また粘度も同等の非フッ素系溶媒と比較すると高くなるが、含フッ素エステル溶媒(A)を含有することにより、非フッ素系溶媒と比較しても、塩の溶解性を向上させ、粘性を低減することができ、良好なイオン伝導度を得ることができる。
含フッ素鎖状エーテル(B1a)は、耐酸化性や難燃性が高い、自己消火性を有し、レート特性を改善できるという利点を有する。
含フッ素鎖状エーテル(B1a)としては、たとえば、特開平8−37024号公報、特開平9−97627号公報、特開平11−26015号公報、特開2000−294281号公報、特開2001−52737号公報、特開平11−307123号公報などに記載された化合物があげられる。
なかでも、式(B1a1):
Rf1ORf2 (B1a1)
(式中、Rf1およびRf2は同じかまたは異なり、いずれも炭素数1〜8、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基または含フッ素アルキル基であり、Rf1とRf2の少なくとも一方は含フッ素アルキル基である)
で示される含フッ素鎖状エーテル(B1a1)が、他溶媒との相溶性が良好で適切な沸点を有する点から好ましい。
特に、Rf1としては、たとえば、CHF2CF2CH2−、CHF2CF2CF2CH2−、CHF2CF2CF2CF2CH2−、CF3CF2CH2−、CF3CHFCF2CH2−、CHF2CF(CF3)CH2−、CF3CF2CH2CH2−などがあげられ、また、Rf2としては、たとえば、−CF2CHF2、−CF2CHFCF3、−CF2CF2CHF2、−CH2CH2CF3、−CH2CHFCF3、−CH2CH2CF2CF3などがあげられる。なかでもRf1、Rf2がいずれも炭素数1〜4、特には3〜4の含フッ素アルキル基であることが、イオン伝導性が良好な点から好ましい。
含フッ素鎖状エーテル(B1a)の好ましい具体例としては、たとえば、CHF2CF2CH2OCF2CHFCF3、CHF2CF2CH2OCF2CF2H、CF3CF2CH2OCF2CHFCF3、CF3CF2CH2OCF2CF2H、CHF2CF2CH2OCH2CHFCF3、CF3CF2CH2OCH2CHFCF3などの、Rf1、Rf2ともに含フッ素アルキル基であるものがあげられ、なかでも、CHF2CF2CH2OCF2CHFCF3、CF3CF2CH2OCF2CHFCF3が、他溶媒との相溶性が良好でレート特性も良好な点から特に好ましい。
また、式(B1a2):
Rf1OR3 (B1a2)
(式中、R3は炭素数1〜6のアルキル基であり、Rf1は式(B1a1)と同じである)
または式(B1a3):
4ORf2 (B1a3)
(式中、R4は炭素数1〜6のアルキル基であり、Rf2は式(B1a1)と同じである)
で示される含フッ素鎖状エーテルも好ましい。
これらの含フッ素鎖状エーテル(B1a2)や含フッ素鎖状エーテル(B1a3)は、耐酸化性や自己消化性は含フッ素鎖状エーテル(B1a1)には劣るものの、塩の溶解性に優れるために好ましい。
含フッ素鎖状エーテル(B1a2)および含フッ素鎖状エーテル(B1a3)において、R3、R4としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、具体的には、−CH3、−C25、−C37、−CH(CH32などが例示できる。
含フッ素鎖状エーテル(B1a2)および含フッ素鎖状エーテル(B1a3)としては、たとえば、CHF2CF2OC25、CF3CHFCF2OC25、CHF2CF2OCH3、CF3CHFCF2OCH3、CHF2CF2OCH(CH32、CF3CHFCF2OCH(CH32などが好ましいものとしてあげられる。
含フッ素鎖状エステル(B2a)は、耐酸化性や難燃性が高く、レート特性を改善できるという利点を有する。
含フッ素鎖状エステル(B2a)としては、式(B2a1):
Rf3COORf4 (B2a1)
(式中、Rf3およびRf4は同じかまたは異なり、Rf3は炭素数1〜8、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基または含フッ素アルキル基であり、Rf4は炭素数1〜8、好ましくは炭素数1〜4の含フッ素アルキル基であり、Rf3とRf4の少なくとも一方は含フッ素アルキル基である)
で示される含フッ素エステル(B2a1)が、難燃性が高く、かつ他溶媒との相溶性が良好な点から好ましい。
Rf3としては、たとえば、CF3−、C25−、CHF2CF2−、CHF2−、CH3CF2−、CF3CH2−などがあげられ、なかでも、CF3−、C25−が、レート特性が良好な点から特に好ましい。
Rf4としては、たとえば、−CF3、−C25、−CH2CF3、−C24CF3、−CH(CF32、−CH2CF2CHFCF3、−CH225、−CH2CF2CHF2、−C2425、−CH237などがあげられ、なかでも、−CH2CF3、−CH225、−CH(CF32、−CH2CF2CHF2が、他溶媒との相溶性が良好な点から特に好ましい。
含フッ素鎖状エステル(B2a1)の好ましい具体例としては、たとえば、CF3COOCH2CF3、CF3COOC24CF3、CF3COOCH225、CF3COOCH2CF2CHF2、CF3COOCH(CF32などの、Rf3、Rf4ともに含フッ素アルキル基であるものがあげられ、なかでも、CF3COOCH2CF3、CF3COOCH225、CF3COOCH2CF2CHF2、CF3COOCH(CF32が、他溶媒との相溶性およびレート特性が良好な点から特に好ましい。
また、式(B2a2):
Rf3COOR5 (B2a2)
(式中、R5は炭素数1〜4のアルキル基であり、Rf3は式(B2a1)と同じである)
または式(B2a3):
6COORf4 (B2a3)
(式中、R6は炭素数1〜4のアルキル基であり、Rf4は式(B2a1)と同じである)
で示される含フッ素鎖状エステルも好ましい。
これらの含フッ素鎖状エステル(B2a2)や(B2a3)は含フッ素鎖状エステル(B2a1)よりも自己消火性は低いが、加水分解性が高く、サイクル安定性が良好な点で好ましい。
含フッ素鎖状エステル(B2a2)および含フッ素鎖状エステル(B2a3)としては、たとえば、CF3COOCH3、CF3COOC25、CF3COOCH(CH32、C25COOCH3、C25COOC25、C25COOCH(CH32、CH3COOCH2CF3、CH3COOCH225、CH3COOCH2CF2CHF2、C25COOCH2CF3、C25COOCH225、C25COOCH2CF2CHF2などが好ましいものとしてあげられる。
含フッ素エステル(B2)として、含フッ素環状エステル(B2b)も使用できる。
含フッ素環状エステル(B2b)は、含フッ素エステル溶媒(A)と併用することで、高い誘電率、高い耐電圧といった優れた特性が特に発揮できる点、そのほか電解質塩の高い溶解性という効果が得られる。
含フッ素環状エステル(B2b)としては、たとえば、式(B2b1):
Figure 2008257988
(式中、X1〜X6は同じかまたは異なり、いずれも水素原子、フッ素原子、塩素原子、−CH3または含フッ素メチル基;ただし、X1〜X6の少なくとも1つは含フッ素メチル基である)
で示される含フッ素ラクトン(B2b1)があげられる。
1〜X6における含フッ素メチル基は、−CH2F、−CHF2または−CF3であり、−CF3が、耐電圧性が良好な点から好ましい。
含フッ素メチル基は、X1〜X6の全てに置換していてもよいし、1個だけに置換していてもよい。なかでも、1〜3個、特に1〜2個置換していることが、電解質塩の溶解性が良好な点から好ましい。
含フッ素メチル基の置換位置は特に限定されないが、X3および/またはX4が、特にX3またはX4が含フッ素メチル基、なかでも−CF3であることが、合成収率が良好なことから好ましい。含フッ素メチル基以外のX1〜X6は、水素原子、フッ素原子、塩素原子または−CH3であり、特に、水素原子が、電解質塩の溶解性が良好な点から好ましい。
含フッ素ラクトン(B2b1)としては、前記式(B2b1)で示されるもの以外にも、たとえば、式(B2b2):
Figure 2008257988
(式中、AおよびBはいずれか一方がCX1213(X12およびX13は同じかまたは異なり、いずれも水素原子、フッ素原子、塩素原子、−CF3、−CH3または水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよくヘテロ原子を鎖中に含んでいてもよいアルキル基である)であり、他方は酸素原子;Rf7は含フッ素エーテル基、含フッ素アルコキシ基または炭素数2以上の含フッ素アルキル基;X7およびX8は同じかまたは異なり、いずれも水素原子、フッ素原子、塩素原子、−CF3または−CH3;X9〜X11は同じかまたは異なり、いずれも水素原子、フッ素原子、塩素原子または水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよくヘテロ原子を鎖中に含んでいてもよいアルキル基;n=0または1)
で示される含フッ素ラクトン(B2b2)などもあげられる。
式(B2b2)で示される含フッ素ラクトン(B2b2)としては、式(B2b2a):
Figure 2008257988
(式中、A、B、Rf7、X7、X8およびX9は式(B2b2)と同じである)
で示される5員環構造を有する含フッ素ラクトン(B2b2a)が、合成が容易である点、化学的安定性が良好な点から好ましい。
式(B2b2a)で示される含フッ素ラクトン(B2b2a)には、AとBの組合せにより、式(B2b2b):
Figure 2008257988
(式中、Rf7、X7、X8、X9、X12およびX13は式(B2b2)と同じ)
で示される含フッ素ラクトン(B2b2b)と、式(B2b2c):
Figure 2008257988
(式中、Rf7、X7、X8、X9、X12およびX13は式(B2b2)と同じ)
で示される含フッ素ラクトン(B2b2c)がある。
これらのなかでも、高い誘電率、高い耐電圧といった優れた特性が特に発揮できる点、そのほか電解質塩の溶解性、内部抵抗の低減が良好な点で本発明における電解液としての特性が向上する点から、
Figure 2008257988
が好ましい。
その他、含フッ素環状エステル(B2b)としては、
Figure 2008257988
なども使用できる。
含フッ素溶媒(B)としては、含フッ素カーボネート(B3)も使用できる。含フッ素カーボネート(B3)としては、含フッ素鎖状カーボネート(B3a)および含フッ素環状カーボネート(B3b)があげられる。
含フッ素鎖状カーボネート(B3a)は、耐酸化性や難燃性が高く、レート特性を改善できるという利点を有する。
含フッ素鎖状カーボネート(B3a)としては、式(B3a1):
Rf5OCOORf6 (B3a1)
(式中、Rf5およびRf6は同じかまたは異なり、いずれも炭素数1〜8、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基または含フッ素アルキル基であり、Rf5とRf6の少なくとも一方は含フッ素アルキル基である)
で示される含フッ素鎖状カーボネート(B3a1)が、難燃性が高く、かつレート特性が良好な点から好ましい。
Rf5およびRf6としては、たとえば、CF3−、C25−、(CF32CH−、CF3CH2−、C25CH2−、CHF2CF2CH2−、CF3CHFCF2CH2−などがあげられ、なかでも、CF3CH2−、C25CH2−が、粘性が適切で、他溶媒との相溶性およびレート特性が良好な点から特に好ましい。
含フッ素鎖状カーボネート(B3a)の好ましい具体例としては、たとえば、CF3CH2OCOOCH2CF3、C25CH2OCOOCH225、C25CH2OCOOCH3、CF3CH2OCOOCH3などの、Rf5、Rf6ともに含フッ素アルキル基であるものがあげられ、なかでも、CF3CH2OCOOCH2CF3、C25CH2OCOOCH225が、粘性が適切で、難燃性、他溶媒との相溶性およびレート特性が良好な点から特に好ましい。また、たとえば、特開平6−21992号公報、特開2000−327634号公報、特開2001−256983号公報などに記載された化合物もあげられる。
また、式(B3a2):
Rf5OCOOR7 (B3a2)
(式中、R7は炭素数1〜6のアルキル基であり、Rf5は式(B3a1)と同じである)
または式(B3a3):
8OCOORf6 (B3a3)
(式中、R8は炭素数1〜6のアルキル基であり、Rf6は式(B3a1)と同じである)
で示される含フッ素鎖状カーボネートも好ましい。
これらの含フッ素鎖状カーボネート(B3a2)や含フッ素鎖状カーボネート(B3a3)は含フッ素鎖状カーボネート(B3a1)よりも耐酸化性や自己消火性は低いが、塩の溶解性が良好な点で好ましい。
含フッ素鎖状カーボネート(B3a2)および含フッ素鎖状カーボネート(B3a3)において、R7、R8としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、具体的には、−CH3、−C25、−C37、−CH(CH32などが例示できる。
含フッ素鎖状カーボネート(B3a2)および含フッ素鎖状カーボネート(B3a3)としては、たとえば、CF3CH2OCOOCH3、CF3CH2OCOOC25、C25CH2OCOOCH3、C25CH2OCOOC25、CHF2CF2CH2OCOOCH3、CHF2CF2CH2OCOOC25、CF3CHFCF2CH2OCOOCH3、CF3CHFCF2CH2OCOOC25などが好ましいものとしてあげられる。
含フッ素環状カーボネート(B3b)は、式(B3b):
Figure 2008257988
(式中、X14〜X17は同じかまたは異なり、いずれも水素原子、フッ素原子、−CF3、−CHF2、−CH2F、−CF2CF3、−CH2CF3、−CH2CF2CF3、−CH2CF(CF32または−CH2OCH225;ただし、X14〜X17の少なくとも1つはフッ素原子、−CF3、−CF2CF3、−CH2CF3、−CH2CF2CF3または−CH2OCH2CF2CF3である)
で示されるものが好ましい。
ここで、X14〜X17の少なくとも1つがフッ素原子である含フッ素環状カーボネート(B3b)は、負極表面に強固な薄膜を形成できるので、被膜がはがれにくく、本発明の非水系電解液と負極の反応を抑制でき、さらに、耐酸化性やサイクル特性を向上させることができる。また、この含フッ素環状カーボネート(B3b)は、他の含フッ素溶媒(B)とまざりやすいという利点も有する。
また、X14〜X17の少なくとも1つが−CF3、−CHF2、−CH2F、−CF2CF3、−CH2CF3、−CH2CF2CF3または−CH2OCH225である含フッ素環状カーボネート(B3b)は、耐酸化性や誘電率が高く、粘性が低くできる。さらに、この含フッ素環状カーボネート(B3b)は、他の含フッ素溶媒(B)とまざりやすいという利点も有する。
14〜X17は、水素原子、フッ素原子、−CF3、−CHF2、−CH2F、−C25、−CH2CF3、−CH2CF2CF3、−CH2CF(CF32または−CH2OCH225であり、誘電率、粘性が良好で、他の溶媒との相溶性に優れる点からフッ素原子、−CF3、−CH2CF3、−CH2CF2CF3が好ましい。
式(B3b)において、フッ素原子、−CF3、−CF2CF3、−CH2CF3、−CH2CF2CF3または−CH2OCH2CF2CF3は、X14〜X17のすべてに置換していてもよいし、1箇所のみに置換していてもよい。なかでも、誘電率、耐酸化性が良好な点から、置換箇所は1〜2個が好ましい。
含フッ素環状カーボネート(B3b)のなかでも、高い誘電率、高い耐電圧といった優れた特性が特に発揮できる点、そのほか電解質塩の溶解性、内部抵抗の低減が良好な点で本発明におけるリチウム二次電池としての特性が向上する点から、次のものが好ましい。
耐電圧が高く、電解質塩の溶解性も良好な含フッ素環状カーボネート(B3b)としては、たとえば、
Figure 2008257988
などがあげられる。
他にも、含フッ素環状カーボネート(B3b)としては、
Figure 2008257988
なども使用できる。
これらの含フッ素溶媒(B)のなかでも、含フッ素エーテル(B1)、含フッ素エステル(B2)および含フッ素カーボネート(B3)よりなる群から選ばれる少なくとも1種が、特には含フッ素鎖状エーテル(B1a)、含フッ素環状エステル(B2b)、含フッ素鎖状カーボネート(B3a)および含フッ素環状カーボネート(B3b)よりなる群から選ばれる少なくとも1種が、電池特性が良好な点から好ましい。
本発明の非水系電解液において、電解質塩溶解用溶媒(I)中の含フッ素溶媒(B)の含有率は、電解質塩溶解用溶媒(I)全体に対して、5〜80体積%が耐酸化性および安全性が良好な点から好ましい。さらには10〜70体積%が、特に20〜60体積%が好ましい。なお、含フッ素溶媒(B)として、複数の溶媒を使用する場合、含フッ素溶媒(B)の含有率は、その合計量である。
本発明の非水系電解液において、電解質塩溶解用溶媒(I)には、前記含フッ素エステル溶媒(A)および含フッ素溶媒(B)以外にも、非フッ素系溶媒(C)として、非フッ素系鎖状エステル(C1a)や非フッ素系環状エステル(C1b)などの非フッ素系エステル(C1)、非フッ素系鎖状カーボネート(C2a)や非フッ素系環状カーボネート(C2b)などの非フッ素系カーボネート(C2)などを使用することもできる。この際、これらの非フッ素系溶媒(C)は、含フッ素エステル溶媒(A)と含フッ素溶媒(B)による効果を損なわない範囲で含んでよいが、電池特性の向上の点からその含有率は、電解質塩溶解用溶媒(I)中に5〜75体積%が、特には10〜65体積%が、さらには10〜40体積%が好ましい。
非フッ素系鎖状エステル(C1a)を使用すると、低温特性を向上させることができるという利点がある。
非フッ素系鎖状エステル(C1a)としては、式(C1a):
9COOR10
(式中、R9およびR10は同じかまたは異なり、R9は炭素数1〜2のアルキル基、R10は炭素数1〜4のアルキル基である)
で示される化合物が、低粘性で誘電率が高く、表面張力が低い点から好ましい。
非フッ素系鎖状エステル(C1a)の好ましい具体例としては、たとえば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどがあげられ、なかでも、酢酸メチル、酢酸エチルが、粘性が低く、表面張力が低く、サイクル特性を向上させる点から好ましい。ただし、耐酸化性が低いという難点がある。
非フッ素系環状エステル(C1b)を使用すると、電解質塩(II)の溶解性の向上、耐酸化性の向上、イオン解離性の向上といった効果が得られる。
非フッ素系環状エステル(C1b)としては、たとえば、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、β−ブチロラクトン、β−プロピオラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトンなどがあげられ、なかでも、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンが、イオン解離性、誘電率が良好な点から好ましい。
非フッ素系鎖状カーボネート(C2a)を使用すると、低温特性を向上させることができるという利点がある。
非フッ素系鎖状カーボネート(C2a)としては、式(C2a):
11OCOOR12
(式中、R11およびR12は同じかまたは異なり、いずれも炭素数1〜4のアルキル基である)
で示される化合物が、低粘性、他溶媒との相溶性が良好な点から好ましい。
非フッ素系鎖状カーボネート(C2a)の具体例としては、たとえば、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチルプロピルカーボネートなどがあげられ、なかでも、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートが、他溶媒との相溶性、レート特性が良好な点から好ましい。
非フッ素系環状カーボネート(C2b)を使用すると、電解質塩(II)の溶解性の向上、イオン解離性の向上といった効果が得られる。
非フッ素系環状カーボネート(C2b)としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートよりなる群から選ばれる少なくとも1種が、イオン解離性、低粘性、誘電率が良好な点から好ましい。
他にも、非フッ素系溶媒としては、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニルなどは安全性向上、特に過充電安全性向上を必要とする場合は使用することもでき添加量は電解質塩溶解用溶媒(I)に対して0.5〜5質量%で添加すれば良い。また、ビニレンカーボネートはサイクル特性向上を必要とする場合は使用することもできその添加量は電解質塩溶解用溶媒(I)に対して0.5〜2質量%であることが好ましい。
特に耐酸化性の向上が要求される場合は、上記(C1a)〜(C2b)などであげた非フッ素系溶媒(C)を使用せずに非水電解液を構成することが望ましい。すなわち、含フッ素系の溶媒(A)と(B)の合計含有量が高くなるほど耐酸化性を向上させることができる。特に含フッ素エステル溶媒(A)と含フッ素溶媒(B)との合計量が電解質塩溶解用溶媒(I)の60体積%以上、さらには80体積%以上とするときに、優れた耐酸化性の向上効果が奏される。
以下、本発明の非水系電解液における電解質塩溶解用溶媒(I)の好ましい具体例について説明する。
(1)サイクル特性および安全性を向上させ、コストを抑制できる電解質塩溶解用溶媒(I)
含フッ素エステル溶媒(A):5〜80体積%、
14〜X17の少なくとも一つがフッ素原子である含フッ素環状カーボネート(B3b):10〜50体積%、
ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネートまたはエチルメチルカーボネート:10〜50体積%、
エチレンカーボネートまたはプロピレンカーボネート:10〜50体積%。
さらにサイクル特性を向上させたい場合はビニレンカーボネートを0.5〜2質量%で添加すれば良い。また、安全性向上、特に過充電特性を向上させたい場合はシクロヘキシルベンゼン、モノフルオロベンゼン、ジフルオロアニソール、ビフェニルの少なくとも1種を0.5〜5質量%で添加すればよい。
(2)自己消火性を有する成分を含有し、負極表面の皮膜をはがれにくくするため、安全性を向上できる電解質塩溶解用溶媒(I)
含フッ素エステル溶媒(A):5〜80体積%、
含フッ素鎖状エーテル(B1a)、含フッ素鎖状エステル(B2a)または含フッ素鎖状カーボネート(B3a):10〜50体積%、
ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネートまたはエチルメチルカーボネート:10〜50体積%、
エチレンカーボネートまたはプロピレンカーボネート:10〜50体積%。
さらにサイクル特性を向上させたい場合はビニレンカーボネートを0.5〜2質量%で添加すれば良い。また、安全性向上、特に過充電特性を向上させたい場合はシクロヘキシルベンゼン、モノフルオロベンゼン、ジフルオロアニソール、ビフェニルの少なくとも1種を0.5〜5質量%で添加すればよい。
(3)自己消火性を有する成分を含有し、負極表面の皮膜をはがれにくくするため、安全性を向上でき、さらに、耐酸化性も向上できる電解質塩溶解用溶媒(I)
含フッ素エステル溶媒(A):5〜80体積%、
含フッ素鎖状エーテル(B1a)、含フッ素鎖状エステル(B2a)または含フッ素鎖状カーボネート(B3a):10〜50体積%、
14〜X17の少なくとも1がフッ素原子である含フッ素環状カーボネート(B3b):0.5〜5体積%、
14〜X17の少なくとも1つが−CF3、−CHF2、−CH2F、−C25、−CH2CF3または−CH2OCH225である含フッ素環状カーボネート(B3b):5〜30体積%
エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネートなど:0〜40体積%。
さらにサイクル特性を向上させたい場合はビニレンカーボネートを0.5〜2質量%で添加すれば良い。また、安全性向上、特に過充電特性を向上させたい場合はシクロヘキシルベンゼン、モノフルオロベンゼン、ジフルオロアニソール、ビフェニルの少なくとも1種を0.5〜5質量%で添加すればよい。
つぎに電解質塩(II)について説明する。
本発明の非水系電解液に使用する電解質塩(II)としては、たとえばLiBF4、LiAsF6、LiClO4、LiPF6、LiN(SO2CF32、LiN(SO2252などがあげられ、サイクル特性が良好な点から、LiPF6、LiN(SO2CF32およびLiN(SO2252よりなる群から選ばれる少なくとも1種の電解質塩が好ましい。また、たとえばLiPF6とLiN(SO2CF32を併用してもよい。
本発明の非水系電解液において、電解質塩(II)の濃度は、要求される電池特性を達成するためには、0.8モル/リットル以上、さらには1.0モル/リットル以上が好ましい。上限は電解質塩溶解用溶媒(I)にもよるが、通常1.5モル/リットルである。
本発明の非水系電解液は、以上のような構成を備えることから、不燃性(難燃性)でかつ電池特性(充放電サイクル特性、放電容量)に優れる。さらに本発明の非水系電解液によれば、低温でも相分離し難いこと、耐熱性に優れること、電解質塩の溶解性が高いこと、電池容量が向上し、レート特性に優れることを期待することもできる。
本発明の非水系電解液は、不燃性に優れる点から、リチウム二次電池用として好適であり、具体的には、正極、負極、セパレータと本発明の非水系電解液を備えるリチウム二次電池において、正極に使用する正極活物質が、コバルト系複合酸化物、ニッケル系複合酸化物、マンガン系複合酸化物、鉄系複合酸化物およびバナジウム系複合酸化物よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることがエネルギー密度の高く、高出力な二次電池となることから好ましい。
コバルト系複合酸化物としては、LiCoO2が例示され、ニッケル系複合酸化物としては、LiNiO2が例示され、マンガン系複合酸化物としては、LiMnO2が例示される。また、LiCoxNi1-x2(0<x<1)やLiCoxMn1-x2(0<x<1)、LiNixMn1-x2(0<x<1)、LiNixMn2-x4(0<x<2)、LiNi1-x-yCoxMny2(0<x<1、0<y<1、0<x+y<1)で表されるCoNi、CoMn、NiMn、NiCoMnの複合酸化物でも良い。これらのリチウム含有複合酸化物は、Co、Ni、Mnなどの金属元素の一部が、Mg、Al、Zr、Ti、Crなどの1種以上の金属元素で置換されたものであってもよい。
また、鉄系複合酸化物としては、たとえばLiFeO2、LiFePO4が例示され、バナジウム系複合酸化物としては、たとえばV25が例示される。
正極活物質として、上記の複合酸化物のなかでも、容量を高くすることができる点から、ニッケル系複合酸化物またはコバルト系複合酸化物が好ましい。特に小型リチウム二次電池ではコバルト系複合酸化物を用いることはエネルギー密度が高い点と安全性の面から望ましい。
前記負極に使用する負極活物質は炭素材料があげられ、リチウムイオンを挿入可能な金属酸化物や金属窒化物などもあげられる。炭素材料としては天然黒鉛、人造黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、メソカーボンマイクロビーズ、炭素ファイバー、活性炭、ピッチ被覆黒鉛などがあげられ、リチウムイオンを挿入可能な金属酸化物としては、スズ(Sn)やケイ素(Si)を含む金属化合物、例えば酸化スズや酸化ケイ素等があげられ、金属窒化物としては、Li2.6Co0.4Nなどがあげられる。
前記セパレータは特に制限はなく、微孔性ポリエチレンフィルム、微孔性ポリプロピレンフィルム、微孔性エチレン−プロピレンコポリマーフィルム、微孔性ポリプロピレン/ポリエチレン2層フィルム、微孔性ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン3層フィルムなどがあげられる。
また、本発明の電解液は、難燃性あるいは不燃性であることから、ハイブリッド自動車用や分散電源用の大型リチウム二次電池用の電解液としても有用である。また、アルミニウム電解コンデンサ用電解液、電気二重層キャパシタ用電解液などの非水系電解液としても有用である。
つぎに本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
なお、本発明で採用した測定法は以下のとおりである。
(1)NMR:BRUKER社製のAC−300を使用。
19F−NMR:
測定条件:282MHz(トリクロロフルオロメタン=0ppm)
1H−NMR:
測定条件:300MHz(テトラメチルシラン=0ppm)
(2)IR分析:Perkin Elmer社製フーリエ変換赤外分光光度計1760Xで室温にて測定した。
(3)フッ素含有率
酸素フラスコ燃焼法により試料10mgを燃焼し、分解ガスを脱イオン水20mlに吸収させ、吸収液中のフッ素イオン濃度をフッ素選択電極法(フッ素イオンメーター、オリオン社製 901型)で測定することにより求めた(質量%)。
合成例1(成分A1)
3LのSUS316製オートクレーブを用いて反応を行った。反応容器内にまずメタノール(1800g:25mol)、KOH(559g:10mol)、水(500ml)を加え密閉にした。この際溶解熱がでるので撹拌し冷却することで除熱した。その後反応容器内を真空下にし、テトラフルオロエチレン(832g:8.3mol):
CF2=CF2
を圧入(0.2MPa)した。その際発熱が生じるが50℃で反応を行った。所定量のテトラフルオロエチレンを加えた後室温になるまで撹拌を行い、室温下の状態になった時反応を終了した。系内の圧を抜き反応溶液を1N−HCl水溶液(1500ml)に注ぎ込んだ。その時2相に分離するので下相の目的生成物を採取し、1N−HCl水溶液(500ml)で2回洗浄し蒸留を行い精製した。常圧で70〜75℃の留分を採取した。1H−NMR、19F−NMRにより目的生成物であることが分かった。収率95%で含フッ素エーテル(1)(1041g:7.89mol):
CHF2CF2OCH3
を得た。
1H−NMR(重アセトン):3.24(3H)、6.02(1H)
19F−NMR(重アセトン):−124.0(2F)、−126.0(2F)
次に、3Lのガラス製反応容器を用いて反応を行った。反応容器内に98%濃硫酸(1500g:15mol)、酸化アルミニウム(224g:2.2mol)を加え熱を加え80℃で撹拌を行った。反応温度が安定した時点で上記で得た含フッ素エーテル(1)(400g:3mol):
CHF2CF2OCH3
を滴下ロートを用いて滴下した。滴下の際発熱は確認できなかった。滴下終了後発砲がなくなるまで充分に撹拌した後、目的生成物をそのまま抜き出し採取した。
その後、抜き出した目的生成物のエステルを再度蒸留し精製した。1H−NMR、19F−NMRにより目的生成物であることが分かった。収率80%で含フッ素エステル溶媒(A1)(264g:2.4mol):
CHF2COOCH3
を得た。
1H−NMR(重アセトン):3.67(3H)、5.99(1H)
19F−NMR(重アセトン):−124.0(2F)
合成例2(成分A2)
3Lの反応容器を用いて反応を行った。反応容器内に濃硫酸(1500g:15mol)、酸化アルミニウム(224g:2.2mol)を加え熱を加え80℃で撹拌を行った。反応温度が安定した時点で含フッ素エーテル(2)(546g:3mol):
CF3CHFCF2OCH3
を滴下ロートを用いて滴下した。滴下の際発熱は確認できなかった。滴下終了後発砲がなくなるまで充分に撹拌した後、目的生成物をそのまま抜き出し採取した。
その後、抜き出した目的生成物のエステルを再度蒸留し精製した。1H−NMR、19F−NMRにより目的生成物であることが分かった。収率80%で含フッ素エステル溶媒(A2)(384g:2.4mol):
CF3CHFCOOCH3
を得た。
1H−NMR(重アセトン):3.67(3H)、4.97(1H)
19F−NMR(重アセトン):−145.0(1F)、−80.5(3F)
合成例3(成分A3)
3Lの反応容器を用いて反応を行った。反応容器内に含フッ素カルボン酸(220g:2.00mol):
CH3CF2COOH
、メタノール(192g:6.00mol)に10mol%の濃硫酸を加えて60℃還流下で2時間撹拌し、GCにより原料の消失を確認した。反応後、水でクエンチし、下相の目的生成物を採取し、その後、蒸留を行い、収率90%で含フッ素エステル溶媒(A3):
CH3CF2COOCH3
を得た。
1H−NMR(重アセトン):1.96(3H)、3.67(3H)
19F−NMR(重アセトン):−127.7(2F)
合成例4(成分B1a)
3Lオートクレーブに、KOH84g(1.35mol)、水800ml、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール:
CHF2CF2CH2OH
600g(4.5mol)を入れた。そこに、ヘキサフルオロプロペン:
CF2=CFCF3
681g(4.5mol)を導入した。反応後、液は二層分離しており、下層を水で3回洗浄、分液を行った。その後精留精製を行い、含フッ素鎖状エーテル(B1a):
CHF2CF2CH2OCF2CHFCF3
1015g(3.6mol)を得た(収率80%)。
この生成物を1H−NMR、19F−NMRにより分析したところ、上記構造を有する含フッ素鎖状エーテル(B1a)であることが確認された。
1H−NMR:(neat):3.62〜3.95ppm(2H)、4.31〜4.49ppm(1H)、5.03〜5.62ppm(1H)
19F−NMR:(neat):−77.8ppm(3F)、−83.6〜−88.7ppm(2F)、−128.9ppm(2F)、−143.0ppm(2F)、−215.2ppm(1F)
この含フッ素鎖状カーボネート(B1a)のフッ素含有率は67.4質量%であった。
合成例5(成分B2a)
窒素雰囲気下、2L四つ口フラスコに無水トリフルオロ酢酸:
(CF3CO)2
を500g(2.38mol)入れ、40℃にて2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール:
CHF2CF2CH2OH
394g(2.86mol)を滴下ロートを用いて還流下に、少しずつ加えていった。2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールの添加量が1.2当量になった時点で、80℃で0.5時間反応させた。反応終了後室温に戻し、水洗を繰り返し、蒸留生成を行い、含フッ素鎖状エステル(B2a):
CF3COOCH2CF2CHF2
488g(2.19mol)を得た(収率92%)。
この生成物を1H−NMR、19F−NMR、IR分析により分析したところ、上記の構造の含フッ素鎖状エステル(B2a)であることが確認された。
1H−NMR:(neat):3.29〜3.48ppm(2H)、4.38〜4.81ppm(1H)
19F−NMR:(neat):−76.63(3F)、−125.23〜−125.280ppm(2F)、−138.74〜138.99ppm(2F)
IR:(KBr):1805cm-1
この含フッ素エステル(B2a)のフッ素含有率は58.31質量%であった。
合成例6(成分B3a)
窒素雰囲気下、3L四つ口フラスコにトリフルオロエタノール:
CF3CH2OH
300g(3.00mol)を入れ、続いて、ピリジン355g(1.5当量:3.0mol)、および溶媒としてテトラグライム600mlを加え、氷浴下で撹拌した。続いて、滴下ロートからトリホスゲン:
CCl3OCOOCCl3
150g(0.57mol)のテトラグライム溶液を滴下ロートを用いて少しずつ、4時間かけて加えた。反応温度は10℃を保つようにした。反応終了後室温に戻し、1N塩酸で3回分液し、下層の蒸留生成を行い、含フッ素鎖状カーボネート(B3a):
CF3CH2OCOOCH2CF3
270g(2.19mol)を得た(収率40%)。このものの沸点は103℃(760mmHg)であった。
この生成物を1H−NMR、19F−NMR、IR分析により分析したところ、上記構造の含フッ素鎖状カーボネート(B3a)であることが確認された。
1H−NMR:(neat):3.91〜3.98ppm(2H)
19F−NMR:(neat):−82.3(3F)
IR:(KBr):1784cm-1
この含フッ素鎖状カーボネート(B3a)のフッ素含有率は50.42質量%であった。
合成例7(成分B2b)
ステンレススチール製の3Lオートクレーブに、開始剤として1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)(73g:10mol%)を入れ、続いて溶媒として酢酸エチル600mL、4ペンテン酸(300g:3.0mol)を入れ、系内を10℃以下に冷却しながら真空−窒素置換を3回行った。系内を真空にした後、トリフルオロメチルアイオダイド(646g:3.3mol)を圧入した。温度を65℃から5℃/30minで段階的に昇温し、88℃で2時間反応させた。反応終了後室温に戻し、エバポレーターで溶媒を減圧留去し、付加体:
CF3CH2CHIC24COOH
を80%の収率で得た。
次に、冷却管、温度計、滴下ロートを備え付けた2Lの四つ口フラスコに先に得られた付加体を入れ、60℃に加熱した。滴下ロートからK2CO3(207g:1.5mol)の50%水溶液を、発泡を確認しながら滴下した。CO2の発泡がおさまってから室温に戻し、水洗を3回行なった後二層分離した下層より、粗含フッ素ラクトンを得た。
このラクトンを減圧蒸留することにより、含フッ素環状エステル(B2b):
Figure 2008257988
を305g得た(収率60%、純度99.5%GC、沸点65℃/70mmHg)。
この生成物を1H−NMR、19F−NMR、IR分析により分析したところ、上記構造を有する含フッ素環状エステル(B2b)であることが確認された。
1H−NMR:(アセトン):1.12〜1.33ppm(1H)、1.64〜2.16ppm(5H)、3.92〜4.20ppm(1H)
19F−NMR:(アセトン):−78.31ppm(3F)
IR(KBr):1690cm-1
合成例8(成分B3b)
3Lのオートクレーブに、3,3,3−トリフルオロメチルエポキシプロパンを800g(7.14mol)、LiBrを18.8g(3mol%:0.2mol)、N−メチル−2−ピロリドンを600ml入れた。氷浴下、減圧(100mmHg)にした後、CO2を導入した。その後、100℃まで加熱しながらCO2を1.2MPaまで導入し、圧が下がらなくなるまで攪拌し反応させた。反応終了後は冷却し反応液を1mol/LのHCl水溶液で洗浄、分液を行った。その後、蒸留精製し含フッ素環状カーボネート(B3b):
Figure 2008257988
548g(3.5mol)を得た(収率49%)。
この生成物を1H−NMR、19F−NMR、IR分析により分析したところ、上記構造を有する含フッ素環状カーボネート(B3b)であることが確認された。
1H−NMR:(neat):4.44〜4.61ppm(2H)、4.91ppm(1H)
19F−NMR:(neat):−79.1〜−83.2ppm(3F)
IR:(KBr):1801cm-1
この含フッ素環状カーボネート(B3b)のフッ素含有率は36.5質量%であった。
つぎに非水系電解液二次電池の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例および比較例で使用した各化合物は以下のとおりである。
成分(A)
(A1):CHF2COOCH3(合成例1)
(A2):CF3CHFCOOCH3(合成例2)
(A3):CH3CF2COOCH3(合成例3)
成分(B)
(B1a):CHF2CF2CH2OCF2CHFCF3 (合成例4)
(B2a):CF3COOCH2CF2CHF2 (合成例5)
(B3a):CF3CH2OCOOCH2CF3 (合成例6)
(B2b):
Figure 2008257988
(B3b):
(A1)を、成分(B)として(B1a)を50/50体積%比となるように混合し、この電解質塩溶解用溶媒にさらに電解質塩としてLiN(SO2CF2CF32を0.8モル/リットルの濃度となるように加え、25℃にて充分に撹拌し、本発明の電解液を調製した。
実施例2〜17
実施例1と同様にして、成分(A)、成分(B)および成分(C)を表1に示す組成となるように混合し、この電解質塩溶解用溶媒にさらに表1に示す電解質塩を加え、本発明の電解液を調製した。
比較例1
実施例1と同様にして、電解質塩溶解用溶媒として成分(C)のみを使用し、さらに表1に示す電解質塩を加え、比較用の電解液を調製した。
試験1(電解液の低温安定性)
実施例1〜17および比較例1でそれぞれ製造した電解液6mlを9ml容のサンプル瓶に取り出し、−30℃にて8時間静置して液の状態を目視で観察した。結果を表1に示す。
(評価基準)
○:均一溶液である。
×:固化している。
試験2(安全性試験)
次の方法に従い、実施例1〜17および比較例1でそれぞれ製造した電解液を用いて円筒型リチウム二次電池を作製した。
(正極の作製1)
LiMnO2とカーボンブラックとポリフッ化ビニリデン(呉羽化学(株)製、商品名KF−1000)を85/7/8(質量%比)で混合した正極活物質をN−メチル−2−ピロリドンに分散してスラリー状としたものを正極集電体(厚さ15μmのアルミニウム箔)上に均一に塗布し、乾燥して正極合剤層を形成し、その後、ローラプレス機により圧縮成形した後、切断し、リード体を溶接して、帯状のマンガン酸リチウム正極を作製した。
(負極の作製)
人造黒鉛粉末(テイムカル社製、商品名KS−44)に、蒸留水で分散させたスチレン−ブタジエンゴムを固形分で6質量%となるように加え、ディスパーザーで混合してスラリー状としたものを負極集電体(厚さ10μmの銅箔)上に均一に塗布し、乾燥し、負極合剤層を形成し、その後、ローラプレス機により圧縮成形し、切断した後、乾燥し、リード体を溶接して、帯状の負極を作製した。
前記帯状の正極を厚さ20μmの微孔性ポリエチレンフィルムを介して上記帯状の負極に重ね、渦巻状に巻回して渦巻状巻回構造の積層電極体とした。その際、正極集電材の粗面側が外周側になるようにして巻回した。その後、この電極体を外径18mmの有底円筒状の電池ケース内に充填し、正極および負極のリード体の溶接を行った。
つぎに、上記実施例1〜17および比較例1の電解液を電池ケース内に注入し、電解液がセパレータなどに充分に浸透した後、封口し、予備充電、エイジングを行い、筒形のリチウム二次電池を作製した。
この円筒型リチウム二次電池について、つぎの4種類の安全性試験を行った。結果を表1に示す。
[釘刺し試験]
4.3Vまで円筒型リチウム二次電池を充電したのち、直径3mmの釘を円筒型リチウム二次電池に貫通させて、円筒型リチウム二次電池の発火・破裂の有無を調べた。
[加熱試験]
4.25Vまで円筒型リチウム二次電池を充電したのち、5℃/分で室温から150℃まで上げその後、150℃で放置させ円筒型リチウム二次電池の発火・破裂の有無を調べた。
[短絡試験]
4.3Vまで円筒型リチウム二次電池を充電した後、正極と負極を銅線で短絡させ、円筒型リチウム二次電池の発火の有無を調べた。
[過充電試験]
1CmA相当の電流値で3.0Vまで放電した後、1CmA相当の電流値で12Vを上限電圧として過充電を行い、円筒型リチウム二次電池の発火・破裂の有無を調べた。
評価は、いずれの試験においても、発火(破裂)がない場合を○、発火(破裂)した場合を×とした。
試験3(安全性試験)
試験2において、正極としてつぎの方法で作製した正極を用いたほかは試験2と同様にして安全性試験を行った。結果を表1に示す。
(正極の作製2)
LiNiO2とカーボンブラックとフッ素樹脂(商品名テフロン30−J、三井・デュポンフロロケミカル(株)製)を88/6/6(質量%比)で混合した正極活物質をN−メチル−2−ピロリドンに分散してスラリー状としたものを正極集電体(厚さ15μmのアルミニウム箔)上に均一に塗布し、乾燥して正極合剤層を形成し、その後、ローラプレス機により圧縮成形した後、切断し、リード体を溶接して、帯状のマンガン酸リチウム正極を作製した。
Figure 2008257988
表1からわかるように、釘刺し試験、加熱試験、短絡試験、過充電試験のいずれの試験でも実施例1〜17ではすべて発火しなかったが、比較例1は発火した。
試験4(電解質塩の溶解性)
リチウム二次電池の負極表面にはCHF2COOLiからなる被膜が形成されるが、この被膜は電解質塩溶解用溶媒に溶解しないことが望まれる。そこで、表2に示す電解質塩溶解用溶媒について、CHF2COOLiの溶解性を調べた。結果を表2に示す。
(溶解性試験)
CHF2COOLi(固体)0.1gを表2に示す電解質塩溶解用溶媒10mlに加え、充分攪拌した後静置し、目視により観察した。溶解した(透明)ものを×、CHF2COOLiが沈殿したものを○とした。
Figure 2008257988
表2の結果から、特定の含フッ素エステル溶媒(A)および含フッ素溶媒(B)を含む電解質塩溶解用溶媒はCHF2COOLiからなる被膜を溶解せず、被膜が安定することがわかる。

Claims (10)

  1. (A):
    1CFXCOOR2 (A)
    (式中、R1は水素原子、フッ素原子または炭素数1〜3の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよいアルキル基;Xは水素原子またはフッ素原子;ただし、R1がフッ素原子またはパーフルオロアルキル基の場合はXは水素原子;R2は炭素数1〜4のアルキル基である)
    で示される含フッ素エステル溶媒(A)、および
    前記含フッ素エステル溶媒(A)以外の含フッ素溶媒(B)
    を含む電解質塩溶解用溶媒(I)、ならびに
    電解質塩(II)
    を含む非水系電解液。
  2. 含フッ素溶媒(B)が、含フッ素エーテル(B1)、含フッ素エステル(B2)および含フッ素カーボネート(B3)よりなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の非水系電解液。
  3. 含フッ素エステル溶媒(A)が、CHF2COOCH3、CF3CHFCOOCH3、CHF2COOC25、CF3CHFCOOC25、CH3CF2COOCH3およびCH3CF2COOC25よりなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1または2記載の非水系電解液。
  4. 電解質塩溶解用溶媒(I)が、さらに、非フッ素系溶媒(C)を含む請求項1〜3のいずれかに記載の非水系電解液。
  5. 含フッ素溶媒(B)が、含フッ素鎖状エーテル(B1a)、含フッ素環状エステル(B2b)、含フッ素鎖状カーボネート(B3a)および含フッ素環状カーボネート(B3b)よりなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれかに記載の非水系電解液。
  6. 含フッ素エステル溶媒(A)と含フッ素溶媒(B)との合計量が電解質塩溶解用溶媒(I)の60体積%以上である請求項5記載の非水電解液。
  7. 電解質塩(II)が、LiPF6、LiN(SO2CF32およびLiN(SO2252よりなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜6のいずれかに記載の非水系電解液。
  8. リチウム二次電池用である請求項1〜7のいずれかに記載の非水系電解液。
  9. 正極、負極、セパレータおよび請求項1〜8のいずれかに記載の非水系電解液を備え、該正極に使用する正極活物質が、コバルト系複合酸化物、ニッケル系複合酸化物、マンガン系複合酸化物、鉄系複合酸化物およびバナジウム系複合酸化物よりなる群から選ばれる少なくとも1種であるリチウム二次電池。
  10. 正極、負極、セパレータおよび請求項1〜8のいずれかに記載の非水系電解液を備え、該負極に使用する負極活物質として、スズ原子またはケイ素原子を含む材料を用いるリチウム二次電池。
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